JP2019504053A - ハンター症候群を治療するための方法および組成物 - Google Patents

ハンター症候群を治療するための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、とりわけ、ハンター症候群の有効な治療のためのイデュルスルファーゼ−ベータ、ヒト組み換えイズロン酸−2−スルファターゼタンパク質のCNS送達のための組成物および方法を提供する。本発明により提供される組成物および方法は、脳および脊髄におけるだけでなく、心臓、肝臓、脾臓、肺、および腎臓を含む末梢組織における症状も有効に減少させる。

Description

本発明は、ハンター症候群を治療するための改善された方法および組成物に関する。
2型ムコ多糖症(MPS II、ハンター症候群)は、ムコ多糖類を分解するよう機能するイズロン酸−2−スルファターゼの欠損により引き起こされるX連鎖劣性遺伝性リソソーム貯蔵障害である[1]。イズロン酸−2−スルファターゼの欠損は、細胞における分解されていないグリコサミノグリカン(GAG)の蓄積をもたらし、かつ進行性多臓器損傷をもたらす[2]。多様な型のGAGの中で、デルマタン硫酸(DS)およびヘパラン硫酸(HS)は、MPS IIにおける主要な蓄積性GAGである[2]。
MPS IIの臨床表現型は、弱化型および重度型に分類される。弱化型の患者は、粗な顔(coarse face)、肝脾腫(hepatosplenomegaly)、多発性骨形性不全症(dysostosis multiplex)、および神経学的関与のない関節硬直(joint stiffness)を含む身体症状を示すが、重度型の患者は、身体症状に加えて神経学的障害および進行性神経変性を有する。不十分なレベルの内在性IDSは、例えば、心臓、肝臓、中枢神経系(CNS)等におけるヘパラン硫酸およびデルマタン硫酸の病理学的な蓄積を引き起こす。小児期に神経変性および精神遅滞を含む症状が現れ;脳における臓器損傷のために早期死亡が起こり得る。
酵素補充療法(ERT)は、対象への、天然のまたは組み換え由来のタンパク質および/または酵素の全身投与を伴う。認められた療法は、典型的には対象に静脈内投与され、かつ酵素欠損が根底にある(underlying)身体症状を治療することにおいて一般に有効である。
中枢神経系(CNS)の細胞および組織への静脈内投与されたタンパク質および/または酵素の制限された分布の結果として、静脈内投与されたタンパク質および/または酵素が血液脳関門(BBB)を十分に通過しないため、CNS病因を有する疾患の治療は、特に困難であった。
血液脳関門(BBB)は、BBBから脳脊髄液(CSF)およびCNSの下へ通過するかかる物質の拡散を制限することにより、細菌、巨大分子(例えば、タンパク質)および他の親水性分子などの血流における有害物質から中枢神経系(CNS)を保護するよう機能する内皮細胞で構成される構造系である。
多くは、脳の表面での拡散の障壁、並びに有効で都合のよい送達方法の欠如は、任意の疾患についての脳における十分な治療上の効果を達成するにはあまりにも大きな障害であると考えてきた。
ハンター症候群は、神経系に影響を与え、そして伝統的な療法でこれらの疾患を治療することにおける独特の課題を実証する。罹患者のニューロンおよび髄膜におけるグリコサミノグリカン(GAG)の大量の蓄積がよくあり、多様な型のCNS症状をもたらす。
したがって、治療薬剤を脳に有効に送達する大きな必要性が依然として存在する。より具体的には、ハンター症候群などのリソソーム貯蔵障害の治療のために中枢神経系により有効な活性薬剤の送達についての大きな必要性が存在する。
BBBを克服するために、組み換え酵素のくも膜下腔内または脳室内注射を介する直接の薬物送達は、いくつかの型のMPS動物モデルにおいて有望な結果を実証した[3−7]。さらに、I/II相臨床試験はイデュルスルファーゼ(IDS)のくも膜下腔内(IT)注射が、MPS IIの重度型の小児においておよそ80−90%、脳脊髄液(CSF)におけるGAG濃度を減少させたことが報告されている。しかし、臨床試験で多数の有害事象が報告されており、有害事象の大部分はIT薬物送達装置の機能不全に関連している[8]。
MPS IIの重度型における神経変性の細胞機構は完全に理解されていないが、いくつかの最近の研究はMPS患者の大規模コホートにおいてHS由来二糖および精神遅滞間の相関を実証した[9、10]。加えて、動物研究は、HSがアストロサイトまたは神経幹細胞におけるインテグリン−ベースの接着斑(focal adhesion)を活性化することによりMPS IIIマウスモデルに関連する神経障害をもたらし得ることを実証した[11、12]。Akiyamaら[13]は、Sensi−Pro Non−Reducing End HSアッセイ[14]により測定される「病的なGAG」が、MPS IIマウスの脳組織における総GAGよりより高い感度および特異度を有することを報告した[13]。これらのデータに基づくと、蓄積したHSの量は、総GAG量よりもMPS IIの脳の病態および神経機能を表すためのより感受性のバイオマーカーであり得る。しかしながら、臨床設定では、脳組織HSを測定することはできない。従って、脳組織HSを表す有用な臨床バイオマーカーの発見が必要である。我々は、脳組織GAG、特にHSの量と関連している場合、CSFにおけるHS濃度が臨床バイオマーカーの1つであり得ると仮説を立てた。
本発明のIDS−βの単回ICV(脳室内)注射は十分許容され、脳および他の体細胞組織におけるHSおよびGAGの有意な減少を産生した。我々はまた、脳HSおよび脳GAG間のCSFにおけるHS含量の有意な正の相関は、CSF HS濃度がCNS関与のMPS患者における脳の病態を表すための有用なバイオマーカーであり得ることを示唆することを発見した。
本発明は、中枢神経系(CNS)への治療薬剤の直接送達について有効なアプローチを提供する。本発明は、イデュルスルファーゼ−ベータ(IDS−β)、すなわちハンター症候群について有効な置換酵素として開発されたヒト組み換えイズロン酸−2−スルファターゼタンパク質が脳室内(ICV)投与を通じて対象の脳室に直接導入され得、酵素が有効にかつ広範囲に多様な表面を横切って拡散し、かつ深い脳領域を含む脳を横切って多様な領域を透過するという発見に基づく。本発明者らは、かかるタンパク質送達は、シンプルな生理食塩水−ベースの製剤を使用し、対象における激しい免疫応答などの実質的な有害作用を誘導することなく達成され得ることを実証した。従って、本発明は、ハンター症候群の治療のための直接CNS送達について高効率で、臨床的に望ましい、かつ患者フレンドリーなアプローチを提供する。
[開示]
[技術的課題]
