JP2019219672A - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な原料と安価な製造装置によって、十分な反射率特性を有する偏光板を提供する。【解決手段】透明基板と、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部と、を備えるワイヤグリッド構造を有する偏光板において、格子状凸部を構成する吸収層に、真性半導体に微量の特定元素を加えた不純物半導体を含有させる。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板およびその製造方法に関する。
従来、偏光素子として、使用帯域の光の波長より小さいピッチの金属格子を基板上に形成し、当該金属格子上に誘電層および無機微粒子層を形成することにより、金属格子から反射した光を干渉効果により打ち消すとともに、もう一方の偏光成分を透過させる吸収型のワイヤグリッド型偏光素子が提案されている。
このような偏光素子に対しては、近年の液晶プロジェクタの高輝度化や高精細化に伴い、ますますの反射率低下の要求が高まっている。反射率が高い場合には、液晶パネルの誤作動の原因となり、また、迷光により画質の劣化を引き起こす。
ここで、ワイヤグリッド型偏光素子の反射率特性は、格子構造を構成する、層間の干渉や、層内の吸収によって決定づけられる。そして、要求に応じた材料を、格子構造における吸収層等に用いることによって、反射率を制御する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載されている通り、格子状凸部は様々材料によって構成できる可能性がある。そして、安価な材料や安価な製造コストで低反射率の偏光素子が得られれば、近年の業界の要求をより満足させることができる。
特表2010−530994号公報
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価な原料と安価な製造装置によって、十分な反射率特性を有する偏光板を提供することにある。
本発明者らは、透明基板と、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部と、を備えるワイヤグリッド構造を有する偏光板において、格子状凸部を構成する吸収層に、真性半導体に微量の特定元素を加えた不純物半導体を含有させれば、安価な原料と安価な製造装置によって、十分な反射率特性を有する偏光板が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、透明基板と、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで前記透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部と、を備え、前記格子状凸部は、少なくとも、反射層と、吸収層と、を含み、前記吸収層は、不純物半導体を含む偏光板である。
前記不純物半導体は、p型半導体であってもよい。
前記不純物半導体は、5価元素を含有していてもよい。
前記不純物半導体は、n型半導体であってもよい。
前記不純物半導体は、3価元素を含有していてもよい。
前記透明基板および前記格子状凸部の端面は、前記透明基板および前記格子状凸部の構成材料が露出した露出面であってもよい。
前記露出面に、電極が備えられていてもよい。
また別の本発明は、上記のいずれかの偏光板を備える光学機器である。
また別の本発明は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板の製造方法であって、透明基板の片面に反射層を形成する反射層形成工程と、前記反射層の前記透明基板とは反対面に吸収層を形成する吸収層形成工程と、を有し、前記吸収層形成工程は、不純物半導体からなるターゲットをスパッタリングして吸収層を形成する、偏光板の製造方法である。
前記不純物半導体は、p型半導体であってもよい。
前記不純物半導体は、3価元素を含有していてもよい。
前記不純物半導体は、n型半導体であってもよい。
前記不純物半導体は、5価元素を含有していてもよい。
本発明によれば、安価な原料と安価な製造装置によって、十分な反射率特性を有する偏光板を提供できる。
