JP2020012038A - シンチレータ及び放射線検出装置 - Google Patents

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健之 柳田
Takeyuki Yanagida
健之 柳田
範明 河口
Noriaki Kawaguchi
範明 河口
豪 岡田
Go Okada
豪 岡田
文耶 中村
Fumiya Nakamura
文耶 中村
康武 早川
Yasutake Hayakawa
康武 早川
大平 晃也
Akinari Ohira
晃也 大平
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Abstract

【課題】良好な発光強度を示し得る新規なシンチレータ及びこれを含む放射線検出装置を提供する。【解決手段】第1のランタノイド元素と、第1のランタノイド元素とは異なる第2のランタノイド元素とを含有する窒化物セラミックスを含むシンチレータ、式(1)で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを含むシンチレータ、式(2)で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを含むシンチレータ、及び、これらのいずれかのシンチレータと該シンチレータから出射される光を検出するための光検出器とを含む放射線検出装置が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、シンチレータ及びシンチレータを備える放射線検出装置に関する。
シンチレータは、放射線(X線、ガンマ線、アルファ線、ベータ線、中性子線等)の照射によって励起されることにより蛍光(例えば可視光)を発する材料からなる。シンチレータは、放射線検出装置の検出素子として用いられている。放射線検出素子としてのシンチレータは、検出感度を高めるうえで、粉末状の形態を有しているよりも、一定のサイズを有する成形体(バルク体)であることが望まれる。
バルク体のシンチレータとしては、CsI:Tl、CdWO、NaI:Tl、BiGe12等からなる単結晶シンチレータが従来公知である。また、特許第4959877号(特許文献1)には、プラセオジムを含有する酸硫化ガドリニウム蛍光体の焼結体からなるセラミックスシンチレータが記載されている。
特許第4959877号
Quan Li, Chaoyang Gong, Xuan Cheng, Ying Zhang, "A novel polymer-derived method to prepare Eu-doped Si3N4 yellow phosphor", Ceramics International 41 (2015) 4227-4230
本発明の目的は、良好な発光強度を示し得る新規なシンチレータ及びこれを含む放射線検出装置を提供することにある。
本発明は、以下に示すシンチレータ及び放射線検出装置を提供する。
[1] 第1のランタノイド元素と、第1のランタノイド元素とは異なる第2のランタノイド元素とを含有する窒化物セラミックスを含むシンチレータ。
[2] 式(1):
(L 1−x )Si (1)
[式中、Lは第1のランタノイド元素であり、Lは第2のランタノイド元素であり、LとLとは互いに異なる元素である。xは、0.001〜0.2である。]
で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを含む、シンチレータ。
[3] 式(2):
(L 1−x Si11 (2)
[式中、Lは第1のランタノイド元素であり、Lは第2のランタノイド元素であり、LとLとは互いに異なる元素である。xは、0.001〜0.2である。]
で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを含む、シンチレータ。
[4] 第1のランタノイド元素がランタン、ガドリニウム又はルテチウムであり、第2のランタノイド元素がセリウム、ユーロピウム又はテルビウムである、[1]〜[3]のいずれかに記載のシンチレータ。
[5] 第1のランタノイド元素を有する物質と、第2のランタノイド元素を有する物質と、窒化物セラミックスとを含む組成物の焼結体である、[1]〜[4]のいずれかに記載のシンチレータ。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載のシンチレータと、
前記シンチレータから出射される光を検出するための光検出器と、
を含む、放射線検出装置。
良好な発光強度を示し得る新規なシンチレータ及びこれを含む放射線検出装置を提供することができる。
実験例3のシンチレータにX線を照射したときの発光スペクトルを示す図である。 実験例52のシンチレータにX線を照射したときの発光スペクトルを示す図である。
本明細書において、下記の用語の意味は下記のとおりである。
