JP2020012574A - 焼結機、及び、焼結機の操業方法 - Google Patents

焼結機、及び、焼結機の操業方法 Download PDF

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Abstract

【課題】焼結排ガスに含まれるSOxやダストの影響を回避しつつ、バーナーや熱交換器を設置しなくても、焼結排ガス中のCOを触媒燃焼させることで、電気集塵機前の焼結排ガスの温度を酸露点以上とする焼結機を提供する。【解決手段】機長方向に沿って設けられた複数のウィンドボックスを備えるドワイトロイド型の焼結機であって、給鉱側から数えて1/4を超えて3/4よりも手前のウィンドボックス、給鉱側から数えて1/4を超えて3/4よりも手前のウィンドボックスと接続されたウィンドレグ、及び、集塵機とウィンドレグの間に位置する集合配管ののうちの少なくとも一部にCOを酸化させる触媒が充填されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、高炉原料としての焼結鉱を製造する焼結機、及びその操業方法に関する。
一貫製鉄所に付設した焼結工場では、一般的にはドワイトロイド型の焼結機が利用されている。ドワイトロイド型の焼結機では、原料を充填したパレットの上から原料層に空気が流れ込み、パレット内において炭材の燃焼が進行する。燃焼後の排ガスは、パレットの下へ流れだし、各パレットの下部にあるウィンドボックスとウィンドレグを通過し、集合配管に集められ、電気集塵機等の排ガス処理設備にて処理されたうえで煙突へと送られる。排ガス流路内の排ガス温度が低下し、露点温度を下回ると、SOxと水分の反応生成物である硫酸蒸気が結露し、配管や集塵機内面を腐食させることがある。排ガスが滞留し、特に温度が下がりやすい電気集塵機ではこの現象が顕著に起こるため、電気集塵機での排ガス温度を105℃以上で管理する必要がある。
電気集塵機前の焼結排ガスの温度を上昇させるための一般的な方策として、パレットの搬送速度を低下させることによって、焼結完了点を給鉱側へ移動させる手法が知られている。この方法を用いると、温度が高い状態の焼結鉱を、パレット内に滞留させることができ、排ガス顕熱を増加させることができる。電気集塵機前の焼結排ガス温度を上昇させるための他の方策として、排ガス流路内の排ガスをバーナー加熱する手法も知られており、多くの製鉄所で利用されている。
電気集塵機以降を対象とした例も含め、焼結排ガスの温度を上昇させるための、その他の手法として、焼結排ガスに含まれる一酸化炭素(CO)を触媒燃焼させる手法も知られている。焼結排ガス中に含まれるCOは、そのまま煙突から排出されることが一般的である。この未利用のCOを、COに触媒燃焼させることで、燃焼熱を回収する手法が報告されている。例えば特許文献1では、電気集塵機通過以降の部分にCO酸化触媒を設置し、CO酸化触媒によるCOの触媒燃焼によって排ガス温度を上昇させ、発電に用いる手法が開示されている。焼結排ガスの組成は、ウィンドボックス毎に異なることが知られているが、特許文献1では、CO濃度が高いウィンドボックスの排ガスのみを利用することや、CO濃度が低いウィンドボックスの排ガスを、排ガス循環に利用することが示されている。また、特許文献2には、パレット底部にあるグレートバーにCO酸化触媒を設置し、全てのウィンドボックスの排ガスに含まれるCOを酸化燃焼させ、電気集塵機前の部分の排ガス温度を上昇させる手法が開示されている。また、電気集塵機を通過して以降の部分で、脱硝プロセスとCO酸化触媒とを組み合わせることで脱硝プロセスのランニングコストを低減する手法も報告されている(特許文献3、4)。
特開昭60−39130号公報 特開昭61−202007号公報 特開昭55−124531号公報 特許第6103067号
電気集塵機前の焼結排ガス温度を上昇させ、酸露点以上に維持するための方策は多数知られており、そのいくつかは広く利用されている。しかしながら、そのいずれにも一定の課題が存在する。
まず、焼結完了点を給鉱側へ移動させる操業方法を用いた場合には、パレットの搬送速度を低下させる必要が生じるために、焼結鉱の生産量が低下してしまう。また、焼結後の鉱石が、パレット上に滞留する時間が長くなるために、焼結パレットから焼結クーラーに移動する時点では、焼結鉱の温度が下がってしまう。この結果、焼結クーラーでの排熱回収量が減少するという問題も生じる。電気集塵機前の焼結排ガス温度を上昇させるための他の方策として、排ガス流路内の排ガスをバーナー加熱する手法も利用されているが、燃料コストが嵩むという問題がある。そこで、焼結完了点を動かさず、また、バーナーによる排ガス加熱も行うことなく、焼結排ガスの温度を上昇させることが求められている。
焼結排ガスに含まれるCOを触媒燃焼させ、その燃焼熱によって焼結排ガスの温度を上昇させる手法についても、従来の技術には課題が存在する。以下でその詳細を説明する。特許文献1、3、4は、電気集塵機通過後の排ガス中に含まれるCOを触媒燃焼させ、その熱を回収・利用することで、発電やプロセスのランニングコスト低減を行うものである。こうした技術を、電気集塵機通過前の排ガスに含まれるCOを触媒燃焼させて、排ガス温度を酸露点以上に上昇させ、配管や電気集塵機の腐食を防止するという課題に対してそのまま適用することは困難である。これらの手法を電気集塵機前の焼結機排ガス温度上昇に用いることのできない理由の一つは、SOxである。SOxは触媒の活性を著しく低減せしめる成分として知られており、特許文献4にてその影響が子細に述べられている。また、特許文献1、3、4には、CO酸化触媒反応の反応温度を一定以上にすることで、CO酸化触媒反応を十分な速度で進めることができることが記載されている。電気集塵機通過後にCO酸化触媒を設置する場合には、他のプロセスと組み合わせることで反応温度を一定以上に高く設定することができる。たとえば特許文献1、3、4には、電気集塵機通過以降に熱交換器を用いて排ガス温度を上昇させる方法も開示されている。よって、電気集塵機以降の集合配管を流れる、高濃度のSOx(例えば40ppm以上)を含むガスであってもCOを酸化させることが可能となる。しかしながら、電気集塵機前には、既設設備と干渉するために、熱交換器などの設備の追加を行うことは難しい場合が多い。さらに、CO酸化触媒が、SOxが存在する条件で機能する温度まで昇温してしまうと、必然的に酸露点をはるかに上回ることとなり、前述のバーナーによる排ガス加熱よりも燃料コストが嵩んでしまう。よって、電気集塵機前において、高濃度のSOxを含むガス中で反応を進行させることは困難である。
特許文献2の手法では、パレット底部のグレートバーに設置した触媒は、全てのウィンドボックスへと流入する排ガスに曝されることとなる。焼結後半の排ガスは特にSOx濃度が高く500ppm以上にも達することが知られている。こうした排ガスに断続的に曝された場合、徐々に触媒活性が低下してしまうこととなる。また、焼結初期と終盤に対応するウィンドボックスでは、排ガス中に多量のダストが含まれるため、圧損上昇の原因となる。こうした影響により、特許文献2に記載の手法では、触媒活性が反応時間を増すごとに徐々に低下し、さらに、ダストの堆積により圧損が上昇することになる。また、排ガス温度100℃未満という低温でも動作する触媒の詳細について、特許文献2には述べられていない。また、全パレットの改造を行ったうえで触媒を充填する作業が必要となり、導入コストが甚大である。
