JP2019522715A - 剪断安定な(shear−stable)油組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2016年7月20日に出願された米国仮出願第62/364,628号および2016年9月2日に出願された欧州出願第16187013.4号に対する優先権、およびそれらの出願の利益を主張する。
本出願は、油組成物およびその製法に関する。特に、本出願は、炭化水素ベースストック(base stock)および共ベースストック(co−base stock)または添加剤を含む剪断安定な潤滑油組成物に関する。本発明は、例えば、通常の使用の間に反復高剪断応力の対象となるギヤボックス油または他の油として用いるのに特に適した、増強された剪断安定性を備えた潤滑剤ベースストックブレンドを製造するのに有用である。
潤滑油組成物の製造業者および使用者は、潤滑油組成物のオイルドレン寿命(oil drain life)を延ばすことによって性能を改良することを望んでいる。延長されたドレン寿命は、潤滑油組成物、特にグループIV/グループVのベースストックを含有するものの高度に望ましいマーケッティング特徴である。
潤滑油組成物の剪断安定性は、潤滑油組成物、特に、ギヤボックス油などの通常の使用の間に高剪断応力事象を受けるもののオイルドレン寿命に影響する。潤滑油組成物の酸化的分解は、潤滑油組成物が用いられる金属機械の損傷をもたらしかねない。そのような分解の結果、金属表面の堆積物、スラッジの存在、または潤滑油組成物の粘度の減少または変化につながる場合がある。ギヤボックス油では、油の寿命の間における粘度の有意な損失は、潤滑における効率の低下、したがってまた、ギヤの早期摩耗および欠陥ももたらし得る。
米国特許出願公開第2013/210996号は、10モル%以下のエチレンに由来し、20時間のテーパーローラーベアリング試験に付された後に、9%未満の動的粘度損失を有することによって証明された高剪断安定性によって特徴付けられる、135cSt以上の100℃における動的粘度を有するPAOを開示する。この特許文献中のある好ましい例において、PAOは、45,000よりも大きな数平均分子量を有する、5.0質量%以下のポリマーを含む。PAOベースストックにおける大きなPAO分子(例えば、少なくとも45,000の数平均分子量を有するもの)の濃度が低いことが、過酷な剪断安定性試験後の低い動的粘度損失によって特徴付けられる高剪断安定性にとって望ましいことが開示されている。
上記文献は、主として、潤滑油組成物に入れられた単一ベースストック材料の剪断安定性に関連する。しかしながら、驚くべきことに、複数のベースストックまたは他の油成分を混合すると、たとえ、過酷な試験条件下での延長された剪断安定性試験において個々に試験した場合にそれらの各々が過剰に低い剪断損失を呈するとしても、それらの混合物は、同様な条件下で試験した場合に認識できる剪断損失を呈し得ることが判明した。これは、種々の成分が、油中で相互に反応し、剪断不安定なものを形成し得ることを示す。
したがって、所望の特性の中でも、高い剪断安定性を呈する複数の油成分を含む油組成物に対する要望が依然として存在する。本発明は、この要望および他の要望を満足する。
かくして、本発明の第一の態様は、第一の成分および第一の成分とは異なる第二の成分を含む油組成物に関する。第一の成分は、各々が複数のペンダント基を有する第一のタイプの複数の分子を含むベースストックであり、(i)第一のタイプの分子の全てのペンダント基の最長5モル%の平均ペンダント基長は、Lpg(5%)の平均ペンダント基長を有し、Lpg(5%)≧5.0であり;(ii)第一のタイプの分子の一部は、20,000よりも大きな、またはそれと同等な数平均分子量を有する。第二の成分は、各々が2つの末端炭素鎖を含む第二のタイプの複数の分子を含み、(a)第二の成分の数平均分子量は2,000以下であり;(b)2つの末端炭素鎖は5.0と同等な、またはそれよりも大きな鎖長を有し、共通の炭素原子を共有しない。第二のタイプの単一の分子は、第一のタイプの分子のペンダント基および第二のタイプの単一の分子における2つの末端炭素鎖の間のファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの分子に隣接して、第一の複合体構造を形成することができる。第一の複合体構造は、少なくとも45,000の数平均分子当量を有するその第一の重い画分を含む。第一の成分および第二の成分の合計質量に基づいた、第一の複合体構造の第一の重い画分の合計最大理論濃度はC11(max)質量%であり;C11(max)≦20である。
本発明の第二の態様は、上記油組成物を製造する方法に関する。
本明細書中に記載された全ての流体「粘度」は、特記しない限り、ASTM D445 100℃(「KV100」)に従って測定されたセンチストークス(「cSp」)で表した100℃動的粘度をいう。KV40の報告された値は、40℃においてASTM D445に従って測定されたセンチストークスで表された動的粘度である。全ての粘度指標(「VI」)値は、ASTM D2270に従って測定される。
本開示において、ペンダント基、末端炭素鎖、および側鎖基の全てのパーセントは、そうでないことが規定されているのでなければ、モルによる。
本開示において、ペンダント基または側鎖基の長さは、鎖上のいずれの置換基も考慮することなく、問題とする分子の炭素骨格(例えば、PAO分子の場合)または核(例えば、アルキルナフタレン分子の場合)またはヘテロ原子(例えば、エステル分子の場合)に直接的に結合したその中の最初の炭素原子から出発し、1以下の炭素原子に連結したその中の最後の炭素原子で終了する、炭素鎖における炭素原子の合計数を意味する。好ましくは、ペンダント基または側鎖基は、2を超える炭素原子(または1を超える炭素原子)を含む置換基を含まず、またはいずれの置換基も含まない。
本開示において、分子は、共通の炭素原子を共有しない2以上の末端炭素鎖を含み得る。2つの鎖は、角度シータを形成する方向に延びると言われる。各末端炭素鎖は、分子が、問題とする末端炭素鎖における炭素原子の全てに対する距離の最小合計自乗を有する仮想直線である、25℃で最低エネルギーを持つ立体配座を採ることを仮定した軸を有すると言われる。平行であって、2つの鎖における軸に沿った末端から非末端炭素原子への方向が同一である場合、2つの鎖は0°の角度シータを形成すると言われる。平行であって、2つの鎖における軸に沿った末端から非末端炭素原子への方向が相互に反対である場合、2つの鎖は180°の角度シータを形成すると言われる。非平行であって、末端炭素原子端部から非末端炭素原子端部に延びる場合、2つの軸は、2つの鎖の間の角度シータと見なされる、180°よりも小さい角度を形成する。
