JP2019200932A - 蓄電ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】電極の破損を抑制して信頼性を向上可能な蓄電ユニットを提供する。【解決手段】 蓄電セル3は、積層された複数のバイポーラ電極21、及び、固体又はゲル状の電解質を含む電極積層体23と、電極積層体23の両端に設けられた集電体24A,24Bと、集電体24Aから集電体24Bにわたって一体に形成され、電極積層体23を封止する保持部材13と、隣り合うバイポーラ電極21の間に設けられ、バイポーラ電極21の間のスペースを維持するための複数のスペーサ30と、を備える。バイポーラ電極21は、正極層25及び負極層26から露出された第2領域28を含む。スペーサ30は、バイポーラ電極21との接合を形成しないように第2領域28の間に介在される。【選択図】図6
Description
本発明は、蓄電ユニットに関する。
蓄電装置の一種として、全固体電池を用いた蓄電装置がある。例えば特許文献1に記載の全固体電池は、リチウム電池の単位セルと、単位セルと交互に積層される内部電極層とを含むバイポーラ型の積層電池(セルスタック)を複数有して構成されている。複数の積層電池は、正極集電箔および負極集電箔を介して積み重ねられて互いに並列接続されると共に、モールド樹脂によって封止されている。
特許文献1には、電気的に並列に接続された各々のバイポーラ積層体を、モールド樹脂によって密着させて固定し、正極と負極との間を物理的に電気絶縁して短絡を防ぐとのとの記載がされている。
ここで、特許文献1においては、固体電解質を含む正極電極層のグリーンシート、固体電解質層のグリーンシート、及び、固体電解質を含む負極電極層のグリーンシートを順次積層した単位セルを、内部電極層のグリーンシートを介して積層してバイポーラ積層体のグリーンシートを構成した後、所定の大きさに裁断して焼結することによって、バイポーラ積層焼結体を製造している。このため、特許文献1に記載の全個体電池にあっては、正極電極層及び負極電極層が、内部電極層の全面にわたって配置されることになる。
これに対して、本発明者らの知見によれば、内部電極層の外縁部に対して、正極電極層及び負極電極層から露出した領域を設けることによって、内部電極層を介して隣り合う正極電極層と負極電極層との間の距離を延長すれば、それらの間の短絡を抑制して信頼性の向上を図ることができる。一方で、特許文献1に記載の全個体電池においてこの構成を適用しようとすると、複数の内部電極層の外縁部が、モールド樹脂によって互いに固定される結果、単位セルの膨張・収縮時の内側部分の変位に追従できず、内部電極層が破損するおそれがある。このため、信頼性の向上の観点から単純な適用は困難である。
本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、電極の破損を抑制して信頼性を向上可能な蓄電ユニットを提供することを目的とする。
本発明に係る蓄電ユニットは、第1方向に沿って積層された複数の電極、及び、固体又はゲル状の電解質を含む電極積層体と、第1方向における電極積層体の両端のそれぞれに設けられた集電体と、一方の集電体から他方の集電体にわたって一体に形成され、電極積層体を封止するシール部材と、第1方向に沿って隣り合う電極の間に設けられ、電極の間のスペースを維持するための複数のスペーサと、を備え、電極は、活物質を含む電極層が形成された第1領域と、第1方向からみて第1領域の外側に形成され、電極層から露出された第2領域と、を含み、スペーサは、電極との接合を形成しないように、第1方向に沿って隣り合う電極の第2領域の間に介在されている。
この蓄電ユニットにおいては、電極積層体の一端に設けられた集電板と他端に設けられた集電板とにわたって一体にシール部材が形成されることにより、電極積層体が封止されている。このため、電極積層体の外部から電極積層体の内部に異物等が侵入して短絡が発生することが抑制される。また、それぞれの電極は、活物質を含む電極層が形成された第1領域と、第1領域の外側に形成され、電極層から露出された第2領域と、を含む。このため、互いに隣り合う電極層の距離が、少なくとも第2領域の分だけ延長される。これにより、電極層の短絡が抑制され、信頼性が向上される。