低温でCO酸化反応を進行させることの難しさから、従来の手法では、排ガスが電気集塵機を通過して以降の部分に触媒を設置し、熱交換器や昇温設備も組み合わせることで、CO酸化触媒に接触する時点での排ガス温度を上昇させる手法が、特許文献1、3、4などに示されている。しかしながら既述の通り、設備の空間的な制約の観点で、電気集塵機前の排ガス温度を上昇させることを目的に、そうした装置構成を適用することはできない。焼結排ガス中に含まれるSOxやダストの影響を回避しつつ、バーナーや熱交換器を設置することなく、COを触媒燃焼させ、電気集塵機前の焼結排ガスの温度を酸露点以上とする方法が必要とされていた。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に上昇させることであり、その際に操業条件を変更しなくてもよく、バーナー加熱を行わなくてもよい方法を提供することである。特に、焼結排ガスに含まれるSOxやダストの影響を回避しつつ、バーナーや熱交換器を設置しなくても、焼結排ガス中のCOを触媒燃焼させることで、電気集塵機前の焼結排ガスの温度を酸露点以上とする、焼結機、及び、焼結機の操業方法を提供することにある。
本発明者らは、SOxやダストの影響を回避しつつ、排ガス中のCOの触媒燃焼によって、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に昇温する方法を開発するために、以下の3点に着目して検討を行った。第一点目は、ウィンドボックス毎のガス組成、ダスト量の詳細情報である。第二点目が、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に昇温するのに必要な発熱量である。第三点目が、多量の水蒸気を含む条件においてさえも低温で動作可能なCO酸化触媒である。以上の3点を精査した結果、一部のウィンドボックスを選択することで、SOxやダストの影響を排除でき、さらに、その排ガス中に含まれるCOを低温で触媒燃焼することで、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に昇温するのに十分な発熱量を得ることが可能であることを見出した。さらに、ある種の触媒を利用することで、100℃超の温度ではもちろんのこと、100℃以下という低温であっても、焼結排ガス中に含まれるCOをCOに酸化させることが可能であることを見出した。本発明者は、上記のような知見を基に、本発明を為すに至った。かかる知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)機長方向に沿って設けられた複数のウィンドボックスを備えるドワイトロイド型の焼結機であって、
給鉱側から数えて1/4を超えて3/4より手前の前記ウィンドボックス、給鉱側から数えて1/4を超えて3/4よりも手前の前記ウィンドボックスと接続されたウィンドレグ、及び、集塵機と前記ウィンドレグの間に位置する集合配管のうちの少なくとも一部に、COを酸化させる触媒が充填されている
ことを特徴とする、焼結機。
(2)前記COを酸化させる触媒が、給鉱側の1/4以内と排鉱側の1/4以内に位置する前記ウィンドボックスとウィンドレグには充填されていない
ことを特徴とする、(1)に記載の焼結機。
(3)排ガスに含まれるSOx濃度が5ppm以下となる前記ウィンドボックス内の少なくとも一部、及び/又は、前記SOx濃度が5ppm以下となるウィンドボックスに接続されたウィンドレグの少なくとも一部に、前記COを酸化させる触媒が充填されている
ことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の焼結機。
(4)前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるSOx濃度が3ppm以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の焼結機。
(5)前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるCO濃度が0.8%以上である
ことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の焼結機。
(6)定常の運転条件で排ガスに含まれるSOx濃度が5ppm以下のウィンドレグとのみ接続される集合配管を有する、ドワイトロイド型の焼結機であって、
前記集合配管内の少なくとも一部に、COを酸化させる触媒が充填されている
ことを特徴とする、焼結機。
(7)前記COを酸化させる触媒が、白金を含む触媒である
ことを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の焼結機。
(8)前記白金を含む触媒が、白金を担持した酸化チタンである
ことを特徴とする、(7)に記載の焼結機。
(9)前記酸化チタンが、ルチル型酸化チタンである
ことを特徴とする、(8)に記載の焼結機。
(10)機長方向に沿って設けられた複数のウィンドボックスを備えるドワイトロイド型焼結機の操業方法であって、
排ガスに含まれるSOx濃度が5ppm以下となる前記ウィンドボックス内の少なくとも一部、及び/又は、前記SOx濃度が5ppm以下となるウィンドボックスに接続されたウィンドレグの少なくとも一部に、COを酸化させる触媒を充填させ、
前記触媒のうえで進行するCO酸化反応の反応熱によって焼結排ガスの昇温を行う
ことを特徴とする、焼結機の操業方法。
(11)前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるSOx濃度が3ppm以下である
ことを特徴とする、(10)に記載の焼結機の操業方法。
(12)前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるCO濃度が0.8%以上であることを特徴とする、(10)又は(11)に記載の焼結機の操業方法。
(13)前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるCO濃度が1.0%以上であることを特徴とする、(10)〜(12)のいずれか一項に記載の焼結機の操業方法。
(14)排ガスに含まれるSOx濃度が5ppm以下のウィンドレグとのみ接続される集合配管を有する、ドワイトロイド型焼結機の操業方法であって、
前記集合配管内の一部にCOを酸化させる触媒を充填させ、
前記触媒のうえで進行するCO酸化反応の反応熱によって焼結排ガスの昇温を行う
ことを特徴とする、焼結機の操業方法。
(15)前記COを酸化させる触媒が、白金を含む触媒である
ことを特徴とする、(10)〜(14)のいずれか一項に記載の焼結機の操業方法。
(16)前記白金を含む触媒が、白金を担持した酸化チタンである
ことを特徴とする、(15)に記載の焼結機の操業方法。
(17)前記酸化チタンが、ルチル型酸化チタンである
ことを特徴とする、(16)に記載の焼結機の操業方法。
以上説明したように本発明によれば、操業条件を変更せずとも、また、バーナー加熱に伴う燃料コストをかけなくとも、さらに、新たにバーナーや熱交換器を設置しなくても、電気集塵機前における焼結排ガスの温度を酸露点以上の温度に保持することが可能となる。
集合配管が一つのみのドワイトロイド型焼結機の概略図である。 集合配管が二つ設置された、ドワイトロイド型焼結機の概略図である。 本発明の実機適用試験に用いた試験装置の概略図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明する。以下では、本発明に係る焼結排ガスの昇温方法に関して、CO酸化触媒を適用するウィンドボックスの選択方法、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に保持するために必要な発熱量、及び、それを踏まえたCO酸化触媒の設置場所選定法、触媒の充填方法、低温かつ高水蒸気分圧条件で動作するCO酸化触媒、のそれぞれについて説明を行う。なお、以降の説明では、焼結機の集塵機として電気集塵機が付設されていることを前提としているが、他の種類の集塵機を利用している場合においても、集塵機の種類を読み替えることによって、議論は同様に成立する。
