JP2016050404A - 鉄道橋の支承部の異常検出方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような鉄道橋の点検に応用するために、鉄道橋にセンサを設置して振動などのデータを収集し、鉄道橋の状態を検出する手法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
鉄道橋の支承部の異常検出方法であって、
鉄道橋の橋桁に取り付けた加速度センサによって、列車通過時における橋桁の振動について加速度の変化を測定し、当該測定結果を取得する加速度取得工程と、
前記加速度取得工程で取得した前記測定結果についてウェーブレット変換を行い、加速度の変化における周波数成分の強度についての経時変化を示すスカログラムを取得するウェーブレット変換工程と、
前記スカログラムにおいて、前記強度の時間経過に伴う変化量が所定の閾値以下である場合に異常であると判定する判定工程と、を備えることを特徴とする。
前記加速度取得工程で取得した前記測定結果をフーリエ変換して加速度の周波数スペクトルを取得するフーリエ変換工程と、
前記フーリエ変換工程で取得した前記周波数スペクトルと、当該鉄道橋について支承部の異常が発生していない状態において前記加速度取得工程及び前記フーリエ変換工程により取得した周波数スペクトルである正常時スペクトルと、を比較し、前記周波数スペクトルにおいて前記正常時スペクトルよりも所定値以上強度が高い周波数を抽出する抽出工程と、を前記ウェーブレット変換工程の前に行い、
前記ウェーブレット変換工程では、前記抽出工程で抽出した周波数についてウェーブレット変換を行うことと特徴とする。
鉄道橋に取り付けた変位センサによって列車通過時の鉛直方向の変位を測定し、当該測定結果を取得する変位取得工程と、
前記変位取得工程で取得した測定結果と、正弦波と、の相関係数を算出し、前記相関係数が所定の閾値以下である場合に異常と判定する相関係数判定工程と、を備え、
前記判定工程において異常と判定され、かつ、前記相関係数判定工程でも異常と判定された場合に鉄道橋に異常が発生していると判定することを特徴とする。
図1に示すように鉄道橋10は、橋台11又は橋脚が支承部12を介して橋桁13を支持することで構成される。
本発明の鉄道橋10の支承部12の異常検出方法は、支承部12と橋桁13との間に隙間が発生する異常を検出するものである。
鉄道橋10には支承部12が複数あり、それぞれの支承部12についてデータを取得するため、それぞれの支承部12の近傍に測定装置20を設ける。
この測定装置は、加速度を測定する加速度センサと、加速度センサによる測定結果を記録する記録装置と、記録装置に記録された測定結果を外部の解析装置に出力する出力手段を備える。
なお、本実施形態において解析に用いるのは、橋桁13の振動における鉛直方向の加速度であるので、この鉛直方向の加速度のみ測定可能な加速度センサを用いても良い。
解析装置は可搬型のコンピュータを用い、検査対象の鉄道橋10の近傍で記録装置から情報を収集して解析を行うものであっても良いし、据え置き型のコンピュータを用い複数の鉄道橋10での測定結果を一か所に収集して解析を行うものであっても良い。
このデータ解析処理では、まず、記録装置から測定結果を取得し(ステップS1)、加速度センサの測定結果から加速度の鉛直方向の成分を取得する(ステップS2)。
次に、取得した鉛直方向の成分についてフーリエ変換を行い、周波数スペクトルを取得する(ステップS3)。
すなわち、取得した周波数スペクトルにおいて正常時スペクトルよりも所定値以上強度が高い周波数を抽出する。
この正常時スペクトルは、例えば作業員により当該鉄道橋10の点検を行い、異常がないことを確認した状態で測定を行うことで得られるものであり、解析装置に蓄積されているものである。
また、差分が所定値以上である周波数がある場合(ステップS5;Y)は、加速度センサによる測定結果を用いて抽出した周波数についてウェーブレット変換を行ってスカログラムを取得する(ステップS6)。
なお、差分が所定値以上である周波数を中心として所定範囲の周波数帯についてウェーブレット変換を行うようにしても良い。
この際に、ウェーブレット変換を行う周波数の範囲を予め絞っておくことで解析にかかる時間を短縮することができる。
特に列車の車輪が橋桁13を乗り降りする際に揺れが発生するので、車輪の通過タイミングに合わせて強度のピークが現れることとなる。
支承部12と橋桁13の間に隙間がない正常な状態であれば揺れはすぐに収まるため、隣接する車輪の通過タイミングの間における強度は低くなる。このため、強度の経時変化の変化量は大きくなる。
