選択されるインクは、ナノスケール顔料及びシリコーンバインダーで過半が(最終のインク層において少なくとも50重量%、好ましくは80重量%)作られており(初期のインクは、その後に乾燥又は焼成により消失する溶剤を含有していることも可能であり、かつ/又はインクは、低含有率の添加剤及び/若しくは充填材を更に含有していることも可能である)、このインクは、セラミックインクとは異なり、有利にはガラスフリットを含まない。このインクは、有利にはインクジェット印刷により堆積され、そして層を、特に数ミクロンの厚さで、ガラスセラミックガラス基材上に形成する。この層は、概して不透明ではない(透明又は半透明である)。このように選択したインクの層は、2つの層を組み合わせた本発明の形態において、その堆積後の焼成も、接着剤プライマーを予め堆積させることも必要とすることなく、ガラスセラミックガラス材料への良好な接着を有し、(特にエナメルと異なり)ガラスセラミックガラス基材を機械的に弱化させず、その一方で、選択した塗料は、熱保護として、及び有利には(適切な場合には、プレートにより覆われている要素、例えば加熱システムを、使用していないときに隠し、その一方で、適切な場合には、電源がオンのときに、加熱システムを見つけることを可能とする)不透明化媒体として作用し、他方、これらの層のうちの一方又は他方の単独での使用は、他方、本発明に従い所望の物品を得るために申し分のないものではないことが観察できる。
選択した特定のインク及び特定の塗料の組合せはまた、特に第一のタイプの層のためにインクジェット印刷を選択することにより、2つのタイプの異なる堆積物の利点を組み合わせ、(写真用のタイプの)高解像度の種々のデザインを、適切な場合には少ない作動で、物品に与えることができるようにしつつ、その一方で、必要に応じて、高価な設備又は複雑な設備変更を必要とすることなく印刷を個別的に具現化することを可能とし、かつ第二のタイプの層についてはより慣習的な堆積技術を選択することにより、適切な場合には、より大きな表面上に層を(例えば、下面全体上の均一な着色として)迅速に堆積させることを可能とし、その一方で、このタイプの物品のため、特に目的とする用途のために必要とされる性質、特に耐熱性及び機械的強度を保持することを可能とする。物品は、特に用いたインクが(後で示すように、黒色顔料、特にカーボンブラックタイプの顔料をベースとしている)黒色インクであるときに、(例えば通常の業務用のインク、特にコーティングの焼成の間に分解する紫外線硬化インクを単独で用いて得ることができるものと異なり)特に良好な耐熱性を有する。
このようにして、本発明は、クックトップを生み出すために用いることができるガラスセラミック、又は20℃〜300℃で50×10-7K−1のCTEガラス材料のための製品及びコーティング技術であり、より多種多様な装飾を得ることを可能とし、その一方で、目的とする好ましい用途(高温にさらされる装飾されているプレート、例えばクックトップ)に特有の制約、特に熱的及び機械的な制約を満足し、かつこれが経済的で、単純でかつ効率的である一方で、ガラスセラミック材料を可能な限り弱化させず、革新的又は現在まで得ることが困難である色彩効果又は演色を有し、これらの装飾が機能的(領域、例えば制御ディスプレイ領域の識別等)及び/又は審美的であることができ、開発したコーティングが、良好な耐性(特に機械的強度、耐熱性及び/又は耐摩耗性)及び得られたコーティングされている物品上での良好な安定性を有する、製品及びコーティング技術を開発した。
好ましくは、本発明による物品を作っている基材(又は物品が基材のみで作られている場合には物品そのもの)は、例えば少なくとも1つの加熱要素を覆うか又は受けることを意図しており、特にクックトップとして又はオーブン若しくは暖炉の挿入物のための壁(特に扉若しくは扉の部分)又はファイアスクリーンとして用いることを意図している、プレートである。
基材は、概して、特に長方形、又は正方形、又は円形若しくは楕円形等の形状を有し、かつ概して使用位置における「上」面又は「外」面(視認可能であるか又は使用者を向いている面)、使用位置における別の「下」面又は「内」面(概して上記のシートを組み込んでいる家具の枠組又は骨組に隠れている)、及び端面(又は縁又は厚さ)を有している。上面は、概して平坦であり、かつ滑らかであるが、少なくとも1つの凸部及び/又は少なくとも1つの凹部及び/又は少なくとも1つの開口部及び/又は勾配付きの縁(これらの形状は、基材の製造の際に、例えば圧延若しくは垂れ曲がり若しくは押圧等により付加されているか、又はオフラインの操作において付加されている)等を有していてよく、これらの形状の変化は、有利にはプレートにおける(材料の変化又は継ぎ目がない)連続的な変化を構成している。下面は、本発明によれば、概して平坦であり、かつ滑らかであるが、適切な場合には、構造物(例えばスタッド)を有していてもよい。
用いるガラス基材、特にガラスセラミック基材の厚さは、概して少なくとも2mm、特に少なくとも2.5mm、特に3〜30mm程度であり、有利には15mm未満であり、特に3〜15mm程度であり、特に3〜6mmである。