「セラミックス」とは、無機化合物の焼結物、無機化合物の成形体の焼結物、又は焼結物の原料となる上記無機化合物をいう。
「シンチレータ」とは、放射線の照射によって励起されることにより蛍光(例えば可視光)を発する物質(材料)で構成される部材、部品又は素子等のバルク体をいう。
「放射線」とは、X線、ガンマ線、アルファ線、ベータ線、中性子線等をいう。
「ランタノイド元素」とは、通常、原子番号57から71、すなわちランタン(La)からルテチウム(Lu)までの15の元素の総称であるが、本明細書においては安定同位体のない原子番号61のプロメチウム(Pm)元素を除いた14の元素の総称を指す。
「焼結性」とは、より低い焼結温度でも緻密な焼結体ができやすい性質、又は同じ焼結温度でもより緻密な焼結体ができやすい性質をいう。
「シンチレータ性能」とは、シンチレータとしての性能を意味し、例えば、シンチレータに放射線を照射したときに、より高い発光強度で蛍光を発することができる性質をいう。
「A〜B」(A、Bは数値である。)は、A以上B以下を意味する。
<シンチレータ>
本発明に係るシンチレータは、第1のランタノイド元素Lと、第1のランタノイド元素Lとは異なる第2のランタノイド元素Lとを含有する窒化物セラミックスを含むシンチレータであり、好ましくは、該窒化物セラミックスからなるシンチレータである。
本発明に係るシンチレータは、良好なシンチレータ性能を示し得る。
第1のランタノイド元素L及び第2のランタノイド元素Lは、付活剤としての役割を担う。シンチレータは、ランタノイド元素を含むことにより、放射線照射によるランタノイド元素イオンの電子軌道遷移に伴う蛍光を発することができる。
本発明に係るシンチレータは、より具体的には、第1のランタノイド元素L及び第2のランタノイド元素Lをドープした窒化物セラミックスを含むシンチレータであり、好ましくは、該窒化物セラミックスからなるシンチレータである。
1つの好ましい実施形態において、本発明に係るシンチレータは、式(1):
(L 1−x )Si (1)
[式中、Lは第1のランタノイド元素であり、Lは第2のランタノイド元素であり、LとLとは互いに異なる元素である。xは、0.001〜0.2である。]
で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを含むシンチレータであり、より好ましくは、該ランタノイド元素含有窒化物セラミックスからなるシンチレータである。
他の好ましい実施形態において、本発明に係るシンチレータは、式(2):
(L 1−x Si11 (2)
[式中、Lは第1のランタノイド元素であり、Lは第2のランタノイド元素であり、LとLとは互いに異なる元素である。xは、0.001〜0.2である。]
で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを含むシンチレータであり、より好ましくは、該ランタノイド元素含有窒化物セラミックスからなるシンチレータである。
xは、ランタノイド元素含有窒化物セラミックスに含まれるランタノイド元素の合計原子数に対する第2のランタノイド元素Lの原子数の比を表す。
xが0.001未満であるか0.2を超える場合、十分な発光強度を示すシンチレータが得られないか、又は、xがゼロであるシンチレータと比較した発光強度向上効果が十分に得られない。
式(1)及び式(2)において、シンチレータ性能を高める観点から、xは、好ましくは0.005以上であり、より好ましくは0.01以上であり、さらに好ましくは0.02以上であり、なおさらに好ましくは0.03以上であり、特に好ましくは0.04以上であり、0.05以上であってもよい。
式(1)及び式(2)において、シンチレータ性能を高める観点から、xは、好ましくは0.18以下であり、より好ましくは0.16以下であり、さらに好ましくは0.15以下であり、なおさらに好ましくは0.14以下であり、特に好ましくは0.12以下であり、0.10以下であってもよい。
式(1)及び式(2)において、第1のランタノイド元素Lは、上述の14の元素の中から選択されるいずれかのランタノイド元素であり、シンチレータ性能を高める観点から、好ましくは、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)又はルテチウム(Lu)である。
式(1)及び式(2)において、第2のランタノイド元素Lは、第1のランタノイド元素Lとは異なるランタノイド元素であって、かつ、上述の14の元素の中から選択されるいずれかのランタノイド元素であり、シンチレータ性能を高める観点から、好ましくは、セリウム(Ce)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ディスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)であり、より好ましくは、セリウム(Ce)、ユーロピウム(Eu)又はテルビウム(Tb)である。
