本研究は、韓国保健福祉部の財源で韓国保健産業振興院の保健医療技術研究開発事業支援によってなされたものである(課題固有番号:HI17C−2262−030017)。
(This research was supported by a grant of the Korea Health Technology R&D Project through the Korea Health Industry Development Institute(KHIDI)、funded by the Ministry of Health & Welfare、Republic of Korea(grant number:HI17C−2262−030017))。
[本発明を支援した研究開発事業]
課題固有番号:HI17C−2262−030017
部署名:保健福祉部
研究管理専門機関:ピチュメディシン株式会社
研究事業名:保健医療技術研究開発事業
研究課題名:臨床1相IND承認のためのCMC、毒性及び薬動学を含んだ非臨床試験完了
寄与率:1/1
主管機関:韓国漢陽大学校産学協力団
研究期間:2017.08.25−2018.12.31.
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、下記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有するアデノシン誘導体を提供する。
前記式において、
Aは、 OまたはSであり、
Rは、非置換されるか、独立して、または選択的に1または2以上のC6〜C10のアリールで置換された直鎖状または測鎖状のC1〜C5のアルキル、非置換されるか、独立して、または選択的にハロゲン及び直鎖状または測鎖状のC1〜C4のアルコキシ基が、1または2以上に置換されたベンジルまたはヒドロキシカルボニルで置換されたベンジルであり、
Yは、Hまたはハロゲン元素である。
望ましくは、
前記Aは、OまたはSであり、
前記Rは、メチル、エチル、プロピル、ナフチルメチル、ベンジル、独立して、または選択的にF、Cl、Br、I、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択される1または2以上の置換基で置換されたベンジル、またはトルイル酸(toluic acid)であり、
前記Yは、HまたはClである。
さらに望ましくは、
前記Aは、OまたはSであり、
前記Rは、メチル、エチル、1−ナフチルメチル、ベンジル、2−クロロベンジル、3−フルオロベンジル、3−クロロベンジル、3−ブロモベンジル、3−ヨードベンジル、2−メトキシ−5−クロロベンジル、2−メトキシベンジルまたは3−トルイル酸であり、
前記Yは、HまたはClである。
本発明による前記化学式1で表されるアデノシン誘導体の望ましい例は、次の通りである。
1)(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−フルオロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
2)(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
3)(2R,3R,4S)−2−(6−(3−ブロモベンジルアミノ)−2−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
4)(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−ヨードベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
5)(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(2−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
6)(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(5−クロロ−2−メトキシベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
7)(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(2−メトキシベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
8)(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(ナフタレン−1−イルメチルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
9)3−((2−クロロ−9−((2R,3R,4S)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロチオフェン−2−イル)−9H−プリン−6−イルアミノ)メチル)安息香酸;
10)2−(2−クロロ−6−メチルアミノ−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
11)(2R,3R,4S)−2−(6−(3−フルオロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
12)(2R,3R,4S)−2−(6−(3−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
13)(2R,3R,4S)−2−(6−(3−ブロモベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
14)(2R,3R,4S)−2−(6−(3−ヨードベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール;
15)(2R,3R,4R)−2−(6−(3−ブロモベンジルアミノ)−2−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール;及び
16)(2R,3R,4R)−2−(2−クロロ−6−(3−ヨードベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール。
本発明による前記化学式1で表されるアデノシン誘導体は、薬学的に許容可能な塩の形態で使用することができる。前記塩としては、薬学的に許容される多様な有機酸または無機酸によって形成された酸付加塩が有用である。適した有機酸としては、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、グリコール酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、シトロン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マイレン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、フェニル酢酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、ドデシル硫酸などを使用し、適した無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸などのハロゲン酸またはリン酸などを使用することができる。
本発明による前記化学式1で表されるアデノシン誘導体は、薬学的に許容可能な塩だけではなく、通常の方法によって製造可能なあらゆる塩、水化物及び溶媒化物をいずれも含みうる。
また、本発明は、前記化学式1で表されるアデノシン誘導体を製造する方法を提供する。
具体的に、下記の反応式1に示されたように、
化学式2の化合物を出発物質として、ルイス酸触媒の存在下でシリル化されたプリン化合物と反応させて、化学式3のβ−アノマー化合物を得る段階(段階1);前記段階1で得た化学式3の化合物に塩酸を添加して、化学式4のジオール化合物を得る段階(段階2);及び前記段階2で得た化学式4のジオール化合物を塩基触媒下でアミン化合物と反応させて、アデノシン誘導体を得る段階(段階3);を含んでなる化学式1のアデノシン誘導体の製造方法を提供する。
前記反応式1において、A、R及びYは、化学式1で定義したようである。
以下、本発明の製造方法を段階別に詳細に説明する。
本発明による段階1は、化学式2の化合物を出発物質として、ルイス酸触媒の存在下でシリル化されたプリン化合物と反応させて、化学式3のβ−アノマー化合物を得る段階である。
前記化学式3の化合物は、化学式2の化合物とシリル化されたプリン化合物とをルイス酸存在下で反応させて得られるが、前記ルイス酸としては、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート(TMSOTf)を使用することができる。また、前記段階1の溶媒としては、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジクロロメタンなどを使用することが望ましい。その中でも、ジクロロエタンがさらに望ましい。前記シリル化されたプリン化合物は、化学式5のプリン化合物をヘキサメチルジシラザン(HMDS)及び硫酸アンモニウム触媒下で反応させて得られる。
本発明による段階2は、前記段階1で得た化学式3の化合物に塩酸を添加して、化学式4のジオール化合物を得る段階である。この際、塩酸の代わりに、酢酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸を使用することができる。
本発明による段階3は、前記段階2で得た化学式4のジオール化合物を塩基触媒下でアミン化合物と反応させて、アデノシン誘導体を得る段階である。
前記塩基触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジオキサンなどを使用することが望ましく、その中でも、トリエチルアミンがさらに望ましい。また、段階3の溶媒としては、メタノール及びエタノールのような低級アルコールあるいは1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン及びクロロホルムのような溶媒が望ましい。
本発明のアデノシン誘導体の製造方法において、出発物質である化学式2の化合物は、置換基Aの種類によって、下記の反応式2または反応式3の方法で製造可能である。
Aが硫黄(S)である場合、下記の反応式2に示されたように、
化学式6のD−マンノース化合物を酸触媒下で2,2−ジメトキシプロパンと反応させて、化学式7のジアセトニド化合物を得る段階(段階a1);前記段階a1で得た化学式7の化合物を還元剤存在下に開環させて、化学式8のジオール化合物を得る段階(段階a2);前記段階a2で得た化学式8の化合物をメシル化して、化学式9のジメシル化合物を得る段階(段階a3);前記段階a3で得た化学式9の化合物を環化させて、化学式10のチオ糖化合物を得る段階(段階a4);前記段階a4で得た化学式10の化合物を選択的に加水分解させて、化学式11のジオール化合物を得る段階(段階a5);及び前記段階a5で得た化学式11の化合物を触媒存在下に化学式2aのアセテート化合物を得る段階(段階a6);を含んでなる。
(前記反応式2において、化合物2aは、化学式2の化合物である)。
以下、本発明の化学式2の化合物の製造方法を段階別に詳細に説明する。
本発明の化学式2の化合物の製造方法による前記段階a1は、化学式6のD−マンノース化合物を酸触媒下で2,2−ジメトキシプロパンと反応させて、化学式7のジアセトニド化合物を得る段階である。
前記化学式7の化合物は、化学式6のD−マンノースを酸触媒及び無水酢酸存在下に2,2−ジメトキシプロパンと反応させて得られるが、この際、前記酸触媒としては、濃い硫酸または塩酸ガスのような無機酸、p−トルエンスルホン酸のような有機酸を使用することができる。
本発明の化学式2の化合物の製造方法による前記段階a2は、前記段階a1で得た化学式7の化合物を還元剤存在下に開環させて、化学式8のジオール化合物を得る段階である。
前記化学式8の化合物は、還元剤である水素化ホウ素ナトリウムと反応させて得られる。前記水素化ホウ素ナトリウムの代わりに、水素化アルミニウムリチウムのようなメタルハイドライド、亜硫酸ナトリウムなどを使用することができる。
本発明の化学式2の化合物の製造方法による前記段階a3は、前記段階a2で得た化学式8の化合物をメシル化して、化学式9のジメシル化合物を得る段階である。