本発明の油成分の第一の成分は油ベースストック、複数の油ベースストックのブレンド、油組成物に典型的な添加剤成分などとすることができる。第一の成分は、同一または異なってよく、各々が、その構造上に複数のペンダント基を有する複数に分子を含むベースストックである。第一の成分の好ましい非限定的例は、潤滑油組成物で有用なグループIVのPAOベースストックである。グループI、II、III、またはVベースストックなどの他のベースストックは、第一の成分の一部または全体を形成し得る。
(式中、R1と、R2と、R3と、R4およびR5の各々と、R6と、R7とは、各出現において、同一または異なり、独立して、水素または置換されたもしくは置換されていないヒドロカルビル(好ましくは、アルキル)基を表し、nは重合の程度に対応する負でない整数である)
によって表すことができる。
かくして、n=0である場合、(F−1)は、2つの炭素−炭素二重結合の間の単一の付加反応後に2つのモノマー分子の反応から生じたダイマーを表す。
n=mであって、mが正の整数である場合、(F−1)は、2つの炭素−炭素二重結合の間の付加反応のm個の工程後に、m+2個のモノマー分子の反応から生じた分子を表す。
かくして、n=1である場合、(F−1)は、2つの炭素−炭素二重結合の間の付加反応の2つの工程後に、3つのモノマー分子の反応から生じたトリマーを表す。
R1で開始し、R7で終了する炭素鎖は、(F−1)に存在する全ての炭素鎖中で最大数の炭素原子を有すると仮定すれば、最大数の炭素原子を有する、R1で開始し、R7で終了するその炭素鎖は、PAO分子(F−1)の炭素骨格を構成する。置換されたまたは置換されていないヒドロカルビル(好ましくは、アルキル)基とすることができる、R2と、R3と、R4およびR5の各々と、R6とは、(もし水素でなければ)ペンダント基である。
によって表すことができる。この分子中、ペンダント基の最長5%、10%、20%、40%、50%、および100%は、各々、8のLpg(5%)、8のLpg(10%)、8のLpg(20%)、8のLpg(50%)、および7.22のLpg(100%)の平均ペンダント基長を有する。
によって表すことができる。この分子において、ペンダント基の最長5%、10%、20%、40%、50%、および100%は、各々、7のLpg(5%)、7のLpg(10%)、7のLpg(20%)、6.3のLpg(50%)、および3.67のLpg(100%)の平均ペンダント基長を有する。
あるいは、当業者は、ポリマー化学者に利用可能な分離およびキャラクタライゼーション技術を用いることによって、所与のPAOベースストック材料のLpg(5%)、Lpg(10%)、Lpg(20%)、Lpg(50%)、およびLpg(100%)値を決定することができる。例えば、沸点カラムセパレータを備えたガスクロマトグラフィー/質量分光分析機を用いて、個々の化学種および断片を分離し、同定することができ;NMR、IR、およびUV分光分析などの標準的なキャラクタライゼーション方法を用いて、構造をさらに確認することができる。
本発明の油組成物で有用なPAOベースストックは、単一のアルファ−オレフィンモノマーから製造されたホモポリマー、または2以上のアルファ−オレフィンモノマーの組合せから製造されたコポリマーであり得る。
触媒系は、BF3またはAlCl3などのルイス酸、またはフリーデルクラフツ触媒に基づいた慣用的な触媒であってよい。重合の間に、オレフィン分子のいくつかにおける炭素−炭素二重結合は、触媒的に活性な剤によって活性化され、これは、引き続いて、他のモノマー分子の炭素−炭素二重結合と反応する。かく活性化されたモノマーおよび/またはオリゴマーは異性化され得るが、これは、炭素−炭素二重結合のシフティングまたは移動、および最終オリゴマーまたはポリマーマクロ分子の炭素骨格上での、メチル、エチル、プロピルなどの複数の短鎖ペンダント基の形成の正味の効果に導かれることが知られている。したがって、そのような慣用的なルイス酸系触媒を用いることによって製造されたPAOの平均ペンダント基長は、比較的低くすることができる。
好ましくは、触媒系は、メタロセン化合物および活性剤および/または助触媒を含む。そのようなメタロセン触媒系、およびそのような触媒系を用いてメタロセンmPAOを製造する方法は、例えば、引用して、その内容の全体を援用する、国際公開第2009/148685号に開示されている。
(i)a1≦Lpg(10%)≦a2(a1<a2である限り、a1およびa2は、独立して、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、または12.0とすることができる);
(ii)b1≦Lpg(10%)≦b2(b1<b2である限り、b1およびb2は、独立して、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、または12.0とすることができる);
(iii)c1≦Lpg(20%)≦c2(c1<c2である限り、c1およびc2は、独立して、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、または11.0とすることができる);
(iv)d1≦Lpg(40%)≦d2(d1<d2である限り、d1およびd2は、独立して、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、または11.0とすることができる);
(v)e1≦Lpg(50%)≦e2(e1<e2である限り、e1およびe2は、独立して、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、または9.5とすることができる);および
(vi)f1≦Lpg(100%)≦f2(f1<f2である限り、f1およびf2は、独立して、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、または9.0とすることができる)。