ハンター症候群の治療について、治療薬剤を脳に有効に送達する大きな必要性が依然として存在する。くも膜下腔内(IT)注射、または脳脊髄液(CSF)への治療タンパク質の投与は、ハンター症候群の患者を治療するために最近試みられているが、多数の有害事象が臨床試験において報告されている[8]。有害事象の大部分が、IT薬物送達装置の機能不全に関連しているにもかかわらず、脳室内(ICV)投与などの別のアプローチがハンター症候群の患者の治療に必要とされている。ICV投与は、患者の脳室への治療薬剤の直接送達に有効なアプローチであろうし、現在、ICV投与によるハンター症候群の治療について、承認された製品および/または現在開発中の製品はない。
[技術的解決策]
1.治療を必要とする対象に、およそ0.1mg/mlからおよそ60mg/mlの範囲の濃度でイデュルスルファーゼ−ベータ(IDS−β)タンパク質、およそ150mMの濃度で塩化ナトリウム、およそ0.05mg/mlの濃度でポリソルベート20、およびおよそ6のpHを含む治療有効量のICV製剤を脳室内投与する(ICV投与)工程を含む、ハンター症候群を治療する方法。
2.ICV製剤がおよそ15mg/mlの濃度でイデュルスルファーゼ−ベータ(IDS−β)タンパク質、およそ150mMの濃度で塩化ナトリウム、およそ0.05mg/mlの濃度でポリソルベート20、およびおよそ6のpHを含む、技術的解決策1に記載の方法。
3.治療有効量がおよそ1mgからおよそ30mgの範囲である、技術的解決策1に記載の方法。
4.治療有効量がおよそ10mgである、技術的解決策1に記載の方法。
5.ICV投与が3週間毎に1回行われる、技術的解決策1に記載の方法。
6.ICV投与が毎月1回行われる、技術的解決策1に記載の方法。
7.ICV投与が、リザーバーおよびリザーバーに結合したカテーテルを含む脳室内カテーテル系を通じる、技術的解決策1に記載の方法。
8.リザーバーが、治療を必要とする対象の頭皮および脳の間に配置され、かつカテーテルの端が対象の脳室の内側に配置され、そしてリザーバーの内空がカテーテルの内空を通じて脳室の内空に結合され、そして脳脊髄液が脳室からリザーバーへ流れ、リザーバーを満たすように脳室内カテーテル系を外科的に移植し;0.1−60ml/分の流速でリザーバーから0.1−5mlの脳脊髄液を引き抜き;0.1−60ml/分の流速でリザーバーへ0.1−5mlのICV製剤を注射し;かつICV製剤を、カテーテルを通じてリザーバーから脳室へ流れさせる、
工程をさらに含む、技術的解決策7の方法。
9.ICV投与が、ハンター症候群のための酵素補充療法治療の少なくとも1つの追加的な形態の組み合わせで行われる、技術的解決策1に記載の方法。
10.ハンター症候群のための酵素補充療法治療の追加的な形態が、静脈内投与および皮下投与からなる群から選択される、技術的解決策9に記載の方法。
11.ICV投与が毎月1回行われ、静脈内投与が1週間毎に1回行われる、技術的解決策10に記載の方法。
12.ICV投与が3週間毎に1回行われ、静脈内投与が1週間毎に1回行われる、技術的解決策10に記載の方法。
13.ICV投与が毎月1回行われ、皮下投与が1週間毎に1回行われる、技術的解決策10に記載の方法。
14.ICV投与が3週間毎に1回行われ、皮下投与が1週間毎に1回行われる、技術的解決策10に記載の方法。
15.ICV投与が毎月1回行われ、皮下投与が毎週2回行われる、技術的解決策10に記載の方法。
16.ICV投与が3週間毎に1回行われ、皮下投与が毎週2回行われる、技術的解決策10に記載の方法。
17.ICV投与が毎月1回行われ、かつ静脈内投与および皮下投与が1週間間隔で代替的に行われる、技術的解決策10に記載の方法。
18.ICV投与が3週間毎に1回行われ、かつ静脈内投与および皮下投与が1週間間隔で代替的に行われる、技術的解決策10に記載の方法。
19.およそ0.1mg/mlからおよそ60mg/mlの範囲の濃度でイデュルスルファーゼ−ベータ(IDS−β)タンパク質、およそ150mMの濃度で塩化ナトリウム、およそ0.05mg/mlの濃度でポリソルベート20、およびおよそ6のpHを含む、ハンター症候群を治療するための脳室内投与のための製剤。
[有利な効果]
本発明の脳室内投与されたIDS−βは、MPS IIマウスにおける脳および脳脊髄液(CSF)におけるヘパラン硫酸(HS)およびグリコサミノグリカン(GAG)レベルを減少させた。
本発明による脳室内投与されたIDS−βは、MPS IIマウスにおける心臓、肺、肝臓、脾臓および腎臓を含む体細胞(末梢)組織におけるヘパラン硫酸(HS)およびグリコサミノグリカン(GAG)レベルを減少させた。
本発明によれば、脳におけるGAG濃度の偏りは、CSFにおけるヘパラン硫酸レベルから予測でき、脳GAG蓄積の重症度のより安全で容易な診断を可能にできる。
図1は、IDS−βの単回ICV注射の後のIDS KOマウスの脳組織中のGAGレベルを示す。 図2は、IDS−βの単回ICV注射の後のIDS KOマウスのCSFおよび脳組織中のHSレベルを示す。 図3は、IDS−βの単回ICV注射の後のIDS KOマウスのCSF中のHSレベルおよび脳組織中のHSレベル間の相関を示す。 図4は、IDS−βの単回ICV注射の後のIDS KOマウスの体細胞組織中のGAGレベルを示す。 図5は、注射後異なる時点で収集され、トリパンブルーで可視化された脳組織を示す。 図6は、IDS−βの単回ICV注射の後のIDS KOマウスの心臓組織中のGAGレベルを示す。 図7は、IDS−βの単回ICV注射の後のIDS KOマウスの肺組織中のGAGレベルを示す。 図8は、IDS−βの単回ICV注射の後のIDS KOマウスの肝臓組織中のGAGレベルを示す。 図9は、IDS−βの単回ICV注射の後のIDS KOマウスの脾臓組織中のGAGレベルを示す。 図10は、IDS−βの単回ICV注射の後のIDS KOマウスの腎臓組織中のGAGレベルを示す。
[最良の形態]
下記に詳細に記載されるように、本発明者らは、イデュルスルファーゼ−ベータ(IDS−β)タンパク質の有効な脳室内(ICV)投与のための安定な製剤を開発することに成功した。
様々な実施形態では、本発明は、イデュルスルファーゼ−ベータ(IDS−β)タンパク質、塩、およびポリソルベート界面活性剤を含む直接の脳室内(ICV)投与のための安定な製剤を含む。いくつかの実施形態では、IDS−βタンパク質は、およそ0.1−60mg/ml(例えば、0.1−60mg/ml、0.1−30mg/ml、0.3−30mg/ml、0.2−20mg/ml、0.2−6mg/ml、0.6−6mg/ml、5−60mg/ml、または10−60mg/ml)の範囲の濃度でICV製剤中に存在する。いくつかの実施形態では、IDS−βタンパク質は、0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、55mg/ml、または60mg/mlから選択される濃度で、またはその濃度までICV製剤中に存在する。
