JP2020002265A - グリース組成物および転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性を有し、転がり軸受の低トルク化を図ることができるグリース組成物、及び、当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供する。【解決手段】 基油、増ちょう剤及びゲル化剤を含み、前記基油は所定のポリ−α−オレフィンであり、前記増ちょう剤は所定のジウレアであり、前記ゲル化剤の種類並びに前記ゲル化剤の前記基油及び前記増ちょう剤の合計量に対する含有量は、下記(a)〜(c)のいずれかであるグリース組成物。(a)種類が(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンで、含有量が1〜10質量%である。(b)種類がパルミチン酸デキストリンで、含有量が3〜10質量%である。(c)種類がステアリン酸イヌリンで、含有量が1〜10質量%である。【選択図】 図1
Description
本発明は、グリース組成物及び当該グリース組成物が封入された転がり軸受に関する。
近年、軸受用グリースの特性として、省エネルギー化、高効率化のニーズに応えるため、軸受回転トルクを低減することができるものが求められている。
例えば、特許文献1には、低トルク性能に優れるグリース組成物として、飽和脂肪酸トリグリセライドを基油とし、脂肪酸とデキストリンからなるデキストリン脂肪酸エステル、又は脂肪酸とイヌリンからなるイヌリン脂肪酸エステルを増ちょう剤とするグリース組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献1で提案されたグリース組成物は、転がり軸受に封入した際に充分な軸受回転トルクの低減を達成することが困難であった。
例えば、特許文献1には、低トルク性能に優れるグリース組成物として、飽和脂肪酸トリグリセライドを基油とし、脂肪酸とデキストリンからなるデキストリン脂肪酸エステル、又は脂肪酸とイヌリンからなるイヌリン脂肪酸エステルを増ちょう剤とするグリース組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献1で提案されたグリース組成物は、転がり軸受に封入した際に充分な軸受回転トルクの低減を達成することが困難であった。
また、特許文献2には、ジウレア系増ちょう剤を用いたグリースが記載されており、増ちょう剤の原料となる脂肪族アミンの炭素鎖長が短くなると、当該グリースの粘性低下エネルギーが高くなること、及び、グリースの粘性低下エネルギーが高くなると軸受回転トルクが低減することが示唆されている(特許文献2の図2参照)。
グリースが封入された玉軸受において、軸受回転トルクに影響を与える因子としては、主に(1)封入されているグリースの攪拌抵抗、(2)転がり粘性抵抗、(3)玉/樹脂保持器間すべり摩擦抵抗、及び、(4)玉/軌道間すべり摩擦抵抗がある。これらのなかでは、グリースが半固体であることから、(1)グリースの攪拌抵抗の影響が大きいと考えられる。そして、グリースの攪拌抵抗を低減するために、玉の進行を妨げないようグリースのチャンネリング性の向上が必要であると考えられる。
この点、ジウレア系増ちょう剤を含むグリースは、粘性低下エネルギーを大きくするとチャンネリング性の向上が期待できる。一方、粘性低下エネルギーを増加させるべく、ジウレア系増ちょう剤の原料となる脂肪族アミンの炭素鎖長を短くすると、グリースの耐熱性が不充分となり、潤滑寿命が不充分になることが懸念される。
そのため、転がり軸受に封入するグリース組成物としては、軸受用グリースとして要求される耐熱性を有しつつ、低トルク化を達成することができるものが求められる。
そのため、転がり軸受に封入するグリース組成物としては、軸受用グリースとして要求される耐熱性を有しつつ、低トルク化を達成することができるものが求められる。
本発明者らは、上記の要求に応えるべく鋭意検討を行い、所定のゲル化剤を含有させたグリース組成物が、耐熱性を有しつつ、軸受回転トルクの低減を図るのに適したグリース組成物であることを見出し、本発明を完成した。
本発明のグリース組成物は、基油、増ちょう剤及びゲル化剤を含むグリース組成物であって、
上記基油は、40℃における基油動粘度が15〜50mm2/sのポリ−α−オレフィンであり、
上記増ちょう剤は、構造式(1)で表されるジウレアであり、
R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3・・・(1)
(式中、R1及びR3は互いに独立して、−CnH2n+1(nは、6〜10の整数)で表される官能基であり、R2は、−C6H3(CH3)−、又は、−C6H4−CH2−C6H4−である)
上記増ちょう剤の含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して10〜22質量%であり、
上記ゲル化剤の種類、並びに、上記ゲル化剤の上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対する含有量は、下記(a)〜(c)のいずれかである。
(a)種類が(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンで、含有量が1〜10質量%である。
(b)種類がパルミチン酸デキストリンで、含有量が3〜10質量%である。
(c)種類がステアリン酸イヌリンで、含有量が1〜10質量%である。