偏光板を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る偏光板の上面図である。 実施例1の偏光板の偏光光学特性を示すグラフである。 比較例1の偏光板の偏光光学特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、透明基板と、使用帯域の光の波長よりも短いピッチ(周期)で透明基板上に配列されて所定方向に延在する格子状凸部と、を備える。また、この格子状凸部は、少なくとも、反射層と、吸収層と、を含み、吸収層は、不純物半導体を含む。なお、本発明の偏光板は、本発明の効果を発現する限りにおいて、透明基板、反射層、吸収層、以外の層が存在していてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る偏光板10を示す断面模式図である。図1に示すように、偏光板10は、透明基板1と、透明基板1の一方の面上に使用帯域の光の波長よりも短いピッチで配列された格子状凸部5と、を備える。格子状凸部5は、透明基板1側から順に、反射層2と、ギャップ層3と、吸収層4と、を有する。すなわち、偏光板10は、反射層2と、ギャップ層3と、吸収層4が透明基板1側からこの順に積層されて形成された格子状凸部5が、透明基板1上に一次元格子状に配列されたワイヤグリッド構造を有する。
ここで、図1に示すように格子状凸部5の延在する方向(所定方向)を、Y軸方向と称する。また、Y軸方向に直交し、透明基板1の主面に沿って格子状凸部5が配列する方向を、X軸方向と称する。この場合、偏光板10に入射する光は、透明基板1の格子状凸部5が形成されている側において、好適にはX軸方向およびY軸方向に直交する方向から入射する。
ワイヤグリッド構造を有する偏光板は、透過、反射、干渉および光学異方性による偏光波の選択的光吸収の4つの作用を利用することで、Y軸方向に平行な電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を減衰させ、X軸方向に平行な電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))を透過させる。従って、図1においては、Y軸方向が偏光板の吸収軸の方向であり、X軸方向が偏光板の透過軸の方向である。
図1に示される偏光板10の格子状凸部5が形成された側から入射した光は、吸収層4およびギャップ層3を通過する際に一部が吸収されて減衰する。吸収層4およびギャップ層3を透過した光のうち、偏光波(TM波(P波))は高い透過率で反射層2を透過する。一方、吸収層4およびギャップ層3を透過した光のうち、偏光波(TE波(S波))は反射層2で反射される。反射層2で反射されたTE波は、吸収層4およびギャップ層3を通過する際に一部は吸収され、一部は反射して反射層2に戻る。また、反射層2で反射されたTE波は、吸収層4およびギャップ層3を通過する際に干渉して減衰する。以上のようにTE波の選択的減衰を行うことにより、偏光板10は、所望の偏光特性を発現することができる。
本発明の偏光板における格子状凸部は、図1に示すように各一次元格子の延在する方向(所定方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、反射層2と、ギャップ層3と、吸収層4と、を有する。
ここで本明細書における寸法につき、図1を用いて説明する。高さHとは、図1における透明基板1の主面に垂直な方向の寸法を意味する。幅Wとは、格子状凸部5の延びる方向に沿うY軸方向から見たときに、高さ方向に直交するX軸方向の寸法を意味する。また、偏光板10を格子状凸部5の延びる方向に沿うY軸方向から見たときに、格子状凸部5のX軸方向の繰り返し間隔を、ピッチPと称する。
本発明の偏光板において、格子状凸部のピッチPは、使用帯域の光の波長よりも短ければ特に制限されない。作製の容易性および安定性の観点から、格子状凸部のピッチPは、例えば、100nm〜200nmが好ましい。この格子状凸部のピッチPは、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡で観察することにより測定することができる。例えば、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、任意の4箇所についてピッチPを測定し、その算術平均値を格子状凸部のピッチPとすることができる。以下、この測定方法を電子顕微鏡法と称する。
本発明の偏光板は、格子状凸部に含まれる吸収層を、不純物半導体を含むものとすることを特徴とする。これにより、安価な原料と安価な製造装置によって、十分な反射率特性を有する偏光板を実現することができる。
(透明基板)
透明基板(図1における透明基板1)としては、使用帯域の光に対して透光性を示す基板であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。「使用帯域の光に対して透光性を示す」とは、使用帯域の光の透過率が100%であることを意味するものではなく、偏光板としての機能を保持可能な透光性を示せばよい。使用帯域の光としては、例えば、波長380nm〜810nm程度の可視光が挙げられる。
透明基板の主面形状は特に制限されず、目的に応じた形状(例えば、矩形状)が適宜選択される。透明基板の平均厚みは、例えば、0.3mm〜1mmが好ましい。
