JP2019218476A - 重合性組成物、位相差膜、その製造方法、液晶表示素子、及び有機発光表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、前記重合体単独では、ディスプレイに必要な要求特性を全て満たすことはできないため、他の部材との積層が必要となる。その際、前記重合体上に直接塗布することにより積層する場合もあれば、粘着剤、接着剤等で貼り合せる場合もある。積層体として、機械的強度、耐久性等が求められる。
特許文献1では、ベンゼン環、シクロヘキサン環等の環数を4つ以上有する液晶化合物を使用することで、位相差膜形成後の焼成処理において、耐熱性に優れる位相差膜を作成できることが開示されている。しかしながら、液晶組成物によっては、配向性が悪化する結果であった。また、特許文献2では、耐熱性に優れ、高温雰囲気下において位相差値の変化が少ない重合性液晶組成物が開示されている。しかしながら、実際に液晶表示装置、画像表示装置、プロジェクター装置等の中には、前記焼成工程の後工程として接着剤層や粘着剤層の形成、さらなる焼成工程があり、接着剤層や粘着剤層の形成後のさらなる焼成工程の位相差膜の耐熱性に関しては開示されていなかった。一方、特許文献3では、耐光性の良好な重合性液晶組成物が開示されているが、配向性が良好で、かつ上記のさらなる焼成工程の耐熱性および耐光性を満足できる重合性液晶組成物は開示されていなかった。
前記分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(II)が、一般式(II−A)
前記光重合開始剤(III)が一般式(III−a)
本発明は、更に、前記重合性液晶組成物の重合体から得られる、ハイブリッド配向を示す位相差膜に関する。
本発明は、更に、前記重合性液晶組成物を、基材上に塗布、乾燥させた後、紫外線照射することを特徴とする、ハイブリッド配向を示す位相差膜の製造方法に関する。
本発明は、更に、前記位相差膜上に接着剤又は粘着剤を塗布させた後、紫外線照射、熱処理することを特徴とする、積層体の製造方法に関する。
本発明は、更に、前記位相差膜又は積層体を用いた表示装置に関する。
本発明の光学異方体は、分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(II)を含有する重合性液晶組成物を用いて作製される。当該分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(II)は、具体的には以下の一般式(II−A)で表される化合物が好ましい。
一般式(II)において、W1及びW2は−O−を表し、Y1は−COO−を表し、Y2は−OCO−を表し、p及びqはそれぞれ独立的に3〜12の整数である化合物が溶解安定性や配向性の点からより好ましく、p=q=6又はp=q=3である化合物が特に好ましい。
一般式(II−A)で表される化合物はさらに具体的には、一般式(II−A−1)〜一般式(II−A―8)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(II−A−1)〜一般式(II−A−8)において、p及びqはそれぞれ独立的に3〜12の整数であることが溶解安定性及び配向性の点から好ましい。
本発明における重合性液晶組成物は光重合開始剤を少なくとも1種、又は2種以上含有する。本発明における光重合開始剤とは、
下記一般式(III−a)
本発明の重合性液晶組成物には、フッ素系界面活性剤(IV)を含有するが、当該フッ素系界面活性剤を用いることにより、本発明の重合性液晶組成物は重合性液晶化合物と当該フッ素系界面活性剤の相溶性が良好なため溶液安定性に優れ、光学異方体とした場合の配向性に優れる。
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
測定条件:カラム温度 40℃、展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流速1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
[分散ポリスチレン]
東ソー株式会社製「A−500」、東ソー株式会社製「A−1000」、東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」、東ソー株式会社製「F−1」、東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」、東ソー株式会社製「F−10」、東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」、東ソー株式会社製「F−80」、東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」、東ソー株式会社製「F−550」
フッ素系界面活性剤(IV)の添加量は、配向性の観点から、重合性液晶組成物中に含有する重合性液晶化合物の含有量100質量部の内、0.005〜5質量%であることが好ましく、0.01〜3質量%であることがより好ましく、0.02〜2.0質量%であることがさらに好ましい。なお、フッ素系界面活性剤の添加量は配合するフッ素系界面活性剤の分子量を考慮して適宜調節することが好ましく、一般的に分子量が低いフッ素系界面活性剤を用いた場合は、分子量が高いフッ素系界面活性剤を用いた場合より、多く添加することが望まれるが、上記重量平均分子量(Mw)が2000〜30000程度のフッ素系界面活性剤を用いる場合は、上記の範囲とすることが好ましい。
前記フッ素系界面活性剤(IV)としては、−(XO)S−(Xは炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、sは1以上の整数である。)で表されるオキシアルキレン基を有することが好ましい。該オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基が好ましい。
また、上記重合性単量体(A)のより好ましい具体的な例として、下記の単量体(A−1)〜(A−15)等が挙げられる。なお、これらの単量体(A)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