様々な実施形態では、本発明は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の安定な製剤を含む。いくつかの実施形態では、IDS−βは、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、IDS−βは、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質をさらに含む。配列番号1は、組み換えヒトイズロン酸−2−スルファターゼタンパク質である。配列番号2は、ホルミル−グリシン(G*)により置換されたその59番目のシステインを有する組み換えヒトイズロン酸−2−スルファターゼタンパク質である。
いくつかの実施形態では、IDS−βは、配列番号1を有するタンパク質のおよそ35%(モル百分率)以下および配列番号2を有するタンパク質のおよそ65%(モル百分率)以上を含有する。いくつかの実施形態では、IDS−βは、配列番号1を有するタンパク質のおよそ20−35%(モル百分率)および配列番号2を有するタンパク質のおよそ65−80%(モル百分率)を含有する。
いくつかの実施形態では、IDS−βは、配列番号1と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%同一なアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、IDS−βは、配列番号2と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%同一なアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の安定な製剤は、塩を含む。いくつかの実施形態では、塩は塩化ナトリウム(NaCl)である。いくつかの実施形態では、NaClは、およそ0−300mM(例えば、0−250mM、0−200mM、0−150mM、50−250mM、または100−200mM)の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、NaClは、およそ125−175mMの範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、NaClは、およそ150mMの濃度で存在する。
様々な実施形態では、本発明は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の安定な製剤を含み、ここで、ポリソルベート界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、ポリソルベート20(Tween 20)である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20は、およそ0−0.02%(0−0.2mg/ml)の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20は、およそ0.005%(0.05mg/ml)の濃度で存在する。
様々な実施形態では、本発明は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の安定な製剤を含み、ここで、製剤は、緩衝剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、リン酸、酢酸、ヒスチジン、コハク酸、Tris、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、緩衝剤はリン酸である。いくつかの実施形態では、リン酸は、50mM以下(例えば、45mM、40mM、35mM、30mM、25mM、20mM、15mM、10mM、5mM、0.25mM、または0.12mM以下)の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、リン酸は、20mM以下の濃度で存在する。様々な態様では、本発明は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の安定な製剤を含み、ここで、製剤は、およそ3−8(例えば、およそ4−7.5、5−8、5−7.5、5−6.5、5−7.0、5.5−8.0、5.5−7.7、5.5−6.5、6−7.5、または6−7.0)のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤はおよそ5.5−6.5(例えば、5.5、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、または6.5)のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、およそ6.0のpHを有する。
様々な実施形態では、本発明は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の安定な製剤を含み、ここで、製剤は液体製剤である。様々な実施形態では、本発明は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の安定な製剤を含み、ここで、製剤は、凍結乾燥した乾燥粉末として処方される。
いくつかの実施形態では、本発明は、およそ0.1−60mg/mlの範囲の濃度でIDS−βタンパク質、およそ150mMの濃度でNaCl、およそ0.005%(0.05mg/ml)の濃度でポリソルベート20、およびおよそ6.0のpHを含むICV投与のための安定な製剤を含む。いくつかの実施形態では、IDS−βタンパク質はおよそ0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、55mg/ml、または60mg/mlの濃度である。
様々な態様では、本発明は、本明細書に記載される様々な実施形態で安定な製剤の単回用量形態を含む容器を含む。いくつかの実施形態では、容器はアンプル、バイアル、ビン、カートリッジ、リザーバー、lyo−ject、またはプレフィルドシリンジから選択される。いくつかの実施形態では、容器はプレフィルドシリンジである。いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジは、焼き付けたシリコーンコーティングのホウケイ酸ガラスシリンジ、吹き付けたシリコーンのホウケイ酸ガラスシリンジ、またはシリコーンを有しない可塑的なレジンシリンジから選択される。いくつかの実施形態では、安定な製剤は、約50mLより小さい(例えば、約45ml、40ml、35ml、30ml、25ml、20ml、15ml、10ml、5ml、4ml、3ml、2.5ml、2.0ml、1.5ml、1.0ml、または0.5mlより小さい)容積中に存在する。いくつかの実施形態では、安定な製剤は、約6.0mlの容積中に存在する。いくつかの実施形態では、安定な製剤は、約3.0mlの容積中に存在する。いくつかの実施形態では、2.0mlの安定な製剤は、6.0mlバイアル中に存在する。いくつかの実施形態では、1.5mlの安定な製剤は、5.0mlバイアル中に存在する。いくつかの実施形態では、1.0mlの安定な製剤は、3.0mlバイアル中に存在する。