基材(及び物品の各々)は、好ましくは、高温に耐えることができ、かつ有利にはゼロ又はほぼゼロのCTE、特に20℃〜300℃で(絶対値として)30×10−7K−1未満、特に20℃〜300℃で15×10−7K−1未満、又は5×10−7K−1未満のCTEを有する、ガラスセラミックで作られている。
より一般的には、ガラス材料が、(有利には30×10−7K−1未満である)ガラスセラミックであっても、20℃〜300℃で50×10−7K−1未満のCTEを有する随意の他のガラス材料、例えば補強ガラス(特に化学的又は熱的に強化されているガラス)であっても、本発明を、20℃〜300℃で(絶対値として)50×10−7K−1未満のCTE(膨張係数)を有する随意のガラス材料で作られている基材(及び物品の各々)に適用する。熱膨張係数又はCTEは、標準規格ISO 7991:1987に従い、特にNetzsch社により呼称DIL 402Cで販売されている高温膨張計を用い、3℃/minの加熱速度で、周囲温度(特に25℃付近)〜300℃で測定する(CTE300℃とも称する)。
好ましくは、本発明による物品の基材は、透明であり、特に10%超、好ましくは70%超、特に80%超の光透過率TL(標準規格ISO 9050:2003に従い、光源D65を用い、例えば積分球を備えた分光光度計を用いて測定する。所与の厚さでの測定値は、その後、適切な場合には、参照厚さ4mmに変換され、この総透過率は、可視領域で積分し、直接透過率及び可能性のある拡散透過率を考慮に入れている)を有する、ガラス材料、特にガラスセラミックで作られている。ガラスセラミックの場合、この透明な基材は、概して残りのガラス相の内部にβ−石英構造の結晶を含んでいる。
用いるガラスセラミックは、以下の番号で公開されている特許出願に記載されているような組成を特に有していてよい:国際公開第2013171288号パンフレット、米国特許出願公開第2010167903号明細書、国際公開第2008065166パンフレット、欧州特許出願公開第2086895号明細書、特開2010510951号公報、欧州特許出願公開第2086896号明細書、国際公開第2008065167パンフレット、米国特許出願公開第2010099546号明細書、特開2010510952号公報、欧州特許出願公開第0437228号明細書、国際公開第2016038319パンフレット。このガラスセラミックは、特にリチウムアルミノケイ酸塩ガラスセラミックであり、このガラスセラミックは、例えばEurokera社及びKeraglass社により呼称KeraLiteの下で販売されているプレートのガラスセラミックである。
用いるガラスセラミックは、適切な場合には、基材に特定の彩色を付与する着色剤、例えば酸化バナジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化セレニウム、酸化クロム、又は酸化ニッケル、酸化銅、及び/又は酸化マンガン等を含有していてもよい。
用いるガラスセラミックは、ヒ素で精製されていてもよく(すなわち、0.2重量%〜1.5重量%程度の(As2O3として示す)酸化ヒ素を含有している組成(を有する母材ガラス)を有する)、又はヒ素で精製されていなくてもよく(特に0.2%未満、特に0.1%未満、又はゼロの酸化ヒ素の含有率を有する)、錫で精製され又は硫化物で精製されていてもよく、また圧延処理により又はフロート処理により得てもよい。
適切な場合には、用いるガラス材料は、50×10−7K−1未満のCTEを有する、特に強化されている、セラミック化されていないガラス、例えば次の番号で公開されている特許出願に記載されているような強化されたリチウムアルミノケイ酸塩であってもよく:仏国特許出願公開第1060677号明細書、国際公開第2012080672号パンフレット、若しくは仏国特許出願第1363157号明細書、又は、別のタイプの強化されているガラス(ソーダ石灰、ホウケイ酸塩等)、例えば国際公開第2012146860号パンフレットに記載されているようなガラスであってもよい。
基材上に堆積されているか又は見られる(最終の)コーティングの第一のタイプの層は、基材の表面の1又は複数の領域を覆っていてよく、この層(及び更にはこの第一の層上に堆積されている第二の層、並びに2つのタイプの層で作られている最終のコーティング)は、特に基材が特にクックトップとして用いることを意図しているプレートである場合には、優先的に基材の下面又は内面上に(又は下面若しくは内面として)存在している。第一のタイプの層は、概してこのタイプの層が堆積されている基材の面(好ましくは上記の下面又は内面)の一部のみを覆って、特に所望のデザインを作っており、その一方で、第二のタイプの層は、概して、この第一のタイプの層のみならず、この同一の面の実質的に全体(例えばこの面の少なくとも90%)又は全体を覆って、特に物品が作動していないとき/使用状態ではないときに、この面の後ろ側に見られる要素を隠蔽する。
第一のタイプの層/堆積させたインクは、本発明に従い、ナノスケール顔料及び少なくとも1つのシリコーンバインダーで作られている。用語「インク」は、顔料及びバインダー又は溶剤の存在を暗示しており、本発明においては、インクジェット印刷等の堆積態様をも含意している。
ナノスケール顔料又はナノスケールサイズの顔料は、それらの粒子の形状に関わらず、100ナノメートル未満、好ましくは50nm未満の寸法又はサイズを有する顔料である(又はこれらの顔料を形成している)粒子を意味するものと理解される。
