JP2020011949A - メラニン生成抑制剤、及びメラニン生成抑制剤の製造方法 - Google Patents

メラニン生成抑制剤、及びメラニン生成抑制剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】肌荒れや、シミ、ソバカス等の色素沈着を効果的に予防、治療することができるメラニン生成抑制剤を提供し、該メラニン生成抑制剤を含有する美白用又は毛髪色素低減用飲食品及び化粧料を提供し、並びに安価で安全かつ簡単に処置又は摂取可能なメラニン生成抑制剤の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】ヌマダイコン属植物の抽出物を有効成分として含むことを特徴とするメラニン生成抑制剤。ヌマダイコン属植物を水、有機溶媒又は含水有機溶媒で抽出することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、メラニン生成抑制剤、及びメラニン生成抑制剤の製造方法に関する。
現代社会の生活レベルの向上と、美容、健康に対する関心の増加に伴い、化粧品、健康食品、栄養補助食品等による皮膚の改善、生活習慣病の改善などの要望が高まってきている。このような理由により、皮膚の美白、皮膚の保護、皮膚の老化予防、血糖値増加の抑制、血中脂質の低減などの幅広い改善作用のある安全な植物素材のスクリーニングが精力的に行われている。
メラニン生成抑制作用を示すものとしては、植物等の抽出物を用いるものが多く報告されており、例えばトウセンダン、ソウカ、セネシオグラシリス、及びコクリロの抽出物が、チロシナーゼ活性の抑制作用を備え、美白作用に有効であることが報告されている(特許文献1)。また、カカオニブ、カカオマス、ココア、及びこれらの抽出物が、メラニンの生成抑制作用を備え、シミ、ソバカス等の色素沈着の予防や治療に有効であることが報告されている(特許文献2)。皮膚保護作用を示すものとしては、ブドウ種子抽出物が、紫外線によって引き起こされる皮膚障害を低減することが報告されている(特許文献3)。高麗人参は、抗動脈硬化、免疫機能調整作用などの生活習慣病の改善、皮膚の美白や、皮膚の老化抑制などの皮膚の改善効果をもたらすことが開示されている(特許文献4)。
特開2010−195732号公報 特開2007−15943号公報 特開2008−88188号公報 特開2016−164145号公報
特許文献1及び2には、メラニン生成を抑制する作用があることが開示され、特許文献3には皮膚を保護する成分が開示されて、一部の食品、化粧品、医薬品等の各種製品に配合されて実用化されているものもある。しかしながら、従来報告されている成分では、メラニン生成抑制作用、皮膚保護作用、及びその安定性については、必ずしも満足のいくものではなかった。また、特許文献1乃至3は、メラニン抑制効果や皮膚改善効果のみであり、生活習慣病など幅広い用途をもたらすものではなかった。特許文献4には、高麗人参に生活習慣病や、皮膚の改善作用等の幅広い用途が開示されているが、高麗人参は、非常に高価なものであり、気軽に利用できるものではなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、少量でかつ簡単な処置又は摂取方法によって、優れたメラニン生成抑制作用、好中球エラスターゼ抑制作用、細胞間接着保護作用、血糖値低減作用、及び血中脂質異常抑制作用等の幅広い用途を備えた剤を提供することを目的とする。さらに、当該剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、キク科(Asteraceae)ヌマダイコン属植物(Adenostemma)またはその抽出物が、メラニンの生成の抑制作用、好中球エラスターゼの抑制作用、紫外線の曝露、青色光の曝露等による細胞間接着の破壊の保護作用、血糖値低減作用、血中脂質異常の抑制作用を有していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
ヌマダイコン属植物の抽出物を有効成分とすることを特徴とするメラニン生成抑制剤。
[発明2]
抽出物が葉から抽出したものであることを特徴とする発明1に記載のメラニン生成抑制剤。
[発明3]
メラニン生成抑制剤が経口剤であることを特徴とする発明1又は2に記載のメラニン生成抑制剤。
[発明4]
ヌマダイコン属植物がヌマダイコン又はオカダイコンであることを特徴とする発明1乃至3のいずれか1の発明に記載のメラニン生成抑制剤。
[発明5]
発明1〜4に記載のメラニン生成抑制剤の少なくとも1つを含有することを特徴とする美白用又は毛髪色素低減用飲食品。
[発明6]
発明1〜4に記載のメラニン生成抑制剤の少なくとも1つを含有することを特徴とする美白用又は毛髪色素低減用化粧剤。
[発明7]
ヌマダイコン属植物を水、有機溶媒又は含水有機溶媒で抽出することを特徴とするメラニン生成抑制剤の製造方法。
[発明8]
ヌマダイコン属植物を水で抽出することを特徴とする発明7に記載のメラニン生成抑制剤の製造方法。
[発明9]
ヌマダイコン属植物の抽出物を加熱処理することを特徴とする発明7又は8に記載のメラニン生成抑制剤の製造方法。
[発明10]
ヌマダイコン属植物がヌマダイコン又はオカダイコンであることを特徴とする発明7乃至9いずれか1の発明に記載のメラニン生成抑制剤の製造方法。
本発明に係るメラニン生成抑制剤は、ヌマダイコン属植物から得られる有効成分を含有しているため、安全性に問題の無いメラニン生成抑制作用を有している。このようなメラニン生成抑制剤は、低コストで、安全性が高く、副作用の少ない飲食品、医薬品、又は医薬部外品に利用することができる。
本発明に係るメラニン生成抑制剤は、簡単で、低コストな方法で製造することができる。
図1はヌマダイコン及びオカダイコンの水抽出物の濃度とメラニン生成抑制効果との関係を目視で示す図である。 図2はヌマダイコン及びオカダイコンの水抽出物の濃度とメラニン生成抑制効果との関係を吸光度で示した図である。 図3はヌマダイコン及びオカダイコンの抽出物の抽出法の違いによるメラニン生成抑制効果を目視で示した図である。 図4はヌマダイコン及びオカダイコンの抽出物の抽出法の違いによるメラニン生成抑制効果を吸光度で示した図である。 図5は、ヌマダイコン抽出物の抽出法の違いによるメラニン生成抑制効果を示した図である。 図6は、ヌマダイコン抽出物の抽出法の違いによる細胞毒性を示した図である。 図7は、ヌマダイコン抽出物の精製過程の違いによる細胞毒性を示した図である。 図8は、ヌマダイコンの水抽出物の熱安定性を示した図である。 図9は、ヌマダイコンの水抽出物の精製方法の違いによるメラニン生成抑制効果を評価した図である。 図10は、ヌマダイコンの水抽出物の細胞間接着保護効果を電気抵抗で示した図である。 図11は、ヌマダイコン及びオカダイコンの水抽出物の好中球エラスターゼ抑制効果をmRNAの発現量で示したグラフである。 図12は、ヌマダイコン及びオカダイコンの水抽出物の好中球エラスターゼ抑制効果をウエスタンブロッティングで示した写真である。 図13は、ヌマダイコンの水抽出物の血糖値低減効果を示すグラフである。 図14は、ヌマダイコンの水抽出物のコレステロール低減効果を示すグラフである。 図15は、ヌマダイコンの水抽出物とヒアルロニダーゼ活性阻害剤との細胞間接着保護作用を比較したグラフである。 図16は、ヌマダイコンの葉におけるメラニン生成抑制効果を示した図である。 図17は、ヌマダイコンの葉抽出物のマウスによるメラニン生成抑制効果を示した図である。 図18は、ヌマダイコン及びアマクサシダのメラノーマ細胞を用いたメラニン生成抑制効果を比較した図である。 図19は、ヌマダイコン及びアマクサシダのメラノーマ細胞を用いたメラニン生成抑制効果を比較したグラフである。 図20は、ヌマダイコン及びアマクサシダのマウスによるメラニン生成抑制効果を比較したグラフである。
