JP2020010683A - 三次元生体組織の培養方法、並びに三次元生体組織培養デバイス及びシステム - Google Patents

三次元生体組織の培養方法、並びに三次元生体組織培養デバイス及びシステム Download PDF

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【課題】酸素透過性を向上させながら、三次元生体組織の構造を維持し、所望の形状を有する三次元生体組織の培養方法、並びに三次元生体組織培養デバイス及びシステムを提供することを目的とする。【解決手段】培地の成分が透過する多孔膜の一方の面に載置された三次元生体組織を気相に曝露させ、かつ、前記多孔膜の他方の面に接触させた培地を、前記多孔膜と平行な液流で灌流させながら、前記三次元生体組織を培養する工程、を含む、三次元生体組織の培養方法を提供する。また、セルカルチャーインサート保持部と;前記セルカルチャーインサート保持部の底部の一部に設けられた少なくとも1つの流路と;前記流路に培地を供給するための培地供給管と;前記流路から培地を排出するための培地排出管と、を備える、三次元生体組織培養デバイス及び三次元生体組織培養システムを提供する。【選択図】図1−3

Description

本発明は、三次元生体組織の培養方法に関する。また、本発明は、三次元生体組織培養デバイス及びシステム方法に関する。
近年、オルガノイド(Organoid)と呼ばれる、人為的に生体外で創出した、器官又は臓器に類似した組織体を構築する研究が盛んに行われている。オルガノイドは、一般に、器官形成に寄与する前駆細胞等の集合体から、生体内における発生や再生過程を模倣することにより創出される。ヒト組織オルガノイドは、器官・臓器の発生過程を理解するために用いられるのみならず、創薬研究への応用が期待されており、癌、腸、肝臓、腎臓等のオルガノイド誘導研究が既に行われている。
オルガノイドを培養する方法としては、様々な方法が開発されており、例えば、セルカルチャーインサートの多孔膜上において三次元化したオルガノイドを培養する方法が知られている(例えば、非特許文献1)。また、オルガノイドの内部へ酸素や栄養を供給するための血管網を模倣するために、微細加工技術を用いて構築したマイクロ流体デバイス上で、オルガノイドを培養する方法が開発されている(例えば、非特許文献2)。
Takasato M.,et al.,Kidney organoids from human iPS cells contain multiple lineages and model human nephrogenesis,Nature.2015 Oct.22;526(7574):pp.564−568. Nashimoto Y.,et al.,Integrating perfusable vascular networks with a three−dimensional tissue in a microfluidic device,Integr.Biol.(Camb).2017 Jun.19;9(6):506−518.
従来の器官培養法は、長期間培養すると、三次元生体組織(例えば、オルガノイド)の構造が保てず、所望の形状を有するオルガノイドが得られないという課題があった。すなわち、本発明は、酸素透過性を向上させつつ、オルガノイドの構造を維持し、所望の形状を有するオルガノイドを作製するための培養方法、並びに培養デバイスおよび培養システムを提供する。
本発明者らは、種々の角度から検討を加えて研究開発を行ってきた。その結果、多孔膜の下部に、培地を灌流させるための流路を設け、三次元生体組織を気相−液相界面を維持しながら培養するという簡便な方法によって、三次元生体組織(例えば、オルガノイド)の形状が崩壊することなく、長期間培養を可能となることを見出した。本発明は、上記知見を元に完成させたものである。すなわち、本発明は以下を含む。
[1] 三次元生体組織の培養方法であって、
培地の成分が透過する多孔膜の一方の面に載置された三次元生体組織を気相に曝露させ、かつ、前記多孔膜の他方の面に接触させた培地を、前記多孔膜と平行な液流で灌流させながら、前記三次元生体組織を培養する工程、
を含む、方法。
[2] 前記多孔膜が、前記多孔膜の厚み方向に貫通する細孔を有する、[1]に記載の方法。
[3] 前記多孔膜が、セルカルチャーインサートの多孔膜である、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記三次元生体組織が、腎オルガノイド、肺オルガノイド、胸腺オルガノイドまたは精巣オルガノイドである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] 前記三次元生体組織が、腎オルガノイドである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 前記培地が、0.01μL/分以上の流速で灌流される、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の方法。
[7] セルカルチャーインサート保持部と;
前記セルカルチャーインサート保持部の底部の一部に設けられた少なくとも1つの流路と;
前記流路に培地を供給するための培地供給管と;
前記流路から培地を排出するための培地排出管と、
を備え、
ここで、前記流路の上面の一部は流路上部開口部を有し、セルカルチャーインサートが前記セルカルチャーインサート保持部に載置された時に、前記流路上部開口部が前記セルカルチャーインサートの多孔膜の下面により覆われることを特徴とする、三次元生体組織培養デバイス。
[8] 前記セルカルチャーインサート保持部が、前記セルカルチャーインサートと密着させるための嵌合手段を有する、[7]に記載の三次元生体組織培養デバイス。
[9] 前記嵌合手段が、テーパ構造及びシール部材からなる群から選択される1以上の嵌合手段である、[8]に記載の三次元生体組織培養デバイス。
[10] 前記流路が、培地が流された場合に層流となるよう形成されている、[7]〜[9]のいずれか1項に記載の三次元生体組織培養デバイス。
[11] 前記流路の幅/高さが、2.0以上である、[7]〜[10]のいずれか1項に記載の三次元生体組織培養デバイス。
[12] 前記流路の高さが、約0.1mm〜約5mmである、[7]〜[11]のいずれか1項に記載の三次元生体組織培養デバイス。
[13] さらに、前記セルカルチャーインサート保持部に載置されたセルカルチャーインサートを備える、[7]〜[12]のいずれか1項に記載の三次元生体組織培養デバイス。
[14] [13]に記載の三次元生体組織培養デバイスと、
前記培地供給管に接続された培地供給ラインと、
前記培地供給ラインに培地を供給する培地供給槽と、
前記培地供給ラインに培地を送る送液ポンプと、
前記培地排出管に接続された培地排出ラインと、
前記培地排出ラインから排出された培地を貯留する培地排出槽と、
を備える、三次元生体組織培養システム。
[15] 前記培地供給槽と、前記培地排出槽が同一であり、培地が循環することを特徴とする、[14]に記載の三次元生体組織培養システム。
