JP2019511682A - ボールジョイント - Google Patents

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Abstract

本発明は、可変摩擦抵抗を有する、特に車両の為のボールジョイント(1)であって、ジョイントボール(3)を有するボールピボット部(2)を有し、ジョイントボールは、ジョイントハウジング部(4)に対して柔軟に支承されているようこれに収容されており、その際、ジョイントハウジング部(4)は、互いに相対的に移動可能な二つのハウジング部材(5,6)を有し、これらハウジング部材は、反対側でジョイントボール(3)と係合し、そして、ギア(7)を有し、このギアによって、ジョイントボール(3)に可変圧力を及ぼすために、ハウジング部材(6)の少なくとも一つが動かされることが可能であるボールジョイントに関する。
発明に従い、ギア(7)が、第一及び第二のギア要素(8,9)を有し、これらに、回転軸に対して螺旋状に延びる各一つのボール軌道(11,12)が形成されており、その際、第一及び第二のギア要素(8,9)が、軸方向(10)において、ギア要素(8,9)のボール軌道(11,12)の間に案内される少なくとも一つのボールを介して互いに支持されており、そして、第一のギア要素(8)が、軸方向にスライド可能に支承されており、そして可動なハウジング部材(6)と圧力接触状態にすることが可能であり、他方、第二のギア要素(9)は、回転軸(10)を中心とした回転可能に支承されているので、第二のギア要素(9)の回転によって、可動なハウジング部材(6)に軸方向力(F)を及ぼすために、第一のギア要素(8)が軸方向にスライドさせられることが可能であることが提案される。

Description

本発明は、特に、車両の為の物であり、請求項1の上位概念に従う可変摩擦抵抗を有するボールジョイントと、請求項16に従うギアに関する。
ボールジョイントは、長いこと、車両中、特にシャシー中で異なる構造で使用されてきた。これらは、極めて一般的には、二つの部材を回転可能に、かつ揺動可能に互いに接続するために使用される。ボールジョイントは、基本的構造要素として、ボールピボット部と、ジョイントハウジング部を有する。ボールピボット部は、その際、ジョイントボールを有する。ジョイントボールは、ジョイントハウジング部に収容される。その結果、ボールピボット部は、ジョイントハウジング部に対して柔軟に支承されている。意図した通りの回転動作、又は揺動動作に基づいて発生するボールピボット部のジョイントハウジング部に対する相対動作は、ボールピボットの表面とジョイントハウジング部、又はジョイントハウジング部に属する支承シェルの間に摩擦を発生させる。この摩擦は、ボールピボット部のジョイントハウジング部に対する動作の際、抵抗となる。
様々な理由から、所定の使用の為にはボールジョイントにおいて、ボールジョイントの摩擦抵抗にアクティブに影響を与えることを可能とするという要求がある。構造上の観点では、例えばこれは、ジョイントハウジング部が、互いに相対的に移動可能な二つのハウジング部材を有し、これらが、ジョイントボールの向かい合った側を挟持するよう係合することによって実現される。その際、両方のハウジング部材の少なくとも一方が動かされることが可能である。そのようにしてジョイントボールを互いに移動可能なハウジング部材の間に異なる程度だけ挟み込むためである。ジョイントボールに及ぼされる圧力に応じて、このようにてボールジョイントの摩擦抵抗に積極的に影響が及ぼされることが可能である。
可変な摩擦抵抗を有するボールジョイントの具体的な実施は、特許文献1より公知である。そこに開示されるボールジョイントは、ジョイントハウジング部においては、ジョイントハウジング部は、静的なハウジング部材と、リングの形式の、これに対して軸方向に移動可能なハウジング部材を有している。ボールジョイントには、更に、一つのギアが割り当てられている。これは、ねじのロータリー式の移動(回転)を、ハウジングリングの変換的・並進的な移動(スライド)へと変換し、そのようにしてハウジングリングを介して可変圧力をジョイントボールに及ぼす。ロータリー式の移動を変換・並進的な移動に変換するために、ギア内には三つのボールが設けられている。これらによって、其々、独自にスパイラル状で、軸方向に上昇するボール軌道(回転可能な第一のギア部分のボール軌道)が案内されている。