<触媒による処理を適用するウィンドボックスの選択法について>
まず、CO酸化触媒を適用するウィンドボックスの選択方法について以下に述べる。まず、ウィンドボックス毎のガス組成について説明を行ったうえで、ウィンドボックスの選択方法について説明を行う。
図1および図2に示されるようなドワイトロイド型の焼結機は、シューター(給鉱)1、バーナー2、無端鎖状に連結された複数のパレット3、パレット3の下部に設けられた複数のウィンドボックス4、各ウィンドボックス4に接続された複数のウィンドレグ5、排ガス昇温用バーナー6、プレダスター7、電気集塵機8、メインブロワー9、煙突10、及び、複数のウィンドレグ5が合流する集合配管14、14−1、14−2等を備える。図2に示されるような集合配管が二つ設置されたドワイトロイド型焼結機は、さらに、湿式脱硫装置11、及び、デミスター12を備えている。複数のウィンドボックス4は、給鉱1と排鉱13の間で機長方向に沿って設けられている。このような焼結機では、シューター1から原料を投入し(給鉱)、バーナー2によって原料を着火して焼結を開始する。原料中の固体燃料(石炭、コークスなど)の燃焼に伴って発生する排ガスは、パレット3の下部に設置されたウィンドボックス4を通過し、ウィンドレグ5を経由して集合配管(14、14−1、14−2)に流れていく。基本的に各ウィンドボックス4には、その上部を通過するパレット3の排ガスのみが流入することとなるため、ウィンドボックス4毎に排ガスの組成が変化する。焼結機毎にウィンドボックスの数や操業条件が異なるため、ウィンドボックスの番号(複数のウィンドボックス4に対して給鉱1側から順に付された番号)と排ガス組成とを厳密に対応づけることは困難である。また、同一の焼結機であっても、時節に応じて操業条件が変化するために、排ガス組成のウィンドボックス依存性も変化する。すなわち、同じウィンドボックス中の排ガス組成も、操業条件に応じて変化する。そこで以下では、ガス組成とウィンドボックス番号の間の大まかな関係を示したうえで、それを踏まえて、CO酸化触媒を適用するウィンドボックスの選択方法を説明する。
焼結機に設置された複数のウィンドボックス4を、それを通過する排ガスの性状によって機長方向(ウィンドボックス4上を移動するペレット3の搬送方向)に大きく四分割し、給鉱1側から、排鉱13側に向かって、1/四、2/四、3/四、4/四のウィンドボックス群と呼ぶこととする。以下で1/四〜4/四の各ウィンドボックス群でのガス組成の一般的な傾向について述べる。前述の通り、焼結機の種類や操業条件によってガス組成は変化するため、以下で述べる傾向についても、絶対的なものではないことを強調しておきたい。例えば、焼結完了点を給鉱側に移動させた操業を行った場合には、1/四や2/四のウィンドボックス群の特徴を持つウィンドボックスの数は少なくなり、3/四や4/四のウィンドボックス群の特徴を持つウィンドボックスの数は増大することとなる。
まず、1/四のウィンドボックス群については、焼結初期の排ガスに対応する。この範囲に対応するパレット中の原料は投入されてからの時間が短く、落下しやすい微粉が原料層中に多量に残存している傾向があることから、焼結層から落下してきた原料が、ダストとして排ガスに混じる傾向がある。また、燃焼開始からの時間が短く、凝結材(石炭、コークスなど)の燃焼が激しくないために、CO濃度が低い傾向がある。よって、ダスト量とCO濃度の観点から、CO酸化触媒を適用するのに適していないといえる。
続いて、2/四のウィンドボックス群については、焼結が安定して進行し始めた部分に対応する。凝結材(石炭、コークスなど)の燃焼も激しい為、CO濃度が高くなり、ダスト量も少ない。さらに、凝結材(石炭、コークスなど)の燃焼に伴って発生したSOxは、燃焼部分の下層にある原料に吸着されて除去されるため、排ガス中のSOx濃度は非常に低くなる。よって、CO濃度、ダスト量、SOx濃度の観点で、CO酸化触媒を適用するのに適しているといえる。
3/四のウィンドボックス群については、焼結の後半に対応し、燃焼部が原料層の下部に差し掛かっている。この範囲では、凝結材(石炭、コークスなど)の燃焼が激しいためにCO濃度は高い傾向がある。一方で、燃焼部分の下層にある原料の量は少ないため、凝結材(石炭、コークスなど)の燃焼に伴って発生したSOは、原料で吸着され切らず、排ガス中に漏れ込んでくる。さらに、焼結層内に多量に蓄積されたSOのうち、蒸気圧の低いSOについては焼結層内に留まるものの、相対的に蒸気圧が高いSOの一部が排出され始める。この結果、SO濃度は500ppm以上になることも多い。よって、SO濃度が高すぎるためにCO酸化触媒を適用することは困難である。
最後に、4/四のウィンドボックス群については、焼結の終盤に対応し、燃焼部が原料層の再下端に差し掛かっている。燃焼が終了しかけているためにCO濃度は低下傾向にあり、一方でSOxの濃度はまだ高い値を示している。さらに、最下端の部分が乾燥され、燃焼を開始するに伴ってダストが生成するために、ダスト量が非常に多い。よって、CO濃度とSOx濃度、ダスト量の観点から、CO酸化触媒を適用するのには適していない。
以上のように、2/四のウィンドボックス群に対応する排ガスに対して、CO酸化触媒を適用することが好ましい。ただし、ガス組成のウィンドボックス依存性は、操業条件や焼結機によって変化するため、2/四のウィンドボックス群を中心に、前後のウィンドボックスに対応する排ガス組成も調査したうえで、実際にCO酸化触媒を適用するウィンドボックスを選択することが好ましい。具体的な各成分の範囲を以下に示す。CO濃度は高いほど好ましく、0.8%以上であると好ましい。なお、CO濃度が5.0%以上となることは、通常の操業条件では考え難い。また、SOx濃度は低いほど好ましく、5ppm以下であると好ましく、3ppm以下であるとより一層好ましく、1ppm以下であるとさらに好ましい。SOxが少量含まれる排ガスであってもCO酸化反応は進行するが、触媒上での反応速度が大きく低下するため、触媒量を増加させる必要が生じるなどの問題が生じる。また、ダスト量は少ないほど好ましく、2g/m以下であると好ましく、1g/m以下であるとより好ましく、0.5g/m以下であるとより一層好ましい。以上の条件を満たす全てのウィンドボックスの排ガスに対して、CO酸化触媒を適用しても構わない。また、必要な発熱量を計算したうえで、いくつかのウィンドボックスの排ガスのみにCO酸化触媒を適用しても構わない。その際の、ウィンドボックス選択方法については後述する。なお、上記のガス組成値を基準に用いる場合には、定常条件での安定操業を行っている条件での排ガス組成を基準とすればよく、試験的な操業や非定常な操業を行う場合のガス組成を考慮する必要はない。上記の排ガス成分の測定法は、JIS規格で定められたガス分析法のなかで、各設備に適用が簡便な手法を任意に選択可能である。例えば、CO濃度とSOx濃度のいずれの測定の場合であっても、赤外線ガス分析計を用いると簡便である。またダスト量についてもJIS規格に従い、円筒ろ紙もしくは円形ろ紙のいずれかを用い、0.3μmの試験粒子を99%以上捕集できるものを用いる。サンプリング箇所での風速を予め測定し、ろ紙を据え付けたサンプリングノズルで、等速吸引条件にてサンプリングして測定を行う。ガス組成、ダスト量のいずれの測定を行う場合にも、ウィンドボックスの下部からサンプリングノズルを用いてサンプリングを行うことになるが、その際は、サンプリングノズル先端の開口部を、パレットの側面から50cm以上パレットの内側に挿入するようにする。パレットの側面付近は、器壁効果によって他の部分よりもガス流速が速くなっている。よって、パレット側面付近のガス組成は、ウィンドボックスの平均的なガス組成から大きくずれていることが多いためである。
