JP2019524126A - ワクシニアウイルス/真核細胞においてポリヌクレオチドライブラリを生成するための改善された方法 - Google Patents

ワクシニアウイルス/真核細胞においてポリヌクレオチドライブラリを生成するための改善された方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、ポックスウイルスベクター系、例えばワクシニアウイルスベクター系において、関心対象のポリペプチドをコードする関心対象のポリヌクレオチドのライブラリを構築する改善された方法を提供する。本方法は、以前の方法よりも高い複雑性および多様性を有するライブラリの構築を可能にする、ポックスウイルスアセンブリ阻害剤、例えばリファンピシンの存在下でライブラリを構築する段階を含む。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に組み入れられる、2016年8月2日付で出願された米国仮特許出願第62/370,009号の恩典を主張する。
電子的に提出された配列表の参照
本出願とともに提出されたASCIIテキストファイルの電子的に提出された配列表(名称「58008-168081_Sequence_Listing_ascii_ST25.txt; サイズ: 4,020バイト; および作成日: 2017年7月31日」)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
背景
本開示は、真核細胞において関心対象のタンパク質、例えば抗体またはその断片のような結合性分子を同定する改善された方法、特に、真核細胞においてタンパク質発現ライブラリ、例えば抗体重鎖および/または軽鎖発現ライブラリを生成する改善された方法に関する。
真核生物発現ライブラリ
分子生物学の分野における基本ツールは、ポリ(A)+ mRNAの二本鎖(ds) cDNAへの変換であり、二本鎖(ds) cDNAを次にクローニングベクターに挿入し、適切な宿主細胞中で発現させることができる。多くのcDNAクローニング戦略に共通の方法は、関心対象の生物の細胞に由来するポリ(A)+ mRNAに由来するcDNAクローンのコレクションである「cDNAライブラリ」の構築を伴う。例えば、免疫グロブリンまたは抗体サブユニットポリペプチドを発現するcDNAを単離するために、cDNAライブラリはプレB細胞、B細胞または形質細胞から調製されうる。糸状バクテリオファージ、バクテリオファージλ、コスミド、およびプラスミドベクターを含む、種々の発現ベクターにおいてcDNAライブラリを構築する方法は公知である。
cDNAライブラリから標的遺伝子を単離する多くの異なる方法が利用されており、さまざまな成功を収めている。これらには、例えば、標的遺伝子のDNA配列に相補的な配列を有する標識核酸断片である核酸ハイブリダイゼーションプローブの使用が含まれる。この方法が形質転換された細菌宿主中のcDNAクローンに適用される場合、プローブに強くハイブリダイズするコロニーまたはプラークは標的DNA配列を含む可能性が高い。しかしながら、ハイブリダイゼーション法は、特定のcDNAクローンが発現されるかどうかを必要とせず、それを測定することもない。代替のスクリーニング方法は、細菌宿主における発現に依存し、例えば、コロニーまたはプラークは、関心対象のタンパク質に対して作製された抗体への結合について免疫アッセイ法によりスクリーニングされることができる。しかしながら、例えば、タンパク質が細菌宿主中で十分に発現されない、タンパク質が誤った高次構造で発現される、またはタンパク質が真核生物系でのようにはプロセッシングおよび/もしくは輸送されないために、細菌宿主における発現のアッセイ法は妨げられることが多い。上記で示唆したように、細菌宿主において抗体分子を産生させる試みのなかでこれらの問題の多くに遭遇している。
したがって、関心対象のタンパク質、例えば抗体またはその抗原結合断片のような結合性分子をコードするcDNAを単離するための、真核生物発現ライブラリ、例えば酵母または哺乳動物の発現ライブラリの使用は、細菌ライブラリと比べていくつかの利点を与える。例えば、真核生物宿主において発現される抗体またはその抗原結合断片、およびそのサブユニットのような結合性分子は機能的であることができ、典型的な真核生物翻訳後修飾を受けることができる。細胞内膜系を通って細胞表面に通常輸送されるタンパク質は、輸送プロセスを完了することができる。さらに、真核生物系の使用は、真核生物RNAまたは真核生物タンパク質の機能的発現に基づいて、関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを単離することを可能にする。例えば、抗体またはその抗原結合断片のような結合性分子は、所与の抗原に対するそれらの特異性に基づいて単離することができる。例えば、各々参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第7,858,559号(特許文献1)、米国特許出願公開第2016-0152971号(特許文献2)、および2016年4月22日付で出願された米国仮特許出願第62/326,501号(特許文献3)を参照されたい。Smith et al., Nature Medicine 7:967-972 (2001) (非特許文献1)も参照されたい。
ポックスウイルスベクター
ポックスウイルスベクターは、真核細胞におけるタンパク質発現および抗原発現のための発現媒体として広く用いられている。種々の宿主細胞におけるワクシニアのクローニングおよび増殖の容易さは、外来タンパク質の発現のためのおよびワクチン送達媒体としてのポックスウイルスベクターの広範な使用につながった(Moss, B., Science 252:1662-7 (1991) (非特許文献2))。
旧来、ポックスウイルスベクターは、複雑なクローン集団から関心対象の未知の遺伝子を同定するのには使用されていなかった。というのも、ポックスウイルスには高効率で高力価産生性のクローニング方法が存在しなかったからである。しかしながら、本発明者らは、三分子組み換えを用いて組み換えポックスウイルスにおいて多様なcDNAライブラリを作製するための方法を開発した。例えば、各々参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2004年3月16日付で発行されたZaudererの米国特許第6,706,477号(特許文献4)、および2010年12月28日付で発行されたZaudererらの米国特許第7,858,559号(特許文献5)を参照されたい。
三分子組み換えは、それ自体で、組み換えポックスウイルスを産生するための高効率で高力価産生性の方法である。より多量の組み換えウイルスを得るために三分子組み換えを用いるプロセスをさらに増強する必要性が依然としてある。
米国特許第7,858,559号 米国特許出願公開第2016-0152971号 米国仮特許出願第62/326,501号 米国特許第6,706,477号 米国特許第7,858,559号
Smith et al., Nature Medicine 7:967-972 (2001) Moss, B., Science 252:1662-7 (1991)
概要
本開示は、関心対象の複数のポリヌクレオチドを含むライブラリを構築する方法を提供する。本方法は、(a) 単離されたポックスウイルスゲノムを切断して第1のウイルス断片および第2のウイルス断片を産生する段階であって、第1の断片が第2の断片と非相同的である、段階; (b) 5'隣接領域および3'隣接領域に隣接している関心対象のポリヌクレオチドを各々が含むトランスファープラスミドの集団を提供する段階であって、5'隣接領域が第1のウイルス断片の3'末端と相同な領域を含み、3'隣接領域が第2のウイルス断片の5'末端と相同な領域を含み、かつトランスファープラスミドが、生存可能なポックスウイルスゲノムが形成されるように第1および第2のウイルス断片と相同組み換えすることができる、段階; (c) ポックスウイルス感染性を許容する哺乳動物宿主細胞にトランスファープラスミドならびに第1および第2のウイルス断片を導入する段階; (d) ポックスウイルスアセンブリ阻害剤を添加する段階; ならびに(e) トランスファープラスミドならびに第1および第2のウイルス断片に相同組み換えを起こさせ、それによって異種核酸を各々が含む生存可能な改変ポックスウイルスゲノムのライブラリを生成する段階を含む。特定の局面において、本方法は、(f) ライブラリを回収する段階をさらに含むことができる。特定の局面において、段階(c)は、哺乳動物宿主細胞にトランスファープラスミドならびに第1および第2のウイルス断片をトランスフェクションする段階を含むことができ、宿主細胞はトランスフェクション後に細胞培地中に維持される。
特定の局面において、ポックスウイルスアセンブリ阻害剤は、リファンピシン(リファンピン)またはその誘導体であることができる。特定の局面において、リファンピシンまたはその誘導体は、トランスフェクション後約6時間、約12時間、約18時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、約48時間、約54時間、または約60時間の時点で、トランスフェクションされた細胞を含む細胞培地に添加することができる。特定の局面において、リファンピシンまたはその誘導体は、約30 μg/ml、約40 μg/ml、約50 μg/ml、約60 μg/ml、約70 μg/ml、約80 μg/ml、約90 μg/ml、約100 μg/ml、約110 μg/ml、約120 μg/ml、または約130 μg/mlの濃度で細胞培地に添加される。特定の局面において、リファンピシンまたはその誘導体は、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間または約5日間、細胞培地にとどまるようにされる。特定の局面において、細胞培地は、リファンピシンまたはその誘導体での処理後に交換され、トランスフェクションされた宿主細胞は約1日間、約2日間、または約3日間、リファンピシンなしでさらに培養されることができる。
本明細書において提供される方法は、本方法、ただしポックスウイルスアセンブリ阻害剤の非存在下での本方法によって構築されたライブラリよりも増加した数の独立した改変ポックスウイルスゲノムを生じることができる。特定の局面において、独立した改変ポックスウイルスゲノムの数は、本方法、ただしポックスウイルスアセンブリ阻害剤の非存在下での本方法によって構築されたライブラリと比較して、少なくとも約1倍、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、または約30倍増加する。特定の局面において、ライブラリは、本方法、ただしポックスウイルスアセンブリ阻害剤の非存在下での本方法によって構築されたライブラリと比べて、増加したウイルス力価を含むことができる。
本明細書において提供される方法の特定の局面において、単離されたポックスウイルスゲノムは、第1の制限エンドヌクレアーゼの第1の認識部位および第2の制限エンドヌクレアーゼの第2の認識部位を含むことができる。この局面によれば、第1および第2のウイルス断片は、ウイルスゲノムを第1の制限エンドヌクレアーゼおよび第2の制限エンドヌクレアーゼで消化し、次いで第1および第2のウイルス断片を単離することによって産生することができる。特定の局面において、単離されたポックスウイルスゲノムは単離されたワクシニアウイルスゲノムである。特定の局面において、単離されたワクシニアウイルスゲノムは、WRゲノムもしくはその改変型誘導体、または改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)ゲノムもしくはその改変型誘導体であることができる。特定の局面において、第1および第2の制限酵素認識部位は、ワクシニアウイルスHindIII J断片中に位置することができる。特定の局面において、第1の制限酵素はNot Iであることができる。特定の局面において、第2の制限酵素部位はApa Iであることができる。特定の局面において、単離されたワクシニアウイルスゲノムはv7.5/tkウイルスゲノムまたはvEL/tkウイルスゲノムであることができる。特定の局面において、ヘルパーウイルスは鶏痘ウイルスであることができる。特定の局面において、トランスファープラスミドの5'隣接領域および3'隣接領域は、ワクシニアウイルスチミジンキナーゼ遺伝子と相同組み換えすることができる。特定の局面において、トランスファープラスミドの5'隣接領域および3'隣接領域は、ワクシニアウイルスHindIII J断片と相同組み換えすることができる。
本明細書において提供される方法の特定の局面において、各トランスファープラスミドは、限定はされるものではないが、pVHE、pVLE、および/またはpVKEのようなプラスミド中にライゲーションされた関心対象の挿入ポリヌクレオチドを含むことができる。特定の局面において、関心対象の各ポリヌクレオチドは、ワクシニアウイルス感染細胞中で発現することができる関心対象のポリペプチドのコード領域を含むことができる。特定の局面において、関心対象の各ポリヌクレオチドは、抗体重鎖可変領域もしくはその抗原結合断片、抗体軽鎖可変領域もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせを含む、抗体または抗体サブユニットポリペプチドをコードすることができる。特定の局面において、各抗体サブユニットポリペプチドは、定常領域もしくはその断片、抗体サブユニットポリペプチドの細胞表面発現もしくは分泌を指令することができるシグナルペプチド、またはそれらの組み合わせをさらに含むことができる。特定の局面において、各トランスファープラスミドは、関心対象のポリヌクレオチドと機能的に結合している転写制御領域をさらに含むことができ、転写制御領域はワクシニアウイルス感染細胞の細胞質中で機能する。特定の局面において、転写制御領域は、ポックスウイルスプロモーター、例えば、ワクシニアp7.5プロモーター、ワクシニアpELプロモーター、またはワクシニアMH-5プロモーターを含むことができる。
本明細書において提供される方法の特定の局面において、宿主細胞は、改変ワクシニアウイルスゲノムを感染性ワクシニアウイルス粒子へとパッケージングすることができる。この局面によれば、トランスファープラスミドならびに第1および第2のウイルス断片は、ヘルパーウイルスを含むかまたは含むように感染させた哺乳動物宿主細胞中に導入することができ、宿主細胞は、ヘルパーウイルスの感染性ウイルス粒子の産生を許容しないが、感染性ワクシニアウイルス粒子への改変ワクシニアウイルスゲノムのパッケージングを支持する。
詳細な説明
本開示は、真核生物系において関心対象の機能的ポリペプチド、例えば抗体もしくはその抗原結合断片、またはそのサブユニットのような結合性分子をコードするポリヌクレオチドのライブラリを生成する方法を提供し、このライブラリは既存の方法よりも改善した複雑性および多様性を含む。例えば、本開示は、関心対象のポリペプチド、例えば抗体もしくはその抗原結合断片、またはそのサブユニットのような結合性分子をコードし、発現することができるポリヌクレオチドの発現ライブラリを構築する方法を提供し、ここで関心対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、発現ライブラリから同定および単離することができ、ライブラリはポックスウイルスベクター、例えばワクシニアウイルスベクターにおいて構築され、ライブラリスクリーニングは真核生物宿主細胞、例えば哺乳動物宿主細胞において行われ、ならびに該方法は既存の方法よりも増大した複雑性および多様性のライブラリを提供する。