この第一のギア部分は、これら複数のボールを介して、ハウジング固定の第二のギア部分に支持されており、それによって、第一のギア部分の軸方向の位置が調整された回転角度に応じて変化する。使用されるギアは、例えばスピンドルドライブよりも明らかに高い効率を有するが、しかし、必要とされる、スパイラル状の、軸方向に上昇する複数(三つ)のボール軌道が製造上、技術的に高価であり、そして更に、可能な回転角度と、ひいてはギアのストロークと、更には使用可能なボールの数量が著しく制限されるというデメリットがある。更に、スパイラル状のボール軌道が軸方向における投影において交差して延びていることは、運動学的な観点において理想的で無い案内の原因となる。これは、回転摩擦が低いことと共に、滑り摩擦が高いというデメリットを引き起こす。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10 2011 075 323 A1号
よって、本発明の課題は、冒頭に記載した形式のボールジョイントであって、安価に製造可能であり、可能な限り高く可能な回転角度に基づいて、比較的高いギアストロークを有し、そして三つより多いボールを有し形成されることが可能であるものを提供することである。本発明の別の課題は、そのようなボールジョイントの為のギアを提供することである。
この課題は、請求項1に記載のボールジョイントによって解決される。その際、ボールジョイントは、可変摩擦抵抗を有するものであり、特に車両に適しており、そして基本的に、ジョイントボールを有するボールピボット部と、特別な形式に形成されるギアを有する。その際、ジョイントボールは、ジョイントハウジング部内に収容されている。これに対して柔軟に、又はジョイント式に(独語:gelenkig)支承されているためである。その際、ジョイントハウジング部は、互いに相対的に移動可能な二つのハウジング部材を有する。これらは、ジョイントボールの互いに反対側の面に係合する。ギアによって、ハウジング部材の少なくとも一方が動されることが可能である。可変圧力をジョイントボールに及ぼすためである。発明に従いボールジョイントは、ギアが、第一及び第二のギア要素を有し、これらに、回転軸に対して螺旋状に延びる少なくとも各一つのボール軌道が形成されており、その際、第一及び第二のギア要素が軸方向で、ギア要素のボール軌道の間に案内される少なくとも一つのボールを介して互いに支持されていることにおいて際立っている。その際、第一のギア要素は、軸方向にスライド可能に支承されており、そして可動なハウジング部材は圧力接触状態とされ得る。他方で、第二のギア要素は、回転軸を中心として回転可能に支承されているので、第二のギア要素の回転によって、第一のギア要素は軸方向にスライドされることが可能である。可動なハウジング部材に軸方向力を及ぼすためである。
使用されるギアが、ギア要素のボール軌道の間に案内される少なくとも一つのボールによって、唯一の螺旋状に延びるボール軌道に沿って案内されることによって、ギアによって既に低い駆動トルクにおいても、比較的高い軸方向力が発生させられることが可能であり、その際ギアは、比較的低い構造空間を有する。各ギア要素に、其々、唯一のボール軌道が形成されており、このボール軌道が、更に、ボール軌道の螺旋状の延在によって、軸方向の投影において円形状、又は部分円形状であるので、ギア要素の製造は、特許文献1に記載の解決策に比べて明らかに簡単となる。少なくとも一つのボールが螺旋状に延びるボール軌道に案内されることによって、ギアを有するボールジョイントにおいて、(第二のギア要素の)回転角度と、第一のギア要素の軸方向の戻り調整ストロークの間に、堅固な関係が生じ、これによって可動なハウジング部材に作用する軸方向力が及ぼされる。及ぼされる軸方向力は、第二のギア要素の回転角度によって正確に調整されることが可能である。
第一及び第二のギア要素は、其々、異なる構造の部材であることが可能である。目的に適い、これらは其々、少なくとも領域的にディスク形状である物体として形成されている。その一方の軸方向の面に、ボール軌道を収容するよう周回する各一つの傾いた面が形成されている。目的に適い、両方のギア要素のボール軌道を有する軸方向の面は、互いに向き合っている。少なくとも一つのボールは、ボール軌道の間に配置され、そしてギア要素の互いの支持の為に使用される。その際、少なくとも一つのボールは、必要に応じて両方のギア要素に沿って転動可能である。ギアの調整を可能とするためである。
