JP2019218720A - 水門開閉装置及びその開閉制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】扉体をその平衡状態を維持しながら安定して自重降下させることのできる水門開閉装置及びその開閉制御方法を提供する。【解決手段】水門開閉装置1は、開閉装置本体15、15が、扉体3の幅方向両側にそれぞれ独立して一対配置されており、各開閉装置本体15は、ダンパ41を有するファンブレーキ40と、扉体3の幅方向両側における自重降下時の位置をそれぞれ検出する扉体開度偏差計52とを備え、少なくとも一方のファンブレーキ40は、ダンパ開度調整手段42を備えている。また、水門開閉装置1は、扉体3の自重降下中、扉体3の幅方向の姿勢が傾斜した場合、ファンブレーキ40の少なくとも一方のダンパ41の開度を制御して、その傾斜姿勢を補正する制御装置55を備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、水門を開閉すると共に扉体を自重で降下させる水門開閉装置及びこの水門開閉装置の開閉制御方法に関するものである。
従来、水門を開閉するには、通常、電動機を開閉方向に駆動させることで、扉体を昇降させている。しかしながら、大規模な災害、例えば、高潮、局地的な豪雨等による洪水や地震等による津波が発生した場合には、水門を扉体の自重によって速やかに閉鎖する必要がある。そのため、水門を速やかに閉じる、すなわち水門の閉鎖時間を短縮するために、扉体の自重を利用して、扉体を高速で降下させる自重降下機能付きの水門開閉装置が多数採用されている。
これに加え、従来の水門開閉装置では、水門を開閉すべく扉体を昇降させるための電動機と、扉体を自重により降下させる際、扉体の自重降下速度を略一定に制動する自重降下制動装置と、を備えた開閉装置本体が、扉体の幅方向両側にそれぞれ独立して一対配置された水門開閉装置が採用されている。そして、この水門開閉装置では、開閉装置本体が、扉体の幅方向両側にそれぞれ独立して一対配置されているので、扉体を自重降下制動装置の作動により自重降下させる際、扉体の幅方向両側の位置に差が生じるなどして平衡状態を維持するこができなくなり、扉体の幅方向の姿勢が水門の幅方向に対して傾斜する状況が発生する場合があり、自重降下の途中にその傾斜した姿勢を補正する必要があった。
そして、これを対策した従来技術として、特許文献1には、扉体を自重降下させる際、各開閉装置本体の自重降下制動装置の作動による自重降下を含むように制御して、扉体の降下中、扉体の幅方向が水門の幅方向に対して傾斜した場合、各開閉装置本体の電動機の回転駆動をON,OFFすることで、扉体の降下を継続させながら、その傾斜姿勢を補正する開閉制御方法が開示されている。また、特許文献1には、自重降下制動装置としてファンブレーキを用いることが記載されている(段落0019)。
しかしながら、特許文献1の発明に係る水門開閉装置の開閉制御方法では、扉体の自重降下中、扉体の幅方向が水門の幅方向に対して傾斜した場合、一対の開閉装置本体の電動機の回転駆動をON、OFFすることで、扉体の傾斜姿勢を補正しているが、扉体が比較的高速で自重降下していることもあり、スムーズに(滑らかに)その傾斜姿勢が補正されるように改善する必要があった。しかも、特許文献1の発明に係る水門開閉装置の開閉制御方法では、災害時などに、三相電源(動力電源)を喪失した際、電動機を駆動させることができないので、扉体を一対の自重降下制動装置の作動によって自重降下させる際、扉体の平衡状態を維持することができず、言い換えれば扉体の幅方向が水門の幅方向に対して傾斜した場合、その傾斜姿勢を補正することができなかった。そして、特許文献1においては、自重降下制動装置により扉体の自動降下させる際には、その降下速度を略一定に調整することができると記載されており(段落0019)、また、扉体の傾斜補正が必要であると判定された場合、各開閉装置本体のうち扉体の傾いている側(扉体の幅方向両側において先行して降下している側)の開閉装置本体の電動機を停止し、さらに、扉体の傾斜角度が基準値よりも大きい場合には、傾いている側(先行して降下している側)の開閉装置本体の電動機を開方向に回転駆動させることが記載されている(段落0032)。これらの記載から、特許文献1においては、自重降下制動装置により扉体の幅方向の両側それぞれの自動降下速度を調整して傾斜補正を行うものではない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、扉体をその平衡状態を維持しながら安定して自重降下させることのできる水門開閉装置及びその開閉制御方法を提供することを目的とする。
