JP2020011395A - タイヤの加硫方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性を損なうことなく簡便に、ブラダの使用回数に起因するタイヤの性能バラつきを抑制できるタイヤの加硫方法を提供すること。【解決手段】タイヤ加硫モールドの中で、グリーンタイヤ14の内側に挿入したブラダ8に加熱媒体を注入して膨張させることにより、グリーンタイヤ14を加熱しつつ加圧する加熱工程と、加熱工程の後に、ブラダ8に加圧媒体を注入してさらに膨張させる加圧工程とを行ってタイヤを加硫する際に、ブラダ8の耐用期間中、少なくとも1回、ブラダ8の使用回数が増えるに伴い、加熱工程と加圧工程の少なくとも一方で、グリーンタイヤ14に対するブラダ8による加圧速度を遅くする調整操作を行う。【選択図】図3
Description
本発明は、タイヤの加硫方法に関し、さらに詳しくは、生産性を損なうことなく簡便に、ブラダの使用回数に起因するタイヤの性能バラつきを抑制できる加硫方法に関するものである。
空気入りタイヤを製造する工程では、グリーンタイヤと呼ばれる未加硫タイヤを加硫装置に設置し、タイヤ加硫モールドを閉型して加硫を行う。タイヤ加硫モールドの中では、グリーンタイヤの内側に挿入したブラダにスチーム等の加熱媒体を注入して膨張させることにより、グリーンタイヤを加熱しつつ加圧する。次いでブラダに窒素ガス等の加圧媒体を注入して膨張させることにより、タイヤ加硫用モールドにグリーンタイヤをより強く押し付けて成型する。
1つのブラダは、一般的に百回以上使用される。ブラダは加硫ゴムで形成されているため、加硫時に付与される温度や圧力の影響により、使用回数が増えるに従い、塑性変形して若干サイズが大きくなる。塑性変形したブラダを、新品のブラダと同じ条件で膨張させると、グリーンタイヤに最初に接触する位置や加圧具合、その後の接触面積の拡大具合等、膨張の仕方が新品のブラダの場合と相違する。この相違に起因して、加硫後のタイヤの形状や物性がわずかに変化して、コーナリングフォース等のタイヤの走行性能のバラつきの原因となる。
ブラダの使用回数の増加に伴う寸法変化を、グリーンタイヤの軸方向の内側に突出する形状を有するスペーサを用いて吸収する方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、加硫装置にスペーサを設ける工程を追加する必要があり、工数が増えて生産性が悪化するという問題がある。また、加硫装置の寸法や構造によっては、スペーサを設ける空間が確保できない場合もあるため、改善の余地がある。
本発明の目的は、生産性を損なうことなく簡便に、ブラダの使用回数に起因するタイヤの性能バラつきを抑制できるタイヤの加硫方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明のタイヤの加硫方法は、タイヤ加硫モールドの中で、グリーンタイヤの内側に挿入したブラダに加熱媒体を注入して膨張させることにより、前記グリーンタイヤを加熱しつつ加圧する加熱工程と、前記加熱工程の後に、前記ブラダに加圧媒体を注入してさらに膨張させる加圧工程と、を行うタイヤの加硫方法において、前記ブラダの耐用期間中、少なくとも1回、前記ブラダの使用回数が増えるに伴い、前記加熱工程と前記加圧工程の少なくとも一方で前記ブラダによる加圧速度を遅くする調整操作を行うことを特徴とする。
ブラダの使用回数が増えるとブラダが塑性変形するので、ブラダを膨張させる際に新品ブラダの使用時と同じ加圧速度にすると、ブラダが急激にグリーンタイヤを加圧するので、グリーンタイヤに対する加圧速度が速くなる。これにより、新品ブラダを使用した場合とはグリーンタイヤに対する加圧具合等に差異が生じる。そこで、ブラダの耐用期間中に少なくとも1回、ブラダの使用回数が増えるに伴って、加熱工程と加圧工程の少なくとも一方でブラダによるグリーンタイヤに対する加圧速度を遅くする調整操作を行うことで、新品ブラダと同様の状態でグリーンタイヤを加圧することが可能になる。
