JP2020004896A - 半導体製造用離型フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
特に、製造工程における工程離型フィルムは、製造工程において原材料、製造中間体、最終製品などが製造設備との接触や剥離し難くなり無理な剥離により、製品表面が荒れたり、欠損したりして、製品の外観が悪化するため、歩留まりの低下、良好な外観を得るための後処理、後処理のための工程数の増加及びその処理時間の増加などを要し、コストアップの要因となっていることから、このような問題を回避するため導入されている。
いずれの半導体パッケージも半導体素子を保護する樹脂封止部を有する。樹脂封止部の形成(半導体素子の封止)には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が用いられる。そして、いずれの半導体パッケージの製造方法として、例えば、半導体素子が実装された基板を、該半導体素子が金型のキャビティ内の所定の場所に位置するように配置し、キャビティ内に硬化性樹脂を充填して樹脂封止部を形成する、いわゆる圧縮成形法またはトランスファ成形法による封止工程を含む方法が知られている。該方法においては、通常、樹脂封止部と金型との固着を防ぐために、金型のキャビティ面に半導体製造用離型フィルムが配置される。
近年は、特に、高付加価値の商品化として半導体素子を高密度に配置した半導体装置を強く指向するようになり、多数の半導体素子を基板上に設置し、樹脂封止部を形成した多数の半導体パッケージを一括して形成することが指向されている。このような半導体パッケージの製法は、一括モールド法と呼ばれ、基板に複数の半導体素子を実装し、それらの半導体素子を硬化性樹脂で一括封止して、基板と複数の半導体素子と樹脂封止部とを有する一括封止体を得る工程と、複数の半導体素子が分離するように一括封止体の樹脂封止部および基板を切断、個片化して複数の半導体パッケージを得る工程とを経る方法である。この方法は、生産性に優れることから広く用いられている。
しかも、半導体パッケージは樹脂の成形品であり、成形の際、離型フィルムは表面の成形品の凹凸に追従し、しかも追従後、離型フィルムが熱により変形することは成形品の外観、形状を正確に転写できなくなったり、シワを生じたりするなど影響を及ぼすことから、成形品を安定して形成するため封止時の温度での熱寸法安定性も求められる。
しかしながら、このような離型フィルムは、剥離性を得るためエチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)フィルムを用い、精密な凹凸の制御を必要とし、他への応用がし難く、しかも製造が複雑となり、製造コストが掛かる、大量生産に向かないなどの問題がある。
好ましくは、半導体パッケージの製造に用いられるエポキシ樹脂との離型性、離型フィ
ルムの手作業による除去を効率的に行える離型性及び作業性を備える離型フィルムを提供することを目的とする。
さらに、樹脂表面への印字工程でのインキの付着性、金型大面積化に伴う樹脂とフィルム間へのエア噛み込み、後工程でのダイシング時の樹脂割れ(シンギレーション時の割れ)を防ぐことができる離型フィルムを提供するものである。
[1] 基材フィルム、前記基材フィルム上に少なくとも片面に設けられた離型層とからなり、基材フィルムが熱寸法安定性及び耐熱性を有するポリエステルフィルムであり、離型層が、反応性官能基含有含フッ素ポリマー、変性シリコーンオイル、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系ポリイソシアネート及び粒子を含むコーティング組成物層である、半導体製造用離型フィルムであって、前記反応性官能基含有含フッ素ポリマーは、含フッ素モノマーに基づく重合単位と、水酸基含有ビニルモノマー及びカルボキシル基含有ビニルモノマーからなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基含有モノマーに基づく重合単位とを含むコポリマーであり、HDI系ポリイソシアネートは、イソシアヌレート型及びアダクト型のHDI系ポリイソシアネートを含むものであり、変性シリコーンオイルは、少なくとも塩基を有する変性メチルポリシロキサンである、半導体製造用離型フィルムである。
[2] 反応性官能基含有含フッ素ポリマーは、含フッ素モノマーが少なくとも4フッ化エチレンモノマーを含む含フッ素モノマーに基づく重合単位のコポリマーであり、変性シリコーンオイルは、少なくともアミノ基を有する変性メチルポリシロキサンであり、HDI系ポリイソシアネートは、プレポリマタイプであって、イソシアヌレート型及び又はウレタン変性アダクト型である、半導体製造用離型フィルムである。
[3] 反応性官能基含有含フッ素ポリマーは、4フッ化エチレンモノマーをモノマー基準で60〜95モル%含み、反応性官能基としてカルボン酸基及び又は水酸基を含有するビニルモノマーを含む含フッ素ポリマーである、半導体製造用離型フィルムである。
[4] 変性シリコーンオイルは、0.1〜1.0質量%含有し、
HDI系ポリイソシアネートは、HDIイソシアヌレートとHDIアダクトが、9:1〜5:5(イソシアヌレート型及びアダクト型のNCOモル比)の割合で含む、半導体製造用離型フィルムである。
[5] 粒子は、粒子は、平均粒径が2〜9μmの粒子である、半導体製造用離型フィルムである。
[6] 粒子は、有機粒子又は無機粒子である、半導体製造用離型フィルムである。
[7] 粒子は、無機粒子であって、ゾルゲル型のシリカである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体製造用離型フィルム。
[8] 粒子は、コーティング組成物全質量の5〜15質量%含有し、コーティング塗膜の乾燥厚さが、0.1〜10μmである、半導体製造用離型フィルムである。