ここまで、焼結機のウィンドボックスを、それを通過するガス組成に応じて、1/四から4/四に四分割して説明をしてきた。しかしながら、単純にウィンドボックスの数を用いて、触媒を充填することができるウィンドボックスとウィンドレグについて分類を行うことも可能である。原料を投入するシューター1に近い方(給鉱側)から、全ウィンドボックスのうちの1/8程度までは、操業条件に多少の変更があった場合においても、CO濃度が低く、また、ダスト量が多くなる。また、焼結鉱石を排出する排鉱側から、全ウィンドボックスのうちの1/4程度までは、操業条件に多少の変更があった場合においても、SOx濃度が高くなる。以上より、給鉱側から数えて全ウィンドボックスのうちの1/8以内と、排鉱側から数えて全ウィンドボックスのうちの1/4以内のウィンドボックス、並びにそれらウィンドボックスにつながるウィンドレグについては、COを酸化させる触媒を充填するのに適していない。また、操業条件に多少の変更があった場合でも、給鉱側から数えて、全ウィンドボックスのうちの1/4を超えて3/4よりも手前の間に、COを酸化させる触媒を充填するのに適したウィンドボックスが、少なくとも複数含まれる。よって、給鉱側から数えて、全ウィンドボックスのうちの1/4を超えて3/4よりも手前、または、同範囲のウィンドボックスに接続されたウィンドレグ、または、同範囲のウィンドレグと電気集塵機の間の集合配管、の少なくとも一部にCOを酸化させる触媒を充填する必要がある。
ここで、少なくとも一部にCOを酸化させる触媒を充填する必要がある、上記給鉱側から数えて1/4を超えて3/4よりも手前に該当するウィンドボックス等の決め方を以下に説明する。
「給鉱側から数えて全ウィンドボックスのうちの1/4を超えて」に対応するウィンドボックスは、全ウィンドボックス数の1/4の数を、小数点第一位で切り上げた数字に対応するウィンドボックスとそれ以降のウィンドボックスのことである。たとえば、全ウィンドボックスの数が29であった場合には、29の1/4は7.25となり、小数点第一位を切り上げると8となるので、給鉱側から数えて8番目のウィンドボックスとそれ以降のウィンドボックス(8、9、10・・・)が、「給鉱側から数えて全ウィンドボックスのうちの1/4を超えて」に対応するウィンドボックスとなる。また、「給鉱側から数えて全ウィンドボックスのうちの3/4より手前の」に対応するウィンドボックスは、全ウィンドボックス数の3/4の数を、小数点第一位で切り捨てた数字に対応するウィンドボックスおよびそれより手前のウィンドボックスのことである。たとえば、全ウィンドボックスの数が29であった場合には、29の3/4は21.75となり、小数点第一位を切り捨てると21となるので、給鉱側から数えて21番目のウィンドボックスとそれより手前のウィンドボックス(21、20、19・・・)が、「給鉱側から数えて全ウィンドボックスのうちの3/4より手前の」に対応するウィンドボックスとなる。
言い換えると、機長方向に沿って給鉱側からn個(nは2以上の自然数)のウィンドボックスが設けられているとすると、「給鉱側から数えて1/4を超えて3/4よりも手前に該当するウィンドボックス」とは、M番目(Mはn/4を超える最小の自然数)からN番目(Nは3n/4未満の最大の自然数)までのウィンドボックスのことである。
また、前記COを酸化させる触媒が、給鉱側の1/8以内と排鉱側の1/4以内に位置する前記ウィンドボックスとウィンドレグには充填されていないことが好ましく、特に、給鉱側の1/4以内と排鉱側の1/4以内に位置する前記ウィンドボックスとウィンドレグには充填されていないことが好ましい。
ここで、給鉱側の1/8以内や1/4以内に位置する前記ウィンドボックス等とは、全ウィンドボックス数の1/8や1/4の数を、小数点第一位で切り捨てた数字に対応するウィンドボックスおよびそれより手前のウィンドボックスのこととする。
また、排鉱側の1/4以内に位置する前記ウィンドボックス等とは、排鉱側から数えて全ウィンドボックス数の1/4の数を、小数点第一位で切り捨てた数字に対応するウィンドボックスとする。たとえば、全ウィンドボックスが35であった場合には、35を4で割った数は8.75であり、小数点第一位を切り捨てると8となるので、排鉱側から数えて8番目以内のウィンドボックス(給鉱側から数えて27番目とそれ以降のウィンドボックス)が、排鉱側の1/4以内に位置するウィンドボックスに該当する。
上述の通り、排ガス中のSOx濃度やダスト量を鑑みて、触媒を設置するウィンドボックスを選定することが重要である。しかしながら、必要な選定を行った場合においても、操業上の突発的なトラブルなどによって、触媒が高濃度のSOxに曝されてしまうことも想定される。そうした場合には、触媒が暴露された環境によって、対処方法が変化する。まず、4/四のウィンドボックス群に対応する排ガスに曝された場合については、触媒を交換する以外に対処法はない。排ガス温度が200℃超と高く、さらに、多量のSOxが含まれる環境のため触媒の性状が大きく変化してしまう。白金などの貴金属を用いた触媒の場合には、貴金属の微粒子が触媒の表面で粗大化してしまう結果となり、触媒活性を回復することは困難である。一方、3/四や2/四のウィンドボックス群に対応する排ガスに、触媒が曝された場合については、排ガス温度が低いために貴金属の微粒子が粗大化することは考えにくい。従って、触媒活性が回復する可能性が残されている。焼結機から触媒を取り出し、還元処理や堆積した触媒被毒物質やダストを除去する処理を施すことによって触媒活性が回復する場合がある。
<電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に保つために必要な発熱量の推定法について>
続いて、電気集塵機前の排ガス組成を酸露点以上に保つのに必要な発熱量について以下に示す。まず、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に昇温するのに必要な発熱量の一般論について述べたうえで、必要な発熱量を推定する手順を示す。
ウィンドボックス4でのガス温度は、対象となるウィンドボックスの位置によって概ね決まっている。ウィンドボックスを前記の通りに四分割した場合、1/四〜3/四のウィンドボックス群を通過する排ガスは80℃程度である。また、4/四のウィンドボックス群に対応する排ガスは温度が高く、400℃程度にまで達する場所もある。1/四〜3/四のウィンドボックス群に対応する焼結層では、燃焼部が焼結層の下端まで到達しておらず、焼結層の下端部では温度が排ガス温度と同程度の80℃程度となっている。従って、特に露点が高いSOガス成分は、焼結層の下端部付近(下層)にトラップされることとなる。SOガス成分がトラップされると、ウィンドボックス中の排ガスにはSOしか含まれないため、酸露点は排ガス温度以上となる。一方、4/四のウィンドボックス群に対応する焼結層では、燃焼部が焼結層の下端まで到達しており、特に露点の高いSO成分も放出されるが、排ガス温度が高いために、ここでもまた排ガス温度は酸露点以上となる。このように、ウィンドボックスの位置では、排ガスの酸露点が高い場所では排ガス温度も高くなっているため、いずれの場所でも酸露点を下回ることはない。また、各ウィンドボックスを通過する排ガスの温度と風量で、集合配管に送られる排ガスの温度を計算すると130℃超となるため、単純に考えると電気集塵機前の排ガス温度が酸露点を下回ることはない。しかしながら、以下の二つの事情により、実際には電気集塵機前の排ガス温度が酸露点付近まで下がってしまう。一つ目の理由は、煙道壁面からの抜熱である。焼結機の煙道は断熱されていない場合が多く、天候や気温によって煙道壁面での抜熱量が増大してしまう。二つ目の理由は、操業条件である。4/四のウィンドボックス群の排ガス温度は、焼結完了点(BTP)の位置によって大きく変動する。BTPの位置が排鉱側によると、高温の排ガス量が少なくなり、排ガス温度が低下することとなる。以上より、焼結機の目標となる操業条件を決定し、その際に予想される抜熱量と温度低下量、電気集塵機位置での排ガス温度を試算したうえで、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に保持するのに必要な熱量を計算することとなる。
