JP2019501887A - 多特異性抗体 - Google Patents

多特異性抗体 Download PDF

Info

Publication number
JP2019501887A
JP2019501887A JP2018528782A JP2018528782A JP2019501887A JP 2019501887 A JP2019501887 A JP 2019501887A JP 2018528782 A JP2018528782 A JP 2018528782A JP 2018528782 A JP2018528782 A JP 2018528782A JP 2019501887 A JP2019501887 A JP 2019501887A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
fab
antigen
bispecific
fragment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018528782A
Other languages
English (en)
Inventor
ジョン ライト、マイケル
ジョン ライト、マイケル
Original Assignee
ユーシービー バイオファルマ エスピーアールエル
ユーシービー バイオファルマ エスピーアールエル
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ユーシービー バイオファルマ エスピーアールエル, ユーシービー バイオファルマ エスピーアールエル filed Critical ユーシービー バイオファルマ エスピーアールエル
Publication of JP2019501887A publication Critical patent/JP2019501887A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/46Hybrid immunoglobulins
    • C07K16/468Immunoglobulins having two or more different antigen binding sites, e.g. multifunctional antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/37Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from fungi
    • C07K14/39Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from fungi from yeasts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/14Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from fungi, algea or lichens
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/31Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency multispecific
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/34Identification of a linear epitope shorter than 20 amino acid residues or of a conformational epitope defined by amino acid residues
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/55Fab or Fab'
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/60Immunoglobulins specific features characterized by non-natural combinations of immunoglobulin fragments
    • C07K2317/62Immunoglobulins specific features characterized by non-natural combinations of immunoglobulin fragments comprising only variable region components
    • C07K2317/622Single chain antibody (scFv)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide

Abstract

本発明は、研究及び治療において並びに特に他の方法では分からない対になった標的の相乗的生物学的機能を検出するin vitro/ex vivo方法において使用するための、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異的タンパク質複合体(一般式A(A1)n−X:Y−B(B1)mに従えば)及びそのライブラリー/マルチプレックスに関する。そのような複合体は、病態又は予後に関連する細胞集団を同定することにより患者集団を特徴付けるアッセイにおいてなどの、治療において、研究において及び実験目的のために特定の細胞から分泌される可溶性分子を捕捉するのに使用することができる。