[9] コーティング組成物は、チタン系触媒を含み、有機溶媒が酢酸エチル/メチルエチルケトンの混合溶媒である、半導体製造用離型フィルムである。
[10] 基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートである、半導体製造用離型フィルムである。
[11] 基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートであって、ポリマー中の残存モノマーを低減処理したものである、半導体製造用離型フィルムである。
離型層と基材フィルムとの密着性も向上したものが得られる。
本発明の離型フィルムは、物性的にみても、エポキシ樹脂に対するJISの剥離試験法(JIS K 7125に準拠)による剥離強度(離型性)が、175℃、50mN/20mm、23℃、40mN/20mm、JIS K 7125に準拠により金型への追従性に関連している動摩擦係数(滑り性)は、175℃、マット面で0.17、グロス面で0.27と、従来の離型フィルムに見られない非常に良好な剥離性を示すとともに、金型への追従性が高温でも良好な滑り性を示すものが得られている。
離型フィルムとして、金型追従性を評価するため175℃での引張試験(JIS K 7127に準拠)の結果も、200%モジュラス60MPa以上、破断伸度370%と強度的に優れた特性を示すとともに、成形品が硬化して隅部ができても突き刺し強度試験(JIS Z 1707に準拠)の結果も、少なくとも突刺し強度は10N以上、平均的にも8N以上を示し、本発明の離型フィルムは破れにくく、耐破壊強度に優れた成形性を備える離型フィルムを得ることができる。
120±5℃、相対湿度75%、0.2MPaで60分間の試験による劣化の影響をみても使用後の引張強度が使用前の90%以上を維持しているという好結果が得られている。
本発明によれば、優れた物性、性能及び特性を備える半導体製造用離型フィルムであっ
て、従来の離型フィルムよりも樹脂との離型性が優れ、しかも、破れにくく、樹脂で封止する際の樹脂漏れを抑制して、バリの付着がなく、また、付着したバリが容易に除去できるものであり、従来にない半導体パッケージを製造するに適した離型フィルムが得られる。
図2に示されるように、半導体製造時に工程離型シートとして用いられるものであって、金型表面に本発明の半導体製造用離型フィルムを配置し、半導体パッケージを構成する1つ又は複数の半導体素子を配置した半導体装置の表面との間にエポキシ樹脂を充填して半導体素子を封止し、成形品とするため用いるものである。このように配置することにより、金型面との離型、金型面のエポキシ樹脂による汚染を防止し、さらにエポキシ樹脂による封止面との離型を容易にするとともに、封止した成形品表面の汚染、整形及び成形性を向上させることができる。
本発明における離型フィルムを構成する離型層は、離型性コーティング組成物のコーティング塗膜である。
離型性コーティング組成物は、その発現する特性として、離型性、コーティング材が塗布される被塗物であるフィルム又はシート状の基材との密着性を備えるもの、塗膜として引張力や屈曲力が加わったとき膜割れが生じない、又は破れやピンホールが発生し難い適度な伸び又は塗膜面粗度を有するもの、あるいは常温・高温での滑り性を有するものなどの物性や特性を少なくとも1つ備え得る塗膜を形成することができるものであってもよい。本発明の離型性コーティング組成物は、特に、エポキシ樹脂に対して離型性を有するものであって、耐熱性を備えるものが好ましい。
本発明の半導体製造用離型フィルムの離型層を構成する反応性官能基含有含フッ素ポリマーとしては、フッ素樹脂の共通した特性:耐熱性、難付着性、滑り性、耐薬品性などの特性を発現し得るフッ素樹脂及び変性フッ素樹脂であり、コーティング材として取扱うことができる特性を有するものであって、反応性官能主成分となるフッ素ポリマーを含有するコーティング組成物の離型層が形成できる離型性コーティング組成物を提供するものである官能基が導入される含フッ素ポリマーとしては、少なくとも4フッ化エチレンモノマー単位を含み、含フッ素モノマーに基づく重合単位のコモノマーをさらに含む又は含まない重合体であり、該含フッ素ポリマーに反応性の官能基を導入したポリマーである。
含フッ素モノマーに基づく重合単位のコモノマーとしては、(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステルモノマーが選択され、(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステルモノマーのアルキル基が、その炭素数は、特に限定されないが、通常1〜12以下であり、常温時の粘度と塗工性との観点から、好ましくは2〜8である。アルキル基は分岐していても、直鎖状でもよく、水素がフッ素に置き換わったパーフルオロアルキル基の基本となるアルキル基としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル等が挙げられる。
剤性、耐薬品性を発現し得るフッ素樹脂及び又は変性フッ素樹脂コーティング系ポリマー材料として用いることができる。4フッ化モノマーが60モル%以下では、フッ素樹脂としての特性を十分に発揮できず、95モル%以上であると塗工性に問題が生じる。
そして、そのような反応性官能基を有するコモノマーは、含フッ素モノマーと共重合体が形成でき、変性シリコーンオイルに合わせて適宜選択される官能基を含有するモノマーであって、含フッ素モノマーと反応し、反応性官能基含有フッ素ポリマーの製造の容易さから、反応性の官能基を備えるモノマーが選択される。
反応性が良好な入手が容易な点から水酸基、カルボキシル基、−COOCO−で表される基、アミノ基、エポキシ基、アミノ基を備えるモノマーが好ましい。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
