JP2019536808A - 熱分解断片化によるグリコールアルデヒドの製造法 - Google Patents

熱分解断片化によるグリコールアルデヒドの製造法 Download PDF

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Abstract

本発明は、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む炭水化物供給原料の熱分解断片化によりグリコールアルデヒドを製造するための方法、並びに該方法を実行するのに適した装置に関する。該方法及び装置は、工業的な用途に適しており、及び該方法は、連続的プロセスでも実行し得る。

Description

本発明は、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む炭水化物供給原料の熱分解断片化によりグリコールアルデヒドを製造するための方法、並びに該方法を実行するのに適した装置に関する。該方法及び装置は、工業的な使用に適しており、及び該方法は、連続的プロセスでも実行し得る。
近年、バイオマスや糖などの再生可能原料から商業的化学品を製造することに益々の努力が集中されている。バイオマス及びそれから誘導される糖は、商業的化学品の製造のための化石資源を補足及び場合により代替するそれらの可能性の故に、特に重要である。炭水化物は、バイオマスの大きな割合を占め、そして商業的化学品の製造のための原料としてのそれらの効果的な使用のための様々な方策が確立されつつある。これらの方策には、発酵ベースの方法、熱分解断片化、及び様々な触媒ベースの方法などが含まれる。
高温プロセスによるバイオマス基質の転化は、達成できる高い体積製造速度及びこれらのタイプのプロセスの幅広い範囲の基質を転化する能力の故に、望ましい。しかし、現在の方法は、典型的には、特定の化合物へのかなり低い選択性を有し、これは、化学品の工業的生産にとって問題となり得る。
熱分解条件下でバイオマスから生成される製品の一つはグリコールアルデヒド(ヒドロキシアセトアルデヒド)である。グリコールアルデヒドは、ヒドロキシ基及びカルボニル基の両方を含むために、糖と構造を同一とする最小の化合物である。これは、典型的には、熱分解条件の下でバイオマスから生成される製品のうちで比較的小さな割合しか構成せず、また更には、熱分解混合物からの分離が困難であるため、その製造方法は経済的に実行可能ではない。
高純度糖は流動床中で断片化してC〜C含酸素化合物にできることが知られている。
それ故、US7,094,932(Majerski)(特許文献1)は、砂粒子の緻密流動床(バブリング床とも称される)中でグルコールまたはスクロースの水溶液を熱分解断片化してグリコールアルデヒドにすることによって食品用ブラウニング成分を製造する方法を記載している。供給原料がグルコースを含む場合には、凝縮した液状断片化生成物中のグリコールアルデヒドの収率は、質量ベースで、反応器に供給されたグルコースの少なくとも50重量%である。この液状断片化生成物は、ホルムアルデヒド、グリコールアルデヒド、グリオキサール、ピルブアルデヒド及びアセトールを初めとしたC〜C含酸素化合物を含む。この反応の主生成物はグリコールアルデヒドであり、水は反応の溶媒である。
US5,397,582(Underwood)(特許文献2)は、糖、デンプンまたはこれらの混合物を二つのタイプの気−固接触型反応器中に注入することによって食材の褐色化のための燻液(liquid smoke)を製造する方法を開示している。グリコールアルデヒド(含酸素化合物)の報告された収率は、Majerskiと比べるとかなり低い。
Christian Marup Osmundsen,Catalytic conversion of carbohydrates,Ph.D.thesis(2013),Department of Physics,Technical University of Denmark(非特許文献1)は、熱的レトロ−アルドール縮合を介して、C〜C含酸素化合物への高い選択性をもって、高温熱分解(熱分解断片化)によりモノサッカライド類を転化するための方法を記載している。グリコールアルデヒドは、60%を超える収率で製造されることが示された。
上記の文献は、高度に精製された糖を熱分解のための基質(供給原料)として使用した時のみ、50重量%を超えるグリコールアルデヒドの収率を得るのに成功している。
幾つかの文献は、粗糖または精糖の精製に関する。US2010/0160624(特許文献3)は、実質的に無機不純物を含まないスクロース及びスクロース関連生成物をイオン交換技術を用いて製造するための、粗糖または精糖の精製方法を開示している。US2,564,820(特許文献4)は、糖の混合床精製法を開示している。GB616278A(特許文献5)は、カチオン交換物質及びその後にアニオン交換物質を用いた処理を含む糖の水溶液からの有機系不純物の除去方法を開示している。GB633552A(特許文献6)は、複数のイオン交換体対(各々の対の一方はカチオン交換体であり、他方はアニオン交換体である)を含む装置を通すことを含む、灰分含有率が0.9%以下の糖水溶液を精製するための方法を開示している。
高純度の(精製された)糖が商業的に入手可能であるが、これらは、典型的には粉末の形で販売されており、すなわちエネルギー集約的でかつコスト高の結晶化ステップがそれらの精製において必要とされる。粗製炭水化物材料、例えば糖シロップの炭水化物供給原料としての使用はかなり低廉であるが、これらは典型的には幾つかの不純物、例えば灰分、スルフェート類、タンパク質、塩類及びオリゴサッカライド類を含む。二世代糖、すなわち植物バイオマスの非食用部分から製造された糖の場合は、更に幅広い範囲の不純物、例えばフラン類及び様々な有機酸が存在する。これらの化合物の多くは、慣用のバイオマス転化方法にとって問題を引き起こすことが知られており、例えばフラン類及び低pHは微生物に対し毒性であり、他方、硫黄は、幅広い様々な触媒の触媒毒であることが知られている。
粗糖を様々な等級(純度)の糖に精製するために使用される方法は、糖の誘導元のバイオマスのタイプに依存する存在する不純物の性質に大きく依存する。
粗甘蔗糖が精糖を製造するための原料である場合は、粗甘蔗糖は典型的には結晶性製品として製糖工場に供給される。これらの結晶自体は比較的純粋であるが(>99%)、これらは、かなりより低い純度(<65℃)の糖蜜のフィルム中にコーティングされる。それ得、第一の精製ステップは、このフィルムの除去であり、それによって不純物の殆どが除去される。これは、ほぼ飽和された糖シロップでこれらの結晶を洗浄することによって行われ、これは、アフィネーションとして知られるプロセスである。
