JP2019502394A - Mini−III RNase、Mini−III RNaseによるRNA配列切断の特異性を変更する方法、およびそれらの使用 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、アミノ酸配列を有するMini−III RNaseに関し、アミノ酸配列は、Mini−III RNase構造において、アクセプター部分、および、それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する、移植可能なα4ヘリックスおよび移植可能なα5b−α6ループを含み、ここで、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する断片は、それぞれ、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのMini−III RNaseの、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸配列断片によって形成されたα4ヘリックスおよびα5b−α6ループのそれぞれの構造に構造的に対応しており、ここで、Mini−III RNaseは、基質のリボヌクレオチド配列にのみ依存している、および基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質の存在から独立しているdsRNA切断における配列特異性を示し、およびMini−III RNaseは、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1のバチルス・スブチリスからのMini−IIIタンパク質ではない。本発明はまた、キメラMini−III RNaseを得る方法、Mini−III RNaseをコードする構築物、Mini−III RNaseをコードする遺伝子を有する細胞、dsRNA切断のためのMini−III RNaseの使用の他に、リボヌクレオチド配列にのみ依存しているdsRNA切断の方法に関する。
【選択図】なし
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Description
本発明の目的は、アミノ酸配列を有する新規の天然およびキメラのMini−III RNaseに関し、アミノ酸配列は、Mini−III RNase構造において、アクセプター部分、およびα4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する、それぞれ、移植可能なα4ヘリックスおよび移植可能なα5b−α6ループの部分を含み、ここでMini−III RNaseは、基質のリボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質とは無関係であるdsRNA切断における配列特異性を示し、およびMini−III RNaseは、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1のバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)からのMini−IIIタンパク質ではない。本発明はまた、キメラMini−III RNaseを得る方法、Mini−III RNaseをコードする構築物、Mini−III RNaseをコードする遺伝子を有する細胞、dsRNA切断のためのMini−III RNaseの使用の他に、リボヌクレオチド配列のみに依存しているdsRNA切断の方法にも関する。
分子生物学に関する基本ツールの1つは、例えば、遺伝子工学、診断学、医療、および様々な製品を製造および加工するための産業に使用される、明確に定義された活性を有するタンパク質である。そのような酵素の一例は、二本鎖DNA(dsDNA)の特異的配列を認識する且つ切断する、制限酵素とも呼ばれるDNAエンドヌクレアーゼである。
リボヌクレアーゼ(RNase)は、DNA限定酵素の対応物であり、RNA分子のエキソヌクレアーゼ切断またはエンドヌクレアーゼ切断に基づく様々な生化学反応への関与による細胞中のRNAのプロセシングおよび分解に重要な役割を果たす。エキソリボヌクレアーゼは、それらの末端から開始して、配列非依存的な方法でRNA分子を分解し、一方でエンドリボヌクレアーゼ(endoRNases)は、一本鎖または二本鎖のRNA分子(それぞれ、ssRNAおよびdsRNA)を内部で切断する。多くのRNaseは基質特異性を示すが、それらの標的配列は、通常、頻繁に分子全体の特定の二次および三次の構造の文脈において、ssRNA中の1つ又は少数のヌクレオチドに限定される。そのような酵素の1つは、中間でGGAG配列を切断する、ファージタンパク質RegBである。効率的に切断するために、RegBは、リボソームタンパク質S1との適切なRNA二次構造および酵素の相互作用などの、追加の決定因子を必要とする(Lebars, I., et al., J Biol Chem, (2001) 276, 13264−13272、およびSaida, F., et al., (2003) Nucleic Acids Res, 31, 2751−2758)。
他の配列特異的なリボヌクレアーゼも知られているが、それらは、適切なヌクレオチド配列に加えて、特定のssRNA断片によって形成された特有の構造が必要とされるという事実が原因で工学には適していない。T1およびMC1のRNaseの基質特異性を変更する試みがなされてきた(Hoschler, K., et al., J Mol Biol, (1999) 294, 1231−1238, Numata, T., et al., Biochemistry, (2003) 42, 5270−5278)。これらの2つのケースでは、単一のヌクレオチドから2つのヌクレオチドへと縮小された特異性を有する酵素変異体が生成された(Numata, T., et al., Biochemistry, (2003) 42, 5270−5278; Czaja, R., et al., Biochemistry, (2004) 43, 2854−2862; Struhalla, M., et al., Chembiochem, (2004) 5, 200−205)。しかしながら、加水分解されたRNA配列への低い特異性または特異性の欠如によって、そのプロセシングは大きく制限され、したがって、そのような酵素を適用する可能性も制限される。
タンパク質とは別に、ハンマーヘッド型リボザイム、触媒性DNA分子(DNAzymes)、およびペプチド核酸に基づいた人工酵素(PNAzymes)も、RNA配列を切断するために使用される。記載される分子は、RNA分子の配列特異的な切断を得るように設計されてもよい。ハンマーヘッド型リボザイムは、最初に植物ウイルスにおいて発見された30ヌクレオチドのRNA分子である(Prody, GA., et al., Science, (1986) 231, 1577−1580)。それらは3つのステム(stems)を形成し、ここでステムIおよびIIIを形成する配列は、中間で切断される標的配列UH(ここでHはG以外のあらゆるヌクレオチドである)に隣接している基質RNA分子の相補的配列に結合する。ハンマーヘッド型リボザイムは、シスまたはトランスの立体構造において標的配列を切断するように設計されてもよい(Usman, N., et al., Curr. Opin. Struct. Biol. (1996) 4, 527?533)。DNAzymesは、ランダムなDNA配列からインビトロセレクション法を使用して特定された触媒性DNA分子である。これまでのところ、広範囲の特異性を有する多くのDNAzymesが記載されてきた。設計されたCu2+依存性のPNAzymesも、RNA分子の高選択性の切断の可能性を提供する。それらは、RNA相補的配列と結合する及び標的分子において4つのヌクレオチドのバルジを形成するように設計されている。形成されたバルジは、AYRA配列を含む(ここでY=C、Uであり;R=A、Gである)場合、PNAzymeによって切断され得る(Murtola M., et al., J Am Chem Soc (2010) 26, 8984−8990)。
dsRNAをプロセシングする能力を有する酵素は、以下の4つのファミリーが特定されたリボヌクレアーゼIIIスーパーファミリーに属する:Dicer、Drosha、RNaseIII、およびMini−III。その中へ分類されたタンパク質はすべて、リボヌクレアーゼIIIの触媒性ドメインが特徴である。バチルス・スブチリスからのリボヌクレアーゼMini−IIIは、このタイプのドメインを有しているが、リボヌクレアーゼIIIスーパーファミリーの他の既知のメンバーに典型的なdsRNA結合ドメインを有していない。Mini−IIIをコードする遺伝子は、グラム陰性菌のゲノムおよび植物色素体に存在している。細菌および色素体の両方において、Mini−III酵素は、23SリボソームRNA成熟のプロセスに関係している。このタンパク質のための天然の基質は、3’および5’末端が切断されている23SプレリボソームRNAである。23SプレリボソームRNAの天然の基質においてMini−IIIによって切断された配列が決定され、切断部位に近づいて、23SプレリボソームRNA断片が、対でない一本鎖要素を有する部分的に二本鎖および部分的に不規則な構造を達成することが分かった。ここまで行われた試験は、Mini−IIIが、dsRNAヘリックス構造において不規則性を認識する傾向があり得ることを示唆してきた(Redko, Y., et al., Molecular Microbiology, (2008) 68(5), 1096−1106)。23SプレリボソームRNAへのMini−IIIの活性は、基質に作用するが、酵素立体構造の状態には作用しないL3タンパク質によって有意に刺激される(Redko, Y. et al., Molecular Microbiology, (2009) 71(5), 1145−1154)。植物細胞の色素体において、Mini−IIIが、その分解によって細胞に存在するイントロンおよびノンコーディングRNA分子の量を調節することが示された(Hotto A., et al., Plant Cell, (2015), 27(3), 724−740)。
本発明者のチームは、歴史上初めて、Mini−III酵素およびその突然変異体D94Rによって示された二本鎖RNA(dsRNA)へのRNaseの配列特異的な活性について記載した。報告された結果は、バチルス・スブチリスからのMini−III RNase(BsMiniIII)による長いdsRNA分子の配列依存性の切断を確証している。バクテリオファージΦ6ゲノムである、長いdsRNA分子の制限された切断中にこの酵素によって切断された部位の分析は、この酵素によって切断されたdsRNAにおける配列モチーフの特定につながった。さらに、切断効率に影響を与える切断部位内のヌクレオチド残基が確立され、これらは、酵素がdsRNA配列を認識するのに不可欠である。構造研究に続いて適切な実験に裏付けされているコンピュータモデルも、Mini−III RNaseに属する酵素に特徴的な構造要素である、α5b−α6ループが、タンパク質の特異的な活性化に重要な役割を果たすが、結合dsRNAのプロセスにおいてはそうではないことを示した(Glow D., et al., Nucleic Acids Res, (2015), 43(5), 2864−2873)。
dsRNAへの配列特異性を示す他のRNaseの特定およびその特異性を変更する可能性によって、RNA核操作技術の分野における発展に加えて、そのような酵素を用いる新規の調査の方法および適用、およびそのような酵素を使用する新しい技術の発展も可能になるだろう。
前述事項に基づいて、本発明の目標は、第1に、二本鎖RNAにおいて特定の配列を認識する且つ切断する、BsMiniIII以外の、高い配列特異性を有するdsRNA RNaseを提供することであり、第2に、基質選択性およびその活性を変更するために、このエンドヌクレアーゼサブファミリーの酵素間の定義された構造要素の交換に基づいた方法を提供することである。本発明の目標はまた、そのような配列特異的なdsRNA RNaseを決定する、単離する、得る、選択する、および調製する方法を提供することである。
1セットのBsMiniIIIホモログの活性および特異性を試験する中で、本発明者は、リボヌクレアーゼMini−IIIファミリーの酵素が、dsRNA切断中にBsMiniIIIとは異なるヌクレオチド選択性を有していることを想定外に発見した。BsMiniIIIのケースでのように、この選択性は、dsRNA配列のみに依存し、dsRNAにおける不規則なヘリックスの出現および他のタンパク質との協同の両方から独立している。想定外なことに、本発明者は、dsRNAヘリックスの主溝に位置し、それと相互作用している、インシリコのモデリングにおいてポリペプチド鎖断片によって形成されたループを有している、リボヌクレアーゼIIIスーパーファミリーの酵素が、dsDNAのための制限酵素の特性に近い特性を有して、dsRNAの特異的な及び定義された断片化を可能にする活性を示すことを発見した。初めて、本発明者によって行われた試験は、α5b−α6ループ配列に対する切断選択性の依存の証拠を提供した。さらに、モデル分析は、驚いたことに、言及されたループと同様に、dsRNA配列に十分接近して位置する及びMini−III酵素の活性および特異性に影響を与える、追加の構造要素、即ちα4ヘリックスを見つけることを可能にした。タンパク質間の構造要素の交換は、想定外なことに、結果として生じるキメラタンパク質の特異性および活性の両方における変化をもたらした。
本発明の目的は、配列特異的なMini−III RNaseの一群の他に、これらの酵素の配列選択性の要因であるMini−III RNaseにおける定義する構造要素、並びにこれらの要素またはMini−III酵素間のそれらの断片を交換する方法に関する。
本発明は、アミノ酸配列を有するMini−III RNaseに関し、アミノ酸配列は、Mini−III RNase構造において、アクセプター部分、およびα4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する、それぞれ、移植可能なα4ヘリックス及び/又は移植可能なα5b−α6ループの部分を含み、ここでα4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する断片は、それぞれ、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのMini−III RNaseの、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸配列断片によって形成されたα4ヘリックスおよびα5b−α6ループのそれぞれの構造に構造的に対応しており、
ここでMini−III RNaseは、基質のリボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質の存在とは無関係であるdsRNA切断における配列特異性を示し、およびMini−III RNaseは、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1のバチルス・スブチリスからのMini−IIIタンパク質ではない。
本発明は、アミノ酸配列を有するMini−III RNaseに関し、アミノ酸配列は、Mini−III RNase構造において、アクセプター部分、およびα4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する、それぞれ、移植可能なα4ヘリックス及び/又は移植可能なα5b−α6ループの部分を含み、ここでα4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する断片は、それぞれ、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのMini−III RNaseの、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸配列断片によって形成されたα4ヘリックスおよびα5b−α6ループのそれぞれの構造に構造的に対応しており、
ここでMini−III RNaseは、基質のリボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質の存在とは無関係であるdsRNA切断における配列特異性を示し、およびMini−III RNaseは、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1のバチルス・スブチリスからのMini−IIIタンパク質ではない。
好ましいMini−III RNaseにおいて、アミノ酸配列は、1つの微生物のMini−III RNaseに由来するアクセプター部分、および異なる微生物のMini−III RNaseからのα4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの配列に由来する、それぞれ、挿入される移植可能なα4ヘリックス及び/又は移植可能なα5b−α6ループから構成される。