上述した調整操作は、ブラダの内部圧力を調整する操作で済むので、スペーサの設置等の工程を追加することなく、繰り返し使用したブラダであっても新品ブラダによるグリーンタイヤに対する加圧状態に近似させることができる。そのため、生産性を損なうことなく簡便に、ブラダの使用回数に起因するタイヤの性能バラつきを抑制するには有利になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に例示するように、本発明の加硫方法に用いられる空気入りタイヤの加硫装置1は、環状に配置された複数のセクター2と、環状の上部サイドプレート3と、環状の下部サイドプレート4とで構成されるセクショナルタイプのタイヤ加硫モールドを備えるとともに、グリーンタイヤ14の内部に挿入されるゴム製の膨張収縮可能なブラダ8と、ブラダ8が取り付けられる中心機構7とを有している。
ブラダ8の内部に加熱媒体および加圧媒体を供給する供給ラインには、制御弁13が設けられている。制御弁13の弁の開閉具合は制御部10により制御される。制御部10としては、例えばコンピュータ等を用いることができる。
環状に配置されたセクター2を上下に貫通するように中心機構7が配置され、中心機構7には上下に間隔をあけて円盤状の上プレート9aと下プレート9bとが配置されている。ブラダ8の上端部、下端部はそれぞれ、上プレート9a、下プレート9bに固定されている。
それぞれのセクター2の背面には、バックセグメント5が取り付けられている。バックセグメント5の背面側には、昇降部12に固定されて上下移動するガイドブロック6(コンテナリング)が配置される。セクター2およびバックセグメント5はベース部11に移動可能に載置されており、下部サイドプレート4はベース部11に固定されている。上部サイドプレート3は昇降部12に固定されている。
バックセグメント5の背面のテーパ面と、ガイドブロック6のテーパ面とが対向し、互いのテーパ面が摺動するようになっている。ガイドブロック6が下方(図1のAの向き)に移動することで、バックセグメント5とともに、それぞれのセクター2は、中心機構7に向かって移動する(縮径する方向に移動する)。縮径する方向に移動したそれぞれのセクター2は、環状に組み付けられ、これら環状に組み付けられたセクター2と上部サイドプレート3と下部サイドプレート4とが型閉めされた状態になる。型閉めされた加硫モールドの中では、横倒し状態のグリーンタイヤ14の上側のビード部15は上部サイドプレート3に、下側のビード部15は下部サイドプレート4に保持される。
次に、本発明の加硫方法の手順の一例を説明する。
図1に例示するように、グリーンタイヤ14を加硫する前に、加硫モールドを開型した状態で、シェーピング工程を実施する。シェーピング工程では、グリーンタイヤ14に中心機構7を挿通させた後、収縮状態のブラダ8を膨張させることにより、グリーンタイヤ14をブラダ8によって保持する。具体的には、ブラダ8の内部に常温の窒素ガスなどの圧力媒体を注入して膨張させることにより、グリーンタイヤ14の内部にシェーピング圧力を負荷してグリーンタイヤ14を保持させる。シェーピング圧力は、一回または複数段回に分けて負荷される。
シェーピング工程終了後、図1の状態から図2に例示するように加硫モールドを閉型し、ブラダ8の内部に加熱媒体、加圧媒体を順次注入して加熱工程および加圧工程を実施する。型閉め後には、まず加熱工程を行う。加熱工程では、ブラダ8にスチーム等の加熱媒体を注入して、図3および図4の実線で示すように、ブラダ8の内部圧力を初期圧力(シェーピング圧力)から第1の目標圧P1まで上昇させて、ブラダ8を膨張させることにより、グリーンタイヤ14を加熱しつつ加圧する。
図3および図4では、時刻t0から時刻t1までの期間で、ブラダ8の内部圧力を一定の加圧速度で昇圧させて第1の目標圧P1に到達させている。第1の目標圧P1に到達後は、第1の目標圧P1を所定時間維持する。図3、図4では、第1の目標圧P1を維持する所定時間が時刻t1〜t2までの維持期間T1として記載されている。加熱工程ではグリーンタイヤ14がブラダ8を介して内側から加熱媒体で加熱され始めるともに、膨張したブラダ8によってグリーンタイヤ14が内側から加圧される。