本開示は、三分子組み換えによって構築されたポックスウイルスベクター、例えばワクシニアウイルスベクターを用いる、真核生物宿主細胞での複雑なポリヌクレオチドライブラリの構築を提供する。ライブラリの複雑性および多様性は、ライブラリを構築している哺乳動物宿主細胞を、ポックスウイルス、例えばワクシニアウイルスの複製阻害剤、例えばリファンピシン(リファンピン)と、構築プロセス中のある期間接触させることによって、改善することができる。
定義
用語「1つの(a)」の実体または「1つの(an)」の実体は、その実体の1つまたは複数をいう; 例えば、「1つの抗体(an antibody )」は、1つまたは複数の抗体を表すと理解される。したがって、「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数の」および「少なくとも1つの」という用語は、本明細書において互換的に用いることができる。
さらに、「および/または」は、本明細書において用いられる場合、2つの指定された特徴または成分の各々を、他方とともにまたは他方を伴わずに明確に開示することと解釈されるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」のような句において用いられる「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(のみ)および「B」(のみ)を含むことが意図される。同様に、「A、Bおよび/またはC」のような句において用いられる「および/または」という用語は、以下の態様の各々を包含することが意図される: A、BおよびC; A、BまたはC; AまたはC; AまたはB; BまたはC; AおよびC; AおよびB; BおよびC; A (のみ); B (のみ); ならびにC (のみ)。
特に定義されない限り、本明細書において用いられる技術的および科学的用語は、本開示が関連する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press; The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press; およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、本開示において用いられる用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供する。
単位、接頭辞、および記号は国際単位系(SI)に認められている形式で表される。数の範囲は、その範囲を規定している数字を含む。特に定めのない限り、アミノ酸配列は左から右にアミノからカルボキシの向きに書かれる。本明細書において提供される見出しは、本明細書全体を参照することによって得ることができる本開示のさまざまな局面の限定ではない。したがって、すぐ下で定義される用語は、本明細書全体を参照することによってさらに完全に定義される。
本明細書において用いられる場合、用語「非天然」物質、組成物、実体、および/または物質、組成物、もしくは実体の任意の組み合わせ、あるいはその任意の文法的変形体は、当業者により「天然(に存在する)」と十分に理解される、あるいはいかなる時も裁判官または行政機関もしくは裁判機関により「天然(に存在する)」と判断もしくは解釈される、または判断もしくは解釈されうる物質、組成物、実体、および/または物質、組成物、もしくは実体の任意の組み合わせのそれらの形態を明示的に除外するが、しかし除外するだけである、条件付きの用語である。
本明細書において用いられる場合、「ポリペプチド」という用語は、単数の「ポリペプチド」および複数の「ポリペプチド」を包含することが意図され、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって直線的に連結された単量体(アミノ酸)から構成される分子をいう。「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸からなる任意の1つまたは複数の鎖をいい、特定の長さの産物をいうのではない。したがって、「ポリペプチド」の定義には、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、または2つ以上のアミノ酸からなる1つもしくは複数の鎖をいうように用いられる任意の他の用語が含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語の代わりに、またはこれらの用語のいずれかと互換的に用いることができる。「ポリペプチド」という用語はまた、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、および既知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解的切断、または非天然アミノ酸による修飾を非限定的に含む、ポリペプチドの発現後修飾の産物をいうことが意図される。ポリペプチドは、生物学的供給源に由来するかまたは組み換え技術によって産生されることができるが、必ずしも指定の核酸配列から翻訳される必要はない。それは、化学合成を含めて、任意の方法で作製することができる。
本明細書において開示されるポリペプチドは、約3アミノ酸以上、5アミノ酸以上、10アミノ酸以上、20アミノ酸以上、25アミノ酸以上、50アミノ酸以上、75アミノ酸以上、100アミノ酸以上、200アミノ酸以上、500アミノ酸以上、1,000アミノ酸以上または2,000アミノ酸以上のサイズのものであることができる。ポリペプチドは、規定された三次元構造を有することができるが、必ずしもそのような構造を有する必要はない。規定された三次元構造を有するポリペプチドは、折り畳まれているといわれ、規定された三次元構造を保有するのではなく、むしろ多数の異なる高次構造をとることができるポリペプチドは、折り畳まれていないといわれる。本明細書において用いられる場合、糖タンパク質という用語は、少なくとも1つの糖部分と結合しているタンパク質をいい、糖部分はそのタンパク質に、アミノ酸、例えばセリンまたはアスパラギンの酸素含有側鎖または窒素含有側鎖を介して付着されている。
「単離された」ポリペプチドまたはその断片、変種または誘導体とは、その自然環境にないポリペプチドを意図する。特定の精製レベルは必要とされない。例えば、単離されたポリペプチドは、その天然環境または自然環境から取り出すことができる。組み換えにより産生されたポリペプチドおよび宿主細胞中で発現されたタンパク質は、任意の適当な技法によって分離された、分画された、または部分的もしくは実質的に精製された天然ポリペプチドまたは組み換えポリペプチドと同様に、本明細書において開示されるように単離されたとみなされる。
本明細書において用いられる場合、用語「非天然」ポリペプチドまたはその任意の文法的変形体は、当業者により「天然(に存在する)」と十分に理解される、あるいはいかなる時も裁判官または行政機関もしくは裁判機関により「天然(に存在する)」と判断もしくは解釈される、または判断もしくは解釈されうるポリペプチドのそれらの形態を明示的に除外するが、しかし除外するだけである、条件付きの用語である。
本明細書において開示される他のポリペプチドは、前述のポリペプチドの断片、誘導体、類似体または変種、およびそれらの任意の組み合わせである。本明細書において開示される「断片」、「変種」、「誘導体」および「類似体」という用語は、例えば、抗原に特異的に結合する、対応する天然抗体またはポリペプチドの少なくともいくつかの特性を保持する任意のポリペプチドを含む。ポリペプチドの断片には、例えば、本明細書の他の箇所で論じられている特定の抗体断片に加えて、タンパク質分解断片および欠失断片が含まれる。例えばポリペプチドの変種は、上記のような断片、およびアミノ酸の置換、欠失または挿入によって改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドも含む。特定の局面において、変種は非天然に存在することができる。非天然に存在する変種は、当技術分野で公知の突然変異誘発技法を用いて産生することができる。変種ポリペプチドは、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失または付加を含むことができる。誘導体は、元のポリペプチドには見られない追加の特徴を示すように改変されたポリペプチドである。例としては融合タンパク質が挙げられる。変種ポリペプチドはまた、本明細書において「ポリペプチド類似体」ということができる。本明細書において用いられる場合、ポリペプチドの「誘導体」は、官能側基の反応によって化学的に誘導体化された1つまたは複数のアミノ酸を有する対象ポリペプチドをいうこともできる。「誘導体」としては、20種類の標準アミノ酸の1つまたは複数の誘導体を含有するペプチドも含まれる。例えば、プロリンの代わりに4-ヒドロキシプロリンを用いることができ、リジンの代わりに5-ヒドロキシリジンを用いることができ、ヒスチジンの代わりに3-メチルヒスチジンを用いることができ、セリンの代わりにホモセリンを用いることができ、およびリジンの代わりにオルニチンを用いることができる。
「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸が、類似の側鎖を有する別のアミノ酸で置換されているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸のファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含めて、当技術分野において定義されている。例えば、フェニルアラニンのチロシンへの置換は保存的置換である。特定の態様において、本開示のポリペプチドおよび抗体の配列における保存的置換は、結合性分子、例えば免疫グロブリンまたは抗体が結合する抗原への、アミノ酸配列を含有するポリペプチドまたは抗体の結合を抑止しない。抗原結合を消滅させないヌクレオチドおよびアミノ酸保存的置換を同定する方法は、当技術分野において周知である(例えば、Brummell et al., Biochem. 32: 1180-1 187 (1993); Kobayashi et al., Protein Eng. 12(10):879-884 (1999); およびBurks et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:.412-417 (1997)を参照のこと)。
「ポリヌクレオチド」という用語は、単数の核酸および複数の核酸を包含することが意図され、単離された核酸分子または構築物、例えば、メッセンジャーRNA (mRNA)、cDNAまたはプラスミドDNA (pDNA)をいう。ポリヌクレオチドは、従来的なホスホジエステル結合または非従来的な結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)に見られるような、アミド結合)を含むことができる。「核酸」または「核酸配列」という用語は、ポリヌクレオチド中に存在する任意の1つまたは複数の核酸セグメント、例えば、DNAまたはRNA断片をいう。
「単離された」核酸またはポリヌクレオチドとは、その天然の環境から分離された核酸またはポリヌクレオチドの任意の形態を意図する。例えば、ゲル精製されたポリヌクレオチド、またはベクターに含まれるポリペプチドをコードする組み換えポリヌクレオチドは、「単離されて」いると考えられる。また、クローニングのための制限部位を有するように操作されたポリヌクレオチドセグメント、例えばPCR産物は、「単離されて」いると考えられる。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例としては、異種宿主細胞中に維持された組み換えポリヌクレオチド、または緩衝液もしくは生理食塩水のような非天然溶液中の(部分的にもしくは実質的に)精製されたポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたRNA分子には、ポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロRNA転写産物が含まれ、ここで転写産物は自然界に見出されるものではない。単離されたポリヌクレオチドまたは核酸は、合成的に産生されたそのような分子をさらに含む。さらに、ポリヌクレオチドまたは核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位もしくは転写ターミネーターのような調節エレメントであってもよく、またはそれらを含んでもよい。
本明細書において用いられる場合、「非天然」ポリヌクレオチドまたはその任意の文法的変形体は、当業者により「天然(に存在する)」と十分に理解される、あるいはいかなる時も裁判官または行政機関もしくは裁判機関により「天然(に存在する)」と判断もしくは解釈される、または判断もしくは解釈されうるポリヌクレオチドのそれらの形態を明示的に除外するが、しかし除外するだけである、条件付きの定義である。
本明細書において用いられる場合、「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部分である。「終止コドン」(TAG、TGAまたはTAA)はアミノ酸に翻訳されないとはいえ、コード領域の一部であるとみなすことができるが、しかし任意の隣接配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどは、コード領域の一部ではない。2つ以上のコード領域が、単一のポリヌクレオチド構築物中に、例えば単一のベクター上に、または別個のポリヌクレオチド構築物中に、例えば別個の(異なる)ベクター上に存在することができる。さらに、任意のベクターが単一のコード領域を含有することができ、または2つ以上のコード領域を含むことができ、例えば、単一のベクターが抗体重鎖可変領域および抗体軽鎖可変領域を別々にコードすることができる。さらに、ベクター、ポリヌクレオチドまたは核酸は、別のコード領域に融合されているかまたは融合されていない、異種コード領域を含むことができる。異種コード領域は、分泌シグナルペプチドまたは異種機能ドメインのような、特殊なエレメントまたはモチーフをコードするものを非限定的に含む。
特定の態様において、ポリヌクレオチドまたは核酸はDNAである。DNAの場合、ポリペプチドをコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、通常、1つまたは複数のコード領域に機能的に結合されたプロモーターおよび/または他の転写もしくは翻訳制御エレメントを含むことができる。機能的な結合は、遺伝子産物、例えばポリペプチドのコード領域が、遺伝子産物の発現を調節配列の影響下または制御下に配するように1つまたは複数の調節配列と結合している場合である。プロモーター機能の誘導が所望の遺伝子産物をコードするmRNAの転写をもたらす場合、および2つのDNA断片間の連結の性質が遺伝子産物の発現を指令する発現調節配列の能力を妨害しないか、または転写されるDNA鋳型の能力を妨害しない場合、2つのDNA断片(例えば、ポリペプチドコード領域およびそれに結合したプロモーター)は「機能的に結合して」いる。したがって、プロモーター領域はポリペプチドをコードする核酸と、プロモーターがその核酸の転写をもたらすことができたなら、機能的に結合されている。プロモーターは、所定の細胞においてDNAの実質的な転写を指令する細胞特異的プロモーターであることができる。プロモーターの他に、他の転写制御エレメント、例えばエンハンサー、オペレーター、リプレッサーおよび転写終結シグナルをポリヌクレオチドと機能的に結合させて、細胞特異的な転写を指令することができる。