洗浄された糖結晶は次いで水中に溶解し、そして懸濁した固形物及びコロイドを、濾過または凝集沈殿のいずれかによって除去する。後者は、例えば、リン酸及び石灰を添加して行われる。これは不純物を凝集(flocculate)させるが、このフロックは、濾過によっては簡単に除去されず、その代わりに、典型的には、空気浮上法(air flotation)が、液体の表面をすくい取ることによってフロックを除去するために使用される。
精糖の次のステップは、糖からの色の除去である。糖の色は、最終の製品の最も重要な仕様の一つである。粗糖の色は、フェノール類、メラノイジン類、カラメル及び様々な崩壊生成物などの様々な不純物の範囲によって生じる。これらの不純物は、典型的には、吸着材の床、例えば活性炭、骨炭及び/またはイオン交換樹脂などの床に糖溶液を通すことによって除去される。
製糖所での最後のステップは、精製された糖の回収である。この糖溶液は減圧下に加熱して水を蒸発させて、糖を結晶として析出させる。次いで、これらの結晶を、遠心分離によって残りの液体から単離し、そして(例えば流動床または回転式乾燥機中で)乾燥する。
明らかなことであるが、粗糖の精製におけるこれらのステップの全ては、かなりのエネルギー及び資本支出を必要とする。更に、各々のステップにおいて糖の損失を予期しなければならず; 例えば、粗糖中の約10%の固形物がアフィネーションシロップに使用される。これの一部は回収できる及び/または精糖所の他の部分に再使用することができるが、これらのステップを不要にすることは、グリコールアルデヒド及び熱分解断片化の他の生成物の製造に大きな改善となる、なぜならば、これは、原料の事前加工を簡素化し、それ故、粗糖からのグリコールアルデヒドの製造に伴うコストを減少させる。
しかし、従来技術は、熱分解断片化のための炭水化物供給原料として精製糖溶液を用いた高収率のグリコールアルデヒドを得ることにしか成功していない。
それ故、工業的に使用可能であり、かつ精製糖の転化に基づくが、なおも高収率でグリコールアルデヒドを供する既知の方法と比べてエネルギー効率がより高く及びコスト安である炭水化物供給原料からグリコールアルデヒドを製造するための方法へのニーズがある。
US7,094,932 US5,397,582 US2010/0160624 US2,564,820 GB616278A GB633552A
Christian Marup Osmundsen,Catalytic conversion of carbohydrates,Ph.D.thesis (2013),Department of Physics,Technical University of Denmark Patwardhan,P.,Satrio,J.,Brown,R.&Shanks,B.Influence of inorganic salts on the primary pyrolysis products of cellulose.Bioresource technology 101,4646−55(2010) "Cane Sugar Handbook" J.P.C.Chen and C.C.Chou,12th ed.,Wiley
本発明者らによる実験は、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む粗製炭水化物材料を熱分解断片化のための供給原料として使用した時に、グリコールアルデヒドの収率が、高純度糖の供給原料を用いて得た収率よりも低いことを示した。しかし、上述したように、粗製炭水化物材料から高純度糖供給原料を得る方法は、エネルギー集約的でありかつコスト高である。熱分解断片化の間のグリコールアルデヒドへの選択性(及びそれ故、グリコールアルデヒドの収率)は、たとえ粗製炭水化物材料を炭水化物供給原料として使用した場合でさえ高めることができた時は、熱分解断片化は、グリコールアルデヒドから出発した汎用化学品の製造を可能にするであろう、グリコールアルデヒドの大規模な生産のための簡単な方法となり得る。
驚くべきことに、粗製炭水化物供給原料(すなわち、粗製炭水化物材料を含有する炭水化物供給原料)を使用した時の収率低下の主たる原因は、タンパク質、オリゴサッカライド、カラメル、有機酸またはフラン類などの通常の不純部全ての存在ではなく、塩の存在であることが本発明者(ら)によって見出された。本発明者らは、(例えばイオン交換手順によって)この塩の不純物を除去することによって、炭水化物材料としての高純度糖に観察されるのと同じレベルまで収率を高め得ることを見出した。モノ−及び/またはジ−サッカライドを含む炭水化物供給原料を用いたグリコールアルデヒドの収率に対してこの塩が負の作用を持つようであることは驚くべきことある。それはとりわけ、塩の効果についての従前の検証は、ポリサッカライドの熱分解の間のグリコールアルデヒドの収率に対する塩のかなりの有益な効果を示したからである(Patwardhan,P.,Satrio,J.,Brown,R.&Shanks,B.Influence of inorganic salts on the primary pyrolysis products of cellulose.Bioresource technology 101,4646−55(2010)(非特許文献2))。
それ故、第一の観点では、本発明は、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含み及び塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を熱分解断片化してグリコールアルデヒドを得るステップを含む、グリコールアルデヒドの製造方法に関する。
第二の観点では、本発明は、モノ−及び/ジ−サッカライド(複数可)を含む粗製炭水化物材料からグリコールアルデヒドを製造するための方法であって、次のステップ:
前記粗製炭水化物材料から塩を除去して、塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を供するステップ;
グリコールアルデヒドを供するように、前記塩枯渇炭水化物供給原料に対して熱分解断片化を行うステップ、
を含む前記方法に関する。
更に別の態様の一つでは、本発明は、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料の熱分解断片化法であって、前記熱分解断片化の前に、粗製炭水化物供給原料から塩を除去するステップを含む前記方法に関する。
更に別の観点の一つでは、本発明は、グリコールアルデヒドを製造するための熱分解断片化における、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満である炭水化物供給原料の使用に関する。