(発明の態様)
以下に示す発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれるものである。
以下に示す発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれるものである。
(1) 水門を開閉する扉体の幅方向両側にそれぞれ独立して一対配置された開閉装置本体が、前記扉体を自重降下させる際、ダンパの開度を調整して前記扉体の自重降下速度を調整するファンブレーキをそれぞれ備えており、
前記扉体の自重降下中、前記扉体の幅方向の姿勢が前記水門の幅方向に対して傾斜した場合、前記開閉装置本体の前記ファンブレーキの少なくとも一方の前記ダンパの開度を制御して、その傾斜姿勢を補正する制御装置を備えることを特徴とする水門開閉装置(請求項1)。
前記扉体の自重降下中、前記扉体の幅方向の姿勢が前記水門の幅方向に対して傾斜した場合、前記開閉装置本体の前記ファンブレーキの少なくとも一方の前記ダンパの開度を制御して、その傾斜姿勢を補正する制御装置を備えることを特徴とする水門開閉装置(請求項1)。
(1)項に記載の水門開閉装置では、開閉装置本体が、水門を開閉する扉体の幅方向両側に、それぞれ独立して一対で配置されている。各開閉装置本体は、扉体の自重降下速度を調整するための自重降下制動手段として、ファンブレーキをそれぞれ備えている。各ファンブレーキは、その内部と外部との通気を調整することができるダンパを有しており、それ自体は電気などの動力を必要とすることがなく、扉体の自重降下に伴って駆動されるものであり、ダンパの開度を調整することで、空気抵抗により扉体の自重降下速度を調整することができる。したがって、扉体の両側において、自重降下に対して任意の大きさの制動力をそれぞれ加えて、自重降下速度を制御することができる。そのため、扉体を自重降下させる際に、扉体の姿勢が水門の幅方向に対して傾斜している場合、少なくとも一方のファンブレーキのダンパの開度を調整することにより、扉体の傾斜した状態の姿勢を補正することができる。
(2) 前記各開閉装置本体は、前記扉体の幅方向両側における自重降下時の位置をそれぞれ検出してその検出信号を出力する扉体開度偏差計を備えており、
前記ファンブレーキの少なくとも一方は、前記ダンパの開度を電動で調整駆動するダンパ開度調整手段を備えており、
前記制御装置は、前記各扉体開度偏差計から出力された前記検出信号により自重降下時の前記扉体の幅方向両側の位置に基づいて前記扉体の姿勢が水門の幅方向に対して傾斜しているか否かを判断し、傾斜していると判断した場合に、前記ダンパ開度調整手段を駆動することを特徴とする請求項1に記載の水門開閉装置。
前記ファンブレーキの少なくとも一方は、前記ダンパの開度を電動で調整駆動するダンパ開度調整手段を備えており、
前記制御装置は、前記各扉体開度偏差計から出力された前記検出信号により自重降下時の前記扉体の幅方向両側の位置に基づいて前記扉体の姿勢が水門の幅方向に対して傾斜しているか否かを判断し、傾斜していると判断した場合に、前記ダンパ開度調整手段を駆動することを特徴とする請求項1に記載の水門開閉装置。
(2)項に記載の水門開閉装置では、(1)項に記載の発明において、各開閉装置本体のファンブレーキのダンパの少なくとも一方の開度は、電動で作動するダンパ開度調整手段により調整することができる。各開閉装置本体の扉体開度偏差計は、扉体の幅方向両側における自重降下時の位置をそれぞれ検出してその検出信号を出力する。制御装置は、扉体開度偏差計から出力された検出信号により自重降下時の扉体の幅方向両側の位置、またはその位置の時間経過に伴う変化、すなわち降下速度を比較して、その差により扉体の姿勢が水門の幅方向に対して傾斜しているか否かを判断し、傾斜していると判断した場合に、少なくとも一方のダンパ開度調整手段を駆動して、扉体の傾斜した状態の姿勢を補正することができる。
(3) 前記扉体を昇降させる昇降手段は、三相電源により作動して、
前記ダンパ開度調整手段および前記制御装置は、単相電源または直流電源により作動することを特徴とする(1)または(2)項のいずれかに記載の水門開閉装置(請求項2)。
前記ダンパ開度調整手段および前記制御装置は、単相電源または直流電源により作動することを特徴とする(1)または(2)項のいずれかに記載の水門開閉装置(請求項2)。