種々の転写制御領域が当業者に公知である。これらには、限定されるものではないが、サイトメガロウイルス(イントロン-Aと組み合わせた、前初期プロモーター)、シミアンウイルス40 (初期プロモーター)およびレトロウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス)由来のプロモーターおよびエンハンサーセグメントのような、脊椎動物細胞において機能する転写制御領域が非限定的に含まれる。他の転写制御領域には、アクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβ-グロビンのような脊椎動物遺伝子に由来するもの、ならびに真核細胞における遺伝子発現を制御することができる他の配列が含まれる。さらなる適当な転写制御領域には、組織特異的プロモーターおよびエンハンサー、ならびにリンホカイン誘導性プロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンによって誘導可能なプロモーター)が含まれる。特定の局面において、転写制御領域は、本明細書の他の箇所でより詳細に論じられている、ポックスウイルス、例えばワクシニアウイルス転写制御領域であることができる。
同様に、種々の翻訳制御エレメントが当業者に公知である。これらには、リボソーム結合部位、翻訳開始コドンおよび終結コドン、ならびにピコルナウイルスに由来するエレメント(特に、内部リボソーム進入部位すなわちIRES、CITE配列ともいわれる)が含まれるが、これらに限定されることはない。
他の態様において、ポリヌクレオチドは、例えばメッセンジャーRNA (mRNA)、転移RNAまたはリボソームRNAの形態の、RNAであることができる。
ポリヌクレオチドおよび核酸コード領域は、本明細書において開示されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの分泌を指令する分泌ペプチドまたはシグナルペプチドをコードするさらなるコード領域と結合されうる。シグナル仮説によれば、哺乳動物細胞によって分泌されるタンパク質は、粗面小胞体を横切る伸長タンパク質鎖の輸送が開始されると成熟タンパク質から切断される、シグナルペプチドまたは分泌リーダー配列を有する。当業者は、脊椎動物細胞によって分泌されるポリペプチドが、ポリペプチドのN末端に融合されたシグナルペプチドを有することができ、これが完全または「全長」ポリペプチドから切断されて、分泌型または「成熟」型のポリペプチドを産生することを承知している。特定の態様において、天然シグナルペプチド、例えば、抗体重鎖または軽鎖シグナルペプチド、または配列に機能的に結合されているポリペプチドの分泌を指令する能力を保持するその配列の機能的誘導体が用いられる。あるいは、異種哺乳動物シグナルペプチドまたはその機能的誘導体を用いることができる。例えば、野生型リーダー配列を、ヒト組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ-グルクロニダーゼのリーダー配列で置換することができる。
本明細書において用いられる場合、2つのポリヌクレオチド領域は、それらが宿主細胞、例えば真核生物宿主細胞または哺乳動物宿主細胞において相同組み換えを起こすことができる場合、「相同」であると見なされる。相同組み換えは、ヌクレオチド配列が2つの類似または同一DNA分子間で交換される一種の遺伝子組み換えである。一般に、相同組み換えは、2本の単一ポリヌクレオチド鎖、例えば、二本鎖DNAの突出末端が、相補的塩基対合によって互いにアニーリングしうる場合に起こりうる。鎖は100%相補的である必要はない; さらに、一本鎖領域は特に長い必要はない。相同組み換えの多くの機構および機能は、分子生物学の分野の当業者によってよく理解されている。
本明細書において用いられる場合、「ライブラリ」とは、ポリヌクレオチドの代表的な属、例えば、単一の動物種、組織型、器官、または細胞型に由来するその起源を通して関連したポリヌクレオチドの群であり、ここでライブラリは、ポリヌクレオチドの所与の属のなかに少なくとも2つの異なる種を集合的に含む。ポリヌクレオチドのライブラリは、例えば、ポリヌクレオチドの所与の属のなかに少なくとも2個、少なくとも5個、少なくとも10個、100個、103個、104個、105個、106個、107個、108個、または109個の異なる種を含むことができる。特定の局面において、本明細書において提供されるポリヌクレオチドのライブラリは、関心対象のポリペプチドを含む複数のポリペプチドをコードすることができる。特定の局面において、本明細書において提供されるポリヌクレオチドのライブラリは、複数の抗体サブユニットポリペプチド、例えば、重鎖サブユニットポリペプチドまたは軽鎖サブユニットポリペプチドをコードすることができる。これに関連して、本明細書において提供される「ライブラリ」は、共通の属のポリヌクレオチドを含み、この属は特定のタイプおよびクラスの抗体サブユニットポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり、例えば、ライブラリはヒトμ、γ-1、γ-2、γ-3、γ-4、α-1、α-2、ε、もしくはδ重鎖、またはヒトκもしくはλ軽鎖をコードしうる。本明細書において提供される方法にしたがって構築された任意の1つのライブラリの各成員は同じ重鎖または軽鎖定常領域および/または膜係留ドメインをコードすることができるが、ライブラリは、共通の定常領域と結合した少なくとも2個、少なくとも5個、または少なくとも10個、100個、103個、104個、105個、106個、107個、108個、もしくは109個の異なる可変領域を集合的に含むことができる。
本明細書において提供されるライブラリは、ポックスウイルスベクター、例えばワクシニアウイルスベクターにおいて構築され、したがって、関心対象のポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを各々が含む複数の改変ポックスウイルスゲノムを含む。本明細書において提供されるライブラリの「複雑性」または「多様性」は、ライブラリ内に含まれる異なる独立した改変ポックスウイルスゲノムの数をいう。したがって、改変ポックスウイルスゲノムのライブラリは、同数の総ポックスウイルスゲノムを有する別のライブラリよりも高い複雑性を有するということができ、ここでより複雑なライブラリは、総ポックスウイルスゲノム当たりより多数の独立した改変ポックスウイルスゲノムを含む。
特定の局面において、ライブラリは、軽鎖可変領域もしくは重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域と重鎖可変領域の両方のような可変領域を各々が含む複数の抗体一本鎖断片、例えば、ScFv断片をコードすることができる。
本開示は、関心対象のポリペプチド、例えば、抗体サブユニットまたはその断片を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのライブラリを構築する方法を提供する。さらに、本開示は、関心対象のポリペプチドのライブラリ、例えば、本明細書において記述される方法によりワクシニアウイルス発現ベクターにおいて構築された抗体サブユニットまたはその断片を含むポリペプチドのライブラリを提供する。
「レシピエント細胞」または「宿主細胞」または「細胞」とは、本明細書において提供されるポリヌクレオチドライブラリを構築および/または増殖させることができる細胞または細胞集団を意味する。本明細書において提供される宿主細胞は、典型的には、真核細胞または真核細胞株、例えば脊椎動物、哺乳動物、げっ歯類、マウス、霊長類、またはヒトの細胞または細胞株である。「宿主細胞の集団」とは、本明細書において提供される「ライブラリ」を構築、増殖、および/または発現させることができる培養細胞の群を意味する。ワクシニアウイルス感染性を許容する任意の宿主細胞が、本開示によって提供される方法に適している。本明細書において提供される方法において用いるための宿主細胞は、接着性であることができ、例えば、固体基材に付着して増殖する宿主細胞であることができ、あるいは、宿主細胞は浮遊状態であることができる。
本明細書において提供される宿主細胞は、タンパク質、例えば、本明細書において提供される方法によって構築されたライブラリによって発現される関心対象のタンパク質、例えば、抗体サブユニットポリペプチドを含むポリペプチドのライブラリによって発現される関心対象のタンパク質が、細胞の内部から分泌され、細胞膜表面上に発現されるかまたは可溶性ポリペプチドとして完全に分泌される、構成的分泌経路を含むことができる。特定の局面において、細胞膜表面上に発現される関心対象のタンパク質は、宿主細胞によって産生されるエンベロープウイルス、例えば細胞外エンベロープワクシニアウイルス、すなわちEEVの表面上に発現される。膜結合型の抗体サブユニットポリペプチドは、最初は完全分泌型と同じ経路をたどり、ER内腔を通過するが、それらは1つまたは複数の輸送停止シグナルまたは「膜貫通ドメイン」の存在によってER膜に保持される。膜貫通ドメインは、膜を横断するときにアルファ-へリックス高次構造をとる約20アミノ酸の疎水性ストレッチである。膜に埋め込まれたタンパク質は、原形質膜のリン脂質二重層に係留されている。関心対象の膜貫通型のポリペプチド、例えば、膜係留型抗体重鎖ポリペプチドは、典型的には、完全分泌型と同様にアミノ末端シグナルペプチドを利用する。
シグナルペプチド、膜貫通ドメイン、およびサイトゾルドメインは、多種多様な膜結合型および/または完全分泌型タンパク質について知られている。
適当な膜貫通ドメインは、ワクシニアウイルスEEV特異的HAタンパク質A56R、またはEEV特異的ワクシニアウイルス膜貫通タンパク質A33R、A34R、A36R、もしくはB5Rを含むことができるが、これらに限定されることはない。例えば、2013年10月31日付で公開された米国特許出願公開第2013/0288927号を参照されたい。特定の局面において、EEV特異的タンパク質はパルミトイル化を介してウイルスエンベロープ、例えばワクシニアウイルスタンパク質F13Lに係留されることができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2016年4月22日付で出願された米国特許仮出願第62/326,501号を参照されたい。
本明細書において用いられる場合、「結合性分子」という用語はその最も広い意味において、受容体、例えば、エピトープまたは抗原決定基に特異的に結合する分子をいう。本明細書においてさらに記述されるように、結合性分子は、本明細書において記述される1つまたは複数の「抗原結合ドメイン」を含むことができる。結合性分子の非限定的な例は、抗体または抗原特異的結合性を保持するその抗原結合断片である。
「結合ドメイン」および「抗原結合ドメイン」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、エピトープに特異的に結合するのに必要かつ十分な結合性分子の領域をいう。例えば「Fv」、例えば、抗体の可変重鎖および可変軽鎖は、2つの別個のポリペプチドサブユニットとしてまたは単一鎖として、「結合ドメイン」であると考えられる。
他の抗原結合ドメインには、非限定的に、ラクダ科の動物種に由来する抗体の可変重鎖(VHH) (例えば、Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993)を参照のこと)、またはフィブロネクチンスキャフォールドで発現される6つの抗体相補性決定領域(CDR)が含まれる。本明細書において記述される「結合性分子」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個またはそれ以上の「抗原結合ドメイン」を含むことができる。
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、本明細書において互換的に用いることができる。抗体(または本明細書において開示されるその断片、変種もしくは誘導体)は少なくとも重鎖可変領域(ラクダ科の動物種の場合)または少なくとも重鎖および軽鎖の可変領域を含む。脊椎動物系における基本的な抗体構造は、比較的よく理解されている。例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988)を参照のこと。特に指定のない限り、「抗体」という用語は、抗体の小さな抗原結合断片から完全サイズの抗体、例えば、2本の完全な重鎖および2本の完全な軽鎖を含むIgG抗体、4本の完全な重鎖および4本の完全な軽鎖を含み、かつJ鎖および/もしくは分泌成分を含むことができるIgA抗体、または10本もしくは12本の完全な重鎖および10本もしくは12本の完全な軽鎖を含み、かつJ鎖を含むことができるIgM抗体に及ぶいかなるものも包含する。
「免疫グロブリン」および「抗体」という用語は、生化学的に区別することができる種々の広範なクラスのポリペプチドを含む。当業者は、重鎖がガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)として分類され、その中にいくつかのサブクラス(例えば、γ1〜γ4 またはα1〜α2)があることを認識するであろう。抗体の「クラス」をそれぞれIgG、IgM、IgA IgGまたはIgEとして決定するのがこの鎖の性質である。抗体サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2などは、十分に特徴付けられており、機能的特殊化を付与することが知られている。これらのクラスおよびアイソタイプの各々の改変型は、本開示を考慮して当業者に容易に認識され、したがって、本開示の範囲内である。
軽鎖はカッパまたはラムダ(κ、λ)のいずれかに分類される。各重鎖クラスは、カッパまたはラムダ軽鎖のいずれかと結合することができる。一般に、軽鎖および重鎖は互いに共有結合しており、抗体が、ハイブリドーマ、B細胞、または遺伝子操作された宿主細胞のいずれかによって作製される場合、2本の重鎖の「尾部」部分が共有ジスルフィド結合または非共有結合によって互いに結合される。重鎖において、アミノ酸配列は、Y配置のフォーク端のN末端から各鎖の下部のC末端まで伸びる。特定の抗体、例えば、IgG抗体の基本構造は、ジスルフィド結合を介して共有結合した2つの重鎖サブユニットおよび2つの軽鎖サブユニットを含んで、本明細書において「H2L2」構造ともいわれる「Y」構造を形成する。