第1のランタノイド元素LがLaであると、発光強度の高いシンチレータが得られやすい。
第1のランタノイド元素LがGd又はLuであると、広い範囲のxにおいて、ランタノイド元素として第1のランタノイド元素Lのみを含有するシンチレータと比較して、発光強度のより高いシンチレータが得られやすい。
シンチレータを構成する窒化物セラミックスは、シンチレータの母材となる物質であり、例えば、窒化ケイ素セラミックス(Si)、窒化アルミニウムセラミックス(AlN)、窒化ホウ素セラミックス(BN)、窒化チタンセラミックス(TiN)等が挙げられる。中でも、シンチレータ性能を高める観点から、窒化ケイ素セラミックスが好ましく用いられる。窒化ケイ素セラミックスは、希少な元素を含まないことから、資源的観点からも好適である。さらに、窒化ケイ素セラミックスを用いて得られるシンチレータは、機械的強度に優れ得る。
本発明に係るシンチレータは、好ましくは、第1のランタノイド元素Lを有する物質と、第2のランタノイド元素Lを有する物質と、窒化物セラミックスとを含むシンチレータ形成用組成物の焼結体であり、より好ましくは、シンチレータ形成用組成物を含む成形体の焼結物(焼結バルク体)であり、さらに好ましくは、シンチレータ形成用組成物からなる成形体の焼結物(焼結バルク体)である。
第1のランタノイド元素Lを有する物質及び第2のランタノイド元素Lを有する物質は、それぞれ、例えば、金属ランタノイド又はランタノイド化合物であり、好ましくはランタノイド化合物である。
シンチレータ形成用組成物の焼結性の観点から、第1のランタノイド元素Lを有する物質及び第2のランタノイド元素Lを有する物質は、好ましくはランタノイド化合物であり、より好ましくはランタノイド酸化物である。
シンチレータ形成用組成物における第1のランタノイド元素Lを有する物質及び第2のランタノイド元素Lを有する物質の含有量及びそれらの合計含有量は、好ましくは、xが上述の範囲となるように調整される。
シンチレータ形成用組成物における第1のランタノイド元素Lを有する物質及び第2のランタノイド元素Lを有する物質の合計含有量が過度に大きいと、シンチレータ形成用組成物の焼結性が低下しやすい。焼結性の低いシンチレータ形成用組成物を用いてシンチレータを形成すると、得られるシンチレータは機械的強度が小さいものとなりやすい。シンチレータの機械的強度が小さいと、切断や研磨等の加工処理を焼結後のシンチレータに施すときに欠けや破損が生じやすくなるため、歩留まりが低下しやすくなるとともに、製造コストの増加を招き得る。
シンチレータ形成用組成物に含まれる窒化物セラミックスは、シンチレータの母材を構成する窒化物セラミックスと同じ組成を有する窒化物セラミックスの粉末体であってよい。例えば、シンチレータの母材が窒化ケイ素セラミックスである場合、シンチレータ形成用組成物に含まれる窒化物セラミックスとして窒化ケイ素セラミックスの粉末体を用いることができる。
シンチレータ形成用組成物は、窒化物セラミックスを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。シンチレータ形成用組成物は、好ましくは、窒化物セラミックスを1種のみ含む。
シンチレータ形成用組成物は、ランタノイド元素及び窒化物セラミックス以外の他の成分を含むことができる。他の成分としては、生産プロセス上、意図せずに含有されてしまう不可避不純物や、意図的に添加する添加剤等が挙げられる。不可避不純物や添加剤は、酸素(O)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)等の不純物元素を含むものであってもよい。
シンチレータ性能の観点から、シンチレータ形成用組成物における不純物元素の含有量は、第1及び第2のランタノイド元素並びに窒化物セラミックスの合計量100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。
シンチレータ形成用組成物に上記不純物元素が含有されることによって、焼結性等の性能が向上することがある。ただし、上記不純物元素を過剰に含有させると、シンチレータ性能が低下しやすい。したがって、不純物元素の含有量は、第1及び第2のランタノイド元素並びに窒化物セラミックスの合計量100質量部に対して、より好ましくは10質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以下である。
上記添加剤としては、焼結性を向上させるための焼結助剤が挙げられる。シンチレータ形成用組成物は、1種又は2種以上の焼結助剤を含むことができる。焼結助剤としては、Al、MgO、Y等の公知の焼結助剤が挙げられる。適切な量の焼結助剤を含有させることにより、シンチレータ性能が低下させることなく、焼結性を向上させ得る。
ただし、シンチレータ形成用組成物がランタノイド化合物(例えばランタノイド酸化物)を含む場合には、焼結助剤をさらに含有させなくても良好な焼結性が得られる傾向にある。