反応性官能基含有含フッ素ポリマーとするため用いる水酸基含有及び/又はカルボキシル基含有ビニルモノマーの含有量は、0.2〜20モル%であり、好ましくは、0.2〜10モル%である。
本発明の半導体製造用離型フィルムの離型層を構成する変性シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサンの特長を活かしながら、メチル基の一部を各種有機基の置換基を導入したものである。変性シリコーンオイルは、一般的に消泡性、はっ水性、熱酸化安定性、化学的安定性、生理的不活性などジメチルシリコーンオイルの持つ特性に加え、有機物との相溶性や化学反応性、水との溶解性、乳化性やはっ水性、ペインタブル性、帯電防止性、柔軟性あるいは潤滑性を付与するため目的に適合する置換基を選択し、導入されている。
反応性官能基含有フッ素ポリマーに導入する官能基と反応し得る官能基、特に、カルボン酸基、水酸基、又はアミノ基、エポキシ基を有する変性メチルポリシロキサン(側鎖型)が好ましく用いることができる。具体的には、モノアミン変性シリコーンオイル、ジアミン変性シリコーンオイル、アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーン等を使用できる。
本発明の離型層を形成する離型性コーティング組成物としては、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤を含むことにより、本発明の離型性コーティング組成物を用いて半導体製造用離型フィルムに適合した離型性塗膜を形成することができる。
上記硬化剤は、反応性官能基含有含フッ素ポリマーの反応性官能基と反応して架橋するものであって、反応性官能基含有含フッ素ポリマーの反応性官能基に応じて選択される。例えば、水酸基含有含フッ素ポリマーに対しては、イソシアネート系硬化剤、メラミン樹脂、シリケート化合物、イソシアネート基含有シラン化合物などが好ましく例示できる。また、カルボキシル基含有含フッ素ポリマーに対してはアミノ系硬化剤やエポキシ系硬化剤が、アミノ基含有含フッ素ポリマーに対してはカルボニル基含有硬化剤やエポキシ系硬化剤、酸無水物系硬化剤が通常採用できる。
上記ブロックイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート化合物、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートと3価以上の脂肪族多価アルコールとを付加重合して得られるアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアヌレート環を1個又は2個以上有するもので、イソシアヌレートの三量化反応、五量化反応、七量化反応により得られるイソシアヌレート構造体(ヌレート構造体)、及び、ヘキサメチレンジイソシアネートからなる、イソシアヌレート構造体を得る場合とは異なる条件下で、ヘキサメチレンジイソシアネートを三量化することにより、得ることができるビウレットを挙げることができる。
チレンジイソシアネートと3価以上の脂肪族多価アルコールとのアダクトである場合、該3価以上の脂肪族多価アルコールとしては、具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,1,1−トリス(ビスヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタノール−3等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセロール等の4価アルコール;アラビット、リビトール、キシリトール等の5価アルコール(ペンチット);ソルビット、マンニット、ガラクチトール、アロズルシット等の6価アルコール(ヘキシット)等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが特に好ましい。
ヘキサメチレンジイソシアネートと、上記のような3価以上の脂肪族多価アルコールとを付加重合することにより、上記アダクトが得られる。
硬化剤の含有量は、反応性官能基含有含フッ素ポリマー中の反応性官能基1当量に対して、0.1〜5当量であることが好ましく、0.5〜1.5当量であることがより好ましい。
本発明の半導体製造用離型フィルムの離型層を構成するコーティング組成物は、添加剤として反応促進剤を配合することができる。反応促進剤として、例えば、有機スズ化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機チタネート化合物、アミン系化合物、オクチル酸鉛などがあげられる。具体的には、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズフタレート、ジブチルスズメトキシドなどの有機スズ化合物、有機酸性リン酸エステル、本発明では、特に、チタン系化合物が好ましく用いられ、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート好ましく用いられる。
反応促進剤は1種又は2種以上を併用してもよい。反応促進剤の配合割合は反応性官能基含有含フッ素ポリマー100重量部に対して1.0×10-3〜6.0×10-2重量部程度が好ましく、1.0×10-2〜5.0×10-2重量部程度がより好ましい。添加量が多いと、硬化反応が促進され速すぎてハンドリング性が悪い。少ないと、硬化反応が遅く、ブロッキング性が悪化する。
本発明の半導体製造用離型フィルムの離型層を構成する組成物には、塗膜表面の離型性を与えるために粒子を添加することもできる。粒子としては、有機粒子及び又は無機粒子等を用いることができる。