本発明の特徴は、簡便なデバイスを用いることによって、気相−液相界面を維持しながら、三次元生体組織を培養可能とした点にある。従来、三次元生体組織、例えば腎臓オルガノイドは、その上部に培地やゲルが存在する状態で培養していたために、細胞間への培地が受動的に侵入し、内部上皮細胞構造の維持が困難で崩壊していた。本発明により、三次元生体組織の上部は気相で培養可能となり、培地のランダムな侵入なしに、酸素が十分に供給可能であり、培養期間中に三次元生体組織の組織構造を維持することが可能となる。また、三次元生体組織下部は多孔膜を介して液相と接しており、液相の還流によって培地が供給され、栄養及び酸素の供給、老廃物の除去が可能となる。また、三次元生体組織下部の液流刺激が徐々に三次元生体組織の上層に向かうにしたがって減衰するため、生体内の血流、例えば生体内の胎児腎へ供給される血流と類似しており、胎内の状態を模倣するものである。これにより、三次元生体組織の成熟が促進され、従来の三次元生体組織よりも高度に分化した三次元生体組織を得ることが可能となる。
また、本発明の三次元生体組織培養デバイスは、市販のセルカルチャーインサートと組み合わせて使用することもできる。セルカルチャーインサートの多孔膜の孔径を適宜選択することで、上部還流組織への培地の還流量も制御可能となる。さらに、通常の培養皿を用いて灌流培養可能であるため、培養中の三次元生体組織を市販の顕微鏡で観察することが可能であり、経時的な観察も可能となる。
図1−1は、一実施形態における、三次元生体組織培養デバイスを示す図である。(A)上面図。(B)底面図。 図1−2は、一実施形態における、三次元生体組織培養デバイスを示す図である。(A)図1−1(A)のA−A断面を示す図である。(B)図1−1(A)のB−B断面を示す図である。 図1−3は、一実施形態における、三次元生体組織培養デバイスを示す図である。(A)三次元生体組織培養デバイスの斜視図(上面側)である。(B)三次元生体組織培養デバイスの斜視図(底面側)である。 図2−1は、一実施形態における、培養デバイスアセンブリを示す図である。セルカルチャーインサート、三次元生体組織培養デバイス及び培養容器を組み合わせた培養デバイスアセンブリを示す斜視図である。 図2−2は、一実施形態における、培養デバイスアセンブリを示す図である。(A)図1−2(A)に、セルカルチャーインサート及び培養容器を組み合わせた培養デバイスアセンブリの断面図を示す。(B)図1−2(B)に、セルカルチャーインサート及び培養容器を組み合わせた培養デバイスアセンブリの断面図を示す。 図3は、一実施形態における、三次元生体組織培養システムの一部(培養デバイスアセンブリ)の使用状態を示す模式図である。 図4−1は、一実施形態における、三次元生体組織培養デバイスを示す図である。(A)上面図。(B)底面図。 図4−2は、一実施形態における、三次元生体組織培養デバイスを示す図である。(A)図4−1(A)のC−C断面を示す図である。(B)図4−1(A)のD−D断面を示す図である。 図5は、一実施形態における、三次元生体組織培養システムを示す図である。培養デバイスアセンブリは断面図で示されている。 図6は、一実施形態における、三次元生体組織培養システムを示す図である。培養デバイスアセンブリは断面図で示されている。 図7は、一実施形態における、三次元生体組織培養システム及び灌流状態を示す図である。(A)三次元生体組織培養システムの一部(培養デバイスアセンブリ)の使用態様を示す模式図である。(B)蛍光ビーズを用いた灌流テストの結果を示すグラフである。流路内((A)のF1)の蛍光ビーズ移動度とポンプ流量の関係を示す。(C)蛍光ビーズを用いた灌流テストの結果を示すグラフである。セルカルチャーインサート内((A)のF2)の蛍光ビーズ移動速度とポンプ流量(μL/秒)の関係を示す。 図8は、iPS細胞からの腎オルガノイドの誘導を示す図である。(A)腎オルガノイドの誘導条件を示す。(B)12ウェルセルカルチャーインサート内の誘導18日目(3次元化後12日)の腎オルガノイドのマクロスコピック像。(C)腎オルガノイドの経時的なNPHS1遺伝子(ネフリン発現マーカー)の発現を示す。 図9は、腎オルガノイドの灌流培養の結果を示す。ポンプ流量10μL/分で灌流した場合の蛍光レクチンの動態(赤:Alexa 649 Tomato lectin)を示す。 図10は、灌流による腎オルガノイド内の尿管芽組織および誘導尿細管構造の変化を示す図である。腎オルガノイドを誘導後18日から21日の間培養した各々の凍結切片染色像を示す。(A)及び(B):静置培養群(対比コントロール)、(C)及び(D):2.5μL/分 灌流培養群、(E)及び(F):10μL/分 灌流培養群。(A)、(C)及び(E)は、赤:尿管芽細胞(CK8)、緑:発生尿細管(Podocalyxin)を示す。(B)、(D)及び(F)は、(A)、(C)及び(E)の画像に、細胞核染色像を重ね合わせた画像である。 図11は、灌流による腎オルガノイド内の遺伝子発現の変化を示す。3日間培養後の腎オルガノイドにおけるPAX8遺伝子発現の変化を示すグラフである。 図12は、灌流による尿管芽細胞の内腔拡張を示す。(A)静止培養、(B)2.5μL/分、(C)10μL/分での3日間培養後の腎オルガノイド内尿管芽管構造を示す(赤:尿管芽細胞(CK8)、緑:発生尿細管(Podocalyxin)、青:細胞核)。 図13は、浸漬培養した腎オルガノイドを示す。上段:培養方法の模式図、中段:培養後のオルガノイド(矢頭)、下段:培養後の凍結切片染色像(青:細胞核、赤:尿管芽細胞、緑:近位ネフロン)。 図14は、一実施態様の三次元生体組織培養システムにおける培養環境の模式図を示す。 図15は、がん細胞(G401細胞)を移植した腎オルガノイドを用いた、がん細胞の浸潤・転移の解析結果を示す。(A)7日間静置培養後、又は(B)7日間灌流培養後のコラーゲンゲル包埋がん細胞(G401細胞)を移植した腎オルガノイドの組織切片のHE染色像を示す。 図16は、がん細胞(G401細胞)を移植した腎オルガノイドを用いた、がん細胞の浸潤・転移の解析結果を示す。がん細胞(G401細胞)を含む懸濁液を腎オルガノイドへ滴下移植し、その後灌流しながら培養を行った。灌流後の培地に含まれる細胞を回収して、別途培養し、上清中のMMPの量をELISAで測定した。
以下、本発明の実施形態について、必要に応じて図面を参照にしながら説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明の構成は、実施形態の具体的構成に限定されない。
I.三次元生体組織
本明細書において、「三次元生体組織」とは、細胞を含む三次元の構造体をいい、例えば、生体から単離された生体組織(例えば、臓器及び組織またはその一部(例えば、皮膚組織(例えば、毛根付随皮膚組織など)、心筋組織、骨格筋組織、平滑筋組織、肝組織、腎組織、消化管組織、眼組織(例えば角膜組織)、脳組織、胸腺組織、精巣組織、膵臓組織、甲状腺組織、乳腺組織、唾液腺組織、肺組織など)、又は、生体組織を構成する細胞を用いて再構築された三次元細胞構造体、例えば、オルガノイドが本発明に適用され得る。本発明に適用し得る生体から単離された生体組織とは、生体から採取された生体組織そのものであってもよく、生体から採取された生体組織を任意の形状に加工した組織片であってもよい。また、本発明に適用し得る三次元細胞構造体とは、細胞を含む懸濁液とゲル溶液又はゲル化剤とを混合させて形成した三次元細胞構造体であってもよく、複数枚の細胞シートを積層した三次元細胞構造体であってもよい。本発明に適用し得る三次元細胞構造体とは、ゲルの上に、細胞を播種し、培養することにより形成される三次元細胞構造体であってもよい。