一般に、本発明の油組成物で用いるPAOベースストックは、Nb(PAO)1〜Nb(PAO)2の範囲の臭素数を有することが望まれ、Nb(PAO)1<Nb(PAO)2である限り、Nb(PAO)1およびNb(PAO)2は、独立して、0、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0とすることができる。そのような低い臭素数に到達するためには、本発明の油組成物で用いるPAOは、PAO分子上に存在する残存炭素−炭素二重結合の少なくとも一部が飽和するようになるように、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Pt、およびそれらの組合せなどの水素化触媒の存在下で、PAOがH2−含有雰囲気に接触させる水素化の工程に付されているのが望ましいであろう。
4:1のモル比の1−オクテンおよび1−ドデセンアルファ−オレフィンモノマーの混合物から製造された例示的なmPAOの分子構造は、以下のように模式的に表すことができ、nはいずれかの整数である。
第二の成分は、各々が共通の炭素原子を共有しない少なくとも2つの末端炭素鎖を含む第二のタイプの複数の分子を含み、末端炭素鎖の少なくとも2つは5.0と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有する。「末端炭素鎖」とは、1を超える炭素に連結していない炭素原子で終了する炭素鎖を意味する。少なくとも2つの末端炭素鎖は、各々、第一のタイプの2以上の別々の分子のペンディング基(pending group)とで十分に強い結合を形成することができ、それにより、第一のタイプの少なくとも2つの分子および第二のタイプの少なくとも1つの分子を含む複合体構造を形成する。望ましくは、末端鎖の双方は、少なくとも5.0の長さを有する炭素鎖上に置換を含まない。長い炭素鎖は、第一のタイプの分子のペンダント基に結合する場合にあまり立体障害を有しないであろう。しかしながら、末端鎖の一方または双方が、メチル、エチル、プロピルなどの短い炭素鎖によって置換されることは可能である。複合体構造は、第一のタイプの分子および第二の成分が一緒に連接する前は、それらの各々よりも有意により大きい。第一のタイプおよび第二の成分の基本的な構成分子が十分に大きい場合、複合体構造はあまりにも大きくなり、ギヤボックスで典型的に見られるギヤ表面の間の高圧接触点を通るなど、過剰に高い剪断応力事象を経験する場合に、複合体構造中の攻撃されやすい部分は分裂されかねない。
(式中、丸印Aは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ベンゾフランなどの、単一または縮合した、置換されたまたは置換されていない環構造などの芳香族環構造を表し、RSは、各出現において同一または異なって、独立して、芳香族環構造に結合した置換されたまたは置換されていないヒドロカルビル基(好ましくは、アルキル基)を表し、mは正の整数である)
によって表すことができる分子を含む。本発明の油組成物の第二の成分として有用なAAベースストックでは、m≧2である。各RSは、共通の原子を共有しない末端炭素鎖を構成するであろう側鎖基と定義される。1つの端部が各RSにおける芳香族環に結合する、最長炭素鎖中の炭素原子の合計数は、側鎖基の長さまたは末端炭素鎖の長さと定義される。かくして、式(F−4)化合物の具体的な例として、2−n−ドデシル−7−n−ドデシル−ナフタレンは12の平均側鎖基長を有し、他方、1−メチル−7−n−ドデシル−ナフタレンは6.5の平均側鎖基長を有するであろう。それらの構造は、各々、式(F−5)および(F−6)において以下のように示される。
および
(F−5)分子は本発明の油組成物の第二の成分として有用であろう。なぜならば、各末端炭素鎖は5を超える炭素原子を有するからである。(F−6)分子は本発明の油成分の第二の成分として有用であろう。なぜならば、1つの末端炭素鎖は5よりも少ない炭素原子をその中に有するからである。
一般に、本発明のブレンド中のAAベースストック分子は、Lsc(10%)1〜Lsc(10%)2の範囲のLsc(10%)の側鎖基の最長10%の平均側鎖基長を有することが望まれ、Lsc(10%)1<Lsc(10%)2である限り、Lsc(10%)1およびLsc(10%)2は、独立して、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20とすることができる。
本発明のブレンド中のAAベースストック分子は、Lsc(40%)1〜Lsc(40%)2の範囲のLsc(40%)の側鎖基の最長40%の平均側鎖基長を有することがさらに望まれ、Lsc(40%)1<Lsc(40%)2である限り、Lsc(40%)1およびLsc(40%)2は、独立して、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20とすることができる。
本発明のブレンド中のAAベースストック分子は、Lsc(50%)1〜Lsc(50%)2の範囲のLsc(50%)の側鎖基の最長50%の平均側鎖基長を有することがさらに望まれ、Lsc(50%)1<Lsc(50%)2である限り、Lsc(50%)1およびLsc(50%)2は、独立して、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20とすることができる。
AAベースストックを製造するためのプロセスで用いる分子構造または化学物質、プロセス条件(例えば、用いる触媒、反応条件)、および反応メカニズムの知識を持つ当業者は、AAベースストック分子の分子構造を決定でき、よって、芳香族環に結合した側鎖基を決定でき、よって、Lsc(5%)、Lsc(10%)、Lsc(20%)、Lsc(50%)、およびLsc(100%)をそれぞれ決定できる。
望ましくは、本発明の油組成物において、アルキル化芳香族ベースストックは、Nb(AA)1〜Nb(AA)2の範囲の臭素数を有し、Nb(AA)1<Nb(AA)2である限り、Nb(AA)1およびNb(AA)2は、独立して、0、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8.1.0、1.5、2.0、2.5、3.0とすることができる。
(F-7);
(F-8);
および
(F-9)
である。