有機粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオルエチレン、ジビニルベンゼン樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン、メラミン樹脂等のような樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素等の金属塩、カオリン、クレー、タルク、亜鉛華、鉛白、ジークライト、石英、ケイソウ土、パーライト、ベントナイト等のような
無機粒子が使用できる。これらの粒子は、いずれか1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、より好ましい表面粗さ、滑り性、耐ブロッキング性が得られるという観点から、無機粒子が好ましい。とりわけ、酸化チタン粒子、シリカ粒子が好ましい。また、塗膜中にボイドが形成され難いという点、また、適した表面態様が得やすいという点から、ゾルゲルタイプシリカが好ましく用いることができる。
粒子の形状としては、特に限定されず、球形、塊状不定形等が用いられる。例えば、半導体チップを樹脂で封止するとき離型性コーティング組成物を離型層として用いた場合、離型性及び樹脂漏れを抑止する効果が高いため、球形のものが好ましい。
粒子の平均粒子径は、コールターカウンター、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置、遠心沈降式粒度分布測定装置等で測定することができるが、ここでは、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定し、平均粒子径を求めた。
粒子としては、比表面積が低い程,表面に凹凸が形成され易いが,比表面積が低すぎると分散性が悪くなるため、例えば、ゾルゲルタイプシリカであれば、粒径9μm,比表面積300m2/gのものが好ましい。
その添加量は、全質量の3〜85質量%であることが好ましく、5〜70質量%であることがより好ましい。
ゾルゲルタイプシリカの添加など最適固形分濃度(N.V.30〜40%)の範囲とすることにより表面に凹凸を形成し、ブロッキングを防止でき、離型性などコーティング材として優れたものが得られる。
本発明の半導体製造用離型フィルムの離型層を構成するコーティング組成物は、その他の添加材として、必要に応じて可塑剤、分散剤、若しくは分散安定剤、増粘剤、消泡剤、滑り性付与剤、密着向上剤、剥離力コントロール剤、顔料、レベリング剤、通常の防腐剤;pH調整剤など公知のものを加えることができる。
例えば、作業性や加工性の点から、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルカルビトールフタレート、メチルセロソルブなどの可塑剤や造膜助剤、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどの分散剤若しくは分散安定剤、ノニオン系界面活性剤などの湿潤剤、保護コロイド用の水溶性高分子化合物などの増粘剤、シリコーン油、鉱油などの消泡剤、炭酸カルシウム、クレー、シリカなどの通常の充填剤などを配合してもよい。
本発明の半導体製造用離型フィルムの離型層を形成するコーティング組成物の塗膜を形成するためコーティング組成物を、例えば、有機溶媒に溶解した溶液型、水性溶媒に分散した水分散型、非水分散型ディスパージョン、粉体化した粉体型さらにこれらに硬化剤を配合した硬化型組成物などの態様で利用することができる。しかし、取扱性、作業性に優れた溶液型がより好ましい。有機溶媒溶液とする場合は、含フッ素共重合体の濃度を5〜95質量%、好ましくは10〜70質量%とすればよい。
分であり、本発明の含フッ素ポリマーは使用する溶媒の種類や条件の制限が少なく、コーティング組成物の成分を均一に溶解できる任意量の有機溶剤が使用でき、組成物を溶媒により希釈し、塗膜形成効率、取扱性、乾燥速度などを調整することができる。
本発明の半導体製造用離型フィルムの離型層に用いるコーティング組成物の塗膜形成のため用いる共重合体に好適に使用できる有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、tert−ブタノール、iso−プロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;ジメチルスルホキシドなど、またはこれらの混合物などがあげられる。特に、酢酸エチル及び又は酢酸ブチル/MEKの組合せがコーティング組成物の速乾性、ブロッキング性、粘度などコーティング材料として作業性、取扱性の面で好ましいものが得られる。
本発明の離型フィルムに用いるコーティング組成物塗工液は、上記したように必要に応じて他の成分を、有機溶媒に混合、溶解または分散することにより調製することができる。
コーティング組成物塗工液は、容器内でハイスピードミキサ、ホモミキサ、ペイントシェーカーなどのミキサや混合溶解機など公知の装置を使用して上記したような水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基含有モノマーと含フッ素モノマーの含フッ素共重合ポリマー、アミノ基などの官能基を有するメチルポリシロキサンなどの変性シリコーンオイル、ゾルゲル系シリカを、含フッ素ポリマーに好適な有機溶剤又は混合溶剤に添加し、混合分散液とし、イソシアヌレート型とアダクト型HDI系ポリイソシアネート、チタン系触媒を加え、攪拌し、均一に分散することによりコーティング組成物塗工液を調製する。ここでは、混合、分散のためエッジタービン型の高速ディゾルバーを用いたが、特に限定されるものではない。
工程離型フィルムに用いる基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、セルロ−ス系樹脂等の各種の樹脂のフィルムないしシ−ト(単に、フィルムという)を使用目的、使用条件に応じて変更し使用することができる。