好ましいMini−III RNaseにおいて、アミノ酸配列は以下を含む:
− BsMiniIIIwtのMini−III RNase(SEQ ID NO:1)、カルディセルロシルプター・クリストヤンソニー(Caldicellulosiruptor kristjanssonii)のMini−III CkMiniIIIwt(SEQ ID NO:2)、クロストリジウム・ラモーサム(Clostridium ramosum)のCrMiniIIIwt(SEQ ID NO:4)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)のCtMiniIIIwt(SEQ ID NO:6)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii)のFpMiniIIIwt(SEQ ID NO:8)、フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum subsp. nucleatum)のFnMiniIIIwt(SEQ ID NO:10)、スタフィロコッカス・エピデルミデス(Staphylococcus epidermidis)のSeMiniIIIwt(SEQ ID NO:12)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritimaのTmMiniIIIwt(SEQ ID NO:14)、または現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシス(Caldanaerobacter subterraneus subsp. tengcongensis)である、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシス(Thermoanaerobacter tengcongensis)のTtMiniIIIwt(SEQ ID NO:16)、あるいはそれらと少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列、に由来するアクセプター部分;
− SEQ ID NO:1の46−52位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の36−42位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の40−46位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の56−62位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の43−49位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の50−56位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwt、あるいはそれらと少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列、に由来する移植可能なα4ヘリックス、及び/又は
− SEQ ID NO:1の85−98位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の73−86位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の79−88位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の93−106位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の82−93位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の87−100位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwt、あるいはそれらと少なくとも80%、 好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列、に由来する移植可能なα5b−α6ループ。
− BsMiniIIIwtのMini−III RNase(SEQ ID NO:1)、カルディセルロシルプター・クリストヤンソニー(Caldicellulosiruptor kristjanssonii)のMini−III CkMiniIIIwt(SEQ ID NO:2)、クロストリジウム・ラモーサム(Clostridium ramosum)のCrMiniIIIwt(SEQ ID NO:4)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)のCtMiniIIIwt(SEQ ID NO:6)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii)のFpMiniIIIwt(SEQ ID NO:8)、フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum subsp. nucleatum)のFnMiniIIIwt(SEQ ID NO:10)、スタフィロコッカス・エピデルミデス(Staphylococcus epidermidis)のSeMiniIIIwt(SEQ ID NO:12)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritimaのTmMiniIIIwt(SEQ ID NO:14)、または現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシス(Caldanaerobacter subterraneus subsp. tengcongensis)である、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシス(Thermoanaerobacter tengcongensis)のTtMiniIIIwt(SEQ ID NO:16)、あるいはそれらと少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列、に由来するアクセプター部分;
− SEQ ID NO:1の46−52位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の36−42位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の40−46位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の56−62位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の43−49位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の50−56位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwt、あるいはそれらと少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列、に由来する移植可能なα4ヘリックス、及び/又は
− SEQ ID NO:1の85−98位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の73−86位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の79−88位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の93−106位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の82−93位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の87−100位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwt、あるいはそれらと少なくとも80%、 好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列、に由来する移植可能なα5b−α6ループ。
好ましいMini−III RNaseは、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:2に示されるカルディセルロシルプター・クリストヤンソニーからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
好ましいRNaseは、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:4に示されるクロストリジウム・ラモーサムからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
好ましいRNaseは、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:6に示されるクロストリジウム・サーモセラムからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
好ましいRNaseは、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:8に示されるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
好ましいRNaseは、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:10に示されるフソバクテリウム・ヌクレアタムからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
好ましいRNaseは、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:12に示されるスタフィロコッカス・エピデルミデスからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
好ましいRNaseは、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:14に示されるサーモトガ・マリティマからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
好ましいRNaseは、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:16に示されるサーモアナエロバクター・テンコンジェンシス(カルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシス)からの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
好ましいRNaseは、SEQ ID NO:18のCt(FpH)、SEQ ID NO:20のCt(FpL)、SEQ ID NO:22のCt(FpHL)、SEQ ID NO:24のBs(FpH)、SEQ ID NO:26のBs(FpL)、SEQ ID NO:28のSe(FpH)から選択されるキメラタンパク質である。
本発明はまた、Mini−III RNaseキメラタンパク質を得る方法に関し、該方法は、
a)Mini−III RNaseをコードする遺伝子をクローン化する工程であって、そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのMini−III RNaseの、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸配列断片によって形成されたα4ヘリックスおよびα5b−α6ループにおいてそれぞれの断片に構造的に対応している、それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する断片を含む、工程、
b)それぞれ、α4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの構造をコードする断片の少なくとも1つを、異なる微生物のMini−III RNaseをコードする遺伝子からの、それぞれ、α4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの構造をコードする断片と交換することによって、Mini−III RNaseをコードする遺伝子を組み換える工程を含み、
ここでMini−III RNaseは、リボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質の存在から独立しているdsRNA切断における配列特異性を示し、およびMini−III RNaseは、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を有するバチルス・スブチリスからのMini−IIIタンパク質ではない。
a)Mini−III RNaseをコードする遺伝子をクローン化する工程であって、そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのMini−III RNaseの、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸配列断片によって形成されたα4ヘリックスおよびα5b−α6ループにおいてそれぞれの断片に構造的に対応している、それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する断片を含む、工程、
b)それぞれ、α4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの構造をコードする断片の少なくとも1つを、異なる微生物のMini−III RNaseをコードする遺伝子からの、それぞれ、α4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの構造をコードする断片と交換することによって、Mini−III RNaseをコードする遺伝子を組み換える工程を含み、
ここでMini−III RNaseは、リボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質の存在から独立しているdsRNA切断における配列特異性を示し、およびMini−III RNaseは、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を有するバチルス・スブチリスからのMini−IIIタンパク質ではない。
キメラMini−III RNaseを得る好ましい方法では、工程b)は、アクセプター部分への移植可能なα4ヘリックス及び/又は移植可能なα5b−α6ループの挿入に関し、ここで
− アクセプター部分は、BsMiniIIIwtのMini−III RNase(SEQ ID NO:1)、カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーのMiniIII CkMiniIIIwt(SEQ ID NO:2)、クロストリジウム・ラモーサムのCrMiniIIIwt(SEQ ID NO:4)、クロストリジウム・サーモセラムのCtMiniIIIwt(SEQ ID NO:6)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィのFpMiniIIIwt(SEQ ID NO:8)、フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムのFnMiniIIIwt(SEQ ID NO:10)、スタフィロコッカス・エピデルミデスのSeMiniIIIwt(SEQ ID NO:12)、サーモトガ・マリティマのTmMiniIIIwt(SEQ ID NO:14)、または現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスのTtMiniIIIwt(SEQ ID NO:16)に由来するか、あるいはそれらと少なくとも80%、 好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列を含み;
− 移植可能なα4ヘリックスは、SEQ ID NO:1の46−52位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の36−42位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の40−46位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の56−62位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の43−49位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の50−56位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwtに由来するか、あるいはそれらと少なくとも80%、 好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列を含み;