前記化学式9の化合物は、化学式8の化合物をメタンスルホニルクロリド(MsCl)と反応させて得られるが、この際、反応溶媒としては、エチルエーテル、石油エーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン及びN,N−ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒を使用することが望ましい。
本発明の化学式2の化合物の製造方法による前記段階a4は、前記段階a3で得た化学式9の化合物を環化させて、化学式10のチオ糖化合物を得る段階である。
前記化学式10の化合物は、化学式9の化合物を硫化ナトリウムと反応させて得られるが、この際、硫化ナトリウムの代わりに、メチルチオアセテートなどのチオエステルと置換反応後、ナトリウムアルコキシドなどを反応させて得られることもある。前記段階a4において、溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを使用することができる。
本発明の化学式2の化合物の製造方法による前記段階a5は、前記段階a4で得た化学式10の化合物を選択的に加水分解させて、化学式11のジオール化合物を得る段階である。
前記化学式11の化合物は、化学式10の化合物を酢酸を用いて5,6−アセトニドを選択的に加水分解して得られるが、この際、酢酸の代わりに、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸などを使用することもできる。
本発明の化学式2の化合物の製造方法による前記段階a6は、前記段階a5で得た化学式11の化合物を触媒存在下に化学式2aのアセテート化合物を得る段階である。
前記化学式2aの化合物は、化学式11の化合物をレッドテトラアセテート(Pd(OAc)4)と反応させて得られる。
また、本発明による出発物質2において、Aが酸素(O)である場合、下記の反応式3に示されたように、
前記出発物質である化学式2の化合物は、下記の反応式3に示されたように、
化学式12の化合物を還元剤と反応させて、化学式13のラクトール化合物を得る段階(段階b1);及び前記段階b1で得た化学式13の化合物を無水酢酸と反応させて、化学式2bのアセテート化合物を得る段階(段階b2);を含んでなる。
(前記反応式3において、化合物2bは、化学式2の化合物である)。
以下、本発明の化学式2の化合物のさらに他の製造方法を段階別に詳細に説明する。
本発明の化学式2の化合物のさらに他の製造方法による前記段階b1は、化学式12の化合物を還元剤と反応させて、化学式13のラクトール化合物を得る段階である。
前記化学式13の化合物は、容易に合成して得られる化学式12の化合物を水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)触媒を用いて還元させて得られる。
本発明の化学式2の化合物のさらに他の製造方法による前記段階b2は、化学式13の化合物を無水酢酸と反応させて、化学式2bのアセテート化合物を得る段階である。
前記化学式2の化合物は、化学式13のラクトール化合物を無水酢酸と反応させて得られる。
また、本発明は、化学式1で表されるアデノシン誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有するアデノシンA3拮抗剤を提供する。
さらに、本発明は、化学式1で表されるアデノシン誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する炎症性疾患の予防及び治療用薬学的組成物を提供する。
アデノシンA3受容体をチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に発現させた時、A3受容体は、ATPからcAMPを生成させる酵素であるアデニリルシクラーゼの抑制作用があり、A3受容体は、アゴニストによって活性化される時、脳でホスファチジルイノシトールを分解させて、イノシトールリン酸とDAGとを生成させる酵素であるGTP−依存性ホスホリパーゼCを活性化させるという事実が証明されている(Ramkumar,V.et al.,J.Biol.Chem.,268,168871−168890,1993;Abbracchio,M.P.et al.,Mol.Pharmacol.,48,1038−1045,1995)。前記2次伝達物質体系が脳虚血での神経傷害の反応経路を意味するので、このような発見は、脳虚血でのA3受容体活性化作用による反応経路を説明することができる。また、アデノシンA3アゴニストは、炎症媒介体である腫瘍壊死因子TNF−αの放出を抑制し、やはり炎症媒介体であるMIP−1α、インターロイキン−12及びインターフェロン−γの生成を抑制し、癲癇のような脳疾患に対する保護効果だけではなく、心臓に対しても保護効果があると知られている。また、アデノシンA3受容体の不活性化は、肥満細胞からヒスタミンのような炎症誘発因子の放出を引き起こせ、気管支を収縮させる作用を行い、兔疫細胞で細胞死を引き起こせる。したがって、アデノシンA3拮抗剤は、消炎剤及び喘息治療剤としての開発可能性がある。
本発明のアデノシン誘導体のヒトアデノシン受容体(hAR)に対する結合親和力及び選択性を評価するために行った受容体結合親和力(Binding affinity)の測定実験において(実験例1参照)、本発明のアデノシン誘導体は、ヒトアデノシンA3(hA3 AR)受容体に対して高い結合親和力を示し、アデノシンA1及びA2A受容体に対しては低い親和力、すなわち、大きな選択性を示した。特に、本発明の実施例12の化合物は、hA3受容体に対して、Ki値が1.50±0.40nMに最も高い親和力を示し、その次に、実施例2の化合物(Ki=1.66±0.90nM)、実施例14の化合物(Ki=2.50±1.00nM)、実施例10の化合物(Ki=3.69±0.25nM)及び実施例4の化合物(Ki=4.16±0.50nM)の順に結合親和力が高く表われた。本発明の実施例4の化合物は、また、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から発現されたラットのアデノシンA3受容体に対しても高い親和力(Ki=3.89±1.15nM)を示した。また、4’−Oであるオキソヌクレオシド形態を帯びるアデノシン誘導体である実施例15及び実施例16の化合物も、高い結合親和力と選択性とを示した(表1参照)。
また、本発明のアデノシン誘導体の抗炎症活性を調査するために行った実験で(実験例3〜実験例6参照)、対照群として用いられたヒドロコルチゾンに比べれば、少ない変化であるが、本発明のアデノシン誘導体が、抗炎症活性を有するということが分かった。
実施例2〜実施例4の化合物をアセトンに希釈して処理した後、抗炎症活性を調査した結果からTPAによって誘導されたマウス耳浮腫が、化合物4の処理によって浮腫減少効果があることを確認することができた(図2参照)。また、本発明の実施例1及び実施例6の化合物をアセトンに希釈して処理した後、調査した抗炎症活性は、実施例2〜実施例4の化合物よりも4倍以上格段に増加した阻害率を示すことが分かった(図3参照)。
蒸留水とアセトンとの混合溶媒(1:4)に0.5%に希釈した本発明の実施例5〜実施例7の化合物を用いて調査した抗炎症活性は、それぞれ17%、34%及び53%の炎症阻害率を示した(図4参照)。そして、ジメチルスルホキシド(DMSO)とアセトンとの混合溶媒(1:9)に0.5%に希釈した本発明の実施例15及び実施例16の化合物を用いて調査した炎症阻害率は、それぞれ59%及び79%に観察されることにより(図5参照)、本発明のアデノシン誘導体化合物が、抗炎症活性を有するということを確認することができた。
したがって、本発明の化学式1で表されるアデノシン誘導体は、アデノシンA3受容体に対して高い結合親和力及び選択性を示すので、優れたアデノシンA3拮抗剤として有用に用いられうる。また、本発明のアデノシン誘導体は、アデノシンA3受容体に対して拮抗作用して抗炎症活性を示すので、炎症性疾患の予防及び治療剤として利用できる。
また、本発明による前記炎症性疾患としては、変質性炎症、滲出性炎症、化膿性炎症、出血性炎症または増殖性炎症などの急性及び慢性炎症疾患を含む。
以下、本発明のアデノシン誘導体またはその薬学的に許容可能な塩の組成物において、剤型方法及び賦形剤を説明するが、これら例のみで限定されるものではない。本発明の組成物は、全身的または局部的に投与される。
本発明の誘導体を剤形化する場合には、通常の充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調剤することができる。経口投与のための固型剤型には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固型製剤は、1つ以上の化学式1の化合物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤することができる。また、単純な賦形剤の以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使用することができる。経口のための液状剤型としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使われる単純希釈剤である水、流動パラフィンの以外に、さまざまな賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれうる。
非経口投与のための剤型には、注射剤、乳剤、吸入剤、座剤などが含まれる。注射剤は、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのようなエステルなどの滅菌された水性溶剤、非水性溶剤及び懸濁剤が使われ、座剤の基剤としては、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴ−ル、トウイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使われる。また、局所適用のためには、本発明の化合物を軟膏やクリームで剤形化することができる。
本発明の組成物の望ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間などの多数の因子によって異なるが、当業者によって適切に選択されうる。望ましくは、本発明の化合物を1日0.001〜100mg/体重kgで、より望ましくは、0.01〜30mg/体重kgで投与する。投与は、一日に一回投与することもでき、数回に分けて投与することができる。組成物で本発明の化合物は、全体組成物総重量に対して0.0001〜10重量%、望ましくは、0.001〜1重量%の量で存在しなければならない。また、投与経路は、患者の状態及びその重症度によって変化することができる。
本発明は、前記化学式1で表される化合物及び/またはその薬学的に許容可能な塩を含むアデノシン誘導体を有効成分として含有する肝疾患の予防及び/または治療用薬学的組成物を提供する。
肝疾患は、非アルコール性脂肪肝炎(NASHまたはNAFLD)、肝線維症(liver fibrosis)及び肝硬変症(liver cirrhosis)を含むあらゆる疾病、疾患、症状などを含みうる。
前記化学式1で表されるアデノシン誘導体の望ましい例は、下記化学式Aで表される化合物である(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールであり得る。
。
本発明の肝疾患の予防及び/または治療用薬学的組成物は、経口投与剤で剤形化される。
経口投与剤は、前記化学式1で表される化合物及び/またはその薬学的に許容可能な塩と賦形剤とを含みうる。賦形剤は、メチルセルロース(MC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール(PEG)、蒸留水(Distilled water、DW)、カプセル剤などからなる群から選択される1つ以上を含みうる。賦形剤の望ましい例は、0.5wt%のメチルセルロースであり得る。
経口投与剤は、前記化学式1で表される化合物及び/またはその薬学的に許容可能な塩が粉末状または賦形剤に溶解された溶液状にカプセル剤内に充填されたものである。
本発明の肝疾患の予防及び/または治療用薬学的組成物は、患者に経口投与される。望ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間など多数の因子を考慮して適切に選択されうる。
