JP2020008364A - 車輪偏摩耗判定方法および判定プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
一方、軌道が敷設された高架構造物の直下に列車の走行音を収集する集音装置を設置し、集音装置により取得された音声信号を処理して、車軸単位で個別に音圧レベルを測定して車輪踏面状態の良否を判定するようにした発明がある(特許文献3)。
また、特許文献3に記載の車輪踏面状態の検知システムでは、列車の走行音に基づいて車輪踏面状態の良否を判定するため、周囲の騒音が大きいなど、列車の走行音の識別が困難な環境下においては車輪の偏摩耗度合いの判定を行うことが困難であるという課題がある。
本発明の他の目的は、センサの故障や伝送ケーブルの脱落などの不具合の発生を気にすることなく車輪偏摩耗の有無を判定することができる車輪偏摩耗判定方法および判定プログラムを提供することにある。
車両に設置された振動検出手段により検出された振動データを連続的に取得し記憶手段に記憶する第1ステップと、
前記振動データの取得と並行して車両速度を算出し前記記憶手段に記憶する第2ステップと、
前記記憶手段より前記振動データを読み出してフィルタ処理によって所定の周波数範囲の振動データを抽出する第3ステップと、
前記第3ステップで抽出された振動データに対してエンベロープ処理を実施する第4ステップと、
前記第4ステップでエンベロープ処理された振動データに対して高速フーリエ変換処理を実施する第5ステップと、
前記記憶手段より前記車両速度を読み出して車輪回転周波数を算出する第6ステップと、
回転周波数が所定の範囲内のものに対応する前記高速フーリエ変換処理後のデータのうち所定の周波数のデータの振幅値を算出する第7ステップと、
前記振幅値が単位時間内に所定時間以上所定閾値を越えているか否か判別し、越えている場合に偏摩耗ありと判定する第8ステップと、
を含むようにしたものである。
前記第8ステップで前記振幅値が所定時間以上所定閾値を越えていないと判別された場合に、前記振動データのうち振幅がゼロでないデータの比率であるデータ有効率を算出して当該データ有効率が所定割合より大きい場合に偏摩耗なしとし、データ有効率が所定割合以下の場合には判定不能とするステップと、
を有するようにする。
かかる方法によれば、車両がポイントを通過したり車両内を搭乗者が移動したりした際に発生する振動に起因するノイズデータを除去することができるため、より精度の高い判定を行うことができる。
かかる方法によれば、振動波形にヒゲ状のノイズがある場合に、波形をなまらすことができ、それによって判定の精度をさらに高めることができる。
車両に設置された振動検出手段により検出された振動データと車両速度を記憶した記憶手段より前記振動データを読み出してフィルタ処理によって所定の周波数範囲の振動データを抽出する機能と、
抽出された振動データに対してエンベロープ処理を実施する機能と、
エンベロープ処理された振動データに対して高速フーリエ変換処理を実施する機能と、
前記記憶手段より前記車両速度を読み出して車輪回転周波数を算出する機能と、
算出された前記車輪回転周波数に基づいて回転周波数が所定の範囲外のものに対応する前記振動データを見つけ出して振幅をゼロに置き換える機能と、
回転周波数が所定の範囲内のものに対応する前記高速フーリエ変換処理後のデータのうち所定の周波数のデータの振幅値を算出する機能と、
前記振幅値が単位時間内に所定時間以上所定閾値を越えているか否か判別し、越えている場合に偏摩耗ありと判定する機能と、
前記振幅値が単位時間内に所定時間以上所定閾値を越えていないと判別された場合に、前記振動データのうち振幅がゼロでないデータの比率であるデータ有効率を算出して当該データ有効率が所定割合より大きい場合に偏摩耗なしとし、データ有効率が所定割合以下の場合に判定不能とする機能と、を有するようにしたものである。
かかるプログラムによれば、車両側に設置した加速度センサにより検出した振動データに基づいて車輪偏摩耗の有無を判定するので、検査したい任意の車両における車輪偏摩耗の有無を判定することができる。
図2は、本発明に係る車輪偏摩耗判定方法が適用されるシステムの一実施形態の構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態のシステムは、加速度センサを備え所定のサンプリング周期(例えば2ミリ秒)で車体の振動を検出する振動検出部11と、当該振動検出部11により検出された振動加速度データを無線で送信する送信部12、送信されたデータを受信し転送するデータ収集装置としてのルータ13、GPS衛星からの電波を受信して車両位置を検知するGPS(全地球測位システム)装置14、ルータ13によって収集されたデータを受け取って解析し、車輪の偏摩耗の有無を判定する解析用PC(パーソナルコンピュータ)15、解析結果を出力する表示装置16などから構成されている。
図4に示されているように、偏摩耗判定が開始されると、解析用PC15のMPUは、先ずデータ記憶部32に記憶されている計測データとしての振動データおよび車両速度データを読み出す(ステップS1)。続いて、読み出した振動データにフィルタ処理を行なって120〜200Hzの範囲のデータを抽出する(ステップS2)。その後、フィルタ処理後の振動波形に対してエンベロープ処理を実施する(ステップS3)。図3(B)には図3(A)のような生波形の振動データにフィルタ処理を行なった後の波形が、図3(C)には図3(B)の波形に対してエンベロープ処理を実施した後の波形が示されている。