寸法安定性を付与するため各種の樹脂のフィルムを製造し、更に、必要に応じて、例えば、ロール又はテンタ−方式の延伸機により、あるいは、チューブラー方式等を利用して延伸温度70〜120℃、延伸倍率2.5〜7倍で1軸ないし2軸方向に延伸する。延伸には、逐次延伸又は同時延伸を採用することもできる。そして、引き続き、170℃〜270℃の温度で緊張下又は適度な弛緩下で熱処理(アーニリング処理)して延伸配向フィルムとした、本発明の半導体製造条件に適合した各種の樹脂フィルムを使用することができる。
半導体パッケージを成形したときに、金型追従性を有するものであること、成形時に離型フィルムの噛み込みのない成形ができること、厳しい製造条件下でも使用に耐える離型フィルムであること、コーティング材と基材フィルムとの間の密着性が強固でコーティング材が剥がれないことなどが求められている。そのような離型フィルムを提供するため、コーティング材料に求められる物性を補完しつつ上記性質を備えるように適合化処理されるために必要となる基材フィルムが求められ、選択される。
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。またp−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸も用いることができる。更にその他の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよい。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが例示される。これらのポリエステル系合成樹脂を公知の方法により成膜したフィルムを用いることができる。
次に、本発明の半導体製造用離型フィルムの優れた特徴である、前記した基材フィルムに離型層を形成する少なくとも片面に設けられるコーティング組成物塗布層を設けることについて説明する。
本発明において離型フィルムを構成するコーティング組成物のコーティング塗工液については前記したとおりである。前記コーティング塗工液を用い前記した基材フィルム(ポリエステル系)に塗布層を設ける場合、本発明の半導体製造用離型フィルムの離型層を構成するコーティング組成物を直接又は適当な有機溶剤で希釈した後、塗工液をフィルム上に塗布することで塗膜形成積層フィルムを製造するのが好ましく。塗膜層を形成する方法としては、公知の任意の塗布方法が適用でき、例えばグラビアロールコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤーバーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法、ドクターブレード法、さらに薄膜の塗工には高精度のオフセットコーター、多段ロールコーター等を単独または組み合わせて適用することができる。容器内の酢酸ブチル溶剤で希釈したコーティング組成物塗工液を基材フ
ィルムに適用する方法として、ポリエステル系フィルムを製膜中または形成したフィルム上に塗布することで離型層として形成できる。
本発明の半導体製造用離型フィルムの離型層を構成する離型性コーティング組成物の塗膜の性状及びその塗膜の物性を測定し、半導体パッケージの製造用の離型層に適合するコーティング組成物を評価するため、以下のように、表1〜4に示すような離型層を形成する塗膜を構成するコーティング組成物を調製した。そして、コーティング組成物の塗膜を有する離型フィルムを製造し、実施例のコーティング組成物の塗膜を有する離型フィルムの試験片を切り出し、該試験片を用いて測定、評価した。
容器内に、酢酸ブチル6.2質量部と、フッ素樹脂モノマー単位として4フッ化エチレンモノマー76モル%、ビニルモノマー単位としてヒドロキシエチルアリルエーテル24モル%の水酸基を反応性官能基として含有するフッ素ポリマー(ダイキン工業社製、ゼッフルGK570)100質量部と、コーティング組成物は、いずれも、ゾルゲル型シリカ(平均粒径9μm、富士シリシア化学社製,サイリシア380)11.5質量部を加え撹拌し、均一に混合分散を行った。
次いで、この混合分散液にアミノ変性メチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、KF865)0.3質量部を添加し、さらに1時間撹拌を行なったのち,イソシアヌレート型HDI系ポリイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製,スミジュールN3300)10質量部とアダクト型HDI系ポリイソシアネート(旭化成株式会社製、デュラネートAE700−100)7.8質量部とチタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセテートチタン系触媒を0.03質量部加え、有機溶媒として酢酸ブチルで希釈したものを加え、30分撹拌し、得られた配合混合液をフィルター(目の開き10μm)で濾過して離型性コーティング組成物を得た。
表1〜4に示す調製した反応性官能基含有フッ素ポリマー含有コーティング組成物を酢酸エチルとMEKの混合溶媒により粘度10cpsになるまで希釈し、キスリバース若しくはダイレクトグラビアリバース方式のコーティング装置を用い、ラインスピード10〜20m/min、硬化(乾燥)温度120〜160℃、10〜60秒の塗工条件で本発明の離型フィルムに適合するポリエチレンテレフタレートフィルム基材(帝人社製、テトロンG))厚さ38μmを用い、該基材フィルム上に少なくとも片面に乾燥塗膜の厚みが5μmになるように塗布し、加熱乾燥した。ここでは、ポリエチレンテレフタレートフィルムとして、低分子オリゴマーをできるだけ除き、さらに熱安定性を付与するためアーニリング処理したものを用いた。
その後、40℃、48時間エージング処理し、塗膜を完全に硬化させた。
本発明の少なくとも片面にコーティング組成物塗膜積層ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型フィルム(図1)から、長さ200mm×幅15mmの短冊状試験片を切り出し、試験片とした。