本発明のアデノシン誘導体は、投与量依存的に非アルコール性脂肪肝炎、肝線維症及び肝硬化症を緩和する効能を有するアデノシンA3拮抗剤として作用し(実験例9参照)、経口投与時の血中濃度及び安定性に優れ(実験例10)、体内毒性がほとんどない生体親和的な物質であるために(実験例11〜実験例16参照)、肝疾患の予防及び/または治療に非常に適した薬学的組成物として使われる。
出発物質の製造
<製造例1>
(3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルアセテートの製造
段階a1.(3aR,4R,6R,6aR)−6−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2,2−ジメチル−テトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−オールの製造
アセトン(50ml)に、D−マンノース(1.74g、6.52mmol)と2,2−ジメトキシプロパン(2.45ml、19.55mmol)とを添加した後、攪拌混合し、0℃に冷却した。これに濃い硫酸(0.45g、1.96mmol)を滴加した。反応混合物は、室温で24時間撹拌した。その混合物にトリエチルアミンを添加して中和させ、減圧濃縮した。濃縮後、得た混合物に対して、ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(1:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、白色固体の目的化合物(1.61g、95%)を得た。
mp 120.3−120.5℃;
1H−NMR(CDCl3)δ5.34(s、1H)、4.76−4.79(m、1H)、4.58(d、1H、J=6.0Hz)、4.34−4.39(m、1H)、4.15(dd、1H、J=3.6、7.2Hz)、4.00−4.08(m、2H);
[α]25 D 11.71(c 0.11、CH2Cl2);
FAB−MS m/z 261[M+H]+。
段階a2.(1R)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)((4R,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタノールの製造
エタノール(25ml)に、前記段階a1で製造した(3aR,4R,6R,6aR)−6−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2,2−ジメチル−テトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−オール(1.50g、5.76mmol)を気をつけて分配して添加し、0℃に冷却した。これに水素化ホウ素ナトリウム(NaHB4、440mg、11.53mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。その反応混合物を酢酸で中和した後、減圧濃縮した。その混合物を酢酸エチルと水とを用いて抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、濾過した後、再び減圧濃縮した。濃縮後、得た混合物に対して、ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(1:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、シロップ形態の目的化合物(1.38g、92%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ4.33(dd、1H、J=1.6、7.2Hz)、4.24−4.28(m、1H)、4.06−4.13(m、2H)、3.92−3.97(m、1H)、3.76−3.85(m、2H)、3.59−3.61(m、1H)、1.48(s、3H)、1.38(s、3H)、1.36(s、3H)、1.33(s、3H);
[α]25 D−3.88(c 0.44、CH2Cl2);
FAB−MS m/z 263[M+H]+。
段階a3.(1R)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)((4S,5S)−2,2−ジメチル−5−((メチルスルホニルオキシ)メチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタンスルホン酸の製造
ジクロロメタン(300ml)とトリエチルアミン(163.75ml、1.17mol)との混合物に、前記段階a2で製造した(1R)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)((4R,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタノール(38.52g、146.85mmol)と4−ジメチルアミノピリジン(4−DMAP、5.38mg、44.06mmol)とを添加した後、混合し、0℃に冷却した。これにジメタンスルホニルクロリド(47.59ml、587.42mmol)を気をつけて滴加した。1時間室温で撹拌した後に、その反応混合物をジクロロメタンで抽出し、飽和された重炭酸ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄した。有機層を集める間に無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、濾過した後、再び減圧濃縮した。濃縮後、得た褐色シロップ形態のジメシル化合物に対して、ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(5:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、シロップ形態の目的化合物(57.83g、94%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ4.75(pseudo t、1H、J=7.4Hz)、4.33−4.45(m、4H)、4.06−4.20(m、3H)、3.12(s、3H)、3.07(s、3H)、1.51(s、3H)、1.43(s、3H)、1.37(s、3H)、1.33(s、3H);
[α]25 D 38.32(c 0.29、CH2Cl2);
FAB−MS m/z 419[M+H]+。
段階a4.(3aR,4S,6aS)−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソールの製造
DMF(50ml)に、前記段階a3で製造した(1R)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)((4S,5S)−2,2−ジメチル−5−((メチルスルホニルオキシ)メチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタンスルホン酸(993.80g、2.23mmol)を溶解させ、これに硫化ナトリウム(348.30g、4.46mmol)を添加した後、その混合物を80℃で夜から朝まで還流撹拌した。反応完了後、減圧で溶媒を除去し、その残留物を酢酸エチルと水とを用いて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、濾過した後、再び減圧濃縮した。濃縮後、得た残留物に対して、ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(8:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、シロップ形態の目的化合物(453.0mg、78%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ4.92(dt、1H、J=1.8、5.6Hz)、4.72(dd、1H、J=2.0、6.0Hz)、4.26−4.30(m、1H)、4.04(s、1H)、3.79(t、1H、J=3.8Hz)、3.31−3.32(m、1H)、3.19(dd、1H、J=5.4、12.0Hz)、2.84(dd、1H、J=1.6、12.0Hz)、1.51(s、3H)、1.43(s、3H)、1.32(dd、6H、J=8.4Hz);
[α]25 D−96.04(c 0.20、CH2Cl2);
FAB−MS m/z 261[M+H]+。
段階a5.1−((3aR,4S,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)エタン−1,2−ジオールの製造
60%酢酸水溶液(250ml)に、前記段階a4で製造した(3aR,4S,6aS)−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール(21.78g、83.66mmol)を溶解させ、室温で2時間撹拌した。その反応混合物を減圧で濃縮し、得た残留物に対して、ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(1:2、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、白色固体の目的化合物(14.85g、81%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ4.92(dt、1H、J=1.8、5.6Hz)、4.72(dd、1H、J=2.0、6.0Hz)、4.26−4.30(m、1H)、4.04(s、1H)、3.79(t、1H、J=3.8Hz)、3.31−3.32(m、1H)、3.19(dd、1H、J=5.4、12.0Hz)、2.84(dd、1H、J=1.6、12.0Hz)、1.51(s、3H)、1.43(s、3H)、1.32(dd、6H、J=8.4Hz);
[α]25 D−96.04(c 0.20、CH2Cl2);
FAB−MS m/z 261[M+H]+。
段階a6.(3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルアセテートの製造
酢酸エチル(300ml)に、前記段階a5で製造した1−((3aR,4S,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)エタン−1,2−ジオール(14.85g、67.41mmol)を溶解させ、0℃に冷却した。これにレッドテトラアアセテート(Pb(OAc)4、157.31g、337.06mmol)を添加した後、室温で夜から朝まで撹拌した。その反応混合物をセライトで濾過し、その濾液を酢酸エチルで希釈した。その有機層をジクロロメタンで希釈し、飽和された重炭酸ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。濃縮後、得た残留物に対して、ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(8:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、シロップ形態の目的化合物(8.82g、60%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ5.03(dd、1H、J=5.6、9.6Hz)、4.79(dd、1H、J=5.6、8.8Hz)、3.21−3.27(m、2H)、3.01(dt、2H、J=0.8、12.8Hz)、2.05(s、3H)、1.50(s、3H)、1.31(s、3H);
[α]25 D−258.15(c 0.18、CH2Cl2);
FAB−MS m/z 218[M]+。
<製造例2>
(3aS,4S,6aS)−2,2−ジメチル−テトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルアセテートの製造
段階b1.(3aR,4R,6aR)−2,2−ジメチル−テトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−オールの製造
