JP2020012346A - 無線通信モジュールの取付構造、無線通信モジュールの設置方法、状態量計測システム及び無線通信モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、ひずみを計測する計測装置として、コンクリートを打設する前に、鉄筋等にひずみ計測用のセンサを設け、センサにつながる配線をまとめて型枠の外側に配置し、打設後に、データロガ等に配線を接続することにより計測する方法が提案されている。また、施工中にコンクリート内部の温度を計測し、コンクリート内部の状態を把握し、適切な対応をとることで温度ひび割れを抑制することが提案されている。
また、センサと配線とが存在する箇所は断面欠損となる他、劣化因子の侵入口ともなる虞がある。
本実施形態では、無線通信モジュールとしてRFIDを用いる場合について説明するが、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)を用いた無線通信モジュールであっても適用することができ、無線通信を行うことができる機器であれば適用することができる。
図1は、第一実施形態に係る無線通信モジュールの取付構造の一例を示す概略構成図である。第一実施形態は、コンクリート打設前にRFIDタグ1を設置することで、RFIDタグ1をコンクリート構造体の表面に設置するようにしたものである。
図1に示すように、RFIDタグ1は例えば円板状を有し、全体が樹脂3で覆われている。RFIDタグ1は、少なくともアンテナと、ICチップ等の制御部とを備え、制御部はリーダライタとアンテナを介して無線通信を行う。RFIDタグ1は、電源内蔵のアクティブ型であってもよく、また電源を持たないパッシブ型であってもよい。また、通信周波数は、RFIDタグ1とリーダライタ等との間で通信を行うことができれば、どの周波数であっても適用することができる。
配線5の他端はセンサ4に接続され、制御部は、センサ4が測定した測定情報を、アンテナを介して送信する。センサ4としては、電気によって計測できる機器であれば適用することができ、例えば、ひずみ計、温度計、圧力計、充填検知計、水分計、加速度計、変位計等が挙げられる。
まず、コンクリートを打ち込む前に、型枠6の内側(コンクリートを打ち込む側)に、RFIDタグ1を設置する。例えば、図1(b)に示すように、四つの固定ビス7により、RFIDタグ1を型枠6側から固定する。また、図1(a)に示すように、内部のセパレータや鉄筋にセンサ4を例えば番線によって固定する。そして、配線5の他端をセンサ4に接続する。
この状態で、コンクリートを打ち込み、その後、型枠6を取り外す。
ここで、RFIDタグ1全体がコンクリート構造体8の内部に埋め込まれている場合、RFIDタグ1による送信電波は、コンクリート構造体8によって減衰されるため、その分、RFIDタグ1とリーダライタとの通信可能距離は短くなる。
また、リーダライタとRFIDタグ1との間で無線通信を行い、リーダライタによってRFIDタグ1を介してセンサ4を起動して計測を行うため、RFIDタグ1において電源を確保する必要はない。そのため、コンクリート構造体8の状態量を定期的に測定する場合等においても、長期間に渡って状態量の計測を行うことができ、且つ省電力化を図ることができる。
また、RFIDタグ1は、RFIDタグ1を覆う樹脂3がコンクリート構造体8の表面と面一となるように配置されている。そのため、コンクリート構造体8の表面に障害物等がぶつかった場合に、RFIDタグ1が突出して設けられている場合に比較して、RFIDタグ1が損傷することを低減することができ、さらに、RFIDタグ1が樹脂3で覆われている点からも、RFIDタグ1を保護することができる。
なお、図1(a)はコンクリート打設前のRFIDタグ1及びセンサ4の取り付け状況の一例を示す断面図、図1(b)は図1(a)を型枠6の外側から見た図、図1(c)はコンクリート打設後のRFIDタグ1及びセンサ4の取り付け状況の一例を示す断面図である。
