JP2020005547A - エンドグリコシダーゼ阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンドグリコシダーゼによる加水分解や糖転移等の酵素反応を停止する作用を示す薬剤であって、優れた阻害作用を有するとともに、エンドグリコシダーゼによる酵素反応の対象を変性させる等の問題を生じないエンドグリコシダーゼ阻害剤を提供する。【解決手段】イミダゾール環を有する糖イミダゾール誘導体であって、イミダゾール環に、塩基性アミノ酸から1つのアミノ基を除いてなる残基が結合し、この塩基性アミノ酸残基中のアミノ基が保護基で保護されている化合物からなるエンドグリコシダーゼ阻害剤。【選択図】なし

Description

本発明は、エンドグリコシダーゼ阻害剤に関する。より詳細には、エンドグリコシダーゼ(エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ)による酵素反応、例えば糖鎖の加水分解や糖転移を停止させるために用いられるエンドグリコシダーゼ阻害剤に関する。
エンドグリコシダーゼは、糖鎖のキトビオース結合を加水分解して遊離させる活性、糖鎖を転移させる活性を有する酵素であり、例えば、糖タンパク質の糖鎖の切断や糖転移のために使用され、種々の糖鎖の合成等に利用されている。
例えば、特許文献1には、コプリナス・シネレウス由来であり、糖タンパク質が有するN−結合型糖鎖を切断し遊離させ、かつ糖鎖を転移させる活性を有し、基質特異性が広いエンドグリコシダーゼが開示されている。
又、特許文献2には、コプリナス・シネレウス由来であり、糖タンパク質が有するN−結合型糖鎖を切断し遊離させる活性を有さず、糖鎖を転移させる活性のみを有する酵素であるエンドグリコシダーゼが開示されている。そしてその酵素を、タンパク質及びオキサゾリン化糖鎖と接触させ、糖鎖をタンパク質に転移させる、糖タンパク質の作製方法が開示されている。
エンドグリコシダーゼを使用し、糖鎖の加水分解や糖転移により種々の糖鎖の合成を行う場合、例えば糖タンパク質の作製を行う場合、反応後、加水分解や糖転移等の酵素反応を停止させる必要がある。酵素反応の停止は、酵素反応を阻害する作用を有する阻害剤を反応系に添加することにより行うことができる。そして、非特許文献1には、糖鎖の末端にチアゾリン環が形成された糖鎖チアゾリンがエンドグリコシダーゼの酵素反応を阻害する作用を有することが記載されている。
特開2015−80453号公報 特開2017−158596号公報
Bioog.Med.Chem.16(2008)4670−4675
しかし、非特許文献1に記載の糖鎖チアゾリンは、エンドグリコシダーゼにより糖鎖の加水分解や糖転移をする酵素反応の阻害剤としては、満足できる阻害作用を有するものではなかった。そして他にも、満足できる阻害作用を有するエンドグリコシダーゼ阻害剤は知られていなかった。そこで、エンドグリコシダーゼによる加水分解や糖転移等の酵素反応の停止は、加熱による熱失活やpHによる酵素失活により行わざるを得なかった。
しかし、熱失活やpHによる酵素失活は、酵素反応の対象を変性させる問題がある。例えば、酵素反応の対象が糖タンパク質の場合、熱失活のための加熱や酵素失活のためのpHにより、糖タンパク質そのものが変性する。そこで、エンドグリコシダーゼによる酵素反応についての優れた阻害作用を有するとともに、前記の酵素反応の対象を変性させる等の問題を生じないエンドグリコシダーゼ阻害剤が望まれていた。
本発明は、エンドグリコシダーゼによる加水分解や糖転移等の酵素反応を停止する作用を示す薬剤であって、優れた阻害作用を有するとともに、エンドグリコシダーゼによる酵素反応の対象を変性させる等の問題を生じないエンドグリコシダーゼ阻害剤を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するため検討した結果、イミダゾール環を有する糖イミダゾール誘導体であって、イミダゾール環に、塩基性アミノ酸から1つのアミノ基を除いてなる残基が結合し、この塩基性アミノ酸残基中のアミノ基が保護基で保護されている化合物が、エンドグリコシダーゼの酵素反応に対する優れた阻害作用を有し、かつ酵素反応の対象を変性させる等の問題を生じないことを見出し、本発明を完成した。
本発明の第1は、下記一般式(I)で表される糖イミダゾール誘導体からなるエンドグリコシダーゼ阻害剤である。