本明細書において、「オルガノイド(Organoid)」とは、臓器又は器官の形成に寄与する前駆細胞等の集合体から、3次元的に試験管内(in vitro)で構築された組織体をいい、当業者にとって最も広義に解釈される「オルガノイド」と同義のものを指す。オルガノイドは、一般に、実際の臓器又は器官よりも小型であり、単純な構造を有するが、解剖学的及び機能的に生体内に存在する臓器又は器官に近い特徴を示す。オルガノイドとしては、例えば、腎オルガノイド、肝臓オルガノイド、消化管オルガノイド(例えば、腸オルガノイド、口腔オルガノイド、胃オルガノイドなど)、眼杯オルガノイド、脳オルガノイド、胸腺オルガノイド、精巣オルガノイド、膵臓オルガノイド、上皮オルガノイド、甲状腺オルガノイド、乳腺オルガノイド、唾液腺オルガノイド及び肺オルガノイド等が挙げられ、また、これらのオルガノイドにがん細胞を含む「がんオルガノイド」なども含まれる。また、本明細書において、オルガノイドとは、生体から採取された臓器および組織またはその一部(例えば、組織片)を含むものであってもよい(例えば、Shamir ER., Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2014 Oct;15(10):647−64を参照)。
本発明に適用可能な三次元生体組織、例えばオルガノイドを得る方法としては公知の方法を用いればよく、以下に限定されないが、例えば、腎オルガノイドは、Takasato M.,et al.,Nature.2015,Oct.22,526(7574),pp.564−568;肺オルガノイドは、Unbekandt M.,Kidney Int.,2010,Mar.,77(5),pp.407−416;胸腺オルガノイドは、Sheridan JM.,et al.,Genesis,2009 May,47(5),pp.346−351;精巣オルガノイドは、Sanjo H.,et al.,PLoS One.2018,Feb 12,13(2),e0192884などを参考にすればよい。その他、オルガノイドを形成する方法によって得られた任意のオルガノイドも用いることが可能である。本発明に適用可能な三次元生体組織としては、多孔膜上で培養可能である三次元生体組織であればよく、例えば、腎オルガノイド、肺オルガノイド、胸腺オルガノイド、精巣オルガノイドに適用可能であり、好ましくは、腎オルガノイドである。
本発明に適用可能な三次元生体組織は、例えば、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類の三次元生体組織である。好ましくは、哺乳動物の三次元生体組織であり、例えば、マウス、ラット、ヒト、サル、ブタ、イヌ、ヒツジ、ネコ、ヤギなどの哺乳動物由来の細胞を含んでいる。
本発明に適用可能な三次元生体組織に含まれる細胞は、生体組織から採取された初代細胞であってもよく、株化された細胞であってもよく、多能性幹細胞若しくは組織幹細胞(例えば、間葉系幹細胞)から分化誘導された細胞であってもよい。
本明細書において「多能性幹細胞」とは、あらゆる組織の細胞へと分化する能力(分化多能性)を有する幹細胞の総称することを意図する。限定されるわけではないが、多能性幹細胞は胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)、胚性癌腫細胞(embryonic carcinoma cell:EC細胞)、栄養芽幹細胞(trophoblast stem cell:TS細胞)、エピブラスト幹細胞(epiblast stem cell:EpiS細胞)、胚性生殖細胞(embryonic germ cell:EG細胞)、多能性生殖細胞(multipotent germline stem cell:mGS細胞)、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPS細胞)、Muse細胞等を含む。多能性幹細胞としては公知の任意のものを使用可能であるが、例えば、国際公開第2009/123349号に記載の多能性幹細胞を使用することができる。
組織幹細胞や多能性細胞から、任意の三次元生体組織(例えば、オルガノイド)を構築する細胞へと分化させる方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、以下に限定されるわけではないが、腎オルガノイドを構築する細胞は、Takasato M.,et al.,Nature.2015,Oct.22,526(7574),pp.564−568;肝臓オルガノイドを構築する細胞は、Takebe T.,et al.,Nature,2013,Jul,25,499(7459),pp.481−484;消化管オルガノイドを構築する細胞は、Sato T.,et al.,Nature,2009,May 14,459(7244),pp.262−265;眼杯オルガノイドを構築する細胞は、Eiraku M.,et al.,Nature,2011,Apr 7,472(7341)pp.51−56;脳オルガノイドを構築する細胞は、Eiraku M.,et al.,Cell Stem Cell,2008,Nov 6,3(5),pp.519−532及びLancaster MA.,et al.,Nature,2013,Sep 19,501(7467),pp.373−379、肺オルガノイドを構築する細胞は、Yamamoto Y.,et al.,Nat Methods.2017 Nov,14(11),pp.1097−1106;膵臓オルガノイドを構築する細胞は、Raikwar SP.,et al.,PLoS One.2015 Jan 28,10(1),e0116582;甲状腺オルガノイドを構築する細胞は、Ma R.,et al.,Front Endocrinol(Lausanne).2015 Apr 22,6,56.などを参考にすることができる。その他、三次元生体組織を構築する細胞へと分化させる方法によって得られた任意の細胞も用いることが可能である。
II.三次元生体組織の培養方法
一実施態様において、本発明の方法は、以下の工程を含む:
培地の成分が透過する多孔膜の一方の面に載置された三次元生体組織を気相に曝露させ、かつ、前記多孔膜の他方の面に接触させた培地を、前記多孔膜と平行な液流で灌流させながら前記三次元生体組織を培養する工程。本明細書において「培地の成分が透過する多孔膜」とは、培地を構成する成分、例えば、水、緩衝液中の成分、タンパク質など、細胞培養に必要な成分が通過することができる細孔を有する多孔膜をいう。
本発明の方法を実施することによって、多孔膜上に載置された三次元生体組織には、気相から十分な酸素が供給され、虚血になることが防止される。また、三次元生体組織が接触する面とは反対の面から浸透した培地によって、三次元生体組織が接触する面の上で液流が生じる。三次元生体組織が接触する面の上に生じた液流は、極めて緩やかな流れとなるため、三次元生体組織を構成する細胞が分泌する分化に必要な因子が洗い流されずに三次元生体組織周辺にとどまることとなる。これにより、栄養を含む培地が十分に三次元生体組織へ供給されることとなる。例えば、本発明を腎オルガノイドに適用した場合、オルガノイドの構造が崩壊することが防止され、腎オルガノイドの成熟化も促進される。一実施態様において、培地の液流は、例えば、多孔膜と平行な任意の一方向流である。多孔膜と平行な任意の一方向流は、時間によって、液流の方向を変更してもよい。これにより、多孔膜の三次元生体組織が載置された面に生じる液流の向きも変更することができる。
