JP2020010761A - 網状管および網状管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂製の素線で構成され、かつ細径の網状管および網状管の製造方法を提供すること。【解決手段】網状管1は、熱可塑性樹脂による素線111,112または素線束が網状に編まれた網状管本体11と、網状管本体11の端部において、網状管本体11の径方向に重なり、かつ交差する素線111,112同士または素線束同士が溶着された溶着部12と、を有している。【選択図】図4
Description
本発明は、網状管および網状管の製造方法に関する。
従来、内視鏡の挿入部等に組み込む網状管として、当該網状管を構成する素線にステンレス等の金属を用いたものが知られている。このような金属製の網状管では、内視鏡の挿入部に組み込む際に端部の解れや開きが発生しやすい。そのため、従来、網状管の端部をはんだ付けすることにより、端部の解れや開きを抑制する端末処理が行われている(例えば特許文献1)。
最近では、コスト面や安全面での要請により、網状管の素線に熱可塑性樹脂等を用いたものも登場している。このような樹脂製の網状管では、はんだ付けによる端末処理ができない。そのため、例えば特許文献2では、網状管の端部の内周および外周にそれぞれ環状部材を配置し、超音波によって網状管の端部と二つの環状部材とを溶着する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2で提案された方法では、網状管の端部の内周および外周にそれぞれ環状部材を設ける必要があるため、網状管の厚みが増加し、網状管を細径化できないという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、樹脂製の素線で構成され、かつ細径の網状管および網状管の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る網状管は、熱可塑性樹脂からなる素線または素線束が網状に編まれた網状管本体と、前記網状管本体の端部において、前記網状管本体の径方向に重なり、かつ交差する前記素線同士または前記素線束同士が溶着された溶着部と、を有する。
また、本発明に係る網状管は、上記発明において、前記溶着部は、前記素線または前記素線束が交差している交差部の位置において、前記素線同士または前記素線束同士が溶着されていてもよい。
また、本発明に係る網状管は、上記発明において、前記網状管本体は、前記素線束が網状に編まれており、前記溶着部は、前記素線束を構成する隣接する素線同士が溶着されていてもよい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る網状管の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる素線または素線束が網状に編まれた網状管本体に芯金を挿入し、前記網状管本体の端部の周面を溶着して溶着部を形成する。
また、本発明に係る網状管の製造方法は、上記発明において、前記溶着部の一部を切断し、前記網状管本体を所定長さとしてもよい。
また、本発明に係る網状管の製造方法は、上記発明において、超音波溶着によって前記溶着部を形成してもよい。
本発明によれば、樹脂製の素線で構成された網状管を細径化することができる。
以下、本発明に係る網状管および網状管の製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものも含まれる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る網状管の製造方法について、図1〜図7を参照しながら説明する。本実施の形態に係る網状管の製造方法は、網状管本体の端部を端末処理して網状管を製造する方法であり、溶着工程と、切断工程と、をこの順で行う。なお、本実施の形態に係る網状管としては、例えば内視鏡の挿入部等に組み込まれるブレードが挙げられる。
本発明の実施の形態1に係る網状管の製造方法について、図1〜図7を参照しながら説明する。本実施の形態に係る網状管の製造方法は、網状管本体の端部を端末処理して網状管を製造する方法であり、溶着工程と、切断工程と、をこの順で行う。なお、本実施の形態に係る網状管としては、例えば内視鏡の挿入部等に組み込まれるブレードが挙げられる。
本実施の形態で用いる網状管本体11は、図1に示すように、筒状に形成されている。また、網状管本体11は、熱可塑性樹脂からなる複数の素線111,112が網状に編まれている。網状管本体11は、複数の素線111と複数の素線112とがそれぞれ交差して編まれており、素線111と素線112との間に角形状(図1では菱形)の空間が形成されている。なお、網状管本体11は、予め別工程で製造しておいたものを用いてもよく、あるいは外部から調達したものを用いてもよい。以下、本実施の形態に係る網状管の製造方法の各工程について説明する。