上記基油は、40℃における基油動粘度が15〜50mm2/sのポリ−α−オレフィンであり、
上記増ちょう剤は、構造式(1)で表されるジウレアであり、
R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3・・・(1)
(式中、R1及びR3は互いに独立して、−CnH2n+1(nは、6〜10の整数)で表される官能基であり、R2は、−C6H3(CH3)−、又は、−C6H4−CH2−C6H4−である)
上記増ちょう剤の含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して10〜22質量%であり、
上記ゲル化剤の種類、並びに、上記ゲル化剤の上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対する含有量は、下記(a)〜(c)のいずれかである。
(a)種類が(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンで、含有量が1〜10質量%である。
(b)種類がパルミチン酸デキストリンで、含有量が3〜10質量%である。
(c)種類がステアリン酸イヌリンで、含有量が1〜10質量%である。
本発明のグリース組成物は、所定のジウレアからなる増ちょう剤と、所定のポリ−α−オレフィンからなる基油とを含み、更に所定の種類及び含有量のゲル化剤を含む。
そのため、上記グリース組成物は軸受用グリースに要求される耐熱性を有し、上記グリース組成物が封入された転がり軸受は充分な潤滑寿命を有する。また、上記グリース組成物では、上記ゲル化剤を含有させることによって、耐熱性が維持又は向上されている。
さらに、上記グリース組成物は、上記ゲル化剤を含有させることによって粘性低下エネルギーが増大されている。そのため、上記グリース組成物が封入された転がり軸受は、低い軸受回転トルクを達成することができる。
本発明の転がり軸受は、本発明のグリース組成物が封入された、転がり軸受である。
そのため、上記グリース組成物は軸受用グリースに要求される耐熱性を有し、上記グリース組成物が封入された転がり軸受は充分な潤滑寿命を有する。また、上記グリース組成物では、上記ゲル化剤を含有させることによって、耐熱性が維持又は向上されている。
さらに、上記グリース組成物は、上記ゲル化剤を含有させることによって粘性低下エネルギーが増大されている。そのため、上記グリース組成物が封入された転がり軸受は、低い軸受回転トルクを達成することができる。
本発明の転がり軸受は、本発明のグリース組成物が封入された、転がり軸受である。
本発明のグリース組成物によれば、耐熱性を有しつつ、転がり軸受の低トルク化を図ることができる。
また、本発明の転がり軸受は、上記グリース組成物が封入されているため、潤滑寿命を確保しつつ、低トルク化された転がり軸受である。
また、本発明の転がり軸受は、上記グリース組成物が封入されているため、潤滑寿命を確保しつつ、低トルク化された転がり軸受である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入された玉軸受である。
図1は、本発明の一実施形態に係る玉軸受を示す断面図である。
玉軸受1は、内輪2と、この内輪2の径方向外側に設けられている外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に設けられている複数の転動体としての玉4と、これらの玉4を保持している環状の保持器5とを備えている。また、この玉軸受1の軸方向一方側及び他方側それぞれに、シール6が設けられている。
さらに、内輪2と外輪3との間の環状の領域7は、グリースGが封入されている。
実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入された玉軸受である。
図1は、本発明の一実施形態に係る玉軸受を示す断面図である。
玉軸受1は、内輪2と、この内輪2の径方向外側に設けられている外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に設けられている複数の転動体としての玉4と、これらの玉4を保持している環状の保持器5とを備えている。また、この玉軸受1の軸方向一方側及び他方側それぞれに、シール6が設けられている。
さらに、内輪2と外輪3との間の環状の領域7は、グリースGが封入されている。
内輪2は、その外周に玉4が転動する内軌道面21が形成されている。
外輪3は、その内周に玉4が転動する外軌道面31が形成されている。
玉4は、内軌道面21と外軌道面31との間に複数介在し、これら内軌道面21及び外軌道面31を転動する。
領域7に封入されたグリースGは、玉4と内輪2の内軌道面21との接触箇所、及び、玉4と外輪3の外軌道面31との接触箇所にも介在する。なお、グリースGは、内輪2と外輪3とシール6とで囲まれた空間から玉4と保持器5を除いた空間の容積に対して、20〜40体積%を占めるように封入されている。
シール6は、環状の芯金6aと芯金6aに固定された弾性部材6bとを備えた環状の部材であり、径方向外側部が外輪3に固定され、径方向内側部が内輪2に摺接可能に取付けられている。シール6は、封入されたグリースGが外部へ漏れるのを防止している。
外輪3は、その内周に玉4が転動する外軌道面31が形成されている。
玉4は、内軌道面21と外軌道面31との間に複数介在し、これら内軌道面21及び外軌道面31を転動する。
