JP2019520677A - 電気化学におけるアジュバントとしてのイオン液体の使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は電気化学におけるアジュバントとしてのイオン液体の使用に関する。特に本発明は少なくとも1つの有機分子を水相に対して可溶化するか、または水溶性を増加させるイオン液体の使用に関する。【選択図】なし

Description

本発明は電気化学におけるアジュバントとしてのイオン液体の使用に関する。
特に本発明は少なくとも1つの有機分子を水相に対して可溶化するか、または水溶性を増加させるイオン液体の使用に関する。
溶液は大量の化合物と少量の化合物の混合物である。大量の化合物は溶媒と称され、かつ少量の化合物は溶質と称される。溶媒および溶質からなる得られた混合液は、溶媒と溶質の間に存在する分子間の相互作用のために均一な液相を構成している。この現象は溶解として定義され、それを超えると飽和に達することとなる溶質量までに限られる。この段階では溶質はもはや溶解せず、また溶液は均一になる。溶質が過剰になると一般的に固形性の第2相が形成されるが、時には初期溶液と混和しない液体の形で現れることもある。
分子の可溶化を最適化するのに最も簡単なアプローチは前記分子の両極性に基づき、そのモーメントのユニットがデバイ(Debye、以下D)になっている双極子モーメントμにより特徴付けられる。従って無極性の有機分子はヘキサン、シクロヘキサン、テトラクロロメタン、トルエンなどの無極または低極性(μ < 1D)である溶媒に対して可溶性となる。これとは逆に極性分子の溶解は水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトンなどの極性溶媒(μ > 1.5 D)により促進される。
溶媒中の分子の低溶解性は、所望生成物を大量に得ることを目的とする化学合成の場合には制約となる。この限界があるために、必然的に溶媒の使用量が増加し、たちまち管理が困難になる。しかし導電性溶液に分子を溶解することが必要になればすぐに、この制約は克服できなくなる。その際には一方において導電性塩の溶解を、また他方では有機分子の溶解を考慮する必要がある。これらの溶液は分子電解質溶液と称され、特に電気化学による合成(電解合成)と、電気化学的貯蔵(セルおよびバッテリー)プロセスとに向けられる。これらの実施には互いに逆効果であると立証されている2つの溶解ステップが含まれる。
第1ステップはイオン塩(例えば、NaCl、Na2SO4、KOH、KClなど)の溶解から成るが、この目的はイオン伝導率を確保するために正負の電荷の少なくとも0.1 mol.L-1を自由にすることである。塩の溶解は極性溶媒により容易になり、また電荷を解離する能力は溶媒の相対誘電率εrの値により測定される。水(εr = 80)などの増加した誘電率の極性溶媒は正負の電荷を容易に分離する。逆にエタン酸(εr = 6.2)などの低い誘電率の溶媒は電荷を分離せず、また好ましくは低いイオン伝導率に導くイオン対を形成する。
第2ステップは有機分子の溶解から成る。残念ながら、その特性から水、炭酸プロピレン、またはギ酸などの最大の解離能を有する極性溶媒は、一般的に脂肪族または芳香族の基などの低極性の基、または-NH2、-COOH、SO3Hなどの1つ以上の非イオン化官能基を含めて、これらの分子の可溶には非常に貧溶媒である。最後に好ましくは、これらの分子は無極性溶媒に対して可溶性である。
結論として分子電解質溶液の開発には、溶媒は極性および非極性でなければならず、増加した相対誘電率がなくてはならない。残念ながら、これらのパラメータを有している溶媒は存在しない。次の例はこの問題を示している。NaCl、KCl、Na2SO4などの通常の塩は増加した相対誘電率の極性溶媒中で著しく可溶性である。これら2つのパラメータ(極性および誘電率)により、水は、そこに浸した2つの電極間において、そのイオン伝導率が1 A.cm-2の電流強度を達成することが可能である溶液の形成が可能な唯一の溶媒であることに留意するべきである。残念ながら水は無極性基を含む有機分子の可溶化には非効率な溶媒である。
これとは逆にジクロロメタンなどの有機分子に対して良好に可溶する有機溶媒は、通常のイオン塩を溶解しないか、または導電体として塩を乏しく、かなり不十分に溶解するのみである。しかし有機分子とイオン塩の両方を溶解できるDMSOなどの中間溶媒は存在する。しかし相対誘電率が低いことから、DMSOは解離をほとんど起こさない溶媒であり、溶液中にて多くの電荷に至らず、媒質のイオン伝導率を制限する。
それ故に現時点では電離質塩または有機分子の性質を修飾することのみにより、可溶性の増加が可能となる。しかし、これら2つの変換の限界はすぐに明らかとなる:
電離質塩:好ましくは、有機分子は有機溶媒(ジクロロメタン、アセトニトリルなど)に対して可溶性であり、それ故に重要な事は電解質溶液の提供のために、有機媒質中の正負の電荷を可溶化することである。1つの解決策としては、正電荷または負電荷が無極性環境によって保護されている分子イオンを使うことである。例えば、これにはテトラ-n-ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートの場合があたる。
事実として、テトラ-n-ブチルアンモニウムの場合、それぞれのイオンについて電荷は分子構造の中央に閉じ込められており、また無極性環境を考慮すれば、表面電荷密度は低度であり、高極性または低極性の有機溶媒とこれらイオンとの親和力を導く。この方法は塩の良好な可溶化力を導く一方で、イオンの解離は低くなる。溶液の伝導率は低くとどまり、またこれらの塩の購入価格が高いことを考慮に入れれば、これらの条件での工業電解法の提供の可能性は無いと思われる。この技術は分析レベルで表現されるのみであり、cm3の範囲での極めて小さな溶液体積を用いる。
有機分子:この戦略は上記の戦略の反対である。これはイオン伝導率が最大である溶媒の検討に基づいている。これは水の場合で、水が最高の候補であるのは高濃度の非有機イオン塩(NaCl、Na2SO4など)において、溶解が問題にならないからである。加えて溶液のpHはNaOH、KOH、HCl、H2SO4などの無機化合物から放出されるOH-またはH3O+イオンを用いて制御可能である。この場合、有機分子の可溶化は一定の条件下でのみ実施可能である。
- 分子が官能基−OH(糖の場合)か、それ程ではないが官能基SH(いくつかのアミノ酸の場合)を持つ時。
- 次のイオン化官能基が溶液中に現れる時:-NH3 +、-COO-、-SO3 -
この戦略は水との相互作用および可溶化作用が強い場合での、低分子量の有機分子の場合には申し分ない。逆に脂肪族鎖および芳香族環のサイズが大きくなるとすぐに(これが一般的なケース)、分子の可溶性を確保するために、これらには数多くのイオン化官能基を伴うことが不可欠となる。それ故、目標分子を官能化するために連続的化学合成ステップの提供が必要である。この方法は難しく、計画されたステップの数によってコストが増加する。加えて種々の修飾がなされると、それらが分子の本来の化学特性を修飾するリスクがある。
このことから導電性溶液中の電気活性有機分子の可溶化は、電気化学的プロセスを実施する時には重要な問題である。この難しさは同じ溶媒中における支持電解質との、さらに異なる物理化学的性質を有する有機分子との可溶化に関連している。最適な方法は適切な溶媒との親和性を最適化するために、有機分子または支持電解質を化学的に修飾する方法である。しかし可溶性の増大は多数の化学合成ステップの提供ニーズに基づくのだが、すぐに厄介なことが分かる。それ故にこの方法は、産業上高分子濃度である大量の分子電解質溶液を供給するには不適切である。
従って本発明の目的の1つは、合成ステップを増やさずに水溶液に対して可溶性であるか、または難溶性である有機溶媒の可溶性の増加である。
本発明の別の目的は合成ステップを増やさずに、水溶液に対して不溶性である有機分子の可溶化である。
本発明の別の目的は有機分子の水溶化方法の提供である。
本発明の別の目的は電気化学的貯蔵のプロセスを実施するための電解装置の提供である。
また本発明は、少なくとも1つの無機塩を含む水溶液中の少なくとも1つの有機分子の可溶性を増加させて電解質溶液を取得するために、前記水溶液中に少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子を少なくとも実質的に化学量論的量で存在させる、少なくとも1つのイオン液体の使用に関する。
驚くことに、本件発明者は少なくとも実質的に化学量論的量のイオン液体を、水溶液に対して可溶性または難溶性である少なくとも1つの有機分子へ添加することで、前記分子の水溶液に対する可溶性の増加が可能であることを発見した。
本発明の意味において用語「少なくとも1つの有機分子の可溶性を増加させる」は、問題となっている水溶液中において有機分子がイオン液体を含まない場合において不溶性、難溶性、または可溶性という意味である。
不溶性有機分子については、イオン液体を添加することにより水溶液中で0.1Mの有機分子濃度を達成できる。
難溶性または可溶性の有機分子についてイオン液体を添加することで、有機分子の水溶液中濃度を1.5倍、2倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍にさえすることを可能にする。水溶液に対する可溶性増加に関するこの倍数は問題となっている有機分子の分子量に依存する。
用語「水溶液」は主として水を含む液相という意味である。またこの液相は1つ以上の添加剤を任意に含むことができる。添加剤は1つの化合物、または複数の化合物の混合であり、少量添加され、その役割は溶液の特性の修飾である。本発明の意味において、用語「添加剤」は本発明の電解質溶液にまだ含まれていないものという意味であり、つまりイオン液体、有機分子、または無機塩(以下に定義するように)以外の1つの化合物、または複数の化合物の混合である。例えば本発明の添加剤は水に可溶性な有機溶媒(DMSO、アセトニトリル、メタノール、エタノールなど)か、酸性緩衝液を形成するための弱酸およびその共役塩基の混合液か、または塩基性緩衝液を形成するための弱い塩基およびその共役酸の混合液から選択される。用語「緩衝液」は少量の酸または塩基の添加があっても、または希釈があってもpHがほぼ一定に保たれている溶液という意味で理解される。用語「pHがほぼ一定に保たれている」は偏差がpH単位で1未満または1に等しいと観測されるという意味である。「酸性緩衝液」はpHが1〜7の緩衝液を示す。「塩基性緩衝液」はpHが7〜13の緩衝液を示す。液相における添加剤の比率は2 mol.L-1を超えない。
用語「主として水を含む液相」は少なくとも70%の水からなる液相を含む。
用語「電解質溶液」はイオンを含む水溶液を意味する。本発明の意味において、この用語は導電率が40 mS.cm-1以上である溶液を定義する。
「イオン液体」は一般的に100℃未満の温度で、有利には周囲温度以下での液体状態におけるカチオンとアニオンの会合により形成される塩である。
溶媒の量よりもおしなべて少ない量で導入されるので、本発明のイオン液体はアジュバントである。この目的は水中での有機分子の可溶性の調節である。このことから本発明のイオン液体は、可溶化の役割を有するアジュバントであり、電解質溶液での比率を理由として溶媒と混同するべきではない。
本発明の意味において用語「少なくとも実質的に化学量論的量」は、イオン液体および有機分子のモル量の比率が少なくとも0.8であることを意味する。この比率は5の値まで達し得る。この比率の上限は電解質溶液の導電率を40 mS.cm-1以上で保持できる上限となる。このことから本発明ではイオン液体および有機分子のモル量の比率は、例えば次の値を仮定できる:0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5。
イオン液体が非常に多くの量で溶液に導入された時、溶液の導電率が減少したために電気化学的応答は有意に減少する。確かに有機分子濃度より5倍超のイオン液体濃度の場合、電解質溶液の電気抵抗は急速に大きくなる。これらの条件下では、これらの混合液は強い電流が流れる電気化学的プロセスでの使用には不適切となる。
これとは逆に、イオン液体および有機分子のモル量の比率が0.8未満では、電気化学的応答は向上する。しかし溶液はますます、かつ急速に「糊状(pasty)」になり、数分後には凝固し始める。これらの条件下のイオン液体はもはや可溶化の役割を果たせない。
「導電率」はS.cm-1で表示され、電荷を自由に動かせる溶液の能力を定義し、よって電流の通過を可能にする。従って導電率およびイオンの移動度の概念は関連しており、同時に変化する。その上、導電率の概念は電流通過に対する成分の特性を反映する「電気抵抗」の概念の反対である。
具体的な実施形態の説明
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの無機塩を含む水溶液中の難溶性、または可溶性である少なくとも1つの有機分子の可溶性を増加させて電解質溶液を取得するために、前記水溶液中に少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子を少なくとも実質的に化学量論的量で存在させる、少なくとも1つのイオン液体の使用に関する。
用語「少なくとも1つの難溶性または可溶性の有機分子の可溶性を増加させる」は、有機分子がイオン液体を含まない場合において問題となっている水溶液に対して難溶性、または可溶性であるという意味である。
従ってイオン液体を添加することで、有機分子の水溶液中濃度を1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍にさえすることを可能にする。水溶液に対する可溶性増加に関するこの倍数は問題となっている有機分子の分子量に依存する。
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの無機塩を含む水溶液中の少なくとも1つの有機分子の可溶性を増加させて電解質溶液を取得するために、前記水溶液中に少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子を実質的に化学量論的量で存在させる、少なくとも1つのイオン液体の使用に関する。