(3)項に記載の水門開閉装置では、(1)または(2)項のいずれかに記載の発明において、災害時など、昇降手段の動力電源である三相電源が喪失した場合でも、ダンパ開度調整手段、前記扉体開度偏差計、および前記制御装置を無停電電源装置や小型のポータブル発電機の単相電源、又はバッテリの直流電源を使用して作動させることができる。これにより、三相電源が喪失した場合でも、何ら支障なく、扉体をその平衡状態を維持しながら安定して自重降下させることができる。
(4) 水門を開閉する扉体の幅方向両側にそれぞれ独立して一対配置された開閉装置本体が、前記扉体を自重降下させる際、ダンパの開度を調整して前記扉体の自重降下速度を調整するファンブレーキをそれぞれ備えた水門開閉装置の開閉制御方法であって、
前記扉体の自重降下中に、前記扉体の幅方向の姿勢が前記水門の幅方向に対して傾斜した場合、前記開閉装置本体の少なくとも一方の前記ファンブレーキのダンパの開度を制御して、その傾斜姿勢を補正することを特徴とする水門開閉装置の開閉制御方法(請求項3)。
前記扉体の自重降下中に、前記扉体の幅方向の姿勢が前記水門の幅方向に対して傾斜した場合、前記開閉装置本体の少なくとも一方の前記ファンブレーキのダンパの開度を制御して、その傾斜姿勢を補正することを特徴とする水門開閉装置の開閉制御方法(請求項3)。
(4)項に記載の水門開閉装置の開閉制御方法では、水門を開閉する扉体の幅方向両側に、それぞれ独立して一対の開閉装置本体が配置されている。各開閉装置本体は、扉体の自重降下速度を調整するための自重降下制動手段として、ファンブレーキをそれぞれ備えている。各ファンブレーキは、その内部と外部との通気を調整することができるダンパを有しており、それ自体は電気などの動力を必要とすることがなく、扉体の自重降下に伴って駆動されるものであり、ダンパの開度を調整することで、空気抵抗により扉体の自重降下速度を調整することができる。したがって、扉体の両側において、自重降下に対して任意の大きさの制動力をそれぞれ加えて、自重降下速度を制御することができる。そのため、扉体を自重降下させる際に、扉体の姿勢が水門の幅方向に対して傾斜している場合、少なくとも一方のファンブレーキのダンパの開度を調整することにより、扉体の傾斜した状態の姿勢を補正することができる。
本発明の水門開閉装置及びその開閉制御方法によれば、扉体を自重降下させる際、その平衡状態を維持しながら安定して自重降下させることができる。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づき説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略することとし、又、図面の全体にわたって、同一部分若しくは対応する部分は、同一の符号で示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る水門開閉装置1の構成の一例を概略で示している。図示のように、水門開閉装置1は、水門2を構成する左右一対の門柱5、5間に扉体3を昇降自在に支持している。扉体3の上部には、一対のシーブ6、6が扉体3の幅方向両側(図1における左右)に配置されている。左右一対の門柱5、5の上方にはワイヤロープ巻取ドラム7、7がそれぞれ配置されている。
図1は、本発明の実施の形態に係る水門開閉装置1の構成の一例を概略で示している。図示のように、水門開閉装置1は、水門2を構成する左右一対の門柱5、5間に扉体3を昇降自在に支持している。扉体3の上部には、一対のシーブ6、6が扉体3の幅方向両側(図1における左右)に配置されている。左右一対の門柱5、5の上方にはワイヤロープ巻取ドラム7、7がそれぞれ配置されている。
各シーブ6、6には、独立したワイヤロープ10、10がそれぞれ巻回されている。一方のワイヤロープ10は対応するシーブ6に巻回されて、そのワイヤロープ10の一端が一方の門柱10の上端に係止され、その他端が対応するワイヤロープ巻取ドラム7に巻回されている。同様に、他方のワイヤロープ10は対応するシーブ6に巻回されて、そのワイヤロープ10の一端が他方の門柱10の上端に係止され、そのワイヤロープ10の他端が対応するワイヤロープ巻取ドラム7に巻回されている。なお、本実施形態では、ワイヤロープ10及びワイヤロープ巻取ドラム7が採用されているが、チェーン及びスプロケットを採用してもよい。