なお、上記一般式(B)中のX、Y、及びZはアルキレン基であるが、このアルキレン基は、置換基を有していてもよい。−O−(XO)s−(YO)t−(ZO)u−部分の具体例としては、繰返し単位数sが3以上の整数でt、uが0であり、かつXがプロピレンであるポリオキシプロピレン、繰返し単位数sが3以上の整数でt、uが0であり、かつXがブチレンであるポリオキシブチレン、繰返し単位数sが3以上の整数でt、uが0であり、かつXがテトラメチレンであるポリオキシテトラメチレン、繰返し単位数s及びtがともに1以上の整数でuが0であり、かつX又はYがエチレンで他方がプロピレンであるエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体であるポリオキシアルキレン、繰返し単位数s及びtがともに1以上の整数でuが0であり、かつX又はYがプロピレンで他方がブチレンであるプロピレンオキサイドとブチレンオキサイドとの共重合体であるポリオキシアルキレン、繰返し単位数s及びtがともに1以上の整数でuが0であり、かつX又はYがエチレンで他方がテトラメチレンであるエチレンオキサイドとテトラヒドロフランとの共重合体であるポリオキシアルキレン、繰返し単位数s及びtがともに1以上の整数でuが0であり、かつX又はYがプロピレンで他方がテトラメチレンであるプロピレンオキサイドとテトラヒドロフランとの共重合体であるポリオキシアルキレン、繰返し単位数s、t及びuがともに1以上の整数であり、かつX及びZがエチレンで、Yがプロピレンである、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとの共重合体であるポリオキシアルキレンが挙げられる。
トラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・ブチレングリコール
)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(テトラエチレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリテトラエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・トリメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・トリメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(トリメチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコール・ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ブチレングリコール・トリメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール・ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体(B)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。なお、「ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)」は、エチレングリコールとプロピレングリコールとのランダム共重合物を意味し、「ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール」は、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合物を意味し、他のものも同様である。
なお、上記一般式(C−1)中のR2は炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐状又は環構造を有するアルキル基であるが、このアルキル基は、脂肪族又は芳香族の炭化水素基、水酸基等の置換基を有していてもよい。上記アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸の炭素原子数が1〜18のアルキルエステル;ジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜18の橋架け環状アルキルエステルなどが挙げられる。これらの単量体(C)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
(単官能重合性液晶化合物)
本発明の光学異方体は、分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(II)を含有する重合性液晶組成物を用いて作製されるが、当該重合性液晶組成物には、任意成分として、分子内に1個の重合性官能基を有する単官能重合性液晶化合物を含有しても良い。当該分子内に1個の重合性官能基を有する単官能重合性液晶化合物として、下記一般式(II−1)で表される化合物が好ましい。
一般式(II−1)中、X211は−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し(ただし、P211−Sp211、及びSp211−X211は、−O−O−、−O−NH−、−S−S−及び−O−S−基を含まない。)、
一般式(II−1)中、q211は0又は1を表し、
一般式(II−1)中、R211は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−、−N(CH3)−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い、炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルケニル基を表し、該アルキル基、アルケニル基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基によって置換されても良く、複数置換されている場合それぞれ同一であっても、異なっていても良く、