そして、各実施例の離型フィルムについてコーティング組成物の塗膜の性状及びその塗膜の物性等を、下記各測定方法を採用し、上記試験片を測定し、その測定結果を表1〜4にまとめて示すとともに、離型フィルムの離型層としてのコーティング組成物の塗膜の適合性を評価した。
離型層としてのコーティング組成物塗膜を形成した離型フィルムについて、試験片に対し下記測定及び評価を行った。
本発明の半導体製造用離型フィルムに用いる離型性コーティング組成物の塗膜からなる離型層は、表1〜表4に示したコーティング組成物が利用できる。
ホットプレートの上にポリエチレンテレフタレート(PET)単体フィルムを載せ,その上に下記黒エポキシ樹脂0.5gを塗布し、そのエポキシ樹脂塗布面上に、離型性コーティング組成物をポリエステルフィルム上に塗布した上記幅30mm×長さ150mmの試験片を離型性コーティング組成物の塗膜面を合わせ、加熱温度175℃で黒エポキシ樹脂を硬化させる。硬化後,剥離力測定には、引張剥離試験機を使用し,試験片とエポキシ樹脂の剥離力を測定する。
黒エポキシ樹脂組成物として、エポキシ樹脂(サンユレック(株)製「EF-200」)にフィラー径20μm/55μmのフィラー、ここでは、球状シリカを83質量%添加したものを用いてゲル化処理してなるエポキシ樹脂組成物を用いた。
剥離速度100mm/min,剥離時温度23℃,175℃の条件下、JIS K 7125、JIS Z0237に準拠して剥離を行った。下記判定基準により剥離力の評価を行った。
剥離力:3:100 MN/20mm未満
2:100〜200 MN/20mm
1:200 MN/20mm以上
ポリエチレンテレフタレート基材上に設けられた離型性コーティング組成物の塗膜の密着性の評価手法としては、JIS K 5400」の試験方法により行った。
試験片上の塗膜に対して、カッターナイフを用いて塗膜を貫通してポリエチレンテレフタレートフィルム基材(素地)に到達するまでの切り込みを11×11の賽の目状に入れ、塗膜の切れ目における傷の広がりの大小から、塗膜のもろさや基材への付着性の良否を評価するもので、特に、JIS Z 1552」で規定された手法によってカットした塗膜面にセロハン粘着テープをはりつけ,塗膜にテープを付着させた後,テープの端を持って塗膜面に直角に保ち,瞬間的にひきはがすセロハンテープ剥離試験が施され、はがした時の状態を観察し密着性の良否を数値化して、下記判定基準により密着性の評価を行った。
3:剥離無し
2:5%未満の剥離
1:5%以上の剥離
ポリエチレンテレフタレート基材上に剥離性コーティング組成物の塗膜層を形成して積層フィルムとし、JIS K 7127に準拠した方法で引張り破断伸びを測定した。測定は、幅15mm×長さ200mmの試験片を,温度180に保持した空気循環式恒温槽中に垂直につるし,30分、1時間、4時間、16時間加熱した後取り出す。 室温に30分間放置してから,引張試験機(エー・アンド・デイ製テンシロン万能材料試験機 RTG-1210)を使用して測定速度300mm/min, 測定温度23℃、175℃で引張り,塗膜の割れが発生する伸度を測定し,各時間5本の平均値を求める。
熱安定性評価に関しては、前記方法に従い180℃で1000(min)にわたり、引張強度の変化及び破断伸度の変化を測定し、引張強度保持率(%)及び破断伸度の変化(%)により半導体製造用離型フィルムを評価した。
なお、フィルム成形時のMD方向(流れ方向)及びTD方向(流れに直交する方向)の各方向について、実際にフィルムに形成する塗膜の厚み5μmで行い、雰囲気温度(測定温度)は23℃とした。下記判定基準により膜割れの評価を行った。
3:200%以上まで膜割れしなかった
2:100〜200%で膜割れが生じた
1:100%以下で膜割れが生じた
ポリエチレンテレフタレート基材上に離型性コーティング組成物の塗膜を設けた積層フィルムに関して、破れ・ピンホールの形成のし易さをJIS K 1707に準拠した突き刺し試験により測定した。
測定は、幅50mm×縦50mmの試験片を突き刺し試験機(島津社製VE20D型ストログラフロードセル容量 1kN)に固定し、JIS Z 1707に準拠し、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を50mm/minの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大応力を測定する。試験片の突き刺し強度の測定値は、試験片の数5片の平均値から求めた。
ポリエチレンテレフタレート基材上に離型性コーティング組成物の塗膜層を形成して積層フィルムとし、50×50mmサイズにカットし、試験片とし、ホットプレート上にステンレス板を載せ、さらに試験片の塗膜面(離型性面)を下に向けて載せ、その上に100gのステンレス製分銅を載せ、剥離試験機を使用して、JIS K 7125に準拠して剥離速度100mm/min、温度23℃、175℃で試験片の塗膜面とステンレスとの滑り性を測定し、動摩擦係数を求め、評価した。下記判定基準により滑り性の評価を行った。
3:0.3未満
2:0.3〜1.2以上
1:1以上
ポリエチレンテレフタレート基材上に乾燥膜厚が5μmとなるようにコーティング組成物を塗布して塗膜層を形成した積層フィルムとし、乾燥温度150℃、20秒で溶剤を乾燥除去し、ロール状に巻いて40℃、48時間静置保持した。塗膜の粘着性、付着性をブロッキングの有無により定性的に評価した。下記判定基準により速乾性・耐ブロッキング性の評価を行った。
3:150℃×60秒以内でブロッキング未発生
2:150℃×60秒〜120秒でブロッキング未発生
1:150℃×120秒でブロッキング
