定義
本明細書で使用されるとき、また本明細書及び添付される特許請求の範囲において、不定冠詞「a」及び「an」ならびに定冠詞「the」は、別段の明確な指示がない限り、単数の指示対象のみならず複数の指示対象を包含する。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、組成物または製剤の成分の投与量、量または重量パーセントに関して使用される「約」及び「およそ」という用語は、明記された投与量、量または重量パーセントから得られるものと同等の薬理作用を与えることが当業者によって認識される投与量、量または重量パーセントを意味する。ある特定の実施形態において、「約」及び「およそ」という用語は、本明細書で使用されるとき、明記された投与量、量または重量パーセントの30%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内の投与量、量または重量パーセントが企図される。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、「約」及び「およそ」という用語は、例えば、融解温度、脱水温度、脱溶媒和温度もしくはガラス転移温度を記述する場合などの特定の温度もしくは温度範囲;例えば、温度もしくは湿度の関数としての質量などの質量変化;例えば、質量もしくはパーセンテージに換算した溶媒もしくは水の含量;または例えば、IRもしくはラマン分光法もしくはXRPDによる分析におけるものなどのピーク位置などの特定の固体形態を特徴付けるために提供される数値または値の範囲に関して使用される場合、当該固体形態を依然として記述する限りは、その値または値の範囲が、当業者に妥当と思われる程度まで逸脱してよいことを示している。結晶形及び非晶質固体を特徴付けるための技術には、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定法(DSC)、X線粉末回折法(XRPD)、単結晶X線回折法、振動分光法、例えば、赤外線(IR)及びラマン分光法、固体及び溶液の核磁気共鳴(NMR)分光法、光学顕微鏡法、ホットステージ光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM)、電子線結晶学法及び定量分析、粒径分析(PSA)、表面積分析、溶解性試験ならびに溶解試験が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、「約」及び「およそ」という用語は、本明細書で使用される場合、数値または値の範囲が、列挙された値または値の範囲の30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%または0.25%以内で変動し得ることを示す。例えば、いくつかの実施形態において、XRPDのピーク位置の値は、特定のXRPDピークを依然として記述しながら、最大2θ±0.1°(または2θ±0.2°)まで変動し得る。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、「純粋」である結晶、すなわち、他の結晶性固体も非晶質固体も実質的に含まない結晶は、1つ以上の他の結晶性固体もしくは非晶質固体を約10重量%未満、1つ以上の他の結晶性固体もしくは非晶質固体を約5重量%未満、1つ以上の他の結晶性固体もしくは非晶質固体を約3重量%未満、または1つ以上の他の結晶性固体もしくは非晶質固体を約1重量%未満で含有する。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、「実質的に物理的に純粋」である固体形態とは、他の固体形態を実質的に含まないものである。ある特定の実施形態において、実質的に物理的に純粋である結晶形は、重量基準で、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%または0.01%未満の1つ以上の他の固体形態を含有する。他の固体形態の検出は、限定するものではないが、回折分析、熱分析、元素燃焼分析及び/または分光学的分析を含む、当業者に明らかな任意の方法によって実施することができる。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、「実質的に化学的に純粋」である固体形態とは、他の化学化合物(すなわち、化学的不純物)を実質的に含まないものである。ある特定の実施形態において、実質的に化学的に純粋である固体形態は、重量基準で、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%または0.01%未満の1つ以上の他の化学化合物を含有する。他の化学化合物の検出は、限定するものではないが、例えば、質量分析、分光学的分析、熱分析、元素燃焼分析及び/またはクロマトグラフ分析などの化学的分析法を含む、当業者に明らかな任意の方法によって実施することができる。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、別の化学化合物、固体形態または組成物を「実質的に含まない」化学化合物、固体形態または組成物とは、当該化合物、固体形態または組成物が、ある特定の実施形態において、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%0.1%、0.05%または0.01重量%未満の他の化合物、固体形態または組成物を含有することを意味する。
特に指定のない限り、本明細書で使用される「溶媒和物」及び「溶媒和された」という用語は、溶媒を含有する物質の固体形態を指す。「水和物」及び「水和された」という用語は、溶媒が水である溶媒和物を指す。「溶媒和物の多形」とは、特定の溶媒和物組成物に2つ以上の固体形態が存在することを指す。同様に、「水和物の多形」とは、特定の水和物組成物に2つ以上の固体形態が存在することを指す。本明細書で使用される「脱溶媒和された溶媒和物」という用語は、溶媒和物から溶媒を除去することによって生成され得る物質の固体形態を指す。本明細書で使用される「溶媒和物」及び「溶媒和された」という用語は、塩、共結晶または分子錯体の溶媒和物も指し得る。本明細書で使用される「水和物」及び「水和された」という用語は、塩、共結晶または分子錯体の溶媒和物も指し得る。
「互変異性体」とは、互いに平衡状態にある化合物の異性体を指す。異性体の濃度は、化合物が存在する環境に依存し、例えば、その化合物が固体であるか、有機溶液中または水溶液中にあるかに応じて異なり得る。例えば、ピラゾールは、水溶液中で、以下の異性体を示し得、これらは互いが互変異性体と呼ばれる。
当業者であれば容易に理解するように、多種多様な官能基及び他の構造が互変異性を示し得ることから、化合物1の全ての互変異性体が本発明の範囲内となる。
特に指定のない限り、本明細書で使用される「組成物」という用語は、特定の成分(複数可)を(指定がある場合は、特定の量(複数可)で)含む生成物に加え、特定の成分(複数可)の特定の量(複数可)での組み合わせから直接的または間接的に生じるあらゆる生成物を包含することが意図される。「薬学的に許容される」とは、製剤中の希釈剤、賦形剤または担体が、製剤の他の成分(複数可)との適合性があり、そのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
「固体形態」という用語は、主として液体または気体状態でない物理的形態を指す。「固体型」及び「型」という用語は、本明細書中、「固体形態」と区別なく用いられる。本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、「固体形態」という用語は、化合物1を指すために本明細書で使用される場合、主として液体または気体状態でない化合物1を含む物理的形態を指す。固体形態は、結晶性形態またはその混合物であり得る。ある特定の実施形態において、固体形態は、液状結晶であり得る。ある特定の実施形態において、「化合物1を含む固体形態」という用語は、化合物1を含む結晶形を含む。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態は、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、形態H、形態I、非晶質固体またはこれらの混合物である。一実施形態において、化合物1の固体形態は、クエン酸塩の形態Yまたはクエン酸塩の形態Zである。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態は、HCl塩の形態1、HCl塩の形態2、HCl塩の形態3、HCl塩の形態4、HCl塩の形態5、HCl塩の形態6、HCl塩の形態7、HCl塩の形態8、非晶質固体またはこれらの混合物である。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、「結晶性」という用語は、化合物、物質、変形物、材料、構成成分または生成物を記述するために使用される場合、特に指定のない限り、当該化合物、物質、変形物、材料、構成成分または生成物が、X線回折によって決定されたときに実質的に結晶性であることを意味する。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,Lippincott,Williams and Wilkins,Baltimore,MD(2005);The United States Pharmacopeia,23rd ed.,1843−1844(1995)を参照されたい。
「結晶形」または「結晶性形態」という用語は、結晶性である固体形態を指す。ある特定の実施形態において、物質の結晶形は、非晶質固体及び/または他の結晶形を実質的に含まないものであり得る。ある特定の実施形態において、物質の結晶形は、約1重量%未満、約2重量%未満、約3重量%未満、約4重量%未満、約5重量%未満、約6重量%未満、約7重量%未満、約8重量%未満、約9重量%未満、約10重量%未満、約15重量%未満、約20重量%未満、約25重量%未満、約30重量%未満、約35重量%未満、約40重量%未満、約45重量%未満、または約50重量%未満の1つ以上の非晶質固体及び/または他の結晶形を含有し得る。ある特定の実施形態において、物質の結晶形は、物理的及び/または化学的に純粋であり得る。ある特定の実施形態において、物質の結晶形は、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%または約90%物理的及び/または化学的に純粋であり得る。
特に指定のない限り、「非晶質」または「非晶質固体」という用語は、当該物質、構成成分または生成物が、X線回折によって決定されたときに実質的に結晶性でないことを意味する。特に、「非晶質固体」という用語は、不規則な固体形態、すなわち、結晶の長距離秩序を持たない固体形態を記述する。ある特定の実施形態において、物質の非晶質固体は、他の非晶質固体及び/または結晶形を実質的に含まないものであり得る。ある特定の実施形態において、物質の非晶質固体は、重量基準で、約1重量%未満、約2重量%未満、約3重量%未満、約4重量%未満、約5重量%未満、約10重量%未満、約15重量%未満、約20重量%未満、約25重量%未満、約30重量%未満、約35重量%未満、約40重量%未満、約45重量%未満または約50重量%未満の1つ以上の他の非晶質固体及び/または結晶形を含有し得る。ある特定の実施形態において、物質の非晶質固体は、物理的及び/または化学的に純粋であり得る。ある特定の実施形態において、物質の非晶質固体は、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%または約90%物理的及び/または化学的に純粋であり得る。
本明細書で使用される「治療すること」とは、障害、疾患もしくは病態の全体的もしくは部分的な緩和、または障害、疾患もしくは病態に関連する症状のうちの1つ以上の全体的もしくは部分的な緩和、またはこれらの症状の更なる進行もしくは悪化の鈍化もしくは停止、または障害、疾患もしくは病態自体の原因(複数可)の改善もしくは根絶を意味する。一実施形態において、疾患は、がん、特に、固形腫瘍または血液癌である。いくつかの実施形態において、「治療すること」とは、がん、もしくはがん、特に、固形腫瘍もしくは血液癌に関連する症状の全体的もしくは部分的な緩和、またはこれらの症状の更なる進行もしくは悪化の鈍化もしくは停止を意味する。
本明細書で使用される「予防すること」とは、がん、特に、固形腫瘍または血液癌の発症、再発または転移を全体的または部分的に遅延及び/または防止する方法、対象が、がん、特に、固形腫瘍または血液癌にかからないようにする方法、あるいは、対象が、がん、特に、固形腫瘍または血液癌にかかるリスクを低減する方法を意味する。
化合物1の固体形態に関連する「有効量」という用語は、本明細書で開示される障害、疾患もしくは病態またはその症状を治療または予防することができる量を意味する。有効量は、がん、特に、本明細書に開示される固形腫瘍もしくは血液癌またはその症状を治療または予防することができる量を指す。例えば、医薬組成物中の本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量は、所望の効果を発揮する量、例えば、非経口投与の単位投与量で、対象の体重1kg当たり約0.005mgから患者の体重1kg当たり約100mgであり得る。当業者には明らかであるように、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量は、治療される適応症の重症度に応じて変動し得ることが予想される。
本明細書で使用される「患者」または「対象」には、動物、限定するものではないが、ウシ、サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、トリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギまたはモルモットなどの動物が含まれ、一実施形態において、哺乳動物であり、別の実施形態において、ヒトである。一実施形態において、対象は、がん、特に、固形腫瘍もしくは血液癌またはその症状を有するか、そのリスクのあるヒトである。一実施形態において、患者は、組織学的または細胞学的に確認された固形腫瘍または血液癌を有するヒトであり、標準的な抗がん療法中に進行した(または抗がん療法に耐えることができない)対象または標準的な抗がん療法が存在しない対象を含む。
本明細書で使用されるとき、また特に指定のない限り、「がん」という用語は、無秩序な細胞増殖を典型的に特徴とする、哺乳動物の生理学的状態を指すか、当該状態を記述するものである。がんの例には、固形腫瘍及び血液癌が含まれる。いくつかの実施形態において、がんは、原発性がんであり、他の場合、がんは、転移する。
本明細書で使用されるとき、「固形腫瘍」には、膀胱癌(限定するものではないが、表在性膀胱癌を含む)、乳癌(限定するものではないが、ルミナルB型、ER+、PR+及びHer2+乳癌を含む)、中枢神経系がん(限定するものではないが、多形膠芽腫(GBM)、神経膠腫、髄芽腫及び星細胞腫を含む)、大腸癌、消化器癌(限定するものではないが、胃癌、食道癌及び直腸癌を含む)、内分泌癌(限定するものではないが、甲状腺癌及び副腎癌を含む)、眼癌(限定するものではないが、網膜芽細胞腫を含む)、女性泌尿生殖器癌(限定するものではないが、胎盤、子宮、外陰部、卵巣、子宮頸部の癌を含む)、頭頸部癌(限定するものではないが、咽頭、食道及び舌の癌を含む)、肝癌、肺癌(限定するものではないが、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、粘表皮癌、気管支原性癌、扁平上皮癌(SQCC)及び未分化/NSCLCを含む)、皮膚癌(限定するものではないが、黒色腫及びSQCCを含む)、軟組織癌(限定するものではないが、肉腫、ユーイング肉腫及び横紋筋肉腫を含む)、骨癌(限定するものではないが、肉腫、ユーイング肉腫及び骨肉腫を含む)、扁平上皮細胞癌(限定するものではないが、肺、食道、子宮頸部及び頭頸部癌を含む)、膵癌、腎癌(限定するものではないが、腎臓のウィルムス腫瘍及び腎細胞癌を含む)及び前立腺癌が含まれるがこれらに限定されない。一実施形態において、固形腫瘍は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)ではない。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、乳癌、結腸癌、肺癌または膀胱癌である。このような一実施形態において、固形腫瘍は、表在性膀胱癌である。別において、固形腫瘍は、肺扁平上皮癌である。更に別の実施形態において、固形腫瘍は、ルミナルB型乳癌である。
本明細書で使用されるとき、「血液癌」には白血病(限定するものではないが、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性T細胞白血病、前駆B細胞白血病、急性前骨髄球性白血病(APML)、形質細胞性白血病、骨髄単芽球性/T−ALL、B骨髄単球性白血病、赤白血病及び急性骨髄性白血病(AML)を含む)、リンパ腫(限定するものではないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、大細胞免疫芽球性リンパ腫を含む)及び多発性骨髄腫が含まれるがこれらに限定されない。
がんとの関係において、阻害は、特に、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性腫瘍の減少、腫瘍関連症状の緩和、腫瘍分泌因子の抑制(カルチノイド症候群の一因となるホルモンなどの腫瘍分泌ホルモンを含む)、原発性または二次性腫瘍の発生の遅延、原発性または二次性腫瘍の成長の鈍化、原発性または二次性腫瘍の発生の減少、疾患の副作用の重症度の遅発または低下、腫瘍成長の停止及び腫瘍の退縮、無増悪期間(TTP)の延長、無増悪生存期間(PFS)の延長、全生存期間(OS)の延長によって評価することができる。本明細書で使用されるOSは、治療開始から任意の原因による死亡までの期間を意味する。本明細書で使用されるTTPは、治療開始から腫瘍進行までの期間を意味し、TTPは死亡を含まない。本明細書で使用されるとき、PFSは、治療開始から腫瘍進行または死亡までの期間を指す。一実施形態において、PFS率は、カプランマイヤー推定量を使用して算出される。極端な場合、完全な阻害は、本明細書において、予防または化学予防と呼ばれる。この文脈では、「予防」という用語は、臨床的に明らかながんの発生を完全に防止すること、または前臨床的に明らかながん段階の発生を防止することのいずれかを含む。また、悪性細胞への形質転換の防止、または前がん性細胞の悪性細胞への進行を停止もしくは逆転させることも、この定義に包含されることが意図される。これには、がんを発症するリスクのある人々に対する予防的治療が含まれる。
ある特定の実施形態において、リンパ腫の治療は、非ホジキンリンパ腫(NHL)に関する国際ワークショップ基準(IWC)によって評価することができ(Cheson BD,Pfistner B,Juweid,ME,et.al.Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma.J.Clin.Oncol:2007:(25)579−586参照)、使用される効果及びエンドポイントの定義を以下に示す。
略語:CR:完全奏効、FDG:[
18F]フルオロデオキシグルコース、PET:陽電子放射断層撮影法、CT:コンピュータ断層撮影法、PR:部分奏効、SPD:径の積和、SD:安定、PD:進行。
略語:CR:完全奏効、PR:部分奏効。
一実施形態において、リンパ腫のエンドポイントは、臨床的利益の証拠である。臨床的利益は、生活の質の改善もしくは患者の症状の低減、輸血の必要性、頻発する感染症、または他のパラメータを反映し得る。リンパ腫関連症状が再現または進行するまでの期間もこのエンドポイントに使用することができる。
ある特定の実施形態において、CLLの治療は、CLLの国際ワークショップガイドラインによって評価することができ(Hallek M,Cheson BD,Catovsky D,et al.Guidelines for the diagnosis and treatment of chronic lymphocytic leukemia:a report from the International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia updating the National Cancer Institute−Working Group 1996 guidelines.Blood,2008;(111)12:5446−5456参照)、当該ガイドラインに示されている効果及びエンドポイントの定義のなかでも特に以下が使用される。
グループAの基準では腫瘍量を、グループBの基準では造血系(または骨髄)の機能を定義。CR(完全奏効):全ての基準を満たし、疾患に関連する全身症状がない患者、PR(部分奏効):グループAの基準を少なくとも2つ満たし、かつグループBの基準を1つを満たす、SDは、進行(PD)がなく、少なくともPRに至っていない状態、PD:グループAまたはグループBの上記基準の少なくとも1つを満たす。複数のリンパ節の積和(臨床試験ではCTスキャン、通常の診療では身体所見により評価)。これらのパラメータは、一部の効果分類には関係しない。
ある特定の実施形態において、多発性骨髄腫の治療は、多発性骨髄腫に関する国際統一効果判定基準(IURC)によって評価することができ(Durie BGM,Harousseau J−L,Miguel JS,et al.International uniform response criteria for multiple myeloma.Leukemia,2006;(10)10:1−7参照)、使用される効果及びエンドポイントの定義を以下に示す。
略語:CR:完全奏効、FLC:遊離軽鎖、PR:部分奏効、SD:安定、sCR:厳密な完全奏効、VGPR:非常に良好な部分奏効。a全ての効果判定分類には、任意の新規療法が導入される前のいずれかの時点でなされる連続した2回の判定が必要である。また、全ての分類は、放射線学的検査が実施された場合の進行性または新規骨病変の既知のエビデンスは不要である。これらの効果判定要件を満たすために、放射線学的検査は不要である。b複数回の骨髄生検による確認は不要。cクローン性細胞の有無はκ/λ比に基づく。免疫組織化学及び/または免疫蛍光法による異常なκ/λ比には、最低100個以上の形質細胞の解析が必要。異常クローンの存在を示す異常比は、4:1超または1:2未満のκ/λである。d測定可能な疾患は、次の測定値のうちの少なくとも1つによって定義される:骨髄形質細胞30%以上、血清中Mタンパク質1g/dl(≧10gm/l)[10g/l]以上、尿中Mタンパク質200mg以上/24時間、血清FLC試験:関連FLCレベル10mg/dl以上(100mg/l以上)(血清FLC比が異常な場合)。
ある特定の実施形態において、がんの治療は、固形がんの効果判定基準(RECIST1.1)によって評価することができる(Thereasse P.,et al.New Guidelines to Evaluate the Response to Treatment in Solid Tumors.J.of the National Cancer Institute;2000;(92)205−216 and Eisenhauer E.A.,Therasse P.,Bogaerts J.,et al.New response evaluation criteria in solid tumors:Revised RECIST guideline(version 1.1).European J.Cancer;2009;(45)228−247参照)。新病変の出現の有無を含めた標的病変及び非標的病変における腫瘍応答の可能な全ての組み合わせに対する総合効果は、以下の通りである。
CR=完全奏効、PR=部分奏効、SD=安定、PD=進行。
標的病変の評価に関して、完全奏効(CR)は、全ての標的病変の消失であり、部分奏効(PR)は、ベースライン長径和を基準として、標的病変の最長径の和が少なくとも30%減少することであり、進行(PD)は、治療開始以降または1つ以上の新病変の出現以降に記録された最小の長径和を基準として、標的病変の最長径の和が少なくとも20%増加することであり、安定(SD)は、治療開始以降の最小の長径和を基準として、部分奏効に相当する十分な縮小がなく、かつ進行に相当するに足る増大がないものである。
非標的病変の評価に関して、完全奏効(CR)は、全ての非標的病変の消失及び腫瘍マーカーレベルの正常化であり、非完全奏効/安定(SD)は、1つ以上の非標的病変(複数可)の残存及び/または腫瘍マーカーレベルが依然として基準値上限を超えるものであり、進行(PD)は、1つ以上の新病変の出現及び/または既存の非標的病変の明らかな増悪である。
以下に記載される手順、規定及び定義は、高悪性度神経膠腫の効果判定基準に関する神経腫瘍効果判定(RANO)ワーキンググループ(Wen P.,Macdonald,DR.,Reardon,DA.,et al.Updated response assessment criteria for high−grade gliomas:Response assessment in neuro−oncology working group.J Clin Oncol 2010;28:1963−1972)の勧告を実施するための指針を提供するものである。タイムポイント奏効(TPR)の基準に関するRANO基準の主な変更点には、グルココルチコイド用量の変更を定義するための実務規定の追加、及び客観的な放射線学的評価に集中するための対象の臨床上の悪化要素の除外が含まれ得る。ベースラインMRIスキャンは、化合物治療の開始または再開に先立ち、手術後の休薬期間終了時に実施される評価であると定義される。ベースラインMRIは、完全奏効(CR)及び部分奏効(PR)を評価するための基準として使用される。一方、ベースライン時またはその後の評価において得られる最小SPD(直交する径の積和)は、最小状態評価と呼ばれ、進行を決定するための基準として利用される。プロトコルに定められた任意のMRIスキャン前の5日間、対象は、グルココルチコイドの投与を受けないか、一定用量のグルココルチコイドの投与を受ける。一定用量は、MRIスキャン前の連続5日間、同じ一日量であることと定義される。指定されたグルココルチコイド用量がベースラインスキャン前の5日間のうちに変更される場合、上記の基準を満たすグルココルチコイド使用による新しいベースラインスキャンが必要とされる。以下の定義が使用される。
測定可能病変:測定可能病変は、二次元的に測定することができる造影増強効果のある病変である。測定は、最大造影の腫瘍直径(長径(LD)としても知られる)で行う。同じ画像で最大の直交径を測定する。二次元測定の交差は十字に交差するはずであり、これらの直径の積を算出する。
最小径:間隔1mmのスライス厚5mmであるT1強調画像。測定可能病変の最小LDは、5mm×5mmに設定される。標的病変への包含及び/または指定には、それより長い径が必要とされる場合もある。ベースライン後、測定の最低要件よりも小さくなるか、二次元測定の対象にならなくなった標的病変は、5mm未満の各径について、デフォルト値5mmとして記録される。消失した病変は、0mm×0mmとして記録される。
多中心性病変:多中心性とみなされる病変は(連続的とは対象に)、2つ(またはそれ以上)の病変間に正常な脳組織が介在する病変である。離散的な造影病巣である多中心性病変については、包含基準を満たす造影病変のそれぞれを個別に測定するアプローチが取られる。2つ(またはそれ以上)の病変間に正常な脳組織が存在しない場合は、同じ病変とみなされる。
測定不能病変:上記の測定可能疾患の基準を満たさない全ての病変は、全ての非造影病変及び他の真に測定不能な病変も同様に、測定不能病変とみなされる。測定不能病変には、指定の最小径に満たない(すなわち、5mm×5mm未満である)造影病巣、非造影病変(例えば、造影後T1強調画像、T2強調画像または水抑制反転回復(FLAIR)画像で見られるもの)、出血性病変または主に嚢胞性の病変または壊死性病変及び軟髄膜腫瘍が含まれる。出血性病変は、造影腫瘍と誤って解釈され得る固有のT1強調高信号を有することが多く、このため、造影前T1強調画像を検討してベースラインまたは中間期亜急性期出血を除外してもよい。
ベースライン時に、次に従って病変を分類する。標的病変:対象の疾患を代表する、それぞれ少なくとも10mm×5mmの大きさを有する最大5つの測定可能病変が標的病変として選択され得る。非標的病変:全ての測定不能病変(腫瘤効果及びT2/FLAIR所見を含む)及び標的病変として選択されなかった任意の測定可能病変を含む、全ての他の病変。ベースライン時に、測定可能病変に関する定義に記載されるように、標的病変を測定し、全ての標的病変のSPDを決定する。全ての他の病変の存在を記録する。標的病変及び非標的病変の病変のベースライン分類は、全ての治療後評価時において維持され、病変は、経時的に一貫した様式で記録または記載される(例えば、ソース文書及びeCRFに同じ順序で記録される)。全ての測定可能病変及び測定不能病変は、変化の解釈における困難を軽減するために、試験期間にわたって、ベースライン時と同じ技術を使用して評価されなければならない(例えば、対象は、同じMRIスキャナで、または少なくとも同じ磁気強度でイメージングされるべきである)。各評価時に、標的病変を測定し、SPDを算出する。非標的病変は、定性的に評価し、新病変は、存在するのであれば、個別に記録する。各評価時には、標的病変、非標的病変及び新病変に関するタイムポイント奏効を決定する。病変の一部しか評価されない場合であっても腫瘍進行を確立することができる。しかしながら、進行が観察されない限り、全病変の評価時には、客観的状態(安定、PRまたはCR)のみが決定され得る。
CR及びPRの全タイムポイント奏効に対する確認評価は、次に予定されている評価時に実施されるが、スキャンの間隔が28日未満である場合は、確認は実施されなくてもよい。確認要件を組み入れた最良奏効は、一連のタイムポイントから得られる。
化合物1
本明細書で提供される固体形態、製剤及び使用方法は、名称(1s,4s)−4−(8−((2,4,6−トリクロロフェニル)アミノ)−2−(((3S,4R)−3−フルオロテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)−9H−プリン−9−イル)−1−メチルシクロヘキサン−1−カルボキサミド、別名シス−4−[2−{[(3S,4R)−3−フルオロオキサン−4−イル]アミノ}−8−(2,4,6−トリクロロアニリノ)−9H−プリン−9−イル]−1−メチルシクロヘキサン−1−カルボキサミドを有する化合物1(その互変異性体を含む)の固体形態(例えば、多形)に関する。
化合物1の固体形態
ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、固体形態は、結晶性である。ある特定の実施形態において、固体形態は、単一成分固体形態である。ある特定の実施形態において、固体形態は、水和物である。ある特定の実施形態において、固体形態は、無水物である。ある特定の実施形態において、固体形態は、化合物1のHCl塩である。ある特定の実施形態において、固体形態は、化合物1のクエン酸塩である。ある特定の実施形態において、固体形態は、メシル酸塩である。ある特定の実施形態において、固体形態は、硫酸塩である。ある特定の実施形態において、固体形態は、溶媒和物である。
何らかの特定の理論に束縛されることを意図するものではいが、ある特定の固体形態は、医薬製剤及び治療用製剤に適切な物理的性質(例えば、安定性、溶解性及び溶出速度)によって特徴付けられる。更に、何らかの特定の理論に束縛されることを意図するものではいが、ある特定の固体形態は、固形製剤の製造に適したある特定の固体形態を作製するある特定のプロセス(例えば、収率、濾過、洗浄、乾燥、粉砕、混合、錠剤化、流動性、溶解、製剤化及び凍結乾燥)に影響を与える物理的性質(例えば、密度、圧縮性、硬度、形態、分割、粘着性、溶解性、吸水、電気的性質、熱挙動、固相反応性、物理的安定性及び化学的安定性)によって特徴付けられる。このような特性は、本明細書に記載され、当該技術分野において知られている特定の分析化学技術、例えば、固相分析技術(例えば、X線回折、顕微鏡検査法、分光法及び熱分析)を使用して決定することができる。
本明細書で提供される固体形態(例えば、化合物1の形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、形態H、形態I及び非晶質固体、ならびに化合物1のHCl塩の形態1、HCl塩の形態2、HCl塩の形態3、HCl塩の形態4、HCl塩の形態5、HCl塩の形態6、HCl塩の形態7、HCl塩の形態8及びHCl塩の非晶質固体、ならびに化合物1のクエン酸塩の形態Y、形態Z及びクエン酸塩の非晶質固体)は、当業者に知られているいくつかの方法、例えば、限定するものではないが、単結晶X線回折法、X線粉末回折法(XRPD)、顕微鏡法(例えば、走査型電子顕微鏡法(SEM))、熱分析(例えば、示差走査熱量測定(DSC)、動的蒸気吸着(DVS)、熱重量分析(TGA)及びホットステージ顕微鏡法)、分光法(例えば、赤外線、ラマン及び固体核磁気共鳴)、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)及びプロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルを使用して特徴付けることができる。本明細書で提供される固体形態の粒径及び粒径分布は、レーザー光散乱法などの従来の方法によって決定することができる。
本明細書で提供される固体形態の純度は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、ガスクロマトグラフィー、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)及び質量分析法(MS)などの標準的な分析方法によって決定することができる。
X線粉末回折パターンのピーク数値は、機器ごとまたはサンプルごとにわずかに変動し得るため、引用される値は、絶対的なものではなく、2θ±0.2°または2θ±0.1°などの許容されるばらつきがあるものとして解釈されるべきであることを理解されたい(United State Pharmacopoeia,page 2228(2003)参照)。
ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法であって、1)溶媒中に化合物1のスラリーを得ることと、2)このスラリーをある特定の温度(例えば、約25℃または約50℃)で一定時間(例えば、約24時間)攪拌することと、3)濾過し、任意選択により乾燥することによって、このスラリーから固体を回収することとを含み、この固体は形態Aであり得る、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法であって、1)溶媒中に化合物1のスラリーを得ることと、2)このスラリーを約25℃または約50℃で約24時間攪拌することと、3)濾過し(例えば、0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通す)、任意選択により空気乾燥することによって、このスラリーから固体を回収することとを含み、この固体は形態Aであり得る、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法は、スラリー実験などの平衡実験である。
ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法であって、1)化合物1を溶媒中に溶解して溶液を得ることと、2)化合物が完全に溶解しない場合は、この溶液を濾過することと、3)この溶液をある特定の気圧(例えば、約1atm)下、ある特定の温度(例えば、約25℃または約50℃)で蒸発させて、任意選択により形態Aである固体を得ることとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、形態Aの固体形態を作製するための方法であって、1)化合物1を溶媒中に溶解して溶液を得ることと、2)形態Aが完全に溶解しない場合は、この溶液を濾過する(例えば、0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通す)ことと、3)この溶液を約1atm気圧下、約25℃または約50℃、窒素下で蒸発させて固体を得ることとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法は、蒸発実験である。
ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法であって、1)第1の温度(例えば、約60℃)で溶媒中に形態Aの飽和溶液を得ることと、2)この溶液を第1の温度で一定時間(例えば、10分)攪拌することと、3)この溶液を濾過することと、4)この溶液を第2の温度(例えば、約−5℃〜約15℃)までゆっくり冷却することと、5)この溶液から固体を単離し、任意選択により乾燥することとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法であって、1)約60℃で溶媒中に形態Aの飽和溶液を得ることと、2)この溶液を約60℃で10分間攪拌することと、3)この溶液を濾過する(例えば、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを通す)ことと、4)この溶液を約5℃までゆっくり冷却することと、5)この溶液から固体を単離し、任意選択により空気乾燥することとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法は、冷却再結晶実験である。
ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法であって、1)第1の温度(例えば、約60℃)で溶媒中に形態Aの飽和溶液を得ることと、2)第1の温度でこの飽和溶液中に貧溶媒を添加することと、3)第2の温度(例えば、約−5℃〜約15℃)まで冷却することと、4)析出があれば固体を回収し、析出がなければ溶媒を蒸発させて固体を回収することと、5)任意選択により乾燥することとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法であって、1)約60℃で溶媒中に形態Aの飽和溶液を得ることと、2)約60℃でこの飽和溶液中に貧溶媒を添加することと、3)約5℃まで冷却することと、4)析出があれば固体を回収し、析出がなければ溶媒を蒸発させて固体を回収することと、5)任意選択により空気乾燥することとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、溶媒と貧溶媒の体積比は、約1:9である。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作製するための方法は、貧溶媒再結晶実験である。
ある特定の実施形態において、溶媒は、アセトン、DCM、EtOAc、EtOH、EtOH/H2O(約1:1)、H2O、ヘプタン、IPA、ACN、ACN/H2O(約1:1)、MEK、MeOH、MTBE、n−BuOH、THF、THF/H2O(約1:1)、トルエンまたはスルホランである。
ある特定の実施形態において、貧溶媒は、ACN、ヘプタン、MTBEまたは水である。
形態A
ある特定の実施形態において、形態Aが本明細書で提供される。
一実施形態において、形態Aは、化合物1の固体形態である。一実施形態において、形態Aは、一水和物である。一実施形態において、形態Aは、化合物1の非化学量論的チャンネル水和物の固体形態である。一実施形態において、形態Aは、化合物1の遊離塩基形態である。別の実施形態において、形態Aは、結晶性である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される形態Aは、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる(表6、表7及び表9参照)。ある特定の実施形態において、形態Aは、ヘプタン/水、ヘプタン、水、トルエン、MeCN、MeCN/水、EtOH、EtOH/H2O(約1:1)、THF/水(約1:1)及びIPAを含む、ある特定の溶媒系から得られる。
一実施形態において、形態Aを調製する方法は、化合物1(例えば、形態B、形態Cまたは形態Hなどの化合物1の結晶性形態)を、約10%〜20%超の相対湿度(RH)を備える周囲条件に接触させるステップを含む。
一実施形態において、形態Aを調製する方法は、溶媒中の化合物1を約50℃未満の温度まで冷却するステップと、固体を回収するステップとを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Aは、化合物1の遊離塩基であり、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、実質的に図2に示されるX線粉末回折パターン(XRPD)である(例えば、形態A)。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Aは、図2に示されるように、約3.2、7.3、8.5、10.7、11.1、12.7、13.0、13.4、13.8、14.5、14.7、15.9、16.9、17.1、17.3、17.7、18.2、18.7、20.3、20.7、21.0、21.3、22.1、22.7、22.9、23.2、23.6、24.0、24.8、25.5、26.1、26.4、26.8、27.9、28.1、28.8、29.4、29.8、31.4、31.8、32.6、33.1、33.6、33.9、34.2、34.7、36.1、36.5、37.2、37.7、38.9または39.5°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約7.3、8.5、10.8、14.5、14.7、15.9、16.9、17.1、18.2、21.0、21.3または28.8°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。実施形態において、固体形態は、形態Aである。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約7.3、8.5、18.2、または21.3°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、形態Aは、表12に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51または52の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Aは、実質的に図3に示されるSEM画像を有する。
一実施形態において、固体形態、例えば、図4に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する形態Aが本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約50℃から約220℃まで加熱したとき、約50℃〜約175℃の間に、試料の総質量のうち約2.8%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、結晶性形態は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約2.8%を失う。
一実施形態において、固体形態、例えば、約94℃のオンセット温度及び約117℃のピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、実質的に図5に示されるDSCサーモグラムを有する形態Aが本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態、例えば、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約174℃のオンセット温度及び約182℃のピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、実質的に図5に示されるDSCサーモグラムを有する形態Aが本明細書で提供される。
一実施形態において、固体形態、例えば、実質的に図6Aに示されるDVS等温線プロットを有する形態Aが本明細書で提供される。
一実施形態において、実質的に図7に示される1H NMRを有する形態Aが本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、形態Aは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Aは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Aは、形態B、形態C、または形態Hを実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Aの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
形態B
ある特定の実施形態において、形態Bが本明細書で提供される。
