JP2020007525A - ナノセルロース組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 セルロース繊維、特にナノセルロースを疎水性樹脂に安価かつ十分なレベルで分散することが可能なセルロース繊維分散用複合体とそれを含むセルロース繊維組成物を提供する。【解決手段】 本発明のセルロース繊維分散用複合体は、セルロース誘導体にビニル系ポリマーがグラフトされた構造を備える。本発明のセルロース繊維組成物は、複合体と、セルロース繊維とを含むものであり、具体的な構成としては、さらに、有機溶剤、樹脂前駆体、樹脂などを含んで用いられる。【選択図】 なし

Description

本発明は、セルロース繊維分散用複合体と、これを含むセルロース繊維組成物に関するものである。特に、有機溶剤、樹脂やその前駆体等に、セルロースナノファイバー(CNF)やセルロースナノクリスタル(CNC)などのセルロース繊維を均質に分散させることができるセルロース繊維分散用複合体と、この複合体をセルロース繊維とともに含むセルロース繊維組成物に関するものである。
セルロースは再生可能資源として紙や機能性材料として様々な用途に利用されている。また、セルロースをナノレベルに解繊したいわゆるナノセルロースが新しい機能をもった材料として注目されている。
ナノセルロースには化学酸化処理による10nm以下の繊維径をもったセルロースナノファイバー(CNF)(TEMPO酸化CNFやリン酸化CNFと呼ばれ、シングルナノファイバーとも呼ばれる)、機械的・物理的な解繊による化学処理に比べて繊維径が大きなCNFや、ミクロフィブリル、パルプを強酸等で処理して結晶性の高い部分を取り出したセルロースナノクリスタル(CNC)、さらには微生物によって産生されたバクテリアセルロースなどが知られている。
これらの材料はフィルム材料、ガスバリア材料、粘度調整剤、潤滑剤、植物育成剤、熱硬化樹脂、UVや電子線などの放射線硬化樹脂、汎用樹脂との複合材料やゴムとの複合材料などとして広くその応用が期待されている。
ナノセルロースの有望な用途として樹脂との複合化がある。ナノセルロースはカーボンファイバーやアラミド繊維に近い強度を持ち、鋼鉄の1/5の重量で、かつ5倍以上の強度である。そのために、ナノセルロースを樹脂に分散させた複合材料は高強度かつ軽量となり、外装材、内装材やゴムベルトなど自動車部材等への応用が期待されている。
樹脂へのナノセルロースの分散、複合化には様々なアプローチがなされている。例えば、パルプと樹脂、さらには必要に応じて膨潤剤とを混合し、混練機を使って解繊する方法や、直径が10nm未満のシングルナノサイズのCNF分散溶液を樹脂に混合して同様に混練機を使って解繊する方法などである。
ただし、これらの方法では、シングルナノレベルでの分散が困難で、狙った物性を得ることが難しいことが現状である。
その理由の一つは、ナノセルロースの多くはその表面に親水性官能基を持っているために水への親和性や分散性には優れるが、一般的に疎水性の高い樹脂への分散性は著しく悪いためである。特に、TEMPO酸化法やリン酸処理法で作製されたCNFはシングルナノレベルの繊維径であって有用であるが、表面にはカルボン酸塩基やリン酸塩基を持っているために疎水性樹脂への馴染みが極めて悪い。
そこで、樹脂へ分散させるために様々な技術検討がなされている。
その一つは、ナノセルロースの表面に存在する水酸基等を利用して化学反応によって疎水性官能基を導入する方法である。
例えば、カプロラクトンのグラフト化(特許文献1参照)、無水酢酸の付加反応によるアセチル化(特許文献2参照)、アルケニル無水コハク酸の付加反応などが知られている(特許文献3参照)。
さらには、ナノセルロースとそれを分散させたい樹脂の両成分に親和性をもったアクリル系ブロックポリマーを分散剤として利用する方法も知られている(特許文献4,5参照)。
特開2011−68707号公報 特開2017−165946号公報 特許第5757779号公報 特開2016−104865号公報 国際公開第2015/152188号
ナノセルロースを疎水性樹脂に分散するために、上記したような様々な方法が検討されている。
しかしながら、カプロラクトンのグラフトや無水酢酸等の付加反応によって疎水化する方法では、化学反応を伴うためにコストが著しく高くなること、また化学修飾によって導入された基の疎水性が十分ではなく分散できる樹脂が限られるという問題がある。
一方で、アクリル系ブロックポリマーを分散剤として使用する方法では、高価な触媒を使ったリビングラジカル重合法のために、分散剤のコストが高くなること、また、分散剤としての性能が十分ではないという課題がある。
さらにはパルプと樹脂、必要に応じて膨潤剤を添加して機械解繊する方法ではシングルナノレベルでの分散が難しく、得られた複合材の物性に課題がある。
そこで、本発明は、セルロース繊維、特にナノセルロースを樹脂に安価かつ十分なレベルで分散することが可能なセルロース繊維分散用複合体とそれを含むセルロース繊維組成物を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を備える。
すなわち、本発明のセルロース繊維分散用複合体は、セルロース誘導体にビニル系ポリマーがグラフトされた構造を備える。
本発明のセルロース繊維組成物は、前記複合体と、セルロース繊維とを含む。
本発明によれば、セルロース繊維を樹脂に十分に分散させることができるので、セルロース繊維と樹脂との複合材料の作製に有効である。また、本発明のセルロース繊維分散用複合体において、セルロース誘導体へのビニル系ポリマーのグラフトは、従来技術の分散剤よりも比較的に安価に実施できる。
以下、本発明に係るセルロース繊維分散用複合体及びセルロース繊維組成物の好ましい実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔セルロース繊維分散用複合体〕
本発明に係るセルロース繊維分散用複合体(以下、単に「複合体」ということがある)は、セルロース誘導体にビニル系ポリマーがグラフトされた構造を備える。
<セルロース誘導体>
セルロース誘導体は、セルロースの水酸基の一部が置換されたものである。ただし、本発明において、後述のビニル系ポリマーがグラフトされたものについては、「複合体」と称して、「セルロース誘導体」とは用語上区別する。