その後の加圧工程では、ブラダ8に窒素ガス等の加圧媒体を注入して、図3および図4の実線に示すように、時刻t2から時刻t3までの期間で、ブラダ8の内部圧力を一定の加圧速度で昇圧させて第1の目標圧P1から第2の目標圧P2に到達させる。第2の目標圧P2に到達後は第2の目標圧P2を所定時間維持する。図3、図4では、第2の目標圧P2を維持する所定時間が時刻t3〜t_endまでの維持期間T2として記載されている。加圧工程では加熱工程よりもブラダ8の内部圧力を大きくして膨張させてグリーンタイヤ14はより強く内側から加圧される。加圧されたグリーンタイヤ14は加硫モールドの内側表面に押し付けられて所望形状に成型される。
図5に例示するように、ブラダ8は繰り返し使用されることにより寸法が変化して塑性変形する。図5の寸法変化率は、ブラダ8に内部圧力を負荷しない条件下で、上プレート9aに固定されたブラダ8の上端部から、下プレート9bに固定されたブラダ8の下端部までのブラダ8の長さを、新品のブラダ8でのその長さで除した値に100を乗じて算出される。寸法変化率が大きくなるほど、ブラダ8のサイズが新品と比べて塑性変形して大きくなったことを意味する。
図5に示すように、ブラダ8は、使用回数が増えるに伴い、寸法変化率が大きくなるため、複数回使用したブラダ8を新品のブラダ8と同じ条件で膨張させると、膨張の仕方が新品のブラダ8の場合と相違し、製造したタイヤの性能バラつきの原因となる。そのため、ブラダ8の繰り返し使用による塑性変形を補う工夫が必要になる。
本発明は、加硫工程での加熱工程または加圧工程に着目し、ブラダ8の繰り返し使用による塑性変形を補う工夫をしている。その工夫とは、ブラダ8の耐用期間中、少なくとも1回、ブラダ8の使用回数が増えるに伴い、加熱工程と加圧工程の少なくとも一方でブラダ8によるグリーンタイヤ14に対する加圧速度を遅くする調整操作を行うことである。この加圧速度は、ブラダ8の内部圧力の昇圧速度と対応しているので、実際に行う調整操作は、ブラダ8の内部圧力の昇圧速度を遅くする調整操作となる。
この調整操作を行う場合は、図3の実線で例示されている新品のブラダ8に内部圧力を負荷する際の時間とブラダ8の内部圧力との関係を、図3の破線に示す関係に変更する。具体的には加熱工程では、ブラダ8の内部圧力が初期圧力から第1の目標圧P1に到達するまでに要する時間を新品のブラダ8の使用時よりも長い時間に変更する。図3では、第1の目標圧P1に達する時刻t1’を時刻t1よりも遅くしている。
同様に加圧工程では、ブラダ8の内部圧力が第1の目標圧P1から第2の目標圧P2に到達するまでに要する時間を新品のブラダ8の使用時よりも長い時間に変更する。図3では、第2の目標圧P2に達する時刻t3’を、時刻t3よりも遅くしている。
ブラダ8の使用回数が増えるとブラダ8が塑性変形するので、加熱工程や加圧工程でのブラダ8の加圧速度(内部圧力の昇圧速度)を新品のブラダ8と同じにすると、ブラダ8が急激にグリーンタイヤ14を加圧して、グリーンタイヤ14に対する加圧速度が速くなる。これにより、新品ブラダ8を使用した場合とはグリーンタイヤ14に対する加圧具合等に差異が生じ易くなる。そこで、ブラダ8によるグリーンタイヤ14に対する加圧速度を遅くする調整操作を行うことで、ブラダ8が使用回数の増加に伴い塑性変形した場合でも、新品のブラダ8と同様の状態でグリーンタイヤ14を加圧することが可能になる。
加硫工程では、グリーンタイヤ14を構成している未加硫ゴムが未だ柔らかくて変形し易い状態である。そのため、ブラダ8による加圧速度に違いによってグリーンタイヤ14の未加硫ゴムの流動具合(流動速度や流動範囲)等が新品のブラダ8の場合と相違する。それ故、新品のブラダ8と同様の状態でグリーンタイヤ14を加圧することができると、ブラダ8の使用回数に起因する製造したタイヤの性能バラつきを抑制するには有利になる。