一実施形態において、形態Bは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、形態Bは、結晶性である。一実施形態において、形態は、化合物1の無水物形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される形態Bは、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる(表6、表7及び表9参照)。ある特定の実施形態において、形態Bは、ヘプタン/水、ヘプタン、水、トルエン、MeCN、MeCN/水、EtOH、EtOH/H2O(約1:1)、THF/水(約1:1)及びIPAを含む、特定の溶媒系から得られる。ある特定の実施形態において、形態Bは、形態Aを乾燥させるか、供されるRHを約10%未満まで抑えることによって得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Bは、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、形態Bは、実質的に図8に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Bは、図8に示されるように、約6.9、8.7、10.5、11.6、12.0、13.6、13.8、14.1、14.2、16.3、16.9、17.5、18.0、18.4、19.1、19.5、20.0、20.8、21.1、22.1、22.7、23.3、25.2、26.0、26.7、27.4、28.4、28.8、29.2、30.1、31.0、31.5または31.8°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約8.7、11.6、12.0、13.8、14.1、17.5、18.0、19.5、20.0または20.8°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約13.8、19.5、20.0または20.8°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、形態Bである。別の実施形態において、形態Bは、表13に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32または33の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、化合物1の結晶性形態、例えば、図9に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する形態Bが本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約30℃〜約155℃の間に、試料の総質量のうち約0.1%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、結晶性形態は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約0.1%を失う。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、化合物1の無水物であり、形態Bに相当する。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約174℃にオンセット温度及び約182℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図10に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、形態Bは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Bは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。別の実施形態において、形態Bは、形態Aを実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Bの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
形態C
ある特定の実施形態において、形態Cが本明細書で提供される。
一実施形態において、形態Cは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、形態Cは、結晶性である。一実施形態において、形態Cは、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、形態Cは、化合物1のアセトニトリル(MeCN)溶媒和物の形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される形態Cは、平衡実験、蒸発実験、冷却再結晶実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる(表6、表7及び表9参照)。ある特定の実施形態において、形態Cは、MeCNまたはMeCN/H2O(約1:1)を含む、ある特定の溶媒系から得られる。ある特定の実施形態において、形態Cは、約50℃の温度のMeCNまたはMeCN/H2O(約1:1)を含む、ある特定の溶媒系から得られる。別の実施形態において、形態Cは、MeCNを一定体積で添加しながら2−MeTHF/H2O溶液(約1:1)を真空下で蒸留することから得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Cは、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、形態Cは、実質的に図11に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Cは、図11に示されるように、約3.1、7.7、8.9、10.3、13.3、13.7、14.2、14.6、14.8、15.0、15.3、15.5、15.7、16.9、17.4、17.8、18.3、18.7、19.5、19.9、20.7、21.1、21.4、22.1、22.4、22.7、23.1、23.9、24.6、25.0、25.5、25.8、26.1、26.7、26.9、27.2、27.7、28.5、29.4、29.8、30.3、30.9、31.3、32.4、33.0、33.6、34.3、35.4、35.9、36.2、37.1、37.9または38.9°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約7.7、8.9、10.3、15.3、17.4、18.3、19.9、21.4または28.5°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8または9つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、形態Cである。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Cは、約7.7、8.9、10.3または18.3°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、形態Cは、表14に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52または53の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図12に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約50℃〜約175℃の間に、試料の総質量のうち約6.6%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、結晶性形態は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約6.6%を失う。化合物1のMeCN一溶媒和物におけるMeCNの理論含有量は、6.7重量%であり、観察されたTGA重量減少と一致する。
一実施形態において、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約165℃に最大を有する吸熱事象を含む、図13に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。別の実施形態において、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約186℃に最大を有する吸熱事象を更に含む、図13に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、固体形態、例えば、実質的に図14に示される1H NMRスペクトルを有する形態Cが本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、形態Cは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Cは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Cの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
形態D
ある特定の実施形態において、形態Dが本明細書で提供される。
一実施形態において、形態Dは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、形態Dは、結晶性である。一実施形態において、形態Dは、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、形態Dは、化合物1のIPA溶媒和物の形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される形態Dは、平衡実験、蒸発実験、冷却再結晶実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる(表6、表7及び表9参照)。ある特定の実施形態において、形態Dは、室温のIPAを含む、ある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Dは、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、形態Dは、実質的に図15に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Dは、図15に示されるように、約3.1、5.9、7.4、8.7、10.1、11.1、13.7、14.8、15.1、16.3、16.6、17.6、18.1、19.2、19.8、20.4、21.5、22.1、22.3、24.0、24.3、25.0、26.2、26.9、27.3、27.6、28.2、28.6、30.9、31.4、32.9、33.6、34.6または37.2°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約7.4、8.7、10.1または18.1°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、形態Dである。別の実施形態において、形態Dは、表15に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Dは、実質的に図16に示されるSEM画像を有する。
一実施形態において、図17に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約100℃〜約160℃の間に、試料の総質量のうち約7.4%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、結晶性形態は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約7.4%を失う。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約125℃にオンセット温度及び約154℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図18に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約175℃にオンセット温度及び約185℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を更に含む、図18に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、実質的に図19に示される1H NMRスペクトルを有する形態Dが本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、形態Dは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Dは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Dの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
形態E
ある特定の実施形態において、形態Eが本明細書で提供される。
一実施形態において、形態Eは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、形態Eは、結晶性である。一実施形態において、形態Eは、化合物1の溶媒和物の形態である。形態Eは、エタノール溶媒和物であり得、ここで、溶媒和物は、任意選択により水を含有する。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される形態Eは、平衡実験及び蒸発実験によって得られる(表6、表7及び表9参照)。ある特定の実施形態において、形態Eは、EtOHまたはEtOH/水(約1:1)を含む、ある特定の溶媒系から得られる。ある特定の実施形態において、形態Eは、約50℃の温度のEtOHまたはEtOH/水(約1:1)を含む、ある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Eは、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、形態Eは、実質的に図20に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Eは、図20に示されるように、約3.1、5.5、7.8、11.0、13.5、14.6、15.6、16.6、17.5、18.4、20.0、20.7、22.2、22.9、23.5、24.2、24.8、26.1、26.7、27.3、27.8、28.4、29.5、30.0、31.1、31.6、32.1、32.6、33.6、34.0、34.5、35.4、36.3、37.2、38.1、39.4または39.8°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約7.8、14.6、15.6、17.5、22.2、23.5または26.1°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6または7つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、形態Eである。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Eは、約7.8、14.6、17.5または22.2°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、形態Eは、表16に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36または37の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図21に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約35℃から約220℃まで加熱したとき、約35℃〜約175℃の間に、試料の総質量のうち約13.7%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、結晶性形態は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約13.7%を失う。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約92℃にオンセット温度及び約104℃に最大温度を有する広い吸熱事象を含む、図22に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、形態Eは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Eは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Eの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
形態F
ある特定の実施形態において、形態Fが本明細書で提供される。
一実施形態において、形態Fは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、形態Fは、結晶性である。一実施形態において、形態Fは、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、形態Fは、化合物1のIPA溶媒和物の形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される形態Fは、平衡実験によって得られる(表6、表7及び表9参照)。ある特定の実施形態において、形態Fは、約50℃のIPAまたはIPA/水を含む、ある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Fは、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、形態Fは、実質的に図23に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Fは、図23に示されるように、約4.9、7.0、9.4、11.1、11.8、15.5、15.8、17.0、17.6、18.0、18.3、19.0、19.7、20.0、20.3、20.9、22.4、22.6、23.2、23.7、24.4、25.1、25.4、25.6、26.4、26.8、27.3、27.7、28.6、29.2、30.0、30.4、30.7、31.2、32.1、34.1、34.4、35.2、35.8、36.5、38.5、38.8または39.2°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Fは、約7.0、9.4、11.8、15.5、18.0、18.3、19.7、20.0または20.9°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8または9つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約9.4、11.8、18.0または18.3°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、形態Fである。別の実施形態において、形態Fは、表17に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42または43の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Fは、実質的に図24に示されるSEM画像を有する。
一実施形態において、図25に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約50℃から約220℃まで加熱したとき、約50℃〜約175℃の間に、試料の総質量のうち約14.3%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、結晶性形態は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約14.3%を失う。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約137℃にオンセット温度及び約152℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図26に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、実質的に図27に示される1H NMRスペクトルを有する形態Fが本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、形態Fは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Fは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Fの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
形態G
ある特定の実施形態において、形態Gが本明細書で提供される。
一実施形態において、形態Gは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、形態Gは、結晶性である。一実施形態において、形態Gは、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、形態Gは、化合物1のMTBE溶媒和物の形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される形態Gは、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる(表6、表7及び表9参照)。ある特定の実施形態において、形態Gは、MTBEを含むある特定の溶媒系から得られる。ある特定の実施形態において、形態Gは、50℃の温度のMTBEを含む、ある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Gは、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、形態Gは、実質的に図28に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、形態Gは、約4.5、8.0、9.0、9.9、10.0、10.2、11.6、11.9、13.5、14.4、14.6、15.3、15.9、16.4、16.9、17.5、17.7、18.0、18.4、18.7、18.8、19.4、19.6、20.3、20.8、21.2、21.6、22.0、22.2、22.5、22.9、23.4、24.0、24.5、24.6、25.0、25.2、25.6、25.9、26.0、26.4、26.9、27.3、27.6、28.0、28.2、28.8、29.4、29.9、30.2、30.8、31.4、31.8、32.8、33.2、34.4、34.9、35.7、36.1、38.2または38.9°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Gは、約9.0、9.9、10.0、15.3、17.5、18.4、18.7、19.4、19.6、21.2または22.9°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約9.9、15.3、18.4または22.9°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、形態Gである。別の実施形態において、形態Gは、表18に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60または61の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、形態Gは、実質的に図29に示されるSEM画像を有する。
一実施形態において、図30に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約50℃〜約140℃の間に、試料の総質量のうち約1.1%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約50℃〜約180℃の間に、試料の総質量のうち約8.7%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、結晶性形態は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約8.7%を失う。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約144℃にオンセット温度及び約148℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図31に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約161℃に最大を有する吸熱事象を含む、図31に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、実質的に図32に示される1H NMRスペクトルを有する形態Gが本明細書で提供される。一実施形態において、形態Gの1H NMRスペクトルは、形態Gがかなりの量のMBTEを含有することを示す。
更に別の実施形態において、形態Gは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Gは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Gの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
形態H
ある特定の実施形態において、形態Hが本明細書で提供される。
一実施形態において、形態Hは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、形態Hは、結晶性である。一実施形態において、形態Hは、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、形態Hは、化合物1のEtOH溶媒和物の形態である。ある特定の実施形態において、形態Hは、少なくとも20%相対湿度の環境に接触させると、形態Aに変換され得る。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される形態Hは、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる(表6、表7及び表9参照)。ある特定の実施形態において、形態Hは、EtOH、EtOH/水(約1:1)またはEtOAcを含む、ある特定の溶媒系から得られる。ある特定の実施形態において、形態Hは、50℃の温度のEtOH、EtOH/水(約1:1)またはEtOAcを含む、ある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Hは、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、形態Hは、実質的に図33に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Hは、図33に示されるように、約6.1、7.7、8.9、10.3、10.9、11.3、11.6、13.7、14.4、15.0、15.2、15.4、15.6、15.9、16.9、17.2、17.7、18.2、18.7、19.4、19.6、20.6、20.9、21.4、22.5、23.2、23.7、24.6、24.9、25.6、25.9、26.2、26.9、27.4、28.1、28.4、29.0、29.4、31.1、32.2、33.1、34.1、34.7、35.3、37.3または38.6°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Hは、約7.7、8.9、10.3、15.2、15.4、15.6、17.2、18.2、19.6、21.4または24.9°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約7.7、8.9、10.3または18.2°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、形態Hである。別の実施形態において、形態Hは、表19に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45または46の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図34に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約50℃から約220℃まで加熱したとき、約50℃〜約175℃の間に、試料の総質量のうち約6.5%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、結晶性形態は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約6.5%を失う。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約163℃にピーク最大を有する吸熱事象を含む、図35に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約179℃にオンセット温度及び約187℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図35に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、形態Hは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Hは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Hの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
形態I
ある特定の実施形態において、形態Iが本明細書で提供される。
一実施形態において、形態Iは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、形態Iは、結晶性である。一実施形態において、形態Iは、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、形態Iは、化合物1のMeCN溶媒和物の形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される形態Iは、冷却再結晶実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる。ある特定の実施形態において、形態Iは、MeCNを含むある特定の溶媒系から得られる。ある特定の実施形態において、形態Iは、室温のMeCNスラリー中で、形態Cに変換される。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Iは、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、形態Iは、実質的に図36に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Iは、図36に示されるように、約5.2、5.5、6.3、8.6、9.3、10.4、10.9、11.5、11.9、12.6、15.7、16.6、17.3、18.1、18.7、19.0、20.0、20.9、22.0、22.5、23.3、24.1、24.6、25.4、26.4、27.6、28.4、29.6、31.0、31.6、32.1、33.2、33.9、35.3、35.9または38.5°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約6.3、15.7、18.1または20.0°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、形態Iである。別の実施形態において、形態Iは、表20に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図38に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約50℃から約220℃まで加熱したとき、約50℃〜約180℃の間に、試料の総質量のうち約2.3%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、結晶性形態は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約2.3%を失う。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約75℃にピーク最大を有する吸熱事象を含む、図39に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約173℃のオンセット温度及び約183℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図39に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、実質的に図37に示される1H NMRスペクトルを有する形態Iが本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、形態Iは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Iは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Iの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
非晶質固体
ある特定の実施形態において、化合物1の非晶質固体が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される非晶質固体は、形態Aの蒸発及び/または熱処理によって得られる。
一実施形態において、非晶質固体は、実質的に図40に示されるX線粉末回折スペクトルを有する。
一実施形態において、約40℃から約260℃まで加熱したとき、84℃のガラス転移温度を含む、図41に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の非晶質固体が本明細書で提供される。
一実施形態において、実質的に図42に示される1H NMRスペクトルを有する化合物1の非晶質固体が本明細書で提供される。
一実施形態において、実質的に図43Aに示されるDVS等温線プロットを有する化合物1の非晶質固体が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、化合物1の非晶質固体は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、化合物1の実質的に純粋な非晶質固体は、他の固体形態、例えば、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、形態H及び形態Iを実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な非晶質固体の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
クエン酸塩の形態Y
また、クエン酸塩を含む化合物1の固体形態も本明細書で提供される。
ある特定の実施形態において、クエン酸塩の形態Yが本明細書で提供される。
一実施形態において、クエン酸塩の形態Yは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、クエン酸塩の形態Yは、結晶性である。別の実施形態において、クエン酸塩の形態Yは、無水物である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるクエン酸塩の形態Yは、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる(表23、表24及び表25参照)。ある特定の実施形態において、クエン酸塩の形態Yは、アセトン、MeCN、n−ブタノール、EtOH、EtOH/水(約1:1)、EtOAc、ヘプタン、IPA、DCM、MeOAc、MTBE、MEK、トルエン、THF、THF/水(約1:1)、1,4−ジオキサン、MIBK、IPAc及び2−MeTHFを含む、ある特定の溶媒系から得られる。ある特定の実施形態において、クエン酸塩の形態Yは、50℃のアセトン、MeCN、n−ブタノール、EtOH、EtOH/水(約1:1)、EtOAc、ヘプタン、IPA、DCM、MeOAc、MTBE、MEK、トルエン、THF、THF/水(約1:1)、1,4−ジオキサン、MIBK、IPAc及び2−MeTHFを含む、ある特定の溶媒系から得られる。一実施形態において、クエン酸塩の形態Yは、EtOH溶媒和物である。
一実施形態において、クエン酸塩の形態Yを調製する方法は、THFまたはTHF/水中、約50℃未満の温度まで冷却するステップと、固体を回収するステップとを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Yは、化合物1のクエン酸塩であり、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Yは、実質的に図45に示されるX線粉末回折パターン(XRPD)を有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Yは、図45に示されるように、約4.8、6.6、9.6、13.6、14.4、15.4、16.0、16.9、18.0、18.9、19.2、19.9、20.1、20.9、21.8、22.4、22.7、23.2、23.4、24.0、24.1、24.3、25.1、26.7、27.0、27.9、28.5、29.0、29.6、30.2、30.4、30.8、31.1、31.6、32.3、33.1、33.5、34.0、34.6または35.1°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Yは、約4.8、6.6、9.6、15.4、16.0、16.9、18.9、19.2、19.9、20.9または28.5°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約4.8、9.6、18.9または19.2°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、クエン酸塩の形態Yである。別の実施形態において、クエン酸塩の形態Yは、表27に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Yは、実質的に図46に示されるSEM画像を有する。
一実施形態において、図47に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性クエン酸塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約50℃から約220℃まで加熱したとき、約50℃〜約150℃の間に、試料の総質量のうち約0.1%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。
一実施形態において、約25℃から約260℃まで加熱したとき、約213℃のオンセット温度及び約217℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、実質的に図48に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性クエン酸塩が本明細書で提供される。
一実施形態において、固体形態、例えば、実質的に図49Aに示されるDVS等温線プロットを有する形態Yが本明細書で提供される。
一実施形態において、固体形態、例えば、実質的に図50に示される1H NMRスペクトルを有する形態Yが本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、クエン酸塩の形態Yは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なクエン酸塩の形態Yは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なクエン酸塩の形態Yの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
クエン酸塩の形態Z
ある特定の実施形態において、クエン酸塩の形態Zが本明細書で提供される。
一実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、結晶性である。別の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、無水物である。別の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、水和物である。一実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、非化学量論的水和物である。更に別の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、チャンネル水和物である。更に別の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、非化学量論的チャンネル水和物である。更に別の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、溶媒和物である。
ある特定の実施形態において、形態Zは、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる(表23、表24及び表25参照)。ある特定の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、MeCN/水(約1:1)、EtOH、EtOH/水(約1:1)またはMeOHを含む、ある特定の溶媒系から得られる。ある特定の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、約50℃の温度のMeCN/水(約1:1)、EtOH、EtOH/水(約1:1)またはMeOHを含む、ある特定の溶媒系から得られる。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Zは、実質的に図53に示されるSEM画像を有する。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Zは、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Zは、実質的に図52に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、形態Zは、図52に示されるように、約4.6、6.6、9.4、13.1、14.1、15.3、15.6、17.4、18.8、19.0、19.9、20.4、21.1、21.9、22.2、22.7、23.5、23.9、25.2、26.3、26.8、27.8、28.3、28.7、29.8、31.2、31.9、32.6、33.7、35.1、35.9、37.4または38.0°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約9.4、18.8、19.0または28.7°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、クエン酸塩の形態Zである。別の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、表30に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32または33の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図54に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性クエン酸塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約50℃〜約150℃の間に、試料の総質量のうち約0.1%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、化合物1の無水物である。
一実施形態において、約25℃から約260℃まで加熱したとき、約217℃にオンセット温度及び約221℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図55に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性クエン酸塩の形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、固体形態、例えば、実質的に図56Aに示されるDVS等温線プロットを有する形態Yが本明細書で提供される。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、実質的に図57に示される1H NMRスペクトルを有する形態Zが本明細書で提供される。
一実施形態において、図58に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1のクエン酸塩の水和物が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、水和物は、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約25℃〜約200℃の間に、試料の総質量のうち約2%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、化合物1のクエン酸塩形態の水和物である。
