JP2019510132A - 銅−亜鉛合金からなる摺動部材 - Google Patents

銅−亜鉛合金からなる摺動部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2019510132A
JP2019510132A JP2018536435A JP2018536435A JP2019510132A JP 2019510132 A JP2019510132 A JP 2019510132A JP 2018536435 A JP2018536435 A JP 2018536435A JP 2018536435 A JP2018536435 A JP 2018536435A JP 2019510132 A JP2019510132 A JP 2019510132A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
sliding member
copper
content
alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018536435A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6790101B2 (ja
Inventor
ハンス アチーム クアン
ハンス アチーム クアン
スサンヌ ボウム
スサンヌ ボウム
トビアス ネウブランド
トビアス ネウブランド
ツァム ガーハード
ツァム ガーハード
ヴォッガサー ボルガー
ヴォッガサー ボルガー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Wieland Werke AG
Original Assignee
Wieland Werke AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Wieland Werke AG filed Critical Wieland Werke AG
Publication of JP2019510132A publication Critical patent/JP2019510132A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6790101B2 publication Critical patent/JP6790101B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C9/00Alloys based on copper
    • C22C9/04Alloys based on copper with zinc as the next major constituent
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/02Parts of sliding-contact bearings
    • F16C33/04Brasses; Bushes; Linings
    • F16C33/06Sliding surface mainly made of metal
    • F16C33/12Structural composition; Use of special materials or surface treatments, e.g. for rust-proofing
    • F16C33/121Use of special materials
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2204/00Metallic materials; Alloys
    • F16C2204/10Alloys based on copper
    • F16C2204/14Alloys based on copper with zinc as the next major constituent

Abstract

本発明は、(重量%で)以下の成分:
Cu 60.0から64.0%まで、
Si 0.2から0.5%まで、
Fe 0.6から1.2%まで、
選択的に、さらにSn 最大1.5%まで、
選択的に、さらにPb 最大0.25%まで、
選択的に、さらにP 最大0.08%まで、
残部Znおよび不可避な不純物
を含有する銅−亜鉛合金からなる摺動部材に関する。
前記銅−亜鉛合金は、α相の体積分率が少なくとも90%であるα相およびβ相からなる構造を有し、前記構造中には珪化鉄が混在している。

