JP2020009773A - 蓄電装置 - Google Patents

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JP2020009773A
JP2020009773A JP2019160235A JP2019160235A JP2020009773A JP 2020009773 A JP2020009773 A JP 2020009773A JP 2019160235 A JP2019160235 A JP 2019160235A JP 2019160235 A JP2019160235 A JP 2019160235A JP 2020009773 A JP2020009773 A JP 2020009773A
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石川 純
Jun Ishikawa
純 石川
和平 成田
Kazuhei Narita
和平 成田
哲平 小國
Teppei Kokuni
哲平 小國
彩 内田
Aya Uchida
彩 内田
裕史 門間
Hiroshi Kadoma
裕史 門間
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Abstract

【課題】サイクル特性が良好な蓄電装置を提供する。【解決手段】正極503、負極506、及び電解液を有し、電解液は、カチオン及びアニオンを有し、カチオンは、構造式(100)に示す1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオンを含む、蓄電装置500を提供する。【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、蓄電装置及び電子機器に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様は、物、方法、又は製造方法に関する。本発明の一態様は、プロセス、マシン、マ
ニュファクチャ、又は組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。そのため、よ
り具体的に本明細書で開示する発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置
、発光装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、又は、それらの製造方
法を一例として挙げることができる。
なお、本明細書中において、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すも
のである。例えば、リチウムイオン二次電池などの蓄電池(二次電池ともいう)、リチウ
ムイオンキャパシタ、及び電気二重層キャパシタなどを含む。
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池等、種々の蓄電装
置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン二
次電池は、携帯電話、スマートフォン、もしくはノート型コンピュータ等の携帯情報端末
、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、医療機器、又は、ハイブリッド車(HEV)、電
気自動車(EV)、もしくはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーン
エネルギー自動車など、半導体産業の発展と併せて急速にその需要が拡大し、充電可能な
エネルギーの供給源として現代の情報化社会に不可欠なものとなっている。
このように、様々な分野又は用途でリチウムイオン二次電池は用いられている。そのなか
で、リチウムイオン二次電池に求められる特性として、高エネルギー密度、優れたサイク
ル特性、及び様々な動作環境での安全性などがある。
汎用されているリチウムイオン二次電池の多くは、非水溶媒と、リチウムイオンを有する
リチウム塩と、を含む非水電解質(電解液ともいう)を有している。そして、当該非水電
解質によく用いられている有機溶媒としては、誘電率が高くイオン導電性に優れたエチレ
ンカーボネートなどの有機溶媒などがある。
しかし、上記有機溶媒は揮発性及び低引火点を有しており、この有機溶媒をリチウムイオ
ン二次電池に用いた場合、内部短絡や過充電などに起因したリチウムイオン二次電池の内
部温度の上昇によるリチウムイオン二次電池の破裂や発火などが生じる可能性がある。
上記を考慮し、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩ともいう)をリチウム
イオン二次電池の非水電解質の溶媒として用いることが検討されている。例えば、エチル
メチルイミダゾリウム(EMI)カチオンを含むイオン液体、N−メチル−N−プロピル
ピロリジニウム(P13)カチオンを含むイオン液体、又はN−メチル−N−プロピルピ
ペリジニウム(PP13)カチオンを含むイオン液体などがある(特許文献1参照)。
また、イオン液体のアニオン成分及びカチオン成分を改良することで、低粘度及び低融点
かつ高い導電性を有するイオン液体を用いるリチウムイオン二次電池が開示されている(
特許文献2参照)。
特開2003−331918号公報 国際公開第2005/63773号
リチウムイオン二次電池の開発は、充放電特性、サイクル特性、信頼性、安全性、又はコ
ストといった様々な面で改善の余地が残されている。
本発明の一態様は、サイクル特性が良好な蓄電装置を提供することを目的の一とする。ま
たは、本発明の一態様は、安全性の高い蓄電装置を提供することを目的の一とする。また
は、本発明の一態様は、不可逆容量が低減された蓄電装置を提供することを目的の一とす
る。または、本発明の一態様は、信頼性の高い蓄電装置を提供することを目的の一とする
。または、本発明の一態様は、寿命の長い蓄電装置を提供することを目的の一とする。
または、本発明の一態様は、容量の大きい蓄電装置を提供することを目的の一とする。ま
たは、本発明の一態様は、使用できる温度範囲が広い蓄電装置を提供することを目的の一
とする。または、本発明の一態様は、高性能な蓄電装置を提供することを目的の一とする
。または、本発明の一態様は、新規な蓄電装置を提供することを目的の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、正極、負極、及び電解液を有し、電解液は、第1のカチオン及びアニ
オンを有し、第1のカチオンは、構造式(100)で表される、蓄電装置である。
上記構成において、電解液は、アルカリ金属塩を有することが好ましい。特に、アルカリ
金属塩としては、リチウム塩が好適である。
上記各構成において、アニオンは、1価のアミドアニオン、1価のメチドアニオン、フル
オロスルホン酸アニオン、フルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸
アニオン、パーフルオロアルキルホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、又は
パーフルオロアルキルリン酸アニオンのいずれか一を含むことが好ましい。特に、アニオ
ンは、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン、又は、ビス(トリフルオロメタンス
ルホニル)アミドアニオンを含むことが好ましい。
上記各構成において、負極は、炭素を含むことが好ましい。
なお、蓄電装置の充電又は放電により、電解液が分解され、その分解物が負極表面に被膜
を形成する場合がある。被膜は、電解液の分解を抑制することができるが、被膜の形成の
ために、不可逆容量が生じ、放電容量の一部が損失される。そこで、本発明の一態様にお
いて、負極には、蓄電装置の充電又は放電を行う前に、予め人工的に膜を形成することが
好ましい。予め負極の表面に人工的な膜を有することで、電解液の分解等を抑制し、蓄電
装置の容量の低下を抑制することができる。
上記各構成において、例えば、負極は、カルボキシメチルセルロース及びスチレン−ブタ
ジエンゴムを含むことが好ましい。カルボキシメチルセルロース及びスチレン−ブタジエ
ンゴムは、結着剤として機能することができる。負極にカルボキシメチルセルロース及び
スチレン−ブタジエンゴムを用いることで、負極の表面に人工的な膜を形成することがで
きる。
上記各構成において、正極は、グラフェンを含むことが好ましい。グラフェンは、導電助
剤として機能することができる。電極にグラフェンを用いることで、電極の密度を向上さ
せることや、電極の導電率を向上させることが可能である。
上記各構成において、電解液は、第2のカチオンを有することが好ましい。第2のカチオ
ンとしては、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、又は四級ホスホニ
ウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオンや、イミダゾリウムカチオン又はピリジニウム
カチオン等の芳香族カチオンを用いることができる。特に、第2のカチオンは、イミダゾ
リウムカチオンであることが好ましい。
本発明の一態様は、上記各構成の蓄電装置と、表示装置、操作ボタン、外部接続ポート、
スピーカ、又はマイクと、を有する、電子機器である。
本発明の一態様により、サイクル特性が良好な蓄電装置を提供することができる。または
、本発明の一態様により、安全性の高い蓄電装置を提供することができる。または、本発
明の一態様により、蓄電装置の不可逆容量を低減することができる。または、本発明の一
態様により、信頼性の高い蓄電装置を提供することができる。または、本発明の一態様に
より、寿命の長い蓄電装置を提供することができる。
または、本発明の一態様により、容量の大きい蓄電装置を提供することができる。または
、本発明の一態様により、使用できる温度範囲が広い蓄電装置を提供することができる。
または、本発明の一態様により、高性能な蓄電装置を提供することができる。または、本
発明の一態様により、新規な蓄電装置を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
蓄電装置の一例及び電極の一例を示す図。 蓄電装置の一例を示す図。 蓄電装置の一例を示す図。 蓄電装置の動作の一例を示す図。 蓄電装置の一例を示す図。 蓄電装置の作製方法の一例を示す図。 蓄電装置の作製方法の一例を示す図。 蓄電装置の作製方法の一例を示す図。 活物質層の一例を示す図。 蓄電装置の一例を示す図。 蓄電装置の一例を示す図。 蓄電装置の一例を示す図。 円筒型蓄電池の一例を示す図。 コイン型蓄電池の一例を示す図。 蓄電システムの一例を示す図。 蓄電システムの一例を示す図。 蓄電システムの一例を示す図。 蓄電装置の一例を示すブロック図。 本発明の一態様を説明する概念図。 本発明の一態様を説明する回路図。 本発明の一態様を説明する回路図。 本発明の一態様を説明する概念図。 本発明の一態様を説明するブロック図。 本発明の一態様を説明するフローチャート。 電子機器の一例を示す図。 電子機器の一例を示す図。 電子機器の一例を示す図。 電子機器の一例を示す図。 実施例の蓄電装置のサイクル特性を示す図。 実施例の蓄電装置のレート特性を示す図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同
一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の
機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実
際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必
ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
なお、本明細書等において、第1、第2などとして付される序数詞は、便宜上用いるもの
であって工程の順番や積層の順番などを示すものではない。そのため、例えば、「第1の
」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明
細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は
一致しない場合がある。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じ
て、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」
という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語
を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
なお、本明細書等において、蓄電装置用の正極及び負極の双方を併せて電極とよぶことが
あるが、この場合、電極は正極及び負極のうち少なくともいずれか一方を示すものとする
ここで、充電レート及び放電レートについて説明する。例えば、容量X[Ah]の蓄電池
を定電流充電する際に、充電レート1Cとは、ちょうど1時間で充電終了となる電流値I
[A]のことであり、例えば、充電レート0.2Cとは、I/5[A](すなわち、ちょ
うど5時間で充電終了となる電流値)のことである。同様に、放電レート1Cとは、ちょ
うど1時間で放電終了となる電流値I[A]のことであり、例えば、放電レート0.2C
とは、I/5[A](すなわち、ちょうど5時間で放電終了となる電流値)のことである
ここで、活物質とは、キャリアであるイオンの挿入・脱離に関わる物質のみを指すが、本
明細書等では、本来「活物質」である材料に加えて、導電助剤やバインダーなどを含めた
ものも、活物質層と呼ぶ。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置について図1〜図9を用いて説明する。
本実施の形態では、リチウムイオン二次電池を例に説明するが、本発明の一態様の蓄電装
置はこれに限られない。本発明の一態様は、電池、一次電池、二次電池、リチウム空気電
池、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カ
ドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、固
体電池、空気電池、コンデンサ、リチウムイオンキャパシタなどに適用してもよい。
図1(A)に、本発明の一態様の蓄電装置である、電池セル500を示す。図1(A)で
は、電池セル500の一例として、薄型の蓄電池の形態を示すが、本発明の一態様の蓄電
装置はこれに限られない。本発明の一態様の蓄電装置は、様々な形状、形態を適用するこ
とができ、その一例は実施の形態2で詳述する。
図1(A)に示すように、電池セル500は、正極503、負極506、セパレータ50
7、及び外装体509を有する。電池セル500は、正極リード電極510及び負極リー
ド電極511を有してもよい。
図2(A)、(B)に、図1(A)における一点鎖線A1−A2間の断面図の一例をそれ
ぞれ示す。図2(A)、(B)には、正極503と負極506を1組用いて作製した電池
セル500の断面構造をそれぞれ示す。
図2(A)、(B)に示すように、電池セル500は、正極503、負極506、セパレ
ータ507、電解液508、及び外装体509を有する。セパレータ507は、正極50
3と負極506の間に挟まれている。外装体509内は、電解液508で満たされている
正極503は、正極活物質層502と、正極集電体501とを含む。負極506は、負極
活物質層505と、負極集電体504とを含む。活物質層は、集電体の片面又は両面に形
成すればよい。セパレータ507は、正極集電体501と負極集電体504の間に位置す
る。
電池セルは、正極及び負極をそれぞれ1つ以上有していればよい。例えば、電池セルは、
複数の正極及び複数の負極からなる積層構造とすることもできる。
図3(A)に、図1(A)における一点鎖線A1−A2間の断面図の別の例を示す。また
、図3(B)に図1(A)における一点鎖線B1−B2間の断面図を示す。
図3(A)、(B)には、正極503と負極506を複数組用いて作製した電池セル50
0の断面構造を示す。電池セル500が有する電極層数に限定はない。電極層数が多い場
合には、より多くの容量を有する蓄電装置とすることができる。また、電極層数が少ない
場合には、薄型化でき、可撓性に優れた蓄電装置とすることができる。
図3(A)、(B)では、正極集電体501の片面に正極活物質層502を有する正極5
03を2つと、正極集電体501の両面に正極活物質層502を有する正極503を2つ
と、負極集電体504の両面に負極活物質層505を有する負極506を3つ用いる例を
示す。つまり、電池セル500は、6層の正極活物質層502と、6層の負極活物質層5
05を有する。
ここで、図4(A)、(B)を用いて、電池セル500の動作について説明する。ここで
は、一例として、電池セル500がリチウムイオン二次電池である場合について述べる。
具体的には、正極活物質にLiFePOを用い、負極活物質に黒鉛を用いたリチウムイ
オン二次電池を例に挙げて説明する。
図4(A)に、充電する場合における、電池セル500と、充電器1122との接続構成
を示す。充電時に正極で起こる反応を反応式(1)に示す。
また、充電時に負極で起こる反応を反応式(2)に示す(図4(A)中のLi参照)。
次に、放電について説明する。図4(B)に、放電する場合における、電池セル500と
、充電器1123との接続構成を示す。放電時に、正極で起こる反応を反応式(3)に示
す。
また、放電時に、負極で起こる反応を反応式(4)に示す。
負極において、充電時には、数式(2)で表される反応以外の反応が生じる場合がある。
同様に、負極において、放電時には、数式(4)で表される反応以外の反応が生じる場合
がある。
例えば、電解液が電極の表面で分解する可能性がある。電解液は、電池反応の電位におい
て、電極表面で分解することがある。特に負極においては電池反応の電位が低く、電解液
の還元分解が生じやすい。このような分解反応は不可逆な反応であることが多い。そのた
め、電池セルの容量の損失に繋がる場合がある。
また、例えば電解液の溶媒としてイオン液体を用いた場合、該イオン液体のカチオン等が
活物質の層間に挿入する場合もある。この反応も、不可逆な反応である場合が多い。
また、負極集電体と、電解液又は電解液の分解物と、の不可逆な反応により、負極集電体
が溶出し、負極活物質層の表面に負極集電体の成分が析出することがある。よって、電池
セルの容量を低下する要因となる。
例えば、充電時に、上述のような不可逆な反応が起こると、充電時の容量と比較して放電
時の容量が小さくなってしまう。
また、放電時に、上述のような不可逆な反応が起こると、放電時の容量と比較して、次の
充放電サイクルにおける充電時の容量が低下する場合がある。つまり不可逆な反応が生じ
続けると、充放電サイクルに伴い、徐々に容量が低下する場合がある。
ここで、電解液は、電解質及び溶媒を有する。本発明の一態様の蓄電装置では、電解液の
溶媒に、1種類以上のイオン液体を用いる。イオン液体は、1種類以上のカチオンと、1
種類以上のアニオンと、を有する。イオン液体は、難燃性を示すため、蓄電装置の安全性
を高めることができる。
以下では、電解液の溶媒としてイオン液体を用いた場合に生じる不可逆な反応について、
詳しく説明する。
イオン液体が有するカチオンやアニオンは電荷をもつため、例えば電極表面などで電気二
重層を形成することができ、電気二重層キャパシタなどの蓄電装置に用いることができる
一方、イオン液体が有するカチオンやアニオンは、電極表面で分解する場合がある。カチ