驚くことに、本件発明者は実質的に化学量論的量のイオン液体を、水溶液に対して可溶性または難溶性である少なくとも1つの有機分子へ添加することで、前記分子の水溶液に対する可溶性の増加が可能であることを発見した。
本発明の意味において用語「実質的に化学量論的量で」は、イオン液体および有機分子のモル量の比率が少なくとも0.8から1.2の値であるという意味である。
これらの条件下では、電解質溶液の導電率は最適である。
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの無機塩を含む水溶液中の少なくとも1つの有機分子を可溶化させて電解質溶液を取得するために、前記水溶液中に少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子を少なくとも実質的に化学量論的量で存在させる、少なくとも1つのイオン液体の使用に関する。
驚くことに、本件発明者は少なくとも実質的に化学量論的量のイオン液体を、水溶液に対して不溶性である少なくとも1つの有機分子へ添加することで、前記分子の水溶液に対する可溶性の増加が可能であることを発見した。
用語「少なくとも1つの有機分子を可溶化する」は、水溶液に対して不溶性である有機分子の水可溶化を意味する。
本発明の意味において、用語「水溶液に対して不溶性である有機分子」は、イオン液体を含まない場合において有機分子が水溶液中で0.1M未満の可溶性を有するという意味である。イオン液体を添加することにより、水溶液中で0.1Mの有機分子濃度の達成が可能となる。
本発明の一実施形態では少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は親水性アニオンを含む。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記親水性アニオンはメタンスルファート、エタンスルファート、塩化物、ヨウ化物、テトラフルオロボラート、チオシアネート、ジシアナミド、トリフルオロアセテート、ニトレート、またはヘキサフルオロホスファートアニオンから選択される。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記親水性アニオンはメタンスルファート、エタンスルファート、テトラフルオロボラート、またはジシアナミドアニオンから選択される。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は芳香族複素環カチオンを含む。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は芳香族複素環カチオンを含み、前記少なくとも1つのイオン液体はイミダゾリウム、ピリジニウム、またはキノリニウムから選択される芳香族複素環カチオンを含む。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は、親水性アニオンと芳香族複素環カチオンとを含む。
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は、式(I-a)のピリジニウムエタンスルファート、式(I-b)のイミダゾリウムエタンスルファート、式(I-c)のイミダゾリウムメタンスルファート、式(I-d)のイミダゾリウムジシアナミド、式(I-e)のイミダゾリウムテトラフルオロボラート、または式(I-f)のキノリニウムメタンスルファートから選択される:
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は脂肪族カチオンを含む。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体はアンモニウムから選択される脂肪族カチオンを含む。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は親水性アニオンと脂肪族カチオンとを含む。
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は式(I-g)のアンモニウムメタンスルファートである:
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は親水性アニオンと芳香族複素環カチオンまたは脂肪族カチオンを含む:
前記親水性アニオンは特に、メタンスルファート、エタンスルファート、塩化物、ヨウ化物、テトラフルオロボラート、チオシアネート、ジシアナミド、トリフルオロアセテート、ニトレート、またはヘキサフルオロホスファートアニオンから選択され、好ましくはメタンスルファート、エタンスルファート、テトラフルオロボラート、またはジシアナミドアニオンから選択される;
前記芳香族複素環カチオンは特にイミダゾリウム、ピリジニウム、またはキノリニウムから選択されるか;あるいは前記脂肪族カチオンは特にアンモニウムから選択される;
前記少なくとも1つのイオン液体は、式(I-a)のピリジニウムエタンスルファート、式(I-b)のイミダゾリウムエタンスルファート、式(I-c)のイミダゾリウムメタンスルファート、式(I-d)のイミダゾリウムジシアナミド、式(I-e)のイミダゾリウムテトラフルオロボラート、式(I-f)のキノリニウムメタンスルファート、または式(I-g)のアンモニウムメタンスルファートから選択される。
とりわけ特性により、多くのイオン液体をアジュバントとして使用することも可能である。確かにイオン液体は可溶化される有機分子と強い親和性を持っているが、その融点または粘度が高すぎて溶液を得るのが難しい。この場合アジュバントの可溶化力を増加させながらも、溶液を得るために、より好適な特性を有する第2のイオン液体を添加できる。この場合イオン液体は、少なくとも1つの有機分子の可溶性と電解質溶液の粘度との両方の調節を可能にする。
「粘度」は物質の質量における、均一で乱流のない流れに対する抵抗として定義される。粘度が増加した時、流体の流動性能力が減少する。従って流体に存在する可能性があるイオンは、抵抗の増加を伴って移動する。従って粘度の増加はまた溶液の導電率の減少と関連する。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記電解質溶液は2つの異なるイオン液体を含む。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記電解質溶液は2つの異なるイオン液体を含み、その2つのイオン液体は等モル量で存在し、かつ前記少なくとも1つの有機分子に対して化学量論的量で共存している。
一実施形態では、本発明の少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体は溶液の全体積に対して5%から20%までの、特に10%から20%までの、とりわけ10%の体積パーセントで存在する。
5%未満の体積パーセントでは、イオン液体は有機分子と比べて可溶化アジュバントとしての役割を確保するのに十分な量が導入されない。
5%の体積パーセントから10%の体積パーセントでは、水中の有機分子の最大の溶解度に必ずしも到達していなくても、イオン液体を添加することで水溶液中の有機分子の可溶性の増加が可能となる。この最大値は溶液の全体積に対する10%の体積パーセントに対応したイオン液体の添加により得られる。
従って有機分子が得た可溶化は、化学量論比が1に等しい場合に最大値である。逆にイオン液体のモル数が有機分子のモル数の半分未満である時、可溶化はもはや可能でない。
例としてアリザリンは2MのKOH水溶液において0.1Mの濃度で可溶性である。10%イオン液体の添加により、2MのKOH水溶液中のアリザリン濃度は0.5 Mに増加する。しかしながら5%のイオン液体は0.25Mのアリザリンの可溶化を可能にし、この濃度はイオン液体の添加の無い2MのKOMの水溶液中でのアリザリン濃度より大きい濃度に相当する一方で、10%の体積パーセントのイオン液体の添加で得られた濃度よりは低い。
20%の体積パーセントを超える場合、イオン液体は本発明の意味において溶媒であると考えられる。このことから溶液の全体積に対して20%の体積パーセントを超えるイオン液体のパーセントは、本発明の一部にはならない。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は極性または非極性である。
用語「極性」および「非極性」は有機分子を形成する原子間の電気陰性度の差を意味する。元素の電気陰性度は電子を元素に引き付ける性向である。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は極性である。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は非極性である。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は電気活性である。
本発明の意味において「電気活性有機分子」は、可逆的に酸化および/または還元される有機分子の能力という意味である。可逆性は種の酸化と還元の電位差によって証明される。25℃で57 mVの差は、可逆的酸化還元の現象を特徴付ける。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は100 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量を有する。
この範囲は「小さい」および「大きい」と呼ばれる有機分子を含む。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は100 g.mol-1から200 g.mol-1の分子量を有する。
本発明の意味において、100 g.mol-1から200 g.mol-1の分子量の有機分子は「小さい」有機分子と考えられる。一般的に、この類の分子はイオン液体を含まない水に対して0.2Mから0.5Mの可溶性を有する。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は200 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量を有する。
本発明の意味において、200 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量の有機分子は「大きい」分子と考えられる。一般的に、イオン液体を含まない水に対してそれらの可溶性は0Mから0.2Mまでである。
600 g.mol-1を超える場合には、有機分子は水溶液の過度に高い粘度を誘導し、本発明の意味において電解質溶液を定義している40 mS.cm-1の閾値以下の溶液の導電率を低下させる。
一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は1つから4つの縮合芳香族環、好ましくは1つから3つの縮合芳香族環、より好ましくは1つの芳香族環、または3つの縮合芳香族環を有する。
4つを超える縮合芳香族環を有する場合には、分子間相互作用が強くなりすぎて、少なくとも実質的に化学量論的量で添加されたイオン液体は、水溶液中の有機分子を可溶化できない。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子はキノン、カテコール、ナフトキノン、オルトナフトキノン、またはアントラキノンの群から選択される。
本発明のより有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子はキノン、カテコール、ナフトキノン、またはオルトナフトキノンの群から選択される。本発明の意味において、これらの群からの有機分子は「小さい」分子のカテゴリーに属する。
本発明の別のより有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子はアントラキノンの群から選択される。
アントラキノンの群からの分子は「大きい」分子のカテゴリーに属する。
本発明の有利な実施形態では、本発明の少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化されている。
本件発明者は2つのカルボニル官能基の1つ、つまり2つのカルボニル官能基の1つのαまたはβ位に近いヒドロキシル基の存在で、分子の電子化学的可逆性が確保されていることを発見した。加えてヒドロキシル官能基の存在は、水における、特に塩基媒体における可溶性を増加させる。
本発明の有利な実施形態では、本発明の少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化され、100 g.mol-1から200 g.mol-1までの分子量を有する。
本発明の有利な実施形態では、本発明の少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化され、200 g.mol-1から600 g.mol-1までの分子量を有する。
本発明の好ましい実施形態では、イオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は式(II-a)から式(II-i)の化合物から選択される:
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は極性または非極性である;および/または
前記少なくとも1つの有機分子は電気活性である;および/または
前記少なくとも1つの有機分子は100 g.mol-1から600 g.mol-1の、特に100 g.mol-1から200 g.mol-1の、または200 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量を有する;および/または
前記少なくとも1つの有機分子は、とりわけ1つから4つの縮合芳香族環、好ましくは1つから3つの縮合芳香族環、より好ましくは1つの芳香族環、または3つの縮合芳香族環を有する;および/または
前記少なくとも1つの有機分子は、少なくとも1つの位置でヒドロキシル化されている;