又、水門開閉装置1は、扉体3の幅方向両側にそれぞれ独立して一対配置された開閉装置本体15、15と、作業者等から操作が入力される操作盤56とを備えている。各開閉装置本体15は、対応するワイヤロープ巻取ドラム7に一体的に連結される回転軸17と、該回転軸17との間で相互に回転トルクを伝達する出力軸18を有する差動減速装置19と、該差動減速装置19の第1入力軸21に連結される電動機23と、第1入力軸21の回転運動を解放または拘束する第1ブレーキ手段25と、差動減速装置19の第2入力軸22に連結され、扉体3を自重降下させる際にその自重降下速度を調整する自重降下制動装置としてのファンブレーキと40と、第2入力軸22を解放または拘束する第2ブレーキ手段26と、水門2の幅方向における扉体3の姿勢の傾きを検出するための扉体開度偏差計52とを備えている。さらに本実施の形態では、両開閉装置本体15、15と対応して、制御装置55、55が設けられている。制御装置55は、扉体3の自重降下中、扉体3の幅方向の姿勢が水門2の幅方向に対して傾斜した場合、開閉装置本体15のファンブレーキ40の少なくとも一方のダンパ41の開度を制御して、その傾斜姿勢を補正するものである。
電動機23は、差動減速装置19の入力軸21に連結されており、又、操作盤56からの信号伝達のために、操作盤56に接続されている。電動機23は、三相電源(動力電源)により駆動し、この電動機23の回転駆動によって、差動減速装置19の入力軸21が回転する。なお、本実施形態では、ワイヤロープ10、ワイヤロープ巻取ドラム7、差動減速装置19及び電動機23が、水門2の通常の開閉動作である扉体3を昇降移動させるための昇降手段に含まれる。本実施形態では、昇降手段として電動機23が採用されているが、油圧モータまたは水圧モータなどを採用してもよい。電動機23、または、油圧モータ若しくは水圧モータを駆動するために必要な電力は、比較的大きい。そのため、昇降手段の電動機23の動力電源として、水門2の外部から三相交流電流を供給する三相電源を用いる。
第1ブレーキ手段25は、差動減速装置19の第1入力軸21の回転運動を解放又は拘束するものであり、差動減速装置19と電動機23との間に設けられている。このような第1ブレーキ手段25には、油圧押上げブレーキ、電磁ブレーキやディスクブレーキ等が採用される。第1ブレーキ手段25は、三相電源又は単相電源によって作動する。第1ブレーキ手段25は、操作盤56からの信号伝達のために、この操作盤56に接続されている。操作盤56は、単相電源又は直流電源にて作動する。
また、第2ブレーキ手段26は、差動減速装置19の第2入力軸22の回転運動を解放又は拘束するものであり、差動減速装置19とファンブレーキ40との間に設けられている。このような第2ブレーキ手段26には、第1ブレーキ手段25と同様に、油圧押上げブレーキ、電磁ブレーキやディスクブレーキ等を採用することができるが、第2ブレーキ手段26は、単相電源又は直流電源によって作動する。第2ブレーキ手段26は、制御装置55からの信号伝達のために、制御装置55に接続されている。
また、第2ブレーキ手段26は、差動減速装置19の第2入力軸22の回転運動を解放又は拘束するものであり、差動減速装置19とファンブレーキ40との間に設けられている。このような第2ブレーキ手段26には、第1ブレーキ手段25と同様に、油圧押上げブレーキ、電磁ブレーキやディスクブレーキ等を採用することができるが、第2ブレーキ手段26は、単相電源又は直流電源によって作動する。第2ブレーキ手段26は、制御装置55からの信号伝達のために、制御装置55に接続されている。
ファンブレーキ40は、ハウジング40aの内部にファン40bが回転可能に設けられており、ハウジング40aの開口部には、ハウジング40aの内部と外部との通気を調整することができるダンパ41を有している。ファンブレーキ40のファン40bは、第2入力軸22に接続されており、扉体3の自重降下に伴って、回転軸17、差動減速装置19の出力軸18、第2入力軸22を介して回転駆動される。そして、本実施の形態におけるファンブレーキ40は、ダンパ41の開度を大きくする(ハウジング40aの開口部を開く)と、扉体3の自重降下時に回転軸17に付与する抵抗が増大し、ダンパ41の開度を小さくする(ハウジング40aの開口部を閉じる)と、扉体3の自重降下時に回転軸17に付与する抵抗が減少するよう構成されている。なお、ファンブレーキ40は、扉体3の自重降下時に確実に制動する(自重降下速度を低下させる)ために、図示は省略するが、ハウジング40aの内部と外部との通気を確保するための通気部を有している。