第二の成分に含有された分子の第二のタイプは、望ましくは、2000以下、好ましくは1500、1,000、800、600、または500以下さえの数平均分子量を有する。第二のタイプの小さな分子は、第一のタイプの2以上の分子とより効率的に相互作用して、大きな分子当量の剪断可能な複合体構造を形成する傾向がある。
本発明の油組成物の任意の第三の成分は、第二の成分とは反対に、ファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの分子に隣接して、安定な複合体構造を形成することができない第三のタイプの複数の分子を含み、複合体構造は、少なくとも45,000の数平均分子量を有するその第一の重い画分を含む。しかしながら、第三の成分は、第一のタイプの1つの分子に隣接することができよう。
PAO分子は、典型的には、2以上の長い炭素鎖を含有するものの、炭素鎖の間のファンデルワールス力を介して相互に強い複合体構造を形成しない傾向がある。特定の理論に拘束されるつもりはないが、これは、比較的大きな分子掃引容積、したがってまた、分子の間の不十分かつ比較的弱いカップリングのためだと考えられる。したがって、PAOベースストックは、本発明の油組成物における任意の第三の成分に適している。
第三の成分に含有された第三のタイプの分子は、望ましくは、2000以下、好ましくは1500、1,000、800、600、または500以下さえの数平均分子量を有する。第三のタイプの小さな分子は、第一のタイプの分子と相互作用して、大きな分子当量を有する剪断可能な複合体構造を形成しそうにない。
ベースストックの異なるタイプをブレンドして、処方された潤滑剤組成物を形成して、潤滑剤組成物の所望の特性を提供し得る。ある状況においては、ベースストックのこれらの異なるタイプの分子は相乗効果を生じるように相互作用し得る。例えば、慣用的なPAOベースストックは、アルキル化ナフタレンベースストックと混合すると、増強された酸化安定性を達成することができることが知られている。そのような効果は、例えば、米国特許第5,602,086号に記載されている。
本発明の油組成物は、PAOベースストックなどの第一の成分、第二の成分、および任意選択的に第三の成分を含み、各々は先に詳細に記載した。
先に示したように、第二のタイプの分子上の2つの末端炭素鎖が、0〜180°の範囲の(25℃における最低エネルギー状態での)角度シータを形成する方向に延びる場合、第一のタイプの2つの異なる分子の2つのペンダント基に結合する2つの鎖の能力は、角度シータに依存して立体障害によって影響され得る。典型的には、角度シータがより大きければ(すなわち、それが180°により近ければ)、立体障害はより小さく、角度シータがより小さければ(すなわち、それが0°により近ければ)、立体障害はより大きい。したがって、最大理論濃度の上記所望の濃度に加えて、C11×tan(シータ/4)は、第一および第二の成分の合計質量に基づいて、15質量%、12質量%、10質量%、8質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、または1質量%以下であり、C21×tan(シータ/4)は、10質量%、8質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、または1質量%以下であることがさらに望まれる。角度シータが45°以下である場合、立体障害は余りにも酷くて、分子は、ファンデルワールス力を介する第一のタイプの2つの分子の2つのペンダント基との相互作用を通じて第一のタイプの2つの分子に実質的に隣接できないと考えることができる。
特定の理論に拘束されるつもりはないが、PAO炭素骨格上のより長いペンダント基および芳香族環構造上の側鎖基の匹敵する長さは、基の間の良好な整列、より強い親和性または相互作用(例えば、ファンデルワールス力による)をもたらし、そのより良好な混合、酸化されやすいPAO分子上の部位のより大きな保護がもたらされ、よって、ブレンドの酸化安定性のより顕著な改良がもたらされると考えられる。
本発明のブレンドにおいて、PAOベースストックの分子の全てのペンダント基の最長40%は、Lpg(40%)の平均ペンダント基長を有し;アルキル化芳香族ベースストックの分子の全ての側鎖基の全ての最長40%はLsc(40%)の平均側鎖基長を有し;|Lsc(40%)−Lpg(40%)|≦Dであり、Dは8.0、7.8、7.6、7.5、7.4、7.2、7.0、6.8、6.6、6.5、6.4、6.2、6.0、5.8、5.6、5.5、5.4、5.2、5.0、4.8、4.6、4.4、4.2、4.0、3.8、3.6、3.5、3.4、3.2、3.0、2.8、2.6、2.5、2.4、2.2、2.0、1.8、1.6、1.5、1.4、1.2、1.0、0.8、0.6、0.5、0.4、0.2、0とすることができるのがさらに望まれる。好ましくは、Lsc(40%)>Lpg(40%)である。
潤滑油組成物は、当該分野で共通するように、いずれかの1以上の添加剤を含むこともできる。1つの実施形態において、潤滑剤は、酸化阻害剤、抗酸化剤、分散剤、洗剤、腐食阻害剤、錆阻害剤、金属不活性化剤、摩耗防止剤、極圧添加剤、耐焼付剤、非オレフィンをベースとする流動点降下剤、ワックス改質剤、粘度指標改良剤、粘度改質剤、流体−損失添加剤、シール適合剤、摩擦改質剤、潤滑剤、防汚剤、発色剤、脱泡剤、抗乳化剤、乳化剤、圧密化剤、湿潤剤、ゲル化剤、粘着付与剤、着色剤、およびそれらのブレンドなどの1以上の添加剤を含む。
望ましくは、本発明の油組成物は、Nb(b1)1〜Nb(b1)2の範囲の総臭素数を有し、NB(b1)1<Nb(b1)2である限り、Nb(b1)1およびNb(b1)2は、独立して、0、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0とすることができる。
以下の非限定的例によって、本発明をさらに説明する。
第一のベースストック(BS1):約300cStの典型的なKV100、約6660の数平均分子量(Mn)、および以下のような数平均分子量分布を有する、メタロセン触媒系の存在下で、70:30の質量比(約78:22のモル比)で1−オクテンおよび1−ドデセンのモノマー混合物から製造されたmPAOベースストック