<シンチレータの製造方法>
シンチレータは、例えば、次の工程を含む方法によって製造することができる。
シンチレータ形成用組成物を用意する工程(第1工程)、
シンチレータ形成用組成物を成形して成形体を得る工程(第2工程)、及び
成形体を焼結する工程(第3工程)。
(1)第1工程
シンチレータ形成用組成物は、第1のランタノイド元素Lを有する物質、第2のランタノイド元素Lを有する物質及び窒化物セラミックスを含むものであり、これらを混合することによって調製することができる。
シンチレータ形成用組成物の焼結性の観点から、第1のランタノイド元素Lを有する物質及び第2のランタノイド元素Lを有する物質は、好ましくはランタノイド化合物であり、より好ましくはランタノイド酸化物である。
第1のランタノイド元素Lを有する物質、第2のランタノイド元素Lを有する物質及び窒化物セラミックスは、それぞれ粉末体であってよい。
シンチレータ形成用組成物の焼結性を高めるために、原料粉末(第1のランタノイド元素Lを有する物質、第2のランタノイド元素Lを有する物質、窒化物セラミックス及び/又は焼結助剤等の添加剤)の粒径や粒子形状を調整してもよい。調整方法としては、粉砕や造粒等が挙げられる。
例えば、粉砕によって、原料粉末の一次粒子の粒径をマイクロメーターオーダー以下にすることができる。また、造粒によって、原料粉末の二次粒子の形状を角の多い形状から丸みを帯びた形状としたり、二次粒子の粒径を50〜150μm程度の大きさにすることができる。なお、微細構造観察によって識別可能な明確な境界が観察できる微粒子を一次粒子と呼び、一次粒子の凝集体を二次粒子と呼ぶ。
粉砕方法や造粒方法は任意の方法であってよい。
粉砕方法としては、例えば、乳鉢粉砕、ボールミル、スタンプミル、ジェットミル等を用いる方法が挙げられる。
造粒方法としては、例えば、スプレードライ、エバポレータによる原料粉末スラリーの真空乾燥、分級(篩分け)等の方法が挙げられる。
粉砕方法は2以上の方法の組み合わせであってもよく、造粒方法は2以上の方法の組み合わせであってもよい。粉砕と造粒とを組み合わせてもよい。
使用する原料粉末ごとに粉砕及び/又は造粒を行ってよいが、製造効率簡略化の観点から、複数種類の原料粉末を混合した混合粉末に対して粉砕及び/又は造粒を行ってもよい。
(2)第2工程
本工程は、必要に応じて設けられる任意の工程であるが、シンチレータ形成用組成物の高密度化によりその焼結性を向上させることができることから、シンチレータ形成用組成物を成形する本工程を設けることが好ましい。
成形体は、例えば、機械プレス、水圧プレス、油圧プレス、冷間等方圧プレス(CIP)等によりシンチレータ形成用組成物をプレス成形(加圧成形)することによって得ることができる。必要に応じて、例えば、機械プレス後に水圧プレスを行うなど、2種以上のプレス手法を併用してもよい。成形方法はプレス成形に限定されるものではなく、射出成形やテープ成形等の一般的なセラミックスの成形法を用いてもよい。
プレス成形におけるプレス条件は特に限定されないが、金型を用いた機械プレス成形の場合、例えば、約15〜20MPaの条件で行うことができる。冷間等方圧プレス(CIP)の場合、例えば、100〜200MPaの条件で行うことができる。
シンチレータ形成用組成物の成形性を高めるために、シンチレータ形成用組成物に有機バインダを添加してもよい。
有機バインダを添加する場合には、残留有機物による性能悪化を抑制するため、焼結を行う第3工程の前に仮焼結工程を行うことが好ましい。仮焼結工程は、有機バインダを焼失させながら成形体を緻密化させる工程であり、例えば400〜600℃の温度下での熱処理工程であることができる。
(3)第3工程
本工程は、シンチレータ形成用組成物の成形体を焼結する工程である。焼結方法は、常圧焼結、ガス圧焼結、ホットプレス焼結、熱間静水圧加圧焼結、パルス通電加圧焼結等の任意のセラミックス焼結方法であってよい。
焼結雰囲気は、窒化物セラミックスの酸化を抑制する観点から、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
焼結温度は、成形体の融点の7割程度の温度を目安に設定することが好ましい。
緻密な焼結体を得る観点からは、焼結方法は、窒素等の不活性ガス雰囲気下でのガス圧焼結が好ましい。
ガス圧焼結の条件は、成形体の組成及び使用する焼結装置に応じて適切に設定されることが好ましい。ガス圧焼結の条件は、例えば、50〜300MPaの窒素雰囲気中、焼結温度1700〜1800℃、焼結時間0.5〜2時間である。
製造コストの観点からは、焼結方法は、常圧焼結が好ましい。
常圧焼結の条件は、成形体の組成及び使用する焼結装置に応じて適切に設定されることが好ましい。常圧焼結の条件は、例えば、0.7〜0.9MPaの窒素雰囲気中、焼結温度1700〜1800℃、焼結時間約4〜6時間である。
焼結工程によって得られた焼結体(バルク体のシンチレータ)に対して加工処理を施してもよい。加工処理としては、切断処理や、研磨処理等の形状調整処理が挙げられる。