粒子のサイズは、相当直径、すなわち問題となっている顔料を(当初に)作っている粒子の(又は上記の粒子で作られている粉末の)粒径分析の間に同一の態様で挙動するであろう球の直径を言及するものであり、粒度分布(粒子サイズの集まり)は、特にレーザー粒径分析により測定する。有利には、本発明において用いるインク中に存在している顔料のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%は、100nm未満のサイズ(次いで、このサイズ分布を、考慮している粒子一式(又は考慮している粉末の)の粒子の50%がD50未満のサイズを有していることを意味するD50百分位数を用いて、又は考慮している粒子一式(又は考慮している粉末の)の粒子の90%がD90未満のサイズを有していることを意味するD90百分位数を用いて評価する)、好ましくは50nm未満のサイズを有しており、特に好ましくは、インクの全ての顔料が、ナノスケールのサイズを有している。
第一のタイプの層/堆積させたインクは、有利には、(最終のインク層において)少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%のナノスケール顔料で作られており、顔料の含有率は、優先的には、インクの組成において(ひとたび乾燥した最終のインク層において)50重量%を超えない。
インク層を製造するために用いる顔料は、無機であっても有機であってもよく、好ましくは熱に耐えることができる。例えばカーボンブラック、フタロシアニン、リゾールルビン若しくはジアリーリド顔料、又は金属酸化物、例えば酸化クロム、酸化銅、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化セリウム、酸化チタン等をベースとする顔料、又は銅若しくはコバルト等のクロム酸塩をベースとする顔料を用いることが可能である。好ましくは、カーボンブラックタイプの黒色顔料を用いる。
顔料は、特に上記のシリコーンバインダー中に溶解しているか又は分散している。シリコーンバインダーは、適切な場合には(シリコーンバインダーの部分を作っており、かつ/又はインクの部分を作っている)溶剤中で、シリコーン(又はポリシロキサン)((ポリマー、モノマー、オリゴマー)樹脂)で過半が(すなわち、固形分の少なくとも50重量%又は100重量%の比率で)作られている、バインダー(又はバインダーとして作用する組成物、すなわち顔料粉末をコーティングするために用いられ、かつ乾燥又は硬化後に粒子のバルク凝集を可能として、固体のインク層を作る組成物)を意味するものと理解される。(バインダーの及び/又はインクにおける)溶剤としては、例えばアルコールをベースとする溶剤、例えばエタノール、メタノール若しくはグリセロール、メチルエチルケトン、エチルアセテート、ジメチルホルムアミド、メトキシプロパノール若しくはエトキシプロパノール、又は水等を用いることができ、エタノールは、(適切な場合には共溶剤、例えばグリセロール又はジメチルホルムアミド又はメトキシプロパノールとともに用いて) 特に急速な乾燥を可能とし、堆積中のインクにおける溶剤の含有率は、概して組成の50重量%〜80重量%程度であり、次いで、最終の層を得るため、溶剤は消失する(この消失は、本発明に従うインクについての乾燥の間に排他的に実施される)。インクは、適切な場合には、シリコーンバインダー(又は樹脂)以外の(例えばポリエステル又はエポキシ樹脂をベースとする)バインダー又は樹脂を含有していてもよいが、好ましくは唯一のバインダー又は樹脂として、1又は複数のシリコーンバインダー又は樹脂を、(最終のインク層において)インクの50重量%〜95重量%の含有率で、排他的に含有している。
適切な場合には、インクは、他のタイプの成分、特に1若しくは複数の添加剤(例えば可塑剤、湿潤剤、安定化剤、分散剤、界面活性剤、pH若しくは粘度調整剤、蒸発を減速する薬剤、導体、殺生物剤、消泡剤、抗酸化剤等)、又は1若しくは複数の無機充填材(顔料以外で、かつフリットと異なり、特に焼成の間に融解しない。これらの充填材は、例えば補強の役割又は層中の亀裂の出現を制限する役割を有しており、例えばカルシウム及び/又はマグネシウム炭酸塩、硫酸バリウム、シリカ又はケイ酸塩等で作られている)を、(最終のインク層において)優先的に20重量%を超えない含有量で含有していてよく、固形におけるこの成分は、優先的にナノ粒子の形態である。
用いるインクは、特にかつ有利には、MuchColours社により販売されている呼称NanoColours Ink jetであるインクである。
優先的に、用いるインクの堆積中の粘度は、1〜100mPa.s、特に1〜50mPa.sである。また、有利には、インクの表面張力は、20〜50mN/mである。
本発明に従い選択したインクは、本発明による物品の問題となっている領域がさらされる温度に耐えるのみならず、耐光性である。