一実施形態において、図59に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1のクエン酸塩の非化学量論的水和物が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、非化学量論的水和物の形態は、約50℃から約300℃まで加熱したとき、約50℃〜約200℃の間に、試料の総質量のうち約1.7%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、化合物1のクエン酸形態の非化学量論的水和物である。
一実施形態において、図60に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1のクエン酸塩の溶媒和物が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、溶媒和物は、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約25℃〜約200℃の間に、試料の総質量のうち約1.3%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、化合物1のクエン酸塩形態の溶媒和物である。
一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、実質的に図61に示される1H NMRスペクトルを有する形態Zの溶媒和物が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、クエン酸塩の形態Zは、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なクエン酸塩の形態Zは、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なクエン酸塩の形態Zの純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
HCl塩の形態
ある特定の実施形態において、出発物質のHCl塩形態が本明細書で提供される。一実施形態において、出発物質のHCl塩形態は、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、出発物質のHCl塩形態は、無水物である。
一実施形態において、出発物質のHCl塩形態を得るには、約25℃〜約30℃の温度でMeOH(例えば、約10体積)中に化合物1を溶解する。MeOH中のHCl(約1.25M、1.10当量)を加え、化合物1のHCl塩形態の出発物質を得る。溶液を真空蒸留し、溶媒をMeOHからEtOAcに変換することができ(例えば、約30〜35体積)、ここで、温度は、任意選択により約25℃〜約35℃に維持される。スラリーを濾過し、ケーキをEtOAc(例えば、約5体積)で洗浄することができる。ケーキを50℃の真空オーブン中で乾燥させることができる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、出発物質のHCl塩形態は、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、出発物質のHCl塩形態は、実質的に図63に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、出発物質のHCl塩形態は、図63に示されるように、約5.8、7.1、8.3、10.1、11.3、11.6、12.7、15.5、16.1、17.8、19.2、19.7、20.5、21.1、23.0、24.0、25.5、26.3、27.2、28.4、31.0または35.6°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、図63に示されるように、約21.1、19.2、20.5、17.8°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、出発物質のHCl塩形態である。別の実施形態において、出発物質のHCl塩形態は、表42に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図64に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の出発物質のHCl塩形態が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、出発物質のHCl塩形態は、約24℃から約300℃まで加熱したとき、約24℃〜約100℃の間に、試料の総質量のうち約1.1%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、結晶性形態は、化合物1の無水物である。
一実施形態において、約24℃から約300℃まで加熱したとき、約239℃にオンセット温度及び約249℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図64に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の出発物質のHCl塩形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、固体形態、例えば、実質的に図65に示されるDVS等温線プロットを有する出発物質のHCl塩形態が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、出発物質のHCl塩形態は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な出発物質のHCl塩形態は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な出発物質のHCl塩形態の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
HCl塩の形態1
ある特定の実施形態において、化合物1のHCl塩の形態1が本明細書で提供される。
一実施形態において、HCl塩の形態1は、化合物1の固体形態である。一実施形態において、HCl塩の形態1は、溶媒和物である。一実施形態において、HCl塩の形態1は、化合物1のIPA溶媒和物の形態である。別の実施形態において、HCl塩の形態1は、結晶性である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるHCl塩の形態1は、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる(表23、表24及び表25参照)。ある特定の実施形態において、HCl塩の形態1は、IPAを含むある特定の溶媒系から得られる。
一実施形態において、HCl塩の形態1を調製する方法は、化合物1をIPA中に溶解するステップと、IPAをゆっくり蒸発させるステップと、固体を回収するステップとを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態1は、化合物1のHCl塩であり、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態1は、実質的に図66に示されるX線粉末回折パターン(XRPD)を有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態1は、図66に示されるように、約5.5、5.9、5.9、8.8、9.4、9.9、11.5、12.4、12.8、15.6、15.9、16.2、17.4、18.6、20.4、20.7、21.0、21.3、21.7、22.1、22.6、22.8、22.9、23.2、23.5、23.7、23.9、25.5、25.8、26.3、26.8、27.0、28.4、29.3、30.3、32.1、32.2、33.5、35.5、36.6または37.6°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約5.55.9、8.8、9.4、15.9、18.6、20.7、22.6、22.8、22.9、29.3、32.1または32.2°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、HCl塩の形態1である。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約8.8、9.4、15.9または20.7°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、HCl塩の形態1は、表34に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40または41の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図67に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約20℃から約325℃まで加熱したとき、約20℃〜約140℃の間に、試料の総質量のうち約6.6%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約20℃から約325℃まで加熱したとき、約150℃〜約200℃の間に、試料の総質量のうち約10%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、ほぼ周囲温度から約325℃まで加熱したとき、その総質量の約17%を失う。
一実施形態において、約25℃から約350℃まで加熱したとき、約102℃にオンセット温度及び約114℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、実質的に図67に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
一実施形態において、約25℃から約350℃まで加熱したとき、約146℃にオンセット温度及び約181℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、実質的に図67に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、約25℃から約350℃まで加熱したとき、250℃を超える最大をそれぞれ有する複数の吸熱事象を含む、実質的に図67に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、HCl塩の形態1は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態1は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態1の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
HCl塩の形態2
ある特定の実施形態において、HCl塩の形態2が本明細書で提供される。
一実施形態において、HCl塩の形態2は、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、HCl塩の形態2は、結晶性である。一実施形態において、HCl塩の形態2は、化合物1の無水物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態2は、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態2は、化合物1のIPA溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態2は、化合物1のトルエン溶媒和物の形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるHCl塩の形態2は、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる。ある特定の実施形態において、HCl塩の形態2は、IPA/トルエン(約1:1)を含むある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態2は、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、HCl塩の形態2は、実質的に図68に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態2は、図68に示されるように、約5.5、5.8、9.0、9.8、9.9、10.7、11.0、12.3、12.6、14.0、16.7、18.1、19.0、19.5、19.9、20.1、20.8、21.5、21.8、22.0、22.8、23.3、24.0、24.3、24.6、24.9、25.3、26.0、26.5、26.8、27.0、27.6、28.4、29.2、29.7、30.7、33.0または35.1°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態2は、約5.5、9.0、9.8、9.9、12.3、12.6、16.7、18.1、19.0、21.5または22.8°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約9.0、9.8、9.9または16.7°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、HCl塩の形態2である。別の実施形態において、HCl塩の形態2は、表35に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37または38の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図69に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、結晶性形態であるHCl塩の形態2は、約20℃から約325℃まで加熱したとき、約20℃〜約140℃の間に、試料の総質量のうち約2.6%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。
一実施形態において、図69に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供され、ここで、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約20℃から約325℃まで加熱したとき、約140℃〜約200℃の間に、試料の総質量のうち約14%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、ほぼ周囲温度から約325℃まで加熱したとき、その総質量の約17%を失う。
一実施形態において、約25℃から約350℃まで加熱したとき、約151℃にオンセット温度及び約157℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図69に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、HCl塩の形態2は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態2は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態2の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
HCl塩の形態3
ある特定の実施形態において、HCl塩の形態3が本明細書で提供される。
一実施形態において、HCl塩の形態3は、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、HCl塩の形態3は、結晶性である。一実施形態において、HCl塩の形態3は、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態3は、化合物1のn−ブタノール溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態3は、化合物1のヘプタン溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態3は、化合物1のn−ブタノール/ヘプタン溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態3は、化合物1の水和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態3は、化合物1の無水物の形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるHCl塩の形態3は、平衡実験、蒸発実験、冷却再結晶実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる。ある特定の実施形態において、HCl塩の形態3は、n−ブタノール、トルエンまたはn−ブタノール/トルエン(約1:1)を含む、ある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態3は、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、HCl塩の形態3は、実質的に図70に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態3は、図70に示されるように、約5.5、6.5、7.7、10.0、10.5、10.9、12.9、14.8、15.9、16.2、18.3、18.9、19.4、20.4、21.0、21.8、22.2、22.5、24.1、26.0、28.8、29.9、32.7または39.4°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態3は、約5.5、6.5、10.9、16.2、19.4、20.4、22.2または22.5°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7または8つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約5.5、16.2、19.4または20.4°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、HCl塩の形態3である。別の実施形態において、HCl塩の形態3は、表36に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図71に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約25℃から約140℃まで加熱したとき、約50℃〜約175℃の間に、試料の総質量のうち約2.3%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約25℃から約140℃まで加熱したとき、約140℃〜約210℃の間に、試料の総質量のうち約11%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約13%を失う。
一実施形態において、約25℃から約350℃まで加熱したとき、約153℃にオンセット温度及び約168℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図71に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、HCl塩の形態3は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態3は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態3の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
HCl塩の形態4
ある特定の実施形態において、HCl塩の形態4が本明細書で提供される。
一実施形態において、HCl塩の形態4は、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、HCl塩の形態4は、結晶性である。一実施形態において、HCl塩の形態4は、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態4は、化合物1のメタノール溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態4は、化合物1のIPAc溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態4は、化合物1のMeOH/IPAc溶媒和物の形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるHCl塩の形態4は、平衡実験、蒸発実験、冷却再結晶実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる。ある特定の実施形態において、HCl塩の形態4は、MeOH/IPAcを含むある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態4は、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態4は、実質的に図72に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態4は、図72に示されるように、約7.9、8.1、8.2、8.4、10.8、14.0、15.3、15.9、16.4、16.8、17.8、18.3、18.9、19.1、19.7、20.3、21.0、21.6、22.1、23.3、23.6、24.9、25.3、26.3、27.6、28.5、29.1、29.9、30.6、30.9、31.9、32.8、34.6または36.2°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態4は、約7.9、8.1、8.4、15.9、16.8、18.9、19.1または19.7°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7または8つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約7.9、8.1、8.4または15.9°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、HCl塩の形態4である。別の実施形態において、HCl塩の形態4は、表37に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図73に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約20℃から約275℃まで加熱したとき、約20℃〜約140℃の間に、試料の総質量のうち約4.5%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、ほぼ周囲温度から約275℃まで加熱したとき、その総質量の約4.5%を失う。
一実施形態において、約25℃から約275℃まで加熱したとき、約94℃にオンセット温度及び約118℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図73に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。一実施形態において、約25℃から約275℃まで加熱したとき、約219℃にオンセット温度及び約236℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を更に含む、図73に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、HCl塩の形態4は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態4は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態4の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
HCl塩の形態5
ある特定の実施形態において、HCl塩の形態5が本明細書で提供される。
一実施形態において、HCl塩の形態5は、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、HCl塩の形態5は、結晶性である。一実施形態において、HCl塩の形態5は、化合物1の溶媒和物の形態である。一実施形態において、HCl塩の形態5は、化合物1のDMF溶媒和物の形態である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるHCl塩の形態5は、平衡実験、蒸気拡散及び蒸発実験によって得られる。ある特定の実施形態において、HCl塩の形態5は、DMFを含むある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態5は、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態5は、実質的に図74に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態5は、図74に示されるように、約7.9、8.7、10.0、11.7、13.3、13.6、15.1、15.7、17.2、17.9、19.9、20.6、21.3、23.3、24.2、25.5、27.0、28.5、29.3、30.1、31.7、32.2、34.1、35.4、37.0または38.8°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態5は、約7.9、8.7、10.0、11.7、15.1、15.7、17.2、19.9、20.6、21.3、24.2または27.0°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約7.9、19.9、20.6または27.0°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、HCl塩の形態5である。別の実施形態において、HCl塩の形態5は、表38に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図75に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約25℃〜約140℃の間に、試料の総質量のうち約4.2%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、ほぼ周囲温度から約300℃まで加熱したとき、その総質量の約4.2%を失う。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約104℃に最大を有する吸熱事象を含む、図75に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
一実施形態において、約25℃から約220℃まで加熱したとき、約192℃にオンセット温度及び約209℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図75に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、HCl塩の形態5は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態5は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態5の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
HCl塩の形態6
ある特定の実施形態において、HCl塩の形態6が本明細書で提供される。
一実施形態において、HCl塩の形態6は、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、HCl塩の形態6は、結晶性である。一実施形態において、HCl塩の形態6は、化合物1の水和物である。一実施形態において、HCl塩の形態6は、化合物1の五水和物である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるHCl塩の形態6は、平衡実験によって得られる。ある特定の実施形態において、HCl塩の形態6は、水中に0.1N HClを含むある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態6は、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態6は、実質的に図76に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態6は、図76に示されるように、約7.0、8.8、9.9、11.5、12.2、12.4、14.7、16.3、16.7、17.5、17.9、18.2、18.6、19.2、19.4、19.7、19.9、20.3、21.0、21.2、21.9、22.7、22.9、23.7、24.6、25.0、25.6、26.3、26.5、26.8、27.2、27.6、28.2、28.7、29.1、29.6、30.3、30.8、31.2、31.7、32.3、32.8、33.3、34.0、34.3、35.3、36.2または37.0°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態6は、約9.9、12.4、16.3、17.5、19.2、19.7、19.9、21.0、25.0、25.6、27.2または32.3°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約9.9、12.4、17.9または19.7°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、HCl塩の形態6である。別の実施形態において、HCl塩の形態6は、表39に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47または48の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図77に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約20℃から約300℃まで加熱したとき、約25℃〜約100℃の間に、試料の総質量のうち約11.6%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。
一実施形態において、図78に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約20℃から約300℃まで加熱したとき、約25℃〜約60℃の間に、試料の総質量のうち約14.3%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。
ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約20℃から約300℃まで加熱したとき、約60℃〜約125℃の間に、試料の総質量のうち約1.6%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、化合物1の結晶の結晶性形態のHCl塩は、ほぼ周囲温度から約100℃まで加熱したとき、その総質量の約15.9%を失う。
一実施形態において、約25℃から約325℃まで加熱したとき、約53℃にオンセット温度及び約88℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図77に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。一実施形態において、約25℃から約325℃まで加熱したとき、約201℃にオンセット温度及び約228℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図77に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
一実施形態において、約25℃から約325℃まで加熱したとき、約59℃にオンセット温度及び約89℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図79に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。一実施形態において、約25℃から約325℃まで加熱したとき、約211℃にオンセット温度及び約225℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図79に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、HCl塩の形態6は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態6は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態6の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
HCl塩の形態7
ある特定の実施形態において、HCl塩の形態7が本明細書で提供される。
一実施形態において、HCl塩の形態7は、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、HCl塩の形態7は、結晶性である。一実施形態において、HCl塩の形態7は、化合物1の水和物である。一実施形態において、HCl塩の形態7は、化合物1の一水和物である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるHCl塩の形態7は、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる。ある特定の実施形態において、HCl塩の形態7は、室温の水を含む、ある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態7は、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態7は、実質的に図80に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態7は、図80に示されるように、約7.9、8.1、8.3、10.8、13.8、14.5、15.3、15.6、16.2、16.6、17.0、17.6、18.3、18.6、19.1、19.6、19.7、20.2、20.7、21.5、22.0、22.9、24.0、24.3、25.2、26.2、28.4、29.0、29.5、30.2、30.8、31.2、32.5、33.1、34.7または36.3°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態7は、約7.9、8.1、8.3、10.8、15.3、16.2、18.3、19.1、19.6、19.7、21.5、24.0、24.3または25.2°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約8.1、8.3、19.1または19.7°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、HCl塩の形態7である。別の実施形態において、HCl塩の形態7は、表40に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図81に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約25℃〜約100℃の間に、試料の総質量のうち約3.8%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、ほぼ周囲温度から約300℃まで加熱したとき、その総質量の約3.8%を失う。
一実施形態において、図83に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約25℃〜約100℃の間に、試料の総質量のうち約3.4%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、ほぼ周囲温度から約300℃まで加熱したとき、その総質量の約3.4%を失う。
一実施形態において、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約80℃にオンセット温度及び約111℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図81に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。一実施形態において、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約215℃にオンセット温度及び約233℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図81に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
一実施形態において、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約71℃にオンセット温度及び約98℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図82に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。一実施形態において、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約209℃にオンセット温度及び約230℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図82に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
一実施形態において、固体形態、例えば、実質的に図84に示されるDVS等温線プロットを有する出発物質のHCl塩形態が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、HCl塩の形態7は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態7は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態7の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
HCl塩の形態8
ある特定の実施形態において、HCl塩の形態8が本明細書で提供される。
一実施形態において、HCl塩の形態8は、化合物1の固体形態である。別の実施形態において、HCl塩の形態8は、結晶性である。一実施形態において、HCl塩の形態8は、化合物1の水和物である。一実施形態において、HCl塩の形態8は、化合物1の一水和物である。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供されるHCl塩の形態8は、平衡実験、蒸発実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる。ある特定の実施形態において、HCl塩の形態8は、50℃の水を含む、ある特定の溶媒系から得られる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態8は、例えば、X線粉末回折測定によって示されるように、実質的に結晶性である。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態8は、実質的に図85に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態、例えば、HCl塩の形態8は、図85に示されるように、約8.1、9.8、10.1、10.8、11.1、11.6、15.7、16.2、16.9、17.4、18.0、18.7、19.2、19.6、21.4、22.1、22.9、23.8、24.2、25.1、25.5、26.2、26.7、28.2、28.4、29.6、30.5、31.7、32.0、33.7、35.6、36.4または37.4°の2θ(2θ±0.2°)または(2θ±0.1°)に1つ以上の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。具体的な実施形態において、本明細書で提供される固体形態は、約9.8、17.4、18.7または26.2°の2θ(2θ±0.2°)に、1、2、3または4つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。一実施形態において、固体形態は、HCl塩の形態8である。別の実施形態において、HCl塩の形態8は、表41に示されるように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32または33の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
一実施形態において、図86に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約25℃〜約100℃の間に、試料の総質量のうち約3.1%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。一実施形態において、図87に示される代表的なTGAサーモグラムに実質的に相当するTGAサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約30℃〜約120℃の間に、試料の総質量のうち約3.0%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。
ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、約30℃から約300℃まで加熱したとき、約125℃〜約215℃の間に、試料の総質量のうち約2.6%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。したがって、ある特定の実施形態において、化合物1の結晶性形態のHCl塩は、ほぼ周囲温度から約220℃まで加熱したとき、その総質量の約5.6%を失う。一水和物のHCl塩の形態8における水の理論含有量は、2.9%であり、上のTGAサーモグラムにおける試料の総質量減少パーセントと一致する。
一実施形態において、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約117℃にオンセット温度及び約148℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図86に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。一実施形態において、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約208℃にオンセット温度及び約221℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図86に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
一実施形態において、約25℃から約275℃まで加熱したとき、約148℃に最大を有する吸熱事象を含む、図88に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。一実施形態において、約25℃から約300℃まで加熱したとき、約204℃にオンセット温度及び約224℃にピーク最大温度を有する吸熱事象を含む、図88に示されるDSCサーモグラムを有する化合物1の結晶性形態のHCl塩が本明細書で提供される。
更に別の実施形態において、HCl塩の形態8は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態8は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋なHCl塩の形態8の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
使用方法
本明細書に記載される化合物1の固体形態は、動物またはヒトの病態を治療、予防または改善するための医薬品として有用である。したがって、本明細書で提供される方法の全てにおいて使用することができる、本明細書に記載される化合物1の固体形態が本明細書で提供される。特に、本明細書で提供される化合物1の固体形態は、がんの治療または予防に使用するためのものである。本明細書で提供される方法は、本明細書に記載される化合物1の1つ以上の固体形態の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。本明細書に記載される方法はまた、以下に提供されるものなどの医薬組成物による治療を含み、ここで、医薬組成物は、本明細書に記載される化合物1の固体形態と、任意選択により少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含むことを理解されたい。