他に記載がなければ、ppmは、重量ベースの百万部あたりの部を表す。
更に別の観点の一つでは、本発明は、ここに記載の方法を連続的に実行するための装置であって、入口及び出口を有するイオン交換ユニット、並びに入口及び出口を有する熱分解断片化ユニットを備え、ここで前記イオン交換ユニットの出口は、前記熱分解断片化ユニットの入口に流体連通している、前記装置に関する。
更に別の観点の一つでは、本発明は、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む炭水化物供給原料からエチレングリコールを製造するための方法であって、断片化生成物を得るためにここに開示されるグリコールアルデヒドの製造のためのステップを行い;
及び次いで、前記断片化生成物を水素化ステップに付して、エチレングリコールを得るステップを含む、前記方法に関する。前記断片化生成物は、水素化ステップの前に精製に付してもよい。水素化の後に、エチレングリコールを精製してよい。
図1は、グルコースの炭水化物供給物中のKClの濃度とグリコールアルデヒドの収率との間の相互関係を示す。
本明細書に開示されるものは、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を熱分解断片化して、グリコールアルデヒドを得るステップを含む、グリコールアルデヒドの製造方法である。
本明細書に開示される更に別の態様の一つでは、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を20重量/重量%超の割合で含みかつ塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を熱分解断片化して、グリコールアルデヒドを得るステップを含む、グリコールアルデヒドの製造方法が開示される。
本明細書に開示されるように、前記塩枯渇炭水化物供給原料は、塩含有率が200ppm未満である。ここで使用される場合、「塩」という用語は、正イオン及び負イオン、例えばNaClのNa及びClからなる一種以上の化合物のことを言う。塩の他の例は、(正の)カチオン及び(負の)アニオンから構成されるKCl、CsCl、CaCl、CsF、KClO、NaNO、CaSO、並びにNa(アセテート)である。ppmの塩の量は、元素分析によって、例えば誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)によってまたは当業者には既知の他の方法によって測定し得る。一つの態様では、前記の塩は、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)によって測定される。
ここに開示される一つの態様では、該方法は、熱分解断片化の前に粗製炭水化物供給原料を塩枯渇化して、塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を得るステップを含む。
ここに開示される一つの態様では、粗製炭水化物供給原料を塩枯渇化する事前のステップは、イオン交換によって行われる。前記イオン交換は、粗製炭水化物供給原料を適当なイオン交換樹脂と混合することによって行うことができる。代替的に、粗製炭水化物供給原料は、適当なイオン交換樹脂の床に通してもよい。イオン交換樹脂は、粗製炭水化物混合物中に存在する塩に並びに他の存在し得る化学種に基づいて選択する必要があるが、典型的には、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合物である。適当なイオン交換樹脂の例は、DOWEX MB混合イオン交換樹脂であり、これは、強酸カチオン交換樹脂と強塩基アニオン交換樹脂との1:1等量混合物である。
ここで使用する場合、「炭水化物供給原料」とは、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を炭水化物として含む、熱分解断片化ユニットに供給される炭水化物溶液のことである。これは、好ましくは水溶液である。
ここで使用する場合、「粗製炭水化物材料」という用語は、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ、その全てがまたはかなりの部分が、生物学的製品または再生可能な農業材料(以下には限定されないが、植物、動物及び海産材料などが含まれる)または森林材料から得られ、及び前記製品または材料の抽出または加水分解による、更に精製していない溶液の形であってよい、炭水化物原料のことである。粗製炭水化物供給原料は、例えば馬鈴薯、コムギ、トウモロコシ、サトウキビ、モロコシ、テンサイ、木材、またはこれらの混合物の抽出及び/または加水分解から得ることができる。例示的な粗製炭水化物材料は、甘蔗糖、甘蔗糖シロップ、サトウカエデシロップ、セルロース加水分解物、デンプン加水分解物、ヘミセルロース加水分解物、コーンシロップ、及びテンサイシロップである。本発明に関連して、固形物を除去するための篩い分け/濾過及び含水率を低下させるための蒸発などのありふれたプロセスは、溶液の更なる精製とは見なされない。更なる精製は、粗製炭水化物材料を、不所望の物質、例えば塩、タンパク質、カラメル類などの量を減少するための単位操作に付すことのみを指す。
一つの態様では、粗製炭水化物材料は溶液状態である。
ここで使用される場合、「塩枯渇炭水化物供給原料」は、塩の濃度を十分に、特に200ppm未満に減少するための塩枯渇ステップに付された粗製炭水化物材料から得られた炭水化物供給原料を指す。塩枯渇炭水化物供給原料では、粗製炭水化物材料は、完全な精製にはまだ付されていない。好ましくは、粗製炭水化物材料は、塩枯渇ステップの他は、不純物濃度を減少させる単位操作(例えば精製操作)にまだ付されていない。
ここで使用する場合、「精糖」とは、タンパク質、不溶物、カラメル、酸、フラン類から選択される不純物の一種以上の含有率を低下させる精製ステップに付された糖(炭水化物)を指す。糖は、場合によっては、塩低減ステップに付されていてもよい。
典型的には、粗製炭水化物材料は、250ppm超の塩、例えば300ppm超の塩、例えば500ppm超の塩、例えば800ppm超の塩、例えば1,000超の塩、例えば5,000ppm超の塩、例えば10,000ppm超の塩、例えば20,000ppm超の塩を含む。一つの態様では、粗製炭水化物材料は、250ppm〜50,000ppmの塩、例えば250ppm〜10,000ppmの塩、例えば250ppm〜5,000ppmの塩、例えば250ppm〜1,500ppmの塩を含む。
