JP2020001695A - 状態矯正ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】シート着座者の個性に適した矯正内容にてシート着座者の身体状態を矯正する。【解決手段】シート着座者の身体状態を矯正するために動作する動作部と、シート着座者の識別情報を取得する識別情報取得部51と、シート着座者の着座状態に関する指標の現在値を測定する測定部52と、身体状態の矯正内容を示す矯正プランを記憶しているプラン記憶部53と、現在値に応じた矯正プランをプラン記憶部53から読み出してシート着座者に対して提示する提示部54と、動作部を制御して姿勢を矯正する処理を実行する処理実行部55と、を有する。プラン記憶部53は、提示部54が提示した矯正プランを、矯正プラン提示時のシート着座者の識別情報と関連付けて記憶している。処理実行部55は、シート着座者の識別情報に関連付けられた矯正プランをプラン記憶部53から読み出し、その矯正プランが示す矯正内容に従って姿勢を矯正する処理を実行する。【選択図】図4

Description

本発明は、シート着座者の身体状態を矯正する状態矯正ユニットに係り、特に、シート着座者の個性に適した矯正内容にて矯正することが可能な状態矯正ユニットに関する。
シート着座者の姿勢等を検知し、その検知結果に応じてシート各部を動かすことでシート着座者の姿勢等を矯正する技術は、既に知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に説明すると、特許文献1に記載の技術は、車両用シートの着座者の姿勢を検知し、その検知結果に応じてシートバックの背凭れ部に配置された空気袋の膨出圧を調整することで着座者の姿勢を適切な姿勢に矯正するものである。
特に、特許文献1に記載の技術は、着座者固有の着座姿勢がもたらす情報を、空気袋の膨出圧(換言すると、シート形状)を定める際の判断要素としている。これにより、姿勢矯正時に着座者に負担が掛かりにくいシート形状が定められるようになる。
2014−118030号公報
一方、負担の掛かり方については個人差があり、異なる着座者がそれぞれ同じような姿勢でシートに着座したとしても、矯正時に掛かる負担については、個人間で異なってくる可能性がある。したがって、着座姿勢等のシート着座者の身体状態を矯正する際には、着座者の個性(年齢や性別等)を事前に把握しておき、把握した個性に応じた内容にて身体状態を矯正することが重要となる。
また、シート着座者の身体状態を矯正する際には、通常、着座姿勢等の現在値を測定し、その測定値に応じた内容にて身体状態を矯正することになる。このため、身体状態に関する測定については、より適切な矯正内容を設定する観点から考えて、より適切に行われるのが好ましい。
さらに、異なる日時に矯正を複数回に亘って繰り返し実行する場合には、矯正が施される者(すなわち、シート着座者)にとって、毎回の矯正効果(矯正による身体状態の改善具合)を管理することが重要となる。このため、毎回の矯正効果を適切にシート着座者に知らせるための技術(機器)が必要となる。
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート着座者の個性に適した矯正内容にて当該シート着座者の身体状態を矯正することが可能な状態矯正ユニットを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、身体状態を矯正するにあたり当該身体状態に関する測定を適切に行うことである。
また、本発明の他の目的は、シート着座者に対して矯正効果を適切に知らせることである。
前記課題は、本発明の状態矯正ユニットによれば、乗物用シートに着座している着座者の身体状態を矯正するために動作する動作部と、前記乗物用シートに着座している着座者の識別情報を取得する識別情報取得部と、前記身体状態を特定するための指標の現在値を測定する測定部と、前記身体状態の矯正内容を示す矯正プランを記憶しているプラン記憶部と、前記現在値に応じた前記矯正プランを前記プラン記憶部から読み出して前記乗物用シートに着座している着座者に対して提示する提示部と、前記動作部を制御して前記身体状態を矯正する処理を実行する処理実行部と、を有し、前記プラン記憶部は、前記提示部が提示した前記矯正プランを、前記提示部が前記矯正プランを提示した際に前記乗物用シートに着座していた着座者の前記識別情報と関連付けて記憶しており、前記処理実行部は、前記乗物用シートに着座していた着座者の前記識別情報に関連付けられた前記矯正プランを前記プラン記憶部から読み出し、読み出した前記矯正プランが示す前記矯正内容に従って前記身体状態を矯正する前記処理を実行することにより解決される。
上記のように構成された本発明の状態矯正ユニットでは、身体状態を特定するための指標の現在値を測定し、その測定値に応じた矯正プランをシート着座者に提示する。また、提示された矯正プランは、プラン提示時に乗物用シートに着座していた着座者の識別情報と関連付けられた状態で記憶される。また、シート着座者に対して矯正を行う際には、当該シート着座者の識別情報に関連付けられた矯正プランを読み出し、当該矯正プランが示す矯正内容に従って身体状態を矯正する。この結果、本発明の状態矯正ユニットによれば、シート着座者の個性に適した矯正内容にてシート着座者の身体状態を適切に矯正することが可能となる。
また、上記の状態矯正ユニットにおいて、前記提示部が前記矯正プランを提示した際に前記乗物用シートに着座していた着座者の前記識別情報と関連付けられている前記矯正プランを、前記プラン記憶部に記憶された一の前記矯正プランから他の前記矯正プランに変更するプラン変更部を有し、前記測定部は、前記処理が開始された日後に前記現在値を測定し直し、前記プラン変更部は、前記処理が開始された日後に、前記測定部が測定し直した前記現在値に応じて、前記提示部が前記矯正プランを提示した際に前記乗物用シートに着座していた着座者の前記識別情報と関連付けられている前記矯正プランを変更すると、好適である。
上記の構成では、身体状態の矯正が開始された日後に身体状態に関する測定が再度行われる。そして、再度の測定値に応じて、シート着座者の識別情報に関連付けられた矯正プランを変更する。これにより、矯正時に適用する矯正プランについて、身体状態の矯正具合(改善具合)に応じて必要により適宜見直すことが可能となり、より効果的に身体状態を矯正することが可能となる。
また、上記の状態矯正ユニットにおいて、前記識別情報が同一である着座者が前記乗物用シートに着座した時間の累計値である通算着座時間を管理する通算着座時間管理部を有し、前記処理実行部は、前記プラン記憶部から読み出した前記矯正プランが示す前記矯正内容に従って、前記通算着座時間に応じた矯正態様にて前記身体状態を矯正する前記処理を実行すると、より好適である。
上記の構成では、同じシート着座者が乗物用シートに着座している時間の累計値(通算着座時間)に応じた矯正態様にて身体状態を矯正する。これにより、通算着座時間に連動させて矯正時の負荷を適切に調整することが可能となる。例えば、矯正初期(すなわち、通算着座時間が比較的小さいとき)には負荷が小さくなるように矯正を行い、通算着座時間が増えるに連れて徐々に負荷が大きくなるように矯正を行うことが可能となる。
また、上記の状態矯正ユニットにおいて、前記測定部は、前記識別情報が同一である着座者に対して前記現在値を複数の測定日に亘って測定し、前記測定部が直前の測定日に測定した前記現在値と、前記測定部が前記直前の測定日よりも前の測定日に測定した前記現在値と、を比較する比較部を有すると、さらに好適である。
上記の構成では、同じシート着座者に対する身体状態の測定を複数の測定日に亘って測定し、直前の測定値とそれ以前の測定値とを比較する。このような比較を行うことにより、矯正効果(矯正による身体状態の改善具合)を適切に評価することが可能となる。
また、上記の状態矯正ユニットにおいて、前記乗物用シートに着座している着座者の身体の所定部位を加温するための加温部を有するとよい。
上記の構成によれば、矯正を実施するにあたりシート着座者の身体を温めておき、当該シート着座者の身体状態をより矯正し易い状態へ移行させることが可能となる。
また、上記の状態矯正ユニットにおいて、前記乗物用シートに着座している着座者の身体の所定部位に対して振動を付与する振動付与部を有するとよい。
上記の構成によれば、矯正を実施するにあたりシート着座者の所定部位に対して振動を付与することで、当該部位の緊張(筋肉の張り)を弛めたり、あるいは当該部位の筋力を増強したりすることが可能となる。
また、情報を画面に表示する情報表示部を有し、該情報表示部は、前記測定部が測定した前記現在値に応じた情報を表示し、前記提示部は、前記情報表示部に前記矯正プランを前記画面に表示させることで前記矯正プランを提示すると、好適である。
上記の構成によれば、身体状態に関する測定値の表示や矯正プランの提示が画面を通じて行われる。これにより、シート着座者は、身体状態の現状や、それに応じた矯正プラン、さらには矯正後の身体状態(すなわち、矯正効果)を、画面を通じて確認することが可能となる。
また、上記の状態矯正ユニットにおいて、前記識別情報取得部は、前記乗物用シートに着座している着座者が所持している携帯端末と通信することで該携帯端末から前記識別情報を取得すると、より一層好適である。