「エピトープ」という用語は、抗体への特異的結合が可能な任意の分子決定基を含む。特定の局面において、エピトープは、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニルのような分子の化学的に活性な表面基(surface grouping)を含むことができ、特定の局面において、三次元構造特性、およびまたは特定の電荷特性を有することができる。エピトープは、抗体によって結合される標的の領域である。
「多特異的結合性分子もしくは抗体」または「二重特異性結合性分子もしくは抗体」とは、同一または異なる標的上の2つ以上の異なるエピトープに特異的に結合する能力を有する結合性分子、抗体またはその抗原結合断片をいう。「単一特異性」は、1つのエピトープにのみ結合する能力をいう。
「標的」という用語はその最も広い意味で、結合性分子によって結合されうる物質を含むように用いられる。標的は、例えば、ポリペプチド、核酸、糖質、脂質、または他の分子であることができる。さらに、「標的」は、例えば、結合性分子によって結合されうるエピトープを含む細胞、臓器または生物であることができる。
軽鎖と重鎖の両方が、構造的および機能的相同性の領域に分割される。「定常」および「可変」という用語は、機能的に用いられる。これに関して、可変軽鎖(VL)部分および可変重鎖(VH)部分の両方の可変領域(本明細書において「可変ドメイン」と互換的に呼ばれ得る)が抗原認識および特異性を決定することが理解されよう。逆に、軽鎖の定常ドメイン(CL)および重鎖の定常ドメイン(例えば、CH1、CH2、またはCH3)は、分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合、補体結合などのような生物学的特性を付与する。慣例により、定常領域ドメインの付番は、それらが抗体の抗原結合部位またはアミノ末端から遠位になるにつれて増加する。N末端部分は可変領域であり、C末端部分は定常領域であり、CH3(またはIgMの場合はCH4)およびCLドメインはそれぞれ重鎖および軽鎖のカルボキシ末端にある。
典型的な抗体抗原結合ドメインに存在する6つの「相補性決定領域」または「CDR」は、抗体が水性環境においてその3次元配置をとる場合に抗原結合ドメインを形成するように特異的に配置される短い不連続的なアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域といわれる、抗原結合ドメイン中のアミノ酸残部は、さらに低い分子間変動性を示す。フレームワーク領域は主にβシート高次構造をとり、CDRがループを形成し、これがβシート構造をつなぎ、場合によってはβシート構造の一部を形成する。したがって、フレームワーク領域は、鎖間の非共有結合性相互作用によってCDRを正しい向きに位置付けるスキャフォールドを形成するように作用する。配置されたCDRによって形成される抗原結合ドメインは、免疫反応性抗原上のエピトープに相補的な表面を規定する。この相補的表面は、その同族エピトープに対する抗体の非共有結合を促進する。CDRおよびフレームワーク領域をそれぞれ構成するアミノ酸は、さまざまな異なる方法で定義されているため、当業者により、任意の所与の重鎖または軽鎖可変領域について容易に同定されうる(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」, Kabat, E., et al., U.S. Department of Health and Human Services, (1983); およびChothia and Lesk, J. Mol. Biol., 196:901-917 (1987)を参照されたい)。
特定の抗体分子はまた、エフェクタ分子の結合によって媒介されるエフェクタ機能を有することができる。例えば、補体のC1成分の抗体への結合は補体系を活性化する。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン作用および溶解において重要である。補体の活性化は炎症応答も刺激し、自己免疫過敏症にも関与しうる。さらに、特定の抗体は、細胞上のFc受容体(FcR)に結合する抗体Fc領域のFc領域を介して細胞に結合することができる。IgG (ガンマ受容体)、IgE (エータ受容体)、IgA (アルファ受容体)およびIgM (ミュー受容体)を含むがこれらに限定されない、異なるクラスの抗体に特異的ないくつかのFc受容体がある。細胞表面上のFc受容体への抗体の結合は、非限定的に、抗体被覆粒子の貪食および破壊、免疫複合体の排除、キラー細胞による抗体被覆標的細胞の溶解(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害もしくはADCCと呼ばれる)、炎症メディエータの放出、胎盤通過、および/または抗体産生の制御を含む、いくつかの重要かつ多様な生物学的応答を引き起こすことができる。
当技術分野のなかで使用されかつ/または許容されている用語の定義が2つ以上ある場合、本明細書において用いられる用語の定義は、明示的に反対の記載がない限り、そのような意味の全てを含むことが意図される。具体例は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される不連続的な抗原結合部位を記述するための「相補性決定領域」(「CDR」)という用語の使用である。これらの特定の領域は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services, 「Sequences of Proteins of Immunological Interest」(1983)により、およびChothia et al., J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)により記述されている。KabatおよびChothiaの定義には、互いに比較した場合にアミノ酸の重複またはサブセットが含まれる。しかしながら、抗体またはその変種のCDRをいうためのいずれかの定義(または当業者に公知の他の定義)の適用は、別段の指示がない限り、本明細書において定義および使用される用語の範囲内にあることが意図される。上記の参考文献の各々によって定義されるようなCDRを包含する適切なアミノ酸は、以下の表1に比較として記載される。特定のCDRを包含する正確なアミノ酸番号は、CDRの配列およびサイズに依って変化するであろう。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列を考えてどのアミノ酸が特定のCDRを構成するかを日常的に決定することができる。
(表1)CDRの定義
Figure 2019524126
表1中の全てのCDRの定義の付番は、Kabatらにより記載された付番の規則によるものである(下記参照)。
CDRを含む可変領域セグメントを同定するために、例えば、IMGT情報システム(www://imgt.cines.fr/) (IMGT(登録商標)/V-Quest)を用いて、抗体可変ドメインを分析することもできる(例えば、Brochet et al., Nucl. Acids Res., 36:W503-508, 2008を参照されたい)。
Kabatらはまた、任意の抗体に適用可能な可変ドメイン配列の付番システムを定義した。当業者は、配列それ自体を超えたいずれの実験データにも依らず、この「Kabat付番」システムを任意の可変ドメイン配列に明確に割り当てることができる。本明細書において用いられる場合、「Kabat付番」とは、Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services, 「Sequence of Proteins of Immunological Interest」(1983)により記載されている付番システムをいう。しかしながら、Kabat付番システムの使用が明示されていない限り、本開示では全てのアミノ酸配列に連続付番が用いられる。
結合性分子、例えば、抗体またはその抗原結合断片、変種、もしくは誘導体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、一本鎖抗体、エピトープ結合断片、例えばFab、Fab'およびF(ab')2、Fd、Fv、一本鎖Fv (scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv (sdFv)、ラクダ科VHH抗体のような単一ドメイン抗体、VLドメインまたはVHドメインのいずれかを含む断片、Fab発現ライブラリによって産生された断片を含むが、これらに限定されることはない。ScFv分子は当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,892,019号に記述されている。本開示により包含される免疫グロブリンまたは抗体分子は、抗体分子の任意のタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、またはサブクラスのものであることができる。二価であり、免疫グロブリン新規抗原受容体(IgNAR)可変ドメイン(VNAR)を含む一本鎖を含む、IgNARアイソタイプ(例えば、サメ由来)も企図される(Walsh et al., Virology 411:132-141, 2011を参照のこと)。
「特異的に結合する」とは、一般に、結合性分子、例えば抗体またはその断片、変種もしくは誘導体が、その抗原結合ドメインを介してエピトープに結合すること、およびその結合には抗原結合ドメインとエピトープとの間にいくらかの相補性を伴うことを意味する。この定義によれば、結合性分子は、その抗原結合ドメインを介して、無作為な関連のないエピトープに結合するよりも容易にあるエピトープに結合する場合に、そのエピトープに「特異的に結合する」といわれる。「特異性」という用語は本明細書において、特定の結合性分子が特定のエピトープに結合する相対的親和性を記述するために用いられる。例えば、結合性分子「A」は、結合性分子「B」よりも所与のエピトープに対して高い特異性を有するとみなすことができ、または結合性分子「A」は、関連するエピトープ「D」に対して有するよりも高い特異性でエピトープ「C」に結合するということができる。
本明細書において開示される結合性分子、例えば、抗体またはその断片、変種もしくは誘導体は、5×10-2-1、10-2-1、5×10-3-1、10-3-1、5×10-4-1、10-4-1、5×10-5-1または10-5-1 5×10-6-1、10-6-1、5×10-7-1または10-7-1以下の解離速度(k(off))で標的抗原に結合するということができる。
本明細書において開示される結合性分子、例えば、抗体またはその抗原結合断片、変種または誘導体は、103 M-1-1、5×103 M-1-1、104 M-1-1、5×104 M-1-1、105 M-1-1、5×105 M-1-1、106 M-1-1または5×106 M-1-1または107 M-1-1以上の結合速度(k(on))で標的抗原に結合するということができる。
結合性分子、例えば、抗体またはその断片、変種もしくは誘導体は、所与のエピトープへの参照抗体または抗原結合断片の結合をある程度遮断する範囲内でそのエピトープに選択的に結合する場合に、そのエピトープへの参照抗体または抗原結合断片の結合を競合的に阻害するといわれる。競合的阻害は、当技術分野において公知の任意の方法、例えば競合ELISAアッセイ法によって判定することができる。結合性分子は、所与のエピトープへの参照抗体または抗原結合断片の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%、競合的に阻害するということができる。
本明細書において用いられる場合、「親和性」という用語は、例えば抗体分子の、1つまたは複数の抗原結合ドメインとの個々のエピトープの結合強度の尺度をいう。例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988) 27〜28頁を参照されたい。本明細書において用いられる場合、「結合活性」という用語は、抗原結合ドメインの集団と抗原との間の複合体の全体的な安定性をいう。例えば、Harlow 29〜34頁を参照されたい。結合活性は、集団における個々の抗原結合ドメインと特定のエピトープとの親和性、および抗原と抗体との結合価の両方に関連する。例えば、二価モノクローナル抗体と、重合体のような、高度に反復性のエピトープ構造を有する抗原との間の相互作用は、高い結合活性の1つであろう。細胞表面上に高い密度で存在する受容体と二価モノクローナル抗体との間の相互作用も、高い結合活性のものであろう。
本明細書において開示される結合性分子またはその抗原結合断片、変種もしくは誘導体はまた、その交差反応性に関して記述または特定することができる。本明細書において用いられる場合、「交差反応性」という用語は、ある抗原に特異的な、結合性分子、例えば抗体またはその断片、変種もしくは誘導体が第2の抗原と反応する能力; 2つの異なる抗原性物質間の関連性の尺度をいう。したがって、結合性分子は、その形成を誘導したエピトープ以外のエピトープに結合する場合、交差反応性である。交差反応性エピトープは一般に、誘導性エピトープと同じ多くの相補的な構造特性を含み、いくつかの場合においては、実際には元のものよりも良好に適合することができる。
結合性分子、例えば、抗体またはその断片、変種もしくは誘導体は、抗原に対するその結合親和性に関して記述または特定することもできる。例えば、結合性分子は、5×10-2 M、10-2 M、5×10-3 M、10-3 M、5×10-4 M、10-4 M、5×10-5 M、10-5 M、5×10-6 M、10-6 M、5×10-7 M、10-7 M、5×10-8 M、10-8 M、5×10-9 M、10-9 M、5×10-10 M、10-10 M、5×10-11 M、10-11 M、5×10-12 M、10-12 M、5×10-13 M、10-13 M、5×10-14 M、10-14 M、5×10-15 Mまたは10-15 M以下の解離定数またはKDで抗原に結合することができる。
一本鎖抗体または他の抗原結合ドメインを含む抗体断片は、単独で、またはヒンジ領域、CH1、CH2、CH3もしくはCH4ドメイン、J鎖、または分泌成分のうちの1つまたは複数との組み合わせで存在することができる。ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3もしくはCH4ドメイン、J鎖、または分泌成分のうちの1つまたは複数と可変領域との任意の組み合わせを含みうる抗原結合断片も含まれる。結合性分子、例えば抗体、またはその抗原結合断片は、鳥類および哺乳類を含む任意の動物由来であることができる。抗体は、ヒト、マウス、ロバ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ラマ、ウマ、またはニワトリの抗体であることができる。別の態様において、可変領域は、起源が軟骨魚類(例えば、サメ由来)であることができる。本明細書において用いられる場合、「ヒト」抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列を有する抗体を含み、以下におよび例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記述されるように、ヒト抗体ライブラリから単離された抗体、または1つもしくは複数のヒト抗体についてトランスジェニックな、かつ場合によっては内因性免疫グロブリンを発現でき、一部のものでは発現できない、動物から単離された抗体を含む。
