JP2020013388A - 工程管理装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業遅延の影響を低減できる工程管理装置及び方法を提供する。【解決手段】生産過程の少なくとも一部である複数の工程のうちの少なくとも一つを管理する工程管理装置は、生産予定を管理する装置である生産管理装置から生産予定に関する情報である生産予定情報を取得したり、各作業について当該作業の開始及び終了を含む作業実績を監視したりする。工程管理装置は、いずれかの作業である対象作業の開始が検出された場合、当該対象作業の終了が検出される前に、取得された生産予定情報が反映された情報であり作業に関する情報である生産管理情報のうち対象作業に関する対象作業情報と、対象作業について検出された作業実績から特定される実作業量とを基に、対象作業の作業遅延の有無を判断する。【選択図】図1

Description

本発明は、概して、工程管理に関する。
例えば、特許文献1(特開2010-55220号公報)は、「複数の成形機1〜3間を作業者4が移動しながら各成形機1〜3を取り扱う作業を行うことで各成形機1〜3を稼動させて製品を生産する生産工程において作業者4に次の作業を指示するもので、各成形機1〜3が稼動しているか否かの稼動情報を取得するPLC10〜30と、各成形機1〜3の周辺に設けられて作業者4の位置を検知するエリアセンサ5と、生産計画及び作業情報を記憶する第1の情報端末機6と、通信回線を介して各PLC10〜30からの稼動情報及びエリアセンサ5からの検知結果を収集するとともに、これらの情報を参照して現在行っている作業を推定し且つ推定結果に基づいて生産計画を修正する第2の情報端末機7と、生
産計画に応じて次の作業を作業者4に指示するモニタ8とから構成される。」を開示している。
特開2010-55220号公報
特許文献1によれば、現在行われていると推定された作業が、生産計画が示す作業完了時刻になっても完了していない場合に、作業遅延が発生していると判断することができる。そのため、特許文献1によれば、作業遅延の影響が大きい。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、作業遅延の影響を低減できる工程管理装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、代表的な本発明の工程管理装置の一つが、情報I/O(Input/Output)部と、遅延検出部とを備える。情報I/O部は、生産予定を管理する装置である生産管理装置から生産予定に関する情報である生産予定情報を取得したり、各作業について、当該作業の開始及び終了を検出したり当該作業の作業実績を検出したりする。遅延検出部は、いずれかの作業である対象作業の開始が検出された場合、当該対象作業の終了が検出される前に、取得された生産予定情報が反映された情報であり作業に関する情報である生産管理情報のうち対象作業に関する対象作業情報と、対象作業について検出された作業実績から特定される実作業量とを基に、対象作業の作業遅延の有無を判断する。
本発明によれば、対象作業の終了より前に対象作業の作業遅延を検出することができ、故に、作業遅延の影響を低減することができる。
工程管理装置を含むシステム全体の構成を例示するブロック図である。 工程管理処理の流れを示すフローチャートである。 図2のS100の処理流れを示すフローチャートである。 生産管理テーブルの例を示す図である。 図3のS103の処理流れを示すフローチャートである。 器具位置テーブルの例を示す図である。 図3のS104の処理流れを示すフローチャートである。 設備制御テーブルの例を示す図である。 作業遅延テーブルの例を示す図である。 図2のS300の流れを示すフローチャートである。 図10のS303の処理流れを示すフローチャートである。 作業員観測テーブルの例を示す図である。 作業員配置テーブルの例を示す図である。 残業可能者テーブルの例を示す図である。 図10のS304の処理流れを示すフローチャートである。 設備稼働テーブルの例を示す図である。 挽回対策テーブルの例を示す図である。 図2のS400の処理流れを示すフローチャートである。 ロットサイズが複数である場合の画面表示例を示す図である。 ロットサイズが単品である場合の画面表示例を示す図である。 対策出力の画面表示例を示す図である。
以下の説明では、「インターフェースデバイス部」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちのいずれでもよい。
・I/O(Input/Output)デバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するI/Oインターフェースデバイス。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
また、以下の説明では、「メモリ部」は、一つ以上のメモリであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリ部における少なくとも一つのメモリは、揮発性メモリであってもよいし不揮発性メモリであってもよい。
また、以下の説明では、「PDEV部」は、一つ以上のPDEVであり、典型的には補助記憶デバイスでよい。「PDEV」は、物理的な記憶デバイス(Physical storage DEVice)を意味し、典型的には、不揮発性の記憶デバイス、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)である。
また、以下の説明では、「記憶部」は、メモリ部とPDEV部の少なくともメモリ部でよい。
また、以下の説明では、「演算部」は、一つ以上のプロセッサである。少なくとも一つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも一つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部又は一部が一つのテーブルであってもよい。
また、以下の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、演算部によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部及び/又はインターフェース部等を用いながら行うため、処理の主語が、演算部(或いは、その演算部を有するコントローラのようなデバイス)とされてもよい。プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体であってもよい。また、以下の説明において、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
また、以下の説明では、「kkk部」(インターフェース部、記憶部及び演算部を除く)の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、1以上のコンピュータプログラム(後述の制御プログラム及び情報プログラムを除く)が演算部によって実行されることで実現されてもよいし、1以上のハードウェア回路によって実現されてもよい。プログラムが演算部によって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶部及び/又はインターフェース部等を用いながら行われるため、機能は演算部の少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、演算部あるいはその演算部を有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が1つの機能にまとめられたり、1つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
また、以下の説明では、工程管理装置における計算機が「表示用情報を表示する」ことは、当該計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、当該計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。なお、工程管理装置は、クラウド環境のような計算機リソースプール(例えば、インターフェースデバイス部、記憶部及び演算部)に基づき提供される仮想的な装置、又は、ソフトウェアディファインドの装置でもよい。
また、以下の説明では、「製品」とは、一般に、製造された品物、すなわち、いわゆる完成品を意味するが、以下の説明において、「製品」とは、製造ラインに投入される品物全般を意味する。従って、以下の説明において、「製品」とは、製造ラインに投入される前の品物も、製造ライン途中にある品物(いわゆる「半製品」)も、製造ラインにおける全ての工程を経て出荷可能な状態となった完成品のいずれでもよい。