領域7に封入されたグリースGは、玉4と内輪2の内軌道面21との接触箇所、及び、玉4と外輪3の外軌道面31との接触箇所にも介在する。なお、グリースGは、内輪2と外輪3とシール6とで囲まれた空間から玉4と保持器5を除いた空間の容積に対して、20〜40体積%を占めるように封入されている。
シール6は、環状の芯金6aと芯金6aに固定された弾性部材6bとを備えた環状の部材であり、径方向外側部が外輪3に固定され、径方向内側部が内輪2に摺接可能に取付けられている。シール6は、封入されたグリースGが外部へ漏れるのを防止している。
このように構成された玉軸受1は、グリースGとして、後述する本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入されている。そのため、回転軸受トルクが低く、充分な潤滑寿命を有する。
次に、グリースGを構成するグリース組成物について詳細に説明する。
グリースGを構成するグリース組成物は、本発明の実施形態に係るグリース組成物であり、基油、増ちょう剤及びゲル化剤を含有する。
上記グリース組成物は、特定のゲル化剤を所定量含有することを技術的特徴の1つとしており、上記ゲル化剤を含有することによって粘性低下エネルギーが大きくなっている。そして、グリース組成物は、粘性低下エネルギーを大きくすると、チャンネリング性の向上などにより、転がり軸受の低トルク化に寄与することができる。
グリースGを構成するグリース組成物は、本発明の実施形態に係るグリース組成物であり、基油、増ちょう剤及びゲル化剤を含有する。
上記グリース組成物は、特定のゲル化剤を所定量含有することを技術的特徴の1つとしており、上記ゲル化剤を含有することによって粘性低下エネルギーが大きくなっている。そして、グリース組成物は、粘性低下エネルギーを大きくすると、チャンネリング性の向上などにより、転がり軸受の低トルク化に寄与することができる。
粘性低下エネルギーは、チキソトロピー性の1つの指標であり、以下の手法にて取得することができる。
図2は、粘性低下エネルギーを取得するためのヒステリシスループの測定結果の一例を示す図である。
上記粘性低下エネルギーは、回転式レオメータを用いた測定によって取得可能な、図2に示したようなヒステリシスループから得ることができる。上記ヒステリシスループは、例えば、せん断速度を0から9000s−1まで直線的に増加させて得られる増速流動曲線及び定速流動曲線と、せん断速度を9000s−1から0まで直線的に減少させて得られる減速流動曲線とからなる。このとき、これらの曲線で囲まれる面積が粘性低下エネルギーであり、増ちょう剤結晶構造の変化(配向)にともない粘性低下に消費されたエネルギーに相当すると考えられる。
従って、グリース組成物は、上記粘性低下エネルギーが大きいほど、回転トルクが低い傾向にあると考えられる。
図2は、粘性低下エネルギーを取得するためのヒステリシスループの測定結果の一例を示す図である。
上記粘性低下エネルギーは、回転式レオメータを用いた測定によって取得可能な、図2に示したようなヒステリシスループから得ることができる。上記ヒステリシスループは、例えば、せん断速度を0から9000s−1まで直線的に増加させて得られる増速流動曲線及び定速流動曲線と、せん断速度を9000s−1から0まで直線的に減少させて得られる減速流動曲線とからなる。このとき、これらの曲線で囲まれる面積が粘性低下エネルギーであり、増ちょう剤結晶構造の変化(配向)にともない粘性低下に消費されたエネルギーに相当すると考えられる。
従って、グリース組成物は、上記粘性低下エネルギーが大きいほど、回転トルクが低い傾向にあると考えられる。
上記グリース組成物において、上記基油は、ポリ−α−オレフィン(PAO)である。
上記基油としてポリ−α−オレフィンを選択した場合、ジウレアからなる増ちょう剤と組み合わせて使用することにより、耐熱性を図りつつ、低トルク化を達成するのに適している。
上記基油としてポリ−α−オレフィンを選択した場合、ジウレアからなる増ちょう剤と組み合わせて使用することにより、耐熱性を図りつつ、低トルク化を達成するのに適している。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィンを、オリゴマー化又はポリマー化したもの、更にはこれらを水素化したものが挙げられる。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、1−デセンをオリゴマー化した、PAO4〜PAO8が好ましい。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、1−デセンをオリゴマー化した、PAO4〜PAO8が好ましい。
上記基油は、40℃における基油動粘度が、15〜50mm2/sである。この場合、耐熱性を確保しつつ、低トルク化を図ることができる。
上記基油動粘度(40℃)が15mm2/s未満では、グリースGが耐熱性に劣ることになる。一方、上記基油動粘度(40℃)が50mm2/sを超えると、グリースGを封入した玉軸受のトルクが増大することがある。
上記基油動粘度(40℃)は、25〜35mm2/sが好ましい。
上記基油動粘度は、JIS K 2283に準拠した値である。
上記基油動粘度(40℃)が15mm2/s未満では、グリースGが耐熱性に劣ることになる。一方、上記基油動粘度(40℃)が50mm2/sを超えると、グリースGを封入した玉軸受のトルクが増大することがある。
上記基油動粘度(40℃)は、25〜35mm2/sが好ましい。