Description

本発明は、銅−亜鉛合金からなる摺動部材に関するものである。
銅−亜鉛合金からなる摺動部材は、例えば内燃機関において、コネクティングロッドの両側ベアリング位置に使用される。摺動部材の材料に対する技術的な要求は、最新式エンジンの開発に伴って大きくなっている。それに加えて、法的規制により、材料中の鉛含有量を最小限まで削減することが求められている。同時に、摺動部材のコスト削減という圧力は増している。
公知の摺動部材用銅−亜鉛合金は、CuZn31Si1である。この合金には、材料の機械加工性を改善するために、0.8重量%までの鉛が混ざっていてもよい。この合金中の銅割合が高いことにより、摺動部材は高価になる。さらに、この合金では耐摩耗性構造成分の接触領域が小さすぎるので、将来的に、最新式エンジン内にかかる負荷には耐えられない。
特許文献1から、摺動部材にとって大変好適な機械特性を有する鉛不含の銅−亜鉛−アルミニウム鍛錬材料が公知である。しかし、その熱伝導率は小さいので、連続鋳造の際に効率的な速度で行なうことを妨げている。
さらに、特許文献2から、高い負荷を受ける摺動部材のための銅−亜鉛合金が公知である。この材料は、α相からなるマトリックスを有する耐摩耗性構造を有しており、この中には島状にβ相および硬質混合珪化物が混在している。この材料は、特性の組み合わせが優れていることにより際立っているが、その複雑な構造により、プロセスの実施に費用がかかり、かつ慎重さが求められる。
摺動部材の特別な形態は、滑り軸受ブッシュである。滑り軸受ブッシュでは、製造方法の違いに基づき、巻きブッシュと、旋盤加工ブッシュに区別される。
巻きブッシュは、帯状の半製品から、対応する寸法に合わせた帯部分を中空円筒体に成形して、その突き合わせた帯の端部同士を結合することにより製造される。有利には、原材料は帯体鋳造で製造される。このとき、鋳造形状として、比較的薄い帯体が鋳造される。これを、熱間加工をしないで、僅かな冷間加工により最終寸法まで圧延し、必要な場合には、中間焼鈍を行なってもよい。したがって、使用する合金は、鋳造性が良好でかつ冷間加工性が非常に良好でなくてはならない。さらに、この合金は、僅かな冷間加工で十分な強度と硬度が得られるように、冷間加工により迅速に硬化しなくてはならない。
旋盤加工ブッシュは、棒状または管状の半製品から、機械加工により製造される。半製品を製造するために、ボルト状の鋳造形状が鋳造され、そこから熱間圧縮工程により、圧縮管またはロッドが圧縮成形される。それぞれの圧縮成形品から、一連の延伸工程により半製品が得られ、それから滑り軸受ブッシュが製造される。この製造法のためには、使用する合金は熱間加工性および冷間加工性が良好でなくてはならない。さらに、この合金は機械加工性が良好でなくてはならない。
欧州特許第1158062号明細書 独国特許第102007029991号明細書
本発明の課題は、鋼に対する摩擦による摩耗に対して耐久性のある、従来技術から公知の摺動部材よりも安価な摺動部材を提供することである。このとき、費用削減は主に、滑り軸受を作る半製品を安価に製造することにより行なうべきである。この費用に関する利点は、滑り軸受の巻きブッシュの製造においても、旋盤加工ブッシュの製造においても、実現されうるべきである。前記摺動部材は、技術的および法的要求を満たさなくてはならない。
本発明は、請求項1の特徴により記載されている。その他の従属請求項は、本発明の好適な実施態様と発展形態に関するものである。
本発明は、銅−亜鉛合金からなる摺動部材を包含し、前記銅−亜鉛合金は(重量%で)以下の組成:
Cu 60.0から64.0%まで、
Si 0.2から0.5%まで、
Fe 0.6から1.2%まで、
選択的に、さらにSn 最大1.5%まで、
選択的に、さらにPb 最大0.25%まで、
選択的に、さらにP 最大0.08%まで、
残部Znおよび不可避な不純物
を有する。このとき、前記銅−亜鉛合金は、α相の体積分率が少なくとも90%であるα相およびβ相からなる構造を有し、前記構造中には珪化鉄が混在している。
銅−亜鉛合金からなる軸受材料は、通常、90体積%より少ないα相含有量を有する。というのも、α相は付着しやすく、そのためβ相より強く摩耗する傾向があるからである。一方、α相の含有量が大きいと、材料は延性を持つ。本発明は、銅含有量が60から64重量%である銅−亜鉛合金に鉄と珪素を添加することにより、非常に延性があり、同時に非常に耐摩耗性のある鍛錬材料を形成するという認識に基づいている。このとき、前記合金の珪素含有量は、少なくとも0.2重量%かつ多くとも0.5重量%であり、鉄含有量は、少なくとも0.6重量%かつ多くとも1,2重量%である。前記合金は、任意に、さらにスズ1.5重量%まで、鉛0.25重量%まで、およびリン0.08重量%までを含有する。前記合金の亜鉛含有量は、合金の正確な組成に応じて、32.5から38.5重量%の間、有利には33.5から38重量%の間、特に有利には34から37.5重量%の間にあってよい。この組成を有する鍛錬用銅−亜鉛合金から製造される材料は、α相の体積分率が少なくとも90%であるα相およびβ相からなる構造を有する。この構造中には珪化鉄が混在しており、その体積分率は1.5から4.5%であってよい。したがって、β相の含有量は9体積%より小さく、通常は5体積%より小さく、有利には3体積%より小さい。典型的には、少なくとも0.3体積%のβ相が前記構造中に存在する。