本明細書において用いられる場合、「重鎖サブユニット」または「重鎖ドメイン」という用語は、抗体重鎖に由来するアミノ酸配列を含み、結合性分子、例えば、重鎖サブユニットを含む抗体は、VHドメイン、CH1ドメイン、ヒンジ(例えば、上方、中央および/または下方のヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH4ドメイン、またはその変種もしくは断片の少なくとも1つを含むことができる。
結合性分子、例えば抗体またはその断片の重鎖サブユニットは、異なる抗体分子に由来するドメインを含むことができる。例えば、ポリペプチドの重鎖サブユニットは、IgG1分子に由来するCH1ドメインおよびIgG3分子に由来するヒンジ領域を含むことができる。別の例では、重鎖サブユニットは、部分的にはIgG1分子に由来し、部分的にはIgG3分子に由来するヒンジ領域を含むことができる。別の例では、重鎖サブユニットは、部分的にはIgG1分子に由来し、部分的にはIgG4分子に由来するキメラヒンジを含むことができる。
本明細書において用いられる場合、「軽鎖サブユニット」または「軽鎖ドメイン」という用語は、抗体軽鎖に由来するアミノ酸配列を含む。軽鎖サブユニットは、VLまたはCL (例えば、CκもしくはCλ)ドメインの少なくとも1つを含む。
結合性分子、例えば抗体またはその抗原結合断片、変種、もしくは誘導体は、それらが認識または特異的に結合する抗原のエピトープまたは部分に関して記述または特定することができる。抗体の抗原結合ドメインと特異的に相互作用する標的抗原の部分は、「エピトープ」または「抗原決定基」である。標的抗原は、単一のエピトープまたは少なくとも2つのエピトープを含むことができ、抗原のサイズ、高次構造およびタイプに依って、任意の数のエピトープを含むことができる。
本明細書において用いられる場合、「キメラ抗体」という用語は、免疫反応性領域または部位が第1の種から得られるかまたは第1の種に由来し、かつ定常領域(これはインタクトであっても、部分的であってもまたは改変されていてもよい)が第2の種から得られる抗体をいう。いくつかの態様において、標的結合領域または部位は、非ヒト供給源(例えばマウスまたは霊長類)由来であり、定常領域はヒトのものである。
「多重特異性抗体」または「二重特異性抗体」という用語は、単一の抗体分子内に、2つ以上の異なるエピトープに特異的な抗原結合ドメインを有する抗体をいう。標準的な抗体構造に加えて他の結合性分子は、2つの結合特異性で構築することができる。二重特異性抗体または多重特異性抗体によるエピトープ結合は、同時または逐次的であることができる。トリオーマおよびハイブリッドハイブリドーマは、二重特異性抗体を分泌できる細胞株の2つの例である。二重特異性抗体は、組み換え手段によっても構築することができる(Strohlein and Heiss, Future Oncol. 6:1387-94 (2010); Mabry and Snavely, IDrugs. 13:543-9 (2010))。二重特異性抗体はダイアボディであることもできる。したがって、多量体である二重特異性結合性分子は、潜在的に、それぞれ異なる特異性を有するいくつかの異なる抗原結合ドメインを保有することができる。
本明細書において用いられる場合、「操作された抗体」という用語は、CDRまたはフレームワーク領域のいずれかにおける1つまたは複数のアミノ酸の少なくとも部分的な置換によって重鎖および軽鎖のいずれかまたはその両方における可変ドメインが改変されている抗体をいう。特定の局面において、既知の特異性の抗体由来のCDR全体を、異種抗体のフレームワーク領域に移植することができる。代替CDRは、フレームワーク領域が由来する抗体と同じクラスまたはサブクラスの抗体に由来することができるが、CDRはまた、異なるクラスの抗体、例えば、異なる種由来の抗体に由来することができる。既知の特異性の非ヒト抗体由来の1つまたは複数の「ドナー」CDRがヒト重鎖または軽鎖フレームワーク領域に移植されている操作された抗体は、本明細書において「ヒト化抗体」といわれる。特定の局面において、CDRの全てがドナー可変領域由来の完全なCDRで置換されているわけではないが、それにもかかわらず、ドナーの抗原結合能力をレシピエント可変ドメインに移すことができる。例えば、米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号および同第6,180,370号に記載されている説明を考慮すれば、日常的な実験を行うことによって、または試行錯誤による試験によって機能的に操作されたまたはヒト化された抗体を得ることは十分に当業者の能力の範囲内であろう。
本明細書において用いられる場合、「操作された」という用語は、合成手段による(例えば、組み換え技法、インビトロペプチド合成による、ペプチドの酵素的もしくは化学的カップリングまたはこれらの技法のいくつかの組み合わせによる)核酸またはポリペプチド分子の操作を含む。
本明細書において用いられる場合、用語「連結された」、「融合された」もしくは「融合」または他の文法上の同義語は、互換的に用いることができる。これらの用語は、化学的結合または組み換え手段を含む何らかの手段による、2つ以上のエレメントまたは成分の結合をいう。「インフレーム融合」は、元の読み取り枠(ORF)の翻訳読み枠を維持する形で、連続的なさらに長いORFを形成させるための2つまたはそれ以上のポリヌクレオチドORFの結合をいう。したがって、組み換え融合タンパク質は、元のORFによってコードされるポリペプチドに対応する2つまたはそれ以上のセグメントを含んだ単一のタンパク質である(このセグメントは、通常、自然界ではそのように結合されていない)。したがって、読み枠は融合セグメントの全体にわたって連続的とされるが、セグメントは、例えば、インフレームのリンカー配列によって、物理的にまたは空間的に分離することができる。例えば、抗体可変領域のCDRをコードするポリヌクレオチドは、インフレームで融合することができるが、「融合された」CDRが連続的なポリペプチドの一部として同時翻訳される限り、少なくとも1つの抗体フレームワーク領域またはさらなるCDR領域をコードするポリヌクレオチドによって分離することができる。
ポリペプチドの文脈において、「直鎖状配列」または「配列」は、配列中で互いに隣接するアミノ酸が、ポリペプチドの一次構造において隣接している、アミノ末端からカルボキシル末端の方向へのポリペプチドにおけるアミノ酸の順序である。
ポリペプチドの別の部分に対して「アミノ末端」または「N末端」であるポリペプチドの部分は、連続ポリペプチド鎖において初めの方に来るその部分である。同様に、ポリペプチドの別の部分に対して「カルボキシ末端」または「C末端」であるポリペプチドの部分は、連続ポリペプチド鎖において後の方に来るその部分である。例えば、典型的な抗体では、可変ドメインは定常領域に対して「N末端」であり、定常領域は可変ドメインに対して「C末端」である。
本明細書において用いられる「発現」という用語は、遺伝子が生化学物質、例えば、ポリペプチドを産生するプロセスをいう。このプロセスは、非限定的に、遺伝子ノックダウン、ならびに一過性発現および安定発現の両方を含む、細胞内の遺伝子の機能的存在の任意の出現を含む。これには、非限定的に、メッセンジャーRNA (mRNA)への遺伝子の転写、およびそのようなmRNAのポリペプチドへの翻訳が含まれる。最終的な所望の産物が生化学物質である場合、発現には、その生化学物質および任意の前駆物質の生成が含まれる。遺伝子の発現は「遺伝子産物」を産生する。本明細書において用いられる場合、遺伝子産物は、核酸、例えば、遺伝子の転写によって産生されるメッセンジャーRNA、または転写産物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであることができる。本明細書において記述される遺伝子産物は、転写後修飾、例えばポリアデニル化を伴う核酸、または翻訳後修飾、例えばメチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、タンパク質分解的切断などを伴うポリペプチドをさらに含む。
「真核生物(eukaryote)」または「真核生物(eukaryotic organism)」という用語は、原生動物、真菌、酵母、緑藻類、単細胞植物、多細胞植物、および脊椎動物と無脊椎動物の両方を含む、全ての動物を含めて、動物、植物および原生生物界の全ての生物を包含することが意図される。この用語は細菌またはウイルスを包含しない。「真核細胞」は、単数の「真核細胞」および複数の「真核細胞」を包含することが意図され、真核生物に由来する細胞を含む。
「脊椎動物」という用語は、単数の「脊椎動物」および複数の「脊椎動物」を包含することが意図され、哺乳動物および鳥類、ならびに魚類、爬虫類および両生類を含む。
「哺乳動物」という用語は、単数の「哺乳動物」および複数の「哺乳動物」を包含することが意図され、ヒト; 類人猿、サル、オランウータン、およびチンパンジーのような霊長類; イヌおよびオオカミのようなイヌ科動物; ネコ、ライオンおよびトラのようなネコ科動物; ウマ、ロバおよびシマウマのようなウマ科動物、ウシ、ブタ、およびヒツジのような食用動物; シカおよびキリンのような有蹄動物; マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットのようなげっ歯類; ならびにクマを含むが、これらに限定されることはない。特定の局面において、哺乳動物はヒト対象である。
「組織培養」または「細胞培養」または「培養」または「培養する」という用語は、細胞構造の保存、細胞機能の保存、さらなる分化、または3つ全てを可能にする条件下での植物または動物の組織または細胞のインビトロでの維持または増殖をいう。「一次組織細胞」は、組織から直接採取されたもの、すなわち、生物において同じ機能を果たす同じ種類の細胞の集団である。例えば、そのような組織細胞をタンパク質分解酵素トリプシンで処理することにより、それらを培養プレート上に播種したときに増殖するかまたは細胞構造を維持する個々の一次組織細胞へと解離させる。組織培養中の一次細胞の増殖から生じる細胞培養物は「二次細胞培養物」と呼ばれる。大部分の二次細胞は有限回数分裂し、その後に死滅する。しかしながら、少数の二次細胞は、この「危機的期間」を通過することができ、その後、それらは無限に増殖して連続「細胞株」を形成することができる。細胞が培養される液体培地は、本明細書において「培地(culture medium)」または「培地(culture media)」といわれる。細胞の培養中に所望の分子、例えばウイルスまたはタンパク質、例えば抗体分子が分泌されている培地は、「馴化培地」ということができる。
本明細書において用いられる場合、「同定する」という用語は、所望の分子、例えば、所望の特徴または機能を有する関心対象のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、複数のそのような分子またはそのような分子のライブラリから区別される方法をいう。同定方法には、「選択」および「スクリーニング」または「パニング」が含まれる。本明細書において用いられる場合、「選択」方法は、所望の分子をライブラリから直接分離することができるものである。本明細書において用いられる場合、「スクリーニング」または「パニング」方法は、所望の分子を含むプールが、所望の分子が検出されうるアッセイ法に供されるものである。次いで、分子が検出されるプールのアリコートを、所望の分子から高度に濃縮されたプールが達成されるまで、同様にアッセイされる連続的により小さいプールに分割する。
ポックスウイルスベクター
本明細書において提供される方法によって構築されたポリヌクレオチドのライブラリは、ポックスウイルスベクターにおいて構築することができる。「ポックスウイルス」は、コードポックスウイルス亜科(Chordopoxviridae) (脊椎動物ポックスウイルス)およびエントモポックスウイルス亜科(Entomopoxviridae) (昆虫ポックスウイルス)を含む、ポックスウイルス科の任意の成員を含む。例えば、B. Moss in: Virology, 2d Edition, B. N. Fields, D. M. Knipe et al., Eds., Raven Press, p. 2080 (1990)を参照されたい。コードポックスウイルスは、とりわけ、以下の属を含む: オルソポックスウイルス(Orthopoxvirus) (例えば、ワクシニア、痘瘡ウイルス、アライグマポックスウイルス); アビポックスウイルス(Avipoxvirus) (例えば、鶏痘); カプリポックスウイルス(Capripoxvirus) (例えば、羊痘) レポリポックスウイルス(Leporipoxvirus) (例えば、ウサギ(ショープ)線維腫、および粘液腫); ならびにスイポックスウイルス(Suipoxvirus) (例えば、豚痘)。エントモポックスウイルスは3つの属: A、BおよびCを含む。ワクシニアウイルスはプロトタイプのオルソポックスウイルスであり、開発がされており、異種タンパク質の発現用ベクターとしてよく特徴付けられている。
ポックスウイルスは、その大きいサイズおよび複雑性により区別され、同様に大きく複雑なゲノムを含む。特に、ポックスウイルスの複製は宿主細胞の細胞質内で完全に行われる。ポックスウイルスゲノムの中央部分は類似しているが、ウイルスゲノムの末端部分は、より高い多様性によって特徴付けられる。したがって、ポックスウイルスゲノムの中心部分は、複製のような、全てのポックスウイルスに共通の必須機能を担う遺伝子を保有していると考えられる。それに反して、ポックスウイルスゲノムの末端部分は病原性および宿主範囲のような特徴を担っているように思われ、これらは異なるポックスウイルスの間で変化し、組織培養におけるウイルス複製に必須ではない可能性がいっそう高い。したがって、ポックスウイルスゲノムがDNA断片の再配列もしくは除去または外因性DNA断片の導入によって改変される場合、外因性DNAの導入によって再配列、除去または破壊される天然DNAの部分は、組織培養における感染性ビリオンならばウイルスの複製および産生に必須ではないと考えられる領域、例えばより遠位の領域に存在しうるということになる。
天然のワクシニアウイルスゲノムは、約186,000塩基対(bp)の、架橋された二本鎖の直鎖状DNA分子であり、これは末端逆位配列により特徴付けられている。ワクシニアウイルスのゲノムは完全に配列決定されており、ワクシニアウイルスゲノムにおいて種々の非必須領域が同定されている。例えば、Perkus, M. E., et al., Virology 152:285-97 (1986); およびKotwal, G. J. and Moss B., Virology 167:524-37を参照されたい。ワクシニアウイルスへの外来遺伝子の挿入のために最も広範に用いられる非必須領域は、ゲノムのHindIII J断片に位置しているチミジンキナーゼ座位である。特定のワクシニアウイルスベクターにおいて、tk座位は1個または2個の独自の制限酵素部位を含むように操作されており、三分子組み換えライブラリ作製法の使用に都合が良くなっている。下記およびZaudererのPCT公開番号WO 00/028016も参照されたい。