Description

本開示は、新しい二重特異性タンパク質複合体フォーマット及びヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を検出する方法、特に、in vitro/ex vivo方法、二重特異性タンパク質複合体のライブラリー/マルチプレックス、並びにそのキット及び組成物に関する。本開示は、特定の細胞から分泌される可溶性分子を捕捉するための二重特異性タンパク質複合体の使用、治療における使用、研究及び実験目的での使用(特に、病態又は予後に関連する細胞集団を同定することにより患者集団を特徴付けるアッセイにおいて)にさらに関する。本開示は前記二重特異性複合体を調製する方法にも及ぶ。
in vivoでの生物学的機構はシグナルの極端に複雑なカスケードであり、この絡まりを解いて理解するのは困難である。T細胞の活性化には少なくとも2つのシグナルが必要である。
T細胞受容体による抗原の認識は、第1のシグナルと見なされ、第2のシグナルは、T細胞上のさらなる表面分子と抗原提示細胞上のさらなる分子のライゲーションから生じる共刺激から発生する。
したがって、T細胞活性化を用いて、生物学的機能の調節が複数のシグナルを必要とすることがあることを説明することができる。他の生物学的過程は等しく複雑である又はもっと複雑である。細胞に基づくin vitroスクリーニングはin vivo機構についての洞察を有しており前記洞察を得るのに役立ち得るが、それでも生物学的機能を調節する適切なリガンド対をどのようにして同定するかという問題が生じる。
二重特異性抗体は次世代のバイオ薬物治療において大きな役割を果たすと広く予想されている(D. Holmes, Nature Rev Drug Disc Nov 2011:10; 798)。二重特異性抗体は、さらに大きな割合の患者において優れた長期にわたる広い効力をもたらす潜在力がある。これは、一般疾患経路内で異なる抗原に同時に共結合し、それによって多重度を減少させることにより、又は独立した経路由来の抗原を標的として相加的な若しくは相乗的な効果を提供することにより達成することが可能である。
二重特異性抗体は、
1)細胞上の受容体を架橋結合する、
2)細胞媒介効果を誘導する、
3)サイトカインを細胞に局在化してシグナル伝達を調節する又はサイトカイン機能を局所的に遮断する、
4)複数のエピトープに同時に結合して、単一のモノクローナル抗体も、実際、連結していない抗体の混合物(「ポリ−モノクローナル」)も示すことができない「新しい活性」を生み出し、機能又は特異性を増加させる、
などの新規の生物学の利用を促進する。
二重の標的に結合する現在の戦略は主に、既知の機構の合理的設計に基づいており、阻害性受容体を架橋結合すること、受容体の共結合/クラスター形成、複数の刺激性経路を遮断すること、阻害性受容体の選択的結合並びに共刺激及びサイトカインシグナル伝達などの個別の経路を遮断することが含まれる。しかし、既知の機構及び標的に関する技術の現状はこの分野の進歩にとって制限要因となっている。
二重特異性抗体は、生物学的治療法として極めて大きな潜在力を有するが、モノクローナル抗体と比べると発見と開発にはより多くの一連の難問がある。困難な、2つの鍵となる分野は、1)成功裏な二重特異性抗体フォーマットの開発、及び2)二重特異性抗体が架橋する又は共結合することになる対になった標的を選択することである。
DVD−Ig(Abbvie)、DuoBodies、(Genmab)、Knobs−in−Holes(Genentech)、Common light chain(Merus)を含む成功している治療薬として潜在的に機能することができると考えられる多くの有望な二重特異性抗体フォーマットが現在開発されている。しかし、こうした場合のそれぞれにおいて、これらのフォーマットは、二重特異性抗体と架橋結合するための新規の抗原対の発見を可能にするハイスループットな標的二重抗原発見スクリーニングに理想的には適していない。
典型的には、単一二重特異性抗体構築物では、少なくとも2つの可変領域を発見ベクターの元の供給源(例えば、ファージディスプレイ、ハイブリドーマ又は単一B細胞クローニング)から適切な二重特異性発現ベクターにサブクローニングする必要があり、二重特異性体のそれぞれのアームが発現され、こうして得られた二重特異性抗体は精製されなければならない。発見された可変領域の最も効果的な組合せを求めてスクリーニングする又は新規の抗原対を発見する試みにおいて多数の対になった可変領域を組み合わせるつもりであれば、このクローニング及びそれに続く発現努力はすぐに重大な実際上の障害になる。
例えば、50の独特の抗体が50の細胞表面標的のパネルに対して発見されたら、総数で2500の二重特異性抗体が潜在的に産生されると考えられる(X−Y格子として想定される)。上記の二重特異性抗体フォーマットを使えば、これは少なくとも100の個々のクローニング反応(50−Xと50−Y)と続いて2500の抗体発現実験が必要になると考えられる。開始のモノクローナル抗体の数を100まで増やせば、クローニング反応の最小数は200(100−Xと100−Y)まで、発現数は10,000まで増えることになる。
一般的に、この「発現障害」の根本原因は、上記のフォーマットは、最終二重特異性構築物の両方のタンパク質鎖「半分」が同じ細胞において単一発現実験内で同時に発現される必要があることである。したがって、多くのフォーマットでは、2500の二重特異性抗体を産生するためには、2500の発現実験が必要になる。
二重特異性抗体フォーマットがモノシストロン性(すなわち、単鎖タンパク質としてクローニングされ発現される)、例えば、単鎖ダイアボディである場合、クローニング実験の数が上に与えられた数についてそれぞれ2500及び10,000になると考えられるので、「発現障害」はさらに悪化する。
さらに、発現後、所望の構築物を単離するためには大規模な精製が必要になる可能性がある。
一部の二重特異性アプローチはクローニングの量を減らすために二重特異性構築物に共通の軽鎖を用いるが、これでは発現実験の数は減らない。さらに、共通の軽鎖などの共通鎖を使用すれば、抗体は重鎖などの1つの鎖のみを通じて十分高い親和性でその抗原に結合する必要があるので開始抗体可変ドメインを見つけるのがより困難になるために、抗体発見という難問はさらに難しくなる。
したがって、現在の大規模な二重特異性フォーマット及び新規の抗原対を同定するハイスループットなスクリーニングの使用は非現実的であり、仮説駆動型アプローチのみを二重特異的抗原ターゲティングに使用し続けることになっていた。
2つの既知の標的上の所与のエピトープに結合する、限られた数の二重特異性抗体を設計し試験するよりむしろ、二重特異性抗体を用いた新規の生物学へのアクセスを利用する真の潜在力は、二重特異性抗体又はタンパク質リガンドの大きく多様なコンビナトリアルパネルを用いた広い機能スクリーニング努力を通じてのみ達成することが可能であることを提案する。このスクリーニングを促進するためには、容易に構築され種々の機能スクリーンにおいて機能的効果を求めてスクリーニングすることが可能な多数の多様な二重特異性タンパク質を産生することを可能にするフォーマット及び方法が必要である。このアプローチにより、相乗的対についての新発見をもたらす能力のある同定が可能になる。
したがって、種々の抗原特異性の組合せとして存在する多数の二重特異性タンパク質複合体を産生しスクリーニングするのは有用だと考えられる。特に、多数の異なる二重特異性抗体複合体を迅速で効率的な様式で作製しスクリーニングすることができれば有用であろう。すでに上に記載された二重特異性抗体を製造するためのある範囲の既存の方法が存在する。しかし、これらの方法はそれぞれが不利な点があり、下でもっと詳細にさらに説明される別の方法も同じである。
二重特異性及び多特異性構築物の標的を効率よく同定する方法という問題は当技術分野では十分に取り組まれていない。例えば、WO2014/001326は、タンパク質のDNA断片への化学的コンジュゲーションを用いており、DNA断片は、2つのそのようなタンパク質を互いに連結している相補的DNA配列にハイブリダイズして、少なくとも2つのターゲティング実体を含む多特異性分子を生ずる。このアプローチが仮に新しい二重特異性組合せを同定することに適用されるとすれば、このアプローチに関連する困難がいくつか存在し、例えば、DNAへのタンパク質のコンジュゲーションによりタンパク質の活性及び/又は構造が損傷を受けることがある。特に、タンパク質−DNAハイブリッドは天然には存在しておらず、したがって干渉が起こる可能性がある。さらに、タンパク質とDNAを結合させるのに必要な化学コンジュゲーションでは工程の複雑さ、時間、及び費用が増える。
カップリング及びコンジュゲーション技法は、抗体薬物コンジュゲートを作製すること及びin vivoターゲティング技術のために存在している。従来の化学的架橋結合は、関連する化学種をホモ二量体及び他の望ましくない副産物から精製する必要がある場合があるために多くの労力を要する。さらに、化学修飾ステップはタンパク質の整合性を変化させ、したがって、安定性が不十分になる又は生物学的機能が変わってしまうことがある。その結果、化学的架橋結合による二重特異性抗体の産生は多くの場合非効率的であり、抗体活性も消失してしまうことがある。
二重特異性抗体を製造する別の方法は、工学的に操作された細胞が無作為に会合する2つの重抗体鎖及び2つの軽抗体鎖を発現する、細胞融合(例えば、ハイブリッドハイブリドーマ)によるものである。選択するのに4つの可能な変異体が存在するので、これにより10の可能な二重特異性抗体組合せが作製され、そのうちのいくつか(多くの場合に、1つのみ)の組合せのみが望ましいと考えられる。したがって、細胞融合による二重特異性抗体の産生は、生産収率が低く、産生されたその他の二重特異性抗体から所望の二重特異性抗体を単離するためには追加の精製ステップも必要になる。これらの不利な点により製造時間及び経費が増加する。
組換えDNA技法も二重特異性抗体を産生するために用いられてきた。例えば、組換えDNA技法を使用して「ノブインツーホール(knob into hole)」二重特異性抗体も産生された。「ノブインツーホール」技法は、CH3ドメインインターフェイスで多量体化ドメインに立体的に相補的な突然変異を工学的に作製する(例えば、Ridgway et al., Protein Eng. 9:617-621 (1996); Merchant et al., Nat. Biotechnol. 16(7): 677-81 (1998)参照; 米国特許第5,731,168号及び米国特許第7,183,076号も参照)。この戦略の1つの制約は、同じ細胞で発現される場合、誤対合並びに望ましくない及び/又は不活性な分子の形成を防ぐためには2つの親抗体の軽鎖は同一でなければならない点である。それぞれの二重特異性体(その重鎖及び軽鎖)は単一細胞で発現されなければならず、タンパク質産物は一般に約20%のホモ二量体を含有しており、これはその後に精製により取り除かれる。
他のアプローチは、完全長IgG4分子における鎖の自然な交換に基づいている(Genmab Duobody)。しかし、このアプローチではFc領域なしで構築物を調製することはできないので、このアプローチにも困難がある。Fc領域は生物学的活性に寄与することが可能なので、観察される活性がFcを含む二重特異性分子内の可変領域の組合せ、Fc又は両方に基づいているのかどうかをはっきりさせるのは困難である場合がある。さらに交換は動的過程であり、このために試験される実体が実際に何であるのかに関して困難が生じる場合がある。
したがって、二重特異性抗体のもっと効率的でもっとハイスループットなスクリーニングを可能にする二重特異性タンパク質複合体を作製する新たな方法の必要性が存在する。特に、利用可能な抗体又は抗体断片のプールからの任意の2つの抗体又は抗体断片の選択を容易に組み合わせて、例えば、ホモ二量体の形成を回避する又は最小化しつつ、異なる二重特異性抗体のマルチプレックスを効率的に産生することが可能になるフォーマット及び方法の必要性が存在する。抗原特異性の新たな組合せを求めて相乗的生物学的機能についてスクリーニングするときには、特に、ヘテロ二量体がその機能の発見に欠かせない場合には、異なる二重特異性抗体を効率よく会合させることは特に重要である。
一態様では、個々の成分がすべて、本質的に凝集せずに個々のユニットとして細胞から発現させることが可能であり、ユニットはコンジュゲーション又はカップリング化学反応を用いなくても混合するだけで、最小限のホモ二量体化を伴って組み立てることが可能であるために、スクリーニングにおいて使用するのに特に適している二重特異性などの新しい多特異性フォーマットが提供される。
したがって、式A(A)n−X:Y−B(B)mを有する多特異性タンパク質複合体であって、
A(A)n−Xは第1の融合タンパク質であり、
Y−B(B)mは第2の融合タンパク質であり、
X:Yはヘテロ二量体繋であり、
:はXとYの間の結合相互作用であり、
AはscFv、sdAb、Fab又はFab’断片から選択される多特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質成分であり、
BはscFv、sdAb、Fab又はFab’断片から選択される多特異性タンパク質複合体の第2のタンパク質成分であり、
及びBはscFv又はsdAbから独立して選択され;Xにより占められていないAのN末端に又はC末端に付加され、
Yにより占められていないBのFab又はFab’断片の重鎖又は軽鎖のN末端に又はC末端に付加されているscFv又はsdAbであり、
nは0又は1であり、
mは0又は1であり、
ただし、n又はmのうちの少なくとも1つは1であり、
Xは抗原又は抗体若しくはその結合断片から選択され、前記XはAの又はAのN末端に又はC末端に付加されており、及び
Yは抗原又は抗体若しくはその結合断片から選択され、前記YはBの又はBのN末端に又はC末端に付加されており、
は、Xにより占められていないAのN末端に又はC末端に付加されており、
は、Yにより占められていないBのN末端に又はC末端に付加されており、
ただし、Xが抗原である場合、Yは、Xにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片であり、Yが抗原である場合、Xは、Yにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片である、
上記多特異性タンパク質複合体が提供される。
本発明に従った多特異性タンパク質複合体の一実施形態では、Aは重鎖及び軽鎖を有するFab又はFab’断片から選択され;Bは重鎖及び軽鎖を有するFab又はFab’断片から選択され;Xは抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第1の結合パートナーであり;前記XはAのFab又はFab’の軽鎖又は重鎖のC末端に付加されており;Yは抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第2の結合パートナーであり;前記YはBのFab又はFab’の軽鎖又は重鎖のC末端に付加されており;Aは、Xにより占められていないAのFab又はFab’断片の重鎖又は軽鎖のC末端から付加されているscFv又はsdAbであり;Bは、Yにより占められていないBのFab又はFab’断片の重鎖又は軽鎖のC末端から付加されているscFv又はsdAbであり;nは0又は1であり、mは0又は1であり、ただし、n又はmのうちの少なくとも1つは1であり、及び、ただし、Xが抗原であるの場合、Yは、Xにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片であり、Yが抗原である場合、Xは、Yにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片である。
一実施形態では、AはFab断片である。
一実施形態では、BはFab断片である。
一実施形態では、A及びBはそれぞれがFab断片である。
一実施形態では、Xは、Fab又はFab’断片中の重鎖のC末端に場合によってリンカーを介して融合されており、特にXは、Fab又はFab’断片中の重鎖のC末端にリンカーを介して融合されている。
一実施形態では、YはFab又はFab’断片中の重鎖のC末端に、場合によってリンカーを介して融合している、特に、YはFab又はFab’断片中の重鎖のC末端にリンカーを介して融合している。
A及びA、又はB及びBのN末端で又はC末端で、XはA及びAにそれぞれ融合していてもよく、又はYはB及びBにそれぞれ融合していてもよい。
一実施形態では、可変X又はYはFab断片、Fab’断片、scFv、Fv、VH、VL又はsdAbなどの抗体結合断片であり、もう一方の可変はペプチドである。
一実施形態では、可変X又はYはFab断片、Fab’断片、scFv、又はsdAbであり、もう一方の可変はペプチド、例えば、ペプチドGCN4、その変異体、誘導体又は断片(配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1〜38)に対して特異的であるFab断片、Fab’断片、scFv、又はsdAbである。
一実施形態では、可変X又はYはscFv又はsdAbであり、もう一方の可変はGCN4、その変異体、誘導体又は断片(配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1〜38)などのペプチドである。一実施形態では、X又はYはscFv 52SR4(表1Aの配列番号3、98若しくは99又は配列番号3のアミノ酸1〜243)である。
一実施形態では、XはscFv、VHH及びペプチドから独立して選択され、ただし、Xがペプチドである場合、Yは抗体又はscFv若しくはsdAbなどのその結合断片であり、XがscFv又はsdAbである場合、Yはペプチドなどの抗原である。
一実施形態では、YはscFv、sdAb及びペプチドから独立して選択され、ただし、Yがペプチドである場合、Xは抗体又はscFv若しくはsdAbなどの結合断片であり、YがscFv又はsdAbである場合、Xはペプチドなどの抗原である。
一実施形態では、X又はYはペプチドGCN4、変異体、誘導体(表1Aの配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1から38、ボールドのアミノ酸は任意であり、イタリック体のアミノ酸はリンカーの配列である)である又はそのエピトープ断片などのその断片である。
一実施形態では、Yはペプチド、例えば、GCN4、変異体、誘導体(表1Aの配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1から38、ボールドのアミノ酸は任意であり、イタリック体のアミノ酸はリンカーの配列である)である又はそのエピトープ断片などのその断片である。
配列番号1に従ったGCN4ペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号2として配列番号1Aに示されている。
一実施形態では、X又はYは、5〜25アミノ酸長、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25アミノ酸の範囲のペプチドである。
GCN4ペプチドの他の変異体は表1Bに示されており(配列番号75〜97)、ボールドのアミノ酸は任意であり、イタリック体のアミノ酸はリンカーの配列を形成する。配列番号75〜82に示される配列に従った変異体は、4つのグリシン残基と1つのセリン(G4S)の4回の繰り返しのリンカーを含むが、もっと短い(1×G4S、2×G4S又は3×G4S)又はもっと長い(5×G4S、等)リンカーを有する変異体も本明細書では想定されていることに留意するべきである。
本明細書に記載されるA(A)n−X及びY−B(B)mタンパク質融合物は様々な配向で作製することができ、これはそのような融合物をコードするポリヌクレオチド構築物がX及びA(又はA)を両配向(AのC末端がXのN末端に融合されているA−X又はXのC末端がAのN末端に融合されているX−A)で発現するように設計できることを意味すると理解されるべきである。同じことがY−B(又はB)融合物に当てはまる。
A、A、X、Y、B又はBが融合物のN末端にあるのかどうかにかかわらず、そのような融合物を作製するポリヌクレオチド配列は、細胞外放出を支援するために、融合物のまさしくN末端に、シグナルペプチド配列をコードするように設計されたヌクレオチド配列を含むことになる。シグナルペプチドは最終的には成熟融合物から切断される。好ましいシグナルペプチド配列は表1Aの配列番号100〜103に示されている。
一実施形態では、XとYの間の結合親和性は5nM又はそれよりも強く、例えば、900pM又はそれよりも強い、例えば800、700、600、500、400又は300pMなどである。
一実施形態では、A、A、B又はBのうちの少なくとも1つは、その翻訳後修飾バージョン、少なくとも1つのエピトープを含むその断片を含む、T細胞又はB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害剤、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、免疫グロブリン様受容体、マトリックスメタロプロテアーゼ及びメタロプロテアーゼの膜型マトリックスメタロプロテアーゼ組織阻害剤、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、成長因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、成長因子、ホルモン、酵素、及びイオンチャネルなどの可溶性分子を含む群から独立して選択される抗原に対して特異的である。
一実施形態では、A及び/又はBは、その翻訳後修飾バージョン、少なくとも1つのエピトープを含むその断片を含む、T細胞又はB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害因子、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、免疫グロブリン様受容体、マトリックスメタロプロテアーゼ及びメタロプロテアーゼの膜型マトリックスメタロプロテアーゼ組織阻害剤、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、成長因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、成長因子、ホルモン、酵素、及びイオンチャネルなどの可溶性分子を含む群から独立して選択される抗原に対して特異的である。
一実施形態では、A、A、B又はBのうちの少なくとも1つ(特にA又はB)は細胞マーカー、例えば、B又はT細胞マーカーに対して特異的であってもよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性タンパク質複合体A(A)n−X:Y−B(B)は予備形成された複合体として又は同じ若しくは異なる時間に添加される成分A(A)n−XとB(B)−Yの混合物として用いてもよい。
好ましい実施形態では、本発明に従った多特異性タンパク質複合体は二重特異性タンパク質複合体である。
一実施形態では、本開示の二重特異性タンパク質複合体は、A(A)n−XのA又はAなどの1つのアーム中の少なくとも1つの結合ドメインが細胞表面マーカーとドッキングし、B(B)m−YのB又はBなどのもう一方のアーム中の結合ドメインが細胞から分泌される可溶性分子に結合する方法で用いてもよい。
一実施形態では、A又はB中の結合ドメインは第1の細胞上のタンパク質(細胞表面マーカーなどの)に対して特異的であり、もう一方の成分B又はA中の結合ドメインは異なる細胞型又はサブタイプ上のタンパク質(細胞表面マーカーなどの)に対して特異的である。
一実施形態では、目的の可溶性分子は、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、化学誘引物質、ロイコトリエン、プロスタグランジン、血管作動性アミン、酵素、補体及び補体の断片、脂質、スフィンゴ脂質、第2メッセンジャー成分(例えば、一酸化窒素、サイクリックAMP、等)、ビタミン、ミネラル、陽イオン、陰イオン、糖、凝固因子、急性期タンパク質、ガンマグロブリン(免疫グロブリンを含む)、アルブミン、可溶性細胞膜受容体、細胞発現タンパク質のスプライスバリアント、核酸、小膜小胞(エキソソーム、微小胞、リポソーム、等)、分泌ペプチド、免疫複合体並びに死んでいる又は瀕死の細胞由来の細胞内タンパク質を含む群から選択される。
活性化された状態では、細胞は1つ又は複数のサイトカインを分泌することがある。したがって、一実施形態では、可溶性分子はサイトカイン、例えば、GM−CSF、IFNγ、TNFα、TGFβ、CCL20、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−9、IL−10、IL12、IL−13、IL−17、IL−18、IL−21、IL−22、IL−24、IL−26、IL−27及びIL−33である。本開示の二重特異性複合体は、単離、試験のための、中和のための、及び/又はターゲティングのためのサイトカイン産生細胞の検出に用いることができる。これには多くの用途があり、例えば、Th2サイトカイン産生細胞は、群IL−17、IL−13及びIL−5から選択される1つ又は複数のサイトカインを分泌することにより喘息などの肺疾患に有害な機能を有すると考えられている。
一実施形態では、目的の可溶性分子は、例えば、CCL1、2、3、4、5、6、7、8、9/10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、CXCL1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、XCL1、XCL2及びCX3CL1を含む群から選択されるケモカインである。
一実施形態では、免疫グロブリンはB又は形質細胞から分泌され(すなわち、本開示の文脈内では可溶性分子である)、例えば、Aは、細胞から発現され分泌される抗体軽鎖の定常領域又は抗体重鎖の定常領域に対して特異的である。
したがって、一実施形態では、Aは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE及びIgMを含む群から選択される特定の抗体アイソタイプに対して特異的である。これらのマーカーはクラススイッチ細胞を同定するのに特に有用である可能性がある。代わりに、Aは、細胞から分泌される免疫グロブリンの結合ドメインに特異的に結合することができる抗原でもよい。
一実施形態では、タンパク質成分Bは抗体に対して特異的であり、例えば、Bは、細胞により分泌される免疫グロブリン中の抗体軽鎖の定常領域又は抗体重鎖の定常領域に対して特異的である。Bは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE及びIgMを含む群から選択される、特定の抗体アイソタイプに対して特異的であってよい。代わりに、Bは、細胞から分泌される免疫グロブリンの結合ドメインに特異的に結合することができる抗原でもよい。
したがって、一実施形態では、方法はA(A)−Xを細胞表面マーカーにドッキングすることを用い、もう一方のアームY−B(B)は分泌された免疫グロブリンを捕捉するのに用いられる。