一つの態様では、粗製炭水化物材料は、甘蔗糖、甘蔗糖シロップ、サトウカエデシロップ、セルロース加水分解物、デンプン加水分解物、ヘミセルロース加水分解物、コーンシロップ、及びテンサイシロップ、またはこれらの混合物から選択される。前記のシロップまたは加水分解物は、サッカライドを原料から抽出することによってまたは原料のポリサッカライドの加水分解からのサッカライドを抽出することによって得ることができる。
それ故、ここに記載の一つの態様では、粗製炭水化物材料は、工業的な用途に適した収率を得るためには、熱分解断片化に付す前に塩枯渇のステップのみに付す必要がある。本発明による方法によって得ることができる収率は、(炭素/炭素ベースで)50%超、例えば60%超、66%超または70%超にまで達することができる。他の態様の一つでは、粗製炭水化物材料は、塩枯渇の前または後に、濾過及び/または清澄化などの更に別のステップに付してもよい。
ここに開示される態様の一つでは、粗製炭水化物材料は、それの色によって定義され、そして75ICUMSA単位(IU)超、例えば80ICUMSA単位超、例えば85ICUMSA単位超、例えば100ICUMSA単位超、例えば200ICUMSA単位超、例えば400ICUMSA単位超、例えば600ICUMSA単位超、例えば800ICUMSA単位超、例えば1000ICUMSA単位超、例えば1200ICUMSA単位超の色を有する。ここに開示される態様の一つでは、塩枯渇炭水化物供給原料は、75〜30000ICUMSA単位の間、例えば80〜25000ICUMSA単位の間、例えば100〜25000ICUMSA単位の間の色を有する。
一つの態様では、粗製炭水化物材料は、ヒ素、鉛、スルフェート、二酸化硫黄及び5−(ヒドロキシメチル)フルフラールの群から選択される一種以上の不純物を含む。
ここに開示される態様の一つでは、粗製炭水化物材料は、以下の不純物の一種以上を以下記載の量で含む。
スルフェート:>0.025重量/重量%、例えば0.035重量/重量%超、例えば0.050重量/重量%超
二酸化硫黄:>0.002重量/重量%、例えば0.003重量/重量%超、例えば0.004重量/重量%超
5−(ヒドロキシメチル)フルフラール:>0.1重量/重量%、例えば0.2重量/重量%超、例えば0.3重量/重量%超
ヒ素:>1mg/kg、例えば2mg/kg超、例えば3mg/kg超
鉛:>0.1mg/kg、例えば0.2mg/kg超、例えば0.3mg/kg超。
粗製炭水化物材料の前記の不純物及び色は、以下に記載のように測定できる。
ここに開示される方法の利点の一つは、断片化プロセスに使用される塩枯渇炭水化物供給原料は一種以上の不純物を含んでよく、これらの不純物は、典型的には糖を精製する時に除去され、それによって、他の場合にはかなりのエネルギー及び投資の支出を要求する粗糖の精製におけるステップの全てとはいわなくてもその多くが避けられる。
ここに開示される態様の一つでは、塩枯渇炭水化物供給原料はそれの色によって定義され、そして75ICUMSA単位(IU)超、例えば80ICUMSA単位超、例えば85ICUMSA単位超、例えば100ICUMSA単位超、例えば200ICUMSA単位超、例えば400ICUMSA単位超、例えば600ICUMSA単位超、例えば800ICUMSA単位超、例えば1000ICUMSA単位超、例えば1200ICUMSA単位超の色を有する。ここに開示される態様の一つでは、塩枯渇炭水化物供給原料は、75〜30000ICUMSA単位、例えば80〜25000ICUMSA単位、例えば100〜25000ICUMSA単位の色を有する。
炭水化物サンプルの色は、炭水化物サンプルの50重量/重量%溶液を調製し、そして水酸化ナトリウムまたは塩酸の添加によりpHを7に調節することによって、ICUMSA単位で測定し得る。次いでこの溶液を濾過して不溶性固形物を除去し、そして透明な溶液を得る。この溶液の吸光度を、分光光度計で420nmで測定する。次いで、糖の色を以下の式によってICUMSA単位で計算することができる:
IU=A/(b c)×1000
式中、Aは、測定された吸光度であり、bはセル長(cm)であり、そしてcは全固形物濃度(g/mL)である。
ここにも開示されるように、塩枯渇炭水化物供給原料はモノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む。
ここに開示される態様の一つでは、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)は、スクロース、ラクトース、マルトース、キシロース、アラビノース、リボース、マンノース、タガトース、ガラクトース、グルコース及びフルクトースまたはこれらの混合物からなる群から選択される。更に別の態様の一つでは、モノサッカライド(複数可)は、グルコース、ガラクトース、タガトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、リボースまたはこれらの混合物からなる群から選択される。一つの態様では、塩枯渇炭水化物供給原料は、モノサッカライド及びジサッカライドの両方を含む。
ここに開示される態様の一つでは、断片化のための塩枯渇炭水化物供給原料は、20重量/重量%超、30重量/重量%超、40重量/重量%超、50重量/重量%超、60重量/重量%超、70重量/重量%超、80重量/重量%超、90重量/重量%超、例えば20〜90重量/重量%、30〜90重量/重量%、または50〜90重量/重量%のモノ−及びジ−サッカライド(複数可)を含む。ここに開示される態様の一つでは、断片化のための塩枯渇炭水化物供給原料は、20重量/重量%超、30重量/重量%超、40重量/重量%超、50重量/重量%超、60重量/重量%超、70重量/重量%超、80重量/重量%超、90重量/重量%超、例えば20〜90重量/重量%、30〜90重量/重量%、または50〜90重量/重量%のモノ−サッカライド(複数可)を含む。
ここに開示される態様の一つでは、塩枯渇炭水化物供給原料のpHは6未満、例えばpH2〜6、例えばpH3〜6、例えばpH4〜6である。
ここに開示される一つの態様では、塩枯渇炭水化物供給原料は、ヒ素、鉛、スルフェート、二酸化硫黄及び5−(ヒドロキシメチル)フルフラールの群から選択される一種以上の不純物を含む。
ここに開示される態様の一つでは、塩枯渇炭水化物供給原料は、以下の不純物の一種以上を以下記載の量で含む。
スルフェート:>0.025重量/重量%、例えば0.035重量/重量%超、例えば0.050重量/重量%超
二酸化硫黄:>0.002重量/重量%、例えば0.003重量/重量%超、例えば0.004重量/重量%超