特に前記少なくとも1つの有機分子は、キノン、カテコール、ナフトキノン、オルトナフトキノン、またはアントラキノンの群から選択され、好ましくは式(II-a)から式(II-i)の化合物から選択される。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水において0.Mから0.1M未満の値の可溶性を有する。
従って本発明の意味において、定義される有機分子はイオン液体を含まない水において不溶性であると考えられる。
本発明は、有機分子に対して5当量のイオン液体の添加時に、この種の有機分子がイオン液体を含まない水における可溶性を0.1Mまで増加させるという、発明者らが特に予期しなかった観察に基づいている。
本発明の意味において、用語「イオン液体を含まない水における可溶性」は、イオン液体を含まない場合の本発明で定義された水溶液中の有機分子の可溶性を意味する。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水において0.1Mから0.2Mの可溶性を有する。
従って本発明の意味において、定義される有機分子は、イオン液体を含まない水において難溶性であると考えられる。
本発明は、有機分子に対してイオン液体の化学量論的量の添加による、イオン液体を含まない水における難溶の有機分子の可溶性の増加という、発明者らが特に予期しなかった観察に基づいている。イオン液体の添加により、水溶液中の有機分子の可溶性は3倍または5倍に増加する。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水において0.2Mから0.5Mの可溶性を有する。
従って本発明の意味において定義される有機分子は、イオン液体を含まない水において可溶性であると考えられる。
本発明は、有機分子に対してイオン液体の化学量論的量の添加による、イオン液体を含まない水における有機分子の1Mまでの可溶性の増加という、発明者らが特に予期しなかった観察に基づいている。
イオン液体を含まない水において、電気活性有機分子の可溶性が0.5Mを超える場合には、この種の有機分子を含む電解質溶液は、バッテリー中にイオン液体を添加することなく使用可能である。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水における0.Mから0.1M未満の値の可溶性を有する;または
前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水における0.1Mから0.2Mの可溶性を有する;または
前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水における0.2Mから0.5Mの可溶性を有する。
一実施形態では、本発明の少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子は、0.1Mから1Mの濃度で、好ましくは0.1Mから0.6Mの濃度でそれぞれ存在する。
本発明の意味において、これら濃度の条件下でイオン液体はアジュバントであり、溶媒とは認められない。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの無機塩は酸性、塩基性または中性の塩である。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択される強中性塩である。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの無機塩はHCl、H2SO4、HClO4から選択される強酸である。
電荷(アニオンとプロトン)が完全に解離しているので、強酸を高濃度で得る、つまり溶液の伝導率が増加している1M以上の濃度で得ることを可能にする。本発明の意味において、表面が1 cm2で相互に1cmの距離で離れている2つの電極間で1A の電流が流れている場合には、伝導率を「増加した」と定義することが可能である。液中の荷電粒子が全てのイオンの中で最も移動しやすい種であるプロトンの時に(OH-の前)、この値が得られる。
pHが1以下の場合、電解質溶液のpHは添加剤を添加しなければほとんど変わらない。これらの条件下でイオンH+のみが溶液の導電率を確保し、増加していると認められる。
pHが1を超えて、かつ7以下の溶液が弱酸およびその共役塩基の混合液を含む添加剤により緩衝され、換言すれば溶液のpHの変化は非常に小さくなる。
pHが1を超える値と7以下の値の間である緩衝液の取得を可能にする弱酸およびその共役塩基の混合液とその割合は、当業者に知られている。例えばCH3COOH/CH3COO-、Na+の混合によりpHが3.8〜5.8の緩衝液を得ることができる。pHが1.9〜3.9の緩衝液にはClCH2COOH/ClCH2COO-、Na+の混合液が選択され得る。有利には緩衝液は弱酸およびその共役塩基の混合液で0.1Mから2Mの濃度を有する。
CH3COOH/CH3COO-、Na+の混合による緩衝酸性水溶液において、導電率は大半を占めるイオン、つまりCH3COO-およびNa+の移動性により確保されている。イオンCH3COO-およびNa+はプロトンH+より大きく、pHが1以下の非緩衝酸性水溶液と比べて、溶液中でより遅く移動し導電率の減少に寄与する。
良好なイオン伝導率を確保するために、溶液中の1Mの正負の電荷を自由にする少なくとも1つの緩衝液2Mが要求される。
最後に、導電性緩衝液は種々の無機および有機イオンについて極めて高濃度であり、これは有機分子の可溶性を妨げる。この場合、例えば溶液は0.1Mと0.5Mの間で緩衝され、かつ媒質の伝導率は中性無機塩の添加で増加する。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの無機塩は2つの無機塩を含む。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記2つの無機塩は中性無機塩および酸性無機塩から選択される。
特に中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、かつ酸性無機塩は強酸のHCl、H2SO4、HClO4から選択される。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの無機塩はNaOH、KOH、LiOHから選択される強塩基である。
pHが13以上の場合、電解質溶液のpHは添加剤を添加しなければ、ほとんど変わらない。これらの条件下でイオンHO-のみが溶液の導電率を確保する。
pHが7以上かつ13未満の溶液が弱塩基およびその共役酸の混合液を含む添加剤により緩衝され、換言すれば溶液のpHの変化は非常に小さくなる。pHが7以上の値と13未満の値の間である緩衝液の取得を可能にする弱塩基およびその共役酸の混合液とその割合は、当業者に知られている。緩衝液はまた電解質溶液の伝導率を確保することに寄与する。しかしこの場合には、導電率は非緩衝塩基性溶液と比べて減少した状態であるが、塩基性無機塩を添加することで増加され得る。従って本発明の少なくとも1つのイオン液体の使用には2つの無機塩が含まれる。
本発明の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記2つの無機塩は中性無機塩および塩基性無機塩から選択される。
特に中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、また塩基性無機塩は強塩基NaOH、KOH、LiOHから選択される。
強酸または強塩基の溶液の場合、強中性塩(完全に解離)を添加することでプロトンまたは水酸化物の既に有意な量(少なくとも0.5 mol.L-1)を増加させることなく伝導率の増加が可能となる。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記無機塩は0.5Mから3M、より詳細には1Mから2.5M、好ましくは2Mの濃度である。
0.5M未満では水溶液中のイオン量があまりにも低いので、本発明の電解質溶液の40 mS.cm-1の伝導率を達成できない。
3Mを超える無機塩で、かつその塩の性質により、本発明の電解質溶液が分子およびイオン(有機分子+イオン液体+無機塩)で高負荷になり、多数の現象が発生する。すなわち、1)無機塩が問題となっている溶液における可溶性の限界である、2)無機塩が溶液を飽和させ、その過剰により有機分子が不溶性になり、3)無機塩の飽和限界を超えて異なる密度の2つの液相が発生する。
本発明の一実施形態では、本発明の少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記少なくとも1つの無機塩は酸性、塩基性または中性塩である;
特に前記少なくとも1つの無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択される強中性塩である;または
前記少なくとも1つの無機塩はHCl、H2SO4、HClO4から選択される強酸であり、特に前記少なくとも1つの無機塩は2つの無機塩を含み、とりわけ中性無機塩および酸性無機塩から選択され、好ましくは、中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、また酸性無機塩は強酸のHCl、H2SO4、HClO4から選択される;または
前記少なくとも1つの無機塩はNaOH、KOH、LiOHから選択される強塩基であり、特に前記少なくとも1つの無機塩は2つの無機塩を含み、とりわけ中性無機塩および塩基性無機塩から選択され、好ましくは、中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、また塩基性無機塩は強塩基のNaOH、KOH、LiOHから選択される;
特に前記無機塩は0.5Mから3Mまで、より詳細には1Mから2.5Mまで、好ましくは2Mの濃度である。
本発明の一実施形態では、1つのイオン液体の使用において、前記電解質溶液は導電率σが40 mS.cm-1を超え、特に100 mS.cm-1を超え、好ましくは100 mS.cm-1から200 mS.cm-1である。
40 mS.cm-1未満では、2つの電極間の電流密度がそうであったように伝導率は低下する。従って電気分解法において低電流の場合、生成物の変換速度も低くなり電気分解法にかかる時間がかなり長くなる。この方法では工業プロセスに応用できない。
バッテリーまたはセルについても同様である:伝導率が低い場合、発生した電流は低下する。
これとは逆に伝導率が高ければ、電気化学的プロセスの有効性はより高いと考えられる。
本発明の一実施形態では、1つのイオン液体の使用において、前記電解質溶液は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に1 cP〜400 cPの粘度を有する。
1センチポアズは水の粘度である。
本発明の有利な実施形態では、1つのイオン液体の使用において、前記電解質溶液は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に1 cP〜125cPの粘度を有する。
本発明で使用される溶媒が水であるので、得られた溶液の粘度は1 cP未満になり得ない。上限はバッテリーモードで試験された電解質溶液の粘度に対応する125 cPに固定されており、これは最低限の性能レベルを示している。
本発明の別の有利な実施形態では、1つのイオン液体の使用において、前記電解質溶液の粘度は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に125 cPを超える値と400 cPの値の間である。導電率が45mS.cm-1より大きく、有機分子の可溶性がイオン液体の添加により水溶液中で0.5Mに達する場合、125 cPを超える値と400 cPの値の間である電解質溶液は本発明に属する。この電解質溶液は電気分解装置などの、バッテリー以外の装置で使用される。
電気分解は非自発的なプロセスで、セルおよびバッテリーの逆であり、そのエネルギーコストは粘度の増加に伴い上昇する。従って400 cPを超える場合、電気分解操作の実施に伴うエネルギーコストは工業用途には大きすぎる。
本発明の一実施形態では、1つのイオン液体の使用において、水酸化物イオン濃度が0.5 mol.L-1より大きい塩基性溶液では、前記電解質溶液の半波電位は-1.1 V/SCEから-0.7 V/SCEまでである。
電流が、その限度値の半分に等しくなっている電位は「半波電位」と呼ばれ、記号E1/2で表される。液中の可逆酸化還元対(Ox/Red)を考慮すると、電極の電位はゼロに等しい電流強度に対応する平衡電位(Eeq)と呼ばれる電位に固定される。平衡電位はネルンストの関連性により計算でき、よって溶液中のOxおよびRed種の濃度の関数である。電位が正方向に印加(Eapp)された場合、酸化電流が現れる。印加された電位が負方向に変化する場合には還元電流が現れる。
印加された電位が平衡電位と異なり、それから規則的に外れている時には電流が発生し、その強度は値Eapp − Eeqの増加とともに指数関数的に変化する。
溶液中の種 OxおよびRedの置換の現象を考慮した時、電流強度は直ぐに安定化する。事実、電流強度は、これらの種の電極での到達速度に比例していく。その結果として印加された電位の変化が継続しても、電流強度は一定のままであり(指数関数的に変化することはなく)、拡散レベリング(または平坦域(plateau))として知られるものを構成する。それ故に、この平坦域より下の電流強度はその結果として最大値であり、限界電流(il)と呼ばれる。結論として平坦域形成まで電流がゼロである平衡電位を基準として、カーブi = f(E)は波と呼ばれるS字状に近い。従って半波電位はカーブi = f(E)上に位置する、2で割ったil(il/2)に等しい電流強度について印加される電位の値に対応する。
半波電位はOx/Red対の特徴である。
本発明の一実施形態では、本発明の1つのイオン液体の使用において、前記電解質溶液は導電率σが40 mS.cm-1を超え、特に100 mS.cm-1を超え、好ましくは100 mS.cm-1から200 mS.cm-1である。