ここで、この蓄電ユニットにおいては、固体又はゲル状の電解質が用いられる。すなわち、この蓄電ユニットにおいては、電解質の流動性が低い(又は流動性がない)ため、それぞれの電極の間を封止する重要性が低い。そこで、この蓄電ユニットにおいては、電極の間のスペースを維持するためのスペーサが、電極との接合を形成しないように、隣り合う電極の第2領域の間に介在されている。すなわち、この蓄電ユニットにおいては、電極積層体の全体をシール部材によって封止する一方で、各電極がスペーサに接合されずにフリーな状態となる。この結果、膨張・収縮に伴って電極の全体が変位可能となり、電極の破損が避けられる。このように、この蓄電ユニットにおいては、電極の破損を抑制して信頼性を確実に向上可能である。
本発明に係る蓄電ユニットにおいては、第1方向に沿って隣り合う電極の第2領域の間隔は、第1方向に沿ったスペーサのサイズよりも大きくてもよい。この場合、簡単な構成によって、電極と接合しないように第2領域の間にスペーサを介在させることができる。
本発明に係る蓄電ユニットにおいては、スペーサは、シール部材と別体に形成されていてもよい。このように、シール部材とスペーサとを別体とすることにより、シール部材の構造を簡略化できる。
本発明に係る蓄電ユニットにおいては、電極積層体は、第1方向に沿って隣り合う電極の間に介在されたセパレータを含み、セパレータは、第1領域から第2領域上に位置するように延在しており、スペーサは、セパレータにおける第2領域上に位置する部分であってもよい。この場合、セパレータとスペーサとして機能させることにより、部品点数が削減される。
本発明に係る蓄電ユニットにおいては、スペーサは、シール部材と一体に形成されていてもよい。この場合、シール部材とスペーサとを単一の工程で製造できるため、全体の製造工程を簡略化できる。
本発明によれば、電極の破損を抑制して信頼性を向上可能な蓄電ユニットを提供できる。
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、以下の図面には、X軸、Y軸、及び、Z軸により規定される直交座標系を示す場合がある。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略斜視図である。また、図2は、図1におけるII−II線断面図であり、図3は、図1におけるIII−III線断面図である。図1〜3に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる装置である。蓄電装置1は、図1に示すように、セルスタック2を備えている。セルスタック2は、複数のバイポーラ電極21(図5参照)を含む蓄電セル(蓄電ユニット)3を積層することによって構成されている。
セルスタック2は、互いに積層された複数の蓄電セル3の集合体である。蓄電セル3の積層方向は、ここではX方向である。本実施形態では、セルスタック2は、例えば100体程度の蓄電セル3を含んでいる。セルスタック2の幅方向(ここではY方向)のサイズは、セルスタック2の長さ方向(ここではX方向)のサイズに比べて小さくなっている。セルスタック2には、正極バスバー4及び負極バスバー5と、一対のエンドプレート6と、一対の絶縁緩衝部材7と、カバー部材8と、が設けられている。
正極バスバー4及び負極バスバー5は、例えば矩形の板状に形成され、蓄電セル3の積層方向に一定の幅をもって延在している。正極バスバー4及び負極バスバー5の材料は、例えば、銅、アルミニウム、チタン、又は、ニッケル等の金属である。正極バスバー4及び負極バスバー5の材料は、例えば、ステンレス鋼板(SUS301、SUS304等)又は、前述の金属の合金等であってもよい。正極バスバー4は、セルスタック2の頂面において幅方向の一方側に配置されている。一例として、正極バスバー4には、各蓄電セル3の正極端子(正極タブ11a)の全てが一括して接続されている(図2参照)。また、負極バスバー5は、セルスタック2の頂面において正極バスバー4とは一定の間隔をもって幅方向の他方側に配置されている。一例として、負極バスバー5には、各蓄電セル3の負極端子(負極タブ12a)の全てが一括して接続されている(図3参照)。
エンドプレート6は、蓄電セル3の積層方向への位置ずれを規制する部材である。エンドプレート6は、例えば金属又は合金によってL字板状に形成されている。エンドプレート6は、セルスタック2の積層方向の一端及び他端にそれぞれ配置されている。積層方向の一端側のエンドプレート6と、積層方向の他端側のエンドプレート6とは、ボルト及びナットなどの締結部材を用いて互いに連結されていてもよい。この場合、締結部材の締め付け力により、エンドプレート6を介して蓄電セル3の積層方向に沿った拘束荷重がセルスタック2に付加される。