また、以下の説明では、「作業」とは、一つ以上の製品(例えば、一つの製品、又は、製品ロット)についての一つの工程の少なくとも一部(例えば、一つの工程が複数のサブ工程から構成されている場合は、少なくとも一つのサブ工程)を意味する。
また、以下の説明では、「ステップ」とは、作業において行われる処理単位である。作業の形式が人の場合、ステップは、人(例えば作業員)によって行われ、作業の形式が設備の場合、ステップは、プログラム(例えば制御プログラム)によって行われる。
また、以下の説明では、「生産ライン」は、複数の工程に関わる複数の工程ラインから構成されている。「工程ライン」は、工程毎に少なくとも一つ存在する。
また、以下の説明では、「設備」は、少なくとも一つの工程ラインに設けられ作業を行う機器等(例えば、成型機、切断機)である。設備は、生産設備と呼ばれてもよい。
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通符号を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、参照符号を使用することがある。例えば、工程ラインを特に区別しないで説明する場合には、「工程ライン6」と記載し、個々の工程ラインを区別して説明する場合には、「工程ライン6−A1」、「工程ライン6−A2」のように記載することがある。
以下、本発明の一実施形態に係る工程管理装置を説明する。
図1は、工程管理装置を含むシステム全体の構成を示す図である。
図示するように、工程管理装置10は、生産過程の少なくとも一部である複数の工程(例えば、工程A、工程B、…)のうちの少なくとも一つを管理する。例えば、工程管理装置10は、全ての工程について一つ存在してもよいし、工程毎に存在してもよい。本実施形態では、工程管理装置10は、全ての工程を管理する。
工程管理装置10が管理する複数の工程の各々には、一つ以上の工程ライン6が存在する。例えば、工程Aでは、二つの工程ライン6−A1及び6−A2があり、次の工程Bでは、その二つの工程ラインの合流先となる一つの工程ライン6−Bがある。また、複数の工程は、作業員15が行う作業に属する工程と、設備16が行う作業に属する工程とがある。例えば、工程Aについては、二人の作業員15−A1及び15−A2が存在する。工程Bについては、一つの設備16が存在する。
工程管理装置10は、インターフェースデバイス部50と、記憶部1と、それらに接続された演算部2とを備える。
インターフェースデバイス部50は、ネットワーク群(一つ以上のネットワーク)を通じて、各工程での作業の監視に関わる一種類以上のセンサを含む一つ以上のセンサ(図示せず)と通信したり、生産ラインに設けられた一つ以上の設備16と通信したり、生産予定を管理する装置である生産管理装置4と通信したりする。少なくとも一つのセンサ(例えば、カメラ)が二つ以上の工程に共通でもよい。
記憶部1は、プログラム群(複数のプログラム)とテーブル群(複数のテーブルであり管理情報の少なくとも一部の一例)とを記憶する。プログラム群は、例えば、後述の一つ以上の制御プログラムと一つ以上の情報プログラムとを含んでよい。テーブル群は、例えば、生産管理テーブル60(生産管理情報の一例)と、器具位置テーブル70と、作業員観測テーブル80と、作業員配置テーブル90と、残業可能者テーブル100と、設備制御テーブル110と、設備稼働テーブル120と、作業遅延テーブル130と、挽回対策テーブル140とを含む。
演算部2は、上述のプログラム群を実行することにより、例えば、遅延検出部20と、対策決定部30と、情報I/O部40と、設備制御部45とを実現する。情報I/O部40は、生産管理装置4から生産予定に関する情報である生産予定情報を取得したり、各作業について当該作業の開始及び終了を含む作業実績を監視したりする。遅延検出部20は、いずれかの作業である対象作業の開始が検出された場合、当該対象作業の終了が検出される前に、取得された生産予定情報が反映された情報であり作業に関する情報である生産管理テーブル60のうち対象作業に関する対象作業情報と、対象作業について検出された作業実績から特定される実作業量とを基に、対象作業の作業遅延の有無を判断する。対策決定部30は、対象作業について作業遅延が検出された場合、対象作業の作業遅延の影響を小さくするための対策である挽回対策を決定する。設備制御部45は、工程管理装置10の管理対象の工程に関わり作業のための設備16を制御する。
作業実績の検出において、情報I/O部40は、例えば、各工程での作業の監視に関わる一つ以上のインターフェースであるインターフェース群から情報を受け付けること、及び、当該受け付けた情報から特定される作業実績を示す一つ以上の実績データセットを記憶部1に格納することを含む。
「インターフェース群」は、一種類以上のセンサを含む一つ以上のセンサを含んでもよいし、API(Application Programming Interface)のようなインターフェースを含んでもよい。情報I/O部40は、インターフェース群から情報を定期的又は不定期的に受け付ける。例えば、下記のうちの少なくとも一つが行われてよい。情報I/O部40は、各作業について、インターフェース群経由で作業実績を監視し、特定された作業実績を示す情報を記憶部1に蓄積することができる。
・工程ライン6及びその周辺といった作業エリアを撮影するカメラ(センサの一例)からの画像データを基に、当該作業エリアに存在する作業員の数及び位置といった作業実績の一例を特定することができる。
・各作業員が所持する一つ以上のセンサからのデータを基に、各作業員の位置(例えば、完了品置き場のような所定場所との位置関係)及び動きといった作業実績の一例を特定することができる。
・各製品に取り付けられた一つ以上のセンサからのデータを基に、各製品の位置といった作業実績の一例を特定することができる。
・制御プログラムのインターフェース経由で受け付けたデータ(例えば、制御プログラムの記述から特定されるステップの数のうち実行の完了したステップの数)を基に、作業進捗率といった作業実績の一例を特定することができる。
・各作業員が所持する一つ以上のセンサ、及び、工程ライン6及びその周辺といった所定エリアを撮影するカメラ(センサの一例)のうちの少なくとも一つからのデータを基に、作業に関わるステップの数のうち実行の完了したステップの数を特定し、作業に関わるステップの数と実行の完了したステップの数とに基づく作業進捗率といった作業実績の一例を特定することができる。
「実績データセット」は、例えば、下記のうちのいずれかである。工程名及びライン番号は、例えば、データの送信元のセンサのIDやカメラの撮影画像の領域等に工程名及びライン番号が紐付けられた情報と、インターフェース群からの情報とから、特定されてよい。器具位置テーブル70、作業員観測テーブル80、設備制御テーブル110及び設備稼働テーブル120の各々は、定期的に特定された実績の履歴である。
・生産管理テーブル60における一つのレコードのうちの欄61g及び61lに記録された情報。
・器具位置テーブル70における一つのレコードのうちの欄71c〜71fに記録された情報。
・作業員観測テーブル80における一つのレコードのうちの欄81c〜81fに記録された情報。
・設備制御テーブル110における一つのレコードのうちの欄111c〜111gに記録された情報。
・設備稼働テーブル120における一つのレコードのうちの欄121c〜121fに記録された情報。
なお、「データセット」とは、アプリケーションプログラムのようなプログラムから見た一つの論理的な電子データの塊であり、例えば、レコード、ファイル、キーバリューペア及びタプルのうちのいずれでもよい。
工程管理装置10の機能を実装する場所として、例えば、制御装置(PLC: Programmable Logic Controller等)、産業用コンピュータ、生産管理装置4、クラウド環境等がある。
制御装置に工程管理装置10としての機能が実装された場合、言い換えれば、工程管理装置10が制御装置を兼ねている場合、制御装置は堅牢性を持つため、作業現場に設置でき、作業現場に取り付けられたセンサの情報や、制御装置の制御下にある設備(例えば、工作機器や搬送機器等)の情報を、工程管理装置10は即時的に取得できる。また、設備に向けたプログラム変更等の遅延対策を立案した時、工程管理装置10は即時的に設備に指示をすることができる。制御装置は、設備を制御しているため、制御プログラムの実行状況も工程管理装置10から監視できる。
産業用コンピュータに工程管理装置10としての機能が実装された場合、言い換えれば、工程管理装置10が産業用コンピュータを兼ねている場合、産業用コンピュータは堅牢性を持つため、作業現場に設置でき、作業現場に取り付けられたセンサの情報を、工程管理装置10は即時的に取得できる。