本発明の有利な発展形は、ギア要素の間に案内されるボールの数量は、少なくとも三つ、好ましくはちょうど三つである。原理的には、ボールジョイントにおいて使用されるギアは、唯一のボールのみを設けられていることが可能である。その基本機能を満たすためである。この為、しかし、ギア要素の互いの支持が静的に定められないので、ギア要素の相応した支承が行われる必要がある。特に特別な発展形に従い、ちょうど三つのボールがギア要素の間に案内されるとき、第一及び第二のギア要素が、互いに静的に決定されて支持されるというメリットが生じる。基本的に、ボールの数量が上昇すると、両方のギア要素における面押圧が減少するといえる。よって、三より多いボールが使用されることも可能である。部材負荷をできる限り低く保つためである。しかし、この場合、両方のギア要素の支持の統計的過剰決定(独語:Ueberbestimmtheit)が存在する。よって三つのボールの数量は、特に有利であると解される。
使用するギアのボールジョイントの操作の為に、合目的的には、第二のギア要素、つまり回転軸を中心として回転可能に支承されたギア要素が、形状結合的係合手段を介して外から回転駆動可能である。構造的な観点においては、形状結合的な係合手段は、好ましくは、第二のギア要素に形成されたかみ合せ(独語:Verzahnung)である。このかみ合せは、有利には電動モーター、又はモーターギアユニットの駆動軸によって例えば移動可能であることが可能である。かみ合せは、その際、例えば、いわゆるウォームギアのウォームホイールとして使用されることが可能であり、その際、電動モーターの駆動軸には、ねじ形状のウォームが形成されている。このウォームは、ウォームホイールと係合し、これを駆動する。第二のギア要素の駆動の為のウォームギアのメリットはセルフロッキング作用である。
基本的に、少なくとも一つのボールは、両方のギア要素の各々の境界を接する各ボール軌道によってのみ案内される。特に、好ましいように、複数、特に三つのボールが使用されるとき、ギア要素の間には、ボール軌道に沿って少なくとも一つのボールを案内する為のボールケージが設けられている。その際、ボールケージは、複数のボールを互いに所定の間隔に保持する機能を担い、そしてその他に、ボールのロストを防止するために使用される。ボールケージは、例えば金属から、プラスチックから、又は繊維強化プラスチックから製造されていることが可能である。
ボールケージは、好ましくは、基本的にディスク形状の部材である。これは、好ましくは、その中心軸が、ボールジョイントの回転軸と一致するよう配置されている。ギアの操作の際、第二のギア要素は回転軸を中心として回転する。結果、少なくとも一つのボールと、これを案内するボールケージは、第二のギア要素と同じ回転方向で回転軸を中心として回転することとなる。
コンパクトな構造を達成するために、及び少なくとも一つのボールを確実に案内するために、ボールケージは、その軸方向面に、好ましくは一つの外輪郭、つまり基本的に、隣接するギア要素の各対向外輪郭に対して補完的に形成されている外輪郭を有する。
合目的的には、ボールケージには、各ボールを少なくとも部分的に収容する為の、複数の、ボールの数量に相当する切欠き部が設けられている。
両方のギア要素の間に案内される少なくとも一つのボールの特に確実な案内は、第一及び第二のギア要素と、好ましくはボールケージもが、組立状態で形状結合的に互いに接続されており、その接続が、回転軸に対して垂直な面内におけるこれら部材の並進的・変換的移動を形状結合が防止するよう行われているが、当該部材が、回転軸を中心として互いに回転可能であるとき、図られ得る。上述した作用は、構造的には、第一のギア要素に、シリンダー状の部分が形成され、この部分が、ボールケージ内のシリンダー状の貫通開口部を貫通し、そして、第二のギア要素のシリンダー状の切欠き部内に没入していることによって、特に有利に図られることが可能である。記載した形状によって、第一及び第二のギア要素と、ボールケージが、回転軸に垂直な面内で、互いにスライド不可能であるが、しかし回転軸を中心として互いに回転可能であり、ギアの機能を実施することができるということが保証される。
ギアの出発位置の決定の為、本発明の有利な発展形に従い、第一及び第二のギア要素には、各一つのストッパーが形成されている。このストッパーは、ボールケージに形成される各一つのストッパーと対応している。ストッパーを提供することによって、ギアは、ストッパーと相応する衝突・接触により、常に既知の出発位置に移動させられることが可能である。この位置は、先の運転において、ボールに発生するスリップによって去られ得る位置である。