上で示したように、第一のタイプの層を作るためのインクの堆積は、有利にはインクジェット印刷により実施する。インクジェット印刷技術は、本発明による基材上に、必要とされる量のインクのみで、(有利にはコンピューター制御の下で)直接的で、非接触的に堆積することを可能とする。この技術においては、1又は複数の毛細管のオリフィスを通して送り出される液体インクは、液滴へと分けられ、各々の微液滴は、適切な場合には、印刷支持体に向かって射出され、及び/又は、印刷支持体に向かって射出されている間に、電気的又は磁気的に偏向させられる。このようにして、印刷された画像は、多数の小さい並列したインクスポットで作られている。印刷は、要求に応じて、連続的に又は噴流として実施することができ、効率的かつ急速な堆積及び乾燥を可能とし、液滴により作られた最終のインク層の厚さは、本発明においては、好ましくは0.1μm〜10μm、特に1〜5μmである。
拡大解釈すると、インクの層は、層が(各々が、有利には本発明によるインクの定義を満足している、すなわちナノスケール顔料及びシリコーンバインダーをベースとしている)1又は複数のインクで作られていてよく、このインクは、適切な場合には、同時に(1つの同一のインクジェットプリンターのパスの間の同時の堆積)及び/又は連続して(幾つかのプリンターのパス)、混合され及び/又は重ね合わせられていることを意味するものと理解される。特に、原色の幾つかのインクを重ね合わせて、有利には、インクジェット印刷により印刷(又は適用)された(又はインクジェット印刷により得られた)層を作ることができる。
特にインクジェット印刷により、インク層を得るための、インクの重ね合わせ又は混合による色の調節は、特に明瞭かつ簡潔である。色は、例えば基本色又は原色(例えばシアン、マゼンタ及びイエロー)を概して含む種々の色の間の比、特にシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの間の比により定め、有利には受け入れられた比(又は比率)での各々の色の(インクの)堆積物の重ね合わせにより得る。それによれば、正しい比を有する溶液を予め作製する必要がない;この比は、印刷の時にプリンターの管理ソフトウェアに単純に入力する。したがって、この比は、用いる基材及び所望の装飾の一括処理の機能として非常に容易に調節することができる。インクジェットでの適用は、例えばスクリーン印刷によって見られる、厚さの不均一さの問題を抑制すること、及び得られた色の良好な均一さを得ることをも可能とする。
本発明により堆積したインク層は、概して不透明ではなく(透明又は半透明であり)、かつ特に少なくとも12%の光透過を有し、この光透過は、特に85%までの範囲にあってよい。この光透過は、標準規格ISO 9050:2003に従い、光源D65を用い、80%超の光透過率TLを有し、次の(重量)組成を有する、厚さ4mmの透明なガラスセラミックプレート上に堆積させた層について測定する:SiO2:67.4%、Al2O3:20%、As2O3:1%未満、BaO:1%未満、TiO2:2.6%、ZnO:1.6%、ZrO2:1.7%、MgO:1.25%、Na2O:0.5%未満、K2O:0.5%未満、LiO2:3.45%及びFe2O3:0.1%未満。光透過は、Perkin Elmer社により呼称Lambda 900の下で販売されている分光光度計を用いて測定する。
堆積させたインク層の接着は、焼成さえも必要とすることなく、また支持体の前処理及び/又は接着促進剤、接合層若しくはプライマーの使用を必要とすることなく良好である。
固化させるため、本発明に従い堆積させたインクを(特に外気で乾燥させるためにインクでコーティングされている基材を放置することにより)周囲温度で乾燥させることができるが、しかしながら、高い印刷速度及び支持体の性質が、特に(例えば100℃〜200℃での)熱処理による強制乾燥をしばしば余儀なくする。有利には、本発明に従い堆積させたインクは、第二のタイプの層でコーティングする前に高温で焼成することを必要としない。
本発明によれば、インク層は、堆積及び任意選択的な乾燥の後において、シリコーンをベースとする塗料の少なくとも1つの層でコーティングされており、塗料のこの層は、有利にはスクリーン印刷により堆積されている。
塗料との用語は、特に第一の層について用いられるインクに対して、特に組成(塗料は、特に概して無機充填物を含有している点で、かかる充填物がより少なく存在しているか又は存在していないインクと異なっており、また本発明に従うインクはナノスケール顔料を含有している等)、粘度(塗料は、インクの粘度よりも高い粘度を有する)、及び堆積の態様(塗料は、特に均一な着色の形態で、特にスクリーン印刷、噴射、ロールコーティング又はカーテンコーティングにより堆積される点で、本発明に従いインクジェット印刷により堆積されるインクとは異なっており、追加的に、堆積された厚さが異なっている)に関して区別することを可能とする。
好ましくは、上で示したように、第一の層は、優先的に不透明ではないが(透明又は半透明であり)、他方、第二の層は、優先的に不透明にされており、特に第二の層は、第一の層の光透過を低減させる。本発明に従い堆積させた塗料の層は、特に15%未満の光透過を有する。この光透過は、標準規格ISO 9050:2003に従い、光源D65を用い、80%超の光透過率TLを有し、次の(重量)組成を有する、厚さ4mmの透明なガラスセラミックプレート上に堆積させた層について測定する:SiO2:67.4%、Al2O3:20%、As2O3:1%未満、BaO:1%未満、TiO2:2.6%、ZnO:1.6%、ZrO2:1.7%、MgO:1.25%、Na2O:0.5%未満、K2O:0.5%未満、LiO2:3.45%及びFe2O3:0.1%未満。光透過は、Perkin Elmer社により呼称Lambda 900の下で販売されている分光光度計を用いて測定する。