本発明の細胞間接着保護剤、メラニン生成抑制剤、血糖値低減剤、好中球エラスターゼ抑制剤、及び血中脂質異常抑制剤は、ヌマダイコン属植物(Adenostemma)又はその抽出物を有効成分として含有する。ここで、抽出物には、単一成分または単一成分に近い画分にまで精製された精製物も含まれる。
ヌマダイコン属植物は、日本を含む東アジア、東南アジア、インド、オーストラリア等に広く分布し、10種類ほどが知られている。日本では、本州(東北地方以西)、四国、九州、沖縄に多くみられる。日本では、これまでヌマダイコン属植物は1種類とされていたが、痩果が平滑なオカダイコンと疣状のヌマダイコンが別変種として分けられるようになった。
本発明に利用されるヌマダイコン属植物の品種としては、ヌマダイコン属に含まられる植物であれば特に限定はされないが、ヌマダイコン(A.lavenia(L.)Kuntze var.labenia)、オカダイコン(A.lavenia(L.)Kuntze var.madurense)、コバナヌマダイコン(A.lavenia var.parviflorum)、A.tinctrium、A.viscosum等が挙げられる。
ヌマダイコン属植物は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、ヌマダイコン及び/又はオカダイコンを用いることが好ましい。ヌマダイコンは、日本では本州の関東以西から四国・九州・沖縄に分布し、暖地の湿地に生息する。オカダイコンは、山地の林縁などヌマダイコンよりやや乾いた場所に生息している。
本発明において、ヌマダイコン属植物をそのまま用いる場合、その調整方法は特に限定されるものではない。ヌマダイコン属植物は、生のヌマダイコン属植物を粉砕して、その粉砕物をそのまま用いてもよく、ヌマダイコン属植物の全草又は一部を乾燥させた乾燥物としてもよく、その乾燥物を裁断、破砕、又は粉砕して粉末物に調整してもよい。ヌマダイコン属植物の乾燥物又は粉末は、例えば、お水やお湯で抽出して用いることができる。
ヌマダイコン属植物を調整する際に、葉部、茎部、根部、花部、種子のそれぞれを別々に調整してもよく、その中から2以上の部位を組み合わせてもよい。好ましい部位としては、葉部および茎部であり、さらに好ましくは葉部である。
ヌマダイコン属植物の抽出物を細胞間接着保護剤、メラニン生成抑制剤、血糖値低減剤、好中球エラスターゼ抑制剤、及び血中脂質異常抑制剤として用いる場合には、ヌマダイコン属植物の抽出物をそのまま用いてもよく、適宜に希釈又は濃縮して用いてもよい。ヌマダイコン属植物の抽出物を得る際には、加工していない植物体をそのまま用いてもよく、植物を冷蔵、凍結、又は乾燥したものを用いてもよい。
抽出に用いるヌマダイコン属植物の部位は、特に限定はされないが、葉部、茎部、根部、花部、種子が挙げられ、好ましくは葉部、茎部、又はこれらの組み合わせであり、さらに好ましくは葉部である。
ヌマダイコン属植物の抽出に用いる溶媒としては、水、有機溶媒、又は含水有機溶媒が用いられる。これら溶媒を用いることにより、ヌマダイコン属植物から水抽出物、有機溶媒抽出物、又は含水有機溶媒抽出物を得ることができる。抽出溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、ブチルアルコール等の低級アルコール類;ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等を挙げることができるが、好ましくは水、エタノール、又は含水エタノールであり、さらに好ましくは水、又は含水エタノールである。エタノールを用いる場合の濃度は、特に限定はされないが、例えば、20%以下、好ましくは10%以下の濃度で用いることである。これにより、安全性の高い抽出物を得ることができる。
ヌマダイコン属植物の抽出方法としては、特に限定はされないが、例えば、加工していないヌマダイコン属植物の全草又は一部、あるいはヌマダイコン属植物の全草又は一部の乾燥物等の加工したものを抽出溶媒に浸漬したのち、室温乃至加熱処理条件において一定時間静置してヌマダイコン属植物の抽出物を得てもよいし、加工していないヌマダイコン属植物の全草又は一部、あるいはヌマダイコン属植物の全草又は一部の乾燥物等の加工したものを破砕、粉砕等したものに抽出溶媒を添加して攪拌しながら、室温乃至加熱処理条件において一定時間処理後、ヌマダイコン属植物の抽出物を得る方法等が挙げられる。
抽出条件は、特に限定はされないが、ヌマダイコン属植物の乾燥物を、例えば5〜100℃で溶媒に浸漬する方法を採用することができる。抽出温度は、適切な抽出物の収量が得られる限り特に限定はされないが、例えば、20%エタノール等の含水アルコールを用いた場合は5〜100℃である。また、抽出溶媒として水を用いた場合、抽出温度は5〜100℃とすることができ、好ましくは20〜70℃であり、さらに好ましくは20〜50である。抽出時間は、適切な抽出物の収量が得られる限り特に限定はされないが、例えば、1〜240時間、好ましくは1〜48時間、より好ましくは2〜12時間である。抽出は通常常圧下で行われるが、加圧下で行うことも可能である。加圧下であれば、120℃でも可能である。溶媒の添加量は、適切な抽出物の収量が得られる限り特に限定はされないが、ヌマダイコン属植物の乾燥粉末1質量部に対して、抽出溶媒を1〜100質量部、好ましくは30〜50質量部を添加することである。
得られたヌマダイコン属植物の抽出物を活性炭処理や、酸処理等を行うことにより不純物を簡単に除去し、細胞間接着保護剤、メラニン生成抑制剤、血糖値低減剤、好中球エラスターゼ抑制剤、及び血中脂質異常抑制効果剤を精製することができ、安全性を高めることができる。
得られたヌマダイコン属植物の抽出物は、さらに精製処理を行うことにより精製物とすることができる。精製処理には、シリカゲル、液々分配法、イオン交換樹脂、吸着クロマトグラフィー、又は分配クロマトグラフィー等を用いて行うことができるが、好ましくは、シリカゲル、イオン交換樹脂である。
得られたヌマダイコン属植物の抽出物は、加熱処理に対しても安定した活性を維持することができるため、他の物質を不活性化にして安全性を高めたり、抽出物を使用した製品を滅菌処理する際に有利である。
[用途]