トルエン(20ml)に、2,3−O−イソプロピリデン−D−エリスロノラクトン(2,3−O−isopropylidene−D−erythronolactone、1.04g、6.42mmol)を溶解させた後、1Mの水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)/THF溶液を−78℃で添加した。その反応混合物を同じ温度で30分間撹拌した後、メタノールを徐々に添加して反応を終結させた。その懸濁液をセライトで濾過し、酢酸エチルと水とで抽出した後、それに対して、ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(3:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、シロップ形態の目的化合物(1.94g、96%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ5.39(s、1H)、4.82(dd、1H、J=3.6、6.0Hz)、4.55(d、1H、J=6.0Hz)、4.05(dd、1H、J=3.6、10.2Hz)、4.00(d、1H、J=10.0Hz)、1.45(s、3H)、1.30(s、3H)。
段階b2.(3aS,4S,6aS)−2,2−ジメチル−テトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルアセテートの製造
ピリジン(10ml)に、前記製造例2の段階b1で製造したラクトール化合物(875.9mg、5.47mmol)を溶解させた後、無水酢酸(0.67ml、6.56mmol)を0℃で添加した。その反応混合物を室温で3時間撹拌した後、減圧濃縮した。濃縮後、残留物を酢酸エチルと水とで抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、再び減圧濃縮した。その残留物に対して、ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(8:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、シロップ形態の目的化合物(702.1mg、65%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ6.16(s、1H)、4.86(dd、1H、J=3.6、6.0Hz)、4.66(d、1H、J=6.0Hz)、4.12(d、1H、J=6.4Hz)、3.99(dd、1H、J=3.6、10.8Hz)、2.05(s、3H)、1.48(s、3H)、1.33(s、3H)。
<実施例1>
(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−フルオロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
ヘキサメチルジシラザン(HMDS、50ml)に、2,6−ジクロロプリン(2.29g、22.12mmol)と硫酸アンモニウム(438mg、3.32mmol)とを溶解させた後、不活性の乾燥された条件で夜から朝まで還流させた。その反応混合物を減圧で濃縮した後、得た固体混合物を冷たい1,2−ジクロロエタン(20ml)に再び溶解させた。前記製造例1で得た(3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イルアセテート(1.41g、11.06mmol)を1,2−ジクロロエタン(20ml)に溶解させて、前記溶液に再び滴加した。その混合物にトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf、4.0ml、22.12mmol)を滴加し、0℃で30分間撹拌した後、室温で1時間撹拌した後、80℃に加熱して、2時間撹拌した。反応混合物を冷却した後、ジクロロメタンで希釈し、飽和された重炭酸ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄した。その有機層を無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した後、減圧濃縮して、黄色のシロップ形態の残留物を得た。その残留物に対して、ジクロロメタン:メタノール混合溶媒(50:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、泡(foam)状の目的化合物(3.03g、79%)を得た。
UV(CH2Cl2)λmax 275.0nm;
1H−NMR(CDC13)δ8.17(s、1H)、5.87(s、1H)、5.32(pseudo t、1H、J=4.8Hz)、5.21(d、1H、J=5.6Hz)、3.79(dd、1H、J=4.4、12.8Hz)、3.26(d、1H、J=13.2Hz)、1.59(s、3H)、1.36(s、3H);
[α]25 D−42.04(c 0.16、CH2Cl2);
FAB−MS m/z 347[M+H]+。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
テトラヒドロフラン(20ml)に、前記段階1で製造した2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンを溶解させた後、2Nの塩酸を添加し、夜から朝まで室温で撹拌した。その混合物を1Nの水酸化ナトリウム水溶液で中和させた後、気をつけて減圧で濃縮した。濃縮後、残留物に対して、ジクロロメタン:メタノール混合溶媒(20:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、白色固体の目的化合物(1.94g、96%)を得た。
mp 198.3−200.3℃;
UV(MeOH)λmax 275.0nm;
1H−NMR(CD3OD)δ8.87(s、1H)、6.08(d、1H、J=6.8Hz)、4.69(q、1H、J=3.2Hz)、4.48(q、1H、J=3.6Hz)、3.56(dd、1H、J=4.4、11.2Hz)、2.97(dd、1H、J=3.4、11.2Hz);
[α]25 D−50.43(c 0.12、DMSO);
FAB−MS m/z 307[M+H]+。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−フルオロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
室温でエタノール(5ml)に、前記段階2で製造した(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール(1当量)と3−フルオロベンジルアミン(1.5当量)とを溶解させた後、その反応混合物を2〜3時間室温で撹拌した。反応完了後、減圧濃縮して得た残留物に対して、ジクロロメタン:メタノール混合溶媒(20:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、目的化合物(0.10g、80%)を得た。
mp 183.2−183.5℃;
UV(MeOH)λmax 275.0nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.91(t、1H−NH、J=5.8Hz)、8.51(s、1H)、7.33−7.39(m、1H)、7.13−7.18(m、2H)、7.06(dt、1H、J=2.8、11.6Hz)、5.82(d、1H、J=7.2Hz)、5.56(d、1H−OH、J=6.0Hz)、5.37(d、1H−OH、J=4.4Hz)、4.65(d、1H、J=6.0Hz)、4.60(m、1H)、4.33−4.35(m、1H)、3.41(dd、1H、J=4.0、10.8Hz)、2.79(dd、1H、J=2.8、10.8Hz);
[α]25 D−96.21(c 0.12、DMSO);
FAB−MS m/z 396[M+H]+。
<実施例2>
(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例1の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例1の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、3−クロロベンジルアミンを使用して、前記実施例1の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.11g、83%)を得た。
mp 163.3−165.3℃;
UV(MeOH)λmax 274.5nm;
1H−NMR(CD3OD)δ8.34(s、1H)、7.41(s、1H)、7.24−7.34(m、3H)、5.94(d、1H、J=6.4Hz)、4.75(brs、2H)、4.61(q、1H、J=3.2Hz)、4.45(q、1H、J=4.0Hz)、3.51(dd、1H、J=4.8、11.2Hz)、2.95(dd、1H、J=3.6、10.8Hz);
FAB−MS m/z 411[M]+。
<実施例3>
(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−ブロモベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例1の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例1の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−ブロモベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、3−ブロモベンジルアミンを使用して、前記実施例1の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.12g、83%)を得た。
mp 184.0−185.0℃;
UV(MeOH)λmax 274.0nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.91(brs、1H−NH)、8.51(s、1H)、7.55(s、1H)、7.43(d、1H、J=7.6Hz)、7.33−7.35(m、1H)、7.26−7.30(m、1H)、5.82(d、1H、J=7.2Hz)、5.57(d、1H−OH、J=6.0Hz)、5.38(d、1H−OH、J=4.0Hz)、4.60−4.63(m、3H)、4.34(s、1H)、3.41(dd、1H、J=4.4、11.2Hz)、2.80(dd、1H、J=2.8、10.8Hz);
FAB−MS m/z 456[M+H]+。
<実施例4>
(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−ヨードベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例1の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例1の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(3−ヨードベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、3−ヨードベンジルアミンを使用して、前記実施例1の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.14g、84%)を得た。
mp 198.7−199.9℃;
UV(MeOH)λmax 274.0nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.90(t、1H−NH、J=6.4Hz)、8.51(s、1H)、7.74(s、1H)、7.60(d、1H、J=7.6Hz)、7.35(d、1H、J=7.6Hz)、7.13(t、1H、J=8.0Hz)、5.82(d、1H、J=7.6Hz)、5.56(d、1H、J=6.4Hz)、5.37(d、1H、J=4.0Hz)、4.60(d、3H、J=4.4Hz)、4.34(brs、1H)、3.38(dd、1H、J=4.0、10.8Hz)、2.80(dd、1H、J=4.0、10.8Hz);
[α]25 D−78.91(c 0.13、DMSO);
FAB−MS m/z 504[M+H]+。
<実施例5>