珪化鉄は、硬質相として前記材料の良好な耐摩耗性の元となっている。珪素含有量が0.2重量%より小さい場合、あまりにも少ない珪化鉄しか形成されない。珪素含有量が0.5重量%を超えると、β相の形成が多くなり、そのため延性が減少することになる。特に有利には、珪素含有量は最大0.47重量%であってよい。鉄含有量が0.6重量%より小さい場合、あまりにも少ない珪化鉄しか形成されない。特に有利には、鉄含有量は少なくとも0.8重量%である。鉄含有量が1.2重量%を超えると、溶融の際に合金内で溶解しないことになる。そうなると、材料中に純粋な鉄粒子が形成されることになるが、それらは柔らかく、その上材料から突出しやすいので、望ましくない。前記珪化鉄は球状の形を有する硬質相であり、鋭い角を持たない。したがって、角の鋭い硬質相において成形加工後に生じうる構造内部の溝や空洞の発生が抑えられる。
前記銅−亜鉛合金のそれぞれの構造成分の体積分率は、金属組織を検鏡した研磨面に基づいて求められる。調査により、研磨面画像で求められたそれぞれの構造成分の面積分率は試料中の研磨面の配向とは無関係であることが示されている。つまり、それぞれの相の分布は等方性であるとみなすことができ、研磨面で求められた面積分率はそれぞれの構造成分の体積分率として認定することができる。
選択的に、前記合金にはさらにスズ1.5重量%までを添加してよい。スズは、固溶強化により材料の耐摩耗性を高める。一方、スズの亜鉛当量は2であり、そのためβ相が形成されてα相の負担になることが促進されるので、材料の延性は減少する。スズ含有量として1.5重量%の上限が好適であることは証明されている。
基本的に、前記合金中の鉛含有量は0.8重量%までであってよい。法的規制が許すならば、前記合金に、必要な場合はチップブレーカとして鉛を0.25重量%まで添加してもよい。有利には、鉛含有量は、最大0.1重量%である。しかし、特に有利には、合金は不可避な不純物の範囲内の鉛含有量を有する。本発明による摺動部材の機能は、前記銅−亜鉛合金中に鉛が不在であることによって損なわれることはない。
選択的に、前記合金に、さらにリン0.08重量%までを添加してよい。リンは、溶融物の脱酸素に役立ち、そのためスズが存在する場合には酸化スズの回避に役立つ。
本発明による摺動部材は、前記の鍛錬用銅−亜鉛合金の半製品から製造される。このとき、前記半製品の製造は、合金の溶融、鋳造および成形加工の工程をこの記載した通りの順序で含む方法を用いて行われる。このとき、成形加工工程は専ら冷間加工であってよく、あるいは、鋳造形状の鋳造と最初の冷間加工の間に熱間加工を実施してもよい。必要な場合には、2つの成形加工の間に熱処理を行なってもよい。
前記の鍛錬用銅−亜鉛合金は、摺動部材に適した半製品の安価な製造を可能にする性質を有する。前記合金の熱伝導率は高いので、鋳造速度は通常の特殊黄銅の鋳造速度の水準にある。鋳造構造のβ相の含有量はなお十分大きいので、半製品を熱間加工により効率的に製造することが可能である。特別な利点は、材料の良好な冷間加工性にある。80%までの変形度は、中間焼鈍がなくても達成できる。この場合、成形加工時の断面積の減少を変形度として定義する。したがって、前記半製品の最終寸法は少ない工程で、特に、少ない中間焼鈍により得ることができる。さらに、材料の強度は冷間加工の際に非常に速く増大するので、軸受材料に典型的な半製品寸法で必要な材料の強度を得るためには少ない冷間加工工程で十分である。
前記材料は、最後の冷間加工の後に、200から350℃の温度で2から4時間熱処理される。これにより延性は高まるが、同時に強度は減少する。このとき、前記材料の降伏点Rp0.2の減少は、引張強さRの減少よりも大きい。したがって、熱処理により、R対Rp0.2の比は変化する。その点において、R対Rp0.2の比を熱処理の強さの尺度として使用できる。本発明による摺動部材の材料について、R対Rp0.2の比は最終的な熱処理の前では通常1.05から1.1の間である。熱処理後は、商R/Rp0.2は、1.5を超える値にまで達することができる。熱処理により延性が増し、したがって破断伸び率Aが上昇する。熱処理が強い程、破断伸び率の上昇は大きくなる。熱処理後に達成される破断伸び率は、商R/Rp0.2と関連している。本発明による摺動部材の材料には、一般的に、破断伸び率A(%表記)と商R/Rp0.2の間に以下の関係が当てはまる:
≧41%×(R/Rp0.2)−38%
前記材料は、最終状態で十分な延性を持っているので、滑り軸受の巻きブッシュを製造することができる。さらに、製造した滑り軸受ブッシュの較正は問題なく可能である。
本発明による摺動部材の耐摩耗性は、適切な実験に基づいて求められ、公知の材料からなる摺動部材の耐摩耗性と関連付けられる。鋼製体に対する摩擦における試料体の質量損失として摩耗を算出する摩擦計試験では、本発明による摺動部材における質量損失は、材料CuZn31Siからなる摺動部材の約半分であることがわかる。このとき、摩擦係数は全ての材料でほぼ同じである。この驚くべき結果は、摺動部材用材料としての使用における前記銅−亜鉛合金の優れた特性を表している。
基本材料は主に面心立方晶系α相からなっているので、延性が大きいことにより硬い汚れ粒子の埋入が保障されている。
好適には、Si含有量に対するFe含有量の比が、少なくとも1.5かつ多くとも3.8であってよい。この場合、珪化鉄FeSi、FeSiおよびFeSiを形成するための特に有利な条件が存在する。このとき、珪化鉄中に結合していない過剰な鉄もしくは珪素は非常に少ない。珪化鉄中に結合していない過剰な珪素は、合金のマトリックス中に存在する。これは亜鉛当量10を有し、したがって合金中の亜鉛含有量の増加と同じような効果を及ぼす。過剰な珪素が多い結果、固溶強化が強まり、それにより材料の延性が減少することになり、ならびに、望まないにもかかわらず構造中のβ相含有量が増加することになる。特に有利には、Si含有量に対するFe含有量の比は、少なくとも2.2かつ多くとも3.0であってよい。Fe含有量とSi含有量をこのように相互に調整すれば、珪化鉄の集団型の数が増加する。このとき、粒子径により異なる複数の珪化鉄部分が生じてよい。