加熱工程での加圧速度を具体的にどの程度遅くするか(加圧速度の遅延率をどの程度にするか)は、事前に同仕様のブラダ8の使用回数による寸法変化率(図5参照)を把握しておき、この寸法変化率に基づいて設定するとよい。この適切な程度は例えば、加圧速度を新品のブラダ8を使用する場合と比べて5〜50%遅くするのが好ましい。図3で言えば、0.05≦(t1’−t1)/(t1’−t0)≦0.5とするのが好ましい。
加熱工程での加圧速度の遅延率を5%未満にすると、製造したタイヤの性能バラつきを抑制する効果を十分に得ることが困難になる。遅延率を50%超にすると、加熱工程に要する時間が長くなる。
同様に、加圧工程での加圧速度を具体的にどの程度遅くすればよいかは事前に同仕様のブラダ8の使用回数による寸法変化率(図5参照)を把握しておき、この寸法変化率に基づいて設定するとよい。適切な程度は例えば、加圧速度を新品のブラダ8を使用する場合と比べて5〜50%遅くするのが好ましい。図3で言えば、0.05≦(t3’−t3)/(t3’−t2)≦0.5とするのが好ましい。その理由は加熱工程での調整操作を行う場合と同じである。
上述した調整操作は、加熱工程および加圧工程の少なくとも一方で行えばよい。加熱工程と加圧工程の一方のみで調整操作を行う場合は、加熱工程で行うのが好ましい。加熱工程は加圧工程よりも先に実施されるので、グリーンタイヤ14の未加硫ゴムの加硫が進んでいないため流動性がより高い状態にある。それ故、加熱工程でのブラダ8の加圧速度がグリーンタイヤ14の形状変化に与える影響が加圧工程よりも大きくなり、製造したタイヤの性能バラつきにより大きな影響が生じるためである。
加熱工程での加圧速度を変更する場合、加熱工程での維持期間T1の長さは変更しないで、加圧工程に要する時間を短くする補正操作を行うのが好ましい。具体的には図4の破線に示すように、第1の目標圧P1に到達するまでに要する時間をΔTだけ長くした場合は、第1の目標圧P1を維持する維持期間T1’を維持期間T1と同じ長さにする。維持期間T1、T1’が同じなので、ブラダ8を加熱媒体によって実質的に加熱する時間が同じになるため、グリーンタイヤ14に対する加熱不足を回避できる。
ただし、第1の目標圧P1に到達するまでに要する時間を長くして、第1の目標圧P1を維持する維持期間が不変であると、加熱工程に要する時間が長くなり、そのままでは調整操作を行った分だけ加硫時間(加熱工程に要する時間+加圧工程に要する時間)が長くなる。そこで、加硫時間を、調整操作を行わない場合と同じにする補正操作を行うとよい。即ち、調整操作によって長くなった時間だけ、加圧工程に要する時間を短縮する。具体的には、加圧工程において第2の目標圧P2を維持する維持時間T2’をT2よりもΔTだけ短くする補正操作を行う。
詳述すると、加熱工程の終了時刻t1’を、調整操作前の時刻t1よりもΔTだけ遅くし、加圧工程の開始時刻t2’を、補正操作前の開始時刻t2よりもΔTだけ遅くして、加硫工程の終了時刻t_endは補正操作前と同じにする。これにより、加熱工程での加圧速度を遅くした場合でも、加硫時間が不変になるのでタイヤの生産性を損なうことを回避できる。
尚、タイヤ仕様などによっては、第1の目標圧P1に到達するまでに要する時間を長くすることによって、グリーンタイヤ14に付与する熱量が不足することがある。そこで、この熱量が不足することが予め把握されている場合は、調整操作として、第1の目標圧P1に達する時刻t1’を時刻t1よりも遅くすることに加えて、第1の目標圧P1まで上昇させるまでの時間をより長くした際の追加の延長時間ΔTの20%〜200%だけ第1の目標圧P1で維持する維持時間T1’を延長する。図4でいえば、維持時間T1’=維持期間T1+(0.2〜2)×ΔTとする。乗用車用のタイヤを加硫する場合は、維持時間T1’は維持期間T1に対して3秒〜12秒加えた程度になる。