− 移植可能なα5b−α6ループは、SEQ ID NO:1の85−98位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の73−86位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の79−88位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の93−106位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の82−93位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の87−100位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwtに由来するか、あるいはそれらと少なくとも80%、 好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列を含む。
− アクセプター部分は、BsMiniIIIwtのMini−III RNase(SEQ ID NO:1)、カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーのMiniIII CkMiniIIIwt(SEQ ID NO:2)、クロストリジウム・ラモーサムのCrMiniIIIwt(SEQ ID NO:4)、クロストリジウム・サーモセラムのCtMiniIIIwt(SEQ ID NO:6)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィのFpMiniIIIwt(SEQ ID NO:8)、フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムのFnMiniIIIwt(SEQ ID NO:10)、スタフィロコッカス・エピデルミデスのSeMiniIIIwt(SEQ ID NO:12)、サーモトガ・マリティマのTmMiniIIIwt(SEQ ID NO:14)、または現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスのTtMiniIIIwt(SEQ ID NO:16)に由来するか、あるいはそれらと少なくとも80%、 好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列を含み;
− 移植可能なα4ヘリックスは、SEQ ID NO:1の46−52位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の36−42位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の40−46位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の56−62位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の43−49位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の50−56位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwtに由来するか、あるいはそれらと少なくとも80%、 好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列を含み;
− 移植可能なα5b−α6ループは、SEQ ID NO:1の85−98位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の73−86位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の79−88位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の93−106位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の82−93位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の87−100位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwtに由来するか、あるいはそれらと少なくとも80%、 好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列を含む。
好ましくは、キメラMini−III RNaseを得る方法において、Mini−III RNaseをコードする遺伝子における移植可能なα4ヘリックスおよび移植可能なα5b−α6ループは、異なる微生物に由来する。
キメラMini−III RNaseを得る好ましい方法では、Mini−III RNaseをコードする遺伝子は、SEQ ID NO:18、20、22、24、26、28から成る群からのアミノ酸配列をコードする配列を含む。
キメラMini−III RNaseを得る好ましい方法はさらに、
c)工程b)から遺伝子を発現する細胞を培養する工程、および
d)工程c)から発現されたタンパク質を単離し、精製する工程、および随意に
e)工程d)で得られたタンパク質の配列特異性を決定する工程を含む。
c)工程b)から遺伝子を発現する細胞を培養する工程、および
d)工程c)から発現されたタンパク質を単離し、精製する工程、および随意に
e)工程d)で得られたタンパク質の配列特異性を決定する工程を含む。
本発明はまた、本発明による方法で得られたMini−III RNaseを含む。
本発明はまた、本発明の方法によって得られたMini−III RNaseをコードする構築物に関する。
本発明はまた、本発明によってMini−III RNaseをコードする遺伝子、または本発明による構築物を含む、細胞に関する。
本発明はまた、リボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質の存在とは無関係である方法でdsRNAを切断するための、本発明によるMini−III RNaseの使用に関する。
本発明はまた、リボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質構造内の二次構造の出現とは無関係である、並びに他の補助タンパク質の存在とは無関係である方法でdsRNAを切断する方法に関し、該方法は、本発明によるdsRNA基質とMini−III RNaseとの間の相互作用を含む。
dsRNAを切断する好ましい方法では、Mini−III RNaseは、SEQ ID NO:2に示されるカルディセルロシルプター・クリストヤンソニーからの配列を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
dsRNAを切断する好ましい方法では、Mini−III RNaseは、SEQ ID NO:4に示されるクロストリジウム・ラモーサムからの配列を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
dsRNAを切断する好ましい方法では、Mini−III RNaseは、SEQ ID NO:6に示されるクロストリジウム・サーモセラムからの配列を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
dsRNAを切断する好ましい方法では、Mini−III RNaseは、SEQ ID NO:8に示されるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィからの配列を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
dsRNAを切断する好ましい方法では、Mini−III RNaseは、SEQ ID NO:10に示されるフソバクテリウム・ヌクレアタムからの配列を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
dsRNAを切断する好ましい方法では、Mini−III RNaseは、SEQ ID NO:12に示されるスタフィロコッカス・エピデルミデスからの配列を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
dsRNAを切断する好ましい方法では、Mini−III RNaseは、SEQ ID NO:14に示されるサーモトガ・マリティマからの配列を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
dsRNAを切断する好ましい方法では、Mini−III RNaseは、SEQ ID NO:16に示されるサーモアナエロバクター・テンコンジェンシス(カルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシス)からの配列を含み、ここでMini−III RNaseは、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
本発明はまた、Mini−III RNaseを得る方法に関し、該方法は、
a)Mini−III RNaseをコードする遺伝子をクローン化する工程であって、そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのエンドリボヌクレアーゼMini−III RNaseの、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸配列断片によって形成されたα4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造に構造的に対応している、それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する断片を含み、Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を有するバチルス・スブチリスからのMini−IIIタンパク質ではない、工程、
b)工程a)から遺伝子を発現する細胞を培養する工程、および
c)工程b)から発現されたタンパク質を分離し、精製する工程を含み、
ここでMini−III RNaseは、リボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質の構造における二次構造の出現から独立している、 並びに他の補助タンパク質の存在から独立しているdsRNA切断における配列特異性を示す。
a)Mini−III RNaseをコードする遺伝子をクローン化する工程であって、そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのエンドリボヌクレアーゼMini−III RNaseの、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸配列断片によって形成されたα4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造に構造的に対応している、それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する断片を含み、Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を有するバチルス・スブチリスからのMini−IIIタンパク質ではない、工程、
b)工程a)から遺伝子を発現する細胞を培養する工程、および
c)工程b)から発現されたタンパク質を分離し、精製する工程を含み、
ここでMini−III RNaseは、リボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質の構造における二次構造の出現から独立している、 並びに他の補助タンパク質の存在から独立しているdsRNA切断における配列特異性を示す。
本発明の方法の一実施形態では、Mini−III RNaseをコードする遺伝子は、SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16から成る群からのアミノ酸配列をコードする配列を含む。
本発明者は、酵素の配列選択性の要因であるMini−III RNaseの構造要素を決定し、これらはα4ヘリックスおよびα5b−α6ループである(図6を参照)。α4ヘリックスおよびα5b−α6ループに対応するタンパク質Mini−IIIアミノ酸配列の選択される断片は、有意差を特徴とするが、それらの末端上には、アミノ酸配列のアライメントによって特定され得る、進化の過程で保存された、類似した位置がある。正確な同等物を構成するために分析された酵素間の交換を意図した配列断片に関して、それらの境界は、保存された位置に直接隣接している位置上に設定された(表11を参照)。例えば、BsMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)に関して、これらは、α4ヘリックスに対しては46−52位のアミノ酸およびα5b−α6ループに対しては85−98位のアミノ酸である。CtMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:6)に関して、これらは、α4ヘリックスに対しては56−62位のアミノ酸およびα5b−α6ループに対しては93−106位のアミノ酸である。FpMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:8)に関して、これらは、α4ヘリックスに対しては45−51位のアミノ酸およびα5b−α6ループに対しては82−95位のアミノ酸である。SeMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:12)に関して、これらは、α4ヘリックスに対しては43−49位のアミノ酸およびα5b−α6ループに対しては82−95位のアミノ酸である。タンパク質のアミノ酸配列に関連する両方の構造要素は、図7に示される。
本発明者は、想定外に、これらの重要な構造要素を交換すること、および選択性が変更された及び/又は基質切断の様々な特異性および特性を有する酵素を得ることが可能であることを発見した。
本発明者は、配列選択性が変更されたキメラタンパク質を得ることを可能にするMini−III酵素間の前述の構造要素を交換する方法を開発した。該方法の本質は、他のタンパク質からのα4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの構造を含んでいるMini−III RNaseに基づいたキメラタンパク質の産生に関する。そのようなキメラタンパク質を産生するために、当業者に既知のキメラタンパク質を構築する適切な方法が使用されてもよい。例えば、該方法は、
a)供与体であるMini−III RNaseの配列選択性の要因である特定の移植可能な構造要素、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループをコードする、配列特異的なdsRNAエンドリボヌクレアーゼの遺伝子の断片に対応しているオリゴヌクレオチドの合成;
b)交換を意図した、その配列特異性の要因である構成要素をコードする短い配列断片を省いた特定のMini−III RNaseの過剰産生に使用されるプラスミドの増幅;
c)得られる2つのDNA断片の組み合わせ;
d)c)で得られたヌクレオチド配列からのMini−III RNaseキメラタンパク質の発現;
e)発現されたMini−III RNaseキメラタンパク質の変更された配列特異性の決定を含む。
Mini−III RNaseの誘導体及び/又は変異体における選択性の変化を得るそのような好ましい方法は、結果として、dsRNA切断における配列特異性への変更された、増加された選択性、及び/又は変更された配列特異性、及び/又は変更された及び/又は増加された酵素活性を有する、誘導体及び/又は変異体を得ることにつながる。
a)供与体であるMini−III RNaseの配列選択性の要因である特定の移植可能な構造要素、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループをコードする、配列特異的なdsRNAエンドリボヌクレアーゼの遺伝子の断片に対応しているオリゴヌクレオチドの合成;
b)交換を意図した、その配列特異性の要因である構成要素をコードする短い配列断片を省いた特定のMini−III RNaseの過剰産生に使用されるプラスミドの増幅;