上記基油動粘度は、JIS K 2283に準拠した値である。
上記グリース組成物において、上記増ちょう剤は、下記構造式(1)で表されるジウレアである。
R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3・・・(1)
(式中、R1及びR3は互いに独立して、−CnH2n+1(nは、6〜10の整数)で表される官能基であり、R2は、−C6H3(CH3)−、又は、−C6H4−CH2−C6H4−である)
上記構造式(1)で表されるジウレアは、脂肪族アミンと、ジイソシアネート化合物との反応物である。
上記脂肪族アミンは炭素数6〜10の脂肪族アミンであり、具体例としては、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、1−アミノオクタン、1−アミノノナン、1−アミノデカンなどが挙げられる。
これらのなかでは、1−アミノオクタンが好ましい。
R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3・・・(1)
(式中、R1及びR3は互いに独立して、−CnH2n+1(nは、6〜10の整数)で表される官能基であり、R2は、−C6H3(CH3)−、又は、−C6H4−CH2−C6H4−である)
上記構造式(1)で表されるジウレアは、脂肪族アミンと、ジイソシアネート化合物との反応物である。
上記脂肪族アミンは炭素数6〜10の脂肪族アミンであり、具体例としては、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、1−アミノオクタン、1−アミノノナン、1−アミノデカンなどが挙げられる。
これらのなかでは、1−アミノオクタンが好ましい。
上記ジイソシアネート化合物としては、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−TDIと2,6−TDIとの混合物、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)などが挙げられる。
上記構造式(1)で表されるジウレアを得るために、上記脂肪族アミンと上記ジイソシアネート化合物とは種々の条件下で反応させることができるが、増ちょう剤としての均一分散性が高いジウレア化合物が得られることから、基油中で反応させることが好ましい。
また、上記脂肪族アミンと上記ジイソシアネート化合物との反応は、脂肪族アミンを溶解した基油中に、ジイソシアネート化合物を溶解した基油を添加して行っても良いし、ジイソシアネート化合物を溶解した基油中に、脂肪族アミンを溶解した基油を添加して行っても良い。
また、上記脂肪族アミンと上記ジイソシアネート化合物との反応は、脂肪族アミンを溶解した基油中に、ジイソシアネート化合物を溶解した基油を添加して行っても良いし、ジイソシアネート化合物を溶解した基油中に、脂肪族アミンを溶解した基油を添加して行っても良い。
上記の脂肪族アミンとジイソシアネート化合物との反応における温度及び時間は特に制限されず、通常この種の反応で採用される条件と同様の条件を採用すれば良い。
反応温度は、脂肪族アミン及びジイソシアネート化合物の溶解性、揮発性の点から、150℃〜170℃が好ましい。
反応時間は、脂肪族アミンとジイソシアネート化合物との反応を完結させるという点や、製造時間を短縮してグリースの製造を効率良く行うという点から、0.5〜2.0時間が好ましい。
反応温度は、脂肪族アミン及びジイソシアネート化合物の溶解性、揮発性の点から、150℃〜170℃が好ましい。
反応時間は、脂肪族アミンとジイソシアネート化合物との反応を完結させるという点や、製造時間を短縮してグリースの製造を効率良く行うという点から、0.5〜2.0時間が好ましい。
上記増ちょう剤の含有量は、基油及び増ちょう剤の合計量に対して、10〜22質量%である。
上記増ちょう剤の含有量が10質量%未満では、グリースが基油を保持する能力が低下して、転がり軸受の回転中にグリースから基油が離油する量が多くなる可能性が大きくなる。一方、上記増ちょう剤の含有量が22質量%を超えると、転がり軸受の回転により生じる、内輪、外輪、玉、保持器の相対運動によるグリースのせん断によって生じる撹拌抵抗が大きくなって転がり軸受のトルクが大きくなったり、グリースのせん断によって生じる撹拌抵抗にともなうグリースの発熱によるグリースの酸化や基油の蒸発、離油による劣化が促進されたりすることがある。
上記増ちょう剤の好ましい含有量は、16〜22質量%である。
上記増ちょう剤の含有量が10質量%未満では、グリースが基油を保持する能力が低下して、転がり軸受の回転中にグリースから基油が離油する量が多くなる可能性が大きくなる。一方、上記増ちょう剤の含有量が22質量%を超えると、転がり軸受の回転により生じる、内輪、外輪、玉、保持器の相対運動によるグリースのせん断によって生じる撹拌抵抗が大きくなって転がり軸受のトルクが大きくなったり、グリースのせん断によって生じる撹拌抵抗にともなうグリースの発熱によるグリースの酸化や基油の蒸発、離油による劣化が促進されたりすることがある。
上記増ちょう剤の好ましい含有量は、16〜22質量%である。
上記グリース組成物において、上記ゲル化剤は、(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリン、パルミチン酸デキストリン、又は、ステアリン酸イヌリンである。
上記(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンは、下記構造式(2)で表される糖と脂肪酸との高分子エステルである。