様々な態様では、本発明は、治療を必要とする対象に、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の製剤脳室内投与する工程を含む、ハンター症候群を治療する方法を含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする対象に、およそ0.1−60mg/mlの範囲の濃度でIDS−βタンパク質、およそ150mMの濃度でNaCl、およそ0.005%(0.05mg/ml)の濃度でポリソルベート20、およびおよそ6のpHを含む製剤を脳室内投与する工程を含む、ハンター症候群を治療する方法を含む。
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象は、ICV投与のために移植されたOmmayaリザーバーなどのリザーバーおよびカテーテルを有する脳室内カテーテル系を有する。いくつかの実施形態では、ICV投与はリザーバーに0.1−60ml/分の流速で上述のICV製剤を注射することにより行われる。いくつかの実施形態では、対象の脳脊髄液(CSF)は、製剤のICV投与前にリザーバーから0.1−60ml/分の流速で引き出され、ICV投与後の対象のCSF容積における正味の増加なく、脳における圧力増加を防ぐことができる。いくつかの実施形態では、リザーバーへ注射される製剤は、リザーバーを穏やかに押してはなすことにより対象の脳室へカテーテルを通じて移動できるようにする。
いくつかの実施形態では、ICV投与は、対象における実質的な有害作用(例えば、激しい免疫応答)をもたらさない。いくつかの実施形態では、ICV投与は、対象における実質的な適応性T細胞媒介免疫応答をもたらさない。
いくつかの実施形態では、製剤のICV投与は、脳、脊髄、および末梢臓器における多様な標的組織へのIDS−βタンパク質の送達をもたらす。いくつかの実施形態では、製剤のICV投与は、脳標的組織へのIDS−βタンパク質の送達をもたらす。いくつかの実施形態では、脳標的組織は、灰白質における白質および/またはニューロンを含む。いくつかの実施形態では、IDS−βタンパク質は、ニューロン、グリア細胞、血管周囲細胞および/または髄膜細胞へ送達される。いくつかの実施形態では、IDS−βタンパク質は、脊髄におけるニューロンへさらに送達される。
いくつかの実施形態では、製剤のICV投与は、末梢標的組織へIDS−βタンパク質の全身送達をさらにもたらす。いくつかの実施形態では、末梢標的組織は、心臓、肝臓、脾臓、肺、および/または腎臓から選択されるがそれらに限られない。
いくつかの実施形態では、製剤のICV投与は、脳標的組織、脊髄ニューロンおよび/または末梢標的組織における細胞リソソーム局在をもたらす。いくつかの実施形態では、製剤のICV投与は、脳標的組織、脊髄ニューロンおよび/または末梢標的組織におけるGAG貯蔵の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、GAG貯蔵は、ネガティブコントロール(例えば、治療前にまたはビヒクルのみの投与後の対象におけるGAG貯蔵)と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、1.5倍、または2倍減少している。いくつかの実施形態では、製剤のICV投与は、ニューロンにおいて減少した空胞化(vacuolization)(例えば、ネガティブコントロールと比較して少なくとも20%、40%、50%、60%、80%、90%、1倍、1.5倍、または2倍)をもたらす。いくつかの実施形態では、ニューロンは、Purkinje細胞を含む。
いくつかの実施形態では、製剤のICV投与は、脳標的組織、脊髄ニューロンおよび/または末梢標的組織における増加したIDS−β酵素活性をもたらす。いくつかの実施形態では、IDS−β酵素活性はネガティブコントロール(例えば、治療前にまたはビヒクルのみの投与後の対象における内在性酵素活性)と比較して少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍増加した。いくつかの実施形態では、増加したIDS−β酵素活性は少なくともおよそ10nmol/hr/mg、20nmol/hr/mg、40nmol/hr/mg、50nmol/hr/mg、60nmol/hr/mg、70nmol/hr/mg、80nmol/hr/mg、90nmol/hr/mg、100nmol/hr/mg、150nmol/hr/mg、200nmol/hr/mg、250nmol/hr/mg、300nmol/hr/mg、350nmol/hr/mg、400nmol/hr/mg、450nmol/hr/mg、500nmol/hr/mg、550nmol/hr/mgまたは600nmol/hr/mgである。
いくつかの実施形態では、製剤のICV投与は、ハンター症候群の少なくとも1つの症状または特色の減少した強度、重症度、または頻度、または遅延性の発症をもたらす。いくつかの実施形態では、ハンター症候群の少なくとも1つの症状または特色は、認知障害;白質病変;脳実質、神経節、脳梁、および/または脳幹における拡張された血管周囲腔;萎縮症;および/または脳室拡大である。
いくつかの実施形態では、ICV投与が2週間毎に1回行われる。いくつかの実施形態では、ICV投与が3週間毎に1回行われる。いくつかの実施形態では、ICV投与が毎月1回行われる。いくつかの実施形態では、ICV投与が2ヶ月に1回行われる。いくつかの実施形態では、投与は、連続的な灌流ポンプ通じてなどのように連続的である。いくつかの実施形態では、ICV投与は、静脈内(IV)投与と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、IV投与が1週間毎に1回行われる。いくつかの実施形態では、IV投与が2週間毎に1回行われる。いくつかの実施形態では、IV投与が毎月1回行われる。いくつかの実施形態では、IV投与が2ヶ月に1回行われる。
いくつかの実施形態では、IVおよびICV投与が同日に行われる。いくつかの実施形態では、IVおよびICV投与は、互いに、少なくとも2日以内、少なくとも3日以内、少なくとも4日以内、少なくとも5日以内、少なくとも6日以内、少なくとも7日以内、または少なくとも1週間以内などの、ある一定の時間内に行われない。いくつかの実施形態では、IVおよびICV投与が毎週、隔週、毎月2回、または毎月の交代投与などの交代スケジュールで行われる。いくつかの実施形態では、ICV投与は、毎週、隔週、毎月2回、または毎月、3回または4または5回投与のIV投与のスケジュールなどの投与スケジュールにおいてIVにとって代わり、そのスケジュールはIV投与の代わりにICV投与に置き換えることができる。