関心対象のポリペプチド、例えば、抗体サブユニットポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドのライブラリは、ポックスウイルス感染細胞の細胞質中で機能する転写制御領域との機能的な結合の下で、ポックスウイルスベクター、例えば、ワクシニアウイルスベクターに挿入することができる。
ポックスウイルス転写制御領域は、プロモーターおよび転写終結シグナルを含む。ポックスウイルスにおける遺伝子発現は、一時的に調節され、かつ初期、中期および後期遺伝子のプロモーターは、さまざまな構造を保有する。特定のポックスウイルス遺伝子は、構成的に発現されており、かつこれらの「初期-後期」遺伝子のためのプロモーターは、ハイブリッド構造を持つ。合成初期-後期プロモーターも開発されている。Hammond J. M., et al., J. Virol. Methods 66:135-8 (1997); Chakrabarti S., et al., Biotechniques 23:1094-7 (1997)を参照されたい。本明細書において提供される方法では任意のポックスウイルスプロモーターを用いることができる。
初期プロモーターの例としては、7.5-kDプロモーター(後期プロモーターでもある)、DNA polプロモーター、tkプロモーター、RNA polプロモーター、19-kDプロモーター、22-kDプロモーター、42-kDプロモーター、37-kDプロモーター、87-kDプロモーター、H3'プロモーター、H6プロモーター、D1プロモーター、D4プロモーター、D5プロモーター、D9プロモーター、D12プロモーター、I3プロモーター、M1プロモーター、およびN2プロモーターが挙げられる。例えば、Moss, B., 「Poxviridae and their Replication」 IN Virology, 2d Edition, B. N. Fields, D. M. Knipe et al., Eds., Raven Press, p. 2088 (1990)を参照されたい。ワクシニアウイルスおよび他のポックスウイルスにおいて転写された初期遺伝子は、転写終結シグナルTTTTTNTを認識し、ここでNは任意のヌクレオチドであることができる。転写は通常、このシグナルのおよそ50 bp上流で終結する。したがって、異種遺伝子がポックスウイルス初期プロモーターから発現される場合、これらの遺伝子のコード領域内のこのシグナルの出現を排除するように注意しなければならない。例えば、Earl, P. L., et al., J. Virol. 64:2448-51 (1990)を参照されたい。
後期プロモーターの例としては、7.5-kDプロモーター、MILプロモーター、37-kDプロモーター、11-kDプロモーター、11Lプロモーター、12Lプロモーター、13Lプロモーター、15Lプロモーター、17Lプロモーター、28-kDプロモーター、H1Lプロモーター、H3Lプロモーター、H5Lプロモーター、H6Lプロモーター、H8Lプロモーター、D11Lプロモーター、D12Lプロモーター、D13Lプロモーター、A1Lプロモーター、A2Lプロモーター、A3Lプロモーター、およびP4bプロモーターが挙げられる。例えば、Moss, B., 「Poxviridae and their Replication」 IN Virology, 2d Edition, B. N. Fields, D. M. Knipe et al., Eds., Raven Press, p. 2090 (1990)を参照されたい。後期プロモーターは明らかに、初期プロモーターによって認識される転写終結シグナルを認識しない。
本明細書において提供される方法で用いるための構成的プロモーターは、HammondおよびChakrabartiによって記述された合成初期-後期プロモーター、MH-5初期-後期プロモーター、ならびに7.5-kDすなわち「p7.5」プロモーターを含むことができる。
いくつかの弱毒化されたポックスウイルス、特にワクシニアウイルスが開発され、ベクターとして用いられている。例えば、改変ワクシニアアンカラ(MVA)は、初代ニワトリ胚線維芽細胞における570超の継代中に得られた、ワクシニアウイルスの高度に弱毒化された株である(Mayr, A. et al., Infection 3:6-14 (1975))。回収されたウイルスは、そのウイルスの宿主範囲制限に大いに影響している野生型ワクシニアDNAのおよそ15%を欠失していた。MVAは、ほとんどの哺乳動物細胞株において、複製することができないか、または極めて非効率的に複製する。宿主範囲制限という独特な特徴は、非許容細胞におけるブロックが複製サイクルの比較的後期に発生することである。ウイルス後期遺伝子の発現は、比較的損なわれていないが、ビリオンの形態形成は妨害されている(Suter, G. and Moss, B., Proc Natl Acad Sci USA 89:10847-51 (1992); Carroll, M. W. and Moss, B., Virology 238:198-211 (1997))。非許容宿主細胞中であってもウイルスタンパク質合成が高レベルであるので、MVAは特に安全かつ効率的な発現ベクターである。しかしながら、MVAはほとんどの哺乳動物細胞において感染サイクルを完了することができないので、複数の選択サイクルのため感染性ウイルスを回収するためには、それ自体は欠損しておりかつMVA許容宿主細胞における低MOIでの差次的増殖により感染性MVA組み換え体から後で分離することができるようなヘルパーウイルスで同時感染または重複感染させることにより、MVAの欠損を補完することが必要であろう。
本明細書において用いられる場合、「補完」という用語は、宿主細胞、トランスジェニック動物またはヘルパーウイルスのような、別の供給源による、トランスでの(in trans)喪失機能の回復をいう。機能喪失は、機能に関与する遺伝子産物の欠損ウイルスによる喪失により引き起こされる。したがって、欠損ポックスウイルスは、親ポックスウイルスの生存不能型であり、かつ補完の存在下で生存可能となることができる型である。宿主細胞、トランスジェニック動物またはヘルパーウイルスは、喪失遺伝子産物をコードしている配列、すなわち「補完エレメント」を含む。補完エレメントは、いくつかの局面において、宿主細胞、トランスジェニック動物またはヘルパーウイルスにおいて発現可能かつ安定的に組み入れられることができ、特定の局面において、欠損ポックスウイルスのゲノムによる組み換えのリスクがほとんどまたは全くないように操作される。
補完細胞株において産生されるウイルスは、非補完細胞に感染することが可能であり、さらに初期遺伝子産物の高レベル発現が可能である。しかしながら、必須の遺伝子産物の非存在下では、感染性ウイルス粒子の宿主シャットオフ(shut-off)、DNA複製、パッケージング、および産生は行われない。
三分子組み換え法
旧来、ワクシニアウイルスのようなポックスウイルスベクターは、ライブラリを構築かつスクリーニングする高効率で高複雑性で高力価産生性の方法がワクシニアについては存在しなかったので、複雑なライブラリから関心対象のこれまで未知の遺伝子を同定するのには用いられていなかった。ワクシニアウイルスにおける異種タンパク質発現の伝統的な方法には、トランスファープラスミドとインタクトなワクシニアウイルスゲノムとの間のインビボでの相同組み換え、およびインビトロでの直接ライゲーションが含まれていた。伝統的な相同組み換えを用いると、組み換えウイルス産生の効率はおよそ0.1%以下の範囲内であった。直接ライゲーションを用いた組み換えウイルス産生の効率はより高いが、得られる力価は比較的低い。したがって、ワクシニアウイルスベクターの使用は、タンパク質発現およびワクチン開発の目的のための以前に単離されたDNAのクローニングに限定されていた。
ZaudererのPCT公開番号WO 00/028016に開示されているような三分子組み換えは、組み換えポックスウイルス、例えば組み換えワクシニアウイルスを産生するための高効率で高力価産生性の方法である。三分子組み換え法は、少なくとも90%の効率での組み換えウイルスの作製を可能にし、直接ライゲーションによって得られるものより少なくとも2桁高い力価を与える。この高い効率を考慮すると、関心対象のポリペプチド、例えば抗体サブユニットポリペプチドを発現することができるポリヌクレオチドのライブラリは、三分子組み換えを用いてポックスウイルスベクター、例えばワクシニアウイルスベクターにおいて構築することができる。
「三分子組み換え」または「三分子組み換え法」とは、ウイルスゲノムの2つの非相同的断片、すなわち互いとの相同組み換えを起こすことができない2つのウイルスゲノム「アーム」、および関心対象のポリヌクレオチドを含むトランスファーベクターまたはトランスファーDNAをレシピエント細胞へ導入し、3つのDNA分子がインビボで組み換えを行うことを可能にすることによって、関心対象の異種ポリヌクレオチドを含む改変されたウイルスゲノム、例えばポックスウイルスゲノム、例えばワクシニアウイルスゲノムを産生する方法を意味する。組み換えの結果として、関心対象のポリヌクレオチドおよび2つのゲノム断片の各々を含む生存可能なウイルスゲノムが産生される。したがって、本明細書において記述される三分子組み換え法は、以下を含むことができる: (a) 単離されたポックスウイルスゲノム、例えばワクシニアウイルスゲノムを切断して、第1のウイルス断片および第2のウイルス断片を産生する段階であって、第1のウイルス断片が第2のウイルス断片との相同組み換えを起こすことができない、段階; (b) 転写制御領域との機能的な結合を通じて、関心対象のポリペプチド、例えば抗体サブユニットポリペプチド、例えば抗体軽鎖、抗体重鎖、またはいずれかの抗原特異的断片をコードする関心対象のポリヌクレオチドを含む、トランスファープラスミドの集団を提供する段階であって、関心対象のポリヌクレオチドが5'隣接領域および3'隣接領域に隣接しており、5'隣接領域が第1のウイルス断片の3'末端と相同な領域を含み、かつ3'隣接領域が第2のウイルス断片の5'末端と相同な領域を含み、かつトランスファープラスミドが、生存可能なウイルスゲノムが形成されることができるように第1および第2のウイルス断片と相同組み換えすることができる、段階; (c) (b)に記述されたトランスファープラスミドならびに(a)に記述された第1および第2のウイルス断片を、トランスファープラスミドおよび2つのウイルス断片がインビボで相同組み換えを起こすことができる、すなわち三分子組み換えを起こすことができる条件の下で、宿主細胞へ導入し、これにより、関心対象のポリペプチド、例えば抗体サブユニットポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む生存可能な改変ウイルスゲノムを産生する段階; (d) ポックスウイルスアセンブリ阻害剤、例えば、本明細書の他の箇所に記述されているようなリファンピシンを添加し、この技法によって産生された改変ウイルスゲノムを回収する段階。特定の局面において、回収された改変ポックスウイルスゲノムは感染性ウイルス粒子にパッケージングされることができる。
「組み換え効率」または「組み換えウイルス産生の効率」とは、本明細書において提供される方法によってウイルスライブラリ作製中に産生される総ウイルスに対する組み換えウイルスの比を意味する。効率は、組み換えウイルスの力価を総ウイルスの力価で割って100%を掛けることによって計算することができる。例えば、力価は選択あり(例えば、組み換えウイルスについて)または選択なし(例えば、組み換えウイルスに加えて野生型ウイルスについて)のいずれかで、適切な細胞上での粗ウイルスストックのプラークアッセイ法によって決定することができる。特に異種ポリヌクレオチドがウイルスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子座に挿入される場合、選択の方法は当技術分野において周知であり、tk遺伝子の破壊によるブロモデオキシウリジン(BDUR)または他のヌクレオチド類似体に対する耐性を含む。選択方法の例は本明細書において記述されている。
「高効率組み換え」とは、少なくとも約1%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%の組み換え効率を意味する。
それぞれtk-、hgprt-またはaprt-細胞において利用することができる、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼのようなチミジンキナーゼ(Wigler, et al., 1977, Cell 11:223)遺伝子、ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, 1962, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:2026)遺伝子、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy, et al., 1980, Cell 22:817)遺伝子を含むがこれらに限定されない、いくつかの選択系を用いることができる。また、代謝拮抗物質耐性を以下の遺伝子の選択基準として用いることができる: メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr (Wigler, et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:3567; O'Hare, et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527); ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt (Mulligan & Berg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072); アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo (Colberre-Garapin, et al., 1981, J. Mol. Biol. 150:1); およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro (Santerre, et al., 1984, Gene 30:147)。
上記のように、ウイルスゲノムの第1および第2のウイルス断片または「アーム」は、一緒に、典型的にはウイルス複製および感染性ウイルス粒子の産生に必要な全ての遺伝子を含む。ワクシニアウイルスベクターを用いたその産生に適したアームおよび方法の例は、本明細書において開示されている。ワクシニア複製のための必須領域に関する手引きについては、Falknerらの米国特許第5,770,212号も参照されたい。
しかしながら、ワクシニアウイルスゲノムのような裸のポックスウイルスゲノムDNAは、ウイルスによりコードされるタンパク質、侵入ウイルス粒子に関連するタンパク質/機能なしでは感染性の子孫を産生することができない。必要とされる、ウイルスによりコードされる機能は、トランスフェクションされたワクシニアDNAを鋳型として認識し、トランスフェクションされたDNAの転写および最終的には複製を開始するRNAポリメラーゼを含む。Dornerらの米国特許第5,445,953号を参照されたい。