本発明の有利な形態では、前記摺動部材の銅−亜鉛合金中に少なくとも2つの珪化鉄部分が存在してよい。このとき、第1の珪化鉄が、少なくとも0.02mかつ大きくとも0.3μmの直径、および1000μm当たりの粒子が200から400個の密度を有し、かつ第2の珪化鉄が、少なくとも1μmかつ大きくとも15μmの直径、および100000μm当たりの粒子が20から50個の密度を有していない。ここでは、粒子に対して体積が同じ球の直径を珪化鉄粒子の直径として定義する。この形態では、本発明による摺動部材の合金はつまり、比較的小さい珪化鉄からなる第1集団と、比較的大きい珪化鉄からなる第2集団を有する。前記第2の珪化鉄は、特に耐摩耗性のある接触領域として作用する。構造中のその体積分率は、1から2%の間であってよい。第2の珪化鉄の密度が小さいので、これらの間には比較的大きな隙間が残る。これらの隙間は、前記第1の珪化鉄により安定する。第1の珪化鉄がないと、材料のマトリックスは第2の珪化鉄間の隙間において摩耗により速く削り取られることになる。くぼみが生じる。それにより、第2の珪化鉄が前記マトリックスから島状に削られ、そうして材料から突出しやすくなる。第1の珪化鉄が前記隙間内のマトリックスを安定させるので、第2の珪化鉄の突出が妨げられる。前記材料の特別な耐摩耗性にとって、第1と第2の珪化鉄の組み合わせは重要である。
本発明の有利な実施態様では、前記銅−亜鉛合金のSn含有量は少なくとも0.5重量%であってよい。スズは、強度と硬度およびそれゆえ合金の耐摩耗性に好適に作用する。0.5重量%より低いスズ含有量では、この作用は小さい。特に有利には、合金中のスズ含有量は少なくとも0.8重量%である。一方、スズ含有量が大きいと、熱処理の際に材料の延性が上昇するのを妨げる。したがって、合金中のスズ含有量は多くとも1.2重量%であれば特に好適である。さらに、本発明のこの実施態様は、引張強さと硬度が高い水準のままであるにも関わらず材料の降伏点は明らかに減少している最終状態を熱処理により調整できるという点で優れている。この特別な性質は、成形加工後にさらに較正しなくてはならない旋盤加工ブッシュの製造にとって、ならびに、硬い汚れ粒子に対する摺動部材の適合性にとって、好適である。
本発明のこの有利な実施態様に記載された材料について、焼鈍後に得られる硬度HBを引張強さRと降伏点Rp0.2の商と関連付けると、以下の関係が生じる:
HB≧350−140×(R/Rp0.2
本発明の特に有利な実施態様では、スズ含有量が少なくとも0.5重量%の銅−亜鉛合金の場合、β相の体積分率は多くとも5%であり、かつα相とβ相の界面には高スズ相が堆積していてよい。β相の体積分率は、合金の実際のZn含有量と、熱処理の際の適切なプロセスの実施により調整することができる。β相の含有率が多くとも5体積%であれば、材料の冷間加工性は大変良好である。前記高スズ相は、1から3μmの幅を有する縁取りのように界面に形成されている。前記高スズ相は、スズ7から13重量%、亜鉛34から38重量%および残部として銅を含有する。これはFeおよびSiを含有しない。前記高スズ相は、前記珪化鉄に加えて、主にα相からなる構造内で耐摩耗性接触領域のように作用する。本発明による滑り軸受のこの特に有利な実施態様はつまり、非常に良好な冷間加工性があり、同時に非常に耐摩耗性のある材料で優れている。
本発明による摺動部材の別の好適な実施態様では、前記銅−亜鉛合金のSn含有量が多くとも0.09重量%であってよい。このような低スズ合金は、特に高い延性で優れている。したがって、前記合金は、少しの冷間加工および中間焼鈍の工程数で最終寸法にすることができる。これにより、本発明による滑り軸受の製造コストは少なくて済む。前記材料の最終状態については、熱処理の強さが小さくても、つまり低い焼鈍温度および/または短い焼鈍時間でも、高い延性が得られることが好ましい。これにより、焼鈍後の材料の降伏点は比較的高い水準のままである。本発明による摺動部材のこの好適な実施態様の材料には、破断伸び率A(%表記)と商R/Rp0.2の間に以下の関係が当てはまる:
≧46%×(R/Rp0.2)−38%
最終状態の材料の延性が高いことは、滑り軸受の巻きブッシュを製造するために好適である。一方、このような滑り軸受は、材料の降伏点が大きいので、操業中の塑性変形に対し高い抵抗力を有する。
本発明のこの別の好適な実施態様において、低スズの銅−亜鉛合金では、β相の体積分率は有利には多くとも4%、特に有利には多くとも3%であってよい。β相の体積分率は、合金の実際のZn含有量と、熱処理の際の適切なプロセスの実施により調整することができる。β相の体積分率を限定することは、材料の延性に対して有利な作用を及ぼす。本発明による滑り軸受のこの特に有利な実施態様はつまり、高い強度で特に大きな延性を有する材料で優れている。
本発明を、実施例に基づいて詳細に説明する。
様々な銅−亜鉛合金試料を溶融し、鋳造した。表1は、それぞれの試料の組成を示している。最後から2番目の欄には、珪素に対する鉄の比が記載されている。最後の欄からは、それぞれの合金が課題で定義された目的のためにどの程度適しているのかがわかる。ここでは、半製品の製造性に関する合金の適性も、摺動部材としての使用に関するその適性も評価に入れられている。
表1:重量%で表した試料組成