上述のシンチレータ形成用組成物によれば、該組成物がランタノイド元素を有する物質としてランタノイド化合物(例えばランタノイド酸化物)を含む場合、焼結助剤をさらに含有させなくても良好な焼結性が得られる傾向にある。ランタノイド化合物が焼結助剤と同様の機能を果たしていると推定される。
焼結助剤をさらに含有させる必要のないことは、シンチレータ性能を高めるうえで有利である。シンチレータ性能は、発光中心元素以外の不純物を添加すると低下することがあるためである。
以上の方法によれば、バルク体であるシンチレータを効率良く製造することができる。
これに対して、単結晶シンチレータが従来公知であるが、単結晶の生成には時間を要するため製造効率に劣り、またシンチレータの形状自由度に劣る。
セラミックスシンチレータとしては、酸化物、酸硫化物、ハロゲン化物が知られている。しかし、酸化物、酸硫化物は還元雰囲気では酸素欠陥を生じやすく、ハロゲン化物は潮解性が高いものが多い等、それぞれ固有の問題を有している。
<放射線検出装置>
本発明に係るシンチレータは、放射線検出装置に好適に適用することができる。
放射線検出装置は、本発明に係るシンチレータと、このシンチレータから出射される光を検出するための光検出器とを含むものであることができる。
光検出器としては、光電子増倍管、半導体受光素子等が挙げられる。中でも、製造コストの観点から、光検出器は、シリコン受光素子であることが好ましい。
シンチレータを備える放射線検出装置の用途は多岐にわたる。該用途の例は、空港での手荷物検査や医療用画像診断等である。光検出器として位置敏感型の受光素子を用いれば、放射線透過像の撮像装置としても使用することができる。
以下、実験例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実験例1〜96>
(1)シンチレータの作製
原料粉末として、デンカ株式会社製の窒化ケイ素Si(商品名:SN−9FWS)、及び、株式会社高純度化学研究所製の各種ランタノイド酸化物(La、Gd、Lu、CeO、Eu、Tb、いずれも純度99.9質量%)を用意した。
窒化ケイ素粉末と上記ランタノイド酸化物粉末の1種又は2種とを、配合組成物が表1に示されるとおりとなるように混合した後、粒径10mmの窒化ケイ素ボールを原料粉末と同じ体積になるように加え、さらにエタノールを全体で原料粉末の約1.5倍の体積となるように加え、ボールミルにより60時間混合した。
得られたスラリーをエバポレーターで乾燥後、乳鉢と乳棒を用いて粉砕した。その後、目開き425μmのふるいを通して分級することによって、シンチレータ形成用組成物を得た。
ついで、シンチレータ形成用組成物を、20MPaの条件でプレス成形して、円柱形状(直径10mm×高さ4mm)の成形体を得た。
得られた成形体を、窒素雰囲気中、0.9MPa、1725℃、4時間の条件で常圧焼結して、円柱形状のシンチレータ(焼結体)を得た。
得られたシンチレータについて、X線回折法により、結晶構造を確認したところ、実験例1〜48のシンチレータは、式(1)で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスで構成されるシンチレータであった。また、実験例49〜96のシンチレータは、式(2)で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスで構成されるシンチレータであった。
実験例1〜48においては、式(1)で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを形成するために、シンチレータ形成用組成物において、窒化ケイ素粉末とランタノイド酸化物粉末とを、ケイ素元素とランタノイド元素との比が原子数比で3:1となるように混合した。
実験例49〜96においては、式(2)で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを形成するために、シンチレータ形成用組成物において、窒化ケイ素粉末とランタノイド酸化物粉末とを、ケイ素元素とランタノイド元素との比が原子数比で2:1となるように混合した。
なお、事前の検討によりランタノイド元素及び焼結助剤を添加せずに上記と同条件で焼結体を作製した場合には、焼結性が悪いためか、十分な機械的強度の焼結体は得られなかった。すなわち、得られた焼結体を紙にこすりつけると、比較的容易に崩れる部分が生じた。一方、実験例1〜96の焼結体は、シンチレーター性能を評価するのに十分な機械的強度を有していた。
(2)シンチレータの評価
上で得られたシンチレータについて、シンチレータ性能を評価した。シンチレータ性能は、シンチレータへのX線照射によって生じる蛍光の発光強度を測定することによって評価した。具体的には次のとおりである。