透明基板の構成材料としては、屈折率が1.1〜2.2の材料が好ましく、ガラス、水晶、サファイア等が挙げられる。コストおよび透光率の観点からは、ガラス、特に石英ガラス(屈折率1.46)やソーダ石灰ガラス(屈折率1.51)を用いることが好ましい。ガラス材料の成分組成は特に制限されず、例えば光学ガラスとして広く流通しているケイ酸塩ガラス等の安価なガラス材料を用いることができる。
また、熱伝導性の観点からは、熱伝導性が高い水晶やサファイアを用いることが好ましい。これにより、強い光に対して高い耐光性が得られ、発熱量の多いプロジェクタの光学エンジン用の偏光板として好ましく用いられる。
なお、水晶等の光学活性の結晶からなる透明基板を用いる場合には、結晶の光学軸に対して平行方向または垂直方向に格子状凸部を配置することが好ましい。これにより、優れた光学特性が得られる。ここで、光学軸とは、その方向に進む光のO(常光線)とE(異常光線)の屈折率の差が最小となる方向軸である。
(反射層)
反射層(図1における反射層2)は、透明基板の片側面に形成され、吸収軸であるY軸方向に、帯状に延びた金属膜が配列されたものである。なお、本発明においては、透明基板と反射層との間には、別の層が存在していてもよい。
図1に示される本発明の一実施形態に係る偏光板10の反射層2は、透明基板1の面方向に対して垂直に延びており、格子状凸部の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、矩形状を有する。反射層は、ワイヤグリッド型偏光素子としての機能を有し、反射層の長手方向に平行な方向に電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を減衰させ、反射層の長手方向に直交する方向に電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))を透過させる。
反射層の構成材料としては、使用帯域の光に対して反射性を有する材料であれば特に制限されず、例えば、Al、Ag、Cu、Mo、Cr、Ti、Ni、W、Fe、Si、Ge、Te等の元素単体、またはこれらの1種以上の元素を含む合金が挙げられる。中でも、反射層は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されることが好ましい。なお、これらの金属材料以外にも、例えば着色等により表面の反射率が高く形成された金属以外の無機膜や樹脂膜で構成してもよい。
反射層の膜厚は、特に制限されず、例えば、100nm〜300nmが好ましい。なお、反射層の膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
反射層の幅は、格子状凸部のピッチPとの関係にもよるが、例えば、30nm〜40nmの範囲であることが好ましい。なお、これらの幅は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。また、反射層の幅は、後述する吸収層等と略同一であることが好ましい。なお、反射層の幅を、格子状凸部を形成するその他の層と異ならせる場合には、例えば、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせて用いて、そのバランスを変化させる方法が挙げられる。
(ギャップ層)
ギャップ層(図1におけるギャップ層3)は、本発明においては任意の層であり、反射層上に形成され、吸収軸であるY軸方向に帯状に延びた誘電体からなる膜が配列されたものである。なお、本発明においては、反射層とギャップ層との間には、別の層が存在していてもよい。
図1に示される本発明の一実施形態に係る偏光板10のギャップ層3は、反射層2上に、透明基板1の面方向に対して垂直に積層されており、格子状凸部5の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、矩形状を有する。
ギャップ層の膜厚は、吸収層で反射した偏光に対して、吸収層を透過して反射層で反射した偏光の位相が半波長ずれる範囲で形成される。具体的には、ギャップ層の膜厚は、偏光の位相を調整して干渉効果を高めることが可能な1〜500nmの範囲で適宜設定される。このギャップ層の膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
ギャップ層を構成する材料は、可視光に対して透明な材料であり、例えば、SiO等のSi酸化物、Al、酸化ベリリウム、酸化ビスマス、等の金属酸化物、MgF、氷晶石、ゲルマニウム、二酸化チタン、ケイ素、フッ化マグネシウム、窒化ボロン、酸化ボロン、酸化タンタル、炭素、またはこれらの組み合わせ等が挙げられる。これらの中では、ギャップ層は、Si酸化物で構成されることが好ましい。
ギャップ層の屈折率は、1.0より大きく、2.5以下であることが好ましい。反射層の光学特性は、周囲の屈折率によっても影響を受けるため、ギャップ層の材料を選択することで、偏光特性を制御することができる。