Figure 2019510132
試料No.1から6は、約1重量%のスズ含有量を有し、一方、試料No.11から16はスズ最大0.013重量%を含有している。それぞれの合金から、鋳造後に2つの異なる方法により、摺動部材の製造に適した半製品を製造した。
第1の方法は、鋳造後に以下の工程を含む:
1.押出成形
2.冷間加工
3.500℃/3時間で中間焼鈍
4.冷間加工
5.300℃で熱処理
この方法は、滑り軸受の旋盤加工ブッシュ用半製品の製造に対応する。
第2の方法は、鋳造後に以下の工程を含む:
1.冷間加工(圧延)
2.500℃/3時間で中間焼鈍
3.冷間加工(圧延)
4.300℃で熱処理
この方法は、滑り軸受の巻きブッシュ用半製品の製造に対応する。
試料No.6(スズ含有)および11(低スズ)を詳細に調べた。このとき、最終的な熱処理の温度と期間を変化させた。試料No.6については、表2に示した機械特性値が得られた。試料No.11については、表3に示した機械特性値が得られた。
表2:熱処理後の試料No.6の機械特性値
Figure 2019510132
表3:熱処理後の試料No.11の機械特性値
Figure 2019510132
両方の試料では、熱処理の温度と期間を適切に選択することにより、破断伸び率Aを少なくとも15%まで上昇させることができた。このとき、硬度は170から180HBの間、引張強さは550から600MPaの範囲内にあった。このとき、試料No.11では、降伏点は試料No.6よりもやや高い水準にあった。
破断伸び率Aを少なくとも20%まで上昇させるように熱処理を実施したら、材料の引張強さは少なくとも520MPaで、硬度は少なくとも150HBであった。
本発明による摺動部材の摩擦特性および摩耗特性を、リング・オン・ディスク型摩擦計を使用して調べた。このとき、本発明による摺動部材は、それぞれ試料6および試料11に記載の材料からなるディスクで表された。相手部材として鋼製リングを使用した。比較対象物として、材料CuZn31Si1からなる摺動部材を使用した。調査のために、最終的な熱処理後に約15%の破断伸び率Aを有する材料からなる試験体をそれぞれ使用した。摩擦係数は、公知の方法で定義し算出した。材料の摩耗の尺度として、特定の試験期間後の試験体の質量損失を使用した。この質量損失を、比較対象物の質量損失と関連させて、相対的な質量損失として表示した。表4に、これらの調査の結果をまとめている。
表4:摩耗特性の調査結果
Figure 2019510132
試料6の摩擦係数は、CuZn31Si1からなる試料の摩擦係数よりも11%上であり、試料11の摩擦係数は、CuZn31Si1からなる試料の摩擦係数より10%下であった。本発明による摺動部材の質量損失は、CuZn31Si1からなる比較対象物で算出された質量損失の半分よりも少ない。したがって、本発明による摺動部材の材料は、CuZn31Si1よりも著しく耐摩耗性がある。

