以下、本実施形態に係る飲料供給装置1について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る飲料供給装置1の外観を示す斜視図である。
本実施形態に係る飲料供給装置1は、飲料ボトル5からの水を供給するウォーターサーバーである。飲料供給装置1は、装置本体である筐体10と、供給ノズル20と、操作パネル30とを主体に構成されている。
筐体10は、その内部に、昇温手段により加熱された水(温水)を貯留する温水タンク、冷却手段により冷却された水(冷水)を貯留する冷水タンク、及び各種の配管を備えている。各種の配管により、飲料ボトル5に貯留された水が筐体10の内部へと取り入れられ、温水タンク又は冷水タンクへと供給される。また、各種の配管により、温水タンク内の温水、冷水タンク内の冷水又は飲料ボトル5から取り入れられた水(常温水)が供給ノズル20へと供給される。
筐体10の正面(前面)10aの中央部には、所要の大きさを備える筐体開口10a1が設けられている。筐体開口10a1には、化粧パネル11が配設されている。
化粧パネル11の上部には、膨出部12が設けられている。膨出部12は、上側から下側にかけて外側に向かって傾斜する面形状として構成されている。膨出部12の表面には、操作パネル30が配設されている。
また、化粧パネル11において膨出部12よりも下側には、上側から下側にかけて筐体10の内側に入り込むように傾斜する傾斜壁部13と、当該傾斜壁部13の下側に連設されて、鉛直方向に起立する縦壁部14とが設けられている。この傾斜壁部13と、縦壁部14と、筐体10をなす左右の側面10b,10cとにより、供給ノズル20から供給される水を受けるための給水空間Sが形成される。
給水空間Sの下端には、コップ等の容器を載置したり、容器から溢れた水を受け止めたりするためのドリップトレイ15が配置されている。飲料供給装置1の使用時には、ドリップトレイ15上の所定位置に容器を置き、操作パネル30に対して所定の給水操作を行うことで、供給ノズル20から供給される水を容器で受けることができる。
筐体10の上部には、ボトル載置部16が設けられている。ボトル載置部16には、飲料が充填された飲料ボトル5を載置することができる。ボトル載置部16に載置された飲料ボトル5内の水は、装置周囲の温度に応じた常温となる。
供給ノズル20は、ユーザーが水の供給を受けるためのものである。傾斜壁部13には開口部が設けられており、供給ノズル20は、その先端部が下向きに突き出すように、傾斜壁部13の開口部に配置されている。供給ノズル20は、その周囲が保護カバー21により覆われている。供給ノズル20は、筐体10内に収容された配管の最下流に接続されている。もっとも、供給ノズル20は、配管の一部を流用することも可能である。
操作パネル30は、膨出部12の表面に配設されている。操作パネル30は、飲料供給装置1に対するユーザーの操作を受け付けたり、飲料供給装置1に関する情報を表示したりする。利用者は、操作パネル30に対して操作を行うことで飲料供給装置1が備える複数の機能の中から希望の機能を選択したり、選択した機能を実行したりすることができる。また、利用者は、操作パネル30上の情報を視認することで、飲料供給装置1が備える複数の機能を認識したり、現在どの機能が選択されているかを認識したりすることができる。
図2は、操作パネル30の正面図である。操作パネル30は、操作部31と、表示部32とを備えている。
操作部31は、ユーザーからの操作を受け付けるものである。操作部31は、回転ダイヤル31aと、給水決定ボタン31bと、ロック解除ボタン31cと、設定解除ボタン31dとを備えている。
表示部32は、飲料供給装置1が備える複数の機能を表示するとともに、この複数の機能の中で現在選択されている機能を表示するものである。本実施形態において、飲料供給装置1は、冷水機能、温水機能、常温水機能、省エネ機能、クリーニング機能、加熱機能及び警報機能を含む7つの機能を備えている。表示部32は、これらの7つの機能と対応して、冷水表示部32a、温水表示部32b、常温水表示部32c、省エネ表示部32d、クリーニング表示部32e、加熱表示部32f及び水分補給表示部(警告部)32gを備えている。個々の表示部32a〜32gは、操作パネル30上に描画されたアイコンと、操作パネル30の裏面に配置されて、当該操作パネル30を透過照明する光源(図示せず)とで構成されている。
回転ダイヤル31aは、円筒形状の操作部材であって、その中心軸を中心に回転可能に操作パネル30上に配置されている。この回転ダイヤル31aの周囲には、各機能の表示部32a〜32gが周方向に沿って所定のピッチで配置されている。回転ダイヤル31aは、各表示部32a〜32gのいずれか1つを選択するように回転操作を行うことができる。回転ダイヤル31aを回転操作し、複数の表示部32a〜32gの中から1つの表示部32a〜32gを選択することで、その表示部32a〜32gに対応する機能を選択することができる。また、回転ダイヤル31aにより選択された表示部32a〜32gは、光源が点灯し、他の表示部32a〜32gは、光源が消灯する。
給水決定ボタン31bは、選択されている機能を実行するための操作部である。例えば冷水表示部32aが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、冷水を供給する冷水機能が実行される。これにより、供給ノズル20から冷水が供給される。温水表示部32b又は常温水表示部32cが選択されているときも同様で、給水決定ボタン31bが操作されると、温水を供給する温水機能又は常温水を供給する常温水機能が実行される。これにより、供給ノズル20から温水又は常温水が供給される。