一般式(II−1)中、Sp211は炭素原子数1〜18のアルキレン基を表し(該アルキレン基中の水素原子は、1つ以上のハロゲン原子、又はCN基により置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−により置き換えられていても良い。)を表し、
一般式(II−1)中、MG1はメソゲン基を表し、当該メソゲン基としては、一般式(II−1−b)
上記一般式(II−1−b)中、B11、B21及びB31はそれぞれ独立的に、上述した置換基を有しても良い、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基を表すことが好ましいが、配向性に優れる点からB11、B21及びB31の少なくとも一つは、1,4−フェニレン基であることが好ましい。また、Z11及びZ21はそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH2 CH2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−C=N−、−N=C−、又は単結合を表すことが好ましく、r11は0又は1を表すことが好ましい。
上記一般式(II−1−1)〜(II−1−4)中、B111、B112、B113、B21、B31は、上記一般式(II−1−b)のB11〜B31の定義と同じものを表し、好ましい基もB11〜B31の定義と同じものを表し、それぞれ、同一であっても、異なっていても良く、
上記一般式(II−1−1)〜(II−1−4)中、Z111、Z112、Z113、Z21は、上記一般式(II−1−b)のZ11〜Z21の定義と同じものを表し、好ましい基もZ11〜Z21の定義と同じものを表し、それぞれ、同一であっても、異なっていても良く、
上記一般式(II−1−1)〜(II−1−4)中、R211は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−、−N(CH3)−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い、炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルケニル基を表し、該アルキル基、アルケニル基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基によって置換されても良く、複数置換されている場合それぞれ同一であっても、異なっていても良い。
上記環状基は、置換基として1個以上のF、Cl、CF3、OCF3、CN基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルカノイル基、炭素原子数1〜8のアルカノイルオキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケノイル基、炭素原子数2〜8のアルケノイルオキシ基を有していても良い。
本発明の光学異方体は、分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(II)を含有する重合性液晶組成物を用いて作製されるが、当該重合性液晶組成物には、3個以上の重合性官能基を有する多官能重合性液晶化合物を含有していても良い。3個以上の重合性官能基を有する多官能重合性液晶化合物としては、下記一般式(II−3−1)〜一般式(II−3−2)で表される化合物を例示できる。
Sp231、Sp232、Sp233、Sp234及びSp235はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキレン基を表し(該アルキレン基中の水素原子は、1つ以上のハロゲン原子、又はCN基により置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−により置き換えられていても良い。)を表し、
j3は0又は1を表し、
MG3はメソゲン基を表し、当該メソゲン基としては、一般式(II−3−b)
Z11及びZ21はそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−OCOCH2CH2−、−C=N−、−N=C−、−CONH−、−NHCO−、−C(CF3)2−、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数2〜10のアルキル基又は単結合を表し、r11は0、1、2又は3を表し、B11、及びZ11が複数存在する場合は、それぞれ、同一であっても、異なっていても良い。)で表されるが、Z11、Z21が単結合を表す場合、上記B11、B21、B31のうち、隣接して存在する2つの環構造がそれぞれ有する置換基が結合して環状基を形成しても良く、
P231、P232、P233、P234、及びP235は上述の一般式(P−1)〜(P−20)を表すが、重合性を高める観点から、それぞれ独立して、上述の式(P−1)、(P−2)、(P−7)、(P−12)、(P−13)が好ましく、式(P−1)、(P−2)がより好ましい。
m4〜m9はそれぞれ独立して0〜18の整数を表し、n4〜n9はそれぞれ独立して0又は1を表す。
(重合性液晶組成物に含有するその他の化合物)
本発明の重合性液晶組成物中には、本発明の性質を損なわない限りその他の化合物及び添加剤を配合することができる。
(その他の液晶化合物)
本発明の重合性液晶組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、重合性基を有さないメソゲン基を含有する化合物を添加しても良く、通常の液晶デバイス、例えばSTN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)液晶や、TN(ツイステッド・ネマチック)液晶、TFT(薄膜トランジスター)液晶等に使用される化合物が挙げられる。