したがって、ワクシニアウイルスのようなポックスウイルスを用いた三分子組み換えによって感染性子孫ウイルスを産生するために、レシピエント細胞はパッケージング機能を含むことができる。パッケージング機能は、ヘルパーウイルスによって、例えば、トランスフェクションされた裸のゲノムDNAとともに、子孫ウイルスの複製およびアセンブリに必要な適切なタンパク質および因子を提供するウイルスによって、提供されることができる。
ヘルパーウイルスは、同じ属由来であろうと異なる属由来であろうと、密接に関連したウイルス、例えば、ワクシニアと同じポックスウイルス亜科のポックスウイルスであることができる。そのような場合、トランスフェクションされたDNAを鋳型として認識し、それによってトランスフェクションされたDNAの転写および最終的には複製を開始するのに役立つRNAポリメラーゼを提供するヘルパーウイルスを選択することが有利である。密接に関連したウイルスがヘルパーウイルスとして用いられる場合、感染性ウイルスの形成が損なわれるように弱毒化されることが有利である。例えば、温度感受性ヘルパーウイルスを非許容温度で用いることができる。特定の局面において、異種ヘルパーウイルスが用いられる。例としては、鶏痘ウイルスのようなアビポックスウイルス、またはエクトロメリアウイルス(マウスポックス)ウイルスが挙げられるが、これらに限定されることはない。アビポックスウイルスは、必要なヘルパー機能を提供するが、哺乳動物細胞においては複製することも感染性ビリオンを産生することもしない(Scheiflinger, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:9977-9981 (1992))。異種ウイルスの使用は、密接に関連したウイルスの相同配列が1つの細胞中に存在する場合に行われるヘルパーウイルスゲノムとトランスフェクションされたゲノムとの間の組み換え事象を最小にする。Fenner & Comben, Virology 5:530 (1958); Fenner, Virology 8:499 (1959)を参照されたい。
あるいは、レシピエント細胞において必要なヘルパー機能は、ヘルパーウイルス以外の遺伝的要素によって供給されることができる。例えば、宿主細胞は形質転換されて構成的にヘルパー機能をもたらしてもよく、あるいは宿主細胞は、ヘルパー機能を発現するプラスミドで一過性にトランスフェクションされるか、ヘルパー機能を発現するレトロウイルスで感染されるか、または必要とされるヘルパーウイルス機能を発現するのに適した任意の他の発現ベクターを提供されてもよい。Dornerらの米国特許第5,445,953号を参照されたい。
三分子組み換え法によれば、第1および第2のウイルスゲノム断片は互いとライゲーションまたは組み換えをすることができず、すなわち、それらは適合する付着末端または相同領域を含まないか、あるいは、付着末端が脱リン酸化酵素で処理されている。特定の局面において、ウイルスゲノムは、第1の制限エンドヌクレアーゼの第1の認識部位および第2の制限エンドヌクレアーゼの第2の認識部位を含むことができ、第1および第2のウイルス断片は、ウイルスゲノムを適切な制限エンドヌクレアーゼで消化して「アーム」を産生することにより産生され、第1および第2のウイルス断片は標準的な方法によって単離される。理想的には、第1および第2の制限エンドヌクレアーゼ認識部位はウイルスゲノムにおいて特有であるか、あるいは、2つの制限エンドヌクレアーゼによる切断は、全ての必須機能に関する遺伝子を含むウイルス「アーム」を生じる、すなわち、第1および第2の認識部位は、第1および第2のウイルス断片の間に延在する領域がウイルス感染性には必須でないようにウイルスゲノム内に物理的に配列されている。
ワクシニアウイルスベクターが三分子組み換え法において用いられる場合、tk遺伝子内に2つの特有の制限部位を有するウイルスゲノムを含むワクシニアウイルスベクターを用いることができる。例えば、第1の制限酵素は、tk遺伝子中に認識部位GCGGCCGCを有するNotIであることができ、第2の制限酵素は、tk遺伝子中に認識部位GGGCCCを有するApaIであることができる。例示的なワクシニアウイルスベクターとしては、v7.5/tkウイルスゲノムまたはvEL/tkウイルスゲノムが挙げられる。Merchlinsky, et al., Virology 238:444-451 (1997)。
この態様によれば、チミジンキナーゼ遺伝子を含むワクシニアウイルスゲノムの領域との相同組み換えが可能な隣接領域を有するトランスファープラスミドが用いられる。tk遺伝子を含むHindIII-J断片を含むワクシニアウイルスゲノムの断片が都合よく用いられる。
特定の局面において、関心対象のポリヌクレオチドは、ポックスウイルス発現制御配列、例えば、p7.5または合成初期/後期プロモーターのような強力な構成的ポックスウイルスプロモーターと機能的に結合させることができる。
したがって、本明細書において提供されるトランスファープラスミドは、ワクシニアウイルスp7.5プロモーター、または合成初期/後期プロモーターとの機能的結合を通じて、関心対象のタンパク質、例えば抗体サブユニットポリペプチド、例えば重鎖、軽鎖、または重鎖もしくは軽鎖の抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを含むことができる。トランスファープラスミドは、参照により全体が本明細書に組み入れられる、PCT公開番号WO 00/028016、米国特許第6,706,477号または米国特許第7,858,559号に記述されているトランスファープラスミドのいずれかであることができる。
1つの局面において、ワクシニアウイルスp7.5プロモーターとの機能的結合を通じて、関心対象のタンパク質、例えば抗体重鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むトランスファープラスミドは、本明細書においてSEQ ID NO: 1と指定された以下の配列を含む、pVHEであることができる。
Figure 2019524126
PCR増幅された重鎖可変領域は、上記に太字で示されている特有のBssHIIおよび/またはBstEII部位にインフレームで挿入することができる。
別の局面において、ワクシニアウイルスp7.5プロモーターとの機能的結合を通じて、関心対象のタンパク質、例えば抗体軽鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むトランスファープラスミドは、本明細書においてSEQ ID NO: 2と指定された以下の配列を含む、pVKEであることができる。
Figure 2019524126
PCR増幅されたカッパ軽鎖可変領域は、上記に太字で示されている特有のApaLIおよび/またはXhoI部位にインフレームで挿入することができる。
別の局面において、ワクシニアウイルスp7.5プロモーターとの機能的結合を通じて、関心対象のタンパク質、例えば抗体軽鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むトランスファープラスミドは、本明細書においてSEQ ID NO: 3と指定された以下の配列を含む、pVLEであることができる。
Figure 2019524126
PCR増幅されたラムダ軽鎖可変領域は、上記に太字で示されている特有のApaLIおよび/またはHindIII部位にインフレームで挿入することができる。
「挿入DNA」または「関心対象のポリヌクレオチド」とは、組み換えポックスウイルスベクターにおいて発現される1つまたは複数の異種DNAセグメントを意味する。本明細書において用いられる「関心対象のポリヌクレオチド」は、関心対象のタンパク質、例えば抗体サブユニットポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。関心対象のポリヌクレオチドは、天然に存在するもの、天然に存在しないもの、合成のもの、またはそれらの組み合わせであることができる。本明細書において提供される方法において用いるための関心対象のポリヌクレオチドを産生する方法は、当業者には周知である。
「トランスファープラスミド」とは、上記のように5'隣接領域と3'隣接領域との間に位置する関心対象のポリヌクレオチドを含んだプラスミドベクターを意味する。5'隣接領域は第1のウイルス断片と相同性を共有し、3'隣接領域は第2のウイルス断片と相同性を共有する。特定の局面において、トランスファープラスミドは、関心対象のポリヌクレオチドの上流に、強力な構成的ワクシニアプロモーターのような、適当なプロモーターを含む。「ベクター」という用語は、適当な宿主細胞への異種ポリヌクレオチドセグメントの移入をもたらすことができる、そのポリヌクレオチドセグメントを含むポリヌクレオチド構築物を意味する。特定の局面において、ベクターに含まれるポリヌクレオチドは、適当な宿主においてポリヌクレオチドの発現をもたらすことができる適当な制御配列に機能的に連結されている。そのような制御配列は、転写をもたらすプロモーター、そのような転写を制御する任意のオペレーター配列、適当なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列を含む。本明細書において用いられる場合、ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、ウイルス、メッセンジャーRNA、または単に潜在的なゲノム挿入断片であることができる。適当な宿主に形質転換されると、ベクターは宿主ゲノムとは無関係に複製および機能することができ、または場合によっては、ゲノム自体に組み込まれることができる。哺乳動物細胞培養発現のための典型的なプラスミド発現ベクターは、例えば、pRK5 (EP 307,247)、pSV16B (WO 91/08291)およびpVL1392 (Pharmingen)に基づいている。
しかしながら、本明細書において用いられる「トランスファープラスミド」は、特定のプラスミドまたはベクターに限定されない。環状もしくは直鎖状または他の適当な形態の任意のDNAセグメントは、三分子組み換え法において第1および第2のウイルス「アーム」とともにDNA挿入断片を宿主細胞に移入するための媒体として作用することができる。他の適当なベクターには、本明細書において記述されているまたはそうでなければ当技術分野において知られている、ラムダファージ、mRNA、DNA断片などが含まれる。複数のプラスミドは、本明細書においてラムダについて記述されたものなどの「一次ライブラリ」であることができる。
ワクシニアウイルスアセンブリ阻害剤の添加
本明細書において提供される方法によって、三分子組み換えを用いて構築されるポックスウイルスライブラリの複雑性、多様性、および/または力価を改善するためにワクシニアウイルスアセンブリ阻害剤を添加することができる。そのような阻害剤の1つはリファンピシンである。リファンピシンは、さまざまな細菌感染症を処置するために通常使用される抗生物質である。リファンピシンは細菌RNAポリメラーゼを阻害し、そのため、リファンピシンは細菌における組み換えタンパク質の発現中に宿主細菌タンパク質の合成を阻害することが可能である。DNAおよびタンパク質の成熟ウイルス粒子へのアセンブリを妨げることによってワクシニアウイルスの複製を可逆的に阻害することもできる(Moss., B., et al., Nature 224: 1280-1284 (1969))。他のポックスウイルスアセンブリ阻害剤は、非限定的に、アザチオプリン、ノボビオシン、および/またはミトキサントロンを含むことができる。
自発的組み換えでのように、複製速度を低減させる必要がある場合にはウイルス増殖の阻害が有益であるが、三分子組み換えはウイルスゲノムを再アセンブリしてウイルスを産生することを必要とする。それゆえ、リファンピシンのような阻害剤の添加が、三分子組み換えを用いて構築される組み換え体の品質、複雑性および/または力価を改善することは予想外である。しかしながら、本明細書において提供される方法は、組み換えが行われるまでウイルス増殖全体を遅らせることができる。例えば、リファンピシンは、組み換えが行われる期間を延長することと、パッケージングされたウイルスが培養物を増殖させすぎるのを妨げることの両方によって、構築される個々の(特有の)組み換え体の数を増やすために、トランスフェクション後に、例えば、トランスフェクション後約6時間、約12時間、約18時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、約48時間、約54時間、または約60時間の時点で添加することができる。特定の局面において、リファンピシンまたはその誘導体は、約30 μg/ml、約40 μg/ml、約50 μg/ml、約60 μg/ml、約70 μg/ml、約80 μg/ml、約90 μg/ml、約100 μg/ml、約110 μg/ml、約120 μg/ml、または約130 μg/mlの濃度で細胞培地に添加することができる。特定の局面において、リファンピシンまたはその誘導体は、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間または約5日間、細胞培地中に維持されることができる。トランスフェクションされた細胞を、リファンピシンを含む細胞培地でインキュベーションした後に、細胞培地を、リファンピシンを含まない細胞培地と交換することができ、トランスフェクションされた宿主細胞をリファンピシンなしで、例えば、約1日間、約2日間または約3日間さらに培養することができる。
本明細書において提供されるライブラリ構築法は、ポックスウイルスアセンブリ阻害剤、例えばリファンピシンの非存在下で構築されたライブラリよりも、増加した数の独立した改変ポックスウイルスゲノム、すなわち改善された複雑性および多様性のライブラリをもたらすことができる。例えば、独立した改変ポックスウイルスゲノムの数は、ポックスウイルスアセンブリ阻害剤、例えばリファンピシンの非存在下で構築されたライブラリと比較して、少なくとも約1倍、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、もしくは約30倍またはそれ以上、増加させることができる。さらに、本明細書において提供されるライブラリ構築法は、ポックスウイルスアセンブリ阻害剤の非存在下で構築されたライブラリよりも増加したウイルス力価のライブラリをもたらすことができる。実施例1に示されるように、例えば、トランスフェクションの48時間後に80 μg/mlのリファンピシンを48時間処理のために添加する。その後、培地を交換してさらに48時間培養する。最終結果は、リファンピシンが添加されていない場合よりも少なくとも5倍高い収率である。
本明細書において提供される方法によれば、リファンピシンのようなポックスウイルスアセンブリ阻害剤は、出発プラスミドとは無関係に、およびライブラリにおいてスクリーニングされる関心対象のタンパク質のタイプとは無関係に、任意のポックスウイルス、例えばワクシニアウイルスライブラリに用いることができる。