第三のベースストック(BS3):上記式(F−8)によって表されるエステルベースストック。BS3の各分子は、ほぼ180°の角度シータを形成する方向に延びる2つのC8末端鎖を含み、それが、十分に強いファンデルワールス力を介して(上記BS1などの)油成分の第一のタイプの2つの分子のペンダント基にリンクするのを可能として、本発明の油組成物の有力な第二の成分として機能する、比較的安定で強力な第一の複合体構造を形成する。
第五のベースストック(BS5):上記式(F−9)によって表されるエステルベースストック。BS5の各分子は、約60°の角度シータを形成する方向に延びる2つのC8末端鎖を含む。理論的には、C8末端炭素鎖の各々は、ファンデルワールス力を介して(上記BS1などの)油組成物の第一の成分の第一のタイプの2つの分子のペンダント基とリンクすることができる。しかしながら、C8末端炭素鎖の2つに連結した、特にそれらが大きい場合の、(上記BS1などの)第一のタイプのいずれかの2つの分子の立体障害は、有意な立体障害のため、そのような第一の複合体構造の安定性を低下させるのに有意に十分であり得る。したがって、BS4の分子は本発明の油組成物の第二の成分として機能し得るが、その効率は、約0.27である、tan(シータ/4)倍だけ増大する。
種々の添加剤パッケージ(AdPak):添加剤パッケージは、典型的には、酸化抵抗性の増強された性能、摩耗耐性、発泡などの複数の目的で、ベースストックに加えて、処方された潤滑油組成物に添加される。異なる油組成物(工業用グリース油、自動車グレート油、モーター油など)のためのAdpakは非常に異なり得る。
以下の潤滑油組成物を処方し、種々の特性、特に剪断安定性(SS20、SS100、およびSS192)について試験した。これらの油組成物はAGO90グレードに対応する。このグレードについての同一の典型的なAdpak−1を同一の処理率(treat rate)(質量パーセントで表した濃度)でこれらの例で用いた。BS1は、全てのこれらの組成物において、適切には同一の処理率で用いた。例A2、A3、A4、およびA5において、4つの異なる共ベースストック、BS2、BS3、BS4、およびBS5を約20質量%の同一処理率で含め、同一の共ベースストックBS6を、非常に近い処理率にて実質的に低粘度希釈剤として含めた。例A1において、BS6のみを共ベースストックとして用いた。これらの例は、BS1の分子(特に、少なくとも22,500の数平均分子量を持つものなどの、大きな分子量画分)と、BS2、BS3、BS4、およびBS5の分子との間の相互作用のためである、組成物の異なるSS192を示した。AN1、BS3、BS4、およびBS5分子の合計モルは示された処理率においてBS1の合計モルよりもかなり大きいゆえに、少なくとも、例えば、40,000、または45,000、または50,000、または60,000さえの数平均分子当量を有する剪断可能な複合体構造の最大理論濃度は、各々、BS1における重い画分の濃度、およびBS2、BS3、BS4、およびBS5の分子構造によって決定される。
例A2において、BS2は、ファンデルワールス力を介する長いペンダント基との相互作用を通じて2つのBS1分子を接合させることができない、単一の長い末端炭素鎖(ナフタレン核に連結した側鎖)を有する約90モル%の分子を含む。BS2は、さらに、約180°の角度シータにて広がった2つの長い末端炭素鎖を有する約10モル%の分子を含む。BS3分子と同様に、これらの2−アームBS2分子は、2つのBS1分子を接合させて、安定な複合体構造を形成する強い能力を有する。しかしながら、例A3におけるよりもそのような2−アーム分子の有意により小さな濃度のため、例A2の油は、例A3よりもかなり小さなSS192を示した。
例A1に関して、2つのBS1分子に結合することができる2つのアームを有する追加のベースストック材料は、BS6およびBS1それ自体以外は含まれないゆえに、油組成物は、全ての例A1、A2、1C、A4、およびA5の中で最低のSS192を示した。例A1は、SB1の分子およびSB7の分子の間、およびそれらの中での相互作用は、SS192への寄与に関して、SB1の分子およびBS2、BS3、BS4、およびBS5の分子と比較して無視できることも示す。SB7およびBS2、BS3、BS4、およびBS5は全てがそれ自体かなり安定で小さな分子であるゆえに、それらの相互作用の結果、試験条件下で有意な剪断破壊を結果としてもたらすのに十分に大きくかつ安定な複合体構造は結果としてもたらされないであろう、と考えられる。
例A1−A5と同様に、一連の油配合物B1−A5は、同一のベースストックから形成し、SS192を含めた特性について試験した。これらの油組成物は、工業用グリース油IGO VG100グレードに対応する。このグレードに特異的な、異なる添加剤パッケージAdpak−2を用いた。組成および特性のデータは、以下の表IIに含める。
共ベースストックの間の相互作用がSS192に及ぼす効果を調べるために、一連の油組成物C1−C18を、SB1と、SB7と、BS2、BS3、BS4、およびBS5のうちの1つとの混合物から製造し、SS192を含めた特性について試験した。データは、以下の表IIIaおよび表IIIbに報告する。表IIIaおよび表IIIbに示されたデータは、図1に示す棒グラフにプロットする。
図1から明瞭に分かるように、BS1/BS3混合物を含む油組成物では、BS3の濃度がより高ければ、測定されたSS192はより大きい。これは上記理論と合致し:約180°の角度シータを有する方向に延びる2−アームを備えた分子を有する共ベースストックは、BS1の大きな分子をリンクさせて、大きく、安定で剪断可能な複合体構造を形成する最強能力を有する傾向がある。
A1.第一の成分および第一の成分とは異なる第二の成分を含む油組成物であって、
第一の成分は、各々が複数のペンダント基を有する第一のタイプの複数の分子を含むベースストックであり、(i)第一のタイプの分子の全てのペンダント基の最長5モル%の平均ペンダント基長は、Lpg(5%)の平均ペンダント基長を有し、Lpg(5%)≧5.0であり;(ii)第一のタイプの分子の一部は、20,000よりも大きな、またはそれと等しい数平均分子量を有し;
第二の成分は、各々が共通の炭素原子を共有しない2つの末端炭素鎖を含む第二のタイプの複数の分子を含み、(i)第二の成分の数平均分子量は2,000以下であり;(ii)2つの末端炭素鎖は5.0と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有し;