いくつかの実施形態では、IVおよびICV投与は、最初のIV投与を行い(例えば、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年以上の間、毎週、隔週、3週間毎に1回、毎月2回、または毎月の投薬)続いてICV投与(例えば、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年以上の間、毎週、隔週、3週間毎に1回、毎月2回、または毎月の投薬)を行うなど順次行われる。いくつかの実施形態では、ICV投与が最初に行われ(例えば、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年以上の間、毎週、隔週、3週間毎に1回、毎月2回、毎月の、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回の投薬)続いてIV投与が行われる(例えば、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年以上の間、毎週、隔週、3週間毎に1回、毎月2回、または毎月の投薬)。
いくつかの実施形態では、ICV投与は、IV投与の非存在下で使用される。
いくつかの実施形態では、ICV投与は、同時発生的な免疫抑制療法の非存在下で使用される。
実施例
以下、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は説明の目的のみであり、かつ本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことは、当業者に明らかである。
実施例1
1−1:概要
本研究は、MPS IIマウスにおけるイデュルスルファーゼベータ(IDS−β)の単回脳室内(ICV)注射の薬理学的な効果および用量応答関連性を研究するために行った。加えて、我々はCSFにおけるHS濃度を測定し、かつMPS IIマウスのCSF HSと脳組織HSおよびGAG間の相関を研究した。
3用量のICV IDS−β注射(3、10、および30μg)を行い、組織GAG(脳、心臓、肺、肝臓、脾臓、および腎臓)を注射後7、14、および28日に測定した。マウスのCSFおよび脳においてLC/MS−MSを使用することによりHSを測定した。すべてのIDS−β−治療群の脳および他の体細胞組織における総GAGは有意に減少した。有意な減少は、30μg注射群において28日間維持した。我々はまた、HS含量が、すべてのIDS−β−治療群のCSFおよび脳組織の両方で減少したことを実証した。さらに、我々は、CSFにおけるHS濃度が、脳HSおよび脳組織GAGと有意に関連していることを実証した。
本発明のIDS−βの単回ICV注射は、十分許容され、脳および他の体細胞組織におけるHSおよびGAGの有意な減少を産生した。我々はまた、HSおよび脳GAG間のCSFにおけるHS含量の有意な正の相関が、CSF HS濃度が、CNS関与のMPS II患者における脳の病態を表すための有用なバイオマーカーであり得ることを示唆することを発見した。
1−2:方法
動物
我々は、以前報告したIDSノックアウト(KO)マウスを使用した。簡潔に述べると、Ids遺伝子をエクソン2からエクソン3まで除去した[15]。IDS KOマウスは、C57BL/6.129Sバックグラウンド株から飼育し、Ids遺伝子においてヌル変異を有していた。野生型(WT)コントロールマウスを、C57BL/B6.129S株から飼育した。テールスニップ(tail snip)から得られたDNAのポリメラーゼ連鎖反応によりすべてのマウスの遺伝子型を確認した。この研究は動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)により認められ、(承認番号20140925005)、かつ韓国ソウルSamsung Biomedical Research Instituteの動物愛護ポリシーに従って行われた。
研究設計
6週齢の動物を層別無作為化によって5群(各群12動物)に割り当てた。IDS KOマウスを4群:ビヒクル注射されたIDS KOマウスおよびIDS−β(Green Cross Corp.、龍仁、韓国)注射の3つの異なる用量(3μg、10μg、および30μg)のIDS KOマウスに割り当てた。各群における4動物をICV注射後毎7、14、および28日に屠殺した。注射後7、14、および28日に、多様な組織(脳、心臓、肺、肝臓、脾臓、および腎臓)のGAG濃度を解析し、かつCSFおよび脳からのHS濃度を測定した。
ICV注射についてIDS−βの調製
ビヒクル溶液は150mM塩化ナトリウム 0.05mg/mL Tween 20溶液(Merck Millipore,Darmstadt,Germany)であった。濃縮したIDS−β(50mg/mL)薬物溶液をビヒクルで希釈し、0.6、2、および6mg/mLの濃度を作った。
ICV注射
マウスの単回ICV注射は6週齢で行った。各薬物溶液またはビヒクルを5μLの総容積でマウスにICV投与した。投薬日に、マウスをイソフルラン(Hana Pharm.,Korea)吸入で麻酔し、定位装置に入れた。小さい切り込みを入れた後、頭蓋骨を露出させ、清掃した。ICV注射は、以前に報告された改変された方法に従って行われた[16、17]。IDS−βまたはビヒクルは、コーディネート(ベンチマーク、Neurolab、St.Louis、MO):ブレグマ(bregma)へ0.58mm尾側、矢状縫合へ1.25mm側方、および深さ1.77mmを使用して、シリンジポンプ(Harvard Apparatus、Holliston、MA、USA)により制御されて10mL/分の割合で31ゲージ針で右側脳室に注射した。注射部位を破裂した血管または顔面腫脹についてモニターした。その後、逆流を防ぐためにプランジャー移動の中止後15秒で、針を除去した。切り込みを創傷クリップで閉じ、かつマウスを37℃等温パッド上に置き、手術後、回復まで観察した。全体のプロトコールは、1動物について10〜15分かかった。成功したICV注射技術を実証するために、色素溶液をICV注射した。脳を注射後の異なる時点で収集し、可視化した。脳室の1つの適切な注射は、注射後およそ10〜15分に脳の注射された側にトリパンブルー(0.05%)の分布を可能にした。大脳半球におけるトリパンブルーの広範な分布は注射後およそ1時間で見えた。不正確な注射は、大脳半球における青色の欠如により区別できる(図5)。
CSFおよび組織収集