オン及びアニオンは、それぞれ電荷をもつため、有機溶媒等の分子と比較して、電極表面
(例えば、活物質層や集電体の表面)近傍に存在しやすいと考えられる。そのため、電極
表面では、カチオンやアニオンの分解反応が起こりやすい場合がある。カチオンやアニオ
ンの分解反応により電荷が消費されると、キャリアイオン(例えば、リチウムイオン)の
電池反応を阻害し、充放電容量を低下させてしまう可能性がある。また、活物質層や集電
体の表面で電解液が分解した結果、不可逆容量が増大し、充放電サイクルに伴う容量の低
下を招く場合がある。
また、例えば黒鉛などに代表される層間化合物の層間に、イオン液体が有するカチオンや
アニオンが挿入される場合がある。また、層間に挿入されたカチオンやアニオンは、その
後、分解する場合や、脱離する場合がある。
これらの不可逆な反応は、数式(1)乃至数式(4)の反応と並行して生じると考えられ
る。これらの不可逆な反応と比較して、電池動作の正常な反応、すなわち数式(1)乃至
数式(4)の反応の方が起こりやすい環境をつくることは、電池セルの容量を高めるため
に好ましい。
そこで、本発明の一態様では、イミダゾリウムカチオンの一種である、1−エチル−2,
3−ジメチルイミダゾリウムカチオン(略称:2MeEMI)を用いる。以下に、2Me
EMIの構造式(100)を示す。
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムカチオンは、粘度が
比較的低く、イオン(例えば、リチウムイオン)の伝導性が高い。したがって、充放電速
度の高い蓄電装置を実現することができる。
イミダゾリウムカチオンを用いたイオン液体を蓄電装置に用いた場合、低温環境下(とく
に0℃以下)においても、該イオン液体(より具体的には該イオン液体を有する電解液)
の抵抗が高くなりにくく、充放電速度の低下を抑制できる。したがって、低温環境下で動
作可能な蓄電装置を実現することができる。また、使用できる温度範囲が広い蓄電装置を
実現することができる。
一方、イミダゾリウムカチオンは、還元電位の高さから、蓄電装置の構成材料である活物
質や集電体などの表面で還元分解しやすい場合がある。その結果、不可逆容量が増大して
しまうことがある。また、充放電サイクルに伴う容量の低下を招く場合がある。
本発明の一態様で用いる2MeEMIは、イミダゾリウムカチオンの一種であるにも関わ
らず、充放電サイクルに伴い容量が低下しにくい。
実施例1で後述するように、2MeEMIは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカ
チオンに比べて、充放電サイクルに伴う容量の低下を大幅に抑制することができる。
2MeEMIでは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンにおけるイミダゾリ
ウム環の2位のプロトンを、反応性の低いメチル基で置換することで、電解液の分解反応
や集電体(例えば銅など)の溶出を抑制し、不可逆な反応を抑制していると考えられる。
このように、本発明の一態様では、イミダゾリウム環の1位及び3位だけでなく、2位に
も置換基を有する2MeEMIを用いる。これにより、活物質層や集電体などの表面で生
じる電解液の分解反応を抑制し、不可逆な反応を生じにくくすることができる。したがっ
て、蓄電装置の充放電サイクルに伴う容量の低下を抑制することができる。また、蓄電装
置の不可逆容量を低減することができ、充放電容量を大きくすることができる。
本発明の一態様で用いるカチオンは2MeEMIのみに限られない。例えば、2MeEM
Iと、他のカチオンを組み合わせて用いてもよい。このとき、イオン液体に含まれるカチ
オンのうち、2MeEMIと、他のカチオンとで、どちらの割合が多くてもよい。
カチオンとして、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、又は四級ホス
ホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオンや、イミダゾリウムカチオン又はピリジニ
ウムカチオン等の芳香族カチオンを用いてもよい。
例えば、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、又は四級ホスホニウム
カチオン等の脂肪族オニウムカチオンを用いることで、還元電位が低くなり、蓄電装置の
不可逆容量を小さくすることができる場合がある。
また、例えば、イミダゾリウムカチオン等の芳香族カチオンを含むイオン液体を用いるこ
とで、粘度が低く、蓄電装置の充放電速度を高めることができる場合がある。または、使
用できる温度範囲が広い蓄電装置を実現できる場合がある。
例えば、本発明の一態様では、2MeEMIと1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカ
チオンとの双方を用いてもよい。
芳香族カチオンとしては、例えば5員環のヘテロ芳香環を含むカチオンであることが好ま
しい。5員環のヘテロ芳香環を含むカチオンとしてはベンゾイミダゾリウムカチオン、ベ
ンゾオキサゾリウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン等がある。単環式化合物であ
る5員環のヘテロ芳香環を含むカチオンとしてはオキサゾリウムカチオン、チアゾリウム
カチオン、イソオキサゾリウムカチオン、イソチアゾリウムカチオン、イミダゾリウムカ
チオン、ピラゾリウムカチオン等がある。化合物の安定性、粘度及びイオン伝導度、並び
に合成の簡易さから、単環式化合物である5員環のヘテロ芳香環を含むカチオンであるこ
とが好ましく、特にイミダゾリウムカチオンは粘度の低下が期待できるため、より好まし
い。
アニオンとしては、例えば、1価のアミドアニオン、1価のメチドアニオン、フルオロス
ルホン酸アニオン(SO)、フルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオ
ロホウ酸アニオン(BF )、パーフルオロアルキルホウ酸アニオン、ヘキサフルオロ
リン酸アニオン(PF )、又はパーフルオロアルキルリン酸アニオン等が挙げられる
1価のアミドアニオンとしては、(C2n+1SO(n=0以上3以下)
、1価の環状のアミドアニオンとしては、(CFSOなどがある。
1価のメチドアニオンとしては、(C2n+1SO(n=0以上3以下)
、1価の環状のメチドアニオンとしては、(CFSO(CFSO)など
がある。
フルオロアルキルスルホン酸アニオンとしては、(C2m+1SO(m=0以
上4以下)などがある。パーフルオロアルキルホウ酸アニオンとしては、{BF(C
2m+1−k4−n(n=0以上3以下、m=1以上4以下、k=0以上2
m以下)などがある。パーフルオロアルキルリン酸アニオンとしては、{PF(C
2m+1−k6−n(n=0以上5以下、m=1以上4以下、k=0以上2m
以下)などがある。なお、当該アニオンはこれらに限るものではない。
アニオンとして、ビス(フルオロスルホニル)アミド(略称:FSA)アニオン、又は、
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(略称:TFSA)アニオンを用いること
が好ましい。特に、黒鉛を電極に用いる場合に、良好な充放電特性を得ることができる。
また、電解液の溶媒として、上述のイオン液体に非プロトン性有機溶媒を混合して用いて
もよい。非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロ
ピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビ
ニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート
(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、
ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメ
トキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム
、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1
種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
また、電解液にビニレンカーボネート(VC)、プロパンスルトン(PS)、tert−
ブチルベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、リチウムビスオ
キサレートボレート(LiBOB)などの添加剤を添加してもよい。添加剤の濃度は、0
.1wt%以上5wt%以下とすればよい。
また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、キャリアにリチウムイオンを用いる場合
、例えばLiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiAlCl、Li
SCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、Li12Cl
、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiC(C
SO、LiN(FSO、LiN(CFSO、LiN(C
SO)(CFSO)、LiN(CSO等のリチウム塩を一種、又はこ
れらのうちの二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。また、電解質
の濃度は、高い方が好ましく、例えば0.8mol/kg以上が好ましく、1.5mol
/kg以上がさらに好ましい。
また、電解質としては、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(略称:LiFSA
)、又は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(略称:LiTFSA
)を用いてもよい。電解質にLiFSA又はLiTFSAを用いた電界液は、蓄電装置の
電池反応において正極活物質材料中の金属の溶出を抑制することができる。したがって、
正極活物質の劣化が抑制され、また、負極表面での金属の析出も抑制されるため、容量の
劣化が小さくサイクル特性の良好な蓄電装置とすることができる。
なお、LiFSA又はLiTFSAを電解質に用いた電解液は、正極の集電体と反応し、
正極集電体を腐食する場合がある。そのような腐食を防止するため、電解液に数wt%の
LiPFを添加することが好ましい。正極集電体表面に不導体膜を生じ、該不導体膜が
電解液と正極集電体との反応を抑制するためである。ただし、正極活物質層を溶解させな
いために、LiPFの濃度は10wt%以下、好ましくは5wt%以下、より好ましく
は3wt%以下とするとよい。
なお、電解質として、上記リチウム塩において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例
えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチ
ウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。
また、電解液は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物」とも
いう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい。具体的には、
電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0
.01%以下とすることが好ましい。
また、ポリマーを電解液で膨潤させたゲル電解質を用いてもよい。ゲル電解質(ポリマー
ゲル電解質)の例としては、担体としてホストポリマーを用い、上述の電解液を含有させ
たものが挙げられる。
ホストポリマーの例を以下に説明する。ホストポリマーとしては、例えばポリエチレンオ
キシド(PEO)などのポリアルキレンオキシド構造を有するポリマーや、ポリフッ化ビ
ニリデン(PVdF)、及びポリアクリロニトリル等、及びそれらを含む共重合体等を用
いることができる。例えばPVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体で
あるPVdF−HFPを用いることができる。また、形成されるポリマーは、多孔質形状
を有してもよい。
また、電解液に重合剤や架橋剤を添加し、電解液をゲル化してもよい。例えば、イオン液
体を構成するカチオン又はアニオンに重合性の官能基を導入し、重合開始剤を用いてそれ
らを重合することで、イオン液体自体を重合してもよい。このように、高分子化したイオ
ン液体を架橋剤によりゲル化してもよい。
また、電解液と組み合わせて、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や
、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いてもよい
。例えば、固体電解質を活物質層の表面に形成してもよい。また、固体電解質と電解液を
組み合わせて用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる場合がある。
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安
全性が高まる。また、蓄電装置の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材
料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチ
レンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。
例えば、本発明の一態様は、正極、負極、及び電解質を有し、該電解質は、上述の構造式
(100)で表される化合物(カチオン)、を有し、該電解質は、ゲル状又は固体状であ
ってもよい。
次に、図1(B)に、正極503の外観図を示す。正極503は、正極集電体501及び
正極活物質層502を有する。
また、図1(C)に、負極506の外観図を示す。負極506は、負極集電体504及び
負極活物質層505を有する。
ここで、正極503及び負極506は、積層される複数の正極同士又は複数の負極同士を
電気的に接続するために、タブ領域を有することが好ましい。また、タブ領域にはリード
電極を電気的に接続することが好ましい。
図1(B)に示すように、正極503は、タブ領域281を有することが好ましい。タブ
領域281の一部は、正極リード電極510と溶接されることが好ましい。タブ領域28
1は正極集電体501が露出する領域を有することが好ましく、正極集電体501が露出
する領域に正極リード電極510を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることが
できる。また、図1(B)ではタブ領域281の全域において正極集電体501が露出し
ている例を示すが、タブ領域281は、その一部に正極活物質層502を有してもよい。
図1(C)に示すように、負極506は、タブ領域282を有することが好ましい。タブ
領域282の一部は、負極リード電極511と溶接されることが好ましい。タブ領域28
2は負極集電体504が露出する領域を有することが好ましく、負極集電体504が露出
する領域に負極リード電極511を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることが
できる。また、図1(C)ではタブ領域282の全域において負極集電体504が露出し
ている例を示すが、タブ領域282は、その一部に負極活物質層505を有してもよい。
なお、図1(A)では、正極503と負極506の端部が概略揃っている例を示すが、正
極503は、負極506の端部よりも外側に位置する部分を有していてもよい。
電池セル500において、負極506の正極503と重ならない領域の面積は小さいほど
好ましい。
図2(A)では、負極506の端部が、正極503の内側に位置する例を示す。このよう
な構成とすることにより、負極506を全て正極503と重ねる、又は負極506の正極
503と重ならない領域の面積を小さくすることができる。
または、電池セル500において、正極503と負極506の面積は概略同じであること
が好ましい。例えば、セパレータ507を挟んで向かい合う正極503と負極506の面
積は、概略同じであることが好ましい。例えば、セパレータ507を挟んで向かい合う正
極活物質層502の面積と負極活物質層505の面積は概略同じであることが好ましい。
例えば、図3(A)、(B)に示すように、正極503のセパレータ507側の面の面積
と負極506のセパレータ507側の面の面積は概略同じであることが好ましい。正極5
03の負極506側の面の面積と負極506の正極503側の面の面積を概略同じとする
ことにより、負極506の正極503と重ならない領域を小さくする(あるいは理想的に
はなくす)ことができ、電池セル500の不可逆容量を減少させることができるため好ま
しい。または、図3(A)、(B)に示すように、正極活物質層502のセパレータ50
7側の面の面積と負極活物質層505のセパレータ507側の面の面積は概略同じである
ことが好ましい。
また、図3(A)、(B)に示すように、正極503の端部と負極506の端部は概略揃
うことが好ましい。また、正極活物質層502と負極活物質層505の端部は概略揃うこ
とが好ましい。
また、図2(B)では、正極503の端部が、負極506の内側に位置する例を示す。こ
のような構成とすることにより、正極503を全て負極506と重ねる、又は正極503
の負極506と重ならない領域の面積を小さくすることができる。負極506の端部が正
極503の端部よりも内側に位置すると、負極506の端部に電流が集中してしまう場合
がある。例えば、負極506の一部に電流が集中することで、負極506上にリチウムが
析出してしまうことがある。正極503の負極506と重ならない領域の面積を小さくす
ることで、負極506の一部に電流が集中することを抑制できる。これにより、例えば、
負極506上へのリチウムの析出が抑制でき、好ましい。
図1(A)に示すように、正極リード電極510は、正極503に電気的に接続すること
が好ましい。同様に、負極リード電極511は、負極506に電気的に接続することが好
ましい。正極リード電極510及び負極リード電極511は外装体509の外側に露出し
、外部との電気的接触を得る端子として機能する。
または、正極集電体501及び負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役
割を兼ねることもできる。その場合は、リード電極を用いずに、正極集電体501及び負
極集電体504の一部を外装体509から外側に露出するように配置してもよい。
また、図1(A)では、正極リード電極510と負極リード電極511は、電池セル50
0の同じ辺に配置されているが、図5に示すように、正極リード電極510と負極リード
電極511を電池セル500の異なる辺に配置してもよい。このように、本発明の一態様
の蓄電装置は、リード電極を自由に配置することができるため、設計自由度が高い。よっ
て、本発明の一態様の蓄電装置を用いた製品の設計自由度を高めることができる。また、
本発明の一態様の蓄電装置を用いた製品の生産性を高めることができる。
次に、電池セル500の作製方法の一例を、図6〜図8を用いて説明する。
まず、正極503、負極506、及びセパレータ507を積層する。具体的には、正極5
