JP7177028B2 - レール波状摩耗の進展検知方法及び進展検知システム - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両が走行するレールに生じるレール波状摩耗の進展度合いを検知することができるレール波状摩耗の進展検知方法及び進展検知システムに関する。
従来、レールに発生するレール波状摩耗に起因して発生する鉄道車両の乗り心地の悪化や騒音の発生などによる問題が知られており、このようなレール波状摩耗を検知する検知方法や検知システムは種々の方法及びシステムが知られている。
例えば、特許文献1に記載されているように、鉄道車両が走行する曲線軌道の内軌側レールに設置され、鉄道車両が前記内軌側レールを走行する際の前記内軌側レールの左右振動加速度を測定して左右振動加速度信号を出力する左右振動加速度測定手段と、前記左右振動加速度測定手段から出力された左右振動加速度信号が入力され、該入力された左右振動加速度信号から、予め決定された前記内軌側レールの波状摩耗に関連する周波数帯域の信号成分を抽出し、該抽出した信号成分の大きさに基づき、前記内軌側レールの波状摩耗の発生の予兆を検知する検知手段と、を備える予兆検知システムが知られている。
このような予兆検知システムによれば、曲線軌道の内軌側レールの頭頂面に発生する波状摩耗の発生の予兆を検知することが可能となる。
また、特許文献2に記載されているように、レール上を走行する鉄道車両上で鉄道車両の走行時間に対して振動加速度および騒音の少なくとも一方を測定して時間軸データを生成し、前記時間軸データを鉄道車両の走行距離に関連付けられた空間軸データに変換し、前記空間軸データを空間周波数軸上でバンドパスフィルタ処理してフィルタ処理データを生成し、前記フィルタ処理データに基づいてレールの波状摩耗の発生区間を決定する、レール波状摩耗検出方法が知られており、このようなレール波状摩耗検出方法によれば、レール波状摩耗の発生位置と程度、すなわち凹凸の大きさを把握することができる。
特開2019-104389号公報 特開2012-021790号公報
特許文献1に記載されているような、内軌側レールに直接検知手段を取り付ける方法によると、検知手段を取り付けた内軌側レール以外の箇所、例えば、外軌側や直線区間については、レール波状摩耗の発生を検知することができないという問題があった。
また、レール波状摩耗の発生箇所にそれぞれ検知手段を取り付ける必要があるため、発生箇所が増加すると、取り付ける検知手段の数も増加するため、コストの増加や検知手段の維持管理作業の増加を招くという問題があった。
また、近年の研究によって、図7に示すように、軌道のレールに発生するレール波状摩耗は、レール凹凸を継続測定することによって、レール波状摩耗の進展過程には、レール凹凸が発生し始める形成期、形成期に発生したレール凹凸が徐々に大きくなる成長期及びレール凹凸の成長が鈍化する飽和期の三段階に分類されることが知られてきた。
レール波状摩耗の凹凸の進展が形成期、あるいは成長期にある場合のレール波状摩耗の凹凸形状は正弦波状であるが、レール波状摩耗の凹凸の進展が飽和期に達した、あるいは飽和期に近づいたレール波状摩耗の凹凸形状は、レール波状摩耗の基本形状である正弦波形状から崩れ、概略三角波形状となることが知られており、図8に示すように、レール波状摩耗の進展が飽和期に達した、あるいは飽和期に近づいた状態でのレール凹凸波形のパワースペクトルやフーリエスペクトル等の周波数分析結果には、レール波状摩耗の凹凸の基本の波長に対応する基本空間周波数の高次モードが現れることがわかってきている。
しかし、特許文献1や2に記載の従来のレール波状摩耗の検知システムによると、レール波状摩耗に関連する周波数帯域の信号成分を抽出していることから、形成期又は成長期の状態のレールもレール波状摩耗が発生しているとして検知されてしまうため、飽和期の到達を判定することはできず、適切な保守作業の実施を把握することができないという問題があった。
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、レール波状摩耗が発生している区間を特定することができると共に、レール波状摩耗の三段階の進展過程のうち、飽和期に達した、あるいは飽和期に近づいたレール波状摩耗の進展度合いを適切に検知することができるレール波状摩耗の進展検知方法及び、進展検知システムを提供することを目的とする。
本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムは、レール上を走行する鉄道車両の振動加速度及び転動騒音の少なくともいずれか一方を前記鉄道車両で測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された振動加速度及び転動騒音の少なくともいずれか一方の測定データを周波数分析する周波数分析手段と、前記周波数分析の結果からレール波状摩耗の発生区間を特定する区間特定手段と、前記周波数分析手段によって周波数分析されたデータから基本周波数及び該基本周波数の高調波成分の検知を行う検知手段と、前記レールにレール波状摩耗が発生し、当該レール波状摩耗が飽和期に達している又は飽和期に近づいていることを判定する進展度合い判定手段と、前記レール波状摩耗の発生区間および前記高調波成分が検知された場合にレール波状摩耗が進展していることを出力する出力手段を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記検知手段は、前記高調波成分の検知を前記基本周波数の整数倍近傍の探索周波数帯域のピークパワー比を用いて判断すると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記検知手段は、前記高調波成分の検知を前記基本周波数の整数倍近傍において一定の範囲をもった周波数バンドの面積比を用いて判断すると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記測定手段は、加速度センサであると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記測定手段は、前記鉄道車両の台車の軸箱支持装置に取り付けられると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記測定手段は、前記鉄道車両の台車枠に取り付けられると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記測定手段は、前記鉄道車両の車体に取り付けられると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記測定手段は、マイクロフォンであると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記測定手段は、前記鉄道車両の車内に取り付けられると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記測定手段は、前記鉄道車両の床下に取り付けられると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知システムにおいて、前記測定手段で測定した前記測定データを前記周波数分析手段に伝送する伝送手段を備えると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知方法は、レール上を走行する鉄道車両の振動加速度及び転動騒音の少なくともいずれか一方を前記鉄道車両で測定する測定工程と、前記測定工程によって測定された振動加速度及び転動騒音の少なくともいずれか一方の測定データを周波数分析する周波数分析工程と、前記周波数分析の結果からレール波状摩耗の発生区間を特定する区間特定工程と、前記周波数分析工程によって周波数分析されたデータから基本周波数及び該基本周波数の高調波成分の検知を行う検知工程と、前記レールにレール波状摩耗が発生し、当該レール波状摩耗が飽和期に達している又は飽和期に近づいていることを判定する進展度合い判定工程と、前記レール波状摩耗の発生区間および前記高調波成分が検知された場合にレール波状摩耗が進展していることを出力する出力工程を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知方法において、前記検知工程は、前記高調波成分の検知を前記基本周波数の整数倍近傍の探索周波数帯域のピークパワー比を用いて判断すると好適である。
また、本発明に係るレール波状摩耗進展検知方法において、前記検知工程は、前記高調波成分の検知を前記基本周波数の整数倍近傍において一定の範囲をもった周波数バンドの面積比を用いて判断すると好適である。
本発明に係るレール波状摩耗進展検知方法及び、進展検知システムは、振動加速度又は転動騒音の測定データを周波数分析することで、レール波状摩耗の発生の有無及び発生区間の特定を行うことができると共に、レール波状摩耗の凹凸の進展度合いが飽和期に達した、あるいは飽和期に近づいた際に出現する基本周波数の高調波成分を検知しているので、レール波状摩耗が発生した後、凹凸の進展度合いを簡易に把握することができるので、レール削正等の保守作業の最適な時期を把握することができ、効率的なレール波状摩耗の保守作業を実現することができる。
本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの構成を示す概要図。 本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムのフロー図。 本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの測定手段として加速度センサを用いた場合の台車の軸箱支持装置への取付状態を説明するための概念図。 本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの測定手段として加速度センサを用いた場合の台車枠への取付状態を説明するための概念図。 本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの測定手段としてマイクロフォンを用いた場合の鉄道車両の車内への取付状態を説明するための概念図。 