皮膚異常をもたらすケラチノサイトの構造異常はケラチノサイトの細胞間接着の破壊に由来し、シミそばかすの原因となるメラニン生成は、チロシナーゼにより必須アミノ酸であるチロシンからドーパキノンを合成し、そのドーパキノンが酸化、重合することで生成する。本発明のヌマダイコン属植物又はその抽出物は、太陽光等による紫外線の曝露、コンピュータ、スマートフォン等のディスプレイからの青色光の曝露によるケラチノサイトの細胞間接着の破壊を防ぐ細胞間接着保護剤としての効果を有し、さらに、皮膚表皮下部に存在するメラノサイト内において、メラニンの過剰生産を抑制する効果を有し、肌荒れや、シミ、ソバカス等の色素沈着の予防、改善、及び治療に用いることができる。本発明のヌマダイコン属植物又はその抽出物は、医薬的な用途のみならず非医薬的な用途としても用いられ得、これらの疾患の患者や、これらの疾患の予防を意識する健常者に向けられる飲食品においても好適に利用され得る。
本発明のヌマダイコン属植物又はその抽出物は、好中球エラスターゼの発現を抑制する好中球エラスターゼ抑制剤としての効果を有しているため、抗しわ剤、抗慢性閉塞性肺疾患剤(抗COPD)、抗自己免疫疾患剤、抗虚血再灌流障害剤、として機能する。したがって、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、自己免疫疾患、虚血再灌流障害の予防、改善、及び治療に用いることができる。本発明のヌマダイコン属植物又はその抽出物は、医薬的な用途のみならず非医薬的な用途としても用いられ得、これらの疾患の患者や、これらの疾患の予防を意識する健常者に向けられる飲食品においても好適に利用され得る。
好中球エラスターゼは、生理的状態では、好中球内で、貪食した細菌や異物を、消化、分解し、好中球外では、エラスチン、コラーゲン(III型、IV型)、フィブロネクチン、免疫グロブリン、血液凝固第XIII因子などを分解し、傷を負った細胞などを分解して傷を治す役割を担っている。しかし、病的状態になり、好中球エラスターゼが過剰に放出されると、自己の組織に障害を引き起こすことがある。好中球エラスターゼが関与するものとしては、皮膚のしわや、重篤なものとしてはCOPD、自己免疫疾患、虚血再灌流障害等が挙げられる。
本発明のヌマダイコン属植物又はその抽出物は、優れた生活習慣病に対する効果を有し、例えば、肥満の予防、改善、及び治療に用いることができる。本発明のヌマダイコン属植物又はその抽出物は、血中のグルコースを低下させるため、血糖値低減剤として機能する。したがって、糖尿病の予防、改善、及び治療に用いることができる。さらに、本発明のヌマダイコン属植物又はその抽出物は、血中のコレステロールを低下させるため、血中脂質異常抑制剤として機能する。したがって、血中の脂質異常の予防、改善、及び治療に用いることができる。本発明のヌマダイコン属植物又はその抽出物は、医薬的な用途のみならず非医薬的な用途としても用いられ得、これらの疾患の患者や、これらの疾患の予防を意識する健常者に向けられる飲食品においても好適に利用され得る。
[化粧料]
化粧料は本発明の細胞間接着保護剤、メラニン生成抑制剤、及び/又は好中球エラスターゼ抑制剤を有効成分とし、薬学的に許容される基材や担体と組み合わせて提供される。化粧料には、薬学的に許容される限度において、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、着色剤、香料、増粘剤、殺菌剤、細胞賦活剤、抗炎症剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
化粧料として、具体的には、乳液、クリーム、クレンジング、パック、オイルリキッド、マッサージ料、美容液、洗浄剤、脱臭剤、ハンドクリーム、リップクリーム等のスキンケア化粧料;メイクアップ下地、白粉、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅等のメイクアップ化粧料;制汗剤、日焼け止め乳液や日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料、皮膚外用剤等が挙げられ、医薬部外品として使用されるものも含まれる。
化粧料における細胞間接着保護剤、メラニン生成抑制剤、及び/又は好中球エラスターゼ抑制剤の配合割合は、その有効量や、化粧料の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、化粧料の総量に対して、0.001〜10質量%であり、好ましくは0.001〜1質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。
[美白化粧剤]
美白化粧剤は本発明のメラニン生成抑制剤を有効成分とし、薬学的に許容される基材や担体と組み合わせて提供される。美白化粧剤には、薬学的に許容される限度において、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、着色剤、香料、増粘剤、殺菌剤、細胞賦活剤、抗炎症剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
美白化粧剤におけるメラニン生成抑制剤の配合割合は、その有効量や、美白化粧剤の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、美白化粧剤の総量に対して、0.001〜20質量%であり、好ましくは0.001〜10質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。
[皮膚保護剤]
皮膚保護剤は本発明の細胞間接着保護剤を有効成分とし、薬学的に許容される基材や担体と組み合わせて提供される。皮膚保護剤には、薬学的に許容される限度において、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、着色剤、香料、増粘剤、殺菌剤、細胞賦活剤、抗炎症剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
皮膚保護剤における細胞間接着保護剤の配合割合は、その有効量や、皮膚保護剤の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、皮膚保護剤の総量に対して、0.001〜20質量%であり、好ましくは0.001〜10質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。
[入浴剤]
入浴剤は本発明の細胞間接着保護剤、メラニン生成抑制剤、及び/又は好中球エラスターゼ抑制剤を有効成分とし、薬学的に許容される基材や担体と組み合わせて提供される。入浴剤には、薬学的に許容される限度において、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、着色剤、香料、増粘剤、殺菌剤、細胞賦活剤、抗炎症剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
入浴剤における細胞間接着保護剤、メラニン生成抑制剤、及び/又は好中球エラスターゼ抑制剤の配合割合は、その有効量や、入浴剤の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、入浴剤の総量に対して、0.001〜20質量%であり、好ましくは0.001〜10質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。