また、センサ4が温度計である場合には、例えば、温度計の変化を測定するための出力処理部が、RFIDタグ1に組み込まれた、既存のRFIDタグ1を用いることによって、出力処理部を別途設けなくとも、センサ4とRFIDタグ1とにより、温度情報を、リーダライタに通知することができる。
第二実施形態は、Pコンを取り外した穴にRFIDタグ1を設置することで、RFIDタグ1をコンクリート構造体8の表面に設置するようにしたものである。
第二実施形態では、Pコンとして、図2に示すPコン(凹部形成部材)11を用いる。Pコン11は、下底側が開口した中空の円錐台形状を有する。Pコン11の、上底には、センサ4とRFID1の制御部とを接続する配線5を引き回すための貫通穴11aが形成されている。
まず、図2(a)に示すように、セパレータ12の両端それぞれにPコン11を取り付けた状態で、Pコン11のねじを型枠6に通し、型枠6の外側からフォームタイ(登録商標)13を取り付ける。また、セパレータ12にセンサ4を取り付ける。センサ4には配線5の一端を接続し、他端を、Pコン11の上底に形成された貫通穴11aに通す。そして、コンクリートを打ち込んだ後、フォームタイ13、型枠6、Pコン11を取り外す。
これにより、図2(b)に示すように、コンクリート構造体8が形成される。また、コンクリート構造体8のPコン11を取り外した部分には、Pコン11の外形と同等形状の凹形状のPコン穴8aが形成され、Pコン穴8aには、配線5の他端が引き出されている。
埋込体15をPコン穴8aに取り付ける場合には、まず貫通穴15bに配線5の他端を通して保持部15aまで引出し、この他端を、RFIDタグ1から延びる配線と接続する。そして、配線5の接続終了後、RFIDタグ1を保持部15aに固定する。
また、センサ4をセパレータ12に取り付け、RFIDタグ1をPコン穴8a内に設け、センサ4とRFIDタグ1との間の配線5は、セパレータ12に沿ってPコン穴8aに引き回すようにしているため、コンクリート打ち込み時にバイブレータを使用したとしても、配線5が切断される可能性は比較的小さい。
なお、ここでは、Pコン穴8a内にRFIDタグ1を設ける場合について説明したが、例えば、RFIDタグ1を設けるための凹部を形成する凹部形成部材を、型枠6に接して設けた状態で、コンクリートの打ち込みを行い、凹部形成部材を取り除いて形成される凹部にPコン穴8a内にRFIDタグ1を設ける場合と同様の手順でRFIDタグ1を配置するようにしてもよい。
第三実施形態は、スペーサにRFIDタグ1を設置することで、RFIDタグ1をコンクリート構造体の表面に設置するようにしたものである。
なお、スペーサ21の構成は図3の構成に限るものではなく、スペーサ21内に、出力処理部用スペース又はアクティブ用スペースを確保することができ、且つスペーサ21の下底にRFIDタグ1を保持することができればよい。
例えば、出力処理部用スペースを備えたスペーサ21の場合には、以下の手順で作製すればよい。
また、スペーサ21は、図3に示す四角錐台形状である場合に限らず、四角柱等、どのような形状のスペーサであっても適用することができる。
まず、鉄筋22と型枠6との間に、切欠き21cを利用して図3に示すスペーサ21を位置決めする。次に、鉄筋22にセンサ4a及び4bを取り付け、センサ4a、4bのそれぞれに、配線23a及び23bの一端を接続する。そして、センサ4a、4bに防水加工をした後、コンクリートを打ち込み、型枠6を取り外す。
また、計測時に配線等を行う必要はなく、リーダライタとRFIDタグ1との間で無線通信を行えばよいため、計測時の手間を低減することができる。
図4は、第一〜第三実施形態に係るRFIDタグ1を用いた、コンクリート構造体8の状態量計測システム30の一例を示す概略構成図である。
状態量計測システム30は、図4(a)に示すように、コンクリート構造体8内に設けたセンサ4と、センサ4と配線により接続されるRFIDタグ1と、RFIDタグ1との間で無線通信を行うリーダライタ31と、リーダライタ31で取得したセンサ4の計測情報を処理するパーソナルコンピュータ等で形成される処理装置32と、を備える。