本発明に従い、インクの層と組み合わせられている塗料の層(又は、幾つかの層が堆積されている場合には、各々の塗料の層。しかしながら、単層の堆積が好ましい)は、有利には、高温に耐えるように、その色及びそのプレートとの密着に関する安定性を有するように、かつプレートの機械的性質に悪影響を及ぼさないように選択する。塗料は、有利には350℃超、特に350℃〜700℃の分解温度を有しており、塗料の固形分に対して少なくとも15重量%の比率で、シリコーン樹脂、適切な場合には少なくとも1つのラジカル、アルキル、フェニル等のラジカルの組み込みにより、及び/又は他の樹脂、例えばアルキド樹脂の組み込みにより、変性しているシリコーン樹脂をベースとしている。塗料の1つ又は複数のシリコーン樹脂は、例えば、適切な場合には架橋可能なフェニル基を有し、かつ概して2000〜300000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有している、特にポリシロキサン又はシルセスキオキサン樹脂であり、例えばポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、フェニルメチルシロキサンポリマー、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー等であり、例えば以下の樹脂から選択される:Dow Corning(登録商標)804、805、806、808、840、249、409HS及び418HS、RhodiaからのRhodorsil(登録商標)6405及び6406、General Electric SiliconeからのTriplus(登録商標)並びにWacker Chemie GmbHからのSILRES(登録商標)604等を、単独で又は混合物として用いる。
塗料は、顔料又は着色剤、好ましくは無機顔料、特に金属酸化物、例えば酸化クロム、酸化銅、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化セリウム、酸化チタン等をベースとする顔料、又は銅若しくはコバルト等のクロム酸塩をベースとする顔料を、固形分に対して(又は最終の層において)60重量%を超えない含有率で含有していてもよい。顔料としては、1又は複数の金属、例えばアルミニウム、銅、鉄等、若しくはこれらの金属の少なくとも1つをベースとする合金の粒子、又はコーティングされている(例えばTiO2若しくはSiO2でコーティングされている)マイカ小板を用いることができる。好ましくは、塗料は、(例えばTiO2の)白色顔料、又は任意選択的に黒色顔料(例えば鉄、クロム、コバルト及びニッケルの混合物の酸化物で作られている顔料(Co−Cr−Fe−Niスピネル、特にFerro社により参照番号240137の下で販売されているようなもの)、又はクロム及び銅の混合物の酸化物で作られている顔料(Cr−Cuスピネル)、MnO2、Fe2O3及び/又はCoOをベースとする顔料、又はグラファイト若しくはカーボンブラックをベースとする顔料等)を含有している。
塗料は、その堆積できる形態において、概して、基材への適用のために望ましい粘度への調節を可能とし、かつ適切な場合には基材と結合することを可能とする媒体をも含有している。この媒体は、概して、遅くとも塗料の焼成の間には消費され、特に溶剤、希釈剤、オイル、石油留分、膜形成物質等を含有していてよい。堆積できる組成における媒体の比率は、好ましくは上記の組成の20重量%〜60重量%である。
塗料はまた、殆どの場合、その密着又はその機械的強化を確実にするため、1又は複数の無機充填材(顔料以外で、かつフリットと異なり、特に焼成の間に融解せず、かつ例えば補強の役割を有し、又は組合せの耐熱性に寄与する充填材、例えば炭酸カルシウム、カオリン等で作られている充填材)を、概して少なくとも5重量%で、かつ優先的に40重量%を超えない含有率(固形分に対して又は最終の層で)で含有している。
堆積前の組成は、概して、ペースト状の粘調度の安定な液体−固体の混合物の形態であり、(特にスクリーン印刷による)堆積処理のために適切な粘度を有しており、塗料の堆積中の粘度は、優先的に100〜10000MPa.sである。
(焼成後の)最終の塗料の層の(又は適切な場合には各々の塗料の層の)厚さは、特に1〜50ミクロン、例えば10〜30μmであってよく、塗料の適用を、特に均一な着色を作ることを可能とする随意の適切かつ迅速な技術、例えばブラシ堆積、ドクターブレード堆積、噴射、静電堆積、ディップコーティング、カーテンコーティング、スクリーン印刷、スプレー堆積等により実施することが可能であり、この適用は、好ましくはスクリーン印刷により、特にかつ有利には第一の層が見られる面のうちの大きな面積にわたって実施し(塗料の層は、概してかつ好ましくは下面の少なくとも90%、又は全体を覆っており、特定の領域、例えば表示領域は、適切な場合には塗料の層によってコーティングされていないままであるか、又は例えば半透明な有機金属の層の形態の、別の局所的なコーティングを受けることができる)、この適用の後には、適切な場合には乾燥を行い、次いで、インクの層及び塗料の層でコーティングされている基材を、概して、例えば80℃〜500℃で、塗料の堆積の後に熱処理して、塗料を焼成/架橋させ、並びに適切な場合には可能性のある溶剤の残留物を消失させる。