Claims (7)

  1. (重量%で)以下の成分:
    Cu 60.0から64.0%まで、
    Si 0.2から0.5%まで、
    Fe 0.6から1.2%まで、
    選択的に、さらにSn 最大1.5%まで、
    選択的に、さらにPb 最大0.25%まで、
    選択的に、さらにP 最大0.08%まで、
    残部Znおよび不可避な不純物
    を含有する銅−亜鉛合金からなる摺動部材において、
    前記銅−亜鉛合金は、α相の体積分率が少なくとも90%であるα相およびβ相からなる構造を有し、前記構造中には珪化鉄が混在していることを特徴とする、銅−亜鉛合金からなる摺動部材。
  2. Si含有量に対するFe含有量の比が、少なくとも1.5かつ多くとも3.8であることを特徴とする、請求項1に記載の摺動部材。
  3. 少なくとも2つの珪化鉄部分が存在し、第1の珪化鉄が、大きくとも0.3μmの直径、および1000μm当たりの粒子が200から400個の密度を有し、かつ第2の珪化鉄が、少なくとも1μmかつ大きくとも15μmの直径、および100000μm当たりの粒子が20から50個の密度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の摺動部材。
  4. Sn含有量が少なくとも0.5重量%であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の摺動部材。
  5. β相の体積分率が多くとも5%であり、かつα相とβ相の界面には高スズ相が堆積していることを特徴とする、請求項4に記載の摺動部材。
  6. Sn含有量が多くとも0.09重量%であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の摺動部材。
  7. β相の体積分率が多くとも4%であることを特徴とする、請求項6に記載の摺動部材。
JP2018536435A 2016-02-19 2017-02-03 銅−亜鉛合金からなる摺動部材 Active JP6790101B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DE102016001994.8 2016-02-19
DE102016001994.8A DE102016001994A1 (de) 2016-02-19 2016-02-19 Gleitelement aus einer Kupfer-Zink-Legierung
PCT/EP2017/000144 WO2017140411A1 (de) 2016-02-19 2017-02-03 Gleitelement aus einer kupfer-zink-legierung