ここで、本発明実施形態に係るRFIDタグ1は、コンクリート構造体8の表面に設けられており、RFIDタグ1の送信電波はコンクリート構造体8を経由することなく外部に送信される。そのため、市販のRFIDタグやリーダライタを組み合わせることで、10m程度の距離であれば通信可能となる。
そのため、例えば、シールドトンネルの施工時には、図5に示すように、シールドトンネルの断面の直径が通信可能距離範囲内であれば、リーダライタ31のアンテナを固定したまま、または施工状況に伴い移動させつつ、コンクリート部分の状態量を取得することができる。また、シールドトンネルの供用時には、リーダライタ31のアンテナを作業車または台車に乗せ、移動させつつ、コンクリート部分の状態量を取得することができる。
なお、ここでは、状態量として、シールドトンネルのコンクリート構造体8内の状態量を測定しているが、これに限るものではなく、その他の工法によるトンネル、橋梁、ダム建築物等、コンクリートを施工して、コンクリート構造体の状態量を、短期間又は長期間計測する必要がある箇所であれば適用することができる。
この第五実施形態は、RFIDタグ1に指向性を持たせることで、RFIDタグ1とリーダライタとの間の通信距離をさらに延長させるようにしたものである。
図6は、図1に示した型枠6にRFIDタグ1を固定する場合の一例を示す。
第1の樹脂層3aと第2の樹脂層3bとはビス7aにより一体に形成される。
このように、樹脂3を第1の樹脂層3aと第2の樹脂層3bとの二層構造とすることによって、RFIDタグ1が埋め込まれた第1の樹脂層3a側のみを交換することによって、RFIDタグ1を容易に交換することができる。
なお、樹脂3を二層構造とする場合には、第2の樹脂層3bの、第1の樹脂層3aと対向する面から配線5aを引き出しておく。同様に、第1の樹脂層3aの、第2の樹脂層3bと対向する面から一端がRFIDタグ1に接続される配線の他端を引き出しておく。そして、第2の樹脂層3bから引き出された配線5aと、第1の樹脂層3aから引き出された配線とを接続した後、これら配線の余裕代分を、第1の樹脂層3aと第2の樹脂層3bとの間に挟み込むようにして第1の樹脂層3aと第2の樹脂層3bとをビス7aにより固定すればよい。
また、例えば、図2に示したPコン穴にRFIDタグ1を設ける場合には、図8に示すように、RFIDタグ1の型枠6とは逆側に樋状の反射体41を設け、反射体41と共に樹脂3で覆われたRFIDタグ1をPコン穴に設ければよい。
同様に、例えば、図3に示したスペーサ21にRFIDタグ1を設ける場合には、図9に示すように、RFIDタグ1の型枠6とは逆側に樋状の反射体41を設け、RFIDタグ1及び反射体41全体を覆うように、スペーサを設ければよい。
さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
3 樹脂
4 センサ
5 配線
6 型枠
8 コンクリート構造体
11 Pコン
15 埋込体
21 スペーサ
22 鉄筋
30 状態量計測システム
31 リーダライタ
32 処理装置
Claims (10)
- コンクリート構造体に設けられ、センサで測定された前記コンクリート構造体の状態量を、無線通信により送信する無線通信モジュールの取付構造であって、
前記無線通信モジュールは、前記センサと接続され、全体が樹脂で覆われて当該樹脂の一部が露出した状態で前記コンクリート構造体内に配置され、前記樹脂が露出した露出部分と前記コンクリート構造体の表面とが面一となるように配置されていることを特徴とする無線通信モジュールの取付構造。 - 前記コンクリート構造体の表面側から見て、前記無線通信モジュールの、前記コンクリート構造体の表面側を除く部分を囲むように反射体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信モジュールの取付構造。