前記電解質溶液の粘度は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時には1 cP〜400 cPであり、特にせん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に1 cP〜125 cPであり、またはせん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に125 cPを超える値と400 cPの値の間である;および/または
電極での水酸化物イオン濃度が0.5 mol.L-1より大きい塩基性溶液では、前記電解質溶液の半波電位は-1.1 V /SCEから-0.7 V /SCEまでである。
また本発明は、少なくとも実質的に化学量論的量の、少なくとも1つの有機分子および少なくとも1つのイオン液体を、無機塩を含む可能性がある水溶液へ添加するステップを含む、少なくとも1つの有機分子の水溶化方法に関する。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子および前記少なくとも1つのイオン液体を、少なくとも実質的に化学量論的量で前記水溶液へ添加するステップが、前記水溶液中への少なくとも1つの無機塩の可溶化のステップに先行する。
本発明の方法の別の実施形態では、前記水溶液中の少なくとも1つの無機塩の可溶化ステップが、少なくとも実質的に化学量論的量で前記少なくとも1つの有機分子および前記少なくとも1つのイオン液体を前記水溶液へ添加するステップに先行する。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子および前記少なくとも1つのイオン液体を、少なくとも実質的に化学量論的量で前記水溶液へ添加するステップが、前記水溶液中への少なくとも1つの無機塩の可溶化のステップに先行する。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は親水性アニオンを含む。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記親水性アニオンはメタンスルファート、エタンスルファート、塩化物、ヨウ化物、テトラフルオロボラート、チオシアネート、ジシアナミド、トリフルオロアセテート、ニトレート、またはヘキサフルオロホスファートアニオンから選択される。
本発明のより有利な実施形態では、前記親水性アニオンはメタンスルファート、エタンスルファート、テトラフルオロボラート、またはジシアナミドアニオンから選択される。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は芳香族親水性カチオンを含む。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体はイミダゾリウム、ピリジニウム、またはキノリニウムから選択される芳香族複素環カチオンを含む。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は、親水性アニオンと芳香族複素環カチオンとを含む。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は、式(I-a)のピリジニウムエタンスルファート、式(I-b)のイミダゾリウムエタンスルファート、式(I-c)のイミダゾリウムメタンスルファート、式(I-d)のイミダゾリウムジシアナミド、式(I-e)のイミダゾリウムテトラフルオロボラート、または式(I-f)のキノリニウムメタンスルファートから選択される:
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は脂肪族カチオンを含む。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は、アンモニウムから選択される脂肪族カチオンを含む。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は、親水性アニオンと脂肪族カチオンとを含む。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は、式(I-g)のアンモニウムメタンスルファートである:
とりわけ特性により、多くのイオン液体をアジュバントとして使用することも可能である。確かにイオン液体は可溶化される有機分子と強い親和性を持っているが、その融点または粘度が高すぎて溶液を得るのが難しい。この場合アジュバントの可溶化力を増加させながらも、溶液を得るために、より好適な特性を有する第2のイオン液体を添加できる。この場合イオン液体は、少なくとも1つの有機分子の可溶性と電解質溶液の粘度との両方の調節を可能にする。
本発明の方法の一実施形態では、前記電解質溶液は2つの異なるイオン液体を含む。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記電解質溶液は2つの異なるイオン液体を含み、その2つのイオン液体は等モル量で存在し、かつ前記少なくとも1つの有機分子に対して少なくとも実質的に化学量論的量で共存している。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は、溶液の全体積に対して5%から20%までの、特に10%から20%までの、とりわけ10%の体積パーセントで存在する。
5%未満の体積パーセントでは、イオン液体は有機分子に比べて可溶化アジュバントとしての役割を確保するのに十分な量が導入されない。
5%の体積パーセントから10%の体積パーセントでは、水中の有機分子の最大の溶解度に必ずしも到達していなくても、イオン液体を添加することで水溶液中の有機分子の可溶性の増加が可能となる。この最大値は溶液の全体積に対する10%の体積パーセントに対応したイオン液体の添加により得られる。
従って有機分子が得た可溶化は、化学量論比が1に等しい場合に最大値である。逆にイオン液体のモル数は有機分子のモル数の半分未満である時、可溶化はもはや可能ではない。
例としてアリザリンは2M のKOH水溶液において0.1Mの濃度で可溶性である。10%イオン液体の添加により、2M のKOH水溶液中のアリザリン濃度は0.5 Mに増加する。しかし5%のイオン液体は0.25Mのアリザリンの可溶化を可能にし、この濃度はイオン液体の添加の無い2MのKOMの水溶液中でのアリザリン濃度より大きい濃度に相当する一方で、10%の体積パーセントのイオン液体の添加で得られた濃度よりは低い。
20%の体積パーセントを超える場合、イオン液体は本発明の意味において溶媒であると考えられる。このことから溶液の全体積に対して20%の体積パーセントを超えるイオン液体のパーセントは、本発明の一部にはならない。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は極性または非極性である。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は極性である。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は非極性であ る。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は電気活性である。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は100 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量を有する。
この範囲は「小さい」および「大きい」と呼ばれる有機分子を含む。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は100 g.mol-1から200 g.mol-1の分子量を有する。
本発明の意味において、100 g.mol-1から200 g.mol-1の分子量の有機分子は「小さい」有機分子と考えられる。一般的に、この類の分子はイオン液体を含まない水に対して0.2Mから0.5Mの可溶性を有する。
本発明の方法の別の実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は200 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量を有する。
本発明の意味において、200 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量の有機分子は「大きい」分子と考えられる。一般的に、イオン液体を含まない水に対してそれらの可溶性は0Mから0.2Mまでである。
600 g.mol-1を超える場合には、有機分子は水溶液の過度に高い粘度を誘導し、本発明の意味において電解質溶液を定義している40 mS.cm-1の閾値以下の溶液の伝導率を低下させる。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は1つから4つの縮合芳香族環、好ましくは1つから3つの縮合芳香族環、より好ましくは1つの芳香族環、または3つの縮合芳香族環を有する。
4つを超える縮合芳香族環を有する場合には、分子間相互作用が強くなりすぎて、少なくとも実質的に化学量論的量で添加されたイオン液体は、水溶液中の有機分子を可溶化できない。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子はキノン、カテコール、ナフトキノン、オルトナフトキノン、またはアントラキノンの群から選択される。
本発明の方法のより有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子はキノン、カテコール、ナフトキノン、またはオルトナフトキノンの群から選択される。本発明の意味において、これらの群からの有機分子は「小さい」分子のカテゴリーに属する。
本発明の方法の別のより有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子はアントラキノンの群から選択される。
アントラキノンの群からの分子は「大きい」分子のカテゴリーに属する。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化されている。
本件発明者は2つのカルボニル官能基の1つ、つまり2つのカルボニル官能基の1つのαまたはβ位に近いヒドロキシル基の存在で、分子の電子化学的可逆性が確保されていることを発見した。加えてヒドロキシル官能基の存在は、水における、特に塩基媒体における可溶性を増加させる。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化され、100 g.mol-1から200 g.mol-1までの分子量を有する。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化され、200 g.mol-1から600 g.mol-1までの分子量を有する。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は式(II-a)から式(II-i)の化合物から選択される:
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水において0Mから0.1M未満の値の可溶性を有する。
従って本発明の意味において、定義される有機分子はイオン液体を含まない水において不溶性であると考えられる。
本発明は、有機分子に対して5当量のイオン液体の添加時に、この種の有機分子がイオン液体を含まない水における可溶性を0.1Mまで増加させるという、発明者らが特に予期しなかった観察に基づいている。
本発明の意味において、用語「イオン液体を含まない水における可溶性」は、イオン液体を含まない場合の本発明で定義された水溶液中の有機分子の可溶性を意味する。
本発明の方法の別の実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水において0.1Mから0.2Mの可溶性を有する。
従って本発明の意味において、定義される有機分子は、イオン液体を含まない水において難溶性であると考えられる。
本発明は、有機分子に対してイオン液体の化学量論的量の添加による、イオン液体を含まない水における難溶の有機分子の可溶性の増加という、発明者らが特に予期しなかった観察に基づいている。イオン液体の添加により、水溶液中の有機分子の可溶性を3倍または5倍に増加する。
本発明の方法の別の実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水において0.2Mから0.5Mの可溶性を有する。
従って本発明の意味において定義される有機分子は、イオン液体を含まない水において可溶性であると考えられる。
本発明は、有機分子に対してイオン液体の化学量論的量の添加による、イオン液体を含まない水における有機分子の1Mまでの可溶性の増加という、発明者らが特に予期しなかった観察に基づいている。
イオン液体を含まない水において、電気活性有機分子の可溶性が0.5Mを超える場合には、この種の有機分子を含む電解質溶液は、バッテリー中にイオン液体を添加することなく使用可能である。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子は、0.1Mから1Mの濃度で、好ましくは0.1Mから0.6Mの濃度でそれぞれ存在する。
本発明の意味において、これら濃度の条件下でイオン液体はアジュバントであり、溶媒とは認められない。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩は酸性、塩基性または中性の塩である。
本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択される強中性塩である。
本発明の方法の別の実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩はHCl、H2SO4、HClO4から選択される強酸である。