Figure 2020005547
[式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素又は酸素と共有結合可能な一価の有機基であり、Rは、2以上の単糖からなる糖鎖残基であり、Raは、塩基性アミノ酸から1つのアミノ基を取り除いた残基であって、前記残基中に含まれるアミノ基が保護基により保護されている1価基であり、Rは、水素又は炭素数1〜20のアルキル基であり、nは0又は1である。]
本発明は、さらに、前記の第1の態様のより好ましい態様として以下に記載のエンドグリコシダーゼ阻害剤を提供する。
すなわち、本発明の第2は、Rが、3以上11以下の単糖からなり分岐している糖鎖残基である本発明の第1のエンドグリコシダーゼ阻害剤である。
本発明の第3は、Rが、下記式(II)で表される糖鎖残基である本発明の第2のエンドグリコシダーゼ阻害剤である。
Figure 2020005547
[式中、R5及びR6は、水素又は下記式(IIa)、(IIb)もしくは(IIc)で表される1価基である。]なお、下記式(IIa)、(IIb)又は(IIc)中、Acはアセチル基を表す。以後に示す他の式中のAcも同じである。
Figure 2020005547
本発明の第4は、Rが、下記式(III)で表される糖鎖残基である本発明の第2のエンドグリコシダーゼ阻害剤である。
Figure 2020005547
[式中、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、水素又は下記式(IIIa)で表される1価基であるが、R7、R8及びR9の中の1つ又は2つは水素であり、R10、R11及びR12の中の少なくとも1つは水素であり、かつR7、R8、R9、R10、R11及びR12の中の3〜5は水素である。]
Figure 2020005547
本発明の第5は、前記塩基性アミノ酸から1つのアミノ基を取り除いた残基が、リジンからその側鎖にあるアミノ基を取り除いた残基である本発明の第1ないし第4のいずれかのエンドグリコシダーゼ阻害剤である。
本発明の第6は、前記保護基が、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、tert−ブトキシカルボニル基(Boc)及び疎水性アミノ酸からそのカルボキシル基の水素を除いた残基からなる群より選ばれる本発明の第1ないし第5のいずれかのエンドグリコシダーゼ阻害剤である。
本発明の第7は、下記式(IV)で表される糖イミダゾール誘導体からなるエンドグリコシダーゼ阻害剤である。
Figure 2020005547
本発明の第8は、下記式(V)で表される糖イミダゾール誘導体からなるエンドグリコシダーゼ阻害剤である。
Figure 2020005547
本発明によれば、エンドグリコシダーゼによる加水分解や糖転移等の酵素反応を停止する作用を示す阻害剤であって、優れた阻害作用を有し、かつ酵素反応の対象を変性させる等の問題を生じないエンドグリコシダーゼ阻害剤が提供される。従って、例えば、エンドグリコシダーゼの酵素反応により糖タンパク質の合成を行う場合、熱失活やpHにより酵素反応を停止する場合とは異なり、糖タンパク質を変性させる等の問題を生じることなく酵素反応を効率よく停止させることができる。
以下、本発明を実施するための形態についてより具体的に説明するが、本発明の範囲は、以下に述べる具体的形態や実施例により限定されず、課題を解決するための手段として述べた前記の範囲及びその均等の範囲が含まれると解されるべきである。
本発明のエンドグリコシダーゼ阻害剤は、前記一般式(I)で表される糖イミダゾール誘導体からなる。
式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素又は酸素と共有結合可能な一価の有機基であるが、酸素と共有結合可能な一価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、フェニル基等を挙げることができる。R及びRとしては水素、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましい。
は、2以上の単糖からなる糖鎖残基である。糖鎖残基を構成する単糖としては、OH基が他の基で置換されたもの、例えばグルコースアミン、N−アセチルグルコースアミン(GlcNAc)でもよい。