Z0d、Z1d、Z2d及びZ3dはそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH2 CH2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−OCOCH2CH2−、−CONH−、−NHCO−、炭素数2〜10のハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を有してもよいアルキレン基又は単結合を表し、
neは0、1又は2を表し、
R51及びR52はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基又は炭素原子数1〜18のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−COS−又は−C≡C−により置き換えられていても良い。)で表される化合物が挙げられる。
(有機溶剤)
本発明における重合性液晶組成物には塗布性を上げるために有機溶剤を添加してもよい。用いる有機溶剤としては特に限定はないが、重合性液晶化合物が良好な溶解性を示す有機溶剤が好ましく、150℃以下の温度で乾燥できる有機溶剤であることが好ましい。そのような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン及びクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできるが、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤及び芳香族炭化水素系溶剤のうちのいずれか1種類以上を用いることが溶液安定性の点から好ましい。
(重合禁止剤)
本発明における重合性液晶組成物には、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、フェノール系化合物、キノン系化合物、アミン系化合物、チオエーテル系化合物、ニトロソ化合物、等が挙げられる。
(熱重合開始剤)
本発明における重合性液晶組成物には、前記重合性組成物に含有する光重合開始剤とともに、熱重合開始剤を併用してもよい。熱重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、メチルアセトアセテイトパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカーボネイト、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパ−オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、p−ペンタハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネイト、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオン−アミヂン)ジハイドロクロライド等のアゾアミヂン化合物、2,2’アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、2,2’アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアルキルアゾ化合物等を使用することができる。具体的には、和光純薬工業株式会社製の「V−40」、「VF−096」、日本油脂株式会社(現日油株式会社)の「パーへキシルD」、「パーへキシルI」等が挙げられる。
(連鎖移動剤)
本発明における重合性液晶組成物は、光学異方体とした場合の基材との密着性をより向上させるため、連鎖移動剤を添加することも好ましい。連鎖移動剤としては、チオール化合物が好ましく、モノチオール、ジチオール、トリチオール、テトラチオール化合物がより好ましく、トリチオール化合物が更により好ましい。具体的には下記一般式(8−1)〜(8−13)で表される化合物が好ましい。
(光安定剤)
本発明の重合性組成物には、光学異方体とした場合の耐光性をより向上させるため、光安定剤を添加してもよい。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。具体的には、下記一般式(G)で表される化合物が好ましい。
R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF2−又は−CF2O−に置換されてもよく、R2とR3及び/又はR4とR5は互いに結合して環を形成してもよく、
R6及びR7はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF2−又は−CF2O−に置換されてもよく、
M1はn価の有機基を表し、複数存在するR1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は同一であっても異なっていてもよく、
nは1〜4の整数を表す。)
一般式(G)において、R1は耐光性能を高めるには水素原子、−O・、−OHであることが好ましく、水素原子及び/又は−O・であることが更に好ましく、水素原子が特に好ましい。また、重合性液晶化合物との相溶性を高めるためには炭素原子数1〜12の無置換のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基又は炭素原子数3〜12のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜8の無置換のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数3〜8のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜4の無置換のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は炭素原子数3又は4のアルケニル基であることが更に好ましい。また、直鎖状であることが好ましい。
A1は
A2は
A3は