また、ギャップ層の膜厚や屈折率を適宜調整することにより、反射層で反射したTE波について、吸収層を透過する際に一部を反射して反射層に戻すことができ、吸収層を通過した光を干渉により減衰させることができる。このようにしてTE波の選択的減衰を行うことにより、所望の偏光特性を得ることができる。
ギャップ層の幅は、格子状凸部のピッチPとの関係にもよるが、例えば、30nm〜40nmの範囲であることが好ましい。なお、これらの幅は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。また、ギャップ層の幅は、前述の反射層と略同一であることが好ましい。
(吸収層)
吸収層(図1における吸収層4)は、本発明において必須の層であり、反射層に対して透明基板とは反対の面に設けられ、格子状凸部の一部を構成する。すなわち吸収層は、吸収軸であるY軸方向に帯状に延びて配列される。本発明においては、反射層と吸収層との間には、上記したギャップ層等の他の層が存在していてもよい。
図1に示される本発明の一実施形態に係る偏光板10の吸収層4は、反射層2上に、透明基板1の面方向に対して垂直に積層されており、格子状凸部5の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、矩形状を有する。
吸収層の幅は、格子状凸部のピッチPとの関係にもよるが、例えば、30nm〜40nmの範囲であることが好ましい。なお、これらの幅は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。また、吸収層の幅は、前述の反射層と略同一であることが好ましい。なお、吸収層の幅を、格子状凸部を形成するその他の層と異ならせる場合には、例えば、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせて用いて、そのバランスを変化させる方法が挙げられる。
本発明の偏光板は、吸収層が不純物半導体を含むことを特徴とする。これにより、安価な原料と安価な製造装置によって、十分な反射率特性を有する偏光板を実現することができる。
吸収層に含まれる不純物半導体としては、Si、Ge等の真性半導体に不純物を添加した不純物半導体が挙げられる。真性半導体としては、入手容易性、および価格の観点から、Siが好ましい。
シリコン等の真性半導体は、不純物が微量添加されることにより、n型半導体、またはp型半導体になることが知られている。例えば、シリコンにボロンをドープした場合にはp型半導体となるが、ドープ量が増加するにつれて、抵抗率が激減することが知られている。
真性半導体としてのシリコンの抵抗率は、10Ωcm程度であるため、スパッタリングによりシリコンを成膜する場合には、高周波式で実施する必要がある。ここで、高周波式のスパッタリングは、高周波電源やマッチング等が必要となり、装置構成が複雑なものとなるのが一般的であり、その結果、装置価格が高価となる上、成膜に要する費用も高いものとなる。
しかしながら上記の通り、真性半導体に不純物が微量添加された不純物半導体は、抵抗率が激減する。このため、シンプルな構成装置である直流式にて、スパッタリングを実施することが可能となる。したがって、本発明の偏光板は、吸収層が不純物半導体を含むことにより、成膜装置の簡素化による製造装置そのもののコスト、および生産に要するコストの両者を削減することができる。
なお、本発明においては、吸収層として半導体材料を用いるため、吸収作用に半導体のバンドギャップエネルギーが関与し、バンドギャップエネルギーを使用帯域以下とすることが必要である。例えば、可視光で使用する場合には、波長400nm以上での吸収、すなわち、バンドギャップとしては3.1ev以下の材料を使用する必要がある。
吸収層に含まれる不純物半導体としては、バンドギャップエネルギーが使用帯域以下となるものであれば、特に限定されるものではなく、p型半導体およびn型半導体のいずれであってもよい。真性半導体に添加する不純物としては、p型半導体の場合には、B、Al等の3価元素を含有させることが好ましく、例えば、Siに、B、Al等の3価の元素を不純物として微量添加する例が挙げられる。また、n型半導体の場合には、P、As、Sb等の5価元素を含有させることが好ましく、例えば、Siに、P、As、Sb等の5価の元素を不純物として微量添加する例が挙げられる。
吸収層の膜厚は、特に制限されず、例えば、10nm〜100nmが好ましい。吸収層の膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。また、吸収層は、構成材料の異なる2層以上から構成されていてもよい。
(拡散バリア層)
本発明の偏光板は、ギャップ層と吸収層との間に、拡散バリア層を有していてもよい。すなわち図1に示される偏光板においては、格子状凸部5は、透明基板1側から順に、反射層2と、ギャップ層3と、拡散バリア層と、吸収層4と、を有する。拡散バリア層を有することにより、吸収層における光の拡散が防止される。この拡散バリア層は、Ta、W、Nb、Ti等の金属膜で構成することができる。