これに対して、支承部12と橋桁13の間に隙間がある異常な状態であると揺れの収まりが遅れることとなるため、隣接する車輪の通過タイミングの間でも揺れが継続し、強度は十分に低くならない。このため、強度の経時変化の変化量は小さくなる。
このことから、強度の経時変化の変化量が所定の閾値以下である場合は異常が発生している可能性が高い。
もちろんこれ以外の手法であっても良く、例えば、断続的に表れる振動のピークを車輪の通過タイミングとみなし、このピークにおける強度を最大値とし、隣接するピークの中間における強度を最低値としてこの差を変化量としても良い。
また、強度の経時変化の変化量が所定の閾値以下である場合(ステップS7;Y)は、異常が発生していると判定し(ステップS8)、データ解析処理を終了する。
本実施例の対象とした鉄道橋10は、1963年9月に設置された支間19.2mの6連構造である上路鈑桁形式の鉄道橋である。
橋桁1連につき4か所の円錐台形の支承部12により支持する構造であり、このうち一か所の支承部12と橋桁13との間に2mmの隙間が発生していたものである。
この鉄道橋10について、隙間のある異常状態と、隙間を補修した正常状態とのそれぞれについて測定を行った。
測定対象の列車は、二軸の台車を二基備えた車両が10両連結された列車である。
なお、加速度センサとしては、測定範囲±3000gal、周波数DC50Hz、分解能1.83galの性能を有するものを用いた。
図3(a)は補修を行い正常状態として測定を行った場合の周波数スペクトルであり正常時スペクトルをなすものである、図3(b)は隙間のある異常状態において測定を行った場合の周波数スペクトルである。
なお、ここでは12.5Hz以下の周波数についてはノイズが多くなるため、この周波数については比較を行わないようにしても良い。すなわち、所定の周波数以下については比較を行わないように処理しても良い。
この図では、色が濃いほど強度が高いことを示している。
図4(a)、(c)、(e)は補修を行い正常状態として測定を行った場合のスカログラムであり、図4(b)、(d)、(f)は隙間のある異常状態において測定を行った場合のスカログラムである。
なお、ここでは全周波数についてウェーブレット変換を行った結果を示したが、正常時スペクトルに対して強度が高くなっていた周波数である37.5Hzの近傍の周波数帯についてウェーブレット変換を行うだけでも良い。
また、図4(c)と(d)の組、図4(e)と(f)の組もそれぞれ同日において補修をした状態としていない状態とを測定したものであるが、各組は異なる日において測定したものである。
なお、図5は37.5Hz近傍を拡大した図であり、図5(a)は図4(a)の拡大図であり、図5(b)は図4(b)の拡大図である。
この実施例においては異常状態では、37.5Hzにおける強度の経時変化の変化量が所定の閾値以下となっていた。
ただし、異常状態によるものでなく突発的に発生した揺れである可能性もあり、ウェーブレット変換を併用することでより正確な判断が可能となる。
例えば、測定装置に列車と通信可能な通信手段を備えるようにし、通過する列車が自身の種類(車種)や速度、重量、通過方向の情報を測定装置に対して送信するようにし、測定装置はこの情報を測定結果と併せて記録装置に記録するようにする。
また、正常時スペクトルを収集する際にもこれらの情報を合わせて収集し、周波数スペクトルと比較を行う場合には条件が近いもの同士を比較することでより正確な結果を得ることが可能となる。
例えば、旅客列車など所定の形式の車種が通過した場合のデータのみを用いるものとし、貨物列車などの他の車種の通過によるデータは用いないようにするなどすることができる。
特に、車輪の通過による揺れの変化を判定に用いるため、車輪の配置が異なる列車を除外することが好ましい。
このように、列車の最後端の車輪による揺れとそれ以外の車輪による揺れとの強度を比較し、その差が所定値以上であった場合に異常状態と判定するようにしても良い。
また、加速度センサの結果から鉛直方向の成分のみを取り出して利用したが、これ以外の方向の成分についても同様の処理を行い、異常状態を発見するために利用するようにしても良い。
次に、上述した鉄道橋10の支承部12の異常診断方法の変形例について説明する。なお、基本的には、上述した鉄道橋10の支承部12の異常診断方法と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本変形例では橋桁13の鉛直方向の変位も考慮に入れるようにしている。