c)得られる2つのDNA断片の組み合わせ;
d)c)で得られたヌクレオチド配列からのMini−III RNaseキメラタンパク質の発現;
e)発現されたMini−III RNaseキメラタンパク質の変更された配列特異性の決定を含む。
Mini−III RNaseの誘導体及び/又は変異体における選択性の変化を得るそのような好ましい方法は、結果として、dsRNA切断における配列特異性への変更された、増加された選択性、及び/又は変更された配列特異性、及び/又は変更された及び/又は増加された酵素活性を有する、誘導体及び/又は変異体を得ることにつながる。
それ故、本発明の方法の具体的な実施形態では、キメラMini−III RNaseをコードする遺伝子は、それぞれ、α4ヘリックス(さらに移植可能なα4ヘリックスとして言及される)およびα5b−α6ループ(さらに移植可能なα5b−α6ループとして言及される)の構造をコードする断片を使用して構築され、それらの少なくとも1つは、異なるMini−III RNaseをコードする遺伝子の配列に由来し、それらの少なくとも1つは、別の微生物のMini−III RNaseに由来するアクセプター部分へと挿入される(移植される)。好ましくは、Mini−III RNaseをコードする遺伝子は、Mini−III RNaseポリペプチドの、バチルス・スブチリスのBsMiniIIIwt(SEQ ID NO:1)、カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーのCkMiniIIIwt(SEQ ID NO:2)、クロストリジウム・ラモーサムのCrMiniIIIwt(SEQ ID NO:4)、クロストリジウム・サーモセラムのCtMiniIIIwt(SEQ ID NO:6)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィのFpMiniIIIwt(SEQ ID NO:8)、フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムのFnMiniIIIwt(SEQ ID NO:10)、スタフィロコッカス・エピデルミデスのSeMiniIIIwt(SEQ ID NO:12)、サーモトガ・マリティマのTmMiniIIIwt(SEQ ID NO:14)、または現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスのTtMiniIIIwt(SEQ ID NO:16)をコードする遺伝子を含む群からの遺伝子のいずれかに由来する、α4ヘリックス構造をコードする断片を含む。
好ましくは、Mini−III RNaseをコードする遺伝子は、SEQ ID NO:1の46−52位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の36−42位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の40−46位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の56−62位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の43−49位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の50−56位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwtからのα4ヘリックス構造をコードする断片を含む。
好ましくは、Mini−III RNaseをコードする遺伝子は、SEQ ID NO:1の46−52位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の36−42位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の40−46位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の56−62位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の43−49位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の50−56位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwtからのα4ヘリックス構造をコードする断片を含む。
好ましくは、Mini−III RNaseをコードする遺伝子は、Mini−III RNaseの、バチルス・スブチリスのBsMiniIIIwt(SEQ ID NO:1)、カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーのCkMiniIIIwt(SEQ ID NO:2)、クロストリジウム・ラモーサムのCrMiniIIIwt(SEQ ID NO:4)、クロストリジウム・サーモセラムのCtMiniIIIwt(SEQ ID NO:6)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィのFpMiniIIIwt(SEQ ID NO:8)、フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムのFnMiniIIIwt(SEQ ID NO:10)、スタフィロコッカス・エピデルミデスのSeMiniIIIwt(SEQ ID NO:12)、サーモトガ・マリティマのTmMiniIIIwt(SEQ ID NO:14)、または現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスのTtMiniIIIwt(SEQ ID NO:16)をコードする遺伝子を含む群からの遺伝子のいずれかに由来する、α5b−α6ループ構造をコードする断片を含む。
好ましくは、Mini−III RNaseをコードする遺伝子は、SEQ ID NO:1の85−98位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の73−86位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の79−88位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の93−106位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の82−93位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の87−100位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwtからのα5b−α6ループ構造をコードする断片を含む。
好ましくは、Mini−III RNaseをコードする遺伝子は、SEQ ID NO:18、20、22、24、26、28から成る群からのアミノ酸配列をコードする配列を含む。
本発明の目的はまた、dsRNA切断における配列特異性への増加された選択性、及び/又は変更された配列特異性、及び/又は増加された酵素活性を有する、本発明によるMini−III RNase変異体を調製する方法に関し、該方法は、
a)それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造をコードする断片の少なくとも1つを、Mini−III RNaseをコードする別の遺伝子からの、それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造をコードする断片と交換することによって、Mini−III RNaseをコードする遺伝子を組み換える工程、
b)細胞培養において工程a)で組み換えられた遺伝子によってコードされたタンパク質を発現する工程、
c)工程b)から発現されたタンパク質を単離し、精製する工程、
d)工程c)で得られたタンパク質の配列特異性を決定する工程を含む。
a)それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造をコードする断片の少なくとも1つを、Mini−III RNaseをコードする別の遺伝子からの、それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造をコードする断片と交換することによって、Mini−III RNaseをコードする遺伝子を組み換える工程、
b)細胞培養において工程a)で組み換えられた遺伝子によってコードされたタンパク質を発現する工程、
c)工程b)から発現されたタンパク質を単離し、精製する工程、
d)工程c)で得られたタンパク質の配列特異性を決定する工程を含む。
好ましい実施形態では、α4ヘリックス構造およびα5b−α6ループ構造は、異なる細菌種の遺伝子に由来する。
本発明はまた、本発明によってMini−III RNase変異体を得る方法によって得られたMini−III RNaseに関する。
dsRNA切断の配列特異性は、そのリボヌクレオチド配列にのみ依存しており、dsRNAの1つ又は両方の鎖におけるループアウト(looping−out)の出現及び/又は他の補助タンパク質との相互作用には依存していないdsRNAを認識する且つ切断するMini−III RNaseの能力として理解されるべきである。
用語「Mini−III RNase」または「RNase Mini−III」は、RNas−IIIファミリーにおけるクラス4のdsRNAリボヌクレアーゼを意味する。
この群に属するタンパク質は、ホモ二量体であり、触媒性ドメイン(RNaseIII)のみで構成されている(Olmedo, G. , et al., (2008))。
この群に属するタンパク質は、ホモ二量体であり、触媒性ドメイン(RNaseIII)のみで構成されている(Olmedo, G. , et al., (2008))。
本明細書に従う、用語「アクセプター部分」は、Mini−III RNaseのうちの1つのアミノ酸配列、またはMini−III RNaseのうちの1つのアクセプター部分のアミノ酸配列と少なくとも80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%、またはそれ以上同一である配列を意味し、ここでアクセプター部分は、α4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループのアミノ酸配列を部分的にまたは完全に除去することが可能であり、供与体に由来する移植可能なα4ヘリックス及び/又は移植可能なα5b−α6ループをこの/これらの部位へと挿入することが可能である。
本明細書に従う、用語「Mini−III RNaseキメラタンパク質」または「キメラMini−III RNase」は、Mini−III RNaseのうちの1つのアミノ酸配列(アクセプター部分と呼ばれる)、またはMini−III RNaseのうちの1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%、またはそれ以上同一である配列を含む構築物を意味し、ここで、α4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループのアミノ酸配列は、供与体と呼ばれる、アクセプター部分とは異なるMini−III RNaseに由来する移植可能なα4ヘリックス及び/又は移植可能なα5b−α6ループの類似したアミノ酸配列と、あるいは異なるMini−III RNaseに由来するα4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの類似したアミノ酸配列と少なくとも80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%、またはそれ以上同一である配列と部分的に又は完全に取り替えられている。
本明細書で使用される用語「同一性」は、2つのポリペプチド鎖間の配列類似性を指す。同じアミノ酸残基が、両方の比較された配列における位置を占めるとき、それぞれの分子はこの位置において同一である。本明細書に使用されるパーセント同一性は、アミノ酸配列間の比較を指し、2つの最適に整列された配列を比較することにより判定され、ここで、比較されているアミノ酸配列の部分は、2つの配列を最適に整列させるために参照配列(これは付加または欠失を含まない)と比較して付加(即ちアミノ酸残基の挿入)または欠失(即ちアミノ酸残基の除去)を含んでもよい。
上に言及されるように、本発明は、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのエンドリボヌクレアーゼMini−III RNaseのアミノ酸配列の、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸残基を有する断片によって形成された、それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造に構造的に対応している重要な構造要素、即ち、α4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの操作することによって、配列にのみ依存する方法で様々な配列特異性を有するRNA基質を切断する酵素を構築することが可能であるという予期されない観察に基づいている。当業者にとって、実施例に示されるRNaseが、単に本発明の特定の実施形態であることは自明となる。したがって、本発明はまた、本明細書に記載される酵素のいずれか1つと少なくとも80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%、またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む、本明細書に記載されるMini−III RNaseの誘導体及び/又は変異体に関する。特に、本明細書に記載されるMini−III RNaseの誘導体及び/又は変異体は、参照配列における対応するアミノ酸残基の保存的置換を含む。
参照配列における「保存的置換」は、例えば、類似したサイズ、形状、電荷、共有結合または水素結合を形成する能力を含む化学的性質などを有する、対応する参照残基に物理的にまたは機能的に類似したアミノ酸残基を含む置換である。特に、好ましい保存的置換は、Dayhoff et al.(“Atlas of Protein Sequence and Structure”, 1978, Nat. Biomed. Res. Foundation, Washington, DC, Suppl. 3, 22: 354−352)によって「受容された点突然変異」に対して定義された基準を満たす置換である。
本発明による、dsRNAへの配列特異性を示すMini−III RNase、及び/又はMini−III RNaseのキメラタンパク質、及び/又は誘導体及び/又は変異体、およびそれらの使用は、RNA操作技術の全体的な新しい分野の発展と同様に、そのような酵素の新規の調査の方法および適用およびそのような酵素を利用する新規の技術の発展を可能にする。配列特異性を示すMini−III RNase、およびそれらの誘導体及び/又は変異体は、例えば、リボヌクレオチド修飾、RNA分子の構造及び/又はその修飾を理解するためのRNAに関する構造研究、RNAi分子、特にsiRNAの生成、植物および動物のウイルス性疾患の診断および処置の他に、RNAに基づいたナノテクノロジー、いわゆる「RNAテクトニクス」の適用に使用される。