上記の構成では、シート着座者が保持する携帯端末と通信することでシート着座者の識別情報を取得する。このような構成であれば、比較的容易にシート着座者の識別情報を取得することが可能となる。
また、上記の状態矯正ユニットにおいて、前記現在値から前記身体状態としての脊椎の曲がり状態を判定する判定部を有し、前記提示部は、前記判定部が判定した前記脊椎の曲がり状態に応じた前記矯正プランを前記プラン記憶部から読み出して前記乗物用シートに着座している着座者に対して提示すると、一段と好適である。
上記の構成では、身体状態として脊椎の曲がり状態に関する測定を行った上で、脊椎の曲がり状態を判定する。そして、判定結果に応じた矯正プランが選択されてシート着座者に提示されるようになる。このような構成であれば、いわゆる猫背姿勢もしくは反り背姿勢にあるシート着座者に対して、当該シート着座者の個性に適した姿勢矯正を実施することが可能となる。
また、上記の状態矯正ユニットにおいて、前記動作部は、膨出して前記乗物用シートに着座している着座者を背側から押圧する複数の空気袋を有し、該複数の前記空気袋の各々は、前記乗物用シートに着座者が着座する前段階において、予め設定された膨出圧となるまで膨出し、前記測定部は、前記乗物用シートに着座者が着座することで変化する前記膨出圧を前記指標として前記膨出圧の前記現在値を測定し、前記判定部は、前記複数の前記空気袋の各々における前記膨出圧の前記現在値から前記脊椎の曲がり状態を判定すると、尚更好適である。
上記の構成では、シート着座者を背側から押圧する空気袋を用いてシート着座者の身体状態(具体的には、脊椎の曲がり状態)を矯正する。また、上記の構成では、シート着座者の身体状態に関する測定として、着座により変化する空気袋の膨出圧の現在値を測定する。すなわち、上記の構成では、空気袋が矯正用に用いられると共に身体状態の測定用にも用いられており、これにより、空気袋をより有効に活用することが可能となる。
本発明によれば、シート着座者の個性に適した矯正内容にてシート着座者の身体状態を適切に矯正することが可能となる。
また、本発明によれば、矯正時に適用する矯正プランについて、身体状態の矯正具合(改善具合)に応じて必要により適宜見直すことが可能となる。
また、本発明によれば、乗物用シートへの通算着座時間に連動させて矯正時の負荷を適切に調整することが可能となる。
また、本発明によれば、同じシート着座者に対する身体状態の測定を複数の測定日に亘って測定し、測定値同士を比較することで矯正効果を評価することが可能となる。
また、本発明によれば、矯正を実施するにあたりシート着座者の身体を温めておき、当該シート着座者の身体状態をより矯正し易い状態へ移行させることが可能となる。
また、本発明によれば、矯正を実施するにあたりシート着座者の所定部位に対して振動を付与して当該部位の緊張(筋肉の張り)を弛めたり、当該部位の筋力を増強したりすることが可能となる。
また、本発明によれば、シート着座者が身体状態の現状や、それに応じた矯正プラン、さらには矯正後の身体状態を、画面を通じて確認することが可能となる。
また、本発明によれば、シート着座者が保持する携帯端末と通信することにより比較的容易にシート着座者の識別情報を取得することが可能となる。
また、本発明によれば、シート着座者の脊椎の曲がり状態を判定し、当該曲がり状態をシート着座者の個性に適した姿勢内容にて適切に矯正することが可能となる。
また、本発明によれば、空気袋を矯正用に用いると共に身体状態の測定用にも用いることで、空気袋をより有効に活用することが可能となる。
本発明の状態矯正ユニットを搭載した乗物用シートの一例を示す図である。 本発明の状態矯正ユニットの構成を示すブロック図である。 着座者の身体状態を確認するための画面を示す図である。 制御装置としてのECUの構成を機能面から示した図である。 記憶部に記憶されている矯正プラン及びプラン管理テーブルを示す図である。 猫背の姿勢を矯正する際の矯正方法についての説明図である。 理想姿勢にあるときの状態を示す図である。 反り背の姿勢を矯正する際の矯正方法についての説明図である。 姿勢判定の結果を示しているときの画面例を示す図である。 矯正プランを提示しているときの画面例を示す図である。 姿勢比較の結果を示しているときの画面例を示す図である。 姿勢矯正の初回時フローの流れを示す図である(その1)。 姿勢矯正の初回時フローの流れを示す図である(その2)。 姿勢の理想補正に関する手順を示す図である。 矯正態様設定に関する手順を示す図である。 姿勢矯正の通常時フローの流れを示す図である。
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)について、その構成例及び動作例を説明する。なお、以下では、乗物用シートの一例として車両用シートを例に挙げ、車両用シートに着座している着座者(以下、シート着座者)の身体状態を矯正する状態矯正ユニットについて説明することとする。ただし、本発明の状態矯正ユニットは、車両用シート以外の乗物用シートにも適用可能であり、具体的には、車両以外の乗物(例えば、航空機や船舶)に搭載されたシートにも適用可能である。
また、以下の説明中、本発明の状態矯正ユニットによる矯正対象である「身体状態」とは、人体に関する状態のうち、整形外科学上の状態を意味し、具体的には、骨格、関節、筋肉等に関する状態である。その一例としては、脊椎の曲がり状態(換言すると、姿勢)や筋肉の緊張具合、骨格の歪み等が挙げられる。なお、以下では、脊椎の曲がり状態(姿勢)を「身体状態」として矯正する構成について説明することとする。ただし、本発明の状態矯正ユニットによる矯正対象は、脊椎の曲がり状態(姿勢)に限定されず、他の「身体状態」、例えば筋肉の緊張具合や骨格の歪み等を矯正するものであってもよい。
<<本実施形態に係る状態矯正ユニットの概要>>
先ず、本実施形態に係る状態矯正ユニット(以下、単に状態矯正ユニット1)について、その概要を説明する。状態矯正ユニット1は、車両内に搭載され、車両用シートSの着座者の健康状態を段階的に改善する目的で利用されるものである。より詳しく説明すると、状態矯正ユニット1は、シート着座者の姿勢、すなわち、脊椎の曲がり状態を当該シート着座者が車両用シートSに着座している間に矯正するものである。本実施形態において、状態矯正ユニット1による姿勢矯正は、単発的ではなく継続的に実施されることになっており、予め設定されたプラン(矯正プラン)に則って進められる。
具体的に説明すると、矯正プランについては複数の候補が用意されており、その中から一つの矯正プランが選定される。状態矯正ユニット1は、選定された矯正プランが示す矯正内容に従って姿勢矯正を実施する。ここで、「矯正内容」とは、姿勢矯正に関する具体的な内容であり、例えば、シート着座者の身体において姿勢矯正時に負荷を掛ける部位、複数の部位に負荷を掛ける際の部位間の負荷バランス、矯正実施期間、最終目標とする姿勢(具体的には、後述の理想姿勢)及び矯正時の負荷の標準的な大きさ等が挙げられる。
そして、本実施形態では、矯正プランの選択においてシート着座者の個性が反映されることになっている。これにより、本実施形態では、シート着座者の個性に適した姿勢矯正が実施されるようになる。かかる点が本実施形態の特徴であり、当該特徴については後に詳しく説明することとする。
なお、本実施形態において、状態矯正ユニット1は、車両用シートSのうち、運転席に相当するシートに搭載されることになっている。すなわち、状態矯正ユニット1は、ドライバの姿勢を矯正するために用いられるものである。ただし、これに限定されるものではなく、状態矯正ユニット1は、運転席以外のシート(例えば、補助席用のシート若しくは後部座席用のシート)に搭載されてもよい。
<<状態矯正ユニットの構成例>>
先ず、状態矯正ユニット1の構成例について説明するにあたり、状態矯正ユニット1が搭載される車両用シートSの構成について説明する。車両用シートSは、図1に示すように、着座者の背を後方から支えるシートバックS1と、着座者の臀部を下方から支えるシートクッションS2と、着座者の頭部を後方から支えるヘッドレストS3と、を有する。これらシート各部の基本構成については、公知の構成であるため、説明を省略する。
次に、状態矯正ユニット1の構成例について説明する。状態矯正ユニット1は、上記の車両用シートSの内部若しくは周辺に配置された機器により構成されている。より具体的に説明すると、状態矯正ユニット1は、車両用シートS内に設置されておりシート着座者の姿勢を矯正するために動作する機器(動作部に相当)を有する。
動作部について詳しく説明すると、車両用シートSのシートバックS1には、動作部を備えた複数のサポート部が存在する。具体的に説明すると、図1に示すように、シートバックS1には、ショルダーサポート部11と、ランバーサポート部12と、ペルビスサポート13部と、サイドサポート部14と、が設けられている。