セルロース誘導体としては、従来公知のセルロース誘導体を用いることができ、具体的には、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ブチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、カチオン化セルロースなどが挙げられる。
なかでも有機溶剤への溶解度の高さやビニル系ポリマーのグラフトし易さ、入手性の観点からエチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、トリアセチルセルロース、カチオン化セルロースが好ましい。
これらの従来公知のセルロース誘導体には、通常、未修飾の水酸基が存在する。この水酸基を利用して、重合性不飽和基やチオール(メルカプト)基を導入することができる。このようにして重合性不飽和基やチオール基を導入することで、これらの官能基を基点として、後述するビニル系ポリマーのグラフトを容易に行うことができる。
上記重合性不飽和基やチオール基の導入は、例えば、上述した従来公知のセルロース誘導体に対して、昭和電工製カレンズMOIやAOIなどのイソシアネート系(メタ)アクリレート化合物を付加反応させる、無水(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などの無水物を付加反応させる、カルボジイミドなどの縮合剤を利用して(メタ)アクリル酸等を付加反応させる、(メタ)アクリル酸クロライド、チオール基をもった有機酸を反応させる等により、実施可能である。重合性不飽和二重結合又はチオール基をもった有機酸を例示すれば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、4−エテニル安息香酸、3−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」の表記は、メタアクリル酸とアクリル酸の双方を含む表記である。「(メタ)アクリレート」などの表記も同様である。
重合性不飽和基やチオール基の導入においては、公知技術同様に、各種の溶媒や触媒(有機金属材料、アミン等)を利用することができる。
また、導入される重合性不飽和基やチオール基の数は、セルロース誘導体1分子当たり平均で20以下であることが望ましい。20を超える数の導入ではグラフト重合時にゲル化する恐れがある。
上記の反応溶媒としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ピリジンなどの非プロトン性溶媒を、単独あるいは混合して使用することができる。
本発明において、セルロース誘導体は、カチオン基を有していてもよい。
セルロース誘導体がカチオン基を有することで、特に、TEMPO酸化法やリン酸処理法で作製されたCNFの分散性に優れた複合体となる。これらのCNFは、その表面にカルボン酸塩基やリン酸塩基を持っているが、これらCNF表面の官能基と、セルロース誘導体のカチオン基との親和性により、CNFの分散が促進されるためである。
カチオン基を有するセルロース誘導体としては、従来公知のカチオン化セルロースを用いても良いが、以下のようにして、カチオン基を有しないセルロース誘導体にカチオン基を導入することもできる。
すなわち、例えば、アミノ基を導入する方法として、塩化チオニル/アンモニアを反応させる方法、エポキシ基を導入した後にアンモニアや多価アミノ化合物を反応させる方法が知られている。さらには、アミノ基とカルボキシル基の双方を分子内にもった化合物を上記した縮合剤等を用いて反応させて導入する方法が実施できる。
上記の反応溶媒としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ピリジンなどの非プロトン性溶媒を、単独あるいは混合して使用することができる。
カチオン基は、セルロース誘導体1分子あたりに平均で1〜30個の範囲が望ましい。
<ビニル系ポリマー>
セルロース誘導体へのビニル系ポリマーのグラフトは、例えば、上述のようにして重合性不飽和基やチオール基が導入されたセルロース誘導体の存在下で、ビニル系モノマーをラジカル重合することにより行うことができる。重合性不飽和基やチオール基を基点としてビニル系ポリマーであるグラフト鎖が形成される。
上記において、ビニル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル基炭素数1〜20の(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、繰り返しユニット数が1〜30のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、繰り返しユニット数が1〜30のメトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、2−(メタ)アクロイロキシエチルアシッドホスフェート、スチレン、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、シリコーン系(メタ)アクリレート(JNC製、商品名サイラプレーン「FM−0711」、「FM−0721」、「FM−0725」等、信越化学社製:「X−22−174DX」、「X−22−2426」、「X−22−2475」等))、フッ素置換基含有(メタ)アクリレート(ダイキン社製の種々のフッ素置換アルキル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。
また、ゲル化によって溶剤へ不溶化しない程度の量で、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートやジビニルベンゼン等を利用することも可能である。また、これらの各モノマーは単独もしくは複数種を組み合わせて使用することができる。
上記したビニル系モノマーの組み合わせによって生成するビニル系ポリマーの性質が変化し、特に有機溶剤や樹脂へのセルロース繊維の分散性能が変わる。一般論として分散させる対象となる有機溶剤や樹脂との親和性の指標としてSolubility Parameter(SP)値が挙げられる。グラフトされたビニル系ポリマーと前記分散対象とのSP値を近い値とするような設計が望ましいものとなる。特に実験値や計算値上のSP値の差が1.0((cal/cm31/2)以内であることが望ましい。