- リーダライタとの間で無線通信によりデータの送受信を行い、コンクリート構造体の状態量を前記リーダライタに送信する無線通信モジュールの設置方法であって、
前記状態量の測定を行うセンサと接続された前記無線通信モジュールを、全体を樹脂で覆った状態で、前記コンクリート構造体を形成するための型枠の内面に接触させて配置し、
前記型枠内にコンクリートを打設した後、前記型枠を取り外すことで、前記樹脂で全体が覆われた前記無線通信モジュールの一部と前記コンクリート構造体の表面とが面一となる構造を作ることを特徴とする無線通信モジュールの設置方法。 - リーダライタとの間で無線通信によりデータの送受信を行い、コンクリート構造体の状態量を前記リーダライタに送信する無線通信モジュールの設置方法であって、
前記コンクリート構造体を形成するための型枠の内面に、前記コンクリート構造体の表面に凹部を形成するための凹部形成部材を接触させて配置すると共に、前記状態量の測定を行うセンサに一端が接続された配線の他端を、前記凹部形成部材を貫通して前記型枠側に引出し、
前記型枠内にコンクリートを打設し、前記型枠及び前記凹部形成部材を取り外した後にコンクリート構造体に残る穴内で、前記無線通信モジュールと前記配線の他端とを接続し、
前記無線通信モジュール全体を樹脂で覆った状態で、前記樹脂の一部と前記コンクリート構造体の表面とが面一となるように前記無線通信モジュールを前記穴内に固定することを特徴とする無線通信モジュールの設置方法。 - リーダライタとの間で無線通信によりデータの送受信を行い、コンクリート構造体の状態量を前記リーダライタに送信する無線通信モジュールの設置方法であって、
前記コンクリート構造体を形成するための型枠と前記コンクリート構造体内に配置される部材との間に設けられるスペーサを、全体が樹脂で覆われた前記無線通信モジュールと共に前記型枠の内面に接し且つ前記無線通信モジュールと前記型枠に接する部分が、前記無線通信モジュールの外側を囲む形状に形成し、
前記状態量の測定を行うセンサに一端が接続された配線の他端を、前記スペーサに囲まれた前記無線通信モジュールに接続した状態で前記型枠内にコンクリートを打設し、
その後前記型枠を取り外すことで、前記樹脂で全体が覆われた前記無線通信モジュールの一部と前記コンクリート構造体の表面とが面一となる構造を作ることを特徴とする無線通信モジュールの設置方法。 - 前記スペーサを、前記型枠側から見て、前記配線を取り囲む形状に形成したことを特徴とする請求項5に記載の無線通信モジュールの設置方法。
- 前記無線通信モジュールの、前記コンクリート構造体の表面と面一となる面を除く所定範囲を囲むように、反射体を設けたことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の無線通信モジュールの設置方法。
- コンクリート構造体に設けられ、当該コンクリート構造体の状態量を測定するセンサと、
請求項1又は請求項2に記載の無線通信モジュールの取付構造で前記コンクリート構造体に取り付けられ、前記センサで測定された前記状態量を無線通信により送信する無線通信モジュールと、
前記無線通信モジュールとの間で無線通信を行うリーダライタと、
前記リーダライタで取得した前記センサで測定された前記状態量を処理する処理装置と、
を備えることを特徴とする状態量計測システム。 - 前記コンクリート構造体はトンネルであることを特徴とする請求項8に記載の状態量計測システム。
- コンクリート構造体内に設けられ、無線通信を行う無線通信モジュールであって、
前記無線通信モジュールは全体が樹脂で覆われており、前記無線通信モジュールの、前記コンクリート構造体の表面と対向する側とは逆側に、前記無線通信モジュールの所定領域を囲むように配置された反射体を備えることを特徴とする無線通信モジュール。
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