一実施態様において、本発明に用いられる多孔質膜は、当該記多孔膜の厚み方向に貫通する細孔を有していることが好ましく、さらに好ましくはセルカルチャーインサートの多孔膜である。セルカルチャーインサートは、市販のセルカルチャーインサートを用いることができる。本発明に用いられる多孔質膜の細孔の平均孔径は、培養される三次元生体組織の種類、大きさ、用途などに応じて、適宜選択することができ、例えば、0.01μm〜100μmの平均孔径(例えば、0.01μm〜50μm、0.01μm〜10μm、0.1μm〜50μm、好ましくは0.1μm〜10μm)を有する。多孔膜の平均孔径が0.1μm〜10μmであれば、三次元生体組織に含まれる細胞が、三次元生体組織が接触する多孔膜の一方の面から、多孔膜の他方の面へ移動することが防止され、好ましい。また、本発明に用いられる多孔膜の細孔の密度は、培養される三次元生体組織の種類、大きさ、用途などに応じて、適宜選択することができるが、例えば1×10/cm以上、好ましくは5×10/cm以上、より好ましくは10×10/cm以上、さらに好ましくは50×10/cm以上、最も好ましくは100×10/cm以上の細孔の密度を有する多孔膜を使用することができる。本発明に用いられる多孔質膜の平均膜厚は、例えば、5μm〜500μm、5μm〜100μm、または5μm〜100μmである。本発明に用いられる多孔膜の材質としては、例えばポリカーボネート、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン、シリコーンポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等があげられるが、これに限定されない。
一実施態様において、本発明の方法は、多孔膜に接触させた培地が、0.01μL/分以上の流速で灌流される。例えば、培地の流速は、0.01μL/分以上、0.05μL/分以上、0.1μL/分以上、0.5μL/分以上、1.0μL/分以上、または2.0μL/分以上であってもよい。また、流速は、例えば、0.01μL/分〜10mL/分、0.1μL/分〜10mL/分、1.0μL/分〜10mL/分、2.0μL/分〜10mL/分、0.01μL/分〜2mL/分、0.1μL/分〜2mL/分、1.0μL/分〜2mL/分、2.0μL/分〜2mL/分、0.01μL/分〜500μL/分、0.1μL/分〜500μL/分、1.0μL/分〜500μL/分、2.0μL/分〜500μL/分、0.01μL/分〜100μL/分、0.1μL/分〜100μL/分、1.0μL/分〜100μL/分、2.0μL/分〜100μL/分、0.01μL/分〜20μL/分、0.1μL/分〜20μL/分、1.0μL/分〜20μL/分、2.0μL/分〜20μL/分、0.01μL/分〜12.5μL/分、0.1μL/分〜12.5μL/分、1.0μL/分〜12.5μL/分、2.0μL/分〜12.5μL/分、0.01μL/分〜8.0μL/分、0.1μL/分〜8.0μL/分、1.0μL/分〜8.0μL/分、2.0μL/分〜8.0μL/分であってもよい。多孔膜に接触させた培地は、層流となるように還流されることが好ましい。
一実施態様において、本発明の方法は、肺オルガノイド、胸腺オルガノイドまたは精巣オルガノイドであるに適用することが可能であり、好ましくは腎オルガノイドに適用される。
III.三次元生体組織培養デバイス
図1(図1−1〜3)は、一実施形態における、三次元生体組織培養デバイス10を示す。三次元生体組織培養デバイス10は、セルカルチャーインサート保持部11と、セルカルチャーインサート保持部11の底部110の一部に設けられた少なくとも1つの流路12と、流路12に培地を供給するための培地供給管13と、前記流路12から培地を排出するための培地排出管14とを備えている。
セルカルチャーインサート保持部11は、図2に示されるように、セルカルチャーインサート20が保持できるよう設計されており、本体部15の一部である内壁111と底部110によって規定される。セルカルチャーインサート20は、底部110に載置される。セルカルチャーインサート保持部11の形状や大きさは、載置されるセルカルチャーインサート20の形状に応じて選択される。例えば、図2−1(A)に示されるように、セルカルチャーインサート20が円錐台形である場合、本体部15の内壁111は、セルカルチャーインサート本体21が密着して嵌合するように、嵌合手段として、テーパ構造を有しても良い。これにより、セルカルチャーインサート20をセルカルチャーインサート保持部11に密着させることができる。また、セルカルチャーインサート保持部11は、嵌合手段として、シール部材、例えばOリングを有することにより、セルカルチャーインサート20を密着させることもできる。セルカルチャーインサート20が、例えば、円柱形又は角柱形である場合は、それらが密着して嵌合するように、セルカルチャーインサート保持部11の内壁111も円柱形又は角柱形を有する。
底部110の一部には、少なくとも1つの流路12が形成されている。流路12には、本体部15に設けられた培地供給管13と培地排出管14が流体連通している。培地供給管13は、一実施態様において、培地供給管13及び培地排出管14は、図2−1(A)のように、本体部15の本体部上面150に対して略垂直に設けられている。これにより、三次元生体組織培養デバイス10を培養容器30に設置した場合、培養容器30の上部から培地を供給・排出することができる。しかしながら、培地供給管13及び培地排出管14の位置や形状は、適用される培養容器30の形状や、設置する場所等によって適宜変更することができるために、特に限定されない。
図1及び2に示されるように、流路12の上面の一部は、流路上部開口部121を有している。流路上部開口部121は、セルカルチャーインサート保持部11の底部110の一部に形成されている。セルカルチャーインサート20がセルカルチャーインサート保持部11に載置された時に、流路上部開口部121は、セルカルチャーインサート20の多孔膜22の下面により覆われる。これにより、流路12を流れる培地が、多孔膜22の直下を通過することとなる。
一実施形態において、流路12は、流路底部開口部122を有している(図1−1(B)、図1−2参照)。本体部15の本体部底面151が、培養容器30の培養容器底面31と密着することにより、培養容器底面31が流路12の底面となる。三次元生体組織培養デバイス10が流路底部開口部122を有することにより、三次元生体組織を培養しながら、例えば倒立顕微鏡により観察可能もなる。また、三次元生体組織培養デバイス10を製造する場合、例えば3Dプリンターや、射出成形などによって、1つのパーツとして製造することも可能となり、製造工程が容易となる。
一実施態様において、培養容器30が円錐台形である場合、本体部15は、培養容器30と密着して嵌合するように、嵌合手段として、例えばテーパ構造を有しても良い。これにより、三次元生体組織培養デバイス10を培養容器30に密着させることができる。また、本体部15は、嵌合手段として、シール部材、例えばOリングを有することにより、培養容器30の内壁に密着させることもできる。培養容器30の内壁が、例えば、円柱形又は角柱形である場合は、それらが密着して嵌合できるように、本体部15も円柱形又は角柱形を有する。
流路12は、培地が流された場合に、層流となることが期待されるよう設計されている。一般に、流体が層流となるか、または乱流となるかは、レイノルズ数を計算することによって予測することができる。レイノルズ数は、以下の式によって求めることができる。