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019510132A true JP2019510132A (ja) 2019-04-11
JP6790101B2 JP6790101B2 (ja) 2020-11-25

Family

ID=58046611

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018536435A Active JP6790101B2 (ja) 2016-02-19 2017-02-03 銅−亜鉛合金からなる摺動部材

Country Status (9)

Country Link
US (1) US11142810B2 (ja)
EP (1) EP3417083B1 (ja)
JP (1) JP6790101B2 (ja)
KR (1) KR20180117093A (ja)
CN (1) CN108699632B (ja)
BR (1) BR112018016551B1 (ja)
DE (1) DE102016001994A1 (ja)
MX (1) MX2018008841A (ja)
WO (1) WO2017140411A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7219198B2 (ja) 2019-10-16 2023-02-07 大豊工業株式会社 銅合金摺動材料
CN112575219B (zh) * 2020-11-23 2021-10-22 太原理工大学 一种添加稀土Ce的原位自生Fe5Si3颗粒增强黄铜的制备方法
DE102022001563B4 (de) 2022-05-04 2024-01-18 Wieland-Werke Aktiengesellschaft Knetlegierung für einen Lagerwerkstoff

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0748665A (ja) * 1993-08-05 1995-02-21 Chuetsu Gokin Chuko Kk 溶射被膜を施した摺動材
JPH07317804A (ja) * 1994-05-25 1995-12-08 Chuetsu Gokin Chuko Kk シンクロナイザーリング
JP2001164328A (ja) * 1999-10-01 2001-06-19 Dowa Mining Co Ltd コネクタ用銅合金およびその製造法
CN101680056A (zh) * 2007-03-28 2010-03-24 古河电气工业株式会社 铜合金材料及其制造方法
JP2016511792A (ja) * 2013-02-01 2016-04-21 シャーメン・ロタ・インターナショナル・カンパニー・リミテッド 良好な熱成形性を有する、無鉛の、切断が容易な、耐腐食性真鍮合金

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE759865C (de) * 1942-06-18 1951-04-16 Wieland Werke Ag Verwendung von kaltgewalzten Messinglegierungen fuer Maschinenteile, die gute Gleiteigenschaften aufweisen muessen
DE1558470A1 (de) * 1967-02-02 1970-03-19 Dies Dr Ing Kurt Fliesspressteil
DE2159482A1 (de) * 1971-12-01 1973-06-07 Schreiber Gmbh Carl Verwendung einer gusslegierung aus sondermessing
ATE228581T1 (de) 2000-05-17 2002-12-15 Wieland Werke Ag Kupfer-zink-aluminium-knetwerkstoff und dessen verwendung
DE102004058318B4 (de) * 2004-12-02 2006-09-28 Diehl Metall Stiftung & Co.Kg Verwendung einer Kupfer-Zink-Legierung
KR100631041B1 (ko) * 2005-03-04 2006-10-04 주식회사 풍산 절삭성 및 가공성이 우수한 쾌삭황동합금
DE102005015467C5 (de) * 2005-04-04 2024-02-29 Diehl Brass Solutions Stiftung & Co. Kg Verwendung einer Kupfer-Zink-Legierung
DE102007029991B4 (de) 2007-06-28 2013-08-01 Wieland-Werke Ag Kupfer-Zink-Legierung, Verfahren zur Herstellung und Verwendung
JP2009041088A (ja) * 2007-08-10 2009-02-26 Toto Ltd 鋳造性に優れた無鉛快削性黄銅
US20130115128A1 (en) * 2011-11-07 2013-05-09 Nibco Inc. Sulfur-rich corrosion-resistant copper-zinc alloy
DE102013008822A1 (de) * 2013-05-24 2014-11-27 Wieland-Werke Ag Mine für Kugelschreiber und Verwendung
JP6317966B2 (ja) * 2014-03-25 2018-04-25 Dowaメタルテック株式会社 Cu−Ni−Si系銅合金板材およびその製造方法並びに通電部品