別の態様において、がんを治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、がんは、固形腫瘍または血液系腫瘍である。いくつかの実施形態において、がんは、黒色腫ではない。
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は、黒色腫、大腸癌、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、膀胱癌、CNS癌、肺癌、膵癌及び軟組織癌である。一実施形態において、固形腫瘍は、内分泌癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、十二指腸癌、神経膠腫、頭頸部癌、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌NSCLC)、食道癌、甲状腺癌または膵癌である。
他の実施形態において、がんは、膀胱癌、乳癌(例えば、Her陽性、Her陰性またはEGFR陽性)、CNS癌(神経芽細胞腫及び神経膠腫を含む)、結腸癌、消化器癌(例えば、胃癌及び結腸癌)、内分泌癌(例えば、甲状腺癌または副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮頸部癌、卵巣明細胞癌、外陰癌、子宮癌または卵巣癌)、頭頸部癌、造血系癌(例えば、白血病または骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLCまたはSCLC)、黒色腫、膵癌、前立腺癌または軟組織癌(例えば、肉腫または骨肉腫)である。
別の実施形態において、がんは、膀胱癌、乳癌(例えば、Her陽性、Her陰性またはEGFR陽性)、CNS癌(例えば、神経膠腫または神経芽細胞腫)、結腸癌、消化器癌(例えば、胃癌)、内分泌癌(例えば、甲状腺癌または副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮、子宮頸部、卵巣明細胞または外陰部の癌)、頭頸部癌、造血系癌(例えば、白血病または骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLCまたはSCLC)、黒色腫、膵癌、前立腺癌または軟組織癌(例えば、肉腫または骨肉腫)である。
更に別の実施形態において、がんは、表44に示されるがんである。
また、肝細胞癌(HCC)を治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。
また、大腸癌(CRC)、黒色腫、胃癌、HCC、肺癌、膵癌、白血病または多発性骨髄腫を治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態または本明細書に記載されるその医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。一実施形態において、CRC、胃癌またはHCCは、β−カテニン変異を特徴とするがんである。また、大腸癌(CRC)、胃癌、HCC、肺癌、膵癌、白血病及び多発性骨髄腫を治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載されるように、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態またはその医薬組成物を投与することを含む、白血病を治療する方法が本明細書で提供される。白血病は、慢性骨髄性白血病(CML)であり得る。別の実施形態において、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。一実施形態において、白血病は、FLT−3変異AMLである。
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態またはその医薬組成物を投与することを含む、リンパ腫を治療する方法が本明細書で提供される。リンパ腫は、バーキットリンパ腫であり得る。一実施形態において、白血病は、ホジキンリンパ腫である。別の実施形態において、白血病は、B細胞リンパ腫である。別の実施形態において、白血病は、T細胞リンパ腫である。更に別の実施形態において、リンパ腫は、原発性滲出性リンパ腫(PEL)である。
化合物1)の固体形態は、種々のがん細胞株において抗増殖活性を示す。(表44)これらのがん細胞株における抗増殖活性は、化合物1の固体形態が、造血器腫瘍及び固形腫瘍を含む、がんの治療に有用であることを示している。一実施形態において、造血器腫瘍及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、神経芽細胞腫、髄芽腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮癌、子宮頸部癌、卵巣癌及び外陰癌)、頭頸部癌(例えば、食道癌)、造血系及びリンパ系癌(例えば、リンパ腫、白血病及び骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫及び癌腫)、軟組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌ならびに精巣癌から選択される。一実施形態において、造血器腫瘍及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、神経芽細胞腫、髄芽腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮癌、子宮頸部癌及び外陰癌)、頭頸部癌、造血系及びリンパ系癌(例えば、リンパ腫、白血病及び骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫及び癌腫)、軟組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌ならびに精巣癌から選択される。
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、種々のがん細胞株においてアポトーシスを誘導する。アポトーシスの誘導は、本明細書に記載される化合物1の固体形態が、造血器腫瘍及び固形腫瘍を含む、がんの治療に有用であることを示している。一実施形態において、造血器腫瘍及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、神経芽細胞腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮癌、子宮頸部癌、卵巣癌及び外陰癌)、頭頸部癌(例えば、食道癌)、造血系及びリンパ系癌(例えば、リンパ腫、白血病及び骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫及び癌腫)、軟組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌ならびに精巣癌から選択される。一実施形態において、造血器腫瘍及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、神経芽細胞腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、外陰癌)、頭頸部癌(例えば、食道癌)、造血系及びリンパ系癌(例えば、リンパ腫及び白血病)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫)、軟組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌ならびに精巣癌から選択される。一実施形態において、造血器腫瘍及び固形腫瘍は、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、髄芽腫、神経芽細胞腫及び神経膠腫)、結腸癌、十二指腸癌、内分泌癌(例えば、甲状腺癌及び副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、胎盤癌、子宮癌、子宮頸部癌、卵巣癌及び外陰癌)、頭頸部癌(例えば、食道癌)、造血系及びリンパ系癌(例えば、リンパ腫、白血病及び骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLC及びSCLC)、膵癌、前立腺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫及び癌腫)、軟組織癌(例えば、肉腫及び骨肉腫)、胃癌ならびに精巣癌から選択される。更に別の実施形態において、症例は、表44に示されるがんである。
また、BRAF変異及び/またはβ−カテニン変異(あるいはCTNNB1変異とも呼ばれる)を特徴とするがんを治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、がんは、BRAF変異を特徴とする。いくつかのこのような実施形態において、がんは、β−カテニン変異を特徴とする。更に別の実施形態において、がんは、活性化されたβ−カテニン経路を特徴とする。いくつかのこのような実施形態において、がんは、BRAF変異を特徴とするCRCまたは黒色腫である。他の実施形態において、がんは、β−カテニン変異を特徴とし、更にEGFR変異またはEGFR活性の増大を含む、CRC(例えば、活性化されたβ−カテニン経路及びEGFR変異を特徴とするCRC、または活性化されたβ−カテニン経路及びEGFR活性の増大を特徴とするCRC)である。更に他の実施形態において、がんは、β−カテニン変異を特徴とし、更にKRAS変異を含む、胃癌(すなわち、活性化されたβ−カテニン経路及びKRAS変異を特徴とする胃癌)である。別の実施形態において、がんは、活性化されたβ−カテニン経路を特徴とするHCCである。いくつかのこのような実施形態において、BRAF変異は、BRAF V660Eである。他の実施形態において、BRAF変異は、BRAF V600E、BRAF T119SまたはBRAF G596Rのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、β−カテニン変異は、β−カテニンS33Y、G34E、S45delまたはS33Cのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、EGFR変異は、EGFR E282K、G719S、P753SまたはV1011Mのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、KRAS変異は、A146T、G12C、G12D、G12V、G13DまたはQ61Lである。
また、PD−L1を発現するがんを治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、PD−L1発現がんは、黒色腫、肺癌、腎細胞癌(RCC)またはHCCである。
また、BRAF変異を特徴とするがんを治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、BRAF変異を特徴とするがんは、CRC、甲状腺癌、黒色腫または肺癌である。いくつかのこのような実施形態において、BRAF変異を特徴とするがんは、CRC、甲状腺癌または肺癌である。いくつかのこのような実施形態において、BRAF変異は、BRAF V660Eである。他の実施形態において、BRAF変異は、BRAF V600E、BRAF T119SまたはBRAF G596Rのうちの1つ以上である。
また、NRAS変異を特徴とするがんを治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、NRAS変異を特徴とするがんは、黒色腫である。
また、KRAS変異を特徴とするがんを治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、KRAS変異を特徴とするがんは、CRC、膵癌または肺癌である。
また、β−カテニン変異を特徴とするがんを治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。また、活性化されたβ−カテニン経路を特徴とする癌を治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、β−カテニン変異を特徴とするがんは、CRC、胃癌、HCCまたは肉腫である。いくつかのこのような実施形態において、活性化されたβ−カテニン経路を特徴とする癌は、CRC、胃癌、HCCまたは肉腫である。
また、肝細胞癌(HCC)を治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、HCCは、β−カテニン変異及び/またはYAPの発現上昇を特徴とする。いくつかのこのような実施形態において、HCCは、活性化されたβ−カテニン経路及び/またはYAPの増幅発現上昇を特徴とする。いくつかの実施形態において、YAPの発現上昇は、増幅または変異に起因する。
また、大腸癌(CRC)を治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、CRCは、BRAF変異及び/またはβ−カテニン変異を特徴とする。いくつかのこのような実施形態において、CRCは、BRAF変異及び/または活性化されたβ−カテニン経路を特徴とする。
また、胃癌を治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、胃癌は、β−カテニン変異を特徴とする。いくつかのこのような実施形態において、胃癌は、活性化されたβ−カテニン経路を特徴とする。
また、黒色腫を治療または予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、黒色腫は、BRAF変異及び/またはNRAS変異を特徴とする。
更に、遺伝子変異を特徴とするがんを有する患者における、本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療に対する応答を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のBRAF、NRAS、KRAS及び/またはCTNNB1から選択される1つ以上の遺伝子の遺伝子配列を得ることと、c)当該遺伝子配列(複数可)を野生型生物学的試料の遺伝子配列(複数可)と比較することとを含み、変異の存在は、本明細書に記載される化合物1の固体形態が当該患者のがんの治療に対して応答する可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。
更に、遺伝子変異を特徴とするがんを有する患者を治療するための本明細書に記載される化合物1の固体形態の治療有効性を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のBRAF、NAS、KRAS及び/またはCTNNB1から選択される1つ以上の遺伝子の遺伝子配列(複数可)を得ることと、c)当該遺伝子配列(複数可)を野生型生物学的試料の遺伝子配列(複数可)と比較することとを含み、変異の存在は、本明細書に記載される化合物1の固体形態による当該治療が当該患者にとって治療有効性である可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。
いくつかの実施形態において、がん転移を治療及び予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、がんは、転移性癌、特に、転移性固形腫瘍または転移性血液癌であり、固形腫瘍及び血液癌は、本明細書に記載されるとおりである。他の実施形態において、がん転移を治療及び予防する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。更に別の態様において、対象のがん幹細胞を根絶する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。他の実施形態において、対象のがん幹細胞の分化を誘導する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。他の実施形態において、対象のがん幹細胞の死を誘導する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、がんは、本明細書に記載される固形腫瘍または血液癌である。
一実施形態において、患者において、固形がんの効果判定基準(RECIST1.1)の完全奏効、部分奏効または安定を達成するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。別の実施形態において、カプランマイヤー推定量によって決定される無増悪生存率を上げるための方法が本明細書で提供される。
一実施形態において、患者において、固形がんの効果判定基準(RECIST1.1)の進行を予防または遅延させるための方法であって、本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。一実施形態において、進行の予防または遅延は、標的病変の全体的な大きさの変化(例えば、治療前と比較して−30%〜+20%)によって特徴付けまたは達成される。別の実施形態において、標的病変の大きさの変化は、治療前と比較して、全体的な大きさが30%を超えて縮小すること、例えば、標的病変サイズの50%を超える縮小である。別において、予防は、治療前と比較した非標的病変の大きさの縮小または進行の遅延によって特徴付けまたは達成される。一実施形態において、予防は、治療前と比較した標的病変の数の減少によって達成または特徴付けられる。別において、予防は、治療前と比較した非標的病変の数または質の低下によって達成または特徴付けられる。一実施形態において、予防は、治療前と比較した標的病変の不在または消失によって達成または特徴付けられる。別において、予防は、治療前と比較した非標的病変の不在または消失によって達成または特徴付けられる。別の実施形態において、予防は、治療前と比較して、新たな病変の予防によって達成または特徴付けられる。更に別の実施形態において、予防は、治療前と比較した疾患進行の臨床徴候または症状(がんに関連する悪液質または疼痛の増加など)の予防によって達成または特徴付けられる。一実施形態において、症例は、表44に示されるがんである。
ある特定の実施形態において、治療前と比較して患者の標的病変の大きさを縮小させるための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態において、治療前と比較して患者の非標的病変の大きさを縮小させるための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態において、治療前と比較した患者における標的病変の数の減少を達成するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態において、治療前と比較した患者における非標的病変の数の減少を達成するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態において、患者の全ての標的病変の消失を達成するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態において、患者の全ての非標的病変の消失を達成するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態において、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を治療するための方法であって、がん、特に固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含み、当該治療は、固形がんの効果判定基準(RECIST1.1)に定められた完全奏効、部分奏効または安定をもたらす、方法が本明細書で提供される。
ある特定の実施形態において、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を治療するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含み、当該治療は、治療前と比較して、標的病変サイズの縮小、非標的病変サイズの縮小、及び/または新たな標的及び/または非標的病変の不在をもたらす、方法が本明細書で提供される。一実施形態において、症例は、表44に示されるがんである。
ある特定の実施形態において、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を治療するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含み、当該治療は、がんに関連する悪液質または疼痛の増加などの臨床上の進行の予防または遅延をもたらす、方法が本明細書で提供される。
別の実施形態において、NHLに関する国際ワークショップ基準(IWC)(Cheson BD,Pfistner B,Juweid,ME,et.al.Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma.J.Clin.Oncol:2007:(25)579−586参照)によって特徴付けられる患者の治療効果を誘導するための方法であって、がん、特に本明細書に記載されるリンパ腫などの血液癌を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。別の実施形態において、患者において、NHLに関する国際ワークショップ基準(IWC)によって定められた完全奏効、部分奏効または安定を達成するための方法であって、がん、特に本明細書に記載されるリンパ腫などの血液癌を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。別の実施形態において、患者において、NHLに関する国際ワークショップ基準(IWC)によって定められた全生存、無増悪生存、無イベント生存、無増悪期間、無病生存期間または無リンパ腫生存期間の向上を達成するための方法であって、がん、特に本明細書に記載されるリンパ腫などの血液癌を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
別の実施形態において、多発性骨髄腫に関する国際統一効果判定基準(IURC)(Durie BGM,Harousseau J−L,Miguel JS,et al.International uniform response criteria for multiple myeloma.Leukemia,2006;(10)10:1−7参照)によって評価される患者の治療効果を誘導するための方法であって、がん、特に多発性骨髄腫を有する患者に、化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。別の実施形態において、患者において、多発性骨髄腫に関する国際統一効果判定基準(IURC)によって定められた厳密な完全奏効、完全奏効、最良の部分奏効または部分奏効を達成するための方法であって、がん、特に多発性骨髄腫を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。別の実施形態において、患者において、全生存期間、無増悪生存期間、無イベント生存期間、無増悪期間または無病生存期間の延長を達成するための方法であって、がん、特に多発性骨髄腫を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
別の実施形態において、GBMに関する神経腫瘍効果判定(RANO)ワーキンググループ(Wen P.,Macdonald,DR.,Reardon,DA.,et al.Updated response assessment criteria for high−grade gliomas:Response assessment in neuro−oncology working group.J.Clin.Oncol.2010;28:1963−1972参照)によって評価される患者の治療効果を誘導するための方法であって、がん、特に多形膠芽腫(GBM)を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。一実施形態において、RANOを使用して、治療の1日目から6ヶ月の時点に、GBMタイプの有効性評価可能対象に対する無病の対象の割合が定められる。
別の実施形態において、患者の米国東海岸がん臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG)を改善するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍または血液癌を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
別の実施形態において、患者の陽電子放射断層撮影法(PET)の結果によって評価される治療効果を誘導するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍または血液癌を有する患者に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍または血液癌を治療するための方法であって、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍または血液癌を有する患者に本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含み、当該治療は、例えば、PETイメージングによって測定したとき、腫瘍代謝活性の低下をもたらす、方法が本明細書で提供される。
更に、がん、特に本明細書に記載される固形腫瘍または血液癌に対する治療をこれまでに受けていない患者だけでなく、過去に治療を受けたことがある患者を治療するための方法が提供される。このような方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与を含む。がん患者の臨床症状は均一でなく、様々な臨床転帰を有するので、患者に施される治療は、その患者の予後に応じて変わり得る。臨床医は、過度な実験を行うことなく、個々のがん患者の治療に効果的に使用することができる、具体的な二次薬剤、手術の種類及び薬物以外の標準治療の種類を容易に決定できるであろう。
バイオマーカー
一実施形態において、本明細書に記載されるがんを有する対象のバイオマーカーのレベルを調節するための方法であって、当該対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、バイオマーカーの調節は、循環血液、皮膚生検、腫瘍生検、循環腫瘍細胞、毛髪及び/または尿などの対象の生物学的試料において評価される。一実施形態において、生物学的試料は、末梢血単核細胞(PBMC)である。このような実施形態において、バイオマーカーの調節量は、本明細書に記載される化合物1の固体形態またはその医薬組成物の投与前及び投与後のバイオマーカー量の比較によって評価される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。いくつかの他の実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の上昇である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、ERK、RSK1、DUSP4、DUSP5、DUSP6、BMF、EFNA1、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、GJA1、IL−8、cMyc、サイクリンD1、YAP、SPRY2、SPRY4、アクシン2、CTGF、AREG、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1、MAFF、CITED2、ELF3またはPD−L1である。いくつかのこのような実施形態において、調節は、ERK及びRSK1のうちの1つ以上のリン酸化レベルの低下の測定によって判断される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。いくつかの他の実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の上昇である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、DUSP4、DUSP6、サイクリンD1、c−Myc、SPRY2及びYAPのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、調節は、DUSP4、DUSP6、サイクリンD1、c−Myc及びYAPのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下の測定によって判断される。いくつかのこのような実施形態において、調節は、DUSP4、DUSP6、SPRY2、c−Myc及びサイクリンD1のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下の測定によって判断される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、DUSP4、DUSP6、サイクリンD1、c−Myc、SPRY2及びYAPのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、調節は、DUSP4、DUSP6、サイクリンD1、c−Myc及びYAPのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下の測定によって判断される。いくつかのこのような実施形態において、調節は、DUSP4、DUSP6、SPRY2、c−Myc及びサイクリンD1のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下の測定によって判断される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL8、SPRY2及びSPRY4のうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、調節は、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL8、SPRY2及びSPRY4のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下の測定によって判断される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、BMF及びEFNAのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、調節は、BMF及びEFNA1のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの上昇の測定によって判断される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の上昇である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、GJA1である。いくつかのこのような実施形態において、調節は、GJA1のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの調節の測定によって判断される。いくつかのこのような実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の上昇である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、アクシン2、CTGF、Cur61及びAREGのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、調節は、アクシン2、CTGF及びAREGのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下の測定によって判断される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、調節は、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下の測定によって判断される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、CITED2及びELF3のうちの1つ以上である。いくつかのこのような実施形態において、調節は、CITED2及びELF3のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの上昇の測定によって判断される。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の上昇である。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、PD−L1である。いくつかの実施形態において、バイオマーカーレベルの調節は、PD−L1の細胞表面発現レベルの低下である。いくつかの実施形態において、バイオマーカーの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。
別の実施形態において、バイオマーカーは、IFNγまたはIL−2である。いくつかのこのような実施形態において、バイオマーカーレベルの調節は、IFNγまたはIL−2のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの上昇である。いくつかのこのような実施形態において、IFNγまたはIL−2のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の上昇である。
別の実施形態において、バイオマーカーは、IL−8である。いくつかのこのような実施形態において、バイオマーカーレベルの調節は、IL−8のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下である。いくつかのこのような実施形態において、IL−8のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの調節は、ベースラインレベルと比較して、約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%または約100%の低下である。
一実施形態において、本明細書に記載されるがんを有する対象において、ERK及び/またはRSK1のリン酸化を阻害するための方法であって、当該対象に、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、リン酸化の阻害は、循環血液及び/または腫瘍細胞、皮膚生検及び/または腫瘍生検、または穿刺液などの対象の生物学的試料において評価される。このような実施形態において、リン酸化の阻害量は、本明細書で提供される化合物1の固体形態の投与前及び投与後のホスホ−ERK及び/またはRSK1の量の比較によって評価される。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されるがんを有する対象におけるERK及び/またはRSK1のリン酸化の阻害を測定するための方法であって、当該対象に、本明細書で提供される化合物1の固体形態の有効量を投与することと、当該対象において、リン酸化されたERK及び/またはRSK1の量を測定することと、当該リン酸化されたERK及び/またはRSKの量を、本明細書で提供される化合物1の固体形態の有効量の投与前の当該対象の量と比較することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されるがんを有する対象の生物学的試料中のERK及び/またはRSK1のリン酸化を阻害するための方法であって、当該対象に、本明細書で提供される化合物1の固体形態の有効量を投与することと、当該本明細書で提供される化合物1の固体形態の投与前及び投与後に取得した対象の生物学的試料中のリン酸化されたERK及び/またはRSK1の量を比較することとを含み、ここで、当該本明細書で提供される化合物1の固体形態の投与後に取得した当該生物学的試料中のリン酸化されたERK及び/またはRSK1が、当該本明細書で提供される化合物1の固体形態の投与前に取得した当該生物学的試料中のリン酸化されたERK及び/またはRSK1の量と比較して低いことは、阻害を示す、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者が本明細書に記載される化合物1の固体形態に感受性であるかどうかを決定するための方法であって、当該患者に当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のリン酸化されたERK及び/またはRSK1の量を測定することによって、当該患者においてERK及び/またはRSK1リン酸化が阻害されるかどうかを決定することとを含み、ここで、ERK及び/またはRSK1リン酸化の阻害は、当該患者が当該本明細書に記載される化合物1の固体形態に感受性であることを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者におけるERK及び/またはRSK1のリン酸化の阻害によって治療可能ながんを治療するための本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を決定するための方法であって、当該患者に様々な用量の当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のリン酸化されたERK及び/またはRSK1の量を測定することによって、当該本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量から生じる当該患者におけるERK及び/またはRSK1リン酸化の阻害量を決定することとを含み、ここで、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%または約50%超のERK及び/またはRSK1リン酸化の阻害は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量に相当する、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者における、本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療に対する応答を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のDUSP4、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL−8、cMyc、サイクリンD1、YAP、SPRY2、SPRY4、アクシン2、CTGF、AREG、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルを得ることと、c)当該mRNA及び/またはタンパク質発現レベルを野生型生物学的試料のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルと比較することとを含み、ここで、当該患者の生物学的試験試料におけるmRNA及び/またはタンパク質発現レベルが当該野生型生物学的試料と比較して低下していることは、当該患者のがんが本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療に応答する可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者の本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療の治療有効性を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のDUSP4、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL−8、cMyc、サイクリンD1、YAP、SPRY2、SPRY4、アクシン2、CTGF、AREG、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルを得ることと、c)当該mRNA及び/またはタンパク質発現レベルを野生型生物学的試料のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルと比較することとを含み、ここで、mRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下は、本明細書に記載される化合物1の固体形態による当該治療が当該患者にとって治療有効性である可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者が本明細書に記載される化合物1の固体形態に感受性であるかどうかを決定するための方法であって、当該患者に当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のDUSP4、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL−8、cMyc、サイクリンD1、YAP、SPRY2、SPRY4、アクシン2、CTGF、AREG、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの量を測定することによって、当該患者において、DUSP4、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL−8、cMyc、サイクリンD1、YAP、SPRY2、SPRY4、アクシン2、CTGF、AREG、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルが阻害されるかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者におけるDUSP4、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL−8、cMyc、サイクリンD1、YAP、SPRY2、SPRY4、アクシン2、CTGF、AREG、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの阻害によって治療可能ながんを治療するための本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を決定するための方法であって、当該患者に様々な用量の当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のDUSP4、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL−8、cMyc、サイクリンD1、YAP、SPRY2、SPRY4、アクシン2、CTGF、AREG、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの量を測定することによって、当該本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量から生じる当該患者におけるDUSP4、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL−8、cMyc、サイクリンD1、YAP、SPRY2、SPRY4、アクシン2、CTGF、AREG、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの阻害量を決定することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者における、本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療に対する応答を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のBMF、EFNA1、CITED2及びELF3のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルを得ることと、c)当該mRNA及び/またはタンパク質発現レベルを野生型生物学的試料のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルと比較することとを含み、ここで、当該患者の生物学的試験試料におけるmRNA及び/またはタンパク質発現レベルが当該野生型生物学的試料と比較して上昇していることは、当該患者のがんが本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療に応答する可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者の本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療の治療有効性を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のBMF、EFNA1、CITED2及びELF3のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルを得ることと、c)当該mRNA及び/またはタンパク質発現レベルを野生型生物学的試料のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルと比較することとを含み、ここで、mRNA及び/またはタンパク質発現レベルの上昇は、当該本明細書に記載される化合物1の固体形態の治療が当該患者にとって治療有効性である可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