また、ビニル系モノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマーやポリアルキレンオキサイド系のモノマー成分、特に、繰り返しユニット数が1〜30のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、繰り返しユニット数が1〜30のメトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートを使用すると、セルロース繊維中に酸塩基等が存在した場合にも有効な相互作用の効果が期待できるため、共重合する一成分として使用することが望ましい。
さらには分散対象の材料(特に樹脂)との相互作用を持ったビニル系モノマーを選択することも望ましい。相互作用とはアルキル基等の疎水性相互作用、水酸基、アミン、カルボキシル基、アミド基等の水素結合、芳香族環によるπ−πなどの共役系スタックなどが挙げられ、このような官能基をもったものを使用することで実現できる。
さらにはまた、生成したビニル系ポリマー中に反応性基を導入し、分散対象の樹脂等との結合を形成させることも可能である。その一つの方法は、前記したグリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基をもったビニル系モノマーを共重合することである。他の方法としては、生成したビニル系ポリマー中の官能基、例えば水酸基やカルボキシル基等を利用して重合可能な(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基等を化学反応で導入することである。このような反応性基の導入にはイソシアネート基含有(メタ)アクリレートであるカレンズMO−IやAO−I等(昭和電工製)、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどを使用した付加反応で実現できる。
前記した重合性不飽和基またはチオール基を導入したセルロース誘導体とビニル系モノマーの重合にあたって、各々は重量比で1:99〜90:10の範囲内で配合されることが好ましい。この範囲外であるとセルロース繊維の分散剤としての効果が低くなる恐れがある。
なお、上記した重合において、ビニル系モノマーから形成されるビニル系ポリマーがすべてセルロース誘導体にグラフト(化学結合)される必要はない。ビニル系モノマーの単独重合によって生成するポリマーが含まれていてもよい。
セルロース誘導体にグラフトして形成するビニル系ポリマーの分子量は、重量平均分子量で1000〜50万の範囲から選択されることが好ましい。前記重量平均分子量が1000未満であると分散剤としての効果が低下する恐れがあり、また、前記重量平均分子量が50万を超えると粘度が高くなりすぎる傾向がある。
なお、セルロース誘導体、このセルロース誘導体にグラフトされるビニル系ポリマー、及びそれらの複合体の各重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値である。
さらに形成されるセルロース誘導体とビニル系ポリマーとの複合体(セルロース繊維分散用組成物)の分子量は、重量平均分子量で5000〜80万の範囲が好ましい。この重量平均分子量は、セルロース誘導体へ結合されたビニル系ポリマーと、結合体や結合されていないビニル系ポリマー(単独重合体)を含むものとする。
なお、GPC法によって測定される上記複合体の分子量は、セルロース誘導体固有の溶液特性が原因と思われるが、単純にセルロース誘導体とビニル系ポリマーとの総和とはならない場合がある。詳細は不明であるがセルロース誘導体にビニル系ポリマーが結合することによって、高分子鎖の広がり等やセルロース誘導体間の相互作用が変化する可能性がある。したがって、あくまでもGPC法での測定分子量となる。
重合に使用可能な有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチルラクテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジヒドロターピネオールアセテート、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテートなどの1種か混合物が好適である。
重合開始剤としては、例えば、過酸化物系やアゾ系の各種タイプのラジカル重合開始剤を使用することができる。また、重合時の濃度、開始剤濃度等は公知の技術の範囲内で実施可能である。
セルロース誘導体にビニル系モノマーを重合した後、必要に応じて貧溶媒による沈殿精製を実施することも従前のポリマー精製と同様に可能である。未反応モノマー、副生成物やビニル系ポリマーの単独重合体等を除去することができる。
〔セルロース繊維組成物〕
次に、本発明のセルロース繊維組成物について説明をする。
本発明のセルロース繊維組成物(以下、単に「組成物」という場合がある。)は、上で詳述した複合体と、セルロース繊維を含むものである。
具体的な構成としては、その用途等に応じて、種々の構成をとりうる。以下、好ましい構成として、第1〜第3の構成を例示する。
<第1の構成:有機溶剤分散組成物>
本発明の組成物の第1の構成は、前記複合体と、セルロース繊維と、有機溶剤を含む組成物である。
ナノセルロースなどのセルロース繊維と前記複合体を所定濃度で混合し、さらに有機溶剤を加えて、均一な分散溶液とすることができる。
水媒体中にセルロース繊維が分散した形態はCNFやCNCの市販品として入手可能であるが、例えば、これを原料として用いて有機溶剤へと置換することによって、セルロース繊維が有機溶剤に分散した組成物を製造することができる。このような組成物は、塗布や成型後に有機溶剤を除去することで高い濃度でセルロース繊維を含有する粉体、膜や構造体を得ることができる。さらには、増粘剤や、また樹脂中へセルロース繊維を分散させるための原料として使用できる。
上記した有機溶剤を除去したセルロース繊維と前記複合体からなる構成では、複合体が分散剤とバインダーの双方の機能を果たすこととなる。このためにCNFなどの従来のセルロース繊維のみからなる構造体に比べ、耐水性の向上、機械的強度の向上や有機溶剤等への再分散性などを付与することが可能となる。