コーティングされている物品は、種々のタイプの過熱に適合する良好な耐熱性を有しており、あらゆるメンテナンス、引掻き又は摩耗の問題を引き起こさず、それは、良好な耐熱衝撃性及び耐エージング性、並びに十分な機械的強度を有する。方法の観点から、堆積させた組成物は、現存している製造ラインに適合する。
既に言及したように、本発明は、上記のような本発明による物品を製造するための方法であって、ガラスセラミック基材又は支持体(特にセラミック化によって予め得られるガラスセラミック基材若しくは支持体、又は20℃〜300℃で50×10−7K−1未満のCTEを有する別のガラス材料製の基材若しくは支持体)上に、有利には2つの堆積の間に(外気で、又は特に熱処理により加速させて)単純な乾燥を実施することにより、連続してコーティングを堆積させ、次いで、2つのタイプのコーティングで被覆した基材を焼成する、方法にも関する。
注意喚起として、ガラスセラミックプレートの製造は、概して次のように実施する:ガラスセラミックを作るために選択した組成を有するガラスを、溶融炉中で溶融させ、次いで溶融させたガラスを、圧延ローラーの間に溶融させたガラスを通過させることにより、標準的なリボン又はシートへと巻き取り、ガラスリボンを所望の寸法へと切断する。次いで、このように切断したプレートを、それ自体公知な方法によりセラミック化する。セラミック化は、ガラスを、「ガラスセラミック」と称され、膨張係数がゼロ又はゼロ付近であり、かつ700℃もの耐熱衝撃性を有する、多結晶材料へと変化させるため、選択された温度プロファイルに従ってシートを焼成することからなる。概して、セラミック化は、概してガラス転移領域の付近に存在する核形成領域まで温度を徐々に上昇させる工程、核形成温度範囲を数分間かけて横断し、更にセラミック化保持温度まで温度を徐々に上昇させ、セラミック化保持温度で数分間保持し、続いて周囲温度まで急速に冷却させる工程を含む。
ガラスセラミック以外のガラス材料の場合、プレートは、例えばフロート処理又は圧延処理、及び例えば20℃〜300℃で50×10−7K−1未満のCTEを有するガラス材料を得るための熱的又は化学的強化により製造することができる。
適切な場合には、方法は、例えば水噴射物、切込みホイールを用いた機械的切込み等を用いた(概して、ガラスセラミックのためのセラミック化の前の)切断操作、続いて成形操作(研磨、面取り等)をも含む。
2つのタイプのコーティングを備えた基材の焼成は、基材のセラミック化操作とは別々に実施し(したがって、セラミック化操作は、再焼成又は次焼成を伴う処理を言及するものである)、この焼成は、塗料の焼成のために適切な温度で実施することができ、この温度範囲は、本発明については、特に80℃〜500℃にある。
上で示したように、各々のタイプの層を堆積させた後に、コーティングされている物品は、インク層の乾燥であっても塗料層の乾燥であっても、特に100℃〜200℃で、概して(例えば赤外加熱により、又はオーブン中で)乾燥して、少なくとも部分的に溶媒又は適切な場合に存在している媒体を蒸発させ、コーティングを固着させ、物品の取り扱いを可能とするようにし、少なくとも部分的に乾燥したコーティングをもたらす。
堆積させた層全て/(焼成後に)得られた最終のコーティングの厚さは、概して2〜50μm、特に5〜40μm、又は10〜30μmである。好ましくは、コーティングされている基材は、コーティングされている表面全体(特定の領域、例えばディスプレイは、特定の透明性を保持するため、本発明に従いコーティングで覆われていない可能性があり、又は記載した層の1つ、例えば塗料の層のみを備えている可能性があり、又は別のコーティングを備えている可能性がある)にわたって15%未満の光透過率TL(標準規格ISO 9050:2003に従い、光源D65を用いて測定する。所与の厚さでの測定値は、その後、適切な場合には、標準規格ISO 9050:2003に従う参照厚さ4mmに変換され、この総透過率は、可視領域で積分し、直接透過率及び可能性のある拡散透過率を考慮に入れている)を有している。
適切な場合には、基材は、1又は複数の追加のコーティング、特に局所的なコーティング(例えば上面に単純なデザイン又はロゴを作るためのエナメル)を具備していてもよい。本発明による物品は、上記のコーティング、追加の要素を備えた基材を具備していてよく、特に基材がクックトップとして用いることを意図しているプレートである場合には、例えば基材は、追加の機能的又は装飾的な要素(枠、コネクター、ケーブル、制御要素、ディスプレイ、例えば「7セグメント」発光ダイオード又は液晶ディスプレイ、デジタルディスプレイを有するタッチ感受性電子制御パネル等)を備えていてもよい(又はこれと組み合わせられていてもよい)。基材又は物品は、使用者の視点から機器の内側を隠蔽することを目的としている中間要素を挿入することを必要とすることなく、1又は複数の加熱要素が内部に配置されている機器上に載置されていてもよい。