者が本明細書に記載される化合物1の固体形態に感受性であるかどうかを決定するための方法であって、当該患者に当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のBMF、EFNA1、CITED2及びELF3のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの量を測定することによって、当該患者において、BMF、EFNA1、CITED2及びELF3のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルが上昇するかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者におけるBMF、EFNA1、CITED2及びELF3のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの上昇によって治療可能ながんを治療するための本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を決定するための方法であって、当該患者に様々な用量の当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のBMF、EFNA1、CITED2及びELF3のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの量を測定することによって、当該本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量から生じる当該患者におけるBMF、EFNA1、CITED2及びELF3のうちの1つ以上のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの上昇量を決定することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者における、本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療に対する応答を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルを得ることと、c)当該mRNA及び/またはタンパク質発現レベルを野生型生物学的試料のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルと比較することとを含み、ここで、当該患者の生物学的試験試料におけるmRNA及び/またはタンパク質発現レベルが当該野生型生物学的試料と比較して低下していることは、当該患者のがんが本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療に応答する可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者の本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療の治療有効性を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルを得ることと、c)当該mRNA及び/またはタンパク質発現レベルを野生型生物学的試料のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルと比較することとを含み、ここで、mRNA及び/またはタンパク質発現レベルの低下は、本明細書に記載される化合物1の固体形態による当該治療が当該患者にとって治療有効性である可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者が本明細書に記載される化合物1の固体形態に感受性であるかどうかを決定するための方法であって、当該患者に当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの量を測定することによって、当該患者において、GJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルが阻害されるかどうかを決定することを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者におけるGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの阻害によって治療可能ながんを治療するための本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を決定するための方法であって、当該患者に様々な用量の当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの量を測定することによって、当該本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量から生じる当該患者におけるGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの阻害量を決定することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者における、本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療に対する応答を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルを得ることと、c)当該mRNA及び/またはタンパク質発現レベルを野生型生物学的試料のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルと比較することとを含み、ここで、当該患者の生物学的試験試料におけるmRNA及び/またはタンパク質発現レベルが当該野生型生物学的試料と比較して上昇していることは、当該患者のがんが本明細書に記載される化合物1の固体形態の治療に応答する可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者の本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療の治療有効性を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料中のGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルを得ることと、c)当該mRNA及び/またはタンパク質発現レベルを野生型生物学的試料のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルと比較することとを含み、ここで、mRNA及び/またはタンパク質発現レベルの上昇は、本明細書に記載される化合物1の固体形態による当該治療が当該患者にとって治療有効性である可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者が化合物1の固体形態に感受性であるかどうかを決定するための方法であって、当該患者に当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの量を測定することによって、当該患者において、GJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルが上昇するかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者におけるGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの上昇によって治療可能ながんを治療するための化合物1の固体形態の有効量を決定するための方法であって、当該患者に様々な用量の当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの量を測定することによって、当該本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量から生じる当該患者におけるGJA1のmRNA及び/またはタンパク質発現レベルの上昇量を決定することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者における、本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療に対する応答を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料のPD−L1の細胞表面発現レベルを得ることと、c)当該PD−L1の細胞表面発現レベルを野生型生物学的試料のPD−L1の細胞表面発現レベルと比較することとを含み、ここで、PD−L1の細胞表面発現レベルの低下は、当該患者のがんが本明細書に記載される化合物1の固体形態の治療に応答する可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、がんを有する患者の本明細書に記載される化合物1の固体形態による治療の治療有効性を予測するための方法であって、a)患者のがんから生物学的試験試料を取得することと、b)当該生物学的試験試料のPD−L1の細胞表面発現レベルを得ることと、c)当該PD−L1の細胞表面発現レベルを野生型生物学的試料のPD−L1の細胞表面発現レベルと比較することとを含み、ここで、PD−L1の細胞表面発現レベルの低下は、本明細書に記載される化合物1の固体形態による当該治療が当該患者にとって治療有効性である可能性が高いことを示す、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者が化合物1の固体形態に感受性であるかどうかを決定するための方法であって、当該患者に当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のPD−L1の細胞表面発現レベルの量を測定することによって、当該患者においてPD−L1の細胞表面発現レベルが阻害されるかどうかを決定することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
更に、患者におけるPD−L1の細胞表面発現レベルによって治療可能ながんを治療するための本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を決定するための方法であって、当該患者に様々な用量の当該本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することと、当該患者への本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量の投与前及び投与後に当該患者から得た生物学的試料中のPD−L1の細胞表面発現レベルの量を測定することによって、当該本明細書に記載される化合物1の固体形態の各用量から生じる当該患者におけるPD−L1の細胞表面発現レベルの阻害量を決定することとを含む、方法が本明細書で提供される。いくつかのこのような実施形態において、方法は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量を投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、腫瘍生検である。別の実施形態において、生物学的試料は、PBMCである。更に別の実施形態において、生物学的試料は、循環腫瘍細胞である。
併用療法
本明細書で提供される化合物1の固体形態はまた、本明細書に記載されるがんの治療及び/または予防において有用な他の治療薬と混合して、または組み合わせて使用することができる。
一実施形態において、本明細書で提供される化合物1の固体形態を、1つ以上の第2の有効薬剤と組み合わせて、また任意選択により放射線療法、輸血または手術と組み合わせて、患者に投与することを含む、がんを治療、予防または管理する方法が本明細書で提供される。第2の有効薬剤の例は、本明細書で開示される。
本明細書で使用されるとき、「組み合わせ」という用語は、2つ以上の治療法(例えば、1つ以上の予防薬及び/または治療薬)の使用を含む。しかしながら、「組み合わせ」という用語の使用は、疾患または障害を有する患者に対して治療法(例えば、予防薬及び/または治療薬)を実施する順番を制限するものではない。第1の治療法(例えば、本明細書で提供される化合物1の固体形態などの予防薬または治療薬は、第2の治療法(例えば、予防薬または治療薬)の実施の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間前)、それと同時、またはその後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間後)に患者に対して行うことができる。三種併用療法もまた本明細書にて企図される。
本明細書で提供される化合物1の固体形態及び1つ以上の第2の有効薬剤の患者への投与は、同一または異なる投与経路によって、同時にまたは順次に行うことができる。特定の有効薬剤について採用される特定の投与経路の適合性は、有効薬剤自体(例えば、血流に入る前に分解することなく、経口投与できるかどうか)及び治療対象のがんに依存する。
本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与経路は、第2の治療法の投与経路に依存しない。したがって、これらの実施形態によれば、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、静脈内投与され、第2の治療法は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、経直腸、口腔内、鼻腔内、リポソーム、吸入、経膣、眼内、カテーテルもしくはステントによる局所送達、皮下、脂肪内、関節内、髄腔内または持続放出性製剤を介して実施することができる。一実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態及び第2の治療法は、同一の投与方法、例えば、経口を介して投与される。別の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、ある1つの投与方法、例えば、経口により投与されるのに対し、第2の薬剤(抗がん剤)は、別の投与方法、例えば、IV投与される。
一実施形態において、第2の有効薬剤は、例えば、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、約50〜約200mg、約1〜約100mg、約1〜約200mg、約1〜約300mg、約1〜約400mg、または約1〜約500mgの量で、1日1回または2回、経口、静脈内または皮下投与される。第2の有効薬剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療または管理される疾患の種類、疾患の重症度及び病期、ならびに本明細書に記載される本明細書に記載の化合物1の固体形態及び患者に同時に投与される任意選択の追加の有効薬剤の量に依存する。
1つ以上の第2の有効成分または薬剤は、本明細書で提供される方法及び組成物における本明細書に記載される化合物1の固体形態と一緒に使用することができる。第2の有効薬剤は、大分子(例えば、タンパク質)または小分子(例えば、合成の無機分子、有機金属分子または有機分子)であってよい。
大分子有効薬剤の例には、造血成長因子、サイトカインならびにモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体、特に、がん抗原に対する治療用抗体が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な大分子有効薬剤は、天然タンパク質または合成タンパク質または組み換えタンパク質などの生物学的分子である。本明細書で提供される方法及び組成物に特に有用であるタンパク質には、造血前駆細胞 リンパ球新生細胞の生存及び/または増殖をin vitroまたはin vivoで刺激するタンパク質が含まれる。他の有用なタンパク質は、細胞のなかで造血系にコミットされた前駆細胞の分裂及び分化をin vitroまたはin vivoで刺激する。具体的なタンパク質には、IL−2(組み換えIL−2(「rIL2」)及びカナリポックスIL−2を含む)、IL−10、IL−12及びIL−18などのインターロイキン;インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンα−n1、インターフェロンα−n3、インターフェロンβ−Ia及びインターフェロンγ−Ibなどのインターフェロン;GM−CF及びGM−CSF;ならびにEPOが挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、GM−CSF、G−CSF、SCFまたはEPOは、4週または6週のサイクルで約5日間、約1〜約750mg/m2/日、約25〜約500mg/m2/日、約50〜約250mg/m2/日または約50〜約200mg/m2/日の範囲の量で、皮下投与される。ある特定の実施形態において、GM−CSFは、約60〜約500mcg/m2の量で静脈内に2時間かけて投与してもよいし、約5〜約12mcg/m2/日を皮下投与してもよい。ある特定の実施形態において、G−CSFは、最初に約1mcg/kg/日の量で皮下投与され得、顆粒球の総数の上昇に応じて調整され得る。G−CSFの維持投与量については、約300(低年齢の患者)または480mcgの量が皮下投与され得る。ある特定の実施形態において、EPOは、週3回、10,000単位の量で皮下投与され得る。
方法及び組成物で使用することができる特定のタンパク質には、フィルグラスチム、サルグラモスチム及び組み換えEPOが挙げられるが、これらに限定されない。
組み換え型及び変異型のGM−CSFは、米国特許第5,391,485号、同第5,393,870号及び同第5,229,496号の記載に従って調製することができ、当該特許の全てを参照により本明細書に援用する。組み換え型及び変異型のG−CSFは、米国特許第4,810,643号、同第4,999,291号、同第5,528,823号及び同第5,580,755号の記載に従って調製することができ、当該特許の全体を参照により本明細書に援用する。
また、本明細書に記載される化合物1の固体形態と組み合わせて使用するための未変性タンパク質、天然タンパク質及び組み換えタンパク質も記載される。更に、天然タンパク質の変異体及び誘導体(例えば、修飾型)であって、その元となるタンパク質の薬理活性のうちの少なくともいくつかをインビボで示すものも包含される。変異体の例には、タンパク質であって、そのタンパク質の天然型に対応する残基とは異なる1つ以上のアミノ酸残基を有するタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。また、「変異体」という用語には、その天然型には通常存在する炭水化物部分が欠けているタンパク質(例えば、非グリコシル化型)も包含される。誘導体の例には、PEG化誘導体及び融合タンパク質(IgG1またはIgG3を目的のタンパク質またはそのタンパク質の活性部分に融合させることによって形成されるタンパク質など)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Penichet,M.L.and Morrison,S.L.,J.Immunol.Methods 248:91−101(2001)を参照されたい。
本明細書に記載される化合物1の固体形態と組み合わせて使用することができる抗体には、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体が含まれる。抗体の例には、トラスツズマブ、リツキシマブ、ベバシズマブ、ペルツズマブ、トシツモマブ、エドレコロマブ及びG250が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される化合物1の固体形態はまた、抗TNF−α抗体及び/または抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブまたはパニツムマブなど)と混合して、または組み合わせて使用することができる。
本明細書に記載される化合物1の固体形態と組み合わせて使用することができる抗体には、抗CTLA4、抗PD1、抗PD−L1、抗Tim−3、抗Lag−3抗体などの免疫チェックポイント阻害薬が含まれる。いくつかのこのような実施形態において、PD−1またはPD−L1抗体は、例えば、アベルマブ、デュルバルマブ、MEDI0680、アテゾリズマブ、BMS−936559、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブまたはPDR−001である。このような一実施形態において、抗Lag−3抗体は、BMS−986016である。
本明細書に記載される化合物1の固体形態と組み合わせて使用することができる更なる抗体には、抗RSPO抗体が含まれる。
大分子有効薬剤は、抗がんワクチンの形態で投与することができる。例えば、IL−2、G−CSF及びGM−CSFなどのサイトカインを分泌するか、これらの分泌を引き起こすワクチンを、提供される方法及び医薬組成物にて使用することができる。例えば、Emens,L.A.,et al.,Curr.Opinion Mol.Ther.3(1):77−84(2001)を参照されたい。
小分子である第2の有効薬剤は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与に伴う有害作用を軽減するために使用することもできる。しかしながら、一部の大分子と同様に、その多くは、本明細書に記載される化合物1の固体形態とともに(例えば、前、後または同時に)投与すると、相加作用または相乗作用を得ることができると考えられている。小分子の第2の有効薬剤の例には、抗がん剤、抗生物質、免疫抑制剤及びステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、第2の薬剤は、BRAF阻害薬、HSP阻害薬、プロテアソーム阻害薬、FLT3阻害薬、MEK阻害薬、PI3K阻害薬、EGFR阻害薬、免疫調節化合物またはTORキナーゼ阻害薬である。いくつかのこのような実施形態において、BRAF阻害薬は、ソラフェニブ、ダブラフェニブ、エンコラフェニブまたはベムラフェニブである。いくつかのこのような実施形態において、HSP阻害薬は、ゲルダナマイシン、ガミトリニブ、ルミネスピブまたはラディシコールである。いくつかの実施形態において、プロテアソーム阻害薬は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、ジスルフィラム、オプロゾミブ、デランゾミブまたはイキサゾミブである。他の実施形態において、FLT3阻害薬は、キザルチニブ、ミドスタウリン、ソラフェニブ、スニチニブまたはレスタウルチニブである。いくつかのこのような実施形態において、MEK阻害薬は、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD−325901、CI−1040(PD184352)またはTAK−733である。いくつかの他の実施形態において、PI3K阻害薬は、AT7867、AZD8055、BX−912、シルミタセルチブ、ピクチリシブ、MK−2206またはピララリシブである。別の実施形態において、EGFR阻害薬は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ(TAGRISSO)、ロシレチニブまたはラパチニブである。いくつかの他の実施形態において、TORキナーゼ阻害薬は、CC−115、CC−223、OSI−027、AZD8055、サパニセルチブ、ダクトリシブ、BGT226、ボクスタリシブ(SAR−245409)、アピトリシブ、オミパリシブ(GSK−2126458)、PF−04691502、ジェダトリシブまたはPP242である。いくつかの実施形態において、免疫調節化合物は、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、CC−220またはCC−122である。
本明細書に記載される方法または組成物に使用される更なる抗がん剤の例には、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩;メシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;ブレオマイシン硫酸塩;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼレシン;セデフィンゴール;セレコキシブ(COX2阻害薬);クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クロファラビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;アラビノキシルシトシン;ダカルバジン;ダブラフェニブ;ダクチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;ドロロキシフェンクエン酸塩;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール;エソルビシン塩酸塩;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;フルダラビンリン酸エステル;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシウレア;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモホシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;ランレオチド酢酸塩;レトロゾール;リュープロレリン酢酸塩;リアロゾール塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン塩酸塩;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オマセタキシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標));ペグアスパラガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;ペプロマイシン硫酸塩;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロン塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;ピューロマイシン;ピューロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスチン;シムトラゼン;ソラフェニブ;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム塩酸塩;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;ドセタキセル;テガフール;テロキサントロン塩酸塩;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トレミフェンクエン酸塩;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;ツブロゾール塩酸塩;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベムラフェニブ;ベルテポルフィン;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビンデシン;ビンデシン硫酸塩;ビネピジン硫酸塩;ビングリシナート硫酸塩;硫酸ビンロイロシン;ビノレルビン酒石酸塩;ビンロシジン硫酸塩;ビンゾリジン硫酸塩;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及びゾルビシン塩酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
方法または組成物に含まれる他の抗がん薬には、20−epi−1,25−ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TK拮抗薬;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害薬;拮抗薬D;拮抗薬G;アンタレリックス;抗背側形態形成タンパク質1;抗アンドロゲン薬、前立腺癌;抗エストロゲン薬;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシン酸塩;アポトーシス遺伝子調節薬;アポトーシス制御薬;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABL拮抗薬;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;βアレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害薬;ビカルタミド;ビスアントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシイミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;軟骨組織由来阻害薬;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害薬(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クランベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリズマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジコン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール、9−;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲン作動薬;エストロゲン拮抗薬;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルニシン塩酸塩;ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害薬;ゲムシタビン;グルタチオン阻害薬;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニブ;イミキモド;免疫促進ペプチド;インスリン様成長因子1受容体阻害薬;インターフェロン作動薬;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;レンチナン硫酸塩;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻止因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメテレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;細胞溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害薬;マトリックスメタロプロテナーゼ阻害薬;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニン分解酵素;メトクロプラミド;MIF阻害薬;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;セツキシマブ、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+マイコバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗がん薬;マイカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節薬;窒素酸化物抗酸化剤;ニトルリン;オブリメルセン;O6ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;口腔サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標));パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパラガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害薬;ピシバニール;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害薬;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリジン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害薬;プロテインAベースの免疫調節薬;プロテインキナーゼC阻害薬、ミクロアルガル;プロテインチロシンホスファターゼ阻害薬;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害薬;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン複合体;raf拮抗薬;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害薬;ras阻害薬;ras−GAP阻害薬;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロン酸塩;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;サルムスチン;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1模倣物質;セムスチン;老化細胞由来阻害物質1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害薬;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテイトナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメリシン阻害薬;スルフィノシン;超活性血管活性腸管ペプチド拮抗薬;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害薬;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣物質;サイマルファシン;チモポエチン受容体作動薬;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリンスズ;チラパザミン;チタノセンビクロリド;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害薬;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害薬;チロホスチン;UBC阻害薬;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体拮抗薬;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;バイタクシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマーが挙げられるが、これらに限定されない。
方法または組成物に特に有用である具体的な第2の有効薬剤には、リツキシマブ、オブリメルセン、インフリキシマブ、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン、ステロイド、ゲムシタビン、シスプラチナム、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、カルムスチン、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキサート、ゲフィチニブ、パクリタキセル、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、カペシタビン、インターフェロンα、PEG化インターフェロンα、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソーム化ダウノルビシン、シタラビン、ビンブラスチン、IL−2、GM−CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、クラリスロマイシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ガンシクロビル、リン酸エストラムスチンナトリウム、クリノリル及びエトポシドが挙げられるが、これらに限定されない。
方法または組成物に特に有用である他の具体的な第2の有効薬剤には、ソラフェニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD−325901、CI−1040(PD184352)、TAK−733、AT7867、AZD8055、BX−912、シルミタセルチブ、ピクチリシブ、MK−2206、ピララリシブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、オシメルチニブ、CC−115、CC−223、OSI−027、AZD8055、サパニセルチブ、ダクトリシブ、BGT226、ボクスタリシブ、アピトリシブ、オミパリシブ、PF−04691502、ジェダトリシブ、PP242、レナリドミド、ポマリドミドまたはCC−122が挙げられるが、これらに限定されない。
方法または組成物に特に有用である他の具体的な第2の有効薬剤には、アベルマブ、デュルバルマブ、MEDI0680、アテゾリズマブ、BMS−936559、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、PDR−001、ソラフェニブ、セツキシマブ、パナツムマブ、エルロチニブ、トラメチニブ、トラスツズマブ、CC−223、CC−122またはラパチニブが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で提供される方法のある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態と組み合わせた第2の有効薬剤の使用は、本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与中または投与直後に、当業者の判断に応じて適宜変更されてもよいし、遅らせてもよい。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与を単独で、または他の治療法と組み合わせて受ける対象は、必要に応じて、制吐薬、骨髄増殖因子及び血液製剤の輸血などの支持療法を受けてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与を受ける対象は、当業者の判断により、第2の有効薬剤として、増殖因子が投与され得る。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、ゲムシタビン、シスプラチナム、5−フルオロウラシル、マイトマイシン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、カルボプラチン、チオテパ、パクリタキセル、懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標))またはドセタキセルとともに、局所進行性または転移性尿路上皮癌の患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、以下のような第2の有効成分とともに投与される。再発性もしくは進行性脳腫瘍または再発神経芽細胞腫の小児患者にテモゾロミド;再発性または進行性CNS癌にセレコキシブ、エトポシド及びシクロホスファミド;再発性もしくは進行性髄膜腫、悪性髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、再発性脳腫瘍または初発多形性膠芽腫の患者にテモゾロミド;再発性膠芽腫の患者にイリノテカン;脳幹神経膠腫の小児患者にカルボプラチン;進行性悪性神経膠腫の小児患者にプロカルバジン;予後不良の悪性脳腫瘍、初発または再発性多形性膠芽腫の患者にシクロホスファミド;高悪性度の再発性悪性神経膠腫にカルムスチン;退形成性星細胞腫にテモゾロミド及びタモキシフェン;あるいは神経膠腫、膠芽腫、退形成性星細胞腫または退形成性乏突起膠腫にトポテカン。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、メトトレキサート、シクロホスファミド、5−フルオロウラシル、エベロリムス、パクリタキセル、懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標))、ラパチニブ、トラスツズマブ、パミドロン酸二ナトリウム、エリブリンメシル酸塩、エベロリムス、ゲムシタビン、パルボシクリブ、イクサベピロン、アドトラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、チオテパ、アロマターゼ阻害薬、エキセメスタン、選択的エストロゲン調節薬、エストロゲン受容体拮抗薬、アントラサイクリン、エムタンシン及び/またはペキシダルチニブとともに、転移性乳癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、テモゾロミド、ドキソルビシン、エベロリムス、フルオロウラシル、5−フルオロウラシルまたはストレプトゾシンとともに、神経内分泌腫瘍患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、メトトレキサート、ゲムシタビン、シスプラチン、セツキシマブ、5−フルオロウラシル、ブレオマイシン、ドセタキセルまたはカルボプラチンとともに、再発性または転移性頭部癌または頸部癌の患者に投与される。一実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、セツキシマブとともに、頭部癌または頸部癌の患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、ゲムシタビン、パクリタキセル、懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標))、5−フルオロウラシル、エベロリムス、イリノテカン、マイトマイシンC、スニチニブまたはエルロチニブとともに、膵癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、結腸癌患者に、ゲトフィチニブ、エルロチニブ、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、イリノテカン、カペシタビン、セツキシマブ、ラムシルマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ、ロイコボリンカルシウム、LONSURF、レゴラフェニブ、ziv−アフリベルセプト、トラメチニブ、パクリタキセル、懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標))及び/またはドセタキセルと組み合わせて投与される。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、結腸癌患者に、ベバシズマブ、塩酸イリノテカン、カペシタビン、セツキシマブ、ラムシルマブ、オキサリプラチン、セツキシマブ、フルオロウラシル、ロイコボリンカルシウム、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩、パニツムマブ、レゴラフェニブまたはziv−アフリベルセプトと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、結腸癌患者に、EGFR阻害薬(例えば、セツキシマブまたはエルロチニブ)及び/またはBRAF阻害薬(例えば、ソラフェニブ、ダブラフェニブまたはベムラフェニブ)と組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、カペシタビン、セツキシマブ、エルロチニブ、トラメチニブ及び/またはベムラフェニブとともに、難治性大腸癌患者、または結腸腺癌もしくは直腸腺癌で第一選択療法が奏効しなかったか、状態が不良である患者に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、難治性大腸癌患者、または結腸腺癌もしくは直腸腺癌で第一選択療法が奏効しなかったか、状態が不良である患者に、EGFR阻害薬(例えば、セツキシマブまたはエルロチニブ)及びBRAF阻害薬(例えば、ソラフェニブ、ダブラフェニブまたはベムラフェニブ)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、難治性大腸癌患者、または結腸腺癌もしくは直腸腺癌で第一選択療法が奏効しなかったか、状態が不良である患者に、抗RSPO抗体と組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、フルオロウラシル、ロイコボリン、トラメチニブ及び/またはイリノテカンと組み合わせて、ステージIIIa〜IVの大腸癌患者、または転移性大腸癌の治療を以前受けたことがある患者に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、ステージIIIa〜IVの大腸癌患者、または転移性大腸癌の治療を以前受けたことがある患者に、EGFR阻害薬(例えば、セツキシマブまたはエルロチニブ)及びBRAF阻害薬(例えば、ソラフェニブ、ダブラフェニブまたはベムラフェニブ)と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、難治性大腸癌患者に、カペシタビン、ゼローダ、トラメチニブ、オキサリプラチン及び/またはイリノテカンと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、難治性大腸癌患者に、EGFR阻害薬(例えば、セツキシマブまたはエルロチニブ)及びBRAF阻害薬(例えば、ソラフェニブ、ダブラフェニブまたはベムラフェニブ)と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、カペシタビン、トラメチニブ及び/またはイリノテカンとともに、難治性大腸癌患者、または切除不能もしくは転移性大腸癌の患者に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、難治性大腸癌患者、または切除不能もしくは転移性大腸癌の患者に、EGFR阻害薬(例えば、セツキシマブまたはエルロチニブ)及びBRAF阻害薬(例えば、ソラフェニブ、ダブラフェニブまたはベムラフェニブ)と組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、単独で、またはインターフェロンα、5−フルオロウラシル/ロイコボリンもしくはカペシタビンと組み合わせて、切除不能または転移性肝細胞癌の患者に投与され、あるいは、単独で、またはシスプラチン及びチオテパもしくはソラフェニブと組み合わせて、原発性または転移性肝癌の患者に投与される。