発明に従い、第一のギア要素は、軸方向にスライド可能に支承されている。そのような軸方向にスライド可能な支承は、様々な方法で実現されることが可能である。その際、第一のギア要素には、この目的の為、有利には回転防止部が付設されている。回転防止部は、軸方向のスライド可能性の実現の際、第一のギア要素の回転軸を中心とした回転を防止する。
確実な運転を補償するために、少なくとも一つのボールが、両方のギア要素のボール軌道の間に存在するということが、ことが常に保証されているべきである。よって有利には、ギアにはばねユニットが付設されている。これによって、両方のギア要素が、軸方向に互いに予負荷を与えられることが可能である。ばねユニットによってもたらされる予負荷力は、このようにして、少なくとも一つのボールが、両方のボール軌道によって予め定められるその案内軌道を去るということを効率的に防止することができる。
ボールジョイントにおける摩擦抵抗が可能な限り正確に調節されることが可能であるように、ボールジョイントは、有利には、第二のギア要素の調整された回転角度が、可動なハウジング部材へ及ぼされる軸方向力に割り当てられ、そして、記憶されるということを可能にする装置によって際立っている。当該装置は、好ましくは、回転角度と軸方向力の間の記憶された関係に基づいて、所望の軸方向力の調整の為に必要な第二のギア要素の回転角度を与えるよう運転可能である。
当該装置は、更に、請求項16に記載のギア、特に上述したボールジョイントの為のものに関する。ギアは、第一及び第二のギア要素を有し、これらに、各一つの、回転軸に対して螺旋状に延びるボール軌道が形成されている。その際、第一及び第二のギア要素は、軸方向において、当該ギア要素のボール軌道の間に案内される少なくとも一つのボールを介して互いに支持されており、そしてその際、第一のギア要素は、軸方向にスライド可能に支承されており、他方で、第二のギア要素は、回転軸を中心として回転可能に支承されているので、第二のギア要素の回転によって第一のギア要素は軸方向にスライドされることが可能である。
本発明を以下に、実施例に基づき、及び変形に基づいて、その詳細を説明及び記述する。表された実施例及び変形から、本発明の別の有利な効果が生ずる。
ボールジョイントの一つの実施例の側面図、簡略図 図1に示されたボールジョイントが有利に使用されることが可能であるギアの斜視図 図2のギアの分解図 図2のギアの第一のギア要素(下側のボールランプ)と、その上に存在する三つのボールの斜視図 図4の第一のギア要素(下側のボールランプ)と、その上に配置された複数のボールの上面図 図2に示されたギアのボールケージの上面図 変更されたボールケージの上面図 図2のギアの斜視図、斜め下からの図
図1は、本発明のある実施例に従う可変摩擦抵抗を有するボールジョイント1を、簡略断面図にて示す。ボールジョイント1は、様々な適用範囲において使用されることが可能である。これは例えば、車両の二つの部材、特にそのシャシーの二つの部材を柔軟に接続するために使用される。ボールジョイントは、ボールピボット部2を有する。ボールピボット部は、ジョイントボール3を有している。ボールピボット2のジョイントボール3は、ジョイントハウジング部4に収容され、これに対してジョイント式に支承されている。よってボールピボット部2は、ジョイントハウジング部4に対して回転可能、かつ揺動可能である。
ジョイントハウジング部4は、その際、互いに相対的に移動可能な二つのハウジング部材5,6を有している。これらハウジング部材は、ジョイントボール3の向かい合った側に係合する。ハウジング部材5は、その際、静的なハウジング部材を形成し、そしてジョイントボール3をピボットネックの方の側において支持する。他方で、ハウジング部材6は、可動なハウジング部材である。これは、ピストン同様に、シリンダーとして機能する静的なハウジング部材5の中に配置されており、そして軸10の方向にスライド可能である。軸は、ジョイント軸、及び、更に説明する回転軸と一致する。ボールジョイント1の右横に記載された両矢印に相応する軸10の方向の可動なハウジング部材6のスライドによって、静的なハウジング部材5と可動なハウジング部材6の間に形成される中間空間が拡大、又は縮小される。このようにして中間空間内に存在するジョイントボール3をこれら両ハウジング部材5,6の間の可変圧力でもって挟み、そしてこれによってボールジョイント1の摩擦抵抗に影響を与えるためである。示された実施例においては、ボールピボット部2のジョイントボール3は、直接でなく、変形可能な材料から製造された一つの共通な支承シェル25を介してハウジング部材5,6と接触している。