上記(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンは、下記構造式(2)で表される糖と脂肪酸との高分子エステルである。
上記(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンの具体例としては、例えば、レオパールWX(千葉製粉社製)等が挙げられる。
上記(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンの含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して、1〜10質量%である。この場合、上記グリース組成物は、回転トルクを低くしつつ、耐熱性を確保することができる。
上記(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンの含有量が1質量%未満では、低トルク化の効果が乏しく、上記含有量が10質量%を超えると、耐熱性が不充分になる。
上記(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンの含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して、1〜10質量%である。この場合、上記グリース組成物は、回転トルクを低くしつつ、耐熱性を確保することができる。
上記(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンの含有量が1質量%未満では、低トルク化の効果が乏しく、上記含有量が10質量%を超えると、耐熱性が不充分になる。
上記パルミチン酸デキストリンは、下記構造式(3)で表される糖と脂肪酸との高分子エステルである。
上記パルミチン酸デキストリンの具体例としては、例えば、レオパールTL2、レオパールKL2(いずれも千葉製粉社製)等が挙げられる。
上記パルミチン酸デキストリンの含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して、3〜10質量%である。この場合、上記グリース組成物は、回転トルクを低くしつつ、耐熱性を確保することができる。
上記パルミチン酸デキストリンの含有量が3質量%未満では、低トルク化の効果が乏しく、上記含有量が10質量%を超えると、耐熱性が不充分になる。
上記パルミチン酸デキストリンの含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して、3〜10質量%である。この場合、上記グリース組成物は、回転トルクを低くしつつ、耐熱性を確保することができる。
上記パルミチン酸デキストリンの含有量が3質量%未満では、低トルク化の効果が乏しく、上記含有量が10質量%を超えると、耐熱性が不充分になる。
上記ステアリン酸イヌリンは、下記構造式(4)で表される糖と脂肪酸との高分子エステルである。
上記ステアリン酸イヌリンの具体例としては、例えば、レオパールISL2、レオパールISK2(いずれも千葉製粉社製)等が挙げられる。
上記ステアリン酸イヌリンの含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して、1〜10質量%である。この場合、上記グリース組成物は、回転トルクを低くしつつ、耐熱性を確保することができる。
上記ステアリン酸イヌリンの含有量が1質量%未満では、低トルク化の効果が乏しく、上記含有量が10質量%を超えると、耐熱性が不充分になる。
上記ステアリン酸イヌリンの含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して、1〜10質量%である。この場合、上記グリース組成物は、回転トルクを低くしつつ、耐熱性を確保することができる。
上記ステアリン酸イヌリンの含有量が1質量%未満では、低トルク化の効果が乏しく、上記含有量が10質量%を超えると、耐熱性が不充分になる。
上記グリース組成物は、その他の添加剤として、例えば、極圧剤、油性剤、防錆剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、染料、色相安定剤、増粘剤、構造安定剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤等を含有していてもよい。
次に、上記グリース組成物の製造方法について説明する。
上記グリース組成物の製造は、例えば、最初に、基油及び増ちょう剤からなるベースグリースを調製し、その後、得られたベースグリースに上記ゲル化剤及び必要に応じて含有させる任意の添加剤を投入し、自転・公転ミキサー等で撹拌して各成分を混合することによって行うことができる。
上記グリース組成物の製造は、例えば、最初に、基油及び増ちょう剤からなるベースグリースを調製し、その後、得られたベースグリースに上記ゲル化剤及び必要に応じて含有させる任意の添加剤を投入し、自転・公転ミキサー等で撹拌して各成分を混合することによって行うことができる。
この実施形態によれば、玉軸受1に封入されたグリースGを構成するグリース組成物として、ポリ−α−オレフィン及びジウレアに加えて、更に所定のゲル化剤を含有させたものを採用する。このように、グリース組成物に所定のゲル化剤を含有させることにより粘性低下エネルギーを大きくすることができる。その結果、上記グリースGが封入された玉軸受1では、軸受回転トルクの低トルク化を達成することができる。