図1に示した実施の形態は、両ファンブレーキ40のダンパ41の開度をそれぞれ調整するためのダンパ開度調整手段42、42を備えている。各ダンパ開度調整手段42は、任意の位相に制御可能に回転するサーボモータなどのアクチュエータ43と、このアクチュエータ43の回転運動または直線運動を、ダンパ41を開閉させるための直線運動または回転運動に変換するための変換機構44とにより構成されている。しかしながら、ダンパ開度調整手段42は、本実施の形態に限定されることはなく、ダンパ41の開度を調整することができるものであれば、他の構成を採用することもできる。また、両ファンブレーキ40の内の一方のみにダンパ開度調整手段42を設けて、ファンブレーキ40の他方は、ダンパ41を予め設定された開度に調整し保持するよう構成することもできる。
他方、各扉体開度偏差計52は、開閉装置本体15の回転軸17の位相を測定して、その測定結果を示す検出信号を、対応する制御装置55、55にそれぞれ出力する。扉体開度偏差計52は、単相電源又は直流電源によって作動する。扉体開度偏差計52には、各種のセンサを利用できる。
制御装置55、55は、各開閉装置本体15、15のダンパ開度調整手段42、扉体開度偏差計52、第2ブレーキ手段26に接続されており、さらに操作盤56に接続されている。また、本実施形態では、各開閉装置本体15、15の制御装置55、55は、無線通信により互いに接続されている。これにより、各制御装置55は、各開閉装置本体15の扉体開度偏差計52からそれぞれ受け取った検出信号を互いに連絡して各回転軸17の位相から扉体3の幅方向両側の位置、またはその位置の単位時間当たりの変化、すなわち降下速度を検知し、その検知結果を比較し、検知結果の差がしきい値以内であるか否かによって、水門2の幅方向に対する扉体3の幅方向の姿勢が傾斜しているか否かを判断する。そして、制御装置55は、扉体3の姿勢が傾斜していると判断すると、詳細は後述するが、扉体3の傾斜姿勢を補正するよう少なくとも一方のダンパ開度調整手段42を駆動する。また、本実施の形態においては、制御装置55は、第2入力軸22を解放または拘束させるよう第2ブレーキ手段26を制御する。なお、各開閉装置本体15、15の制御装置55、55は、有線通信により互いに接続してもよい。
なお、本実施の形態では、各開閉装置本体15、15と対応して2つの制御装置55、55が設けられているが、本発明はこの実施の形態に限定されることはなく、単一の制御装置55を、制御盤56と、各開閉装置本体15の第2ブレーキ手段26、ダンパ開度調整手段42(アクチュエータ43)、および扉体開度偏差計52とに接続してもよい。この場合、図1に示した実施の形態に基づいて上記したように2つの制御装置55、55を互いに無線通信または有線通信により接続する必要がない。また、この場合には、単一の制御装置55が、両扉体開度偏差計52、52から出力信号をそれぞれ受けて、各回転軸17の位相から扉体3の幅方向両側の位置または降下速度を検知し、その検知結果を比較し、水門2の幅方向に対する扉体3の幅方向の姿勢が傾斜しているか否かを判断して、扉体3の姿勢が傾斜していると判断した場合に、扉体3の傾斜姿勢を補正するために信号を少なくとも一方のファンブレーキ40のダンパ開度調整手段42に出力する。なお、上記のいずれの場合でも、制御装置55が、各扉体開度偏差計52、52から出力信号をそれぞれ受けて、各回転軸17、17の位相から扉体3の幅方向両側の位置または降下速度を検知することに限定されることはなく、各扉体開度偏差計52、52が各回転軸17、17の位相から扉体3の幅方向両側の位置または降下速度をそれぞれ検出し、その検出結果の信号を制御装置55(、55)に出力し、制御装置55(、55)が扉体3の幅方向両側の位置または降下速度を直接比較するよう構成することもできる。
なお、本実施の形態では、各開閉装置本体15、15と対応して2つの制御装置55、55が設けられているが、本発明はこの実施の形態に限定されることはなく、単一の制御装置55を、制御盤56と、各開閉装置本体15の第2ブレーキ手段26、ダンパ開度調整手段42(アクチュエータ43)、および扉体開度偏差計52とに接続してもよい。この場合、図1に示した実施の形態に基づいて上記したように2つの制御装置55、55を互いに無線通信または有線通信により接続する必要がない。また、この場合には、単一の制御装置55が、両扉体開度偏差計52、52から出力信号をそれぞれ受けて、各回転軸17の位相から扉体3の幅方向両側の位置または降下速度を検知し、その検知結果を比較し、水門2の幅方向に対する扉体3の幅方向の姿勢が傾斜しているか否かを判断して、扉体3の姿勢が傾斜していると判断した場合に、扉体3の傾斜姿勢を補正するために信号を少なくとも一方のファンブレーキ40のダンパ開度調整手段42に出力する。なお、上記のいずれの場合でも、制御装置55が、各扉体開度偏差計52、52から出力信号をそれぞれ受けて、各回転軸17、17の位相から扉体3の幅方向両側の位置または降下速度を検知することに限定されることはなく、各扉体開度偏差計52、52が各回転軸17、17の位相から扉体3の幅方向両側の位置または降下速度をそれぞれ検出し、その検出結果の信号を制御装置55(、55)に出力し、制御装置55(、55)が扉体3の幅方向両側の位置または降下速度を直接比較するよう構成することもできる。