<溶着工程>
溶着工程では、図1に示すように、芯金2、受け台3および超音波ホーン4を用いて、網状管本体11の端部の超音波溶着を行う。芯金2は、網状管本体11の内径と概ね等しい外径からなる円柱状に形成されている。受け台3には、網状管本体11の外周面の形状に倣った凹部31が形成されている。超音波ホーン4には、網状管本体11の外周面の形状に倣った凹部41が形成されている。また、超音波ホーン4には、図示しない加振装置が接続されている。
溶着工程では、図1に示すように、芯金2、受け台3および超音波ホーン4を用いて、網状管本体11の端部の超音波溶着を行う。芯金2は、網状管本体11の内径と概ね等しい外径からなる円柱状に形成されている。受け台3には、網状管本体11の外周面の形状に倣った凹部31が形成されている。超音波ホーン4には、網状管本体11の外周面の形状に倣った凹部41が形成されている。また、超音波ホーン4には、図示しない加振装置が接続されている。
溶着工程では、まず網状管本体11に芯金2を挿入し、芯金2の外周面を網状管本体11の内周面に密着させる。次に、芯金2を挿入した網状管本体11を受け台3に載置する。次に、超音波ホーン4の凹部41を網状管本体11の端部の周面に押し当て、当該超音波ホーン4に所望の超音波を加振する。これにより、超音波ホーン4から素線111,112へと超音波振動が伝わり、素線111,112の交差部が超音波振動によって発熱して溶融する。その結果、超音波ホーン4を押し当てた範囲において、網状管本体11の素線111,112同士が溶着される。
続いて、超音波ホーン4を網状管本体11の端部から一旦離し、網状管本体11を、芯金2の軸回りに、溶着された範囲分だけ回転させる。そして、再び超音波ホーン4の凹部41を網状管本体11の端部の周面に押し当て、超音波を加振する。この工程を、網状管本体11の端部の全周分繰り返し行うことにより、網状管本体11の端部の全周を溶着する。なお、上記の繰り返しの回数は、一度の超音波溶着により溶着できる範囲によって異なり、例えば一度の超音波溶着により網状管本体11の端部の90°の範囲を溶着できる場合、四回繰り返すことにより、網状管本体11の端部の全周を溶着することができる。
ここで、図2は、溶着工程前の網状管本体11を示しており、図3は、図2のA部を拡大したものを模式的に示している。図3に示すように、溶着工程前の網状管本体11は、素線111,112同士が上下に重なった状態となっている。すなわち、網状管本体11の径方向(厚さ方向)に見た場合において、素線111が素線112よりも外側に位置している。
一方、図4は、溶着工程後の網状管本体11を示しており、図5は、図4のB部を拡大したものを模式的に示している。図5に示すように、溶着工程後の網状管本体11は、端部の位置において、網状管本体11の径方向に重なり、かつ交差する素線111,112同士が溶着された溶着部12を有している。
この溶着部12では、素線111,112が交差している交差部113の位置において、素線111,112同士が溶着され、一体化している。すなわち、素線111,112は、交差部113の位置でのみ溶着され、交差部113以外の交差していない位置では溶着されていない。また、網状管本体11の径方向(厚さ方向)に見た場合において、素線111および素線112が同じ位置に位置しており、溶着前と比較して、網状管本体11Aの外径が小さくなっている。
<切断工程>
切断工程では、超音波溶着によって形成された溶着部12の一部を切断し、網状管本体11を所定長さとすることにより、網状管1を製造する。切断工程では、具体的には、網状管本体11から超音波ホーン4を取り外し、受け台3から網状管本体11を取り外した後、網状管本体11から芯金2を引き抜く。次に、図6および図7に示すように、溶着部12のうち、製品として必要な範囲を残し、それ以外の範囲を切断する。このように、溶着部12の一部を切断しても、交差部113の位置で素線111,112同士が溶着されているため、解れや開きが発生することはない。なお、切断工程では、同図に示すように、素線111,112の複数の交差部113に沿って溶着部12を切断することにより、解れや開きをより効果的に抑制することができる。