生産管理装置4に工程管理装置10としての機能が実装された場合、言い換えれば、工程管理装置10が生産管理装置4を兼ねている場合、生産管理装置4が持つ生産予定情報(生産予定に関する情報であり、例えば、作業予定のロットの台数や品種や作業完了時刻等を示す情報)を、工程管理装置10は即時的に取得することができる。
クラウド環境に工程管理装置10としての機能が実装された場合、工程管理装置10は、クラウド環境の高い処理能力を利用することが出来る。また、クラウド環境であるため、他の拠点の工場のデータも即時的に取得でき、他の拠点の工場と連携することが期待できる。
本実施形態によれば、各作業についての生産予定に関する情報を含んだ生産予定情報を生産管理装置4が保持しているため、当該生産予定情報を生産管理装置4から取得することができる。一方、各工程での作業の監視に関わる一つ以上のインターフェースであるインターフェース群が存在し、情報I/O部40が、当該インターフェース群から情報を受け付け当該情報から作業実績を特定することができる。遅延検出部20は、取得された生産予定情報のうちの対象作業に関する情報と、対象作業について特定された作業実績から特定される実作業量とから、対象作業の作業遅延の有無を、対象作業の終了が検出される前に判断する。対象作業の終了前に、対象作業の作業遅延が検出されて、当該作業遅延の対策が施されれば、当該作業遅延の影響を、生産全体の中で小さく抑えることが期待できる。結果として、生産スループットの向上が期待できる。すなわち、工程管理という技術が、ライン生産という他の技術の改善に貢献することが期待できる。
図2以降を参照して本実施形態を詳細に説明する前に、工程管理装置10の一具体例を説明する。
工程管理装置10は、制御装置でよく、制御装置は、シーケンス制御装置、モーション制御装置又はプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)とも呼ばれてよい。制御装置において、ラダー・ロジック(LD言語)、シーケンシャル・ファンクション・チャート(SFC言語)、ファンクション・ブロック(FBD言語)、ストラクチャード・テキスト(ST言語)、インストラクション・リスト(IL言語)のような制御装置特有のプログラミング言語、あるいはC言語のような情報通信分野で使われる汎用的なプログラミング言語を用いて記述され、シーケンス制御やモーション制御に代表される制御処理を実行するプログラムを「制御プログラム」と呼ぶことができる。制御プログラムは、I/Oモジュール等を介して実際にモータ等を含む周辺機器を操作し、生産システム等を適切に動作させる必要がある。そのため、制御プログラムは、処理を設定された時間内に確実に実行すること(リアルタイム性)が求められる。
制御プログラムは、制御内容が記述された命令によって制御対象装置(例えば、装置部品のようなハードウェアモジュール、1以上のハードウェアモジュールを備えた装置、又は、複数の装置を備えたシステム)を制御する。例えば、「I/Oモジュール等を介して実際にモータ等を含む周辺機器を操作し、生産システムを適切に動作させる」といった制御では、「生産システム」、又は、「生産システムを構成する少なくとも1つの装置」が、「制御対象装置」である。制御対象装置は、典型的には、制御装置におけるI/O制御装置(インターフェース部の一例)経由で接続された装置である。制御対象装置は、制御プログラムから直接的に(例えば、制御装置に接続されたI/Oモジュールや周辺機器を介さずに)制御されてもよいし、制御プログラムから間接的に(例えば、制御装置に接続されたI/Oモジュールや周辺機器を介して)制御されてもよい。
制御対象装置を制御する言語は、ラダー言語等の制御特有のプログラミング言語に限らず、C言語等の汎用プログラミング言語で記述される場合もあるため、制御対象装置(典型的にはハードウェア)を制御するプログラムを「制御プログラム」と呼ぶ。
ラダー言語等で記述された制御プログラムは、当該ラダー言語等の記述において指定された制御対象装置の状態を読み込み又は書き込み(取得又は更新)をする「スキャン動作」を行う。
このスキャン動作は所定間隔で行う必要があり、この所定間隔を「スキャンタイム」と呼ぶ。スキャンタイムは、制御プログラムの演算時間に関するものであり、制御に関する演算周期又は制御に関する演算を繰り返し所定間隔で行うことから「サイクルタイム」とも呼ばれることもある。
制御装置に接続される制御対象装置は、例えば、工場内の生産や搬送等に用いられる設備に接続されるため、スキャン動作が遅れると、工場内の設備の動作が不安定になったり、予期しない動作が生じたりする場合がある。このため、所定のスキャンタイム内にスキャン動作を行う必要がある。
スキャンタイムは制御装置が制御する制御対象装置の数や種類の増加に応じて長くなるが、スキャンタイム内で制御対象装置のスキャン動作をすることが重要である。
制御装置に、I/Oポートが内蔵又は接続される。I/Oポートは、I/Oモジュール又はI/Oユニット等が有する場合がある。以下、I/Oポートそれ自体、又は、I/Oポートを有する装置(I/Oモジュール又はI/Oユニット等)を、「I/Oポート」と総称する場合がある。
I/Oポートは、制御対象装置に接続され、制御対象装置の動作に関する制御に使用されるものである。I/Oポートは、デジタル又はアナログのI/Oポートである。例えば、アナログI/Oポートは、制御装置の制御対象装置の電圧、電流、温度等の情報の読み書きに使用される。
制御プログラムに基づいて制御装置のI/Oポートから送信される制御情報を有線又は無線で受信するインバータユニットやCNC(Computerized Numerical Control)はインバータやCNC自体がアクチュエータのモーション制御を行うため、リアルタイム性が求められる。
また、制御対象装置の制御とは、制御対象装置が接続されている状態のI/Oポートの動作を制御することをいう。つまり、制御プログラムとは、制御対象装置が接続されたI/Oポートの制御を行うプログラム、言い換えれば、制御対象装置が接続されたI/Oポートに当該制御対象装置の制御情報を出力する(具体的には、例えば、当該制御情報の出力を含むスキャン動作を行う)プログラムである。
このような制御装置において、制御対象装置の制御に加えて、情報処理(例えば、複雑な算術演算やSCADA、MES、クラウドシステムとの情報の送受信のような情報通信処理)を行うことを検討する。このような情報処理は、上述の制御特有の言語でプログラミングすることが困難な場合があり、C言語又はJava(登録商標)言語などの情報処理分野で使われるプログラミング言語を用いて記述することがある。このような情報処理を実行するプログラムを「情報プログラム」と呼ぶ。
制御プログラムと情報プログラムの違いの一例について説明する。
上記したように制御プログラムは、制御装置のI/Oポートの制御に関係したプログラムであり、情報プログラムは、情報処理(例えば、上述のように、算術演算や、クラウドとの通信)を行うプログラムである。
制御プログラムは、ラダーやST言語等で記述され、java(登録商標)やpython等に代表される汎用言語に比べてリアルタイム性が高い。情報プログラムは、java(登録商標)やpython等に代表される言語で記述され、ラダー等よりも情報処理に適している。一つ以上の制御プログラムが実行されることで、例えば、設備制御部45が実現される。
C言語等のリアルタイム性が高く、ハードウェアの制御にも適しており、また、情報処理にも適した言語は制御プログラムと情報プログラムのいずれにも利用可能な場合がある。
また、情報プログラムは、先に説明した制御プログラム以外のプログラムである。制御対象装置がI/Oポートを介して制御装置に接続されるが、情報プログラムは、制御対象装置に接続されるアナログやデジタルのI/Oポート(但し、情報プログラムとの共有が許容されているI/Oポートを除く)へアクセスしないプログラムである。別の言い方をすれば、制御プログラムは、制御対象装置に接続されるアナログやデジタルのI/Oポートに制御対象装置の制御情報を送信することを含むスキャン動作を行うプログラムであるが。一方、情報プログラムは、スキャン動作を含まない(スキャン動作とは異なる)情報処理を行うプログラム(つまり、スキャン動作を行うことがないプログラム)である。一つ以上の情報プログラムが実行されることで、例えば、遅延検出部20、対策決定部30及び情報I/O部40が実現される。