本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの測定手段としてマイクロフォンを用いた場合の鉄道車両の床下への取付状態を説明するための概念図。 レール波状摩耗の形成期、成長期及び飽和期の進展過程を説明するためのグラフ。 レール波状摩耗が飽和期に近づいた状態と形成期あるいは成長期における凹凸波形のパワースペクトルを示すグラフ。 レール波状摩耗が飽和期に近づいた状態と、形成期あるいは成長期における測定した加速度波形のパワースペクトルを示すグラフ。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの構成を示す概要図であり、図2は、本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムのフロー図であり、図3は、本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの測定手段として加速度センサを用いた場合の台車の軸箱支持装置への取付状態を説明するための概念図であり、図4は、本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの測定手段として加速度センサを用いた場合の台車枠への取付状態を説明するための概念図であり、図5は、本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの測定手段としてマイクロフォンを用いた場合の鉄道車両の車内への取付状態を説明するための概念図であり、図6は、本発明の実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システムの測定手段としてマイクロフォンを用いた場合の鉄道車両の床下への取付状態を説明するための概念図であり、図7は、レール波状摩耗の形成期、成長期及び飽和期の進展過程を説明するためのグラフであり、図8は、レール波状摩耗が飽和期に近づいた状態と形成期あるいは成長期における凹凸波形のパワースペクトルを示すグラフであり、図9は、レール波状摩耗が飽和期に近づいた状態と、形成期あるいは成長期における測定した加速度波形のパワースペクトルを示すグラフである。
図1に示すように、本実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システム1は、レール3を走行する鉄道車両2の振動加速度及び騒音の少なくともいずれか一方を測定する測定手段10と、測定手段10によって測定された振動加速度及び騒音の少なくともいずれか一方の測定データを周波数分析すると共に、周波数分析されたデータから基本周波数及び基本周波数の高調波成分を検知し、レール波状摩耗の進展度合いを判定するデータ処理手段20と、レール波状摩耗が進展している場合に、当該レール波状摩耗が進展していることを出力する出力手段30と、測定手段10からデータ処理手段20へ測定データを伝送する伝送手段40及び、受信手段41を備えている。
鉄道車両2は、空気バネ7を介して車両を支持する台車枠6と、軸バネを介して台車枠6に取り付けられた軸箱支持装置5を備えており、輪軸の左右に回転を固定された状態で車輪が取り付けられている。車輪は、軌道面に敷設されたレール3上を走行する。なお、レール波状摩耗とは、繰り返しレール3上を走行する鉄道車両2からの作用によってレール3が周期的に摩耗又は損傷してレール3の車輪との転走面に周期的かつ微細な凹凸が形成される現象のことをいう。
測定手段10は、後述するように鉄道車両2の走行に起因する振動加速度又は騒音を測定しており、鉄道車両2に直接取り付けられている。具体的には、測定手段10は、加速度センサやマイクロフォンなどが好適に用いられる。
測定手段10で測定された測定データは、伝送手段40及び受信手段41によってデータ処理手段20へ伝送される。伝送手段40及び受信手段41は種々のデータ伝送方法を採用することが可能である。例えば、これらの伝送手段40及び受信手段41は、無線又は有線でデータ伝送を行う方式を採用すれば、鉄道の軌道内に人員が赴くことなく遠隔の事務所等で常時モニタリングを行うことが可能となる。
データ処理手段20は、測定手段10によって測定された振動加速度及び騒音の少なくともいずれか一方の測定データを周波数分析すると共に、周波数分析されたデータから基本周波数及び基本周波数の高調波成分を検知し、レール波状摩耗の進展度合いを判定する機能を実現するためのプログラムを実行することができるパーソナルコンピュータなどの計算機が好適に用いられる。
データ処理手段20では、図2に示すように、測定手段10によって測定された測定データを取得する測定データ取得工程S1と、測定データの周波数分析を行う周波数分析手段としての周波数分析工程S2と、周波数分析の結果からレール波状摩耗の発生区間を特定する発生区間特定工程S3と、周波数分析工程S2によって周波数分析されたデータから基本周波数を検知する基本周波数検知工程S4および基本周波数の高調波成分を検知する高調波成分検知工程S5と、高調波成分の有無からレール波状摩耗が進展しているか否かを判定する進展度合い判定工程S6とを有している。