[抗しわ剤]
抗しわ剤は本発明の好中球エラスターゼ抑制剤を有効成分とし、薬学的に許容される基材や担体と組み合わせて提供される。抗しわ剤には、薬学的に許容される限度において、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、着色剤、香料、増粘剤、殺菌剤、細胞賦活剤、抗炎症剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
抗しわ剤における好中球エラスターゼ抑制剤の配合割合は、その有効量や、抗しわ剤の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、抗しわ剤の総量に対して、0.001〜20質量%であり、好ましくは0.001〜10質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。
[抗慢性閉塞性肺疾患剤]
抗慢性閉塞性肺疾患剤は本発明の好中球エラスターゼ抑制剤を有効成分とし、薬学的に許容される基材や担体と組み合わせて提供される。抗慢性閉塞性肺疾患剤には、薬学的に許容される限度において、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、着色剤、香料、増粘剤、殺菌剤、細胞賦活剤、抗炎症剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
抗慢性閉塞性肺疾患剤における好中球エラスターゼ抑制剤の配合割合は、その有効量や、抗慢性閉塞性肺疾患剤の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、抗慢性閉塞性肺疾患剤の総量に対して、0.001〜50質量%であり、好ましくは0.001〜10質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。
[抗自己免疫疾患剤]
抗自己免疫疾患剤は本発明の好中球エラスターゼ抑制剤を有効成分とし、薬学的に許容される基材や担体と組み合わせて提供される。抗自己免疫疾患剤には、薬学的に許容される限度において、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、着色剤、香料、増粘剤、殺菌剤、細胞賦活剤、抗炎症剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
抗自己免疫疾患剤における好中球エラスターゼ抑制剤の配合割合は、その有効量や、抗自己免疫疾患剤の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、抗自己免疫疾患剤の総量に対して、0.001〜50質量%であり、好ましくは0.001〜10質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。
[抗虚血再灌流障害剤]
抗虚血再灌流障害剤は本発明の好中球エラスターゼ抑制剤を有効成分とし、薬学的に許容される基材や担体と組み合わせて提供される。抗虚血再灌流障害剤には、薬学的に許容される限度において、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、着色剤、香料、増粘剤、殺菌剤、細胞賦活剤、抗炎症剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
抗虚血再灌流障害剤における好中球エラスターゼ抑制剤の配合割合は、その有効量や、抗虚血再灌流障害剤の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、抗虚血再灌流障害剤の総量に対して、0.001〜50質量%であり、好ましくは0.001〜10質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。
[飲食品]
飲食品は本発明の細胞間接着保護剤及び/又はメラニン生成抑制剤を有効成分として配合することが可能である。これらの飲食品は、皮膚保護、美白効果のために用いられる飲食品として用いることも可能である。また、これらの飲食品は機能性飲料又は機能性食品として提供することも可能である。機能性食品には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、老人用食品、健康補助食品(バランス栄養食、サプリメント)等が挙げられる。
飲食品は本発明の血糖値低減剤及び/又は血中脂質異常抑制剤を有効成分として配合することが可能である。これらの飲食品は、肥満改善、生活習慣病改善のために用いられる飲食品として用いることも可能である。また、これらの飲食品は機能性飲料又は機能性食品として提供することも可能である。機能性食品には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、老人用食品、健康補助食品(バランス栄養食、サプリメント)等が挙げられる。
飲食品は本発明の好中球エラスターゼ抑制剤を有効成分として配合することが可能である。これらの飲食品は、しわ改善、皮膚改善のために用いられる飲食品として用いることも可能である。また、これらの飲食品は機能性飲料又は機能性食品として提供することも可能である。機能性食品には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、老人用食品、健康補助食品(バランス栄養食、サプリメント)等が挙げられる。
食品としては、例えば、穀類、いも類、魚介類、肉類、卵類、油脂類、乳類、野菜類、豆類、果実類、砂糖類、海藻類、菓子類、調味料類、調理加工食品類等が挙げられる。
加工食品としては、特に限定はされないが、例えば、ちくわ、かまぼこ等の水産加工品;ハムやソーセージ等の畜産加工品;クッキー、ビスケット、スナック、チョコレート、ケーキ等の菓子;そば、うどん、生麺、中華麺、パスタ等の麺類;食パン、菓子パン等のパン;納豆、味噌等の発酵加工食品;豆腐、おから等の大豆食品;浅漬け、糠漬け等の漬け物、水産品、加工肉、野菜、果物等の缶詰;バター、マーガリン、ヨーグルト、チーズ、牛乳等の乳製品;アイスクリーム、シャーベット等の冷菓食品等が挙げられる。
飲料としては、特に限定はされないが、例えば、ヌマダイコン属植物そのものをお茶とする飲料、お茶の葉の代用としての焙煎乾燥物、果汁飲料、野菜ジュース、フレーバー入り飲料、希釈用果実飲料等の果実飲料;炭酸飲料;コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料、ココア飲料、紅茶、緑茶、抹茶、烏龍茶、麦茶、ほうじ茶等の嗜好飲料;食酢飲料;スポーツドリンク等の清涼飲料水;牛乳;乳飲料;乳性飲料;乳酸飲料;乳酸菌飲料;豆乳、調製豆乳等の大豆飲料;ビール、日本酒、焼酎、リキュール、ワイン等のアルコール飲料;タウリン、ローヤルゼリー、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、鉄分等を含む栄養飲料等が挙げられる。