注射後7、14、および28日で、過剰な量のアルファキサロン(Jurox/name:Alfaxan)溶液(15mg/kg)の注射によりマウスを安楽死させた。CSFをホウケイ酸ガラスにより大槽から収集し(O.D.:10mm、I.D.:0.75mm)、HS濃度測定のために凍結した。マウス脳組織における血液を15−20分間リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で経心臓灌流により洗浄した。脳組織を収集し、ドライアイス上で凍結した。そして、試料をホモジナイズし、4分割した(GAG測定について半分およびHS測定について半分使用した)。他の体細胞組織(心臓、肺、肝臓、脾臓、および腎臓)もまた、収集し、PBS中でホモジナイズした。
組織における総GAG濃度の測定
ホモジナイズされた組織試料を4℃で一晩振とうし、12,000xgで15分間遠心し、その後上清を収集した。総GAGレベルを、sGAGアッセイキット(Kamiya Biochemicals,Japan)を使用して測定した。第一に、50μLのホモジナイズされた試料を50μLの8mol/Lグアニジン−HClで、15分間室温(RT)でインキュベートした。次いで、50μlのSTA溶液(0.3%H2SO4、0.75%TritonX−100)をRTで15分間加え、およびアルシアンブルーの溶液を、15分間その溶液に加えた。その後試料を15分間、12,000rpmで遠心し、DMSO溶液(40%DMSO、0.05mol/L MgCl2)ですすいだ。最終的に、500μLのGu−prop溶液(4mol/Lグアニジン−HCl、33% 1−プロパノール、0.25%TritonX−100)を、ペレットに加え、混合物を完全に溶解した。あるいは吸光度を600nmでX−Mark(Bio−Rad、Hercules、CA)で読んだ。GAG濃度を、BCA Protein Assay kit(ThermoFisher、Waltham、MA)で測定したタンパク質濃度に正規化した。GAG濃度は、GAG基質、コンドロイチン硫酸−6の検量線を通じて計算されたGAG/mgタンパク質のgとして表した。各試料のデータは重複測定の平均であった。
CSFおよび脳組織におけるHSの測定
マウスCSFおよび脳組織試料におけるHSレベルをLC−MS/MSを使用して決定した。5mg/mLの各較正標準(STD)ストック溶液を水にHSナトリウム塩またはDSを溶解させることにより調製した。STDストック溶液を適切な容積の水で希釈し、0.1、0.2、0.5、1.0、2.0、5.0、10および20μg/mLのSTDおよび0.2、2および15μg/mLの質コントロール(QC)試料を調製した。また、5mg/mLのSTDストック溶液を重水素標識して、HS−d6およびDS−d6を内部標準(IS)とした。20μLのSTD溶液を、ガラス試験管に加え、窒素下で蒸発させた。残渣を200μLのメタノール−d4−塩化アセチル(400:64、v/v)と混合し、65℃で90分間加熱することによりメタノール化した(methanolyzed)。メタノリシス後、溶剤を窒素下で蒸発させた。残渣を1mLの水において再構成させ、水−メタノール−ギ酸(950:50:1、v/v/v:緩衝液A)で希釈し、調製した溶液をISストック溶液として使用した。マウスCSF試料を4℃で5分間2100×gで遠心し、上清を等量のPBSで希釈した。マウス脳組織を0.01mol/Lの水酸化ナトリウム(脳重量について50または100倍の容積)でホモジナイズした。ホモジネートを室温で24時間インキュベートし、20μLのホモジネートを、180μLの水−クロロホルム(4:5、v/v)に加えた。混合後、試料を4℃で5分間10000×gで遠心し、上清を等量のPBSで希釈した。CSFおよび脳から調製したこれらの試料をLC−MS/MSの解析のための試験試料として使用した。試験管中のCSF(脳から20μL)、STDまたはQCからの4μLの試験試料を窒素下で蒸発させた。残渣に50μLの3M HCl−MeOHおよび5μLの2,2−ジメトキシプロパンを加え、3分間超音波処理し、65℃で90分間加熱し、かつ蒸発させた。残渣を200μLのISストック溶液で再構成し、3分間超音波処理し、遠心フィルターに移し、4℃で3分間10000×gで遠心し、得られた濾液を、解析した。5μLの各試料をACQUITY UPLCシステム(Waters)を備えたトリプル四重極質量分析計API5000(AB/MDS Sciex)に注入した。試験試料およびISを40℃で加熱したACQUITY UPLC HSS T3カラム(100A 1.8μm、2.1mmx100mm)上で分離した。最初の移動相は、0.4mL/minの流速で勾配溶出を伴う100:0(v/v)緩衝液A:緩衝液B[水−メタノール−ギ酸(500:500:1、v/v/v)]で構成された。溶出は直線勾配であり、緩衝液Bは0.5−4分間に0%−45%増加し、次いで4.01分で60%に増加し、1分間60%に維持され、ついで5.01分で0%に減少し、次いで、1分間0%に維持された。質量分析計をイオン化方法についてエレクトロスプレーイオン化およびイオン極性についてポジティブを選択した設定下で行った。窒素をカーテンガス(40psi)として使用し、空気をネブライザーガス(50psi)およびヒーターガス(40psi)として使用した。イオンモニタリング条件は、4.5kVのイオンスプレー電圧および600℃のターボプローブ(Turbo probe)温度として定義した。デクラスタリング電位、エントランス電位および衝突エネルギーのこれら設定は、それぞれ110V、8Vおよび22eVであった。HSについて質量電荷比(m/z)384→162、DSについてm/z426→236、HS−d6についてm/z390→162およびDS−d6についてm/z432→162を使用して、多重反応モニタリング(MRM)によりデータを取得した。ピーク面積、STD曲線、および測定濃度をAnalyst ver.1.5.1(AB Scix)で計算した。
統計学的解析
統計学的解析をGraphPad Prism 6により行った。MannWhitney U試験を使用して、ノックアウトマウスにおける各薬物−治療群およびビヒクル−治療群間の差を比較した。0.05より小さいP値を有する差は、統計学的に有意であると考えられた。データを平均およびSEMとして示した。CSF HSと脳HS間およびCSF HSと脳GAG間の関連性を決定するために、我々は、マウスCSFおよび脳組織の73試料を評価し、かつデータを、スピアマン(Spearman)のローおよび直線回帰を使用して解析した。級内相関係数(ICC)および95%信頼区間を計算した。
1−3:結果
体重
すべての実験群の体重は、研究期間中に有意に変化しなかった。コントロール群(WTおよび非治療IDS KOマウス)におけるものと比較してICV ERT群におけるマウスの重量には有意差はなかった。我々はまた、ERT群のいずれにおいても実験中異常な臨床兆候は何も見いださなかった。
IDS−βの単回ICV注射は、IDS KOマウスの脳組織におけるGAGを減少させた