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、単独で、またはソラフェニブ、スニチニブ、エルロチニブ及び/またはシロリムスと組み合わせて、切除不能または転移性肝細胞癌の患者に、あるいは、単独で、またはソラフェニブ、スニチニブ、エルロチニブ及び/またはラパマイシンと組み合わせて、原発性または転移性肝癌の患者に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、原発性、切除不能または転移性肝癌の患者に、免疫チェックポイント阻害薬(例えば、抗CTLA4、抗PD1、抗PD−L1、抗Tim−3または抗Lag−3抗体)またはBRAF阻害薬(例えば、ソラフェニブ、ダブラフェニブまたはベムラフェニブ)と組み合わせて投与される。いくつかのこのような実施形態において、抗PD−1抗体または抗PD−L1抗体は、アベルマブ、デュルバルマブ、MEDI0680、アテゾリズマブ、BMS−936559、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブまたはPDR−001である。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、単独で、またはレナリドミド、ポマリドミドもしくはCC−122組み合わせて、原発性、切除不能または転移性肝細胞癌の患者に投与される。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、単独で、またはCC−223と組み合わせて、原発性、切除不能または転移性肝細胞癌の患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、シスプラチン/5−フルオロウラシル、ラムシルマブ、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩、フルオロウラシル注射薬、トラスツズマブ及び/またはマイトマイシンCと組み合わせて、胃癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、免疫チェックポイント阻害薬(例えば、抗CTLA4、抗PD1、抗PD−L1、抗Tim−3または抗Lag−3抗体)及び/またはBRAF阻害薬(例えば、ソラフェニブ、ダブラフェニブまたはベムラフェニブ)と組み合わせて、様々な種類または病期の黒色腫患者に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、アルデスロイキン、コビメチニブ、ダブラフェニブ、ダカルバジン、IL−2、タリモジーン・ラハーパレプベック、組み換えインターフェロンα−2b、イピリムマブ、ペンブロリズマブ、ラパチニブ、トラメチニブ、ニボルマブ、ペグインターフェロンα−2b、アルデスロイキン、ダブラフェニブ及び/またはベムラフェニブと組み合わせて、様々な種類または病期の黒色腫患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、ドキソルビシン、パクリタキセル、懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標))、ビンブラスチンまたはPEG化インターフェロンαと組み合わせて、カポジ肉腫患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、メトトレキサート、塩酸メクロレタミン、アファチニブマレイン酸塩、ペメトレキセド、ベバシズマブ、カルボプラチン、シスプラチン、セリチニブ、クリゾチニブ、ラムシルマブ、ペンブロリズマブ、ドセタキセル、ビノレルビン酒石酸塩、ゲムシタビン、パクリタキセル、懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(アブラキサン(登録商標))、エルロチニブ、ゲフィチニブ及び/またはイリノテカンと組み合わせて、非小細胞肺癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、カルボプラチン及びイリノテカンと組み合わせて、非小細胞肺癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、ドセタキセルとともに、カルボプラチン/エトポシド及び放射線治療による治療を以前受けたことがある非小細胞肺癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される本明細書に記載の化合物1の固体形態は、カルボプラチン及び/またはドセタキセルと組み合わせて、あるいはカルボプラチン、パクリタキセル、懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標))及び/または胸部放射線治療と組み合わせて、非小細胞肺癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、ドセタキセルと組み合わせて、ステージIIIBまたはIVの非小細胞肺癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、オブリメルセン、メトトレキサート、塩酸メクロレタミン、エトポシド、トポテカンまたはドキソルビシンと組み合わせて、小細胞肺癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態及びドキセタキソールは、カルボ/VP16及び放射線治療による治療を以前受けたことがある小細胞肺癌患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、腹膜癌、漿液性乳頭状癌、難治性卵巣癌または再発性卵巣癌などの様々な種類または病期の卵巣癌患者に、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、シスプラチン、カペシタビン、パクリタキセル、懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標))、デキサメタゾン、アバスチン、シクロホスファミド、トポテカン、オラパリブ、チオテパまたはこれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、様々な種類または病期の前立腺癌患者に、カペシタビン、5−フルオロウラシル+ロイコボリン、ゲムシタビン、イリノテカン+ゲムシタビン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、GM−CSF、セレコキシブ、ガンシクロビル、パクリタキセル、懸濁注射用パクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)(ABRAXANE(登録商標))、ドセタキセル、エストラムスチン、デンデロン、アビラテロン、ビカルタミド、カバジタキセル、デガレリクス、エンザルタミド、ゴセレリン、リュープロレリン酢酸塩、ミトキサントロン塩酸塩、プレドニゾン、シプリューセル−T、塩化ラジウム223またはこれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、様々な種類または病期の腎細胞癌患者に、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL−2、GM−CSF、セレコキシブまたはこれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、様々な種類または病期の婦人科癌、子宮癌または軟部組織肉腫癌の患者に、IFN、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、イマチニブメシル酸塩、パゾパニブ、塩酸塩、トラベクテジン、COX−2阻害薬(セレコキシブ及び/またはスリンダクなど)と組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、様々な種類または病期の固形腫瘍患者に、セレコキシブ、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、アペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL−2、GM−CSFまたはこれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、単独で、またはビノレルビンと組み合わせて、悪性中皮腫、または胸膜インプラントもしくは悪性中皮腫症候群を有するステージIIIBの非小細胞肺癌の患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、Aナビトクラックス、ベネトクラックス及び/またはオバトクラックスと組み合わせて、リンパ腫及び他の血液癌の患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、三酸化ヒ素、フルダラビン、カルボプラチン、ダウノルビシン、シクロホスファミド、シタラビン、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン塩酸塩、チオグアニン、ビンクリスチン及び/またはトポテカンと組み合わせて、難治性または再発性またはハイリスク急性骨髄性白血病を含む急性骨髄性白血病患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、リポソーム化ダウノルビシン、トポテカン及び/またはシタラビンと組み合わせて、好ましくない核型の急性骨髄芽球性白血病の患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、単独で、またはビンブラスチンもしくはフルダラビン、クロラムブシル、ブレオマイシン、ブレンツキシマブベドチン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ダカルバジン、ドキソルビシン、ロムスチン、塩酸メクロレタミン、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩もしくはビンクリスチンなどの第2の有効成分と組み合わせて、様々な種類のリンパ腫、例えば、限定するものではないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫または再発性もしくは難治性低悪性度濾胞性リンパ腫の患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、デキサメタゾン、ゾレドロン酸、パミトロネート、GM−CSF、クラリスロマイシン、ビンブラスチン、メルファラン、ブスルファン、シクロホスファミド、IFN、プレドニゾン、ビスホスホネート、セレコキシブ、三酸化ヒ素、ペグインターフェロンα−2b、ビンクリスチン、カルムスチン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、ドキソルビシン、パノビノスタット、レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド、プレリキサフォルまたはこれらの組み合わせと組み合わせて、様々な種類または病期の多発性骨髄腫患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、様々な種類または病期の多発性骨髄腫患者に、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞と組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、再発性または難治性多発性骨髄腫の患者に、ドキソルビシン、ビンクリスチン及び/またはデキサメタゾンと組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、強皮症または皮膚血管炎の患者に、セレコキシブ、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL−2、GM−CSFまたはこれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
本発明にはまた、患者に安全かつ効果的に投与することができる抗がん薬物または抗がん剤の用量を増やす方法であって、本明細書に記載される化合物1の固体形態を患者(例えば、ヒト)に投与することを含む、方法も包含される。この方法から利益を得られる患者は、皮膚、皮下組織、リンパ節、脳、肺、肝臓、骨、腸、結腸、心臓、膵臓、副腎、腎臓、前立腺、乳房、結腸直腸またはこれらの組み合わせの特定のがんを治療するための抗がん薬に伴う有害作用を受けるおそれのある患者である。本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与は、それなしでは抗がん薬の量を制限しなければならないほど重いものである有害作用を緩和または軽減する。
一実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、抗がん薬の投与に伴う有害作用が現れる前、その間、またはその後に、約0.1〜約150mg、約1〜約100mg、約2〜約50mg、または約1〜約10mgの範囲の量で、毎日、患者に投与される。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、ヘパリン、アスピリン、クマジン、抗第Xa因子またはG−CSFなどの特定の薬剤と組み合わせて、抗がん薬に伴う有害作用、例えば、限定するものではないが、血栓塞栓症、好中球減少症または血小板減少症などを回避するために投与される。
一実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、好ましくない血管新生に関係するか、これを特徴とする疾患及び障害を有する患者に、更なる有効成分、例えば、限定するものではないが、抗がん薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗生物質及びステロイドなどと組み合わせて、投与される。
別の実施形態において、本発明は、がんを治療、予防及び/または管理する方法であって、従来の治療法、例えば、限定するものではないが、現在、がんの治療、予防または管理に使用されている手術、免疫療法、生物学的療法、放射線療法または薬物によらない他の治療法とともに(例えば、その前、その間、またはその後に)、本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することを含む、方法を包含する。本明細書で提供される化合物と従来の治療法との併用により、特定の患者に予想外に有効である特有の治療レジメンが提供され得る。理論に制限されるものではないが、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、従来の治療法と同時に投与された場合、相加作用または相乗作用を得ることができると考えられる。
本明細書で別途記載されるように、本発明は、限定するものではないが、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法及び免疫療法を含む、従来の治療法に伴う有害作用または好ましくない作用を軽減、治療及び/または予防する方法を包含する。本明細書で提供される化合物1の固体形態及び他の有効成分は、従来の治療法に伴う有害反応が現れる前、その間、またはその後に患者に投与することができる。
サイクル療法
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される予防薬または治療薬は、患者に周期的に投与される。サイクル療法は、一定期間にわたる有効薬剤の投与と、それに続く一定期間の休薬を伴い、この順次投与を繰り返すものである。サイクル療法により、複数の治療法の1つ以上に対する耐性の発現が低減し、複数の治療法のうちの1つの副作用が回避もしくは軽減し、及び/または治療の有効性が改善し得る。
したがって、ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物1の固体形態は、約1週間または2週間の休止期間を伴う4〜6週間のサイクルで、単回用量または分割用量で、毎日投与される。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物1の固体形態は、28日サイクルのうち連続1〜10日間、単回用量または分割用量で、毎日投与され、次いで、28日サイクルの残りを投与のない休薬期間とする。サイクル方法により、投薬サイクルの頻度、数及び長さを増やすことが更に可能となる。したがって、本発明は、ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物1の固体形態を、単独で投与される場合の典型的なサイクル数よりも多いサイクル数で投与することを包含する。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物1の固体形態は、第2の有効成分が投与されていない患者において、通常であれば用量制限毒性を引き起こすであろうサイクル数よりも多いサイクル数で投与される。
一実施形態において、本明細書で提供される化合物1の固体形態は、約0.1〜約150mg/日の用量で3週間または4週間連続して毎日投与され、その後、1週間または2週間中断される。
別の実施形態において、4〜6週間のサイクル中、本明細書で提供される化合物1の固体形態は、静脈内投与され、第2の有効成分は、経口投与され、ここで、本明細書に記載される化合物1の固体形態の投与は、第2の有効成分の30〜60分前に実施される。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物1の固体形態と第2の有効成分の組み合わせは、1サイクルごと約90分間にわたる静脈内注入によって投与される。ある特定の実施形態において、1サイクルは、約0.1〜約150mg/日の本明細書で提供される化合物1の固体形態及び約50〜約200mg/m2/日の第2の有効成分の3〜4週間にわたる毎日の投与と、次いで、1週間または2週間の休薬とを含む。ある特定の実施形態において、組み合わせ治療が患者に行われる間のサイクル数は、約1〜約24サイクル、約2〜約16サイクルまたは約4〜約3サイクルの範囲である。
医薬組成物及び投与経路
本明細書に記載される化合物1の固体形態は、カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、丸剤、坐剤、注射剤、懸濁剤、シロップ剤、貼付剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、スプレー剤、液剤及び乳剤などの従来の製剤形態で、経口、局所または非経口により対象に投与することができる。好適な製剤は、賦形剤(例えば、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロースまたはデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウムまたはクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルクまたはラウリル硫酸ナトリウム)、矯味剤(例えば、クエン酸、メントール、グリシンまたはオレンジ粉末)、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベン)、安定剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム)、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)及びワックス基剤(例えば、カカオ脂、白色ワセリンまたはポリエチレングリコール)などの従来の有機または無機添加剤を使用して、一般的に採用される方法によって調製することができる。医薬組成物中の本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量は、所望の効果を発揮する量、例えば、経口及び非経口の両投与の単位投与量で、対象の体重1kg当たり約0.005mg〜対象の体重1kg当たり約10mgであり得る。
対象に投与される化合物1の固体形態の用量は、かなり大幅に変動し、医療関係者の判断に依存し得る。一般に、化合物1の固体形態は、対象の体重1kg当たり約0.005mg〜対象の体重1kg当たり約10mgの用量で対象に1日1〜4回投与することができるが、当該投与量は、対象の年齢、体重及び健康状態ならびに投与形態に応じて適宜変更され得る。一実施形態において、用量は、対象の体重1kg当たり約0.01mg〜対象の体重1kg当たり約10mg、対象の体重1kg当たり約0.1mg〜対象の体重1kg当たり約10mg、対象の体重1kg当たり約1mg〜対象の体重1kg当たり約10mg、または対象の体重1kg当たり約1mg〜対象の体重1kg当たり約5mgである。一実施形態において、1日1回投与される。任意の特定の場合において、化合物1の固体形態の投与量は、有効成分の溶解性、使用される製剤及び投与経路などの要因に依存する。一実施形態において、局所濃縮物の適用は、約0.01〜10Mの細胞内曝露または濃度をもたらす。
別の実施形態において、疾患または障害の治療または予防のための方法であって、それを必要とする対象に、約1mg/日〜約1000mg/日、約1mg/日〜約750mg/日、約1mg/日〜約500mg/日、約1mg/日〜約250mg/日または約100mg/日〜約1000mg/日の本明細書に記載される化合物1の固体形態を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
別の実施形態において、約1mg〜1000mg、約5mg〜約1000mg、約10mg〜約1000mg、約25mg〜約1000mg、約50mg〜約1000mg、約100mg〜約1000mg、または約250mg〜約1000mgの本明細書に記載される化合物1の固体形態を含む単位製剤が本明細書で提供される。
本明細書に記載される化合物1の固体形態は、1日1回、2回、3回、4回以上投与することができる。特定の一実施形態において、600mg以下の用量が1日1回の用量として投与され、600mg超の用量が1日2回、1日の総用量の半分に等しい用量で投与される。
別の実施形態において、約1mg〜200mg、約35mg〜約1400mg、約125mg〜約1000mg、約250mg〜約1000mg、または約500mg〜約1000mgの本明細書に記載される化合物1の固体形態を含む単位製剤が本明細書で提供される。
特定の一実施形態において、約100mgまたは400mgの本明細書に記載される化合物1の固体形態を含む単位製剤が本明細書で提供される。
別の実施形態において、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、35mg、50mg、70mg、100mg、125mg、140mg、175mg、200mg、250mg、280mg、350mg、500mg、560mg、700mg、750mg、1000mgまたは1400mgの本明細書に記載される化合物1の固体形態を含む単位製剤が本明細書で提供される。
本明細書に記載される化合物1の固体形態は、1日1回、2回、3回、4回以上投与することができる。特定の一実施形態において、600mg以下の用量が1日1回の用量として投与され、600mg超の用量が1日2回、1日の総用量の半分に等しい用量で投与される。
本明細書に記載される化合物1の固体形態は、便宜上の理由で、経口投与され得る。一実施形態において、経口投与される場合、化合物1の固体形態は、食事及び水とともに投与される。別の実施形態において、化合物1の固体形態は、水または果汁(例えば、リンゴ果汁またはオレンジ果汁)中に分散させ、懸濁剤として経口投与される。
本明細書に記載される化合物1の固体形態はまた、皮内、筋肉内、腹腔内、経皮(percutaneously)、静脈内、皮下、経鼻、硬膜外、舌下、脳内、膣内、経皮(transdermally)、経腸、経粘膜、吸入による投与、または耳、鼻、眼もしくは皮膚への局所的投与が可能である。投与方法は、医療関係者の裁量に委ねられ、病状の部位に部分的に依存し得る。
一実施形態において、更なる担体、賦形剤またはビヒクルを含まない、本明細書に記載される化合物1の固体形態を含有するカプセル剤が本明細書で提供される。
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態の有効量と、薬学的に許容される担体またはビヒクルとを含む組成物が本明細書で提供され、ここで、薬学的に許容される担体またはビヒクルは、賦形剤、希釈剤またはこれらの混合物を含み得る。一実施形態において、組成物は、医薬組成物である。
組成物は、錠剤、チュアブル剤、カプセル剤、液剤、非経口液剤、トローチ剤、坐剤及び懸濁剤などの形態であってよい。組成物は、単一の錠剤もしくはカプセル剤または簡便な体積の液体であり得る1用量単位に、1日用量または1日用量の簡便な分割量を含有するように製剤化することができる。一実施形態において、液剤は、塩酸塩などの水溶性塩から調製される。一般に、組成物の全ては、薬化学において知られている方法に従って調製される。カプセル剤は、本明細書に記載される化合物1の固体形態を好適な担体または希釈剤と混合し、適切な量の混合物をカプセルに充填することによって調製することができる。通常の担体及び希釈剤には、多くの異なる種類のデンプン、セルロース粉末(特に結晶及び微結晶セルロース)、糖(フルクトース、マンニトール及びスクロースなど)、穀粉及び類似の食用粉末などの不活性粉末物質が挙げられるが、これらに限定されない。
錠剤は、直接圧縮、湿式造粒または乾式造粒によって調製することができる。本明細書に記載される化合物1の固体形態の圧縮は、患者に投与される薬物の活性を低下させたり、変化させたりしないものである。このような製剤は、通常、化合物だけでなく、希釈剤、結合剤、滑沢剤及び崩壊剤を含む。典型的な希釈剤には、例えば、様々な種類のデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウムまたは硫酸カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩及び粉糖が挙げられる。セルロース誘導体粉末も有用である。典型的な錠剤結合剤は、デンプン、ゼラチン及び糖(ラクトース、フルクトース、グルコースなど)などの物質である。天然ゴム及び合成ゴムもまた便利であり、アラビアゴム、アルギン酸塩、メチルセルロース、ポリビニルピロリジンなどが挙げられる。ポリエチレングリコール、エチルセルロース及びワックスもまた結合剤として機能し得る。
ダイにおける錠剤と杵のスティッキングを防ぐために、滑沢剤が錠剤配合に必要である場合がある。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ならびに硬化植物油などの滑りやすい固体から選択することができる。錠剤崩壊剤は、濡れると膨潤して錠剤を分解し、化合物を放出する物質である。これらには、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン及びガムが挙げられる。より詳細には、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムと同様に、トウモロコシ及びジャガイモデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、カイメン末、カチオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプならびにカルボキシメチルセルロースを使用することができる。錠剤は、風味及びシーラントとしての糖でコーティングしてもよいし、錠剤の溶解特性を変更するフィルム形成保護剤でコーティングしてもよい。組成物はまた、例えば、製剤中にマンニトールなどの物質を使用することによって、チュアブル剤として製剤化することもできる。
本明細書に記載される化合物1の固体形態を坐剤として投与するのが望ましい場合、典型的な基剤を使用することができる。カカオ脂は、伝統的な坐剤基剤であり、ワックスを添加することで、その融点が微増するように変更することができる。特に、様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水溶性坐剤基剤が広く使用されている。
本明細書に記載される化合物1の固体形態の作用は、適切な製剤によって、遅延または延長することができる。例えば、本明細書に記載される化合物1の固体形態を徐々に溶解するペレットとして調製し、これを錠剤もしくはカプセル剤に、または徐放性埋込型デバイスとして組み込むことができる。当該技術はまた、いくつかの異なる溶解速度を有するペレットを作製することと、ペレットの混合物をカプセルに充填することとを含む。錠剤またはカプセル剤は、予測可能な期間にわたって溶解を阻止するフィルムでコーティングされてもよい。非経口製剤でさえも、本明細書に記載される化合物1の固体形態を血清中にゆっくり分散させることが可能な油性または乳化ビヒクル中に、本明細書に記載される化合物1の固体形態を溶解または懸濁させることによって、長時間作用させることができる。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Aを含む、形態Aを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な出発物質のHCl塩形態を含む、HCl塩の形態1を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋なHCl塩の形態1を含む、HCl塩の形態1を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Bを含む、形態Bを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋なHCl塩の形態2を含む、HCl塩の形態2を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Cを含む、形態Cを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋なHCl塩の形態3を含む、HCl塩の形態3を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Dを含む、形態Dを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋なHCl塩の形態4を含む、HCl塩の形態4を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Eを含む、形態Eを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋なHCl塩の形態5を含む、HCl塩の形態5を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Fを含む、形態Fを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋なHCl塩の形態6を含む、HCl塩の形態6を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Gを含む、形態Gを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋なHCl塩の形態7を含む、HCl塩の形態7を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Hを含む、形態Hを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋なHCl塩の形態8を含む、HCl塩の形態8を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Iを含む、形態Iを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Yを含む、形態Yを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な形態Zを含む、形態Zを含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、実質的に純粋な非晶質固体を含む、非晶質固体、例えば、遊離塩基、HCl塩、クエン酸塩または本明細書に記載される他の塩を含む。
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、本明細書に記載される形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態G、形態H、形態I、形態Y、形態Z、HCl塩の形態1、HCl塩の形態2、HCl塩の形態3、HCl塩の形態4、HCl塩の形態5、HCl塩の形態6、HCl塩の形態7、HCl塩の形態8または非晶質固体を含む、化合物1の1つ以上の固体形態(複数可)の混合物を含み、化合物1の固体形態の考えられるあらゆる組み合わせが可能である。
以下の実施例は、限定ではなく、例示として示すものである。以下の略語を説明及び実施例で使用する。
合成例
以下の非限定的な合成例は、化合物1の調製方法を示す。ACD/NAME(Advanced Chemistry Development,Inc.(Ontario,Canada))及び/またはChemdraw(Cambridgesoft,Perkin Elmer(Waltham,MA))を使用して化学構造の名称を生成し、Chemdrawを使用して化学構造を描画した。
一実施形態において、化合物1は、米国特許第9,512,124号(その全体を参照により本明細書に援用する)の実施例53に記載されるように合成される。
化合物1の塩のスクリーニング及び選択
少量アプローチを使用して、化合物1の塩形態のスクリーニングを実施した。化合物1のpKaは、5.14である。塩形成のために、種々の溶媒とともに、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、マレイン酸、ベンエンスルホン酸、メタンスルオン酸、トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸を含む、いくつかの対イオンを選択した。
遊離塩基の化合物1は、水和物の物質(一水和物)である。分解前のTGA重量減少は、2.9%の重量減少に相当し、DSCは、脱水に起因する低温度でのブロードな吸熱ピークと、次いで182℃での融解ピークの2つの吸熱ピークを示した。結晶形は、いずれのスラリーを水中に入れても変化しなかった。遊離塩基は、溶液(pH1.2〜7.5)中、40℃で安定である。また、固体状態では、ストレス条件下で最大7週間の化学的及び物理的安定性を有する。乾燥条件下では、水和物形態は、部分水和物または半水和物に変化した。塩形態は、固体状態の特性及びpH依存性の溶解度を改善するようである。一水和物の結晶形は、乾燥(5%RH未満)または高温(60℃超)に維持しない限りは変化しなかった。一水和物の遊離塩基は、わずかに吸湿性である。
X線回折計(SmartLab、Rigaku)を使用して固体試料を調べた。検出器は、前置増幅器を含む光電子増倍管のX線検出技術を備えていた。試料を、2θ=3〜40°、ステップサイズ2θ=0.02°、ステップ時間20秒で走査した。管の電圧及び電流は、それぞれ40KV及び44mAであった。試料容器から試料をゼロバックグラウンドXRDホルダーに移し、丁寧に粉砕した。
TGA分析をTA Instruments TGA Q5000で実施した。約1.50mgの試料を風袋引きした白金パンまたはアルミニウムパンに入れ、自動秤量し、TGA加熱炉に挿入した。試料を、10℃/分の速度で最終温度300℃まで加熱した。パージガスは窒素であり、それぞれバランス約10cc/分及び加熱炉約90cc/分であった。
DSC分析をTA Instruments Q2000で実施した。校正標準は、インジウムであった。重量1.50mgの試料を風袋引きしたTA DSCパンに入れ、重量を正確に記録した。クリンプしたパンを分析に使用し、試料を、窒素(50cc/分)下、10℃/分の速度で最終温度300℃まで加熱した。熱分析器(Universal Analyzer 2000、TA Instruments)を使用してデータを処理した。
プロトンNMRを使用して、塩形成から生じた化合物のケミカルシフトを調べた。プロトンNMRは、自動試料(B−ACS60)を備えたBruker Advance 300 Ultrashield(商標)を使用して実施した。ジメチルスルホキシド−d6(DMSO−d6)をNMR分析用溶媒として使用した。データ取得時間は、約16秒であった。
動的蒸気吸着(DVS)は、DVS Advantage(Surface Measurement Systems Ltd)を使用して測定した。試料を、等温(25℃)下、目標RH0〜95%のフルサイクルのステップモードで試験した。等温線試験のために、チャンバ温度を水浴により25.0±1.0℃に一定に維持した。試料チャンバ内の相対湿度は、可変流量の様々な湿潤窒素流と乾燥窒素流を組み合わせることによって生成された。10%RHの増分で分析を実施した。サンプリングレートは1秒、データ保存速度は20秒である。dm/dt(%)値を0.001、dm/dtウインドウ5分、最小安定持続時間10分及び最大ステージ時間180分に設定した。各RHに対応する試料の平衡重量を記録した。RHに対する平衡水分量をプロットすることによって、吸脱着等温線を得た。
1.00グラムの化合物1の遊離塩基を10mLのメタノール中に溶解した。次いで、100μLのストック溶液を96ウェルプレートの各ウェルに加えた。プレートの各ウェルに1:1のモル比で酸性溶液を加えた(1つの酸を同じ横列の8ウェルに加えた)。プレートの乾燥後、異なる8つの溶媒の400μLのアリコートをプレートのウェルの縦列に加えた。次いで、プレートにカバーをし、実験室用ドラフト内において、周囲条件の温度及び湿度下で蒸発させた。エタノール、2−プロパノール、3−メチル−ブタノール、アセトニトリル、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、アセトン、水、酢酸エチルを含む溶媒をスクリーニングに使用した。
出発物質である化合物1の遊離塩基の非塩形態をXRPD、TGA及びDSCによって特徴付けた。これは、結晶性一水和物であり、ここでは形態1と記される。
化合物1の粉末X線回折を実施した。そのプロファイルを図89に示す。
図90において、化合物1のTGAサーモグラムは、脱水に起因して、比較的低温(75℃未満)で約2.9%の重量減少が観察されたことを示す。最終的な重量減少は、薬物化合物の分解によるものである。
図91において、化合物1のDSCサーモグラムは、結晶性固体が、脱水/脱溶媒和に対応する比較的低温でのブロードな吸熱事象と、オンセット温度及びピーク温度がそれぞれ174.6℃及び182.1℃である吸熱ピークとを有し、脱水形態の融解に起因するエンタルピーは52.0J/gであることを示した。
DVSプロファイルは、図92に示されるように、試料(化合物1)が、0〜95%RHで、一水和物の遊離塩基と比較してわずかに吸湿性(4.3%未満)であることを示した。一水和物の遊離塩基は、最初に湿度0または非常に低い湿度の乾燥サイクルに置かれると、無水物に変換された。その後、固体粒子が25%RHまでの相対湿度上昇に曝されると、約2.6%(wt)の水を得て、この湿度範囲内で一水和物に戻った。更なる約1.7%の水分収着が、25%RHから95%RHまでに、ゆっくりかつ安定的に生じる。95%RHから5%RHまでの脱着サイクル中、水分量の損失は、約1.5%と非常にゆっくりであり、一水和物の構造は維持される。次いで、相対湿度が5%RHから乾燥まで減少すると、残りの約2.8重量%の水が試料から突然放出された。3.0%の水分量レベルは、一水和物に相当する。
吸着/脱着は、30%RHを超えると、ほぼ可逆的である。30%RH未満では、吸着中の取り込みよりも脱着中の水の放出のほうが困難である。
化合物1のプロトンNMRをDMSOで調べた。これを図6に示す。化合物1の遊離塩基(1.00グラム)をメタノール(10.0mL)中に溶解した。次いで、溶液の100μLのアリコートを96ウェルプレート(1.0mL平底透明ガラスインサート)の各ウェルに分配した。グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、マレイン酸、ベンエンスルホン酸、メタンスルオン酸、トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸を含む、11の酸を1:1のモル比でウェルに加えた。表1を参照されたい。溶媒を実験室用ドラフト内において、周囲条件の温度及び湿度下で蒸発させた。乾燥後、結晶化のための溶媒を入れた。表1を参照されたい。次いで、プレートをシリコーン/PTFEライナー付丸底ウェルキャップマットでカバーし、周囲環境下でゆっくり蒸発させ、結晶化させた。
表1:96ウェルプレート中の塩形成剤及び溶媒の内容
人工胃液(SGF)溶液中における化合物1の遊離塩基の溶解性試験中にまずHClが認められた。約30mgの化合物1の遊離塩基をガラスバイアル中に秤量し、1mLのSGFを入れた。混合物は、すぐに透明な溶液になった。一晩で析出が生じた。固体粒子を濾過により回収し、特徴付けた。XRPDプロファイルは、図94に示されるように、遊離塩基とは異なる。TGAは、分解前に比較的低温(70℃未満)で約3.3%の重量減少を示した(図95)。DSCプロファイルは、2つの吸熱事象:1)脱水に起因する比較的低温での吸熱事象と、オンセット温度及びピーク温度がそれぞれ209.3℃及び230.5℃である融解脱水形態の吸熱事象を有した(図96)。この試料の動的蒸気吸着を等温で実施した。これを図97に示す。1H NMRは、プリン及びベンゼン環中の水素のケミカルシフトが観察されたことを示しており、塩形成を示唆した(図98)。
動的蒸気吸着(DVS)は、図97に示されるように、HCl塩が、0〜95%RHで、一水和物のHClと比較して低吸湿性(1.0%未満)であることを示した。HClの一水和物は、最初に湿度0または非常に低い湿度の乾燥サイクルに置かれると、無水物に変換された。その後、固体粒子が25%RHまでの相対湿度上昇に曝されると、約2.9%(wt)の水を得て、この湿度範囲内で一水和物に戻った。更なる約1.7%の水分収着が、25%RHから95%RHまでに、ゆっくりかつ安定的に生じた。95%RHから5%RHまでの脱着サイクル中、水分量の損失は、約1.5%と非常にゆっくりであり、一水和物の構造は維持された。次いで、相対湿度が5%RHから乾燥まで減少すると、残りの約2.8重量%の水が試料から急速に放出された。3.0%の水分量レベルは、一水和物に相当する。
吸着/脱着は、30%RHを超えると、ほぼ可逆的であった。30%RH未満では、吸着中の取り込みよりも脱着中の水の放出のほうが困難であった。25%RH未満の吸着曲線と脱着曲線の間には、ヒステリシスが観察された。
化合物1の遊離塩基及び硫酸を含有するウェル#H2の試料を、DMSO−d6での1H NMRによって分析した(図99)。1H NMRは、プリン及びベンゼン環中の水素のケミカルシフトが観察されたことを示しており、塩形成を示唆した。選択した試料をTGA及びDSCによって分析した(図100〜図105)。TGAプロファイルは全て、比較的低温で最初の重量減少(2.5〜3.2%)を示したが、挙動は同じではなかった。これらのウェルのDSCプロファイルも比較的低温でブロードな吸熱事象を示したが、プロファイルは同じではなかった。硫酸塩は、結晶化のための溶媒に使用したため、溶媒和物である。
各種溶媒でのSVSSから結晶性メシル酸塩が認められ、各種溶媒に由来する結晶性クエン酸塩のXRPDプロファイルは、非常に類似している。EtOACでのSVSSから得た結晶性メシル酸塩の代表的なXRPDプロファイルを図106に示す。化合物1の遊離塩基及びメタンスルホン酸の両方を含有する試料をDMSO−d6での1H NMRによって分析した(図107)。1H NMRは、プリン及びベンゼン環中の水素のケミカルシフトが観察されたことを示しており、塩形成を示唆した。選択した試料をTGA及びDSCによって分析した(図108〜図117)。TGAプロファイルは全て、比較的低温で最初の重量減少(1.4〜2.2%)を示し、挙動はわずかに異なった。これらのウェルのDSCプロファイルも比較的低温でブロードな吸熱事象を示したが、脱溶媒和後のプロファイルは異なった。