本発明の細胞間接着保護剤、メラニン生成抑制剤、血糖値低減剤、好中球エラスターゼ抑制剤、及び血中脂質異常抑制剤の少なくとも1つを有効成分として含有する飲食料品に適用する場合のヌマダイコン属植物又はその抽出物の含有量は、特に限定はされないが、固形分換算で、ヒト及び動物であれば、一般に1日あたり0.00001〜1000mg/kg体重であり、好ましくは0.01〜200mg/kg体重であり、より好ましくは0.1〜100mg/kg体重である。
[医薬品、医薬部外品]
医薬品や医薬部外品は、本発明の細胞間接着保護剤及び/又はメラニン生成抑制剤を有効成分として配合することが可能である。医薬品や医薬部外品は、適宜の形態に製剤化し、任意の投与形態でヒト又は動物に投与することができる。投与形態としては、特に限定はされないが、例えば、経口、経皮、経腸、経粘膜、注射などが挙げられる。
医薬品や医薬部外品は、血糖値低減剤及び/又は血中脂質異常抑制剤を有効成分として配合することが可能である。医薬品や医薬部外品は、適宜の形態に製剤化し、任意の投与形態でヒト又は動物に投与することができる。投与形態としては、特に限定はされないが、例えば、経口、経皮、経腸、経粘膜、注射などが挙げられる。
医薬品や医薬部外品は、好中球エラスターゼ抑制剤を有効成分として配合することが可能である。医薬品や医薬部外品は、適宜の形態に製剤化し、任意の投与形態でヒト又は動物に投与することができる。投与形態としては、特に限定はされないが、例えば、経口、経皮、経腸、経粘膜、注射などが挙げられる。
経口投与で投与される剤型としては、例えば、丸剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤等が挙げられる。
非経口投与する場合は、例えば、静脈内注射、筋肉注射剤、経皮吸収剤、吸入薬、坐剤、点眼剤、点鼻剤等が挙げられる。
これらの各種製剤は、通常用いられている賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、希釈剤などの医薬上許容できる担体を用いて、常法により製造することができる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、コーンスターチ、ぶどう糖、ソルビット、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロースなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、ジメチルセルロース、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、結合セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイドシリカ、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
本発明の細胞間接着保護剤、メラニン生成抑制剤、血糖値低減剤、好中球エラスターゼ抑制剤、及び血中脂質異常抑制剤の少なくとも1つを含有する医薬品や医薬部外品に適用する場合のヌマダイコン属植物又はその抽出物の含有量は、特に限定はされないが、固形分換算で、ヒト及び動物であれば、一般に1日あたり0.00001〜1000mg/kg体重であり、好ましくは0.01〜200mg/kg体重であり、より好ましくは0.1〜100mg/kg体重である。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[ヌマダイコン属植物抽出物のメラニン生成抑制効果の評価]
(ヌマダイコン属植物の抽出法)
ヌマダイコン属植物であるヌマダイコン、オカダイコンのそれぞれの葉を、換気・循環型乾燥用恒温器(SANYO社製、型番MOV−1125)を用いて40℃で2日間温風乾燥した。乾燥した葉は、卓上粉砕機(株式会社東京ユニコム、型番T−351)を用いて粉末化した。ヌマダイコン及びオカダイコンのそれぞれの粉末乾燥葉1gを、10mlの水に浸漬し、23℃で、12時間抽出を行った。その後、フィルター濾過を行い、8mlのヌマダイコン及びオカダイコンのそれぞれの抽出物を回収した。回収したヌマダイコン及びオカダイコンのそれぞれの抽出物について、メラニン生成抑制を評価した。それぞれの抽出物を評価するために、メラニン産生細胞であるB16F10メラノーマ細胞を使用し、培養後のB16F10メラノーマ細胞のメラニン生成量を目視観察及び吸光度で評価した。
(B16F10メラノーマ細胞の培養)
メラニン生成量の評価を行うために、メラニン産生細胞であるB16F10メラノーマ細胞の培養を行った。以下にB16F10メラノーマ細胞の培養方法を示す。
(1)6穴−ディッシュに、メラニン産成細胞であるB16F10メラノーマ細胞(JCRB細胞バンク、細胞登録番号:JCRB0202)を5×10細胞(2ml/ウェル)となるように播種し、2mlの前培養培地を添加後、37℃、5%二酸化炭素気流下で1日間培養した。
前培養培地:10%FCS(ウシ胎児血清)含有DMEM High Glucose培地(抗生物質MIX(和光純薬工業株式会社製)を終濃度が1Xになるように添加)を使用した。
(2)(1)で培養したB16F10メラノーマ細胞の前培養培地を除去した後、2mlのB16F10メラノーマ細胞の処理用培地を添加して72時間培養した。
(3)(2)で培養したB16F10メラノーマ細胞を、リン酸緩衝溶液(PBS)で洗浄し、1.5mlのエッペンドルフチューブに回収して、細胞の色を目視により比較した。
処理用培地:前培養と同じ培地に、ヌマダイコン及びオカダイコンのそれぞれの抽出物を1000倍希釈及び3000倍希釈となるように添加した(容量比)。各試験サンプルには、フォルスコリン(FSK)を20μM(最終濃度)、DMSOを0.2%(最終濃度)となるように添加した。FSKは、B16F10メラノーマ細胞のαメラニン細胞刺激ホルモン(αMSH)と同様にシグナル誘導を生じさせ、メラニン合成を促進させる物質である。
ブランク用処理用培地(−):上記処理用培地にヌマダイコン及びオカダイコン抽出物を無添加とした。
コントロール用処理用培地:上記処理用培地にヌマダイコン抽出物、オカダイコン抽出物及びFSKを無添加とした。
(メラニンの測定)
回収した各B16F10メラノーマ細胞からメラニンを抽出した。メラニンの抽出方法を以下に示す。
(1)タンパク質量を合わせた各試験サンプルからPBSを除去し、300μlの1N NaOHを加え、細胞の破片が見えなくなるまでホモジナイズした。
(2)各試験サンプルを45℃、2時間でインキュベートした。
(3)各試験サンプルにメタノール:クロロホルム(1:2)混合溶液を100μl加え、撹拌し、メラニンを抽出した。
(4)1200rpm、10分で遠心分離し、上清を回収し、メラニン抽出液を得た。
(5)メラニン抽出液100μlを、96穴プレートに分注し、405nmの吸光度を測定した。
図1はヌマダイコン及びオカダイコンの水抽出物の濃度とメラニン生成抑制効果との関係を目視で示す図であり、図2はヌマダイコン及びオカダイコンの水抽出物の濃度とメラニン生成抑制効果との関係を吸光度で示した図である。図1及び図2に示されているように、ヌマダイコン及びオカダイコンのそれぞれの抽出物を3000倍に希釈してもメラニン生成抑制が存在することが確認された。