このように、本発明は、本発明による少なくとも1つのコーティングされている(例えばプレート又は扉の形態の)基材を含む、調理するための及び/又は高温に維持するための全ての機器(又は装置)、例えば炊事用具、総合的な調理表面、オーブン等に関する。本発明はまた、単一のプレートを有する調理機器、及び幾つかのプレートを有する調理機器であって、これらのプレートの各々が、適切な場合には、単一のヒーター又は複数のヒーターを有する、調理機器のいずれにも及ぶ。「ヒーター」との用語は、調理位置を意味するものと理解される。本発明はまた、クックトップが幾つかのタイプのヒーターを有する、ハイブリッド調理機器にも関する。更には、本発明は、炊事用具又は調理表面のためのクックトップの製造に限定されない。本発明による物品は、上で特定したように、特に温度変化に非常に無反応でなければならない他の物品(暖炉の挿入物、ファイアスクリーン等)であってもよい。
次の例は、本発明によるガラスセラミック物品により得られた結果を、参照例との比較で示す。
比較例1
80%超の光透過率TLを有する、仏国出願公開第2657079号明細書に従う組成を有するガラスを用いた、厚さ4mmの平滑な/平滑で透明なマザーガラスプレートを用いる。このガラスを、ガラスリボンを巻回させ、このリボンから最終の寸法50cm×60cm×0.4cmを有するガラスプレートを切り出すことができるようにする量で、1600〜1750℃付近で融解させる。
写真用のタイプであり、数μm程度の厚さ(乾燥後に3μmの厚さを与える)を有する、選択した装飾を、インクジェット印刷により、ガラスセラミックの下面に、Fujifilm社からのFujifilm Dimatix Materials Printer DMP−2800プリンター、及びDip Tech社から呼称white ceramic inkの下で販売されている、ビスマスを含有しているガラスフリットをベースとしているセラミックインクを用いて印刷する。
次いで、プレートの(仏国出願公開第2657079号明細書に記載されているようなサイクルに従う)セラミック化のための処理の間に、インク層を焼成する。
プレートの弱化が見られ、コーティングされている面を伸びる位置に配置したときに、測定した曲げ強度(又はスケールファクター)は、70MPa未満である(コーティングされていない基材について測定した曲げ強度は、150MPa超である)。曲げ強度(又はスケールファクター)は、7cm×7cm×0.4cm程度の寸法を有するサンプル上でのリングオントライポッド湾曲試験により測定する。直径40mmの円に内接している正三角形の頂点に配置されている、9.5mmの直径を有する3つの球上にサンプルを載置する。直径10mmの環により5mm/min程度の速度でサンプルの中央に力を印加する。文献「A statistical distribution of strength of materials,Royal Swedish Institute For Engineering Research,W.Weibull,Stockholm 1939,1−45」に記載されているWeibullモデルを用いて結果を解釈し、得られたデータは、平均の曲げ強度を示すものであり、スケールファクターと称される。
次の各々の例においては、呼称Keraliteの下でEurokera社により販売されている、4mmの厚さ及び80%超の光透過率TLを有する、(また、仏国出願公開第2657079号明細書に従うか、又は国際公開第2013171288号パンフレットに従う組成を有するガラスからのセラミック化により概して得られる)平滑な/平滑で透明なガラスセラミックプレートを用い、比較例1におけるような写真用の装飾と同一のタイプの装飾を印刷する。
比較例2:
2μm程度の厚さ(乾燥後の厚さ)を有する、選択した装飾を、インクジェット印刷により、ガラスセラミックの下面に、Agfa−Gevaert社からのAnapurnaプリンターを用い(前の例において用いたプリンター以外のプリンターの使用は、像の解像度に作用する可能性はあるが、得られた層の性質には影響を及ぼさないことが可能である)、かつAgfa社により呼称Anapurna Mの下で販売されているUV硬化性アクリルインクを用いて印刷する。
次いで、塗料の均一な着色を、(慣習上のポリエステル又はポリアミドのメッシュクロスを用いた)スクリーン印刷により、プレートの下面全体(及び堆積させたインクの第一の層)に、20μm程度の厚さ(焼成後に10μmの厚さを与える)で形成する。Biesterfeld Helevtia社により呼称 Epilink DP 660の下で販売されているエポキシバインダー29重量%、Kronos社により呼称Kronos 2310の下で販売されている顔料8.5重量%、硫酸バリウム18%、タルク12%、Deuteron社により呼称Deuteron MKの下で販売されている充填材4%、Air Products社により呼称Surfynol 420の下で販売されている湿潤剤1%、Evonik社により呼称Foamex 815Nの下で販売されている消泡剤2%で作られており、残りは脱塩水で作られている、白色塗料を用い、このベースをAir Products社により呼称Epires ER8の下で販売されているアミンバインダーと、ベース10部に対してアミンバインダー3部の比率で追加的に混合して、塗料を作る。