絶縁緩衝部材7は、蓄電セル3の膨張を吸収する機能を有する絶縁部材である。絶縁緩衝部材7は、例えば積層方向から見て蓄電セル3と同程度の面積の直方体形状をなしている。絶縁緩衝部材7は、セルスタック2の積層方向の一端及び他端において、セルスタック2とエンドプレート6との間にそれぞれ配置されている。絶縁緩衝部材7の材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ナイロン66(PA66)等が挙げられる。
カバー部材8は、蓄電セル3の高さ方向(ここではZ方向)への位置ずれを規制する部材である。カバー部材8は、例えば金属又は合金によって形成されている。カバー部材8は、セルスタック2の頂面において、正極バスバー4及び負極バスバー5とは離間した状態で、正極バスバー4と負極バスバー5との間に配置されている。カバー部材8の本体部8aは、蓄電セル3の積層方向に延在している。本体部8aの長手方向の両端部には、爪部8bがそれぞれ設けられている。爪部8bは、締結部材Eを介してエンドプレート6の外側面に固定されている。これにより、カバー部材8がセルスタック2に対して係止されている。
引き続いて、蓄電セル3について具体的に説明する。図4は、図1〜3に示された蓄電セルの斜視図である。図5は、図4に示された蓄電セルの概略断面図である。図6は、図5に示された蓄電セルの拡大図である。図4〜6に示されるように、蓄電セル3は、第1方向に沿って積層された複数の電極(一例として後述するバイポーラ電極21)を有している。第1方向は、ここではX方向である。したがって、本実施形態においては、第1方向と、セルスタック2における蓄電セル3の積層方向とが互いに一致しているため、以下では、第1方向を「積層方向」と称する場合がある。
蓄電セル3は、扁平な略直方体形状をなす単電池である。蓄電セル3では、積層方向に沿う辺が最も短く、幅方向(ここではY方向)に沿う辺が最も長くなっている。蓄電セル3は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などの二次電池であってもよく、電気二重層キャパシタであってもよい。また、蓄電セル3は、全固体電池であってもよい。本実施形態では、蓄電セル3がバイポーラ型のリチウムイオン二次電池である場合を例示する。
蓄電セル3には、正極集電板11及び負極集電板12と、保持部材13とが設けられている。正極集電板11及び負極集電板12は、蓄電セル3における積層方向に交差する表面と略同形状の長方形状をなす金属板である。正極集電板11及び負極集電板12は、蓄電セル3を積層方向に挟むように配置されている。正極集電板11における高さ方向(ここでは、Z方向)の端面には、蓄電セル3の正極端子となる正極タブ11aが設けられている。正極タブ11aは、蓄電セル3の幅方向の一方側において高さ方向に突出し、正極タブ11aの先端側には、蓄電セル3の頂面を超えた位置で蓄電セル3の外方に屈曲する屈曲部分が設けられている。セルスタック2では、正極タブ11aの屈曲部分の向きが積層方向の一方側を向いて揃うように蓄電セル3が積層され、各屈曲部分に対して正極バスバー4が溶接等によって結合されている(図2参照)。
また、負極集電板12における高さ方向の端面には、蓄電セル3の負極端子となる負極タブ12aが設けられている。負極タブ12aは、蓄電セル3の幅方向の他方側において高さ方向に突出し、負極タブ12aの先端側には、蓄電セル3の頂面を超えた位置で蓄電セル3の外方に屈曲する屈曲部分が設けられている。負極タブ12aにおける屈曲部分の屈曲方向は、正極タブ11aにおける屈曲部の屈曲方向と反対向きとなっている。セルスタック2では、負極タブ12aの屈曲部分の向きが積層方向の他方側を向いて揃うように蓄電セル3が積層され、各屈曲部分に対して負極バスバー5が溶接等によって結合されている(図3参照)。
本実施形態では、正極タブ11aのY方向の幅は、正極集電板11のY方向の幅の半分よりも小さくなっており、負極タブ12aのY方向の幅は、負極集電板12のY方向の幅の半分よりも小さくなっている。また、蓄電セル3の積層方向から見て、正極タブ11aと負極タブ12aとが幅方向に離間した状態となっている。このような構成により、上述のように正極バスバー4及び負極バスバー5をいずれもセルスタック2の頂面に配置することが可能となる。
保持部材13は、蓄電セル3を保持する部材である。保持部材13は、例えば絶縁性及び耐熱性を有する樹脂によって形成され、蓄電セル3の幅方向の両側面、頂面、底面を囲む矩形枠形状をなしている。保持部材13は、蓄電セル3を構成するバイポーラ電極21を封止し、例えば異物等の侵入によるバイポーラ電極21同士の短絡を防止する機能を併せ持つシール部材である。保持部材13を構成する樹脂としては、例えばポリイミド、PP、PPS、PA66等が挙げられる。