[ヌマダイコン属植物からの抽出法の評価]
ヌマダイコン属植物であるヌマダイコン、オカダイコンのそれぞれの粉末乾燥葉1gを、10mlの水:エタノール混合液(水:エタノール0%、80%、90%、100%)に浸漬し、23℃で、72時間抽出を行った。その後、フィルター濾過を行い、8mlのヌマダイコン及びオカダイコンのそれぞれの抽出物を回収した。回収したヌマダイコン及びオカダイコンのそれぞれの抽出物について、メラニン生成抑制を評価した。それぞれの抽出物を評価するために、メラニン産生細胞であるB16F10メラノーマ細胞を使用し、培養後のB16F10メラノーマ細胞のメラニン生成量を目視観察により行った。B16F10メラノーマ細胞の培養は、上記方法と同じ方法を使って培養を行い、ヌマダイコン及びオカダイコンそれぞれの抽出物を1000倍希釈となるように添加して抽出法の違いによるメラニン生成量を目視観察及び吸光度で評価した。
ブランク用処理用培地(−):上記処理用培地にヌマダイコン及びオカダイコン抽出物を無添加とした。
コントロール用処理用培地:上記処理用培地にヌマダイコン抽出物、オカダイコン抽出物及びFSKを無添加とした。
[ヌマダイコン属植物抽出物のメラニン生成抑制の評価]の項で説明した同じ方法でメラニン生成量を吸光度で測定した。
図3はヌマダイコン及びオカダイコンの抽出物の抽出法の違いによるメラニン生成抑制効果を目視で示した図であり、図4はヌマダイコン及びオカダイコンの抽出物の抽出法の違いによるメラニン生成抑制効果を吸光度で示した図である。図3及び図4に示されているように、エタノール濃度を20%以下に設定した抽出物では1000倍に希釈しても、メラニン生成抑制効果が高いことが確認された。
[ヌマダイコンからの抽出法の評価]
ヌマダイコン、の粉末乾燥葉1gを、10mlの水:エタノール混合液(水:エタノール0%、80%、90%、100%)に浸漬し、23℃で、12時間抽出を行った。その後、フィルター濾過を行い、8mlのヌマダイコンの抽出物を回収した。回収したヌマダイコンの抽出物について、メラニン生成抑制を評価した。それぞれの抽出物を評価するために、メラニン産生細胞であるB16F10メラノーマ細胞を使用し、培養後のB16F10メラノーマ細胞のメラニン生成量を目視観察により行った。B16F10メラノーマ細胞の培養は、上記方法と同じ方法を使って培養を行い、ヌマダイコン抽出物を300倍希釈及び3000倍希釈となるように添加して抽出法の違いによるメラニン生成抑制量を目視観察で評価した。
ブランク用処理用培地(−):上記処理用培地にヌマダイコン抽出物を無添加とした。
コントロール用処理用培地:上記処理用培地にヌマダイコン抽出物及びFSKを無添加とした。
図5は、ヌマダイコン抽出物の抽出法の違いによるメラニン生成抑制効果を示した図である。図5に示されているように、エタノール濃度を20%以下に設定した抽出物では3000倍に希釈してもメラニン生成抑制効果が確認され、エタノール濃度を10%以下に設定した抽出物ではメラニン生成抑制効果がさらに高いことが確認された。
[ヌマダイコンの抽出物の細胞毒性試験]
[ヌマダイコンからの抽出法の評価]の項で得られたヌマダイコン抽出物を用いて細胞毒性試験を行った。B16F10マウスメラノーマ細胞を96−wellプレートに1×10個cell/wellとなるように播種した。培養条件としては、100 μlの10%FCS含有DMEM High Glucose培地を用いて、37℃、5%二酸化炭素気流化で72時間培養した。その後、10μlのWST−8 試薬(セルカンウンティングキット、富士フィルム和光純薬株式会社製)を添加して30分培養後、GLOMAX multiプレートリーダー(Promega株式会社製)を用いてOD450nmで測定し、細胞数を計測した。被検物質は、ヌマダイコンの粉末乾燥葉に10倍量の水:エタノール混合液(水:エタノール0%、80%、90%、100%)で抽出した抽出物を、1/3000、1/1000,1/300倍希釈したものを加えた。
図6は、ヌマダイコン抽出物の抽出法の違いによる細胞毒性を示した図である。図6のグラフに示されているように、エタノール濃度10%以下で抽出したヌマダイコン抽出物は、細胞毒性が低いことが確認された。
[ヌマダイコンの抽出精製物の細胞毒性試験]
ヌマダイコンの水抽出物に、1/10量の粉末活性炭(関東化学株式会社製)を加えて、室温で30分転倒混和した。その後、12000rpmで遠心し、上清を回収し、0.45μmのディスクフィルターで不純物を除去した(活性炭通過画分)。続いて、1/10量の1N HClを加え、90℃ 30分加温し、12000rpmで遠心して、上清を回収した。その回収物に1/10量の1N NaOHを加え中和した(酸可溶性画分)。これらの標品を1/300希釈し、B16F10マウスメラノーマ細胞の培地に加え、[ヌマダイコンの抽出物の細胞毒性試験]の項と同様に細胞毒性試験を実施した。
図7は、ヌマダイコン抽出物の精製過程の違いによる細胞毒性を示した図である。図7のグラフに示されているように、活性炭処理、酸処理を行うにつれてヌマダイコン抽出物は、細胞毒性が低くなることが確認された。
[ヌマダイコン属植物抽出物の熱安定性の評価]
ヌマダイコン属植物抽出物の熱安定性は、120度、20分で熱処理したヌマダイコン属植物抽出物と熱処理をしていないヌマダイコン属植物抽出物とを、メラニン生成抑制効果で比較することにより評価した。ヌマダイコン属植物の抽出法及びB16F10メラノーマ細胞の培養方法は、 [ヌマダイコン属植物抽出物のメラニン生成抑制効果の評価] の項で説明した同じ方法を用いて行った。メラニンの生成量は目視観察により行った。
図8は、ヌマダイコンの水抽出物の熱安定性を示した図である。図8に示されるように、120度、20分で熱処理したヌマダイコンの水抽出物は、熱処理をしていない抽出物と比較してほぼ同等の活性を有しており、熱安定性を備えていることが示された。
[ヌマダイコン属植物抽出物からの不純物の除去評価]
ヌマダイコンの水抽出物に、1/10量の水飽和活性炭(関東化学株式会社製)、1/10量の水飽和シリカゲル(関東化学株式会社製)、1/10量の水飽和DEAE−Separose(GEヘルスケア社)をそれぞれ加えて混ぜ、室温で30分転倒混和した。その後、12000rpmで遠心し、上清(樹脂通過画分)を1.5 mLチューブに回収して目視(写真撮影)でヌマダイコンの水抽出物に含まれていた不純物(色素)の除去効果を判定した。次いで、これらの標品を1/1000希釈し、B16F10マウスメラノーマ細胞の培地に加え、[ヌマダイコン属植物抽出物のメラニン生成抑制効果の評価]の項と同様の方法でメラニン合成抑制活性の試験を実施した。
図9は、ヌマダイコンの水抽出物の精製方法の違いによるメラニン生成抑制効果を評価した図である。図9に示されるように、活性炭、シリカゲル、イオン交換樹脂であるDEAE−Separoseのいずれにも、メラニン生成抑制効果を維持しながら不純物の除去する効果が認められた。特にシリカゲル及びイオン交換樹脂には、顕著な不純物の除去効果が認められた。
