JP2020002258A - レーザーマーキング用インキ組成物、レーザーマーキング用インキ層、積層体、レーザーマーキング方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のバインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂とセルロース誘導体を含み、前記セルロース誘導体が、低級アシル基置換体セルロース誘導体および/または低級アルキル置換体セルロース誘導体である。
80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがよりさらに好ましい。
本発明の白色顔料は、インキ組成物に使用される公知の白色顔料が特に制限なく使用できる。前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫化亜鉛などの金属白色顔料が挙げられ、前記金属白色顔料は、その表面がアルミナ、シリカなどの種々の材料で表面処理されていてもよい。白色顔料は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のレーザー光吸収剤は、YVO4レーザー光(1064nm)などのレーザー光の作用で、レーザー光吸収剤自身の酸化反応や還元反応により発色(変色)する物質および/またはインキ層に含まれるレーザー光吸収剤の周囲のバインダー樹脂などを炭化し発色(変色)させる物質であれば、特に制限なく使用できる。前記レーザー光吸収剤としては、金属化合物、金属酸化物および金属複合酸化物からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。前記金属化合物としては、例えば、銅化合物、モリブデン化合物、鉄化合物、ニッケル化合物、クロム化合物、ジルコニウム化合物、ネオジム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物などが挙げられる。また、前記金属酸化物および金属複合酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化コバルト、酸化鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マンガン、酸化モリブテン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化パラジウム、酸化ランタン、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、合成ゼオライト、天然ゼオライト、銅−モリブテン複合酸化物(商品名「42−903A」、「42−920A」、以上、東罐マテリアル・テクノロジー製)、アンチモンドープ酸化スズ被覆雲母(商品名「レーザーフレア 820」、メルク製)、アンチモンドープ酸化スズ被覆雲母(商品名「Iriоtec 8825」、メルクパフォーマンスマテリアルズ製)、アンチモンドープ酸化スズ被覆酸化チタン(商品名「Iriоtec 8850」、メルクパフォーマンスマテリアルズ製)などが挙げられる。これらの中でも、アンチモンドープ酸化スズ被覆酸化チタンが好適である。
本発明の有機溶剤は、上記の成分を溶解あるいは分散されるものであれば、特に制限なく使用できる。前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素系有機溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系有機溶剤などが挙げられる。前記有機溶剤は、少なくとも1種を用いればよく、バインダー樹脂の溶解性や乾燥性などを考慮して、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物を調製する方法としては、特に限定されず、例えば、上記の成分を順番に、あるいは同時に添加して、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、パールミル、高速攪拌装置、ペイントコンディショナーなどで混合して調製することができる。
本発明のレーザーマーキング用インキ層は、前記レーザーマーキング用インキ組成物から形成される。具体的には、前記レーザーマーキング用インキ組成物を、後述する支持体フィルム(あるい後述する基材)に塗工(印刷)し、乾燥することによって得られるインキ層(印刷皮膜)である。前記印刷の方法は、オフセット印刷、枚葉印刷、デジタル印刷(インクジェット方式、トナー方式)、フレキソ印刷、グラビア印刷による方法を用いることができ、フレキソ印刷、グラビア印刷が好適である。前記乾燥は、熱風などにより溶剤を蒸発させる工程を設けてもよい。前記印刷機による印刷条件は、従来公知の条件が適宜採用できる。
本発明の積層体は、前記レーザーマーキング用インキ層の片面に支持体フィルムが設けられており、かつ前記インキ層の他面に基材が設けられている。