ビヒクル注射群におけるノックアウトマウスの脳組織における総GAGは、WTマウスのものと比較して有意に高かった(図1)。すべてのIDS−β−治療群の脳組織における総GAGは投薬後7日の疾患コントロールマウスのものと比較して有意に減少した(図1)。しかしながら、3および10μg注射群において注射後14日にGAGの再蓄積を観察した。総GAGレベルは7日および14日のものと比較してわずかに再増加したにもかかわらず、注射後28日では、30μg注射群において有意なGAG減少を維持した(図1)。
IDS−βの単回ICV注射は、IDS KOマウスのCSFおよび脳組織におけるHSを減少させた
HSレベルはWTコントロールマウスのCSFおよび脳組織と比較してIDS KOマウスのCSFおよび脳組織において有意に増加した(図2)。ICV注射後7日でCSFにおけるHS含量および脳組織はすべての3つのIDS−β−治療群において有意に減少した。脳組織におけるHSの有意な減少は、28日にわたり維持した(図2)。CSFにおけるHS含量は、ICV注射後14および28日で減少したままであった。しかしながら、統計学的有意差は、ICV注射後28日で30μg IDS−β−治療群においてのみ見られた(図2)。
CSFにおけるHS含量は脳組織HSおよびGAGと正の相関があった
有意な正の相関は、マウス試料の脳組織における、CSFにおけるHS含量およびHS濃度間に見出された(r=0.785、P<0.0001)(図3A)。さらに、CSFにおけるHS含量はまた、脳組織のGAG濃度と有意な正の相関を有していた(r=0.703、P<0.0001)(図3B)。
IDS−βの単回ICV注射は、IDS KOマウスの体細胞組織のGAGを減少させた
我々は、脳組織および他の体細胞組織(心臓、肺、肝臓、脾臓、および腎臓)の両方における単回ICV注射後の総GAG濃度を測定した。WTマウスと比較して、GAGの蓄積はビヒクル注射でのIDS KOマウスのすべての解析された組織において見出された(図4)。ICV注射後28日で、30μgのIDS−βでのICV投与は、すべての調べた組織における総GAGの有意な減少を維持した(図4)。ICV注射後7および14日での体細胞組織のGAG濃度は、図6−10に示される。
1−4:考察
MPS IIは、アジアで最も一般的なタイプのMPSであり、かつMPS IIの患者のおよそ70%は、重度の形態を有する[18、19]。従って、脳の病態の修正は、MPS IIの患者の治療における最も重要かつ挑戦的な問題の1つである。組み換え酵素のくも膜下腔内または脳室内の注射は、脳に治療薬を送達する戦略として示唆されてきた。本研究では、我々は、6週齢IDS KOマウスにおける3つの異なる用量のIDS−βの単回ICV注射を行い、薬理効果の用量応答関連性および時間経過を評価した。
すべてのIDS−β−治療群の脳組織における総GAGは有意に減少し、かつ30μg注射群において28日間、有意なGAG減少を維持した(図1)。CSF HS濃度の有意な減少はまた、ICV注射後28日で30μg−治療群において一貫して観察された(図2)。従って、我々は、4週間毎に1回の脳外室への30μgのIDS−β注射は、MPS IIマウスにおける蓄積された脳GAGの減少および維持に有効であり得るということを示唆する。さらに、これらの結果は、マウスおよびヒト間の異なる脳のサイズおよび代謝速度を考慮するべきであるが、組み換え酵素のICV注射の臨床使用における用量および注射頻度を決定するための基本的な証拠となり得る。しかしながら、MPS IIにおけるCNS病理を改善するためのICV酵素投与の有効性をさらに解明するために、我々は、反復注射で研究を拡大し、かつ行動試験および脳の組織学的な解析を含む機能評価を行う必要がある。
MPSの多様なタイプの中で、CNS関与は、MPS Iの重度の形態(ハーラー疾患)、MPS II、MPS III、およびMPS VIIの重度の形態に存在する。対照的に、MPS IV、MPS VI、弱化型のMPS I(シャイエ症候群(Scheie syndrome))、および弱化型のMPS IIの患者は、認知障害を有しない[2]。HSは、MPS I、II、III、およびVIIにおける主要な蓄積GAGの1つである[10]。いくつかの報告は、脳組織において蓄積されたHSがMPSの神経症状に関与していることを実証した[9−12]。さらに、HS濃度がMPS IIマウスの脳組織におけるより感受的でかつ特異的なバイオマーカーであることが示されている[13、20]。しかしながら、脳組織におけるHSの量の直接測定は、臨床現場では不可能である。従って、我々は、CSFにおけるHS濃度を解析し、CSFおよび脳組織におけるHSレベル間に相関をみつけようとした。我々は、WTマウスと比較してIDS KOマウスのCSFおよび脳組織の両方において、HS含量は有意に増加し、かつすべてのIDS−β−治療群において減少したことを実証した(図2)。さらに、これはCSFにおけるHS濃度が脳組織HSおよび脳組織GAGと有意に関連していること(図3)を実証する最初の研究である。従って、我々は、CSFにおけるHS含量が、脳組織HSレベルまたはGAGを推定するための潜在的なバイオマーカーの1つであり得ることを示唆する。しかしながら、CSFにおけるHS含量がCNS病理を実際に表すことができることを実証するために、MPS IIのCNS病理は、GAG蓄積の量だけでなく、二次的な基質蓄積、炎症、およびCNSの変性変化に起因するため、我々は脳組織の病理検査を含むさらなる研究が必要である[12、21、22]。相関が実証されるならば、CSF HS含量は、CNS関与のMPS II患者の将来あり得る臨床試験におけるCNS病理を評価することについて、有用なパラメータであり得る。
さらに、我々は、効果は組織間で異なるが、IDS−βのICV投与はまた、体細胞組織(肝臓、脾臓、腎臓、心臓、および肺)並びに脳組織のGAG蓄積を用量依存的に有意に減少させたことを実証した(図4および図6−10)。GAG減少の程度は用量依存的であることが観察され、我々は、IDS−βの30μgの投与が28日間体細胞組織において蓄積したGAGを有意に減少させ、かつ維持でき、脳組織においても同じであることに留意した。全体として、これらのデータは、ICV投与後のCSFから全身の器官への治療タンパク質の生理学的な輸送を実証し、脳および全身の器官の両方への治療用酵素の送達について臨床的に実現可能な経路を示唆する。加えて、CSFは、注射された酵素について中間リザーバーとして役立ち得、いくらかの量がICV注射後全身循環に徐々に移動する。CSFから全身循環への酵素送達の機構は明らかではないが、イズロン酸−2−スルファターゼを含有するCSFが、くも膜下腔を通じて全身静脈循環と連絡し得ることが示唆されている[6、23−25]。
結論として、IDS−βの単回ICV注射は十分許容され、かつ、IDS KOマウスの体細胞組織におけるGAGおよび脳組織におけるHSおよびGAGの有意な減少を産生した。さらに、効果はICV注射後28日で、特に30μg用量で維持した。加えて、CSF HS濃度が脳組織HSおよびGAGと正に関連しているため、CSF HS濃度が、脳の病態を表すための有用なバイオマーカーであり得る。