続いて、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に保持するために必要な熱量を計算するための具体的な方法について説明を行う。まず、簡単に見積もりを行う方法について示したうえで、詳細な検討を行う方法についても紹介を行う。
電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に保持するために必要な熱量を、簡単に見積もる方法を以下に示す。排ガス中に含まれる1.0体積%のCOを燃焼した場合、排ガスの温度は約95℃上昇する。よって、以下の式で、ΔTだけ昇温するために、CO酸化触媒を設置する必要のあるウィンドボックスの数を計算することができる。電気集塵機前の排ガス温度が上昇しすぎても問題はないので、(式1)で得られたウィンドボックス数よりも多めの数のウィンドボックスに対してCO酸化触媒を設置するとよい。
(式1) W = Wo×ΔT/(PCO×95[℃/体積%])
ただし、W:CO酸化触媒を設置するウィンドボックスの数、Wo:全ウィンドボックスの数、ΔT:昇温したい温度幅[℃]、PCO:排ガス中のCO濃度[体積%]
多くの場合、上述の(式1)を用いた推定で十分であるが、より詳細な計算が求められるケースも想定される。そこで、CO酸化触媒を設置すべきウィンドボックスについて、より詳細に選定を行う手法を以下に示す。まず、排ガス昇温用バーナー6を用いて排ガスを加熱している焼結機であれば、バーナー6の運転実績を用いて、必要な熱量を計算することが可能となる。具体的には、バーナーでの発熱量を記録し、それらと操業条件、天候や気温のデータを照合すれば、目標となる操業条件にて、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に保持するために必要な熱量を計算することが可能となる。
焼結完了点(BTP)の制御によって、電気集塵機前の排ガスの温度を制御している場合には、排ガス昇温用バーナー6を用いている場合と比べて、排ガスを露点以上とするために必要な熱量の推定が難しくなる。目標となる操業条件では、BTPが排鉱側に寄っていることが多く、電気集塵機前の排ガス温度が低下する傾向となる。排ガスの昇温が必要となる操業条件とは、即ち、電気集塵機前の酸露点を下回る操業条件であり、実際にそうした条件で操業したデータは存在しないためである。こうした場合には、様々な天候、気温、操業条件でのデータを記録し、それを踏まえて必要な発熱量を計算することになる。具体的には以下の通りである。まず、各ウィンドボックス4の排ガス温度と排ガス流量、負圧を記録し、ガス組成を記録する。それらをもとに、ガスの比熱を計算し、各ウィンドレグ5のガスが有する熱量を計算する。続いて、電気集塵機8の位置など、排ガス温度管理を行う基準位置での排ガス温度と排ガス組成、排ガス流量、負圧を記録し、その位置の排ガスが保有する熱量を計算する。ウィンドレグ部での排ガスの熱量と、温度管理位置での排ガスの熱量との差が、煙道壁面から排ガスが失った熱量である。ここでは、水蒸気の凝縮潜熱などの影響は考慮しなくて構わない。排ガス中に含まれる水蒸気量から計算される露点は60℃程度であり、排ガス中の水蒸気が凝縮することはほとんど考えられないためである。排ガスが失った熱量と、煙道での平均ガス温度、煙道での平均流速、天候、気温との関係を調査することで、煙道壁面での実効的な熱伝達係数を推定することが可能となり、それによって、目標の操業条件において電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上に保持するために必要となる熱量を計算することが可能となる。
<必要発熱量を踏まえて、触媒による処理を適用するウィンドボックスを選択する方法>
上述の手順にて、電気集塵機前の排ガス温度を酸露点以上とするのに必要な発熱量を計算すると、排ガス温度を5〜20℃上昇させるだけの熱量が必要となるという計算結果となることが多い。この値をもとに、実際にCO酸化触媒を適用するウィンドボックスを選択する手順を述べる。
各ウィンドボックスのガス組成と、それを踏まえて、CO酸化触媒の設置に適したウィンドボックス4を選択する基準は既に述べた。その基準に従って、CO酸化触媒の設置に適した順にウィンドボックス4を順位付けする。続いて、順位が高いものから順に、CO酸化触媒を設置してCOを触媒燃焼した際に得られる熱量を計算する。目標とする発熱量が得られない場合には、次に順位の高いウィンドボックスにCO酸化触媒を設置した場合に得られる熱量を計算し、総発熱量を計算する。この発熱量を、目標の発熱量と比較する。以降、同様の手順を、必要な発熱量が得られるまで繰返し、CO酸化触媒を設置するウィンドボックスを決定する。なお、排ガス中には1モル%程度のCOが含まれていることが多いが、これを全て触媒燃焼させると95℃程度昇温可能な発熱量が得られる。よって、必要な昇温幅が20℃であったとしても、全体の2割程度のウィンドボックス4にCO酸化触媒を設置すれば十分であるといえる。このように、ごく一部の排ガスにCO酸化触媒を適用することで、必要な発熱量を得ることができる。
<CO酸化触媒を充填する方法>
続いて、CO酸化触媒を充填する方法について説明を行う。まず、触媒充填方法の一般論について述べたうえで、ウィンドボックス4、ウィンドレグ5、集合配管に触媒を設置する場合のそれぞれについて具体的な説明を行う。
触媒を配管に設置する際には、一定のサイズに成型したうえで、配管内に充填することとなる。触媒そのものは粉体であり、成型の仕方によって形状や強度をコントロールすることが可能である。触媒の成型方法や、各形状の特徴については多くの文献で整理されている(例えば、触媒学会編(2008).触媒便覧 講談社)。圧力損失を低減することを目的とする場合には、外表面積が大きい形状とすることが一般的である。特に排ガス流速が大きい場合には、ハニカム状に成型した触媒を用いることが一般的である。事実、焼結排ガス向けの脱硝触媒は一般的にはハニカム状にして利用されている。一方でハニカム状に成型する方法は高コストである他、ハニカム構造は空隙が大きいために、触媒を充填する体積が大きくなりやすいという課題がある。そこで、それほど流速が高くない場合には球状やタブレット状、リング状などに成型したものを利用することができる。触媒の成型体を製造する方法はさまざまであるが、押出成形法が最も低コストに量産が可能である。ただ、押出成形法で作成された成型体は、粒子の機械的強度が弱くなる傾向がある。鉄粉のように高密度のダスト量が多い場合には、高コストではあるが打錠成型法を用いて成型を行うことを検討するとよい。転動造粒法は、触媒を多量に成型する場合には最も安価な手法となるが、造粒条件の最適化に若干の検討を要する。排ガスの流速と、ダスト量、必要な触媒量とを見積もったうえで、最適な製造法を選択することが好ましい。以上の内容を踏まえ、触媒の設置場所に応じた触媒の充填方法について説明を行う。