ショルダーサポート部11は、シートバックS1中、車両用シートSに着座している状態にあるシート着座者(厳密には標準体型のシート着座者であり、以下、本段落において同じ。)の肩部を支持する部分であり、図1に示すように左右一対設けられている。ランバーサポート部12は、シートバックS1中、シート着座者の腰部を支持する部分であり、図1に示すようにシートバックS1の下側部分に設けられている。ペルビスサポート部13は、シートバックS1中、シート着座者の身体において骨盤が位置する部位を支持する部分であり、図1に示すようにランバーサポート部12の下方に設けられている。サイドサポート部14は、シート着座者の身体に側方から宛がわれる部分であり、図1に示すようにシートバックS1中、幅方向両端部が盛り上がって形成された部分(土手部)の内側に設けられている。
そして、上述した4つのサポート部は、それぞれ空気袋を有する。具体的に説明すると、図2に示すように、ショルダーサポート部11に肩部用空気袋11aが設けられ、ランバーサポート部12に腰部用空気袋12aが設けられ、ペルビスサポート部13に骨盤用空気袋13aが設けられている。なお、図2には不図示であるが、サイドサポート部14にも空気袋が設けられている。
各空気袋は、シートバックS1の内部若しくはシートバックS1の前面に配置されている。そして、各空気袋は、空気が封入されることにより膨出する。このような各空気袋の膨出によってシート着座者の姿勢が矯正されるようになる。より詳しく説明すると、各空気袋は、車両用シートSにシート着座者が着座している間に膨出すると当該シート着座者を背側から押圧するようになる。かかる押圧力により、シート着座者の姿勢が矯正されるようになる。ちなみに、空気袋の膨出によって生じる押圧力は、姿勢矯正時に着座者に作用する負荷(矯正負荷)に相当する。
また、各空気袋への空気の供給は、図2に図示のアクチュエータ18によって行われる。このアクチュエータ18から供給される空気は、送気路を形成する不図示のチューブ内を通って各空気袋に封入される。さらに、各空気袋の手前位置には、空気袋への空気の封入量を調整するための電磁弁Vが空気袋別に設置されている。以上のアクチュエータ18及び電磁弁Vが空気袋と共に、本発明の「動作部」を構成している。
なお、本実施形態では、膨出してシート着座者を押圧する押圧手段として、空気が封入されることにより膨出する空気袋を用いているが、空気以外の流体、例えば液体が封入することにより膨出する袋体を用いてもよい。また、空気袋や袋体のようにシート着座者を押圧するにあたって膨出するものに限定されず、ローラ状体やボール状体若しくはブロック状体のような定型状の部材を押し当てることでシート着座者を押圧してもよい。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、空気袋による姿勢矯正を効果的に行うための補助機構として、ヒータ15及び振動付与デバイス16が設けられている。ヒータ15は、加温部に相当し、車両用シートSに着座しているシート着座者の身体の所定部位を加温するものである。このヒータ15が設けられていることにより、姿勢矯正に際してシート着座者の身体を背側から温めておくことが可能となる。このようにシート着座者の身体を背側から温めることで、シート着座者の身体について空気袋の押圧力(負荷)に対する応答性(押圧され易さ)が改善され、その結果、姿勢矯正がより容易に行われるようになる。
振動付与デバイス16は、振動付与部に相当し、車両用シートSに着座しているシート着座者の身体(厳密には背部)の所定部位に対して振動を付与するものである。この振動付与デバイス16が設けられていることにより、姿勢矯正に際してシート着座者の背部に振動を付与して当該背部の緊張(筋肉の張り)を弛めることが可能となる。これにより、シート着座者の身体について空気袋の押圧力(負荷)に対する応答性(押圧され易さ)が改善され、その結果、姿勢矯正がより容易に行われるようになる。
なお、本実施形態では、振動付与デバイス16をシート着座者の緊張を弛めるために用いることとしたが、振動付与デバイス16の用途については、上記の内容に限定されるものではない。例えば、シート着座者の背部の筋力を増強する目的で振動付与デバイス16を用いてもよい。また、シート着座者の覚醒度が低下しているとき(例えば、居眠り状態にあるとき)に覚醒度を上昇させる用途としても振動付与デバイス16を利用することが可能である。
一方、図2に示すように、状態矯正ユニット1は、上述の動作部(厳密にはアクチュエータ18や電磁弁V)を制御する制御装置を備えている。この制御装置は、車両内に搭載されたECU(Electric Control Unit)41からなる。このECU41には姿勢矯正用の制御回路が組み込まれている。そして、ECU41が姿勢矯正用の制御回路を通じてアクチュエータ18のオンオフや電磁弁Vの開度を制御すると、各空気袋の膨出圧が調整される。この結果、シート着座者の背部に対して各空気圧の膨出圧に応じた押圧力(負荷)が掛かって、シート着座者の姿勢が矯正されるようになる。
また、ECU41は、車両内に設置された各種センサと車内ネットワークを通じて通信することで、当該各種センサの測定値を取得する。換言すると、ECU41は、車両内の各種センサと協働することで様々な管理項目の現在値を測定することが可能である。そして、ECU41が測定する管理項目(すなわち、測定対象)の中には、シート着座者の着座状態に関する項目が含まれている。
より詳しく説明すると、シート着座者の着座状態を測定するためのセンサには、呼吸センサ31、膨出圧センサ32、圧力センサ33及び重量センサ34が含まれている。これらのセンサは、車両用シートSに取り付けられた状態で利用されている。
各センサについて説明すると、膨出圧センサ32及び圧力センサ33は、いずれもシート着座者の身体状態、具体的には着座姿勢を特定するために設置されたセンサである。膨出圧センサ32は、空気袋の膨出圧の現在値を測定するために空気袋別に設置されている。圧力センサ33は、膨出圧センサ32と同様、空気袋別に設置されており、具体的には図2に示すように各空気袋の前面に取り付けられている。そして、ECU41は、シート着座者が車両用シートSに着座している間に各膨出圧センサ32及び各圧力センサ33を通じて、シート着座者の着座姿勢を特定するための指標の現在値を測定する。
より詳しく説明すると、本実施形態では、車両用シートSにシート着座者が着座する前段階において、複数の空気袋の各々(具体的には、肩部用空気袋11a、腰部用空気袋12a及び骨盤用空気袋13a)が予め設定された膨出圧となるまで膨出することになっている。かかる状態で車両用シートSにシート着座者が着座すると、各空気袋の膨出圧が変化する。ECU41は、変化後の膨出圧を膨出圧センサ32を通じて空気袋別に測定する。ここで、各空気袋の膨出圧(換言すると、空気袋間の膨出圧のバランス)は、シート着座者の着座姿勢に応じた値となる。つまり、ECU41は、シート着座者の着座姿勢を特定するための指標として、シート着座者が車両用シートSに着座することで変化する各空気袋の膨出圧の現在値を測定することになっている。
以上のように本実施形態では、空気袋が姿勢矯正用に用いられると共にシート着座者の着座状態の測定用にも用いられており、空気袋がより有効に活用されている。
また、ECU41は、車両用シートSにシート着座者が着座した際、空気袋別に設けられた圧力センサ33を通じて、シートバックS1に掛かる圧力の現在値を測定する。具体的に説明すると、シート着座者が車両用シートSに着座してシートバックS1に凭れ掛かった際、空気袋の前面にシート着座者の背から圧力が掛かると、圧力センサ33が当該圧力を検知し、ECU41が検知された圧力の大きさを圧力センサ33により測定する。ここで、空気袋別に測定される圧力は、空気袋の設置箇所に応じて変化する。また、空気袋間の圧力のバランスは、シート着座者の着座姿勢に応じた値となる。つまり、ECU41は、シート着座者の着座姿勢を特定するための指標として、シート着座者が車両用シートSに着座しているときの圧力の現在値を測定することになっている。
以上のように本実施形態では、シート着座者の着座姿勢を特定する上で2つの指標(具体的には、空気袋の膨出圧及びシートバックS1に掛かる圧力)を測定することになっている。これにより、上記2つの指標のうちのいずれか一方のみを測定する場合に比べて、着座姿勢をより適切に特定することが可能となる。より詳しく説明すると、空気袋の膨出圧のみを測定して着座姿勢を特定しようとする場合には、シート着座者が車両用シートSに着座することで変化した膨出圧を測定することになる。ただし、膨出圧が変化したとしても、それがシート着座によるものであるのか、若しくはそれ以外の理由(例えば、空気袋への空気封入)によるものなのかが判明し難いケースがある。他方、圧力センサ33にてシートバックS1に掛かる圧力のみを測定して着座姿勢を特定しようとする場合、シート着座者の背がシートバックS1中、空気袋がある部分に適切に当たっていないと、圧力センサ33による測定が正確になされなくなってしまう。
これに対して、本実施形態では、シート着座者の着座姿勢を特定する上で2つの指標を測定するため、上述した一方の指標のみを測定するケースに比して、より適切にシート着座者の着座姿勢を特定することが可能となる。ただし、これに限定されるものではなく、2つの指標のうちのいずれか一方のみを測定することとしてもよい。
また、ECU41は、呼吸センサ31や重量センサ34を用いて、着座姿勢以外の着座状態を測定する。具体的に説明すると、ECU41は、シートクッションS2の後端部に設置された感圧抵抗型のセンサからなる呼吸センサ31を用いて、シート着座者の覚醒状態を特定する。より厳密に説明すると、ECU41は、シート着座の呼吸に連動する周期的な座圧変動(呼吸波形)を呼吸センサ31にて測定し、その測定値からシート着座者の覚醒状態を特定する。また、ECU41は、重量センサ34を用いて車両用シートSに作用する荷重を測定し、その測定値からシート着座者の有無を特定する。
さらに、ECU41は、車内ネットワークを通じて、上述したセンサ以外の車内センサと通信することで当該車内センサの測定値を取得し、例えば、車速センサ42と通信することで走行速度(車速)の現在値を取得する。
さらにまた、ECU41は、車内ネットワークを通じて車内に在る上記以外の通信機器と通信することで、当該通信機器から情報を取得することが可能である。具体的に説明すると、ECU41は、シート着座者が所持している携帯端末としてのスマートフォン44と通信することで、シート着座者に関する情報(厳密には、後述の識別情報)を取得する。また、ECU41は、カーナビゲーション装置43と通信することで、その日に車両が走行する予定の距離や予定経路に関する情報を取得する。
さらにまた、ECU41は、車両がETC(Electronic
Toll Collection)47の前を通過する際にETC47と通信することで、車両の走行場所を特定するための情報(厳密には、車両が高速道路を走行しているかどうかを示す情報)を取得する。
さらにまた、ECU41は、USBメモリやSDカード(登録商標)のような携帯自在な記録媒体であるポータブルメモリ45と接続可能であり、当該ポータブルメモリ45との間でデータの受け渡しを行うことが可能である。つまり、ECU41は、自身が記憶している情報をポータブルメモリ45に書き込む一方で、ポータブルメモリ45が記憶している情報を読み取ることが可能である。
さらにまた、ECU41は、車内に設けられたタブレット端末(以下、車内タブレット端末46)と通信し、車内タブレット端末46のモニタ画面(画面に相当)に情報を表示させることが可能である。より具体的に説明すると、車内タブレット端末46は、車両用シートSの周囲(厳密には、シート着座者にとって操作し易い位置)に配置されており、図1に示すように、車体フロアから立設しているスタンションの上部にセットされている。
そして、ECU41は、画像情報や文字列情報を表示するためのデータ(情報表示データ)を生成し、当該情報表示データを車内タブレット端末46に向けて送信する。車内タブレット端末46は、車内ネットワークを通じて情報表示データを受信すると、これを展開して同データが示す情報をモニタ画面に表示する。これにより、シート着座者は、ECU41から発信されてくる各種情報をモニタ画面にて確認することが可能となり、例えば、図4に示すように、ECU41が測定した着座状態を確認することが可能となる。
ちなみに、図4が示す画面例は、あくまでもモニタ画面の一例であり、そのデザインや画面レイアウトについては図4に図示のものに限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。また、図4では、呼吸状態に関する情報(厳密には、呼吸波形や覚醒度判定グラフ)、骨盤角度に関する情報(厳密には、骨盤角度の変化曲線及び疲労レベル判定グラフ)、及び、車体の傾き(図中、車体Gと表記)が着座状態として表示されているが、モニタ画面に表示される情報については上記の内容に限定されるものではない。
なお、車内タブレット端末46のモニタ画面は、タッチパネル46aからなり、情報表示データが示す情報を表示すると共に、シート着座者が行う画面操作(タッチ操作)を入力操作として受け付ける。
<<制御装置の機能について>>
次に、図4を参照しながら、制御装置としてのECU41の機能について説明する。ECU41は、姿勢矯正に関する各種の機能を実装している。具体的に説明すると、ECU41は、図4に示すように、識別情報取得部51、測定部52、プラン記憶部53、提示部54、処理実行部55、通算着座時間管理部56、態様設定部57、比較部58、情報表示部59、判定部60、情報転送部61、情報読取部62及びプラン変更部63を有する。これらの機能部は、それぞれ、ECU41を構成するハードウェア機器(具体的には、MPU及びメモリ)がソフトウェア機器(姿勢制御用の制御回路)と協働することにより実現されるものである。
以下、上記の機能部のそれぞれについて説明する。なお、以降における各機能部の説明の順序は、上述した機能部の掲載順序と異なっている。
(識別情報取得部51)
識別情報取得部51は、シート着座者の識別情報を取得するものである。ここで、識別情報とは、シート着座者を特定(個人認証)するための情報であり、例えば、シート着座者のID情報、シート着座者の顔画像や指紋画像を示す画像情報、シート着座者の声紋情報等が該当する。
ちなみに、本実施形態において、識別情報取得部51は、シート着座者が所持しているスマートフォン44と通信することで当該スマートフォン44から識別情報を取得する。かかる構成により、スマートフォン44を所持している者が車両用シートSに着座すると、ECU41が上記のスマートフォン44と通信することでシート着座者の識別情報を自動的に取得するようになる。この結果、本実施形態では、比較的容易にシート着座者の識別情報を取得することが可能となる。
なお、識別情報の取得方法については上記の方法に限定されるものではなく、シート着座者が車内タブレット端末46や所定の入力装置を通じて識別情報を入力し、その入力操作を受け付けた機器からECU41が識別情報(入力操作の内容)に関するデータを受信することで識別情報を取得する形でもよい。あるいは、車内に設置されたカメラによりシート着座者の顔画像を撮影したり、車内に設置されたマイクによりシート着座者の音声を録音したりすることで識別情報を取得してもよい。または、シート着座者を識別するためのセンサを車内(例えば、ハンドル付近)に設置し、かかるセンサからECU41が識別情報(センサの検知結果)を取得してもよい。
(測定部52)
測定部52は、車内に設けられた着座状態測定用のセンサ群を用いて、車両用シートSに着座しているときのシート着座者の身体状態、すなわち着座状態を測定するものである。具体的に説明すると、測定部52は、空気袋別に設けられた膨出圧センサ32により、シート着座者が車両用シートSに着座することで変化する各空気袋の膨出圧の現在値を測定する。また、測定部52は、各空気袋の前面に取り付けられた圧力センサ33により、シート着座者が車両用シートSに着座している際にシートバックS1各部に掛かる圧力の現在値を測定する。また、測定部52は、呼吸センサ31により、シート着座者の呼吸波形を測定する。また、測定部52は、重量センサ34により、車両用シートSに作用する荷重を測定する。
なお、測定部52による測定対象や測定方法については、シート着座者の身体状態を特定するための指標を好適な方法にて測定すればよく、上記の内容に限定されるものではない。例えば、シート着座者の骨格形状を公知の形状センサによって測定してもよい。あるいは、シート着座者を車内のカメラにて撮影し、その撮影画像を解析することでシート着座者の脊椎の曲がり具合や骨格の歪み等を測定してもよい。
以上のように測定部52は、シート着座者の着座状態(具体的には、各空気袋の膨出圧やシートバックS1に掛かる圧力の現在値)を測定するが、本実施形態では同じシート着座者(すなわち、識別情報が同一である着座者)に対して複数の測定日に亘って測定することになっている。より具体的に説明すると、ある者が異なる日に車両を利用する場合、測定部52は、その者の着座状態を日別に測定する。
なお、測定部52による日別の測定値は、測定履歴として記憶されることになっている。この測定履歴は、シート着座者の識別情報と関連付けられており、シート着座者毎に管理されている。
(判定部60)
判定部60は、測定部52が測定した着座状態に関する現在値のうち、着座姿勢を特定するための指標(具体的には、膨出圧センサ32にて測定される膨出圧、及び圧力センサ33にて測定される圧力)の現在値から着座姿勢(脊椎の曲がり状態)を判定する。より詳しく説明すると、判定部60は、「猫背」、「やや猫背」、「理想姿勢」、「やや反り背」及び「反り背」の5つの姿勢の中から該当するものを選び、その選択結果をシート着座者の現在の着座姿勢とする。
なお、測定部52が測定した指標の現在値(すなわち、測定値)がどの範囲にあるときに上記5つの着座姿勢のうちのいずれに該当するのかについては、任意に設定することが可能である。また、着座姿勢の候補についても上記5つの姿勢に限定されるものではなく、任意に決めることが可能である。
(プラン記憶部53)
プラン記憶部53は、姿勢矯正時に適用される矯正プランを記憶するものである。なお、本実施形態において、矯正プランは、予め複数用意されており、プラン記憶部53は、図5に示すようにn個(nは2以上の自然数)の矯正プランを記憶している。
また、プラン記憶部53は、矯正プランと共に、図5に図示のプラン管理テーブルTを記憶している。このプラン管理テーブルTは、シート着座者に対して設定された矯正プランを管理するためのデータである。より具体的に説明すると、プラン管理テーブルTは、識別情報取得部51が取得したシート着座者の識別情報と、当該識別情報によって特定されるシート着座者に対して姿勢矯正を実施する際に適用される矯正プランと、の対応関係を規定している。一例を挙げて説明すると、識別情報「aaaa」のシート着座者に対して姿勢矯正を行う際には矯正プラン(1)が適用されることになっている。