放射線源としてX線発生器(Spellman社製、Monoblock XRB80P & N200X4550)を用い、管電圧を80kV、管電流を1.2mAとし、空気吸収線量で1Gy(グレイ)に相当する量のX線をシンチレータに照射した。
シンチレータからの発光を、X線を照射した面とは反対側の面から、光ファイバー(三菱電線社製、材質STU)により伝搬させ、分光器(ANDOR社製、SR163i−UV)、シリコン受光素子からなるCCD(ANDOR社製、DU920P−BU2NC型)を用いて波長分解して受光することによって、測定波長範囲を200〜700nm、波長ステップを0.5nmとする発光スペクトルを測定した。
得られた発光スペクトルから、測定時間1秒あたりのカウント値(単位:counts
per second、cps)を200〜700nmの範囲で積算し、これを発光強度とした。実験例1〜96のシンチレータの発光強度を表1及び表2に示す。
上記と同じ測定条件で、シンチレータを設置せずにスペクトルを測定し、約200〜700nmの波長範囲で波長ごとのカウント値を積算した。この測定を合計10回行い、10個の積算値の平均値を計算したところ、約11cpsであった。そのため、11cpsをバックグラウンドレベルとし、このバックグラウンドレベルに対して十分に高い発光強度が得られているかどうかによって、シンチレータ性能を評価した。
図1、図2は、それぞれ実験例3、52のシンチレータにX線を照射したときの発光スペクトルを示す図である。図1、図2より、実験例3、52のシンチレータは、X線照射により、それぞれピーク波長約460nm、約480nmで発光していることがわかる。
実験例3のシンチレータの組成は(La0.99Ce0.01)Siであり、実験例52のシンチレータの組成は(La0.95Ce0.05Si11である。
Figure 2020012038
Figure 2020012038
表1及び表2より、実験例1〜96のシンチレータはいずれも、バックグランドレベル(11cps)以上の発光強度を示した。とりわけ、xが0.001〜0.1の範囲であるシンチレータは、バックグランドレベルよりも有意に高い発光強度を示した。
xがゼロである実験例1及び実験例49のシンチレータは、母材由来の発光に起因して比較的高い発光強度を示したが、第2のランタノイド元素Lをさらに添加した方がさらに高い発光強度を示し得ることがわかった。
ランタノイド元素の添加量に応じてシンチレータの発光強度が変化する原因は明らかではないが、ランタノイド元素の添加による窒化物セラミックスの焼結性の変化が影響している可能性がある。
なお、上記非特許文献1には、Eu元素を含む窒化ケイ素粉末のフォトルミネッセンス特性が示されているが、粉末体のフォトルミネッセンス特性に基づいて、ランタノイド元素を含む窒化物セラミックスのバルク体の作製可否やシンチレータ性能を予測することは不可能である。
本発明に係るシンチレータは、単結晶シンチレータ等の従来のシンチレータに代わる、良好なシンチレータ性能及び良好な生産性を有し得る新たなシンチレータとして期待される。本発明に係るシンチレータは、放射線検出装置に搭載するシンチレータとして好適である。

Claims (6)

  1. 第1のランタノイド元素と、第1のランタノイド元素とは異なる第2のランタノイド元素とを含有する窒化物セラミックスを含むシンチレータ。
  2. 式(1):
    (L 1−x )Si (1)
    [式中、Lは第1のランタノイド元素であり、Lは第2のランタノイド元素であり、LとLとは互いに異なる元素である。xは、0.001〜0.2である。]
    で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを含む、シンチレータ。
  3. 式(2):
    (L 1−x Si11 (2)
    [式中、Lは第1のランタノイド元素であり、Lは第2のランタノイド元素であり、LとLとは互いに異なる元素である。xは、0.001〜0.2である。]
    で表されるランタノイド元素含有窒化物セラミックスを含む、シンチレータ。
  4. 第1のランタノイド元素がランタン、ガドリニウム又はルテチウムであり、第2のランタノイド元素がセリウム、ユーロピウム又はテルビウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンチレータ。
  5. 第1のランタノイド元素を有する物質と、第2のランタノイド元素を有する物質と、窒化物セラミックスとを含む組成物の焼結体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシンチレータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のシンチレータと、
    前記シンチレータから出射される光を検出するための光検出器と、
    を含む、放射線検出装置。
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