本発明による、dsRNAへの配列特異性を示す新しいMini−III RNase、及び/又はMini−III RNaseのキメラタンパク質、及び/又は誘導体及び/又は変異体が、新規の生物工学的応用に使用される。配列依存的な方法で一本鎖RNAを切断する既知の酵素が存在しているが、それらの活性は、基質配列だけでなくその構造にも依存し、それらは実際にはそれほど有用ではない。対照的に、本発明による、dsRNAへの配列特異性を示す新しいMini−III RNase、及び/又はMini−III RNaseのキメラタンパク質、及び/又は誘導体及び/又は変異体は、これらの欠点がなく、dsDNA切断のための分子生物学に使用される制限酵素などの、一般にdsRNA切断に使用される実験用試薬として使用することができる。配列特異性を示すMini−III RNase、及び/又はdsRNAへの配列特異性を示すMini−III RNaseのキメラタンパク質、及び/又は誘導体及び/又は変異体のインビトロでの使用に加えて、これらを医療、診断およびナノテクノロジーにおいて利用する可能性もある。例えば、RNAに関する構造研究において、逆転写反応による直接のRNA配列決定が、修飾を特定するために現在最も使用されるか、あるいは質量分析が同じ目的で使用される。両方のケースにおいて、大きなRNA分子(例えば、rRNAまたはmRNA)の分析が問題となっている。これらの方法では、RNAを断片化するためにヌクレアーゼが使用され、切断産物は、短いRNA断片またはリボヌクレオチドである。そのような切断は非特異的であり、結果として多数の産物が生じることによって、得られた結果の解釈が困難になるか、または不可能になる。本発明による、配列特異性を示す新しいMini−III RNase、及び/又はキメラタンパク質、及び/又はMini−III RNaseの誘導体及び/又は変異体の使用によって、抑制された方法でそのようなRNA分子をより小さな反復可能な断片へと切断することが可能になる。それらのモル質量および特性が、独立して判定され得ることで、リボヌクレオチド修飾の分析の他に、これまで不可能であったか又は非常に困難であったRNAの構造研究を実行することが可能になる。RNA分子の修飾および構造に関するそのような研究は、例えば、抗生物質に対する菌耐性のメカニズムのような、潜在的な治療標的についての情報を提供する。本発明による、配列特異性を示す新しいMini−III RNase、及び/又はキメラタンパク質、及び/又はMini−III RNaseの誘導体及び/又は変異体の使用によって、RNAi、即ち、短干渉dsRNA分子に基づいた技術の発展が可能になる。本発明による、配列特異性を示すMini−III RNase、及び/又はdsRNAへの配列特異性を示すMini−III RNaseのキメラタンパク質、及び/又は誘導体及び/又は変異体は、例えば、癌、代謝疾患および神経変性疾患を処置するために医療に使用される、遺伝子発現抑制に対するsiRNAまたはshRNAを使用する方法および適用に使用される。現在、短い二本鎖RNA断片を結果として得る方策の1つは、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)からのリボヌクレアーゼIIIを有する、特定のDNA断片から得られた、長いdsRNAを処置することである。この酵素は、dsRNAを非特異的に切断し、18〜25の塩基対の断片を生成する。それによって得られた短いsiRNA断片は、遺伝子発現抑制に使用される。本発明による、配列特異性を示すMini−III RNase、及び/又はキメラタンパク質、及び/又はMini−III RNaseの誘導体及び/又は変異体の使用によって、特異的なsiRNAの産生の完全に新しい未知の可能性が与えられ、これらのdsRNA断片の定義されたプールの生成が可能になり、それにより、特定の遺伝子の発現を最も効率的に抑制し、他の遺伝子を発現抑制する副作用も低減するだろう。
本発明による、dsRNAへの配列特異性を示す、Mini−III RNase、および/または、Mini−III RNaseのキメラタンパク質、および/または誘導体、および/または変異体は、診断において適用可能であり、また、遺伝子情報担体としてのdsRNAを有するウイルスによって引き起こされる疾患の処置にも適用可能である。そのようなウイルスの1つの例は、レオウイルス科のロタウイルスであり、そのうち3つの群はヒトに対して病原性である。現在、これらの群を検出および同定するために、逆転写およびそれに続くPCR技術が用いられる。本発明による、配列特異性を示すMini−III RNase、および/または、dsRNAへの配列特異性を示すMini−III RNaseのキメラタンパク質、および/または誘導体、および/または変異体の利用可能性は、dsRNAの操作を可能にし、診断を著しく促進する。現在、ロタウイルス感染の処置は非常に効果がない。本発明による、dsRNAへの配列特異性を示す、Mini−III RNase、および/または、Mini−III RNaseのキメラタンパク質、および/または誘導体、および/または変異体は、ロタウイルスによって引き起こされる疾患の処置のための手段として使用され、ウイルスゲノムの特異的切断を可能にし、したがってその複製をさらに防止するだろう。
本発明による、dsRNAへの配列特異性を示す、Mini−III RNase、および/または、Mini−III RNaseのキメラタンパク質、および/または誘導体、および/または変異体はまた、ナノテクノロジー、特に「RNAテクトニクス」および所与の配列および構造を有するRNAに基づくナノ構造の形成において使用されるだろう。
本明細書に引用された刊行物およびそこに含まれる参考文献は、参照としてその全体が本明細書に含まれる。
本発明のより良い理解のために、実施形態および添付図面を用いて例証した。
バクテリオファージΦ6ゲノムdsRNAのMini−III RNase切断パターンの差を示す。MはdsDNAマーカー(Thermo Scientific、SM0223)を示し、
以下の実施例は、本発明を例示し、その特定の態様を説明するためのものであって、本発明を限定するものではなく、添付の特許請求の範囲に規定されるその全範囲として解釈されるべきではない。
以下の実施例において、他に示されない限り、Sambrook J.らの「Molecular Cloning: A Laboratory manual, 2nd edition. 1989. Cold Spring Harbor, N.Y. Cold Spring Harbor laboratory Press」に記載された標準的な材料および方法を使用し、または、特定の材料および方法に関する製造業者の指示に従って手順を踏襲した。
本明細書において、他に示さない限り、アミノ酸およびヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの標準的な略語が使用される。
<実施例>
<実施例1>
特定のMini−III RNaseをコードする配列のクローン化
微生物をDSMZ(Leibniz Institute DSMZ−German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)から凍結乾燥形態で購入した(表1)。500μlのTE緩衝液(10mM Tris−HCl pH8.0、1mM EDTA pH8.0)中で凍結乾燥物を懸濁させた後、懸濁液をフェノール(100mM Tris−HCl、pH8.5で飽和)で抽出した。水相をフェノール:クロロホルム(1/1 v / v)混合物で再抽出し、続いて50μlの3M酢酸ナトリウムpH5.2および1mlのエタノールを添加することによって核酸を沈殿させた。沈殿した核酸を遠心分離し(12000g、10分間、4℃)、流体を除去した。ペレットを1mLの70%エタノールで洗浄し、次いで乾燥させた。得られたDNAを、20μlのTE緩衝液中に懸濁させた。
<実施例1>
特定のMini−III RNaseをコードする配列のクローン化
微生物をDSMZ(Leibniz Institute DSMZ−German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)から凍結乾燥形態で購入した(表1)。500μlのTE緩衝液(10mM Tris−HCl pH8.0、1mM EDTA pH8.0)中で凍結乾燥物を懸濁させた後、懸濁液をフェノール(100mM Tris−HCl、pH8.5で飽和)で抽出した。水相をフェノール:クロロホルム(1/1 v / v)混合物で再抽出し、続いて50μlの3M酢酸ナトリウムpH5.2および1mlのエタノールを添加することによって核酸を沈殿させた。沈殿した核酸を遠心分離し(12000g、10分間、4℃)、流体を除去した。ペレットを1mLの70%エタノールで洗浄し、次いで乾燥させた。得られたDNAを、20μlのTE緩衝液中に懸濁させた。
Mini−III RNaseをコードする配列を、Pfuポリメラーゼおよび表2に記載のプライマーを用いてPCRにおいてゲノムDNAから増幅した。
N末端ヘキサヒスチジンタグを有するMini−III RNaseの誘導可能な過剰発現を可能にする組換えプラスミドを得るために、PCR産物をNdeIおよびXhoI酵素で切断し、同じ酵素で切断したpET28aベクター(Novagen)とライゲーションした。1UのファージT4DNAリガーゼ(Thermo Scientific)で、室温で1時間、ライゲーションを行った。次に、10μlの反応混合物を用いて、100μlの化学的にコンピテント細菌を形質転換させ(エシェリキア・コリ上位10株:F−mcrAΔ(mrr−hsdRMS−mcrBC) φ80lacZ ΔM15 ΔlacX74 deoR recA1 araD139 Δ(araA−leu)7697 galU galK rpsL endA1 nupG [Invitrogen])、50μg/mLのカナマイシンを補充した固体LB培地上で形質転換体を選択した。選択されたクローンから、プラスミドDNAをPlasmid Mini kit(A&A Biotechnology)を用いて単離し、続いて得られた構築物の正確性を確認するために配列決定した。
このようにして、特定の微生物からのMini−III RNaseの効率的な誘導可能な過剰産生を可能にする構築物が得られた。
<実施例2>
野性型Mini−III RNaseをコードする組換えプラスミドからのタンパク質の発現および精製
エシェリキア・コリ株BL21(DE3)(F−ompT gal dcm lon hsdSB(rB− mB−)λ(DE3[lacI lacUV5−T7 遺伝子1 ind1 sam7 nin5])を、実施例1で得られたMini−IIIヌクレアーゼ遺伝子を有する組換えプラスミドで形質転換した。実施例1と同様にして形質転換を行った。50μg/mLカナマイシンおよび1%グルコースを補充したLB固体培地上で形質転換体を選択した。50μg/mLカナマイシンおよび1%グルコースを備えた25mLの液体LB培地に、選択された形質転換体のコロニーを播種し、それを振盪しながら37℃の温度で5時間インキュベートした。次いで、100μg/mLの濃度までカナマイシンを補充した500mLの液体ZY(Studier 2005)に、LB培地で成長した培養物25mLを接種し、37℃の温度で24時間振盪しながらインキュベートした。培養物を5000gで4℃で10分間遠心分離し、STE緩衝液(0.1M NaCl、10mM Tris−HCl pH8.0、1mM EDTA pH8.0)に懸濁させ、再び遠心分離した。このペレットを20mLの溶解溶液(50mM Tris−HCl pH8.0、300mM NaCl、10mMイミダゾール、10%グリセロール)に懸濁させ、次いで、バクテリア細胞を1360気圧の過圧で細胞分解器(Constant Systems LTD)に1回通過させて崩壊させた。溶解物を20000gで4℃の温度で20分間遠心分離することにより清澄化して、不溶性の細胞破片を除去した。組換え型タンパク質をポリペプチド鎖に存在するポリヒスチジンタグを用いたアフィニティークロマトグラフィー法により精製した。
野性型Mini−III RNaseをコードする組換えプラスミドからのタンパク質の発現および精製
エシェリキア・コリ株BL21(DE3)(F−ompT gal dcm lon hsdSB(rB− mB−)λ(DE3[lacI lacUV5−T7 遺伝子1 ind1 sam7 nin5])を、実施例1で得られたMini−IIIヌクレアーゼ遺伝子を有する組換えプラスミドで形質転換した。実施例1と同様にして形質転換を行った。50μg/mLカナマイシンおよび1%グルコースを補充したLB固体培地上で形質転換体を選択した。50μg/mLカナマイシンおよび1%グルコースを備えた25mLの液体LB培地に、選択された形質転換体のコロニーを播種し、それを振盪しながら37℃の温度で5時間インキュベートした。次いで、100μg/mLの濃度までカナマイシンを補充した500mLの液体ZY(Studier 2005)に、LB培地で成長した培養物25mLを接種し、37℃の温度で24時間振盪しながらインキュベートした。培養物を5000gで4℃で10分間遠心分離し、STE緩衝液(0.1M NaCl、10mM Tris−HCl pH8.0、1mM EDTA pH8.0)に懸濁させ、再び遠心分離した。このペレットを20mLの溶解溶液(50mM Tris−HCl pH8.0、300mM NaCl、10mMイミダゾール、10%グリセロール)に懸濁させ、次いで、バクテリア細胞を1360気圧の過圧で細胞分解器(Constant Systems LTD)に1回通過させて崩壊させた。溶解物を20000gで4℃の温度で20分間遠心分離することにより清澄化して、不溶性の細胞破片を除去した。組換え型タンパク質をポリペプチド鎖に存在するポリヒスチジンタグを用いたアフィニティークロマトグラフィー法により精製した。
5Lの培養物(それぞれ500mLの10個のフラスコ)から得られた細胞溶解物を、4つの容積の溶解緩衝液で平衡化した5mLのNi−NTAアガロース床(Sigma−Aldrich)を含む7×1.5cmのカラムにかけた。カラムを、次の緩衝液で連続して洗浄した:溶解緩衝液(150mL)、2M NaCl(50mL)を補充した溶解緩衝液、イミダゾールを20mM(50mL)の濃度まで補充した溶解緩衝液。精製組換えタンパク質をイミダゾールを250mMの濃度まで補充した溶解緩衝液で溶出し、1.5mLの画分を収集した。精製中の流速は0.9mL/分であり、温度は4℃であった。精製タンパク質画分を等量のグリセロールと混合し、−20℃で保存した。
それによって、高度に精製された酵素調製物を、その活性を維持しながら得られ、緩衝液中で、−20℃の温度で簡単に保存することができる。
<実施例3>
精製された酵素によるdsRNA基質のインビトロ切断のための最適な反応条件の判定
反応緩衝液の最適条件を判定するために、Φ6ファージゲノムの限定された切断を、表3に列挙した緩衝液中で行った。
精製された酵素によるdsRNA基質のインビトロ切断のための最適な反応条件の判定
反応緩衝液の最適条件を判定するために、Φ6ファージゲノムの限定された切断を、表3に列挙した緩衝液中で行った。
実験では、1.5μgのdsRNAを使用し、3.3μgのBsMiniIII、80ngのCkMiniIII、23.5μgのCrMiniIII、5μgのCtMiniIII、0.8μgのFnMiniIII、1.1μgのFpMiniIII、2.1μgのSeMiniIII、 0.185μgのTmMiniIII、11.5ngのTtMiniIII、が実施例2で得られた。反応時間がそれぞれ2、4および6分および20、40および60分であるTtMiniIIIおよびSeMiniIIIを除き、0.5μgのdsRNAに相当するアリコートを反応の5、10および15分後に収集した。
切断産物を、最終濃度の0.5μg/mL臭化エチジウムで補充した1.5%アガロースゲル中での電気泳動により分離した。最も可視のバンドパターンを生成した緩衝液を最適なものとして選択した。その結果、次の緩衝液が選択された:CrMiniIIIについてはBs緩衝液;CkMiniIIIについてはG1緩衝液;CtMiniIIIについてはB1緩衝液;FpMiniIIIについてはBs緩衝液;FnMiniIIIについてはBG緩衝液;SpMiniIIIについてはR緩衝液;TmMiniIIIについてはR緩衝液;TtMiniIIIについてはB1緩衝液。これらの条件では、明瞭な差が、切断産物の電気泳動の分離において得られたバンドパターンで観察され、これは、分析された酵素の配列選択性の差を反映する(図1)。
このように、インビトロ反応において精製された酵素を使用するための便利な条件が判定され、この特別のMini−III RNase間の配列特異性の差の存在が示された。
<実施例4>
高スループット配列決定を使用する、特定のMini−III RNaseのための好ましい切断配列の判定
5μgのΦ6ゲノムの限定された切断を、5分間各酵素で行なった(条件は表4に示されている)。反応で使用される特定の酵素の量は実施例3において示されるとおりのものだった。
高スループット配列決定を使用する、特定のMini−III RNaseのための好ましい切断配列の判定
5μgのΦ6ゲノムの限定された切断を、5分間各酵素で行なった(条件は表4に示されている)。反応で使用される特定の酵素の量は実施例3において示されるとおりのものだった。
反応は、20 mMの濃度までEDTAを追加することによりクエンチされ、続いて、RNAをGeneJET RNA Cleanup and Concentration Micro Kit (Thermo Scientific)を使用して精製した。精製された反応産物を、1分間95度で変性させ、氷上で冷却し、次に、3’RNA末端を、切断型RNA K227QリガーゼII(New England Biolabs)を使用して、16度の温度で16時間、50pmolsの5’の予めアデニル化されたアダプターUniShPreA(表5)でライゲーションした。ライゲーション産物を、GeneJET RNA Cleanup and Concentration Micro Kit (Thermo Scientific)を使用して、未使用のアダプターから精製し、次に、これらを、Maxima reverse transcriptase (Thermo Scientific)およびUniShPreA配列に相補的なUniShRTプライマー(表5)を使用して、逆転写反応の鋳型として使用した。反応は50度の温度で5分間インキュベートされ、80度の温度で5分間加熱することにより終了した。得られたcDNAをGeneJETのGeneJET DNA Micro Kit (Thermo Scientific)を使用して精製し、次に、3’−末端を、熱安定性リガーゼAppDNA/RNA(New England Biolabs)を利用する、50pmolsの予めアデニル化されたアダプターPreA3Univ(表5)でライゲーションした。ライゲーション産物をGeneJET DNA Micro Kitで精製した。したがって、調製された二本鎖cDNAを、MiSeqシークエンサー(Illumina)において得られた産物の配列決定を可能にした一対のプライマー/アダプター(表5)を使用して、PCR(15−18回の増幅サイクル)で増幅した。PCR産物を1.5%のアガロースゲル上で分離し、200〜700の塩基対の間のサイズの断片をGeneJET Gel Extraction kit (Thermo Scientific)を使用して再度単離した。