蓄電セル3は、複数のバイポーラ電極21と、複数のセパレータ22とによって構成された電極積層体23を備えている。電極積層体23では、バイポーラ電極21とセパレータ22とが積層方向に沿って交互に配置されている。すなわち、電極積層体23は、積層方向に沿って互いに隣り合うバイポーラ電極21の間に介在された複数のセパレータ22を含む。バイポーラ電極21は、集電体24と、正極層(電極層)25と、負極層(電極層)26と、を有している。
集電体24は、略矩形状をなすシート状の導電部材である。集電体24は、例えば金属箔又は合金箔である。金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔、チタン箔、もしくはニッケル箔が挙げられる。集電体24が金属箔である場合、機械的強度を確保する観点からアルミニウム箔を用いることが好適である。合金箔としては、例えばステンレス鋼箔(SUS301、SUS304等)、もしくは上記金属の合金箔が挙げられる。集電体24が合金箔である場合、若しくは集電体24がアルミニウム箔以外の金属箔である場合、集電体24の表面にアルミニウムが被覆されていてもよい。
正極層25は、正極活物質と電解質とを含む層状部材(活物質を含む電極層)であり、集電体24の第1面24aに略矩形状に形成されている。正極活物質は、例えば複合酸化物、金属リチウム、及び硫黄等である。複合酸化物の組成には、例えばマンガン、チタン、ニッケル、コバルト、及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。電解質は、例えば固体電解質、固体高分子電解質、若しくはゲル状電解質である。すなわち、電解質は、固体又はゲル状である。固体電解質は、ジルコニア、もしくはβアルミナを含む。固体高分子電解質は、例えばポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)等のアルキレンオキシド系高分子化合物、若しくはこれらの共重合体を含む。
正極層25が固体高分子電解質を含む場合、正極層25は、例えばイオン伝導性を高めるための支持塩、電子伝導性を高めるための導電助剤、粘度調整溶媒、重合開始剤の少なくともいずれかを含む。支持塩は、アルキレンオキシド系高分子化合物に容易に溶解可能な観点から、例えばリチウム塩である。リチウム塩は、例えばLiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、若しくはこれらの混合物である。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。粘度調整溶媒は、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等である。重合開始剤は、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等である。ゲル状電解質は、流動性を完全にもしくはほぼ完全に示さない電解質である。例えば20℃におけるゲル状電解質の粘度は、0.1Pa・S以上である。
負極層26は、負極活物質と電解質とを含む層状部材(活物質を含む電極層)であり、集電体24の第1面24aの反対側の第2面24bに略矩形状に形成されている。負極活物質は、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素若しくはその化合物、ホウ素添加炭素などである。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。負極層26の電解質としては、例えば正極層25に含まれる電解質と同様のものが用いられる。なお、集電体24の第1面24a及び第2面24bは、積層方向に交差(直交)する面である。
正極層25は、第1面24aの中心側の一部のエリアに設けられている。換言すれば、第1面24aの外縁側の環状のエリアは、正極層25が設けられておらず、正極層25から露出されている。負極層26は、第2面24bの中心側の一部のエリアに設けられている。換言すれば、第2面24bの外縁側の環状のエリアは、負極層26が設けられておらず、負極層26から露出されている。本実施形態においては、正極層25の外縁と負極層26の外縁とは、積層方向からみて互いに一致している。
すなわち、積層方向からみて、正極層25と負極層26とは、互いに重複するように設けられている。これにより、集電体24(バイポーラ電極21)は、正極層25及び負極層26が形成された第1領域27と、積層方向からみて第1領域27を囲むように第1領域27の外側に形成され、正極層25及び負極層26から露出された環状の第2領域28と、を含むこととなる。第2領域28は、正極層25及び負極層26が形成されていない未塗工領域である。