一般式(G−M−1)〜一般式(G−M−5)中、Z1、Z2、Z3及びZ4の少なくとも1個以上は−O−、−CO−O−又は単結合を表すことが好ましく、Z1、Z3及びZ4の全てが−O−、−CO−O−又は単結合を表すことが特に好ましい。また、Sp1、Sp2、Sp3及びSp4は、単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜4のアルキレン基を表すことがより好ましい。該アルキレン基は無置換であるか、又はアルキレン基中に存在する1個又は2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−O−、−CO−、−CO−O−又は−O−CO−に置換されていることが好ましく、無置換であることがより好ましい。具体的には、炭素原子数1〜4の無置換のアルキレン基又は単結合であることが特に好ましい。
なお、一般式(G)中に存在する隣接する2個以上の−CH2−がそれぞれ独立して−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF2−又は−CF2O−に置換されることはない。
(酸化防止剤)
本発明の重合性組成物には、光学異方体とした場合の耐熱性をより向上させるため、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が好ましいが、フェノール系酸化防止剤がより好ましい。具体的には、下記一般式(H)で表される化合物が挙げられる。
一般式(H−4)中、MH4は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていてもよい。)、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基(1,4−フェニレン基中の任意の水素原子はフッ素原子により置換されていてもよい。)又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すが、炭素原子数1から14のアルキレン基であることが好ましく、揮発性を考慮すると炭素原子数は大きい数値が好ましいが、粘度を考慮すると炭素原子数は大き過ぎない方が好ましいことから、炭素原子数2から12が更に好ましく、炭素原子数3から10が更に好ましく、炭素原子数4から10が更に好ましく、炭素原子数5から10が更に好ましく、炭素原子数6から10が更に好ましい。
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−フェニレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH=は−N=によって置換されていてもよい。また、1,4−フェニレン基中の水素原子はそれぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−シクロヘキシレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−は−O−又は−S−によって置換されていてもよい。また、1,4−シクロヘキシレン基中の水素原子はそれぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
更に具体的には、例えば、式(H−11)から式(H−15)が挙げられる。
(その他の添加剤)
更に物性調整のため、目的に応じて、液晶性のない重合性化合物、チキソ剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
(積層体からなる光学異方体の製造方法)
(光学異方体)
本発明の重合性液晶組成物を用いて作製した光学異方体は、基材、必要に応じて配向膜、場合により前記重合性組成物の重合体及び、本発明の重合性液晶組成物の重合体を順次積層したものである。
(基材)
本発明の積層体からなる光学異方体に用いられる基材は、液晶デバイス、ディスプレイ、光学部品や光学フィルムに通常使用する基材であって、本発明の重合性液晶組成物の塗布後の乾燥時における加熱に耐えうる耐熱性を有する材料であれば、特に制限はない。そのような基材としては、ガラス基材、金属基材、セラミックス基材やプラスチック基材等の有機材料が挙げられる。特に基材が有機材料の場合、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート(アクリル樹脂)、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン又はポリスチレン等が挙げられる。中でもポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリオレフィン、セルロース誘導体、ポリアリレート、ポリカーボネート等のプラスチック基材が好ましく、ポリアクリレート、ポリオレフィン、セルロース誘導体等の基材がさらに好ましく、ポリオレフィンとしてCOP(シクロオレフィンポリマー)を用い、セルロース誘導体としてTAC(トリアセチルセルロース)を用い、ポリアクリレートとしてPMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いることが特に好ましい。基材の形状としては、平板の他、曲面を有するものであっても良い。これらの基材は、必要に応じて、電極層、反射防止機能、反射機能を有していてもよい。
(配向処理)
また、上記基材としては、本発明の重合性液晶組成物を塗布乾燥した際に重合性液晶組成物が配向するように、ガラス基材単独、あるいは基材上に配向膜が設けられていても良い。配向処理としては、延伸処理、ラビング処理、偏光紫外可視光照射処理、イオンビーム処理等が挙げられる。配向膜を用いる場合、配向膜は公知慣用のものが用いられる。そのような配向膜としては、ポリイミド、ポリアミド、レシチン、水酸基、カルボン酸基またはスルホン酸基を含有する親水性ポリマーや、また親水性の無機化合物、光配向膜などが利用できる。親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸、ポリアルギン酸ソーダ、ポリカルボキシメチルセルロースソーダ塩、プルラン、ポリスチレンスルホン酸が挙げられる。また、親水性の無機化合物としては、Si、Al、Mg、Zr等の酸化物やフッ化物等の無機化合物が上げられる。親水性の基材は光学異方体の光学軸を基材に対して法線方向にほぼ平行に配向させるために有効なものであるため、ポジティブCプレートの光学異方体を得るために好ましいが、親水性の基材にラビング処理した場合には水平配向膜として作用するため、親水性ポリマー層においてラビング処理は垂直配向性に悪影響を及ぼすためポジティブCプレートの光学異方体を得るためには好ましくない。