調製した材料を、MiSeqシークエンサー(Illumina)を用いた高スループット配列決定に供した。この分析から得られた読み取り値は、エンドツーエンドモード(end−to−end mode)およびデフォルトパラメーターを用いるGalaxyプラットフォーム(http://usegalaxy.org)上で利用可能なBowtie 2ソフトウェア(バージョン0.2)を用いて、Φ6バクテリオファージゲノム配列に整列された。Mini−IIIによる基質切断の幾何学的配置を考慮して、「+」鎖のX位および「−」鎖のX+1位で開始する読み取り値の総数を計算した。このようにして、Φ6バクテリオファージゲノム中の特定の部位の切断の評価を各酵素について確立した。各酵素の基質選択性を決定するために、200個の最も頻繁な切断部位に隣接する14ヌクレオチドの配列断片を使用した。この分析では、デノボモチーフ−MEME2を見出すためのソフトウェアを使用し、14ヌクレオチドに設定されたモチーフの最小幅を除いて、パラメーターをデフォルトに設定した。試験したMini−III RNaseの好ましい切断配列について確立されたプロファイルを図2に示す。このように、試験されたMini−III RNaseの配列選択性を特徴づけた。
<実施例5>
RT−PCRとMini−III RNaseを用いた酵素合成とを使用して生成される、単離されたdsRNA基質の切断
Mini−IIIヌクレアーゼによるRNA切断の産物の高スループット配列決定からのデータの分析から得られた結果を確認するために、Mini−IIIヌクレアーゼの潜在的切断部位を含むバクテリオファージゲノムの短い断片(表6)を合成した。これを達成するために、Φ6 dsRNAゲノムの逆転写を、Maxima reverse transcriptase (Thermo Scientific)およびランダムな6ヌクレオチドプライマーを使用して行なった。続いて、高スループット配列決定の結果に基づいて、バクテリオファージゲノム中の部位を選択し、対のプライマーを設計して、dsRNA中のこれらの部位を含む断片の増幅を可能にした。プライマーの一方はファージT7 DNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーター配列を導入し、他方はファージΦ6RNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーター配列を導入した(表7)。
RT−PCRとMini−III RNaseを用いた酵素合成とを使用して生成される、単離されたdsRNA基質の切断
Mini−IIIヌクレアーゼによるRNA切断の産物の高スループット配列決定からのデータの分析から得られた結果を確認するために、Mini−IIIヌクレアーゼの潜在的切断部位を含むバクテリオファージゲノムの短い断片(表6)を合成した。これを達成するために、Φ6 dsRNAゲノムの逆転写を、Maxima reverse transcriptase (Thermo Scientific)およびランダムな6ヌクレオチドプライマーを使用して行なった。続いて、高スループット配列決定の結果に基づいて、バクテリオファージゲノム中の部位を選択し、対のプライマーを設計して、dsRNA中のこれらの部位を含む断片の増幅を可能にした。プライマーの一方はファージT7 DNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーター配列を導入し、他方はファージΦ6RNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーター配列を導入した(表7)。
dsRNA合成反応を、Replicator RNAi Kit(Thermo Scientific)を用いて、製造者が推奨するプロトコルに従って行った。合成反応の産物の濃度を分光測光法で測定した。
単離されたφ6バクテリオファージゲノム断片である基質を切断するために、記載の酵素のパネルを表4に記載の最適条件で使用した。切断産物を、ポリアクリルアミドゲル(8%、TAE:40mM Tris−HCl、20mM酢酸、および1mM EDTA)を用いた電気泳動により分離し、臭化エチジウムで10分間染色し、UV光を用いて可視化した。選択された基質の切断の結果は図3に示される。
このように、高スループット配列決定の結果と、Φ6バクテリオファージゲノムにおけるMini−III RNaseの切断部位を同定するための記載された方法の適用性とが確認された。
<実施例6>
置換を備えた基質ライブラリの準備、および導入された置換を備えたdsRNA基質の世代
dsRNA 910S合成のための鋳型DNAを生成するために、および、Mini−III RNaseによって認識されたモチーフの置換を導入するために、804位から948位までのファージゲノムS部分の断片を含むバクテリオファージゲノム断片のRT−PCRで得られたdsDNAをpUC19プラスミドのSmaI部位に挿入し、それにより、pUC910Sプラスミドが生成された。切断部位の各位置での置換は、pUC910Sプラスミドを鋳型として用いたインサイドアウトPCR(inside−out PCR)と、ならびに変化を受けた位置に縮重配列を含む3組のプライマーと、を用いて得た(表8)。切断部位の外側の位置での置換は、pUC910Sプラスミドを鋳型として用いたインサイドアウトPCR(inside−out PCR)、ならびにACCU配列外で単一の置換を導入する一対のプライマーを用いて得た(表8)。
置換を備えた基質ライブラリの準備、および導入された置換を備えたdsRNA基質の世代
dsRNA 910S合成のための鋳型DNAを生成するために、および、Mini−III RNaseによって認識されたモチーフの置換を導入するために、804位から948位までのファージゲノムS部分の断片を含むバクテリオファージゲノム断片のRT−PCRで得られたdsDNAをpUC19プラスミドのSmaI部位に挿入し、それにより、pUC910Sプラスミドが生成された。切断部位の各位置での置換は、pUC910Sプラスミドを鋳型として用いたインサイドアウトPCR(inside−out PCR)と、ならびに変化を受けた位置に縮重配列を含む3組のプライマーと、を用いて得た(表8)。切断部位の外側の位置での置換は、pUC910Sプラスミドを鋳型として用いたインサイドアウトPCR(inside−out PCR)、ならびにACCU配列外で単一の置換を導入する一対のプライマーを用いて得た(表8)。
得られたPCR産物の5’−末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Thermo Scientific)を使用してリン酸化し、T4ファージDNAリガーゼ(Thermo Scientific)を使用して環状分子を再構築した。得られたプラスミドは、特定のクローンにおける置換を特徴づけるためにDNA配列決定に供された。MiniIIIによって認識されたモチーフ配列の変化を含む、選択されたクローン(表9および10)を、Replicator RNAi Kit(Thermo Scientific)を使用して、dsRNA合成に使用した。
このように、厳密に制御されたシステムにおいてMini−III RNaseの配列選択性の正確かつ系統的な決定を可能にする基質のパネルが得られた。
<実施例7>
選択されたMini−III RNaseの切断速度に対する、認識された配列における置換の効果
表9に示される、ACCU配列の置換を含む910S基質の合成パネルを用いて、選択されたMiniIII酵素の切断速度を調べた。反応は、表(表4)に記載の特定の酵素にとって最適な状態で行なわれた。各反応に、1.2μgのdsRNAを添加した。続いて、反応開始から15、30、60および120分後、15μlのアリコートを集め、3μlのローディング色素および1.5μlのフェノール:クロロホルム(1:1 v:v)混合物と混合し、次いで試料を氷上で冷却した。ポリアクリルアミドゲル(8%、TAE:40mM Tris−HCl、20mM酢酸、および1mM EDTA)を5μlの得られた混合物で充填し、続いて電気泳動し、臭化エチジウム(0.5μg/ml)で10分間染色し、UV光を用いてRNAを可視化した。ImageQuantTLソフトウェア(GE Healtcare)を使用して、基質と、反応産物の中でより反応が大きかったものと、に対応するバンドの強度を測定することにより、産物対基質のモル比を濃度測定で判定した。速度は、反応が時間において直線的であった範囲から判定された。次に、得られた値を、ACCU配列を含む基質を切断する初速度に正規化した。結果を図4に示す。
選択されたMini−III RNaseの切断速度に対する、認識された配列における置換の効果
表9に示される、ACCU配列の置換を含む910S基質の合成パネルを用いて、選択されたMiniIII酵素の切断速度を調べた。反応は、表(表4)に記載の特定の酵素にとって最適な状態で行なわれた。各反応に、1.2μgのdsRNAを添加した。続いて、反応開始から15、30、60および120分後、15μlのアリコートを集め、3μlのローディング色素および1.5μlのフェノール:クロロホルム(1:1 v:v)混合物と混合し、次いで試料を氷上で冷却した。ポリアクリルアミドゲル(8%、TAE:40mM Tris−HCl、20mM酢酸、および1mM EDTA)を5μlの得られた混合物で充填し、続いて電気泳動し、臭化エチジウム(0.5μg/ml)で10分間染色し、UV光を用いてRNAを可視化した。ImageQuantTLソフトウェア(GE Healtcare)を使用して、基質と、反応産物の中でより反応が大きかったものと、に対応するバンドの強度を測定することにより、産物対基質のモル比を濃度測定で判定した。速度は、反応が時間において直線的であった範囲から判定された。次に、得られた値を、ACCU配列を含む基質を切断する初速度に正規化した。結果を図4に示す。
表10に示す、ACCU配列外の置換を含む910S基質変異体の合成パネルを用いて、選択されたMini−III酵素の切断効率を調べた。酵素の選択は高スループット配列決定の結果の分析に基づいて行なわれた。この実験では、4つの主要なヌクレオチドに加えて、この配列の外側のヌクレオチドも含む、認識された配列モチーフを有する酵素を使用した。反応は、ACCU配列における置換を含む910S基質の場合のように進行し、ここでは、反応はその開始から60分後に終了した。切断効率を、産物のうちでより大きなものの量のパーセンテージを、反応時間の分の数値で割ることによって判定した。次に、得られた値を、ACCU配列を含む基質を切断する初速度に正規化した。結果を図5に示す。
このように、試験された酵素の正確な配列選択性が確立された。
<実施例8>
好ましい配列の認識に関与し得る構造要素の選択のためのdsRNA−BsMiniIII複合体構造のモデルの使用
dsRNA二量体複合体構造でのBsMiniIIIのモデルの視覚的分析の結果、構造の2つの要素が、切断する基質配列の選択に関与するRNA基質に十分近接して位置し、および、これらの2つの要素のアミノ酸配列の差は、種々の基質に対する選択において試験した酵素の間で観察される差の原因となり得る、ということがわかった。選択された構造要素はα4ヘリックスおよびα5b−α6ループ(図6)である。これらの構造要素によって果たされる役割の実験的検証のための方法の1つは、異なる配列を切断する選択性に対するこれらのMini−III領域のアミノ酸配列の変化の効果を試験することである。機能領域を正確に確立するために、アミノ酸配列のアライメントを、実施例1に記載された酵素について行った。α4ヘリックスおよびα5b−α6ループに対応するタンパク質Mini−IIIアミノ酸配列の選択された断片は、配列レベルでの有意差を特徴とするが、その末端においては、進化の過程に保存された同様の位置が存在する。正確な同等物を構成するために、分析された酵素間の交換を目的とする配列フラグメントについては、その境界を、保存位置に直接隣接する位置に設定した。BsMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)については、これらは、α4ヘリックスについてはアミノ酸46−52位であり、α5b−α6ループについては85−98位である。CtMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:6)については、これらは、α4ヘリックスについては56−62位であり、α5b−α6ループについては93−106位である。FpMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:8)については、これらは、α4ヘリックスについては45−51位であり、α5b−α6ループについては82−95位である。SeMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:12)については、これらは、α4ヘリックスについては43−49位であり、α5b−α6ループについては82−95位である。タンパク質のアミノ酸配列に関して、両方の構造要素を図7に示す。隣接するアミノ酸の位置は、表11に示される。
好ましい配列の認識に関与し得る構造要素の選択のためのdsRNA−BsMiniIII複合体構造のモデルの使用
dsRNA二量体複合体構造でのBsMiniIIIのモデルの視覚的分析の結果、構造の2つの要素が、切断する基質配列の選択に関与するRNA基質に十分近接して位置し、および、これらの2つの要素のアミノ酸配列の差は、種々の基質に対する選択において試験した酵素の間で観察される差の原因となり得る、ということがわかった。選択された構造要素はα4ヘリックスおよびα5b−α6ループ(図6)である。これらの構造要素によって果たされる役割の実験的検証のための方法の1つは、異なる配列を切断する選択性に対するこれらのMini−III領域のアミノ酸配列の変化の効果を試験することである。機能領域を正確に確立するために、アミノ酸配列のアライメントを、実施例1に記載された酵素について行った。α4ヘリックスおよびα5b−α6ループに対応するタンパク質Mini−IIIアミノ酸配列の選択された断片は、配列レベルでの有意差を特徴とするが、その末端においては、進化の過程に保存された同様の位置が存在する。正確な同等物を構成するために、分析された酵素間の交換を目的とする配列フラグメントについては、その境界を、保存位置に直接隣接する位置に設定した。BsMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)については、これらは、α4ヘリックスについてはアミノ酸46−52位であり、α5b−α6ループについては85−98位である。CtMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:6)については、これらは、α4ヘリックスについては56−62位であり、α5b−α6ループについては93−106位である。FpMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:8)については、これらは、α4ヘリックスについては45−51位であり、α5b−α6ループについては82−95位である。SeMiniIIIアミノ酸配列(SEQ ID NO:12)については、これらは、α4ヘリックスについては43−49位であり、α5b−α6ループについては82−95位である。タンパク質のアミノ酸配列に関して、両方の構造要素を図7に示す。隣接するアミノ酸の位置は、表11に示される。
このように、酵素間の配列特異性の要因となる要素の交換のための最適配列領域を画定するアミノ酸位置を選択した。
<実施例9>
野性型Mini−III RNase間の構造要素を交換する方法
交換される(移植される)構造要素をコードする配列の短い断片を省いて、鋳型として用いた全プラスミドを含む産物を得るように、特定の酵素(FpMiniIII、CtMiniIII、BsMiniIIIおよびSpMiniIII)の過剰産生に使用される組換えプラスミドをPCRで増幅する。使用したプライマーの配列を表12に示す。
野性型Mini−III RNase間の構造要素を交換する方法
交換される(移植される)構造要素をコードする配列の短い断片を省いて、鋳型として用いた全プラスミドを含む産物を得るように、特定の酵素(FpMiniIII、CtMiniIII、BsMiniIIIおよびSpMiniIII)の過剰産生に使用される組換えプラスミドをPCRで増幅する。使用したプライマーの配列を表12に示す。