03の上にセパレータ507を配置する。その後、セパレータ507の上に負極506を
配置する。正極と負極を2組以上用いる場合は、さらに負極506の上にセパレータ50
7を配置した後、正極503を配置する。このようにセパレータ507を正極503と負
極506の間に挟みながら正極503と負極506を交互に積層する。
あるいは、セパレータ507を袋状にしてもよい。セパレータ507で電極を包むことで
、該電極が製造工程中に損傷しにくくなり、好ましい。
まず、セパレータ507上に正極503を配置する。次いで、セパレータ507を図6(
A)の破線で示した部分で折り、セパレータ507で正極503を挟む。なお、ここでは
正極503をセパレータ507で挟む例について説明したが、負極506をセパレータ5
07で挟んでもよい。
ここで、正極503の外側のセパレータ507の外周部分を接合して、セパレータ507
を袋状(又はエンベロープ状)とすることが好ましい。セパレータ507の外周部分の接
合は、接着剤などを用いて行ってもよいし、超音波溶接や、加熱による融着により行って
もよい。
本実施の形態では、セパレータ507としてポリプロピレンを用いて、セパレータ507
の外周部分を加熱により接合する。図6(A)に接合部514を示す。このようにして、
正極503をセパレータ507で覆うことができる。
次に、図6(B)に示すように、負極506と、セパレータに覆われた正極503と、を
交互に重ねる。また、封止層115を有する正極リード電極510及び負極リード電極5
11を準備する。
次に、図7(A)に示すように、正極503のタブ領域281に、封止層115を有する
正極リード電極510を接続する。図7(B)に接続部の拡大図を示す。接合部512に
圧力を加えながら超音波を照射して、正極503のタブ領域281及び正極リード電極5
10を電気的に接続する(超音波溶接)。このとき、タブ領域281に湾曲部513を設
けるとよい。
湾曲部513を設けることによって、電池セル500の作製後に外から力が加えられて生
じる応力を緩和することができる。よって、電池セル500の信頼性を高めることができ
る。
同様の方法を用いて、負極506のタブ領域282と、負極リード電極511と、を電気
的に接続することができる。
次に、外装体509上に、正極503、負極506、及びセパレータ507を配置する。
次に、外装体509を、図7(C)の外装体509の中央付近に破線で示した部分で折り
曲げる。
図8に、外装体509の外周を熱圧着により接合した部位を、接合部118として示す。
電解液508を入れるための導入口119以外の外装体509の外周部を、熱圧着により
接合する。熱圧着の際、リード電極に設けられた封止層も溶けてリード電極と外装体50
9との間を固定することができる。また、外装体509とリード電極との間の密着性を向
上することができる。
そして、減圧雰囲気下、或いは不活性ガス雰囲気下で所望の量の電解液508を導入口1
19から外装体509の内側に入れる。そして、最後に、導入口119を熱圧着により接
合する。このようにして、薄型の蓄電池である電池セル500を作製することができる。
電池セル500を作製した後には、エージングを行うことが好ましい。エージング条件の
一例について以下に説明する。まず初めに0.001C以上0.2C以下のレートで充電
を行う。温度は例えば室温以上50℃以下とすればよい。このときに、電解液の分解が生
じ、ガスが発生した場合には、そのガスがセル内にたまると、電解液が電極表面と接する
ことができない領域が発生してしまう。つまり、電極の実効的な反応面積が減少し、実効
的な電流密度が高くなることに相当する。
過度に電流密度が高くなると、電極の抵抗に応じて電圧降下が生じ、黒鉛へのリチウムの
挿入が起こると同時に、黒鉛表面にリチウムが析出してしまう。このリチウムの析出は容
量の低下を招く場合がある。例えば、リチウムが析出した後、表面に被膜等が成長してし
まうと、表面に析出したリチウムが再溶出できなくなり、容量に寄与しないリチウムが生
じてしまう。また、析出したリチウムが物理的に崩落し、電極との導通を失った場合にも
、やはり容量に寄与しないリチウムが生じてしまう。よって、電極の電位が電圧降下によ
りリチウム電位まで到達する前に、ガスを抜くことが好ましい。
ガス抜きを行う場合には、例えば薄型の蓄電池の外装体の一部を切断し、開封すればよい
。ガスにより外装体が膨張している場合には、再度、外装体の形を整えることが好ましい
。また、再封止の前に必要に応じて電解液を足してもよい。
また、ガス抜きを行った後に、室温よりも高い温度、好ましくは30℃以上60℃以下、
より好ましくは35℃以上50℃以下において、例えば1時間以上100時間以下の間、
充電状態で保持してもよい。初めに行う充電の際に、表面で分解した電解液は被膜を形成
する。よって、例えばガス抜き後に室温よりも高い温度で保持することにより、形成され
た被膜が緻密化する場合も考えられる。
また、例えば、繰り返し折り曲げを行う電子機器に搭載する蓄電装置では、折り曲げに伴
い外装体において徐々に劣化が生じる、又は場合によっては亀裂が生じやすくなることも
ある。また、充放電に伴い活物質等の表面と電解液が接することにより電解液の分解反応
が生じ、ガスなどが発生することがある。ガス発生により外装体が膨張すると、折り曲げ
に伴い、外装体が破壊しやすくなることがある。本発明の一態様を用いることにより、電
解液の分解を抑制することができるため、例えば充放電に伴うガス発生などを抑えること
ができる場合がある。その結果、外装体の膨張や変形、及び外装体の破損などを抑えるこ
とができるため、外装体への負荷が小さくなり、好ましい。
以下では、本発明の一態様の蓄電装置の他の構成要素について、詳述する。なお、本実施
の形態にて示す各部材の材料から、可撓性を有する材料を選択して用いると、可撓性を有
する蓄電装置を作製することができる。
≪集電体≫
正極集電体501及び負極集電体504には、例えば、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄
、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、マンガン等の金属、これらの合金、
又は焼結した炭素などをそれぞれ用いることができる。または、銅もしくはステンレス鋼
を炭素、ニッケルもしくはチタン等で被覆して用いてもよい。または、シリコン、チタン
、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアル
ミニウム合金を用いることができる。または、シリコンと反応してシリサイドを形成する
金属元素で集電体を形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素
としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム
、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
正極集電体501の表面や、負極集電体504の表面では、電解液508との不可逆な反
応が生じる場合がある。よって、正極集電体501や負極集電体504は、電解液508
との反応性が低いことが好ましい。例えば、正極集電体501や負極集電体504にステ
ンレス等を用いることにより、電解液508との反応性をより低くすることができる場合
があり、好ましい。
また、正極集電体501及び負極集電体504には、それぞれ、箔状、板状(シート状)
、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状、多孔質状、及
び不織布を包括する様々な形態の形状を適宜用いることができる。さらに、活物質層との
密着性を上げるために、正極集電体501及び負極集電体504は、それぞれ、表面に細
かい凹凸を有していてもよい。また、正極集電体501及び負極集電体504は、それぞ
れ、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
また、集電体の表面の一部にアンダーコート層を設けてもよい。ここでアンダーコート層
とは、集電体上にペーストを塗布する前に、活物質層と集電体との界面抵抗を低減する目
的や、活物質層と集電体との密着性を高める目的で集電体上に形成する膜を指す。なお、
アンダーコート層は、集電体の一面全体に形成されていなくてもよく、島状に(部分的に
)形成されていてもよい。また、アンダーコート層が活物質として容量を発現しても構わ
ない。アンダーコート層としては、例えば炭素材料を用いることができる。炭素材料とし
ては、例えば、黒鉛や、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック
、カーボンナノチューブなどを用いることができる。
≪活物質層≫
正極活物質層502は、1種類以上の正極活物質を有する。負極活物質層505は、1種
類以上の負極活物質を有する。
正極活物質及び負極活物質は、蓄電装置の電池反応の中心的役割を担いキャリアイオンの
放出及び吸収を行う物質である。蓄電装置の寿命を高めるためには、活物質が、電池反応
の不可逆反応に係る容量が小さい材料であることが好ましく、充放電効率の高い材料であ
ることが好ましい。
正極活物質には、リチウムイオン等のキャリアイオンの挿入及び脱離が可能な材料を用い
ることができる。正極活物質としては、例えば、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結
晶構造、スピネル型の結晶構造、NASICON型の結晶構造を有する材料等が挙げられ
る。
例えば、正極活物質として、LiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn
、V、Cr、MnO等の化合物を材料として用いることができる。
オリビン型の結晶構造を有する材料としては、リチウム含有複合リン酸塩(一般式LiM
PO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))
が挙げられる。一般式LiMPOの代表例としては、LiFePO、LiNiPO
、LiCoPO、LiMnPO、LiFeNiPO、LiFeCoPO
、LiFeMnPO、LiNiCoPO、LiNiMnPO(a+b
は1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFeNiCoPO、LiFeNi
MnPO、LiNiCoMnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0
<d<1、0<e<1)、LiFeNiCoMnPO(f+g+h+iは1以
下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等の化合物が挙げられる。
例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO)は、安全性、安定性、高容量密度、高電位
、初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事
項をバランスよく満たしているため、好ましい。
正極活物質としてLiFePOを用いることにより、過充電などの外部負荷に対しても
安定で、安全性の高い蓄電装置を実現することができる。よって、例えば、持ち運びを行
うモバイル機器や、身体に身に着けるウェアラブル機器等に用いる蓄電装置として、特に
優れている。
層状岩塩型の結晶構造を有する材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO
)、LiNiO、LiMnO、LiMnO、LiNi0.8Co0.2
のNiCo系(一般式は、LiNiCo1−x(0<x<1))、LiNi0.5
Mn0.5等のNiMn系(一般式は、LiNiMn1−x(0<x<1))
、LiNi1/3Mn1/3Co1/3等のNiMnCo系(NMCともいう。一般
式は、LiNiMnCo1−x−y(x>0、y>0、x+y<1))が挙げら
れる。さらに、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O、LiMnO−L
iMO(MはCo、Ni又はMn)等も挙げられる。
特に、LiCoOは、容量が大きいこと、LiNiOに比べて大気中で安定であるこ
と、LiNiOに比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。
スピネル型の結晶構造を有する材料としては、例えば、LiMn、Li1+xMn
2−x、Li(MnAl)、LiMn1.5Ni0.5等が挙げられる。
LiMn等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有する材料に、少量のニッケ
ル酸リチウム(LiNiOやLiNi1−xMO(M=Co、Al等))を混合する
と、マンガンの溶出を抑制する、電解液の分解を抑制する等の利点があり好ましい。
または、正極活物質として、一般式Li(2−j)MSiO(Mは、Fe(II)、M
n(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等のリチウム含有複合
ケイ酸塩を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiOの代表例としては、L
(2−j)FeSiO、Li(2−j)NiSiO、Li(2−j)CoSiO
、Li(2−j)MnSiO、Li(2−j)FeNiSiO、Li(2−j)
FeCoSiO、Li(2−j)FeMnSiO、Li(2−j)Ni
SiO、Li(2−j)NiMnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0
<l<1)、Li(2−j)FeNiCoSiO、Li(2−j)FeNi
MnSiO、Li(2−j)NiCoMnSiO(m+n+qは1以下、0
<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FeNiCoMnSiO
(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等の
化合物が挙げられる。
または、正極活物質として、A(XO(A=Li、Na、Mg、M=Fe、
Mn、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表される
NASICON型化合物を用いることができる。NASICON型化合物としては、Fe
(MnO、Fe(SO、LiFe(PO等が挙げられる。
または、正極活物質として、LiMPOF、LiMP、LiMO(M=
Fe、Mn)の一般式で表される化合物、NaF、FeF等のペロブスカイト型フッ
化物、TiS、MoS等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)
、LiMVO等の逆スピネル型の結晶構造を有する材料、バナジウム酸化物系(V
、V13、LiV等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いる
ことができる。
また、正極活物質として、上記材料を複数組み合わせた材料を用いてもよい。例えば、上
記材料を複数組み合わせた固溶体を正極活物質として用いることができる。例えば、Li
Co1/3Mn1/3Ni1/3とLiMnOの固溶体を正極活物質として用い
ることができる。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属
イオンの場合、正極活物質として、上記リチウム化合物、リチウム含有複合リン酸塩、及
びリチウム含有複合ケイ酸塩において、リチウムを、アルカリ金属(例えば、ナトリウム
やカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、
ベリリウム、マグネシウム等)などのキャリアで置換した化合物を用いてもよい。
正極活物質の一次粒子の平均粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。
また、例えば正極活物質としてオリビン型構造のリチウム含有複合リン酸塩を用いた場合
には、リチウムの拡散経路が一次元であるため、リチウム拡散が遅い。よって、オリビン
型構造のリチウム含有複合リン酸塩を用いた場合、充放電の速度を高めるためには正極活
物質の平均粒径は、例えば好ましくは5nm以上1μm以下とするとよい。または、正極
活物質の比表面積は、例えば好ましくは10m/g以上50m/g以下とするとよい
オリビン構造を有する活物質では、例えば層状岩塩型の結晶構造を有する活物質などと比
較して充放電に伴う構造変化がきわめて少なく、結晶構造が安定であるため、過充電など
の動作に対しても安定であり、正極活物質として用いた場合に安全性の高い蓄電装置を実
現することができる。
負極活物質としては、例えば炭素系材料、合金系材料等を用いることができる。
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハー
ドカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。黒鉛と
しては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造
黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。また、黒鉛の形状としては鱗
片状のものや球状のものなどがある。
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム−黒鉛層間化合物の生成時)に
リチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1以上0.3V以下 vs.Li/Li
)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、
黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム
金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
キャリアイオンがリチウムイオンである場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca
、Ga、Si、Al、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、
Hg、In等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は
炭素と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと大きく好ま
しい。このような元素を用いた合金系材料(化合物系材料)としては、例えば、Mg
i、MgGe、MgSn、SnS、VSn、FeSn、CoSn、Ni
Sn、CuSn、AgSn、AgSb、NiMnSb、CeSb、LaS
、LaCoSn、CoSb、InSb、SbSn等がある。
また、負極活物質として、SiO、SnO、SnO、二酸化チタン(TiO)、リチ
ウムチタン酸化物(LiTi12)、リチウム−黒鉛層間化合物、(Li
、五酸化ニオブ(Nb)、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン(MoO
)等の酸化物を用いることができる。
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、LiN型構造をもつ
Li3−xN(MはCo、Ni又はCu)を用いることができる。例えば、Li2.