(塗布)
本発明の積層体からなる光学異方体を得るための塗布法としては、アプリケーター法、バーコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、フレキソコーティング法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディップコーティング法、スリットコーティング法等、公知慣用の方法を行うことができる。重合性液晶組成物を塗布後、必要に応じて重合性液晶組成物に含有される溶剤を加熱乾燥させる。
(重合工程)
本発明の重合性液晶組成物の重合操作については、重合性液晶組成物中の液晶化合物が基材に対してハイブリッド配向状態で一般に紫外線等の光照射、あるいは加熱によって行われる。重合性液晶組成物は、通常、昇温過程において、C(固相)−N(ネマチック)転移温度(以下、C−N転移温度と略す。)から、N(ネマチック)−I(等方相)転移温度(以下、N−I転移温度と略す。)範囲内で液晶相を示す。一方、降温過程においては、熱力学的に非平衡状態を取るため、C−N転移温度以下でも凝固せず液晶状態を保つ場合がある。この状態を過冷却状態という。本発明においては、過冷却状態にある液晶組成物も液晶相を保持している状態に含めるものとする。重合を光照射で行う場合は、具体的には390nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜370nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、390nm以下の紫外光により重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、390nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。この光は、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。紫外線照射強度は、0.05kW/m2〜10kW/m2の範囲が好ましい。特に、0.2kW/m2〜2kW/m2の範囲が好ましい。紫外線強度が0.05kW/m2未満の場合、重合を完了させるのに多大な時間がかかる。一方、2kW/m2を超える強度では、重合性液晶組成物中の液晶分子が光分解する傾向にあり、重合性液晶のオーダーパラメーターが変化して、重合後のフィルムのリタデーションに狂いが生じる可能性がある。
(接着剤や粘着剤の重合方法)
本発明の重合性組成物は、基材等と重合性液晶組成物の重合体等との接着剤層や粘着剤層を形成する重合体として使用することができる。本発明の重合性組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましく、中でも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。
(光学フィルム)
光学フィルム(位相差膜)は、通常の光学異方体の製造方法と同様にして作製される。得られる位相差膜は、ハイブリッド液晶フィルム等として使用することができる。液晶デバイス、ディスプレイ、光学素子、光学部品、着色剤、セキュリティ用マーキング、レーザー発光用部材、光学フィルム、及び、補償フィルム等の用途に応じて、用途に適した形で形成される。
(位相差パターニング膜)
位相差パターニング膜は、基材、配向膜、必要に応じて本発明の重合性組成物の重合体、及び、重合性液晶組成物の重合体を順次積層したものであるが、重合工程において、部分的に異なる位相差が得られるようにパターニングされたものである。パターニングは、線状のパターニング、格子状のパターニング、円状のパターニング、多角形状のパターニング等、異なる方向の場合もある。液晶デバイス、ディスプレイ、光学素子、光学部品、着色剤、セキュリティ用マーキング、レーザー発光用部材、光学フィルム、及び、補償フィルム等の用途に応じて、適用される。
(反射防止膜)
本発明の反射防止膜は、偏光板に更に位相差板が積層されてなる円偏光板である。直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
(視野角補償膜)
視野角補償膜は、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるための膜である。このような視野角補償膜としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムや一軸配向した液晶ポリマー膜が用いられるのに対し、視野角補償膜として用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えば、液晶ポリマーを斜め配向させたものや重合性液晶を斜め配向させた状態で紫外線等の活性エネルギー線により重合したポリマー膜などが挙げられる。液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いる。
(重合性液晶組成物(1)の調製)
式(A−1)で表される化合物50部、式(A−2)で表される化合物50部の合計値100部に対して、パラーメトキシフェノール(MEHQ)(C−1)0.1部、式(D−1)の化合物0.5部、及び式(E−1)の化合物0.1部を用い、これらの化合物の全合計量が20質量%となるように、有機溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(G−1)を用い、攪拌プロペラを有する攪拌装置を使用し、攪拌速度が300rpm、溶液温度が70℃の条件下で1時間攪拌後、0.2μmのメンブランフィルターで濾過して重合性液晶組成物(1)を得た。
配向膜用ポリイミド溶液を厚さ0.7mmのガラス基材にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することによりポリイミド塗膜を得た。得られた塗膜を市販のラビング装置を用いてラビング処理した。