さらに、本実施の形態では、例えば、災害による停電が発生したときなど、昇降手段の動力電源である三相電源を喪失した場合に、上述したダンパ開度調整手段42、扉体開度偏差計52、制御装置55、第2ブレーキ手段26を作動させるための単相電流または直流電流を供給することが可能な、非常用の電源装置(図示は省略する)を備えている。以下、非常用の電源装置により電力を供給されて作動するものをまとめてダンパ開度調整手段42等という。ここで、ダンパ開度調整手段42等を作動させるために必要な電力は、水門2の昇降手段を作動させるために必要な電力と比較して、極めて小さい。そのため、非常用の電源装置は、無停電電源装置(UPSバックアップ装置)や小型のポータブル発電機などの単相電源、或いはバッテリなどの直流電源を用いることができる。
次に、本発明の水門開閉装置の開閉制御方法の実施の形態を、一例として図1に示したように構成された水門開閉装置を用いる場合によって、かかる水門開閉装置の作動と共に、図2に示すフロー図に基づいて説明する。ここでは、特に、災害時等に昇降手段の動力電源(三相電源)が喪失した場合に、水門2の扉体3を自重降下させる際の開閉制御方法を詳細に説明する。
動力電源が喪失していない通常の状態において、扉体3を昇降させないときには、第1ブレーキ手段25が第1入力軸21を拘束して扉体3をその自重で降下させないようにしており、また、第2ブレーキ手段26が第2入力軸22を拘束した状態となっている。そして、扉体3を昇降させるときには、第1ブレーキ手段25を解放して第1入力軸21の拘束を解除した状態で、各開閉装置本体15の電動機23を回転駆動する。電動機23の回転は、第1入力軸21を介して、差動減速装置19に伝導される。このとき、第2ブレーキ手段26が第2入力軸22を拘束した状態であるので、第1入力軸21を介して伝導された電動機23の回転は、出力軸18から、平歯車18aおよび17a、回転軸17を介してワイヤ巻取ドラム7に回転駆動力を伝達し、ワイヤロープ10を巻き取り、または引き出して扉体3を昇降させることができる。
一方、動力電源が喪失した状態において、電動機23は、回転駆動が不可となるが、非常用の電源装置を手動又は自動で起動することにより、ダンパ開度調整手段42等に電力を供給して作動させることが可能となる。このとき、上述したように通常の状態から第1ブレーキ手段25による第1入力軸21の拘束が維持されており、扉体3が意図せず自重降下を開始することはない。
扉体3の自重降下を開始させるにあたり、ステップS1において、作業者が、操作盤56にて、扉体3を自重降下させるためのスイッチ操作等を行う。すると、この信号が制御装置55に伝達される。ステップS2では、自重降下開始の信号を受け取った制御装置55が各開閉装置本体15、15の各第2ブレーキ手段26を解放させて第2回転軸22の拘束を解除する。このとき、第1ブレーキ手段25により第1回転軸21が拘束されている。そのため、扉体3の自重によりワイヤ巻取ドラム7からワイヤロープ10が引き出され、扉体3が自重降下することとなる(ステップS3)。
ワイヤ巻取ドラム7からワイヤロープ10が引き出されることにともない、出力軸17の回転は、平歯車17aおよび18a、出力軸18、差動減速装置19、第2回転軸22に伝導されてファンブレーキ40のファン40bを回転させる。ファンブレーキ40は、ハウジング40aの内部でファン40bが回転することによる空気抵抗により、第2回転軸22の回転に抵抗を付与する。その結果、ワイヤ巻取ドラム7からワイヤロープ10が引き出されるのを制動して、扉体3の自重降下速度を低下させる。そして、本実施の形態では、扉体3を予め設定された適切な自重降下速度で降下させることができるように、ダンパ41の開度が設定されている。また、上述したようにファンブレーキ40のハウジング40aに形成された通気部により、回転軸17の回転が確実に制動されるため、扉体3の自重降下速度は確実に適宜低下する。