セパレータ22は、隣り合うバイポーラ電極21同士を隔てる層状部材であり、略矩形状をなしている。セパレータ22は、正極層25及び負極層26に含まれる電解質によって構成されている。セパレータ22が固体電解質によって構成される場合、セパレータ22は、略矩形の板状(シート状)をなしていてもよい。
電極積層体23の積層方向の両端には、集電体24がそれぞれ設けられている。電極積層体23の一端(図5の紙面右側)に位置する集電体24には、正極層25のみが設けられており、当該集電体24の第2面24bが正極集電板11に当接するようになっている。また、電極積層体23の他端(図5の紙面左側)に位置する集電体24には、負極層26のみが設けられており、当該集電体24の第1面24aが負極集電板12に当接するようになっている。以下、電極積層体23の積層方向の一端に設けられた集電体(正極層25のみが設けられた集電体)を集電体24Aと称すると共に、電極積層体23の積層方向の他端に設けられた集電体(負極層26のみが設けられた集電体)を集電体24Bと称し、バイポーラ電極21に含まれる他の集電体(正極層25及び負極層26が設けられた集電体)と区別して説明する場合がある。
引き続いて、蓄電セル3における封止構造について説明する。図5,6に示されるように、蓄電セル3においては、保持部材13が、蓄電セル3の全体を封止するシール部材として機能している。より具体的には、保持部材13は、集電体24Aから集電体24Bにわたって一体に形成されており、電極積層体23を封止している。一例としては、積層方向からみて、集電体24A,24Bの第2領域28が、他の集電体24の第2領域28よりも外側に延在しており、保持部材13は、集電体24A,24Bの第2領域28にそれぞれ接合(例えば溶着)されることによって、集電体24A,24Bと共に電極積層体23の全体を封止している。一方で、それぞれのバイポーラ電極21は、互いの集電体24の間のスペースが維持されているものの、保持部材13によって個別には封止されていない。この点についてより具体的に説明する。
蓄電セル3は、複数のスペーサ30を有している。スペーサ30は、それぞれ、積層方向に沿って互いに隣り合うバイポーラ電極21の間に配置されており、バイポーラ電極21の間のスペースを維持するためのものである。スペーサ30は、積層方向からみて環状(例えば矩形環状)に形成されている。スペーサ30は、積層方向に沿って互いに隣り合う集電体24の第2領域28の間に介在されている。したがって、ここでは、スペーサ30は、未塗工領域である第2領域28同士が互いに接触しないように、第2領域28同士の間隔を維持している。
スペーサ30は、バイポーラ電極21に接合(例えば溶着)されていない。換言すれば、スペーサ30は、バイポーラ電極21(第2領域28)に対して固定されていない。さらに換言すれば、スペーサ30は、バイポーラ電極21の第2領域28に対して相対移動可能な状態とされている。より具体的には、ここでは、積層方向に沿って互いに隣り合うバイポーラ電極21の第2領域28同士の間隔S1が、積層方向に沿ってのスペーサ30のサイズ(厚さ)S2よりも大きくされている。なお、間隔S1は、一の集電体24の第1面24aにおける第2領域28に対応する部分と、積層方向に沿って当該一の集電体24に隣り合う別の集電体24の第2面24bにおける第2領域28に対応する部分との間の距離である。
これにより、積層方向に沿って互いに隣り合うスペーサ30の間の間隔S3が、バイポーラ電極21の第2領域28(集電体24)の厚さS4よりも大きくなり、スペーサ30が、第1面24a及び第2面24bの少なくとも一方から離間する(両方から離間していてもよい)。スペーサ30は、第1面24a及び第2面24bの一方に接触してもよいが、その接触部分において接合が形成されない。なお、間隔S3は、一のスペーサ30と、積層方向に沿って当該一のスペーサ30に隣り合う別のスペーサ30とについて、集電体24の第2領域28を介して互いに対向する面の間の距離である。
本実施形態においては、スペーサ30は、保持部材13と一体に形成されている。すなわち、ここでは、保持部材13におけるバイポーラ電極21の第2領域28に対応する位置に切欠31が形成されている。したがって、ここでは、スペーサ30は、保持部材13と同一の材料から形成される。スペーサ30は、保持部材13における一対の切欠31の間の部分として形成されている。この場合には、上述したスペーサ30の間隔S3は、積層方向に沿った切欠31のサイズである。すなわち、間隔S3は、切欠31における第2領域28を介して互いに対向する面の間の距離である。また、上述した間隔S3と厚さS4との関係から、切欠31の内面が、第1面24a及び第2面24bの少なくとも一方から離間することとなる。