ここで、U:代表流速(円管の場合、平均流速)、L:代表長さ(円管の場合、内径)、ν:動粘性係数、を表す。
一般に、流路が円管である場合は、レイノルズ数(Re)が2300未満であれば、層流と判断される。一実施態様のように、流路12の断面(培地の流れ方向に垂直断面)が矩形である場合、流体平均深さm=A/S(A:断面積、S:断面の周囲長)に近似するため、代表長さ(L)=4m、すなわち、「L=4×流路の高さ」を上記式に代入することにより、レイノルズ数を計算することができる。レイノルズ数を算出することによって、層流となることが期待される流路12を適宜設計することが可能となる。
したがって、層流となる流路12の高さは、使用される培地の流速や動粘度係数などによって変わるために限定されないが、例えば、一般に使用される培地を灌流させる場合、流路12の高さは、0.1mm〜5.0mm、0.5mm〜3.0mm、0.5mm〜2.0mm、1.0mm〜2.0mmであれば、層流となることが期待される。培養中に三次元生体組織を観察する用途で用いる場合、流路12の高さは2.0mm以下であることが好ましく、例えば、0.1mm〜2.0mmが好ましい。
図3は、三次元生体組織培養デバイス10、セルカルチャーインサート20及び培養容器30を組み合わせた培養デバイスアセンブリ4において、流路12に培地を灌流させた状態を示す模式図である。上述のように、培地は流路12内を層流で流れるため、多孔膜22を通過する培地の量は十分に少ないものと仮定することができる。流路12の幅が、流路12の高さに比べて広い場合、例えば、流路12の「幅/高さ」(すなわち、アスペクト比)が、2.0以上、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、さらに好ましくは4.0以上(例えば、4.5以上、5.0以上、10.0以上)である場合、培地の流れは、流路12の中央部では平面ポアズイユ流れ(plane Poiseuille flow)に近似し、流路入口123から流路出口124に向かってわずかな圧力勾配が生じる。すなわち、流路入口123付近では、多孔膜を通ってセルカルチャーインサート20に流れる向きの微小流が生じ、流路出口124付近では、多孔膜を通ってセルカルチャーインサート20から排出される向きの微小流が生じる。これにより、多孔膜上に載置された三次元生体組織OG周辺には、極めて緩やかな培地の流れが生じることになる(図3の参照)。その結果、三次元生体組織OGには、三次元生体組織を構成する細胞が分泌する分化に必要な因子が洗い流されずにとどまり、かつ、栄養を含む培地が供給される。
図4(図4−1〜図4−2)は、他の実施形態である三次元生体組織培養デバイス10aを示す。各部材の符号の番号に「a」が付加されていること以外、三次元生体組織培養デバイス10に設けられた各部材と同一の符号番号が付与されている各部材についての説明は、三次元生体組織培養デバイス10の対応する各部材についての上述の説明が適用される。ここでは、三次元生体組織培養デバイス10の各部材の説明が適用されない部材についてのみ説明する。
三次元生体組織培養デバイス10aは、本体部15aの側面に、培地供給管13a及び培地排出管14aが設けられている。培地供給管13a及び培地排出管14aは、流路12aとそれぞれ流体連通している。流路12aは、三次元生体組織培養デバイス10とは異なり、流路底部開口部122(図1−1(B)、図1−2参照)は有しない。そのため、三次元生体組織培養デバイス10aは、培養容器30と共に使用することを要しない。本体部15aは、培養容器30と共に使用しないので、任意の形状であってもよい。
また、他の実施形態において、三次元生体組織培養デバイス(10、10a)は、セルカルチャーインサート保持部(11、11a)に載置されたセルカルチャーインサート20を予め備えたものであってもよい。
IV.三次元生体組織培養システム
図5は、一実施態様における三次元生体組織培養システム1を示している。三次元生体組織培養システム1は、三次元生体組織培養デバイス10と、三次元生体組織培養デバイス10のセルカルチャーインサート保持部11に載置されたセルカルチャーインサート20と、培地供給管13に接続された培地供給ライン17と、培地供給ライン17に培地を供給する培地供給槽5と、培地供給ライン17に培地を送る送液ポンプ19と、培地排出管14に接続された培地排出ライン18と、培地排出ライン18から排出された培地を貯留する培地排出槽(図5では、培地供給槽5に相当)と、を備えている。培地供給ライン17と培地供給管13、及び、培地排出ライン18と培地排出管14は、アダプタ16によって接続されている。
図5のように、三次元生体組織培養システム1は、培地供給槽5と、培地排出槽が同一であり、培地が循環するものであってもよく、培地供給槽5と、培地排出槽とが、別々に提供され、常に新鮮な培地が提供されるものであってもよい。送液ポンプ19は、公知のポンプを用いることが可能であり、チューブポンプ(ペリスタポンプ)であってもよく、ピエゾポンプであってもよく、流体を送り出すことができるポンプであれば使用することができる。他の実施形態において、送液ポンプ19と培地供給槽5とが一体となったものである、シリンジポンプであってもよい。
図6に示されるように、他の実施形態において、三次元生体組織培養システム1aは、2以上の三次元生体組織培養デバイス10(図6では、培養デバイスアセンブリ4に相当)が接続ライン180によって連結されたものであってもよい。2つ以上の三次元生体組織培養デバイス10を連結させることにより、例えば、それぞれのセルカルチャーインサート20に、同一の又は異なる三次元生体組織を適用し、培地を共有させた灌流培養が可能となる。これにより、離れた位置で培養された三次元生体組織が、培地を共有することによって起こる現象を観察することができる。例えば、1つの三次元生体組織培養デバイス10に設置されたセルカルチャーインサート20上の三次元生体組織に、任意の細胞(例えば、がん細胞、間葉系幹細胞、骨髄細胞など)を移植し、その後、灌流培養することにより、移植した細胞が浸潤し、他の三次元生体組織培養デバイス10に設置されたセルカルチャーインサート20上の三次元生体組織に転移する現象を解析し得る。
三次元生体組織培養システム(1、1a)に使用される三次元生体組織培養デバイス(10、10a)は、キットとして提供されてもよく、例えば、三次元生体組織培養デバイス(10、10a)と、セルカルチャーインサート20とが同梱されたキットであってもよく、三次元生体組織培養デバイス(10、10a)と、セルカルチャーインサート20とが別々に提供されるキットであってもよい。セルカルチャーインサート20は、市販のものを使用することができ、使用されるセルカルチャーインサート20の多孔膜22の平均孔径は、培養される三次元生体組織の種類、大きさ、用途などに応じて、適宜選択することができ、例えば、0.01μm〜100μmの平均孔径(例えば、0.01μm〜50μm、0.01μm〜10μm、0.1μm〜50μm、好ましくは0.1μm〜10μm)を有する多孔膜を備えたセルカルチャーインサート20を使用することができる。多孔膜22の平均孔径が0.1μm〜10μmであれば、三次元生体組織に含まれる細胞が多孔膜22の下面へ移動することが防止され、好ましい。また、使用されるセルカルチャーインサート20の多孔膜22の細孔の密度は、培養される三次元生体組織の種類、大きさ、用途などに応じて、適宜選択することができる。多孔膜22の内外の培地交換効率の観点から、1×10/cm以上、好ましくは5×10/cm以上、より好ましくは10×10/cm以上、さらに好ましくは50×10/cm以上、最も好ましくは100×10/cm以上の細孔の密度を有する多孔膜22を備えるセルカルチャーインサート20を使用することができる。また、セルカルチャーインサート20の多孔膜22の平均膜厚は、例えば、5μm〜500μm、5μm〜100μmまたは5μm〜50μmである。また、セルカルチャーインサート20の多孔膜22の材質としては、例えばポリカーボネート、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン、シリコーンポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等があげられるが、これに限定されない。