周波数分析工程S2、発生区間特定工程S3、基本周波数検知工程S4および高調波成分検知工程S5は、従来周知の周波数分析方法を採用することができるが、たとえば、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)、短時間フーリエ変換(STFT:Short Time Fourier Transform)及びウェーブレット変換(Wavelet Transform)を用いると、周波数分析工程S2から高調波成分検知工程S5までを一処理で行うことができるため処理の短縮化を図ることができ、好適である。なお、レール波状摩耗検出のための周波数分析方法は周知技術を適用することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、周波数分析工程S2は、測定した時間軸データについて時間軸上で行っても良いし、走行する鉄道車両の走行速度を用いて空間軸上のデータに変換した上で空間軸上で行っても構わない。
進展度合い判定工程S6は、高調波成分検知工程S5によって測定データに高調波成分が含まれていることを検知した場合に、レール3にレール波状摩耗が発生し、当該レール波状摩耗が飽和期に達している又は飽和期に近づいていることを判定する。この時、高調波成分の出現の有無のほか、高調波成分の出現時の基本周波数のパワーに対する比を用いることで、レール波状摩耗の進展度合いを判定するように構成しても構わない。
具体的には、進展度合い判定工程S6では、(1)高調波成分の有無、(2)基本周波数と高調波成分周波数のピークパワーの比、(3)基本周波数バンドと高調波成分周波数バンドの面積比などを用いて進展度合いの判定を行う。
高調波成分の有無の判定方法は、測定した加速度波形について周波数分析を行い、図9に示すように基本周波数以外に高調波成分が出現しているかを確認し、波状摩耗の進展度合いを判定するものである。また、基本周波数と高調波成分周波数のピークパワーの比による判定方法は、測定した加速度波形について周波数分析を行い、基本周波数と高調波成分周波数を特定したうえで、そのパワー比を算定するものである。ここで、高調波成分周波数の特定は、基本周波数の2倍、3倍、4倍・・・といった整数倍を標準とし、ピークのパワー比が所定の閾値以上となった場合に波状摩耗が飽和していると判定する。
なお、高調波成分周波数のピークは、基本周波数の整数倍からずれて出現する場合もあるため、ピークの探索範囲を基本周波数の整数倍から±5から10%程度の範囲で探索を行い、当該探索周波数帯域の最大値を用いて判定すると好適である。さらに、上述した判定方法は、測定した加速度データについて説明を行ったが、測定手段に用いたセンサに応じて、加速度以外の測定データ(変位、圧力、ひずみ及び騒音など)から高調波成分の有無を判定しても構わない。
さらに、基本周波数バンドと高調波成分周波数バンドの面積比による判定方法は、測定した加速度波形について周波数分析を行い、基本周波数と高調波成分周波数を特定したうえで、さらに一定の範囲をもった周波数バンドの面積を算定し、さらにその面積比を算定するものである。ここで、高調波周波数の特定は、基本周波数の2倍、3倍、4倍・・・といった整数倍を標準とし、一定の範囲をもった周波数バンドの面積比が所定の閾値以上となった場合に波状摩耗が飽和していると判定する。この方式を用いることにより、基本周波数に対して、高調波成分周波数が少しでもずれた場合でも誤判定が生じる可能性を小さくでき、精度の高い進展度合いの判定が実現できると考えられる。さらに、上述した判定方法は、測定した加速度データについて説明を行ったが、測定手段に用いたセンサに応じて、加速度以外の測定データ(変位、圧力、ひずみ及び騒音)から高調波成分の有無を判定しても構わない。
なお,レール波状摩耗の基本周波数の特定については、管理対象とする曲線の軌道構造と当該区間を走行する車両の詳細がわかれば、理論解析によってある程度の精度で予測可能である。さらに、センサを仮設後に実際の振動加速度を分析することによってより高い精度で把握することができると考えられる。
進展度合い判定工程S6において、レール3に発生したレール波状摩耗が飽和期に達している又は飽和期に近づいていると判定された後、出力手段30によって判定結果を出力する。出力手段30は、上述したデータ処理手段20として用いたパーソナルコンピュータのディスプレイなどが好適に用いられる。
次に、測定手段10について詳細に説明を行う。図3に示すように、測定手段10は、加速度センサ11が軸箱支持装置5に取り付けられている。加速度センサ11の感度方向はレール3の上下方向加速度を測定可能なように設置すると好適である。また、感度方向は、上下方向加速度に限らず、左右方向加速度を測定しても構わない。このように加速度センサ11を設置することで、レール波状摩耗が発生するレール3から直接、鉄道車両2が走行した際の振動加速度を測定することができるので、より精度のよい測定を行うことが可能となる。なお、鉄道車両2は軌道の状態を測定する軌道検測車を用いても構わないし、営業車両に測定手段10を取り付けて用いたも構わない。