前記の糖鎖残基の中でも、3以上11以下の単糖からなり、分岐している糖鎖残基が好ましく、中でも3以上9以下の単糖からなり、分岐している糖鎖残基がより好ましい。
この糖鎖残基の具体例としては、前記式(II)又は式(III)で表される基を挙げることができる。
が、1つの単糖からなる糖鎖残基の場合、例えばGlcNacの場合は、優れた阻害活性を示さない。
は、水素又は炭素数1〜20のアルキル基であり、好ましくは、水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素である。
Raは、塩基性アミノ酸から1つのアミノ基を取り除いた残基であって、前記残基中に含まれるアミノ基が保護基により保護されている1価基である。例えば、塩基性アミノ酸の側鎖にあるアミノ基を取り除いた残基であって、α−アミノ基が保護基により保護されている基を挙げることができる。Raより表される基のより具体な例としてはリジンからその側鎖にあるアミノ基を取り除いた残基であって、α−アミノ基が保護基により保護されている基を挙げることができる。
前記保護基としては、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、tert−ブトキシカルボニル基(Boc)、疎水性アミノ酸からそのカルボキシル基の水素を除いた残基等を挙げることができる。前記疎水性アミノ酸としては、トリプトファン、ヒスチジン等を挙げることができる。前記例示の保護基の中でも、Fmocが好ましい。
式(I)中のRは、水素又は炭素数1〜20のアルキル基であるが、好ましくは、水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素である。
本発明のエンドグリコシダーゼ阻害剤としては。前記式(IV)又は(V)で表される糖イミダゾール誘導体の他に、下記式(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)又は(XIV)で表される糖イミダゾール誘導体を挙げることができる。中でも、前記式(IV)又は(V)で表される糖イミダゾール誘導体が好ましい。
Figure 2020005547
Figure 2020005547
Figure 2020005547
Figure 2020005547
Figure 2020005547
Figure 2020005547
式(I)で表される化合物は、例えば、特開2018−21001号公報に記載の製造方法により製造することができる。具体的には、下記一般式(XV)で表されるピラノシドオキサゾリン誘導体とRaNH[式中、Raは、塩基性アミノ酸から1つのアミノ基を取り除いた残基であって、前記残基中に含まれるアミノ基が保護基により保護されている1価基である。]で表される1級アミンを反応させて下記一般式(XVI)で表される糖イミダゾリン誘導体を合成した後、脱水することにより式(I)で表される糖イミダゾール誘導体を合成することができる。
Figure 2020005547
Figure 2020005547
[式(XV)及び式(XVI)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素又は酸素と共有結合可能な一価の有機基であり、Rは、2以上の単糖からなる糖鎖残基であり、Rは、水素又は炭素数1〜20のアルキル基であり、nは0又は1であり、Raは前記の意味を表す。]
一般式(XV)で表されるピラノシドオキサゾリン誘導体の合成や糖イミダゾリン誘導体の脱水は、特開2018−21001号公報の段落0020から段落0024に記載されている方法、条件により行うことができる。
本発明のエンドグリコシダーゼ阻害剤は、エンドグリコシダーゼによる加水分解や糖転移等の酵素反応を停止する作用を示す阻害剤であるので、前記の酵素反応、例えばエンドグリコシダーゼの酵素反応により糖タンパク質の合成を行う場合等において、その反応を停止させるために用いられる。
合成例1(Fmoc−Lys−SGイミダゾリン体、Fmoc−Lys−SGイミダゾール体の合成)
特開2018−21001号公報に記載の実施例12と同じ方法、条件により反応、精製を行い、同公報中に記載の構造式(f1)で表される糖イミダゾリン誘導体(Fmoc−Lys−SGイミダゾリン体)を得た。MALDI−TOF−MS測定を行ったところ、計算値とよく一致する測定値を得てFmoc−Lys−SGイミダゾリン体が得られていることを確認した。