まず、ウィンドボックス4に触媒を充填する場合について述べる。ウィンドボックス内では、排ガスの流速は1m/秒程度と遅い。また、適切なウィンドボックス4を選択すれば、ダスト量もそれほど多くはない。以上より、押出成形法や打錠成型法で作成した成型体を充填することができる。リング状や多孔状、クローバー型の形状を利用すると、空隙体積を広く確保することができ、圧力損失を小さくしやすい。金網等に成型体を充填するなど、予め取り扱いが容易な状態に固定しておくことで、定期修繕やメンテナンスのタイミングでも短時間でウィンドボックスに触媒を設置することが可能となる。対象となる焼結機のレイアウトも参考に、適切な固定方法を検討するとよい。
続いて、ウィンドレグ5に触媒を充填する場合について述べる。ウィンドレグ5では、ガス流速が10m/秒程度と非常に大きいため、ハニカム状に成型したうえで利用することが好ましい。ウィンドレグ5は配管径がウィンドボックス4と比較して小さく、さらに、配管の長さが長いため、触媒の設置方法を工夫するとよい。たとえば、ワイヤに触媒を固定し、ウィンドレグ内部で吊り下げるという方法が挙げられる。また、ダスト量の観点で適切なウィンドボックスを選択していた場合であっても、排ガス中に含まれるダスト量は0.1g/Nm以上となることが多い。ハニカム状に成型された触媒は、強度があまり高くないことが多いため、排ガス中に含まれるダストによって摩耗が生じることも予想される。ハニカム成型体の強度を高めるための工夫を施すとよい。ハニカム成型体の強度を高めるための工夫として、具体的には、高強度が特徴であるメタルハニカムを用いることや、ハニカムの隔壁を厚くすることなどが挙げられる。
最後に、集合配管(14、14−1、14−2)に触媒を充填する場合について説明を行う。焼結機によっては、SOx含有量が少ない1/四と2/四のウィンドボックス群からの排ガスと、SOx含有量が多い3/四と4/四のウィンドボックス群からの排ガスとを、それぞれ別の集合配管に送っている(図2の14−1と14−2)。ここで、1/四〜4/四のウィンドボックス群におけるウィンドボックスの数は必ずしも均等ではなく、焼結機によって、各分類に対応するウィンドボックスの比率は変化する。例えば、特に4/四に対応するウィンドボックス群の排ガスを排ガス循環させている焼結機もあり、そうした焼結機では、SOx濃度の高い排ガスの集合配管を流れる排ガス量が、相対的に少なくなりうる。よって、ウィンドレグと接続される集合配管に二種類あり、それぞれが相対的にSOx含有量の少ない排ガスと、相対的にSOx含有量の多い排ガスとを流通させていれば、上記のような焼結機であるとしてよい。こうした焼結機の場合には、ウィンドボックス4やウィンドレグ5ではなく、SOx含有量の少ない排ガスが流れる集合配管14−1にCO酸化触媒を設置しても構わない。集合配管では、ウィンドレグの合流する位置で総ガス流量が変化し、流速も変化する。CO酸化触媒で処理する必要のあるガス量を鑑みて、必要な量のガスを処理できる範囲で、流速の最も小さい場所を、触媒の設置場所に設定すると好ましい。触媒の成型方法については、触媒設置場所でのガス流速によって変化する。ガス流速が、ウィンドレグ並みに大きい場合には、ハニカム状に成型することが好ましいが、それほど大きくない場合には押出成形体や打錠成型体を用いても構わない。この場合にも、短時間で触媒の設置や交換作業を行えるように、予め触媒を固定しておくとよい。たとえば、金網の箱に触媒を充填しておき、集合配管内に設置した台の上に、箱ごと設置するなどしてもよい。
<CO酸化触媒の詳細>
充填する触媒について、以下で詳細に説明を行う。
充填する触媒は、対象となるウィンドボックス4の排ガス組成と排ガス温度にてCOを酸化させる能力を持つ必要がある。CO濃度が高く、SOx濃度が低いウィンドボックスの排ガス組成の例を表1に示す。焼結機の種類とウィンドボックス毎に排ガス組成の差が比較的大きいが、触媒の被処理対象となる排ガス中には、COとO以外にも多くの成分が含まれていることが分かる。また、排ガス温度は80℃程度と非常に低い。こうした条件でも高い触媒活性を発揮し、少量の触媒で効率よくCO酸化反応を進行させることができる触媒が必要となる。上記のような条件で高い活性を示す触媒について、以下で説明を行う。
低温で動作可能なCO酸化触媒として、酸化マンガンやホプカライトなどの酸化物触媒が知られている。これらの触媒は、非常に安価であるが、高濃度の水蒸気存在下で活性が低くなりやすいという課題がある。焼結機の排ガスは、水蒸気濃度が非常に高いため、こうした触媒は活性が低くなりやすく、触媒量を増大させる必要がある。CO酸化触媒を設置する焼結機の仕様を確認し、触媒を充填する空間を十分に確保できる場合には、これらの触媒を適用することができる。
触媒の充填量を少なく抑えたい場合には、水蒸気存在下でも高い活性を示す触媒が必要となる。こうした触媒として、白金を酸化物担体に担持した触媒が知られている。こうした触媒は、白金を担持する酸化物担体の種類によって、活性が大きく変化することが知られているため、適切な担体を選択する必要がある。担体に求められる性能は大きく三つあり、一つが低温での活性を高めること、二つ目が水蒸気存在下での活性を高めること、三つ目は反応中に白金を酸化させないことである。以下、それぞれの内容について説明を加えたうえで、本発明のCO酸化触媒に適した触媒を示す。
まず、担体に求められる一つ目の性能である、低温での活性を高めるという機能について説明を行う。白金は、COを強く吸着させる能力が高く、触媒表面にCOを濃化することができるため、触媒として機能することができる。さらに、COの吸着は、活性化エネルギーなしに進行する反応であるため、非常に迅速に進行する。一方で、Oが白金の上に吸着し、原子状の酸素となって反応できる状態となるには、一定の活性化エネルギーが必要となるため、低温では進行しにくい。よって、低温条件では白金がCOに覆われてしまい、Oの吸着とそれによる原子状の酸素の供給が間に合わず、COと原子状の酸素が反応しにくくなってしまう。事実、本発明と同程度の温度である80〜100℃程度で動作する燃料電池でも類似の現象が生じており、少量のCOが存在するだけで触媒反応が進行しなくなるという問題が生じている。そこで、白金に対して原子状の酸素を供給する能力が必要となる。こうした性能を持つ触媒として、酸化物の表面に酸素欠損が生じやすい担体が適していることが知られている。
続いて、担体に求められる二つ目の性能である、水蒸気存在下での活性を高めるという機能について説明を行う。一般的に、高濃度の水蒸気が存在する場合には、触媒活性は低下する傾向がある。ガスの吸着量は、飽和蒸気圧に対する相対圧と、吸着エンタルピー、吸着可能な点(場所)の数で決定される。焼結排ガスは、水蒸気分圧が飽和蒸気圧に近い値となっており、さらに、酸化物表面は一般に親水性のために吸着エンタルピー変化はマイナスとなり、吸着反応は発熱反応となる。よって、酸化物担体の表面は多量の水分子に覆われることとなる。白金表面についても、水蒸気の相対圧が高いことから、一定の割合で水分子の吸着が起こり、COやOが吸着する場所が減少してしまうこととなる。こうした原因による活性低下を避けるために、酸化物担体には水蒸気を積極的にCO酸化反応に関与させる性能が求められる。酸素欠損が生じやすい担体を用いた白金触媒では、水蒸気とCOが反応中間体を形成しやすく、水蒸気存在下でCO酸化反応の反応速度がむしろ向上することが報告されている。よって、この観点でも酸化物表面に酸素欠損が生じやすい担体が適している。