各種溶媒でのSVSSから結晶性クエン酸塩が認められ、SVSSから得た結晶性クエン酸塩のXRPDプロファイルを図118〜図125に示す。エタノール(A9)、IPA(B9)、3−メチル−2−ブタノール(C9)、アセトニトリル(D9)、MTBE(E9)及びアセトン(F9)のXRPDプロファイルは、図126及び図127に示されるように、類似している(クエン酸塩の形態1)。EtOAc(H9)でのSVSSのXRPDプロファイルは異なった(図128、クエン酸塩の形態2)。水でのSVSSのXRPDプロファイル(図124)は、図126のXRPDプロファイルに近似した。化合物1の遊離塩基及びクエン酸の両方を含有する試料をDMSO−d6での1H NMRによって分析した(図129)。1H NMRは、プリン及びベンゼン環中の水素のケミカルシフトが観察されなかったことを示しており、塩形成が溶液相における弱い相互作用であり、共結晶とみなすことができることを示唆した。選択した試料をTGA及びDSCによって分析した(図130〜図139)。TGAプロファイルは全て、分解前に比較的低温で最初の少量の重量減少(0.5%未満)を示した。これらのウェルのDSCプロファイルはまた、オンセット温度及びピーク温度がそれぞれ約203℃及び約211℃の融解に起因する単一の吸熱を示した。
化合物1の遊離塩基及びリン酸の両方を含有する試料をDMSO−d6での1H NMRによって分析した(図140)。1H NMRは、プリン及びベンゼン環中の水素のケミカルシフトが観察されなかったことを示しており、塩形成が溶液相で起こりにくい可能性を示唆した。SVSSから異なる結晶構造が認められたことから、化合物1とリン酸塩の共結晶の形成が示唆された。
ウェルB4とB6のX線粉末回折パターンは類似しており、リン酸塩の形態1Aと記した(図141)。
図142に示すように、ウェルB7とB10のX線粉末回折は異なっており、形態1Aとも異なることから、それぞれ形態1B及び1Cと記した。
HCl塩の一水和物(1):化合物1 240mgを4mLのガラスバイアル中に秤量し、次いで、4.60mLの0.1N HCl水溶液を入れた。混合物は、透明になった。溶液を0.22μmのフィルターで濾過し、上澄み液を結晶化のためにドラフト内に置いた。すぐに析出が生じた。固体を濾過により回収した。
固体試料は、一水和物(1)であると分析され、XRPDプロファイルは、SGF中における遊離塩基の溶解性試験の1つと類似しているが、より良好な結晶性を有している。mLのガラスバイアル、次いで、3.10mLの0.5N HCl水溶液を加えた。混合物は、透明になった。更に5.0mLの水を加えた。溶液を0.22μmのフィルターで濾過した。上澄み液を結晶化のためにドラフト内に置いた。すぐに析出が生じた。固体を濾過により回収した。
化合物1 303.7mgを20mLのガラスバイアル中に秤量し、次いで、10mLのSGFを加えた。混合物は、透明になった。化合物1のHCl塩の固体粒子を種晶としてバイアルに加えた。懸濁液をLabQuake回転装置で24時間攪拌し続けた。固体粒子を濾過により回収した。
溶液析出法では、無水形態は観察されなかった。脱水をXRD−DSC段階で実施した。
化合物1 170mgを4mLのガラスバイアル中に秤量し、次いで、3.3mLのEtOAc中0.1M H2SO4を入れた。混合物は、直ちにゴム/ゲル化物質になった。乾燥後、固体を回収し、図153〜図155に示されるように、XRPD、TGA及びDSCによって分析した。
化合物1 105mgを4mLのガラスバイアル中に秤量し、次いで、2.0mLの0.1M H2SO4水溶液を入れた。混合物は、ゲル様物質になり、これに1mLの水を加えた。物質は、依然として油状で粘着性であった。
化合物1 138mgを4mLのガラスバイアル中に秤量し、次いで、1.0mLのEtOAcを加えて物質をまず溶解させた。次いで、2.60mLのEtOAc中0.1Mメタンスルホン酸を入れると、直ちに析出が生じた。固体を濾過により回収し、真空下40℃で一晩乾燥し、次いで、図156〜図158に示されるように、XRPD、TGA及びDSCによって分析した。
化合物1 34mgを4mLのガラスバイアル中に秤量し、次いで、アセトニトリル中の0.1Mメタンスルホン酸0.65mLを加えた。透明な溶液は得られなかったが、新しい固相が明らかに観察された。固体を濾過により回収し、真空下40℃で一晩乾燥し、次いで、図159〜図161に示されるように、XRPD、TGA及びDSCによって分析した。
メシル酸塩の形態:水でスラリー化した後では、XRPDプロファイルは、図162に示されるように、わずかに異なる。
また、動的蒸気吸着(DVS)を使用して湿気下でメシル酸塩を試験した。XRPDパターンは、図164に示されるように、吸着及び脱着サイクル(図163)後、出発物質とわずかに異なる。
化合物1 114mgをガラスバイアル中に秤量し、次いで、0.6mLのEtOAc溶媒を加えた。攪拌後、混合物は透明な溶液になった。2.20mLの0.1Nクエン酸水溶液を溶液に加えると、直ちに綿様の析出が生じた。固体を濾過により回収し、図165〜図167に示されるように特徴付けた。TGAは、分解前に比較的低温でわずかな重量減少(0.2%未満)を示した。DSCは、オンセット温度及びピーク温度がそれぞれ205.2℃及び209.5℃の融解に起因する単一の吸熱ピークを示し、エンタルピーは240.7J/gであった。
化合物1 95mgをガラス中に秤量し、次いで、0.5mLのアセトン溶媒を加えて物質を溶解させた。次いで、1.8mLのアセトン中0.1Nクエン酸を加えた。透明な溶液を結晶化のためにドラフト内に置いた。すぐに析出が生じた。
固体を濾過により回収し、図168〜図170に示されるように特徴付けた。XRPDプロファイルは、形態1に類似した。TGAは、分解前に比較的低温でわずかな重量減少(0.4%未満)を示した。DSCは、オンセット温度及びピーク温度がそれぞれ205.3℃及び209.5℃の融解に起因する単一の吸熱ピークを示し、エンタルピーは250.2J/gであった。
化合物1 208mgをガラス中に秤量し、次いで、1.0mLのアセトン溶媒を加えて物質を溶解させた。次いで、4.0mLの0.1Nクエン酸水溶液を加えた。透明な溶液を結晶化のためにドラフト内に置いた。すぐに析出が生じた。固体を濾過により回収し、特徴付けた。TGAは、分解前に比較的低温でわずかな重量減少(0.4%未満)を示した。DSCは、オンセット温度及びピーク温度がそれぞれ206.0℃及び211.4℃の融解に起因する単一の吸熱ピークを示し、エンタルピーは257.7J/gであった。
TGAは、分解前に重量減少をほぼ示さなかったが、NMR及びGCの両分析は、4000〜5000ppmのアセトンの存在を示した。
化合物1 43.02mgをガラス中に秤量し、次いで、1.0mLのエタノール溶媒を加えて物質を溶解させた(完全ではない)。次いで、0.82mLの0.1Nクエン酸水溶液を加えると、混合物は透明になった。透明な溶液を結晶化のためにドラフト内に置いた。すぐに析出が生じた。更に1.0mLの水を加えた。固体を濾過により回収し、図174〜図176に示されるように特徴付けた。
XRPDプロファイルは、形態1、2及び3と異なった。TGAは、分解前に比較的低温でわずかな重量減少(0.3%未満)を示した。DSCは、オンセット温度及びピーク温度がそれぞれ211.2℃及び214.8℃の融解に起因する単一の吸熱ピークを示し、エンタルピーは277.1J/gであった。
化合物1 45.74mgをガラス中に秤量し、次いで、1.0mLのIPA溶媒を加えて物質を溶解させた(白濁)。次いで、0.87mLの0.1Nクエン酸水溶液を加えると、混合物は透明になった。透明な溶液を結晶化のためにドラフト内に置いた。すぐに析出が生じた。
固体を濾過により回収し、特徴付けた。TGAは、分解前に比較的低温でわずかな重量減少(0.3%未満)を示した。しかしながら、DSCは、おそらく脱溶媒和に起因する比較的低温でのブロードな吸熱ピークと、オンセット温度及びピーク温度がそれぞれ207.9℃及び212.7℃である融解ピークとを示し、エンタルピーは190.7J/gであった。
化合物1 51.4mgをガラス中に秤量し、次いで、1.0mLの0.1Nクエン酸水溶液を加えた。変換及び結晶化のために懸濁液を周囲環境で攪拌し続けた(1mLの水を添加)。固体を濾過により回収し、図180〜図182に示されるように特徴付けた。TGAは、分解前に比較的低温でわずかな重量減少(0.1%未満)を示した。DSCは、オンセット温度及びピーク温度がそれぞれ204.2℃及び207.6℃の単一の融解ピークを示し、エンタルピーは249.9J/gであった。
クエン酸塩は、動的蒸気吸着(DVS)試験(図183)から実証されるように、低吸湿性を示した。SVSSスクリーニングから、各種溶媒中のクエン酸による固体形態は、類似のXRPDプロファイルとなっており、等構造の溶媒和物である可能性が高い。TGAは、比較的低温でわずかな重量減少(0.5%未満)を示し、DSCは、オンセット温度及びピーク温度が205.3℃及び209.5℃の単一の吸熱ピークを示した。クエン酸塩は、エタノール、IPA、アセトン及びEtOAcを含むいくつかの溶媒中で生じた。
HCl水和物の形態(2)、クエン酸塩の形態Z(2)及び遊離塩基の溶解度を、水、人工胃液(SGF)、人工腸液(SIF)及び0.5%HPMC/0.25%Tween80で決定した。水溶解度は、pHに応じて変動した。表3から、HCl塩の一水和物が最も高い水溶解度(わずかに可溶性)を有することがわかる(pH3.65)。クエン酸塩及び遊離塩基の水溶解度は、pHに応じてそれぞれ0.252mg/mL及び0.003mg/mLである。水媒体のpHは、対イオンと溶解度の両方によって決定した。水では、HCl塩が最低のpH3.65を示し、クエン酸塩は4.61という比較的高いpHであった。SGFにおけるHCl塩形態の溶解度は、共通イオン効果を有するが、遊離塩基は、クエン酸塩に次いで、SGF中で極めて高い動力学的溶解度を有する。SIFにおけるこれらの塩及び遊離塩基の溶解度は、極めて低く、実質的にSIFに不溶である。
表3:水、SGF、SIF及び0.5%HPMC/0.25Tween80における各種塩形態の溶解度
生体関連媒体におけるHCl及びクエン酸塩の溶解度も遊離塩基と比較して決定した。界面活性剤(タウロコール酸ナトリウム及びレシチン)の存在下におけるHCl塩、クエン酸塩及び遊離塩基の溶解度の値は、FeSSIF及びFaSSIFの両方で類似している(表4)。
表4:遊離塩基と比較した生体関連媒体におけるHCl及びクエン酸塩の溶解度
遊離塩基、HCl及びクエン酸塩では、固体状態の特性に大幅な違いはなかった。これらは全て固体状態で化学的及び物理的に安定である。ここに示されるデータは、遊離塩基、HCl及びクエン酸塩の溶解度がpH、共通イオン効果及び界面活性剤の存在に依存することを示唆している。単一イヌPK比較試験から決定的なPK結果は得られなかった。全ての固体形態は、FeSSIF及びFaSSIFの両方において類似の溶解プロファイルを示し(図186及び図187)、0.01N HCl及び0.001N HClの両方において類似のBIC溶解プロファイルを示した。
固体形態
分析法−遊離塩基
種々の溶媒、温度及び湿度変化などの様々な条件下で異なる固体形態が生成され得るかどうかを調べるために、化合物1の多形スクリーニングを実施した。
多形スクリーニングに使用した溶媒は、HPLC等級または試薬等級のいずれかであり、アセトニトリル(MeCN)、MeCN/水(1:1)、n−ブタノール(n−BuOH)、無水エタノール(EtOH)、エタノール/水(1:1)、メタノール(MeOH)、2−プロパノール(IPA)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸メチル(MeOAc)、ジクロロメタン(DCM)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、ヘプタン、トルエン、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸イソプロピル(IPAc)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、THF/水(1:1)及び水が含まれる。
秤量した化合物1の試料を既知量の試験溶媒で処理した。得られた混合物を室温で約1日攪拌した。目視検査によって全ての固体の溶解が認められたら、完全な溶液を与えるために、使用した溶媒の総体積に基づいて、推定される溶解度を算出した。固体が存在する場合、既知量の濾液を蒸発乾固させ、残渣の重量を測定して溶解度を評価した。
多形スクリーニングで生成された固体試料の全てをXRPDによって分析した。XRPD分析は、PANalytical EmpyreanX線粉末回折計で1.54ÅのCu Kα照射を使用して実施した。
PANalytical Empyrean機器は、ファインフォーカスX線管を備えた。X線発生器の電圧及びアンペア数はそれぞれ45kV及び40mAに設定した。発散スリットは1/16°及び1/8°に設定し、受光スリットは1/16°に設定した。回折線をPixel 2D検出器を使用して測定した。θ−2θ連続走査をステップサイズ0.013、2θ=3°〜40°、試料回転速度4に設定した。焼結アルミナ標準を使用してピーク位置を確認した。
DSC分析は、TA Discovery Differential Scanning Calorimeterで実施した。インジウムを校正標準として使用した。約1〜5mgの試料をDSCパンに入れた。試料を、窒素下、10℃/分の速度で最終温度220℃まで加熱した。融点は、外挿したオンセット温度として報告した。
TGA分析は、TA Discovery Thermogravimetric Analyzerで実施した。正確に秤量した約2〜10mgの試料をパンの上に置き、TGA加熱炉中に入れた。試料を、窒素下、10℃/分の速度で最終温度220℃まで加熱した。
試料の形態分析は、Evex Mini−SEMで実施した。少量の試料を試料ホルダー上に分散させ、Evex Mini Au Sputter Coaterを使用して金でコーティングし、倍率300x〜1000xで撮像した。
吸湿性は、Surface Measurement Systems DVSで決定した。試料サイズ5〜20mgをDVS機器用試料パンに入れ、DVS自動吸着分析器で試料を室温で分析した。相対湿度を10%RHステップで0%RHから90%RHまで上昇させ、次いで、同様の方法で相対湿度を低下させて、完全な吸着/脱着サイクルを実施した。
1H NMRスペクトルは、Bruker 300MHz NMR分光計で取得した。試料をDMSO−D6中に溶解し、スキャン回数8〜64で分析した。
カールフィッシャー(KF)による水分量は、オーブンサンプルプロセッサを備えるMetrohm KF電量オーブン滴定装置を使用して測定した。オーブン温度を100℃に設定した。
平衡/スラリー実験及び蒸発実験
室温で平衡実験及び蒸発実験を実施した。1日後に固体が存在する場合は、0.45μmのPTFEフィルターを使用して濾過し、空気乾燥してから分析した。残りの上澄み液を蒸発乾固させ、固体を分析のために単離した。
50℃での平衡実験及び蒸発実験は、過剰の固体化合物1を最大1mLの試験溶媒に添加することによって実施した。得られた混合物を別々に室温で1日、50℃で1日攪拌した。平衡に達したら、飽和した上澄み液を除去し、0.45μmのPTFEフィルターを使用して濾過し、開放したバイアル中、窒素下、室温及び50℃でそれぞれ蒸発させた。平衡から生じた固体を単離し、空気乾燥してから分析した。
表6:平衡(EQ)及び蒸発(EV)の結果の概要
−分析不可
*正確な特徴付けに十分な結晶性物質ではなかった
貧溶媒再結晶実験及び冷却再結晶実験
冷却再結晶のために、選択した溶媒のそれぞれを65℃で固体化合物1で飽和させた。溶媒は、MeCN、MeCN/水(1:1)、EtOH、EtOH/水(1:1)、IPA及びTHF/水(1:1)を含んだ。溶液を約10分間攪拌し、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを使用して濾過し、次いで、バイアルを冷凍庫内に入れて約−15℃まで冷却した。再結晶から生じた固体を単離し、空気乾燥してから分析した。冷却再結晶のために、選択した溶媒のそれぞれ(MeOH、EtOH及びEtOH/水)を60℃で化合物1で飽和させた。溶液を60℃で10分間攪拌し、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを使用して濾過し、次いで、室温まで自然に放冷させてから冷蔵庫内に入れた。再結晶から生じた固体を単離し、空気乾燥してから分析した。
表7:冷却再結晶の結果
−析出なし/分析に十分な物質なし
貧溶媒再結晶のために、選択した溶媒MeCN及びMeOHを室温で固体化合物1で飽和させた。固体が完全に溶解したら、溶液の一部を、選択した貧溶媒(水)を含むバイアル中に濾過した。バイアルを冷蔵庫内に入れて、混合物を4℃まで冷却した。再結晶から生じた固体を単離し、空気乾燥してから分析した。貧溶媒再結晶のために、選択した溶媒(MeOH、EtOH、IPA及びEtOAc)を60℃で化合物1で飽和させた。固体が完全に溶解したら、溶液の一部を、予熱したバイアル中に濾過し、選択した貧溶媒(水、MTBEまたはヘプタン)を60℃で加えた。混合物を室温まで自然に放冷させてから冷蔵庫内に入れた。再結晶から生じた固体を単離し、空気乾燥してから分析した。
MeOH、EtOH、EtOH/水、IPA及びEtOAcを単一溶媒または一次溶媒として使用した。水、MTBE及びヘプタンを貧溶媒として使用した。結果を表6にまとめる。貧溶媒として水を使用する晶析だけが形態Aを生成した。他の全ての溶媒または溶媒組み合わせは、平衡実験中に観察されたものに類似する溶媒和物形態を与えた。
多形の概要
この多形スクリーニング試験の間に、遊離塩基の化合物1について、合計で9つの結晶性形態と1つの非晶質形態が確認された。9つの結晶性形態に関するXRPDパターンのスタックプロットを図1に示し、物理的特徴を表10にまとめる。非晶質形態のXRPDパターンを図40に示す。
表10:化合物1の遊離塩基の固体形態及び非晶質形態の概要
−:該当なしまたは不可
EQ:平衡
EV:蒸発
形態A
種々の溶媒における周囲温度での遊離塩基の形態Aの近似溶解度を上記のとおりに推定した。結果を表11にまとめる。遊離塩基の形態Aは、アセトン、EtOAc、MeOAc及びTHFで最も溶解度が高い(100mg/mL超)ことがわかった。形態Aは、1,4−ジオキサン、2−MeTHF、DCM、MeCN/水(1:1)、IPAc、MEK、MeOH、MIBK及びTHF/水(1:1)に非常に溶けやすかった(50mg/mL超)。形態Aは、EtOH、MTBE、n−BuOH(20mg/mL超)、IPA、トルエン(10mg/mL超)、MeCN及びEtOH/水(1:1)(3mg/mL超)である程度の溶解度を示した。形態Aは、水及びヘプタンで低溶解度(1mg/mL未満)を示した。
表11:室温における化合物1の遊離塩基形態Aの近似溶解度
50℃での平衡実験により、水及びヘプタン中に形態Aが生じた。形態Eと記した特有の形態は、EtOH/水(1:1)中の形態Aから得られた。形態Fと記した特有の形態は、IPA中の形態Aから得られた。形態Gと記した特有の形態は、MTBE中の形態Aから得られた。形態A及び形態Cの混合物は、MeCN及びMeCN/水(1:1)中で得られた。形態A及び形態Hの混合物は、EtOAc及びEtOH中で得られた。形態Fはまた、IPAから50℃の蒸発により形態Aから得られた。トルエンの蒸発により、非晶質及び低結晶性物質(未知の形態)の混合物が生じた。50℃での全ての他の蒸発実験は、化合物1の非晶質形質を生じた。
冷却再結晶実験を上記のように実施した。溶媒は、MeCN、MeCN/水(1:1)、EtOH、EtOH/水(1:1)、THF/水(1:1)及びIPAを含んだ。結果を表7にまとめる。MeCN/水(1:1)から得られた固体は、形態Cであることが確認された。MeCNから得られた固体は、形態Iと記した特有の形態であることが確認された。残りの溶媒は、−15℃で14日後に晶析しなかった。
貧溶媒による再結晶を上記のように実施した。MeCN及びMeOHを一次溶媒として使用した。水を貧溶媒として使用した。結果を表10にまとめる。XRPDを使用すると、MeCN/水から得られた固体は、形態C及び形態Aの混合物であることが確認された。MeOH/水から得られた固体は、非晶質であることが確認された。
形態Aは、一水和物である。この形態は、大部分が水または「水の多い」溶媒系における再結晶実験またはスラリー実験から得られた。
形態Aはまた、20%を超える相対湿度(RH)を有する周囲条件に曝すことにより、形態B、形態C及び形態Hから変換することによっても得られる。
形態Aは、10%RH未満または高温で乾燥させると、無水形態Bに変換する。
形態Aは、図2に示される結晶XRPDパターンを有する。形態AのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図4及び図5に示す。DSCサーモグラムは、脱水に起因する約94℃のオンセット温度及び約117℃の最大を有する第1の事象と、融解/分解に対応する約174℃のオンセット温度及び約182℃の最大を有する第2の事象の2つの事象を示した。融解までに2.8%のTGA重量減少が観察された。形態Aの1H NMRスペクトルは、化合物1の構造と一致し、大きな分解または残留溶媒はなかった(図7参照)。
形態Aの水分吸着/脱着の挙動をDVSによって決定した。結果を図6A〜図6Bにまとめる。10〜30%RHで3%を上回る急な重量変化が観察された。脱着時に、水和物に一致する同様の重量変化が10〜0%RHで観察された。30〜90%RHで約1.4重量%の更なる水の吸収が観察された。これは、水和物がわずかに吸湿性であることを示唆する。
図1は、形態AのXRPDパターンを示す。形態Aに関するX線回折ピークの一覧を以下の表12に示す。
図3は、形態AのSEM画像である。
形態B
形態Bは、形態Aを真空下約40℃で乾燥させることにより得られた。形態Bはまた、形態Cを真空下50〜60℃で乾燥させることによっても得ることができる。形態Bは、約20%RHを超える周囲条件で形態Aに変換される。形態Bは、図8に示される結晶XRPDパターンを有した。アセトンから得た形態BのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図9及び図10に示す。0.1重量%のTGA重量減少は、約174℃のオンセット及び約182℃の最大を有する1つのDSCピークに一致し、融解/分解に相当した。これらの観測結果は、形態Bが化合物1の無水物であることを示唆した。
形態Bに関するX線回折ピークの一覧を以下の表13に示す。
形態C
形態Cは、形態AをMeCNまたはMeCN/水中、室温または50℃で平衡させることにより得られた。形態Cはまた、化合物1のMeTHF溶液を処理することからも得られる。MeTHFを除去するために、一定量のMeCN(約20体積)を添加しながらMeTHF(10体積)を真空下で蒸発させた(230torr/46℃)。最終的に、5体積%以下のMeTHFがバッチに残った。固体が蒸留中に結晶化した。バッチを冷却し、熟成させ、濾過し、真空下30℃以下で乾燥させた。形態Cは、図11に示される結晶XRPDパターンを有した。MeCN/水から得た形態CのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図12及び図13に示す。6.6重量%のTGA重量減少は、165℃付近のブロードなDSCピークに一致し、これは、形態Cの脱溶媒和に起因し得る。180℃のオンセット温度及び約186℃の最大を有するDSCピークは、融解/分解に相当した。形態Cの試料について1H−NMRスペクトルを得たところ、構造は一致したが、大量のMeCNが存在した(図14)。化合物1の一溶媒和物におけるMeCNの理論含有量は、6.7重量%であり、観察されたTGA重量減少と一致する。これらの観測結果は、形態Cが化合物1のアセトニトリル一溶媒和物であることを示唆した。形態Cは、約20%RHを超える周囲温度において、形態Aに変換された。
形態Cに関するX線回折ピークの一覧を以下の表14に示す。
形態D
形態Dは、IPA中の形態Aを室温で再結晶平衡させることから得られた。形態Dは、図15に示される結晶XRPDパターンを有した。形態DのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図17及び図18に示す。約7.4重量%のTGA重量減少は、154℃付近のブロードなDSCピークに一致し、これは、形態Dの溶媒減少に起因し得る。175℃のオンセット温度及び約185℃の最大を有する小さなDSCピークは、融解/分解に相当した。形態Dの試料について1H−NMRスペクトルを得たところ、構造が一致し、IPAを含有していた(図19参照)。これらの観測結果は、形態Dが化合物1のIPA溶媒和物である可能性が高いことを示唆した。
形態Dに関するX線回折ピークの一覧を以下の表15に示す。
形態E
形態Eは、EtOH/水(1:1)中の形態Aを50℃で平衡させることにより得られた。形態Eは、図20に示される結晶XRPDパターンを有した。形態EのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図21及び図22に示す。13.7重量%のTGA重量減少は、104℃付近の小さなブロードなDSCピークに一致し、これは、形態Eの溶媒減少に起因し得る。これらの観測結果は、形態Eがエタノールを含有する溶媒和物または水和物であることを示唆した。
形態Eに関するX線回折ピークの一覧を以下の表16に示す。
形態F
形態Fは、IPA中の形態Aを50℃で平衡させることにより得られた。形態Fは、図23に示される結晶XRPDパターンを有した。形態FのSEM画像を図24に示す。形態FのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図25及び図26に示す。14.3重量%のTGA重量減少は、137℃付近にオンセットを有するブロードなDSCピークに一致し、これは、形態Fの溶媒減少に起因し得る。153℃の最大温度を有するDSCピークは、融解/分解に相当した。形態Fの試料について得た1H−NMRスペクトルは、構造は一致したが、IPAを含有していた。図27を参照されたい。これらの観測結果は、形態Fが化合物1のIPA溶媒和物であることを示唆した。
形態Fに関するX線回折ピークの一覧を以下の表17に示す。
形態G
形態Gは、MTBE中の形態Aを50℃で平衡させることにより得られた。形態Gは、図28に示される結晶XRPDパターンを有した。形態GのSEM画像を図29に示す。形態GのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図30及び図31に示す。8.7重量%のTGA重量減少は、147℃付近のブロードなDSCピークに一致し、これは、形態Gの溶媒減少に起因し得る。約161℃の最大を有するDSCピークは、融解/分解に相当した。形態Gの試料について得た1H−NMRスペクトルは、構造は一致したが、MTBEを含有していた(図32参照)。これらの観測結果は、形態Gが化合物1のMTBE溶媒和物であることを示唆した。
形態Gに関するX線回折ピークの一覧を以下の表18に示す。
形態H
形態Hは、50℃のEtOH/水(1:1)、EtOHまたはEtOAc中の形態Aから得られた。形態Hは、図33に示される結晶XRPDパターンを有した。形態HのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図34及び図35に示す。6.5重量%のTGAサーモグラム重量減少は、163℃付近のブロードなDSCピークに一致し、これは、形態Hの溶媒減少に起因し得る。約179℃のオンセット温度及び約187℃の最大を有するDSCピークは、融解/分解に相当した。化合物1の一溶媒和物におけるEtOHの理論含有量は、7.5%であり、観察されたTGA重量減少と一致する。これらの観測結果は、形態Hが化合物1の溶媒和物または水和物であることを示唆した。形態転換実験により、形態Hを20%RH超に曝すと、形態Aを生じることが示された。
形態Hに関するX線回折ピークの一覧を以下の表19に示す。
形態I
形態Iは、MeCN中の形態Aを冷却再結晶させることにより得られた。形態Iは、図36に示される結晶XRPDパターンを有した。形態IのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図38及び図39に示す。2.3重量%のTGA重量減少は、75℃付近のブロードなDSCピークに一致し、これは、形態Iの溶媒減少に起因し得る。約173℃のオンセット温度及び約183℃の最大を有するDSCピークは、融解/分解に相当した。形態転換実験により、室温でMeCNとのスラリーにすると、形態Cを生じることが示された。これらの観測結果は、形態Iが化合物1の溶媒和物または水和物であることを示唆した。
形態Iに関するX線回折ピークの一覧を以下の表20に示す。
非晶質固体の遊離塩基
化合物1の非晶質固体は、表6に示されるように、室温または50℃におけるほどんどの蒸発実験から得られた。
非晶質固体は、図40に示されるXRPDスペクトルを有した。非晶質固体試料のDSCサーモグラムを図41に示す。非晶質固体は、約84℃のガラス転移温度を有する。非晶質固体のDVS等温線プロットを図43Aに示す。10〜50%RHで約3.5%の可逆的重量変化が観察された。
固体形態
分析方法−クエン酸塩の形態
種々の溶媒、温度及び湿度変化などの様々な条件下で異なる固体形態が生成され得るかどうかを調べるために、クエン酸塩の化合物1の多形スクリーニングを実施した。
多形スクリーニングに使用した溶媒は、HPLC等級または試薬等級のいずれかであり、アセトニトリル(MeCN)、MeCN/水(1:1)、n−ブタノール(n−BuOH)、無水エタノール(EtOH)、エタノール/水(1:1)、メタノール(MeOH)、2−プロパノール(IPA)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸メチル(MeOAc)、ジクロロメタン(DCM)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、ヘプタン、トルエン、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸イソプロピル(IPAc)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、THF/水(1:1)、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA、DMAc)及びN−メチルピロリドン(NMP)が含まれる。
秤量したクエン酸塩の化合物1の試料を既知量の試験溶媒で処理した。得られた混合物を室温で1日攪拌した。目視検査によって全ての固体の溶解が認められたら、完全な溶液を与えるために、使用した溶媒の総体積に基づいて、推定される溶解度を算出した。固体が存在する場合、既知量の濾液を蒸発乾固させ、残渣の重量を測定して溶解度を評価した。
多形スクリーニングで生成された固体試料の全てをXRPDによって分析した。XRPD分析は、PANalytical EmpyreanX線粉末回折計で1.54ÅのCu Kα照射を使用して実施した。
PANalytical Empyrean機器は、ファインフォーカスX線管を備えた。X線発生器の電圧及びアンペア数はそれぞれ45kV及び40mAに設定した。発散スリットは1/16°及び1/8°に設定し、受光スリットは1/16°に設定した。回折線をPixel 2D検出器を使用して測定した。θ−2θ連続走査をステップサイズ0.013または0.026、2θ=3°〜40°、試料回転速度4に設定した。焼結アルミナ標準を使用して、ピーク位置を確認した。
DSC分析は、TA Discovery Differential Scanning Calorimeterで実施した。インジウムを校正標準として使用した。約1〜5mgの試料をDSCパンに入れた。試料を、窒素下、10℃/分の速度で最終温度260℃まで加熱した。融点は、外挿したオンセット温度として報告した。
TGA分析は、TA Discovery Thermogravimetric Analyzerで実施した。正確に秤量した約2〜10mgの試料をパンの上に置き、TGA加熱炉中に入れた。試料を、窒素下、10℃/分の速度で最終温度300℃まで加熱した。
試料の形態分析は、Evex Mini−SEMで実施した。少量の試料を試料ホルダー上に分散させ、Evex Mini Au Sputter Coaterを使用して金でコーティングし、倍率500x〜1000xで撮像した。
吸湿性は、Surface Measurement Systems DVSで決定した。試料サイズ5〜20mgをDVS機器用試料パンに入れ、DVS自動吸着分析器で試料を室温で分析した。相対湿度を10%RHステップで0%RHから90%RHまで上昇させ、次いで、同様の方法で相対湿度を低下させて、完全な吸着/脱着サイクルを実施した。
1H NMRスペクトルは、Bruker 300MHz NMR分光計で取得した。試料をDMSO−D6中に溶解し、スキャン回数128で分析した。
選択した有機溶媒における形態A及び形態Bの溶解度を、個々の固体形態を選択した溶媒と室温で混合することによって決定した。複数の時点(18時間、4日、8日または12日)でアリコートを取得し、濾過し、HPLC法によって定量した。回収された固体をXRPDによって分析し、固体形態を確認した。
平衡/スラリー実験及び蒸発実験
室温及び50℃での平衡及び蒸発実験を、過剰の化合物1のクエン酸塩固体を最大1mLの試験溶媒に添加することによって実施した。得られた混合物を別々に室温で1日、50℃で1日攪拌した。平衡に達したら、飽和した上澄み液を除去し、0.45μmのPTFEフィルターを使用して濾過し、開放したバイアル中、窒素下、室温及び50℃でそれぞれ蒸発させた。平衡から生じた固体を単離し、空気乾燥してから分析した。
貧溶媒再結晶実験及び冷却再結晶実験
冷却再結晶のために、選択した溶媒のそれぞれを65℃で化合物1のクエン酸塩で飽和させた。溶媒は、MeCN/水(1:1)、EtOH、EtOH/水(1:1)、MeOH、THF/水(1:1)及びTHFを含んだ。溶液を10分間攪拌し、0.45μmのPTFEシリンジフィルターを使用して濾過し、次いで、バイアルを冷凍庫内に入れて−15℃まで冷却した。再結晶から生じた固体を単離し、空気乾燥してから分析した。
貧溶媒再結晶のために、選択した溶媒DMAを室温で化合物1のクエン酸塩物質で飽和させた。固体が完全に溶解したら、溶液の一部を、選択した貧溶媒(MeCN、MeOH、ヘプタン、EtOAc、トルエン及び水)を含むバイアル中に濾過した。バイアルを冷凍庫または冷蔵庫にいれて、混合物を−15℃及び4℃まで冷却した。再結晶から生じた固体を単離し、空気乾燥してから分析した。
多形の概要
この多形スクリーニング試験の間に、化合物1のクエン酸塩について、2つの結晶性形態が確認された。これらの形態に関するXRPDパターンのスタックプロットを図44に示し、物理的特徴を表29にまとめる。
形態Y
形態Yは、化合物1の出発物質を5体積のアセトンに25℃で溶解することから得られた。約1.15当量のクエン酸水溶液(約0.2M)をバッチに入れ、化合物1のクエン酸塩を形成した。化合物1のクエン酸塩を、母液濃度が1mg/ml未満になるまで、25℃で熟成させた。スラリーを濾過し、ケーキ洗浄のために、約4体積(1:1)のアセトン/H2Oを使用して洗浄した。ケーキを、NMRによってアセトンが検出されなくなるまで、50℃の真空オーブンで乾燥させた。
種々の溶媒における周囲温度での化合物1のクエン酸塩の形態Yの近似溶解度を上記のとおりに推定した。結果を表22にまとめる。化合物1のクエン酸塩の形態Yは、DMSO、DMA及びNMPで最も溶解度が高い(50mg/mL超)ことがわかった。化合物1のクエン酸塩の形態Yは、THF/水(20mg/mL超)、THF(5mg/mL超)、MeCN/水(1:1)及びMeOH(3mg/mL超)、4ジオキサン(2mg/mL超)である程度の溶解度を示した。化合物1のクエン酸塩の形態Yは、試験した他の全ての溶媒(アセトン、n−BuOH、MeCN、EtOH、EtOH/水(1:1)、IPA、EtOAc、MeOAc、DCM、MTBE、MEK、ヘプタン、トルエン、2−MeTHF及び水を含む)で低溶解度(1〜2mg/mL未満)を示した。
表22:室温における化合物1のクエン酸塩の形態Yの近似溶解度
化合物1のクエン酸塩の形態Yを出発物質として使用して、上記のように、平衡及び蒸発実験を室温及び50℃で実施した。結果を表23にまとめる。50℃におけるMeOH及びMeCN/水中での平衡は、クエン酸塩の形態Zと記される特有の形態を与えた。他の全ての平衡実験からは、化合物1のクエン酸塩の形態Yまたは化合物1のクエン酸塩の形態Zと混合された化合物1のクエン酸塩の形態Yが得られた。溶解度が比較的低いため、ほとんどの蒸発実験で分析可能な固体は得られなかった。EtOH及びEtOH/水を蒸発させると、化合物1のクエン酸塩の形態Yと形態Zの混合物が得られた。MeOHの蒸発による固体は、化合物1のクエン酸塩の形態Zを与えた。
表23:平衡及び蒸発結果の概要
n/a:実験せず
−:分析不可
*:著しい分解が発生
冷却再結晶実験を上記のように実施した。溶媒は、MeCN/水(1:1)、EtOH/水(1:1)、THF/水(1:1)、EtOH、MeOH及びTHFを含んだ。結果を表24にまとめる。THF及びTHF/水から得られた固体は、化合物1のクエン酸塩の形態Yであることが確認された。MeOH及びMeCN/水から得られた固体は、化合物1のクエン酸塩の形態Zであることが確認された。EtOH及びEtOH/水から得られた固体は、化合物1のクエン酸塩の形態Yと形態Zの混合物であることが確認された。
貧溶媒による再結晶を上記のように実施した。DMAを一次溶媒として使用した。MeCN、MeOH、ヘプタン、EtOAc、トルエン及び水を貧溶媒として使用した。結果を表25にまとめる。XRPDを使用したところ、DMA/MeCN、DMA/MeOH及びDMA/水から得られた固体は、化合物1のクエン酸塩の形態Zであることが確認された。DMA/EtOAcから得られた固体は、化合物1のクエン酸塩の形態Yであることが確認され、DMA/トルエンから得られた固体は、化合物1のクエン酸塩の形態Yと形態Zの混合物であることが確認された。DMA/ヘプタン再結晶実験では析出は観察されなかった。
表25:貧溶媒再結晶の結果
RT:室温
−:析出なし
形態Yは、このスクリーニングの出発物質として使用されるDSD試料の結晶性形態として示された。形態Yは、図45に示される結晶XRPDパターンを有する。SEM画像を図46に示す。形態YのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図47及び図48に示す。形態YのTGA重量減少は、150℃まで観察されなかった。形態Yの融解温度までに少量の更なる重量減少が観察された。DSCサーモグラムは、213℃のオンセット温度及び217℃の最大を有する融解事象を示した。形態Yは、0〜90%RHに約2.1%(w/w)の水の吸収があり、わずかに吸湿性である。1H NMRスペクトルは、クエン酸塩の構造に一致し、約0.2%(w/w)の残留アセトンがあった(図50)。HPLCによって決定すると、クエン酸含量は25.1重量%であった。これは、1:1の塩に一致する(理論上25.2重量%のクエン酸を含む)。これらの観測結果は、形態Yが化合物1のクエン酸塩の無水物である可能性が高いことを示唆している。
圧縮試験及び形態転換実験によって、形態Yの安定性を更に特徴付けた。2000psiの圧力を約1分間かけても、物質は、形態Yのままであった(図51A及び図51B)。
表26:選択した溶媒における化合物1のクエン酸塩の形態Y及び形態Zの室温でのHPLC溶解度
−:試験せず
備考:溶解性試験から回収された全ての固体は、XRPDによれば、出発形態を維持した。
形態Yに関するX線回折ピークの一覧を以下の表27に示す。
形態Z
化合物1のクエン酸塩の形態Zは、50℃でのMeOH及びMeCN/水(1:1)における平衡実験、様々な再結晶実験、例えば、MeCN/水の冷却再結晶ならびにDMA/MeCN、DMA/MeOH及びDMA/水の貧溶媒再結晶によって生成された。形態Zは、図52に示される結晶XRPDパターンを有する。SEM画像を図53に示す。形態ZのTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムをそれぞれ図54及び図55に示す。形態ZのTGA重量減少は、150℃まで観察されなかった。形態Zの融解温度までに更なる重量減少(最大数%)が観察された。DSCサーモグラムは、217℃のオンセット温度及び221℃の最大を有する融解事象を示した。形態Zは、0〜90%RHに約1.6%(w/w)の水の吸収があり、わずかに吸湿性である。50℃でのMeCN/水中の平衡から得られた形態Zの試料についての1H NMRスペクトルは、化合物1のクエン酸塩の構造に一致し、約1.0%(w/w)の残留MeCNがあった(図57)。HPLCによって決定すると、クエン酸含量は24.6重量%であった。これは、1:1の塩に一致する(理論上25.2重量%のクエン酸を含む)。これらの観測結果は、形態Zが化合物1のクエン酸塩の無水物である可能性が高いことを示唆している。
150℃超で観察された重量減少を理解するために、更なる乾燥試験を実施した。形態Zの試料のアリコートをそれぞれ150℃及び180℃のKFオーブン(N2置換)で乾燥させた。回収された固体のクエン酸含量はそれぞれ24.2重量%及び17.8重量%であり、クエン酸の減少を示唆している。乾燥させた試料中の残留溶媒もまた、「そのまま」の形態Zの試料よりも大幅に少なかった。
圧縮試験及び形態転換実験によって、形態Zの安定性を更に特徴付けた。2000psiの圧力を約1分間かけても、物質は、形態Zのままであった(図62A〜B)。
表29:化合物1のクエン酸塩の多形に関する特徴付けデータの概要
形態Zに関するX線回折ピークの一覧を以下の表30に示す。
2つの形態の熱力学的関係を形態変換実験によって調べた(表31)。形態Yと形態Zの混合物から開始した競合的スラリーは、溶媒に特異的な結果が生じた。形態Yは、室温のTHF中のスラリーと、50℃のTHF及びEtOAc中のスラリーから生じた。形態Zは、室温及び50℃の両方のEtOH、水、MEK及びMeCN中のスラリーから生じた。
2つの形態の熱力学的関係を溶解性実験によって調べた(表26)。これらの実験は、競合的スラリーによる結果が、特定の溶媒における各形態の様々な溶解/成長速度論に起因するのか、全体的な熱力学に起因するのかどうかを決定するために設計された。表26に示されるように、EtOHでは、形態Yよりも形態Zの溶解度のほうが低いのに対し、アセトン、MeOAc及び2−MeTHFでは、形態Yの溶解度のほうが低かった。これらの結果は、競合的スラリーにおける観察と一致しており、溶解/成長速度論が、溶媒に特異的な形態変換の原因ではないことを示唆している。
固体形態
分析方法−HCL塩の形態
種々の溶媒、温度及び湿度変化などの様々な条件下で異なる固体形態が生成され得るかどうかを調べるために、化合物1の多形スクリーニングを実施した。
出発物質を生成するために、化合物1を25〜30℃でMeOH(10体積)中に溶解した。次いで、MeOH中の1.10当量のHCl(約1.25M)をバッチにいれ、化合物1のHCl塩を形成した。MeOHからEtOAc(約30〜35体積)へ溶媒交換するために、一定の真空蒸留を実施した。バッチ温度は25〜35℃に維持した。スラリーを濾過し、約5体積(1:1)のEtOAcを使用してケーキを洗浄し、これを50℃の真空オーブンで乾燥させた。
出発物質は、結晶性が比較的低く、TGAにおいて、100℃までに1.1%重量%の重量減少があり、DSCにおいて、238.5℃(オンセット温度)に1つの融解ピークがあった。
出発物質は、0%RH〜95%RH、25℃で、3.6重量%の質量変化が観察された。試料は、適度に吸湿性である。
1:1のHCl塩におけるClの理論含有量は、5.84重量%である。化合物1のHCl塩のCl含有量は、5.70重量%であった。
選択した有機溶媒における出発物質の溶解度を、選択した溶媒と室温で混合することによって決定した。
多形スクリーニングの間に8つの結晶性形態が確認され、本実験中、HCl塩の形態1〜HCl塩の形態8と名付けた。結晶性形態の全般的特徴を表33に示す。
表33:多形特徴付け
EV=蒸発
RH=相対湿度
RT=室温
LVD=液体蒸気拡散
SVD=固体蒸気拡散
HCl塩の形態1
HCl塩の形態1は、図66に示される結晶XRPDパターンを有する。HCl塩の形態1のTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムを図67に示す。DSCサーモグラムは、脱水に起因する約102℃のオンセット温度及び約114℃の最大を有する1つの事象と、融解/分解に対応する約146℃のオンセット温度及び約181℃の最大を有する第2の事象の複数の熱事象を示した。TGA重量減少は、140℃までの6.6%の重量減少と、205℃までの更なる10%の重量減少であった。HCl塩の形態1は、IPAとのゆっくりとした蒸発から得られた。HCl塩の形態1は、化合物1のHCl塩のIPA溶媒和物である。
HCl塩の形態1のX線回折ピークの一覧を以下の表34に示す。
HCl塩の形態2
HCl塩の形態2は、図68に示される結晶XRPDパターンを有する。HCl塩の形態2のTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムを図69に示す。DSCサーモグラムは、融解、分解及び不均化に起因する約151℃のオンセットを有するブロードな熱事象を示した。TGA重量減少は、140℃までの2.6%の重量減少と、200℃までの更なる14%の重量減少であった。HCl塩の形態2は、IPA/トルエンとの液体蒸気拡散から得られた。
HCl塩の形態2のX線回折ピークの一覧を以下の表35に示す。