電荷(アニオンとプロトン)が完全に解離しているので、強酸を高濃度で得る、つまり溶液の伝導率が増加している1M以上の濃度で得ることを可能にする。本発明の意味において、表面が1 cm2で相互に1cmの距離で離れている2つの電極間で1A の電流が流れている場合には、伝導率を「増加した」と定義することが可能である。液中の荷電粒子が全てのイオンの中で最も移動しやすい種であるプロトンの時に(OH-の前)、この値が得られる。
pHが1以下の場合、電解質溶液のpHは添加剤を添加しなければほとんど変わらない。これらの条件下でイオンH+のみが溶液の導電率を確保し、増加していると認められる。
pHが1を超えて、かつ7以下の溶液が弱酸およびその共役塩基の混合液を含む添加剤により緩衝され、換言すれば溶液のpHの変化は非常に小さくなる。pHが1を超える値と7以下の値の間である緩衝液の取得を可能にする弱酸およびその共役塩基の混合液と、その割合は、当業者に知られている。例えばCH3COOH/CH3COO-、Na+の混合によりpHが3.8〜5.8の緩衝液を得ることができる。pHが1.9〜3.9の緩衝液にはClCH2COOH/ClCH2COO-、Na+の混合液が選択され得る。有利には緩衝液は弱酸およびその共役塩基の混合液で0.1Mから2Mの濃度を有する。
CH3COOH/CH3COO-、Na+の混合による緩衝酸性水溶液において、導電率は大半を占めるイオン、つまりCH3COO-およびNa+の移動性により確保されている。イオンCH3COO-およびNa+はプロトンH+より大きく、pHが1以下の非緩衝酸性水溶液と比べて、溶液中でより遅く移動して導電率の減少に寄与する。
良好なイオン伝導率を確保するために、溶液中の1Mの正負の電荷を自由にする少なくとも1つの緩衝液2Mが要求される。
最後に、導電性緩衝液は種々の無機および有機イオンについて極めて高濃度であり、これは有機分子の可溶性を妨げる。この場合、例えば溶液は0.1Mと05Mの間で緩衝され、かつ媒質の伝導率は中性無機塩の添加で増加する。
本発明の方法の別の実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩は2つの無機塩を含む。
本発明の方法の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記2つの無機塩は中性無機塩および酸性無機塩から選択される。
特に中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、かつ酸性無機塩は強酸のHCl、H2SO4、HClO4から選択される。
本発明の方法の別の実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩はNaOH、KOH、LiOHから選択される強塩基である。
pHが13以上の場合、電解質溶液のpHは添加剤を添加しなければ、ほとんど変わらない。これらの条件下でイオンHO-のみが溶液の導電率を確保する。
pHが7以上かつ13未満の溶液が弱塩基およびその共役酸の混合液を含む添加剤により緩衝され、換言すれば溶液のpHの変化は非常に小さくなる。pHが7以上の値と13未満の値の間である緩衝液の取得を可能にする弱塩基およびその共役酸の混合液とその割合は、当業者に知られている。緩衝液はまた電解質溶液の伝導率を確保することに寄与する。しかしこの場合には、導電率は非緩衝塩基性溶液と比べて減少した状態であるが、塩基性無機塩を添加することで増加され得る。従って本発明の少なくとも1つのイオン液体の使用には2つの無機塩が含まれる。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記2つの無機塩は中性無機塩および塩基性無機塩から選択される。
特に中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、また塩基性無機塩は強塩基NaOH、KOH、LiOHから選択される。
強酸または強塩基の溶液である場合、強中性塩(完全に解離)を添加することでプロトンまたは水酸化物の既に有意な量(少なくとも0.5 mol.L-1)を増加させることなく伝導率の増加が可能となる。
本発明の方法の一実施形態では、前記無機塩は0.5Mから3M、より詳細には1Mから2.5M、好ましくは2Mの濃度である。
0.5M未満では水溶液中のイオン量があまりにも低いので、本発明の電解質溶液の40 mS.cm-1の伝導率を達成できない。
3Mを超える無機塩で、かつその塩の性質により、本発明の電解質溶液が分子およびイオン(有機分子+イオン液体+無機塩)で高負荷になり、多数の現象が発生する。すなわち、1)無機塩が問題となっている溶液における可溶性の限界である、2)無機塩が溶液を飽和させ、その過剰により有機分子が不溶性になり、3)無機塩の飽和限界を超えて異なる密度の2つの液相が発生する。
本発明の方法の一実施形態では、前記電解質溶液は導電率σが40 mS.cm-1を超え、特に100 mS.cm-1を超え、好ましくは100 mS.cm-1から200 mS.cm-1である。
40 mS.cm-1未満では、2つの電極間の電流強度がそうであったように伝導率は低下する。従って電気分解法において低電流の場合、生成物の変換速度も低くなり電気分解法にかかる時間がかなり長くなる。この方法では工業プロセスに応用できない。
バッテリーまたはセルについても同様である:伝導率が低い場合、発生した電流は低下する。
これとは逆に伝導率が高ければ、電気化学的プロセスの有効性はより高いと考えられる。
本発明の方法の一実施形態では、前記電解質溶液は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に1 cP〜400 cPの粘度を有する。
1センチポアズは水の粘度である。
本発明の方法の有利な実施形態では、前記電解質溶液は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に1 cP〜125 cPの粘度を有する。
本発明で使用される溶媒が水であるので、得られた溶液の粘度は1 cP未満になり得ない。上限はバッテリーモードで試験された電解質溶液の粘度に対応する125 cPに固定されており、これは最低限の性能レベルを示している。
本発明の方法の別の有利な実施形態では、前記電解質溶液の粘度は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に125 cPを超える値と400 cPの値の間である。
導電率が45mS.cm-1より大きく、有機分子の可溶性がイオン液体の添加により水溶液中で0.5Mに到達する場合、125 cPを超える値と400 cPの値の間である電解質溶液は本発明に属する。この電解質溶液はセルまたは電気分解装置などの、バッテリー以外の装置で使用される。
400 cPを超えた場合、溶液の導電率は45 mS.cm-1にもはや到達できない。これらの条件下でセルなどの自発的装置は最低限の性能レベルを示す。
電気分解は非自発的なプロセスで、セルおよびバッテリーの逆であり、そのエネルギーコストは粘度の増加に伴い上昇する。従って400 cPを超える場合、電気分解操作の実施に伴うエネルギーコストは工業用途には大きすぎる。
本発明の方法の一実施形態では、水酸化物イオン濃度が0.5 mol.L-1より大きい塩基性溶液において、前記電解質溶液の半波電位は-1.1 V/SCEから-0.7 V/SCEまでである。
また本発明は、少なくとも1つのイオン液体、少なくとも1つの有機分子、少なくとも1つの無機塩、水溶液、および少なくとも1つの電極を含む電解装置に関し、前記少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子は、少なくとも実質的に化学量論的量で存在する。
本発明の電解装置の一実施形態では、前記少なくとも1つの電極は多孔質グラファイト電極または、好ましくはニッケル製の多孔質金属電極から選択される。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は親水性アニオンを含む。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記親水性アニオンはメタンスルファート、エタンスルファート、塩化物、ヨウ化物、テトラフルオロボラート、チオシアネート、ジシアナミド、トリフルオロアセテート、ニトレート、またはヘキサフルオロホスファートアニオンから選択される。
本発明の装置のより有利な実施形態では、前記親水性アニオンはメタンスルファート、エタンスルファート、テトラフルオロボラート、またはジシアナミドアニオンから選択される。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は芳香族複素環カチオンを含む。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体はイミダゾリウム、ピリジニウム、またはキノリニウムから選択される芳香族複素環カチオンを含む。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は、親水性アニオンと芳香族複素環カチオンとを含む。
本発明の装置の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は式(I-a)のピリジニウムエタンスルファート、式(I-b)のイミダゾリウムエタンスルファート、式(I-c)のイミダゾリウムメタンスルファート、式(I-d)のイミダゾリウムジシアナミド、式(I-e)のイミダゾリウムテトラフルオロボラート、または式(I-f)のキノリニウムメタンスルファートから選択される:
本発明の装置の別の実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は脂肪族カチオンを含む。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体はアンモニウムから選択される脂肪族カチオンを含む。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は親水性アニオンと脂肪族カチオンとを含む。
本発明の装置の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は式(I-g)のアンモニウムメタンスルファートである:
とりわけ特性により、多くのイオン液体をアジュバントとして使用することも可能である。確かにイオン液体は可溶化される有機分子と強い親和性を持っているが、その融点または粘度が高すぎて溶液を得るのが難しい。この場合アジュバントの可溶化力を増加させながらも、溶液を得るために、より好適な特性を有する第2のイオン液体を添加できる。この場合イオン液体は、少なくとも1つの有機分子の可溶性と電解質溶液の粘度の両方の調節を可能にする。
本発明の装置の一実施形態では、前記電解質溶液は2つの異なるイオン液体を含む。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記電解質溶液は2つの異なるイオン液体を含み、その2つのイオン液体は等モル量で存在し、かつ前記少なくとも1つの有機分子に対して少なくとも実質的に化学量論的量で共存している。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体は溶液の全体積に対して5%から20%までの、特に10%から20%までの、とりわけ10%の体積パーセントで存在する。
5%未満の体積パーセントでは、イオン液体は有機分子に比べて可溶化アジュバントとしての役割を確保するのに十分な量が導入されない。
5%の体積パーセントから10%の体積パーセントでは、水中の有機分子の最大の溶解度に必ずしも到達していなくても、イオン液体を添加することで水溶液中の有機分子の可溶性の増加が可能となる。この最大値は溶液の全体積に対する10%の体積パーセントに対応したイオン液体の添加により得られる。
従って有機分子が得た可溶化は、化学量論比が1に等しい場合に最大値である。逆にイオン液体のモル数は有機分子のモル数の半分未満である時、可溶化はもはや可能ではない。
例としてアリザリンは2M のKOH水溶液において0.1Mの濃度で可溶性である。10%イオン液体の添加により、2M のKOH水溶液中のアリザリン濃度は0.5 Mに増加する。しかし5%のイオン液体は0.25Mのアリザリンの可溶化を可能にし、この濃度はイオン液体の添加の無い2MのKOMの水溶液中でのアリザリン濃度より大きい濃度に相当する一方で、10%の体積パーセントのイオン液体の添加で得られた濃度よりは低い。
20%の体積パーセントを超える場合、イオン液体は本発明の意味において溶媒であると考えられる。このことから溶液の全体積に対して20%の体積パーセントを超えるイオン液体のパーセントは、本発明の一部にはならない。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は極性または非極性である。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は極性である。
本発明の装置の別の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は非極性である。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は電気活性である。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は100 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量を有する。
この範囲は「小さい」および「大きい」と呼ばれる有機分子を含む。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は100 g.mol-1から200 g.mol-1の分子量を有する。
本発明の意味において、100 g.mol-1から200 g.mol-1の分子量の有機分子は「小さい」有機分子と考えられる。一般的に、この類の分子はイオン液体を含まない水に対して0.2Mから0.5Mの可溶性を有する。
