JP2020011262A - 鋼片の製造プロセスの制御装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
操業計画の立案に関する技術として、例えば特許文献1には、鋳造工程の製造ロットを示すキャストに各注文品の素材となるスラブをデータ処理装置によりそれぞれ割り当てるスラブ設計方法が開示されている。
鋳造工程1aでは、連続鋳造機を用いて、キャストを構成する複数のチャージを連続的に鋳造し、適宜カットして鋼片であるスラブを製造する。転炉での出鋼単位をチャージと呼び、1チャージあたり複数のスラブが製造される。連続的に鋳造される複数のチャージのグループはキャストと呼ばれる。
幅圧下工程1bでは、サイジングミル等の幅圧下設備を用いて、鋳造工程1aで製造するスラブに幅圧下を行う。
通常時は、操業計画において予め設定されたSM命令を順次発行することによって、SM命令に従った幅圧下が行われる(図5でいう「SM命令にてSM操業」)。
この場合、幅圧下不能な状態になったことを受けて、オペレータが、幅圧下を行わずに製造可能な注文品で操業計画を作り直し、幅圧下工程無しの命令(以下、AC命令と称する。)を作成するのが一般的である。
しかしながら、オペレータによるAC命令の作成には通常、数時間程度の時間がかかる。その間も鋳造は実施する必要があるため、AC命令が発行されるまでの間は、幅圧下を行うことを前提として設計されたキャストのままで鋳造が実施されることになり(図5でいう「SM命令にてAC操業」)、幅公差外れのスラブである余材スラブが発生してしまう。余材スラブの発生を極力抑えるように鋳造幅を設定し直すことが求められる。
本発明の鋼片の製造プロセスの制御方法は、キャストを構成する複数のチャージを連続的に鋳造して鋼片を製造し、その下工程で幅圧下を行う鋼片の製造プロセスを制御するための制御方法であって、制御手段が、複数のキャストを対象とするとともにキャスト毎に幅圧下命令が予め設定された操業計画に従う操業中に、幅圧下無しで鋼片の製造を実施するにあたり、前記操業計画に含まれるキャストのうちの鋳造未実施のキャストの情報に基づいて、余材鋼片数が少なくなるように鋳造幅を設定する手順を有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、キャストを構成する複数のチャージを連続的に鋳造して鋼片を製造し、その下工程で幅圧下を行う鋼片の製造プロセスを制御するためのプログラムであって、複数のキャストを対象とするとともにキャスト毎に幅圧下命令が予め設定された操業計画に従う操業中に、幅圧下無しで鋼片の製造を実施するにあたり、前記操業計画に含まれるキャストのうちの鋳造未実施のキャストの情報に基づいて、余材鋼片数が少なくなるように鋳造幅を設定する処理をコンピュータに実行させる。
本実施形態では、図1に示すように、鋳造工程1aと、その下工程の幅圧下工程1bとを有する鋼片の製造プロセス1を対象とする。既述したように、所定の期間における複数のキャストを対象とするとともにキャスト毎にSM命令が予め設定された操業計画が立案されている。
本実施形態において、鋳造工程1aで用いられる連続鋳造機では、所定の範囲で鋳造幅が可変となっている。
制御装置100は、操業計画に従う操業中に、幅圧下工程1bでトラブルが発生して幅圧下不能な状態になった場合に、余材スラブ数が少なくなるように鋳造幅を設定する制御手段として機能する。これを実現するために、制御装置100は、キャスト指定部101と、チャージ抽出部102と、鋳造幅決定部103と、命令発行部104とを備える。
データベース200には、操業計画に含まれる各キャストの各チャージが幅圧下無しで製造可能であるか否かの情報が格納されており、チャージ抽出部102は、これを参照することにより、指定キャストを構成するチャージから、幅圧下無しで製造可能なチャージを抽出する。例えば鋼種に応じて幅圧下無しで製造可能か否かが定められる場合、データベース200には幅圧下無しで製造不可鋼種の情報が格納される。
チャージによっては幅圧下工程1bでの幅圧下により品質を担保するものがあり、このようなチャージは幅圧下が必須であり、抽出対象から除外する。例えばパイプ等の材料となるスラブを製造するチャージでは、幅圧下によりエッジ部の介在物を破砕することで品質を担保することがあり、このチャージは抽出対象から除外する。
また、データベース200には、操業計画に含まれる各キャストの各チャージで製造予定のスラブ毎に、幅公差を表す最小幅及び最大幅が格納されている。スラブの幅公差は注文に応じて定められるものであり、幅圧下を行うスラブでは幅圧下後の幅に対する公差となる。例えばチャージ抽出部102で、幅圧下無しで製造可能なチャージとして2チャージを抽出したとする。図3に示すように、そのうちの1チャージ目では6本のスラブが製造され、1本目のスラブ(1sl)での最小幅が1200mm、最大幅が1410mm、2本目のスラブ(2sl)での最小幅が1250mm、最大幅が1460mm、・・・、と定められている。また、2チャージ目では6本のスラブが製造され、1本目のスラブ(1sl)での最小幅が1300mm、最大幅が1510mm、2本目のスラブ(2sl)での最小幅が1350mm、最大幅が1510mm、・・・と定められている。
救済率の算出は、最小鋳造幅及び幅公差の最小幅のうちの大きい方を起点として行う。図3の例では、最小鋳造幅が1100mm、幅公差の最小幅が900mmであり、最小鋳造幅1100mmを起点として救済率を算出する。