また、上記グリース組成物は、軸受用グリースとして要求される耐熱性を有し、充分な潤滑寿命を確保することができる。
また、上記グリース組成物は、軸受用グリースとして要求される耐熱性を有し、充分な潤滑寿命を確保することができる。
本発明は、上記の実施形態に制限されることなく、他の実施形態で実施することもできる。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入された玉軸受に限定されず、上記転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入されたものであれば、転動体として玉以外のものが使用された針軸受、ころ軸受等、他の転がり軸受であっても良い。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入された玉軸受に限定されず、上記転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入されたものであれば、転動体として玉以外のものが使用された針軸受、ころ軸受等、他の転がり軸受であっても良い。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
ここでは、複数のグリース組成物を作製し、各グリース組成物の特性を評価した。各グリース組成物の組成及び評価結果は、表1に示した。
ここでは、複数のグリース組成物を作製し、各グリース組成物の特性を評価した。各グリース組成物の組成及び評価結果は、表1に示した。
(比較例1)
基油及び増ちょう剤を含有するグリース組成物を下記の工程を経て作製した。
図3は、この比較例1におけるグリース組成物の作製工程を説明するための図である。
また、後述する実施例1〜6では、本比較例1で作製したグリース組成物をベースグリースとした。
(1)ポリ−α−オレフィンの1種であるPAO6(イネオス オリゴマーズ社製、(商品名)Durasyn 166 polyalphaolefin、動粘度(40℃)29〜33mm2/s)を基油とし、この基油を100℃に加熱しておく。
(2)基油、1−アミノオクタン、及び、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を計量する。
(3)ステンレス容器Aに、半量の基油(100℃)とMDIとを投入し、100℃で30分間撹拌する。
(4)別のステンレス容器Bに、残りの半量の基油(100℃)と1−アミノオクタンとを投入し、100℃で30分間撹拌する。
上記工程(3)及び(4)を一次工程という。
基油及び増ちょう剤を含有するグリース組成物を下記の工程を経て作製した。
図3は、この比較例1におけるグリース組成物の作製工程を説明するための図である。
また、後述する実施例1〜6では、本比較例1で作製したグリース組成物をベースグリースとした。
(1)ポリ−α−オレフィンの1種であるPAO6(イネオス オリゴマーズ社製、(商品名)Durasyn 166 polyalphaolefin、動粘度(40℃)29〜33mm2/s)を基油とし、この基油を100℃に加熱しておく。
(2)基油、1−アミノオクタン、及び、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を計量する。
(3)ステンレス容器Aに、半量の基油(100℃)とMDIとを投入し、100℃で30分間撹拌する。
(4)別のステンレス容器Bに、残りの半量の基油(100℃)と1−アミノオクタンとを投入し、100℃で30分間撹拌する。
上記工程(3)及び(4)を一次工程という。
(5)ステンレス容器B内のアミン溶液を、ステンレス容器Aに滴下し、イソシアネート溶液に徐々に投入する。このとき、反応熱により液温は20℃程度昇温する。
(6)ステンレス容器B内のアミン溶液が、ステンレス容器A内に全量投入されたことを確認した後、150℃まで昇温する。
(7)加熱しながら撹拌し、30分間、温度を150℃に保持する。本工程(7)を二次工程という。
(8)加熱を止め、撹拌しながら自然放冷し、100℃まで冷却する。
(9)温度が100℃以下になったことを確認した後、撹拌を停止し、そのまま常温になるまで自然放冷する。
(10)三本ロールミルで均質化処理を実施する。このとき、処理条件は、
ロール間すき間:50μm
ロール間圧力:1MPa
回転速度:200r/min
処理温度:RT
とする。
このような工程(1)〜(10)を経て、ベースグリースを作製した。
(6)ステンレス容器B内のアミン溶液が、ステンレス容器A内に全量投入されたことを確認した後、150℃まで昇温する。
(7)加熱しながら撹拌し、30分間、温度を150℃に保持する。本工程(7)を二次工程という。
(8)加熱を止め、撹拌しながら自然放冷し、100℃まで冷却する。
(9)温度が100℃以下になったことを確認した後、撹拌を停止し、そのまま常温になるまで自然放冷する。
(10)三本ロールミルで均質化処理を実施する。このとき、処理条件は、
ロール間すき間:50μm
ロール間圧力:1MPa
回転速度:200r/min
処理温度:RT
とする。
このような工程(1)〜(10)を経て、ベースグリースを作製した。
(実施例1)
比較例1で作製したベースグリース100質量部に、(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンであるレオパールWX(千葉製粉社製)1質量部を混合してグリース組成物を作製した。ここでは、自転・公転ミキサーを使用し、回転数:2000rpm、時間:3分間の条件でゲル化剤をベースグリースに混合した。