一般に、Y−B(B)中の結合ドメインが細胞から分泌される免疫グロブリンに対して特異的である、例えば、Bは分泌された免疫グロブリンの定常領域中のエピトープに対して特異的である抗体若しくは結合断片である又はBは分泌された免疫グロブリンの結合ドメインが特異的である抗原である場合、A及びA中の結合ドメインは一般に、対応する表面に発現された免疫グロブリン以外である細胞表面マーカーに対するものである(に対して特異的である)ことになる。
代わりに、免疫グロブリン以外のB細胞マーカーは、二重/多特異性タンパク質複合体を、例えば、B中の1つの結合ドメインを介して細胞表面に固定するのに用いることが可能であり、その場合、Aは分泌された免疫グロブリンの定常領域中のエピトープに対して特異的である抗体若しくは結合断片を含んでもよく、又はAは分泌された免疫グロブリンの結合ドメインが特異的である抗原である。
したがって、本開示の方法は分泌された免疫グロブリンのクラスを検出し定量する(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4サブクラスを区別する)のに使用することができる。これにより、A(A)n−X:B(B)m−Y複合体を使用して形質細胞を列挙し検出することが可能になる。
本方法は、単離、試験又はターゲティングのための抗体産生細胞、例えば、自己抗体又は病原体特異的抗体産生形質細胞(特に、表面IgG陰性細胞に場合には)の検出に用いてもよい。
したがって、本方法は免疫グロブリンサブクラス特異的応答の単離、例えば、IgG4様疾患の処置又は検出において有用だと判明する可能性のあるIgGの他のサブクラスではなくIgG4の特異的捕捉に適用することが可能である。
一実施形態では、細胞表面マーカーは、安定的に発現される細胞系譜マーカー及び非系譜細胞上で安定的に発現されるマーカーから選択される。
一実施形態では、細胞表面マーカーは、安定的に発現される細胞系譜マーカー及び非系譜細胞上で安定的に発現されるマーカーから選択される。
一実施形態では、細胞マーカーはB細胞マーカー又はT細胞マーカーから選択される。
一実施形態では、B細胞マーカーは、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD27、CD35、CD38、CD40、B220(CD45としても知られる)、CD43、CD138、CXCR4、BCMA及びIL−6R、例えば、CD38又はCD138などのCD38、CD138、CD45、CD27、CD19又はCD20を含む群から独立して選択される。
当業者であれば、一部の抗体発現細胞がその表面でも免疫グロブリンを発現することを知っている。この表面結合免疫グロブリンは抗体産生細胞についての細胞表面マーカーとして用いることが可能である。一実施形態では、A又はB中の結合ドメインは、細胞の表面で免疫グロブリンの一部として発現される抗体軽鎖の定常領域又は抗体重鎖の定常領域に対して特異的であり、例えば、抗体アイソタイプに対して汎特異的である又は例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE及びIgMを含む群から選択される特定の抗体アイソタイプに対して特異的である。
一実施形態では、T細胞マーカーは、例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD25、CD127 CD196(CCR6)、CD197(CCR7)、CD62L、CD69及びCD45を含む群から選択される。
本開示の複合体は、細胞集団、例えば、上で考察した細胞から分泌される可溶性分子を捕捉することによるその分泌表現型に基づくT細胞集団の同定のために使用することが可能である。この例は、自己免疫の開始及び持続に関連していたTヘルパー17細胞を同定する又は単離するためのCD4陽性T細胞上のIL−17の捕捉である。
活性化された状態では、細胞は、例えば本明細書に記載される1つ又は複数のサイトカインを分泌することがある。本開示の多特異性複合体は、単離、試験のため、中和のため、及び/又はターゲティングのためのサイトカイン産生細胞の検出に用いてもよい。
Th2サイトカイン産生細胞は、例えば、群IL−17、IL−13及びIL−5から選択される1つ又は複数のサイトカインを分泌することにより、喘息などの肺疾患において有害な機能を有すると考えられている。ケモカインは、本開示に従った多特異性抗体複合体中の結合ドメインにより標的とされてもよい。
本開示の抗体フォーマットは、二重及び多特異性抗体を容易に組み立てることが可能であるようになっており、疾患機序及び/若しくは予後を洞察するために並びに/又は患者サブグループを定義するために並びに/又は患者をサブグループに割り当てるために、これらのフォーマットを使用して患者(及び、血液試料などのそこからのex vivo試料)をスクリーニングすることが可能である。
本開示の抗体複合体は、必要な細胞の表面に複合体を固定するのに用いる細胞表面マーカーに特異的である結合ドメインを含むように迅速に調製することが可能である。さらなる結合ドメインは、
・さらなる細胞表面マーカー、
・細胞表面マーカーに対して特異的である結合ドメインを有する抗体若しくは結合断片、
・細胞から分泌される可溶性因子、又は
・抗原
に対して特異的な結合ドメインである。
したがって、本開示に従った二重/多特異性フォーマットは細胞の検出、同定、単離、特徴付け及び/又は定量化に有用である。
一実施形態では、A、A、B及びBから選択される第1の結合ドメインはCD38、CD138、CD45、CD27、CD19又はCD20(CD38又はCD138などの)に対して特異的であり、A、A、B及びBから選択される第2の結合ドメインはCH1、CK、Fc汎アイソタイプ、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA1又はIgA2に対して特異的である。
一態様では、本開示に従った式A(A)n−X:Y−B(B)mのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた多特異性タンパク質複合体を用いる方法であって、
i)分析のために融合タンパク質A(A)n−X及びY−B(B)mの組合せを複合体化されていない形態で細胞に導入する又はA(A)n−X:Y−B(B)mがヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体の形態で添加されるステップと、
ii)タンパク質成分Bによる目的の可溶性分子の捕捉(例えば、結合)を検出するステップと
を含む上記方法が提供される。
さらに、本発明者らは、本開示に従った式A(A)n−X:Y−B(B)mのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた多特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出する方法であって、
(i)少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた多特異性タンパク質複合体を含むマルチプレックスの一部又はすべてについての機能アッセイにおいて活性を試験するステップと;
(ii)前記機能アッセイからの読み出し情報(単数又は複数)を解析して、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた多特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を検出するステップと
を含む上記方法を考案した。
本開示に従った式A(A)n−X:Y−B(B)mのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体を用いる方法であって、
(i)融合タンパク質A(A)n−X及びB(B)m−Yの複合体化されていない形態での組合せ、又は
(ii)ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体の形態でのA(A)n−X:Y−B(B)mを細胞の集団に導入するステップを含む上記方法も提供される。
複合体それ自体の文脈では上記の要素は、本開示の方法において用いられる場合の複合体にも等しく当てはまる。
一実施形態では、A(A)n−X及びB(B)m−Yはステップi)において個々の成分と同時に添加される。
一実施形態では、A(A)n−X及びB(B)m−Yはステップi)において予備形成された複合体と同時に添加される。
一実施形態では、A(A)n−X及びB(B)m−Yはステップi)において個々の成分と異なる時間に添加される。
本開示のフォーマットは、ユニットA(A)n−X又はユニットB(B)m−Yを発現するのに全く困難はないのでスクリーニングでの使用に理想的である。Fab/Fab’断片は非常に安定しており不適切な二量体化を受けやすくはない。したがって、それぞれのユニット(A(A)n−X又はB(B)m−Y)の発現後に必要な精製の量は最小限でよい、又は実際、不必要である。二重特異性複合体は、適切なユニットを混合するだけで、すなわち、コンジュゲーション及びカップリング化学反応に頼らなくても、1対1モル比で形成することが可能である。
Fab/Fab’断片中の定常領域がFab/Fab’成分の二量体化を駆動し、結合パートナーX及びYが必要なヘテロ二量体二重特異性複合体を形成するのに有利になるようにさらに平衡を動かす。再び、ヘテロ二量体化後の複合体の形成後には精製はほとんど又は全く必要ではない。したがって、多数のA(A)−XとB(B)−Yを容易に調製し組み合わせることが可能である。
Fc断片CH2−CH3を欠く二重特異性複合体を調製しスクリーニングすることができることも、観察される生物学的活性が実際、複合体中の可変領域対のみに起因することを保証している。
一実施形態では、本開示のヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた多特異性タンパク質複合体又はそのユニット、すなわち、A(A)−X及びB(B)m−Yはin vivoで用いられる。
本発明の二重特異性複合体の単純さ及びそれを調製する方法の簡単さは、新しい標的抗原組合せを見つけ所与の組合せの可変領域配列を最適化もするための可変ドメイン対のハイスループットなスクリーニングを促進するという文脈では大きな利点となる。
特に、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体はA(A)n−XとB(B)m−Yをin vitroで混合することにより調製される。したがって、一実施形態では、方法は、A(A)n−XとB(B)m−Yを接触させるin vitro混合ステップを含む。
したがって、一般的に、融合タンパク質A(A)n−X及びB(B)m−Yは同じ細胞で同時発現されることはない。これは、そのおかげで、例えば、100の融合タンパク質を発現し、場合によっては精製することが可能になり、100の融合タンパク質を種々の並べ替えで続いて混合すれば10,000のヘテロ二量体的に繋がれた二重特異性タンパク質複合体を提供することが可能になり、そのうちの5,000が類のない対であるので、有利である。
これとは対照的に、ある種の先行技術の方法では二重特異性の同時発現が必要であり、したがって、10,000の複合体では、10,000のトランスフェクション、発現及び精製が必要になる。
しかし、必要に応じて、A(A)n−X及びB(B)m−Yは同じ細胞で発現することができる。
結合パートナーX及びYは互いに対して親和性を有し、ベルクロ(登録商標)の生物学的等価物又はバーと磁石として機能し、複合体を1つに保持する。有利なことに、これは、融合タンパク質A(A)n−X及びB(B)m−Yは、その融合タンパク質を互いに混ぜ合わせるだけで容易に会合して二重特異性タンパク質複合体になることが可能であることを意味する。したがって、本開示の二重特異性タンパク質複合体はモジュラー構造体を有し、これのおかげで2つの異なるタンパク質を、例えば、格子状の様式で抗原特異性の異なる組合せを用いた二重特異性タンパク質複合体の並べ替えの大きなパネルを作製するために容易に会合させることが可能になる。これのおかげで、相加的、相乗的又は新規の生物学的機能を検出するための多数の二重特異性タンパク質複合体の効率的で系統的なスクリーニングが可能になる。
XとYが互いに対して特異的であることを考慮すると、このせいで、ホモ二量体を形成する能力が著しく減少する。本明細書ではXとYは合わせて結合対又は結合パートナーと呼ばれる。一実施形態では、Xは他のXに対して高い親和性を持たない。一実施形態では、Yは他のYに対して高い親和性を持たない。有利なことに、XとYがホモ二量体を形成しないとき、このことが望ましくない単一特異性タンパク質複合体の形成を妨げ、所望の二重特異性タンパク質複合体の収量を増やし、単一特異性タンパク質複合体を除去するための面倒な精製ステップの必要性をなくす。
これにより、大半の先行技術の方法では効率的に得ることができない収量及び/又は精度を持つ二重特異性タンパク質複合体の迅速な会合が可能になり、特に、先行技術の方法では一般に大規模な精製ステップが必要になる。本発明では二重特異性複合体の収量は典型的には75%又はそれよりも高い。
さらに有利なことに、二重特異性タンパク質複合体は、その成分タンパク質(成分タンパク質が結合している抗原を含む)が既知の関係を持たない、又は異なる潜在的には無関係な経路に存在する複合体のスクリーニングを可能にする。例えば、2つの別々の経路で機能し、例えば、当業者が通常であれば互いに接触するとは予想しない2つのタンパク質を相加的、相乗的及び/又は新規の機能を同定するために二重特異性タンパク質複合体において試験することが可能である。
さらに、所与の抗原又はエピトープに対する複数の結合領域(可変領域などの)を生物学的機能における微妙な差異を同定するために平行に調べることが可能である。これにより、所与の抗原対に対する可変領域配列の組合せを調査し最適化することが可能になる。
本方法によればその科学はその結果を示すことができ、本方法は生物学的機能についての先入観及び技術的偏見に頼ってはいない。このアプローチは潜在的に極めて強力である。
有利なことに、X及びY成分のせいで、融合タンパク質の異なる並べ替えから構成される二重特異性タンパク質複合体を含むマルチプレックスを迅速に容易に会合させることができる。
一実施形態では、タンパク質A及びBは抗体又は抗体断片である。抗体又は抗体断片がX及びYを介して複合体として結合される場合、これは二重特異性抗体複合体を形成する。
ヘテロ二量体繋二重特異性タンパク質複合体の概略図であり、A、A、B及びBは本開示に従っている。A及びBを表す破線の箱は、n又はmが0である場合A及びBがないことを示している。 本開示に従ったスクリーニングのための格子フォーマットの図式的表示である。 A(A)n−XとB−Y(m=0)が一体となって本発明に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた多特異性タンパク質複合体を形成する様子の図案的表示である。 多特異性タンパク質複合体A(A)n−X:Y−B(B)mの実施形態の図案的表示である。 多特異性タンパク質複合体A(A)n−X:Y−B(B)mの実施形態の図案的表示である。 多特異性タンパク質複合体A(A)n−X:Y−B(B)mの実施形態の図案的表示である。
本明細書で使用される「多特異性の」とは、少なくとも2つの異なる結合部位を有し、それぞれが異なる特異性でエピトープに結合することができる、例えば、2つの異なる抗原に架橋結合することができる抗体又はその断片のことである。
本明細書で使用される「二重特異性タンパク質複合体」とは、ヘテロ二量体繋により一緒に保持されている2つのタンパク質(本明細書では二重特異性成分と呼ばれ、本明細書では二重特異性体のそれぞれ第1のタンパク質成分及び第2のタンパク質成分とも呼ばれるA及びB)を含む分子のことである。タンパク質のうちの1つ又は両方は、複合体全体が2つよりも多い結合部位を有する(ヘテロ二量体繋を除いて)ようにさらなる結合ドメインA及び/又はBを有する。
したがって、二重特異性タンパク質複合体は3つ又はそれよりも多い結合ドメインを含んでいてもよく、多特異性、例えば、三重特異性であってもよい。3つの結合部位が存在する場合、これらの部位は同じ又は異なる抗原に独立して結合してもよい。一例では、複合体は2つの異なる抗原に結合する、すなわち、2つの結合部位が同じ抗原に結合し、第3の結合部位が第2の異なる抗原に結合する。一例では、3つの結合部位が3つの異なる抗原に結合する。
本明細書で用いられる「融合タンパク質」は、結合パートナーX又はYに融合されているタンパク質成分A又はBを含み(必要に応じて)、AはAに付加されていてもよくBはBに付加されていてもよい。一実施形態では、融合タンパク質は、遺伝子構築物から組換え技法により発現される、例えば、DNA構築物から宿主において発現される翻訳タンパク質である。本開示の文脈では、融合タンパク質の鍵となる特徴の1つは、このタンパク質が細胞から「単一タンパク質/ユニット」として発現することが可能であることである(当然のことながら、Fab/Fab’断片を含む融合タンパク質の場合では、2つの鎖が存在することになるが、これは本明細書の目的では、1つの鎖、好ましくは重鎖が、場合によって本明細書で下に記載されるリンカーを介して、必要に応じてそのC末端でX又はYに融合されている単一タンパク質と見なすことになる;X及びYのN末端への融合などの他の配向も考えられる)。
ヘテロ二量体繋X:Yの機能は、A(A)nとB(B)mの相乗的機能をもたらす、又は例えば、本明細書に記載される方法を用いて、同定することができるように、タンパク質A(A)nとB(B)mを互いの近傍に保持することである。
本明細書で用いられるユニットとはA(A)n−X及びB(B)m−Yのことである。
本明細書で用いられる成分(単数又は複数)とはユニット又は成分のことである。
本明細書で使用される用語「ヘテロ二量体繋」とは、2つの結合パートナーを一緒に保持するのに十分である全体的親和性を有する互いの間の相互作用:(結合などの)を形成する2つの異なる結合パートナーXとYを含む繋のことである。一実施形態では、X及び/又はYはホモ二量体を形成するには不適切である。
ヘテロ二量体的に繋がれたヘテロ二量体繋は本明細書では互換的に使用される。
一実施形態では、本明細書で用いられる「ホモ二量体を形成するには不適切な」とは、ホモ二量体よりもX−Yのヘテロ二量体の形成のほうが好ましい、例えば、形成された後は、熱力学的に安定ななどのより安定している形態のことである。一実施形態では、XとYの間の結合相互作用は一価である。
一実施形態では、X−Y相互作用はX−X又はY−Y相互作用よりも都合がよい。このせいで、融合タンパク質A−XとB−Yが混合されると、ホモ二量体X−X又はY−Yの形成は減少する。典型的には75%よりも多いヘテロ二量体が1対1モル比混合に続いて形成される。
必要に応じて、例えば、本開示に従った融合タンパク質ユニット及び/又は二重特異性タンパク質複合体を精製するために、カラムクロマトグラフィーなどの精製ステップ(特に、1ステップ精製)を用いることができる。
一実施形態では、精製ステップはそれぞれの融合タンパク質の発現後に提供されるが、典型的には凝集体レベルは低い。したがって、一実施形態では、in vitro混合に先立って、融合タンパク質(単数又は複数)は実質的に純粋な形態で提供される。本明細書で用いられる実質的に純粋な形態とは、融合タンパク質が90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%単量体である場合のことである。
一実施形態では、融合タンパク質(単数又は複数)の精製は実施されない。
一実施形態では、それぞれの融合タンパク質ユニットは異なる発現実験/実行で発現される。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体を産生するために混合前には、融合タンパク質(単数又は複数)の精製は実施されない。一実施形態では、混合前及び/又は後には、融合タンパク質(単数又は複数)の精製は実施されない。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体形成後には精製は必要ではない。
一実施形態では、混合後及び一般には追加の精製なしで、組成物の少なくとも50%は所望の二重特異性タンパク質複合体であり、例えば、組成物の少なくとも60、65、70、75、80%は必要とされる二重特異性タンパク質複合体である。
一実施形態では、本方法のin vitro混合ステップにおいて用いられる融合タンパク質の比はA(A)n−X対B(B)m−Yで1対1である。
一実施形態では、本方法のin vitro混合ステップにおいて用いられる融合タンパク質の比は、特にモル比で1.5対1又は2対1などのB(B)n−Y対A(A)m−Xで0.8対1から3対1である。
一実施形態では、in vitro混合ステップにおいて用いられるA(A)n−X対B(B)m−Yは1対1、特に1対1モル比である。
本開示は、融合タンパク質A(A)n−X及びB(B)m−Yを、例えば、1対1モル比で混合することを含む、本開示に従った二重特異性複合体を調製する方法までにも及ぶ。
一実施形態では、混合はin vitroで起こる。
一実施形態では、混合はin vivoで起こる。
一実施形態では、混合は細胞、例えば、宿主細胞において起こる。
一実施形態では、混合はin vivoで起こり、すなわち、融合タンパク質A(A)n−XとB(B)m−Yは対象の身体内で互いに相互作用してヘテロ二量体繋を、その結果、二重特異性タンパク質複合体を形成する。
一実施形態では、XとYは互いに完全に特異的であり、細胞内又は対象の身体内では他のいかなるペプチド/タンパク質とも結合しない。これは、例えば、XとYが標的細胞中にも標的対象身体中にも天然に存在しないことを保証することによって達成することが可能である。これは、例えば、対象にとっては異なっている種又は実体(例えば、酵母タンパク質)由来であるX又はYを選択し、それに対しもう1つの可変因子が特異的であることを保証することによって達成することが可能である。有利なことに、これにより融合タンパク質A(A)n−X及び/又はB(B)m−Yが望ましくない標的へ結合して、それによって望まれない非特異的な効果を生じるのが妨げられる。
本明細書で用いられるホモ二量体も凝集体も形成することができないとは、ホモ二量体又は凝集体を形成する傾向が低い又はないことである。本明細書で用いられる低いとは、例えば、混合又は発現又は精製後、4、3、2、1、0.5%若しくはそれ未満の凝集体などの、5%又はそれ未満のことである。
融合タンパク質中の少量の凝集体又はヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体中に残存するものは一般に本開示のスクリーニング法に最小限の効果を及ぼす。したがって、一実施形態では、融合タンパク質(単数又は複数)及び/又は二重特異性タンパク質複合体(単数又は複数)の精製は方法においては、特に混合ステップ後には用いない。
一実施形態では、:は、水素結合及び静電気相互作用などの、引力、例えば、ファンデルワールス力に基づく、特に、抗原(ペプチドなどの)に対する抗体特異性に基づく結合相互作用である。
一実施形態では、:は、クリックケミストリーなどの特定の化学的相互作用から形成される共有結合である。一実施形態では、:は共有結合ではない。一実施形態では、コンジュゲーション/カップリング化学反応は本開示の二重特異性タンパク質複合体を調製するのに用いられない。
本明細書で用いられる「複合体を形成する」とは、結合相互作用又は化学反応を含む相互作用のことであり、この相互作用は複合体が会合し融合タンパク質が一緒に保持される適切な条件下で融合タンパク質成分A(A)n−X及びB(B)m−Yが接触するときには十分に特異的で強力である。
本明細書で用いられる「一緒に保持される」とは、X:Y結合後、複合体を1つの分子であるかのように取り扱うことができ、多くの場合に単一分子のように振る舞い機能するようにその成分(融合タンパク質)を互いに近傍に保持することである。一実施形態では、保持によって複合体は本明細書で開示される方法において使用するのに適したものになる、すなわち、少なくとも1つの機能スクリーニングにおいて使用するのに適したものになる。
本明細書で用いられる特異性とは、例えば、相互作用におけるパートナー、例えば、X:Y若しくはAと抗原若しくはBと抗原が互いのみを認識する又は非パートナーと比べて互いに対して有意に高い親和性、例えば、無関係の非パートナータンパク質への結合のバックグランドレベルと比べて、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10倍の親和性を有する場合のことである。
本明細書で用いられるXとYに関する特異性とは、相互作用にある結合パートナーXとYが互いのみを認識する又は非パートナーと比べて互いに対して有意に高い親和性、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10倍の親和性を有する場合のことである。
一実施形態では、結合相互作用は可逆的である。一実施形態では、結合相互作用は基本的に非可逆的である。
本明細書で用いられる基本的に非可逆的であるとは、抗体又は結合断片の遅いオフレート(解離定数)のことである。
一実施形態では、XとYの間の結合相互作用は低い解離定数を有する。低い解離定数の例には、1〜9×10−2−1又はそれよりも少ない、例えば、1〜9×10−3−1、1〜9×10−4−1、1〜9×10−5−1、1〜9×10−6−1、1〜9×10−7−1が含まれる。特に適した解離定数には、2×10−4−1又はそれよりも少ない、例えば、1×10−5−1、1×10−6−1又は1×10−7−1が含まれる。
理論に縛られたくはないが、低い解離定数(オフレートとも呼ばれる)であれば分子は、二重特異性タンパク質複合体が特に機能スクリーニングアッセイにおいて有用になるほど安定していることができると考えられる。
一実施形態では、互いに対するXとYの結合親和性は5nM又はそれよりも強く、例えば、4nM、3nM、2nM、1nM又はそれよりも強い。
一実施形態では、互いに対するXとYの親和性は900pM又はそれよりも強く、例えば800、700、600、500、400、300、200、100若しくは50pM又はそれよりも強いなどである。
別の実施形態では、互いに対するXとYの親和性は10pM又はそれよりも強く、例えば、9、8、7、6又は5pMである。
親和性は実体のオンレートとオフレートから計算される値である。本明細書で使用される用語「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、ペプチド)の間の非共有結合的相互作用の総計の強さのことである。その結合パートナーに対する分子の親和性は一般に解離定数(KD)により表すことが可能である。親和性は、表面プラズモン共鳴法、特にBIAコアなどの本明細書に記載される方法を含む、当技術分野で公知の一般的方法により測定することが可能である。
しかし、複合体を1つにまとめておく能力は親和性のことだけではない。理論に縛られたくはないが、実際に、3つの重大な成分:オンレート、オフレート及び親和性があると本発明者らは仮定している。親和性の計算はオンレートとオフレートに基づいている。したがって、オンレートが低くオフレートが速い場合には、親和性は低くなり、それでは二重特異性タンパク質複合体を1つにまとめておくのに十分ではなくなる。しかし、遅いオンレートは遅いオフレートにより埋め合わせされて、全体的に適切な親和性をもたらすことができると考えられる。