制御対象装置の制御に必要な情報(例えば、センサによる測定値)を取得するための通信を制御プログラムによる制御の一部とすること(すなわち、通信について制御プログラムに記述されていること)が考えられるが、通信のような情報処理は制御プログラムによる制御とは分離しておくことが望ましいと考えられる。そのように考えられる一つの理由は、制御装置の制御対象装置は、一般に、工作機械、自動組み立て装置又は自動搬送装置のような設備であるため、高い安定性、つまりリアルタイム性が求められるためである。
そこで、制御プログラムに加えて、通信のような情報処理について記述されたプログラムである情報プログラムを用意しておくことが考えられる。リアルタイム性を維持するために制御プログラムを優先するべく、情報プログラムをコントロール装置とは別の装置で実行することが考えられるが、資源節約の観点から、制御プログラムと情報プログラムの両方を制御装置のような同一プラットフォーム上で実行することが考えられる。制御プログラムと情報プログラムが共存する制御装置は、制御プログラムの他に情報プログラムを実行しても、制御プログラムを停止させることなく、又は、制御プログラムのスキャン動作を遅らせたり、制御プログラムの予期しない動作をさせたりすることなく、情報プログラムの追加、削除、更新(書き換え)又は入れ替えといったプログラム変更を行うことを実現することが期待できる。
図2は、工程管理処理の流れを示すフローチャートである。以下、図2のフローチャートを参照しながら、工程管理処理の流れについて、説明する。
<作業遅延検出>
情報I/O部40により作業の開始が検出されると(例えば、或る製品が工程ライン6における或る位置を通過したことが検出されると)、工程管理処理が開始する。以下、開始が検出された作業を、便宜上、「対象作業」と言う。
遅延検出部20が、対象作業の作業遅延の有無を判断する遅延判断処理(図3)を行う(S100)。
本説明では、予定の作業時間に対する、作業開始時刻から現在時刻までの経過時間の比率を、「予定進捗率」と呼ぶ。予定進捗率は、例えば下記式に従い算出される。
予定進捗率=(現在時刻−作業開始時刻)/(予定作業時間)…(式1)
なお、「作業開始時刻」は、対象作業の開始が検出された時刻でよい。「予定作業時間」は、生産管理装置4から取得された生産予定情報のうちの一部が示す情報でよい。例えば、生産予定情報は、作業毎に、作業番号(作業IDの一例)、工程名(工程IDの一例)、ライン番号(工程ラインのIDの一例)、ロット番号(当該作業に関わる製品のロットのIDの一例)、品名(当該作業に関わる製品の型番のようなIDの一例)、予定作業時間(当該作業の開始から完了までの予定時間)、ロットサイズ(当該作業に関わる製品のロットのサイズ)、作業形式(当該作業の形式が人か設備か(又は両方か))、及び、ステップ数(当該作業に必要とされるステップの数)を示すデータセット(例えばレコード)を含んでいてよい。ここで言う「ステップ」は、上述したように、作業員のような人が行う作業に関わるステップでもよいし、設備を制御する制御プログラムが実行するステップでもよい。後者の「ステップ」の数を示す情報は、生産予定情報に代えて又は加えて、制御プログラムのインターフェース経由で取得されてもよい。
本説明では、対象作業に対応したロットサイズに対する完了作業台数(実際に完了した製品の数)、あるいは、対象作業に対応したステップ数に対する完了ステップ数(実行の完了したステップの数)の比率を、「作業進捗率」と呼ぶ。作業進捗率は、例えば下記式のうちの少なくとも一つに従い算出される。上側の式は、ロットサイズが複数の場合(ロットサイズとしての値が“1”より大きい場合)に使用され、下側の式は、ロットサイズが単品の場合(ロットサイズとしての値が“1”の場合)に使用される。
作業進捗率=完了作業台数/ロットサイズ…(式2)
作業進捗率=完了ステップ数/ステップ数…(式3)
ロットサイズ及びステップ数のうち少なくともロットサイズは、作業予定情報のうち対象作業に関する情報に含まれている。完了作業台数及び完了ステップ数の各々が、実作業量の一例である。なお、ロットサイズとしての値が“1”より大きい場合、上側の式と下側の式の両方が使用されてもよい。すなわち、ロットについて、上側の式が使用されて、ロットに属する各製品について、下側の式が使用されてもよい。この場合、作業進捗率は、上側の式と下側の式を用いてそれぞれ算出された複数の値の少なくとも一つに基づいてよい(例えば、平均値、最大値又は最小値)。
本説明における「作業遅延」は、予定進捗率より作業進捗率が低いことを意味する。予定作業時間の終了前でも、予定進捗率より作業進捗率が低い場合、作業遅延が発生していると判断される。本説明では、予定進捗率から作業進捗率を減算することにより得られた値を「作業遅延率」と呼ぶ。従って、作業遅延率は、例えば下記式に従い算出される。
作業遅延率=予定進捗率−作業進捗率…(式4)
以上のように、生産管理装置4から取得された生産予定情報と、インターフェース群経由で検出された作業実績から特定される実作業量とに基づいて、予定作業率及び作業進捗率が得られ、結果として、作業遅延率が得られる。作業遅延率が所定の閾値を超えているか否かの判断が、作業遅延の有無の判断である。
図3は、S100における遅延判断処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、情報I/O部40は、インターフェースデバイス部50を経由し、生産管理装置4から生産予定情報を参照し、対象作業に対応したデータセット(例えばレコード)である対象作業データセット(対象作業情報の一例)を取得し、取得した対象作業データセットを含むレコードを生産管理テーブル60に追加する(S101)。対象作業データセットは、例えば、作業番号、工程名、ライン番号、ロット番号、品名、予定作業時間及びステップ数を示す情報を含む。
図4は、生産管理テーブル60の概略図である。
生産管理テーブル60は、作業毎にレコードを有し、各レコードは、作業番号欄61bと、工程名欄61cと、ライン番号欄61dと、ロット番号欄61eと、品名欄61fと、開始時刻欄61gと、予定作業時間欄61hと、ロットサイズ欄61iと、作業形式欄61jと、ステップ数欄61kと、完了ステップ数欄61lとを有する。以下、一つの作業を例に取る(図4の説明において「注目作業」と言う)。
作業番号欄61bには、注目作業の番号(例えば、作業の通し番号)を示す情報が格納される。
工程名欄61cには、注目作業が実施される工程の工程名を示す情報が格納される。
ライン番号欄61dには、注目作業が実施される工程ラインのライン番号を示す情報が格納される。
ロット番号欄61eには、注目作業で扱われるロットのロット番号を示す特定する情報が格納される。
品名欄61fには、注目作業で扱われるロットの品名を示す情報が格納される。
開始時刻欄61gには、注目作業の開始時刻を示す情報が格納される。
予定作業時間欄61hには、注目作業にかかる予定作業時間を示す情報が格納される。
ロットサイズ欄61iには、注目作業で扱われるロットに含まれる製造物の数量であるロットサイズを示す情報が格納される。
作業形式欄61jには、注目作業の作業形式を示す情報が格納される。
ステップ数欄61kには、注目作業のステップ数を示す情報が格納される。
完了ステップ数欄61lには、注目作業に関わる全ステップのうち実行の完了したステップの数を示す情報が格納される。
再び図3を参照する。遅延検出部20は、注目作業に対応した欄61jが示す作業形式が“人”か“設備”かを判断する(S102)。
作業形式が“人”の場合(S102で“人”)、遅延検出部20は、作業形式“人”用の作業遅延率の算出を行う(S103)。
図5は、作業形式“人”用の作業遅延率の算出処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、遅延検出部20が、器具位置テーブル70から、注目作業が行われるエリアの器具の位置(例えば、ワークを載せる治具の位置等)を示すレコード、つまり、注目作業に対応したレコードを取得する(S111)。冶具に代えて又は加えて、他種の器具が用いられてもよい。
図6は、器具位置テーブル70の概略図である。
器具位置テーブル70は、サブ実績毎にレコードを有し、各レコードは、記録番号欄71bと、工程名欄71cと、ライン番号欄71dと、器具位置欄71eと、検出時刻欄71fとを有する。以下、一つのサブ実績を例に取る(図6の説明において「注目サブ実績」と言う)。なお、「サブ実績」とは、情報I/O部40により特定された作業実績に含まれる複数の実績の各々を意味する。ここでのサブ実績は、器具位置(の検出)である。
記録番号欄71bには、注目サブ実績を識別することのできる記録番号(例えば通し番号)を示す情報が格納される。
工程名欄71cには、注目サブ実績に属する工程の工程名を示す情報が格納される。
ライン番号欄71dには、注目サブ実績に属する工程ラインのライン番号を示す情報が格納される。
器具位置欄71eには、注目サブ実績として検出された器具位置を示す情報が格納される。