比較例1で作製したベースグリース100質量部に、(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンであるレオパールWX(千葉製粉社製)1質量部を混合してグリース組成物を作製した。ここでは、自転・公転ミキサーを使用し、回転数:2000rpm、時間:3分間の条件でゲル化剤をベースグリースに混合した。
(実施例2)
ゲル化剤の混合量を、5質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてグリース組成物を作製した。
ゲル化剤の混合量を、5質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてグリース組成物を作製した。
(実施例3)
比較例1で作製したベースグリース100質量部に、パルミチン酸デキストリンであるレオパールKL2(千葉製粉社製)5質量部を混合してグリース組成物を作製した。ここでは、自転・公転ミキサーを使用し、回転数:2000rpm、時間:3分間の条件でゲル化剤をベースグリースに混合した。
比較例1で作製したベースグリース100質量部に、パルミチン酸デキストリンであるレオパールKL2(千葉製粉社製)5質量部を混合してグリース組成物を作製した。ここでは、自転・公転ミキサーを使用し、回転数:2000rpm、時間:3分間の条件でゲル化剤をベースグリースに混合した。
(実施例4)
ゲル化剤の混合量を、10質量部に変更した以外は実施例3と同様にしてグリース組成物を作製した。
ゲル化剤の混合量を、10質量部に変更した以外は実施例3と同様にしてグリース組成物を作製した。
(実施例5)
比較例1で作製したベースグリース100質量部に、ステアリン酸イヌリンであるレオパールISL2(千葉製粉社製)1質量部を混合してグリース組成物を作製した。ここでは、自転・公転ミキサーを使用し、回転数:2000rpm、時間:3分間の条件でゲル化剤をベースグリースに混合した。
比較例1で作製したベースグリース100質量部に、ステアリン酸イヌリンであるレオパールISL2(千葉製粉社製)1質量部を混合してグリース組成物を作製した。ここでは、自転・公転ミキサーを使用し、回転数:2000rpm、時間:3分間の条件でゲル化剤をベースグリースに混合した。
(実施例6)
ゲル化剤の混合量を、5質量部に変更した以外は実施例5と同様にしてグリース組成物を作製した。
ゲル化剤の混合量を、5質量部に変更した以外は実施例5と同様にしてグリース組成物を作製した。
(比較例2)
ジウレアを含油せず、基油及びゲル化剤(ステアリン酸イヌリン)を含有するグリース組成物を下記の工程を経て作製した。
上記PAO6(基油)100質量部に、ステアリン酸イヌリンであるレオパールISL2(千葉製粉社製)5質量部を混合してグリース組成物を作製した。ここでは、自転・公転ミキサーを使用し、回転数:2000rpm、時間:3分間の条件でゲル化剤を基油に混合した。
ジウレアを含油せず、基油及びゲル化剤(ステアリン酸イヌリン)を含有するグリース組成物を下記の工程を経て作製した。
上記PAO6(基油)100質量部に、ステアリン酸イヌリンであるレオパールISL2(千葉製粉社製)5質量部を混合してグリース組成物を作製した。ここでは、自転・公転ミキサーを使用し、回転数:2000rpm、時間:3分間の条件でゲル化剤を基油に混合した。
(グリース組成物の評価)
実施例1〜6及び比較例1〜2で作製したグリース組成物を評価した。結果を表1及び図6に示した。なお、比較例2の評価は、(4)軸受回転トルク、についてのみ行った。
実施例1〜6及び比較例1〜2で作製したグリース組成物を評価した。結果を表1及び図6に示した。なお、比較例2の評価は、(4)軸受回転トルク、についてのみ行った。
表1に示した各評価の評価方法は、下記の通りである。
(1)混和ちょう度
混和ちょう度(60W)をJIS K 2220に準拠した方法で測定した。
(1)混和ちょう度
混和ちょう度(60W)をJIS K 2220に準拠した方法で測定した。
(2)粘性低下エネルギー
図4に示した回転式レオメータMCR301(Anton Paar社製)を用いてヒステリシスループを測定した。その後、測定結果から、増速流動曲線及び減速流動曲線とで囲まれた部分の面積を算出して粘性低下エネルギーを取得した。
回転式レオメータ100は、平板状のプレート13と、プレート13の上方にギャップを設けて配置されたコーンプレート12とを有し、コーンプレート12はシャフト11に固定されている。コーンプレート12は、直径φが25mm、角度が2°であり、プレート13とのギャップは100μmとしている。回転式レオメータ100は、プレート13とコーンプレート12とのギャップに試料グリースSをセットし、コーンプレート12を回転させて測定を行う。
上記ヒステリシスループの測定条件は、下記表2及び図5に示した。
本評価では、表2及び図5に示した測定条件の通り、初期せん断を行った後、流動曲線観測を開始し、60秒間ずつ増速流動曲線と減速流動曲線とを取得した。
図4に示した回転式レオメータMCR301(Anton Paar社製)を用いてヒステリシスループを測定した。その後、測定結果から、増速流動曲線及び減速流動曲線とで囲まれた部分の面積を算出して粘性低下エネルギーを取得した。