本発明の装置の別の実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は200 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量を有する。
本発明の意味において、200 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量の有機分子は「大きい」分子と考えられる。一般的に、イオン液体を含まない水に対してそれらの可溶性は0Mから0.2Mまでである。
600 g.mol-1を超える場合には、有機分子は水溶液の過度に高い粘度を誘導し、本発明の意味において電解質溶液を定義している40 mS.cm-1の閾値以下の溶液の伝導率を低下させる。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は1つから4つの縮合芳香族環、好ましくは1つから3つの縮合芳香族環、より好ましくは1つの芳香族環、または3つの縮合芳香族環を有する。
4つを超える縮合芳香族環を有する場合には、分子間相互作用が強くなりすぎて、少なくとも実質的に化学量論的量で添加されたイオン液体は、水溶液中の有機分子を可溶化できない。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子はキノン、カテコール、ナフトキノン、オルトナフトキノン、またはアントラキノンの群から選択される。
本発明の装置のより有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子はキノン、カテコール、ナフトキノン、またはオルトナフトキノンの群から選択される。本発明の意味において、これらの群からの有機分子は「小さい」分子のカテゴリーに属する。
本発明の装置の別のより有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は、アントラキノンの群から選択される。
アントラキノンの群からの分子は「大きい」分子のカテゴリーに属する。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化されている。
本件発明者は2つのカルボニル官能基の1つ、つまり2つのカルボニル官能基の1つのαまたはβ位に近いヒドロキシル基の存在で、分子の電子化学的可逆性が確保されていることを発見した。加えてヒドロキシル官能基の存在は、水における、特に塩基媒体における可溶性を増加させる。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化され、100 g.mol-1から200 g.mol-1までの分子量を有する。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化され、200 g.mol-1から600 g.mol-1までの分子量を有する。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は、式(II-a)から式(II-i)の化合物から選択される:
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水において0Mから0.1M未満の値の可溶性を有する。
従って本発明の意味において、定義される有機分子はイオン液体を含まない水において不溶性であると考えられる。
本発明は、有機分子に対して5当量のイオン液体の添加時に、この種の有機分子がイオン液体を含まない水における可溶性を0.1Mまで増加させるという、発明者らが特に予期しなかった観察に基づいている。
本発明の意味において、用語「イオン液体を含まない水における可溶性」は、イオン液体を含まない場合の本発明で定義された水溶液中の有機分子の可溶性を意味する。
本発明の装置の別の実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は、0.1Mから0.2Mのイオン液体を含まない水に対して可溶性を有する。
従って本発明の意味において、定義される有機分子は,イオン液体を含まない水において難溶性であると考えられる。
本発明は、有機分子に対してイオン液体の化学量論的量の添加による、イオン液体を含まない水における難溶の有機分子の可溶性の増加という、発明者らが特に予期しなかった観察に基づいている。イオン液体の添加により、水溶液中の有機分子の可溶性を3倍または5倍に増加する。
本発明の装置の別の実施形態では、前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水において0.2Mから0.5Mの可溶性を有する。
従って本発明の意味において定義される有機分子は、イオン液体を含まない水において可溶性であると考えられる。
本発明は、有機分子に対してイオン液体の化学量論的量の添加による、イオン液体を含まない水における有機分子の1Mまでの可溶性の増加という、発明者らが特に予期しなかった観察に基づいている。
イオン液体を含まない水において、電気活性有機分子の可溶性が0.5Mを超える場合には、この種の有機分子を含む電解質溶液は、バッテリー中にイオン液体を添加することなく使用可能である。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子は、0.1Mから1Mの濃度で、好ましくは0.1Mから0.6Mの濃度でそれぞれ存在する。
本発明の意味において、これら濃度の条件下でイオン液体はアジュバントであり、溶媒とは認められない。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩は酸性、塩基性または中性の塩である。
本発明の装置の一実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択される強中性塩である。
本発明の装置の別の実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩はHCl、H2SO4、HClO4から選択される強酸である。
電荷(アニオンとプロトン)が完全に解離しているので、強酸を高濃度で得る、つまり溶液の伝導率が増加している1M以上の濃度で得ることを可能にする。本発明の意味において、表面が1 cm2で相互に1cmの距離で離れている2つの電極間で1A の電流が流れている場合には、伝導率を「増加した」と定義することが可能である。液中の荷電粒子が全てのイオンの中で最も移動しやすい種であるプロトンの時に(OH-の前)、この値は得られる。
pHが1以下の場合、電解質溶液のpHは添加剤を添加しなければほとんど変わらない。これらの条件下でイオンH+のみが溶液の導電率を確保し、増加していると認められる。
pHが1を超えて、かつ7以下の溶液が弱酸およびその共役塩基の混合液を含む添加剤により緩衝され、換言すれば溶液のpHの変化は非常に小さくなる。pHが1を超える値と7以下の値の間である緩衝液の取得を可能にする弱酸およびその共役塩基の混合液と、その割合は、当業者に知られている。例えばCH3COOH/CH3COO-、Na+の混合によりpHが3.8〜5.8の緩衝液を取得できる。pHが1.9〜3.9の緩衝液にはClCH2COOH/ClCH2COO-、Na+の混合液が選択され得る。有利には緩衝液は弱酸およびその共役塩基の混合液で0.1Mから2Mの濃度を有する。
CH3COOH/CH3COO-、Na+の混合による緩衝酸性水溶液において、導電率は大半を占めるイオン、つまりCH3COO-およびNa+の移動性により確保されている。イオンCH3COO-およびNa+はプロトンH+より大きく、pHが1以下の非緩衝酸性水溶液と比べて、溶液中でより遅く移動して導電率の減少に寄与する。
良好なイオン伝導率を確保するために、溶液中の1Mの正負の電荷を自由にする少なくとも1つの緩衝液2Mが要求される。
最後に、導電性緩衝液は種々の無機および有機イオンについて極めて高濃度であり、これは有機分子の可溶性を妨げる。この場合、例えば溶液は0.1Mと05Mの間で緩衝され、かつ媒質の伝導率は中性無機塩の添加で増加する。
本発明の装置の別の実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩は2つの無機塩を含む。
本発明の装置の有利な実施形態では、少なくとも1つのイオン液体の使用において、前記2つの無機塩は中性無機塩および酸性無機塩から選択される。
特に中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、かつ酸性無機塩は強酸のHCl、H2SO4、HClO4から選択される。
本発明の装置の別の実施形態では、前記少なくとも1つの無機塩はNaOH、KOH、LiOHから選択される強塩基である。
pHが13以上の場合、電解質溶液のpHは添加剤を添加しなければ、ほとんど変わらない。これらの条件下でイオンHO-のみが溶液の導電率を確保する。
pHが7以上かつ13未満の溶液が弱塩基およびその共役酸の混合液を含む添加剤により緩衝され、換言すれば溶液のpHの変化は非常に小さくなる。pHが7以上の値と13未満の値の間である緩衝液の取得を可能にする弱塩基およびその共役酸の混合液とその割合は、当業者に知られている。緩衝液はまた電解質溶液の伝導率を確保することに寄与する。しかしこの場合には、導電率は非緩衝塩基性溶液と比べて減少した状態であるが、塩基性無機塩を添加することで増加され得る。従って本発明の少なくとも1つのイオン液体の使用には2つの無機塩が含まれる。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記2つの無機塩は中性無機塩および塩基性無機塩から選択される。
特に中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、また塩基性無機塩は強塩基NaOH、KOH、LiOHから選択される。
強酸または強塩基の溶液である場合、強中性塩(完全に解離)を添加することでプロトンまたは水酸化物の既に有意な量(少なくとも0.5 mol.L-1)を増加させることなく伝導率の増加が可能となる。
本発明の装置の一実施形態では、前記無機塩は0.5Mから3M、より詳細には1Mから2.5M、好ましくは2Mの濃度である。
0.5M未満では水溶液中のイオン量があまりにも低いので、本発明の電解質溶液の40 mS.cm-1の伝導率を達成できない。
3Mを超える無機塩で、かつその塩の性質により、本発明の電解質溶液が分子およびイオン(有機分子+イオン液体+無機塩)で高負荷になり、多数の現象が発生する。すなわち、1)無機塩が問題となっている溶液における可溶性の限界である、2)無機塩が溶液を飽和させ、その過剰により有機分子が不溶性になり、3)無機塩の飽和限界を超えて異なる密度の2つの液相が発生する。
本発明の装置の一実施形態では、前記電解質溶液は導電率σが40 mS.cm-1を超え、特に100 mS.cm-1を超え、好ましくは100 mS.cm-1から200 mS.cm-1である。
40 mS.cm-1未満では、2つの電極間の電流強度がそうであったように伝導率は低下する。従って電気分解法において低電流の場合、生成物の変換速度も低くなり電気分解法にかかる時間がかなり長くなる、この方法では工業プロセスに応用できない。
バッテリーまたはセルについても同様である:伝導率が低い場合、発生した電流は低下する。
これとは逆に伝導率が高ければ、電気化学的プロセスの有効性はより高いと考えられる。
本発明の装置の一実施形態では、前記電解質溶液は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に1 cP〜400 cPの粘度を有する。
1センチポアズは水の粘度である。
本発明の装置の有利な実施形態では、前記電解質溶液は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に1 cP〜125 cPの粘度を有する。
本発明で使用される溶媒が水であるので、得られた溶液の粘度は1 cP未満になり得ない。上限はバッテリーモードで試験された電解質溶液の粘度に対応する125 cPに固定されており、これは最低限の性能レベルを示している。
本発明の装置の別の有利な実施形態では、前記電解質溶液の粘度は、せん断速度が25 s-1で温度が20℃での測定時に125 cPを超える値と400 cPの値の間である。
導電率が45mS.cm-1より大きく、有機分子の可溶性がイオン液体の添加により水溶液中で0.5Mに到達する場合、125 cPを超える値と400 cPの値の間である電解質溶液は本発明に属する。この電解質溶液はセルまたは電気分解装置などの、バッテリー以外の装置で使用される。
400 cPを超えた場合、溶液の導電率は45 mS.cm-1にもはや到達できない。これらの条件下でセルなどの自発的装置は最低限の性能レベルを示す。
電気分解は非自発的なプロセスで、セルおよびバッテリーの逆であり、そのエネルギーコストは粘度の増加に伴い上昇する。従って400 cPを超える場合、電気分解操作の実施に伴うエネルギーコストは工業用途には大きすぎる。
本発明の装置の一実施形態では、前記水酸化物イオン濃度が0.5 mol.L-1より大きい塩基性溶液において、前記電解質溶液の半波電位は-1.1 V/SCEから-0.7 V / SCEまでである。
また本発明は電気化学的貯蔵のプロセスを実施するための、本発明の電解装置の使用に関する。
一実施形態では、本発明の電解装置の使用は電気分解である。
「電気分解」は電流が物質中を通過することで化学変換を誘導する、非自発的な電気化学的プロセスである。
一実施形態では、本発明の電解装置の使用は、バッテリーまたはセルの調製用である。
本発明の意味において、用語「バッテリー」は、いずれも電解質溶液に可溶性で、電極との接触で化学反応が起こり電気エネルギーを供給する2つの電気活性物質という意味である。2つの変換された電気活性物質は、溶液の循環方向を逆にすることによる電気分解によって再生可能である。
本発明の意味において、用語「セル」は2つの電気活性物質がいずれも電解質溶液に可溶性で、電極との接触で化学反応が起こり電気エネルギーを供給する装置を意味する。2つの変換された電気活性物質の少なくとも1つは、溶液の循環方向を逆にすることによる電気分解では再生可能でない。装置は可逆的装置であるバッテリーとは異なり、非可逆的である。