5−(ヒドロキシメチル)フルフラール:>0.1重量/重量%、例えば0.2重量/重量%超、例えば0.3重量/重量%超
ヒ素:>1mg/kg、例えば2mg/kg超、例えば3mg/kg超
鉛:>0.1mg/kg、例えば0.2mg/kg超、例えば0.3mg/kg超。
これらの不純物の量は、当業者には既知の方法によって測定し得る。例えば、スルフェートはイオンクロマトグラフィーによって、二酸化硫黄は滴定によって、5−(ヒドロキシメチル)フルフラールは液体クロマトグラフィーによって、そしてヒ素及び鉛は、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)によって測定できる。
ここに開示される更に別の態様の一つでは、塩枯渇炭水化物供給原料は、全量で5mg/kg超、例えば10mg/kg超の重金属を含む。塩枯渇炭水化物供給原料の重金属の全量は、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)によって測定し得る。
ここに開示される態様の一つでは、塩枯渇炭水化物供給原料は、重量法(または硫酸化)灰分として測定して0.5重量/重量%超、例えば1.0重量/重量%超の灰分含有率を有する。重量法(または硫酸化)灰分は、“Cane Sugar Handbook”(J.P.C.Chen and C.C.Chou,12th ed.,Wiley)(非特許文献3)に記載されるようにして測定し得る。簡単に言えば、サンプルの適当な量を坩堝に入れ、そして等量の硫酸を加える。この混合物を、サンプルが炭化されるまで穏やかに加熱する。次いで、このサンプルを、炭素が見かけ上無くなるまで、マッフル炉中で550℃に加熱する。このサンプルを室温まで冷却し、そして硫酸で再湿潤し、次いで重量が一定になるまでマッフル炉中で650℃に加熱する。次いで、灰分含有率を、元々のサンプルの質量で除した残留質量の重量として決定し得る。
ここに開示される更に別の態様の一つでは、塩枯渇炭水化物供給原料は、伝導性灰分として測定して0.5重量/重量%超、例えば1.0重量/重量%超の灰分含有率を有する。伝導性灰分は、“Cane Sugar Handbook”(J.P.C.Chen and C.C.Chou,12th ed.,Wiley)(非特許文献3)に記載されるようにして測定し得る。簡単に言えば、28.0gのサンプルを、72.0gの脱イオン水中に溶解する。この溶液の伝導性を20℃で測定する。測定された伝導性を、以下の式を用いて水の伝導性に関して補正する:
C=Cas read−0.35CWater
実験的相間関係に基づいて、伝導性は今や以下の式によって計算できる:
伝導性灰分[重量/重量%]=6・10−4C[μS/cm]
典型的な不純物の限界値をまとめた食品等級糖含有材料についての幾つかの既存の仕様がある。一つの例は、食品添加物中の不純物についてガイドラインを提供する食品用公定化学品集(Food Chemicals Codex、FCC)(米国薬局方)である。記載の仕様は、添加物に通常観察される不純物ついてのみであり、それ故、添加物がヒトによる消費に適したものであることを保証する完全なリストではない。リストされた仕様に加えて、製品は、適正製造基準(GMP)に沿う必要がある。FCCは、グルコース、フルクトース、スクロース、転化糖、及びグルコースシロップ(これらは全て、多数の原料から製造し得る)などの糖材料についての仕様をリストしている。これらの異なる材料の制限値は同一ではない、というのも、一部の不純物は、ある特定の種類の材料にしか一般的に観察されないのと(すなわち、5−(ヒドロキシメチル)フルフラールは、転化糖にしか一般的に観察されない)、一部の不純物は、食品安全性に関係がない(すなわち、フルクトースのグルコース含有率は0.5%未満であるべきである)という理由の両方故である。一般的に、糖含有材料は、FCCの下で食品等級と考えられる以下の仕様に沿うべきである:
ヒ素:<1mg/kg
鉛:<0.1mg/kg
重金属:<5mg/kg
スルフェート:<0.025%
二酸化硫黄:<0.002%
5−(ヒドロキシメチル)フルフラール:<0.1%
色:<75IU
強熱残分:<0.5%
ここに記載の更に別の態様の一つにおいて、塩枯渇炭水化物供給原料は、食品用公定化学品集によって定義されるような非食品等級純度のものである。
FCCにリストされていないが、食品等級用途のためにはどうしても除去する必要がある他の不純物は、寄生生物、幼生、ダニ類、細菌及び他の外生物、例えば砂または類似物である。(例えば熱分解断片化のために)使用される装置に依存して、これらの不純物は、ここに記載のプロセスを実行する時に行ってもよい。
ここに開示される態様の一つにおいて、塩枯渇炭水化物供給原料は、水溶液の形で熱分解断片化ユニット中に注入される。
一般的に、糖からより小さな含酸素化合物、例えばC〜C含酸素化合物への熱断片化は、高温で行うことができる。副反応を避けるためには、通常は非常に高い加熱速度が必要となり、それで、反応を実施するための適当な手段は、流動床反応器である。このタイプの反応器では、床材料の迅速な混合が、床全体にほぼ恒温の温度プロフィルをもたらし、これが、供給物の迅速な加熱を可能にする。流動床反応器とは、流動化用ガス流によって流動するべき粒子の床を収容している反応器であって、前記ガス流は、通常は、反応器の底部から導入される。流動化用ガス流の速度及び物理的性質は、粒子の物理的性質と組み合わさって、床内での粒子の流動状態を調節する。緻密床/乱流床/気泡(bubbling)床は、通常は、0.1〜2m/sの反応器内の流動化用ガス流の空塔速度を有するものと考えられる。
基質(供給原料)を、更に、小さい液滴の形で導入する場合、すなわち水溶液として、霧化ノズルを介して注入する場合は、注入時の供給物の大きい表面積の故に更により速い加熱速度を達成できる。これは、基質の高程度の分散が反応器中で達成され、そうして、他の場合では所望のC〜C含酸素化合物への選択性を低下させるであろう分子間反応を最小化するという更なる利点を有する。
それ故、熱断片化反応を実施するための他の適当な手段は、窒素などの不活性ガスを用いて流動化される気泡流動床型反応器を用いた手段である。床材料は、好ましくは砂またはガラスビードなどの不活性材料であり、これは、所望の反応温度、例えば400〜800℃に維持される。或る環境下では、反応温度は350〜800℃の範囲であることができる。基質(供給原料)は、(好ましくは水溶液として)反応器にポンプ輸送し、そして適当なノズル、例えば供給物を50μm未満の液滴に噴霧化することができる二流体ノズルを通して床中に注入して、供給物の高分散を達成する。このようにして、供給物の要求される非常に高い加熱速度を達成でき、所望のC〜C含酸素化合物への高い選択性を可能にする。これらの反応条件において、所望の含酸素化合物は気相状態であり、それ故、流動化用ガスを用いて反応器から運び出すことができるが; これらは、この反応条件下に安定しておらず、それ故、反応器中で短い滞留時間が得られることが好ましい。ガス状生成物が反応を出た後、これは、下流のプロセスステップ、例えばC〜C含酸素化合物を水溶液として集めるための凝縮ステップに送ることができる。