本発明のレーザーマーキング方法は、前記積層体に、レーザー光を照射する方法である。レーザー光としては、例えば、炭酸ガスレーザー光(10600nm)、YVO4レーザー光(1064nm)などが挙げられる。
<ポリウレタン樹脂のワニスの製造>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量1,000のポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール100質量部およびイソホロンジイソシアネート44.4質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル379.4質量部、イソプロピルアルコール94.9質量部を加えた後、イソホロンジアミン7.1質量部、アミノエチルエタノールアミン4.2質量部を加えて鎖伸長反応させ、さらにエチレンジアミン2.4質量部を加えて反応停止させて、ポリウレタン樹脂のワニス(固形分:25質量%、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量約12,000、アミン価9.3mgKOH/g)を得た。
<低級アシル基置換体セルロース誘導体のワニスの製造>
セルロースアセテートプロピオネート(商品名「CAP−482−0.5」、イーストマンケミカル社製)25質量部を、酢酸エチル56質量部およびイソプロピルアルコール19質量部からなる混合有機溶剤に溶解させて固形分25質量%の低級アシル基置換体セルロース誘導体のワニスを得た。
<塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体のワニスの製造>
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(商品名「ソルバインTA5R」、日信化学工業社製)25質量部を、酢酸エチル56質量部およびイソプロピルアルコール19質量部からなる混合有機溶剤に溶解させて固形分25質量%の塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体のワニスを得た。
<(メタ)アクリル系共重合体のワニスの製造>
(メタ)アクリル系共重合体(商品名「ダイヤナール BR−87」、三菱ケミカル社製)25質量部を、酢酸エチル56質量部およびイソプロピルアルコール19質量部からなる混合有機溶剤に溶解させて固形分25質量%の(メタ)アクリル系共重合体のワニスを得た。
<ニトロセルロース(硝化綿)のワニスの製造>
ニトロセルロース(商品名「SS1/8S」、KOREA CNC社製、固形分70質量%)35.7質量部を、酢酸エチル60質量部およびイソプロピルアルコール4.3質量部からなる混合溶媒に溶解させて固形分25質量%のニトロセルロースのワニスを得た。
<レーザーマーキング用インキ組成物の調製>
表1に示す配合にて、各材料をペイントコンディショナーで混練し、実施例1〜4、および比較例1〜5のレーザーマーキング用インキ組成物を調製した。なお、表1に記載の数値は質量部である。
上記で得られた実施例1〜4、および比較例1〜5のレーザーマーキング用インキ組成物を、ポリプロピレンフィルム(商品名「P−2161」、東洋紡株社製)に、バーコーター(線径0.10mm)を用いて塗工し、ドライヤーで乾燥後、60℃で12時間保持してインキ層(膜厚が約1μm)を形成した。得られたインキ層の上に、ポリエーテル系接着剤組成物(商品名「A−969V」、三井化学ポリウレタン社製)/硬化剤(商品名「A−5」、三井化学ポリウレタン社製)=3/1(質量比)を介して、シーラントフィルム(商品名「P−1128#25」、東洋紡株社製)を貼り合わせした後、40℃で48時間保持して、レーザー印字性の評価およびラミネート強度の評価用の積層体(印刷物)を得た。
上記で得られた実施例1〜4、および比較例1〜5のレーザーマーキング用インキ組成物を、ポリプロピレンフィルム(商品名「P−2161」、東洋紡株社製)に、バーコーター(線径0.10mm)を用いて塗工し、ドライヤーで乾燥後、60℃で12時間保持してインキ層(膜厚が約1μm)を形成して、印刷物を得た。
キーエンス社製のYVO4レーザーマーカーMD−X1000を用いて、上記で得られたレーザー印字性の評価用の積層体(印刷物)のポリプロピレンフィルム側からレーザー光を照射して印字し(印字条件:レーザーパワー60%、パルス周期30kHz、スキャンスピード1,000mm/min、印字回数1回)、レーザー印字性(視認性)について、以下の3段階で評価した。
A:印字部分の視認が容易にできる
B:明瞭ではないが、印字部分が確認できる
C:目視での視認が難しい
耐ブロッキング性の評価は、上記で得られた耐ブロッキング性の評価用の印刷物における各印刷面と非印刷面を合わせて、バイスでしめこみ、40℃で12時間放置後に手で剥がし、印刷皮膜の剥離の程度と剥離抵抗の強度について、以下の3段階で評価した。