いくつかの実施形態では、高いオンレートは複合体を1つにまとめておくのに十分である場合がある。
複合体で用いられる結合パートナー(X及びY)が遅いオンレートを有する場合、成分を混合して複合体を形成させた後に追加の時間が必要になる可能性がある。
結合パートナー間の親和性が十分に高い場合、二重特異性タンパク質複合体のタンパク質(A及びB)の親和性がその標的に弱い結合しかしなくても、二重特異性タンパク質複合体は、その所望の生物学的機能を実施することが可能である場合がある。逆に、タンパク質(A及びB)がその標的に強く結合することができる場合、結合パートナー(X及びY)の互いに対する親和性がさらに低くても同じ生物学的機能を達成することが可能である場合がある。言い換えると、結合パートナー間のさらに高い親和性が標的に対するもっと低い親和性の埋め合わせができる及び逆も同じであるように「三位一体」の関係が存在する。
一実施形態では、CH1などの重鎖中の定常ドメインとCカッパなどの軽鎖中の定常ドメインの間の相互作用は、本開示に従った二重特異性複合体の形成及び/又は安定性に寄与する。したがって、本開示の二重特異性複合体中にFab又はFab’断片を用いるのは有益である。
一実施形態では、本開示の二重特異性複合体はエフェクター機能を有する成分を含んではいない、例えば、複合体はCH1及びCカッパ又はCラムダ以外の定常ドメインを含まず、特に、CH2、CH3、CH4及びその組合せを含む群から独立して選択される定常ドメインを含まない。一実施形態では、本開示の二重特異性複合体はFc領域を欠く。
本発明の二重特異性タンパク質複合体は、機能スクリーニングを含むいかなる適切な用途においても使用することができる。この新規のフォーマットは、機能に基づいてタンパク質標的及びその標的タンパク質上の最適エピトープを同定するための多重機能スクリーニングに特に有用であり、この標的タンパク質は二重特異性療法が標的とすることができると考えられる。さらに、タンパク質A及びBが抗体又はその結合断片である場合、二重特異性タンパク質複合体は、二重特異性抗体療法において使用するための最適の可変領域対を同定する多重機能スクリーニングのためにも使用することができる。
本明細書で用いる「マルチプレックス」は、
少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体及び少なくとも1つの関連する生物学的コンパレーターを同じ若しくは異なるフォーマットで作製するよう組み合わされた少なくとも2つの成分融合タンパク質(A(A)n−X及びY−B(B)m)、又は
場合によって少なくとも1つの関連する生物学的コンパレーターを同じ若しくは異なるフォーマットで有する少なくとも2つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体
を含む試験のための実体の集団である。
明らかに有用であるためには、コンパレーターとして用いられる異なるフォーマットは、本開示で用いられる機能in vitroアッセイにおいて試験するのに適していなければならない。一例では、マルチプレックス中のコンパレーターは、A(A)n−XとB(B)m−Xの一価混合物又はA(A)n−X − Y−A(A)nの二価単一特異性複合体である。
一実施形態では、マルチプレックスは、特に、格子2から100の第1及び第2の融合タンパク質(A(A)n−X及びB(B)m−Y)において混合することから作製される、1から数十万のヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体、例えば、2から100,000又は2から10,000などの2から500,000の前記複合体を含む。一実施形態では、マルチプレックスは、例えば、2から900、2から800、2から700、2から600、2から500、2から400、2から300、2から200、2から100、2から90、3から80、4から70、5から60、6から50、7から40、8から30、9から25、10から20又は15などの2から1000の二重特異性タンパク質複合体を含む。
一実施形態では、このマルチプレックス中のヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質の数はnであり、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれよりも多い。
マルチプレックスはアレイ、例えば、マイクロタイタープレートの形態でもよく、マイクロプレートのそれぞれのウェルが異なった二重特異性タンパク質複合体を含有することができる。二重特異性タンパク質複合体は固体基材表面、例えば、ビーズに繋ぎ留めることができる、又は多特異性タンパク質複合体は、例えば、ウェル内で若しくは液滴内で液体(例えば、溶液又は培養液)の形態で懸濁されることもできる。
一実施形態では、マルチプレックス中のすべての「A」は異なるタンパク質であり、好ましくは標的抗原に結合する抗体若しくはその結合断片であり、すべての「B」は異なるタンパク質であり、好ましくは標的抗原に結合する抗体若しくはその結合断片である。
一実施形態では、マルチプレックスは下で考察される格子、例えば、8×8、16×16又は16×20で提供され、これはそれぞれ64、256又は320試料に等しい。
本明細書で用いられる用語「格子」とは、結合ドメインA若しくはA又はA(A)nにおける両方などの1つの可変因子はX軸(水平軸)などの1つの軸に沿って変え、結合ドメインB若しくはB又はB(B)mにおける両方などの別の可変因子はY軸(垂直軸)などのもう1つの軸に沿って変える2次元プロット又はアレイのことである。この配置は可変因子の種々の組合せ(並べ替え)を系統的に評価することを支援する。
一実施形態では、マルチプレックスは96ウェルプレート上で提供され、分析される試料はその倍数、すなわち、96、192、384、等でもよい。
有利なことに、格子配置は、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の生物学的機能を効率的にスクリーニングするのに特に有利である。そのような格子の例、4つの第1の融合タンパク質は4つの第2の融合タンパク質と容易に組み合わせて16の二重特異性タンパク質複合体を産生することが可能である。
スクリーニング格子の他の変動は当業者には明らかとなり、例えば、第1のタンパク質A若しくはA又は第1の融合タンパク質(A(A)n−X)における両方は一定に保たれてもよく、第2のタンパク質B若しくはB又は第2の融合タンパク質(B(B)m−Y)における両方は変えられる。これは、予め選択された第1のタンパク質との相乗的機能について多数の異なる第2のタンパク質を迅速にスクリーニングするために有用であり得る。
別の実施形態では、タンパク質A又はA又は両方は、それぞれの抗体変異体が同じ抗原に対して特異的であるが可変領域の異なる組合せを有するようにタンパク質A又はA又は両方の抗体可変領域を変化させることによって、1つの軸に沿って変えられる。タンパク質B又はB又は両方は一定に保たれてもよく、或いは同じ様式で変えられても、又はB若しくはB若しくは両方のタンパク質について抗原特異性が変化する(格子を横切って又は下って)ように変えられてもよい。
有利なことに、そのようなスクリーニング格子であれば、二重特異性タンパク質複合体が同じ抗原に特異的であるが可変領域の異なる組合せを有するときは、相乗的機能のわずかな違いの検出が潜在的に可能になる場合がある。
当業者であれば、マルチプレックス中のそれぞれの位置の二重特異性タンパク質複合体の所望の特異性を容易に制御することが可能であるように、上記の異なる変動も認識している。これにより、そのようなマルチプレックスを機能アッセイにおいて使用すると二重特異性タンパク質複合体の異なる組合せの効率的スクリーニングが可能になる。一実施形態では、要因計画を用いて格子で用いられる可変因子を定義する。
一実施形態では、本開示の方法はハイスループット分析に貢献する。
一実施形態では、複数の二重特異性タンパク質複合体は平行して又は基本的に同時に試験される。
本明細書で用いられる同時にとは、試料/分子/複合体が同じ分析で、例えば、同じ「ラン」で分析されることである。一般に所与の試料ランに用いられる試薬は同じバッチ、濃度、細胞源、等になり、したがって、同じ特性を有するので、これは有利になれる。さらに、温度及び湿度などの分析を実施する環境条件は類似する可能性がある。
一実施形態では、同時にとは、シグナル出力が基本的に同時刻に機器により分析される共存分析のことである。このシグナルは得られた結果を解釈するのにデコンボリューションが必要になる場合がある。
有利なことに、複数の二重特異性タンパク質複合体を試験すれば、多数の二重特異性タンパク質複合体のより効率的なスクリーニング及び新たな興味深い関係の同定が可能になる。
一実施形態では、複数の二重特異性タンパク質複合体は、上記のマルチプレックスを使用し同じものを1つ又は複数の機能アッセイに供することにより試験する。したがって、本発明は、式A(A)n−X:Y−B(B)mのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を検出するための方法であって、
A(A)n−Xは第1の融合タンパク質であり、
Y−B(B)mは第2の融合タンパク質であり、
X:Yはヘテロ二量体繋であり、
:はXとYの間の結合相互作用であり、
Aは抗体又は重鎖及び軽鎖を有するその結合断片から選択される二重特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質成分であり、
Bは抗体又は重鎖及び軽鎖を有するその結合断片から選択される二重特異性タンパク質複合体の第2のタンパク質成分であり、
Xは抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第1の結合パートナーであり、前記XはAの軽鎖又は重鎖のC末端に付加されており、及び
Yは抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第2の結合パートナーであり、前記YはBの軽鎖又は重鎖のC末端に付加されており、
は、Xにより占められていないAの抗体又は結合断片の重鎖又は軽鎖のC末端から付加されているscFv又はsdAbであり、
は、Yにより占められていないBの抗体又は結合断片の重鎖又は軽鎖のC末端から付加されているscFv又はsdAbであり、
nは0又は1であり、
mは0又は1であり、
ただし、n又はmのうちの少なくとも1つは1であり;及び
ただし、Xが抗原である場合、Yは、Xにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片であり、Yが抗原である場合、Xは、Yにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片であり、前記方法は、
(i)少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体を含むマルチプレックスの一部又はすべてについての機能アッセイにおいて活性を試験するステップと;
(ii)機能アッセイからの読み出し情報(単数又は複数)を解析して、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を検出するステップと
を含み、
Yは抗原でありXはYに対して特異的である抗体若しくはその結合断片であり、又はXは抗原でありYはXに対して特異的である抗体若しくはその結合断片である上記方法を提供する。
本発明に従った多特異性タンパク質複合体は、(A)n−A−X:Y−B又はA−X:Y−B−(B)m又は(A)n−A−X:Y−B−(B)mなどの1つよりも多いA又は1つよりも多いBを含んでいてもよく、A及びBはそれぞれがscFv、sdAb、Fab又は抗原から独立して選択することが可能でありAに融合されている。例えば、分子のA−A部分は、それぞれが同じ標的上の異なるエピトープに対するものである、2つのscFvにより形成され、分子(scFv)−X:Y−Bを形成してもよい。
二重特異性複合体において使用することが可能な抗体断片の明らかな代替物は、アドネクチン(adnectins)、リポカリン、クニッツドメイン(Kunitz domain)ベースのバインダー、アビマー(avimers)、ノッチン、フィノマー(fynomers)、アトリマー(atrimers)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質−4(CTLA4)ベースのバインダー、ダルピン(darpins)、アフィボディ(affibodies)、アフィリン(affilins)、アルマジロリピート(armadillo repeat)タンパク質又はその組合せなどの非IgG様結合タンパク質により形成してもよい。
本明細書で使用される用語「生物学的機能」とは、試験されている生物学的実体にとっては天然の又は目的とする活性、例えば、細胞、タンパク質若しくは類似のものの天然の活性のことである。理想的には、生物学的機能の存在は、B細胞若しくはT細胞などの生細胞などの哺乳動物細胞、又は組織をex vivoで用いるアッセイを含む、in vitro機能アッセイを使用して試験することが可能である。本明細書で用いられる天然の機能には、がんなどの疾患に関連する機能などの異常な機能も含まれる。
本明細書で用いられる関連する「生物学的コンパレーター」とは、ある変化又は新規の活性若しくは機能が存在するかどうかを確証するために二重特異性タンパク質複合体について用いられるのと同じアッセイにおいて活性を評価するのに適した実体のことである。A(A)n−X:Y−B(B)mに適したコンパレーターには、天然の形態の又は二重特異性体と同じフォーマットで示される精製されたタンパク質(組換えタンパク質を含む)、例えば、AとBがA(A)n−X:Y−A(A)n若しくはB(B)m−X:Y−B(B)mなどの同じ実体、すなわち二価単一特異性複合体である場合が含まれることがある。代わりに、複合体化されていない形態の融合タンパク質A(A)n−X又はY−B(B)mは、コンパレーターとして単独で又はA(A)n−XとB(B)m−Xを一緒に若しくはA(A)n−XとY−B(B)mを一緒になどの複合体化されていない混合物として用いることができる。代わりに、異なるフォーマットの複数のコンパレーター(特に本明細書に記載される)を用いることができる。当業者であれば、共通の一般的知識又は文献に見出される情報に基づいて適切な対照/コンパレーターを同定し含むことができる。
本明細書で使用される用語「相乗的機能」又は「相乗的生物学的機能」とは、
・二重特異性体が用いられるまでは個々の融合タンパク質成分を用いても観測されない(二重特異性フォーマット中には存在しない前記抗原に対する抗体の組合せを用いて観察される活性を含むことがあるが、特に、2つの結合ドメインが二重特異性フォーマットにおいて連結されているときにのみ観察される活性のことである)
生物活性若しくは生物活性のレベル又は生物学的機能若しくは生物活性に対する効果、又は
・本開示の二重特異性タンパク質複合体の第1と第2のタンパク質が個別に用いられるときに観察される活性と比べて高い若しくは低い活性、例えば、二重特異性形態でしか観察されない活性
のことである。
したがって、「相乗的」は新規の生物学的機能又は新規の活性を含む。本明細書で用いられる相乗的機能は一般には、単純なターゲティングは含まない、すなわち、結合のみに基づくが、一般に結合後の一部の阻害、活性化、シグナル伝達又は類似のものを含む。
本明細書で用いられる新規の生物学的機能又は新規の活性とは、2つ若しくはそれよりも多い相乗的実体(タンパク質A及びタンパク質B)が1つにまとめられる(二重特異性体として又は他の方法で)まで明らかではない若しくは存在しない生物学的機能若しくは活性又はこれまで同定されていない機能のことである。
本明細書で用いられるより高いとは、ゼロからの増加を含む活性の増加、例えば、個々の複合体化されていない二重特異性成分(単数又は複数)が関連する機能アッセイにおいて活性がない二重特異性体におけるある活性のことであり、本明細書では、新たな活性又は新規の生物学的機能とも呼ばれる。本明細書で用いられるより高いには、個々の複合体化されていない二重特異性成分(単独で試験される又は連結されていることと組み合わせて)と比べて関連する機能アッセイにおいて二重特異性体の相加的機能よりも大きい、例えば、関連する活性において10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300%又はそれよりも多いことも含む。
一実施形態では、一つに複合体化されていないタンパク質は二重特異性体と同じ活性を有し、この活性又は機能はこれまで未知であった。これも本明細書の文脈においては新規の相乗的機能である。
一実施形態では、相乗的機能はより高い機能である。
一実施形態では、相乗的機能はより低い機能である。
本明細書で用いられるより低い機能とは、関連する機能アッセイにおける二重特異性体が、関連する機能アッセイにおいて活性を有する個々の複合体化されていない二重特異性成分(単数又は複数)と比べてほとんど活性がないか全くないことを言い、本明細書では、個々のタンパク質として分析される又は同じ条件下でタンパク質の混合物として分析される新たな活性又は新規の生物学的機能とも呼ばれ(天然のタンパク質、すなわち、融合タンパク質には存在しないし、前記タンパク質の活性ドメイン若しくは断片を含むin vivoで存在する複合体以外の他のいかなる複合体の一部でもない組換え単離タンパク質などの)、例えば、関連する活性の10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300%又はそれよりも多い減少のことである。活性の100%よりも多い減少とは、異なる方向でのプラスの活性の増加のことであり、例えば、実体がアゴニストである場合、100%を超える活性の減少は実体をアンタゴニストにすることができ逆もまた同じである。
一実施形態では、二重特異性複合体の活性はタンパク質Aとタンパク質Bの既知の機能の合計よりも低い。
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性タンパク質複合体は単に相加的生物学的機能を有する。本明細書で用いられる相加的生物学的機能とは、同じ条件下で試験された場合、成分A及びB個別のそれぞれの合計と同じである機能のことである。相加的機能は、活性又は機能がこれまで未知であった又は同定されていなかった場合には新規の機能になることができる。
スクリーニングは、同定される所望の機能に応じて、当技術分野では公知のいかなる適切なアッセイでも使用して実施される。
一実施形態では、本開示の方法において用いられる機能アッセイはin vitro又はex vivoアッセイである。
本明細書で使用される「機能アッセイ」は、アッセイ条件に曝される二重特異性タンパク質複合体、抗体複合体又は抗体の混合物の1つ又は複数の所望の特性又は活性を決定するために使用することが可能なアッセイである。適切な機能アッセイは、結合アッセイ、アポトーシスアッセイ、抗体依存性細胞傷害(ADCC)アッセイ、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイ、細胞成長又は増殖の阻害(細胞静止効果)アッセイ、細胞殺傷(細胞傷害効果)アッセイ、細胞シグナル伝達アッセイ、サイトカイン産生アッセイ、抗体産生及びアイソタイプスイッチ、細胞分化アッセイ、コロニー形成アッセイ、走化性アッセイ、細胞接着アッセイ、細胞遊走アッセイ、細胞周期アッセイ、代謝アッセイ(全細胞及びオルガネラ機能)、標的細胞への病原体の結合の阻害を測定するためのアッセイ、血管内皮増殖因子(VEGF)の分泌又は他の分泌された分子を測定するアッセイ、静菌についてのアッセイ、殺菌力、ウイルスの中和、in situハイブリダイゼーション法、標識化法及び同類のものを含む抗体が結合している部位への免疫系の成分の引力を測定するアッセイでもよい。
一実施形態では、マウス腫瘍モデル、自己免疫疾患のモデル、ウイルス感染若しくは細菌感染の齧歯類又は霊長類モデル、及び同類のものを含む動物モデルなどのin vivoアッセイを用いることができる。
当業者であれば調査している標的/タンパク質に基づいて適切な機能アッセイを選択することが十分にできる。しかし、複合体は、新たな機能性を同定する試みに関連していると考えられるアッセイを前選択せずに「標準」アッセイのパネルを受けさせることができる。
二重特異性抗体複合体の文脈では、本開示に従った二重特異性抗体複合体の効力は、当業者に一般的に知られている方法によってそのようなモデルにおいて個々の抗体又は抗体(又は断片)の混合物と比較することが可能である。
例えば、二重特異性抗体複合体は、抗原に結合する以外の特性を含む生物学的機能である、増殖を阻害する、細胞の生存能若しくは代謝活性に影響を及ぼす(例えば、アラマーブルーなどの染色を用いて、又は細胞により発現されるルシフェラーゼに起因する発光をモニターすることにより)、又はがん細胞のアポトーシスを引き起こす能力について試験することができる。
対象の特定の疾患に密接な関係のある機能アッセイを選択することによって、本開示の方法により既知の又は未知の標的分子に結合する潜在的な治療抗体を同定することが可能になる。したがって、本開示の方法を使用して新たな標的分子を同定する及び/又は潜在的な治療抗体を直接同定することが可能になる。有利なことに、本方法はいかなる特定のアッセイ(単数又は複数)にも限定されず、要件に応じて最も適切な機能アッセイを選択する完全な柔軟性を使用者に提供する。
所望の生物学的機能を求めて二重特異性抗体複合体をスクリーニングする場合、種々の戦略を用いることができる。例えば、抗体を含有する培地を生物活性について直接スクリーニングすることが可能である。代わりに、生物活性についてのスクリーニングに先立って抗体を被覆されたビーズに又はマイクロタイタープレートに結合させることが可能である。代わりに、融合タンパク質をニッケル捕捉精製ステップにおいてHisタグを介して精製することができる。そのような戦略により抗体の局所的濃度を増加させ、機能アッセイからさらに明確な結果を得ることができる。
機能アッセイは、結果の信頼性を高めるために特定の二重特異性抗体複合体の異なる試料を用いて又は用いずに必要に応じて何回か繰り返すことができる。当業者には公知の種々の統計検定を用いて統計的に有意な結果を同定し、このようにして、生物学的機能を有する二重特異性抗体複合体を同定することが可能である。
スクリーニングのための機能アッセイを確立すると、当業者であれば、それを超えると同定された活性が「ヒット」だと見なされる適切な閾値を設定することが可能である。1つよりも多い機能アッセイが使用されるところでは、管理しやすいヒット率を確立するためにアッセイごとの閾値を適切なレベルで設定することができる。一例では、ヒット率は3〜5%でもよい。一例では、B細胞機能を阻害する抗原の対を探索する際に設定される基準は、B細胞活性化アッセイにおいて少なくとも2つのリン酸読み出しの少なくとも30%阻害であってよい。
本発明の二重特異性タンパク質複合体では、以下のタンパク質及びペプチド成分を使用することができる。
一実施形態では、結合対の第1の結合パートナーXと第2の結合パートナーYのうちの少なくとも1つは、独立してペプチド及びタンパク質から選択され、例えば、第1の結合パートナー又は第2の結合パートナーはペプチドである。
適切なペプチドには、GCN4、Fos/Jun(ヒト及びマウスFosはそれぞれUniprot番号P01100及びP01101を有し、ヒト及びマウスJunはそれぞれUniprot番号05412及び05627を有する)、ヒトインフルエンザ赤血球凝集素のアミノ酸98から106に対応するHAタグ、ポリヒスチジン(His)、c−myc及びFLAGを含む群を含む。他のペプチドも本開示において使用するのに適切と予想されており、特に適切なペプチドはタンパク質精製のためのアフィニティータグである。なぜならば、そのようなペプチドはそのそれぞれの結合パートナーに高親和性で結合する傾向があるからである。
一実施形態では、ペプチドはE5B9ではない。
本明細書で使用される用語「ペプチド」とは、ペプチド結合により連結されたアミノ酸の短いポリマーのことであり、ペプチドは2〜100の範囲で、例えば、6から98、7から97、8から96又は5から25などの5から99のアミノ酸を含有する。一実施形態では、本開示で用いられるペプチドは50アミノ酸残基又はそれよりも少ない、例えば、40、30、20、10又はそれよりも少ないアミノ酸配列である。本開示で使用されるペプチドは目的にかなうのに十分な長さであり、例えば、ペプチドがリンカーである場合、ペプチドはそれが連結する断片がその生物学的機能を果たすのを可能にするのに適した長さである必要があり、代わりに、ペプチドが結合パートナーである場合、ペプチドは抗体などの別の実体に特異的に結合できなければならない。
一実施形態では、結合対のもう一方の結合パートナー(代わりの第1又は第2の結合パートナー)はタンパク質である。
本明細書で用いられるタンパク質は100アミノ酸又はそれよりも多いアミノ酸配列のことである。一実施形態では、本明細書で用いられる「タンパク質」は二次又は三次構造を有するアミノ酸配列のことである。
ポリペプチドとタンパク質は本明細書では互換的に用いられる。しかし、ポリペプチドは一般に単純な構造、例えば、ほとんど二次及び/又は三次構造のないタンパク質のことである。
一実施形態では、ペプチドとタンパク質の区別は二次構造及び/又は三次構造の有無に基づいており、ペプチドは二次構造を持たず、二次構造及び/又は三次構造を有するアミノ酸はタンパク質と見なされる。
一実施形態では、タンパク質は抗体又は抗体断片である。
本明細書で使用される用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子の可変領域に位置している少なくとも1つの抗原認識部位(本明細書では結合部位とも呼ばれる)を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、等などの標的抗原に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子のことである。
本明細書で使用されるように、用語「抗体」又は「抗体分子」は抗体及びその抗原結合断片が含まれる。
本明細書で用いられる用語「抗原結合断片」又は「抗体断片」とは抗体の断片のことであり、Fab、改変Fab、Fab’、改変Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体(sdAb)、scFv、二、三又は四価抗体、Bis−scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、及び上記のいずれかのエピトープ結合断片を含むがこれらに限定されない(例えば、Holliger and Hudson, 2005, Nature Biotech. 23(9):1126-1136; Adair and Lawson, 2005, Drug Design Reviews - Online 2(3), 209-217参照)。これらの抗体断片を作製し製造するための方法は当技術分野では周知である(例えば、Verma et al., 1998, Journal of Immunological Methods, 216:165-181参照)。本開示で使用するための他の抗体断片には、国際特許出願WO05/003169、国際特許出願WO05/003170及び国際特許出願WO05/003171に記載されるFab及びFab’断片が含まれる。多価抗体は複数の特異性体、例えば、二重特異性体を含んでいてもよく又は単一特異性であってもよい(例えば、WO92/22853、WO05/113605、WO2009/040562、及びWO2010/035012参照)。