回転式レオメータ100は、平板状のプレート13と、プレート13の上方にギャップを設けて配置されたコーンプレート12とを有し、コーンプレート12はシャフト11に固定されている。コーンプレート12は、直径φが25mm、角度が2°であり、プレート13とのギャップは100μmとしている。回転式レオメータ100は、プレート13とコーンプレート12とのギャップに試料グリースSをセットし、コーンプレート12を回転させて測定を行う。
上記ヒステリシスループの測定条件は、下記表2及び図5に示した。
本評価では、表2及び図5に示した測定条件の通り、初期せん断を行った後、流動曲線観測を開始し、60秒間ずつ増速流動曲線と減速流動曲線とを取得した。
(3)グリース組成物の蒸発量(薄膜試験)
60mm×80mm×1mmのSPCC鋼板にグリース組成物を2mm厚で塗布し、150℃×24hr後の蒸発量を測定した。鋼板に塗布した加熱前のグリース組成物の質量に対する、加熱前のグリース組成物の質量から加熱後のグリース組成物の質量を減算した値の百分率を蒸発量とし、評価結果とした。
なお、本評価は、実施例2、3、4,6及び比較例1のグリース組成物を対象に行った。
60mm×80mm×1mmのSPCC鋼板にグリース組成物を2mm厚で塗布し、150℃×24hr後の蒸発量を測定した。鋼板に塗布した加熱前のグリース組成物の質量に対する、加熱前のグリース組成物の質量から加熱後のグリース組成物の質量を減算した値の百分率を蒸発量とし、評価結果とした。
なお、本評価は、実施例2、3、4,6及び比較例1のグリース組成物を対象に行った。
(4)軸受回転トルク
実施例及び比較例で作製したグリース組成物の軸受回転トルクを、回転トルク試験機を用いて下記表3の条件に従って測定した。
ここでは、実施例及び比較例で作成したグリース組成物をそれぞれ、試験軸受である6202 2RUCM(両側に非接触シール付き)に、内輪と外輪とシールとで囲まれた空間から玉と保持器を除いた空間の容積に対して35体積%のグリース組成物となるように封入した。
この試験軸受を試験機に組み込み、1800min−1で60秒間予備回転させた後、60秒間静置し、1800min−1で1800秒間回転させ、最後の60秒間のトルクの平均値を軸受回転トルクとした。結果を図6にも示した。
図6の結果から、ゲル化剤を含有する実施例1〜6のグリース組成物は、比較例1のベースグリースに比べて軸受回転トルクが低いことが明らかとなった。
実施例及び比較例で作製したグリース組成物の軸受回転トルクを、回転トルク試験機を用いて下記表3の条件に従って測定した。
ここでは、実施例及び比較例で作成したグリース組成物をそれぞれ、試験軸受である6202 2RUCM(両側に非接触シール付き)に、内輪と外輪とシールとで囲まれた空間から玉と保持器を除いた空間の容積に対して35体積%のグリース組成物となるように封入した。
この試験軸受を試験機に組み込み、1800min−1で60秒間予備回転させた後、60秒間静置し、1800min−1で1800秒間回転させ、最後の60秒間のトルクの平均値を軸受回転トルクとした。結果を図6にも示した。
図6の結果から、ゲル化剤を含有する実施例1〜6のグリース組成物は、比較例1のベースグリースに比べて軸受回転トルクが低いことが明らかとなった。
実施例及び比較例の結果から明らかな通り、本発明の実施形態に係るグリース組成物は、耐熱性を有し、粘性低下エネルギーが大きく、上記グリース組成物を封入した転がり軸受の低トルク化に寄与することができる。
1:玉軸受、2:内輪、3:外輪、4:玉、5:保持器、6:シール、7:領域、100:回転式レオメータ、G:グリース
Claims (2)
- 基油、増ちょう剤及びゲル化剤を含むグリース組成物であって、
前記基油は、40℃における基油動粘度が15〜50mm2/sのポリ−α−オレフィンであり、
前記増ちょう剤は、構造式(1)で表されるジウレアであり、
R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3・・・(1)
(式中、R1及びR3は互いに独立して、−CnH2n+1(nは、6〜10の整数)で表される官能基であり、R2は、−C6H3(CH3)−、又は、−C6H4−CH2−C6H4−である)
前記増ちょう剤の含有量は、前記基油及び前記増ちょう剤の合計量に対して10〜22質量%であり、
前記ゲル化剤の種類、並びに、前記ゲル化剤の前記基油及び前記増ちょう剤の合計量に対する含有量は、下記(a)〜(c)のいずれかであるグリース組成物。
(a)種類が(パルミチン酸/へキシルデカン酸)デキストリンで、含有量が1〜10質量%である。
(b)種類がパルミチン酸デキストリンで、含有量が3〜10質量%である。
(c)種類がステアリン酸イヌリンで、含有量が1〜10質量%である。 - 請求項1に記載のグリース組成物が封入された、転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018123071A JP2020002265A (ja) | 2018-06-28 | 2018-06-28 | グリース組成物および転がり軸受 |
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-
2018
- 2018-06-28 JP JP2018123071A patent/JP2020002265A/ja active Pending
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