(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(2−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例1の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例1の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(2−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、2−クロロベンジルアミンを使用して、前記実施例1の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.11g、81%)を得た。
mp 198.7−199.7℃;
UV(MeOH)λmax 273.5nm;
1H−NMR(CD3OD)δ8.35(brs、1H)、7.45−7.47(m、1H)、7.39−7.43(m、1H)、7.25−7.29(m、2H)、5.95(d、1H、J=6.4Hz)、4.60−4.63(m、1H)、4.45(dd、1H、J=3.6、8.0Hz)、3.51(dd、1H、J=4.8、10.8Hz)、2.95(dd、1H、J=4.0、10.8Hz);
[α]25 D−96.21(c 0.12、DMSO);
FAB−MS m/z 412[M+H]+。
<実施例6>
(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(5−クロロ−2−メトキシベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例1の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例1の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(5−クロロ−2−メトキシベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、5−クロロ−2−メトキシベンジルアミンを使用して、前記実施例1の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.11g、78%)を得た。
mp 188.8−189.8℃;
UV(MeOH)λmax 275.5nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.64(t、1H−NH、J=6.0Hz)、8.51(s、1H)、7.21−7.25(m、1H)、7.12(d、1H、J=7.2Hz)、7.00(d、1H、J=8.0Hz)、6.85−6.89(m、1H)、5.82(d、1H、J=7.6Hz)、5.57(d、1H−OH、J=6.4Hz)、5.37(d、1H−OH、J=4.0Hz)、4.61−4.63(m、2H)、4.35(m、1H)、3.84(s、3H)、3.71(dd、1H、J=3.6、10.4Hz)、2.80(dd、1H、J=2.4、10.8Hz);
[α]25 D−96.10(c 0.21、DMSO);
FAB−MS m/z 442[M+H]+。
<実施例7>
(2R,3R,4S>−2−(2−クロロ−6−(2−メトキシベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例1の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例1の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(2−メトキシベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、2−メトキシベンジルアミンを使用して、前記実施例1の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.12g、88%)を得た。
mp 188.0℃;
UV(MeOH)λmax 276.5nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.65(t、1H−NH、J=6.0Hz)、8.51(s、1H)、7.21−7.25(m、1H)、7.12(d、1H、J=7.2Hz)、7.00(d、1H、J=8.0Hz)、6.85−6.89(m、1H)、5.83(d、1H、J=6.8Hz)、5.58(d、1H−OH、J=6.4Hz)、5.39(d、1H−OH、J=3.6Hz)、4.62−4.64(m、2H)、4.35(s、1H)、3.84(s、1H)、3.42(dd、1H、J=3.6、10.4Hz)、2.79−2.82(m、1H);
[α]25 D−93.53(c 0.17、DMSO);
FAB−MS m/z 407[M+H]+。
<実施例8>
(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(ナフタレン−1−イルメチルベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例1の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例1の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(2−クロロ−6−(ナフタレン−1−イルメチルベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、ナフタレン−1−イルメチルベンジルアミンを使用して、前記実施例1の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.13g、90%)を得た。
mp 226.3℃(decomp);
UV(MeOH)λmax 281.0nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.96(t、1H−NH、J=6.0Hz)、8.51(s、1H)、8.25(d、1H、J=8.0Hz)、7.95−7.97(m、1H)、7.83−7.85(m、1H)、7.53−7.61(m、2H)、7.43−7.46(m、2H)、5.82(d、1H、J=7.6Hz)、5.56(d、1H、J=6.4Hz)、5.38(d、1H、J=4.0Hz)、5.12(d、1H、J=6.0Hz)、4.59−4.61(m、1H)、4.34−4.35(m、1H)、3.40−3.44(m、1H)、2.80(dd、1H、J=2.4、6.8Hz);
FAB−MS m/z 428[M+H]+。
<実施例9>
3−((2−クロロ−9−((2R,3S,4R)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロチオフェン−2−イル)−9H−プリン−6−イルアミノ)メチル)安息香酸の製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例1の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例1の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.3−((2−クロロ−9−((2R,3S,4R)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロチオフェン−2−イル)−9H−プリン−6−イルアミノ)メチル)安息香酸の製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、3−(アミノメチル)安息香酸を使用して、前記実施例1の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.12g、84%)を得た。
mp 254.0−256.9℃;
UV(MeOH)λmax 275.5nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.95(t、1H−NH、J=6.0Hz)、8.52(s、1H)、7.89(d、1H、J=8.4Hz)、7.43(d、1H、J=8.0Hz)、5.82(d、1H、J=7.6Hz)、5.57(brs、1H)、5.38(brs、1H)、4.71(d、1H、J=6.0Hz)、4.60(brs、1H)、4.34(brs、1H)、3.41(dd、1H、J=4.0、10.8Hz)、2.80(dd、1H、J=2.8、10.8Hz);
[α]25 D−94.55(c 0.11、DMSO);
FAB−MS m/z 422[M+H]+。
<実施例10>
2−(2−クロロ−6−メチルアミノ−プリン−9−イル)(2R,3S,4R)−テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例1の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例1の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.2−(2−クロロ−6−メチルアミノ−プリン−9−イル)(2R,3S,4R)−テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、メチルアミンを使用して、前記実施例1の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.89g、90%)を得た。
UV(MeOH)λmax 269.5nm(pH7);
1H−NMR(CDCl3)δ2.99(1H、dd、4’−CH、J=4.4、10.8Hz)、3.12(3H、brs、NH−CH3)、3.44(1H、dd、4’−CH、J=4、10.8Hz)、4.41(1H、m、2’−CH、J=5.6Hz)、4.47(1H、m、3’−CH)、5.89(1H、d、1’−CH、J=5.6Hz)、8.40(s、1H、8−CH);
[α]25 D−34.8(c 0.115、DMSO);
FAB−MS m/z 302.3[M+H]+。
<実施例11>
(2R,3R,4S)−2−(6−(3−フルオロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.6−クロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
2,6−クロロプリンの代わりに、6−クロロプリン(2.29g、22.12mmol)を使用して、前記実施例1の段階1と同じ条件で合成を行って、泡状の目的化合物(1.84g、91%)を得た。
UV(CH2Cl2)λmax 265.0nm;
1H−NMR(CDCl3)δ8.67(pseudo t、1H、J=1.4Hz)、8.23(s、1H)、5.88(s、1H)、5.23(m、2H)、3.69(dd、1H、J=4.0、13.2Hz)、3.18(d、1H、J=12.8Hz)、1.52(s、3H)、1.29(s、3H);
13C−NMR(CDCl3)δ152.05、151.39、151.09、144.34、132.56、111.90、89.60、84.31、70.30、40.76、26.40、24.63;
[α]25 D−157.64(c 0.15、MeOH);
FAB−MS m/z 313[M+H]+。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(6−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記段階1で製造した6−クロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリン(1.84g、5.88mmol)を使用して、前記実施例1の段階2と同じ条件で合成を行って、白色固体の目的化合物(1.27g、79%)を得た。
mp 192.3−192.8℃;
UV(MeOH)λmax 264.5nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ9.02(s、1H)、8.82(s、1H)、6.02(d、1H、J=7.6Hz)、5.62(d、1H−OH、J=6.0Hz)、5.43(d、1H−OH、J=4.0Hz)、4.70−4.74(m、1H)、4.36−4.40(m、1H)、3.47(dd、1H、J=4.0、10.8Hz)、3.17(d、1H、J=5.2Hz)、2.84(dd、1H、J=2.8、11.2Hz);
[α]25 D−109.15(c 0.16、DMSO);