PCRはPfuポリメラーゼを使用して行なわれた。反応産物を、DNA 5’−末端をリン酸化するために、1mM ATPの存在下でファージT4ポリヌクレオチドキナーゼで処理し、続いて、これらを、異なる微生物に由来する交換された要素をコードする配列を含む合成二本鎖オリゴヌクレオチドと、結合した(表10)。α5b−α6ループをコードする配列の場合、挿入物を、部分的に相補的な配列(表11)を有する2つのオリゴヌクレオチドの再生から生じるハイブリッドの3’末端を埋めることによって得た。
ライゲーションを、5%PEG4000および5ユニットのファージT4DNAリガーゼの存在下で、室温で1時間行った。ライゲーション産物を用いてエシェリキア・コリ上位10株を形質転換し、次いで実施例1に記載したように選択を行った。単一のコロニーからの材料を、挿入物全体を増幅したTaqポリメラーゼおよびET−ロングプライマーおよびET−リバースプライマー(表12)を用いたPCRで使用した。増幅産物を、ベクター配列に関して所望の挿入方向でクローンの選択を可能にする配列決定に供した。得られたキメラタンパク質が表(表13)に列挙される。
このように、Mini−III RNaseによる標的配列選択に関与する構造要素を交換するための有効な方法が開発され使用された。
<実施例10>
交換された構造要素を有するMini−III RNaseタンパク質変異体の発現および精製、およびその配列選択性の分析
Mini−III RNaseキメラタンパク質の過剰発現および精製を、実施例2に記載のように行い、ここにおいて、エシェリキア・コリBL21(DE3)株をMini−IIIキメラをコードする遺伝子を有するプラスミドで形質転換した。次の工程は、pUC910S置換変異体から選択された基質を切断する初速度を測定することだった。
例8に記載されているように、これらの基質の切断のための導体測定を行なった。結果を図8に示す。酵素Ct(FpH)MiniIII、Ct(FpL)MiniIII、Ct(FpHL)MiniIIIおよびB(FpH)MiniIIIは、キメラタンパク質(CtMiniIIIおよびFpMiniIII)を形成する初期の酵素両方に関して増加した活性を示した。酵素Ct(FpH)MiniIII、Ct(FpL)MiniIIIおよびCt(FpHL)MiniIIIは、著しく変更された配列選択性を示した。910S−UGCA基質は野生型CtMiniIIIにより非常にゆっくり切断されるが、キメラタンパク質Ct(FpL)はこの基質をはるかに速く切断し、キメラタンパク質Ct(FpH)はこの基質を910S−ACCU基質を切断する速度に近い速度で切断する。キメラタンパク質Ct(FpHL)の場合、910S−UGCA基質は、FpMiniIII供与体の効率と同様の効率で、元の910S−ACCU基質よりも約3倍速く切断される(図8)。
交換された構造要素を有するMini−III RNaseタンパク質変異体の発現および精製、およびその配列選択性の分析
Mini−III RNaseキメラタンパク質の過剰発現および精製を、実施例2に記載のように行い、ここにおいて、エシェリキア・コリBL21(DE3)株をMini−IIIキメラをコードする遺伝子を有するプラスミドで形質転換した。次の工程は、pUC910S置換変異体から選択された基質を切断する初速度を測定することだった。
例8に記載されているように、これらの基質の切断のための導体測定を行なった。結果を図8に示す。酵素Ct(FpH)MiniIII、Ct(FpL)MiniIII、Ct(FpHL)MiniIIIおよびB(FpH)MiniIIIは、キメラタンパク質(CtMiniIIIおよびFpMiniIII)を形成する初期の酵素両方に関して増加した活性を示した。酵素Ct(FpH)MiniIII、Ct(FpL)MiniIIIおよびCt(FpHL)MiniIIIは、著しく変更された配列選択性を示した。910S−UGCA基質は野生型CtMiniIIIにより非常にゆっくり切断されるが、キメラタンパク質Ct(FpL)はこの基質をはるかに速く切断し、キメラタンパク質Ct(FpH)はこの基質を910S−ACCU基質を切断する速度に近い速度で切断する。キメラタンパク質Ct(FpHL)の場合、910S−UGCA基質は、FpMiniIII供与体の効率と同様の効率で、元の910S−ACCU基質よりも約3倍速く切断される(図8)。
このように、触媒活性の変化/増加、および/または、配列選択性の変化を有する酵素を得るための方法として、移植可能なα4ヘリックスおよび/または移植可能なα5b−α6ループを交換する方法の有効性を実証した。
<配列表>
SEQ ID NO 1−バチルス・スブチリスからのBsMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 2−カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーからのCkMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 3−カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーからのCkMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 4−クロストリジウム・ラモーサムからのCrMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 5−クロストリジウム・ラモーサムからのCrMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 6−クロストリジウム・サーモセラムからのCtMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 7−クロストリジウム・サーモセラムからのCtMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 8−フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィからのFpMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 9−フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィからのFpMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 10−フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムからのFnMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 11−フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムからのFnMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 12−スタフィロコッカス・エピデルミデスからのSeMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 13−スタフィロコッカス・エピデルミデスからのSeMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 14−サーモトガ・マリティマからのTmMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 15−サーモトガ・マリティマからのTmMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 16−現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスからのTtMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 17−現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスからのTtMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 18−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Ct(FpH);
SEQ ID NO 19−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Ct(FpH);
SEQ ID NO 20−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Ct(FpL);
SEQ ID NO 21−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Ct(FpL);
SEQ ID NO 22−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Ct(FpHL);
SEQ ID NO 23−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Ct(FpHL);
SEQ ID NO 24−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Bs(FpH);
SEQ ID NO 25−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Bs(FpH);
SEQ ID NO 26−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Bs(FpL);
SEQ ID NO 27−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Bs(FpL);
SEQ ID NO 28−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Se(FpH);
SEQ ID NO 29−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Se(FpH);
SEQ ID NO 29〜102−意味は明細書中に提供される;
SEQ ID NO 103−dsRNA切断が生じる、バクテリオファージphi6(Φ6)ゲノムの断片である、基質(910S)のうちの1つからの断片のヌクレオチド配列。
SEQ ID NO 1−バチルス・スブチリスからのBsMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 2−カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーからのCkMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 3−カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーからのCkMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 4−クロストリジウム・ラモーサムからのCrMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 5−クロストリジウム・ラモーサムからのCrMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 6−クロストリジウム・サーモセラムからのCtMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 7−クロストリジウム・サーモセラムからのCtMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 8−フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィからのFpMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 9−フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィからのFpMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 10−フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムからのFnMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 11−フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムからのFnMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 12−スタフィロコッカス・エピデルミデスからのSeMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 13−スタフィロコッカス・エピデルミデスからのSeMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 14−サーモトガ・マリティマからのTmMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 15−サーモトガ・マリティマからのTmMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 16−現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスからのTtMiniIIIwtRNaseのアミノ酸配列;
SEQ ID NO 17−現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスからのTtMiniIIIwtRNaseのヌクレオチド配列;
SEQ ID NO 18−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Ct(FpH);
SEQ ID NO 19−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Ct(FpH);
SEQ ID NO 20−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Ct(FpL);
SEQ ID NO 21−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Ct(FpL);
SEQ ID NO 22−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Ct(FpHL);
SEQ ID NO 23−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Ct(FpHL);
SEQ ID NO 24−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Bs(FpH);
SEQ ID NO 25−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Bs(FpH);
SEQ ID NO 26−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Bs(FpL);
SEQ ID NO 27−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Bs(FpL);
SEQ ID NO 28−キメラタンパク質のアミノ酸配列−Se(FpH);
SEQ ID NO 29−キメラタンパク質のヌクレオチド配列−Se(FpH);
SEQ ID NO 29〜102−意味は明細書中に提供される;
SEQ ID NO 103−dsRNA切断が生じる、バクテリオファージphi6(Φ6)ゲノムの断片である、基質(910S)のうちの1つからの断片のヌクレオチド配列。
Claims (30)
- アミノ酸配列を有するMini−III RNaseであって、アミノ酸配列は、Mini−III RNase構造において、アクセプター部分、およびα4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する、それぞれ、移植可能なα4ヘリックス及び/又は移植可能なα5b−α6ループを含み、
ここでα4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する断片は、それぞれ、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのMini−III RNaseの、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸配列断片によって形成されたα4ヘリックスおよびα5b−α6ループのそれぞれの構造に構造的に対応しており、