1−5:配列表
配列番号1
長さ:525
Type: PRT
SETQANSTTD ALNVLLIIVD DLRPSLGCYG DKLVRSPNID QLASHSLLFQ NAFAQQAVCA
PSRVSFLTGR RPDTTRLYDF NSYWRVHAGN FSTIPQYFKE NGYVTMSVGK VFHPGISSNH
TDDSPYSWSF PPYHPSSEKY ENTKTCRGPD GELHANLLCP VDVLDVPEGT LPDKQSTEQA
IQLLEKMKTS ASPFFLAVGY HKPHIPFRYP KEFQKLYPLE NITLAPDPEV PDGLPPVAYN
PWMDIRQRED VQALNISVPY GPIPVDFQRK IRQSYFASVS YLDTQVGRLL SALDDLQLAN
STIIAFTSDH GWALGEHGEW AKYSNFDVAT HVPLIFYVPG RTASLPEAGE KLFPYLDPFD
SASQLMEPGR QSMDLVELVS LFPTLAGLAG LQVPPRCPVP SFHVELCREG KNLLKHFRFR
DLEEDPYLPG NPRELIAYSQ YPRPSDIPQW NSDKPSLKDI KIMGYSIRTI DYRYTVWVGF
NPDEFLANFS DIHAGELYFV DSDPLQDHNM YNDSQGGDLF QLLMP
配列番号2
長さ:525
Type: PRT
SETQANSTTD ALNVLLIIVD DLRPSLGCYG DKLVRSPNID QLASHSLLFQ NAFAQQAVG*A
PSRVSFLTGR RPDTTRLYDF NSYWRVHAGN FSTIPQYFKE NGYVTMSVGK VFHPGISSNH
TDDSPYSWSF PPYHPSSEKY ENTKTCRGPD GELHANLLCP VDVLDVPEGT LPDKQSTEQA
IQLLEKMKTS ASPFFLAVGY HKPHIPFRYP KEFQKLYPLE NITLAPDPEV PDGLPPVAYN
PWMDIRQRED VQALNISVPY GPIPVDFQRK IRQSYFASVS YLDTQVGRLL SALDDLQLAN
STIIAFTSDH GWALGEHGEW AKYSNFDVAT HVPLIFYVPG RTASLPEAGE KLFPYLDPFD
SASQLMEPGR QSMDLVELVS LFPTLAGLAG LQVPPRCPVP SFHVELCREG KNLLKHFRFR
DLEEDPYLPG NPRELIAYSQ YPRPSDIPQW NSDKPSLKDI KIMGYSIRTI DYRYTVWVGF
NPDEFLANFS DIHAGELYFV DSDPLQDHNM YNDSQGGDLF QLLMP
(配列番号2の59番目のアミノ酸「G*」は、ホルミル−グリシンを意味する)
1−6:参考文献


Claims (19)

  1. 治療を必要とする対象に、およそ0.1mg/mlからおよそ60mg/mlの範囲の濃度でイデュルスルファーゼ−ベータ(IDS−β)タンパク質、およそ150mMの濃度で塩化ナトリウム、およそ0.05mg/mlの濃度でポリソルベート20、およびおよそ6のpHを含む治療有効量のICV製剤を脳室内投与(ICV投与)する工程を含む、ハンター症候群を治療する方法。
  2. ICV製剤がおよそ15mg/mlの濃度でイデュルスルファーゼ−ベータ(IDS−β)タンパク質、およそ150mMの濃度で塩化ナトリウム、およそ0.05mg/mlの濃度でポリソルベート20、およびおよそ6のpHを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 治療有効量がおよそ1mgからおよそ30mgの範囲である、請求項1に記載の方法。
  4. 治療有効量がおよそ10mgである、請求項1に記載の方法。
  5. ICV投与が3週間毎に1回行われる、請求項1に記載の方法。
  6. ICV投与が毎月1回行われる、請求項1に記載の方法。
  7. ICV投与が、リザーバーおよびリザーバーに結合したカテーテルを含む脳室内カテーテル系を通じる、請求項1に記載の方法。
  8. リザーバーが、治療を必要とする対象の頭皮および脳の間に配置され、かつカテーテルの端が対象の脳室の内側に配置され、そしてリザーバーの内空がカテーテルの内空を通じて脳室の内空に結合され、そして脳脊髄液が脳室からリザーバーへ流れ、リザーバーを満たすように脳室内カテーテル系を外科的に移植し;
    0.1−60ml/分の流速でリザーバーから0.1−5mlの脳脊髄液を引き抜き;
    0.1−60ml/分の流速でリザーバーへ0.1−5mlのICV製剤を注射し;かつ
    ICV製剤を、カテーテルを通じてリザーバーから脳室へ流れさせる、
    工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. ICV投与が、ハンター症候群のための酵素補充療法治療の少なくとも1つの追加的な形態の組み合わせで行われる、請求項1に記載の方法。
  10. ハンター症候群のための酵素補充療法治療の追加的な形態が、静脈内投与および皮下投与からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. ICV投与が毎月1回行われ、静脈内投与が1週間毎に1回行われる、請求項10に記載の方法。
  12. ICV投与が3週間毎に1回行われ、静脈内投与が1週間毎に1回行われる、請求項10に記載の方法。
  13. ICV投与が毎月1回行われ、皮下投与が1週間毎に1回行われる、請求項10に記載の方法。
  14. ICV投与が3週間毎に1回行われ、皮下投与が1週間毎に1回行われる、請求項10に記載の方法。
  15. ICV投与が毎月1回行われ、皮下投与が毎週2回行われる、請求項10に記載の方法。
  16. ICV投与が3週間毎に1回行われ、皮下投与が毎週2回行われる、請求項10に記載の方法。
  17. ICV投与が毎月1回行われ、かつ静脈内投与および皮下投与が1週間間隔で代替的に行われる、請求項10に記載の方法。
  18. ICV投与が3週間毎に1回行われ、かつ静脈内投与および皮下投与が1週間間隔で代替的に行われる、請求項10に記載の方法。
  19. およそ0.1mg/mlからおよそ60mg/mlの範囲の濃度でイデュルスルファーゼ−ベータ(IDS−β)タンパク質、およそ150mMの濃度で塩化ナトリウム、およそ0.05mg/mlの濃度でポリソルベート20、およびおよそ6のpHを含む、ハンター症候群を治療するための脳室内投与のための製剤。
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