このようにして得られたFmoc−Lys−SGイミダゾリン体を、100mMリン酸ナトリウムバッファー(pH9.0)中で、50℃の温度に3日間保つことにより脱水し、前記式(V)で表されるFmoc−Lys−SGイミダゾ−ル体を得た。MALDI−TOF−MS測定を行ったところ、計算値とよく一致する測定値を得てFmoc−Lys−SGイミダゾ−ル体が得られていることを確認した。
合成例2(Lys−SGイミダゾール体の合成)
Fmoc−Lys塩酸塩の代わりにLys塩酸塩を用いた以外は、合成例1と同様な方法、条件にて反応を行ったところLys−SGイミダゾール体を得た。
合成例3(Fmoc−Lys−GlcNAcイミダゾール体の合成)
特開2018−21001号公報に記載の実施例15、16と同じ方法、条件により反応、精製を行い、同公報中に記載の構造式(p)で表される糖イミダゾ−ル誘導体(Fmoc−Lys−GlcNAcイミダゾ−ル体)を得た。MALDI−TOF−MS測定を行ったところ、計算値とよく一致する測定値を得てFmoc−Lys−GlcNAcイミダゾ−ル体が得られていることを確認した。
合成例4(Fmoc−Lys−M3イミダゾール体の合成)
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0132848のMaterials and Methods中のPreparation of oligosaccharide oxazolines (M3-Oxa, G0-Oxa, G2-Oxa, and A2-Oxa) に記載の方法により合成した下記構造式(XVII)で表される化合物(M3:25.5mg、36μmol)に、0.5Mの2−クロロ−1,3−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−3−イムクロライド(CDMBI)水溶液(360μL)を加えて撹拌した。0℃でトリエチルアミン(75.4μL、538.6μmol)を加えて、4℃、1000rpmで30分間振とうさせた。得られた反応液を、以下の条件で逆相HPLCにかけ、分離精製を行った後、0.1N水酸化ナトリウム(10μL)を加え凍結乾燥して、下記構造式(XVIII)で表されるM3オキサゾリン(M3O:14.0mg、収率54.9%)を得た。
Figure 2020005547
得られたM3O(12.8mg、18μmol)を0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)(500μL)に溶解させた。その後、N,N−ジメチルホルムアミド:蒸留水(1:1)に溶解した40mMのFmoc−Lys塩酸塩(500μL、20μmol:9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基がリジンのα−アミノ基に結合した化合物の塩酸塩)を加え、30℃で24時間静置した。精製を行い、糖イミダゾリン誘導体(Fmoc−Lys−M3イミダゾリン体)を得た。MALDI−TOF−MS測定を行ったところ、計算値とよく一致する測定値を得てFmoc−Lys−M3イミダゾリン体が得られていることを確認した。
このようにして得られたFmoc−Lys−M3イミダゾリン体を、100mMリン酸ナトリウムバッファー(pH9.0)中で、50℃の温度に7日間保つことにより脱水し、Fmoc−Lys−M3イミダゾ−ル体を得た。MALDI−TOF−MS測定を行ったところ、計算値とよく一致する測定値を得て前記式(IV)で表されるFmoc−Lys−M3イミダゾ−ル体が得られていることを確認した。
[実施例 阻害活性の測定]
下記のエンドグリコシダーゼ阻害剤について、その阻害活性を測定した。
(測定対象のエンドグリコシダーゼ阻害剤)
・合成例1により得られた前記式(V)で表される糖イミダゾール誘導体(Fmoc−Lys−SGイミダゾール体)。
・合成例1により得られた糖イミダゾリン誘導体(Fmoc−Lys−SGイミダゾリン体)。
・合成例2により得られた糖イミダゾール誘導体(Lys−SGイミダゾール体)。
・合成例3により得られた糖イミダゾール誘導体(Fmoc−Lys−GlcNACイミダゾール体)。
・合成例4により得られた前記式(IV)で表される糖イミダゾール誘導体(Fmoc−Lys−M3イミダゾール体)。
・キチンオリゴ糖(甲陽ケミカル社製)
・ランソプラゾール(富士フィルム和光純薬工業社製)