切断工程では、超音波溶着によって形成された溶着部12の一部を切断し、網状管本体11を所定長さとすることにより、網状管1を製造する。切断工程では、具体的には、網状管本体11から超音波ホーン4を取り外し、受け台3から網状管本体11を取り外した後、網状管本体11から芯金2を引き抜く。次に、図6および図7に示すように、溶着部12のうち、製品として必要な範囲を残し、それ以外の範囲を切断する。このように、溶着部12の一部を切断しても、交差部113の位置で素線111,112同士が溶着されているため、解れや開きが発生することはない。なお、切断工程では、同図に示すように、素線111,112の複数の交差部113に沿って溶着部12を切断することにより、解れや開きをより効果的に抑制することができる。
以上のような本実施の形態1に係る網状管1の製造方法によれば、はんだ付けのできない樹脂製の網状管本体11を用いる場合であっても、素線111,112を超音波によって溶着するため、端末処理が可能であり、網状管1の端部の解れや開きを抑制することができる。
また、本実施の形態1に係る網状管1の製造方法では、素線111,112同士を直接溶着するため、前記した特許文献2のような環状部材等の固定部材が不要である。従って、網状管1の端部の厚みを増加させることなく、端末処理を行うことができる。従って、本実施の形態1に係る網状管1の製造方法によれば、樹脂製の素線111,112で構成された網状管1を細径化することができる。
また、従来は、樹脂製の網状管の端末処理の方法として、ヒータによる熱溶着も利用されている。しかしながら、この熱溶着では、ヒータの温度を瞬時に制御することが難しいため、例えば網状管の端部が過剰に溶融してしまい、網形状が崩れてしまったり、バリが発生するという問題があった。
一方、本実施の形態1に係る網状管1の製造方法で利用する超音波溶着は、材料を局所的に溶融させることができ、かつ加振による加熱の制御も容易である。従って、熱溶着のように、網状管の端部が過剰に溶融してしまい、網形状が崩れてしまったり、バリが発生することもない。すなわち、本実施の形態1に係る網状管1の製造方法では、図2および図4に示すように、溶着工程の前後において、網状管本体11の網形状を綺麗にそのまま保つことができる。また、熱溶着を利用した従来の製法では、溶着後の網形状が崩れることにより、回転追従性や剛性等の、網状管の機能自体が損なわれるおそれもあったが、本実施の形態1に係る網状管1の製造方法では、これらの機能が損なわれることもない。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る網状管の製造方法について、図8〜図11を参照しながら説明する。本実施の形態に係る網状管の製造方法は、溶着工程と、切断工程と、をこの順で行う点は実施の形態1と同様である。一方、本実施の形態に係る網状管の製造方法は、実施の形態1における網状管本体11に代えて、網状管本体11Aを用いる。
本発明の実施の形態2に係る網状管の製造方法について、図8〜図11を参照しながら説明する。本実施の形態に係る網状管の製造方法は、溶着工程と、切断工程と、をこの順で行う点は実施の形態1と同様である。一方、本実施の形態に係る網状管の製造方法は、実施の形態1における網状管本体11に代えて、網状管本体11Aを用いる。
本実施の形態で用いる網状管本体11Aは、図8に示すように、筒状に形成されている。また、網状管本体11Aは、熱可塑性樹脂からなる複数の素線束111A,112Aが網状に編まれている。網状管本体11Aは、複数の素線束111Aと複数の素線束112Aとがそれぞれ交差して編まれており、素線束111Aと素線束112Aとの間に角形状(図8では菱形)の空間が形成されている。また、素線束111A,112Aは、それぞれ三本の素線から構成されている。なお、網状管本体11Aは、予め別工程で製造しておいたものを用いてもよく、あるいは外部から調達したものを用いてもよい。以下、本実施の形態に係る網状管の製造方法の各工程について説明する。
<溶着工程>
溶着工程では、実施の形態1(図1参照)と同様に、芯金2、受け台3および超音波ホーン4を用いて、網状管本体11Aの端部の超音波溶着を行う。
溶着工程では、実施の形態1(図1参照)と同様に、芯金2、受け台3および超音波ホーン4を用いて、網状管本体11Aの端部の超音波溶着を行う。
溶着工程では、まず網状管本体11Aに芯金2を挿入し、芯金2の外周面を網状管本体11Aの内周面に密着させる。次に、芯金2を挿入した網状管本体11Aを受け台3に載置する。次に、超音波ホーン4の凹部41を網状管本体11Aの端部の周面に押し当て、当該超音波ホーン4に所望の超音波を加振する。これにより、超音波ホーン4から素線束111A,112Aへと超音波振動が伝わり、素線束111A,112Aの交差部が超音波振動によって発熱して溶融する。その結果、超音波ホーン4を押し当てた範囲において、網状管本体11Aの素線束111A,112Aが溶着される。