FAB−MS m/z 273[M+H]+。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(6−(3−フルオロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
室温でエタノール(5ml)に、前記段階2で製造した(2R,3S,4S)−2−(6−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオール(1当量)と3−フルオロベンジルアミン(1.5当量)とを溶解させた後、その反応混合物を2〜3時間室温で撹拌した。反応完了後、減圧濃縮して得た残留物に対して、ジクロロメタン:メタノール混合溶媒(20:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、目的化合物(0.11g、82%)を得た。
mp 180.5−180.7℃;
UV(MeOH)λmax 273.5nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.46(s、1H)、8.22(s、1H)、7.31−7.39(m、1H)、7.12−7.18(m、2H)、7.01−7.05(m、1H)、5.90(d、1H、J=7.2Hz)、5.53(d、1H−OH、J=6.4Hz)、5.35(d、1H−OH、J=4.0Hz)、4.67−4.71(m、2H)、4.35−4.37(m、1H)、3.39−3.43(m、1H)、3.17(d、1H、J=5.2Hz)、2.80(dd、1H、J=3.2、11.2Hz);
[α]25 D−141.2(c 0.11、DMSO);
FAB−MS m/z 362[M+H]+。
<実施例12>
(2R,3R,4S)−2−(6−(3−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.6−クロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例11の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(6−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例11の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(6−(3−クロロベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、3−クロロベンジルアミンを使用して、前記実施例11の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.12g、85%)を得た。
mp 165.0−165.3℃;
UV(MeOH)λmax 274.5nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.47(s、1H)、8.22(s、1H)、7.39(s、1H)、7.26−7.35(m、3H)、5.91(d、1H、J=7.2Hz)、5.53(d、1H−OH、J=6.4Hz)、5.35(d、1H−OH、J=4.0Hz)、4.67−4.71(m、2H)、4.33−4.37(m、1H)、3.40−3.48(m、2H)、2.80(dd、1H、J=3.2、10.4Hz);
[α]25 D−162.5(c 0.10、DMSO);
FAB−MS m/z 378[M+H]+。
<実施例13>
(2R,3R,4S)−2−(6−(3−ブロモベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.6−クロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例11の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(6−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例11の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(6−(3−ブロモベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、3−ブロモベンジルアミンを使用して、前記実施例11の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.11g、70%)を得た。
mp 183.0−184.0℃;
UV(MeOH)λmax 270.0nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.46(s、1H)、8.22(s、1H)、7.53(s、1H)、7.39−7.42(m、1H)、7.34−7.35(m、1H)、7.24−7.28(m、1H)、5.90(d、1H、J=7.2Hz)、5.53(d、1H−OH、J=6.4Hz)、5.35(d、1H−OH、J=4.0Hz)、4.67−4.71(m、2H)、4.35−4.37(m、1H)、3.41(dd、1H、J=4.0、10.8Hz)、3.06(q、1H、J=7.2Hz)、2.80(dd、1H、J=2.8、10.8Hz);
[α]25 D−100.72(c 0.14、DMSO);
FAB−MS m/z 422[M+H]+。
<実施例14>
(2R,3R,4S)−2−(6−(3−ヨードベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
段階1.6−クロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2−ジメチルテトラヒドロチエノ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例11の段階1と同じ方法によって、泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3S,4S)−2−(6−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
前記実施例11の段階2と同じ方法によって、白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4S)−2−(6−(3−ヨードベンジルアミノ)−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロチオフェン−3,4−ジオールの製造
3−フルオロベンジルアミンの代わりに、3−ヨードベンジルアミンを使用して、前記実施例11の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.12g、72%)を得た。
mp 198.8−199.8℃;
UV(MeOH)λmax 271.5nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.46(s、1H)、8.22(s、1H)、7.72(s、1H)、7.56−7.59(m、1H)、7.35−7.36(d、1H、J=7.6Hz)、7.01−7.12(m、1H)、5.90(d、1H、J=7.2Hz)、5.53(d、1H−OH、J=6.4Hz)、5.35(d、1H−OH、J=4.4Hz)、4.67−4.71(m、2H)、4.34−4.38(m、1H)、3.41(dd、1H、J=4.0、10.8Hz)、3.16(d、1H、J=7.2Hz)、2.80(dd、1H、J=2.8、10.8Hz);
[α]25 D−97.08(c 0.14、DMSO);
FAB−MS m/z 470[M+H]+。
<実施例15>
(2R,3R,4R)−2−(6−(3−ブロモベンジルアミノ)−2−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aR)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記製造例2で得た(3aR,4R,6aR)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−オール(702.1g、3.472mmol)を使用して、前記実施例1の段階1と同じ条件で合成を行って、泡状の目的化合物(793.0mg、69%)を得た。
UV(MeOH)λmax 276.5nm;
1H−NMR(CDCl3)δ8.15(s、1H)、6.07(s、1H)、5.41(d、1H、J=6.0Hz)、5.26−5.29(m、1H)、4.25−4.31(m、2H)、1.57(s、3H)、1.41(s、3H);
[α]25 D−21.00(c 0.10、DMSO);
FAB−MS m/z 331[M+H]+。
段階2.(2R,3R,4R)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフロ−3,4−ジオールの製造
前記段階1で製造した2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aS)−2,2− リン(900mg、2.0mmol)を使用して、前記段階2と同じ条件で合成を行って、白色固体の目的化合物(0.46g、80%)を得た。
mp 122.7−123.4℃;
UV(MeOH)λmax 276.5nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.98(s、1H)、5.96(d、1H、J=6.4Hz)、5.57(d、1H−OH、J=6.0Hz)、5.32(d、1H−OH、J=4.0Hz)、4.69−4.74(m、1H)、4.41(dd、1H、J=3.6、9.2Hz)、4.29−4.32(m、1H)、3.87(dd、1H、J=2.0、9.6Hz);
[α]25 D−68.09(c 0.14、DMSO);
FAB−MS m/z 291[M+H]+。
段階3.(2R,3R,4R)−2−(6−(3−ブロモベンジルアミノ)−2−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフロ−3,4−ジオールの製造
室温でエタノール(5ml)に、前記段階2で製造した(2R,3S,4S)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフロ−3,4−ジオール(1当量)と3−ブロモベンジルアミン(1.5当量)とを溶解させた後、その反応混合物を2〜3時間室温で撹拌した。反応完了後、減圧濃縮して得た残留物に対して、ジクロロメタン:メタノール混合溶媒(20:1、v/v)を展開溶媒として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、目的化合物(0.12g、82%)を得た。
mp 181.5−181.7℃;
UV(MeOH)λmax 274.5nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.92(t、1H−NH、J=6.0Hz)、8.43(S、1H)、7.55(s、1H)、7.44(d、1H、J=8.0Hz)、7.33−7.35(m、1H)、7.26−7.30(m、1H)、5.81(d、1H、J=6.4Hz)、5.47(d、1H、J=6.4Hz)、5.22(d、1H、J=4,0Hz)、4.66−4.69(m、1H)、4.62(s,2H)、4.32(dd、1H、J=3.6、9.2Hz)、4.25(brs、1H)、3.80(dd、1H、J=1.6、9.2Hz);
[α]25 D−62.75(c 0.10、DMSO);
FAB−MS m/z 440[M+H]+。
<実施例16>
(2R,3R,4R)−2−(6−(3−ヨードベンジルアミノ)−2−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフロ−3,4−ジオールの製造
段階1.2,6−ジクロロ−9−((3aR,4R,6aR)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イル)−9H−プリンの製造
前記実施例15の段階1と同じ方法によって、シロップ形態の泡状の目的化合物を得た。
段階2.(2R,3R,4R)−2−(2,6−ジクロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフロ−3,4−ジオールの製造
前記実施例15の段階2と同じ方法によって、シロップ形態の白色固体の目的化合物を得た。