この調整操作により加熱工程に要する時間が長くなるので、加硫時間を、調整操作を行わない場合と同じにする補正操作を行うとよい。具体的には調整操作によって長くなった時間だけ、加圧工程に要する時間を短縮する補正操作を行う。これにより、加硫時間が不変になるのでタイヤの生産性を損なうことを回避できる。
上述した調整操作を行うタイミングは、事前に同仕様のブラダ8の使用回数による寸法変化率を把握しておき、この寸法変化率に基づいて設定するとよい。具体的には、ブラダ8の寸法変化率が大きく変化する期間で調整操作を行うのが好ましい。
一般的にブラダ8の使用回数が2〜40回の期間において寸法変化率の変化が大きくなるので、この期間で調整操作を最初に行うのが好ましい。詳述すると、図5に示すように、ブラダ8は、使用回数が増えるに伴い、寸法変化率が大きくなる。使用回数と寸法変化率の関係は、加硫条件やブラダ8の仕様にも依存するが、ブラダ8の使用回数が2〜40回程度まで寸法変化率が急激に増大し、以後は使用回数が増えても寸法変化率の変動は小さい。ブラダ8の使用回数が2〜40回までに最初の調整操作を行えば、それ以降に最初の調整操作を行う場合と比べて、ブラダ8のサイズが大きく変化した時点で調整操作を行うことになる。これに伴い、加硫したタイヤの性能バラつきを抑制するには有利になる。
また、ブラダ8の使用回数が2〜40回までに調整操作を複数回行うと、1回しか調整操作を行わない場合に比して、加硫したタイヤの性能バラつきの抑制には益々有利になる。それ故、ブラダ8の使用回数が2〜40回までに、調整操作を複数回行うのことがより好ましい。
上記したように本実施形態によれば、ブラダ8の耐用期間中、少なくとも1回、加熱工程と加圧工程の少なくとも一方でブラダ8による加圧速度を遅くする調整操作を行うので、ブラダ8が塑性変形してサイズが大きくなった場合でも、新品のブラダ8と同様の状態でグリーンタイヤ14を加圧することが可能になる。それ故、ブラダ8の使用回数に起因するタイヤの性能バラつきを抑制できる。
また本実施形態では、調整操作で変更する条件は、ブラダ8の加圧条件であるため、スペーサの設置等の工程を追加する必要がない。そのため、タイヤの生産性を損なうことがない。
図1に例示する加硫装置を用いて、表1に示すように加熱条件または加圧条件だけを異ならせた6通り(従来例および実施例1〜5)でグリーンタイヤを加硫して自動車用空気入りタイヤを製造し、そのタイヤの性能バラつきを評価した。評価結果1は表1に示す。製造したタイヤのサイズは225/50R18であり、ブラダを新品の状態から30回加硫に使用して、それぞれの条件で30本のタイヤを製造した。
加硫の際には、従来例および実施例1〜5のいずれも、ブラダの使用回数が19回までは、加熱工程および加圧工程を以下の条件で行った。シェーピング工程終了後に、加熱媒体としてのスチームをブラダに注入して、加圧速度12MPa/分でブラダの内部圧力が1.6MPaに達するまで昇圧し、昇圧後は1.6MPaで3分間維持した。加熱工程の後の加圧工程では、加圧媒体として窒素ガスをブラダに注入して、加圧速度12MPa/分でブラダの内部圧力が2.3MPaに達するまで昇圧し、昇圧後は、加熱工程と加圧工程を合わせた加硫時間が13.0分になるまで、内部圧力を2.3MPaで維持した。加熱工程および加圧工程におけるこれらの加圧速度を表1では基準値として示している。
ブラダの使用回数が20回からは、ブラダの加熱工程および加圧工程の少なくとも一方の加圧速度を、表1に示す条件に変更する調整操作を行って加硫した。実施例1は加熱工程だけで調整操作行い、実施例2は加圧工程だけで調整操作を行い、実施例3〜5は加熱工程および加圧工程で調整操作を行った。従来例は、調整操作を行わず、使用回数が20回以降も基準値の条件で加硫した。
実施例3では加熱工程および加圧工程で調整操作を行ったことにより表1に示すように加硫時間が従来例よりも長くなっている。実施例4では、調整操作によって長くなった時間だけ、加圧工程に要する時間を短縮する補正操作を行って、加硫時間が従来例と同じ時間となるようにした。実施例5では、調整操作として加圧速度を遅くするとともに、加熱工程で加圧速度を遅くした延長時間8秒の150%だけ、即ち12秒だけ維持時間を延長した。そして、調整操作で長くなった時間だけ、加圧工程に要する時間を短縮する補正操作を行って、加硫時間が従来例と同じ時間となるようにした。