本明細書で用いられる「抗原結合断片」とは、その断片をペプチド又は抗原に対して特異的であると特徴付けるのに十分な親和性で標的ペプチド又は抗原に結合することができる、例えば、抗体の又は別の分子の断片のことである。
本明細書で使用される用語「Fab断片」とは、軽鎖(CL)のVL(可変軽)ドメイン及び定常ドメインを含む軽鎖断片並びに重鎖のVH(可変重)ドメイン及び第1の定常ドメイン(CH1)を含む抗体断片のことである。一例では、Fab断片の重鎖配列はCH1の鎖間システインで「終わる」。一実施形態では、A(A)n−X又はY−B(B)mなどの本開示の融合タンパク質で用いられるFab断片は一価である。
本明細書で用いられるFab’断片とは、ヒンジ領域のすべて又は一部をさらに含むFab断片のことである。一実施形態では、A−X及び/又はB−Yなどの本開示の融合タンパク質で用いられるFab’断片は一価である。
本明細書で使用される用語「単鎖Fv」又は略記して「scFv」とは、(例えば、ペプチドリンカーにより)連結されたVHとVL抗体ドメインを含んだかたちで単一ポリペプチド鎖を形成する抗体断片のことである。重鎖及び軽鎖の定常領域はこのフォーマットでは取り除かれている。本明細書で用いられる単鎖Fvには、そのジスルフィド安定化バージョンが含まれ、これはペプチドリンカーに加えてジスルフィド結合が可変領域間に存在する。
ジスルフィド安定化scFvは、可変領域が分離し再び一体となることに関係する動力学的に呼吸する一部の可変領域の傾向を取り除くことができる。
本明細書で使用される用語「単一ドメイン抗体」とは、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片のことである。単一ドメイン抗体の例はVH又はVL又はsdAbを含む。
本明細書で使用される用語「sdAb」又は「単一ドメイン抗体(単数又は複数)」とは、単一の抗原結合ドメインを含む分子のことである。この分子は人工的に作製してもよいし天然に存在しているものでもよく、VHのみ、VLのみ、ラクダ科VHH、ヒトドメイン抗体、IgNARなどのサメ由来抗体及びアドネクチン、リポカリン、クニッツドメインベースのバインダー、アビマー、ノッチン、フィノマー、アトリマー、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)ベースのバインダー、ダーピン、アフィボディ、アフィリン、アルマジロリピートタンパク質を含むがこれらに限定されない他の非抗体単一ドメイン結合フォーマットを含むがこれらに限定されない。
一実施形態では、抗体結合断片及び/又は二重特異性抗体複合体はFc領域を含まない。本明細書で用いられる「Fc領域を含まない」とは、存在しないCH2、CH3及びCH4などの下位の定常ドメインのことである。しかし、CH1、Cカッパ/Cラムダなどの定常ドメインは存在していてもよい。
一実施形態では、抗体重鎖はCH1ドメインを含み、抗体軽鎖はカッパ又はラムダのCLドメインを含む。
一実施形態では、抗体重鎖はCH1ドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、抗体軽鎖はカッパ又はラムダのCLドメインを含む。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質A及び/又は第2のタンパク質Bは抗体又は抗体断片である。そのような、二重特異性タンパク質複合体は二重特異性抗体複合体と呼んでもよい。
本明細書で用いられる「二重特異性抗体複合体」とは、少なくとも2つの抗体結合部位を含み、成分抗体、断片又は両方がヘテロ二量体繋により互いに複合体化されている二重特異性タンパク質複合体のことである。
二重特異性抗体複合体とは通常、少なくとも2つの抗原結合部位を含み、結合部位が同一でない特異性を有する分子のことである。
一実施形態では、2つのタンパク質(例えば、抗体、断片又は抗体と断片の組合せ)が同じ抗原を標的とし、例えば、同じ標的抗原上の2つの異なるエピトープに結合し、本明細書ではバイパラトピック二重特異性体とも呼ばれる。
別の実施形態では、2つのタンパク質(例えば、抗体、断片又は抗体と断片の組合せ)は、異なる抗原特異性を有し、例えば、2つの異なる標的抗原に結合してもよい。
さらに別の実施形態では、2つのタンパク質は同一であり、すなわち、同じ標的抗原上の同じエピトープに結合し、したがって、複合体は単一特異性である。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体で用いられるそれぞれの抗体又は断片は1つの結合部位を含む、すなわち、それぞれの結合部位はそれぞれの標的抗原に対して一価である。
融合タンパク質(A(A)n−X又はB(B)m−Y)で用いられる完全長抗体又は抗体断片は単一特異性、一価、多価又は二重特異性でもよい。
有利なことに、2つの二重特異性抗体又は抗体断片を使用すれば、本開示の二重特異性抗体複合体は、潜在的に最大4つの異なる抗原に対して特異的であることが可能になる(すなわち、複合体は四重特異性であることができる)。これにより結合活性タイプ効果を調べることが可能になる。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A(A)n−X)で用いられる抗体又は抗体断片は、単一特異性抗体又は抗体断片、特に、一価のFab、Fab’、scFv、Fv、sdAb又は類似物である。
一実施形態では、第2の融合タンパク質(B(B)m−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は、単一特異性抗体又は抗体断片、特に、一価Fab、Fab’、scFv又はsdAbである。
本明細書で用いられる「単一特異性」とは、1つの標的抗原のみに結合する能力のことである。
本明細書で用いられる「一価」とは、単一の結合部位を有し、したがって、標的抗原に1回のみ結合するだけである抗体又は抗体断片のことである。本明細書で使用される「多価」とは、同じ等しい特異性を有する2つ又はそれよりも多いエピトープ、例えば、ウイルス粒子の表面の反復同一単位に結合することができる少なくとも2つの結合部位を有する抗体又はその断片のことである。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A(A)n−X)で用いられる抗体又は抗体断片は多価であり、すなわち、2つ又はそれよりも多い結合ドメインを有する。
一実施形態では、第2の融合タンパク質(B(B)m−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である、すなわち、2つ又はそれよりも多い結合ドメインを有する。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A(A)n−X)で用いられる抗体若しくは抗体断片は一価(n=0の場合)であり、又は第2の融合タンパク質(B(B)m−Y)で用いられる抗体若しくは抗体断片は一価(m=0の場合)である。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A(A)n−X)で用いられる抗体又は抗体断片は一価(n=0の場合)であり、第2の融合タンパク質(B(B)m−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A(A)n−X)で用いられる抗体又は抗体断片は多価であり、第2の融合タンパク質(B(B)m−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は一価である(m=0)。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A(A)n−X)で用いられる抗体又は抗体断片は多価であり、第2の融合タンパク質(B(B)m−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である。
一実施形態では、(A(A)n−X)又は(B(B)m−Y)は、1つは抗原CD33に特異的であり1つは抗原CD3に特異的である2つのscFv又は代わりにこれら2つの抗原に特異的な二重特異性複合体フォーマットを含む融合タンパク質ではない。
一実施形態では、(A(A)n−X)又は(B(B)m−Y)は、ペプチドE5B9に連結されたCD3に特異的なscFv(又は代わりに別の抗体フォーマット)を含む融合タンパク質ではない。
本明細書で用いられる「結合ドメイン又は部位」は、抗体のうち抗原/エピトープに接触しそれとの結合相互作用に関与する部分である。一実施形態では、結合ドメインは少なくとも1つの可変ドメイン又はその誘導体、例えば、可変ドメイン又はその誘導体の同族対などの可変ドメイン又はその誘導体の対を含有する。
一実施形態では、結合ドメインは3つのCDRを含み、特に、結合ドメインはVH、VL又はVHHなどのドメイン抗体である。一実施形態では、結合ドメインは2つの可変ドメイン及び6つのCDR及びフレームワークを含み、合わせてこれらのエレメントは、抗原/エピトープとの抗体又は結合断片の結合相互作用の特異性に寄与する。
本明細書で用いられる「同族対」とは、予備形成されたカップルとしてB細胞などの宿主免疫細胞から単離される重鎖と軽鎖対のことである。この定義にはライブラリーから単離される可変ドメインは含まれず、B細胞などの宿主免疫細胞由来の最初の対合は保持されない。同族対は、宿主において親和性成熟していることが多く、したがって、その対が特異的である抗原に対して高い親和性を有することができるので有利である可能性がある。
本明細書で用いられる「天然に存在するドメインの誘導体」は、例えば、望ましくない特性を取り除くことなどにより、ドメインの特性を最適化するために天然に存在する配列中の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は5つよりも多いアミノ酸が置き換えられている又は欠失しているが、そのドメインの特徴的な特色(単数又は複数)は保持されていることを指すことを意図している。改変の例は、グリコシル化部位又は溶媒曝露リシンを取り除く改変である。これらの改変は、関連するアミノ酸残基を保存的アミノ酸置換で置き換えることにより達成することが可能である。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体又はその抗体/断片成分は処理されて、標的抗原(単数又は複数)に対する改善された親和性を提供する。そのような変異体は、CDRを突然変異する(Yang et al., J. Mol. Biol., 254, 392-403, 1995)、鎖シャフリング(Marks et al., Bio/Technology, 10, 779-783, 1992)、大腸菌(E.coli)の変異誘発菌種の使用(Low et al., J. Mol. Biol., 250, 359-368, 1996)、DNAシャフリング(Patten et al., Curr. Opin. Biotechnol., 8, 724-733, 1997)、ファージディスプレイ(Thompson et al., J. Mol. Biol., 256, 77-88, 1996)及び性的PCR(Crameri et al., Nature, 391, 288-291, 1998)を含むいくつかの親和性成熟プロトコールにより得ることが可能である。Vaughanら(上記)は親和性成熟のこれらの方法を考察している。
一実施形態では、第1の抗体又は抗体断片Aは第1の抗原に対して特異的であり、第2の抗体又は抗体断片Bは第2の抗原に対して特異的であり、Aは第3の抗原に結合しており、Bは第4の抗原に結合しており、第1、第2、第3及び第4の抗原は異なっている。
別の実施形態では、A及びAは第1の抗原に対して特異的であり、B及びBは第2の抗原に対して特異的であり、第1と第2の抗原は異なっており、A及びAは第1の抗原上の異なるエピトープを認識しB及びBは第2の抗原上の異なるエピトープを認識する。有利なことに、二重特異性などの多特異性抗体複合体は2つ若しくはそれよりも多い異なる抗原に対して又は同じ抗原上の複数のエピトープに対して特異的であってもよい。これは、それぞれ異なる実体上に位置している2つの異なる抗原へ抗体複合体が結合し、それによって2つの実体を物理的に互いにすぐ近傍に近づける可能性を表す。
代わりに、第1の抗体又は抗体断片(A)は第1のエピトープに対して特異的であることができ、第2の抗体又は抗体断片(B)は第2のエピトープに対して特異的であることができ、第1と第2のエピトープは両方とも同じ抗原上にある。これは、抗原と二重特異性抗体複合体の間の複数の相互作用のせいで抗原に対する二重特異性抗体複合体の結合活性を大いに増強することが可能である。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体(A)若しくは第2の抗体(B)又は第1と第2の抗体の両方は、場合によって不活性又は活性Fc領域を有するIgGでもよい。
一実施形態では、第1(A)又は第2(B)の抗体断片は、断片抗原結合(Fab)、Fab’、一本鎖可変断片(scFv)及びVHHなどの単一ドメイン抗体(sdAb)からなる群から選択される。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)、第2の抗体/断片(B)又は第1と第2の抗体/断片の両方はFabでもよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)、第2の抗体/断片(B)又は第1と第2の抗体/断片の両方はFab’でもよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)、第2の抗体/断片(B)又は第1と第2の抗体/断片の両方はscFvでもよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)又は第2(B)の抗体/断片又は第1と第2の抗体/断片の両方はsdAbである。
便宜上、本開示の二重特異性タンパク質複合体は本明細書では(A(A)n−X):Y−B(B)mと呼ばれる。しかし、この命名は、融合タンパク質A(A)n−X及びB(B)m−Yの設計の仕方を限定することを意図してはいない。なぜならば、本発明者らの実験は結合パートナーX及びYを、その方法に悪影響を与えることなく入れ替える、すなわち、(A(A)n−Y)及びB(B)m−Xにすることが可能であることを示しているからである。したがって、A及びB及びX及びYは、本技術の説明を助けるために言及される名目上のラベルである。
本明細書で用いられる「付加されている(attached)」とは、その例が下で考察されるペプチドリンカーなどのリンカーを介して直接的に又は間接的に連結している又は結合していることである。直接的に連結しているには、一つに融合している(例えば、ペプチド結合)又は化学的にコンジュゲートしているが含まれる。
本明細書で用いられる「結合パートナー」とは、結合対の1つの成分部分のことである。
一実施形態では、結合パートナーの親和性は高く、900、800、700、600、500、400、300pM又はそれよりも強いなどの5nM又はそれよりも強い。
本明細書で用いられる「結合対」とは、互いに特異的に結合する二つの結合パートナーのことである。結合対の例には、ペプチドとそれに特異的な抗体若しくは結合断片、又は酵素とリガンド、又は酵素とその酵素の阻害剤が含まれる。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)は、完全長抗体、Fab、Fab’、Fv、dsFv、scFv及びsdAbを含む群から選択され、sdAbの例はVH又はVL又はVHHを含む。
Xが抗体又はその結合断片である場合、Yはタンパク質又はペプチド、特にペプチドである。
一実施形態では、第2のパートナー(Y)は、完全長抗体、Fab、Fab’、Fv、dsFv、scFv及びsdAbを含む群から選択され、sdAbの例はVH又はVL又はVHHを含む。
Yが抗体又はその結合断片である場合、Xはタンパク質又はペプチド、特にペプチドである。
一実施形態では、Aが抗体又はその断片である場合、第1の結合パートナー(X)は第1の抗体又は抗体断片の重鎖又は軽鎖のC末端に結合している、例えば、第1の結合パートナー(X)は第1の抗体又は抗体断片(A)の重鎖のC末端に結合している。
別の実施形態では、Bが抗体又はその断片である場合、第2の結合パートナー(Y)は第2の抗体又は抗体断片の重鎖又は軽鎖のC末端に結合している、例えば、第2の結合パートナー(Y)は第2の抗体又は抗体断片(B)の重鎖のC末端に結合している。
一実施形態では、Xは抗体又は断片(タンパク質A)の重鎖のC末端に結合しており、Yは抗体又は断片(タンパク質B)の重鎖のC末端に結合している。
一実施形態では、Xはリンカー(ASGGGG配列番号71又はASGGGGSG配列番号72又はASGGG配列番号73又はAAASGGG配列番号74)又は当技術分野で公知の若しくは本明細書の下で考察されている任意の他の適切なリンカーを介して、抗体又は断片(タンパク質A)の重鎖のC末端に付加されており、及びYはリンカー(ASGGGG配列番号71又はASGGGGSG配列番号72又はASGGG配列番号73又はAAASGGG配列番号74などの)を介して、抗体又は断片(タンパク質B)の重鎖のC末端に付加されている。
適切な結合対(X又はY)の例はGCN4(配列番号1又はHISタグを欠く、配列番号1のアミノ酸1〜38)、その変異体、誘導体若しくは断片(例えば、配列番号75〜97により示される配列のうちのいずれか)、及びGCN4に対して特異的なscFvである52SR4(配列番号3、98若しくは99又はHISタグを欠く、配列番号3のアミノ酸1〜243)又はその変異体を含むことができる。
一実施形態では、第1の結合パートナー(通常はX)はGCN4(例えば、配列番号1に示されている)又はその断片若しくは変異体(例えば、Hisがない又は配列番号75〜97により示される配列のうちのいずれか)であり、第2の結合パートナー(通常はY)はGCN4に対して特異的なscFv又はsdAb(例えば、配列番号3に示されている)又はその変異体である。
一実施形態では、第1の結合パートナー(通常はX)はGCN4に対して特異的であるscFv若しくはsdAb(例えば、配列番号3、98又は99に示される)又はその変異体であり、第2の結合パートナー(通常はY)はGCN4(例えば、配列番号1に示されている)、又はその断片若しくは変異体(例えば、配列番号75〜97により示される配列のうちのいずれか)である。
GCN4変異体には、配列番号1に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%又は98%、又は99%同一性のアミノ酸配列が含まれる。GCN4変異体には、ヌクレオチド配列配列番号2によりコードされる配列に、又は厳密な条件下で配列番号2にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる配列に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一性を有するアミノ酸配列も含まれる。
GCN4断片は配列番号1のアミノ酸配列よりも短いGCN4のアミノ酸配列を含む。
GCN4誘導体とはN末端で又はC末端で、配列番号1のアミノ酸配列よりも長いGCN4のアミノ酸配列のことである。
GCN4に対して特異的である適切なscFvは52SR4(配列番号3)又はその変異体(配列番号98又は99に示されているなどの)である。52SR4の変異体には配列番号3に少なくとも80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%同一性を有するアミノ酸配列が含まれる。52SR4の変異体には、ヌクレオチド配列配列番号4によりコードされる配列に、又は厳密な条件下で配列番号4にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる配列に少なくとも80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%同一性を有するアミノ酸配列も含まれる。
本発明者らは、単鎖抗体52SR4及びペプチドGCN4は本開示の二重特異性タンパク質複合体において使用するのに適した結合対であることを見出していた。
代わりに、いかなる適切な抗体/断片及び抗原(ペプチドなどの)でもX及びYとして用いることができる。好ましくは、そのようなXとYの対からは、A(A)n−XとY−B(B)mが1対1のモル比で組み合わされると75%よりも多くのヘテロ二量体が得られる。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)及び第2の結合パートナー(Y)はタンパク質である。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)は酵素若しくはその活性断片であり第2の結合パートナー(Y)はリガンドである又はその逆もまた同じである。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)は酵素若しくはその活性断片であり第2の結合パートナー(Y)はその酵素の阻害剤である又はその逆もまた同じである。
本明細書で用いられる「活性断片」とは、アミノ酸断片のことであり、これは実体では全アミノ酸配列よりも少なく、基本的に同じ生物活性又は関連する生物活性、例えば、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%などの50%を超える活性を保持している。
別の実施形態では、第1の結合パートナーXはグルタチオン(GSH)であり第2の結合パートナーYはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)である又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、XはFosでありYはJunである又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、XはHisでありYは抗Hisである又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、結合対はカルモジュリン結合ペプチドであり、Yはカルモジュリン又はその逆である。
別の実施形態では、Xはマルトース結合タンパク質でありYは抗マルトース結合タンパク質若しくはその断片である又はその逆もまた同じである。
他の酵素−リガンド組合せも結合パートナーにおいて使用するために想定している。タンパク質精製のための当技術分野で公知の親和性タグも適切である。なぜならば、これらのタグはそのそれぞれの結合パートナーに高親和性で結合する傾向があるからである。
「同一性」は、本明細書で使用されるように、整列させた配列中のいかなる特定の位置においてもアミノ酸残基が配列間で同一であることを示している。「類似性」は、本明細書で使用されるように、整列させた配列中のいかなる特定の位置においてもアミノ酸残基が配列間で類似する種類であることを示している。例えば、ロイシンはイソロイシン又はバリンの代わりに用いることができる。多くの場合互いに代わりに用いることが可能な他のアミノ酸には、
− フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸)
− リシン、アルギニン及びヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸)
− アスパラギン酸及びグルタミン酸(酸性側鎖を有するアミノ酸)
− アスパラギン及びグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸);並びに
− システイン及びメチオニン(硫黄含有側鎖を有するアミノ酸)
が含まれるがこれらに限定されない。
同一性及び類似性の程度は容易に計算することが可能である(Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing. Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987, Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991, the BLASTTM software available from NCBI (Altschul, S.F. et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410; Gish, W. & States, D.J. 1993, Nature Genet. 3:266-272. Madden, T.L. et al., 1996, Meth. Enzymol. 266:131-141; Altschul, S.F. et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402; Zhang, J. & Madden, T.L. 1997, Genome Res. 7:649-656)。
一実施形態では、第1の又は第2の結合パートナー(X又はY)はタンパク質又はペプチドである。
一実施形態では、第1及び第2の融合タンパク質は1つ又は複数のペプチドリンカーを含む。リンカーは融合タンパク質中の種々の位置に取り込むことができる。例えば、リンカーは結合パートナーとそれに付加されているタンパク質の間に導入することができる。
一実施形態では、リンカーはペプチドリンカーである。
本明細書で使用される用語「ペプチドリンカー」とは、アミノ酸配列を有するペプチドのことである。一定範囲の適切なペプチドリンカーは当業者には公知であろう。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体の結合パートナーはペプチドリンカーを介してそのそれぞれのタンパク質に結合されている。ペプチドリンカーの例は配列番号5〜74(表2、3及び4)に示されている。
一実施形態では、融合タンパク質は翻訳融合であり、すなわち、融合タンパク質が発現されるもとの遺伝子構築物を含む宿主細胞において発現される融合タンパク質である。
一実施形態では、融合タンパク質は、場合によってペプチドリンカーを介して、A若しくはAの任意のN若しくはC末端をXに及び/又はB若しくはBの任意のN若しくはC末端をYに融合させることにより調製される。
一実施形態では、ペプチドリンカーは50アミノ酸長又はそれよりも少なく、例えば、20アミノ酸又はそれよりも少ない。
一般に、融合タンパク質を組換え的に発現させるほうが効率的であり、したがって、宿主細胞において発現させることが可能な直接ペプチド結合又はペプチドリンカーが有利である可能性がある。
一実施形態では、リンカーは配列5から72に示される配列又はPPPから選択される。