また、加速度センサ11の取り付け位置は、軸箱支持装置5に限らず、図4に示すように、台車枠6に取り付けても構わない。なお、加速度センサ11は、左右の軸箱や台車枠のそれぞれに取り付けるとこうてきであり、車体に取り付ける場合には、車体中心に取り付けられると好適である。このような位置に加速度センサ11を取り付ける場合にも、加速度センサ11の感度方向は、上下方向加速度を測定可能なように設置されると好適である。
また、本実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システム1は、測定の対象を鉄道車両2がレール3上を走行した際の振動加速度を測定することに限らず、鉄道車両2がレール3を走行時に、レールと車輪の間から発生する転動騒音や、いわゆる転動音を測定することで当該転動騒音の周波数分析を行うことも可能である。この場合、図5に示すように、鉄道車両2の床上に収納箱13を設置し、該収納箱13内にマイクロフォン12を設置すると好適である。また、収納箱13の設置位置は、車体中心に設置されると好適である。また、車内の左右にそれぞれ収納箱13を設置しても構わない。
収納箱13は、下面のみに開口していると好適であり、マイクロフォン12は、例えば普通騒音計、精密騒音計及びその他のコンデンサ型マイクロフォン等を用いることができる。
なお、図6に示すように、収納箱13は、鉄道車両2の床面に設置されているので、凹凸のあるレール3上を鉄道車両2が走行した際にレール3と車輪との接触に起因する転動騒音を測定するが収納箱13は下面のみに開口しているので、転動騒音以外の騒音による影響を排除して転動騒音を効率的に測定できるように構成されている。また、床下に収納箱13を設置する場合には、車体中心に設置すると好適であるが、マイクロフォン12を指向性の高いマイクロフォンを適用すれば、床下の左右にそれぞれ収納箱13を設置することも可能である。
収納箱13は、転動騒音以外の騒音による影響を防止することができればどのような構成でも構わないが、例えばアルミニウムやジュラルミンなどの金属や合成樹脂又は木材からなる箱の内面に吸音材を貼付して構成すると好適である。
また、図6に示すように、本実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システム1は、測定手段10としてのマイクロフォン12を鉄道車両2の床下に設置した収納箱13内に収納しても構わない。
床下にマイクロフォン12を収納することで、凹凸のあるレール3上を鉄道車両2が走行した際にレール3と車輪との接触に起因する転動騒音をより正確に測定することが可能となる。
このように、本実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システム1は、測定された振動加速度や転動騒音の周波数分析を行い、周波数分析の結果から基本周波数を検知した後、レール波状摩耗の発生区間の特定や当該基本周波数に高次モードとなる高周波成分の有無を検知しているので、測定対象であるレール3にレール波状摩耗が発生しているか否か及び、その発生区間を判定すると共に、当該レール波状摩耗が飽和期又は飽和期に近づいているかを判定することができるため、レール波状摩耗の凹凸除去の主たる方法であるレール削正の実施時期を効率的に決定し、軌道の保守コストを低減することが可能となる。
また、本実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システム1によれば、レール3を走行する鉄道車両2が測定手段10を備えており、データ処理手段20においてレール波状摩耗の発生区間の特定を行うことができるので、レール波状摩耗が発生する可能性のある区間にセンサを個別に設置する必要がなく、設置コストを低減することが可能となる。
また、上述した本実施形態に係るレール波状摩耗進展検知システム1は、車上に設けられた測定手段10から伝送手段40を用いて、遠隔の事務所などに備え付けられたデータ処理手段20に測定データを伝送する方式について説明を行ったが、鉄道車両2は、定期的に車両基地などに戻ってくるため、伝送手段40を設けずに、測定手段10の測定データを保存するデータ保存手段を設けても構わない。この場合、定期的に車両基地に鉄道車両2が戻ってきたタイミングで検査員が当該データ保存手段から測定データを取得し、データ処理手段20へ入力するように構成しても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 レール波状摩耗進展検知システム, 2 鉄道車両, 3 レール, 3 レール 4 まくらぎ, 5 軸箱支持装置, 6 台車枠, 10 測定手段, 11 加速度センサ, 12マイクロフォン, 13 収納箱, 20 データ処理手段, 30 出力手段, 40 伝送手段, 41 受信手段。

Claims (14)

  1. レール上を走行する鉄道車両の振動加速度及び転動騒音の少なくともいずれか一方を前記鉄道車両で測定する測定手段と、
    前記測定手段によって測定された振動加速度及び転動騒音の少なくともいずれか一方の測定データを周波数分析する周波数分析手段と、
    前記周波数分析の結果からレール波状摩耗の発生区間を特定する区間特定手段と、
    前記周波数分析手段によって周波数分析されたデータから基本周波数及び該基本周波数の高調波成分の検知を行う検知手段と、