A:印刷皮膜の剥離がなく、剥離抵抗が感じられない
B:印刷皮膜の剥離がないが、剥離抵抗が感じられる
C:印刷皮膜の剥離があり、剥離抵抗が強く感じられる
接着性の評価は、上記で得られた接着性の評価用の印刷物におけるインキ層(印刷皮膜)にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜がフィルムから剥離する度合いについて、以下の3段階で評価した。
A:印刷皮膜のフィルムからの剥離がない
B:印刷皮膜のフィルムからの剥離があるが、剥離面積は30%未満である
C:印刷皮膜のフィルムからの剥離があり、剥離面積は30%以上である
ラミネート強度の評価は、上記で得られたラミネート強度の評価用の積層体(印刷物)において、剥離速度300mm/minのピール強度について、以下の3段階で評価した。
A:強度が200g/15mm以上である
B:強度が100g/15mm以上、200g/15mm未満である
C:強度が100g/15mm未満である
ドクター切れ性の評価は、上記で得られた実施例1〜4、および比較例1〜5にかかるレーザーマーキング用インキ組成物を、グラビア印刷機(東芝5色機)にて、印刷スピードが100m/minのときの、印刷面の状態について、以下の3段階で評価した。
A:版カブリ、ベタスジ、ツーツー汚れ(線状汚れ)などが発生しなせず、実使用可能レベルにある
B:版カブリ、ベタスジ、ツーツー汚れ(線状汚れ)などが若干発生するが、実使用可能レベルにある
C:版カブリ、ベタスジ、ツーツー汚れ(線状汚れ)などが多く発生し、実使用可能レベルにない
ポリウレタン樹脂は、製造例1のポリウレタン樹脂のワニス;
低級アシル基置換体セルロース誘導体は、製造例2の低級アシル基置換体セルロース誘導体のワニス;
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、比較製造例1の塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体のワニス;
(メタ)アクリル系共重合体は、比較製造例2の(メタ)アクリル系共重合体のワニス;
ニトロセルロースは、比較製造例3のニトロセルロースのワニス;
白色顔料は、酸化チタン(商品名「JR−301」、テイカ製);
レーザー光吸収剤(a)は、アンチモンドープ酸化スズ被覆酸化チタン(商品名「Iriоtec 8850」、メルクパフォーマンスマテリアルズ製);
レーザー光吸収剤(b)は、アンチモンドープ酸化スズ被覆雲母(商品名「Iriоtec 8825」、メルクパフォーマンスマテリアルズ製);
レーザー光吸収剤(c)は、銅−モリブテン複合酸化物(商品名「42−903A」、東罐マテリアル・テクノロジー製);
レーザー光吸収剤(d)は、銅−モリブテン複合酸化物(商品名「42−920A」、東罐マテリアル・テクノロジー製);
有機溶剤は、酢酸エチル/イソプロピルアルコール(質量比が4/1)の混合溶剤;を示す。
Claims (8)
- バインダー樹脂、白色顔料、レーザー光吸収剤、および有機溶剤を含み、
前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂とセルロース誘導体を含み、
前記セルロース誘導体が、低級アシル基置換体セルロース誘導体および/または低級アルキル置換体セルロース誘導体であることを特徴とするレーザーマーキング用インキ組成物。 - 前記ポリウレタン樹脂と前記セルロース誘導体の質量比(ポリウレタン樹脂/セルロース誘導体)が60/40〜95/5であることを特徴とする請求項1記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
- 前記レーザー光吸収剤が、金属化合物、金属酸化物および金属複合酸化物からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または2記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂が、ジイソシアネート化合物、ジオール化合物、鎖伸長剤、および反応停止剤を反応して得られるポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
- グラビア印刷インキ組成物、またはフレキソ印刷インキ組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物から形成されることを特徴とするレーザーマーキング用インキ層。
- 請求項6記載のレーザーマーキング用インキ層の片面に支持体フィルムが設けられており、かつ前記インキ層の他面に基材が設けられていることを特徴とする積層体。
- 請求項7記載の積層体に、レーザー光を照射することを特徴とするレーザーマーキング方法。
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