検出時刻欄71fには、注目サブ実績(器具位置)の検出された時刻を示す情報が格納される。
図5を参照する。次に、遅延検出部20が、対象作業に対応した欄61iが示すロットサイズが複数(“1”より大きい)か単品か(“1”か)を判断する(S112)。
ロットサイズが複数の場合(S112で“複数”)、遅延検出部20が、S111で取得した全レコードから、作業完了台数を算出する(S113)。作業完了台数は、例えば、作業完了品置き場に器具が来た回数を基に算出される。次に、遅延検出部20が、S113で算出した作業完了台数と、対象作業に対応した欄61iが示すロットサイズとから、上記(式2)を用いて作業進捗率を算出する(S114)。
ロットサイズが単品の場合(S112で“単品”)、遅延検出部20が、S111で取得した全レコードから、完了ステップ数を算出する(S115)。完了ステップ数は、例えば、工程ライン内の器具の位置に基づき算出される。次に、遅延検出部20が、S115で算出された完了ステップ数と、対象作業に対応した欄61kが示すステップ数とから、(式3)を用いて作業進捗率を算出する(S116)。
S114又はS116の後、遅延検出部20が、対象作業に対応した欄61gが示す開始時刻からの経過時間と、対象作業に対応した欄61hが示す予定作業時間とから、(式1)を用いて予定進捗率を算出し、S114又はS116から算出された作業進捗率と、当該算出された予定進捗率とから、(式4)を用いて作業遅延率を算出する(S117)。
なお、器具位置テーブル70にレコードを追加することは情報I/O部40により行われ、器具位置テーブル70を構成するレコードには、作業が直接的には紐付いていない(作業番号が記録されていない)。このため、いずれのレコードが対象作業に対応しているかを、遅延検出部20が、推定する(この点は、設備制御テーブル110、作業員観測テーブル80及び設備稼働テーブル120のような、サブ実績が記録される他のテーブルについても同様である)。このようなレコード推定が、S111でのレコード取得である。具体的には、例えば、遅延検出部20は、対象作業の開始時刻から現在時刻までの時間に属する検出時刻を示す情報と、対象作業の工程名及びライン番号に一致する工程名及びライン番号を示す情報とを含んだレコードを、対象作業に該当するレコードとして特定する。
図3を参照する。作業形式が“設備”の場合(ステップ102で“設備”)、作業形式“設備”用の作業遅延率の算出を行う(S104)。
図7は、作業形式“設備”用の作業遅延率の算出処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、遅延検出部20が、器具位置テーブル70から対象作業に対応したレコードを取得することと、設備制御テーブル110から対象作業に対応したレコードを取得することとのうちの少なくとも一方を行う(S121)。
図8は、設備制御テーブル110の概要図である。
設備制御テーブル110は、サブ実績毎にレコードを有し、各レコードが、記録番号欄111bと、工程名欄111cと、ライン番号欄111dと、取得時刻欄111eと、プログラム名欄111fと、完了ステップ数欄111gと、ステップ数欄111hとを有する。以下、一つのサブ実績を例に取る(図8の説明において「注目サブ実績」と言う)。なお、ここでのサブ実績は、制御プログラムの完了したステップ(の検出)である。
記録番号欄111bには、注目サブ実績を識別することのできる記録番号を示す情報が格納される。
工程名欄111cには、注目サブ実績に属する工程の工程名を示す情報が格納される。
ライン番号欄111dには、注目サブ実績に属する工程ラインのライン番号を示す情報が格納される。
取得時刻欄111eには、注目サブ実績が取得された時刻を示す情報が格納される。
プログラム名欄111fには、注目サブ実績に対応した制御プログラム(完了したステップに係る制御プログラム)のプログラム名を示す情報が格納される。
完了ステップ数欄111gには、注目サブ実績に対応した制御プログラムの完了したステップの数を示す情報が格納される。
ステップ数欄111hには、注目サブ実績に対応した制御プログラムのステップ数(総ステップ数)を示す情報が格納される。
図7を参照する。遅延検出部20が、対象作業に対応した欄61iが示すロットサイズが複数か単品かを判断する(S122)。
ロットサイズが複数の場合(S122で“複数”)、遅延検出部20が、S121で取得したレコードから、作業完了台数を算出する(S123)。作業完了台数は、例えば、作業完了品置き場に器具が来た回数や制御プログラムのループ回数により算出される。次に、遅延検出部20が、S123で算出した作業完了台数と、対象作業に対応した欄61iが示すロットサイズとから、(式2)を用いて作業進捗率を算出する(S124)。
ロットサイズが単品の場合(S122で“単品”)、遅延検出部20が、S121で取得したレコードから、完了ステップ数を算出する(S125)。完了ステップ数は、例えば、工程ライン内の器具の位置や、制御プログラムの実行状況により、算出される。次に、遅延検出部20が、S125で算出した完了ステップ数と、対象作業に対応した欄61kが示すステップ数とから、(式3)を用いて作業進捗率を算出する(S126)。
S124又はS126の後に、遅延検出部20が、対象作業に対応した欄61gが示す開始時刻からの経過時間と対象作業に対応した欄61hが示す予定作業時間とから(式1)を用いて予定進捗率を算出し、S124又はS126から算出された作業進捗率と、当該算出された予定進捗率とから、(式1)を用いて作業遅延率を算出する(S127)。
図3を参照する。遅延検出部20が、S103又はS104で算出された作業進捗率から、対象作業の作業中か(作業進捗率が100%未満か)否かを判断する(ステップ105)。「対象作業の作業中」とは、対象作業の開始が検出されてから終了が検出される前ということである。“100%”が、対象作業の作業遅延率の最大値の一例である。
対象作業が完了している場合(S105でNo)、遅延判断処理が終了する。
対象作業が完了していない場合(S105でYes)、遅延検出部20が、S103又はS104で算出された作業遅延率から、作業遅延(挽回対策すべき遅延)が発生しているか否かを判断する(S106)。例えば、作業遅延率が所定の閾値を超えた場合、挽回対策すべき遅延が発生していると判断される。作業遅延率に代えて又は加えて、予定に対する実際の作業の作業遅延時間を閾値に用いてもよい。各作業について、作業遅延時間は、例えば、作業の予定開始時刻及び予定終了時刻(予定開始時刻に予定作業時間を加えた結果としての時刻)との組と、作業の実際の開始時刻と現在時刻との組に基づき算出されてもよいし、作業遅延率に基づき算出されてもよい。作業遅延率及び作業遅延時間の少なくとも一つが、遅延度合の一例である。閾値は、例えば、挽回対策(残業計画等)で対応可能な範囲の作業遅延率及び作業遅延時間のうちの少なくとも一つについて設定される。
遅延が発生している場合(S106でYes)、遅延検出部20が、遅延フラグ“True”を含んだレコード(作業遅延時間、作業遅延率、予想完了時刻等が記録されたレコード)を、作業遅延テーブル130に追加する(S107)。
図9は、作業遅延テーブル130の概略図である。
作業遅延テーブル130は、作業毎にレコードを有し、各レコードが、作業番号欄131bと、工程名欄131cと、ライン番号欄131dと、作業遅延率130eと、作業遅延時間欄131fと、遅延フラグ欄131gと、予想完了時刻欄131hと、検出時刻欄131iとを有する。以下、一つの作業を例に取る(図9の説明において「注目作業」と言う)。
作業番号欄131bには、注目作業を識別することのできる作業番号を示す情報が格納される。
工程名欄131cには、注目作業が属する工程の工程名を示す情報が格納される。
ライン番号欄131dには、注目作業が属する工程ラインのライン番号を示す情報が格納される。
作業遅延率欄131eには、注目作業の作業遅延率を示す情報が格納される。
作業遅延時間欄131fには、注目作業の作業遅延時間を示す情報が格納される。
遅延フラグ欄131gには、注目作業が遅延しているか否かを意味する遅延フラグが格納される。
予想完了時刻欄131hには、注目作業の予想完了時刻を特定する情報が格納される。注目作業の予想完了時刻は、例えば、注目作業の開始時刻、注目作業の予定作業時間、及び、注目作業の作業遅延率(又は作業遅延時間)に基づいて算出された値でよい。
検出時刻欄131iには、注目作業の遅延を検出した時刻を示す情報が格納される。
図3を参照する。作業遅延が発生していない場合(S106でNo)、遅延検出部20が、遅延フラグ“False”を含んだレコード(作業遅延時間、作業遅延率、予想完了時刻等が記録されたレコード)を、作業遅延テーブル130に追加する(S108)。次に、処理がS102に進む。