市販品やサンプルとして入手可能なセルロース繊維としては、王子ホールディングス製のスラリー状CNF(リン酸化処理品、名称:アウロ・ヴィスコ)、パウダー状CNF、日本製紙製のTEMPO酸化法CNF、中越パルプ製のNanoforest−S、大王製紙製の水分散CNF(名称:ELLEX−S)、第一工業製薬製のTEMPO酸化法による水分散型CNF(名称:レオクリスタ)などの繊維径が4nmから500nmのものが挙げられる。
有機溶剤としては、前記した反応や重合に使用した溶剤の他、メタノールなどの低級アルコール類なども使用可能である。
有機溶剤への分散の方法の一例としては、水分散系セルロース繊維、前記複合体および前記有機溶剤を混合し、その後、水を加熱や減圧によって留去する方法が例示できる。一時的に水や有機溶媒を完全に除去するとセルロース繊維同士が強固に凝集して再分散しづらくなるため、有機溶媒等を少量残した状態として、さらに有機溶剤で濃度調整する等が望ましいプロセスとなる。
セルロース繊維と複合体との配合は各重量比で1:0.01〜1:10の範囲が好ましい。特に好ましい範囲は1:0.05〜1:2の範囲である。この範囲を超えると分散性や特性が悪化する可能性がある。また、有機溶剤は(セルロース繊維+複合体)の重量に対して、5倍重量〜200倍重量の範囲となることが好ましい。
上記した組成物の製造方法は、水分散系セルロース繊維を出発原料とした有機溶剤への置換処理によるものであったが、パルプを出発原料として実施することも可能である。
パルプとしては針葉樹系、広葉樹系、ケナフ、竹などの原料別の他にも、処理法の違いによる化学的パルプ、機械的パルプ、化学的機械パルプ、半化学的パルプなどの様々なタイプを使用することができる。
パルプと前記複合体と有機溶剤との混合物をホモジナイザーなどの機械的撹拌装置、ニーダー、連続式二軸混練機を用いて機械的に解繊することでセルロース繊維組成物を調製することができる。混合における各成分の配合量は前記したものと同一である。なお、機械的解繊方法では、前記した化学処理系水分散セルロースを出発原料に用いたものよりも繊維径は大きくなる傾向がある。
上記した第1の構成の組成物は、インキ、接着剤、配合材や各種部品の原料等として広く応用することができる。
<第2の構成:樹脂前駆体分散組成物>
本発明の組成物の第2の構成は、前記複合体と、セルロース繊維と、樹脂前駆体を含む組成物である。
この第2の構成に係る組成物も、前記第1の構成に係る組成物と同様な方法で調製することができる。
ここで、樹脂前駆体とは、重合反応等によって高分子材料を形成するものであり、(メタ)アクリレート系化合物、ビニル系化合物、アリル系化合物、酸無水物、アミン系化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物や反応性シリコーン化合物等が使用可能である。
これらの中でも、特に、反応性と汎用性の高さから、(メタ)アクリレート系化合物、ビニル化合物やエポキシ化合物が好ましく使用される。
(メタ)アクリレート系化合物としては、単官能(メタ)アクリレート化合物として炭素数1〜30のアルキル系、メトキシエチレンオキサイド系、ビスフェノールA骨格系、芳香族系の(メタ)アクリレート化合物などが、二官能(メタ)アクリレート化合物としてエチレングリコール系、プロピレングリコール系、ビスフェノールA骨格系、フルオレン骨格系、トリシクロデカン骨格系等のジ(メタ)アクリレート化合物などが、それ以上の多官能(メタ)アクリレート化合物としてグリセリン骨格系(メタ)アクリレート化合物、(モノ−、ジ−、トリ−)トリメチロールプロパン骨格系、イソシアヌレート骨格系多官能(メタ)アクリレート化合物、(モノ−、ジ−、トリ−)ペンタエリスリトール骨格系多官能(メタ)アクリレート化合物などの多官能(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
ビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
エポキシ化合物としては、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビスフェノールS、ノボラックフェノール系、レゾールフェノール系、ナフタレン系、ビフェニル系、およびこれらの水添化合物、イソシアヌレート系、ポリブタジエン系などの骨格をもったグリシジルエーテル系、グリシジルアミド系、グリシジルエステル系、脂環式エポキシ系などの多官能エポキシ化合物や反応性希釈剤である単官能等のエポキシ化合物が挙げられる。
反応性シリコーン化合物としては、例えば、信越化学工業製の種々のRTVシリコーンゴムやLIM(Liquid Injection Molding)用シリコーンが使用可能である。これに限定されず2液系等の縮合系、付加系、UV硬化系の種々のRTVシリコーンゴムやLIM用シリコーン材料を使用することができる。
セルロース繊維と複合体との配合は前記と同様に各重量比で1:0.01〜1:10の範囲が好ましい。この範囲を超えると分散性や特性が悪化する可能性がある。また、樹脂前駆体は(セルロース繊維+複合体)の重量に対して、5倍重量〜100倍重量の範囲となることが好ましい。また、(メタ)アクリレート系化合物を用いる場合は、保存安定性を向上させる目的でハイドロキノン類などの重合禁止剤を添加することも従来技術同様に実施可能である。
製造方法については前記したように水分散体を原料とした置換方法や、パルプからの機械的解繊方法によって実施することができる。
第2の構成の組成物は、UV硬化材料、熱硬化材料、接着剤、配合材、各種部品の原料等として広く応用することができる。
<第3の構成:樹脂分散組成物>
本発明の組成物の第3の構成は、前記複合体と、セルロース繊維、樹脂とを含む組成物である。
樹脂としては、各種アクリル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、各種ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、各種ポリエステル、各種ポリウレタン、各種ナイロン樹脂(ポリアミド)、ポリアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、エチルセルロースやセルロースアセテートブチレートや酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