三次元生体組織培養デバイス10に適用される培養容器30は、本体部15の形状に応じて適宜選択することができ、市販の培養容器(例えば、6ウェル培養皿、12ウェル培養皿、35mm培養皿、100mm培養皿など)を使用してもよい。
本発明の三次元生体組織の培養方法、並びに三次元生体組織培養デバイス及びシステムを用いることにより、従来では維持培養が難しかった三次元生体組織を維持培養可能となる。また、本発明の三次元生体組織培養デバイス及びシステムを用いることにより、新規治療薬のスクリーニングや、毒性試験などを実施することも可能となる。
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1)
1.材料及び実験方法
1−1.三次元生体組織培養デバイスの作製
三次元生体組織培養デバイスは3DCAD設計データを元に、3Dプリンター(ストラタシス社object Edenシリーズ、樹脂MED610)を用いて作製し、サポート材を水酸化ナトリウムにて溶解して作製した。
具体的には、三次元生体組織培養デバイスのセルカルチャーインサート保持部は、12ウェルセルカルチャーインサート(ファルコン製)が載置可能なように、直径14.2mmに設計し、流路の幅は5mm、流路の高さは1mmとなるように設計した(図1−3を参照)。また、三次元生体組織培養デバイスの本体部は、6ウェルプレートに設置可能に設計した。こうして設計した三次元生体組織培養デバイスの流路を流れる培地について、レイノルズ数を計算した。
培地の粘度が0.6mPa・S、培地の密度が1000kg/mと仮定すると、動粘性係数ν=0.6mm/sとなる。流路の幅が5mm、流路の高さが1mmであるので、流量Q=5mm×1mm×代表流速Uより、U=Q/5mmとなる。代表長さ(L)=4×流体平均深さ、であるので、L=4×1mm=4mmとなる。これより、レイノルズ数は、以下のように算出することができる。Re = UL/ν=(Q/5mm)×(4mm)/(0.6mm/s) ≒ Q×1.33s/μL
流量Q=25μL/m(すなわち、Q≒0.42μL/s)であると仮定すると、Re≒(0.42μL/s)×(1.33s/μL) ≒ 0.56となる。すなわち、レイノルズ数が2300よりはるかに小さいために、培地の液流は層流となることが期待できる。
三次元生体組織培養デバイスの流路は、高さに対して幅が十分に広い矩形流路(幅:5mm、高さ:1mm)であるため、流路の中央部での粘性流体の流れは、平面ポアズイユ流れに近似する。上述のように、培地の流れは層流であり、流路の開口部を覆った多孔膜を通過する液量が十分に少ないものと仮定すると、流速は、以下の式に近似する分布となる。
式中、x:流路長手方向座標、y:高さ方向座標、u:流速、Umax:最大流速、Umean:平均流速、Q:単位奥行き当たりの流量、p:圧力、ρ:密度、h:流路の高さ、ν:動粘性係数、を示す。
上記式(3)を変形すると、
dp/dx = −Umax×(8ρν)/h(・・・(6))
となる。
さらに、式(5)から、式(6)は、
dp/dx = −3/2Umean×(8ρν)/h(・・・(7))
と変形することができる。ρνは粘度であるため、ρν=0.6mPa・Sであり、Umean= Q/5mm = (0.42μL/s)/5mm、h=1mmを、式(7)に代入することで以下の値が算出される。
dp/dx = −3/2Umean×(8ρν)/h = −3/2((0.42μL/s)/5mm)×(8×0.6mPa・S)/(1mm) = −0.6mPa/mm
従って、三次元生体組織培養デバイスの流路長14.2mm(セルカルチャーインサート保持部の直径に相当)の流路入口から流路出口まで、−0.6mPa/mmの微小な圧力勾配を生じる。これにより、流路入口付近では、多孔膜を通ってセルカルチャーインサートに流れる向きの微小流が生じ、流路出口付近では、多孔膜を通ってセルカルチャーインサートから排出される向きの微小流が生じ、多孔膜上に載置された三次元生体組織に、緩やかな培地の流れが生じる。
1−2.三次元生体組織培養システムの組み立て
三次元生体組織培養デバイスは、6ウェルインサート用プレート(Falcon)の蓋に、培地供給管及び培地排出管を挿入するための孔を作製し、滅菌した。三次元生体組織培養デバイスを6ウェルプレートに設置し、さらに、三次元生体組織を載置した0.4μmポアまたは3.0μm、12ウェルのセルカルチャーインサート(Corning社、Falcon Cell Culuture insert、Cat#353494または#353292)を三次元生体組織培養デバイス上に設置した。それを蓋で覆い、培地供給管及び培地排出管にシリコンチューブを接続し、マイクロペリスタポンプ(アイカムス・ラボ)と接続した。培地供給ライン及び培地排出ラインであるシリコンチューブを培地供給槽と接続した。
1−3.灌流試験
灌流の動態を調べるために、蛍光ビーズ(Cat.#17149、Lot.536309、平均粒径0.0394μm、2.5%(w/v)、Polyscience Inc.)を含有したPBS200μL(0.05%溶液)を、培地供給ラインに設けた三方活栓から導入した。Nikon顕微鏡に接続したカメラで1分間撮影し、ビーズの移動距離をアクアコスモス(浜松フォトニクス)にて計測して移動度を解析した(図7(A)のF1、及び図7(B))。また、セルカルチャーインサート内の液体の動態は、直径10μmの蛍光ビーズ(3.6 × 10 beads/mL,FluoSpheres(商標)、Thermo Fisher Scientific)約6%含有するPBS溶液をセルカルチャーインサート内だけに入れて灌流を行い、2秒毎1〜1.5分間のビーズの動態を記録し、移動度を解析した(図7(A)のF2、及び図7(C))。
2.結果
流路に液体を流すことによって、多孔膜上の蛍光マイクロビーズが移動することを確認した。従って、理論通り、多孔膜上に緩やかな液流が生じることを確認することができた(図7(C))。
(実施例2)
1.材料及び実験方法
1−1.iPS細胞の維持培養