扉体3が、各ファンブレーキ40、40の作用により適宜降下速度で自重降下している際、常時、各扉体開度偏差計52、52によって、各開閉装置本体15、15の回転軸17、17それぞれの位相が測定され、その測定結果が本実施の形態では各制御装置55、55にそれぞれ伝達される。続いて、ステップS4において、制御装置55、55にて、各扉体開度偏差計52、52からの回転軸17、17の位相の測定結果を互いに連絡し、回転軸17、17の位相から扉体3の幅方向両側の位置または降下速度を検知し、その検知結果を比較して、扉体3の幅方向両側の位置または降下速度の差が予め設定されたしきい値となる基準値を超えるか否かにより扉体3の幅方向の姿勢が水門2の幅方向に対して傾斜しているか否かを判断する。扉体3の幅方向両側の位置または降下速度の差が基準値を超えた場合(ステップS4でYESの場合)には、扉体3の傾斜補正が必要であると判定されて、ステップS5に進む。一方、ステップS4において、制御装置55にて、各扉体開度偏差計52からの測定結果に基づく扉体3の幅方向両側の位置または降下速度の差が基準値を超えていない場合(ステップS4でNOの場合)には、扉体3の傾斜補正は必要ではないと判定されて、ステップS9に進む。該ステップS9では、扉体3が着床する。続いて、ステップS10では、扉体3の着床を検知センサ(図示略)にて検知すると、各開閉装置本体15の制御装置55からの信号により、各開閉装置本体15の第2ブレーキ手段26を作動させて、第2入力軸22の回転運動を拘束する。そして、ステップS11にて、扉体3の自重降下を完了する。
ステップS5では、制御装置55からの信号により、本実施の形態では、扉体3の幅方向の、先行して降下している側のダンパ開度調整機構42のアクチュエータ43を駆動してダンパ41の開度を、遅行して降下している側のダンパ41の開度よりも増加する。これにより、ファンブレーキ40による抵抗が増加して、ステップS6において、扉体3の、先行して降下している幅方向一端部の降下速度が低下する。続いて、ステップS7において、制御装置55にて、各扉体開度偏差計52からの測定結果に基づいて、扉体3の傾斜補正が完了したか否かが判定される。この結果、ステップS7において、制御装置55にて、扉体3の傾斜姿勢が補正されていないと判定された場合(ステップS7でNOの場合)には、ステップS7の手前に戻り、扉体3の先行して降下している側のダンパ41の開度増加が継続された状態で、扉体3の傾斜補正が完了したか否かの判定を繰り返す。一方、ステップS7において、制御装置55にて、扉体3の傾斜姿勢が補正されていると判定された場合(ステップS7でYESの場合)には、ステップS8に進み、先行して降下していた側(すなわち、開度を増加させた側の)のダンパ41の開度をもとに戻して、遅行して降下していた側のダンパ41の開度と同じに戻す。その後、ステップS4の手前に戻る。
なお、各扉体開度偏差計52が回転軸17の位相から扉体3の幅方向両側の位置または降下速度を検出して、その検出結果の信号を出力するよう構成した場合、ステップ4においては、制御装置55にて、扉体3の幅方向両側の位置または降下速度を直接比較して、その差が予め設定されたしきい値となる基準値を超えるか否かにより扉体3の幅方向の姿勢が水門2の幅方向に対して傾斜しているか否かを判断することができる。
また、ステップS5においては、制御装置55からの信号により、扉体3の幅方向の、遅行して降下している側のダンパ開度調整機構42のアクチュエータ43を駆動してダンパ41の開度を減少させて、ステップS6において、扉体3の、遅行して降下している幅方向一端部の降下速度を増加させることもできる。また、ステップS5においては、制御装置55からの信号により、扉体3の幅方向の、先行して降下している側のダンパ41の開度を増加させるとともに、遅行して降下している側のダンパ41の開度を減少させ、扉体3の先行して降下している側の降下速度を低下させるとともに遅行している側の降下速度を増加させてもよい。
さらにまた、上述したようにダンパ開度調整手段42を片側のファンブレーキ40のみに設け、他方のファンブレーキ40のダンパ41を予め設定された開度に調整し保持した場合には、片側のファンブレーキ40のダンパ開度調整手段42によりそのダンパ41の開度を増減調整することにより、かかる片側の降下速度のみを増減させて傾斜を補正させてもよい。
これらのファンブレーキ40のダンパ41の開度の制御は、扉体3の傾斜姿勢の程度(大きさ)や、傾斜補正に要する時間等の条件により適宜選択することができる。