段階3.(2R,3R,4R)−2−(6−(3−ヨードベンジルアミノ)−2−クロロ−9H−プリン−9−イル)テトラヒドロフロ−3,4−ジオールの製造
3−ブロモベンジルアミンの代わりに、3−ヨードベンジルアミンを使用して、前記実施例15の段階3と同じ条件で合成を行って、目的化合物(0.13g、78%)を得た。
mp 195.5−195.8℃;
UV(MeOH)λmax 274.0nm;
1H−NMR(DMSO−d6)δ8.91(t、1H−NH、J=6.4Hz)、8.44(s、1H)、7.75(s、1H)、7.61(d、1H、J=8.0Hz)、7.36(d、1H、J=7.6Hz)、7.13(t、1H、J=4.0Hz)、5.81(d、1H、J=6.8Hz)、5.47(d、1H−OH、J=6.8Hz)、5.23(d、1H−OH、J=4.0Hz)、4.72(dd、1H、J=6.4、10.8Hz)、4.61(d、1H、J=6.0Hz)、4.34(dd、1H、J=3.6、9.2Hz)、3.81(dd、1H、J=1.2、9.2Hz);
[α]25 D−68.07(c 0.12、DMSO);
FAB−MS m/z 488[M+H]+。
<実験例1>アデノシン受容体に対する結合親和力の評価
本発明の誘導体のヒトアデノシン受容体(hAR)中のA1、A2A及びA3受容体に対する親和力及び選択性を評価するために、下記のような実験を行った。
アデノシンA1及びA3受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO、ATCC;米国細胞株銀行No.CCL−61)細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)とペニシリン/ストレプトマイシン(100ユニット/mlと100μg/ml)とを含むF−12(Gibco社、米国)培地で37℃、5%二酸化炭素の条件下で培養されて使われた。50/10/1緩衝溶液を試験管に入れ、適したhARが発現されたCHO細胞一定量と各アデノシンA1及びA3受容体に選択的に結合する標識リガンド(1nM[3H]CCPA及び0.5nM[125I]AB−MECA)とを混合させた。多様な濃度の本発明の誘導体をジメチルスルホキシド(DMSO)に先に溶解させた後、緩衝溶液と希釈されるが、DMSOの最終濃度は、1%を超過しないように注意し、37℃の恒温槽で1時間培養させた後、細胞収集器(TOMTEC社、米国)を使用して、迅速に減圧濾過した。次いで、試験管は、3ml緩衝液で3回洗浄した後、放射性をγ−カウンターを使用して決定した。非特異的結合(Nonspecific binding)は、全体結合を測定するための条件と同じ条件で、非標識リガンドである5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)の10μM存在下で決定され、平衡定数であるKi値は、[125I]AB−MECAのKd値が1.48nMであるという仮定下でチェンプルソフ(Cheng−Prusoff)方程式に基づいて決定した。特異的結合は、全体結合で非特異的結合を減算して算出した。このように測定された特異的結合からさまざまな受容体に対するそれぞれの試料の結合親和力を求めた。
また、HEK293細胞(ヒト腎臓内皮細胞株)から発現されたA2A受容体と標識リガンド、[3H]CGS−21680(2−(((4−(2−カルボキシエチル)フェニル)エチルアミノ)−5’−N−エチルカルバモイル)アデノシン)の結合測定は、次のように行われるが、アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase)は、脳膜を30℃で30分間培養する時と放射性リガンドを入れ、培養する間に共に入れ、少なくとも6回の異なる濃度でそれぞれの実施例の化合物に対するIC50値を定め、この数値をプロットプログラムを用いてKi値を決定した。本発明による実施例の化合物の構造、置換基及び結合親和力の測定結果、得たKi値を表1に共に示した。
表1に示されたように、本発明の実施例の化合物は、ヒトアデノシンA3受容体に対して高い結合親和力を示し、アデノシンA1及びA2A受容体に対しては低い親和力、すなわち、大きな選択性を示した。特に、本発明の実施例12の化合物は、hA3受容体に対して、親和力定数、Ki値が1.50±0.40nMに最も高い親和力を示し、その次に、実施例2の化合物(Ki=1.66±0.90nM)、実施例14の化合物(Ki=2.50±1.00nM)、実施例10の化合物(Ki=3.69±0.25nM)及び実施例4の化合物(Ki=4.16±0.50nM)の順に結合親和力が高く表われた。本発明の実施例4の化合物は、また、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から発現されたラットのアデノシンA3受容体に対しても、高い親和力(Ki=3.89±1.15nM)を示し、ヒトアデノシンA2B受容体に対しては、アゴニストまたは拮抗剤として活性を示さななかった。
また、ハロベンジル置換基を有する実施例の化合物で結合親和力は、Cl>I>F>Brの順序に従うが、3−クロロベンジルを有する実施例2の化合物は、2−クロロベンジルを有する実施例5の化合物(Ki=25.8±6.3nm)よりもhA3アデノシン受容体に対してさらに高い親和力を示した。また、ヒトアデノシンA3受容体は、結合親和力において、ベンゼン環の3−位置が置換された実施例の化合物を2−または4−置換された化合物または2,5−二置換された化合物よりもさらに好むものと表われた。そして、4’−Oであるオキソヌクレオシド形態を帯びるアデノシン誘導体である実施例15及び実施例16の化合物も、高い結合親和力と選択性とを示したが、それに相応する4’−Sであるチオヌクレオシド形態を帯びるアデノシン誘導体、実施例3及び実施例4の化合物よりもさらに良いものではなく、プリン塩基の2位のクロロ基を水素で置換した実施例10〜実施例14の化合物は、2−クロロである化合物よりも親和力及び選択性に優れると確認された。
<実験例2>本発明の誘導体によるアデノシンA3受容体に対する拮抗効果及びcAMP抑制実験
本発明の誘導体が、ヒトアデノシンA3受容体に対して拮抗剤として効果があるかを調べるために、CHO細胞に実施例4の化合物及びCl−IB−MECAを共に処理して、本発明の誘導体の拮抗効果及びcAMP抑制実験を行った。
図1に示されたように、ヒトアデノシンA3受容体に対して、本発明の実施例4の化合物を濃度を異ならせて処理したCHO細胞で100%純粋アゴニストであるCl−IB−MECAのアゴニスト効果は、実施例4の化合物の濃度に依存して阻害されると確認された。これは、本発明の化合物とCl−IB−MECAとが受容体の同じ結合部位に互いに競争的に作用するものであることを示す結果である。また、CHO細胞でヒトアデノシンA3受容体を媒介とするcAMP抑制実験結果、本発明の実施例の化合物は、100%純粋アデノシンA3拮抗剤であるということが分かる。したがって、本発明から合成された化合物は、Schild分析によって測定した解離定数KB値は1.92nMであった。
<実験例3〜実験例6>本発明の誘導体による抗炎症活性の測定
本発明の誘導体の抗炎症活性を調べるために、下記のような動物実験を行った。生後7週齢の雄ICRマウスは、右側耳にTPA(12−O−tetradecanoylphorbol 13−acetate、20μl)が処理された。15分以内に本発明の実施例1〜実施例16の化合物をアセトン(20μl)または蒸留水あるいはDMSOとアセトンとを混合した混合溶媒(その組成は、表2〜表5に示す)に0.5%の濃度で希釈してマウスに投与した。対照群で炎症治療剤として用いられるヒドロコルチゾン(hydrocortisone)を同じ濃度で処理して、同じ実験を行った。
引き続き、TPA処理から6時間後に、本発明のアデノシン誘導体化合物を二番目に処理した。再びTPA処理から24時間後に、実験動物を首脱臼方法(cervical dislocation method)を用いて安楽死させた。次いで、6mm直径のパンチを用いて右側耳のサンプルを得た。その活性は、微量天秤を用いて重量を測定することで確認することができた。阻害率(%)は、下記数式1を用いて計算された。実験例3〜実験例6の処理組成及び処理量は、表2〜表5に示し、その抗炎症活性の測定結果を図2〜図5に示した。
図2に示されたように、対照群として用いられたヒドロコルチゾンに比べれば、極めて少ない変化であるが、実施例2、実施例3及び実施例4の化合物をアセトンに希釈して処理した後、抗炎症活性を調査した結果、TPAによって誘導されたマウスの耳浮腫が少量減少することを確認することができた。
図3に示されたように、本発明の実施例1及び実施例6の化合物をアセトンに希釈して処理した後、調査した抗炎症活性は、図2示された実施例2〜実施例4の化合物よりも4倍以上格段に増加した阻害率を示すことが分かった。
図4に示されたように、蒸留水とアセトンとの混合溶媒(1:4)に0.5%に希釈した本発明の実施例5、実施例6及び実施例7の化合物を用いて調査した抗炎症活性は、それぞれ17%、34%及び53%の炎症阻害率を示した。
図5に示されたように、DMSOとアセトンとの混合溶媒(1:9)に0.5%に希釈した本発明の実施例15及び実施例16の化合物を用いて調査した炎症阻害率は、それぞれ59%及び79%であって、前記化合物が抗炎症活性を有するということが分かった。
<実験例8>毒性試験
本発明の実施例の化合物の毒性を試験するために、動物実験を行った。25±5gのICR系マウス(中央実験動物)と235±10gの特定の病院部材(SPF)スプラグ−ダウリー(Sprague Dawley、中央実験動物)ラットとをそれぞれ3匹ずつ3群に分けて、本発明の実施例2の化合物をそれぞれ20mg/kg、10mg/kg、1mg/kgの容量で腹腔投与した後、24時間毒性の有無を観察した。
実験の結果、3郡いずれもで死亡した例を全く観察することができず、体重増加、飼料摂取量などで外見上対照群と何らの症状が見られず、したがって、本発明の誘導体化合物が、安全な薬物であることを確認することができた。
本発明のアデノシン誘導体化合物は、下記のような剤型で投与し、下記の製剤例は、本発明を例示するものであり、これにより、本発明の内容が限定されるものではない。
<製剤例1>散剤の製造
本発明のアデノシン誘導体化合物500mg
トウモロコシ澱粉100mg
乳糖100mg
タルク10mg
前記の成分を混合し、気密布に充填して散剤を製造した。
<製剤例2>錠剤の製造
本発明のアデノシン誘導体化合物100mg
トウモロコシ澱粉100mg
乳糖100mg
ステアリン酸マグネシウム2mg
前記の成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法によって、打錠して錠剤を製造した。
<製剤例3>カプセル剤の製造
本発明のアデノシン誘導体化合物50mg
乳糖50mg
ステアリン酸マグネシウム1mg
前記の成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法によって、打錠してゼラチンカプセルに充填して製造した。
<製剤例4>注射剤の製造
本発明のアデノシン誘導体化合物10mg
注射用滅菌蒸留水適量
pH調節剤適量
通常の注射剤の製造方法によって、活性成分を注射用蒸留水に溶解し、pHを約7.5に調節した後、全体を注射用蒸留水で2ml容量のアンプルに充填して滅菌させて、注射剤を製造した。
<製剤例5>液剤の製造
本発明のアデノシン誘導体化合物1g
異性化糖10g
ショ糖10g
レモン香適量
精製水適量
通常の液剤の製造方法によって、精製水にそれぞれの成分を加え、溶解させ、レモン香を適量加えた後、精製水を加えて、全体を100mlに調節した後、褐色瓶に充填して滅菌させて、液剤を製造した。
<製剤例6>経口投与剤の製造
本発明のアデノシン誘導体化合物適量
0.5wt%メチルセルロース(MC)適量
本発明のアデノシン誘導体化合物を0.5wt%メチルセルロース(Wako Pure Chemical Industry、Japan)に懸濁させて調剤した。
<実験例9>本発明のアデノシン誘導体の非アルコール性脂肪肝炎、肝線維症及び肝硬化症に対する効能確認の実験
本発明のアデノシン誘導体の非アルコール性脂肪肝炎及び肝線維症に対する効能を確認するために、下記のような動物実験を行った。
非アルコール性脂肪肝炎が誘発されたmice24匹(下記の各実験例の別に8匹)に6週齢から10週齢間、表6のように実施例2の化合物を賦形剤(0.5%メチルセルロース)と共に毎日1回経口投与した。