変位センサは、橋桁13と、橋台11又は橋脚との鉛直方向の距離の変化を測定するもので、リニア近接センサなどを用いることができる。
なお、加速度センサでの測定結果から変位を算出するようにしても良く、この場合は加速度センサのみを備えるようにしても良い。
このデータ解析処理では、強度の経時変化の変化量が所定の閾値以下でない場合(ステップS7;N)に、変位センサの測定結果を取得する(ステップS10)。
そして、変位センサの測定結果と正弦波との相関係数を算出し(ステップS11)、相関係数が所定の閾値以下であるかを判定する(ステップS12)。
よって、相関係数が所定の閾値以下でない場合(ステップS12;N)は、異常が発生していないと判定し(ステップS9)、データ解析処理を終了する。
また、相関係数が所定の閾値以下である場合(ステップS12;Y)は、異常が発生していると判定し(ステップS8)、データ解析処理を終了する。
このようにすることで、より正確な判断が可能となる。
また、変位センサとしては、測定範囲0〜7mm、分解能2.8μmの近接リニアセンサを用いた。
図7(a)は変位の経時変化を示す図であり、図7(a)は補修を行い正常状態として測定を行ったもの、図7(b)は隙間のある異常状態において測定を行ったものである。
この実施例において図7(b)に示す異常状態での変位の経時変化は、正弦波との相関係数が所定の閾値以下となっていた。
以上のことから、変位センサの測定結果と正弦波との相関係数を算出し、相関係数が所定の閾値以下であれば異常状態であると判断可能であることがわかる。
この場合は、図6におけるステップS10からS12の処理を、所定値以上強度が高い周波数がない場合(ステップS5;N)及び強度の経時変化の変化量が所定の閾値以下でない場合(ステップS7;N)に行うようにする。
また、正弦波との相関係数により異常状態であるかを判断するようにしたが、変位の経時変化について正常状態での波形を予め測定しておき、この正常状態での波形との相関係数により異常状態であるかを判定するようにしても良い。
例えば、自動車が通過する橋においても、車輪が橋桁13に乗り降りする際に本実施形態で説明したのと同様の揺れが生じるため、これを解析して状態を判定することも可能である。
また、列車通過時の揺れを利用するとしたが、起振機により意図的に揺れを発生させるようにしても良い。
また、本発明は実施例の対象とした鉄道橋以外の鉄道橋にも適用可能である。さらに、使用するセンサは実施例で挙げたセンサに限られるものではなく、必要なデータを収集できるセンサであれば良い。
12 支承部
Claims (3)
- 鉄道橋の支承部の異常検出方法であって、
鉄道橋の橋桁に取り付けた加速度センサによって、列車通過時における橋桁の振動について加速度の変化を測定し、当該測定結果を取得する加速度取得工程と、
前記加速度取得工程で取得した前記測定結果についてウェーブレット変換を行い、加速度の変化における周波数成分の強度についての経時変化を示すスカログラムを取得するウェーブレット変換工程と、
前記スカログラムにおいて、前記強度の時間経過に伴う変化量が所定の閾値以下である場合に異常であると判定する判定工程と、を備えることを特徴とする鉄道橋の支承部の異常検出方法。 - 前記加速度取得工程で取得した前記測定結果をフーリエ変換して加速度の周波数スペクトルを取得するフーリエ変換工程と、
前記フーリエ変換工程で取得した前記周波数スペクトルと、当該鉄道橋について支承部の異常が発生していない状態において前記加速度取得工程及び前記フーリエ変換工程により取得した周波数スペクトルである正常時スペクトルと、を比較し、前記周波数スペクトルにおいて前記正常時スペクトルよりも所定値以上強度が高い周波数を抽出する抽出工程と、を前記ウェーブレット変換工程の前に行い、
前記ウェーブレット変換工程では、前記抽出工程で抽出した周波数についてウェーブレット変換を行うことと特徴とする請求項1に記載の鉄道橋の支承部の異常検出方法。 - 鉄道橋に取り付けた変位センサによって列車通過時における橋桁の鉛直方向の変位を測定し、当該測定結果を取得する変位取得工程と、
前記変位取得工程で取得した測定結果と、正弦波と、の相関係数を算出し、前記相関係数が所定の閾値以下である場合に異常と判定する相関係数判定工程と、を備え、
前記判定工程において異常と判定され、かつ、前記相関係数判定工程でも異常と判定された場合に鉄道橋に異常が発生していると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道橋の支承部の異常検出方法。
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