また、上記解析プログラムにおいては、各種パラメータ(ステップS6,S7の周波数範囲やステップS8のノイズ閾値等)を変更可能にされており、判定対象の車種に応じてパラメータを変えることで、判定精度を高めることができるようになっている。
具体的には、先ず現行列車の中から、前回削正実施以降の走行距離(トータル走行距離)が38.3万kmの列車と0.6万kmの列車を選択して、先頭と後尾の中間に位置する車両の床面に加速度センサを設置するとともに、走行速度が比較的一定(100〜110km/h)である区間(約30km)を選択して、データ収集装置によって上記加速度センサからの振動データを0.2ミリ秒間隔で取得するとともに、並行して走行速度を算出して振動データと共に記憶部に記憶した。
図6にその結果を示す。このうち、図6(A)はトータル走行距離が38.3万kmの列車に関する車輪回転周波数に対応した加速度変動、図6(B)はトータル走行距離が0.6万kmの列車に関する車輪回転周波数に対応した加速度変動をそれぞれ示す。なお、図6(A)において網掛けがなされている箇所は、図4のステップS6の判定処理で、8〜20Hzの範囲外すなわちノイズが大きいため判定対象外とされたデータ部分である。
そこで、次に、加速度センサによる上記振動の検出と解析プログラムによる解析を行なった2つの列車のうちトータル走行距離が38.3万kmの列車のセンサ設置車両に取り付けられていた前後左右4個の車輪について、踏面の寸法測定を行なった。
以上の結果から、前記実施形態の手順に従った車輪偏摩耗判定方法は車輪偏摩耗を判定する上で有効であるとの結論に達した。
12 データ送信部
13 データ収集装置(ルータ)
14 GPS装置
15 解析用PC
16 表示装置
31 受信部
Claims (5)
- 車両に設置された振動検出手段により検出された振動データを連続的に取得し記憶手段に記憶する第1ステップと、
前記振動データの取得と並行して車両速度を算出し前記記憶手段に記憶する第2ステップと、
前記記憶手段より前記振動データを読み出してフィルタ処理によって所定の周波数範囲の振動データを抽出する第3ステップと、
前記第3ステップで抽出された振動データに対してエンベロープ処理を実施する第4ステップと、
前記第4ステップでエンベロープ処理された振動データに対して高速フーリエ変換処理を実施する第5ステップと、
前記記憶手段より前記車両速度を読み出して車輪回転周波数を算出する第6ステップと、
回転周波数が所定の範囲内のものに対応する前記高速フーリエ変換処理後のデータのうち所定の周波数のデータの振幅値を算出する第7ステップと、
前記振幅値が単位時間内に所定時間以上所定閾値を越えているか否か判別し、越えている場合に偏摩耗ありと判定する第8ステップと、
を含むことを特徴とする車輪偏摩耗判定方法。 - 前記第6ステップで算出された前記車輪回転周波数に基づいて回転周波数が所定の範囲外のものに対応する前記振動データを見つけ出して振幅をゼロに置き換えるステップと、
前記第8ステップで前記振幅値が所定時間以上所定閾値を越えていないと判別された場合に、前記振動データのうち振幅がゼロでないデータの比率であるデータ有効率を算出して当該データ有効率が所定割合より大きい場合に偏摩耗なしとし、データ有効率が所定割合以下の場合には判定不能とするステップと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の車輪偏摩耗判定方法。 - 前記第7ステップの後、前記第8ステップの前に、所定の周波数範囲のデータの平均振幅値が前記所定閾値以下でないものに対応する前記振動データを見つけ出して振幅をゼロに置き換えるステップを有することを特徴とする請求項2に記載の車輪偏摩耗判定方法。
- 前記第8ステップの前に、前記第7ステップで算出された前記振幅値に対してローパスフィルタ処理を実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車輪偏摩耗判定方法。
- コンピュータを車輪偏摩耗判定装置として動作させるためのプログラムであって、
車両に設置された振動検出手段により検出された振動データと車両速度を記憶した記憶手段より前記振動データを読み出してフィルタ処理によって所定の周波数範囲の振動データを抽出する機能と、
抽出された振動データに対してエンベロープ処理を実施する機能と、
エンベロープ処理された振動データに対して高速フーリエ変換処理を実施する機能と、
前記記憶手段より前記車両速度を読み出して車輪回転周波数を算出する機能と、
算出された前記車輪回転周波数に基づいて回転周波数が所定の範囲外のものに対応する前記振動データを見つけ出して振幅をゼロに置き換える機能と、
回転周波数が所定の範囲内のものに対応する前記高速フーリエ変換処理後のデータのうち所定の周波数のデータの振幅値を算出する機能と、
前記振幅値が単位時間内に所定時間以上所定閾値を越えているか否か判別し、越えている場合に偏摩耗ありと判定する機能と、
前記振幅値が単位時間内に所定時間以上所定閾値を越えていないと判別された場合に、前記振動データのうち振幅がゼロでないデータの比率であるデータ有効率を算出して当該データ有効率が所定割合より大きい場合に偏摩耗なしとし、データ有効率が所定割合以下の場合に判定不能とする機能と、を有することを特徴とする車輪偏摩耗判定プログラム。
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