バッテリーおよびセルは電気分解装置と異なり、操作が自発的な装置である。
一実施形態では、本発明の電解装置は電気化学的貯蔵のプロセスを実施するために使用される;
特に前記電気化学的貯蔵はバッテリーまたはセルで、とりわけ分子循環電解質バッテリーか、分子循環電解質セルで実施される。
一実施形態では、本発明の電解装置の使用において、前記バッテリーは分子循環電解質バッテリーである。
用語「分子バッテリー」は、化学反応が少なくとも1つの電極でブロックされた有機金属触媒により触媒されるという意味である。さらに、この表現は電気活性物質が有機分子の化合物であるという意味である。
用語「循環電解質」は、電解質溶液が2つの多孔質電極を通して浸出するという意味である。その2つの溶液はそれぞれ貯留槽に蓄えられる。
循環電解質バッテリーにおける本発明の電解装置の使用の目的は、活性種の可溶化改善のためにエネルギー貯蔵を増加させることにある。
まさに、循環電解質バッテリーに起因する重要な役割は、電気エネルギー消費を調節するための再生可能エネルギー(風力および太陽光発電)支援である。風または太陽光があれば放出されたエネルギーは直接使用され、過剰分は循環電解質バッテリーで蓄えられる。風または明るさが不十分である場合、エネルギー生産を確保するのはバッテリーである。例えば貯留槽の体積により、交換および調節に関するこのシステムは、家庭、自然環境保護区域、農場、または工場のエネルギー自給を確保すると考えられる。
分子循環電解質バッテリーの原理(図5)は多孔質電極を通過する水溶液の循環に基づいている。電極上で固定化されて触媒に接触している酸化剤(Ox1)および還元剤(Red2)は、電流発生へと導く電子移動を引き起こす。このバッテリーの利点は多くあり、とりわけ水溶液の使用、流体が循環すると瞬時に動作し、貯留槽の体積に直接的に接続された電力用コンデンサを提供し、再生溶液で作動することなどがある。
本設計に起因する重要な点は、有効エネルギーの量(ジュールおよびワット時)および、開発された電力(ワット)が独立して最適化されていることにある。実際に:
-バッテリー電力は2つの酸化還元対と電極表面の間の電位差に関連している。バッテリーの電力は次元の関数および電極の性質である。
-エネルギー量は貯留槽の体積および酸化還元対の濃度である。
このことから蓄えられた電気量は、電解質溶液に溶解された電気活性有機分子(例えば、キノン、アントラキノンなど)の量に関連する。それ故に、電気量は電気活性有機分子の溶解性に、および分子が可溶化している貯留槽の体積に比例している。
本発明およびそれが提示する種々の利点は図を参照することで、かつ非限定的な実施形態に関する次の説明を基にすれば、より分かり易くなる:
図1はスキャン速度100 mV.s-1で得られた、A)イオン液体が無添加のアリザリンRedSの環状ボルト−アンペログラム(volt-amperogram)、およびB)0.6Mのイオン液体を添加したアリザリンRedSの環状ボルト−アンペログラムを示しており、作用電極はガラス状炭素電極としている; 図2は添加されたイオン液体の体積を関数として0.2MのKOHにおける水溶液中の0.6MでのアリザリンRedSの環状ボルト−アンペログラムの進展を示す(電極=ガラス状炭素、スキャン速度=100mV.s-1); 図3は0.6Mのイオン液体の存在下で、KOHの合算された当量を関数として0.6MでのアリザリンRedSの環状ボルト−アンペログラムの進展を示し、当量は0.6MのKOH(実線:2eq、破線:3eq、点線:4eq)に対応している(電極=ガラス状炭素、スキャン速度=100mV.s-1); 図4はKCI(実線:0eq、破線:1eq、点線:2eq)濃度を関数として0.6MのKOHにおける水溶液中の0.6MでのアリザリンRedSの環状ボルト−アンペログラムの進展を示す(電極=ガラス状炭素、スキャン速度=100mV.s-1); 図5は分子循環電解質バッテリーの動作原理を示す; 図6aは最初の2つのサイクル(実線:第1のサイクル、点線:第2のサイクル)にわたる容量を関数として、イオン液体が無添加の0.1Mでのアリザリンのバッテリーの電位の進展を示しており、また図6bは実施されたサイクル数を関数として、バッテリーの理論的容量に対する容量の比率の進展を示す; 図7aは最初の2つのサイクル(実線:第1のサイクル、点線:第2のサイクル)にわたる容量を関数として、0.5Mのアリザリンおよびイオン液体としての0.5Mのジメチルイミダゾリウムメチルスルファートのバッテリーの電位の進展を示し、また図7bは実施されたサイクル数を関数として、バッテリーの理論的容量に対する容量の比率の進展を示す。
イオン液体の合成
イオン液体は頻繁に文献に記載されている通常の合成スキームにより取得した。硫酸アニオンとのイオン液体の場合、カチオン(例えば、イミダゾール、アミンなど)の基礎部分を形成するために使用される化合物は、硫酸ジアルキルに直接的に反応する(Green Chem 2012, 14, 725)。別のアニオン(例えば、ジシアナミド、テトラフルオロボラート)の場合、カチオンの基礎部分を形成するために使用される化合物は、四級化と呼ばれる段階でハロゲン化アルキル(例えば、ブロモブタン)と反応し、次に、得られた塩は標的アニオンに対応する塩(例えば、テトラフルオロホウ酸ナトリウム)とのアニオンのメタセシス反応に使用される(Green Chem 2005, 7, 39)。
表1は本発明において使用される3つのイオン液体をまとめている。
サイクリックボルタンメトリーの方法
有機分子の可溶性に対するイオン液体の作用は、簡単な電気化学分析により観察可能である。使用される方法は電位の線形変化でのボルタンメトリーである。その結果は電気活性分子の酸化または還元の測定値が液中濃度に比例するカーブi = f(E)として表示されている。
電気化学分析は、体積が40mlである電気化学セルにて実施される。電気化学セルに導入される溶液の体積は10mlである。
分析を実施するために、溶液に浸した3つの電極を使用した:
作用電極。作用電極は試験された電気化学反応の場所である。ここではガラス状炭素製で、かつ表面が3mmの直径である電極か、または5mm直径のニッケル製電極が使用された。電気化学反応は電極の性質に敏感なことが多い。例えばその性質により溶液中の同じ電気化学系と比較すると、一部の電極は不動態化したり、別の電極は不動態化しなかったりする。
対電極。対電極はそれ自身と作用電極との間の溶液中での電流通過を可能にしている。この電極は非常に安定的でなければならない(例えば酸化の場合にも溶解が決して起こらない)。安定性を維持するため、対電極はプラチナ製である(直径1mmのプラチナ製のワイヤーである)。
参照電極。この電極はこれ自身と作用電極との間の電位差を測定することで、作用電極に対して働く電圧制御が可能である。参照電極の特殊な特徴は、固定された電位を有することである。従って作用電極の電位は使用された参照電極に対して参照される。ここで使用される参照電極は、電位がE° = 0.248 V/SHEの飽和カロメル電極である。
これら3つの電極はBiologic社製の定電位電解装置(potentiostat)「SP50」に接続されている。この定電位電解装置はBiologic社製のソフトウエアEClabを通してコンピュータで制御される。
得られた電気化学応答は、有機分子の溶解に使用されたイオン液体が(I-a)、(I-b)、または(I-c)に関わりなく、非常に類似している。次の実施例はイオン液体(I-a)、(I-b)、(I-c)のそれぞれに適用される。
イオン液体/塩基性水溶液混合液中の目的の有機化合物の最大の可溶性を試験するためのプロトコール(フラスコ法)
試験すべきイオン液体の所望量と併せて、100mgの標的有機化合物がフラスコに導入される。溶液が得られるまで塩基性水溶液を0.1mLずつ添加する。続いて最大濃度は次の式により決定される:
Cmaxはmol.L-1単位で与えられた有機分子の最大濃度であり、mcompoundは導入された有機分子の質量(単位:g)であり、Mcompoundはこの有機分子のモル質量(単位:g.mol-1)であり、Vは添加された水溶液の体積(単位:L)である。
水酸化物イオンの存在下におけるイオン液体/塩基性水溶液混合液中でのキノン誘導体の可溶化のプロトコール
キノンは容量フラスコの中に導入される(その量は一般的には0.1Mから0.5Mの間であり標的濃度に依存する)。液体が添加される(その量はキノンに対して化学量論的量でのイオン液体の可溶化力に依存する)。濃度が0.1Mから5Mの間である水酸化物イオンを含む水溶液が、フラスコが満ちるまで添加される。次に化合物の良好な分散を確保するために、混合液を超音波浴に5分間かける。次に、この混合液を双眼顕微鏡下で観察するが、可溶性に関して疑いがある場合(例えばあまりにも過度に色の付いた溶液の場合)には、懸濁液に粒子が全く無いようにするために減圧下でPES(ポリエーテルスルホン)膜での濾過を実施する。
溶液の粘度測定
溶液の粘度は、温度が20℃およびせん断速度25 s-1で、Anton Paar MCR301レオメータにより測定された。
溶液の伝導率測定
溶液の伝導率は、温度が20℃でTucassel CDRV 62伝導度測定器により測定された。
バッテリーの容量測定
バッテリーの容量は、25cm2のセルにて測定された。使用されたセパレータはNafion 117膜であり、コレクターはグラファイト製(SGL)であり、また電極はグラファイト製(SGL 4.6mm)である。充電電流および放電電流は40mA/cm2で固定される。
実施例1
アリザリンredSは、濃度2 mol.L-1であるカリウム(KOH)溶液中において約0.2 mol.L-1の溶解度を持つアントラキノンである。0.6Mのイオン液体の存在下でアリザリンの可溶性は0.6 mol.L-1まで増加する。
イオン液体濃度は、アリザリンredS 濃度と同じ0.6 mol.L-1である。可溶性の増加は酸化ピークと還元ピークとの強度が15倍の有意な増加で示される(図1)。得られた強度は60 mA.cm-2よりも僅かに大きくて、これは非常に大きなものであり電極の周辺に溶解された有意な物質量を反映している。
実施例2
図2は添加されたイオン液体の体積を関数として、アリザリンredS の電気化学応答の進展を示す。体積の割合は溶液の総体積に対して計算される。これらの条件下で10%の体積パーセントはアリザリンredSを用いた化学量論的量での添加を表す。本発明の意味において、イオン液体の入っていない水において難溶性であるアリザリンredSは「大きい」分子である。
電気化学応答は、体積パーセントが10%を超える添加により大幅に減少する。この現象はイオン液体の過剰と関連しており、その結果として溶液の導電率が減少する。化学量論比(10%の体積パーセント)を超えている場合、溶液の電気抵抗(オーム電圧降下)は非常に急速に増大する。これらの条件下で、これらの混合液は強い電流が発生する電気化学的プロセスにおいての使用は不適当になる。これとは逆に10%未満の場合、電気化学的応答は向上する。しかし溶液はますます、かつ急速に「糊状」になり、数分後には凝固し始める。有機分子の0.8当量未満で添加されたイオン液体は、もはや可溶化の役割を果たせない。
実施例3
表2はアントラキノンの群に属する分子の可溶化に関する一連の試験結果をまとめたものである。
全ての実施例において、式(I-a)、(I-b)、(I-c)からなるイオン液体の添加はアントラキノンの可溶性を増加させる。最小のイオン液体濃度はアントラキノン濃度に等しい(2番、3番、4番、5番のアントラキノンの場合)。イオン液体が過剰であることが、pHが14の溶液に対する自然な可溶性が非常に弱いアントラキノン族には必要である(1番、6番、7番、8番のアントラキノンの場合)。
実施例4
2MのKOHにおいて、アリザリンと1 : 1で比例している場合の1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファートは、0.5Mを超える濃度の溶液を取得できる一方、このことはN-メチルイソキノリニウムメチルスルファートでは可能ではない(沈殿物は0.5Mでもまだ見える)。アリザリンに対する1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファートの比率が、1:1未満である場合にも同様であり、沈殿物は0.5Mでも依然として見える。この2つのイオン液体の混合液が次の比率:アリザリン/1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート/N-メチルイソキノリニウムメチルスルファートが1 : 0.5 : 0.5が使用された場合、濃度0.8Mの溶液が得られる一方で、同じ比率(アリザリン/イオン液体が1 : 0.5)で使用された2つの単離されたイオン液体は、0.5Mでの溶液の取得を可能にしない。この観察は、アリザリン/N,N-ジイソプロピルエチルメチルアンモニウムメチルスルファート/N-メチルイソキノリニウムメチルスルファートが1 : 0.5 : 0.5において繰り返される。
実施例5
図3はKOH濃度を関数としたアリザリンredS(5番のアントラキノン)の電気化学的応答に関する試験である。水酸化物イオン(OH-)は水の自動プロント化バランスに関与していおり、電解質溶液の一次溶媒である。水酸化物(OH-)濃度を考慮すると、これらは計算が困難でまた測定も困難であるpHが約14の溶液のpHに影響する。
式(I-a)のイオン液体濃度は、0.6 mol.L-1のアリザリンredS濃度に対して0.6 mol.L-1である。KOHの添加を濃くしても、イオン液体による可溶化を促進する原則は妨げられず、かつ電気化学的応答を有意に増加させる。
この結果が重要なのは、イオン液体による可溶化の技術は、イオン力が基準外の値に達していて、電解質溶液として使用する際には大いに有益である溶液で実施できるからである。
イオンがイオン自身の間で自由であると仮定して、表3はKOH濃度を関数としたイオン力(I)に関する値をまとめている。
ここで、Ci=イオンi濃度
Zi=イオンiの価数
さらに、[L.I.] = 0.6 mol.L-1;[A redS-, Na+] = 0.6 mol.L-1