ここに開示される更に別の態様の一つでは、熱分解断片化ユニットは、例えばライザー(riser)反応器などの流動床反応器である。
一つの態様では、流動床反応器は、高速流動床反応器(またはライザー/トランスポート反応器)である。高速流動床反応器は、通常は、3〜22m/sの反応器内の流動化用流れの空塔速度を有するものと考えられる。しかし、正確な速度範囲は、粒子及び流動化用ガスの物理的性質に依存し、そして実験的に決定できるかまたは当業者によって計算できる。
一般的に、ライザーは、垂直に延びる反応器であり、これは、下部に、流動化流れ用の入口、粒子用の入口及び供給原料用の入口を含み、そして前記粒子用入口は、流動化用入口の下流に設けられ、そして供給原料用入口は、粒子用入口の下流に設けられる。本発明の目的のためには、粒子は、粒子用入口と供給原料用入口との間の領域中に緻密相流動床を形成し得る。流動化用流れ及びそれ故、流動化流れ用入口は、無しで済ませせることもできる。例えば、供給原料は、熱伝達粒子の直後に導入でき、それ故、流動化用流れとして働き得る。
断片化反応器の粒子用入口での粒子の温度は、好ましくは少なくとも300℃、例えば少なくとも400、450、500、550、600または650℃である。好ましくは、粒子用入口での粒子温度は、300〜800℃の範囲、例えば400〜800℃または450〜650℃の範囲内である。
供給原料は、熱伝達粒子の導入後の任意の時点で導入し得る。供給原料が熱伝達粒子と接した時に、気化域が形成され、そこで溶剤が蒸発しそしてガス状生成物が糖断片化から発生し始める。その結果、ガスの空塔速度が上昇して、熱伝達粒子を同伴して運ぶようになる。それ故、供給原料用入口の下流では、熱伝達粒子及び供給原料が気化域の上に高速床を形成し、これをライザーと称し得る。本発明の一つの態様によれば、供給原料用入口は、ライザーの下部に設けられる。
ライザー反応器の使用は、高いエネルギー伝達速度、並びに断片化生成物及び熱媒体の迅速な分離を促進するという利点を有する。
床材料は、好ましくは、砂、シリカ、ガラス、アルミナ、スチール及び炭化ケイ素からなる群から選択される。
更に別の態様の一つでは、熱分解断片化は、400℃と800℃との間の温度、例えば400℃と600℃との間の温度、好ましくは500℃と600℃との間の温度で行われる。或る環境下では、反応温度は、350〜800℃の範囲であることができる。
ここに開示される更に別の態様では、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む粗製炭水化物材料からのグリコールアルデヒドの製造は、次のステップ: 前記粗製炭水化物材料から塩を除去して、塩含有率が200ppm未満の炭水化物供給原料を供するステップ; グリコールアルデヒドを供するように、この炭水化物供給原料に対し熱分解断片化を行うステップを含む。
更に別の態様の一つでは、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満の炭水化物供給原料の熱分解断片化の方法であって、前記熱分解断片化の前に粗製炭水化物材料から塩を除去するステップを含む方法が開示される。
更に別の態様の一つでは、グリコールアルデヒドを製造するための熱分解断片化における、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満の炭水化物供給原料の使用が開示される。
更に別の態様の一つでは、ここに開示される方法を連続的に実施するための装置であって、入口及び出口を有するイオン交換ユニット、並びに入口及び出口を有する熱分解断片化ユニットを含み、ここで前記イオン交換ユニットの出口が、前記熱分解断片化ユニットの入口に流体接続されている装置が開示される。
一つの態様では、ここに開示される方法は、連続的プロセスとして操業される。これは、工業的用途のための利点の一つである。
本発明に関連して、断片化生成物とは、C〜C含酸素化合物を含む塩枯渇炭水化物材料の熱分解断片化から生じる流れのことを指す。
他の態様の一つでは、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む炭水化物供給原料からエチレングリコールを製造するための方法であって、ここに開示されるグリコールアルデヒドの製造方法のためのステップを行って断片化生成物を得; 次いでこの断片化生成物を水素化ステップに付してエチレングリコールを得ることを含む前記方法が開示される。
更に別の態様の一つでは、該炭水化物供給原料は、少なくとも20重量/重量%のモノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む。
ここに開示される他の態様:
態様1
グリコールアルデヒドの製造方法であって、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満である塩枯渇炭水化物供給原料を熱分解断片化して、グリコールアルデヒドを得るステップを含む方法。
態様2
グリコールアルデヒドの製造方法であって、少なくとも20重量/重量%のモノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満である塩枯渇炭水化物供給原料を熱分解断片化してグリコールアルデヒドを得るステップを含む方法。
態様3
前記塩枯渇炭水化物供給原料が75ICUMSA単位(IU)を超える色を有する、前記態様1または2のいずれか一つに記載の方法。
態様4
前記塩枯渇炭水化物供給原料が、30重量/重量%超、40重量/重量%超、50重量/重量%超、60重量/重量%超、70重量/重量%超、80重量/重量%超、例えば80〜90重量/重量%のモノ−サッカライド(複数可)を含む、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様5
前記塩枯渇炭水化物供給原料が、ヒ素、鉛、スルフェート、二酸化硫黄及び5−(ヒドロキシメチル)フルフラールの群から選択される一種以上の不純物を含む、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様6