HCl塩の形態3
HCl塩の形態3は、図70に示される結晶XRPDパターンを有する。HCl塩の形態3のTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムを図71に示す。DSCサーモグラムは、融解、分解及び不均化に起因すると考えられる153℃(オンセット)でのブロードな熱事象を示した。TGA重量減少は、140℃までの2.3%の重量減少と、210℃までの更なる11%の重量減少であった。HCl塩の形態3は、n−BuOHに関連する複数の条件から得られた。
HCl塩の形態3のX線回折ピークの一覧を以下の表36に示す。
HCl塩の形態4
HCl塩の形態4は、図72に示される結晶XRPDパターンを有する。HCl塩の形態4のTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムを図73に示す。DSCサーモグラムは、94℃での脱溶媒和による吸熱と、それに続く発熱及び219℃での更なる吸熱を示した。TGA重量減少は、140℃までの4.5%の重量減少であった。HCl塩の形態4は、MeOH/IPAcとの液体蒸気拡散から得られた。HCl塩の形態4は、化合物1のHCl塩の溶媒和物であり得る。
HCl塩の形態4のX線回折ピークの一覧を以下の表37に示す。
HCl塩の形態5
HCl塩の形態5は、図74に示される結晶XRPDパターンを有する。HCl塩の形態5のTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムを図75に示す。DSCサーモグラムは、約104℃及び約162℃での脱溶媒和による吸熱と、それに続く192℃にオンセット及び209℃に最大を有するおそらく融解による吸熱とを示した。TGA重量減少は、140℃までの4.2%の重量減少であった。HCl塩の形態5は、DMFとの固体蒸気拡散から得られた。HCl塩の形態5は、化合物1のHCl塩の溶媒和物であり得る。HCl塩の形態5は、化合物1のHCl塩の水和物であり得る。
HCl塩の形態5のX線回折ピークの一覧を以下の表38に示す。
HCl塩の形態6
HCl塩の形態6は、図76に示される結晶XRPDパターンを有する。HCl塩の形態6のTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムを図77に示す。DSCサーモグラムは、88℃での脱水吸熱と、201℃にオンセット及び228℃に最大を有する更なる吸熱とを示した。TGA重量減少は、100℃までの11.6%の重量減少であった。2回目のDSCサーモグラムは、89℃での吸熱と、211℃にオンセット及び225℃に最大を有する更なる吸熱とを示した(図79)。TGA重量減少は、120℃までの15.9%の重量減少に相当した(図78)。試料は、表面水と結晶水の両方を含有すると思われた。五水和物及び六水和物の理論水分量はそれぞれ12.9%及び15.1%である。HCl塩の形態6は、0.1N HCl水溶液のスラリーから得られた。HCl塩の形態6は、化合物1のHCl塩の五水和物または六水和物である。
HCl塩の形態6のX線回折ピークの一覧を以下の表39に示す。
HCl塩の形態7
HCl塩の形態7は、図80に示される結晶XRPDパターンを有する。HCl塩の形態7のTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムを図81に示す。DSCサーモグラムは、80℃にオンセット及び110℃に最大を有する脱水吸熱と、215℃にオンセット及び233℃に最大を有する更なる吸熱とを示した。TGA重量減少は、100℃までに3.8%の重量減少であった。2回目のDSCサーモグラムは、71℃にオンセット及び98℃に最大を有する吸熱と、209℃にオンセット及び230℃に最大を有する更なる吸熱とを示した(図83)。TGA重量減少は、約90℃までの3.4%の重量減少に相当した(図82)。一水和物の理論水分量は、2.9%である。HCl塩の形態7は、室温の水でスラリー化し、2週間空気乾燥させることにより得られた。HCl塩の形態7は、化合物1のHCl塩の一水和物である。
HCl塩の形態7のX線回折ピークの一覧を以下の表40に示す。
HCl塩の形態8
HCl塩の形態8は、図85に示される結晶XRPDパターンを有する。HCl塩の形態8のTGAサーモグラム及びDSCサーモグラムを図86に示す。DSCサーモグラムは、117℃にオンセット及び146℃に最大を有する脱水吸熱と、208℃にオンセット及び221℃に最大を有する更なる吸熱とを示した。TGA重量減少は、100℃までに3.2%の重量減少であった。2回目のDSCサーモグラムは、148℃(最大)の吸熱と、204℃にオンセット及び224℃に最大を有する更なる吸熱とを示した(図88)。TGA重量減少は、120℃までの3.0%の重量減少に相当した(図87)。一水和物の理論水分量は、2.9%である。HCl塩の形態8は、50℃の水でスラリー化し、2週間空気乾燥させることにより得られた。HCl塩の形態8は、化合物1のHCl塩の一水和物である。
HCl塩の形態8のX線回折ピークの一覧を以下の表41に示す。
出発物質のHCl塩形態
出発物質のHCl塩形態は、図63に示される結晶XRPDパターンを有する。出発物質のHCl塩形態のTGA及びDSCサーモグラムを図64に示す。DSCサーモグラムは、約238℃にオンセット及び約248℃に最大を有する1つの吸熱を示した。TGA重量減少は、100℃までの約1.0%の重量減少に相当した。出発物質は、0%RH〜95%RH、25℃で、3.6重量%の質量変化が観察された。Cl含有量は5.70重量%であった。これは、1:1のHCl塩におけるClの理論含有量である5.84重量%に一致する。試料は、適度に吸湿性である。出発物質のHCl塩形態は、化合物1のHCl塩の無水物形態であると思われる。
出発物質のHCl塩形態のX線回折ピークの一覧を以下の表42に示す。
細胞アッセイ
マルチプレックス細胞傷害性アッセイ。細胞をRPMI1640(10%FBS、2mM L−アラニル−L−グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム)または特定の培地中、5%CO2の加湿雰囲気下、37℃で成長させる。細胞を384ウェルプレートに播種し、5%CO2の加湿雰囲気下、37℃でインキュベートする。細胞播種から24時間後に化合物を加える。同時に、時間ゼロの未処理細胞プレートを作製する。72時間のインキュベーション期間後、細胞を固定し、核、アポトーシス性細胞及び有糸分裂細胞を可視化するために、蛍光標識抗体及び核染色色素で染色する。アポトーシス性細胞は、抗活性型カスパーゼ−3抗体を使用して検出する。有糸分裂細胞は、抗ホスホ−ヒストン−3抗体を使用して検出する。化合物は、3.16倍で段階希釈し、最高試験濃度10μMから最終アッセイ濃度0.1%DMSOで10濃度以上でアッセイする。Molecular Devices ImageXpress Micro XLハイコンテントイメージャを使用して自動蛍光顕微鏡検査を行い、4倍対物レンズで画像を取得する。
データ解析。16ビットのTIFF画像をMetaXpress5.1.0.41ソフトウェアにより取得し、解析する。取り込まれた核染色色素のシグナル強度によって細胞増殖を測定する。細胞増殖アッセイの出力値は、相対細胞数と呼ばれる。細胞増殖のエンドポイントを決定するために、次式を使用して、細胞増殖のデータ出力値を対照に対するパーセンテージ(POC)に変換する。
POC=相対細胞数(化合物ウェル)/相対細胞数(ビヒクルウェル)×100
相対細胞数IC50は、DMSO対照に対して最大可能応答の50%での試験化合物濃度である。GI50は、観察された増殖を半分に減少させるために必要な濃度である。これは、未処理細胞における増殖とウェルに播種した細胞数(時間ゼロの値)との間の中間レベルまで増殖を阻害する濃度である。IC50値は、非線形回帰を使用し、シグモイド型4ポイント4パラメータ一部位用量反応モデルにデータを適合させて、算出する。
y(fit)=A+[(B−A)/(1+((C/x)^D))]
活性型カスパーゼ−3のマーカーは、初期段階から後期段階のアポトーシス細胞を標識する。カスパーゼ−3シグナルの5倍(Cal_X5)の誘導をもたらす試験化合物の濃度は、有意なアポトーシス誘導を示す。DMSO対照と比較した、化合物によるカスパーゼ3の最大誘導をMax_Fold_Changeとして報告する。
表43:マルチプレックス細胞傷害性アッセイに使用した細胞株
本明細書に記載される化合物1の固体形態は、種々のがん細胞株において抗増殖活性を示すか、当該活性を有することが示される。これらのがん細胞株における抗増殖活性は、アミノプリン化合物が、黒色腫、大腸癌、胃癌、頭頸部癌、甲状腺癌、膀胱癌、CNS癌、肺癌、膵癌及び軟組織癌により例示されるような固形腫瘍を含むがんの治療に有用であり得ることを示す。
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、種々のがん細胞株において、アポトーシスを誘導することを示すか、アポトーシスを誘導することが示される。アポトーシスの誘導は、本明細書に記載される化合物1の固体形態が、膀胱癌、乳癌、CNS癌(神経芽細胞腫及び神経膠腫を含む)、結腸癌、消化器癌(例えば、胃癌または結腸癌)、内分泌癌(例えば、甲状腺癌または副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮頸部癌または卵巣明細胞癌、外陰癌、子宮癌または卵巣癌)、頭頸部癌、造血系癌(例えば、白血病または骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLCまたはSCLC)、黒色腫、膵癌、前立腺癌または軟組織癌(例えば、肉腫または骨肉腫)により例示されるような固形腫瘍を含むがんの治療に有用であり得ることを示す。
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物1の固体形態は、種々のがん細胞株において、G1/S停止をもたらすことを示すか、G1/S停止をもたらすことが示される。これらのがん細胞株においてG1/S停止をもたらすことは、化合物が、膀胱癌、乳癌、CNS癌(例えば、神経膠腫または神経芽細胞腫)、結腸癌、消化器癌(例えば、胃癌)、内分泌癌(例えば、甲状腺癌または副腎癌)、女性泌尿生殖器癌(例えば、子宮癌、子宮頸部癌、卵巣明細胞癌または外陰癌)、頭頸部癌、造血系癌(例えば、白血病または骨髄腫)、腎癌、肝癌、肺癌(例えば、NSCLCまたはSCLC)、黒色腫、膵癌、前立腺癌または軟組織癌(肉腫または骨肉腫)により例示されるような固形腫瘍を含むがんの治療に有用であり得ることを示す。
マルチプレックス細胞傷害性アッセイ。別の実験において、細胞をRPMI1640(10%FBS、2mM L−アラニル−L−グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム)または特定の培地中、5%CO2の加湿雰囲気下、37℃で成長させた。細胞を384ウェルプレートに播種し、5%CO2の加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。細胞播種から24時間後に化合物を加えた。同時に、時間ゼロの未処理細胞プレートを作製した。72時間のインキュベーション期間後、細胞を固定し、核、アポトーシス性細胞及び有糸分裂細胞を可視化するために、蛍光標識抗体及び核染色色素で染色した。アポトーシス性細胞は、抗活性型カスパーゼ−3抗体を使用して検出した。有糸分裂細胞は、抗ホスホ−ヒストン−3抗体を使用して検出した。化合物は、3.16倍で段階希釈し、最高試験濃度10μMから最終アッセイ濃度0.1%DMSOで10濃度以上でアッセイした。Molecular Devices ImageXpress Micro XLハイコンテントイメージャを使用して自動蛍光顕微鏡検査を行い、4倍対物レンズで画像を取得した。
データ解析。16ビットのTIFF画像をMetaXpress5.1.0.41ソフトウェアにより取得し、解析した。取り込まれた核染色色素のシグナル強度によって細胞増殖を測定した。細胞増殖アッセイの出力値を相対細胞数とした。細胞増殖のエンドポイントを決定するために、次式を使用して、細胞増殖のデータ出力値を対照に対するパーセンテージ(POC)に変換した。
POC=相対細胞数(化合物ウェル)/相対細胞数(ビヒクルウェル)×100
相対細胞数IC50は、DMSO対照に対して最大可能応答の50%での試験化合物濃度であった。GI50は、観察された増殖を半分に減少させるために必要な濃度を指す。これは、未処理細胞における増殖とウェルに播種した細胞数(時間ゼロの値)との間の中間レベルまで増殖を阻害する濃度に相当する。IC50値は、非線形回帰を使用し、シグモイド型4ポイント4パラメータ一部位用量反応モデルにデータを適合させて、算出した。
y(fit)=A+[(B−A)/(1+((C/x)^D))]
活性型カスパーゼ−3のマーカーは、初期段階から後期段階のアポトーシス細胞を標識する。カスパーゼ3シグナルの2倍(Cal−X2)または5倍(Cal_X5)の誘導をもたらす試験化合物の濃度は、有意なアポトーシス誘導を示した。DMSO対照と比較した、化合物によるカスパーゼ3の最大誘導をMax_Fold_Changeとして報告した。
HCC増殖への作用。HCC細胞株をDMSOまたは漸増濃度の化合物1で72時間処理した。具体的には、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の様々な濃度の化合物1を、アコースティックディスペンサー(EDC ATS−100)により空の384ウェルプレートにスポッティングした。化合物1は、10点連続希釈法(3倍希釈)により二重でプレートにスポッティングした。化合物1をスポッティングしたプレートの複製を異なる細胞株で使用するために作製した。化合物プレートの複製後、全てのプレートを密封し(Agilent ThermoLoc)、−20℃で最大1ヶ月間保存した。試験の準備が整ったら、プレートを冷凍庫から取り出し、解凍し、試験細胞を添加する直前に開封した。
試験前に、細胞を培養フラスコ中で成長及び拡大させ、十分な量の出発物質を得た。次いで、細胞を適切な密度に希釈し、化合物をスポッティングした384ウェルプレートに直接加えた。細胞を37℃/5%CO2で72時間成長させた。化合物の添加時(t0)に、生存率アッセイ(Cell Titer−Glo)により、生細胞中に存在するATPによって生成される発光レベルを定量することによって、初期細胞数を評価した。72時間後、Cell Titer−Glo及び発光測定により、化合物で処理した細胞の細胞生存率を評価した。処理細胞及びDMSO対照細胞におけるカスパーゼ3及びカスパーゼ7(カスパーゼ3/7−Glo)の活性を定量することによって、化合物1に対するアポトーシス性応答を評価した。
GI50値及びIC50値の決定。4パラメータロジスティックモデル(シグモイド型用量反応モデル)を使用して化合物のGI50値を決定した。
y=(A+((B−A)/(1+((C/x)^D))))
A=YMin
B=YMax
C=EC50
D=ヒル勾配
GI50は、Y=(YMax+Yt0)/2のときの化合物の濃度である。
IC50は、Y=DMSO対照の50%のときの化合物の濃度である。
Y=発光単位で測定した細胞生存率
t0=化合物を添加した時点
増殖及びアポトーシスは、CellTiter−Glo及びカスパーゼ3/7−Gloを使用して測定した。CalX2値は、DMSO対照と比較して、化合物1が切断カスパーゼ3/7の2倍の増加を誘導する最小濃度である。増殖及びアポトーシスのデータは、3回の実験の平均である。
結論:化合物1は、複数のHCC株において、増殖を阻害し、アポトーシスを誘導する。
64のがん細胞株パネルにおける抗増殖活性。細胞をDMSOまたは漸増濃度の化合物1で72時間処理した。CellTiter−Gloを記載のとおりに使用して増殖を測定した。結果を表46に示す。
表46:64のがん細胞株パネルにおける化合物1の抗増殖活性。
化合物1は、CRC、黒色腫、胃癌、HCC、肺癌、膵癌、白血病及び多発性骨髄腫に由来する複数のがん細胞株の増殖を阻害することが示された。
BRAF変異及びβ−カテニン変異またはβ−カテニン活性がん細胞株における抗増殖活性及びアポトーシス活性。評価される5つの細胞株におけるBRAF、CTNNB1、KRAS及びEGFRの変異状態を公開データ(COSMIC及びCCLE)に基づいて評価し、内部でも確認した。β−カテニンの状態は、一過性トランスフェクションによるTOP Flashレポーターシステムを使用して評価した。Fop Flashに対するTop Flashレポーターの比が2よりも大きい場合、β−カテニン活性である細胞株と定義した。N/A:不可。Colo205(BRAF V600E)ではトランスフェクション効率が低すぎて、この手法の使用ではβ−カテニン活性を得られなかった。5つの細胞株における化合物1の抗増殖活性及びアポトーシス活性を上記のとおりに測定した。
表47:BRAF変異及びβ−カテニン変異及びβ−カテニン活性細胞株における化合物1の抗増殖活性及びアポトーシス活性
化合物1は、BRAF変異CRC、BRAF変異黒色腫、β−カテニン変異/EGFR変異CRC(すなわち、β−カテニン活性/EGFR変異CRC)、β−カテニン変異/KRAS変異胃癌(すなわち、β−カテニン活性/KRAS変異胃癌)及びHCCを含む、BRAF変異及びβ−カテニン変異またはβ−カテニン活性がん細胞株の両方で、強力に増殖を阻害し、アポトーシスを誘導する。
腫瘍形成性経路阻害。MAPKシグナル伝達への作用。がん細胞を96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり25,000細胞の密度で播種し、CO2インキュベータ中、37℃で一晩インキュベートした。化合物1を用いて37℃で2時間処理した後、細胞をMesoscale溶解緩衝液で溶解し、各溶解物中のpRSK S380レベルをMesoscale ELISA法により測定した。
結論。化合物1は、複数のがん細胞株において、pRSK1を強力に阻害した(表48)。
表48:BRAF変異LOX−IMVI及びColo205がん細胞株における化合物1のpRSK1 S380 IC
50値。
経時実験において、Colo−205がん細胞を0.5μMの化合物1で様々な期間にわたり処理した。pRSK S380に対する化合物1の作用を記載のとおりに測定した。他のMAPK経路マーカー(DUSP4及びDUSP6)に対する化合物1の作用を、特異的抗体を用いたウェスタンブロットにより測定した。図188の経時データは、化合物1が次のERK標的の持続的阻害(最大72時間)をもたらすことを示している:pRSK1、DUSP4及びDUSP6。BRAF阻害薬(BRAFi)は、BRAF変異CRC株において持続したERK阻害をもたらさない(Corcoran et al.,Cancer Discov.2012,2:227−35)。ERKの十分かつ持続的な阻害は、BRAF変異黒色腫(Bollag et al.,Nat Rev Drug Disc.2012;11,873−886)及びCRC患者(Corcoran et al.,Cancer Discov.2012,2:227−35)におけるBRAFi及びMEK阻害薬(MEKi)の臨床的有効性に重要であると思われる。BRAFiによるERKの持続的阻害の欠如は、BRAF変異のCRC患者におけるBRAFiの臨床活性の欠如の一因であり得る。化合物1によるERKの持続的阻害は、BRAF変異のCRC患者において、BRAFiよりも利点を提供し得る。
MAPKシグナル伝達を阻害する化合物1の能力を、DUSP4及びDUSP6タンパク質発現を決定することによって評価した。結腸癌細胞株Colo205(BRAF V600E)培養物をDMSOまたは漸増濃度の化合物1で2、8または24時間処理した。タンパク質を処理細胞から抽出し、DUSP4、DUSP6、サイクリンD1、c−Myc、YAPまたはβ−アクチンに対する抗体を使用してウェスタンブロットによって解析した。Cell−To−CTキットを使用してRNAを抽出し、DUSP4、DUSP6、SPRY2、c−Myc及びサイクリンD1に特異的なプローブを用いて定量PCRを実施した。β−アクチンに特異的なプローブを正規化のために使用した。
Colo205(BRAF V600E)において、DUSP4及びDUSP6は、早くも2時間で化合物1によって有意に低下し、この低下は、24時間にわたって持続した(図189A)。化合物1による処理は、Colo205において、濃度依存的にSPRY2転写の低下をもたらし、強力なERK阻害と一致した(図189B)。古典的Wntシグナル伝達及びMAPKシグナル伝達の両方の下流にあるサイクリンD1とc−Mycのレベルを評価した。化合物1は、Colo205細胞において、サイクリンD1及びc−MycのRNA及びタンパク質レベルを有意に低下させた(図189A〜C)。化合物1による処理は、Colo205において、24時間でYAPタンパク質の減少をもたらした(図189A)。まとめると、これらの細胞データは、強力で持続的なMAPK経路阻害と一致する。
MAPKシグナル伝達を阻害する化合物1の能力を更に評価するために、更なるMAPK標的(BMF、DUSP5、DUSP6、EFNA1、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、GJA1、IL−8、SPRY2及びSPRY4)のRNA発現を評価した。結腸癌細胞株Colo205(BRAF V600E変異を特徴とする)及びHT−29(BRAF V600E変異を特徴とする)の培養物をDMSOまたは0.3もしくは1μMの化合物1で6時間処理した。MagMAX Total RNA Isolationキットを使用してRNAを抽出し、BMF、DUSP5、DUSP6、EFNA1、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、GJA1、IL−8、SPRY2、SPRY4に特異的なプローブを用いて定量PCRを実施した。18S rRNAに特異的なプローブを正規化のために使用した。
両方の細胞株において、DUSP5、DUSP6、EGR1、ETV5、FOS、FOSL1、IL−8、SPRY2、SPRY4のmRNAレベルは、化合物1によって低下し、ERK阻害と一致した(図189D〜I)。GJA1のmRNAレベルがColo205細胞で低下し、HT29で上昇するという結果は、化合物1がColo205において細胞傷害性であり、HT29において細胞増殖抑制性であるという本発明者らの所見を説明し得る。化合物1による処理は、Colo205及びHT−29において、6時間でBMF及びEFNA1のmRNAレベルの上昇をもたらした。まとめると、これらの細胞データは、MAPK経路阻害と一致する。
β−カテニン及びYAPシグナル伝達に対する作用。β−カテニン及びYAP標的遺伝子に対する化合物1の細胞活性を評価した。結腸癌細胞株Colo205(BRAF V600E)培養物をDMSOまたは漸増濃度の化合物1で2、8または24時間処理した。Cell−To−CTキットを使用してRNAを抽出し、アクシン2、CTGF及びAREGに特異的なプローブを用いて定量PCRを実施した。β−アクチンに特異的なプローブを正規化のために使用した。
化合物1による処理は、アクシン2のRNA増加をもたらした(図190A)。化合物1は、Colo205(BRAF V600E)において、2、8及び24時間で、Hippo/YAP標的遺伝子(CTGF、AREG)の発現を有意に低下させた(図190A)。まとめると、これらのデータは、化合物1が、Colo205がん細胞において、Wntシグナル伝達に影響し、Hippoシグナル伝達を阻害することを示唆している。
化合物1による更なるYAP標的遺伝子に対する細胞活性を評価した(図190B〜E)。結腸癌細胞株Colo205及びHT−29の培養物をDMSOまたは0.3もしくは1μMの化合物1で6時間処理した。MagMAX Total RNA Isolationキットを使用してRNAを抽出し、CYR61、CITED2、CXCL1、ELF3、HAS2、HES1及びMAFFに特異的なプローブを用いて定量PCRを実施した。18S rRNAに特異的なプローブを正規化のために使用した。
両細胞株において、CYR61、CXCL1、HAS2、HES1及びMAFFのmRNAレベルが化合物1によって低下した。CYR61のmRNAレベルがColo205細胞で低下し、HT29で低下せず、CITED2のmRNAレベルがHT29で上昇し、Colo205で上昇しないという結果は、化合物1がColo205において細胞傷害性であり、HT29において細胞増殖抑制性であるという本発明者らの所見を説明し得る。化合物1による処理は、Colo205及びHT−29において、6時間でCITED2及びELF3のmRNAレベルの上昇をもたらした。(図190B)まとめると、これらの細胞データは、YAP経路阻害と一致する。
β−カテニン変異を有する細胞株における感受性評価。β−カテニン変異を有する細胞株に対する化合物1の作用を評価した。(図205及び図206A〜B)。化合物1は、変異β−カテニンを有する細胞株に対して効力を示した。かかる細胞株は、変異β−カテニンを特徴とする癌が、化合物1による治療に対してより感受性であることを示す。化合物1は、図207に示されるように、BRAF及びCTNNB1変異細胞株において、β−カテニン及びYAPを調節することが更に示された。化合物1はまた、図208A〜Bに示されるように、BRAF及びCTNNB1変異細胞株において、MAPK、β−カテニン及びYAPによって制御される標的遺伝子発現を調節する。
ウェスタンブロット。MAPK、WNT/β−カテニン及びHippo/YAP経路マーカーの化合物1による調節を標準的なウェスタンブロットによって評価した。LOX−IMVI、SW48及びColo−205細胞を6ウェルプレートに1ウェル当たり250,000細胞の密度で播種し、一晩付着させた。化合物1を0.03、0.1、0.3、1及び3μMの濃度で2、8及び24時間にわたって細胞に加えた。細胞を回収し、RIPA緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.4、150mM 塩化ナトリウム[NaCl]、0.25%デオキシコール酸、1% Nonidet P−40、1mM エチレンジアミン四酢酸[EDTA]、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害薬)で溶解した。細胞溶解物をドデシル硫酸ナトリウム(SDS)試料緩衝液中で加熱し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を使用して、1条件当たり40μgの細胞溶解物をゲルにロードし、分離した。タンパク質をニトロセルロース膜に移し、抗DUSP4、抗DUSP6、抗cMyc、抗サイクリンD1、抗YAP、抗アクシン2、抗HDAC5(ホスホS498)及び抗β−アクチン抗体を用いてイムノブロットを行った。膜をLicor Odysseyシステムでスキャンした。
定量ポリメラーゼ連鎖反応。MAPK、WNT/β−カテニン及びHippo/YAP経路遺伝子の化合物1による調節をリアルタイム(RT)−qPCRによって評価した。リシルオキシダーゼIMVI、SW48及びColo−205細胞を96ウェルプレートに1ウェル当たり20,000細胞の密度で播種し、一晩付着させた。化合物1を1nMから10μMまでのhalf log濃度で2、8及び24時間にわたって細胞に加えた。TaqMan Gene Expression Cells−to−CT Kitを製品マニュアルに従って使用して細胞を回収した。次に、RT−PCRを実施し、得られたcDNAをViiA7 Real−Time PCR System(Thermo Fisher Scientific)でのqPCR反応に使用した。TaqManプローブを使用してDUSP4、DUSP6、SPRY2、MYC、CCND1、アクシン2、CTGF、Cyr61、AREG及びACTB遺伝子の変化をモニタリングした。全ての遺伝子をACTB発現に対して正規化し、DMSOのみの対照に対するパーセンテージとして報告した。
遺伝子発現解析:BEpiCM増殖培地を入れたT−150フラスコ中でヒト気管支上皮細胞を培養し、80%コンフルエントにした。BEpiCM培地を入れた12ウェルのプラスチック培養プレート中で、細胞を1ウェル当たり150,000細胞で24時間培養した。24時間のインキュベーション後、細胞を対照のジメチルスルホキシド(DMSO)、0.1、1、10μMの化合物1で30分間処理した。次いで、細胞を100ng/mlの組み換えWnt3a(リン酸緩衝生理食塩水[PBS]で調製)、350pMのRSPO3(PBSで調製)またはWnt3とRSPO3の組み合わせで24時間刺激した。Qiagen Rneasy Mini Kitを製造元の説明に従って使用して、リボ核酸(RNA)を単離した。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)Taq−Manアッセイを使用して、アクシン2及び遺伝子発現を決定した。SuperScript(登録商標)III One−Step RT−PCR Systemを使用して定量PCR(qPCR)を実施し、Viia 7 Real−Time PCR Systemにかけた。データをグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼに対して正規化した。化合物1は、ヒト気管支上皮細胞において、アクシン2発現を阻害する。遺伝子発現を24時間で測定した。これらの結果から、化合物1がヒト気管支上皮細胞においてアクシン2発現を阻害することが示された。(図209)。
長期コロニーアッセイ。長期コロニー形成アッセイにより、がん細胞のコロニー形成を阻害する能力について、化合物1を評価した。細胞及び化合物を96ウェルプレートに加え、そのコロニー形成を最大8週間モニタリングした。アッセイ中、化合物及び培地を1週間ごとに補充した。IncuCyte ZOOM Systemにおける4倍イメージングにより、コロニー形成を検出した。化合物1は、β−カテニン変異細胞のコロニー形成を、MEK阻害薬(トラメチニブ)及びERK阻害薬(GDC0994)よりも高いレベルで阻害することを示した。SW48(結腸)細胞、HCT−116(結腸)細胞、AGS(胃)細胞及びHep3B(HCC)細胞を化合物1で処理すると、MEK阻害薬またはERK阻害薬による処理での阻害レベルよりも高い阻害レベルを示した。(図210A〜210D)。化合物1は、トラメチニブによるMEK阻害薬治療に耐性のあるAGS細胞のコロニー形成を驚くほど阻害することを更に示した。こうした結果は、化合物1が他の治療に耐性のあるがんの治療に有用であり得ることを示唆している。
免疫調節作用の評価。PD−L1発現レベルに対する化合物1の作用を評価した。細胞を化合物1の存在下または非存在下で指定の時間培養し、その後、PD−L1、DUSP4及びα−チューブリンまたはα−アクチンの発現レベルをウェスタンブロットによって測定した。PD−L1の表面レベルを検出するために、細胞をDMSOまたは指定濃度の化合物1で48時間処理し、PD−L1に対するAPC標識抗体(クローン29E.1A3.;BioLegend(San Diego,CA))を用いたフローサイトメトリー解析(FACS)を使用してPD−L1の細胞表面発現を検出した。PD−L1陽性細胞の幾何平均をFlowJo10(Treestar(Ashland,OR))によって決定した。
結論。化合物1は、HOP62、KARPAS−299及びLOX−IMVI(BRAF V600E)を含む複数のがん細胞において、PD−L1発現を直接阻害する(図191A)。FACS解析は、複数のがん細胞株において、表面PD−L1レベルも化合物1によって阻害されることを示している(図191B)。
化合物1によるPD−L1の下方制御によりT細胞活性化が向上するかどうかを決定するために、化合物で処理したKARPAS−299がん細胞を、低濃度のスーパー抗原(SEB)で刺激したPBMC由来T細胞と共培養した。KARPAS−299細胞をDMSO(D)または指定濃度の化合物1で48時間処理した。健康なドナーから得たPBMCを20ng/mlのSEBとともに、またはなしで48時間処理した。PBSで洗浄した後、PBMCをがん細胞とともに24時間インキュベートし、上清を採取し、Mesoscaleアッセイを使用してIL−2及びIFNγを測定した。
IL−2及びIFNγの上清レベルを、T細胞活性化の機能マーカーとして使用した。SEBの不在下では、化合物1で処理したKARPAS−299細胞と共培養したPBMCは、IL−2またはIFNγをほとんど産生しなかった。低濃度のSEB(20ng/ml)の存在下では、PBMCと共培養した化合物1で処理したがん細胞は、IL−2とIFNγの両方の産生レベルの上昇を示した(図192A〜B)。化合物1で処理したがん細胞におけるIL−2及びIFNγのレベル上昇は、抗PD−L1(Biolegend社製Ultra−LEAF(商標))の処理で観察されたレベルと同様であった。
IL−8レベルに対する化合物1の処理の作用をPBMC培地で決定した。PBMCを全血から単離し、RPMI培地+10%FBSで培養した。10cm2の皿にPBMCを1×106/mlで播種した。PBMCを0.1%DMSOまたは0.5μMの化合物1で処理した。指定時点で処理を終えた。IL−8解析のために培地(1mL)を使用した。IL−8解析は、Mesoscale V−Plex Human IL−8キットを製造元の説明書に従って実施した。化合物1は、異なる時点でIL−8レベルの阻害を示した(図192C)。
TEADレポーターアッセイ。ルシフェラーゼ発現(8xGTIIC−ルシフェラーゼ)を駆動するYAP/TAZ応答性合成プロモーターを安定的に発現するWI38 VA13細胞を使用して、TEADレポーター活性を解析した。1ウェル当たり10,000細胞を白壁96ウェルプレートに播種し、一晩置いた。16〜20時間後、細胞を化合物で処理し、Bright Gloルシフェラーゼアッセイ(Promega)を製造元の説明書に従って使用して、24または72時間後にTEADレポーター活性を測定した。このアッセイを化合物1について3回、トラメチニブについて2回実施した。図212を参照されたい。
生存率アッセイ。並行して、8xGTIIC−ルシフェラーゼを発現するWI38 VA13細胞10,000個を黒壁96ウェルプレートの各ウェルに播種した。16〜20時間後、細胞を化合物で24または72時間処理した。この時点で、血清及び化合物を含有する培地を除去し、100μlの血清不含培地及び100μlのCell Titer Fluor(Promega)と交換した。プレートを37℃で2時間インキュベートし、その後、蛍光出力値を読み取った。本アッセイは、生細胞のプロテアーゼ活性の測定に基づく。生存率アッセイを実施して、TEADレポーターに対する化合物の作用が、生存率に対する化合物の作用の結果ではないことを確認した。このアッセイを化合物1について3回、トラメチニブについて2回実施した。
結論。これらのデータは、化合物1による治療がT細胞活性化を増強することを示唆する更なる治療の仮定を提供するものである。in vitroデータは、化合物1が、MAPK経路などの主要な腫瘍形成性経路を阻害し、腫瘍微小環境において免疫チェックポイント分子PD−L1の発現を下方制御することによって、がん細胞に対するT細胞免疫を増強し得ることを示唆している。したがって、高レベルのPD−L1を発現するがん種(例えば、黒色腫、肺、RCCまたはHCC)は、化合物1に対して感受性であり得る。
動物モデル
異種移植モデル。異種移植モデル試験のために、ヒトがん細胞株をSCID(重症複合免疫不全症)マウスに注射した。がん細胞株は、in vitro培養で増殖させた。担腫瘍動物は、正確に定めた数の細胞をマウスに注射することによって作製した。動物への接種後、腫瘍を一定サイズまで成長させ、その後、無作為化した。所定サイズの範囲の異種移植腫瘍を有するマウスを一緒にプールし、各処置群に無作為化した。典型的な有効性試験デザインとし、1つ以上の化合物を様々な用量レベルで担腫瘍マウスに投与することを含んだ。更に、参照の化学治療薬(陽性対照)及び陰性対照も同様に投与し、維持した。試験中、腫瘍測定及び体重を取得した。
イソフルランを吸入させてマウスに麻酔をかけ、次いで、26ゲージの針を取り付けた滅菌1mLシリンジを使用して、LOX IMVI腫瘍細胞をPBS中の単一細胞懸濁液0.1mLで右後肢の上の皮下に接種した。動物への接種後、腫瘍を約75〜125mm3まで成長させるか、いくつかの場合には250〜400mm3まで成長させ、その後、マウスを無作為化した。各動物の腫瘍を測定し、適切な範囲の腫瘍を有する動物を試験に含めた。次いで、試験プールの動物を各ケージに無作為に分配し、ケージをビヒクル、陽性対照または試験物に無作為に割り当てた。全てのマウスの右耳に金属耳タグを付けた。典型的な群は、動物8〜10匹から構成された。典型的な異種移植試験のために、担腫瘍SCIDマウスを無作為化し、例えば、100mg/kg〜0.1mg/kgの範囲の化合物を、限定するものではないが、qd、q2d、q3d、q5d、q7d及びbidを含む、異なる投与スケジュールで投与した。1〜4週間マウスに投与した。測径器を使用して腫瘍を週2回測定し、式:W2×L/2を使用して腫瘍体積を算出した。
これらの試験の目的は、細胞株由来異種移植モデルLOX−IMVI(黒色腫)及びColo205(大腸)ならびにPDX1994060146(患者由来異種移植[PDX146])大腸異種移植モデルにおける化合物1の有効性を試験することであった。V600E BRAF変異を保有することから、これらのモデルを選択した。更なるPK/PD解析を実施して、PDX146異種移植モデルにおける経路バイオマーカーの化合物1媒介性阻害を調べた。
LOX−IMVI皮下黒色腫異種移植モデル。本試験の目的は、LOX−IMVI黒色腫異種移植モデルにおける化合物1の有効性を確認することであった。2つの用量レベルの化合物1(15及び30mg/kg)を試験したLOX−IMVI異種移植モデルでの1つの試験(図193)は、ビヒクル対照と比較して有意な腫瘍体積減少を示した(両方の用量レベルでp<0.001)。腫瘍退縮は、両方の用量レベルにおいて、動物9匹のうち9匹で確認され、各群の動物9匹のうち1匹は、試験終了時に無腫瘍であった。
別個の実験において、化合物1を0.2、1、5、10及び15mg/kgにてQDで8日間、経口投与した。LOX−IMVI異種移植モデルにおいて、化合物1の処置による用量依存性抗腫瘍活性が観察された(図194)。10mg/kg及び15mg/kgの用量レベルで腫瘍退縮が観察された。
Colo205皮下大腸異種移植モデル。Colo205皮下大腸異種移植モデル。これらの試験の目的は、Colo205大腸癌異種移植モデルにおける化合物1の有効性を試験し、1日2回(BID)投与が抗腫瘍活性に影響するかどうかを決定することであった。最初の実験において、化合物1を0.2、1、5、10及び15mg/kgで、QDで15日間、経口投与した。Colo205異種移植モデルにおいて、化合物1の処置による用量依存性抗腫瘍活性が観察された(図195)。BID投与が化合物1の抗腫瘍活性を増加させるかどうかを決定するために、スケジュール試験を実施した。Colo205異種移植モデルにおいて、化合物1の処置による用量依存性抗腫瘍活性が観察された(図196)。
PDX1994060146皮下大腸患者由来異種移植モデル。これらの試験の目的は、PDX1994060146(PDX146)大腸癌異種移植モデルにおける化合物1の有効性を試験し、BID投与が抗腫瘍活性に影響するかどうかを決定することであった。無増悪期間(TTP)試験を実施して、腫瘍成長に対する長期処置期間の効果を決定した。
最初の実験において、化合物1を1、5及び15mg/kgでQDまたは5及び15mg/kgでBIDにより22日間、経口投与した。PDX146異種移植モデルにおいて、化合物1の処置による用量依存性抗腫瘍活性が観察された(図197A〜B)。15mg/kgのBID投与は、15mg/kgのQD投与と比較して化合物1の抗腫瘍活性を増大させるようであった。
TTP試験において、化合物1を1、5及び15mg/kgに適切BIDで49〜77日間、経口投与した。化合物1の処置群には、処置期間中にわたって、群平均が約1200mm3の所定のエンドポイントに達するか、試験が終了するまで、投与を行った。ビヒクル対照群の終了(43日目)と化合物1処置群との間の時間として、腫瘍成長遅延(TGD)を算出した。TGDは、1、5及び15mg/kg処置群でそれぞれ8、12及び37日超えであった。(図198)
3つの異なる経路MAPK、Wnt及びHippoの活性を表すバイオマーカーがPDX146異種移植モデルにおいて阻害された。これらの経路バイオマーカーの持続的阻害は、24時間にわたって観察された。
β−カテニン変異SW48大腸異種移植モデルにおける化合物1の抗腫瘍活性。雌のSCIDマウスに2×106個のSW48腫瘍細胞を右脇腹に接種した。処置開始時に、マウスを処置群(n=10/群)に無作為化した。試験物による処置は、腫瘍が約110及び105mm3になった10日目に開始した。(図202A〜B参照。)黒の点線は、投与開始時の腫瘍体積である。左側のグラフは、用量反応試験である。右側のグラフは、試験中にわたって動物に投薬を維持した無増悪期間試験である。点線は、ビヒクル対照群が終了した28日目の腫瘍体積である。
同所性Hep3B2.1−7肝細胞癌異種移植における抗腫瘍活性。雌のSCIDマウスに動物1匹当たり2×106個のHep3B2.1−7腫瘍細胞を同所接種した。接種から7日後に動物を体重に基づいて処置群に無作為化し、処置を開始した(試験0日目)。サテライト群の定着率評価により、動物の100%で肝臓に腫瘍があることを確認した。化合物1による処置を開始し、化合物1をQDで21日間、経口投与した。本モデルで予想された平均体重の顕著な減少がビヒクル対照群で観察された。15mg/kgの化合物1で処置した動物は体重減少が最小であり、30mg/kgの化合物1処置群は平均体重の顕著な増加が観察された。試験終了日に、腫瘍を取り出し、重さを量った。個々の腫瘍重量及び各群の平均腫瘍重量±SEMをプロットした(図203)。阻害率をビヒクル対照に対して算出した。P値は、ダネットの事後検定を伴う一元配置ANOVAから得た。***=p<0.001。
C−Metで増幅された肝細胞癌患者由来異種移植モデルLI0612における化合物1の抗腫瘍活性。雌のSCIDマウスに肝細胞癌PDXモデルLI0612腫瘍片(直径2〜4mm)を右脇腹に移植した。処置開始時に、マウスを処置群(n=10/群)に無作為化した。試験物による処置は、腫瘍が約150mm3の大きさになった18日目に開始した。腫瘍成長は、投与期間にわたって、ビヒクル対照群及び化合物1処置群で進行した。化合物1の投与により成長速度の変化が認められ、これにより、30mg/kgの処置で有意な腫瘍成長阻害(TGI)が生じた(p=0.038、ビヒクル対照と比較)。図204を参照されたい。
BRAF変異患者由来異種移植モデルにおける薬物動態/薬力学的データ。化合物1によって阻害される既知のキナーゼ(ERK1/2、NLK及びSIK)に基づいて、化合物による処置の影響を、異種移植マウス由来のPDX146腫瘍におけるMAPK、β−カテニン及びHippo経路バイオマーカーにより評価した。担腫瘍マウス(腫瘍:約400mm3)を1または5mg/kgの化合物1の単回投与で処置した。投与から1、2、4、8及び24時間後に腫瘍組織を採取した。
腫瘍DUSP4、DUSP6及びSprouty(SPRY2)のmRNAレベルならびにpRSK及びpERKのタンパク質レベルを調べることによって、MAPK経路の調節を評価した。DUSP6のmRNAレベルは、化合物での処置により、投与2時間後から有意に低下し、両方の用量レベルで24時間にわたって抑制が持続した(図199A)。同様のパターンがDUSP4及びSPRY2のmRNAレベルで観察された(図200A〜B)。ホスホ−RSK(pRSK)及びホスホ−ERK(pERK)のタンパク質レベルは、化合物1による処置によって用量及び時間依存的に調節された(図201A〜D)。MAPKとWntの両シグナル伝達経路の下流であるcMyc(図199B)及びサイクリンD1(図200C)のレベルは、化合物1による処置で阻害された。化合物1による処置は、Wnt標的遺伝子アクシン2を上方制御した。両用量レベルでの化合物1による処置は、投与から24時間後、アクシン2のmRNAレベルの有意な上昇を示した。AREG(Hippo経路における下流標的遺伝子)のmRNAレベルの持続的阻害は、24時間にわたって観察された。更に、化合物1は、YAPタンパク質レベルを時間依存的に阻害した(統計的に有意ではない(図200D参照))。これは、SIK阻害及びHippo経路制御に起因するか、MAPK阻害の結果としての間接作用であると思われる。
これらのデータは、化合物1が、このBRAF変異大腸PDXモデルにおいて、単回投与後に、3つの異なる経路MAPK、Wnt及びHippoに影響を与えることを示唆している。
他の有効性モデルデータ:β−カテニン変異(SW48、大腸)及びβ−カテニン活性化モデル(同所性Hep3B、肝細胞)ならびにc−met増幅肝細胞PDXモデル(LI0612)を含む、更なる異種移植モデルにおいて、化合物1をプロファイリングした。全てのモデルにおいて、有意な抗腫瘍活性が観察された。
結論:有意な用量依存性抗腫瘍活性が3つの全てのBRAF変異異種移植モデルで観察された(図202A〜B、図203及び図204参照)。化合物1による処置によりモデル全体において腫瘍退縮が観察され、PDX146モデルにおける長期処置により有意な成長遅延があった。
患者選定及び腫瘍適応症。化合物1のin vitro及びin vivoデータに基づいて、患者選定の仮定及び腫瘍適応症を表49及び表50に概説する。
多数の参考文献を引用したが、その開示全体は、参照により本明細書に援用される。
開示されている実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当業者であれば、上に詳述される特定の例及び試験が本発明の単なる例示であることを理解するであろう。様々な変更が本発明の趣旨から逸脱することなくなされ得ることは理解されよう。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。