ジョイント領域への汚染、又は湿気の進入を防止するために、ハウジング5,6は、周回するシール22によって互いにシールされている。それ自体で見ると知られており、よって詳細には表されていないが、ボールジョイント1は、そのハウジング開口部(ボールピボット部2の方のジョイントハウジング部4の開口部)において、シールベローズによって外側の周囲に対してシールされている。その際、シールベローズの端部は、ジョイントハウジング部4に固定されている。他方で、シールベローズの反対の端部は、ボールピボット部2に固定されている。
可動なハウジング部材6の上には、表された実施例においてはこれに直接隣接して、ギア7が設けられている。このギアは、回転軸10を有する。回転軸は、ボールジョイント1のジョイント軸と一致している。ギア7(その構造及び機能は後続する図に詳細に説明される)は、移動するハウジング部材6が軸方向に、つまり回転軸10の方向に移動することが可能であることに供する。このようにして可変圧力をジョイントボール3に及ぼすことができるようにするためである。特に、ギアによって軸方向力F(図1においては矢印によって示唆されている)はハウジング部材6に及ぼされることが可能である。ギア7の構造は、以下に詳細に説明される。
図2はギア7を示す。このギアは、図1に示されているようなボールジョイント1において使用されることが可能である。図2に組み立てられた状態で斜視図で示されるギア7は、更に、図3から6及び図8に完全に、又は、個々のコンポーネントに基づいて表されているので、以下の説明は、前記した図の全てに関する。その際、同じ参照符号は同じ部材を示し、そして繰り返しを防止するために、図に表された実施例の説明は一度のみ行われる。
図2に示されたギア7は、第一のギア要素8と第二のギア要素9を有する。第一のギア要素8と第二のギア要素9の間にはボールケージ14が配置されている。第二のギア要素9は、より大きな直径の円形ディスク形状の領域を有し、そしてこれに隣接する、これに対して小さな直径を有する領域を有している。この領域には、駆動歯部17が形成されている。駆動歯部17は、部分的にのみ表されたウォームギアのウォームホイールを形成する。特に、第二のギア要素9は、駆動歯部17によってウォームを介して駆動されることが可能である。ウォームは、例えばモーター軸に配置されている。
ボールケージ14と、第一のギア要素8は、図2に見て取ることができる領域においては、基本的に外観上ディスク形状に形成されている。第一のギア要素8、第二のギア要素9及びボールケージ14は、回転軸10に対して同軸に配置されており、そしてこの回転軸10を中心として回転可能である。ギア7の右に記載された両矢印によって示唆されているように、第二のギア要素9が、第一のギア要素8に対して取る相対的な回転角度に応じて、第一のギア要素8と第二のギア要素9の間の軸方向の間隔は変化する。
図3は、回転軸10に沿ったギア7の分解図を示す。図から、第一のギア要素8は、大きな直径を有する円形ディスク形状の領域と、これに対して小さな直径を有するシリンダー状の部分16を有する。第一のギア要素8は、部分的に金属から製造されている。第一のギア要素8が、下側(図1の可動のハウジング部材6の方の側)において平らに延びている一方で、第一のギア要素8の第二のギア要素9の方側においては、周回する傾斜面を形成している。この傾斜面内には、ボール軌道11が作り込まれている。このボール軌道は、回転軸10に対して螺旋状に伸びている。ボール軌道11は、軸方向下側の面に対して少ない軸方向間隔を有する出発点から、大きな軸方向間隔を有する終点まで上昇している。ボール軌道11の終点の領域には、第一のギア要素8における周囲領域に、軸方向に延びる溝が形成されている。この溝は回転防止部15として使用される。回転防止部15によって、第一のギア要素8が、回転軸10の方向において軸方向には移動可能であるが、しかし回転軸を中心として回転不能であることが保証されることが可能である。よってギア要素8は、スライド可能なボールランプとも称され得る。