ここでMini−III RNaseは、基質のリボヌクレオチド配列にのみ依存している、および基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質の存在から独立しているdsRNA切断における配列特異性を示し、およびMini−III RNaseは、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1のバチルス・スブチリスからのMini−IIIタンパク質ではない、Mini−III RNase。 - アミノ酸配列が、1つの微生物のMini−III RNaseに由来するアクセプター部分、および異なる微生物のMini−III RNaseからのα4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの配列に由来する、それぞれ、挿入される移植可能なα4ヘリックス及び/又は移植可能なα5b−α6ループから構成されることを特徴とする、請求項1に記載のMini−III RNase。
- アミノ酸配列が、
BsMiniIIIwtのMini−III RNase(SEQ ID NO:1)、カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーのMini−III CkMiniIIIwt(SEQ ID NO:2)、クロストリジウム・ラモーサムのCrMiniIIIwt(SEQ ID NO:4)、クロストリジウム・サーモセラムのCtMiniIIIwt(SEQ ID NO:6)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィのFpMiniIIIwt(SEQ ID NO:8)、フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムのFnMiniIIIwt(SEQ ID NO:10)、スタフィロコッカス・エピデルミデスのSeMiniIIIwt(SEQ ID NO:12)、サーモトガ・マリティマのTmMiniIIIwt(SEQ ID NO:14)、または現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスのTtMiniIIIwt(SEQ ID NO:16)、あるいはそれらと少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列に由来する、アクセプター部分;
SEQ ID NO:1の46−52位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の36−42位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の40−46位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の56−62位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の43−49位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の50−56位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwt、あるいはそれらと少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列に由来する、移植可能なα4ヘリックス、及び/又は
SEQ ID NO:1の85−98位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、 SEQ ID NO:2の73−86位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の79−88位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の93−106位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、 SEQ ID NO:12の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の82−93位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の87−100位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwt、あるいはそれらと少なくとも80%、 好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列に由来する、移植可能なα5b−α6ループ、を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のMini−III RNase。 - Mini−III RNaseが、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:2に示されるカルディセルロシルプター・クリストヤンソニーからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:4に示されるクロストリジウム・ラモーサムからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:6に示されるクロストリジウム・サーモセラムからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:8に示されるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:10に示されるフソバクテリウム・ヌクレアタムからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:12に示されるスタフィロコッカス・エピデルミデスからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:14に示されるサーモトガ・マリティマからの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、Mini−III RNase活性を維持し、SEQ ID NO:16に示されるサーモアナエロバクター・テンコンジェンシス(カルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシス)からの配列またはアミノ酸配列の断片を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:18のCt(FpH)、SEQ ID NO:20のCt(FpL)、SEQ ID NO:22のCt(FpHL)、SEQ ID NO:24のBs(FpH)、SEQ ID NO:26のBs(FpL)、SEQ ID NO:28のSe(FpH)から選択されるキメラタンパク質であることを特徴とする、請求項1−3に記載のMini−III RNase。
- キメラMini−III RNaseを得る方法であって、該方法が、
a)Mini−III RNaseをコードする遺伝子をクローン化する工程であって、そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:1に示されるバチルス・スブチリスからのMini−III RNaseの、それぞれ、46−52位および85−98位のアミノ酸配列断片によって形成されたα4ヘリックスおよびα5b−α6ループのそれぞれの構造に構造的に対応している、それぞれ、α4ヘリックスおよびα5b−α6ループの構造を形成する断片を含む、工程、
b)それぞれ、α4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの構造をコードする断片の少なくとも1つを、異なる微生物のMini−III RNaseをコードする遺伝子からの、それぞれ、α4ヘリックス及び/又はα5b−α6ループの構造をコードする断片と交換することによって、Mini−III RNaseをコードする遺伝子を組み換える工程を含み、
ここでMini−III RNaseは、リボヌクレオチド配列にのみ依存している及び基質の構造における二次構造の出現から独立している、 並びに他の補助タンパク質の存在から独立しているdsRNA切断における配列特異性を示し、
およびMini−III RNaseは、SEQ ID NO:1や、D94R突然変異を有するSEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列を有するバチルス・スブチリスからのMini−IIIタンパク質ではないことを特徴とする、方法。 - 工程b)が、アクセプター部分への移植可能なα4ヘリックス及び/又は移植可能なα5b−α6ループの挿入を含み、ここで
アクセプター部分が、BsMiniIIIwtのMini−III RNase(SEQ ID NO:1)、カルディセルロシルプター・クリストヤンソニーのMini−III CkMiniIIIwt(SEQ ID NO:2)、クロストリジウム・ラモーサムのCrMiniIIIwt(SEQ ID NO:4)、クロストリジウム・サーモセラムのCtMiniIIIwt(SEQ ID NO:6)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィのFpMiniIIIwt(SEQ ID NO:8)、フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタムのFnMiniIIIwt(SEQ ID NO:10)、スタフィロコッカス・エピデルミデスのSeMiniIIIwt(SEQ ID NO:12)、サーモトガ・マリティマのTmMiniIIIwt(SEQ ID NO:14)、または現在はカルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシスである、サーモアナエロバクター・テンコンジェンシスのTtMiniIIIwt(SEQ ID NO:16)に由来するか、あるいはそれらと少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列を含み、
移植可能なα4ヘリックスが、SEQ ID NO:1の46−52位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の36−42位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の40−46位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の56−62位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の43−49位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の45−51位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の50−56位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwtに由来するか、あるいはそれらと少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列を含み、及び/又は
移植可能なα5b−α6ループが、SEQ ID NO:1の85−98位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するBsMiniIIIwt、SEQ ID NO:2の73−86位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCkMiniIIIwt、SEQ ID NO:4の79−88位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:6の93−106位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するCtMiniIIIwt、SEQ ID NO:8の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFpMiniIIIwt、SEQ ID NO:10の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するFnMiniIIIwt、SEQ ID NO:12の82−95位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するSeMiniIIIwt、SEQ ID NO:14の82−93位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTmMiniIIIwt、またはSEQ ID NO:16の87−100位のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するTtMiniIIIwtに由来するか、あるいはそれらと少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%同一であるアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。 - Mini−III RNaseをコードする遺伝子における移植可能なα4ヘリックスおよび移植可能なα5b−α6ループが、異なる微生物に由来することを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
- Mini−III RNaseをコードする遺伝子が、SEQ ID NO:18、20、22、24、26、28から成る群からのアミノ酸配列をコードする配列を含むことを特徴とする、請求項13−15に記載の方法。
- c)工程b)から遺伝子を発現する細胞を培養する工程、および
d)工程c)から発現されたタンパク質を単離し、精製する工程、および随意に
e)工程d)で得られたタンパク質の配列特異性を決定する工程、をさらに含むことを特徴とする、請求項13−16に記載の方法。 - 請求項13−17に記載の方法で得られたMini−III RNase。
- 請求項1−12、18に記載のMini−III RNaseをコードする構築物。
- 請求項1−12、18に記載のMini−III RNaseをコードする遺伝子、または請求項19に記載の構築物を含む、細胞。
- リボヌクレオチド配列にのみ依存している、および基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質の存在から独立している方法でdsRNAを切断するための請求項1−12および18に記載のMini−III RNaseの使用。
- リボヌクレオチド配列にのみ依存している、および基質の構造における二次構造の出現から独立している、並びに他の補助タンパク質の存在から独立している方法でdsRNAを切断する方法であって、該方法が、dsRNA基質と請求項1−12または請求項18に記載のMini−III RNaseとの間の相互作用を含むことを特徴とする、方法。
- Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:2に示されるカルディセルロシルプター・クリストヤンソニーからの配列を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:4に示されるクロストリジウム・ラモーサムからの配列を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:6に示されるクロストリジウム・サーモセラムからの配列を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:8に示されるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィからの配列を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:10に示されるフソバクテリウム・ヌクレアタムからの配列を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:12に示されるスタフィロコッカス・エピデルミデスからの配列を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:14に示されるサーモトガ・マリティマからの配列を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
- Mini−III RNaseが、SEQ ID NO:16に示されるサーモアナエロバクター・テンコンジェンシス(カルダナエロバクター・サブテラネウス亜種テンコンジェンシス)からの配列を含み、ここでMini−III RNaseが、dsRNA切断における配列特異性を示し、以下のコンセンサス配列内のdsRNAを切断し:
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