前記塩枯渇炭水化物供給原料が、トータルで重金属を5mg/kg超の量で含む、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様7
前記塩枯渇炭水化物供給原料が、0.5重量/重量%超の強熱残分を有する、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様8
前記塩枯渇炭水化物供給原料のpHが6未満である、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様9
前記塩枯渇炭水化物供給原料が、以下の不純物の一種以上を下記規定の量で含む、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
スルフェート:>0.025重量/重量%
二酸化硫黄:>0.002重量/重量%
5−(ヒドロキシメチル)フルフラール:>0.1重量/重量%
ヒ素:>1mg/kg、及び/または
鉛:>0.1mg/kg。
態様10
前記塩枯渇炭水化物供給原料が、食品用公定化学品集によって定義される非食品等級純度のものである、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様11
粗製炭水化物材料を塩枯渇化して、塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を得る事前のステップを含む、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様12
前記粗製炭水化物材料が、イオン交換によって塩枯渇化される、前記態様11に記載の方法。
態様13
前記粗製炭水化物材料が、甘蔗糖シロップ、セルロース加水分解物、デンプン加水分解物、ヘミセルロース加水分解物、コーンシロップ、及びテンサイシロップ; またはこれらの混合物から選択される、前記態様11または12のいずれか一つに記載の方法。
態様14
前記モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)が、スクロース、ラクトース、マルトース、キシロース、アラビノース、リボース、マンノース、タガトース、ガラクトース、グルコース及びフルクトース;またはこれらの混合物からなる群から選択される、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様15
前記モノサッカライド(複数可)が、グルコース、ガラクトース、タガトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、リボース;またはこれらの混合物からなる群から選択される、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様16
前記塩枯渇炭水化物供給原料の塩含有率が180ppm未満、170ppm未満、160ppm未満、150ppm未満、140ppm未満、50ppm未満である、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様17
前記塩枯渇炭水化物供給原料が、水溶液の形で熱分解断片化ユニットに注入される、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様18
前記熱分解断片化ユニットが流動床反応器を含む、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様19
前記熱分解断片化が400℃と600℃との間の温度で行われる、前記態様のいずれか一つに記載の方法。
態様20
モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む粗製炭水化物材料からのグリコールアルデヒドの製造であって、次のステップ:
a.前記粗製炭水化物材料から塩を除去して、塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を供するステップ;
b.グリコールアルデヒドが得られるように、前記塩枯渇炭水化物供給原料に対して熱分解断片化を行うステップ、
を含む方法。
態様21
少なくとも20重量/重量%のモノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む粗製炭水化物材料からのグリコールアルデヒドの製造方法であって、次のステップ:
a.前記粗製炭水化物材料から塩を除去して、塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を供するステップ;
b.グリコールアルデヒドが得られるように、前記塩枯渇炭水化物供給原料に対して熱分解断片化を行うステップ、
を含む方法。
態様22
前記粗製炭水化物材料からの塩の除去がイオン交換によって行われる、前記態様20または21のいずれか一つに記載の方法。
態様23
モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料の熱分解断片化の方法であって、前記熱分解断片化の前に粗製炭水化物材料から塩を除去するステップを含む方法。
態様24
少なくとも20重量/重量%のモノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料の熱分解断片化の方法であって、前記熱分解断片化の前に粗製炭水化物材料から塩を除去するステップを含む方法。
態様25
モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む炭水化物供給原料からC〜Cヒドロキシ化合物を製造する方法であって、前記態様1〜24のいずれか一つに記載のグリコールアルデヒドの製造のためのステップを行って断片化生成物を得るステップ; 次いで、この断片化生成物を水素化に付してエチレングリコールを得るステップを含む方法。
態様26
少なくとも20重量/重量%のモノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む炭水化物供給原料からC〜Cヒドロキシ化合物を製造する方法であって、前記態様1〜24のいずれか一つに記載のグリコールアルデヒドの製造のためのステップを行って断片化生成物を得るステップ; 次いで、この断片化生成物を水素化に付してエチレングリコールを得るステップを含む方法。
態様27
グリコールアルデヒドを製造するための熱分解断片化における、モノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満の炭水化物供給原料の使用。
態様28