図4及び5に表されているように、第一のギア要素8に形成されたボール軌道11は、三つのボール13を収容するのに使用され、その際、これら三つのボール13は少なくとも部分的にボール軌道11の上を転動可能である。特に図5には、ボール軌道11はその軸方向の投影が、部分円形状に伸びている、つまりボール軌道11の回転軸10に対する間隔が一定であることが見て取ることができる。
図3から、ボール軌道11上を案内される三つのボール13が、ボールケージ14によって互いに所定の間隔に保持されることを見て取ることが可能である。三つのボールケージ14は、繊維強化プラスチックから成る基本的にディスク形状の部材である。これは、中央に中央の貫通部24を有する。貫通部は、ギア7の組立状態で、第一のギア要素8に形成されるシリンダー状の部分16によって貫通される。ボールケージ14内には、更に、三つのボール13の其々の為に丸い切欠き部23が形成されている。これらは、それぞれ一つのボール13を少なくとも部分的に収容する。各ボール13は、その際、周囲部分において属する切欠き部23内に案内される。
純粋な円形ディスク形状と異なり、ボールケージ14は、その両側の軸方向面において隣接するギア要素8,9の各対向する外輪郭に対して基本的に補完的な外輪郭を有する。換言すると、ボールケージ14の両方の軸方向面には、其々一つの、周回する傾斜面が形成されており、それらが伸びる様子は、各対向するギア要素8,9の傾斜面に対応している。第二のギア要素9に形成された傾斜面と、これに形成されたボール軌道12は、図3の描写からは直接には見て取ることができないことを付言する。よって、第二のギア要素9の下側には、第一のギア要素8のボール軌道11に対して補完的なボール軌道12が、相応して周回する傾斜面に形成されている。
第一のギア要素8にも、第二のギア要素9にも、各一つのストッパー18が形成されている(図4からは、第一のギア要素8のストッパー18のみが見て取ることができる)。このストッパーは、ギア7の出発位置の決定の為に、ボールケージ14に形成されたストッパー20と対応している。ギア要素8,9、又はボールケージ14におけるストッパー18又は20は、当該部材に形成された各傾斜面における出発領域と終点領域の間の軸方向のずれを架け渡す。
図6の描写に従い、ボールガイド穴23は、周囲に均等に(つまり120度の間隔で)分配されてはおらず、ボール軌道の進行上で最初のボールと最後のボールの間に120度を超える角度αを生じる。これによって、ギア7は全体として、第一のギア部分8と第二のギア部分9の間に約230度の高い最大達成可能回転角度を有する。大きな回転角度は、ギア7の達成可能な軸方向ストローク(ギアストローク)を大きくする。
図7に表された、ボールケージ30の変更された実施形に従い、これは代替的に、五つのボールガイド穴31が設けられていることが可能である。これによって上述した形式のギアは、上述したような方式で五つのボールと共に運転されることも可能である。そのようなギアは、第一のギア部分に対する第二のギア部分の支持に関して過剰であるが、しかしボールの数量が多くなっていることによってボール軌道における面圧と、これにともない各部材要求が減少される。
続いて図8は、先ほど図2から6に基づいて説明したギア7を斜め下からの斜視図で示す。特に、この図から、第一のギア要素8の周囲領域に形成された軸方向に延びる溝は、ここではピボットとして形成されており、このピボットが、回転防止部15として作用するのが見て取れる。よって、適当に形成されたハウジング装置においてギア7を相応して収容部することによって、第一のギア8が軸方向で移動可能に案内されることが可能であり、その際、回転軸10を中心とした回転が防止される。
第一のギア要素8の下側には、つまり、第一のギア要素8の移動可能なハウジング部材6の方の側には、ばね要素21が設けられている。これは、コイルバネとして形成されている。このばねはボールジョイント1の組立状態において可動なハウジング部材6(図1参照)に支持されており、そして、第一のギア要素8が第二のギア要素9に対して予負荷を与えられることに供する。よって、例えば接触が失われることによるボールのロスト、及び/又はスリップが防止される。