第3の構成に係る組成物を製造する方法としては、複数の方法が例示できる。
例えば、前記した複合体とセルロース繊維(及び必要に応じて水や有機溶剤)を混合し、これを前記した樹脂に混合し、必要に応じて加熱しながらニーダーや連続式二軸混練機等を用いて機械的に混練、解繊する方法が挙げられる。
また、その他の方法として、前記複合体とセルロース繊維と有機溶剤からなる分散液(第1の構成に係る組成物)に、前記した樹脂のなかで有機溶剤への溶解性のあるものを選択の上、それを溶解させてセルロース繊維が均一に分散した溶液を調製後に有機溶剤を除去する方法も挙げられる。
これらの方法は使用する樹脂の種類によって使い分けることが好ましい。
セルロース繊維と複合体との配合は前記と同様に各重量比で1:0.01〜1:10の範囲が好ましい。この範囲を超えると分散性や特性が悪化する可能性がある。また、樹脂は(セルロース繊維+複合体)の重量に対して、5倍重量〜100倍重量の範囲となることが好ましい。
第3の組成物は、無定形物や種々有機溶剤を含んだ無定形物として、様々な用途の原料として使用することができる。また、加熱成型や機械加工等によって形成された構造体として各種の部品等に応用することができる。さらに、塗布や溶融成型によって形成されたフィルム形状などとして応用することもできる。
<本発明の組成物における任意成分>
上記した本発明の組成物には、前記した複合体、セルロース繊維、有機溶剤、樹脂前駆体や樹脂の他にも様々な材料を配合しても構わない。
これらを例示すれば、界面活性剤、可塑剤、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、UV吸収剤や酸化防止剤などの安定剤、色素、ポリマー粒子、金属粒子やセラミック粒子などの無機粒子、エポキシ硬化剤、硬化促進触媒、重合開始剤などである。これらの材料は、組成物の全体重量に対して、例えば、0.001重量%〜90重量%の範囲内で配合することができる。
以下、本発明に係るセルロース繊維分散用複合体及びセルロース繊維組成物について、実施例及び比較例を示す。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔反応性セルロース誘導体の合成〕
<合成例1>
エチルセルロース(ダウケミカル社製の「エトセルSTD−4」、数平均分子量:1.37万)100重量部、酢酸エチル400重量部を反応容器に加えて混合し、エチルセルロースを酢酸エチルに均一溶解させた溶液を調製した。
上記溶液に、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド2.82重量部、反応促進剤としてジメチルアミノピリジン0.05重量部、及びメタクリル酸1.92重量部を添加、混合した。引き続き、40℃で24時間撹拌して反応を実施し、エチルセルロースにメタクリレート基を導入した。
反応の進行状態は酸価測定によって確認でき、上記40℃での24時間の撹拌によって反応は完了していた。得られたサンプルを採取し、乾燥させて、1H−NMR分析を実施した結果、仕込んだメタクリル酸と同モル量のメタクリレート基がエチルセルロースに導入されていることがわかった。また、導入されたメタクリレート基は、エチルセルロース鎖1本あたり平均で3個であった。
<合成例2>
エチルセルロース(ダウケミカル社製の「エトセルSTD−4」、数平均分子量:1.37万)100重量部、酢酸エチル400重量部を反応容器に加えて混合し、エチルセルロースを酢酸エチルに均一溶解させた溶液を調製した。
上記溶液に、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド4.59重量部、反応促進剤としてジメチルアミノピリジン0.09重量部、及びメタクリル酸3.13重量部を添加、混合した。引き続き、40℃で24時間撹拌して反応を実施し、エチルセルロースにメタクリレート基を導入した。
反応の進行状態は酸価測定によって確認でき、上記40℃での24時間の撹拌によって反応は完了していた。得られたサンプルを採取し、乾燥させて、1H−NMR分析を実施した結果、仕込んだメタクリル酸と同モル量のメタクリレート基がエチルセルロースに導入されていることがわかった。また、導入されたメタクリレート基は、エチルセルロース鎖1本あたり平均で5個であった。
<合成例3>
エチルセルロース(ダウケミカル社製の「エトセルSTD−10」、数平均分子量:2.28万)100重量部、酢酸エチル400重量部を反応容器に加えて混合し、エチルセルロースを酢酸エチルに均一溶解させた溶液を調製した。
上記溶液に、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド1.67重量部、反応促進剤としてジメチルアミノピリジン0.03重量部、及びメタクリル酸1.14重量部を添加、混合した。引き続き、40℃で24時間撹拌して反応を実施し、エチルセルロースにメタクリレート基を導入した。
反応の進行状態は酸価測定によって確認でき、上記40℃での24時間の撹拌によって反応は完了していた。得られたサンプルを採取し、乾燥させて、1H−NMR分析を実施した結果、仕込んだメタクリル酸と同モル量のメタクリレート基がエチルセルロースに導入されていることがわかった。また、導入されたメタクリレート基は、エチルセルロース鎖1本あたり平均で3個であった。
<合成例4>
エチルセルロース(ダウケミカル社製の「エトセルSTD−4」、数平均分子量:1.37万)100重量部、酢酸エチル400重量部を反応容器に加えて混合し、エチルセルロースを酢酸エチルに均一溶解させた溶液を調製した。
上記溶液に、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド4.59重量部、反応促進剤としてジメチルアミノピリジン0.09重量部、及び3−メルカプトプロピオン酸3.86重量部を添加、混合した。引き続き、40℃で24時間撹拌して反応を実施し、エチルセルロースにチオール基を導入した。
反応の進行状態は酸価測定によって確認でき、上記40℃での24時間の撹拌によって反応は完了していた。得られたサンプルを採取し、乾燥させて、1H−NMR分析を実施した結果、仕込んだ3−メルカプトプロピオン酸と同モル量のメルカプト(チオール)基がエチルセルロースに導入されていることがわかった。また、導入されたチオール基は、エチルセルロース鎖1本あたり平均で5個であった。