鋳造幅を最小鋳造幅(1100mm)としたとき、1チャージ目及び2チャージ目において鋳造幅1100mmが幅公差内に含まれるスラブは3本(1チャージ目の3sl、4sl、5sl)である。この場合、3本/12本=0.25で、救済率は25%となる。
以下、鋳造幅として設定可能な最小ピッチ(本例では10mm)で鋳造幅を順次大きくしながら、同様の考え方で、救済率を算出する。例えば鋳造幅を1110mmとしたときは、鋳造幅1100mmの場合と同じであるが、鋳造幅を1120mmとしたときは、1チャージ目及び2チャージ目において鋳造幅1120mmが幅公差内に含まれるスラブは2本(1チャージ目の4sl、5sl)であり、救済率は17%となる。
この結果、鋳造幅を1300mm、1310mm、1350mm、1360mmとしたとき、救済率が75%で最大値となる。そこで、その中で最大幅となる鋳造幅1360mmを選択して採用鋳造幅とする。
なお、救済率の算出は、最大鋳造幅及び幅公差の最大幅のうちの小さい方に達するまで行う。図3の例では、最大鋳造幅が2000mm、幅公差の最大幅が1510mmであり、鋳造幅を幅公差の最大値1510mmに増やすまで救済率を算出する。
また、一つのデータベース200として図示したが、余材スラブ数が少なくなるように鋳造幅を設定するのに用いられる各種情報が複数のデータベースに分散されて格納されたり、ネットワーク上の外部機器から取り込まれたりする構成としてもよい。
ステップS1で、キャスト指定部101は、操業計画に含まれるキャストのうちの鋳造未実施の1キャストを指定する。
実績として、過去数年の調査期間において、サイジングミルの故障等のトラブルが発生して幅圧下不能な状態になった対象が10キャスト、27チャージあった。
この場合、従来のようにSM命令の幅のまま鋳造したことにより、余材発生量は5.9kt/年であった。
この実績に対して本実施形態を適用したところ、余材発生量が1.9kt/年となり、従来の余材発生量に対して68%程度の削減効果が得られた。
本発明は、本発明の鋼片の製造プロセスの制御機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
101:キャスト指定部
102:チャージ抽出部
103:鋳造幅決定部
104:命令発行部
200:データベース
Claims (7)
- キャストを構成する複数のチャージを連続的に鋳造して鋼片を製造し、その下工程で幅圧下を行う鋼片の製造プロセスを制御するための制御装置であって、
複数のキャストを対象とするとともにキャスト毎に幅圧下命令が予め設定された操業計画に従う操業中に、幅圧下無しで鋼片の製造を実施するにあたり、前記操業計画に含まれるキャストのうちの鋳造未実施のキャストの情報に基づいて、余材鋼片数が少なくなるように鋳造幅を設定する制御手段を備えたことを特徴とする鋼片の製造プロセスの制御装置。 - 前記制御手段は、
前記操業計画に含まれるキャストのうちの鋳造未実施の1キャストを構成するチャージから、幅圧下無しで製造可能なチャージを抽出するチャージ抽出手段と、
前記チャージ抽出手段で抽出したチャージで製造予定の鋼片の幅公差に基づいて、採用鋳造幅を決定する鋳造幅決定手段と、
前記チャージ抽出手段で抽出したチャージを、前記鋳造幅決定手段で決定した採用鋳造幅で鋳造する鋳造命令を発行する命令発行手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の鋼片の製造プロセスの制御装置。 - 前記鋳造幅決定手段は、前記チャージ抽出手段で抽出したチャージで製造予定の鋼片の幅公差と、鋳造幅の可変範囲とに基づいて、余材鋼片数が最小となる鋳造幅を探索して、採用鋳造幅を決定することを特徴とする請求項2に記載の鋼片の製造プロセスの制御装置。
- 前記鋳造幅決定手段は、余材鋼片数が最小となる鋳造幅が複数ある場合、その中で最大幅となる鋳造幅を選択して採用鋳造幅とすることを特徴とする請求項3に記載の鋼片の製造プロセスの制御装置。
- 前記制御手段は、操業計画に従う操業中に、幅圧下不能な状態になったとき、余材鋼片数が少なくなるように鋳造幅を設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の鋼片の製造プロセスの制御装置。
- キャストを構成する複数のチャージを連続的に鋳造して鋼片を製造し、その下工程で幅圧下を行う鋼片の製造プロセスを制御するための制御方法であって、
制御手段が、複数のキャストを対象とするとともにキャスト毎に幅圧下命令が予め設定された操業計画に従う操業中に、幅圧下無しで鋼片の製造を実施するにあたり、前記操業計画に含まれるキャストのうちの鋳造未実施のキャストの情報に基づいて、余材鋼片数が少なくなるように鋳造幅を設定する手順を有することを特徴とする鋼片の製造プロセスの制御方法。 - キャストを構成する複数のチャージを連続的に鋳造して鋼片を製造し、その下工程で幅圧下を行う鋼片の製造プロセスを制御するためのプログラムであって、
複数のキャストを対象とするとともにキャスト毎に幅圧下命令が予め設定された操業計画に従う操業中に、幅圧下無しで鋼片の製造を実施するにあたり、前記操業計画に含まれるキャストのうちの鋳造未実施のキャストの情報に基づいて、余材鋼片数が少なくなるように鋳造幅を設定する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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