ポリエチレンテレフタレート基材上に離型性コーティング組成物の塗膜層を形成して積層フィルムとし、離型性幅20mm×長さ150mmの試験片を縦横方向5か所ずつ採り、それぞれの試験片の長さ方向の中央部に100mm間隔の標線を付け、離型フィルムの加熱収縮性をJIS K 1715に準拠して測定した。
JIS Z 1715に準拠して該試験片を、温度180℃に保持した空気循環式恒温槽中に試験片を垂直につるし,5分間加熱した後、取り出し、室温に30分間放置してから標線間距離を測定した。測定値は、5片の加熱収縮率の平均値とした。加熱収縮率は、次式により求めた。
ポリエチレンテレフタレート基材上に離型性コーティング組成物の塗膜層を形成して積層フィルムとし、幅15mm×長さ200mmの試験片を切り出し、試験片を恒温槽付き引張試験機(島津オートグラフAG−IS MS(床置)形)を使用してJIS K 7127に準拠し、測定速度300mm/min,測定温度175℃時の伸度200%の弾性率(モジュラス)及び破断伸度(%)を測定した。さらに、追従性、噛み込み耐性を5段階で評価した。弾性率(モジュラス)、破断伸度(%)の測定値は、試験片の数は10片とし,その平均値から求めた。
ポリエチレンテレフタレート基材上に離型性コーティング組成物の塗膜層を形成して積層フィルムとし、幅100mm×長さ100mmに試験片を切り出し,金属板の上に試験片をのせる。金属板を測定温度23℃と175℃にし、30秒静止し、試験片が金属板から浮き上がった部分の最大高さ(カールした高さ)を測定した。フィルムカール性の測定値は、試験片の数は5片とし,その平均値から求めた。
ポリエチレンテレフタレート基材上に離型性コーティング組成物の塗膜層を形成して積層フィルムとし、JIS K 7126−1(差圧法)に準拠して測定温度として23℃と175℃で酸素及びチッ素のガス透過度を測定した。
そして、離型層を形成するコーティング組成物に添加されるHDI系ポリイソシアネートの成分濃度が、本発明の離型層であるコーティング組成物の塗膜に対してどのような影響を及ぼしているか確認するため上記実施例と同様、離型フィルムを製造し、上記評価方法により測定、評価した。
それぞれの離型層を形成するコーティング組成物の成分、配合割合の影響及び評価は、表1に示したとおりである。参考例1−1〜1−3には、本発明の離型層を形成するコーティング組成物として実施例として問題ない機能、性能を有しているが、多面的に評価したとき好ましくない面が発現されるものについて評価基準から外れたものとして参考例として挙げたものであり、本発明の範囲内での相対的な比較対象を例示したものである。
そして、離型層を形成するコーティング組成物に添加される変性シリコーンオイルとして、好ましいアミノ変性メチルポリシロキサン(側鎖型)を用いたもので、その成分濃度が、本発明の離型層を形成するコーティング組成物の塗膜に対してどのような影響を及ぼしているか確認するため上記実施例と同様、離型フィルムを製造し、上記評価方法により測定、評価した。
それぞれの離型層を形成するコーティング組成物の成分、配合割合の影響及び評価は、表2に示したとおりである。参考例2−1及び2−2は、本発明の離型フィルムの離型層を形成するコーティング組成物の実施例としても問題ない機能、性能を有しているが、多面的に評価したとき好ましくない面が発現されるものについて評価基準から外れたものとして参考例として挙げたものであり、本発明の範囲内での相対的な比較対象を例示したものである。
コーティング組成物に添加されるシリカ粒子の大きさ及び成分濃度が、本発明の離型層を形成するコーティング組成物の塗膜に対してどのような影響を及ぼしているか確認するため上記実施例と同様、上記評価方法により測定、評価した。それぞれの離型フィルムの離型層を形成するコーティング組成物での影響及び評価は、表3に示したとおりである。
参考例3−1〜3−4は、離型性フィルムとして使用される本発明の離型フィルムの離型層を形成するコーティング組成物の実施例としても問題ない機能、性能を有しているが、多面的に評価したとき好ましくない面が発現されるものについて評価基準から外れたものとして参考例として挙げたものであり、本発明の範囲内での相対的な比較対象を例示したものである。
参考例4−1〜4−3は、本発明の離型フィルムの離型層を形成するコーティング組成物としての実施例としても問題ない機能、性能を有しているが、多面的に評価したとき好ましくない面が発現されるものについて評価基準から外れたものとして参考例として挙げたものであり、本発明の範囲内での相対的な比較対象を例示したものである。
その半導体製造用離型フィルムを、図2に示すような半導体パッケージの製造方法において離型フィルムとして用いられる。その際、離型層をエポキシ樹脂材料側にして金型内に配置し、金型内にエポキシ樹脂を充填し、半導体パッケージを配置した金型と合わせ、圧縮するようにして実際に半導体パッケージを製造する。
このような半導体パッケージの製造に用いた時、前記表1〜4に示したコーティング組成物塗膜が示す性質及び物性の他に、半導体パッケージ製造において特有の測定及び評価項目について、さらに測定及び評価した。その結果を表5に示す。
本発明の離型フィルムは、成形時の金型追従性、滑り性についてみると、本発明の離型フィルムは、動摩擦係数が広範な温度範囲(23〜175℃)で、従来の離型フィルムよりも1/2〜1/6程度と小さく、金型との滑りを生じ易く、しかも200%モジュラスは高価なフッ素樹脂には及ばないものの60MPaと比較的小さく、それでいて破断伸度が370%と適度な伸びを有するもので、金型に充填したフィルムが真空引き等により金型にフィットすることができるものであった。これに対し、従来の離型フィルムは、小さい力で伸び易く、追従し易いものの、熱的に安定性が低く、成形性、賦形性の形状維持し難いものである。
本発明の離型フィルムは、突き刺し強度の測定に見られるように、従来の離型フィルムよりも強靱で破れにくく、破れやピンホールが生じにくい、半導体製造に適合した強度が得られる。