<合成例5>
エチルセルロース(ダウケミカル社製の「エトセルSTD−4」、数平均分子量:1.37万)100重量部、酢酸エチル900重量部を反応容器に加えて混合し、エチルセルロースを酢酸エチルに均一溶解させた溶液を調製した。さらに、脱水のためにモレキュラーシーブを投入し、可能な限り水分を除去した。
上記溶液に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工社製の「カレンズMOI」)3.40部、触媒としてのジラウリン酸ジオクチルスズ0.01部を添加し、温度60℃で5時間撹拌して反応を実施し、エチルセルロースにメタクリレート基を導入した。
得られたサンプルを採取し、乾燥させて、1H−NMR分析を実施した結果、仕込んだ2−イソシアナトエチルメタクリレートと同モル量のメタクリレート基がエチルセルロースに導入されていることがわかった。また、導入されたメタクリレート基は、エチルセルロース鎖1本あたり平均で3個であった。
<合成例6>
エチルセルロース(ダウケミカル社製の「エトセルSTD−20」、数平均分子量:3.9万)100重量部、酢酸エチル900重量部を反応容器に加えて混合し、エチルセルロースを酢酸エチルに均一溶解させた溶液を調製した。さらに、脱水のためにモレキュラーシーブを投入し、可能な限り水分を除去した。
上記溶液に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工社製の「カレンズMOI」)1.99部、触媒としてのジラウリン酸ジオクチルスズ0.01部を添加し、温度60℃で5時間撹拌して反応を実施し、エチルセルロースにメタクリレート基を導入した。
得られたサンプルを採取し、乾燥させて、1H−NMR分析を実施した結果、仕込んだ2−イソシアナトエチルメタクリレートと同モル量のメタクリレート基がエチルセルロースに導入されていることがわかった。また、導入されたメタクリレート基は、エチルセルロース鎖1本あたり平均で5個であった。
<合成例7>
エチルセルロース(ダウケミカル社製の「エトセルSTD−100」、数平均分子量:6.3万)100重量部、酢酸エチル900重量部を反応容器に加えて混合し、エチルセルロースを酢酸エチルに均一溶解させた溶液を調製した。さらに、脱水のためにモレキュラーシーブを投入し、可能な限り水分を除去した。
上記溶液に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工社製の「カレンズMOI」)0.73部、触媒としてのジラウリン酸ジオクチルスズ0.01部を添加し、温度60℃で5時間撹拌して反応を実施し、エチルセルロースにメタクリレート基を導入した。
得られたサンプルを採取し、乾燥させて、1H−NMR分析を実施した結果、仕込んだ2−イソシアナトエチルメタクリレートと同モル量のメタクリレート基がエチルセルロースに導入されていることがわかった。また、導入されたメタクリレート基は、エチルセルロース鎖1本あたり平均で3個であった。
<合成例8>
セルロースアセテートブチレート(CAB、イーストマンゴダック製「CAB−555−04」、数平均分子量:2万)100重量部、酢酸エチル400重量部を反応容器に加えて混合し、CABを酢酸エチルに均一溶解させた溶液を調製した。
上記溶液に、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド3.16重量部、反応促進剤としてジメチルアミノピリジン0.031重量部、及びメタクリル酸2.15重量部を添加、混合した。引き続き、40℃で24時間撹拌して反応を実施し、CABにメタクリレート基を導入した。
反応の進行状態は酸価測定によって確認でき、上記40℃での24時間の撹拌によって反応は完了していた。得られたサンプルを採取し、乾燥させて、1H−NMR分析を実施した結果、仕込んだメタクリル酸と同モル量のメタクリレート基がCABに導入されていることがわかった。また、導入されたメタクリレート基は、CAB鎖1本あたり平均で5個であった。
<合成例9>
トリアセチルセルロース(TAC、ダイセル製「L−20」酢化度:55%、数平均分子量:3.1万)100重量部、酢酸エチル400重量部を反応容器に加えて混合し、TACを酢酸エチルに均一溶解させた溶液を調製した。
上記溶液に、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド1.22重量部、反応促進剤としてジメチルアミノピリジン0.012重量部、及びメタクリル酸0.83重量部を添加、混合した。引き続き、40℃で24時間撹拌して反応を実施し、TACにメタクリレート基を導入した。
反応の進行状態は酸価測定によって確認でき、上記40℃での24時間の撹拌によって反応は完了していた。得られたサンプルを採取し、乾燥させて、1H−NMR分析を実施した結果、仕込んだメタクリル酸と同モル量のメタクリレート基がTACに導入されていることがわかった。また、導入されたメタクリレート基は、TAC鎖1本あたり平均で5個であった。
<合成例10>
合成例1で合成したセルロース誘導体100重量部、酢酸エチル400重量部を反応容器に加えて混合し、均一溶解させた溶液を調整した。
上記溶液に、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド2.82重量部、反応促進剤としてジメチルアミノピリジン0.05重量部、及び4−ジエチルアミノ安息香酸4.31重量部を添加、混合した。引き続き、40℃で24時間撹拌して反応を実施し、アミノ基を導入した。導入されたアミノ基は滴定法によって仕込み量と同量であった。
〔複合体の合成〕
<実施例1>
合成例1で得られたセルロース誘導体15重量部、酢酸エチル170重量部(セルロース誘導体とビニル系モノマーの合計量に対して、反応後のポリマー成分が15〜30重量%となるように濃度を酢酸エチルにて調整)を反応容器へ加え混合し、セルロース誘導体を溶解した。そこへブチルメタクリレート15重量部、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)0.6重量部を加え、反応容器内を窒素ガスで十分にした後、80℃で8時間重合反応を実施した。