グリコールアルデヒドを製造するための熱分解断片化における、少なくとも20重量/重量%のモノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満の炭水化物供給原料の使用。
態様29
前記態様1〜26のいずれか一つに記載の方法を連続的に実施するための装置であって、入口及び出口を有するイオン交換ユニット、並びに入口及び出口を有する熱分解断片化ユニットを含み、ここで前記イオン交換ユニットの出口が、前記熱分解断片化ユニットの入口に流体接続されている装置。
例1
グルコースを、以下の手順によってC〜C含酸素化合物に断片化した:内径41mmの流動床に50mlのガラスビードを充填した。この床を窒素で流動させ、そして510℃に加熱した。グルコースの20重量/重量%水溶液を、グルコース(VWR Chemicals)から調製し、そして2g/分の速度でこの流動床に注入した。供給物は、供給物を微細なミストとして床中に供給するために二流体ノズルを用いて注入した。反応条件下での反応器中のガス空塔速度は約40cm/sであった。反応を離れたガス流は、表面凝縮器を用いて直ぐに1℃に冷却して、この永久ガスから液状生成物を分離した。この液状生成物を集め、そしてC〜C含酸素化合物の濃度を、HPLC分析によって定量化した。
供給物中の塩の含有率の効果を検証するために、供給物に添加するKClの濃度を高めながら一連の実験を行った。グルコース中の塩の含有率は、ICP−OESを用いた元素分析によって決定した。KClの総含有率は10mg/kg(10ppm)未満であり、これは、ドーピング無しの該供給物中のKClの含有率が2mg/kg(2ppm)未満であったことを意味する。図1は、供給物中でKClの様々な濃度を用いて、510℃でのグルコースの断片化から得られた含酸素化合物の収率を表す。報告した収率は、反応器に供給したグルコースの量に関しての様々な生成物の炭素収率である。検証した濃度範囲内で図1から分かるように、供給物中のKClの濃度とグリコールアルデヒドの収率との間には直接的な相関関係があり、KClの量は少ない方が好ましい。興味深いことに、供給物中のKClの有害な効果は、グリコールアルデヒドに対して最も顕著なようである。

Claims (15)

  1. グリコールアルデヒドの製造方法であって、少なくとも20重量/重量%のモノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含みかつ塩含有率が200ppm未満である塩枯渇炭水化物供給原料を熱分解断片化して、グリコールアルデヒドを得るステップを含む方法。
  2. 前記塩枯渇炭水化物供給原料が75ICUMSA単位(IU)を超える色を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記塩枯渇炭水化物供給原料が、30重量/重量%超、40重量/重量%超、50重量/重量%超、60重量/重量%超、70重量/重量%超、80重量/重量%超、例えば50〜95、60〜95、70〜95または80〜95重量/重量%の範囲のモノ−サッカライド(複数可)を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記塩枯渇炭水化物供給原料が、ヒ素、鉛、スルフェート、二酸化硫黄及び5−(ヒドロキシメチル)フルフラールの群から選択される一種以上の不純物を含む、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
  5. 前記塩枯渇炭水化物供給原料が、トータルで重金属を5mg/kg超の量で含む、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 前記塩枯渇炭水化物供給原料が、0.5重量/重量%超の強熱残分を有する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 前記塩枯渇炭水化物供給原料のpHが6未満である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
  8. 前記塩枯渇炭水化物供給原料が、食品用公定化学品集によって定義される非食品等級純度のものである、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
  9. 粗製炭水化物材料を塩枯渇化して、塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を得る事前のステップを含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
  10. 前記粗製炭水化物材料が、イオン交換によって塩枯渇化される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記粗製炭水化物材料が、甘蔗糖、甘蔗糖シロップ、セルロース加水分解物、デンプン加水分解物、ヘミセルロース加水分解物、コーンシロップ、テンサイシロップ; またはこれらの混合物から選択される、請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記塩枯渇炭水化物供給原料の塩含有率が180ppm未満、170ppm未満、160ppm未満、150ppm未満、140ppm未満、100ppm未満、70ppm未満または50ppm未満である、請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
  13. 前記塩枯渇炭水化物供給原料が、水溶液の形で熱分解断片化ユニットに注入される、請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
  14. 少なくとも20重量/重量%のモノ−及び/またはジ−サッカライド(複数可)を含む粗製炭水化物材料からのグリコールアルデヒドの製造方法であって、次のステップ:
    a.前記粗製炭水化物材料から塩を除去して、塩含有率が200ppm未満の塩枯渇炭水化物供給原料を供するステップ;
    b.グリコールアルデヒドが得られるように、前記塩枯渇炭水化物供給原料に対して熱分解断片化を行うステップ、
    を含む方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法を連続的に実施するための装置であって、入口及び出口を有するイオン交換ユニット、並びに入口及び出口を有する熱分解断片化ユニットを含み、ここで前記イオン交換ユニットの出口が、前記熱分解断片化ユニットの入口に流体接続されている装置。
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