(保護膜)
また、本発明の偏光板は、光学特性の変化に影響を与えない範囲において、光の入射側の表面が、誘電体からなる保護膜により覆われていてもよい。保護膜は、誘電体膜で構成され、例えば偏光板の表面(ワイヤグリッドが形成された面)上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)やALD(Atomic Layer Deposition)を利用することにより形成可能である。これにより、金属膜に対する必要以上の酸化反応を抑制することができる。
(有機系撥水膜)
さらに、本発明の偏光板は、光の入射側の表面が、有機系撥水膜により覆われていてもよい。有機系撥水膜は、例えばパーフルオロデシルトリエトキシシラン(FDTS)等のフッ素系シラン化合物等で構成され、例えば上述のCVDやALDを利用することにより形成可能である。これにより、偏光板の耐湿性等の信頼性を向上できる。
なお、本発明は図1に示される上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形および改良は、本発明に含まれる。
[偏光板の端面]
本発明の偏光板は、透明基板および格子状凸部の端面が、透明基板および格子状凸部の構成材料が露出した露出面となっていることが好ましい。すなわち、図2(a)に示すように、矢印方向を格子状凸部の延在する方向としたときに、格子状凸部および透明基板の端面11が、透明基板および格子状凸部の構成材料が露出した露出面となっている。
偏光板の端面が格子状凸部の構成材料が露出した露出面となっていることにより、すわなち、不純物半導体を含む吸収層が露出することにより、必要に応じて、端部から導電コンタクトすることが可能となる。例えば、図2(b)に示すように、格子状凸部の構成材料が露出した露出面となっている、格子状凸部および透明基板の端面11に、コンタクト電極を直接設けることにより、静電気の発生を抑制し、その結果、例えば、液晶プロジェクタ等の光学機器にダストが流入した場合であっても、偏光板へのダスト付着による光透過性の劣化や、ダスト部分からの腐食の発生を抑制することができる。
[偏光板の製造方法]
本発明の偏光板の製造方法は、反射層形成工程と、吸収層形成工程とを、少なくとも有する。
(反射層形成工程)
反射層形成工程では、透明基板の片面に反射層を形成する。反射層の形成方法としては、例えばスパッタ法や蒸着法を挙げることができる。
(吸収層形成工程)
吸収層形成工程では、反射層形成工程で形成された反射層の上、または、ギャップ層等の任意の層が存在する場合にはその層の上に、吸収層を形成する。
本発明においては、吸収層形成工程において、上記した不純物半導体からなるターゲットを用いて、当該ターゲットをスパッタリングして吸収層を形成することを特徴とする。
(エッチング工程)
エッチング工程では、上述の各層形成工程を経て形成された積層体を選択的にエッチングすることにより、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列される格子状凸部を形成する。具体的には、例えばフォトリソグラフィ法やナノインプリント法により、一次元格子状のマスクパターンを形成する。そして、上記積層体を選択的にエッチングすることにより、使用帯域の光の波長よりも短いピッチで透明基板上に配列される格子状凸部を形成する。エッチング方法としては、例えば、エッチング対象に対応したエッチングガスを用いたドライエッチング法が挙げられる。
特に本発明においては、等方性エッチングと異方性エッチングを組み合わせてバランスを変化させることにより、格子状凸部を構成する層の幅を任意に調整することができる。
なお、本発明の偏光板の製造方法は、その表面を誘電体からなる保護膜で被覆する工程を有していてもよい。また、本発明の偏光板の製造方法は、その表面を有機系撥水膜で被覆する工程を有していてもよい。
[光学機器]
本発明の光学機器は、上述した本発明に係る偏光板を備える。本発明に係る偏光板は、種々の用途に利用することが可能である。適用できる光学機器としては、例えば、液晶プロジェクタ、ヘッドアップディスプレイ、デジタルカメラ等が挙げられる。特に、本発明に係る偏光板は耐熱性に優れる無機偏光板であるため、有機材料からなる有機偏光板に比べて、耐熱性が要求される液晶プロジェクタ、ヘッドアップディスプレイ等の用途に好適に用いることができる。
本発明に係る光学機器が複数の偏光板を備える場合、複数の偏光板の少なくとも1つが本発明に係る偏光板であればよい。例えば、本実施形態に係る光学機器が液晶プロジェクタである場合、液晶パネルの入射側および出射側に配置される偏光板の少なくとも一方が、本発明に係る偏光板であればよい。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[偏光板の作成]