次いで、コーティングしたプレートを450℃付近で1時間焼成する。
インク層の剥離のみならず、色の褐色化が焼成後に観察される。
Sika France社により呼称Hydropep 100の下で販売されている、アミノシランをベースとするプライマーの層で拭くことにより(インク層の堆積前に)ガラスセラミックをプレコートしたときにも、同様に観察される。
比較例3:
2μm程度の厚さ(乾燥後の厚さ)を有する、選択した装飾を、インクジェット印刷により、ガラスセラミックの下面に、MuchColours社からのPractikaプリンターを用い、かつナノスケール顔料及びシリコーンバインダーを有し、ガラスフリットを含まない、MuchColours社により呼称Nanocolours ink jetの下で販売されているインクを用いて印刷する。
次いで、インクの単層でコーティングしたプレートを、外気で24時間乾燥させる。
オーブン中で200℃で500時間エージングした後に、インク層の崩壊が見られる。更には、コーティングした基材は、一定の領域において50%超の光透過率TLを有しており、コーティングは、プレートの下に位置する追加の加熱要素を隠蔽するのに十分ではない。
本発明による実施例:
2μm程度の厚さ(乾燥後の厚さ)を有する、選択した装飾を、インクジェット印刷により、ガラスセラミックの下面に、MuchColours社からのPractikaプリンターを用い、かつナノスケール顔料及びシリコーンバインダーを有し、ガラスフリットを含まない、MuchColours社により呼称Nanocolours ink jet Blackの下で販売されているインクを用いて印刷する。シリコーンバインダーは、ポリ(メチルフェニルシロキサン)で作られており、顔料は、カーボンブラック顔料であり、インクは、エタノール(溶剤)を更に含有している。
次いで、インクの単層で被覆したプレートを、外気で24時間乾燥させる。
次いで、塗料の均一な着色を、(慣習上のポリエステル又はポリアミドのメッシュクロスを用いた)スクリーン印刷により、プレートの下面全体(及び堆積させたインクの第一の層)に、20μm程度の厚さ(焼成後に10μmの厚さを与える)で形成する。Wacker社により呼称Belsil PMS−MKの下で販売されており、シリコーンベースを得るために50重量%の比率で、テルピネオール(溶剤)中に溶解させた、ポリメチルシルセスキオキサン樹脂粉末(37.5g)で作られており、このシリコーンベースに、Kemira社により呼称Kemira 300の下で販売されている白色顔料(10g)、Sigma Aldrich社により呼称Silicone Oilの下で販売されているシリコーンオイル(1.5g)、及びブタノール(共溶剤、4.5g)を添加した、白色のシリコーンをベースとする塗料を用いる。
次いで、コーティングされているプレートを、450℃付近で1時間焼成する。焼成後の最終のコーティングの厚さは、12μm程度である。
焼成の後、デザインがその当初の色を保持しており、基材が機械的に弱化しておらず(測定した曲げ強度は、コーティングされている面を伸びる位置に配置したときに、コーティングされていない基材の曲げ強度程度、すなわち150MPa超程度であり)、剥離が生じていないようであり、更には、コーティングされている基材がその全面にわたって15%未満の光透過率TLを有しており、特にプレートの下に配置される任意選択的な加熱要素を隠蔽することを可能とする。
また、エージング試験をオーブン中で、200℃で500時間実施する。この試験の終わりにおいて、視認できる変色も剥離も指摘できない。
空のソースパンを想定するため、抵抗加熱器を上面上に配置することにより、熱試験を追加的に実施し、抵抗をまず360℃まで90分間上げ、次いで560℃まで10分間上げる。この場合も、この試験の終わりにおいて、視認できる変色は指摘できず、変形も光学的作用も指摘できない。
塗料を、Wacker社により呼称Belsil PMS−MKの下で販売されており、シリコーンベースを得るために50重量%の比率で、テルピネオール(溶剤)中に溶解させた、ポリメチルシルセスキオキサン樹脂粉末(37.5g)で作られており、このシリコーンベースに、Ciba社により呼称Xymara Satin Black Pearlの下で販売されている(コーティングされているマイカ小板をベースとしている)黒色顔料(15g)、Sigma Aldrich社により呼称Silicone Oilの下で販売されているシリコーンオイル(1.5g)、及びブタノール(共溶剤、4.5g)を添加した、シリコーンをベースとする黒色塗料に置き換えた場合にも、同様の観察が得られる。
(インク又は塗料の)前の層のうちの一方又は他方の使用は、単独ではかかる性質を得ることを可能とせず、インクの単独での使用は、特に剥離及び十分ではない不透明性をもたらし、塗料の単独での使用は、特に所望の装飾を得ることを可能としないことに注意すべきである。
特に、本発明による物品は、有利には調理器具のためのクックトップ又は調理表面の新たな範囲を生み出すために用いることができるが、有利にはオーブンの1若しくは複数の壁部の要素(例えば扉)を生み出すため、又は暖炉の挿入物若しくはファイアスクリーン等を生み出すためにも用いることができる。