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0748665A (ja) * 1993-08-05 1995-02-21 Chuetsu Gokin Chuko Kk 溶射被膜を施した摺動材
JPH07317804A (ja) * 1994-05-25 1995-12-08 Chuetsu Gokin Chuko Kk シンクロナイザーリング
JP2001164328A (ja) * 1999-10-01 2001-06-19 Dowa Mining Co Ltd コネクタ用銅合金およびその製造法
CN101680056A (zh) * 2007-03-28 2010-03-24 古河电气工业株式会社 铜合金材料及其制造方法
JP2016511792A (ja) * 2013-02-01 2016-04-21 シャーメン・ロタ・インターナショナル・カンパニー・リミテッド 良好な熱成形性を有する、無鉛の、切断が容易な、耐腐食性真鍮合金

Also Published As

Publication number Publication date
EP3417083B1 (de) 2019-11-27
KR20180117093A (ko) 2018-10-26
BR112018016551A2 (pt) 2019-06-04
JP6790101B2 (ja) 2020-11-25
CN108699632B (zh) 2020-06-09
BR112018016551B1 (pt) 2022-05-24
MX2018008841A (es) 2018-09-17
US20200283872A1 (en) 2020-09-10
EP3417083A1 (de) 2018-12-26
US11142810B2 (en) 2021-10-12
DE102016001994A1 (de) 2017-08-24
CN108699632A (zh) 2018-10-23
WO2017140411A1 (de) 2017-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2004319350B2 (en) Free-cutting, lead-containing Cu-Ni-Sn alloy and production method thereof
JP5456927B2 (ja) 高強度高導電銅棒線材
JP5454719B2 (ja) 鋳造性に優れた無鉛快削性黄銅
JP5191725B2 (ja) Cu−Zn−Sn系銅合金板材およびその製造法並びにコネクタ
JP2011157630A (ja) コバルト、ニッケル、珪素を含む銅合金
RU2695852C2 (ru) α-β ТИТАНОВЫЙ СПЛАВ
JP2019510132A (ja) 銅−亜鉛合金からなる摺動部材
WO2020261603A1 (ja) 快削性銅合金、及び、快削性銅合金の製造方法
US20230151457A1 (en) Lead-Free Brass Alloy
US20100303667A1 (en) Novel lead-free brass alloy
JP6742278B2 (ja) 無鉛快削りん青銅棒線材及び無鉛快削りん青銅棒線材の製造方法
JP2008214760A (ja) 無鉛快削性黄銅合金及びその製造方法
JP4889874B2 (ja) 銅−亜鉛−アルミニウム鍛錬材料及びその使用方法
JP4630387B1 (ja) 銅合金展伸材、銅合金部品および銅合金展伸材の製造方法
JP5009849B2 (ja) 高強度ばね用の銅合金線、及び該銅合金線を用いた銅合金ばね
JP5507635B2 (ja) 銅合金板材およびその製造方法
CN108506331B (zh) 铜合金构成的滑动元件
WO2013114582A1 (ja) 耐摩耗性、押出性、鍛造加工性に優れたアルミニウム合金
US10364482B2 (en) Copper-zinc alloy, band material composed thereof, process for producing a semifinished part composed of a copper-zinc alloy and sliding element composed of a copper-zinc alloy
JP6796355B1 (ja) 快削性銅合金、及び、快削性銅合金の製造方法
JP2019019373A (ja) コンプレッサーのアルミニウム合金製ピストンの製造方法及び前記ピストン用アルミニウム合金
KR20220057454A (ko) 무연 Cu-Zn계 합금
RU2792349C1 (ru) Латунный сплав
KR102577574B1 (ko) 특수 황동 합금 및 특수 황동 합금 프로덕트
JP2017206736A (ja) 銅基合金

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180821

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190910

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200515

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6790101

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250