Co0.4は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm)を
示し好ましい。
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、
正極活物質としてリチウムイオンを含まないV、Cr等の材料と組み合わせ
ることができる。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あら
かじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させることで、負極活物質としてリチ
ウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば
、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウム
と合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反
応が生じる材料としては、さらに、Fe、CuO、CuO、RuO、Cr
等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn、CuN、G
等の窒化物、NiP、FeP、CoP等のリン化物、FeF、BiF
等のフッ化物が挙げられる。
負極活物質の一次粒子の平均粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。
正極活物質層502及び負極活物質層505は、それぞれ、バインダーを有することが好
ましい。
バインダーとしては、例えば水溶性の高分子を含むことが好ましい。水溶性の高分子とし
ては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセル
ロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉などを用い
ることができる。
また、バインダーとしては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレ
ン・スチレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、
エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などのゴム材料を用いることが好ましい。これら
のゴム材料は、前述の水溶性の高分子と併用して用いると、さらに好ましい。
または、バインダーとしては、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸
メチル(PMMA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポ
リエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル
、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソブチレン、ポリエ
チレンテレフタレート、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニ
トリル(PAN)、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢
酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース等の材料を用いることが好まし
い。
バインダーは上記のうち二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
活物質層の総量に対するバインダーの含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく
、2wt%以上8wt%以下がより好ましく、3wt%以上5wt%以下がさらに好まし
い。
正極活物質層502及び負極活物質層505は、それぞれ、導電助剤を有してもよい。
導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いる
ことができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対
する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt
%以下がより好ましい。
導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤に
より、負極活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助
剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊
維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維
、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カ
ーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノ
チューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例
えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子
、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニ
ッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を
用いることができる。
薄片状のグラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機
械的強度という優れた物理特性を有する。そのため、グラフェンを、導電助剤として用い
ることにより、活物質同士の接触点や、接触面積を増大させることができる。
なお、本明細書において、グラフェンは、単層のグラフェン、又は2層以上100層以下
の多層グラフェンを含む。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素分子のシ
ートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された化合物のこ
とをいう。なお、酸化グラフェンを還元してグラフェンを形成する場合、酸化グラフェン
に含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素はグラフェンに残存する。グラフェンに
酸素が含まれる場合、酸素の割合は、XPSで測定した場合にグラフェン全体の2ato
mic%以上11atomic%以下、好ましくは3atomic%以上10atomi
c%以下である。
グラフェンは、接触抵抗の低い面接触を可能とするものであり、また、薄くても導電性が
非常に高く、少ない量でも効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。
平均粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面
積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このような場合には、導
電性が非常に高く少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェンを用
いることが、特に好ましい。
以下では、正極活物質層に、導電助剤としてグラフェンを用いる場合の断面構成例を説明
する。なお、負極活物質層に導電助剤としてグラフェンを用いてもよい。
図9に、正極活物質層502の縦断面図を示す。正極活物質層502は、粒状の正極活物
質522と、導電助剤としてのグラフェン521と、結着剤(バインダーともいう。図示
せず)と、を含む。
正極活物質層502の縦断面においては、図9に示すように、正極活物質層502の内部
において概略均一にシート状のグラフェン521が分散する。図9においてはグラフェン
521を模式的に太線で表しているが、実際には炭素分子の単層又は多層の厚みを有する
薄膜である。複数のグラフェン521は、複数の粒状の正極活物質522を包むように、
覆うように、あるいは複数の粒状の正極活物質522の表面上に張り付くように形成され
ているため、互いに面接触している。また、グラフェン521どうしも互いに面接触する
ことで、複数のグラフェン521により三次元的な電気伝導のネットワークを形成してい
る。
これはグラフェン521の形成に、極性溶媒中での分散性が極めて高い酸化グラフェンを
用いるためである。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散媒から溶媒を揮発除去
し、酸化グラフェンを還元してグラフェンとするため、正極活物質層502に残留するグ
ラフェン521は部分的に重なり合い、互いに面接触する程度に分散していることで電気
伝導の経路を形成している。なお、酸化グラフェンの還元は、例えば熱処理により行って
もよいし、還元剤を用いて行ってもよい。
従って、活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グラフェ
ン521は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、導電助剤の量を増加させ
ることなく、粒状の正極活物質522とグラフェン521との電気伝導性を向上させるが
できる。よって、正極活物質522の正極活物質層502における比率を増加させること
ができる。これにより、蓄電装置の放電容量を増加させることができる。
また、グラフェン同士が結合することにより、網目状のグラフェン(以下グラフェンネッ
トと呼ぶ)を形成することができる。活物質をグラフェンネットが被覆する場合に、グラ
フェンネットは粒子間を結合するバインダーとしても機能することができる。よって、バ
インダーの量を少なくすることができる、又は使用しないことができるため、電極体積や
電極重量に占める活物質の比率を向上させることができる。すなわち、蓄電装置の容量を
増加させることができる。
本発明の一態様の蓄電装置に用いる電極は様々な方法で作製することができる。例えば、
塗布法を用いて集電体上に活物質層を形成する場合は、活物質とバインダーと導電助剤と
分散媒(溶媒ともいう)を混合してペーストを作製し、集電体上にペーストを塗布して、
分散媒を気化させればよい。その後、必要があれば、ロールプレス法や平板プレス法等の
圧縮方法によりプレスして圧密化してもよい。
分散媒としては、例えば、水や、N−メチルピロリドン(NMP)やジメチルホルムアミ
ド等の極性を有する有機溶媒等を用いることができる。安全性とコストの観点から、水を
用いることが好ましい。
≪セパレータ≫
セパレータ507には、紙、不織布、ガラス繊維、セラミックス、あるいは、ナイロン(
ポリアミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポ
リオレフィン、ポリウレタンといった合成繊維等を用いることができる。セパレータ50
7は、単層構造であっても積層構造であってもよい。
より具体的には、セパレータ507には、例えば、フッ素系ポリマー、ポリエチレンオキ
シド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート
、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニ
ルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチ
レン、ポリイソプレン、ポリウレタン系高分子及びこれらの誘導体、セルロース、紙、不
織布、ガラス繊維から選ばれる一種を単独で、又は二種以上を組み合せて用いることがで
きる。
≪外装体≫
外装体509は、電解液508と接する面、すなわち内側の面が電解液508と顕著な反
応を生じないことが好ましい。また、電池セル500の外部から電池セル500内に水分
が混入すると、電解液508の成分等と水との反応が生じる場合がある。よって外装体5
09は、水分の透過性が低いことが好ましい。
外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノ
マー、ポリアミド等を用いた膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓
性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂
、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることが
できる。このような三層構造とすることで、電解液や気体の透過を遮断するとともに、絶
縁性を確保し、併せて耐電解液性を有する。外装体を内側に折り曲げて重ねて、又は、2
つの外装体それぞれの内面を向かい合わせて重ねて熱を加えることにより、内面の材料が
融け2つの外装体を融着することができ、封止構造を作製することができる。
外装体が融着等され封止構造が形成されている箇所を封止部とすると、外装体を内側に折
り曲げて重ねた場合は、折り目以外の個所に封止部が形成され、外装体の第1の領域と、
該第1の領域と重なる第2の領域とが融着等された構造となる。また、2枚の外装体を重
ねた場合は熱融着等の方法で外周全てに封止部が形成される。
電池セル500は、可撓性を有する外装体509を用いることで、可撓性を有する構成と
することができる。可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部
有する電子機器に実装することができ、電子機器の変形に合わせて電池セル500も曲げ
ることもできる。
以上のように、本実施の形態の蓄電装置は、難燃性を示す非水溶媒を電解液に用いるため
、安全性が高い。また、本実施の形態の蓄電装置は、分解されにくい非水溶媒を電解液に
用いるため、サイクル特性が良好であり、信頼性が高い。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置の様々な形態について、図10〜図17を
用いて説明する。なお、本発明の一態様の蓄電装置は、本実施の形態で例示する構成に限
られず、様々な形状、形態を適用することができる。
なお、本実施の形態で例示する各蓄電装置を構成する、正極、負極、セパレータ、及び電
解液等に用いることができる材料については、実施の形態1を参照することができる。
[捲回体を用いた蓄電池]
図10及び図11に、本発明の一態様の蓄電装置である、捲回体を用いた蓄電池の構成例
を示す。
図10(A)、(B)に示す捲回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ
996と、を有する。
捲回体993は、セパレータ996を挟んで、負極994と正極995とが重なり合って
積層され、該積層シートを捲回したものである。この捲回体993を角型の封止容器など
で覆うことにより角型の蓄電池が作製される。
なお、負極994、正極995、及びセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な
容量と素子体積に応じて適宜設計すればよい。端子997又は端子998の一方を介して
、負極994が負極集電体(図示せず)に接続され、他方を介して正極995が正極集電
体(図示せず)に接続される。
ここで、負極994の正極995と重ならない領域の面積は、小さいほど好ましい。図1
0(B)は、負極994の幅1091が、正極995の幅1092よりも小さい例を示す
。また、負極994の端部は、正極995の内側に位置する。このような構成とすること
により、負極994を全て正極995と重ねる、又は負極994の正極995と重ならな
い領域の面積を小さくすることができる。
また、負極994の面積に対して、正極995の面積が大きすぎると、正極995の余剰
部分が多くなり、例えば体積あたりの蓄電池の容量が小さくなってしまう。よって、例え
ば、負極994の端部が正極995の端部よりも内側に位置することが好ましい。また、
正極995の端部と負極994の端部の距離は3mm以下が好ましく、0.5mm以下が
より好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。あるいは、正極995と負極994の
幅の差は、6mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに
好ましい。または、幅1091と幅1092を概略同じ値とし、負極994の端部を正極
995の端部と概略揃えることが好ましい。
図11(B)に示す蓄電池980は、図11(A)に示すように、フィルム981と、凹
部を有するフィルム982と、捲回体993と、を有する。蓄電池990は、外装体とな
るフィルム981及びフィルム982を、熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間
に捲回体993を収納したものである。捲回体993は、端子997及び端子998を有
し、フィルム981とフィルム982との内部で電解液に含浸される。
フィルム981とフィルム982には、それぞれ、例えば、アルミニウムなどの金属材料
や樹脂材料を用いることができる。フィルム981及びフィルム982の材料として樹脂
材料を用いると、外部から力が加わったときにフィルム981とフィルム982を変形さ
せることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。
図11(A)、(B)では2枚のフィルムを用いる例を示しているが、1枚のフィルムを
折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した捲回体993を収納してもよ
い。
外装体や封止容器に樹脂材料などを用いることで、蓄電装置全体に可撓性をもたせること
ができる。ただし、外装体や封止容器に樹脂材料を用いる場合、外部に接続を行う部分は
導電材料とする。
図12(B)に示す蓄電池990は、図12(A)に示すように、外装体991と、外装
体992と、捲回体993と、を有する。
図12(B)に示す蓄電池990は、外装体991の内部に上述した捲回体993を収納
したものである。捲回体993は、端子997及び端子998を有し、外装体991及び
外装体992の内部で電解液に含浸される。外装体991及び外装体992には、それぞ
れ、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。外装体991
及び外装体992の材料として樹脂材料を用いると、外部から力が加わったときに外装体
991及び外装体992を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製すること
ができる。
[円筒型蓄電池]
次に、捲回体を用いた蓄電池の一例として、円筒型の蓄電池を示す。
図13(A)に示す円筒型の蓄電池600は、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有
し、側面及び底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶
(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
図13(B)は、円筒型の蓄電池の断面模式図である。中空円柱状の電池缶602の内側
には、帯状の正極604と帯状の負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回され
た電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回され
ている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解
液に対して耐腐食性のあるアルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと
他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液によ
る腐食を防ぐため、アルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶602の内側にお
いて、正極、負極及びセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608
、絶縁板609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は
、非水電解液(図示せず)が注入されている。
円筒型の蓄電池に用いる正極及び負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成する
ことが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極6
06には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603及び負極端子
607は、共にアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安
全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底に、それぞれ抵抗溶接される。安
全弁機構612は、PTC(Positive Temperature Coeffi
cient)素子611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁
機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極
604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇し
た場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発
熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO)系半導体
セラミックス等を用いることができる。
ここで、負極606の正極604と重ならない領域の面積は、小さいほど好ましい。例え
ば、負極994の端部が正極995の端部よりも内側に位置することが好ましい。また、
正極604の端部と負極606の端部の距離は3mm以下が好ましく、0.5mm以下が
より好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。あるいは、正極604の幅1093と
、負極606の幅1094の差は、6mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、
0.2mm以下がさらに好ましい。または、幅1093と幅1094を概略同じ値とし、
負極606の端部を正極604の端部と概略揃えることが好ましい。
[コイン型蓄電池]
図14に、本発明の一態様の蓄電装置である、コイン型の蓄電池の一例を示す。図14(
A)はコイン型(単層偏平型)の蓄電池の外観図であり、図14(B)、(C)は、その
断面図の一例である。
コイン型の蓄電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶3
02とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。
正極304は、正極集電体305と正極活物質層306とを接して有する。負極307は
、負極集電体308と負極活物質層309とを接して有する。なお、コイン型の蓄電池に
用いる正極及び負極は、それぞれ片面のみに活物質層を有していればよい。
正極活物質層306は、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるためのバインダー
、正極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。負極活物質層309
は、負極活物質の他、負極活物質の密着性を高めるためのバインダー、負極活物質層の導
電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
正極活物質層306と負極活物質層309との間には、セパレータ310と、電解質(図
示せず)とを有する。
ここで、正極304と負極307の形状及び面積は概略同じであることが好ましく、かつ
、正極304の端部と負極307の端部が概略揃うことが好ましい。図14(B)は、正
極304の端部と負極307の端部が揃う例を示す。
または、負極307の面積は、正極304の面積よりも大きく、かつ、正極304の端部
は負極307の端部よりも内側に位置することが好ましい。図14(C)は、正極304
の端部が負極の307の端部よりも内側に位置する例を示す。
正極缶301及び負極缶302には、それぞれ、電解液に対して耐腐食性のあるアルミニ
ウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステン
レス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、アルミニウム等
を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307と
、それぞれ電気的に接続する。
これら負極307、正極304及びセパレータ310を電解質に含浸させ、図14(B)
、(C)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極3
07、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット30
3を介して圧着してコイン形の蓄電池300を製造する。
[蓄電システム]
次に、蓄電システムの構造例について、図15〜図17を用いて説明する。ここで蓄電シ
ステムとは、例えば、蓄電装置を搭載した機器を指す。本実施の形態で説明する蓄電シス
テムは、本発明の一態様の蓄電装置を有する。
図15(A)、(B)は、蓄電システムの外観図である。蓄電システムは、回路基板90
0と、蓄電池913と、を有する。蓄電池913には、ラベル910が貼られている。さ
らに、図15(B)に示すように、蓄電システムは、端子951と、端子952と、を有
し、ラベル910の裏にアンテナ914と、アンテナ915と、を有する。
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951
、端子952、アンテナ914、アンテナ915、及び回路912に接続される。なお、
端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子
などとしてもよい。
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914及
びアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、
平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体
アンテナ等のアンテナを用いてもよい。または、アンテナ914もしくはアンテナ915
は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能す
ることができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、ア
ンテナ914もしくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だ
けでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これによ
り、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
蓄電システムは、アンテナ914及びアンテナ915と、蓄電池913との間に層916
を有する。層916は、例えば蓄電池913による電磁界を遮蔽する機能を有する。層9
16としては、例えば磁性体を用いることができる。
なお、蓄電システムの構造は、図15に限定されない。以下に変形例を示す。なお、図1
5(A)、(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、上記の説明を適宜援用でき
る。
例えば、図16(A−1)、(A−2)に示すように、図15(A)、(B)に示す蓄電
池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図16(A−
1)は、上記一対の面の一方の面側から見た外観図であり、図16(A−2)は、上記一
対の面の他方の面側から見た外観図である。
図16(A−1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアン
テナ914が設けられ、図16(A−2)に示すように、蓄電池913の一対の面の他方
に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば蓄電池913によ
る電磁界を遮蔽する機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができ
る。
上記構造にすることにより、アンテナ914及びアンテナ915の両方のサイズを大きく
することができる。
または、図16(B−1)、(B−2)に示すように、図15(A)、(B)に示す蓄電
池913のうち、対向する一対の面のそれぞれに別のアンテナを設けてもよい。図16(
B−1)は、上記一対の面の一方の面側から見た外観図であり、図16(B−2)は、上
記一対の面の他方の面側から見た外観図である。
図16(B−1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアン
テナ914及びアンテナ915が設けられ、図16(A−2)に示すように、蓄電池91
3の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。アンテナ918は
、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918に
は、例えばアンテナ914及びアンテナ915に適用可能な形状のアンテナを適用するこ
とができる。アンテナ918を介した蓄電システムと他の機器との通信方式としては、N
FCなど、蓄電システムと他の機器の間で用いることができる応答方式などを適用するこ
とができる。
または、図17(A)に示すように、図15(A)、(B)に示す蓄電池913に表示装
置920を設けてもよい。表示装置920は、端子919を介して端子911に電気的に
接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表
示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクト
ロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペー
パーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
または、図17(B)に示すように、図15(A)、(B)に示す蓄電池913にセンサ
921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続
される。なお、センサ921は、ラベル910の裏側に設けられてもよい。
センサ921としては、例えば、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離
、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時刻、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線
、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることが
できる。センサ921を設けることにより、例えば、蓄電システムが置かれている環境を
示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
本実施の形態で示す蓄電池や蓄電システムには、本発明の一態様の蓄電装置が用いられて
いる。本発明の一態様の蓄電装置は、電解液の分解が生じにくいため、蓄電池や蓄電シス
テムの充放電サイクルに伴う容量の減少を抑制することができる。また、蓄電池や蓄電シ
ステムの安全性や信頼性を高めることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置と組み合わせて用いることができる電池制
御ユニット(Battery Management Unit:BMU)、及び該電池
制御ユニットを構成する回路に適したトランジスタについて、図18〜図24を用いて説
明する。本実施の形態では、特に直列に接続された電池セルと組み合わせて用いることが
好適な電池制御ユニットについて説明する。
直列に接続された複数の電池セルに対して充放電を繰り返していくと、電池セル間の特性
のばらつきに応じて、容量(出力電圧)が異なってくる。直列に接続された電池セルでは
、全体の放電時の容量が、容量の小さい電池セルに依存する。容量にばらつきがあると放
電時の容量が小さくなる。また、容量が小さい電池セルを基準にして充電を行うと、充電
不足となる恐れがある。また、容量の大きい電池セルを基準にして充電を行うと、過充電
となる恐れがある。
そのため、直列に接続された電池セルを有する蓄電装置の電池制御ユニットは、充電不足
や、過充電の原因となる、電池セル間の容量のばらつきを揃える機能を有する。電池セル
間の容量のばらつきを揃える回路構成には、抵抗方式、キャパシタ方式、あるいはインダ
クタ方式等あるが、ここではオフ電流の小さいトランジスタを利用して容量のばらつきを
揃えることのできる回路構成を一例として挙げて説明する。
オフ電流の小さいトランジスタとしては、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトラ
ンジスタ(OSトランジスタ)が好ましい。オフ電流の小さいOSトランジスタを蓄電装
置の電池制御ユニットの回路構成に用いることで、電池から漏洩する電荷量を減らし、時
間の経過による容量の低下を抑制することができる。
チャネル形成領域に用いる酸化物半導体は、In−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Sn、
Y、Zr、La、Ce、又はNd)を用いる。酸化物半導体膜を成膜するために用いるタ
ーゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとすると
/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z/yは、1/
3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z/yを1以上
6以下とすることで、酸化物半導体膜としてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。
ここで、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC−OS膜の明視野像及び回折パターンの複合解析像(高
分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一
方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウ
ンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶
粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、
結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、
CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)又は上面の凹凸を反映した形
状であり、CAAC−OS膜の被形成面又は上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察す
ると、結晶部において、金属原子が三角形状又は六角形状に配列していることを確認でき
る。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装
置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜
のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが
現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属される
ことから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面又は上面に略垂
直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法
による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れ
る場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性
を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍に
ピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、
シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコ
ンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化
物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる
要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径
(又は分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原
子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物
は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物
半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによって
キャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性又は実
質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、
キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該
酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、閾値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリ
ーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性又は実質的に高純度真性であ
る酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用い
たトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、
酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長
く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥
準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合が
ある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性
の変動が小さい。
なお、OSトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(Siト
ランジスタ)に比べてバンドギャップが大きいため、高電圧を印加した際の絶縁破壊が生
じにくい。直列に電池セルを接続する場合、数100Vの電圧が生じることになるが、こ
のような電池セルに適用される蓄電装置の電池制御ユニットの回路構成には、前述のOS
トランジスタで構成することが適している。
図18には、蓄電装置のブロック図の一例を示す。図18に示す蓄電装置BT00は、端
子対BT01と、端子対BT02と、切り替え制御回路BT03と、切り替え回路BT0
4と、切り替え回路BT05と、変圧制御回路BT06と、変圧回路BT07と、直列に
接続された複数の電池セルBT09を含む電池部BT08と、を有する。
また、図18の蓄電装置BT00において、端子対BT01と、端子対BT02と、切り
替え制御回路BT03と、切り替え回路BT04と、切り替え回路BT05と、変圧制御
回路BT06と、変圧回路BT07とにより構成される部分を、電池制御ユニットと呼ぶ
ことができる。
切り替え制御回路BT03は、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05の動作を
制御する。具体的には、切り替え制御回路BT03は、電池セルBT09毎に測定された
電圧に基づいて、放電する電池セル(放電電池セル群)、及び充電する電池セル(充電電
池セル群)を決定する。
さらに、切り替え制御回路BT03は、当該決定された放電電池セル群及び充電電池セル
群に基づいて、制御信号S1及び制御信号S2を出力する。制御信号S1は、切り替え回
路BT04へ出力される。この制御信号S1は、端子対BT01と放電電池セル群とを接
続させるように切り替え回路BT04を制御する信号である。また、制御信号S2は、切
り替え回路BT05へ出力される。この制御信号S2は、端子対BT02と充電電池セル
群とを接続させるように切り替え回路BT05を制御する信号である。
また、切り替え制御回路BT03は、切り替え回路BT04、切り替え回路BT05、及
び変圧回路BT07の構成を踏まえ、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極
性の端子同士が接続されるように、制御信号S1及び制御信号S2を生成する。
切り替え制御回路BT03の動作の詳細について述べる。
まず、切り替え制御回路BT03は、複数の電池セルBT09毎の電圧を測定する。そし
て、切り替え制御回路BT03は、例えば、所定の閾値以上の電圧の電池セルBT09を
高電圧の電池セル(高電圧セル)、所定の閾値未満の電圧の電池セルBT09を低電圧の
電池セル(低電圧セル)と判断する。
なお、高電圧セル及び低電圧セルを判断する方法については、様々な方法を用いることが
できる。例えば、切り替え制御回路BT03は、複数の電池セルBT09の中で、最も電
圧の高い、又は最も電圧の低い電池セルBT09の電圧を基準として、各電池セルBT0
9が高電圧セルか低電圧セルかを判断してもよい。この場合、切り替え制御回路BT03
は、各電池セルBT09の電圧が基準となる電圧に対して所定の割合以上か否かを判定す
る等して、各電池セルBT09が高電圧セルか低電圧セルかを判断することができる。そ
して、切り替え制御回路BT03は、この判断結果に基づいて、放電電池セル群と充電電
池セル群とを決定する。
なお、複数の電池セルBT09の中には、高電圧セルと低電圧セルが様々な状態で混在し
得る。例えば、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルと低電圧セルが混在する中で、
高電圧セルが最も多く連続して直列に接続された部分を放電電池セル群とする。また、切
り替え制御回路BT03は、低電圧セルが最も多く連続して直列に接続された部分を充電
電池セル群とする。また、切り替え制御回路BT03は、過充電又は過放電に近い電池セ
ルBT09を、放電電池セル群又は充電電池セル群として優先的に選択するようにしても
よい。
ここで、本実施形態における切り替え制御回路BT03の動作例を、図19を用いて説明
する。図19は、切り替え制御回路BT03の動作例を説明するための図である。なお、
説明の便宜上、図19では4個の電池セルBT09が直列に接続されている場合を例に説
明する。
まず、図19(A)の例では、電池セルa乃至dの電圧を電圧Va乃至電圧Vdとすると
、Va=Vb=Vc>Vdの関係にある場合を示している。つまり、連続する3つの高電
圧セルa乃至cと、1つの低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、切り替え
制御回路BT03は、連続する3つの高電圧セルa乃至cを放電電池セル群として決定す
る。また、切り替え制御回路BT03は、低電圧セルdを充電電池セル群として決定する
次に、図19(B)の例では、Vc>Va=Vb>>Vdの関係にある場合を示している
。つまり、連続する2つの低電圧セルa、bと、1つの高電圧セルcと、1つの過放電間
近の低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路BT03は、
高電圧セルcを放電電池セル群として決定する。また、切り替え制御回路BT03は、低
電圧セルdが過放電間近であるため、連続する2つの低電圧セルa及びbではなく、低電
圧セルdを充電電池セル群として優先的に決定する。
最後に、図19(C)の例では、Va>Vb=Vc=Vdの関係にある場合を示している
。つまり、1つの高電圧セルaと、連続する3つの低電圧セルb乃至dとが直列に接続さ
れている。この場合、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルaを放電電池セル群と決
定する。また、切り替え制御回路BT03は、連続する3つの低電圧セルb乃至dを充電
電池セル群として決定する。
切り替え制御回路BT03は、上記図19(A)乃至(C)の例のように決定された結果
に基づいて、切り替え回路BT04の接続先である放電電池セル群を示す情報が設定され
た制御信号S1と、切り替え回路BT05の接続先である充電電池セル群を示す情報が設
定された制御信号S2を、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05に対してそれ
ぞれ出力する。
切り替え回路BT04は、切り替え制御回路BT03から出力される制御信号S1に応じ
て、端子対BT01の接続先を、切り替え制御回路BT03により決定された放電電池セ