さらに、ガスバリア性について見ると、成形温度近傍での酸素及び窒素に対するガス透過度は、23℃で、50cc/m2・24hr・atm[O2]、10cc/m2・24hr・atm[N2]と非常に小さく、従来の離型フィルムに比べ、ETFEで170cc/m2・24hr・atm[O2]、520cc/m2・24hr・atm[N2]であり、PET基材フィルム単体で2500cc/m2・24hr・atm[O2]、440cc/m2・24hr・atm[N2]であり、175℃で酸素透過度は、従来の離型フィルムに比べ、1/10程度と離型フィルム中の揮発成分等の透過を抑えることができ、金型の汚染を防ぐことができ、工程管理の保守点検の負担を少なくできるものである。
成を調製することで、離型性の面から対エポキシ離型性としての剥離強度が経時で変化し難い、PETとの密着性に優れた半導体製造用離型フィルムを製造できる。半導体製造用離型フィルムとしては、剥離強度の測定方法による剥離強度が200mN/20mm以下に調製することが好ましく、特に、100mN/20mm以下に調製することが好ましい。剥離強度が200mN/20mm以上になると、半導体パッケージを製造した後、半導体パッケージに離型層の一部が取られ、半導体パッケージの樹脂封止成形品に混入し、半導体パッケージ製品として好ましくない。
離型フィルムの伸びは、膜割れ防止の観点及び金型追従性の観点から、100%以上に調製することが好ましく、200%以上であるような離型フィルムとすることがより好ましい。さらに、本発明の離型フィルムは、金型追従性との関係から、滑り性を有するもので、摩擦係数が1.2未満、より好ましくは、0.3未満となるように調製することが好ましい。
離型フィルムの伸びが100%以下であると半導体パッケージに追従できず、半導体製造用離型フィルムが浮き剥がれトラブルが発生し、半導体パッケージを賦形することができず好ましくない。
Claims (11)
- 基材フィルム、前記基材フィルム上に少なくとも片面に設けられた離型層とからなり、基材フィルムが熱寸法安定性及び耐熱性を有するポリエステルフィルムであり、離型層が、反応性官能基含有含フッ素ポリマー、変性シリコーンオイル、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系ポリイソシアネート及び粒子を含むコーティング組成物層である、半導体製造用離型フィルムであって、
前記反応性官能基含有含フッ素ポリマーは、含フッ素モノマーに基づく重合単位と、水酸基含有ビニルモノマー及びカルボキシル基含有ビニルモノマーからなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基含有モノマーに基づく重合単位とを含むコポリマーであり、
HDI系ポリイソシアネートは、イソシアヌレート型及びアダクト型のHDI系ポリイソシアネートを含むものであり、
変性シリコーンオイルは、少なくとも塩基を有する変性メチルポリシロキサンである、半導体製造用離型フィルム。 - 反応性官能基含有含フッ素ポリマーは、含フッ素モノマーが少なくとも4フッ化エチレンモノマー含む含フッ素モノマーに基づく重合単位のコポリマーであり、
変性シリコーンオイルは、反応性官能基が側鎖タイプ、又は側鎖及び両末端又は片末端タイプからなる少なくともアミノ基を有する変性メチルポリシロキサンであり、
HDI系ポリイソシアネートが、イソシアヌレート型及びアダクト型のプレポリマタイプである、
請求項1に記載の半導体製造用離型フィルム。 - 反応性官能基含有含フッ素ポリマーは、4フッ化エチレンモノマーをモノマー基準で60〜95モル%含み、反応性官能基としてカルボン酸基及び又は水酸基を含有するビニルモノマーを含む含フッ素ポリマーである、請求項1又は2に記載の半導体製造用離型フィルム。
- 変性シリコーンオイルは、0.1〜1.0質量%含有し、
HDI系ポリイソシアネートは、HDIイソシアヌレートとHDIアダクトが、9:1〜5:5(イソシアヌレート型及びアダクト型のNCOモル比)の割合で含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体製造用離型フィルム。 - 粒子は、平均粒径が2〜9μmの粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体製造用離型フィルム。
- 粒子は、有機粒子又は無機粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体製造用離型フィルム。
- 粒子は、無機粒子であって、ゾルゲル型のシリカである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体製造用離型フィルム。
- 粒子は、コーティング組成物全質量の5〜15質量%含有し、コーティング塗膜の乾燥厚さが、0.1〜10μmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体製造用離型フィルム。
- コーティング組成物は、チタン系触媒を含み、有機溶媒が酢酸エチル/メチルエチルケトンの混合溶媒である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体製造用離型フィルム。
- 基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜9のいずれかに1項に記載の半導体製造用離型フィルム。
- 基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートであって、ポリマー中の残存モノマーを低減処理したものである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体製造用離型フィルム。
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