続いて、超音波ホーン4を網状管本体11Aの端部から一旦離し、網状管本体11Aを、芯金2の軸回りに、溶着された範囲分だけ回転させる。そして、再び超音波ホーン4の凹部41を網状管本体11Aの端部の周面に押し当て、超音波を加振する。この工程を、網状管本体11Aの端部の全周分繰り返し行うことにより、網状管本体11Aの端部の全周を溶着する。
ここで、図8は、溶着工程前の網状管本体11Aを示しており、図9は、図8のC部を拡大したものを模式的に示している。図9に示すように、溶着工程前の網状管本体11Aは、素線束111A,112A同士が上下に重なった状態となっている。すなわち、網状管本体11Aの径方向(厚さ方向)に見た場合において、素線束111Aが素線束112Aよりも外側に位置している。
一方、図10は、溶着工程後の網状管本体11Aを示しており、図11は、図10のD部を拡大したものを模式的に示している。図11に示すように、溶着工程後の網状管本体11Aは、端部の位置において、網状管本体11Aの径方向に重なり、かつ交差する素線束111A,112A同士が溶着された溶着部12Aを有している。
この溶着部12Aでは、素線束111A,112Aが交差している交差部113Aの位置において、素線束111A,112A同士が溶着され、一体化している。すなわち、素線束111A,112Aは、交差部113Aの位置のみ溶着され、交差部113A以外の交差していない位置では溶着されていない。また、網状管本体11Aの径方向(厚さ方向)に見た場合において、素線束111Aおよび素線束112Aが同じ位置に位置しており、溶着前と比較して、網状管本体11Aの外径が小さくなっている。また、溶着部12Aでは、素線束111A,112Aを構成する隣接する素線同士も溶着され、一体化している。
<切断工程>
切断工程では、超音波溶着によって形成された溶着部12Aの一部を切断し、網状管本体11Aを所定長さとすることにより、網状管1Aを製造する。なお、切断工程の内容は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
切断工程では、超音波溶着によって形成された溶着部12Aの一部を切断し、網状管本体11Aを所定長さとすることにより、網状管1Aを製造する。なお、切断工程の内容は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
以上のような本実施の形態2に係る網状管1Aの製造方法によれば、実施の形態1と同様に、超音波溶着により、はんだ付けのできない樹脂製の網状管本体11Aの端末処理が可能であり、網状管1Aの端部の解れや開きを抑制することができる。また、網状管1Aの端部の厚みを増加させることなく、端末処理を行うことができる。また、図8および図10に示すように、溶着工程の前後において、網状管本体11Aの網形状を綺麗にそのまま保つことができる。
また、本実施の形態2に係る網状管1Aの製造方法によれば、網状管1Aを素線束111A,112Aで構成することにより、素線径を太くすることなく、網状管1Aの剛性をより向上させることが可能となる。
以上、本発明に係る網状管および網状管の製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
1,1A 網状管
11,11A 網状管本体
111,112 素線
111A,112A 素線束
113,113A 交差部
2 芯金
3 受け台
4 超音波ホーン
11,11A 網状管本体
111,112 素線
111A,112A 素線束
113,113A 交差部
2 芯金
3 受け台
4 超音波ホーン
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂からなる素線または素線束が網状に編まれた網状管本体と、
前記網状管本体の端部において、前記網状管本体の径方向に重なり、かつ交差する前記素線同士または前記素線束同士が溶着された溶着部と、
を有する網状管。 - 前記溶着部は、前記素線または前記素線束が交差している交差部の位置において、前記素線同士または前記素線束同士が溶着されている請求項1に記載の網状管。
- 前記網状管本体は、前記素線束が網状に編まれており、
前記溶着部は、前記素線束を構成する隣接する素線同士が溶着されている請求項1または請求項2に記載の網状管。 - 熱可塑性樹脂からなる素線または素線束が網状に編まれた網状管本体に芯金を挿入し、前記網状管本体の端部の周面を溶着して溶着部を形成する網状管の製造方法。
- 前記溶着部の一部を切断し、前記網状管本体を所定長さとする請求項4に記載の網状管の製造方法。
- 超音波溶着によって前記溶着部を形成する請求項4または請求項5に記載の網状管の製造方法。
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