    前記レールにレール波状摩耗が発生し、当該レール波状摩耗が飽和期に達している又は飽和期に近づいていることを判定する進展度合い判定手段と、
    前記レール波状摩耗の発生区間および前記高調波成分が検知された場合にレール波状摩耗が進展していることを出力する出力手段を備えることを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  2. 請求項1に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記検知手段は、前記高調波成分の検知を前記基本周波数の整数倍近傍の探索周波数帯域のピークパワー比を用いて判断することを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  3. 請求項1に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記検知手段は、前記高調波成分の検知を前記基本周波数の整数倍近傍において一定の範囲をもった周波数バンドの面積比を用いて判断することを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記測定手段は、加速度センサであることを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  5. 請求項4に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記測定手段は、前記鉄道車両の台車の軸箱支持装置に取り付けられることを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  6. 請求項4に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記測定手段は、前記鉄道車両の台車枠に取り付けられることを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  7. 請求項4に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記測定手段は、前記鉄道車両の車体に取り付けられることを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  8. 請求項1から3の何れか1項に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記測定手段は、マイクロフォンであることを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  9. 請求項8に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記測定手段は、前記鉄道車両の車内に取り付けられることを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  10. 請求項8に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記測定手段は、前記鉄道車両の床下に取り付けられることを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のレール波状摩耗進展検知システムにおいて、
    前記測定手段で測定した前記測定データを前記周波数分析手段に伝送する伝送手段を備えることを特徴とするレール波状摩耗進展検知システム。
  12. レール上を走行する鉄道車両の振動加速度及び転動騒音の少なくともいずれか一方を前記鉄道車両で測定する測定工程と、
    前記測定工程によって測定された振動加速度及び転動騒音の少なくともいずれか一方の測定データを周波数分析する周波数分析工程と、
    前記周波数分析の結果からレール波状摩耗の発生区間を特定する区間特定工程と、
    前記周波数分析工程によって周波数分析されたデータから基本周波数及び該基本周波数の高調波成分の検知を行う検知工程と、
    前記レールにレール波状摩耗が発生し、当該レール波状摩耗が飽和期に達している又は飽和期に近づいていることを判定する進展度合い判定工程と、
    前記レール波状摩耗の発生区間および前記高調波成分が検知された場合にレール波状摩耗が進展していることを出力する出力工程を備えることを特徴とするレール波状摩耗進展検知方法。
  13. 請求項12に記載のレール波状摩耗進展検知方法において、
    前記検知工程は、前記高調波成分の検知を前記基本周波数の整数倍近傍の探索周波数帯域のピークパワー比を用いて判断することを特徴とするレール波状摩耗進展検知方法。
  14. 請求項12に記載のレール波状摩耗進展検知方法において、
    前記検知工程は、前記高調波成分の検知を前記基本周波数の整数倍近傍において一定の範囲をもった周波数バンドの面積比を用いて判断することを特徴とするレール波状摩耗進展検知方法。
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