また、ステップS5においては、制御装置55からの信号により、扉体3の幅方向の、遅行して降下している側のダンパ開度調整機構42のアクチュエータ43を駆動してダンパ41の開度を減少させて、ステップS6において、扉体3の、遅行して降下している幅方向一端部の降下速度を増加させることもできる。また、ステップS5においては、制御装置55からの信号により、扉体3の幅方向の、先行して降下している側のダンパ41の開度を増加させるとともに、遅行して降下している側のダンパ41の開度を減少させ、扉体3の先行して降下している側の降下速度を低下させるとともに遅行している側の降下速度を増加させてもよい。
さらにまた、上述したようにダンパ開度調整手段42を片側のファンブレーキ40のみに設け、他方のファンブレーキ40のダンパ41を予め設定された開度に調整し保持した場合には、片側のファンブレーキ40のダンパ開度調整手段42によりそのダンパ41の開度を増減調整することにより、かかる片側の降下速度のみを増減させて傾斜を補正させてもよい。
これらのファンブレーキ40のダンパ41の開度の制御は、扉体3の傾斜姿勢の程度(大きさ)や、傾斜補正に要する時間等の条件により適宜選択することができる。
さらに、ステップS3の扉体自重降下を開始してから、ステップS9の扉体着床までの間に、各扉体開度偏差計52からの測定結果に基づいて、扉体3の両側における高さを検知して、着床直前で自重降下速度に対する制動を増加させて扉体3が着床した際の扉体3への衝撃を緩和するようダンパ41の開度を制御してもよい。
以上説明したように、本発明では、扉体3を自重降下させている際、各扉体開度偏差計52からの測定結果に基づいて、ファンブレーキ40、40の各ダンパ41の開度を制御することで、扉体3の幅方向両側の自重降下速度をそれぞれ制御することができるので、扉体3の自重降下を継続させながら、その幅方向の傾斜姿勢をスムーズに補正して、平衡に自重降下させることができる。
また、本発明の実施形態に係る水門開閉装置1では、各開閉装置本体15の電動機23以外の、制御装置55、扉体開度偏差計52、第1ブレーキ手段25、第2ブレーキ手段26、アクチュエータ43を作動させるために必要な電力は、電動機23と比較して極めて小さいので、災害時など、三相電源(動力電源)が喪失した場合でも、無停電電源装置や小型のポータブル発電機などの単相電源、又はバッテリなどの直流電源等、比較的容量の小さい非常用の電源装置を使用することで、扉体3を平衡状態に維持しながら安定して自重降下させることができる。
1:水門開閉装置、 2:水門、 3:扉体、 7:ワイヤ巻取ドラム、 10:ワイヤロープ、 15:開閉装置本体、 23:電動機、 40:ファンブレーキ、 41:ダンパ、 42:ダンパ開度調整機構、 52:扉体開度偏差計、 55 制御装置
Claims (3)
- 水門を開閉する扉体の幅方向両側にそれぞれ独立して一対配置された開閉装置本体が、前記扉体を自重降下させる際、ダンパの開度を調整して前記扉体の自重降下速度を調整するファンブレーキをそれぞれ備えており、
前記扉体の自重降下中、前記扉体の幅方向の姿勢が前記水門の幅方向に対して傾斜した場合、前記開閉装置本体の前記ファンブレーキの少なくとも一方の前記ダンパの開度を制御して、その傾斜姿勢を補正する制御装置を備えることを特徴とする水門開閉装置。 - 前記扉体を昇降させる昇降手段は、三相電源により作動して、
前記ダンパ開度調整手段および前記制御装置は、単相電源または直流電源により作動することを特徴とする請求項1に記載の水門開閉装置。 - 水門を開閉する扉体の幅方向両側にそれぞれ独立して一対配置された開閉装置本体が、前記扉体を自重降下させる際、ダンパの開度を調整して前記扉体の自重降下速度を調整するファンブレーキをそれぞれ備えた水門開閉装置の開閉制御方法であって、
前記扉体の自重降下中に、前記扉体の幅方向の姿勢が前記水門の幅方向に対して傾斜した場合、前記開閉装置本体の少なくとも一方の前記ファンブレーキのダンパの開度を制御して、その傾斜姿勢を補正することを特徴とする水門開閉装置の開閉制御方法。
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CN114002947A (zh) * | 2021-08-18 | 2022-02-01 | 华能澜沧江水电股份有限公司 | 闸门液压启闭机双缸自适应控制方法、存储介质及控制器 |
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