図1に示す構成のワイヤグリッド偏光板を作製した。すなわち、透明基板の一方の面上に一次元格子状に配列された格子状凸部を有し、格子状凸部は、透明基板から順に、反射層と、ギャップ層と、吸収層と、を有する構造の偏光板を作製した。
基板としてガラス、反射層の材料としてアルミニウムを用い、反射層の厚みは200nmとした。また、ギャップ層の材料はシリカとし、厚み20nmとした。
ギャップ層の上に、スパッタリング法にて吸収層を形成した。ターゲット材料としては、ボロンを100ppm含有するシリコンを用いた。ターゲットの体積抵抗率は0.01Ω・cmであり、吸収層の厚みは20nmとした。
続いて、エッチングを実施することにより、格子状凸部のピッチが140nmの図1に示す構成のワイヤグリッド偏光板を得た。
[偏光特性の測定]
得られた偏光板の光学特性について、分光光度計(日本分光(株)製、V-570)を用いて、以下の条件にて測定を実施した。
(測定条件)
P偏光とS偏光の透過率:入射角0°とし、波長400〜700nmの範囲で測定
P偏光とS偏光の反射率:入射角5°とし、波長400〜700nmの範囲で測定
偏光特性の検証結果を、図3に示す。なお、図3のグラフにおいて、X軸は波長(nm)であり、Y1軸は、透過率または反射率(%)、Y2軸はコントラストを示している。また、以下の項目につき、シミュレーション結果をプロットした。
Tp:P偏光透過率
Ts:S偏光透過率
Rp:P偏光反射率
Rs:S偏光反射率
CR:コントラスト(Tp/Ts)
ここで、P偏光透過率(Tp)とは、偏光板に入射する透過軸方向(X軸方向)の偏光(TM波)の透過率を意味する。S偏光透過率(Ts)とは、偏光板に入射する吸収軸方向(Y軸方向)の偏光(TE波)の透過率を意味する。また、P偏光反射率(Rp)とは、偏光板に入射する透過軸方向(X軸方向)の偏光(TM波)の反射率を意味する。S偏光反射率(Rs)とは、偏光板に入射する吸収軸方向(Y軸方向)の偏光(TE波)の反射率を意味する。
<比較例1>
吸収層として、Ta(体積抵抗率:131nΩ・cm)を備えさせる以外は、実施例1と同様の偏光板を作製し、実施例1と同様にシミュレーションを行った。偏光特性の検証結果を、図4に示す。
実施例1における偏光板は、可視偏光板としてとして使用する場合に重要な波長である緑帯域(550nm付近)のS偏光反射率(Rs)が、比較例1の偏光板と比較して低いことが判る。
10 偏光板
1 透明基板
2 反射層
3 ギャップ層
4 吸収層
5 格子状凸部
11 透明基板および格子状凸部の端面
12 コンタクト電極
H 格子状凸部の高さ
W 格子状凸部の幅
P 格子状凸部のピッチ

Claims (13)

  1. ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、
    透明基板と、
    使用帯域の光の波長よりも短いピッチで前記透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状凸部と、を備え、
    前記格子状凸部は、少なくとも、反射層と、吸収層と、を含み、
    前記吸収層は、不純物半導体を含む偏光板。
  2. 前記不純物半導体は、p型半導体である請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記不純物半導体は、3価元素を含有する請求項2に記載の偏光板。
  4. 前記不純物半導体は、n型半導体である請求項1に記載の偏光板。
  5. 前記不純物半導体は、5価元素を含有する請求項4に記載の偏光板。
  6. 前記透明基板および前記格子状凸部の端面は、前記透明基板および前記格子状凸部の構成材料が露出した露出面である請求項1〜5いずれか記載の偏光板。
  7. 前記露出面に、電極が備えられた請求項6に記載の偏光板。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の偏光板を備える光学機器。
  9. ワイヤグリッド構造を有する偏光板の製造方法であって、
    透明基板の片面に反射層を形成する反射層形成工程と、
    前記反射層の前記透明基板とは反対面に吸収層を形成する吸収層形成工程と、を有し、
    前記吸収層形成工程は、不純物半導体からなるターゲットをスパッタリングして吸収層を形成する、偏光板の製造方法。
  10. 前記不純物半導体は、p型半導体である請求項9に記載の偏光板の製造方法。
  11. 前記不純物半導体は、3価元素を含有する請求項10に記載の偏光板の製造方法。
  12. 前記不純物半導体は、n型半導体である請求項9に記載の偏光板の製造方法。
  13. 前記不純物半導体は、5価元素を含有する請求項12に記載の偏光板の製造方法。
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