(提示部54)
提示部54は、判定部60が判定した着座姿勢に応じた矯正プランをプラン記憶部53から読み出してシート着座者に対して提示するものである。ここで、判定部60が着座姿勢を判定する際には、前述したように、測定部52が測定した着座状態に関する現在値に基づいて判定することになっている。かかる意味で、提示部54は、測定部52が測定した着座状態に関する現在値に応じた矯正プランを提示すると言える。
提示部54による矯正プランの提示について詳しく説明すると、提示部54は、着座姿勢と矯正プランとの対応関係を規定したテーブル(以下、対応テーブル)を参照し、判定部60が判定したシート着座者の着座姿勢と対応する矯正プランを一つ選び、当該矯正プランを提示する。なお、対応テーブルには、各着座姿勢に適した矯正プランが着座姿勢別に規定されており、着座姿勢が決まると、対応テーブルに基づいて対応する矯正プランが一つ選定されるようになる。
そして、シート着座者に提示された矯正プランは、当該シート着座者の識別情報と関連付けてプラン記憶部53に記憶されることになっている。つまり、プラン記憶部53は、提示部54が提示した矯正プランを、提示部54が矯正プランを提示した際に車両用シートに着座していたシート着座者の識別情報と関連付けて記憶することになっている。より具体的に説明すると、提示部54が矯正プランを提示した際、プラン記憶部53が記憶しているプラン管理テーブルTに新たなレコードが追加される。かかるレコードは、提示部54が今回提示した矯正プランと、プラン提示時のシート着座者の識別情報と、を関連付けるデータとなっている。
(処理実行部55)
処理実行部55は、着座姿勢を矯正する処理(以下、矯正処理)を実行するものである。処理実行部55は、矯正処理においてアクチュエータ18及び電磁弁Vを制御することで各空気袋の膨出圧を調整する。これにより、シート着座者の背が空気袋によって押圧される結果、シート着座者の着座姿勢が矯正されるようになる。
また、本実施形態において、処理実行部55は、姿勢矯正に際して、その時点で車両用シートSに着座しているシート着座者の識別情報を特定し、特定した識別情報に関連付けられた矯正プランをプラン記憶部53から読み出す。そして、処理実行部55は、読み出した矯正プランが示す矯正内容に従って矯正処理を実行するようになる。このように本実施形態では、シート着座者の着座姿勢を矯正する際に、当該シート着座者に提示された矯正プランが示す内容にて矯正が行われることになっている。この結果、シート着座者の着座姿勢に適した矯正内容にて当該シート着座者の着座姿勢が適切に矯正されることになる。
具体的に説明すると、処理実行部55は、矯正処理において肩部用空気袋11a、腰部用空気袋12a及び骨盤用空気袋13aの各々の膨出圧をシート着座者の着座姿勢(すなわち、判定部60による判定結果)に応じて調整する。一例を挙げて説明すると、着座姿勢が猫背であるときには、図6Aに示すように、肩部用空気袋11a、腰部用空気袋12a及び骨盤用空気袋13aの順に膨出圧を大きくし、骨盤用空気袋13aの膨出圧(図中、P3にて示す)を最も大きくする。なお、図6A及び後述の図6B、6Cには、各着座姿勢での脊椎と各空気袋との位置関係を示す図と、空気袋間の膨出圧の大小関係を示す模式図と、が図示されている。
反対に、着座姿勢が反り背であるときには、図6Cに示すように、肩部用空気袋11aの膨出圧(図中、P1にて示す)を最も大きくし、腰部用空気袋12aの膨出圧(図中、P2にて示す)を最も小さくする。一方、着座姿勢が理想姿勢であるときには、図6Bに示すように、肩部用空気袋11aの膨出圧よりも腰部用空気袋12aの膨出圧を大きくし、骨盤用空気袋13aの膨出圧を腰部用空気袋12aの膨出圧よりも若干大きくする。なお、図6A〜6Cに図示の矯正内容(具体的には、空気袋間の膨出圧のバランス)は、あくまでも一例に過ぎず、これらの図に示した内容に限定されるものではない。
ところで、本実施形態において、処理実行部55は、矯正処理の実行時、後述の態様設定部57が設定した矯正態様にてシート着座者の着座姿勢を矯正することになっている。ここで、「矯正態様」とは、姿勢矯正の具体的な進め方(矯正手順)や矯正モードのことであり、例えば、姿勢矯正時においてシート着座者の身体に負荷を掛ける際の度合い(厳密には、負荷の変動速度、負荷付与スケジュール、各時間帯における負荷の大きさ等)が該当する。なお、本実施形態において、矯正態様は、その日のシート着座者の状態やスケジュールや、車両及びその周囲の状況、その他矯正態様を設定する上で考慮すべき事項に応じて矯正処理を実行する都度、設定されることになっている。
さらにまた、処理実行部55は、矯正処理の実行に際してヒータ15を制御してシート着座者の背(具体的には、背においてヒータ15の直前位置にある部位)を温める。また、処理実行部55は、矯正処理の実行に際して振動付与デバイス26を制御してシート着座者の背に振動を付与する。以上により、シート着座者の筋肉(特に肩、背、腰の筋肉)が和らげられ、その後の姿勢矯正が効率良く行われるようになる。
(通算着座時間管理部56)
通算着座時間管理部56は、シート着座者別に通算着座時間を管理するものである。ここで、「通算着座時間」とは、識別情報が同一であるシート着座者が車両用シートSに着座した時間の累計値を意味する。なお、本実施形態において、通算着座時間は、シート着座者が初めて姿勢矯正を受けた際の当該姿勢矯正の開始時を基準(始点)として管理することになっている。すなわち、本実施形態において、通算着座時間とは、シート着座者が姿勢矯正を受けてきた累計時間と同義である。
また、通算着座時間管理部56は、シート着座者の通算着座時間を当該シート着座者の識別情報と関連付けて記憶しており、具体的には、通算着座時間と識別情報との対応関係を規定した管理テーブル(以下、通算着座時間管理テーブル)を記憶している。
通算着座時間の管理について具体的に説明すると、シート着座者が車両用シートSに着座した際に、通算着座時間管理部56が、その時点で識別情報取得部51が取得した識別情報と上記の通算着座時間管理テーブルとに基づいて、当該シート着座者の前回までの通算着座時間を特定する。一方、通算着座時間管理部56は、シート着座者が車両用シートSに着座した時点から着座時間をカウントし、特定した前回までの通算着座時間とカウント中の新たな着座時間とを合算することで、今回の通算着座時間を求める。そして、通算着座時間管理部56は、通算着座時間管理テーブル中、車両用シートSに着座しているシート着座者の識別情報と関連付けられた通算着座時間を、今回求めた通算着座時間に更新する。
(態様設定部57)
態様設定部57は、処理実行部55が矯正処理を実行する際に適用される矯正態様を設定する。また、本実施形態において、態様設定部57は、前述したように、矯正処理が実行される度に矯正態様を設定することになっている。また、本実施形態において、態様設定部57は、様々な状況を踏まえて矯正態様を設定する。具体的には、下記の事項(r1)、(r2)、(r3)、(r4)、(r5)及び(r6)に応じた矯正態様を設定することになっている。
(r1)通算着座時間管理部56が管理している通算着座時間のうち、車両用シートSに着座しているシート着座者の識別情報と関連付けられている通算着座時間
(r2)車両用シートSに着座しているシート着座者の年齢
(r3)その日に車両が走行する予定の走行経路
(r4)その日の曜日及び現在の時刻
(r5)車両の走行場所(高速道路を走行しているかどうか)
(r6)車両の走行速度
以上のように、本実施形態では、上記6つの事項を考慮して矯正態様を設定するため、姿勢矯正の進展具合(つまり、姿勢矯正を受けてきた時間)やシート着座者の予定等を加味した上で適切な態様にて姿勢矯正が行われるようになる。具体的に説明すると、あるシート着座者は、それまでの通算着座時間に応じた矯正態様にて姿勢矯正を受けることになる。これにより、通算着座時間に応じて矯正時の負荷が適切に調整されるようになり、例えば、矯正初期(すなわち、通算着座時間が比較的小さいとき)には負荷を小さく抑え、通算着座時間の増加と共に徐々に負荷を大きくすることが可能となる。
また、車両が比較的長距離を走行する場合には、シート着座者が車両用シートSに長時間着座することになるため、姿勢矯正の継続時間が通常の時間よりも長くなるように矯正態様を設定することが可能となる。また、特定の曜日(例えば、祝日)や特定の時間(例えば、早朝)に車両を運転する場合には、その曜日や時間帯に応じた矯正態様にて姿勢矯正を行うことも可能となる。また、車両が高速道路を走行している期間中には、シート着座者の着座姿勢が安定するため、シート着座者に対してより高い頻度にて負荷を掛けるように矯正態様を設定することも可能となる。
なお、上記6つの事項のうち、(r1)、(r4)、(r5)及び(r6)は、車両が走行している期間中、動的に変化するものである。態様設定部57は、車両走行期間中、これら4つの事項を定期的に特定すると共に、その特定結果に応じて矯正態様を適宜更新する。したがって、本実施形態では、矯正処理の実行中、矯正態様が定期的に更新されることになっており、矯正態様が変わった場合には、変更後の矯正態様にて処理実行部55が矯正処理を実行するようになる。