<実施例2〜22>
用いたセルロース誘導体、ビニル系モノマー組成、セルロース誘導体とビニル系モノマーの比率を表1に示す条件とした以外は実施例1と同様な条件で複合体の合成を行った。
Figure 2020007525
表1に記載のビニル系モノマーの詳細は、それぞれ、以下のとおりである。
BMA:ブチルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
M−40G:新中村化学製のメトキシテトラエチレングリコールモノメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
また、表1には、得られた複合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)も示したが、これらの値は、以下の条件で測定したものである。
GPC装置:東ソー社製「HLC−8320GPC」、
カラム:TSKgel GMHXL、
測定温度(設定温度):40℃、
移動相:テトラヒドロフラン
<比較例1>
比較評価のためにセルロース誘導体を含まない単独のビニル系ポリマーを合成した。
具体的には、ブチルメタクリレート30重量部、酢酸エチル70重量部、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)0.6重量部を加え、反応容器内を窒素ガスで十分にした後、80℃で8時間重合反応を実施した。重量平均分子量が20万のポリブチルメタクリレートを得た。
〔有機溶剤分散組成物の実施例〕
<実施例1A>
ガラス製フラスコ容器にTEMPO酸化法CNF(CNF固形分量2重量%水分散液:第一工業製薬製)を50重量部、実施例4で得られた複合体(セルロース誘導体−ビニル系ポリマー複合体)を固形分として0.5重量部(酢酸エチル溶液として添加)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を50重量部投入し、高速攪拌機を用いて15分間撹拌・混合を行った。その後、ロータリーエバポレータを用いて減圧下で脱水を行い、DPMに対して2重量%の濃度にてCNFを分散した液体を得た。
分散性の評価は溶液の透明性、粘度、CNFの沈降状態等の官能評価によって、◎、○、×で評価した。結果を表2に示す。
Figure 2020007525
なお、表2に記載の各原料の詳細は以下のとおりである。
CNF1:第一工業製薬製のセルロースナノファイバー(レオクリスタ/2重量%水分散液)
CNF2:中越パルプ製のNanoforest−S(10重量%水分散液)
STD−4:ダウケミカル社製のエチルセルロース「エトセルSTD−4」
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
なお、複合体は、有効成分10重量%酢酸エチル溶液として用いた。
<実施例2A〜14A>
実施例1Aと同様の操作で有機溶剤等を種々に変更して、CNFを種々有機溶剤に分散した組成物を作製した。なお、実施例9A、10AにおいてはCNFとして非TEMPO酸化の中越パルプ製のNanoforest−Sを使用した。その実施内容と評価結果を表2に記す。
<比較例1A>
比較例1で作製したセルロース誘導体を含まないビニル系ポリマーのみを使用し、水分散CNF中のCNF量に対してポリマー固形分が50重量%となる量を添加し、実施例1Aと同様の方法でDPMへの分散を検討した。結果を表2に記載するが、CNFの凝集が生じてしまった。
<比較例2A>
エチルセルロース(ダウケミカル社製の「エトセルSTD−4」)を、水分散CNF中のCNF量に対して50重量%となる量を添加し、実施例1Aと同様の方法でDPMへの分散を検討した。結果を表2に記載するが、CNFの凝集が生じてしまった。
〔樹脂前駆体分散組成物の実施例〕
<実施例1B>
ガラス製フラスコ容器にTEMPO酸化法CNF(CNF固形分量2重量%水分散液:第一工業製薬製)を50重量部、実施例4で得られた複合体を固形分で0.5重量部、A−DCP(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)を50重量部投入し、高速攪拌機を用いて15分間撹拌・混合を行った。その後、ロータリーエバポレータを用いて減圧下で脱水を行い、CNFをA−DCPに分散したCNF分散液を得た。
分散性の評価は溶液の透明性、CNFの沈降状態等の官能評価によって、◎、○、×で評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2020007525
なお、表3に記載の各原料の詳細は、以下のとおりである。
STD−4:ダウケミカル社製のエチルセルロース「エトセルSTD−4」
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学製)
A−9300:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート
AD−TMP:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
A−DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
JER−828:ビスフェビールAタイプ2官能エポキシ(三菱化学製)
JER−807:ビスフェビールFタイプ2官能エポキシ(三菱化学製)
なお、複合体は、有効成分10重量%酢酸エチル溶液として用いた。
また、表3中のセルロース繊維の種類については、全ての実施例・比較例で共通であり、第一工業製薬製のセルロースナノファイバー(レオクリスタ/2重量%水分散液)を用いた。
<実施例2B〜28B>
実施例1Bと同様の操作で樹脂前駆体等を種々に変更して、CNFを分散した樹脂前駆体組成物を作製した。その実施内容と評価結果を表3に記す。
<比較例1B>
比較例1で作製したセルロース誘導体を含まないビニル系ポリマーのみを使用し、水分散CNF中のCNF量に対してポリマー固形分が50重量%となる量を添加し、実施例と同様の方法でA−DCPへの分散を検討した。結果を表3に記載するが、CNFの凝集が生じてしまった。
<比較例2B>
エチルセルロース(STD−4)を、水分散CNF中のCNF量に対して50重量%となる量を添加し、実施例と同様の方法でA−DCPへの分散を検討した。結果を表3に記載するが、CNFの凝集が生じてしまった。