遅延検出部20が、S102からS106を一定のタイミングで繰り返して実行することにより、作業に遅延が発生しているか否かを監視することができる。S102からS106を実行するタイミングは、例えば、任意の時間が経過する度や一つの製品の作業が完了する度等でよい。
以上が、遅延判断処理についての説明である。
図2を参照する。対策決定部30が、作業遅延テーブル130のうち対象作業に対応したレコードを参照し、遅延フラグが立っているか否か(TrueかFalseか)を判断する(S200)。遅延フラグが立っていない場合(S200でNo)、工程管理処理が終了する。
<挽回対策立案>
遅延フラグが立っている場合(S200でYes)、対策決定部30が、対策立案処理を行う(S300)。
図10は、対策決定処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、対策決定部30が、生産管理テーブル60のうち対象作業に対応したレコードと、作業遅延テーブル130のうち対象作業に対応したレコードとを取得する(S301)。前者のレコードを、図10、図11及び図15の説明において、「生産レコード」と言い、後者のレコードを、図10、図11及び図15の説明において、「遅延レコード」と言う。
次に、対策決定部30は、生産レコードにおける欄61jが示す作業形式が“人”か“設備”かを判断する(S302)。
作業形式が“人”の場合(S302で“人”)、対策決定部30が、作業形式“人”用の挽回対策算出を行う(S303)。
図11は、作業形式“人”用の挽回対策算出処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、対策決定部30が、作業員観測テーブル80から対象作業に対応すると推定されるレコードを取得する(S311)。
図12は、作業員観測テーブル80の概要図である。
作業員観測テーブル80は、サブ実績毎にレコードを有し、各レコードは、記録番号欄81bと、工程名欄81cと、ライン番号欄81dと、取得時刻欄81eと、観測人数欄81fとを有する。以下、一つのサブ実績を例に取る(図12の説明において「注目サブ実績」と言う)。ここでのサブ実績は、作業員観測である。
記録番号欄81bには、注目サブ実績を識別することのできる記録番号を示す情報が格納される。
工程名欄81cには、注目サブ実績が属する工程の工程名を示す情報が格納される。
ライン番号欄81dには、注目サブ実績が属する工程ラインのライン番号を示す情報が格納される。
取得時刻欄81eには、注目サブ実績が取得された時刻を示す情報が格納される。
観測人数欄81fには、注目サブ実績として観測された人(作業者)の数を示す情報が格納される。
図11を参照する。対策決定部30が、S311で特定したレコードから実働率を算出する(S312)。実働率は、実作業量の一例であり、例えば、総観測時間に対する、作業員が作業エリアにいた時間の比率である。実働率は、例えば、下記式により算出される。
実働率=(作業員が作業エリアにいた時間)/総観測時間…(式5)
「作業員が作業エリアにいた時間」は、作業員の数と時間との積の総和でよい。従って、実働率は、100%(もしくは1)を超えることがある。
次に、対策決定部30が、下記の条件(x1)及び(x2)、
(x1)対象作業が属する工程に関して、対象作業を行う工程ラインとは別の工程ラインが存在する、
(x2)当該別の工程ラインでの作業に関して算出された作業遅延率又は作業遅延時間が第1の未満である、
の全てを満たすか否か、つまり、別の工程ラインにより前倒しで作業が行われているか否かを判断する(S313)。(x1)を満たすか否かは、図示しない生産ライン管理情報(例えば、工程と工程ラインとの関係を示す情報)を基に判断されてもよいし、上記取得された生産予定情報から特定されてもよいし、作業員観測テーブル80から特定されてもよい。(x2)を満たすか否かは、作業遅延テーブル130から特定可能である。第1の閾値は、例えば、0より小さい値でよい。第1の閾値に対して、作業遅延が発生しているか否かの判断に用いられる上記所定の閾値が、第2の閾値でよい。第1の閾値は、第2の閾値よりも小さい。
別の工程ラインが前倒しで作業をしている場合(S313でYes)、対策決定部30が、作業遅延テーブル130と、作業員配置テーブル90から特定した作業員配置とから、作業員配置転換計画を算出する(S314)。
図13は、作業員配置テーブル90の概要図である。
作業員配置テーブル90は、作業員毎にレコードを有し、各レコードが、作業員名欄91bと、一つ以上の時刻欄91cとを有する。以下、一つの作業員を例に取る(図13の説明において「注目作業員」と言う)。
作業員名欄91bには、注目作業員を識別することのできる作業員名を示す情報が格納される。
各時刻欄91cについて、当該時刻欄91cには、注目作業員が作業に従事する該当日を示す情報が格納される。
作業員名の行と時刻の列が交差する欄の値のシフト形式(配置)で、作業員が当該時刻に作業する。なお、図13において、“Aシフト”や“Bシフト”は、いずれの時間帯にいずれの工程ラインに注目作業員が配置されるかを示す値の一例でよい。
作業員配置転換計画は、例えば、第1の閾値未満である作業遅延率又は作業遅延時間に対応した(前倒しで作業がされている)工程ラインに配置の作業員を、第2の閾値を超えている作業遅延率又は作業遅延時間に対応した(対象作業に対応した)工程ラインに移動させる計画である。
別の工程ラインが前倒しで作業をしていない場合(S313でNo)、対策決定部30が、S311で取得されたレコードと、作業員配置テーブル90から特定した作業員配置と、残業可能者テーブル100とから、残業計画を算出する(S315)。
図14は、残業可能者テーブル100の概要図である。
残業可能者テーブル100は、作業員毎にレコードを有し、各レコードが、作業員名欄101bと、一つ以上の時刻欄101cとを有する。以下、一つの作業員を例に取る(図14の説明において「注目作業員」と言う)。
作業員名欄101bには、注目作業員を識別することのできる作業員名を示す情報が格納される。
各時刻欄101cについて、当該時刻欄101cには、注目作業員が作業に従事する日を示す情報が格納される。
作業員名の行と、時刻の列が交差する欄の時間だけ、当該作業員が当該時刻に残業できる。
残業計画は、例えば、残業可能な作業員に、挽回するために必要な残業時間を割り当てることを示す計画である。
図10を参照する。作業形式が“設備”の場合(S302で“設備”)、対策決定部30が、作業形式“設備”用の挽回対策算出を行う(S304)。
図15は、作業形式“設備”用の挽回対策算出処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、対策決定部30が、設備稼働テーブル120のうち対象作業に対応すると推定されるレコードを取得する(S321)。
図16は、設備稼働テーブル120の概要図である。
設備稼働テーブル120は、サブ実績毎にレコードを有し、各レコードが、記録番号欄121bと、工程名欄121cと、ライン番号欄121dと、取得時刻欄121eと、稼動状態欄121fとを有する。以下、一つのサブ実績を例に取る(図16の説明において「注目サブ実績」と言う)。ここでのサブ実績は、設備稼働(の検出)である。
記録番号欄121bには、注目サブ実績を識別することのできる記録番号を示す情報が格納される。
工程名欄121cには、注目サブ実績が属する工程の工程名を示す情報が格納される。
ライン番号欄121dには、注目サブ実績が属する工程ラインのライン番号を示す情報が格納される。
取得時刻欄121eには、注目サブ実績が取得された時刻を示す情報が格納される。
稼動情報欄121fには、注目サブ実績としての設備稼働状態を示す情報が格納される。
次に、対策決定部30が、S321で取得されたレコードから、対象作業に属する工程ラインにある設備が故障しているか否かを判断する(S322)。例えば、任意の時間以上連続して当該設備の稼働状態が“停止”の場合に、当該設備が故障していると判断される。
設備が故障している場合(ステップ322でYes)、対策決定部30が、下記の条件(y1)及び(y2)、
(y1)対象作業が属する工程に関して、対象作業を行う設備とは別の設備が存在する、
(y2)当該別の設備での作業に関して算出された作業遅延率又は作業遅延時間が第1の閾値未満である、
の全てを満たすか否か、つまり、別の設備により前倒しで作業が行われているかを判断する(S323)。(y1)を満たすか否かは、図示しない設備管理情報(例えば、工程と設備との関係を示す情報)を基に判断されてもよいし、上記取得された生産予定情報から特定されてもよいし、設備稼働テーブル120から特定されてもよい。(y2)を満たすか否かは、作業遅延テーブル130から特定可能である。