表1のコーナリングフォースのバラつきは、使用回数が1回目と30回目のブラダを用いて加硫されたタイヤを実車に装着して走行試験を行い、直進した状態から所定の角度にハンドルを回転させた場合のコーナリングフォースを測定し、両者の差をバラつきとした。表1では、従来例のコーナリングフォースのバラつきを基準の100とし、指数評価している。この指数の値が小さいほど、コーナリングフォースのバラつきが小さいことを意味する。
表1の結果から、実施例1〜5は、従来例と比べてコーナリングフォースのバラつきが小さいことがわかる。実施例3〜5は、コーナリングフォースのバラつきを小さくするには最も効果的である。
1 加硫装置
2 セクター
3 上部サイドプレート
4 下部サイドプレート
5 バックセグメント
6 ガイドブロック(コンテナリング)
7 中心機構
8 ブラダ
9a 上プレート
9b 下プレート
10 制御部
11 ベース部
12 昇降部
13 制御弁
14 グリーンタイヤ
15 ビード部
2 セクター
3 上部サイドプレート
4 下部サイドプレート
5 バックセグメント
6 ガイドブロック(コンテナリング)
7 中心機構
8 ブラダ
9a 上プレート
9b 下プレート
10 制御部
11 ベース部
12 昇降部
13 制御弁
14 グリーンタイヤ
15 ビード部
Claims (5)
- タイヤ加硫モールドの中で、グリーンタイヤの内側に挿入したブラダに加熱媒体を注入して膨張させることにより、前記グリーンタイヤを加熱しつつ加圧する加熱工程と、前記加熱工程の後に、前記ブラダに加圧媒体を注入してさらに膨張させる加圧工程と、を行うタイヤの加硫方法において、
前記ブラダの耐用期間中、少なくとも1回、前記ブラダの使用回数が増えるに伴い、前記加熱工程と前記加圧工程の少なくとも一方で前記ブラダによる加圧速度を遅くする調整操作を行うことを特徴とするタイヤの加硫方法。 - 前記加熱工程では、前記ブラダの内部圧力を第1の目標圧まで上昇させて所定時間維持し、前記加圧工程では、前記内部圧力を前記第1の目標圧から第2の目標圧まで上昇させて所定時間維持し、
前記調整操作は、前記加熱工程で、前記内部圧力を前記第1の目標圧まで上昇させるまでの時間をより長くし、かつ、前記第1の目標圧で維持する所定時間を変えずに行う操作を含み、前記加熱工程に要する時間と前記加圧工程に要する時間を合計して算出される加硫時間を、前記調整操作を行わない場合と同じにする補正操作を行う請求項1に記載のタイヤの加硫方法。 - 前記加熱工程では、前記ブラダの内部圧力を第1の目標圧まで上昇させて所定時間維持し、前記加圧工程では、前記内部圧力を前記第1の目標圧から第2の目標圧まで上昇させて所定時間維持し、
前記調整操作は、前記加熱工程で、前記内部圧力を前記第1の目標圧まで上昇させるまでの時間をより長くし、かつ、前記内部圧力を前記第1の目標圧まで上昇させるまでの時間をより長くした際の追加の延長時間の20%〜200%だけ前記第1の目標圧で維持する所定時間を延長する操作を含み、前記加熱工程に要する時間と前記加圧工程に要する時間を合計して算出される加硫時間を、前記調整操作を行わない場合と同じにする補正操作を行う請求項1に記載のタイヤの加硫方法。 - 前記調整操作を、前記ブラダの使用回数が2〜40回の時に最初に行う請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤの加硫方法。
- 前記調整操作を、前記ブラダの使用回数が2〜40回の間に複数回行う請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤの加硫方法。
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