比較群として正常mice8匹に10週齢まで何らの処理はせず、陽性対照群(positive control)として非アルコール性脂肪肝炎が誘発されたmice8匹に6週齢から10週齢間、高血圧治療剤であるテルミサルタン(telmisartan)10mg/kgを毎日1回経口投与し、陰性対照群(negative control)として非アルコール性脂肪肝炎が誘発されたmice8匹に6週齢から10週齢間、賦形剤である0.5%メチルセルロース10mL/kgのみを毎日1回経口投与した。
引き続き、10週齢になった実験動物の肝(liver)に対して、HE染色を用いて脂肪症、炎症及びバルーニング程度を測定し、シリウスレッド(Sirius red)染色を用いて纎維症(fibrosis)発生面積を観察及び測定し、その結果をBonferroni Multiple Comparison Testで数値化(scoring)して、図6〜図11に示した。
図6〜図11において、Low、Medium、及びHigh dose groupは、それぞれ実験例9−1、実験例9−2及び実験例9−3を示し、Normal、Vehicle及びTelmisartanは、それぞれ比較群、陰性対照群及び陽性対照群を示す。
図6は、実験動物の肝の脂肪症程度を数値化して示すグラフである。図6に示されたように、本発明のアデノシン誘導体を投与した実験例9のmice及び陽性対照群miceで陰性対照群と比較して、脂肪症の有意な減少が確認されていない。
図7は、実験動物の肝の炎症程度を数値化して示すグラフである。図7に示されたように、本発明のアデノシン誘導体を投与したmiceで、前記誘導体の投与量に依存的な抗炎症活性があったことを確認することができる。
図8は、実験動物の肝のバルーニング程度を数値化して示すグラフである。図8に示されたように、本発明のアデノシン誘導体を投与したmiceで、前記誘導体の投与量に依存的なバルーニング減少効果があり、本発明のアデノシン誘導体を低容量で投与した実験例9−1のmiceでも、バルーニングの確実な減少があったことを確認することができる。
図9は、実験動物の肝の脂肪症、炎症及びバルーニングに対する数値を総合して、非アルコール性脂肪肝炎に対する活性を算出したグラフである。図9に示されたように、本発明のアデノシン誘導体は、投与量依存的に非アルコール性脂肪肝炎の緩和に対する有意な活性があったことを確認することができる。
図10は、実験動物の肝の纎維症発生程度を観察した顕微鏡写真であり、図11は、纎維症発生面積を示すグラフである。図10において、赤色で染色された部分が纎維症発生部位である。図10及び図11に示されたように、本発明のアデノシン誘導体を投与したmiceで、前記誘導体の投与量に依存的な纎維症抑制活性があり、本発明のアデノシン誘導体を低容量で投与した実験例9−1のmiceでも、纎維症発生面積の確実な減少があったことを確認することができる。
<実験例10>本発明のアデノシン誘導体の物理化学的特性の試験
本発明のアデノシン誘導体の物理化学的特性を試験するために、生体外(in vitro)で実施例2の化合物に対する実験を実施し、その結果を表7に示した。血しょう(plasma)安定性(stability)及びタンパク質結合度(protein binding)は、Ratとヒトとの血しょうを用いて測定した。
表7に示されたように、本発明のアデノシン誘導体は、経口製剤による経口投与に適した吸収、分布、代謝及び排泄(ADME)の特性値を有するという点を確認することができる。
<実験例11>本発明のアデノシン誘導体の経口投与に対する薬動力学試験
本発明のアデノシン誘導体の経口投与後の吸収、分布、代謝及び排泄(ADME)の特性を試験するために、生体内(in vivo)で実施例2の化合物のPK(Pharmacokinetic)特性を測定した。
表8のように、実験動物に実施例2の化合物を投与方法を異ならせて投与した。静脈投与は、大腿静脈に挿入したチューブ(tube)を通じて投与し、経口投与は、強制経口投与(oral gavage)を用いて口腔に投入する方式で行った。
投与後、24時間所定時間間隔で採血して血液を遠心分離した後、血しょうを分離し、適正有機溶媒を使用して血しょう試料を前処理した後、LC−MS/MSで濃度を分析した。WinNonlin(Pharsight、USA)を用いて実施例2の化合物の血中濃度−時間データを分析し、これについてのグラフを図12〜図16に示し、これより算出したnoncompartmental pharmacokinetic parameterに対する結果を表9〜表13に示した。図12〜図16において、I.V.は、静脈投与群、P.O.は、口腔投与群を示し、表9〜表13の各パラメータに対する定義は、表14に示した。
図12と表9は、実験例11(11−1及び11−2)の血中濃度−時間データから得たグラフ及びパラメータ値であり、図13と表10は、実験例12(12−1及び12−2)の血中濃度−時間データから得たグラフ及びパラメータ値である。図12及び図13と表9及び表10とに示されたように、本発明のアデノシン誘導体は、半減期(T1/2)が最大3.34時間以上に長期間露出され、静脈投与と比較する時、生体利用率(Ft)が最大99.9%以上に経口投与に適した特性を有するということを確認することができる。
図14と表11は、実験例13の血中濃度−時間データから得たグラフ及びパラメータ値である。図14と表11とに示されたように、本発明のアデノシン誘導体は、miceでも半減期(T1/2)が3.61時間程度に長期間露出されて、経口投与に適した特性を有するという点を確認することができる。
図15と表12は、実験例14(14−1、14−2及び14−3)の血中濃度−時間データから得たグラフ及びパラメータ値である。図15において、G2及びG3は、それぞれ溶媒に溶解させて経口投与した場合と、カプセル内粉末状に経口投与した場合と、を示す。図15と表12とに示されたように、本発明のアデノシン誘導体は、dogで半減期(T1/2)が最大5.53時間以上にratやmiceよりも長期間露出されて、経口投与に適した特性を有し、特に、カプセル内に粉末状に充填して投与した場合、半減期(T1/2)及び生体利用率(Ft)などの特性がより向上するという点を確認することができる。
図16と表13は、実験例15(15−1及び15−2)の血中濃度−時間データから得たグラフ及びパラメータ値である。図16と表13とに示されたように、本発明のアデノシン誘導体は、経口投与において、メチルセルロース(MC)と共に投与されることが従来の賦形剤であるジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール(PEG)、蒸留水(D.W.)などと共に投与されることよりも優れた特性を有するという点を確認することができる。
<実験例16>本発明のアデノシン誘導体の毒性試験
本発明のアデノシン誘導体の毒性を試験するために、実施例2の化合物に対して、細胞毒性(cytotoxicity)、心臓毒性(hERG ligand binding assay)、遺伝毒性及び単回毒性を評価した。
まず、実施例2の化合物の細胞毒性を試験するために、Cyto XTM cell viability assay kitを利用した。試験の結果、実施例2の化合物によるIC50が、それぞれの細胞株で10μM以上であって、一般細胞毒性に対して安全であると評価された。
実施例2の化合物の心臓毒性を試験するために、red fluorescent hERG channel ligand tracerのhERG channel protein結合程度による蛍光偏光(fluorescence polarization)評価を通じて心臓安定性を評価するnon−electrophysiological試験法を使用した。試験の結果、実施例2の化合物10μMに対する阻害率は、基準値である50%以下であって、心臓毒性に対して安全であると評価された。
実施例2の化合物の遺伝毒性を試験するために、ヒスチジン要求性サルモネラ菌(TA98、TA100、TA1535及びTA1537菌株)及びトリプトファン要求性大腸菌(WP2uvrA(pKM101)菌株)を用いて代謝活性化非存在下及び存在下のそれぞれの場合に対して、実施例2の化合物の遺伝子突然変異誘発性を評価した。評価の結果、実施例2の化合物は、代謝活性化の有無に関係なく、各菌株のあらゆる容量で復帰変異コロニー数が陰性対照群の2倍を超過せず、容量依存的な増加も観察されず、陽性対照群では、各菌株に対する復帰変異コロニー数が陰性対照群と比較して、2倍以上確実に増加した。以上の結果から、実施例2の化合物は、遺伝毒性に対して安全であると評価された。
実施例2の化合物の単回毒性を試験するために、male ratとfemale ratの5匹のそれぞれに実施例2の化合物2,000mg/kgを単回投与した。試験の結果、死亡した実験動物はなく、前記結果によって、実施例2の化合物は、単回毒性に対して安全であると評価された。
表15は、以上の本発明のアデノシン誘導体に対する毒性試験の結果を整理したものである。表15に示されたように、本発明のアデノシン誘導体は、細胞毒性、心臓毒性、遺伝毒性及び単回毒性に対して安全であるという点を確認することができる。
<実験例17>肝の主要構成細胞群でA3 adenosine receptorの発現分析
マウスの肝に、digestion solution(collagenase、proteinase)を直接灌流(perfusion)を通じて肝に存在する結合組織を分解した後、単細胞(single cell)状態で作った後、肝細胞(hepatocytes)、クッパー細胞(Kupffer cells)及び肝星状細胞(hepatic stellate cells)を分離した。肝星状細胞の分離は、Nycodenzを利用した密度勾配遠心法(density gradient centrifugation)を用いて特定の比重を有したhepatic stellate cell−enriched fractionを分離した。最終的にmagnetic bead−based negative selectionを行うことにより、肝星状細胞を分離して培養した。分離した細胞群別にA3 adenosine receptor(A3 AR)の発現をリアルタイム重合酵素連鎖反応(real−time PCR)を通じて確認し、図17は、その結果を示すグラフである。図17において、HSCsは、肝星状細胞を意味し、KCsは、クッパー細胞を意味する。
A3 AR mRNA発現は、肝細胞、クッパー細胞及び肝星状細胞でいずれも発現されるが、図17に示されたように、クッパー細胞で特に多くの発現が確認され、肝星状細胞も、有意な発現が確認されることが分かる。
<実験例18>本発明のアデノシン誘導体の肝星状細胞に対する抗繊維化作用分析
肝星状細胞を培養して、非活性化状態(Day 1)及び活性化状態(Day 3)で実施例2の化合物の抗繊維化効能を分析した。実施例2の化合物を濃度別(2、4及び8pM)に処理した後、肝星状細胞の代表的な肝繊維化活性因子であるTimpl、Collal及びActa2(otSMA)の発現をリアルタイムPCRで分析し、図18は、その結果を示すグラフである。
図18を参照すれば、マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metalloproteinases;MMPs)の抑制を通じて纎維化を誘導すると知られたTimplの肝星状細胞での発現が、実施例2の化合物によって濃度依存的に減少したことが分かり(図18のA)、活性化された肝星状細胞から生産される代表的な細胞外マトリックス(Extra Cellular Matrix;ECM)であるコラーゲン(Collagen)の発現も、実施例2の化合物によって減少したことが分かり(図18のB)、また、活性化された肝星状細胞の代表的なマーカーであるActa2(alpha smooth muscle actin)の発現も、実施例2の化合物によって濃度依存的に減少したことが分かる(図18のC)。
図18に示されたように、実施例2の化合物の抗繊維化効果は、肝星状細胞の肝繊維化活性に直接に作用することが分かる。
以上、本発明の実施例を説明したが、当業者ならば、本発明のその技術的思想や必須的な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるであろう。したがって、前述した実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないということを理解せねばならない。