ちなみに、本実施形態において、上記6つの事項のうち、(r2)に関する情報については、シート着座者が車内タブレット端末46や所定の入力装置を通じて入力することで取得される。ただし、これに限定されるものではなく、シート着座者の年齢については、車内に設置されたカメラが撮像したシート着座者の顔画像を解析したり、シート着座者の生体情報のうち、年齢に応じて変化する情報(例えば、皺数、骨密度、体脂肪率等)を所定のセンサにて測定したりすることで取得することも可能である。なお、年齢については、実際の年齢(実年齢)であってもよく、体力や健康状態に応じて決まる年齢(いわゆる体力年齢)であってもよい。
また、本実施形態において、(r3)に関する情報については、ECU41がカーナビゲーション装置43と通信することにより取得される。ただし、これに限定されるものではなく、車両の予定走行経路については、シート着座者が車内タブレット端末46や所定の入力装置を通じて入力することで取得することも可能である。
また、本実施形態において、(r4)に関する情報については、ECU41内のカレンダや内部時計から取得される。ただし、これに限定されるものではなく、その日の曜日や現在時刻については、ECU41が外部の機器やシート着座者のスマートフォン44と通信することで取得することも可能である。
また、本実施形態において、(r5)に関する情報、具体的には、車両が現在高速道路を走行しているか否かの情報については、車両がETC47の前を通過する際にECU41がETC47からの出力信号を受信することにより取得される。ただし、これに限定されるものではなく、車両が現在高速道路を走行しているか否かについては、車両やスマートフォン44若しくは車内タブレット端末46に搭載されたGPS機能により取得することも可能である。若しくは、シート着座者が車内タブレット端末46や所定の入力装置を通じて入力することで取得することも可能である。
また、本実施形態において、(r6)に関する情報については、ECU41が車速センサ42からの出力信号を受信することにより取得される。ただし、これに限定されるものではなく、車両の走行速度については、シート着座者が車内タブレット端末46や所定の入力装置を通じて入力することで取得することも可能である。
なお、本実施形態では、上記6つの事項(r1)〜(r6)に応じて矯正態様を設定することとしたが、矯正態様を設定する際に考慮すべき事項については、上記6つの事項に限定されるものではなく、上記6つの事項のいずれかのみであってもよい。あるいは、上記6つの事項以外の事項(例えば、シート着座者の体調や車両が走行している路面の状態等)をさらに考慮して矯正態様を設定してもよい。
(情報表示部59)
情報表示部59は、情報を車内タブレット端末46のタッチパネル46aに表示する。より具体的に説明すると、情報表示部59は、情報を表示するためのデータ(情報表示データ)を生成して車内タブレット端末46に向けて送信する。車内タブレット端末46は、車内ネットワークを通じて情報表示データを受信すると、これを展開して同データが示す情報をモニタ画面に表示する。
情報表示部59が送信する情報表示データについて説明すると、判定部60による判定結果を表示するためのデータが情報表示データとして送信される。すなわち、本実施形態において、情報表示部59は、判定部60の判定結果を示す情報、具体的にはシート着座者の現在の着座姿勢を表示する。ここで、判定部60が着座姿勢を判定する際には、前述したように、測定部52が測定した着座状態に関する現在値に基づいて判定することになっている。かかる意味で、情報表示部59は、測定部52が測定した着座状態に関する現在値に応じた情報を表示すると言える。
なお、図7に、判定部60による判定結果を表示している画面例を示す。ただし、図7に図示の画面は、判定部60による判定結果を表示している画面の一例であり、画面デザインや画面レイアウト、並びに表示する情報については図7に図示の内容に限定されるものではない。
また、情報表示部59が送信する情報表示データの中には、提示部54が提示した矯正プランを表示するためのデータが含まれている。すなわち、本実施形態において、提示部54は、情報表示部59に矯正プランを車内タブレット端末46の画面に表示させることで矯正プランを提示する。
なお、図8に、提示部54が提示した矯正プランを表示している画面例を示す。ここで、画面中、矯正プランは、現在の着座姿勢に関する将来的なリスクや要因、理想姿勢及び矯正内容(図中、「背筋・大胸筋を・・・・保つことができます。」と表記された部分)によって構成されている。ただし、画面に矯正プランを表示する際の表示内容については、図8に図示した内容に限定されるものではない。また、提示部54が提示した矯正プランを表示する画面のデザインや画面レイアウトについても、図8に図示の内容に限定されるものではない。
また、本実施形態において、情報表示部59は、車内タブレット端末46のタッチパネル46aに情報を表示することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、シート着座者が保持するスマートフォン44や車内に搭載された他の画面(例えば、カーナビゲーション装置43のディスプレイ)に情報を表示してもよい。
(比較部58)
比較部58は、同一のシート着座者を対象にして測定部52が直前の測定日に測定した着座状態(具体的には、各空気袋の膨出圧やシートバックS1に掛かる圧力の現在値)と、直前の測定日よりも前の測定日に測定した着座状態と、を比較する。具体的に説明すると、あるシート着座者が車両用シートSに着座した際、測定部52による着座状態の測定(すなわち、今回の測定)が行われる。その一方で、比較部58が上記のシート着座者の測定履歴を参照し、初回の測定における着座状態の測定値(初回の測定値)を読み出す。
そして、比較部58は、今回の測定値と初回の測定値とを比較する。このような比較を行うことで、前回までに行ってきた姿勢矯正の効果(すなわち、矯正による姿勢改善具合)を把握することが可能となる。
また、本実施形態では、図9に示すように、比較対象である今回の測定値及び初回の測定値のそれぞれについて、当該測定値に応じた情報(厳密には、測定値に応じた脊椎の曲がり状態を示す画像)が情報表示部59によって車内タブレット端末46に表示されることになっている。これにより、シート着座者は、車内タブレット端末46を通じて、前回までに行ってきた姿勢矯正の効果(すなわち、矯正による姿勢改善効果)を確認することが可能となる。
なお、図9に図示の画面は、比較部58によって比較される2つの対象を示す画面の一例に過ぎず、当該画面のデザインやレイアウト、及び表示される情報については、図9に図示の内容に限定されるものではない。
(プラン変更部63)
プラン変更部63は、提示部54がシート着座者に対して提示した矯正プランを必要に応じて変更するものである。厳密に説明すると、プラン変更部63は、所定の変更条件が成立したとき、提示部54が矯正プランを提示した際に車両用シートSに着座していたシート着座者の識別情報と関連付けられている矯正プランを、プラン記憶部53に記憶された一の矯正プランから他の矯正プランに変更する。
より詳しく説明すると、本実施形態では、姿勢矯正が複数日に亘って繰り返し実施されることになっている。換言すると、シート着座者が車両用シートSに着座する日付が変わる度に、同じシート着座者に対して矯正処理を繰り返し実行することになっている。また、測定部52による着座状態の測定についても、日付が変わる度に実施されることになっている。つまり、測定部52は、初回の矯正処理が開始された日後に着座状態(具体的には、各空気袋の膨出圧及びシートバックS1に掛かる圧力の現在値)を測定し直す。
一方、プラン変更部63は、初回の矯正処理が開始された日以降、シート着座者が車両用シートSに着座する日付が変わる度に、測定部52が測定し直した着座状態(すなわち、今回の測定値)に基づいてプラン変更の要否を判定する。より具体的に説明すると、比較部58が今回の測定値と初回の測定値とを比較すると、その比較結果(例えば、測定値の差分)がプラン変更部63に通知されることになっている。プラン変更部63は、通知された比較結果が所定の条件を満たすかどうかを判定する。そして、プラン変更部63は、上記の条件が成立している場合に矯正プランを変更する。具体的には、対象となるシート着座者(厳密には、初回の矯正処理で適用された矯正プランが提示部54によって提示した時点のシート着座者)の識別情報と関連付けられている矯正プランが変更するようにプラン管理テーブルTを更新する。
以上のように、本実施形態では、矯正処理において適用する矯正プランを決めた日後に、必要に応じて当該矯正プランの見直しを行う。これにより、一度設定した矯正プランであっても、着座姿勢の矯正具合(改善具合)に応じて必要により適宜見直すことが可能となる。これにより、効果的に着座姿勢を矯正することが可能となる。
なお、矯正プランの変更に関して、プラン記憶部53に記憶された矯正プランのうち、どのプランを変更後の矯正プランとして採用するかについては、特に限定されるものではないが、比較部58が今回の測定値と初回の測定値とを比較した際の比較結果を考慮して、最適なプランが選ばれるのが望ましい。
(情報転送部61及び情報読取部62)