スペーサ30は、積層方向に沿って互いに隣接するバイポーラ電極21の第2領域28の間において、集電体24を挟んで形成される正極層25と負極層26との間を電解質が第2領域28を伝って移動するのを阻害できるスペースを維持できればよい。したがって、サイズS2の下限は、例えばセパレータ22の厚さと同程度に設定できる。
以上説明したように、蓄電セル3においては、電極積層体23の一端に設けられた集電体24Aと他端に設けられた集電体24Bとにわたって一体に保持部材13が形成されることにより、電極積層体23が封止されている。このため、電極積層体23の外部から電極積層体23の内部に異物等が侵入して短絡が発生することが抑制される。また、それぞれのバイポーラ電極21は、活物質を含む正極層25及び負極層26が形成された第1領域27と、第1領域27を囲むように第1領域27の外側に形成され、正極層25及び負極層26から露出された第2領域28と、を含む。このため、集電体24を介して互いに隣り合う正極層25と負極層26との間の距離が、少なくとも第2領域28の分だけ延長される。これにより、当該正極層25及び負極層26の短絡が抑制され、信頼性が向上される。
ここで、蓄電セル3においては、固体又はゲル状の電解質が用いられる。すなわち、蓄電セル3においては、電解質の流動性が低い(又は流動性がない)ため、液状の電解質を用いた場合と比較して、それぞれのバイポーラ電極21の間を封止する重要性が低い。そこで、蓄電セル3においては、バイポーラ電極21の間のスペースを維持するためのスペーサ30が、バイポーラ電極21との接合を形成しないように、隣り合うバイポーラ電極21の第2領域28の間に介在されている。すなわち、蓄電セル3においては、電極積層体23の全体を保持部材13によって封止する一方で、バイポーラ電極21の各々をスペーサ30に接合せずに、フリーな状態としている。この結果、膨張・収縮に伴ってバイポーラ電極21の第2領域28が相対的に変位可能となり、バイポーラ電極21(特に集電体24)の破損が避けられる。このように、蓄電セル3においては、バイポーラ電極21の破損を抑制して信頼性を確実に向上可能である。
また、蓄電セル3においては、積層方向に沿って隣り合うバイポーラ電極21の第2領域28の間隔S1が、積層方向に沿ったスペーサ30のサイズS2よりも大きい。このようにすれば、簡単な構成によって、バイポーラ電極21と接合しないように第2領域28の間にスペーサ30を介在させることができる。
さらに、蓄電セル3においては、スペーサ30は、保持部材13と一体に形成されている。このため、保持部材13とスペーサ30とを単一の工程で製造できるため、全体の製造工程を簡略化できる。
以上の実施形態は、本発明に係る蓄電ユニットの一実施形態について説明したものである。本発明に係る蓄電ユニットは、上述した蓄電セル3を任意に変更したものとすることができる。
図7は、変形例に係る蓄電セルの拡大断面図である。図7に示されるように、スペーサ30を保持部材13と別体に形成してもよい。この変形例においては、積層方向からみて、第2領域28に重複するように環状(例えば矩形環状)をなす複数のスペーサ30を用意し、互いに離間するように保持部材13によって保持する。これにより、スペーサ30同士の間に間隙が形成される。そして、バイポーラ電極21の第2領域28を、スペーサ30同士の間隙に配置することにより、スペーサ30が、バイポーラ電極21との接合を形成しないように、積層方向に沿って隣り合うバイポーラ電極21の第2領域28の間に介在されることとなる。
この変形例においては、スペーサ30の材料が、保持部材13と同一の材料に限定されず、絶縁性及び耐熱性を有する任意の材料とすることができる。ただし、スペーサ30の材料を、保持部材13の材料と同一にしてもよい。この変形例によれば、保持部材13とスペーサ30とを別体とすることにより、保持部材13の構造を簡略化できる。また、保持部材13及びスペーサ30の設計の自由度が向上する。