[ヌマダイコン抽出物の青色光からのヒトケラチノサイトの保護効果]
ヒトケラチノサイトPSVK1(JCRB細胞バンク、細胞登録番号:JCRB1093)10個(GIBOCO Epilife培地、ThermoFisherScientific社製)を、12−well Vitrigel (関東化学株式会社製)に播種し、9日間培養した(3日ごとに培地交換)。ヌマダイコン抽出物のヒトケラチノサイトの保護効果をみるために、ヌマダイコン水抽出物を、活性炭を素通りさせて酸処理した標品(1/1000希釈、0.03% DMSO添加)、コントロール(0.03% DMSOのみ添加)のそれぞれで一晩混入培養した。細胞間接着を細胞上層と下層の間の電気抵抗で求めた。電気抵抗値の初期値を100%とし、細胞間接着の破壊を抵抗値の低下で評価した。電気抵抗はTC−749(関東化学株式会社製)を用いて測定した。細胞間接着の破壊(細胞障害)の方法としては、青色光(Visi−Blue Transilluminator UVP,Low強度,UVP社製)を細胞プレート下部5cmの距離から照射して実施した。青色光の照射に伴う温度上昇をさけるため、照射装置ごと恒温インキュベーターに入れて実験を行った。照射しない細胞はブランク(光無し)(0.03% DMSO添加)として実験を行った。
図10は、ヌマダイコンの水抽出物の細胞間接着保護効果を電気抵抗で示した図である。図10に示されるように、コントロールは青色光照射後、30分で急激に電気抵抗値が下がるのに対して、ヌマダイコン水抽出物で処理した細胞の電気抵抗値は維持している。したがって、ヌマダイコン抽出物にはケラチノサイトの細胞間接着を保護する作用、すなわち皮膚保護作用が存在することが確認された。
[ヌマダイコン属植物抽出物の好中球エラスターゼ抑制効果の評価]
(mRNAの発現量試験)
ヌマダイコン属植物抽出物の好中球エラスターゼ抑制効果を、好中球エラスターゼのmRNAの発現量を測定することにより評価した。ヒト好中球由来細胞U937(JCRB細胞バンク、細胞登録番号:JCRB9021)1×10個を、5%FCS含有RPMI1640培地(ナカライテスク社製)を用いて、6穴プレートで培養した。培養48時間後にヌマダイコン及びオカダイコン水抽出物を1/1000の濃度となるように添加した(コントロールは無添加)。24時間後、培地を2mlチューブに回収し、3000rpm 5分で遠心してU937細胞を回収した。細胞を回収後、FastGeneTM RNA精製キット(日本ジェネティック社製)でRNAを精製した。精製RNA 0.5ugを逆転写酵素Revertra Ace(登録商標)(東洋紡社製)で逆転写し、THUNDERBIRD SYBR(登録商標) qPCR Mix(東洋紡社製) で定量PCRを行った。定量PCRは、MyiQシステム(BioRad社製)を用いて行った。好中球エラスターゼの増幅率は、36B4(内部標準)の増幅率で補正を行った。使用したプライマーを下記に示す。
好中球エラスターゼのプライマー
hEla2 Forward:5’−CCGTGCAGCGCATCTTCGA−3’
hEla2 Reverse:5’−TGAGCTGGAGAATCACGATGT−3’
36B4 のプライマー
h36B4 Forward:5’− ccaactgttgcatcagtacc−3’
h36B4 Reverse:5’− gccacaaaggcagatggatc−3’
(ウエスタンブロッティング)
(1)SDSサンプルバッファ(0.05M Tris−HCl、pH6.8、10%グリセロール、2%SDS、0.01%ブロモフェノールブルー、0.6%2−メルカプトエタノール)に各試験サンプルのヒト好中球由来細胞U937細胞を溶解して、タンパク質量が同量となるようにポリアクリルアミドゲルに分注し、電気泳動を行った。
(2)ポリアクリルアミドゲルで分離したタンパク質をPVDFメンブレンに転写した後、PVDFメンブレンを1%BSAでブロッキングした。
(3)ヒト好中球エラスターゼの発現量を評価するために、坑好中球エラスターゼモノクローナル抗体(サンタクルーズ社製)を1/2000希釈で、4℃16時間1次抗体反応を行った。洗浄後、坑GAPDHポリクローナル抗体(サンタクルーズ社製)を1/5000希釈で2次抗体反応を行った。
(4)PVDFメンブレン上の抗原を、ECLウエスタンブロッティング検出システム(GEヘルスケア社製)を使用して、化学発光によりヒト好中球エラスターゼ(約30kDa)のシグナル強度を検出した。
試験は、全てn=3で実施した。
図11は、ヌマダイコン及びオカダイコンの水抽出物の好中球エラスターゼ抑制効果をmRNAの発現量で示したグラフである。縦軸は好中球エラスターゼの発現効率を表している。図12は、ヌマダイコン及びオカダイコンの水抽出物の好中球エラスターゼ抑制効果をウエスタンブロッティングで示した写真である。ELA2が好中球エラスターゼタンパク質で、GAPDHは、内部標準コントロールとして利用したタンパク質である。図11及び図12に示されるように、抽出物を添加していないコントロールと比較して、ヌマダイコン及びオカダイコンの水抽出物を添加したサンプルは、好中球エラスターゼのタンパク質の発現を明確に抑制している。よって、ヌマダイコン及びオカダイコン抽出物には好中球エラスターゼ抑制作用が存在することが確認された。
[ヌマダイコン属植物抽出物の血糖値及び血中コレステロールの低減効果の評価]
血糖値の低減効果は、C57BL/6Jマウス(オス、8週齢、N=8)にグルコース負荷を行うことにより評価した。[ヌマダイコンの抽出精製物の細胞毒性試験]で説明した方法で作製したヌマダイコン水抽出物を、120度20分のオートクレーブ処理を行った後、0.45μmのフィルターで濾過した。このヌマダイコン水抽出液を、マウスに1週間自由に摂取させた。投与量は約150mg(乾燥重)/匹/日であった。4時間の絶食後、グルコースをマウスに経口投与(1.5g/kg)し、グルコース摂取後0分、15分、30分、60分後のマウスの尾静脈から約1μlの血液を採取して、Gセンサー(アークレイ社製)にて血糖値を測定した。コントロールのマウスは、ヌマダイコン水抽出物の代わりにRO水を与え、同様の方法でグルコース負荷試験を行った。
血中コレステロールの低減効果は、上記方法で処理したマウスを使用して評価した。グルコース摂取後120分のマウスの尾静脈から50μlを採血し、血清を回収した。血中コレステロール濃度は、この血清を検体としてラボアッセイコレステロール(富士フィルム和光純薬株式会社製)により測定した。
図13は、ヌマダイコンの水抽出物の血糖値低減効果を示すグラフである。縦軸は、血糖値(mg/dl)を横軸は時間を表している。ヌマダイコンの水抽出物は、コントロールと比較して、グルコース投与後、15〜60分で優位に血糖値の上昇が抑制されることが確認された。このヌマダイコン水抽出物を、[ヌマダイコン属植物抽出物のメラニン生成抑制の評価]で説明した試験方法を用いてメラニン生成抑制効果を評価した。1/3000希釈したヌマダイコン水抽出物でも有意にメラニン合成を抑制することが確認されている(データ示さず)。