ル群に設定する。
端子対BT01は、対を成す端子A1及びA2により構成される。切り替え回路BT04
は、この端子A1及びA2のうち、いずれか一方を放電電池セル群の中で最も上流(高電
位側)に位置する電池セルBT09の正極端子と接続し、他方を放電電池セル群の中で最
も下流(低電位側)に位置する電池セルBT09の負極端子と接続することにより、端子
対BT01の接続先を設定する。なお、切り替え回路BT04は、制御信号S1に設定さ
れた情報を用いて放電電池セル群の位置を認識することができる。
切り替え回路BT05は、切り替え制御回路BT03から出力される制御信号S2に応じ
て、端子対BT02の接続先を、切り替え制御回路BT03により決定された充電電池セ
ル群に設定する。
端子対BT02は、対を成す端子B1及びB2により構成される。切り替え回路BT05
は、この端子B1及びB2のうち、いずれか一方を充電電池セル群の中で最も上流(高電
位側)に位置する電池セルBT09の正極端子と接続し、他方を充電電池セル群の中で最
も下流(低電位側)に位置する電池セルBT09の負極端子と接続することにより、端子
対BT02の接続先を設定する。なお、切り替え回路BT05は、制御信号S2に設定さ
れた情報を用いて充電電池セル群の位置を認識することができる。
切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05の構成例を示す回路図を図20及び図2
1に示す。
図20では、切り替え回路BT04は、複数のトランジスタBT10と、バスBT11及
びBT12とを有する。バスBT11は、端子A1と接続されている。また、バスBT1
2は、端子A2と接続されている。複数のトランジスタBT10のソース又はドレインの
一方は、それぞれ1つおきに交互に、バスBT11及びBT12と接続されている。また
、複数のトランジスタBT10のソース又はドレインの他方は、それぞれ隣接する2つの
電池セルBT09の間に接続されている。
なお、複数のトランジスタBT10のうち、最上流に位置するトランジスタBT10のソ
ース又はドレインの他方は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極
端子と接続されている。また、複数のトランジスタBT10のうち、最下流に位置するト
ランジスタBT10のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最下流に位置する
電池セルBT09の負極端子と接続されている。
切り替え回路BT04は、複数のトランジスタBT10のゲートに与える制御信号S1に
応じて、バスBT11に接続される複数のトランジスタBT10のうちの1つと、バスB
T12に接続される複数のトランジスタBT10のうちの1つとをそれぞれ導通状態にす
ることにより、放電電池セル群と端子対BT01とを接続する。これにより、放電電池セ
ル群の中で最も上流に位置する電池セルBT09の正極端子は、端子対の端子A1又はA
2のいずれか一方と接続される。また、放電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セ
ルBT09の負極端子は、端子対の端子A1又はA2のいずれか他方、すなわち正極端子
と接続されていない方の端子に接続される。
トランジスタBT10には、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジス
タはオフ電流が小さいため、放電電池セル群に属しない電池セルから漏洩する電荷量を減
らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。またOSトランジスタは高
電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。そのため、放電電池セル群の出力電圧が大き
くても、非導通状態とするトランジスタBT10が接続された電池セルBT09と端子対
BT01とを絶縁状態とすることができる。
また、図20では、切り替え回路BT05は、複数のトランジスタBT13と、電流制御
スイッチBT14と、バスBT15と、バスBT16とを有する。バスBT15及びBT
16は、複数のトランジスタBT13と、電流制御スイッチBT14との間に配置される
。複数のトランジスタBT13のソース又はドレインの一方は、それぞれ1つおきに交互
に、バスBT15及びBT16と接続されている。また、複数のトランジスタBT13の
ソース又はドレインの他方は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続され
ている。
なお、複数のトランジスタBT13のうち、最上流に位置するトランジスタBT13のソ
ース又はドレインの他方は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極
端子と接続されている。また、複数のトランジスタBT13のうち、最下流に位置するト
ランジスタBT13のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最下流に位置する
電池セルBT09の負極端子と接続されている。
トランジスタBT13には、トランジスタBT10と同様に、OSトランジスタを用いる
ことが好ましい。OSトランジスタはオフ電流が小さいため、充電電池セル群に属しない
電池セルから漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することがで
きる。またOSトランジスタは高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。そのため、
充電電池セル群を充電するための電圧が大きくても、非導通状態とするトランジスタBT
13が接続された電池セルBT09と端子対BT02とを絶縁状態とすることができる。
電流制御スイッチBT14は、スイッチ対BT17とスイッチ対BT18とを有する。ス
イッチ対BT17の一端は、端子B1に接続されている。また、スイッチ対BT17の他
端は2つのスイッチで分岐しており、一方のスイッチはバスBT15に接続され、他方の
スイッチはバスBT16に接続されている。スイッチ対BT18の一端は、端子B2に接
続されている。また、スイッチ対BT18の他端は2つのスイッチで分岐しており、一方
のスイッチはバスBT15に接続され、他方のスイッチはバスBT16に接続されている
スイッチ対BT17及びスイッチ対BT18が有するスイッチは、トランジスタBT10
及びトランジスタBT13と同様に、OSトランジスタを用いることが好ましい。
切り替え回路BT05は、制御信号S2に応じて、トランジスタBT13、及び電流制御
スイッチBT14のオン/オフ状態の組み合わせを制御することにより、充電電池セル群
と端子対BT02とを接続する。
切り替え回路BT05は、一例として、以下のようにして充電電池セル群と端子対BT0
2とを接続する。
切り替え回路BT05は、複数のトランジスタBT10のゲートに与える制御信号S2に
応じて、充電電池セル群の中で最も上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続さ
れているトランジスタBT13を導通状態にする。また、切り替え回路BT05は、複数
のトランジスタBT10のゲートに与える制御信号S2に応じて、充電電池セル群の中で
最も下流に位置する電池セルBT09の負極端子に接続されているトランジスタBT13
を導通状態にする。
端子対BT02に印加される電圧の極性は、端子対BT01と接続される放電電池セル群
、及び変圧回路BT07の構成によって変わり得る。また、充電電池セル郡を充電する方
向に電流を流すためには、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性の端子同
士を接続する必要がある。そこで、電流制御スイッチBT14は、制御信号S2により、
端子対BT02に印加される電圧の極性に応じてスイッチ対BT17及びスイッチ対BT
18の接続先をそれぞれ切り替えるように制御される。
一例として、端子B1が正極、端子B2が負極となるような電圧が端子対BT02に印加
されている状態を挙げて説明する。この時、電池部BT08の最下流の電池セルBT09
が充電電池セル群である場合、スイッチ対BT17は、制御信号S2により、当該電池セ
ルBT09の正極端子と接続されるように制御される。すなわち、スイッチ対BT17の
バスBT16に接続されるスイッチがオン状態となり、スイッチ対BT17のバスBT1
5に接続されるスイッチがオフ状態となる。一方、スイッチ対BT18は、制御信号S2
により、当該電池セルBT09の負極端子と接続されるように制御される。すなわち、ス
イッチ対BT18のバスBT15に接続されるスイッチがオン状態となり、スイッチ対B
T18のバスBT16に接続されるスイッチがオフ状態となる。このようにして、端子対
BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性をもつ端子同士が接続される。そして、端
子対BT02から流れる電流の方向が、充電電池セル群を充電する方向となるように制御
される。
また、電流制御スイッチBT14は、切り替え回路BT05ではなく、切り替え回路BT
04に含まれていてもよい。この場合、電流制御スイッチBT14、制御信号S1に応じ
て、端子対BT01に印加される電圧の極性を制御することにより、端子対BT02に印
加される電圧の極性を制御する。そして、電流制御スイッチBT14は、端子対BT02
から充電電池セル群に流れる電流の向きを制御する。
図21は、図20とは異なる、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05の構成例
を示す回路図である。
図21では、切り替え回路BT04は、複数のトランジスタ対BT21と、バスBT24
及びバスBT25とを有する。バスBT24は、端子A1と接続されている。また、バス
BT25は、端子A2と接続されている。複数のトランジスタ対BT21の一端は、それ
ぞれトランジスタBT22とトランジスタBT23とにより分岐している。トランジスタ
BT22のソース又はドレインの一方は、バスBT24と接続されている。また、トラン
ジスタBT23のソース又はドレインの一方は、バスBT25と接続されている。また、
複数のトランジスタ対の他端は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続さ
れている。なお、複数のトランジスタ対BT21のうち、最上流に位置するトランジスタ
対BT21の他端は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と
接続されている。また、複数のトランジスタ対BT21のうち、最下流に位置するトラン
ジスタ対BT21の他端は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極
端子と接続されている。
切り替え回路BT04は、制御信号S1に応じてトランジスタBT22及びトランジスタ
BT23の導通/非導通状態を切り換えることにより、当該トランジスタ対BT21の接
続先を、端子A1又は端子A2のいずれか一方に切り替える。詳細には、トランジスタB
T22が導通状態であれば、トランジスタBT23は非導通状態となり、その接続先は端
子A1になる。一方、トランジスタBT23が導通状態であれば、トランジスタBT22
は非導通状態となり、その接続先は端子A2になる。トランジスタBT22及びトランジ
スタBT23のどちらが導通状態になるかは、制御信号S1によって決定される。
端子対BT01と放電電池セル群とを接続するには、2つのトランジスタ対BT21が用
いられる。詳細には、制御信号S1に基づいて、2つのトランジスタ対BT21の接続先
がそれぞれ決定されることにより、放電電池セル群と端子対BT01とが接続される。2
つのトランジスタ対BT21のそれぞれの接続先は、一方が端子A1となり、他方が端子
A2となるように、制御信号S1によって制御される。
切り替え回路BT05は、複数のトランジスタ対BT31と、バスBT34及びバスBT
35とを有する。バスBT34は、端子B1と接続されている。また、バスBT35は、
端子B2と接続されている。複数のトランジスタ対BT31の一端は、それぞれトランジ
スタBT32とトランジスタBT33とにより分岐している。トランジスタBT32によ
り分岐する一端は、バスBT34と接続されている。また、トランジスタBT33により
分岐する一端は、バスBT35と接続されている。また、複数のトランジスタ対BT31
の他端は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続されている。なお、複数
のトランジスタ対BT31のうち、最上流に位置するトランジスタ対BT31の他端は、
電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されている。また
、複数のトランジスタ対BT31のうち、最下流に位置するトランジスタ対BT31の他
端は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極端子と接続されている
切り替え回路BT05は、制御信号S2に応じてトランジスタBT32及びトランジスタ
BT33の導通/非導通状態を切り換えることにより、当該トランジスタ対BT31の接
続先を、端子B1又は端子B2のいずれか一方に切り替える。詳細には、トランジスタB
T32が導通状態であれば、トランジスタBT33は非導通状態となり、その接続先は端
子B1になる。逆に、トランジスタBT33が導通状態であれば、トランジスタBT32
は非導通状態となり、その接続先は端子B2になる。トランジスタBT32及びトランジ
スタBT33のどちらが導通状態となるかは、制御信号S2によって決定される。
端子対BT02と充電電池セル群とを接続するには、2つのトランジスタ対BT31が用
いられる。詳細には、制御信号S2に基づいて、2つのトランジスタ対BT31の接続先
がそれぞれ決定されることにより、充電電池セル群と端子対BT02とが接続される。2
つのトランジスタ対BT31のそれぞれの接続先は、一方が端子B1となり、他方が端子
B2となるように、制御信号S2によって制御される。
また、2つのトランジスタ対BT31のそれぞれの接続先は、端子対BT02に印加され
る電圧の極性によって決定される。具体的には、端子B1が正極、端子B2が負極となる
ような電圧が端子対BT02に印加されている場合、上流側のトランジスタ対BT31は
、トランジスタBT32が導通状態となり、トランジスタBT33が非導通状態となるよ
うに、制御信号S2によって制御される。一方、下流側のトランジスタ対BT31は、ト
ランジスタBT33が導通状態、トランジスタBT32が非導通状態となるように、制御
信号S2によって制御される。また、端子B1が負極、端子B2が正極となるような電圧
が端子対BT02に印加されている場合は、上流側のトランジスタ対BT31は、トラン
ジスタBT33が導通状態となり、トランジスタBT32が非導通状態となるように、制
御信号S2によって制御される。一方、下流側のトランジスタ対BT31は、トランジス
タBT32が導通状態、トランジスタBT33が非導通状態となるように、制御信号S2
によって制御される。このようにして、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ
極性をもつ端子同士が接続される。そして、端子対BT02から流れる電流の方向が、充
電電池セル群を充電する方向となるように制御される。
変圧制御回路BT06は、変圧回路BT07の動作を制御する。変圧制御回路BT06は
、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数と、充電電池セル群に含まれる電池
セルBT09の個数とに基づいて、変圧回路BT07の動作を制御する変圧信号S3を生
成し、変圧回路BT07へ出力する。
なお、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が充電電池セル群に含まれる電
池セルBT09の個数よりも多い場合は、充電電池セル群に対して過剰に大きな充電電圧
が印加されることを防止する必要がある。そのため、変圧制御回路BT06は、充電電池
セル群を充電できる範囲で放電電圧(Vdis)を降圧させるように変圧回路BT07を
制御する変圧信号S3を出力する。
また、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が、充電電池セル群に含まれる
電池セルBT09の個数以下である場合は、充電電池セル群を充電するために必要な充電
電圧を確保する必要がある。そのため、変圧制御回路BT06は、充電電池セル群に過剰
な充電電圧が印加されない範囲で放電電圧(Vdis)を昇圧させるように変圧回路BT
07を制御する変圧信号S3を出力する。
なお、過剰な充電電圧とする電圧値は、電池部BT08で使用される電池セルBT09の
製品仕様等に鑑みて決定することができる。また、変圧回路BT07により昇圧及び降圧
された電圧は、充電電圧(Vcha)として端子対BT02に印加される。
ここで、本実施形態における変圧制御回路BT06の動作例を、図22(A)乃至(C)
を用いて説明する。図22(A)乃至(C)は、図19(A)乃至(C)で説明した放電
電池セル群及び充電電池セル群に対応させた、変圧制御回路BT06の動作例を説明する
ための概念図である。なお図22(A)乃至(C)は、電池制御ユニットBT41を図示
している。電池制御ユニットBT41は、上述したように、端子対BT01と、端子対B
T02と、切り替え制御回路BT03と、切り替え回路BT04と、切り替え回路BT0
5と、変圧制御回路BT06と、変圧回路BT07とにより構成される。
図22(A)に示される例では、図19(A)で説明したように、連続する3つの高電圧
セルa乃至cと、1つの低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、図19(A
)を用いて説明したように、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルa乃至cを放電電
池セル群として決定し、低電圧セルdを充電電池セル群として決定する。そして、変圧制
御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数を基準とした時の
、充電電地セル群に含まれる電池セルBT09の個数の比に基づいて、放電電圧(Vdi
sの昇降圧比Nを算出する。
なお放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が、充電電池セル群に含まれる電
池セルBT09の個数よりも多い場合に、放電電圧を変圧せずに端子対BT02にそのま
ま印加すると、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09に、端子対BT02を介して
過剰な電圧が印加される可能性がある。そのため、図22(A)に示されるような場合で
は、端子対BT02に印加される充電電圧(Vcha)を、放電電圧よりも降圧させる必
要がある。さらに、充電電池セル群を充電するためには、充電電圧は、充電電池セル群に
含まれる電池セルBT09の合計電圧より大きい必要がある。そのため、変圧制御回路B
T06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数を基準とした時の、充電電
地セル群に含まれる電池セルBT09の個数の比よりも、昇降圧比Nを大きく設定する。
変圧制御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数を基準とし
た時の、充電電地セル群に含まれる電池セルBT09の個数の比に対して、昇降圧比Nを
1乃至10%程度大きくするのが好ましい。この時、充電電圧は充電電池セル群の電圧よ
りも大きくなるが、実際には充電電圧は充電電池セル群の電圧と等しくなる。ただし、変
圧制御回路BT06は昇降圧比Nに従い充電電池セル群の電圧を充電電圧と等しくするた
めに、充電電池セル群を充電する電流を流すこととなる。この電流は変圧制御回路BT0
6に設定された値となる。
図22(A)に示される例では、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が3
個で、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の数が1個であるため、変圧制御回路
BT06は、1/3より少し大きい値を昇降圧比Nとして算出する。そして、変圧制御回
路BT06は、放電電圧を当該昇降圧比Nに応じて降圧し、充電電圧に変換する変圧信号
S3を変圧回路BT07に出力する。そして、変圧回路BT07は、変圧信号S3に応じ
て変圧された充電電圧を、端子対BT02に印加する。そして、端子対BT02に印加さ
れる充電電圧によって、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09が充電される。
また、図22(B)や図22(C)に示される例でも、図22(A)と同様に、昇降圧比
Nが算出される。図22(B)や図22(C)に示される例では、放電電池セル群に含ま
れる電池セルBT09の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数以下
であるため、昇降圧比Nは1以上となる。よって、この場合は、変圧制御回路BT06は
、放電電圧を昇圧して受電電圧に変換する変圧信号S3を出力する。
変圧回路BT07は、変圧信号S3に基づいて、端子対BT01に印加される放電電圧を
充電電圧に変換する。そして、変圧回路BT07は、変換された充電電圧を端子対BT0
2に印加する。ここで、変圧回路BT07は、端子対BT01と端子対BT02との間を
電気的に絶縁している。これにより、変圧回路BT07は、放電電池セル群の中で最も下
流に位置する電池セルBT09の負極端子の絶対電圧と、充電電池セル群の中で最も下流
に位置する電池セルBT09の負極端子の絶対電圧との差異による短絡を防止する。さら
に、変圧回路BT07は、上述したように、変圧信号S3に基づいて放電電池セル群の合
計電圧である放電電圧を充電電圧に変換する。
また、変圧回路BT07は、例えば絶縁型DC(Direct Current)−DC
コンバータ等を用いることができる。この場合、変圧制御回路BT06は、絶縁型DC−
DCコンバータのオン/オフ比(デューティー比)を制御する信号を変圧信号S3として
出力することにより、変圧回路BT07で変換される充電電圧を制御する。
なお、絶縁型DC−DCコンバータには、フライバック方式、フォワード方式、RCC(
Ringing Choke Converter)方式、プッシュプル方式、ハーフブ
リッジ方式、及びフルブリッジ方式等が存在するが、目的とする出力電圧の大きさに応じ
て適切な方式が選択される。
絶縁型DC−DCコンバータを用いた変圧回路BT07の構成を図23に示す。絶縁型D
C−DCコンバータBT51は、スイッチ部BT52とトランス部BT53とを有する。
スイッチ部BT52は、絶縁型DC−DCコンバータの動作のオン/オフを切り替えるス
イッチであり、例えば、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconduc
tor Field−Effect Transistor)やバイポーラ型トランジス