(S)は配列17から20では自由選択である。別のリンカーはペプチド配列GSでもよい。
強固なリンカーの例には、ペプチド配列GAPAPAAPAPA(配列番号69)、PPPP(配列番号70)及びPPPが含まれる。
他のリンカーは表4に示されている。
一態様では、本開示の二重特異性タンパク質複合体を産生する方法であって、
(a)結合対の第1の結合パートナー(X)に付加されている第1のタンパク質(A)を含む、第1の融合タンパク質A(A)n−Xを作製するステップと、
(b)結合対の第2の結合パートナー(Y)に付加されている第2のタンパク質(B)を含む、第2の融合タンパク質B(B)m−Yを作製するステップと、
(c)ステップa)及びb)において調製された第1A(A)n−Xと第2B(B)m−Yの融合タンパク質を一緒に混合するステップと
を含む上記方法が提供される。
典型的にはステップ(c)におけるA(A)n−XとB(B)m−Yの混合は1対1のモル比である。
一実施形態では、本開示の複合体中で用いられるそれぞれの融合タンパク質は、発現実験において宿主細胞(単数又は複数)での発現により産生される。
一態様では、本開示の二重特異性タンパク質複合体を調製する方法であって、融合タンパク質A(A)n−X及びB(B)m−Yが同じ宿主細胞から又は異なる宿主細胞から発現される
上記方法が提供される。
本明細書で用いられる異なる宿主細胞とは、同じ種類(同じクローン種でさえ)の細胞を含む、個々の細胞のことである。
一実施形態では、発現は一過性発現である。一過性発現の使用は、精製に頼らずに二重特異性複合体を生成する能力と組み合わされると極めて有利である。これにより、一過性トランスフェクションは安定なトランスフェクションよりもはるかに簡単であり資源多消費ではないので、二重特異性タンパク質複合体を産生する迅速な方法が得られる。
一実施形態では、発現は安定な発現である、すなわち、そこでは問題になっている融合タンパク質をコードするDNAは宿主細胞ゲノム内に安定的に組み込まれている。
一実施形態では、同じ又は異なるポリヌクレオチド配列上のA(A)n−Xをコードするポリヌクレオチド及びB(B)m−Yをコードするポリヌクレオチドは機能アッセイの一部として細胞内にトランスフェクトされ、タンパク質が細胞内で発現される及び/又はそこから放出される。特に、ポリヌクレオチドは同じ又は異なるプラスミド上に一過性にトランスフェクトされる。
A(A)n−XとB(B)m−Yの混合は、一般的に、XとYが相互作用できる条件で成し遂げられる。一実施形態では、融合タンパク質は、細胞培養条件下で細胞培養培地においてインキュベートされ、例えば、融合タンパク質は37℃/5%CO環境において90分間インキュベートされる。
一実施形態では、本開示の融合タンパク質は水性環境で混合され、例えば、1つの融合タンパク質はビーズ又はプレートなどの固体表面に結合させることができ、もう一方の融合タンパク質は水溶液/懸濁液中でそれに対して導入することが可能である。固相であれば過剰な成分及び試薬は容易に洗い流すことができる。一実施形態では、どちらの融合物も固相に付加されておらず、液体/溶液/培養液中で混合しているだけである。したがって、一実施形態では、A(A)n−X及びB(B)m−Yは水性媒体中で遊離のタンパク質として混合している。
有利なことに、本開示の方法を用いれば、異種対間(すなわち、第1の融合タンパク質[A(A)n−X]と第2の融合タンパク質[B(B)m−Y]の間)で形成され、同種対間(すなわち、2つの第1の融合タンパク質[A(A)n−X]間又は2つの第2の融合タンパク質[B(B)m−Y]間)の相互作用が最小化されている複合体を調製することが可能である。したがって、本方法により、ホモ二量体複合体の混入を最小限にして又はなしで、多数の二重特異性タンパク質複合体を調製することが可能になる。本開示の構築物及び方法の利点は、A(A)n−XのB(B)m−Yに対する比がA(A)n−X及びB(B)m−Yの特性により制御され、特に、1対1のモル比を達成することが可能である。制御のこの要素はある種の先行技術の方法よりも著しい改良点である。
一実施形態では、本開示の方法は、相乗的活性を有すると同定された一対の可変領域(特に、2対の可変領域)を代替の二重特異性フォーマットに移すさらなるステップを含み、場合によって必要ならば予め前記可変領域をヒト化し、このフォーマットは代替の治療フォーマット及び/又はさらに長い期間(例えば、1週間又はそれよりも長く行われる)のアッセイにおいて試験するのに適している延長された半減期を有するフォーマットである。
多価フォーマットは当技術分野で公知のフォーマット並びにDVD−Ig、例えば、国際公開第2009/040562号及び国際公開第2010/035012号に開示されているFabFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、等などの本明細書に記載されるフォーマットを含む。
二重及び多特異性フォーマット(治療フォーマットを含む)の他の例には、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、タンデムscFv、タンデムscFv−Fc、FabFv、Fab’Fv、FabdsFv、Fab−scFv、Fab’−scFv、diFab、diFab’、scダイアボディ、scダイアボディ−Fc、scFv−Fc−scFv、scダイアボディ−CH、IgG−scFv、scFv−IgG、V−IgG、IgG−V、DVD−Ig、及びDuoBodyが含まれる。
本明細書で用いられるダイアボディとは、2つのFv対、すなわち、第1のFvのVHが第2のFvのVLに連結され、第1のFvのVLが第2のFvのVHに連結されるように2つのFv内リンカーを有するVH/VLと追加のVH/VL対のことである。
本明細書で用いられるトリアボディとは、3つのFv対と3つのFv内リンカーを含むダイアボディに類似するフォーマットのことである。
本明細書で用いられるテトラボディとは、4つのFv対と4つのFv内リンカーを含むダイアボディに類似するフォーマットのことである。
本明細書で用いられるタンデムscFvとは、単一のFv内リンカーが存在するように単一のリンカーを介して互いに連結されている2つのscFv(リンカーを含むそれぞれは通常の様式である)のことである。
本明細書で用いられるタンデムscFv−Fcとは、それぞれ1つが定常領域断片−CH2CH3のCH2ドメインのN末端に、例えば、ヒンジを介して付加している2つのタンデムscFvのことである。
本明細書で用いられるFabFvとは、可変領域が以下の重鎖のCH1及び軽鎖のCLのそれぞれのC末端に付加されているFab断片のことである。フォーマットはそのペグ化バージョンとして提供することができる。
本明細書で用いられるFab’FvはFabFvに類似しており、Fab部分がFab’で置き換えられている。フォーマットはそのペグ化バージョンとして提供することができる。
本明細書で用いられるFabdsFvとは、Fv内ジスルフィド結合が付加されたC末端可変領域を安定化しているFabFvのことである。フォーマットはそのペグ化バージョンとして提供することができる。
本明細書で用いられるFab−scFVは、scFvが軽又は重鎖のC末端に付加されているFab分子のことである。
本明細書で用いられるFab’−scFVは、scFvが軽又は重鎖のC末端に付加されているFab’分子のことである。
本明細書で用いられるDiFabとは、重鎖のC末端を介して連結されている2つのFab分子のことである。
本明細書で用いられるDiFab’とは、そのヒンジ領域において1つ又は複数のジスルフィド結合を介して連結されている2つのFab’分子のことである。
本明細書で用いられるように、scダイアボディは、分子が3つのリンカーを含みそのVHとVL末端のそれぞれが追加のFv対の可変領域の1つに連結されている正常なscFvを形成するように、Fv内リンカーを含むダイアボディである。
本明細書で用いられるscダイアボディ−Fcは、それぞれ1つが定常領域断片−CH2CH3のCH2ドメインのN末端に、例えば、ヒンジを介して付加されている2つのscダイアボディである。
本明細書で用いられるScFv−Fc−scFvとは、それぞれのうちの1つが−CH2CH3断片の重鎖と軽鎖の両方のN末端とC末端に付加されている4つのscFvのことである。
本明細書で用いられるscダイアボディ−CH3とは、例えば、ヒンジを介してCH3ドメインにそれぞれが連結されている2つのscダイアボディ分子のことである。
本明細書で用いられるIgG−scFvは、scFvが重鎖のそれぞれ又は軽鎖のそれぞれのC末端にある完全長抗体である。
本明細書で用いられるscFv−IgGは、scFvが重鎖のそれぞれ又は軽鎖のそれぞれのN末端にある完全長抗体である。
本明細書で用いられるV−IgGは、可変ドメインが重鎖のそれぞれ又は軽鎖のそれぞれのN末端にある完全長抗体である。
本明細書で用いられるIgG−Vは、可変ドメインが重鎖のそれぞれ又は軽鎖のそれぞれのC末端にある完全長抗体である。
DVD−Ig(デュアルVドメインIgGとしても知られる)は、それぞれの重鎖及びそれぞれの軽鎖のN末端に1つ、4つの付加的可変領域を有する完全長抗体である。
本明細書で用いられるDuobody又は「Fab−arm交換」は、2つの異なるモノクローナル抗体の定常領域(典型的にはCH3)においてマッチドした相補的な工学的に操作されたアミノ酸変化が、混合するとヘテロ二量体の形成をもたらす二重特異性IgG抗体フォーマットである。第1の抗体由来の重/軽鎖対は、残基の工学的操作の結果、第2の抗体の重:軽鎖対と会合するほうを好む。
存在する場合、本開示の二重特異性抗体複合体又は抗体分子の定常領域ドメインは、存在する場合、複合体又は抗体分子の提唱されている機能、特に、必要になる可能性のあるエフェクター機能を考慮して、選択することができる。例えば、定常領域ドメインはヒトIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMドメインであってよい。特に、抗体分子が治療的使用を意図されており抗体エフェクター機能が必要とされるときは、特に、IgG1及びIgG3アイソタイプのヒトIgG定常領域ドメインを使用することができる。代わりに、抗体分子が治療目的を意図されており抗体エフェクター機能が必要とされないときは、IgG2及びIgG4アイソタイプを使用することができる。これらの定常領域ドメインの配列変異体も使用できることは認識されるであろう。例えば、Angal et al., 1993, Molecular Immunology, 1993, 30:105-108に記載されている241位のセリンがプロリンに交換されているIgG4分子を使用することができる。したがって、抗体がIgG4抗体である実施形態では、抗体は変異S241Pを含むことができる。
抗体は種々の翻訳後修飾を受けることができることも当業者であれば理解するであろう。これらの修飾の種類及び程度は多くの場合、抗体を発現するのに使用される宿主細胞系並びに培養条件に依拠する。そのような修飾には、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペラジン形成、アスパラギン酸異性化及びアスパラギン脱アミド化の変動が含まれる場合がある。頻繁な修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシ末端塩基残基(リシン又はアルギニンなどの)の喪失である(Harris, RJ. Journal of Chromatography 705:129-134, 1995に記載されている)。したがって、抗体重鎖のC末端リシンは非存在でもよい。
本開示は、上記の1つ又は複数の二重特異性タンパク質複合体を含む組成物であって、例えば、ホモ二量体複合体の混入を最小限にする又はなしで本開示に従ったヘテロ二量体二重特異性複合体を主に含む上記組成物も提供する。
一実施形態では、組成中の融合タンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%は二重特異性タンパク質複合体形態である。
一実施形態では、組成中の融合タンパク質の少なくとも60%は二重特異性タンパク質複合体形態である。
一実施形態では、形成された複合体はさらなる精製ステップを必要とせず、したがって、組成物は未精製二重特異性複合体を含む。
一実施形態では、形成された複合体は1回の精製ステップ、例えば、カラムクロマトグラフィーを必要とする。
一実施形態では、方法は、例えば、本開示に従った融合タンパク質の発現後及び融合タンパク質を混合する前に、少なくとも1回の精製ステップをさらに含む。
一態様では、本開示は、本明細書で定義される融合タンパク質、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体、融合タンパク質又は前記二重特異性タンパク質複合体を含む組成物、マルチプレックス、アレイ、ライブラリーに関する。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は溶液又は懸濁液中にある。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は固体基材表面上に固定されている。
一実施形態では、マルチプレックスはアレイの形態、例えば、96又は384ウェルプレートなどのマイクロプレート中にある。そのようなアレイは、所望の機能性を備えた二重特異性タンパク質複合体を同定するためのスクリーニングアッセイにおいて容易に実行することが可能である。
別の実施形態では、二重特異性タンパク質複合体はビーズにコンジュゲートされている。
上で定義される融合タンパク質は、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の成分である。一態様では、本開示は本明細書に記載される融合タンパク質に関する。
追加の態様では、上で定義される2つ又はそれよりも多い融合タンパク質を含むライブラリーが提供される。
本明細書で使用される用語「ライブラリー」とは、組み合わせれば本開示に従った少なくとも2つの異なる二重特異性抗体複合体を形成することが可能な、本開示の2つ若しくはそれよりも多い二重特異性抗体複合体又は本開示の複数の融合タンパク質のことである。本明細書全体を通じて記載されるように、用語「ライブラリー」はその最も広い意味で使用され、サブライブラリーも包含することができる。
有利なことに、ライブラリーは、特定の結合対の第1の結合パートナー(X)又は第2の結合パートナー(Y)のいずれかが付加されている一定範囲の異なる融合タンパク質を含むことができる。一実施形態では、ライブラリーの一部は、それぞれが結合パートナーXに連結しているタンパク質/抗体/断片を含み、ライブラリーの残りはそれぞれが結合パートナーYに連結している同じタンパク質/抗体/断片を含む。したがって、これにより、1つの融合タンパク質に結合対の第1の結合パートナーが付加されておりもう一方の融合タンパク質に結合対の第2の結合パートナーが付加されている限り、任意の2つの融合タンパク質を容易に組み合わせて本開示の二重特異性タンパク質複合体を形成することが可能になる。
一実施形態では、本発明の二重特異性タンパク質複合体は治療応用に適しており、疾患の処置に新規の治療薬を提供することができる。したがって、追加の態様では、治療において使用するための上記の二重特異性タンパク質複合体が提供される。二重特異性タンパク質複合体は、自己免疫疾患及びがんなどの一定範囲の疾患を処置するのに適している。
逆に、Tリンパ球に対して特異的な1つの抗体又は抗体断片及びがん特異的抗原に対して特異的な別の抗体又は抗体断片を備えた本開示の二重特異性タンパク質複合体を工学的に作製することが可能である。その結果、本開示の二重特異性抗体複合体は、通常のモノクローナル抗体と比べた場合、より高い細胞傷害性潜在力を有することができて有利である。
本開示の二重特異性タンパク質複合体は、種々の自己免疫疾患において免疫及び自己免疫反応を制御するためにB細胞機能を阻害するのにも特に適している。
したがって、本開示は、本開示の二重特異性タンパク質複合体の投与を含む、患者において疾患を処置する方法にまで及ぶ。
一態様では、本開示の1つ又は複数の二重特異性タンパク質複合体を含む医薬組成物が提供される。
一実施形態では、本開示の方法のために入手される又は入手可能な融合タンパク質が提供される。
一実施形態では、本開示の方法から入手される又は入手可能な二重特異性抗体複合体が提供される。
一実施形態では、本開示に従った方法により同定される可変領域組合せを含む二重特異性又は多特異性抗体分子が提供される。
一実施形態では、本開示の方法から得られる融合タンパク質、二重特異性抗体複合体又は二重特異性/多特異性抗体分子を含む医薬組成物などの組成物が提供される。
薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤を含む、種々の異なる成分を組成物に含めることが可能である。組成物は、場合により、本発明の抗体の集団の特徴を変えることができる追加の分子を含み、それによって、例えば、抗体の機能を減少する、安定化する、遅らせる、調節する及び/又は活性化することができる。組成物は、固体又は液体形態でもよく、なかんずく、粉末、錠剤、溶液又はエアロゾルの形態でもよい。
本開示は、本発明の二重特異性タンパク質複合体を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体のうちの1つ又は複数と組み合わせて含む医薬又は診断組成物も提供する。したがって、処置において使用するための及び病態又は障害の処置用の薬物の製造のための本発明の二重特異性タンパク質複合体の使用が提供される。
病態又は障害は、例えば、感染症(ウイルス性、細菌性、真菌性及び寄生性)、感染に関連するエンドトキシンショック、関節リウマチなどの関節炎、重症喘息などの喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病(Pilonidal disease)、腹膜炎、乾癬、血管炎、外科的癒着(surgical adhesions)、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫ブドウ膜炎;多発性硬化症、ループス(全身性エリトマトーデスなどの)及びギランバレー症候群などの中枢及び末梢神経系の免疫媒介炎症性疾患;アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維性肺胞炎、グレーブス病、IgA腎炎、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫疾患、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植片拒絶、心筋梗塞並びに粥状動脈硬化などの虚血性疾患を含む心疾患、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節炎、歯周炎、低酸症(hypochlorhydia)並びに乳がん、肺がん、胃がん、卵巣がん、肝細胞がん、結腸がん、膵がん、食道がん、頭頸部がん、腎がんなどのがん、特に、腎細胞癌、前立腺がん、肝がん、メラノーマ、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸がん、及び甲状腺がん、並びにその転移型からなる群から選択することができる。
本開示は、本発明の二重特異性タンパク質複合体を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体のうちの1つ又は複数と組み合わせて含む医薬又は診断組成物も提供する。したがって、処置において及び薬物の製造において使用するための本発明の二重特異性タンパク質複合体の使用が提供される。
組成物は、通常薬学的に許容される担体を含むことになる無菌の医薬組成物の一部として普通、供給されることになる。本発明の医薬組成物は薬学的に許容されるアジュバントをさらに含むことができる。
本発明は、本発明の抗体分子又は二重特異性抗体複合体を薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体のうちの1つ又は複数と一緒に添加して混合することを含む、医薬又は診断組成物の調製のための工程も提供する。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される賦形剤」とは、本発明の組成物の所望の特徴を増強する薬学的に許容される製剤担体、溶液又は添加物のことである。賦形剤は当技術分野では周知であり、緩衝剤(例えば、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤及び炭酸水素緩衝剤)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、及びグリセロールが含まれる。溶液又は懸濁液はリポソーム又は生分解性マイクロスフェアに被包することが可能である。製剤は、一般に、無菌の製造工程を用いて実質的に無菌の形態で提供されることになる。
これには、製剤のために使用される緩衝溶媒溶液の濾過による生産及び無菌化、無菌緩衝溶媒溶液中での抗体の無菌懸濁、並びに当業者によく知られている方法による製剤の無菌容器中への分注が含まれることがある。
薬学的に許容される担体はそれ自体が、組成物を受ける個体にとって有害な抗体の産生を誘導するべきではないし、毒性を持つべきではない。適切な担体は、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸共重合体及び不活性ウイルス粒子などの大きなゆっくり代謝される巨大分子であってよい。
薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩及び硫酸塩などの鉱酸塩、又は酢酸、プロピオン酸、マロン酸及び安息香酸などの有機酸の塩を使用することが可能である。
治療組成物中の薬学的に許容される担体は、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノールなどの液体をさらに含有することができる。そのような担体であれば、患者による摂取のために、医薬組成物を、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ジェル、シロップ、スラリー及び懸濁液として処方することができる。
本発明の二重特異性タンパク質複合体は溶媒中に分散させて、例えば、溶液又は懸濁液の形態で送達することが可能である。本発明の多特異性タンパク質複合体は、適切な生理溶液、例えば、生理食塩水、薬学的に許容される溶媒又は緩衝液に懸濁することが可能である。当技術分野で公知の緩衝液は、約4.0から5.0のpHを達成するために1mlの水当たり0.05mgから0.15mgのエデト酸二ナトリウム、8.0mgから9.0mgのNaCl、0.15mgから0.25mgのポリソルベート、0.25mgから0.30mgの無水クエン酸、及び0.45mgから0.55mgのクエン酸ナトリウムを含有することができる。上記のように、懸濁液は、例えば、凍結乾燥した抗体から作ることが可能である。
薬学的に許容される担体の徹底的な検討はRemington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company, N.J. 1991)で入手可能である。
二重特異性抗体複合体(又は本開示の二重特異性/多特異性抗体分子)は医薬若しくは診断組成物中の唯一の活性成分であってもよく、又は他の抗体成分、例えば、抗TNF、抗IL−1β、抗T細胞、抗IFNγ若しくは抗LPS抗体、又はキサンチンなどの非抗体成分を含む他の活性成分を伴っていてもよい。他の適切な活性成分には、トレランスを誘導することができる抗体、例えば、抗CD3又は抗CD4抗体が含まれる。
追加の実施形態では、本開示に従った抗体、断片又は組成物は、追加の医薬活性剤、例えば、コルチコステロイド(フルチカゾンプロピオン酸エステルなどの)及び/若しくはベータ2アゴニスト(サルブタモール、サルメテロール又はホルモテロールなどの)又は細胞成長及び増殖阻害剤(ラパマイシン、シクロホスファミド(cyclophosphmide)、メトトレキサートなどの)又は代わりにCD28及び/若しくはCD40阻害剤と組み合わせて用いられる。一実施形態では、阻害剤は小分子である。別の実施形態では、阻害剤は標的に特異的な抗体である。
医薬組成物は治療的有効量の本発明の二重特異性抗体複合体(又は本開示の二重特異性/多特異性抗体分子)を適切に含む。
本明細書で使用される用語「治療的有効量」とは、標的とされた疾患若しくは状態を処置する、寛解する若しくは予防する、又は検出可能な治療若しくは予防効果を示すのに必要な治療剤の量のことである。任意の抗体では、治療的有効量は、最初は細胞培養アッセイにおいて、又は動物モデルにおいて、通常、齧歯類、ウサギ、イヌ、ブタ若しくは霊長類においてのどちらかで推定することが可能である。動物モデルを使用して適切な濃度範囲及び投与経路を決定することもできる。次に、そのような情報を使用すればヒトにおける有用な用量及び投与のための経路を決定することが可能である。
ヒト対象についての正確な治療的有効量は、疾病状態の重症度、対象の全般的健康、対象の年齢、体重及び性別、食事、投与時間及び回数、薬物組合せ(単数又は複数)、反応感受性及び治療に対するトレランス/応答に依拠することになる。この量はルーチンな実験方法により決定することが可能であり、臨床医の判断の範囲内である。一般に、治療的有効量は0.01mg/kgから50mg/kg、例えば、0.1mg/kgから20mg/kgになる。代わりに、用量は1日当たり10から100、200、300又は400mgなどの1日当たり1から500mgであってよい。医薬組成物は、所定量の本発明の活性剤を含有する単位用量形態で都合よく提示することができる。
組成物は患者に独立して投与してもよいし、又は他の薬剤、薬物若しくはホルモンと組み合わせて(例えば、同時に、逐次又は別々に)投与してもよい。
本発明の抗体分子が投与される用量は、処置される状態の性質、存在する炎症の程度及び抗体分子が予防的に使用されているのか又は既存の状態を処置するために使用されているのかどうかに依拠する。投与回数は抗体分子の半減期及びその効果の持続時間に依拠することになる。抗体分子の半減期が短い(例えば、2から10時間)場合、1日当たり1又は複数用量を与える必要がある場合もある。代わりに、抗体分子の半減期が長い(例えば、2から15日)場合、1日当たり1回、1週間当たり1回又は1若しくは2か月ごとに1回でも用量を与えるだけでよい場合もある。
本開示では、最終製剤のpHは抗体又は断片の等電点の値に類似してはいない。なぜならば、製剤のpHが7である場合、8〜9又はそれよりも上のplが適切である場合があるからである。理論に縛られたくはないが、これは最終的に最終製剤に改善された安定性をもたらすことができる、例えば、抗体又は断片は溶液のままであると考えられる。
本発明の医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)(例えば、WO98/20734参照)、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所的、舌下、膣内又は直腸経路を含むがこれらに限定されないいかなる数の経路によっても投与することができる。皮下噴射器を使用して本発明の医薬組成物を投与することもできる。
組成物の直接送達は、一般的には、皮下に、腹腔内に、静脈内に若しくは筋肉内に注射により実現される、又は組織の間質腔に送達されることになる。組成物は対象の特定の組織にも投与することが可能である。投薬処置は単回服用予定でも複数回服用予定でもよい。
生成物が注射又は注入目的である場合、油性又は水性溶媒中の懸濁液、水溶液又は乳化液の形態を帯びることができ、生成物は懸濁剤、保存剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調合剤を含有することができる。代わりに、二重特異性タンパク質複合体(又は本開示の二重特異性/多特異性抗体分子)は、適切な無菌液体と一緒に使用する前の復元のために乾燥形態でもよい。消化管を使用する経路により組成物を投与するつもりであれば、組成物は抗体を分解から保護ししかし消化管から吸収された後は二重特異性タンパク質複合体を放出する薬剤を含有する必要があることになる。
本開示に従った噴霧可能な製剤は、例えば、ホイル包みに充填された単回用量単位(例えば、密封されたプラスチック容器又はバイアル)として提供することができる。それぞれのバイアルは、容積が、例えば、2mlの溶媒/溶液緩衝液中に単位用量を含有する。
本明細書で使用される用語「変異体」とは、対応する野生型ペプチド又はタンパク質のアミノ酸又はヌクレオチド配列と比べた場合、少なくとも1つのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列変化を含有するペプチド又はタンパク質のことである。変異体は対応する野生型ペプチド又はタンパク質に少なくとも80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%配列同一性を含むことができる。しかし、変異体は、対応する野生型ペプチド又はタンパク質に実質的に類似する機能を示すのであれば、80%未満の配列同一性を含むことが可能である。
抗原には、T細胞若しくはB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害剤、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、成長因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、成長因子、ホルモン若しくは酵素などの可溶性分子又はそのイオンチャネル、エピトープ、断片及び翻訳後修飾形態が含まれる。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は1つ又は2つの細胞表面受容体特異性を含む。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は1つ又は2つのサイトカイン又はケモカイン特異性を含む。
本開示に従った方法により同定される対になった標的に対する抗体又は断片は、実験用試薬、アッセイ用試薬又は治療薬として使用するのに適したいかなるフォーマットにも組み込むことができる。
したがって、一態様では、本開示は、任意のフォーマットの対としての抗体断片又はその組合せの使用に及び、その例は上に与えられている。
本開示は、特定の抗原特異性を備えた前記新規のフォーマットを含む医薬組成物などの組成物までも及ぶ。
追加の態様では、本開示は処置におけるフォーマット及び組成物の使用を含む。
一実施形態では、本開示の二重特異性タンパク質複合体を使用すれば、対象の抗原(単数又は複数)の活性を機能的に変えることができる。例えば、二重特異性タンパク質複合体は前記抗原(単数又は複数)の活性を直接的に又は間接的に中和する、拮抗する又は刺激することができる。
本開示は、例えば、
a)結合対の第1の結合パートナー(X)に付加されている第1の抗体(A)を含む1つ又は複数の融合タンパク質(A(A)n−X)、及び
b)結合対の第2の結合パートナー(Y)に付加されている第2の抗体又は抗体断片(B)を含む1つ又は複数の融合タンパク質(B(B)m−Y)を含むキットであって、後者が第1の結合パートナーに対して特異的であり、
例えば、第1の結合パートナー(X)がペプチド又はポリペプチドであり第2の結合パートナー(Y)がそれに特異的な抗体又は抗体断片であり、
Yである第2の結合パートナーが第1の結合パートナーXに特異的であり、第2の結合パートナーが、例えば、それに特異的な抗体又は抗体断片であり、2つの結合パートナーの特異的相互作用(結合相互作用などの)が、a)とb)由来の2つの融合タンパク質を物理的に一つにまとめて二重特異性タンパク質複合体を形成するヘテロ二量体繋を形成し、
融合タンパク質(単数又は複数)が複合体化された又は非複合体形態である
上記キットにまでも及ぶ。
有利なことに、キットは本開示の二重特異性タンパク質複合体を含んでいてもよいし、又は複合体化された若しくは非複合体形態である融合タンパク質を含んでいてもよい。前者の場合では、二重特異性タンパク質複合体は便利さと使用のしやすさを提供する「枠を超える」使用の準備が整っており、後者の場合では、二重特異性タンパク質複合体は異なる融合タンパク質を組み合わせることにより使用者の要件に従って会合させることが可能である。
別の実施形態では、キットは使用のための説明書をさらに含む。
さらに別の実施形態では、キットは1つ又は複数の機能アッセイを実施するための1つ又は複数の試薬をさらに含む。
一実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質、二重特異性タンパク質複合体、マルチプレックス、格子、ライブラリー、組成物、等は実験用試薬としての使用を目的とする。
追加の態様では、ヌクレオチド配列、例えば、上で定義される融合タンパク質及び/又は二重特異性タンパク質複合体をコードするDNA配列が提供される。
一実施形態では、ヌクレオチド配列、例えば、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体をコードするDNA配列が提供される。
一実施形態では、ヌクレオチド配列、例えば、本開示に従った二重特異性又は多特異性抗体分子をコードするDNA配列が提供される。
本明細書の開示は上で定義されるヌクレオチド配列を含むベクターにも及ぶ。
本明細書で使用される用語「ベクター」とは、それがすでに連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子のことである。ベクターの例は「プラスミド」であり、これは追加のDNAセグメントをそこにライゲートすることができる環状二本鎖DNAループである。別の種類のベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができる。ある種のベクターは、それが導入されている宿主細胞内で自律複製することができる(例えば、細菌性の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は宿主細胞のゲノムに組み込むことが可能であり、そこではベクターはそれに続いて宿主ゲノムと一緒に複製される。プラスミドは最も一般的に使用されている形態のベクターであるので、本明細書では、用語「プラスミド」と「ベクター」は互換的に使用することができる。
ベクターを構築することができる一般的な方法、すなわち、トランスフェクション法及び培養法は当業者には周知である。これに関しては、"Current Protocols in Molecular Biology", 1999, F. M. Ausubel (ed), Wiley Interscience, New York and the Maniatis Manual produced by Cold Spring Harbor Publishingを参照する。
本明細書で使用される用語「選択可能なマーカー」とは、その発現によってマーカー遺伝子を含有するベクターを形質転換されている又はトランスフェクトされている細胞を同定することができるようになるタンパク質のことである。広範囲の選択マーカーが当技術分野では公知である。例えば、典型的には選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞にG418、ハイグロマイシン又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を与える。選択可能マーカーは、例えば、蛍光マーカーなどの視覚的に同定可能なマーカーでも可能である。蛍光マーカーの例には、ローダミン、FITC、TRITC、Alexa Fluors及びその種々のコンジュゲートが含まれる。
本開示の抗体をコードする1つ又は複数のDNA配列を含む1つ又は複数のクローニング又は発現ベクターを含む宿主細胞も提供される。本開示の抗体分子をコードするDNA配列の発現のためにはいかなる適切な宿主細胞/ベクター系でも使用することができる。細菌、例えば、大腸菌及び他の微生物系を使用してもよいし、又は真核生物、例えば、哺乳動物宿主細胞発現系を使用してもよい。適切な哺乳動物宿主細胞にはCHO、骨髄腫又はハイブリドーマ細胞が含まれる。
本開示は、本開示に従った融合タンパク質の産生のための工程であって、本開示のベクターを含有する宿主細胞を、本開示の分子をコードするDNAからタンパク質を発現するのに適した条件下で培養し、分子を単離することを含む上記工程も提供する。
本開示の二重特異性タンパク質複合体は診断/検出キット中で使用することができ、抗原特異性の特定の組合せを備えた二重特異性タンパク質複合体が使用される。例えば、キットは、両方が同じ細胞型上に存在している2つの抗原に対して特異的である二重特異性抗体複合体を含み、両方の抗原が首尾よく検出される場合にのみ確定診断を下すことができる。非複合体形態の2つの別々の抗体又は抗体断片よりもむしろ本開示の二重特異性抗体複合体を使用することにより、検出の特異性を大いに増強することが可能になる。
一実施形態では、二重特異性抗体複合体は固体表面に固定される。固体表面は例えば、チップ又はELISAプレートであってもよい。
試料中で第1と第2のペプチドの存在を検出するための本開示の二重特異性タンパク質複合体の使用がさらに提供され、二重特異性複合体は検出剤として使用される。
本開示の二重特異性抗体複合体は、例えば、結合した抗体−抗原複合体の検出を促進する蛍光マーカーにコンジュゲートすることができる。そのような二重特異性抗体複合体は免疫蛍光顕微鏡のために使用することが可能である。代わりに、二重特異性抗体複合体はウェスタンブロッティング又はELISAのためにも使用することができる。
一実施形態では、抗体(特に、本発明に従った抗体又は断片)を精製するための工程が提供される。
一実施形態では、本開示に従った融合タンパク質又は二重特異性タンパク質複合体を精製するための工程であって、不純物がカラム上に保持され抗体は非結合画分に維持されるように、アニオン交換クロマトグラフィーを非結合モードで実施するステップを含む、上記工程が提供される。ステップは、例えば、pH約6〜8で実施することができる。
工程は、例えば、pH約4〜5で実施される、カチオン交換クロマトグラフィーを用いる最初の捕捉ステップをさらに含むことができる。
工程は、生成物及び工程関連不純物が生成物ストリームから適切に分離されることを確実にする追加のクロマトグラフィーステップ(単数又は複数)をさらに含むことができる。
精製工程は、濃縮及びダイアフィルトレーションステップなどの1つ又は複数の限外濾過ステップも含むことができる。
上で使用される「精製された形態」は、91、92、93、94、95、96、97、98、99%w/w又はそれよりも多い純度などの少なくとも90%純度を指すことを意図されている。
本明細書の文脈では、「含む(comprising)」は「含む(including)」と解釈するべきである。
ある種の要素を含む開示の態様は、関連する要素「からなる」又は「基本的にからなる」別の実施形態に及ぶことも意図されている。
本明細書で用いられるプラスの実施形態は本開示の排除的なある種の態様の土台の役を果たすことができる。
二重特異性複合体に関係する方法の文脈における開示は、複合体それ自体に等しく当てはまり、逆もまた同じである。
(例1)
多特異性抗体複合体
図3は本開示の代表的二重特異性抗体複合体を示している。二重特異性抗体複合体は第1と第2の融合タンパク質で構成されている。
第1の融合タンパク質(A(A)n−X)は所与の抗原に対する特異性を有するFab断片(FabA)を含み、このFab断片は、Fab断片のCLドメインのC末端とscFvのVドメインに連結されているペプチドリンカーを介してscFvに結合されている。FabAはペプチドGCN4(クローン7P14P配列番号1)などのペプチドであるXにさらに結合され、XはFab断片のCHドメインのC末端に連結されている。
第2の融合タンパク質(B(B)M−Y)はFab断片を含む(所与の抗原に対する特異性を有するFabB)。しかし、第1のタンパク質と比べて、Fab断片は、Fab断片のCH1ドメインに連結されているペプチドリンカーを介してY、scFv(クローン52SR4配列番号3)に結合している。
Yは結合パートナーX、ペプチドGCN4に対して特異的であり相補的である。その結果、2つの融合タンパク質が互いに接触すると、scFvとGCN4ペプチドの間の非共有結合相互作用が起こり、それによって2つの融合タンパク質は二重特異性抗体複合体の形態で物理的に保持される。
一本鎖抗体(scFv)52SR4は、GCN4(7P14P)で免疫されたマウスの脾臓からリボソームディスプレイVL−リンカー−VH scFvライブラリーを構築しパニングすることにより導かれた(リボソームディスプレイは免疫ライブラリーから高親和性抗体をin vitroで効率的に選択し進化させる。Hanes J, Jermutus L, Weber-Bornhauser S, Bosshard HR, Pluckthun A. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95, 14130-14135)。さらなる2004年出版物は、再びランダム化されたライブラリーのリボソームディスプレイを使用する報告されている5pMまでの52SR4の親和性成熟を記載している(Directed in Vitro Evolution and Crystallographic Analysis of a Peptide-binding Single Chain Antibody Fragment (scFv) with Low Picomolar Affinity. Zhand C, Spinelli S, Luginbuhl B, Amstutz P, Cambillau C, Pluckthun A. (2004) J. Biol. Chem. 279, 18870-18877)。
GCN4ペプチドは7位と14位にプロリン残基を含むことによる酵母転写因子GCN4に由来しており、したがってGCN4(7P14P)はBergerらによる1999年出版物に記載されているscFv結合では単量体状態のままである(Antigen recognition by conformational selection. Berger C, Weber-Bornhauser S, Eggenberger Y, Hanes J, Pluckthun A, Bosshard H. R. (1999) F.E.B.S. Letters 450, 149-153)。
図4、5及び6は本発明に従った多特異性タンパク質複合体の他の例を示しており、(A(A)n−X)融合タンパク質中のA及びA並びに(B(B)m−Y)融合タンパク質中のB及びBは、所与の抗原に対する特異性を有するFab断片、scFv又はsdAbとして独立して表されている。XはペプチドGCN4(クローン7P14P配列番号1)などのペプチドとして示されており、YはscFv(クローン52SR4配列番号3)として示されている。
配列番号1:<223>CN4(7P14P)配列
配列番号2:<223>DNA encoding
配列番号3:<223>52SR4 ds scFv配列
配列番号4:<223>DNA encoding
配列番号5〜13:<223>フレキシブルペプチドリンカー
配列番号14〜21:<223>フレキシブルリンカー
配列番号22〜26:<223>フレキシブルリンカー:Xaaは天然に存在する任意のアミノ酸であり得る。
配列番号27〜54:<223>フレキシブルリンカー
配列番号55〜68:<223>リンカー
配列番号69〜70:<223>ペプチド配列
配列番号71〜74:<223>リンカー
配列番号75〜97:<223>GCN4ペプチド変異体
配列番号98〜99:<223>52SR4 scFV変異体
配列番号100〜103:<223>シグナル配列