続いて、担体に求められる三つ目の性能である、反応中に白金を酸化させないという機能について説明を行う。上述の二つの性能の観点では、酸化物表面に酸素欠損が生じやすい担体ほど、本発明で用いる触媒の担体に適していると推定される。しかしながら、そうした触媒は、その上に担持された白金を酸化してしまいやすいという傾向があることが知られている。白金が酸化物に酸化されてしまうと、COを強く吸着するという能力が失われ、触媒活性が大きく低下することが知られている。よって、白金を酸化してしまうことは、すなわち触媒を機能させなくしてしまうことを意味している。以上より、酸化物表面は酸素欠損が十分に入りやすく、一方でその上に担持された白金は酸化されないという酸化物担体が必要となる。
白金を担持させる酸化物担体について、以上の観点を踏まえて、適切なものを以下に具体的に示していく。一般的に担体として利用される触媒のなかでは、酸化チタンと酸化ジルコニウム、γ―酸化アルミニウムが適している。酸化セリウムも適用可能であるが、白金を酸化させる能力が幾分高すぎるため、酸化チタンを担体として用いた場合に比べると触媒活性が低くなることは実施例に示す通りである。また、酸化チタンとしては、アナターゼ型とルチル型の担体が双方利用可能である。ただし、ルチル型の酸化チタンの方が、酸化物表面での酸素欠損が生じやすいことが報告されており、触媒活性が高くなる傾向があることは実施例に示す通りである。その他、セリアジルコニア担体、酸化スズ担体、ペロブスカイト系担体なども利用可能であるが、いずれについても安価に高比表面積な担体を入手することが難しいため、本発明の用途には適したものとするには、製造方法に工夫が必要となる。
白金を担持させる酸化物担体として、前記のいずれの担体を利用したとしても、触媒活性を高めるために還元処理を行ったうえで反応に用いることが好ましい。ただし、表面に酸素欠損が入りやすい酸化物担体は、白金を担持した後に強い還元雰囲気にさらされると、還元された酸化物の層で白金粒子を覆うカプセル化現象が発生することが知られている。こうした現象が発生すると、触媒の活性が低下した状態となってしまう。また、一度カプセル化した触媒は、酸化雰囲気に曝すことでカプセル化が解けることが知られているが、本発明で対象となる排ガスのように100℃未満の温度ではカプセル化が不完全にしか解消しないことが知られている。従って、利用する触媒ごとに適した前処理方法を見つけておくことが好ましい。例えば、純水素ではなく水素濃度を低めたガスを用いて触媒を還元することや、還元する温度を200〜400℃といった低めの値に設定すること、還元処理後に酸化雰囲気に曝したうえで反応に利用するなどといったことが効果的である。実施例にて、こうした前処理の例を示した。
以下では、実験例を示しながら本発明に係る焼結機と、焼結機の操業方法を具体的に説明する。しかしながら、本発明に係る焼結機と、焼結機の操業方法は、下記に示す実験例により、何ら限定されるものではない。
(各種触媒の生成)
以下に示す手順により、実験例で使用する各種触媒を生成した。
<触媒A:白金/酸化セリウム触媒>
酸化セリウム担体CEO−2(触媒学会参照触媒)を3.0g用意し、大気雰囲気下500℃にて1時間焼成した。ヘキサクロロ白金酸0.0265gを0.40mlの純水に溶解させた。得られた白金前駆体溶液を、焼成後の酸化物担体各0.99gに対して十分な混合を行いながらそれぞれ滴下し、含浸させた。得られた各粉末を100℃にて10時間、500℃にて1時間焼成し、得られた触媒を触媒Aとした。白金の担持量は、金属状態の白金換算で1.0質量%である。得られた試料に対してX線回折(XRD)測定を行うことで決定した担体の結晶構造と、Brunauer−Emmet−Teller(BET)法にて決定した比表面積の値を、表2に示す。
<触媒B、C:白金/酸化チタン触媒>
酸化チタン担体TIO−2(触媒学会参照触媒)、酸化チタン担体TIO−6(触媒学会参照触媒)をそれぞれ3.0g用意し、それぞれを大気雰囲気下500℃にて1時間焼成した。ヘキサクロロ白金酸0.0265gを0.30ml、0.40mlの純水に溶解させた。得られた白金前駆体溶液を、焼成後の酸化物担体各0.99gに対して十分な混合を行いながらそれぞれ滴下し、含浸させた。得られた各粉末を100℃にて10時間、500℃にて1時間焼成し、得られた触媒を触媒B、Cとした。白金の担持量はいずれも、金属状態の白金換算で1.0質量%である。各試料について、触媒Aと同様に決定した物性値を表2に示す。
[反応試験]
(実施例1:触媒活性評価)
触媒Aを50mg秤取り、それぞれ石英ガラス管に充填した。次に、水素40%窒素バランスのガスを50cm/分でフローさせ、300℃まで昇温し、30分間還元処理を行った。その後、130℃まで降温し、焼結機ウィンドボックスのガスを模擬した表3に示す組成のガス100cm/分をフローさせ、反応を開始した。その後、温度を10℃ずつ降温し、120℃、110℃、100℃、90℃、80℃、70℃の各温度にて1時間ずつ反応試験を実施した。各反応温度における最後の5分間のCO転化率平均値をもって、各温度におけるCO転化率とした。反応試験の結果を表4に示す。70℃においてもCOが一定量酸化していることが分かるが、のちに示す触媒B、Cと比べると触媒活性が劣ることが分かる。
(実施例2:触媒活性評価)
触媒B、触媒Cをそれぞれ50mg秤取り、それぞれ石英ガラス管に充填した。次に、50cm/分の水素気流中にて500℃まで昇温し、30分間還元処理を行った。その後、200℃まで降温し、焼結機ウィンドボックスのガスを模擬した表3に示す組成のガス100cm/分をフローさせ、反応を開始した。1時間後、130℃まで反応温度を下げて30分間反応を行った。その後、温度を10℃ずつ降温し、120℃、110℃、100℃、90℃、80℃、70℃の各温度にて1時間ずつ反応試験を実施した。各反応温度における最後の5分間のCO転化率平均値をもって、各温度におけるCO転化率とした。反応試験の結果を表4に示す。70℃においても大部分のCOがCOに酸化していることが分かる。特に触媒Cは触媒活性が高く、COがほとんど検出されなかった。
(実施例3:触媒活性評価)
触媒Cを10mg秤取り、石英ガラス管に充填したことを除いて、実施例2と同様に反応試験を実施した。反応試験の結果を表4にあわせて示す。70℃においても多くのCOがCOに酸化していることが分かる。また、実際の排ガス程度の温度である80℃では、大部分のCOがCOに酸化されていることが分かる。
(実施例4:焼結機排ガスを用いた触媒活性評価)
実際の焼結排ガスを用いて、図3に示す装置構成にて試験を行った。試験に先立って、焼結機の各ウィンドボックスでの排ガス組成と排ガス温度を測定し、CO酸化触媒の設置に最も適していると判断された、SO濃度が低いウィンドボックス21からガスを採取して試験を行うこととした。表5にウィンドボックス21の排ガス温度とガス組成を示す。触媒Cを30.0g秤取り、水素気流下で30分間、500℃にて還元処理を行った。その後、200℃まで降温し、酸素10%の窒素バランスガス流通下でさらに30分間処理を行ったうえで、室温まで冷却した。前処理の後に得られた触媒を圧縮成型した。成型後の試料を破砕したうえで篩分けして、粒径1.0mm以上2.0mm以下とした。得られた成型品のうち、20.0gを秤取り、外径44mm、肉厚2mmの石英ガラス管に充填した。得られたCO酸化触媒充填部25の内部に、触媒層前後の位置に熱電対23、24を挿入し、それぞれ反応前ガス測温用熱電対23、反応後ガス測温用熱電対24とした。CO酸化触媒充填部25の下流側に除湿器26を接続し、そのさらに下流側にフィルター27を接続した。除湿器26とフィルター27を設置した理由は、本試験で利用する装置や分析計が破損することや、誤作動することを防止するためである。実際に焼結機へ触媒を設置する際には、触媒層の下流側に除湿器などを設置する必要はない。フィルターの下流側にマスフローコントローラー28を接続し、ドライ真空ポンプ29に接続した。ドライ真空ポンプの排気側にCO、COガス分析計30を設置した。