第二のタイプの単一の分子は、第一のタイプの分子のペンダント基と第二のタイプの単一の分子における2つの末端炭素鎖との間のファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの分子に隣接して、第一の複合体構造を形成することができ、第一の複合体構造は、少なくとも45,000の数平均分子当量を有するその第一の重い画分を含み;
第一の成分および第二の成分の合計質量に基づいた、第一の複合体構造の第一の重い画分の合計最大理論濃度はC11(max)質量%であり;
C11(max)≦20、好ましくはC11(max)≦15、好ましくはC11(max)≦10、好ましくはC11(max)≦8、好ましくはC11(max)≦5、好ましくはC11(max)≦3、好ましくはC11(max)≦1である、油組成物。
A2.第二のタイプの分子における2つの末端炭素鎖は、第二のタイプの分子が25℃において最低のエネルギー状態にあると仮定すれば、180°以下の角度シータを形成する方向に延び;
C11(max)・tan(シータ/4)≦15、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦10、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦8、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦5、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦4、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦3、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦1である、A1に記載の油組成物。
A3.第一の複合体構造の第一の重い画分は、少なくとも60,000の数平均分子量を有するその第二の重い画分を含み、
第一の成分および第二の成分の合計質量に基づいた、第一の複合体構造の第二の重い画分の合計最大理論濃度はC12(max)質量%であり、
C12(max)×tan(シータ/4)≦5、好ましくはC12(max)×tan(シータ/4)≦4、好ましくはC12(max)×tan(シータ/4)≦3、好ましくはC12(max)×tan(シータ/4)≦2、好ましくはC12(max)×tan(シータ/4)≦1である、A1またはA2に記載の油組成物。
A4.C12(max)≦5、好ましくはC12(max)≦4、好ましくはC12(max)≦3、好ましくはC12(max)≦2、好ましくはC12(max)≦1である、A3に記載の油組成物。
A6.Lpg(5%)≧8.0、好ましくはLpg(5%)≧10.0、好ましくはLpg(5%)≧12.0、好ましくはLpg(5%)≧14.0、好ましくはLpg(5%)≧16.0である、A1からA5までのいずれか1つに記載の油組成物。
A7.第二のタイプの分子に関して、末端炭素鎖の少なくとも2つは0.80*Lpg(5%)と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有する、A1からA6までのいずれか1つに記載の油組成物。
A9.第二のタイプの分子に関して、末端炭素鎖の少なくとも2つは12と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有する、A1からA8までのいずれか1つに記載の油組成物。
A10.第一のタイプの分子は、少なくとも60モル%の平均アイソタクチック性を有するPAO分子である、A1からA9までのいずれか1つに記載の油組成物。
A11.100°≦シータ≦180である、A1からA10までのいずれか1つに記載の油組成物。
A13.第二の成分は、アルキル化ナフタレンベースストックである、A12に記載の油組成物。
A14.各々が、同時に、ファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの異なる分子のペンダント基に結合することができるように、第二のタイプの複数の分子は、100°〜180°の範囲の角度シータを形成する方向に延びる芳香族環に連結した2つのアルキル基を含む、A12またはA13に記載の油組成物。
A15.2つのアルキル基は少なくとも12の長さを有する、A14に記載の油組成物。
A16.第二の成分は、長鎖アルキルカルボン酸およびポリオールのエステル;ならびに長鎖アルキルアルコールとポリカルボン酸;リン酸;硫酸;またはスルホン酸とのエステルから選択される潤滑添加剤である、A1からA15までのいずれか1つに記載の油組成物。
SS20≦10%;および
SS100≦10%。
A18.以下のように、剪断安定性性能を有する、A1からA17までのいずれか1つに記載の油組成物:
SS100≦5%;
SS192≦10%;および
SS192>SS100。
A19.第一の成分および第二の成分とは異なる第三の成分をさらに含み、第三の成分は第三のタイプの複数の分子を含み、第三のタイプの分子は、ファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの分子に隣接して、安定な複合体構造を形成することができない、A1からA18までのいずれか1つに記載の油組成物。
A21.第三のタイプの分子は、Lpg(5%)と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有する1個のみまたは0個の末端炭素鎖を含む、A20に記載の油組成物。
A22.第三のタイプの分子は、0°〜45°の範囲の角度シータを形成する方向に延び、かつ同時に、実質的に立体障害を含まない、ファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの異なる分子のペンダント基に結合することができない2つの炭素鎖を含む、A19に記載の油組成物。
A23.第三のタイプの分子は、少なくとも70モル%のアイソタクチック性を有するPAO分子である、A19からA22までのいずれか1つに記載の油組成物。
A24.第三の成分は、アルキル化芳香族炭化水素ベースストックである、A19からA23までのいずれか1つに記載の油組成物。
A26.第三の成分は、潤滑添加剤成分である、A1からA25までのいずれか1つに記載の油組成物。