別の設備が前倒しで作業している場合(ステップ323でYes)、対策決定部30が、作業遅延テーブル130を基に、挽回対策として、ロット割当計画を算出する(S324)。ロット割当計画は、例えば、前倒しで作業しているラインの設備に、遅延しているラインのロットを割り当てる計画である。別の設備が前倒しで作業していない場合(ステップ323でNo)、作業形式“設備”用の挽回対策算出処理が終了する。
設備が故障していない場合(ステップ322でNo)、対策決定部30が、対象作業に対応した欄61iが示すロットサイズが複数か単品かを判断する(S325)。
ロットサイズが複数の場合(S325で“複数”)、対策決定部30が、上記(y1)及び(y2)を満たすか否かを判断する(S326)。
別の設備が前倒しで作業している場合(ステップ326でYes)、対策決定部30が、生産管理テーブル60と作業遅延テーブル130から、挽回対策として、ロット分割計画を算出する(S327)。ロット分割計画は、例えば、前倒しで作業しているラインの設備に、作業遅延が生じているラインのロットを分割し、割り当てる計画である。ロット分割の仕方としては、例えば、前倒しで作業しているラインが負担しても遅延しない台数に、ロットを分割することを採用することができる。
ロットサイズが単品の場合(S325で単品)、又は、別の設備が前倒しで作業していない場合(S326でNo)、対策決定部30が、作業遅延テーブル130と、作業員配置テーブル90と、残業可能者テーブル100とから、残業計画を算出する(S328)。
図10を参照する。対策決定部30が、S303又はS304から算出された挽回対策を示すレコードを、挽回対策テーブル140に追加する(S305)。
図17は、挽回対策テーブル140の概要図である。
挽回対策テーブル140は、挽回対策毎にレコードを有し、各レコードが、指示対象工程欄141bと、指示欄141cと、理由欄141dと、対象名欄141eと、移動先工程欄141fと、移動先欄141gと、開始時刻欄141hと、台数欄141iとを有する。以下、一つの挽回対策を例に取る(図17の説明において「注目挽回対策」と言う)。
指示対象工程欄141bには、注目挽回対策の指示を受ける工程を識別することのできる工程名を示す情報が格納される。
指示欄141cには、注目挽回対策の概要(例えば名称)を示す情報が格納される。
理由欄141dには、注目挽回対策を実施する理由(例えば、S302、S313、S322、S323、S325及びS326での判断の結果)を示す情報が格納される。
対象欄141eには、注目挽回対策を実施する作業者あるいは設備(例えば、S314、S315、S324、S327及びS328により決定された作業者あるいは設備)を示す情報が格納される。
移動先工程欄141fには、注目挽回対策に従う移動先(例えば、作業員の移動先)の工程の工程名を示す情報が格納される。
移動先欄141gには、注目挽回対策に対応したい移動先工程内で注目挽回対策が実施されるラインや設備を示す情報が格納される。
開始時刻欄141hには、注目挽回対策の実施が開始される時刻を示す情報が格納される。
台数欄141iには、注目挽回対策がロット割当あるいはロット分割の場合、割当てるあるいは分割する台数(製品数)を示す情報が格納される。
以上が、対策立案処理の説明である。なお、作業遅延テーブル130の各レコードについて、当該レコードには、当該レコードに関して決定された挽回対策に対応したレコード(挽回対策テーブル140におけるレコード)へのポインタが関連付けられてもよい。あるいは、挽回対策テーブル140の各レコードについて、当該レコードには、当該レコードに対応する遅延を示すレコード(作業遅延テーブル130におけるレコード)へのポインタ(例えば作業番号)が関連付けられてもよい。つまり、作業遅延テーブル130と挽回対策テーブル140のうちの一方のテーブルのレコードを参照した場合、他方のテーブルのレコードが識別されるようになっていてよい。
<挽回対策指示>
図2を参照する。情報I/O部40は、対策指示処理を行う(S400)。
図18は、対策指示処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、情報I/O部40が、作業遅延テーブル130から対象遅延レコード(例えば、管理者により指定された情報に紐づいているレコード)を取得し、挽回対策テーブル140から、対象遅延レコードに紐付いているレコードである対象対策レコードを取得する(S401)。次に、情報I/O部40が、対象遅延レコードが示す情報を、インターフェースデバイス部50を経由し、モニタ端末(例えば、工程管理装置10の表示デバイス、又は、工程管理装置10に接続された遠隔の表示用計算機)に出力する(S402)。
図19Aは、対象遅延レコードに対応した作業についてのロットが複数の場合の出力画面(200A)の概略図であり、図19Bは、対象遅延レコードに対応した作業についてのロットが単品の場合の出力画面(200B)の概略図である。図19A及び図19Bのいずれについても、視認性の向上のため、出力画面200に表示される情報を省略又は簡略している。
出力画面200は、表示領域201〜206を有する。
表示領域201には、対象遅延レコードに対応した工程の概要に関する情報が表示される。
表示領域202には、表示領域201で特定される工程の進捗に関する情報が表示される。
表示領域203には、表示領域201で特定される工程に関わる作業員に関する情報が表示される。
表示領域204には、表示領域201で特定される工程のロットの作業台数状況がグラフ表示される。
表示領域205には、表示領域201で特定される工程の設備に関する情報が表示される。
表示領域206には、表示領域201で特定される工程のロットの着完時刻状況がグラフ表示される。
図19Aによれば、例えば、作業員又は管理者のようなユーザは、表示領域202Aにおける情報項目「作業遅延率」や「作業遅延時間」に着目したり、表示領域203Aにおける「作業能力過不足」に着目したり、表示領域206Aにおけるグラフ(例えば、遅延を示す部分)に着目したりすることができる。図19Bによれば、ユーザは、表示領域205Bにおける情報項目「作業能力過不足」に着目することもできる。
図18を参照する。情報I/O部40は、取得した挽回対策の形式(例えば、対象対策レコードに対応した対象遅延レコードが示す作業の形式)が“人”か“設備”かを判断する(S403)。
挽回対策の形式が“人”の場合(S403で“人”)、情報I/O部40が、対象対策レコードが示す情報(挽回対策を示す情報)に従う挽回対策指示(挽回対策の実行の指示)を、インターフェースデバイス部50を経由し、指示対象作業員(例えば、対象対策レコードにおける対象名140eが示す作業者)の情報処理端末(計算機)に出力する(S404)。
図20は、S404での出力画面の概略図である。
挽回対策の出力画面300は、表示領域301及び302のうち少なくとも表示領域301を有する。
表示領域301には、指示対象作業員に対する挽回対策指示を示す情報が表示される。
表示領域302には、指示対象設備(例えば、対象対策レコードにおける対象名140eが示す設備)への挽回対策指示を示す情報が表示される。
出力画面300は、指示対象作業員の情報処理端末での画面に代えて又は加えて、管理者等の他ユーザの情報処理端末での画面でもよい。表示領域302によれば、設備に送信された制御指示に基づく挽回対策指示の内容がわかる。
図18を参照する。挽回対策の形式が“設備”の場合(S403で“設備”)、情報I/O部40が、指示対象設備に対する挽回対策指示に基づき、当該指示が示す挽回対策に従う制御を行うことの指示であり設備制御部45に対する指示である制御指示を出力し、設備制御部45は、当該制御指示に応答して、指示対象設備を、インターフェースデバイス部50を経由し、当該制御指示に従い制御する(S405)。なお、情報I/O部40と設備制御部45とのやり取りは、例えば、記憶部1における共有領域を介して行われてよい。
以上が、対策指示処理である。以上の対策指示処理によれば、例えば下記のことが言える。
情報I/O部40は、対象作業について作業遅延が検出された場合、対象作業の終了が検出される前に(例えば直ちに)、当該作業遅延の通知(例えば、出力画面200経由の表示)を行う。これにより、ユーザは、対象作業が完了する前に作業遅延を知ることができる。
また、対象作業の作業形式が“人”である場合、情報I/O部40は、決定された挽回対策の指示を、決定された挽回対策に関わる人員の情報処理端末に出力する。一方、対象作業の作業形式が“設備”である場合、情報I/O部40は、決定された挽回対策に従う制御を行うことの指示であり設備制御部45に対する指示である制御指示を出力し、設備制御部45は、当該制御指示に応答して、対象作業に属する工程に関わり対象作業のための設備(例えば指示対象設備)を制御する。