本開示は、別段の指示がない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組み換えDNAおよび免疫学の従来技法を利用するものであり、これらは当技術分野の技術の範囲内である。そのような技法は文献に十分に説明されている(例えば、Sambrook et al., ed. (1989) Molecular Cloning A Laboratory Manual (2nd ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press); Sambrook et al., ed. (1992) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, (Cold Springs Harbor Laboratory, NY); D. N. Glover ed., (1985) DNA Cloning, Volumes I and II; Gait, ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis; Mullis et al. U.S. Pat. No. 4,683,195; Hames and Higgins, eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization; Hames and Higgins, eds. (1984) Transcription And Translation; Freshney (1987) Culture Of Animal Cells (Alan R. Liss, Inc.); Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press) (1986); Perbal (1984) A Practical Guide To Molecular Cloning; the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells, (Cold Spring Harbor Laboratory); Wu et al., eds., Methods In Enzymology, Vols. 154 and 155; Mayer and Walker, eds. (1987) Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Academic Press, London); Weir and Blackwell, eds., (1986) Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV; Manipulating the Mouse Embryo, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., (1986); およびAusubel et al. (1989) Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons, Baltimore, Md.中を参照されたい)。
タンパク質および抗体工学の一般原理は、Borrebaeck, ed. (1995) Antibody Engineering (2nd ed.; Oxford Univ. Press)に記載されている。タンパク質工学の一般原理は、Rickwood et al., eds. (1995) Protein Engineering, A Practical Approach (IRL Press at Oxford Univ. Press, Oxford, Eng.)に記載されている。抗体および抗体-ハプテン結合の一般原理は、Nisonoff (1984) Molecular Immunology (2nd ed.; Sinauer Associates, Sunderland, Mass.); およびSteward (1984) Antibodies, Their Structure and Function (Chapman and Hall, New York, N.Y.)に記載されている。さらに、当技術分野において公知であり、具体的には記述されていない免疫学における標準的方法は、Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, New York; Stites et al., eds. (1994) Basic and Clinical Immunology (8th ed; Appleton & Lange, Norwalk, Conn.)およびMishell and Shiigi (eds) (1980) Selected Methods in Cellular Immunology (W.H. Freeman and Co., NY)にあるように従うことができる。
上記で引用した参考文献の全て、および本明細書において引用される全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。以下の実施例は、例示する目的で提供されるものであり、限定する目的で提供されるものではない。
実施例1: リファンピシン処理によるワクシニアライブラリ構築の改善
ライブラリVHEH5VHA56RIresNeoFLVH3-30CR9B A
6枚の100 mm2プレート中にて、Not IおよびApa Iで切断されたv7.5/tkウイルスDNA 36 μg、トランスファープラスミドDNA 12 μg、54×106プラーク形成単位(pfu)の鶏ヘルパーウイルスおよび36×106個のBSC-1細胞を用いてトランスフェクションを行った。トランスフェクションした細胞のプレート5枚をトランスフェクションの24時間後に5つのセルスタッカーの中に入れた。プレート1枚をT175フラスコ中に播種した。組み換え効率を決定するために、2%、1%、0.5%および0.25%のトランスフェクション細胞を、カウントプレートとして96ウェル中に二つ組で播種した。トランスフェクションの48時間後、リファンピシンを1セットのカウントプレートおよびT175フラスコに80 μg/mlの濃度で添加した。薬物を培地中に3日間維持した。5日目に、培地を交換し、細胞をリファンピシンなしでさらに2日間インキュベートした。リファンピシンなしでインキュベートしたスタッカーを5日目に収集した。
顕微鏡検査により各96ウェルプレートにおいてプラークを形成したウェルの割合を観察することによって、ポアソン分布により組み換えクローンの数を計算した。
リファンピシンなしでの効率は、23,652クローン/100 mm2プレートであった。
リファンピシンありでの効率は、113,148クローン//100 mm2プレートであり、重要なことに、これは1/8の細胞数および細胞培養物容量を用いて達成された。
後続の実験において、リファンピシンを用いたクローン産生の全体的効率は、リファンピシンなしでの効率よりもおよそ10倍高かった。

Claims (32)

  1. 以下の段階を含む、関心対象の複数のポリヌクレオチドを含むライブラリを構築する方法:
    (a) 単離されたポックスウイルスゲノムを切断して第1のウイルス断片および第2のウイルス断片を産生する段階であって、該第1の断片が該第2の断片と非相同的である、段階;
    (b) 5'隣接領域および3'隣接領域と隣接している関心対象のポリヌクレオチドを各々が含むトランスファープラスミドの集団を提供する段階であって、該5'隣接領域が該第1のウイルス断片の3'末端と相同な領域を含み、かつ該3'隣接領域が該第2のウイルス断片の5'末端と相同な領域を含み、かつ該トランスファープラスミドが、生存可能なポックスウイルスゲノムが形成されるように該第1および第2のウイルス断片と相同組み換えすることができる、段階;
    (c) ポックスウイルス感染性を許容する哺乳動物宿主細胞に該トランスファープラスミドならびに該第1および第2のウイルス断片を導入する段階;
    (d) ポックスウイルスアセンブリ阻害剤を添加する段階; ならびに
    (e) 該トランスファープラスミドならびに該第1および第2のウイルス断片に相同組み換えを起こさせ、それによって異種核酸を各々が含む生存可能な改変ポックスウイルスゲノムのライブラリを生成する段階。
  2. (f) 前記ライブラリを回収する段階
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 段階(c)が、哺乳動物宿主細胞にトランスファープラスミドならびに第1および第2のウイルス断片をトランスフェクションする段階を含み、かつ該宿主細胞がトランスフェクション後に細胞培地中に維持される、請求項1または請求項2記載の方法。
  4. ポックスウイルスアセンブリ阻害剤が、リファンピシン(リファンピン)またはその誘導体である、請求項3記載の方法。
  5. リファンピシンまたはその誘導体が、トランスフェクション後約6時間、約12時間、約18時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、約48時間、約54時間、または約60時間の時点で、トランスフェクションされた細胞を含む細胞培地に添加される、請求項4記載の方法。
  6. リファンピシンまたはその誘導体が、約30 μg/ml、約40 μg/ml、約50 μg/ml、約60 μg/ml、約70 μg/ml、約80 μg/ml、約90 μg/ml、約100 μg/ml、約110 μg/ml、約120 μg/ml、または約130 μg/mlの濃度で細胞培地に添加される、請求項4または請求項5記載の方法。
  7. リファンピシンまたはその誘導体を、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間または約5日間、細胞培地にとどまらせる、請求項4〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 細胞培地が、リファンピシンまたはその誘導体での処理後に交換され、トランスフェクションされた宿主細胞が約1日間、約2日間、または約3日間、リファンピシンなしでさらに培養される、請求項7記載の方法。
  9. 前記ライブラリが、ポックスウイルスアセンブリ阻害剤の非存在下で構築されたライブラリよりも増加した数の独立した改変ポックスウイルスゲノムを含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. 独立した改変ポックスウイルスゲノムの数が、ポックスウイルスアセンブリ阻害剤の非存在下で構築されたライブラリと比較して、少なくとも約1倍、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、または約30倍増加する、請求項9記載の方法。
  11. 前記ライブラリが、ポックスウイルスアセンブリ阻害剤の非存在下で構築されたライブラリよりも増加したウイルス力価を含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. 単離されたポックスウイルスゲノムが、第1の制限エンドヌクレアーゼの第1の認識部位および第2の制限エンドヌクレアーゼの第2の認識部位を含み、かつ第1および第2のウイルス断片が、該ウイルスゲノムを該第1の制限エンドヌクレアーゼおよび該第2の制限エンドヌクレアーゼで消化して該第1および第2のウイルス断片を単離することによって産生される、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
  13. 単離されたポックスウイルスゲノムが単離されたワクシニアウイルスゲノムである、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
  14. 単離されたワクシニアウイルスゲノムが、WRゲノムまたはその改変型誘導体である、請求項13記載の方法。
  15. 単離されたワクシニアウイルスゲノムが、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)ゲノムまたはその改変型誘導体である、請求項13記載の方法。
  16. 第1および第2の制限酵素認識部位が、ワクシニアウイルスHindIII J断片中に位置する、請求項12記載の方法。
  17. 第1の制限酵素がNotIである、請求項13記載の方法。
  18. 第2の制限酵素部位がApaIである、請求項13記載の方法。
  19. 単離されたワクシニアウイルスゲノムがv7.5/tkウイルスゲノムである、請求項13記載の方法。
  20. 単離されたワクシニアウイルスゲノムがvEL/tkウイルスゲノムである、請求項13記載の方法。
  21. 宿主細胞が、改変ワクシニアウイルスゲノムを感染性ワクシニアウイルス粒子へとパッケージングすることができる、請求項13〜20のいずれか一項記載の方法。
  22. トランスファープラスミドならびに第1および第2のウイルス断片が、ヘルパーウイルスを含む哺乳動物宿主細胞中に導入され、該宿主細胞は、該ヘルパーウイルスの感染性ウイルス粒子の産生を許容しないが、感染性ワクシニアウイルス粒子への改変ワクシニアウイルスゲノムのパッケージングを支持する、請求項21記載の方法。
  23. ヘルパーウイルスが鶏痘ウイルスである、請求項22記載の方法。
  24. トランスファープラスミドの5'隣接領域および3'隣接領域が、ワクシニアウイルスチミジンキナーゼ遺伝子と相同組み換えすることができる、請求項13〜23のいずれか一項記載の方法。
  25. トランスファープラスミドの5'隣接領域および3'隣接領域が、ワクシニアウイルスHindIII J断片と相同組み換えすることができる、請求項24記載の方法。
  26. トランスファープラスミドが、
    (a) pVHE、
    (b) pVLE、
    (c) pVKE
    からなる群より選択されるプラスミド中にライゲーションされた挿入核酸を含む、請求項25記載の方法。
  27. 複数の関心対象のポリヌクレオチドが各々、ワクシニアウイルス感染細胞中で発現することができる関心対象のポリペプチドのコード領域を含む、請求項13〜26のいずれか一項記載の方法。
  28. トランスファープラスミドが、関心対象のポリヌクレオチドと機能的に結合している転写制御領域をさらに含み、かつ該転写制御領域がワクシニアウイルス感染細胞の細胞質中で機能する、請求項27記載の方法。
  29. 転写制御領域がポックスウイルスプロモーターを含む、請求項27または請求項28記載の方法。
  30. プロモーターがワクシニアp7.5プロモーター、ワクシニアpELプロモーター、またはワクシニアMH-5プロモーターである、請求項29記載の方法。
  31. 複数の関心対象のポリヌクレオチドが各々、抗体重鎖可変領域もしくはその抗原結合断片、抗体軽鎖可変領域もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせを含む抗体サブユニットポリペプチドをコードする、請求項27〜30のいずれか一項記載の方法。
  32. 抗体サブユニットポリペプチドが、定常領域もしくはその断片、該抗体サブユニットポリペプチドの細胞表面発現もしくは分泌を指令することができるシグナルペプチド、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項31記載の方法。
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