A27.第三のタイプの分子は、せいぜい2000の数平均分子量を有する、A19からA26までのいずれか1つに記載の油組成物。
(I)各々が複数のペンダント基を有する第一のタイプの複数の分子を含む第一の成分を準備する工程であって、(i)第一のタイプの分子の全てのペンダント基の最長5モル%の平均ペンダント基長はLpg(5%)の平均ペンダント基長を有し、Lpg(5%)≧5.0であり;(ii)第一のタイプの分子の一部は、20,000よりも大きな、またはそれと等しい数平均分子量を有する、工程と;
(II)各々が共通の炭素原子を共有しない2つの末端炭素鎖を含む第二のタイプの複数の分子を含む第二の成分を準備する工程であって、(i)第二の成分の数平均分子量は2,000以下であり;(ii)2つの末端炭素鎖は5.0と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有し;
第二のタイプの単一の分子は、第一のタイプの分子のペンダント基と第二のタイプの単一の分子における2つの末端炭素鎖との間のファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの分子に隣接して、第一の複合体構造を形成することができ、第一の複合体構造は、少なくとも45,000の数平均分子当量を有するその第一の重い画分を含む、工程と;
(III)第一の成分および第二の成分の合計質量に基づいた、第一の複合体構造の第一の重い画分の合計最大理論濃度がC11(max)質量%となるように、第一の量の第一の成分および第二の量の第二の成分を混合する工程とを含み、
C11(max)≦20、好ましくはC11(max)≦18、好ましくはC11(max)≦15、好ましくはC11(max)≦10、好ましくはC11(max)≦8、好ましくはC11(max)≦5、好ましくはC11(max)≦3、好ましくはC11(max)≦1である、方法。
C11(max)・tan(シータ/4)≦15、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦10、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦8、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦5、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦4、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦3、好ましくはC11(max)×tan(シータ/4)≦1である、B1に記載の方法。
B3.第一の複合体構造の第一の重い画分は、少なくとも60,000の数平均分子量を有するその第二の重い画分を含み、
第一の成分および第二の成分の合計質量に基づいた、第一の複合体構造の第二の重い画分の合計最大理論濃度はC12(max)質量%であり、
C12(max)×tan(シータ/4)≦5、好ましくはC12(max)×tan(シータ/4)≦5、好ましくはC12(max)×tan(シータ/4)≦5、好ましくはC12(max)≦5、好ましくはC12(max)≦3、好ましくはC12(max)≦2、好ましくはC12(むmax)≦1である、B1またはB2に記載の方法。
工程(III)は、第三の量の第三の成分を第一の成分および第二の成分と混合することも含む、B1からB3までのいずれか1つに記載の方法。
B5.第三のタイプの分子は、5.0と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有する1個または0個の末端炭素鎖を含む、B4に記載の方法。
B6.第三のタイプの分子は、Lpg(5%)と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有する1個または0個の末端炭素鎖を含む、B5に記載の方法。
B8.第三の成分が潤滑添加剤である、B1からB7までのいずれか1つに記載の方法。
Claims (25)
- 第一の成分および第一の成分とは異なる第二の成分を含む油組成物であって、
第一の成分は、各々が複数のペンダント基を有する第一のタイプの複数の分子を含むベースストックであり、(i)第一のタイプの分子の全てのペンダント基の最長5モル%の平均ペンダント基長は、Lpg(5%)の平均ペンダント基長を有し、Lpg(5%)≧5.0であり;(ii)第一のタイプの分子の一部は、20,000よりも大きな、またはそれと等しい数平均分子量を有し;
第二の成分は、各々が2つの末端炭素鎖を含む第二のタイプの複数の分子を含み、(i)第二の成分の数平均分子量は2,000以下であり;(ii)2つの末端炭素鎖は5.0と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有し、かつ共通の炭素原子を共有せず;
第二のタイプの単一の分子は、第一のタイプの分子のペンダント基と第二のタイプの単一の分子における2つの末端炭素鎖との間のファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの分子に隣接して、第一の複合体構造を形成することができ、第一の複合体構造は、少なくとも45,000の数平均分子当量を有するその第一の重い画分を含み;
第一の成分および第二の成分の合計質量に基づいた、第一の複合体構造の第一の重い画分の合計最大理論濃度はC11(max)質量%であり;
C11(max)≧20である、油組成物。 - 第二の成分の第二のタイプの分子における2つの末端炭素鎖は、第二のタイプの分子が25℃において最低エネルギー状態にある場合、180°以下の角度シータを形成する方向に延び、
C11(max)×tan(シータ/4)≦10である、請求項1に記載の油組成物。 - C11(max)≦10である、請求項1または2に記載の油組成物。
- 第一の複合体構造の第一の重い画分は、少なくとも60,000の数平均分子当量を有するその第二の重い画分を含み、
第一の成分および第二の成分の合計質量に基づいた、第一の複合体構造の第二の重い画分の合計最大理論濃度は、C12(max)質量%であり、
C12(max)×tan(シータ/4)≦5である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の油組成物。 - C12(max)≦5である、請求項4に記載の油組成物。