(配向欠陥)
◎:目視で欠陥が全くなく、偏光顕微鏡観察でも欠陥が全くない。
〇:目視では欠陥がないが、偏光顕微鏡観察で一部に無配向部分が存在している。
△:目視では欠陥がないが、偏光顕微鏡観察で無配向部分が多数存在している。
×:目視で一部欠陥が生じており、偏光顕微鏡観察でも無配向部分が全体的に存在している。
位相差測定装置RETS−100(大塚電子(株)製)を用いて、入射光の角度−50度〜+50度の範囲における位相差を測定し、入射光の角度が0度の位相差値と±50度の位相差値から空気界面での液晶分子配向チルト角を算出した。チルト角が40°〜70°の範囲のとき、ハイブリッド配向しているとした。
(透過率)
得られた光学異方体(1)の透過率は、紫外可視分光光度計V−560(日本分光株式会社製)を用いて測定し、波長400〜800nmの平均透過率として算出した。なお、光学異方体(1)を形成する前のガラス基板の平均透過率をベースラインとした。
(耐光試験)
得られた光学異方体(1)を、i線領域の照度が1W/cm2のメタルハライドランプに紫外線吸収フィルター(商品名:SC−39、富士フィルム株式会社製)を介して、120℃で加熱した状態で紫外可視領域の光を200時間照射した。耐光試験後の光学異方体(1)の透過率を測定したところ、98.5%であった。
(重合性組成物(U1)の調整)
<ウレタンアクリレートUA1の合成>
攪拌羽根のついたフラスコにIPDI(イソホロンジイソシアネート)444部(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1000)1000部(1モル)を発熱に注意しながら仕込み、70℃まで昇温した。この温度で反応を7時間行い、NCO%を測定したところ、3.58%であった。ついで2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)232部(2モル)を仕込み、この温度で更に7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA1(数平均分子量1676)を得た。前記ウレタンアクリレートUA1を31.3重量部、EO(エチレンオキサイド)変性トリメチロールプロパントリアクリレート3重量部、ラウリルアクリレート31.3重量部、Tinuvin765を0.3重量部、イルガキュア184を0.8重量部、ノニルフェノールEO(エチレンオキサイド)変性アクリレート33.3重量部、を攪拌装置に入れた後、攪拌速度500rpm、温度60℃の条件で1時間撹拌し、化合物が全て溶解したのを確認した。その後、1.0μmのメンブランフィルターでろ過して重合性組成物(U1)を得た。
位相差変化率(%)=((加熱試験後の入射光θ=50°の波長550nmでの位相差)−(加熱試験前の入射光θ=50°の波長550nmでの位相差))/(加熱試験前の入射光θ=50°の波長550nmでの位相差) 式(A)
(重合性組成物(2)〜(29)および(C1)〜(C5)の調整)
下記表に示す各化合物をそれぞれ下記表に示す割合に変更した以外は重合性組成物(1)の調整と同一条件で、本発明の重合性組成物(2)〜(29)、及び、比較用重合性組成物(C1)〜(C5)を得た。
アデカスタブLA82(F−1)
TINUVIN765(F−2)
アデカスタブ2112(F−3)
アデカスタブAO−412S(F−4)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(G−1)
シクロペンタノン(G−2)
Claims (8)
- 2種以上の分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(II)、光重合開始剤(III)、フッ素系界面活性剤(IV)を含有する重合性液晶組成物であって、
前記分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(II)が、一般式(II−A)
(式中、W1及びW2はそれぞれ独立的に単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に−COO−又は−OCO−を表し、p及びqはそれぞれ独立的に2〜13の整数を表すが、式中に存在する1,4−フェニレン基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される化合物であり、
前記光重合開始剤(III)が一般式(III−a)
(式中、Ra1及びRa2はそれぞれ独立して、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素原子数1〜3のアルキル基、又はシクロヘキシル基を表し、これらのアルキル基又はシクロヘキシル基の炭素原子上の水素原子はヒドロキシル基に置換されていてもよく、X1又はX2はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表す。)で表される化合物を含有する重合性液晶組成物。 - 2種以上の分子内に2個の重合性官能基を有する重合性液晶化合物(II)に加え、1個の重合性官能基を有する液晶化合物、又は3個の重合性官能基を有する液晶化合物を含有する請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一つに記載の重合性液晶組成物の重合体からなり、ハイブリッド配向を示す位相差膜。
- 請求項1〜3のいずれか一つに記載の重合性液晶組成物を基材上に塗布、溶剤を乾燥させた後、紫外線照射することを特徴とする、ハイブリッド配向を示す位相差膜の製造方法。
- 請求項4に記載の位相差膜上に、接着剤又は粘着剤を塗布させた後、紫外線照射、熱処理することを特徴とする積層体の製造方法。
- 請求項5〜6のいずれか一つに記載の位相差膜を用いた液晶表示素子。
- 請求項5〜6のいずれか一つに記載の位相差膜を用いた有機発光表示素子。
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