タ等を用いて実現される。また、スイッチ部BT52は、変圧制御回路BT06から出力
される、オン/オフ比を制御する変圧信号S3に基づいて、絶縁型DC−DCコンバータ
BT51のオン状態とオフ状態を周期的に切り替える。なお、スイッチ部BT52は、使
用される絶縁型DC−DCコンバータの方式によって様々な構成を取り得る。トランス部
BT53は、端子対BT01から印加される放電電圧を充電電圧に変換する。詳細には、
トランス部BT53は、スイッチ部BT52のオン/オフ状態と連動して動作し、そのオ
ン/オフ比に応じて放電電圧を充電電圧に変換する。この充電電圧は、スイッチ部BT5
2のスイッチング周期において、オン状態となる時間が長いほど大きくなる。一方、充電
電圧は、スイッチ部BT52のスイッチング周期において、オン状態となる時間が短いほ
ど小さくなる。なお、絶縁型DC−DCコンバータを用いる場合、トランス部BT53の
内部で、端子対BT01と端子対BT02は互いに絶縁することができる。
本実施形態における蓄電装置BT00の処理の流れを、図24を用いて説明する。図24
は、蓄電装置BT00の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、蓄電装置BT00は、複数の電池セルBT09毎に測定された電圧を取得する(ス
テップS001)。そして、蓄電装置BT00は、複数の電池セルBT09の電圧を揃え
る動作の開始条件を満たすか否かを判定する(ステップS002)。この開始条件は、例
えば、複数の電池セルBT09毎に測定された電圧の最大値と最小値との差分が、所定の
閾値以上か否か等とすることができる。この開始条件を満たさない場合は(ステップS0
02:NO)、各電池セルBT09の電圧のバランスが取れている状態であるため、蓄電
装置BT00は、以降の処理を実行しない。一方、開始条件を満たす場合は(ステップS
002:YES)、蓄電装置BT00は、各電池セルBT09の電圧を揃える処理を実行
する。この処理において、蓄電装置BT00は、測定されたセル毎の電圧に基づいて、各
電池セルBT09が高電圧セルか低電圧セルかを判定する(ステップS003)。そして
、蓄電装置BT00は、判定結果に基づいて、放電電池セル群及び充電電池セル群を決定
する(ステップS004)。さらに、蓄電装置BT00は、決定された放電電池セル群を
端子対BT01の接続先に設定する制御信号S1、及び決定された充電電池セル群を端子
対BT02の接続先に設定する制御信号S2を生成する(ステップS005)。蓄電装置
BT00は、生成された制御信号S1及び制御信号S2を、切り替え回路BT04及び切
り替え回路BT05へそれぞれ出力する。そして、切り替え回路BT04により、端子対
BT01と放電電池セル群とが接続され、切り替え回路BT05により、端子対BT02
と放電電池セル群とが接続される(ステップS006)。また、蓄電装置BT00は、放
電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数と、充電電池セル群に含まれる電池セル
BT09の個数とに基づいて、変圧信号S3を生成する(ステップS007)。そして、
蓄電装置BT00は、変圧信号S3に基づいて、端子対BT01に印加される放電電圧を
充電電圧に変換し、端子対BT02に印加する(ステップS008)。これにより、放電
電池セル群の電荷が充電電池セル群へ移動される。
また、図24のフローチャートでは、複数のステップが順番に記載されているが、各ステ
ップの実行順序は、その記載の順番に制限されない。
以上、本実施形態によれば、放電電池セル群から充電電池セル群へ電荷を移動させる際、
キャパシタ方式のように、放電電池セル群からの電荷を一旦蓄積し、その後充電電池セル
群へ放出させるような構成を必要としない。これにより、単位時間あたりの電荷移動効率
を向上させることができる。また、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05によ
り、放電電池セル群及び充電電池セル群が各々個別に切り替えられる。
さらに、変圧回路BT07により、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数と
充電電池セル群に含まれる電池セルBT09群の個数とに基づいて、端子対BT01に印
加される放電電圧が充電電圧に変換され、端子対BT02に印加される。これにより、放
電側及び充電側の電池セルBT09がどのように選択されても、問題なく電荷の移動を実
現できる。
さらに、トランジスタBT10及びトランジスタBT13にOSトランジスタを用いるこ
とにより、充電電池セル群及び放電電池セル群に属しない電池セルBT09から漏洩する
電荷量を減らすことができる。これにより、充電及び放電に寄与しない電池セルBT09
の容量の低下を抑制することができる。また、OSトランジスタは、Siトランジスタに
比べて熱に対する特性の変動が小さい。これにより、電池セルBT09の温度が上昇して
も、制御信号S1、S2に応じた導通状態と非導通状態の切り替えといった、正常な動作
をさせることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置の使用例について図25〜図28を用いて
説明する。
本発明の一態様の蓄電装置は、例えば、電子機器や照明装置に用いることができる。本発
明の一態様の蓄電装置は、電解液の分解が生じにくく、不可逆容量が低減されている。し
たがって、電子機器や照明装置を、一度の充電で長時間使用することができる。また、充
放電サイクルに伴う容量の減少が抑制されているため、充電を繰り返しても、使用可能な
時間が短くなりにくい。また、電子機器や照明装置の安全性や信頼性を高めることができ
る。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともい
う)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタル
フォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携
帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
本発明の一態様の蓄電装置は可撓性を有するため、当該蓄電装置自体、又は、当該蓄電装
置を用いた電子機器もしくは照明装置を、家屋やビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車
の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図25(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401
に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、ス
ピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄電
装置7407を有している。
図25(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機740
0を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電装置
7407も湾曲する。蓄電装置7407は薄型の蓄電池である。蓄電装置7407は曲げ
られた状態で固定されている。湾曲した状態の蓄電装置7407を図25(C)に示す。
図25(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、
筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電装置7104を備える。
図25(E)に曲げられた蓄電装置7104の状態を示す。
図25(F)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は
、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン72
05、入出力端子7206などを備える。
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インタ
ーネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができ
る。
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うこ
とができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に
触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン72
07に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ
動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持
たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーションシス
テムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能で
ある。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで
通話することもできる。
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを
介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電
を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行
ってもよい。
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の蓄電装置を有している。
例えば、図25(E)に示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態
で、又はバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
図25(G)は、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部7
304を有し、本発明の一態様の蓄電装置を有している。また、表示装置7300は、表
示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させる
こともできる。
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことが
できる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状
況を変更することができる。
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接デ
ータのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。
なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
図26(A)、(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図26(A、
(B)に示すタブレット型端末9600は、一対の筐体9630、一対の筐体9630を
接続する可動部9640、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えス
イッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め
具9629、操作スイッチ9628を有する。図26(A)は、タブレット型端末960
0を開いた状態を示し、図26(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示し
ている。
また、タブレット型端末9600は、筐体9630の内部に蓄電体9635を有する。蓄
電体9635は、可動部9640を通り、一方の筐体9630から他方の筐体9630に
渡って設けられている。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示され
た操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部963
1aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、残りの半分の領
域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部96
31aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9
631aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを
表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部
をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード
表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで
表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタ
ッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切
り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイ
ッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時
の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は
光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出
装置を内蔵させてもよい。
また、図26(A)では表示部9631aと表示部9631bの表示面積が同じ例を示し
ているが特に限定されず、一方の表示部のサイズと他方の表示部のサイズが異なっていて
もよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行え
る表示パネルとしてもよい。
図26(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池96
33、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634を有する。また、蓄電
体9635として、本発明の一態様の蓄電装置を用いる。
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に一対の筐体9630
を重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631a
、表示部9631bを保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めること
ができる。また、本発明の一態様の蓄電体を用いた蓄電体9635は可撓性を有し、曲げ
伸ばしを繰り返しても充放電容量が低下しにくい。よって、信頼性の優れたタブレット型
端末を提供できる。
また、この他にも図26(A)、(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止
画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、カレンダー、日付又は時刻など
を表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入
力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有するこ
とができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、
表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐
体9630の片面又は両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う構
成とすることができるため好適である。なお、蓄電体9635としては、リチウムイオン
電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図26(B)に示す充放電制御回路9634の構成及び動作について、図26(C
)にブロック図を示し説明する。図26(C)には、太陽電池9633、蓄電体9635
、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示
部9631について示しており、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバ
ータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図26(B)に示す充放電制御回路963
4に対応する箇所となる。
まず、外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する
。太陽電池で発電した電力は、蓄電体9635を充電するための電圧となるようDCDC
コンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電
池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ963
7で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部963
1での表示を行わない際には、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにして
蓄電体9635の充電を行う構成とすればよい。
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、
圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による蓄
電体9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信
して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成と
してもよい。
図27に、他の電子機器の例を示す。図27において、表示装置8000は、本発明の一
態様に係る蓄電装置8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置800
0は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部
8003、蓄電装置8004等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置8004は、筐
体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受
けることもできるし、蓄電装置8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって
、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る
蓄電装置8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能とな
る。
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光
装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Devi
ce)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field
Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など
、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図27において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る蓄電装置81
03を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光
源8102、蓄電装置8103等を有する。図27では、蓄電装置8103が、筐体81
01及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示
しているが、蓄電装置8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装
置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8103に蓄
積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が
受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8103を無停電電源として用いる
ことで、照明装置8100の利用が可能となる。
なお、図27では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示してい
るが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8
106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上
型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができ
る。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光
素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図27において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、
本発明の一態様に係る蓄電装置8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内
機8200は、筐体8201、送風口8202、蓄電装置8203等を有する。図27で
は、蓄電装置8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、蓄電
装置8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外
機8204の両方に、蓄電装置8203が設けられていても良い。エアコンディショナー
は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8203に蓄積された電
力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に蓄電装置82