以上、一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。例えば、上記実施形態では、工程管理装置10は、遅延に対し、一度だけ、挽回対策を立案し指示するが、対策実施後に遅延が改善しなかった場合には、再度、挽回対策を立案し指示してもよい。
10…工程管理装置

Claims (14)

  1. 生産過程の少なくとも一部である複数の工程のうちの少なくとも一つを管理する工程管理装置であって、
    生産予定を管理する装置である生産管理装置から生産予定に関する情報である生産予定情報を取得したり、各作業について当該作業の開始及び終了を含む作業実績を監視したりする情報I/O(Input/Output)部と、
    いずれかの作業である対象作業の開始が検出された場合、当該対象作業の終了が検出される前に、前記取得された生産予定情報が反映された情報であり作業に関する情報である生産管理情報のうち前記対象作業に関する対象作業情報と、前記対象作業について検出された作業実績から特定される実作業量とを基に、前記対象作業の作業遅延の有無を判断する遅延検出部と
    を備える工程管理装置。
  2. 前記対象作業について、
    前記遅延検出部は、前記対象作業の開始から現在までの時間である実作業時間と、前記対象作業の予定作業時間と、前記実作業量と、前記対象作業の予定作業量とに基づき、前記対象作業の遅延度合を算出し、
    前記対象作業の作業遅延とは、前記算出された遅延度合が所定の閾値を超えていることである、
    請求項1に記載の工程管理装置。
  3. 前記対象作業情報は、
    前記取得された生産予定情報に前記対象作業について含まれている情報であり前記対象作業の予定作業時間を示す情報と、
    前記取得された生産予定情報に前記対象作業について含まれている情報であり前記対象作業の予定作業量を示す情報と
    を含み、
    前記遅延検出部は、前記対象作業情報から、前記対象作業について、前記予定作業時間と前記予定作業量とを特定する、
    請求項2に記載の工程管理装置。
  4. 前記作業実績の検出は、
    前記対象作業が属する工程での作業の監視に関わる一つ以上のインターフェースであるインターフェース群から情報を受け付けること、及び、
    当該受け付けた情報から特定される作業実績を示す一つ以上の実績データセットを格納すること
    を含み、
    各実績データセットは、時刻を表す情報を含み、
    前記遅延検出部は、
    前記対象作業の開始から現在までの時間に属する時刻を表す情報を含んだ実績データセットを、前記対象作業に該当する実績データセットとして特定し、
    当該特定した実績データセットが示す作業実績から前記対象作業の実作業量を特定する、
    請求項2に記載の工程管理装置。
  5. 前記実作業量と前記対象作業の予定作業量とに基づく作業進捗率は、下記(a1)及び(a2)のうちの少なくとも一つに基づく、
    (a1)前記予定作業量の少なくとも一部であるロットサイズと、前記一つ以上の実績データセットが示す前記作業実績から特定される前記実作業量の少なくとも一部であり完了した製品の数である完了製品数、及び、
    (a2)前記対象作業のためのステップの数と、前記一つ以上の実績データセットが示す前記作業実績から特定される前記実作業量の少なくとも一部であり実行が完了したステップの数、
    請求項2に記載の工程管理装置。
  6. 前記対象作業の終了が検出される前とは、前記実作業量と前記対象作業の予定作業量とに基づく作業進捗率が当該作業進捗率の最大値未満であることである、
    請求項2に記載の工程管理装置。
  7. 前記対象作業について作業遅延が検出された場合、下記の(b1)及び(b2)の全てが満たされているか否かに応じて、前記対象作業の作業遅延の影響を小さくするための対策である挽回対策を決定する対策決定部、
    (b1)前記対象作業が属する工程に関して、
    前記対象作業が行われている工程ラインとは別の工程ラインが存在する、又は、
    前記対象作業を行っている設備とは別の設備が存在する、
    (b2)当該別の工程ライン又は当該別の設備での作業に関して算出された遅延度合が所定値未満である、
    を更に備え、
    前記生産過程での生産ラインが、前記複数の工程に関わる複数の工程ラインで構成されており、
    前記所定値は、0%以下の値であり、
    前記情報I/O部は、前記決定された挽回対策に基づく出力を行う、
    請求項2に記載の工程管理装置。
  8. 前記対象作業情報は、前記対象作業の作業形式が人であるか設備であるかを示す情報を含み、
    前記対策決定部は、(b1)及び(b2)の全てが満たされているか否かの他に、前記対象作業の作業形式に応じて、前記挽回対策を決定する、
    請求項7に記載の工程管理装置。
  9. 前記対象作業について作業遅延が検出された場合、前記対象作業の作業遅延の影響を小さくするための対策である挽回対策を決定する対策決定部と、
    管理対象の工程に関わり作業のための設備を制御する設備制御部と
    を更に備え、
    前記対象作業情報は、前記対象作業の作業形式が人であるか設備であるかを示す情報を含み、
    前記情報I/O部は、
    前記対象作業の作業形式が人である場合、前記決定された挽回対策の実行の指示を、前記決定された挽回対策に関わる人員の情報処理端末に出力し、
    前記対象作業の作業形式が設備である場合、前記決定された挽回対策に従う制御を行うことの指示であり前記設備制御部に対する指示である制御指示を出力し、
    前記設備制御部は、当該制御指示に応答して、前記対象作業に属する工程に関わり前記対象作業のための設備を制御する、
    請求項1に記載の工程管理装置。
  10. 前記対象作業について作業遅延が検出された場合、前記対象作業の作業遅延の影響を小さくするための対策である挽回対策を決定する対策決定部と、
    前記決定された挽回対策に従い、前記対象作業に属する工程に関わり前記対象作業のための設備を制御する設備制御部と
    を更に備える請求項1に記載の工程管理装置。
  11. 前記設備制御部は、一つ以上の制御プログラムが実行されることにより実現され、
    前記遅延検出部、前記対策決定部及び前記情報I/O部は、一つ以上の情報プログラムが実行されることにより実現され、
    前記一つ以上の制御プログラムの各々は、当該制御プログラムにとっての制御対象設備の制御のためにアクセスされるI/Oポートに当該I/Oポートに接続された当該制御対象設備の制御情報を出力するスキャン動作を行うプログラムであり、
    前記一つ以上の情報プログラムの各々は、スキャン動作を含まない情報処理を行うプログラムである、
    請求項10に記載の工程管理装置。
  12. 前記情報I/O部は、前記対象作業について作業遅延が検出された場合、当該作業遅延の通知を行う、
    請求項1に記載の工程管理装置。
  13. 生産過程の少なくとも一部である複数の工程のうちの少なくとも一つを管理する工程管理方法であって、
    生産予定を管理する装置である生産管理装置から生産予定に関する情報である生産予定情報を取得し、
    各作業について当該作業の開始及び終了を含む作業実績を監視し、
    いずれかの作業である対象作業の開始が検出された場合、当該対象作業の終了が検出される前に、前記取得された生産予定情報が反映された情報であり作業に関する情報である生産管理情報のうち前記対象作業に関する対象作業情報と、前記対象作業について検出された作業実績から特定される実作業量とを基に、前記対象作業の作業遅延の有無を判断する、
    工程管理方法。
  14. 生産過程の少なくとも一部である複数の工程のうちの少なくとも一つを管理する工程管理装置として計算機を機能させるために、当該計算機に、
    生産予定を管理する装置である生産管理装置から生産予定に関する情報である生産予定情報を取得し、
    各作業について当該作業の開始及び終了を含む作業実績を監視し、
    いずれかの作業である対象作業の開始が検出された場合、当該対象作業の終了が検出される前に、前記取得された生産予定情報が反映された情報であり作業に関する情報である生産管理情報のうち前記対象作業に関する対象作業情報と、前記対象作業について検出された作業実績から特定される実作業量とを基に、前記対象作業の作業遅延の有無を判断する、
    ことを実行させるコンピュータプログラム。
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