・オメプラゾール(富士フィルム和光純薬工業社製)
・ラベプラゾール(富士フィルム和光純薬工業社製)
(阻害活性の測定方法)
酵素としてEndo−CC(伏見製薬所社製のエンドグリコシダーゼ)を使用し、シアリルグリコペプチド(SGP)をシアリル化糖鎖(SG)とグリコペプチド(GP)に加水分解する反応を、前記エンドグリコシダーゼ阻害剤の存在下及び非存在下で行い、エンドグリコシダーゼ阻害剤による前記加水分解する反応の阻害率を求めた。具体的な反応条件を以下に示す。
(酵素溶液の作製)
Endo−CCを10質量倍の20mM Tris−HCl buffer(pH7.5)に溶解して、酵素溶液を作製する。
(阻害基質溶液の作製)
前記エンドグリコシダーゼ阻害剤のそれぞれを以下に示す溶媒に溶解し、4mMの阻害基質溶液を作成した。
水:阻害剤がFmoc−Lys−SGイミダゾール体、Fmoc−Lys−SGイミダゾリン体、Lys−SGイミダゾール体、Fmoc−Lys−GlcNACイミダゾール体、Fmoc−Lys−M3イミダゾール体の場合
1%DMSO水溶液:阻害剤がキチンオリゴ糖、ラベプラゾール、オメプラゾールの場合
10%DMSO水溶液:阻害剤がランソプラゾールの場合
実験1 Co−incubationの場合
前記酵素溶液を20μl、4mMのSGP(基質)水溶液を4μl、4mMの阻害基質溶液を4μl、反応buffer(リン酸緩衝液:0.2Mol NaHPO−NaHPO:pH8.0)を8μl、さらに水4μlを加えて合計40μlとした後、サーマルサイキュラー(TaKaRa社製:PCR Thermal Cycler Dice Touch)中に入れて37℃で70分反応させた後、5分間99℃に加熱して反応を停止した。その後4℃に冷却して、HPLC測定用試料を調整した。
このようにして得られた試料について、下記の条件でHPLCの測定を行い、未反応SGPと生成されたGPのピーク面積の和に対する、加水分解により生成したGPのピーク面積の割合(GP/(未反応SGP+GP):この割合をP1とする)を求めた。
[HPLCの条件]
(1)分析機器:紫外可視検出器(Agilent Infinity1260社製)
(2)カラム:メルク社製 クロモリス パフォーマンス RP−18e100−2
(3)移動相
A液:0.1% TFA
B液:アセトニトリル
A液とB液の混合液を用い、Bの比率(Vol%)を、0−7分は0%−7%に変化させ、7−8分は7%−100%に変化させ、8−9分は100%とし、9−10分は100%−0%に変化させた。
(4)流速0.4ml/min
(5)カラム温度:40℃
(6)検出;UV214nm
4mMの阻害基質溶液4μlの代わりに、阻害剤を溶解していない溶媒(水、1%DMSO水溶液又は10%DMSO水溶液)を4μl用いた以外は、前記と同様にして得られた試料について、前記の条件でHPLCの測定を行い、未反応SGPと生成されたGPのピーク面積の和に対する、加水分解により生成したGPのピーク面積の割合(GP/(未反応SGP+GP):この割合をP2とする)を求めた。
上記で得られたP1及びP2から下記式により得られた結果を阻害率とする。各阻害剤についての阻害率を表1に示した。
100−{(P2/P1)×100}(%)
実験2 Pre−incubationの場合
サーマルサイキュラー中での70分の反応を、4mMのSGP(基質)水溶液を加えない合計36μlについて37℃で60分反応させた後、4mMのSGP(基質)水溶液を4μl加えてさらに10分間反応させて行った以外は、Co−incubationの場合と同様にして、HPLC測定用試料を調整し、各阻害剤についての阻害率を求め、その結果を表2に示した。
Figure 2020005547
Figure 2020005547
表1、2に記載の結果より、以下が示されている。
実施例1、3で使用したFmoc−Lys−M3イミダゾール体は、3つの単糖からなり分岐している糖鎖が結合している糖イミダゾール体に、塩基性アミノ酸であるリジンのα−アミノ基が保護基(Fmoc)により保護されている残基が結合している化合物であり、
実施例2、4で使用したFmoc−Lys−SGイミダゾール体は、9つの単糖からなり分岐している糖鎖が結合している糖イミダゾール体に、塩基性アミノ酸であるリジンのα−アミノ基が保護基(Fmoc)により保護されている残基が結合している化合物であるが、
これらをエンドグリコシダーゼ阻害剤として用いた場合は、いずれも50%超える高い阻害率が得られている。