03が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時で
も、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を無停電電源として用いることで、エアコン
ディショナーの利用が可能となる。
なお、図27では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを
例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコン
ディショナーに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
図27において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を
用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷
蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、蓄電装置8304等を有する。図27では、蓄
電装置8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、
商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8304に蓄積された電力を
用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時
でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を無停電電源として用いることで、電気冷
凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
なお、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電子機器は、短時間で高い電力
を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として
、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電子機器の使用時に商用電源のブレー
カーが落ちるのを防ぐことができる。
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量の
うち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電
装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑える
ことができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉830
2、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置8304に電力を蓄
える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行わ
れる昼間において、蓄電装置8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率
を低く抑えることができる。
また、本発明の一態様の蓄電装置は、車両に搭載することもできる。
蓄電装置を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプ
ラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる
図28(A)、(B)に、本発明の一態様の蓄電装置を用いた車両を例示する。図28(
A)に示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動
車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用
いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離
の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は蓄電装置を有する。蓄電装
置は電気モーターを駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せ
ず)などの発光装置に電力を供給することができる。
また、蓄電装置は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示
装置に電力を供給することができる。また、蓄電装置は、自動車8400が有するナビゲ
ーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
図28(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する蓄電装置にプラグイン方
式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができ
る。図28(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された蓄
電装置に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充
電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適
宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、
また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給
により自動車8500に搭載された蓄電装置8024を充電することができる。充電は、
ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことがで
きる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給
して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組
み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電
の方式を利用して、車両同士で電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太
陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電装置の充電を行ってもよい。このような非接触での
電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
本発明の一態様によれば、蓄電装置のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させるこ
とができる。また、本発明の一態様によれば、蓄電装置の特性を向上することができ、よ
って、蓄電装置自体を小型軽量化することができる。蓄電装置自体を小型軽量化できれば
、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載
した蓄電装置を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要の
ピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性について評価した。本実施
例で作製した蓄電装置は、薄型の蓄電池である。
本実施例の蓄電装置には、1組の正極と負極を用いた。なお、正極の負極側の面の大きさ
よりも、負極の正極側の面の大きさを大きくした。
本実施例では、本発明の一態様が適用された試料(試料A〜試料C)と、比較例である比
較試料(比較試料D及び比較試料E)の2つの蓄電装置を作製した。試料と比較試料では
、電解液に用いたカチオンが異なる。
まず、正極の作製方法を説明し、次に、負極の作製方法を説明する。
正極活物質には、比表面積9.2m/gのLiFePOを用い、結着剤としてPVd
Fを用い、導電助剤としてグラフェンを用いた。なお、グラフェンは、ペーストを作製す
る際には酸化グラフェンであり、正極集電体にペーストを塗布した後、還元処理を施すこ
とでグラフェンとした。電極を作製するためのペーストの配合は、LiFePO:酸化
グラフェン:PVdF=94.4:0.6:5.0(重量%)とした。
初めに、酸化グラフェンの粉末と溶媒であるNMPを、混練機を用いて混練し、第1の混
合物を得た。
次に、第1の混合物に活物質を添加し、混練機を用いて固練りを行い、第2の混合物を得
た。
次に、第2の混合物にPVdFを添加し、混練機を用いて混練して第3の混合物を得た。
次に、第3の混合物に溶媒であるNMPを添加し、混練機を用いて混練し、ペーストを得
た。
次に、連続塗工機を用いて、正極集電体にペーストの塗布を行った。正極集電体には膜厚
18μmのアルミ集電体を用いた。正極集電体には、あらかじめアンダーコートを施した
。塗工速度は、1m/minとした。
その後、乾燥炉を用いて溶媒を気化させた(溶媒を除去した)。その際の条件は、80℃
、4分間とした。その後、電極の還元を行った。
還元条件としては、まず化学還元を行い、その後熱還元を行った。化学還元に用いた溶液
は、溶媒としてNMP:水を9:1で混合した溶媒を用い、アスコルビン酸とLiOHを
それぞれ77mmol/Lと73mmol/Lの濃度になるように加えた。化学還元処理
は、60℃で1時間行った。その後、エタノールで洗浄し、減圧雰囲気下、室温で溶媒を
気化させた。熱還元は減圧雰囲気下で170℃10時間の処理を行った。
次に、正極活物質層を、ロールプレス法によりプレスして圧密化した。以上の工程により
、正極を作製した。
負極活物質には、比表面積6.3m/g、平均粒径15μmの球状化天然黒鉛を用いた
。また、結着剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)及びSB
Rを用いた。用いたCMC−Naの重合度は600〜800、1wt%水溶液として用い
た場合の水溶液粘度は300mPa・s〜500mPa・sの範囲の値であった。電極を
作製するためのペーストの配合は、黒鉛:CMC−Na:SBR=97:1.5:1.5
(重量%)とした。
まず、CMC−Naの粉末と活物質とを混合し、混練機で混練し、第1の混合物を得た。
次に、第1の混合物に少量の水を添加し、固練りを行い、第2の混合物を得た。ここで、
固練りとは、高粘度による混練のことである。
次に、水をさらに添加し、混練機を用いて混練し、第3の混合物を得た。
次に、SBRの50wt%水分散液を添加し、混練機を用いて混練した。その後、減圧下
での脱泡を行い、ペーストを得た。
次に、連続塗工機を用いて、負極集電体にペーストの塗布を行った。負極集電体には膜厚
18μmの圧延銅箔を用いた。塗工速度は、0.75m/minとした。
次に、負極集電体上に塗布したペーストの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。溶媒の気化
は、大気雰囲気下で行い、その際の温度及び時間は、50℃で120秒間の処理を行った
後に80℃で120秒間の処理を行った。
さらに、減圧雰囲気下で、100℃、10時間の条件で、溶媒の気化を行った。
以上の工程により、負極集電体の片面に負極活物質層を作製し、負極を作製した。
本実施例の試料に用いた正極活物質層の活物質担持量は9.7mg/cm、厚さは57
μm、密度は1.8g/cmであった。また、負極活物質層の活物質担持量は4.7m
g/cm、厚さは54μm、密度は0.9g/cmであった。なお、これらは試料A
、試料B、及び試料Cの平均値である。
本実施例の比較試料に用いた正極活物質層の活物質担持量は9.2mg/cm、厚さは
56μm、密度は1.8g/cmであった。また、負極活物質層の活物質担持量は4.
6mg/cm、厚さは52μm、密度は0.9g/cmであった。なお、これらは比
較試料D及び比較試料Eの平均値である。
次に、本実施例で用いた電解液について説明する。
本発明の一態様を適用した試料の電解液には、溶媒として下記の構造式に示す1−エチル
−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(略称:2MeE
MI−FSA)を用い、電解質としてリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ア
ミド(LiN(CFSO,略称:LiTFSA)を用いた。LiTFSAを2M
eEMI−FSAに溶解させ、LiTFSAの濃度が1mol/kgの電解液を準備した
比較試料の電解液には、溶媒として下記の構造式に示す1−エチル−3−メチルイミダゾ
リウムビス(フルオロスルホニル)アミド(略称:EMI−FSA)を用い、電解質とし
てLiTFSAを用いた。LiTFSAをEMI−FSAに溶解させ、LiTFSAの濃
度が1mol/kgの電解液を準備した。
また、セパレータは、厚さ50μmの溶剤紡糸再生セルロース繊維(TF40、日本高度
紙工業株式会社製)を用いた。セパレータは、縦24mm、横45mmの矩形状に切断し
た。また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
次に、薄型の蓄電池を作製した。正極、負極、セパレータを切断した。なお、正極の大き
さは41mm×20mmとし、負極の大きさは、45mm×22mmとした。
次に、タブ領域上の正極活物質及び負極活物質を剥がして、集電体を露出させた。
次に、外装体を半分に折り、積層した正極、セパレータ、及び負極を挟んだ。このとき、
正極及び負極は、正極活物質層と、負極活物質層と、が向かい合うように積層した。
次に、加熱により外装体の3辺のうち、電解液を注入する辺以外を接合した。このとき、
リード電極に設けられた封止層が外装体の封止部に重なるように配置した。
その後、外装体と、外装体で包まれた正極、セパレータ、及び負極を乾燥した。乾燥条件
は、減圧下で80℃、10時間とした。
次に、アルゴンガス雰囲気下で、封止されていない1辺から電解液を注入した。その後、
減圧雰囲気下で、加熱により外装体の1辺を封止した。
以上の工程により、本実施例の蓄電装置を作製した。
次に、本実施例の蓄電装置のエージング処理を行った。なお、レートの算出は正極活物質
重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。
初めに、25℃で0.01Cのレートで定電流充電を行った。充電条件は3.2Vを上限
とした。
そして、アルゴン雰囲気下で、外装体の1辺を切断し、開封することで、ガス抜きを行っ
た後、開封した外装体の1辺を、再度、減圧雰囲気下で封止した。
次に、25℃で0.05Cのレートで定電流充電を行った。充電条件は、4.0Vを上限
とした。そして、25℃で0.2Cのレートで定電流放電を行った。放電条件は、2.0
Vを下限とした。さらに、25℃で0.2Cのレートで充放電を2回行った。充電条件は
4.0Vを上限とし、放電条件は、2.0Vを下限とした。
以上のエージング処理を行った後の、試料A、試料B、比較試料D、比較試料Eの充放電
サイクル特性を測定した結果について説明する。
該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて、評価温度は25℃で行った。充
電条件4Vを上限として定電流充電を行った。また、放電条件は、2Vを下限として定電
流放電を行った。初回の充放電は、0.1Cのレートで行い、その後の充放電は、0.3
Cのレートで行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流
値を1Cとした。
図29に充放電サイクル特性を示す。なお、図29は、横軸がサイクル数(回)、縦軸が
放電容量(mAh/g)を示す。
図29に示すように、電解液のカチオンに2MeEMIを用いた試料A及び試料Bは、電
解液のカチオンに1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンを用いた比較試料D及
び比較試料Eに比べてサイクル特性が良好であった。
また、充放電サイクル特性を測定した後の、試料B及び比較試料Eの電解液中に含まれる
元素を分析した。測定には、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS:Induct
ively Coupled Plasma−Mass Spectrometry)を
用いた。
本実施例では、電解液中の、リチウム、ニッケル、及び銅について、着目した。ここで、
ニッケルは、各試料のリード電極に含まれている元素であり、銅は、各試料の集電体及び
リード電極に含まれている元素である。
試料Bに用いた電解液において、ニッケルと銅の検出量は、測定下限未満であった。
一方、比較試料Eに用いた電解液において、ニッケルの検出量は、測定下限未満であった
が、銅の検出量は、リチウムの検出量を100(mol)としたとき、2.48(mol
)であった。
つまり、試料Bでは、集電体等に用いられている銅の溶出が、比較試料Eに比べて抑制さ
れていることがわかった。
試料Bでは、2MeEMIを用い、比較試料Eでは、1−エチル−3−メチルイミダゾリ
ウムカチオンを用いた点で、試料Bと比較試料Eの電解液は異なる。
2MeEMIでは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンにおけるイミダゾリ
ウム環の2位のプロトンを、反応性の低いメチル基で置換することで、電解液の分解反応
及び集電体の銅の溶出を抑制できたと考えられる。これにより、試料Bでは、比較試料E
に比べて、良好なサイクル特性が得ることができたと示唆される。
本実施例の結果から、本発明の一態様を適用することで、電解液の分解反応や集電体の銅
の溶出を抑制し、蓄電装置の充放電サイクルに伴う容量の低下を抑制できることがわかっ
た。本実施例より、本発明の一態様を適用することで、寿命の長い蓄電装置を作製できる
ことがわかった。
また、試料Cのレート特性を測定した結果について説明する。
該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて、評価温度は25℃で行った。充
電条件は、4.0Vを上限として定電流充電を行った。充電は、0.1Cのレートで行っ
た。放電条件は、2.0Vを下限として定電流放電を行った。放電は、0.1C、0.2
C、0.3C、0.4C、0.5C、及び1Cのそれぞれで行った。なお、レートの算出
は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。図30に各レートに対す
る放電容量を示す。図30は、横軸が放電レート(C)であり、縦軸が放電容量(mAh
/g)を示す。
表1に、各レートにおける放電容量の値を示す。
レート特性の結果から、0.4Cにおける放電容量は、0.1Cにおける放電容量に対し
て、約95%であった。また、0.5Cにおける放電容量は、0.1Cにおける放電容量
に対して、約76%であった。以上のように、本発明の一態様を適用した蓄電装置では、
良好なレート特性を得ることができた。
S1 制御信号
S2 制御信号
S3 変圧信号
BT00 蓄電装置
BT01 端子対
BT02 端子対
BT03 切り替え制御回路
BT04 切り替え回路
BT05 切り替え回路
BT06 変圧制御回路
BT07 変圧回路
BT08 電池部
BT09 電池セル
BT10 トランジスタ
BT11 バス
BT12 バス
BT13 トランジスタ
BT14 電流制御スイッチ
BT15 バス
BT16 バス
BT17 スイッチ対
BT18 スイッチ対
BT21 トランジスタ対
BT22 トランジスタ
BT23 トランジスタ
BT24 バス
BT25 バス
BT31 トランジスタ対
BT32 トランジスタ
BT33 トランジスタ
BT34 バス
BT35 バス
BT41 電池制御ユニット
BT51 絶縁型DC−DCコンバータ
BT52 スイッチ部
BT53 トランス部
115 封止層
118 接合部
119 導入口
281 タブ領域
282 タブ領域
300 蓄電池
301 正極缶
302 負極缶
303 ガスケット
304 正極
305 正極集電体
306 正極活物質層
307 負極
308 負極集電体
309 負極活物質層
310 セパレータ
500 電池セル
501 正極集電体
502 正極活物質層
503 正極
504 負極集電体
505 負極活物質層
506 負極
507 セパレータ
508 電解液
509 外装体
510 正極リード電極
511 負極リード電極
512 接合部
513 湾曲部
514 接合部
521 グラフェン
522 正極活物質
600 蓄電池
601 正極キャップ
602 電池缶
603 正極端子
604 正極
605 セパレータ
606 負極
607 負極端子
608 絶縁板
609 絶縁板
611 PTC素子
612 安全弁機構
900 回路基板
910 ラベル
911 端子
912 回路
913 蓄電池
914 アンテナ
915 アンテナ
916 層
917 層
918 アンテナ
919 端子
920 表示装置
921 センサ
922 端子
951 端子
952 端子
980 蓄電池
981 フィルム
982 フィルム
990 蓄電池
991 外装体
992 外装体
993 捲回体
994 負極
995 正極
996 セパレータ
997 端子
998 端子
1122 充電器
1123 充電器
7100 携帯表示装置
7101 筐体
7102 表示部
7103 操作ボタン
7104 蓄電装置
7200 携帯情報端末
7201 筐体
7202 表示部
7203 バンド
7204 バックル
7205 操作ボタン
7206 入出力端子
7207 アイコン
7300 表示装置
7304 表示部
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7407 蓄電装置
8000 表示装置
8001 筐体
8002 表示部
8003 スピーカ部
8004 蓄電装置
8021 充電装置
8022 ケーブル
8024 蓄電装置
8100 照明装置
8101 筐体
8102 光源
8103 蓄電装置
8104 天井
8105 側壁
8106 床
8107 窓
8200 室内機
8201 筐体
8202 送風口
8203 蓄電装置
8204 室外機
8300 電気冷凍冷蔵庫
8301 筐体
8302 冷蔵室用扉
8303 冷凍室用扉
8304 蓄電装置
8400 自動車
8401 ヘッドライト
8500 自動車
9600 タブレット型端末
9625 スイッチ
9626 スイッチ
9627 電源スイッチ
9628 操作スイッチ
9629 具
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a 領域
9632b 領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 蓄電体
9636 DCDCコンバータ
9637 コンバータ
9638 操作キー
9639 ボタン
9640 可動部

Claims (1)

  1. 正極、負極、及び電解液を有し、
    前記電解液は、第1のカチオン及びアニオンを有し、
    前記負極は、カルボキシメチルセルロース及びスチレン−ブタジエンゴムを含み、
    前記第1のカチオンは、構造式(100)で表される、蓄電装置。
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