図14は、ヌマダイコンの水抽出物のコレステロール低減効果を示すグラフである。縦軸は血中コレステロール濃度を表している。ヌマダイコンの水抽出物は、コントロールと比較して、血中コレステロールの低減効果が確認された。
[ヌマダイコン及びヒアルロニダーゼ活性阻害剤の細胞間接着保護効果の比較]
ヒトケラチノサイトPSVK1(JCRB細胞バンク、細胞登録番号:JCRB1093)10個(GIBOCO Epilife培地、ThermoFisherScientific社製)を、12−well Vitrigel (関東化学株式会社製)に播種し、9日間培養した(3日ごとに培地交換)。ヒアルロニダーゼ活性阻害剤としてネオマイシンの誘導体であるG418(ナカライ社製)を使用し、好中球エラスターゼ抑制剤としてONO−5046(ケイマン社製)を使用して試験を行った。
ヌマダイコン水抽出物を、活性炭を素通りさせて酸処理した標品(1/1000希釈、0.03% DMSO添加)、コントロール(0.03% DMSOのみ添加)のそれぞれで一晩混入培養した。ヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有するG418は、測定直前に20uMを培地に添加し、ONO−5046は、測定直前に10uMを培地に添加した。細胞間接着を細胞上層と下層の間の電気抵抗で求めた。電気抵抗値の初期値を100%とし、細胞間接着の破壊を抵抗値の低下で評価した。電気抵抗はTC−749(関東化学株式会社製)を用いて測定した。細胞間接着の破壊(細胞障害)の方法としては、青色光(Visi−Blue Transilluminator UVP,Low強度,UVP社製)を細胞プレート下部5cmの距離から照射して実施した。青色光の照射に伴う温度上昇をさけるため、照射装置ごと恒温インキュベーターに入れて実験を行った。照射しない細胞はブランク(光無し)(0.03% DMSO添加)として実験を行った。
図15は、ヌマダイコンの水抽出物とヒアルロニダーゼ活性阻害剤との細胞間接着保護作用を比較したグラフである。ヒアルロニダーゼの細胞間接着保護作用の試験結果から、ヒアルロニダーゼ抑制活性のあるG418に細胞間接着保護効果がないことが明確となり、好中球エラスターゼ抑制剤であるONO−5046に細胞間接着の保護作用があることが確認された。また、ヌマダイコン抽出物には、好中球エラスターゼ抑制剤以上の高い細胞間接着保護効果が認められた。
[ヌマダイコンの葉におけるメラノーマ細胞を用いたメラニン生成抑制効果]
ヌマダイコン乾燥物全草(葉・茎・一部根も混入)及びヌマダイコンの葉を選別したものを粉砕し、水20倍量で抽出した。これら抽出物を1/3000から1/300希釈になるように、B16F10メラノーマ細胞の培地に加え、メラニン合成誘導処理(フォルスコリン10μM)を行った。B16F10メラノーマ細胞の培養は、(B16F10メラノーマ細胞の培養)の項で記載した方法に従って、実施した。
図16は、ヌマダイコンの葉におけるメラニン生成抑制効果を示した図である。図16に示されるように、ヌマダイコンから葉を選別して抽出物を調整すると、メラニン合成抑制が格段に高くなることが示された。
[ヌマダイコンのマウスによるメラニン生成抑制効果]
ヌマダイコン乾燥物全草(葉・茎・一部根も混入)及びヌマダイコンの葉を選別したものを粉砕し、水30倍量で抽出した。これらを、120度20分で滅菌処理した。当該抽出物をさらに3倍の水で希釈し、3週齢マウス(C57BL/6J系統)に2週間、飲料水として自由摂取させ、6週齢で毛色を写真撮影により判定した。
図17は、ヌマダイコンの葉抽出物のマウスによるメラニン生成抑制効果を示した図である。図17に示されるように、ヌマダイコン葉抽出物を摂取したマウスは、黒色の毛色と耳の皮膚の色素沈着が薄くなったが、ヌマダイコン乾燥物全草抽出物では変化は見られなかった。
[ヌマダイコン及びアマクサシダのメラノーマ細胞を用いたメラニン生成抑制効果比較]
ヌマダイコン乾燥葉及び他の植物でメラニン生成抑制作用のあるアマクサシダ乾燥葉を20倍量の水で抽出し、B16F10メラノーマ細胞の培地に加え、メラニン合成誘導処理(フォルスコリン10μM)を行った。B16F10メラノーマ細胞の培養は、(B16F10メラノーマ細胞の培養)の項で記載した方法に従って、実施した。
図18は、ヌマダイコン及びアマクサシダのメラノーマ細胞を用いたメラニン生成抑制効果を比較した図である。図19は、ヌマダイコン及びアマクサシダのメラノーマ細胞を用いたメラニン生成抑制効果を比較したグラフである。図19は、メラニン生成抑制効果を定量したもので、メラニン合成誘導をかけていない物を1として相対量で表している。図18及び図19に示されるように、両抽出物とも、同程度の効果でメラニン合成を抑制することが確認された。
[ヌマダイコン及びアマクサシダのマウスによるメラニン生成抑制効果比較]
ヌマダイコンの葉及びアマクサシダの葉を粉砕し、水30倍量で抽出した。これらを、120度20分で滅菌処理した。当該抽出物をさらに3倍の水で希釈し、3週齢マウス(C57BL/6J系統)に2週間、飲料水として自由摂取させ、6週齢で毛色を写真撮影により判定した。
図20は、ヌマダイコン及びアマクサシダのマウスによるメラニン生成抑制効果を比較したグラフである。図20に示されるように、ヌマダイコン乾燥葉抽出物を摂取したマウスの毛色の黒色は薄くなり、耳の皮膚の色素沈着が低減されることから、マウスの経口による効果が認められたが、アマクサシダには経口による効果は認められなかった。
本発明に係るメラニン生成抑制剤は、食品業界、化粧業界、医薬品業界において利用することができる。

Claims (10)

  1. ヌマダイコン属植物の抽出物を有効成分とすることを特徴とするメラニン生成抑制剤。
  2. 前記抽出物が葉から抽出したものであることを特徴とする請求項1に記載のメラニン生成抑制剤。
  3. 前記メラニン生成抑制剤が経口剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載のメラニン生成抑制剤。
  4. ヌマダイコン属植物がヌマダイコン又はオカダイコンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のメラニン生成抑制剤。
  5. 請求項1〜4に記載のメラニン生成抑制剤の少なくとも1つを含有することを特徴とする美白用又は毛髪色素低減用飲食品。
  6. 請求項1〜4に記載のメラニン生成抑制剤の少なくとも1つを含有することを特徴とする美白用又は毛髪色素低減用化粧剤。
  7. ヌマダイコン属植物を水、有機溶媒又は含水有機溶媒で抽出することを特徴とするメラニン生成抑制剤の製造方法。
  8. 前記ヌマダイコン属植物を水で抽出することを特徴とする請求項7に記載のメラニン生成抑制剤の製造方法。
  9. 前記ヌマダイコン属植物の抽出物を加熱処理することを特徴とする請求項7又は8に記載のメラニン生成抑制剤の製造方法。
  10. 前記ヌマダイコン属植物がヌマダイコン又はオカダイコンであることを特徴とする請求項7乃至9いずれか1項に記載のメラニン生成抑制剤の製造方法。
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