よって機能方式に関して、スライド可能なボールランプの形式の第一のギア要素8と、回転可能なボールランプの意味における第二のギア要素8を有するギア7が存在する。これらには、回転軸10に対して螺旋状に伸びる各一つのボール軌道11,12が形成されている。第一のギア要素8と、第二のギア要素9は、軸方向において三つのボール13を介して互いに支持されている。これらは、ギア要素8,9に形成される、向かい合ったボール軌道11,12の間に案内され、そしてこれにそって転動可能である。第一のギア要素8は、軸方向において軸方向にスライド可能に支承されている。他方で第二のギア要素9は、回転軸10を中心として回転可能に支承されている。螺旋状に伸びるボール軌道とその間に配置される三つのボールの作用によって、回転軸を中心とした第二のギア要素の回転によって第一のギア要素が軸方向にスライドされることとなる。よってギア7は、第二のギア要素9に(駆動側に)導かれる回転動作を、高効率で、第一のギア要素8(被動側)の軸方向における変換的な(並進的、独語:translatorisch)動作へと変換する。可動なハウジング6を有するギア7を機械的に圧力接触状態へとすることが可能であることによって、ギア7の調整によって、軸方向力Fが可動なハウジング部材6へと及ぼされることが可能であり、これによって結果として、第二のギア要素9の回転角度に応じる圧力と、これに伴いボールジョイント1の可変な摩擦抵抗が調整されることが可能である。
1 ボールジョイント
2 ボールピボット部
3 ジョイントボール
4 ジョイントハウジング部
5 静的なハウジング部材
6 可動なハウジング部材
7 ギア
8 第一のギア要素(スライド可能なボールランプ)
9 第二のギア要素(回転可能なボールランプ)
10 回転軸、ジョイント軸
11 ボール軌道
12 ボール軌道
13 ギアボール
14 ボールケージ
15 回転防止部
16 シリンダー状体
17 駆動歯部
18 ストッパー
19 周回する傾斜面
20 ストッパー
21 ばね要素
22 シール
23 ボールガイド穴
24 貫通部
25 支承部シェル
30 ボールケージ
31 ボールガイド穴
α 角度
F 軸方向力

Claims (16)

  1. 可変摩擦抵抗を有する、特に車両の為のボールジョイント(1)であって、
    ジョイントボール(3)を有するボールピボット部(2)を有し、ジョイントボールは、ジョイントハウジング部(4)に対して柔軟に支承されているようこれに収容されており、その際、ジョイントハウジング部(4)は、互いに相対的に移動可能な二つのハウジング部材(5,6)を有し、これらハウジング部材は、反対側でジョイントボール(3)と係合し、そして、
    ギア(7)を有し、このギアによって、ジョイントボール(3)に可変圧力を及ぼすために、ハウジング部材(6)の少なくとも一つが動かされることが可能であるボールジョイントにおいて、
    ギア(7)が、第一及び第二のギア要素(8,9)を有し、これらに、回転軸に対して螺旋状に延びる各一つのボール軌道(11,12)が形成されており、
    その際、第一及び第二のギア要素(8,9)が、軸方向(10)において、ギア要素(8,9)のボール軌道(11,12)の間に案内される少なくとも一つのボールを介して互いに支持されており、そして、
    第一のギア要素(8)が、軸方向にスライド可能に支承されており、そして可動なハウジング部材(6)と圧力接触状態にすることが可能であり、他方、第二のギア要素(9)は、回転軸(10)を中心とした回転可能に支承されているので、第二のギア要素(9)の回転によって、可動なハウジング部材(6)に軸方向力(F)を及ぼすために、第一のギア要素(8)が軸方向にスライドさせられることが可能であることを特徴とするボールジョイント。
  2. 第一及び第二のギア要素(8,9)が、其々、少なくとも領域的にディスク形状体として形成されており、これらの一方の軸方向の面に、ボール軌道(11、12)を収容する周回する各一つの傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボールジョイント。
  3. ギア要素(8,9)の間に案内されるボール(13)の数量が、少なくとも三つ、好ましくはちょうど三つであることを特徴とする請求項1または2に記載のボールジョイント。
  4. 第二のギア要素(9)が、形状結合的な係合手段(17)を介して、特にこれに形成される歯部を介して、外部から回転駆動可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のボールジョイント。