保温配管22をウィンドボックス21の側面のサンプリング孔に接続し、三方コック31で閉止した。保温配管22とCO酸化触媒充填部25を接続し、両者にリボンヒーターを巻き付け、さらに断熱材で覆った。断熱材の内側数点で温度を測定し、保温配管22の外側の温度が、排ガス温度と同じ83℃となるように調整した。リボンヒーターの温度が安定したことを確認したうえで、三方コック31を大気側に回し、除湿器26とマスフローコントローラー28の電源を入れ、真空ポンプ29の電源を入れた。マスフローコントローラー28の設定値を17.4L/分とし、問題なくガスが流れることを確認した。流速が安定したことを確認したうえで、三方コック31をウィンドボックス21側に回し、焼結機排ガスのサンプリングを開始した。除湿後のガス流量を17.4L/分としたとき、CO酸化触媒充填部25を流れるガス流量は20L/分となる。焼結機排ガスの流通を開始してから、徐々に熱電対23と熱電対24の検出する温度の差が広がり、反応温度が安定して以降は、熱電対23の温度が83℃なのに対し、熱電対24では170℃前後となった。また、ガス分析計30ではCOが検出されず、COがCOに完全に酸化されていることが確認された。本試験の結果より、触媒Cは実際の焼結機排ガスが流れる条件においても反応を進行させることが確認された。また、反応に伴う発熱により排ガスの温度が上昇することもあわせて確認された。約90℃の温度上昇が確認されたことから、およそ25%程度の排ガスに対してCO酸化触媒を適用することで、全体の排ガスを20℃超昇温することが可能となると考えられる。なお、実際に必要となる昇温幅は10℃程度であることも多いが、その場合は全体の10%程度の排ガスを処理すれば十分となる。すなわち、本試験の結果から、電気集塵機前の排ガスの温度を酸露点以上に上昇させることが十分に可能であると推定される。さらに、表4の試験結果に示される通り、触媒活性は反応温度が高いほど向上するため、触媒層の下流側ではより高い触媒活性が発現していると考えられる。これを踏まえると、触媒量をさらに少なくできる可能性もある。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1:シューター(給鉱)
2:バーナー
3:パレット
4:ウィンドボックス
5:ウィンドレグ
6:排ガス昇温用バーナー
7:プレダスター
8:電気集塵機
9:メインブロワー
10:煙突
11:湿式脱硫装置
12:デミスター
13:排鉱
14:集合配管
14−1:SOx濃度の低い排ガスの集合配管
14−2:SOx濃度の高い排ガスの集合配管
21:排ガス中SO濃度が低いウィンドボックス
22:保温配管
23:反応前ガス測温用熱電対
24:反応後ガス測温用熱電対
25:CO酸化触媒充填部
26:除湿器
27:フィルター
28:マスフローコントローラー
29:ポンプ
30:ガス分析計
31:三方コック

Claims (17)

  1. 機長方向に沿って設けられた複数のウィンドボックスを備えるドワイトロイド型の焼結機であって、
    給鉱側から数えて1/4を超えて3/4よりも手前の前記ウィンドボックス、給鉱側から数えて1/4を超えて3/4よりも手前の前記ウィンドボックスと接続されたウィンドレグ、及び、集塵機と前記ウィンドレグの間に位置する集合配管のうちの少なくとも一部に、COを酸化させる触媒が充填されている
    ことを特徴とする、焼結機。
  2. 前記COを酸化させる触媒が、給鉱側の1/4以内と排鉱側の1/4以内に位置する前記ウィンドボックスとウィンドレグには充填されていない
    ことを特徴とする、請求項1に記載の焼結機。
  3. 排ガスに含まれるSOx濃度が5ppm以下となる前記ウィンドボックス内の少なくとも一部、及び/又は、前記SOx濃度が5ppm以下となるウィンドボックスに接続されたウィンドレグの少なくとも一部に、前記COを酸化させる触媒が充填されている
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の焼結機。
  4. 前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるSOx濃度が3ppm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼結機。
  5. 前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるCO濃度が0.8%以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の焼結機。
  6. 定常の運転条件で排ガスに含まれるSOx濃度が5ppm以下のウィンドレグとのみ接続される集合配管を有する、ドワイトロイド型の焼結機であって、
    前記集合配管内の少なくとも一部に、COを酸化させる触媒が充填されている
    ことを特徴とする、焼結機。
  7. 前記COを酸化させる触媒が、白金を含む触媒である
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の焼結機。
  8. 前記白金を含む触媒が、白金を担持した酸化チタンである
    ことを特徴とする、請求項7に記載の焼結機。
  9. 前記酸化チタンが、ルチル型酸化チタンである
    ことを特徴とする、請求項8に記載の焼結機。
  10. 機長方向に沿って設けられた複数のウィンドボックスを備えるドワイトロイド型焼結機の操業方法であって、
    排ガスに含まれるSOx濃度が5ppm以下となる前記ウィンドボックス内の少なくとも一部、及び/又は、前記SOx濃度が5ppm以下となるウィンドボックスに接続されたウィンドレグの少なくとも一部に、COを酸化させる触媒を充填させ、
    前記触媒のうえで進行するCO酸化反応の反応熱によって焼結排ガスの昇温を行う
    ことを特徴とする、焼結機の操業方法。
  11. 前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるSOx濃度が3ppm以下である
    ことを特徴とする、請求項10に記載の焼結機の操業方法。
  12. 前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるCO濃度が0.8%以上である
    ことを特徴とする、請求項10又は11に記載の焼結機の操業方法。
  13. 前記COを酸化させる触媒が充填されている前記ウィンドボックスを通過する排ガスに含まれるCO濃度が1.0%以上である
    ことを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一項に記載の焼結機の操業方法。
  14. 排ガスに含まれるSOx濃度が5ppm以下のウィンドレグとのみ接続される集合配管を有する、ドワイトロイド型焼結機の操業方法であって、
    前記集合配管内の一部にCOを酸化させる触媒を充填させ、
    前記触媒のうえで進行するCO酸化反応の反応熱によって焼結排ガスの昇温を行う
    ことを特徴とする、焼結機の操業方法。
  15. 前記COを酸化させる触媒が、白金を含む触媒である
    ことを特徴とする、請求項10〜14のいずれか一項に記載の焼結機の操業方法。
  16. 前記白金を含む触媒が、白金を担持した酸化チタンである
    ことを特徴とする、請求項15に記載の焼結機の操業方法。
  17. 前記酸化チタンが、ルチル型酸化チタンである
    ことを特徴とする、請求項16に記載の焼結機の操業方法。
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