Claims (43)

  1. 式A(A)n−X:Y−B(B)mを有する多特異性タンパク質複合体であって、
    A(A)n−Xは第1の融合タンパク質であり、
    Y−B(B)mは第2の融合タンパク質であり、
    X:Yはヘテロ二量体繋であり、
    :はXとYの間の結合相互作用であり、
    AはscFv、sdAb、Fab又はFab’断片から選択される多特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質成分であり、
    BはscFv、sdAb、Fab又はFab’断片から選択される多特異性タンパク質複合体の第2のタンパク質成分であり、
    及びBはscFv又はsdAbから独立して選択され;Xにより占められていないAのN末端に又はC末端に付加され、
    Yにより占められていないBのFab又はFab’断片の重鎖又は軽鎖のN末端に又はC末端に付加されているscFv又はsdAbであり、
    nは0又は1であり、
    mは0又は1であり、
    ただし、n又はmのうちの少なくとも1つは1であり、
    Xは抗原又は抗体若しくはその結合断片から選択され、前記XはAの又はAのN末端に又はC末端に付加されており、及び
    Yは抗原又は抗体若しくはその結合断片から選択され、前記YはBの又はBのN末端に又はC末端に付加されており、
    は、Xにより占められていないAのN末端に又はC末端に付加されており、
    は、Yにより占められていないBのN末端に又はC末端に付加されており、
    ただし、Xが抗原である場合、Yは、Xにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片であり、Yが抗原である場合、Xは、Yにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片である、
    上記多特異性タンパク質複合体。
  2. Aは重鎖及び軽鎖を有するFab又はFab’断片から選択され、
    Bは重鎖及び軽鎖を有するFab又はFab’断片から選択され、
    Xは抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第1の結合パートナーであり;前記XはAのFab又はFab’の軽鎖又は重鎖のC末端に付加されており、及び
    Yは抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第2の結合パートナーであり;前記YはBのFab又はFab’の軽鎖又は重鎖のC末端に付加されており、
    は、Xにより占められていないAのFab又はFab’断片の重鎖又は軽鎖のC末端から付加されているscFv又はsdAbであり、
    は、Yにより占められていないBのFab又はFab’断片の重鎖又は軽鎖のC末端から付加されているscFv又はsdAbであり、
    nは0又は1であり、
    mは0又は1であり、
    ただし、n又はmのうちの少なくとも1つは1であり、及び
    ただし、Xが抗原である場合、Yは、Xにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片であり、Yが抗原である場合、Xは、Yにより表される抗原に対して特異的である抗体又はその結合断片である、
    請求項1に記載の多特異性タンパク質複合体。
  3. AがFab断片である、請求項1又は請求項2に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  4. BがFab断片である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  5. Xが、Fab又はFab’断片中の重鎖のC末端に、場合によってリンカーを介して融合されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  6. Yが、Fab又はFab’断片中の重鎖のC末端に、場合によってリンカーを介して融合されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  7. XがscFv、sdAb及びペプチドから独立して選択され、ただし、Xがペプチドである場合、Yは抗体又はscFv若しくはVHHなどのその結合断片であり、XがscFv又はsdAbである場合、Yはペプチドなどの抗原である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  8. YがscFv、sdAb及びペプチドから独立して選択され、ただし、Yがペプチドである場合、Xは抗体又はscFv若しくはsdAbなどの結合断片であり、YがscFv又はsdAbである場合、Xはペプチドなどの抗原である、請求項1から7までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  9. ペプチドが5から25アミノ酸長の範囲である、請求項7又は8に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  10. XとYの間の結合親和性が5nM又はそれよりも強い、請求項1から9までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  11. XとYの間の結合親和性が、900pM又はそれよりも強い、例えば800、700、600、500、400又は300pMなどである、請求項10に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  12. X又はYが、ペプチドGCN4(配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1から38)に対して特異的であるscFv又はsdAbである、請求項1から11までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  13. scFvが52SR4(配列番号3又は配列番号3のアミノ酸1から243)である、請求項12に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  14. X又はYが、ペプチドGCN4(配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1から38)である、請求項1から13までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  15. A及び/又はBが:T細胞又はB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害剤、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、成長因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、成長因子、ホルモン、酵素、及びイオンチャネルなどの可溶性分子を含む群から独立して選択される抗原に対して特異的である、請求項1から14までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  16. 及び/又はBが:T細胞又はB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害剤、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、成長因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、成長因子、ホルモン、酵素、及びイオンチャネルなどの可溶性分子を含む群から独立して選択される抗原に対して特異的である、請求項1から15までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  17. A、A、B又はBのうちの少なくとも1つが細胞マーカーに対して特異的である、請求項1から16までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  18. 細胞マーカーがB細胞マーカー及びT細胞マーカーから選択される、請求項17に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体。
  19. 請求項1から18までのいずれか一項に定義される1つ又は複数の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体を含む組成物。
  20. 治療において使用するための請求項1から18までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体又は請求項19に記載の組成物。
  21. 請求項1から18までのいずれか一項に記載の二重特異性などの多特異性タンパク質複合体又は請求項19に記載の組成物において相乗的生物学的機能を検出する方法であって、1つ又は複数の機能アッセイにおいて二重特異性などの多特異性タンパク質複合体を試験するステップを含む上記方法。
  22. 請求項1から18までのいずれか一項で定義される式A(A)n−X:Y−B(B)mのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性などの多特異性タンパク質複合体又は請求項19に記載の組成物における相乗的生物学的機能を検出するための方法であって、
    (i)少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体を含むマルチプレックスの一部又はすべてについての機能アッセイにおける活性を試験するステップと;
    (ii)機能アッセイからの読み出し情報(単数又は複数)を解析してヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を検出するステップと
    を含む上記方法。
  23. マルチプレックスが格子の形態である、請求項22に記載の方法。
  24. マルチプレックスが少なくとも2つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体を含む、請求項22又は請求項23に記載の方法。
  25. ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体(単数又は複数)がFc領域を含有しない、請求項22から24までのいずれか一項に記載の方法。
  26. AがFab断片、Fab’断片、sdAb、又はscFvから独立して選択される、請求項22から25までのいずれか一項に記載の方法。
  27. AがFab又はFab’断片、好ましくはFabである、請求項24に記載の方法。
  28. Bが抗体、Fab断片、Fab’断片、sdAb、又はscFvから独立して選択される、請求項22から27までのいずれか一項に記載の方法。
  29. BがFab又はFab’断片、好ましくはFab断片である、請求項28に記載の方法。
  30. Xが抗体、Fab又はFab’断片中の重鎖のC末端にリンカーを介して融合されている、請求項22から29までのいずれか一項に記載の方法。
  31. Yが抗体、Fab又はFab’断片中の重鎖のC末端にリンカーを介して融合されている、請求項22から30までのいずれか一項に記載の方法。
  32. XがscFv、sdAb及びペプチドから独立して選択され、ただし、Xがペプチドである場合、Yは抗体又はscFv若しくはsdAbなどのその結合断片であり、XがscFv又はsdAbである場合、Yはペプチドなどの抗原である、請求項22から31までのいずれか一項に記載の方法。
  33. YがscFv、sdAb及びペプチドから独立して選択され、ただし、Yがペプチドである場合、Xは抗体又はscFv若しくはsdAbなどのその結合断片であり、YがscFv又はsdAbである場合、Xはペプチドなどの抗原である、請求項22から31までのいずれか一項に記載の方法。
  34. ペプチドが5から25アミノ酸長の範囲である、請求項32又は33に記載の方法。
  35. XとYの間の結合親和性が5nM又はそれよりも強い、請求項22から33までのいずれか一項に記載の方法。
  36. XとYの間の結合親和性が900pM又はそれよりも強い、例えば800、700、600、500、400又は300pMなどである、請求項35に記載の方法。
  37. X又はYが、ペプチドGCN4(配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1から38)に対して特異的であるscFv又はsdAbである、請求項22から36までのいずれか一項に記載の方法。
  38. scFvが52SR4(配列番号3又は配列番号3のアミノ酸1から243)である、請求項37に記載の方法。
  39. X又はYが、ペプチドGCN4(配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1から38)である、請求項22から38までのいずれか一項に記載の方法。
  40. A及び/又はBが:T細胞又はB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害剤、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、成長因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、成長因子、ホルモン若しくは酵素及びイオンチャネルなどの可溶性分子を含む群から独立して選択される抗原に対して特異的である、請求項22から39までのいずれか一項に記載の方法。
  41. 及び/又はBが:T細胞又はB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害剤、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、成長因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、成長因子、ホルモン若しくは酵素及びイオンチャネルなどの可溶性分子を含む群から選択される抗原に対して特異的である、請求項22から40までのいずれか一項に記載の方法。
  42. ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体が試験に先立って精製されない、請求項22から41までのいずれか一項に記載の方法。
  43. A(A)−X及びY−B(B)融合タンパク質が一過性に発現され、1対1モル比で混合されてヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体をそれぞれ生成する前に精製されない、請求項42に記載の方法。
JP2018528782A 2015-12-03 2016-12-01 多特異性抗体 Pending JP2019501887A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB1521393.7 2015-12-03
GBGB1521393.7A GB201521393D0 (en) 2015-12-03 2015-12-03 Antibodies
PCT/EP2016/079435 WO2017093406A1 (en) 2015-12-03 2016-12-01 Multispecific antibodies