情報転送部61は、ECU41が記憶している各種情報を、ECU41に接続されているポータブルメモリ45に転送する。情報読取部62は、ECU41に接続されているポータブルメモリ45から情報を読み取る。すなわち、本実施形態では、ポータブルメモリ45を利用することでECU41に記憶されている情報を移送することが可能である。
ここで、ポータブルメモリ45に転送したりポータブルメモリ45から読み取ったりする情報の中には、測定部52が着座状態を測定した際の測定値(厳密には、過去の測定値を収録した測定履歴)、識別情報取得部51が取得したシート着座者の識別情報、提示部54が提示した矯正プランの対応関係(具体的にはプラン管理テーブルT)、通算着座時間管理部56が管理している通算着座時間、及び、プラン変更部63によって矯正プランが見直されたときの変更後の矯正プランが含まれている。
本実施形態では、上記の情報転送部61及び情報読取部62が設けられていることで、互いに異なる車両に搭載されたECU41の各々が姿勢矯正に関する一連の機能(すなわち、上述した機能部)を具備するものであれば、ECU41間で情報の移送(引き継ぎ)を行うことが可能となる。これにより、例えば、利用する車両を交換した場合、それまで利用していた車両内に搭載されたECU41が記憶していた姿勢矯正に関する情報を、新たに利用する車両内のECU41に引き継ぐことが可能となる。この結果、車両利用者(つまり、シート着座者)は、それまで利用していた車両内で受けていた姿勢矯正と同じ矯正内容の姿勢矯正(つまり、同じ矯正プランにて行われる姿勢矯正)を、新たな車両内で引き続き受けることが可能となる。
なお、本実施形態では、情報転送部61が情報を転送し、情報読取部62が情報を読み取る対象として、USBメモリ等からなるポータブルメモリ45を用いることとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、ポータブルメモリ45の代用品として、シート着座者が保持するスマートフォン44を用いてもよく、あるいは、車内タブレット端末46が持ち運び自在の構成となっていれば当該車内タブレット端末46を用いてもよい。
<<状態矯正ユニットの動作例>>
次に、状態矯正ユニット1の動作例として、状態矯正ユニット1による姿勢矯正の流れ(姿勢矯正フロー)について説明する。
姿勢矯正フローは、主に、シート着座者が初めて姿勢矯正を受けるときのフロー(以下、初回時フロー)と、初回以降のフロー(以下、通常時フロー)と、に分かれる。以下では、先ず、初回時フローについて説明し、その後に、通常時フローを説明することとする。
(初回時フロー)
初回時フローは、図10及び11に示す流れに従って進行する。具体的に説明すると、シート着座者が本実施形態に係る車両用シートSに初めて着座した際に、初回時フローが自動的に開始される(S001)。より詳しく説明すると、車両用シートSにシート着座者が着座すると、これに伴って変化するシート重量の大きさに応じた信号を重量センサ34が出力する。ECU41は、重量センサ34からの出力信号を受信すると、これをトリガーとして初回時フローの主工程(ステップS002以降の工程)を自動的に開始する。なお、本実施形態では、車両用シートSにシート着座者が着座した時点で自動的に初回時フローが開始されることとしたが、これに限定されるものではなく、シート着座者がシート着座後に所定の操作/動作を行い、かかる操作/動作を契機に初回時フローが開始されてもよい。
初回時フローが開始されると、ECU41(具体的には、測定部52)は、シート着座者の着座状態に関する測定をはじめ、各種測定を実施する(S002)。具体的には、各空気袋の膨出圧を膨出圧センサ32により測定し、シートバックS1の各部に掛かる圧力を圧力センサ33により測定し、呼吸に伴って変化する着座圧を呼吸センサ31にて測定する。なお、各空気袋の膨出圧を測定するにあたり、ECU41は、車両用シートSにシート着座者が着座する前段階でアクチュエータ18及び電磁弁Vを制御し、各空気袋を所定の膨出圧になるまで膨出させる。
その後、ECU41(具体的には、識別情報取得部51)は、シート着座者が所持しているスマートフォン44と通信することで当該スマートフォン44からシート着座者の識別情報を取得する(S003)。また、ECU41(具体的には、判定部60)は、ステップS002にて測定した着座状態からシート着座者の着座姿勢を判定する(S004)。より具体的に説明すると、ECU41は、空気袋の膨出圧の現在値、及びシートバックS1の各部に掛かる圧力の現在値に基づいて、シート着座者の現在の着座姿勢が「猫背」、「やや猫背」、「理想姿勢」、「やや反り背」、「反り背」のうちのいずれであるかを判定する。
そして、ECU41(具体的には、情報表示部59)は、判定した着座姿勢を表示するための情報表示データを生成して車内タブレット端末46に向けて送信する。これにより、車内タブレット端末46のタッチパネル46aに、着座姿勢の判定結果が表示されるようになる(S005)。
その後、ECU41は、着座姿勢の判定結果に応じて以降の工程を実施する。具体的に説明すると、判定された着座姿勢が理想姿勢である場合(S006でYes)、ECU41は、初回時フローを終了する。一方、判定された着座姿勢が理想姿勢以外の姿勢である場合(S006でNo)、ECU41は、シート着座者のモード指定操作を契機として以降の工程を実施する。
ここで、シート着座者によるモード指定操作について説明すると、モード指定操作は、ECU41の制御モードについて用意された複数の候補の中から一つを指定するために行われる操作であり、本実施形態では、車内タブレット端末46のタッチパネル46aを通じて行われる。なお、ECU41による制御モードとして2つの候補が用意されており、具体的には、『安楽補正』のモードと『理想補正』のモードが設定されている。『理想補正』のモードは、姿勢矯正を行うモードであり、具体的には、現在の着座姿勢を理想姿勢になるように矯正するようにアクチュエータ18や電磁弁V等を制御するモードである。
『安楽補正』のモードは、現在の着座姿勢のままで安定させるためのモードであり、シート着座者にとって現在の着座姿勢を保持し易くなるようにアクチュエータ18や電磁弁V等を制御するモードである。
シート着座者は、以上2つの制御モードの中からいずれか一方を指定するために、タッチパネル46aにおいて着座姿勢の判定結果と共に表示される2つの指定ボタン(図7中、「安楽補正」、「理想補正」という文字が付されたボタン)のうちの一方を押す。かかるボタン操作がモード指定操作であり、ECU41は、車内タブレット端末46を介して当該操作を受け付ける。
そして、『安楽補正』のモードが指定された場合(S007で「安楽補正」)、ECU41は、上述した安楽補正を実施する(S008)。
一方、『理想補正』のモードが指定された場合(S007で「理想補正」)、ECU41は、上述した理想補正を実施する。理想補正を実施するにあたり、ECU41(具体的には、提示部54)は、プラン記憶部53にアクセスし、プラン記憶部53に記憶されている矯正プランの中から、前ステップS004で判定したシート着座者の現在の着座姿勢に応じた矯正プランを読み出す。そして、ECU41は、読み出した矯正プランをシート着座者に提示する(S009)。より具体的に説明すると、ECU41(具体的には、情報表示部59)が、読み出した矯正プランを表示するための情報表示データを生成して車内タブレット端末46に向けて送信する。これにより、図8に示すように、車内タブレット端末46のタッチパネル46aにECU41が読み出した矯正プラン、すなわち、シート着座者の現在の着座姿勢に応じた矯正プランが表示されるようになる。
また、ECU41は、前ステップS003で取得したシート着座者の識別情報と、提示した矯正プランとを関連付けてプラン記憶部53に記憶する(S010)。具体的には、識別情報と矯正プランとを互いに関連付けたレコードがプラン管理テーブルT中に追加されるように、プラン管理テーブルTを更新する。
その後、シート着座者が車内タブレット端末46にて理想補正の実施指令を行うと(具体的には、図8中、「補正開始」の文字が付されたボタンを押すと)、これをトリガーとしてECU41が理想補正を実施する(S011)。理想補正は、ECU41が図12に示す各工程を実施することで進行する。
具体的に説明すると、理想補正において、ECU41(具体的には、処理実行部55)は、車両用シートSに着座しているシート着座者の識別情報に関連付けられた矯正プランをプラン記憶部53から読み出す(S021)。
次に、ECU41(具体的には、処理実行部55)は、ヒータ15を制御してシート着座者の背の所定部位を加温するとともに(S022)、振動付与デバイス16を制御してシート着座者の背に対して振動を付与する(S023)。これにより、シート着座者の筋肉(特に肩、背、腰の筋肉)が和らげられ、その後の姿勢矯正が効率良く行われるようになる。
その後、ECU41(具体的には、態様設定部57)は、矯正処理時に適用する矯正態様を設定する(S024)。矯正態様を設定する手順について説明すると、図13に示すように、ECU41(具体的には、通算着座時間管理部56)が、その時点で車両用シートSに着座しているシート着座者の通算着座時間を特定する(S031)。なお、初回時フローの開始直後の段階では、通算着座時間が0となっている。