一方、Fmoc−Lys−SGイミダゾール体の代わりに、
SGイミダゾ−ル体をSGイミダゾリン体としたFmoc−Lys−SGイミダゾリン体、
リジンのα−アミノ基が保護基(Fmoc)により保護されていないLys−SGイミダゾール体、又は
SGを1つの単糖からなるGlcNAcに置き換えたFmoc−Lys−GlcNAcイミダゾール体
をエンドグリコシダーゼ阻害剤として用いた場合は、実施例に比べてはるかに低い阻害率しか得られていない。
又、既存の文献報告等によりエンドグリコシダーゼによる酵素反応を停止する作用を有する可能性が考えられたキチンオリゴ糖、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾールをエンドグリコシダーゼ阻害剤として用いた場合も、実施例に比べてはるかに低い阻害率しか得られていない。
以上の結果より、2以上の単糖からなる糖鎖残基を有する糖イミダゾール誘導体に、塩基性アミノ酸の残基であってその中に含まれるアミノ基が保護基により保護されている1価基が結合している化合物が、エンドグリコシダーゼによる酵素反応に対する優れた阻害活性を有すること、
他の化合物、例えば糖イミダゾリン誘導体の場合、塩基性アミノ酸の残基中に含まれるアミノ基が保護基により保護されていない場合、糖鎖残基が1つの単糖からなる場合は、優れた阻害活性を有しないことが示されている。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表される糖イミダゾール誘導体からなるエンドグリコシダーゼ阻害剤。
    Figure 2020005547

    [式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素又は酸素と共有結合可能な一価の有機基であり、Rは、2以上の単糖からなる糖鎖残基であり、Raは、塩基性アミノ酸から1つのアミノ基を取り除いた残基であって、前記残基中に含まれるアミノ基が保護基により保護されている1価基であり、Rは、水素又は炭素数1〜20のアルキル基であり、nは0又は1である。]
  2. が、3以上11以下の単糖からなり分岐している糖鎖残基である請求項1に記載のエンドグリコシダーゼ阻害剤。
  3. が、下記式(II)で表される糖鎖残基である請求項2に記載のエンドグリコシダーゼ阻害剤。
    Figure 2020005547

    [式中、R5及びR6は、水素又は下記式(IIa)、(IIb)もしくは(IIc)で表される1価基である。]
    Figure 2020005547
  4. が、下記式(III)で表される糖鎖残基である請求項2に記載のエンドグリコシダーゼ阻害剤。
    Figure 2020005547

    [式中、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、水素又は下記式(IIIa)で表される1価基であるが、R7、R8及びR9の中の1つ又は2つは水素であり、R10、R11及びR12の中の少なくとも1つは水素であり、かつR7、R8、R9、R10、R11及びR12の中の3〜5は水素である。]
    Figure 2020005547
  5. 前記塩基性アミノ酸から1つのアミノ基を取り除いた残基が、リジンからその側鎖にあるアミノ基を取り除いた残基である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のエンドグリコシダーゼ阻害剤。
  6. 前記保護基が、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、tert−ブトキシカルボニル基(Boc)及び疎水性アミノ酸からそのカルボキシル基の水素を除いた残基からなる群より選ばれる請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のエンドグリコシダーゼ阻害剤。
  7. 下記式(IV)で表される糖イミダゾール誘導体からなるエンドグリコシダーゼ阻害剤。
    Figure 2020005547
  8. 下記式(V)で表される糖イミダゾール誘導体からなるエンドグリコシダーゼ阻害剤。
    Figure 2020005547
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