なお、図7に示される変形例においては、セパレータ22とは別にスペーサ30を用意した。しかしながら、保持部材13と別体のスペーサ30を用いる別の例として、セパレータ22を利用してもよい。この場合、セパレータ22を、正極層25及び負極層26が形成された第1領域27から、その外側の未塗工領域である第2領域28上に位置するように延在させる。換言すれば、セパレータ22は集電体24と同じ大きさの略矩形状をなし、積層方向からみて、セパレータ22と集電体24とが重なる。この場合、積層方向からみて、第2領域28と重なる部分のセパレータ22の厚みを、第1領域27と重なる部分のセパレータ22の厚みより厚くしてもよい。これにより、セパレータ22における第2領域28上に位置する部分によって、スペーサ30を構成することができる。この場合、セパレータ22をスペーサ30として機能させることにより、部品点数が削減される。
また、上記実施形態においては、蓄電ユニットの一例として、集合体としてセルスタック2を構成する蓄電セル3を例示したが、本発明は、蓄電セル3に限定されずに任意の蓄電ユニットに適用できる。さらには、上記実施形態においては、電極としてバイポーラ電極21を例示したが、他の電極を用いてもよい。
3…蓄電セル(蓄電ユニット)、13…保持部材(シール部材)、21…バイポーラ電極(電極)、22…セパレータ、23…電極積層体、24,24A,24B…集電体、25…正極層(電極層)、26…負極層(電極層)、27…第1領域、28…第2領域、30…スペーサ、S1…間隔、S2…サイズ。
Claims (5)
- 第1方向に沿って積層された複数の電極、及び、固体又はゲル状の電解質を含む電極積層体と、
前記第1方向における前記電極積層体の両端のそれぞれに設けられた集電体と、
一方の前記集電体から他方の前記集電体にわたって一体に形成され、前記電極積層体を封止するシール部材と、
前記第1方向に沿って隣り合う前記電極の間に設けられ、前記電極の間のスペースを維持するための複数のスペーサと、
を備え、
前記電極は、活物質を含む電極層が形成された第1領域と、前記第1方向からみて前記第1領域の外側に形成され、前記電極層から露出された第2領域と、を含み、
前記スペーサは、前記電極との接合を形成しないように、前記第1方向に沿って隣り合う前記電極の前記第2領域の間に介在されている、
蓄電ユニット。 - 前記第1方向に沿って隣り合う前記電極の前記第2領域の間隔は、前記第1方向に沿った前記スペーサのサイズよりも大きい、
請求項1に記載の蓄電ユニット。 - 前記スペーサは、前記シール部材と別体に形成されている、
請求項1又は2に記載の蓄電ユニット。 - 前記電極積層体は、前記第1方向に沿って隣り合う前記電極の間に介在されたセパレータを含み、
前記セパレータは、前記第1領域から前記第2領域上に位置するように延在しており、
前記スペーサは、前記セパレータにおける前記第2領域上に位置する部分である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電ユニット。 - 前記スペーサは、前記シール部材と一体に形成されている、
請求項1又は2に記載の蓄電ユニット。
Priority Applications (1)
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JP2018095410A JP2019200932A (ja) | 2018-05-17 | 2018-05-17 | 蓄電ユニット |
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JP2018095410A JP2019200932A (ja) | 2018-05-17 | 2018-05-17 | 蓄電ユニット |
Publications (1)
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JP2019200932A true JP2019200932A (ja) | 2019-11-21 |
Family
ID=68611321
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018095410A Pending JP2019200932A (ja) | 2018-05-17 | 2018-05-17 | 蓄電ユニット |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019200932A (ja) |
-
2018
- 2018-05-17 JP JP2018095410A patent/JP2019200932A/ja active Pending
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