iPS細胞(201B7、Lot No.18)はRIKEN Cell bankより分与された株を使用し、継代p8〜23の間のiPS細胞を実験に使用した。iPS細胞は、フィーダーレスで維持培養した。具体的には、予め0.4mg/cm imatrix−511(WAKO)でコーティングした培養皿に、4〜5×10個のiPS細胞を播種し、10μM Rock inhibitor(Y27632、WAKO)を添加した維持培地にて培養し、24時間以内に維持培地(AK02N、AJINOMOTO)に交換した。細胞数が増えないうちは2日に一回の培地交換を行い、細胞数が増加し、コロニーが直径1mm前後に育った後は毎日培地交換を行った。継代は、コロニー同士が融合し始める40〜50%コンフルエントの状態で行った。PBS(WAKO)で洗浄後、2分の1希釈したTrypLET(Thermo)を添加し、7分間37℃でインキュベーション後、剥離し、細胞数を計測し、適宜培養を続けた。保存する場合はStem Cell Banker(ゼノアック)を用いた緩慢凍結法で凍結した。
1−2.腎オルガノイドの誘導
腎オルガノイドは、Takasatoらの手法に従って行った(Takasato M.,et al.,Nature.2015 Oct.22;526(7574):pp.564−568.)。具体的には、iPS細胞を35mm培養皿上で培養し、70〜80%コンフルエントになった状態で0.8μMのCHIR99021(WAKO)を含有するXeno−free培地(APEL2,STEMCELL)で4日間培養した。その後2日間、2μg/mLのFGF9(PEPRO TECH)含有Xeno−free培地にて培養を続けた。その後、細胞を3次元化するために培養皿より継代試薬にて剥離し、細胞数6.25×10個/100〜200μL/チューブの濃度に懸濁液を調製し、400×gで3分間室温にて遠心した。得られたペレットを12ウェルプレート用の0.4μmポアのセルカルチャーインサート(Corning社、Falcon Cell Culture insert、Cat#353494)の中央に移した。その後、セルカルチャーインサートを12ウェルプレートのウェルに設置し、ウェル内にのみ培地(0.5μM CHIR99021、10μM Y27632添加APEL)添加し、37℃で1時間インキュベータした。その後、2μg/mL FGF9添加APEL培地に交換して培養した。2日に一回、培地を交換し、培養を継続した(図8(A)参照)。
1−3.灌流培養条件
遺伝子解析を行い、腎オルガイドが、腎臓細胞を誘導する時期を探索した。腎臓細胞の誘導時期に3日間オルガノイドを灌流培養した。灌流用の培地総量は2.5mL〜3mLを用い、灌流速度は0〜100μL/分の間にて設定した。培地は1.5日毎に全量を交換した。オルガノイド培養システムは、37℃、5%COインキュベータ内に設置した。ポンプコントローラーはインキュベータの外部に設置した。タイムラプスで観察する時は顕微鏡の周囲のチャンバーを37℃に保ち、マルチウェルプレートの非使用ウェルに滅菌水を加えて5%COをバブリングで供給して観察した。
1−4.腎オルガノイド灌流培養
遺伝子解析及び形態的解析の結果より、確実に腎臓細胞の誘導が進んだ誘導18日目からオルガノイドの灌流培養を行った。6ウェルマルチウェルプレート内にオルガノイド培養デバイスを入れ、オルガノイドを載せた12ウェルセルカルカルチャーインサートを設置し、蓋をした。その後、3方活性にてポンプを接続したシリコン製の灌流チューブを接続し、培地を充填して泡を除いた後に灌流を開始した。対比コントロールとして、約2mm程度の間隙を形成したオルガノイド培養デバイス上に12ウェルセルカルカルチャーインサートを載置し、それを3mLの培地を入れた5cm培養皿に載置し、灌流群と使用培地量を揃えることで検討した。
1−5.遺伝子解析
各々の培養期間で得られたオルガノイドを回収し、RNA抽出キット(Ambion Thermo)を用いてRNAを抽出した。RNA量を計測後、同量のRNA量をHigh Capacity cDNA(ABI Thermo)を用いて逆転写反応させ、cDNAを作製した。Taqmanプローブ(ABI Thermo)を用いてリアルタイムPCRを行い、Via7にて反応・解析を行った。標準サンプルを用いて相対的標準曲線を作成し、それを用いて定量計算を行った。内部標準はACTBを用いた。
1−6.免疫組織染色
各々の培養期間で得られた腎オルガノイドを、4%パラフォルムアルデヒド(武藤化学)で固定し、4℃で保存した。凍結ブロックを作製するために、固定した腎オルガノイドを15%ショ糖/PBSで30分間処理し、新しい15%ショ糖/PBSに交換して再度30分間処理した。その後、30%ショ糖/PBSに交換して30分処理し、新しい30%ショ糖/PBSに交換して再度30分間処理した。得られた組織からTissue Tek O.C.T.Compound(サクラファインテック・ジャパン)を用いて凍結ブロックを作製し、−80℃で保存を行った。クライオスタット(Leica)を用い、8μm厚にて薄切した凍結切片を作製し、それを染色に用いた。
1−7.組織内灌流培養液分布状態の可視化
灌流培養時、2日間 0.5mg/mL Texas Red−conjugated dextran(70,000 MW Molecular Probes,Eugene,OR,USA)を含有する培養液で灌流し、その後、4%パラホルムアルデヒドで灌流固定を行った。得られたオルガノイドから凍結切片を作製し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。Texas Red陽性領域(図9A)を灌流液体の組織内通過領域と見なすことで動態の可視化を行った。用いた試薬は以下の通りである。
<一次抗体>
・CK8(mouse monoclonal antibody:abcam)1/200希釈
・Podocalyxicin(goat polyclonal antibody:R&D)1/500希釈・PDGFβreceptor(rabbit monoclonal antibody:abcam)1/200希釈
・Active−Caspase−3(rabbit polyclonal antibody:abcam)1/200希釈
・CK19(rabbit monoclonal antibody:abcam)
<二次抗体>
・moues IgG Rhodamin(Jackson immunology)
・rabit IgG FITC(Jackson immunology)
・Goat IgG FITC(Jackson immunology)
それぞれ1/200希釈にて使用。
<核染色>
・Hoechxist 33528(Dojindo)1/500希釈
2.結果
iPS細胞から腎オルガノイドを誘導した(図8(A))。その結果、腎臓細胞の遺伝子発現や形態形成は誘導12日後より徐々に増加しはじめ、18日後でピークを示すことが明らかとなった(図8(B)および(C))。
図9は、腎オルガノイドの灌流培養の結果を示している。腎オルガノイド下部の100μm前後に培地が侵入していることが確認された。
図10は、灌流による腎オルガノイド内の尿管芽組織および誘導尿細管構造の変化の結果を示している。CK8陽性細胞は、2.5μL/分の灌流で増加する傾向が観察された。
図11は、灌流による腎オルガノイド内の遺伝子発現の変化を示している。尿管芽分岐点に発現するPAX8の発現は2.5μL/分の灌流で最も発現が上昇していた。
図12は、灌流による尿管芽細胞の内腔拡張の様子を示す図である。灌流量の増加に伴い、尿管芽細胞の内腔が拡張する傾向が観察された。
(比較例)
腎オルガノイドの浸漬培養
誘導18日目(3次元化12日目)の腎オルガノイドを培養しているセルカルチャーインサート内に培地300μLを添加し、さらに3日間培養を行った(図13)。
その結果、器官培養(気−液界面維持培養)から浸漬培養へ切り替えると、3日後には腎オルガノイドの3次元構造と内部組織構造が崩壊した(図13)。
(考察)