  5. ギア要素(8,9)の間に、ボール軌道(11,12)に沿った少なくとも一つのボール(13)の案内に使用されるボールケージ(14)が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のボールジョイント。
  6. ボールケージ(14)が基本的にディスク形状の部材であることを特徴とする請求項5に記載のボールジョイント。
  7. ボールケージ(14)が、その軸方向面に、隣接するギア要素(8,9)の各対向外輪郭に基本的に補完的に形成されている外輪郭を有することを特徴とする請求項5または6に記載のボールジョイント。
  8. ボールケージ(14)に、ボール(13)の少なくとも部分的な収容の為の、ボール(13)の数量に相当する複数の切欠き部(23)が設けられていることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載のボールジョイント。
  9. 第一及び第二のギア要素(8,9)と、好ましくはボールケージ(14)もが、組立状態において、形状結合が、これら部材(8,9,14)の、回転軸に垂直な面内における変換的又は並進的な移動を妨げるが、これら部材(8,9,14)が回転軸(10)を中心として互いに回転可能であるように、互いに形状結合的に接続されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のボールジョイント。
  10. 第一のギア要素(8)に、シリンダー状の部分(16)が形成されており、この部分が、ボールケージ(14)内のシリンダー状の貫通開口部(24)を貫通し、そして第二のギア要素(9)のシリンダー状の切欠き部に没入していることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のボールジョイント。
  11. 第一及び第二のギア要素(8,9)に、各一つのストッパー(18)が形成されており、このストッパーが、ギア(7)の出発位置の決定の為、ボールケージ(14)に形成されたストッパー(20)と其々対応していることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のボールジョイント。
  12. 第一のギア要素(8)に回転防止部(15)が割り当てられ、この回転防止部が、軸方向のスライド性を確立しながら、回転軸(10)を中心とした第一のギア要素(8)の回転を防止することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のボールジョイント。
  13. ギア(7)に、ばねユニット(21)が割り当てられており、このばねユニットによって、両方のギア要素(8,9)が軸方向において互いに予負荷を与えられていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のボールジョイント。
  14. 装置が設けられ、この装置によって第二のギア要素(9)の調整された回転角度が、可動のハウジング部材(6)に及ぼされる軸方向力に割り当てられ、そして記憶されることが可能であることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のボールジョイント。
  15. 装置が、蓄えられた回転角度と軸方向力の間の関係に基づいて、所望の軸方向力の調整の為に必要な第二のギア要素(9)の回転角度を与えるよう作動可能であることを特徴とする請求項14に記載のボールジョイント。
  16. 特に、請求項1から15のいずれか一項に記載のボールジョイント(1)の為のギア(7)であって、第一及び第二のギア要素(8,9)を有し、これらに、回転軸(10)を中心として螺旋状に延びる各一つのボール軌道(11,12)が形成されており、その際、第一及び第二のギア要素(8,9)が軸方向(10)において、ギア要素(8,9)のボール軌道(11,12)の間に案内された少なくとも一つのボール(13)を介して互いに支持されており、そしてその際、第一のギア要素(8)が、スライド可能に支承されており、他方で、第二のギア要素(9)が、回転軸(10)を中心として回転可能に支承されているので、第二のギア要素(9)の回転によって、第一のギア要素(8)が軸方向にスライドさせられることが可能であることを特徴とするギア(7)。
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