溶液に存在するイオンは一価であり;それ故にイオン力は正負の電荷のモル濃度をも反映する。この種の濃度について各溶液のイオン伝導率は、1cm間隔で離れている2つの電極間に印加される1 Aの強度をおしなべて支える。
最後に水(溶媒)の自動プロトリシスバランスから生じたイオン(OH-)濃度の増加に関連した溶液の電気的活動の増加は、アリザリンredSの電気化学的応答を悪化させる(図3)。KOHが過剰に存在する場合(2当量より大きい量)でも、イオン液体/有機分子の相互作用により得られる可溶性は影響を受けないことを留意することも重要である。
実施例6
この実施例では、アリザリンredSの電気化学的応答が、KCI濃度を関数として試験されている。アリザリンredS、KOH、イオン液体の濃度は同一であり、0.6 mol.L-1で固定されている。表4はKCIの異なる濃度の場合のイオン力の値を示す。
KCIの添加を濃くしてもイオン液体による可溶化を促進する原則は妨げられない。この値を超えて可溶化するために、電気化学的応答はイオン力が約1になるまで有意に増加する(図4)。
この実施例は、固定したpHにおいて、イオン液体を使用する技術により可溶化された分子を含む溶液が、中性塩の添加を関数として変化する電気化学的応答を実証できることを示す。この現象はイオン液体とアントラキノンとの間の相互作用が有効であることを証明している。
この可溶化技術は、イオンで濃縮された溶液を使った研究を可能にし、また可溶性を一定に保ちながらKCl、NaCl、NaBF4、Na2SO4、K2SO4などの中性導電性塩の添加により溶液の導電率の増加が可能となる。
実施例7
溶液の組成物:
溶液1: 2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゾキノン(II-i)0.83M;1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート(I-c)))0.83M;2M のKOH
溶液2:アリザリン(II-d)0.5M;1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート(I-c))0.5M;2M のKOH
溶液3:アリザリンRedS(II-e)0.6M;1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート(I-c))0.6M;2M のKOH
溶液4:アリザリン(II-d)0.5M; 1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート(I-c))0.25M;N-メチルイソキノリニウムメチルスルファート(I-f)0.25M;2M のKOH
溶液5:アリザリン(II-d)0.5M;N,N-ジイソプロピルエチルメチルアンモニウムメチルスルファート(I-g)0.5M;2M のKOH
溶液6:アリザリン(II-d)0.5M;1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルファート(I-c))0.5M;3M のKOH
溶液7:アリザリン(II-d)0.5M;1-メチル-3-ジブチルイミダゾリウムジシアナミド(I-d)0.5M;2M のKOH
溶液8:アリザリン(II-d)0.5M;1-メチル-3-ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(I-e)0.5M;2M のKOH
溶液4は、イオン液体を関数とした電解質溶液の特性の調節を示しているイオン液体混合液の実施例である。溶液2(同一の有機分子;共通の1つのイオン液体)と比較すると有機分子の水可溶性は同一であるが、しかし溶液4の伝導率は減少し、その粘度は大幅に増大する。この実施例はイオン液体の性質(可溶化の効果を除いて)が媒体の粘度に有意に影響を与えることを示す。
溶液5は脂肪族カチオンを含むイオン液体の使用に関する実施例である。
溶液2と比較すると、溶液6は同じ成分を含んでいるが、無機塩、KOHが増加する。この溶液は伝導率の増加を示し、粘度の減少を示す。従って標的溶液の使用により、一般的に伝統率の増加(50 mS.cm-1を超える値)と低粘度(125 cP未満の値)との関係について妥協は必要となる
溶液2と比較すると、溶液7は溶液の粘度を10倍減少させることが可能であるイオン液体のアニオンの修飾に対応する。従って粘度に影響無く、伝導率はイオンOH-の濃度の増加に伴って増加できる。溶液8は同じ現象を示す。
実施例8
図6aおよびbでは、アリザリンはイオン液体を用いずに導入される。電解質は次のように調製される:陽極液は2M のKOH水溶液中の0.1 Mのアリザリン(飽和)から成る;陰極液は0.5MのNaOH水溶液中の0.2Mのフェロシアン化カリウムから成る。理論容量は536mAhである。
93%および97%の理論容量は、初めの2つのサイクルで達成され、かつRTEsは97%および99%である(図6a参照)。565サイクルが実施された。容量は安定せず30%までに減少した(図6b参照)。初期電力は2.5Ωの抵抗で130mW/cm2である。
図7aおよびbでは、アリザリンは、ジメチルイミダゾリウムメチルスルファートと混合される。電解質は次のように調製される:陽極液は2M のKOH水溶液中の0.5Mのアリザリンおよび0.5Mのジメチルイミダゾリウムメチルスルファートから成る;陰極液は0.5MのNaOH水溶液中の0.6Mのフェロシアン化カリウムから成る。理論容量は1600mAhである。
100%の理論容量は初めの2つのサイクルで達成され、RTEsは95%である(図7a参照)。130サイクルが実施された。容量は755mAhで安定した(47%の理論容量、図7b参照)。初期電力は6.4Ωの抵抗で62mW/cm2である。
イオン液体の添加による濃度増加は、容量を増加(同一の体積よりも5倍大きい)させることを可能にする。
アリザリンはジイソプロピルエチルメチルアンモニウムメチルスルファートと混合される。電解質は次のように調製される:陽極液は2M のKOH水溶液中の0.3Mのアリザリンおよび0.3Mのジイソプロピルエチルメチルアンモニウムメチルスルファートから成る;陰極液はNaOH 0.55M/KOH 0.3Mの水溶液中の0.56Mのフェロシアン化カリウムから成る。理論容量は798mAhである。
92%および90%の理論容量は初めの2つのサイクルで達成され、RTEsは89%である。37サイクルが実施され、また容量は40%の理論容量で安定した。初期電力は2.1Ωの抵抗で59mW/cm2である。
イオン液体の添加による濃度増加は、容量を増加(同一の体積よりも3 倍大きい)させることを可能にする。

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの無機塩を含む水溶液中の少なくとも1つの有機分子の可溶性を増加させて電解質溶液を取得するために、前記水溶液中に少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子を少なくとも実質的に化学量論的量で存在させる、少なくとも1つのイオン液体の使用。
  2. 少なくとも1つのイオン液体は親水性アニオンと芳香族複素環カチオンまたは脂肪族カチオンとを含み;
    特に前記親水性アニオンはメタンスルファート、エタンスルファート、塩化物、ヨウ化物、テトラフルオロボラート、チオシアネート、ジシアナミド、トリフルオロアセテート、ニトレート、またはヘキサフルオロホスファートアニオンから選択され、好ましくはメタンスルファート、エタンスルファート、テトラフルオロボラート、またはジシアナミドアニオンから選択される;
    特に前記芳香族複素環カチオンはイミダゾリウム、ピリジニウム、またはキノリニウムから選択されるか、あるいは特に前記脂肪族カチオンはアンモニウムから選択される;
    前記少なくとも1つのイオン液体は、より好ましくは式(I-a)のピリジニウムエタンスルファート、式(I-b)のイミダゾリウムエタンスルファート、式(I-c)のイミダゾリウムメタンスルファート、式(I-d)のイミダゾリウムジシアナミド、式(I-e)のイミダゾリウムテトラフルオロボラート、式(I-f)のキノリニウムメタンスルファート、または式(I-g)のアンモニウムメタンスルファートから選択される、請求項1に記載の少なくとも1つのイオン液体の使用。
  3. 前記少なくとも1つのイオン液体は溶液の全体積に対して5%から20%までの、特に10%から20%までの、とりわけ10%の体積パーセントで存在する、請求項1または請求項2のいずれか1つに記載の少なくとも1つのイオン液体の使用。
  4. 前記少なくとも1つの有機分子は極性または非極性である;および/または
    前記少なくとも1つの有機分子は電気活性である;および/または
    前記少なくとも1つの有機分子は100 g.mol-1から600 g.mol-1の、特に100 g.mol-1から200 g.mol-1の、または200 g.mol-1から600 g.mol-1の分子量を有する;および/または
    前記少なくとも1つの有機分子は、とりわけ1つから4つの縮合芳香族環、好ましくは1つから3つの縮合芳香族環、より好ましくは1つの芳香族環、または3つの縮合芳香族環を有する;および/または
    前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも1つの位置でヒドロキシル化されている;
    特に前記少なくとも1つの有機分子はキノン、カテコール、ナフトキノン、オルトナフトキノン、またはアントラキノンの群から選択され、好ましくは式(II-a)から式(II-i)の化合物から選択される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の少なくとも1つのイオン液体の使用:
  5. 前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水に対して0Mから0.1Mの値の可溶性を有する;または
    前記少なくとも1つの有機分子は、イオン液体を含まない水に対して0.1Mから0.2Mの可溶性を有する;または
    前記少なくとも1つの有機分子は、オン液体を含まない水に対して0.2Mから0.5Mの可溶性を有する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の少なくとも1つのイオン液体の使用。
  6. 前記少なくとも1つの無機塩は酸性、塩基性または中性塩である;
    特に、前記少なくとも1つの無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択される強中性塩である;または
    前記少なくとも1つの無機塩はHCl、H2SO4、HClO4から選択される強酸塩であり、特に前記少なくとも1つの無機塩は2つの無機塩を含み、とりわけ中性無機塩および酸性無機塩から選択され、好ましくは、中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、酸性無機塩は強酸のHCl、H2SO4、HClO4から選択される;または
    前記少なくとも1つの無機塩はNaOH、KOH、LiOHから選択される強塩基であり、特に前記少なくとも1つの無機塩は2つの無機塩を含み、とりわけ中性無機塩および塩基性無機塩から選択され、好ましくは、中性無機塩はNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4から選択され、また塩基性無機塩は強塩基のNaOH、KOH、LiOHから選択される;
    特に前記無機塩は0.5Mから3Mまで、より詳細には1Mから2.5Mまで、好ましくは2Mの濃度である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の少なくとも1つのイオン液体の使用。
  7. 前記電解質溶液は導電率σが40 mS.cm-1を超え、特に100 mS.cm-1を超え、好ましくは100 mS.cm-1から200 mS.cm-1である;および/または
    前記電解質溶液の粘度は、せん断速度が25 s-1で、温度が20℃での測定時には1 cP〜400 cPであり、特にせん断速度が25 s-1で、温度が20℃での測定時に1 cP〜125 cPであり、またはせん断速度が25 s-1で、温度が20℃での測定時に125 cPを超える値と400 cPの値の間である;および/または
    水酸化物イオン濃度が0.5 mol.L-1より大きい塩基性溶液では、前記電解質溶液の半波電位が-1.1 V/SCEから-0.7 V/SCEまでである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の少なくとも1つのイオン液体の使用。
  8. 少なくとも1つの有機分子および少なくとも1つのイオン液体を、少なくとも実質的に化学量論的量で、無機塩を含む可能性がある水溶液へ添加するステップを含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載の少なくとも1つのイオン液体の使用による少なくとも1つの有機分子の水溶化方法。
  9. 前記少なくとも1つの有機分子および前記少なくとも1つのイオン液体を、少なくとも実質的に化学量論的量で前記水溶液へ添加するステップが、前記水溶液中への少なくとも1つの無機塩の可溶化のステップに先行するかまたは後続する、請求項8に記載の方法。
  10. 少なくとも1つのイオン液体、少なくとも1つの有機分子、少なくとも1つの無機塩、水溶液、および少なくとも1つの電極を含み、前記少なくとも1つのイオン液体および前記少なくとも1つの有機分子は少なくとも実質的に化学量論的量で存在する、請求項1〜7のいずれか1つに記載の電解質溶液を含有する電解装置。
  11. 電気化学的貯蔵のプロセス実施に使用される;
    特に前記電気化学的貯蔵がバッテリーまたはセルで、とりわけ分子循環電解質バッテリーか、分子循環電解質セルで実施される、請求項10に記載の電解装置の使用。
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