図14は、本発明で培養される腎オルガノイドの環境と胎内腎環境との類似点を説明する図である。本発明によって、オルガノイドは、気相から酸素が供給され、同時に、栄養が多孔膜直下を流れる液相(培地)によって供給される。本発明により実現される培養環境は、下部から上部に向かって層状に伝達する、胎児腎の血流環境と類似しており、これを模倣する環境になっているものと考えられる。
(実施例3)
1.実験方法
実施例1で作製した2個の三次元生体組織培養デバイスの流路を約2.8cmポリプロピレン製コネクタで連結した。実施例2の方法により得られた腎オルガノイドを、2個の三次元生体組織培養デバイス上のセルカルチャーインサート上にそれぞれ載置した。片方の腎オルガノイドに、50μLのI型コラーゲンゲル内に包埋した10個のG401細胞(小児腎癌細胞株)を移植し、約3mLの培地(APEL;STEMCELL社 腎オルガノイド用培地)を2.5μL/分で灌流しながら7日間培養した。
なお、コントロール(静置培養)として、3mLのAPEL培地を入れた6ウェルプレートの1ウェルに、腎オルガノイドを載置したセルカルチャーインサートをセットし、I型コラーゲンゲル内に包埋した10個のG401細胞(小児腎癌細胞株)を移植し、同様に7日間培養した。
2.結果
癌細胞を包埋したI型コラーゲンゲルは灌流培養により溶解が進行していた(図15)
(実施例4)
1.実験方法
実施例1で作製した2個の三次元生体組織培養デバイスの流路を約2.8cmポリプロピレン製コネクタで連結した。実施例2の方法により得られた腎オルガノイドを、2個の三次元生体組織培養デバイス上のセルカルチャーインサート上にそれぞれ載置した。片方の腎オルガノイドに、培地1uLに懸濁した100個のG401細胞を滴下して移植した。約3mLの培地(APEL;STEMCELL社 腎オルガノイド用培地)を2.5μL/分で灌流しながら14日間培養した。
培地交換後、回収した灌流後の培地を遠心分離して細胞を回収し、G401用10%血清添加MaCoy’s 5A培地に懸濁して、6wellプレートの1wellに加え、コンフルエントになるまで増殖させた。その後、無血清の培地で24時間培養し、培養上清中に含まれるHuman MMP9の量をELISA法で測定した。コントロールとして、G401細胞が1個/ウェルとなるように96穴プレートにてクローニングし、同様に増殖させた培養上清を使用した(図16の「1 cell/w(M)」)。
2.結果
灌流培養5日後の灌流培地から採取した細胞を、血清入り培地で18日間培養した結果、癌細胞が検出され、滴下移植後に灌流培地内に癌細胞が浸潤していたことが確認された。
灌流培養3日後と7日後以降の灌流培地から採取した細胞を、血清入り培地で18日間培養した結果、MMP9発現の高い間葉系細胞が検出された(図16)。G401細胞ではメタロプロテアーゼ活性は低かった(図16)。
1、1a 三次元生体組織培養システム
10、10a 三次元生体組織培養デバイス
11、11a セルカルチャーインサート保持部
110、110a 底部
111 内壁
12、12a 流路
120、120a 流路内壁
121、121a 流路上部開口部
122 流路底部開口部
122a 流路底部
123 流路入口
124 流路出口
13 培地供給管
130 下部培地供給口
131 上部培地供給口
14 培地排出管
140 下部培地排出口
141 上部培地排出口
15、15a 本体部
150、150a 本体部上面
151、151a 本体部底面
16 アダプタ
17 培地供給ライン
18 培地排出ライン
180 接続ライン
19 送液ポンプ
20 セルカルチャーインサート
21 セルカルチャーインサート本体
22 多孔膜
30 培養容器
31 培養容器底面
4 培養デバイスアセンブリ
5 培地供給槽
OG 三次元生体組織
M 培地

Claims (15)

  1. 三次元生体組織の培養方法であって、
    培地の成分が透過する多孔膜の一方の面に載置された三次元生体組織を気相に曝露させ、かつ、前記多孔膜の他方の面に接触させた培地を、前記多孔膜と平行な液流で灌流させながら、前記三次元生体組織を培養する工程、
    を含む、方法。
  2. 前記多孔膜が、前記多孔膜の厚み方向に貫通する細孔を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多孔膜が、セルカルチャーインサートの多孔膜である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記三次元生体組織が、腎オルガノイド、肺オルガノイド、胸腺オルガノイドまたは精巣オルガノイドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記三次元生体組織が、腎オルガノイドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記培地が、0.01μL/分以上の流速で灌流される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. セルカルチャーインサート保持部と;
    前記セルカルチャーインサート保持部の底部の一部に設けられた少なくとも1つの流路と;
    前記流路に培地を供給するための培地供給管と;
    前記流路から培地を排出するための培地排出管と、
    を備え、
    ここで、前記流路の上面の一部は流路上部開口部を有し、セルカルチャーインサートが前記セルカルチャーインサート保持部に載置された時に、前記流路上部開口部が前記セルカルチャーインサートの多孔膜の下面により覆われることを特徴とする、
    三次元生体組織培養デバイス。
  8. 前記セルカルチャーインサート保持部が、前記セルカルチャーインサートと密着させるための嵌合手段を有する、請求項7に記載の三次元生体組織培養デバイス。
  9. 前記嵌合手段が、テーパ構造及びシール部材からなる群から選択される1以上の嵌合手段である、請求項8に記載の三次元生体組織培養デバイス。
  10. 前記流路が、培地が流された場合に層流となるよう形成されている、請求項7〜9のいずれか1項に記載の三次元生体組織培養デバイス。
  11. 前記流路の幅/高さが、2.0以上である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の三次元生体組織培養デバイス。
  12. 前記流路の高さが、約0.1mm〜約5mmである、請求項7〜11のいずれか1項に記載の三次元生体組織培養デバイス。
  13. さらに、前記セルカルチャーインサート保持部に載置されたセルカルチャーインサートを備える、請求項7〜12のいずれか1項に記載の三次元生体組織培養デバイス。
  14. 請求項13に記載の三次元生体組織培養デバイスと、
    前記培地供給管に接続された培地供給ラインと、
    前記培地供給ラインに培地を供給する培地供給槽と、
    前記培地供給ラインに培地を送る送液ポンプと、
    前記培地排出管に接続された培地排出ラインと、
    前記培地排出ラインから排出された培地を貯留する培地排出槽と、
    を備える、三次元生体組織培養システム。
  15. 前記培地供給槽と、前記培地排出槽が同一であり、培地が循環することを特徴とする、請求項14に記載の三次元生体組織培養システム。
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