〔樹脂分散組成物の実施例〕
<実施例1C>
キシレンにCNFを分散した実施例2Aの有機溶剤分散組成物を用いて、実施例1Cの樹脂複合組成物を作製した。
具体的には、実施例2Aの組成物(CNF固形分量2重量%)を原料として、この組成物(CNF分散液):10g、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂(自社製造の重量平均分子量Mw=55万):15g、トルエン:40gを混合し、高速攪拌機を用いて撹拌・混合を行った。その後、離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上にワイヤバーでコーティング、乾燥させて、厚み100μmのフィルムを作製した。
作製された実施例1Cのフィルムは透明性が高く、CNFが均一に分散されていた。
(株)島津製作所製の引張試験機(AG−10N)を用いて、フィルムの引張強度を測定した。
試料はCNFを分散したPMMAフィルムと分散していない同じ方法で作製したPMMAフィルム(20μm)である。
結果は、CNFを配合(樹脂に対して1.5重量%)したフィルムでは56MPa、配合していないPMMA単独フィルムでは50MPaとなり、10%以上の強度の向上が確認された。
<実施例2C>
A−DCPにCNFを分散した実施例1Bの樹脂前駆体分散組成物を用いて、実施例2Cのフィルムを作製した。
具体的には、実施例1Bの樹脂前駆体組成物(CNF含有量は樹脂前駆体に対して2重量%)100重量部に、新中村化学製A−400(オリゴエチレングリコール系2官能性モノマー)50重量部を混合し、さらに光開始剤としてイルガキュアTPO:4.5重量部を混合した。
この組成物を離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルムにコート後、高圧水銀光源のUV照射装置によって1000mJの積算エネルギー光量で硬化を行うことで、厚み約100μmの透明なフィルムを得ることができた。
実施例1Cと同様に、(株)島津製作所製の引張試験機(AG−10N)を用いて、フィルムの引張強度を測定した。
対照として、CNFを配合しないこと以外は上記実施例2Cのフィルムの作製と同様の操作で、フィルムサンプルを作製した。
両者の引張強度を比較したところ、CNF配合(樹脂に対して1.5重量%)では50MPa、非配合では40MPaとなり、20%以上の破断強度の向上が確認できた。
<実施例3C>
ビスフェノールA系エポキシ樹脂にCNFを分散した実施例16Bの樹脂前駆体分散組成物を用いて、実施例3Cのフィルムを作製した。
具体的には、実施例16Bの樹脂前駆体組成物(CNF含有量は樹脂前駆体に対して2重量%)100重量部、硬化剤としてイソフォロンジアミン20重量部を混合し、ブレードコーターでこの組成物を離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布した上で、100℃、1時間で硬化を行うことにより、厚み約100μmの透明な実施例3Cに係るフィルムを得ることができた。
実施例1Cと同様に、(株)島津製作所製の引張試験機(AG−10N)を用いて、フィルムの引張強度を測定した。
対照として、CNFを配合しないこと以外は上記実施例3Cのフィルムの作製と同様の操作で、フィルムサンプルを作製した。
両者の引張強度を比較したところ、CNF配合(樹脂に対して1.5重量%)では80MPa、非配合では65MPaとなり、20%以上の破断強度の向上が確認できた。
<実施例4C>
パルプ20重量部、高密度ポリエチレン樹脂1000重量部、実施例1で作製した複合体(分散剤)を固定分で6重量部混合し、有機溶剤を除去した後に、連続式二軸混練機を用いて190℃で混練してセルロース繊維を分散させたポリエチレン複合材料を作製した。本材料から熱プレス法にて厚み100μmのフィルムを作製した。フィルムはほぼ透明であった。
実施例1Cと同様に、(株)島津製作所製の引張試験機(AG−10N)を用いて、フィルムの引張強度を測定した。
対照として、CNFを配合しないこと以外は上記実施例4Cのフィルムの作製と同様の操作で、フィルムサンプルを作製した。
両者の引張強度を比較したところ、CNFを配合(樹脂に対して2重量%)したフィルムでは40MPa、配合していない単独フィルムでは30MPaとなり、30%以上の強度の向上が確認された。
本発明は、ナノセルロース組成物に関するものである。特に、有機溶剤、樹脂やその前駆体等に、セルロースナノファイバー(CNF)やセルロースナノクリスタル(CNC)などのナノセルロースを均質に分散させることができるナノセルロース分散用複合体と、ナノセルロースとを含むナノセルロース組成物に関するものである。
そこで、本発明は、ナノセルロースを樹脂に安価かつ十分なレベルで分散することが可能なナノセルロース分散用複合体とナノセルロースとを含むナノセルロース組成物を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を備える。
すなわち、本発明のナノセルロース組成物は、セルロース誘導体にビニル系ポリマーがグラフトされた構造を備えるナノセルロース分散用複合体と、ナノセルロースとを含む。
なお、以下では、本発明で用いるナノセルロースについて、「セルロース繊維」と表記する場合がある。

Claims (7)

  1. セルロース誘導体にビニル系ポリマーがグラフトされた構造を備える、セルロース繊維分散用複合体。
  2. 請求項1に記載の複合体と、セルロース繊維とを含む、セルロース繊維組成物。
  3. 有機溶剤を含む、請求項2に記載のセルロース繊維組成物。
  4. 樹脂前駆体を含む、請求項2に記載のセルロース繊維組成物。
  5. 樹脂を含む、請求項2に記載のセルロース繊維組成物。
  6. 前記ビニル系ポリマーを構成するモノマー成分として、水酸基含有モノマー成分及び/又はポリアルキレンオキサイド系のモノマー成分を含む、請求項2から5までのいずれかに記載のセルロース繊維組成物。
  7. 前記セルロース誘導体がカチオン基を含む、請求項2から6までのいずれかに記載のセルロース繊維組成物。
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