その後、ECU41(具体的には、態様設定部57)は、その日の曜日及び現在の時間帯を特定する(S032)。また、ECU41(具体的には、態様設定部57)は、カーナビゲーション装置43と通信することで、その日の車両の走行予定距離を特定する(S033)。また、ECU41(具体的には、態様設定部57)は、ETC47から受信した信号等に基づいて車両の現在の走行場所、より具体的には車両が高速道路を走行しているかどうかを特定する(S034)。さらに、ECU41(具体的には、態様設定部57)は、シート着座者が車内タブレット端末46を通じて入力したシート着座者の年齢を特定する(S035)。これら一連の特定工程が完了した後、ECU41(具体的には、態様設定部57)は、それまでの各ステップS031〜S035での特定結果に応じた矯正態様を設定する(S036)。
矯正態様設定後、ECU41(具体的には、処理実行部55)は、前ステップS021にて読み出した矯正プランが示す矯正内容に従って、前ステップS036にて設定した矯正態様にて矯正処理を実行する(S025)。
そして、ECU41(具体的には、処理実行部55)は、図12に示すように、矯正終了条件が成立するまで(S026)、矯正態様を設定するステップと、矯正処理を実行するステップと、を定期的に繰り返す。なお、矯正終了条件とは、理想補正のうち、その日の実施分(一日分)を終了するタイミングを規定したものであり、例えば、予め指定された矯正時間が経過すること、車両が目的地に到着すること、若しくは、シート着座者が矯正終了を指示するための操作を行うことが挙げられる。
そして、矯正終了条件が成立した時点で、初回分の姿勢矯正が完了し、初回時フローが終了することとなる。
(通常時フロー)
通常時フローは、初回時フローが行われた日後に行われることになっており、図14に示す流れに従って進行する。具体的に説明すると、通常時フローについても、初回時フローと同様、シート着座者が車両用シートSに着座した時点で自動的に開始される(S041)。その後、ECU41が、初回時フローと同様の手順にて、シート着座者の着座状態等に関する各種の測定(S042)、シート着座者の識別情報の取得(S043)、及び着座姿勢の判定(S044)を行う。
以上のように、本実施形態において、ECU41は、初回時フロー及び通常時フローの共通ルーティンとして、着座状態の測定、識別情報の取得及び着座姿勢の判定を行うことになっている。そして、取得した識別情報が以前に取得済みの識別情報と一致している場合、ECU41は、以降、図14に示す手順にて通常時フローを行うことになる。なお、通常時フローが行われるということは、識別情報が同一であるシート着座者に対して、着座状態の測定及び着座姿勢の判定が複数日に亘って行われることを意味している。換言すると、通常時フローでは、初回時フローが行われた日後にシート着座者の着座姿勢を測定し直すことになる。
通常時フローにおいて着座姿勢の判定が行われた後、ECU41(具体的には比較部58)は、姿勢比較を実施する(S045)。具体的に説明すると、姿勢比較では、初回時フローにおける着座状態の測定値(初回の測定値)と、通常時フローにおいて今回測定した着座状態の測定値(今回の測定値)と、を比較する。
その後、ECU41(具体的には情報表示部59)は、姿勢比較の結果を表示するための情報表示データを生成して車内タブレット端末46に向けて送信する。これにより、図9に示すように、車内タブレット端末46のタッチパネル46aに着座姿勢の比較結果、具体的には今回の測定値及び初回の測定値のそれぞれに応じた画像情報が表示されるようになる(S046)。これにより、シート着座者は、上記のタッチパネル46aを通じて、前回までに行ってきた姿勢矯正の効果(姿勢改善具合)を把握するようになる。
一方、ECU41(具体的にはプラン変更部63)は、シート着座者(厳密には、その時点で車両用シートSに着座しているシート着座者)の姿勢を矯正する際に適用する矯正プランを変更するか否かを、前ステップS046での比較結果に応じて判定する。具体的に説明すると、比較結果からシート着座者の着座姿勢についての矯正具合を特定し、当該矯正具合が一定以上であるならば(S047でYes)、プラン変更は行われないことになっている。かかる場合、ECU41は、識別情報が同一であるシート着座者に対して理想補正(すなわち、姿勢矯正)を実施する場面において、それまで当該識別情報と関連付けられていた矯正プランを引き続き適用して理想補正を実施することになる(S048)。
これに対して、矯正具合が一定未満であるとき(S047でNo)、ECU41(具体的には、提示部54)は、プラン記憶部53に記憶されている矯正プランの中から、その時点での矯正具合に応じた矯正プランを読み出し、当該矯正プランを新たな矯正プランとしてシート着座者に提示する(S049)。そして、ECU41(具体的にはプラン変更部63)は、新たな矯正プランが提示されたシート着座者の識別情報と関連付けられている矯正プランを変更する(S050)。具体的には、上記のプラン変更が反映されるようにプラン管理テーブルTを更新する。その上で、ECU41(具体的には、処理実行部55)は、変更後の矯正プランにて理想補正(すなわち、姿勢矯正)を実施する(S051)。
なお、通常時フローにおいて、理想補正は、初回時フローと同様の手順(すなわち、図12に示す手順)にて進行する。また、通常時フローにおいても、矯正終了条件が成立するまで、矯正態様を設定するステップと、矯正処理を実行するステップと、を定期的に繰り返される。そして、矯正終了条件が成立した時点で、その日の分の姿勢矯正が完了し、通常時フローが終了することとなる。
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明の状態矯正ユニットについて説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、上記の実施形態では、シート着座者が車両用シートSに着座する前段階で既に複矯正プランが複数用意されていて、予めプラン記憶部53に記憶されていることとした。ただし、これに限定されるものではなく、シート着座者が車両用シートSに着座した後、例えばシート着座者の着座状態を測定した後に当該測定値を反映して矯正プランを新たに作成してもよい。
また、上記の実施形態では、同一のシート着座者に対して姿勢矯正を複数の日に亘って繰り返し実施するケースを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、シート着座者に対して姿勢矯正を単発的に行うケースに対しても適用可能である。
また、上記の実施形態では、主にシート着座者の着座姿勢を矯正する目的で本発明の状態矯正ユニット1を用いることとした。ただし、状態矯正ユニット1の用途については特に限定されるものではなく、着座姿勢以外の身体状態、例えば、筋力、柔軟性、骨格の歪み等を矯正する目的で用いてもよい。
1 状態矯正ユニット
11 ショルダーサポート部
11a 肩部用空気袋(動作部、空気袋)
12 ランバーサポート部
12a 腰部用空気袋(動作部、空気袋)
13 ペルビスサポート部
13a 骨盤用空気袋(動作部、空気袋)
14 サイドサポート部
15 ヒータ(加温部)
16 振動付与デバイス(振動付与部)
18 アクチュエータ(動作部)
31 呼吸センサ
32 膨出圧センサ
33 圧力センサ
34 重量センサ
41 ECU
42 車速センサ
43 カーナビゲーション装置
44 スマートフォン(携帯端末)
45 ポータブルメモリ
46 車内タブレット端末
46a タッチパネル
47 ETC
51 識別情報取得部
52 測定部
53 プラン記憶部
54 提示部
55 処理実行部
56 通算着座時間管理部
57 態様設定部
58 比較部
59 情報表示部
60 判定部
61 情報転送部
62 情報読取部
63 プラン変更部
S 車両用シート
S1 シートバック
S2 シートクッション
S3 ヘッドレスト
T プラン管理テーブル
V 電磁弁

Claims (1)

  1. 乗物用シートに着座している着座者の身体状態を矯正するために動作する動作部と、
    前記乗物用シートに着座している着座者の識別情報を取得する識別情報取得部と、
    前記身体状態を特定するための指標の現在値を測定する測定部と、
    前記身体状態の矯正内容を示す矯正プランを記憶しているプラン記憶部と、
    前記現在値に応じた前記矯正プランを前記プラン記憶部から読み出して前記乗物用シートに着座している着座者に対して提示する提示部と、
    前記動作部を制御して前記身体状態を矯正する処理を実行する処理実行部と、を有し、
    前記プラン記憶部は、前記提示部が提示した前記矯正プランを、前記提示部が前記矯正プランを提示した際に前記乗物用シートに着座していた着座者の前記識別情報と関連付けて記憶しており、
    前記処理実行部は、前記乗物用シートに着座していた着座者の前記識別情報に関連付けられた前記矯正プランを前記プラン記憶部から読み出し、読み出した前記矯正プランが示す前記矯正内容に従って前記身体状態を矯正する前記処理を実行することを特徴とする状態矯正ユニット。
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