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019501887A true JP2019501887A (ja) 2019-01-24

Family

ID=55234389

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018528782A Pending JP2019501887A (ja) 2015-12-03 2016-12-01 多特異性抗体

Country Status (9)

Country Link
US (1) US10774157B2 (ja)
EP (1) EP3383899A1 (ja)
JP (1) JP2019501887A (ja)
CN (1) CN108473556A (ja)
BR (1) BR112018010933A2 (ja)
CA (1) CA3005496A1 (ja)
EA (1) EA201891293A1 (ja)
GB (1) GB201521393D0 (ja)
WO (1) WO2017093406A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019510732A (ja) * 2015-12-03 2019-04-18 ユーシービー バイオファルマ エスピーアールエル 多特異性抗体

Families Citing this family (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB201409558D0 (en) 2014-05-29 2014-07-16 Ucb Biopharma Sprl Method
GB201412659D0 (en) 2014-07-16 2014-08-27 Ucb Biopharma Sprl Molecules
GB201412658D0 (en) 2014-07-16 2014-08-27 Ucb Biopharma Sprl Molecules
GB201601077D0 (en) 2016-01-20 2016-03-02 Ucb Biopharma Sprl Antibody molecule
GB201601075D0 (en) 2016-01-20 2016-03-02 Ucb Biopharma Sprl Antibodies molecules
GB201601073D0 (en) 2016-01-20 2016-03-02 Ucb Biopharma Sprl Antibodies
GB201521383D0 (en) 2015-12-03 2016-01-20 Ucb Biopharma Sprl And Ucb Celltech Method
GB201521391D0 (en) 2015-12-03 2016-01-20 Ucb Biopharma Sprl Antibodies
GB201521389D0 (en) 2015-12-03 2016-01-20 Ucb Biopharma Sprl Method
GB201521393D0 (en) 2015-12-03 2016-01-20 Ucb Biopharma Sprl Antibodies
GB201817311D0 (en) 2018-10-24 2018-12-05 Ucb Biopharma Sprl Antibodies
GB201817309D0 (en) 2018-10-24 2018-12-05 Ucb Biopharma Sprl Antibodies
US20220235133A1 (en) * 2019-06-24 2022-07-28 Nanjing GenScript Biotech Co., Ltd. Monoclonal antibody-cytokine fusion protein dimer and application thereof
CN110669137B (zh) * 2019-10-24 2021-07-16 高新 一种多特异性抗体及其制备方法和用途
US20230096030A1 (en) 2020-02-13 2023-03-30 UCB Biopharma SRL Bispecific antibodies against cd9 and cd7
US20230125234A1 (en) 2020-02-13 2023-04-27 UCB Biopharma SRL Anti cd44-ctla4 bispecific antibodies
EP4103608A1 (en) 2020-02-13 2022-12-21 UCB Biopharma SRL Bispecific antibodies against cd9 and cd137
EP4103611B1 (en) 2020-02-13 2024-03-27 UCB Biopharma SRL Bispecific antibodies binding hvem and cd9
US20230151109A1 (en) 2020-02-13 2023-05-18 UCB Biopharma SRL Bispecific antibodies against cd9
US11179473B2 (en) 2020-02-21 2021-11-23 Silverback Therapeutics, Inc. Nectin-4 antibody conjugates and uses thereof
AU2021300362A1 (en) 2020-07-01 2023-02-23 ARS Pharmaceuticals, Inc. Anti-ASGR1 antibody conjugates and uses thereof

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07501698A (ja) * 1991-11-29 1995-02-23 プロテイン デザイン ラブス,インコーポレイティド 二価特異性ヘテロ二量体
JP2005506064A (ja) * 2001-08-01 2005-03-03 アブマクシス,インコーポレイティド キメラヘテロ多量体の生成のための組成物及び方法
JP2014512343A (ja) * 2011-03-03 2014-05-22 ザイムワークス,インコーポレイテッド 多価ヘテロマルチマー足場設計及び構築物
WO2015057834A1 (en) * 2013-10-15 2015-04-23 The California Institute For Biomedical Research Peptidic chimeric antigen receptor t cell switches and uses thereof

Family Cites Families (114)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4741900A (en) 1982-11-16 1988-05-03 Cytogen Corporation Antibody-metal ion complexes
GB8422238D0 (en) 1984-09-03 1984-10-10 Neuberger M S Chimeric proteins
DK336987D0 (da) 1987-07-01 1987-07-01 Novo Industri As Immobiliseringsmetode
GB8719042D0 (en) 1987-08-12 1987-09-16 Parker D Conjugate compounds
US6010902A (en) 1988-04-04 2000-01-04 Bristol-Meyers Squibb Company Antibody heteroconjugates and bispecific antibodies for use in regulation of lymphocyte activity
DE768377T1 (de) 1988-09-02 1998-01-02 Dyax Corp Herstellung und Auswahl von Rekombinantproteinen mit verschiedenen Bindestellen
US5223409A (en) 1988-09-02 1993-06-29 Protein Engineering Corp. Directed evolution of novel binding proteins
GB8823869D0 (en) 1988-10-12 1988-11-16 Medical Res Council Production of antibodies
US5530101A (en) 1988-12-28 1996-06-25 Protein Design Labs, Inc. Humanized immunoglobulins
GB8907617D0 (en) 1989-04-05 1989-05-17 Celltech Ltd Drug delivery system
GB8928874D0 (en) 1989-12-21 1990-02-28 Celltech Ltd Humanised antibodies
AU7247191A (en) 1990-01-11 1991-08-05 Molecular Affinities Corporation Production of antibodies using gene libraries
US5780225A (en) 1990-01-12 1998-07-14 Stratagene Method for generating libaries of antibody genes comprising amplification of diverse antibody DNAs and methods for using these libraries for the production of diverse antigen combining molecules
DE69120146T2 (de) 1990-01-12 1996-12-12 Cell Genesys Inc Erzeugung xenogener antikörper
US5427908A (en) 1990-05-01 1995-06-27 Affymax Technologies N.V. Recombinant library screening methods
GB9015198D0 (en) 1990-07-10 1990-08-29 Brien Caroline J O Binding substance
CA2090126C (en) 1990-08-02 2002-10-22 John W. Schrader Methods for the production of proteins with a desired function
ES2246502T3 (es) 1990-08-29 2006-02-16 Genpharm International, Inc. Animales no humanos transgenicos capaces de producir anticuerpos heterologos.
US5661016A (en) 1990-08-29 1997-08-26 Genpharm International Inc. Transgenic non-human animals capable of producing heterologous antibodies of various isotypes
US5633425A (en) 1990-08-29 1997-05-27 Genpharm International, Inc. Transgenic non-human animals capable of producing heterologous antibodies
US5625126A (en) 1990-08-29 1997-04-29 Genpharm International, Inc. Transgenic non-human animals for producing heterologous antibodies
US5770429A (en) 1990-08-29 1998-06-23 Genpharm International, Inc. Transgenic non-human animals capable of producing heterologous antibodies
US5545806A (en) 1990-08-29 1996-08-13 Genpharm International, Inc. Ransgenic non-human animals for producing heterologous antibodies
US5698426A (en) 1990-09-28 1997-12-16 Ixsys, Incorporated Surface expression libraries of heteromeric receptors
ES2113940T3 (es) 1990-12-03 1998-05-16 Genentech Inc Metodo de enriquecimiento para variantes de proteinas con propiedades de union alteradas.
DE69233750D1 (de) 1991-04-10 2009-01-02 Scripps Research Inst Bibliotheken heterodimerer Rezeptoren mittels Phagemiden
GB9112536D0 (en) 1991-06-11 1991-07-31 Celltech Ltd Chemical compounds
GB9120467D0 (en) 1991-09-26 1991-11-06 Celltech Ltd Anti-hmfg antibodies and process for their production
DK1024191T3 (da) 1991-12-02 2008-12-08 Medical Res Council Fremstilling af autoantistoffer fremvist på fag-overflader ud fra antistofsegmentbiblioteker
US5733743A (en) 1992-03-24 1998-03-31 Cambridge Antibody Technology Limited Methods for producing members of specific binding pairs
US6129914A (en) 1992-03-27 2000-10-10 Protein Design Labs, Inc. Bispecific antibody effective to treat B-cell lymphoma and cell line
US6106834A (en) 1993-06-02 2000-08-22 Research Corporation Technologies, Inc. Use of anti-CD45 leukocyte antigen antibodies for immunomodulation
UA40577C2 (uk) 1993-08-02 2001-08-15 Мерк Патент Гмбх Біспецифічна молекула, що використовується для лізису пухлинних клітин, спосіб її одержання, моноклональне антитіло (варіанти), фармацевтичний препарат, фармацевтичний набір (варіанти), спосіб видалення пухлинних клітин
EP0733070A1 (en) 1993-12-08 1996-09-25 Genzyme Corporation Process for generating specific antibodies
DK0744958T3 (da) 1994-01-31 2003-10-20 Univ Boston Polyklonale antistofbiblioteker
US5516637A (en) 1994-06-10 1996-05-14 Dade International Inc. Method involving display of protein binding pairs on the surface of bacterial pili and bacteriophage
US5731168A (en) 1995-03-01 1998-03-24 Genentech, Inc. Method for making heteromultimeric polypeptides
JP2978435B2 (ja) 1996-01-24 1999-11-15 チッソ株式会社 アクリロキシプロピルシランの製造方法
US5980898A (en) 1996-11-14 1999-11-09 The United States Of America As Represented By The U.S. Army Medical Research & Material Command Adjuvant for transcutaneous immunization
US20020062010A1 (en) 1997-05-02 2002-05-23 Genentech, Inc. Method for making multispecific antibodies having heteromultimeric and common components
EP1049787B1 (en) 1998-01-23 2004-11-24 Vlaams Interuniversitair Instituut voor Biotechnologie Multipurpose antibody derivatives
DE19952956A1 (de) 1999-11-03 2001-05-17 Acgt Progenomics Ag Verfahren zur Verbindung von molekularen Substanzen
EP2392596A3 (en) 1999-12-28 2013-11-27 ESBATech, an Alcon Biomedical Research Unit LLC Intrabodies with defined framework that is stable in a reducing environment and applications thereof
US20050069538A1 (en) 2003-09-18 2005-03-31 Gregorio Aversa Therapeutic binding molecules
GB0103389D0 (en) 2001-02-12 2001-03-28 Novartis Ag Organic compounds
US6908963B2 (en) 2001-10-09 2005-06-21 Nektar Therapeutics Al, Corporation Thioester polymer derivatives and method of modifying the N-terminus of a polypeptide therewith
CA2467597A1 (en) 2001-12-03 2003-06-12 Abgenix, Inc. Anti-cd45rb antibodies for use in treating autoimmune disease and transplant rejection
JP2005526501A (ja) 2002-02-21 2005-09-08 デューク・ユニヴァーシティ 自己免疫疾患用の試薬および治療方法
US8658773B2 (en) 2011-05-02 2014-02-25 Immunomedics, Inc. Ultrafiltration concentration of allotype selected antibodies for small-volume administration
GB0210121D0 (en) 2002-05-02 2002-06-12 Celltech R&D Ltd Biological products
GB0225279D0 (en) 2002-10-30 2002-12-11 Celltech R&D Ltd Biological products
JP4603894B2 (ja) 2002-12-03 2010-12-22 ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム 抗体産生細胞を同定するためのアッセイ
GB0305702D0 (en) 2003-03-12 2003-04-16 Univ Birmingham Bispecific antibodies
GB0312481D0 (en) 2003-05-30 2003-07-09 Celltech R&D Ltd Antibodies
US20050048578A1 (en) 2003-06-26 2005-03-03 Epitomics, Inc. Methods of screening for monoclonal antibodies with desirable activity
GB0315450D0 (en) 2003-07-01 2003-08-06 Celltech R&D Ltd Biological products
WO2005003169A2 (en) 2003-07-01 2005-01-13 Celltech R & D Limited Modified antibody fab fragments
GB0315457D0 (en) 2003-07-01 2003-08-06 Celltech R&D Ltd Biological products
CA2533830A1 (en) 2003-08-07 2005-02-24 Epitomics, Inc. Methods for humanizing rabbit monoclonal antibodies
JP4762142B2 (ja) 2003-09-18 2011-08-31 ノバルティス アーゲー 治療用結合分子
GB0411186D0 (en) 2004-05-19 2004-06-23 Celltech R&D Ltd Biological products
CA2569240A1 (en) 2004-06-01 2005-12-15 Domantis Limited Drug fusion comprising a polypeptide drug and an immunoglobulin heavy chain variable domain specific for serum albumin
GB0412181D0 (en) 2004-06-01 2004-06-30 Celltech R&D Ltd Biological products
US20060018897A1 (en) 2004-06-28 2006-01-26 Transtarget Inc. Bispecific antibodies
ATE459648T1 (de) 2005-05-11 2010-03-15 Philogen Spa Fusionsprotein von antikörper l19 gegen fibronectin ed-b und interleukin 12
US7745393B2 (en) 2005-11-03 2010-06-29 Jumi Shin Minimalist bZIP proteins and uses thereof
GB0523954D0 (en) 2005-11-24 2006-01-04 Ucb Celltech Bioassays
GB0601513D0 (en) 2006-01-25 2006-03-08 Univ Erasmus Medical Ct Binding molecules 3
EP1986689A4 (en) 2006-01-27 2009-09-02 Cellerant Therapeutics Inc COMPOSITIONS AND METHODS FOR TREATING HEMATOLOGICAL PROLIFERATIVE DISORDERS
JP2009539413A (ja) 2006-06-12 2009-11-19 トゥルビオン・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド エフェクター機能を有する単鎖多価結合タンパク質
MX2009005776A (es) 2006-12-01 2009-06-10 Medarex Inc Anticuerpos humanos que se enlazan al cd 22 y sus usos.
EP2626372B1 (en) 2007-03-29 2018-03-21 Genmab A/S Bispecific antibodies and methods for production thereof
JP5469600B2 (ja) 2007-07-16 2014-04-16 ジェネンテック, インコーポレイテッド 抗CD79b抗体及びイムノコンジュゲートとその使用方法
EP2195341B1 (en) 2007-09-26 2017-03-22 UCB Biopharma SPRL Dual specificity antibody fusions
SI2657253T1 (sl) 2008-01-31 2017-10-30 Genentech, Inc. Protitelesa proti CD79b in imunokonjugati in postopki za uporabo
HUE033438T2 (en) 2008-09-26 2017-11-28 Ucb Biopharma Sprl Biological products
CN102481348A (zh) 2009-08-31 2012-05-30 Ibc药品公司 双特异性免疫细胞因子停靠-和-加锁(dnl)复合物及其治疗性用途
GB0920127D0 (en) 2009-11-17 2009-12-30 Ucb Pharma Sa Antibodies
GB201000467D0 (en) 2010-01-12 2010-02-24 Ucb Pharma Sa Antibodies
WO2011130305A2 (en) 2010-04-12 2011-10-20 Sorrento Therapeutics Inc. Method for displaying antibodies
US9150663B2 (en) 2010-04-20 2015-10-06 Genmab A/S Heterodimeric antibody Fc-containing proteins and methods for production thereof
CN107441480A (zh) 2010-06-30 2017-12-08 卡姆普根有限公司 多肽及其作为用于治疗多发性硬化、类风湿性关节炎以及其他自身免疫病症的药物的用途
MX338953B (es) 2010-08-16 2016-05-06 Novimmune Sa Metodos para la generacion de anticuerpos multiespecificos y multivalentes.
EP2714738B1 (en) 2011-05-24 2018-10-10 Zyngenia, Inc. Multivalent and monovalent multispecific complexes and their uses
CN104114579B (zh) 2011-10-27 2020-01-24 健玛保 异二聚体蛋白的生成
EP2783214A2 (en) 2011-11-23 2014-10-01 The Board of Regents of The University of Texas System Proteomic identification of antibodies
CA2853138A1 (en) 2011-12-05 2013-06-13 Immunomedics, Inc. Therapeutic use of anti-cd22 antibodies for inducing trogocytosis
US20140212425A1 (en) 2011-12-05 2014-07-31 Immunomedics, Inc. Therapeutic use of anti-cd22 antibodies for inducing trogocytosis
BR112014029888A2 (pt) * 2012-06-27 2020-05-12 Hoffmann La Roche Métodos de produção de um anticorpo, de determinação de uma combinação de sítios de ligação e de tratamento de um indivíduo com câncer, formulação farmacêutica, anticorpo e uso de um anticorpo
SG11201500096YA (en) 2012-07-09 2015-02-27 Genentech Inc Immunoconjugates comprising anti - cd79b antibodies
TW201408698A (zh) 2012-07-09 2014-03-01 Genentech Inc 抗cd79b抗體及免疫結合物
CA2874904A1 (en) 2012-07-09 2014-01-16 Genentech, Inc. Immunoconjugates comprising anti-cd22 antibodies
SG11201500087VA (en) 2012-07-09 2015-02-27 Genentech Inc Immunoconjugates comprising anti-cd22 antibodies
US9682143B2 (en) 2012-08-14 2017-06-20 Ibc Pharmaceuticals, Inc. Combination therapy for inducing immune response to disease
KR101963231B1 (ko) 2012-09-11 2019-03-28 삼성전자주식회사 이중특이 항체의 제작을 위한 단백질 복합체 및 이를 이용한 이중특이 항체 제조 방법
US20150299315A1 (en) 2012-10-22 2015-10-22 Becton, Dickinson And Company Non-b-lineage cells capable of producing antibody
GB201223276D0 (en) 2012-12-21 2013-02-06 Ucb Pharma Sa Antibodies and methods of producing same
RU2015140915A (ru) 2013-02-26 2017-04-03 Роше Гликарт Аг Биспецифические антигенсвязывающие молекулы, активирующие т-клетки
UA116479C2 (uk) 2013-08-09 2018-03-26 Макродженікс, Інк. БІСПЕЦИФІЧНЕ МОНОВАЛЕНТНЕ Fc-ДІАТІЛО, ЯКЕ ОДНОЧАСНО ЗВ'ЯЗУЄ CD32B I CD79b, ТА ЙОГО ЗАСТОСУВАННЯ
CN106029098A (zh) 2014-02-25 2016-10-12 免疫医疗公司 人源化rfb4抗cd22抗体
GB201409558D0 (en) * 2014-05-29 2014-07-16 Ucb Biopharma Sprl Method
GB201411320D0 (en) 2014-06-25 2014-08-06 Ucb Biopharma Sprl Antibody construct
GB201411420D0 (en) 2014-06-26 2014-08-13 Ucb Biopharma Sprl Antibody constructs
GB201412659D0 (en) * 2014-07-16 2014-08-27 Ucb Biopharma Sprl Molecules
GB201412658D0 (en) 2014-07-16 2014-08-27 Ucb Biopharma Sprl Molecules
US11091546B2 (en) 2015-04-15 2021-08-17 The Scripps Research Institute Optimized PNE-based chimeric receptor T cell switches and uses thereof
GB201601073D0 (en) * 2016-01-20 2016-03-02 Ucb Biopharma Sprl Antibodies
GB201601075D0 (en) * 2016-01-20 2016-03-02 Ucb Biopharma Sprl Antibodies molecules
GB201601077D0 (en) * 2016-01-20 2016-03-02 Ucb Biopharma Sprl Antibody molecule
GB201521382D0 (en) * 2015-12-03 2016-01-20 Ucb Biopharma Sprl Antibodies
GB201521383D0 (en) 2015-12-03 2016-01-20 Ucb Biopharma Sprl And Ucb Celltech Method
GB201521391D0 (en) 2015-12-03 2016-01-20 Ucb Biopharma Sprl Antibodies
GB201521393D0 (en) 2015-12-03 2016-01-20 Ucb Biopharma Sprl Antibodies
GB201521389D0 (en) 2015-12-03 2016-01-20 Ucb Biopharma Sprl Method

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07501698A (ja) * 1991-11-29 1995-02-23 プロテイン デザイン ラブス,インコーポレイティド 二価特異性ヘテロ二量体
JP2005506064A (ja) * 2001-08-01 2005-03-03 アブマクシス,インコーポレイティド キメラヘテロ多量体の生成のための組成物及び方法
JP2014512343A (ja) * 2011-03-03 2014-05-22 ザイムワークス,インコーポレイテッド 多価ヘテロマルチマー足場設計及び構築物
WO2015057834A1 (en) * 2013-10-15 2015-04-23 The California Institute For Biomedical Research Peptidic chimeric antigen receptor t cell switches and uses thereof

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CANCER RESEARCH, vol. 75, no. 1, JPN6020051313, 2015, pages 1 - 12, ISSN: 0004590203 *
LEUKEMIA, vol. Vol.28, p.59-69, Supplementary informati, JPN6020043202, 2014, ISSN: 0004590204 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019510732A (ja) * 2015-12-03 2019-04-18 ユーシービー バイオファルマ エスピーアールエル 多特異性抗体

Also Published As

Publication number Publication date
BR112018010933A2 (pt) 2018-12-04
US10774157B2 (en) 2020-09-15
EP3383899A1 (en) 2018-10-10
US20180334514A1 (en) 2018-11-22
GB201521393D0 (en) 2016-01-20
WO2017093406A1 (en) 2017-06-08
EA201891293A1 (ru) 2018-11-30
CN108473556A (zh) 2018-08-31
CA3005496A1 (en) 2017-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10774157B2 (en) Multispecific antibodies
US10618979B2 (en) Multispecific antibodies
JP6628741B2 (ja) ハイスループットスクリーニングにおいて使用するのに適した新しい二重特異性フォーマット
US11286312B2 (en) Multispecific antibodies
US10829566B2 (en) Method employing bispecific antibodies
RU2780436C2 (ru) Новый биспецифический формат, подходящий для применения в скрининге с высокой пропускной способностью

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210907

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220401