- Lpg(5%)≧8.0である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 第二のタイプの分子に関して、末端炭素鎖の少なくとも2つは0.80*Lpg(5%)と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 第二のタイプの分子に関して、末端炭素鎖の少なくとも2つは12と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 第一のタイプの分子は、少なくとも60モル%の平均アイソタクチック性を有するPAO分子を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 100°≦シータ≦180°である、請求項2から9までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 第二の成分は、アルキル化芳香族炭化水素ベースストックを含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 各々が、同時に、ファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの異なる分子のペンダント基に結合することができるように、第二のタイプの複数の分子は、120°〜180°の範囲の角度シータを形成する方向に延びる芳香族環に連結した2つのアルキル基を含む、請求項11に記載の油組成物。
- 第二の成分は、長鎖アルキルカルボン酸およびポリオールのエステル;ならびに長鎖アルキルアルコールとポリカルボン酸;リン酸;硫酸;またはスルホン酸とのエステルから選択される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 以下のように、剪断安定性性能を有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の油組成物:
SS20≦10%;
SS100≦5%;
SS192≦10%;および
SS192>SS100。 - 第一の成分および第二の成分とは異なる第三の成分をさらに含み、第三の成分は第三のタイプの複数の分子を含み、第三のタイプの個々の分子は、ファンデルワールス力を介して第一のタイプの1以下の分子に隣接して、安定な複合体構造を形成することができる、請求項1から14までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 第三のタイプの分子は、5.0と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有する1個のみまたは0個の末端炭素鎖を含む、請求項15に記載の油組成物。
- 第三のタイプの分子は、0°〜45°の範囲の角度シータを形成する方向に延び、かつ同時に、立体障害を実質的に含まない、ファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの異なる分子のペンダント基に結合することができない2つの炭素鎖を含む、請求項15または16に記載の油組成物。
- 第三の成分は、アルキル化芳香族炭化水素ベースストックである、請求項15から17までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 第三のタイプの複数の分子は、0°〜45°の範囲の角度シータを形成する方向に延び、かつ同時に立体障害を実質的に含まない、第一のタイプの2つの異なる分子のペンダント基に結合することができない芳香族環に連結した2つのアルキル基を含む、請求項15から17までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 第三の成分は、潤滑添加剤成分である、請求項15から19までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 第三のタイプの分子は、最大2000までの数平均分子量を有する、請求項15から20までのいずれか1項に記載の油組成物。
- 高剪断安定性性能を有する油組成物を形成する方法であって、以下の工程:
(I)各々が複数のペンダント基を有する第一のタイプの複数の分子を含む第一の成分を準備する工程であって、第一のタイプの分子の全てのペンダント基の最長5モル%の平均ペンダント基長はLpg(5%)の平均ペンダント基長を有し、Lpg(5%)≧5.0である、工程と;
(II)各々が共通の炭素原子を共有しない少なくとも2つの末端炭素鎖を含む第二のタイプの複数の分子を含む第二の成分を準備する工程であって、末端炭素鎖の少なくとも2つは5.0と等しい、またはそれよりも大きな鎖長を有し;第二のタイプの単一の分子はファンデルワールス力を介して第一のタイプの2つの分子に隣接して、第一の複合体構造を形成することができ、第一の複合体構造は、少なくとも45,000の数平均分子当量を有するその第一の重い画分を含む、工程と;
(III)第一の成分および第二の成分の合計質量に基づいた、第一の複合体構造の第一の重い画分の合計最大理論濃度がC11(max)質量%となるように、第一の量の第一の成分および第二の量の第二の成分を混合する工程とを含み;
C11(max)≦20である、方法。 - 第二のタイプの分子が25℃において最低エネルギー状態にある場合、第二のタイプの分子における2つの末端炭素鎖は、180°以下の角度シータを形成する方向に延び、
C11(max)×tan(シータ/4)≦10である、請求項22に記載の方法。 - C11(max)≦10である、請求項23に記載の方法。
- (IV)第一の成分とは異なる第三の成分を準備する工程であって、第三の成分は第三のタイプの複数の分子を含み、第三のタイプの個々の分子は、ファンデルワールス力を介して第一のタイプの1以下の分子に隣接して、安定な第一の複合体構造を形成することができる、工程をさらに含み;
工程(III)は、第三の量の第三の成分を第一の成分および第二の成分と混合することも含む、請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載の方法。
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