また、省エネ表示部32dが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、省エネ機能が実行される。省エネ機能は、飲料供給装置1を省エネモードで運転させる機能である。省エネ機能が実行されると、冷水タンク内の冷水温度を標準温度よりも上げる処理及び温水タンク内の温水温度を標準温度よりも下げる処理の少なくとも一方が実施され、電力消費の抑制が図られる。
クリーニング表示部32eが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、クリーニング機能が実行される。クリーニング機能は、筐体10内の配管、冷水タンク及び温水タンクをクリーニングさせる機能である。クリーニング機能が実行されると、冷水タンク内の冷水を殺菌するためのUV−LED(紫外線LED)ライトを点灯させる処理が実施され、これにより冷水タンクの殺菌が行われる。なお、クリーニング機能は、この方法に限られるものではなく、配管、冷水タンク及び温水タンク内で温水を循環させるものであってもよいし、その他の方法であってもよい。
加熱表示部32fが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、加熱機能が実行される。加熱機能は、温水タンク内の温水の加熱を行う機能である。加熱が実行されると、例えば通常は80℃程度の温水タンク内の温水を90℃以上に昇温させる処理が実施される。
水分補給表示部32gが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、警報機能が実行される。警報機能は、飲料供給装置1を熱中症警告モードで運転させる機能である。警報機能が実行されると、飲料供給装置1が熱中症の可能性を判断して警告を行う処理が実施され、ユーザーに水分摂取を促すことができる。
ロック解除ボタン31cは、いわゆるチャイルドロック状態を解除するための操作部である。チャイルドロック状態とは、温水表示部32bが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されても温水機能の実行を禁止する状態である。このロック解除ボタン31cが特定時間(例えば3秒)連続して長押しされることにより、チャイルドロック状態が解除される。
なお、チャイルドロック状態は、温水機能の実行禁止に限らず、冷水機能や常温水機能の実行禁止に適用してもよい。さらに、チャイルドロック状態は、他の表示部32d〜32gの選択中において給水決定ボタン31bが操作された場合に、当該表示部32d〜32gに対応する機能の実行を禁止するようにしてもよい。
設定解除ボタン31dは、後述する更新処理について有効又は無効を切り替えたり、更新処理における動作モードを切り替えたりするための操作部である。例えば、設定解除ボタン31dが短押しされることで(例えば1秒)、更新処理を有効とするのか、それとも無効とするのかを切り替えることができる。また、更新処理が有効にされている場合に、例えば、設定解除ボタン31dが長押しされることで(例えば3秒)、動作モードの切り替えを行うことができる。
なお、更新処理についての有効又は無効の切り替え、或いは、更新処理における動作モードの切り替えは、専用の設定解除ボタン31dを設けるに限らない。回転ダイヤル31a、給水決定ボタン31b及びロック解除ボタン31cを組み合わせて、これらの切り替えを行うようにしてもよい。
図3は、本実施形態に係る飲料供給装置1の制御構成を示すブロック図である。飲料供給装置1は、温湿度センサー40と、電磁弁50と、スピーカー60と、制御部70とを備えている。
温湿度センサー40は、装置周囲の温度及び湿度を検出する。温湿度センサー40は、サーミスタ等を用いた温度を測定する電子素子、及び、高分子容量式等の検出方式に基づいて湿度を測定する電子素子等を利用したセンサーである。この温湿度センサー40は、タンク内の冷水や温水温度を検出するセンサーとは別に設けられるものである。また、温湿度センサー40は、筐体10の冷水タンクや温水タンクからの温度の影響を受け難いように、これらのタンク並びに冷却手段及び昇温手段から離間して配置されている。具体的には、温湿度センサー40は、操作パネル30の裏面側に設けられている。
電磁弁50は、供給ノズル20からの水の供給を制御する。電磁弁50は、開弁状態において供給ノズル20からの水の供給を許可し、閉弁状態において供給ノズル20からの水の供給を停止する。この電磁弁50は、冷水タンクからの冷水を供給する冷水電磁弁と、温水タンクからの温水を供給する温水電磁弁と、常温水を供給する常温水電磁弁とを含んでいる。
スピーカー60は、制御部70に制御されて、所定の音声を出力する。このスピーカー60を通じて、飲料供給装置1に関する各種の状態等が音声出力される。
制御部70は、飲料供給装置1の制御を行う。制御部70としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPUは、各種プログラムを実行する(プロセッサー)。ROMは、CPUが実行する各種プログラムを、当該CPUが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納する。また、ROMは、プログラムの実行に必要となるデータを格納する。RAMは、作業用の記憶領域となるメモリである。ROMに格納されたプログラム及びデータは、CPUにより読み出されると、RAM上に展開される。そして、CPUは、RAM上に展開したプログラム及びデータに基づいて、各種の処理を行う。
本実施形態との関係において、制御部70は、操作部31からの操作信号、温湿度センサー40を含む各種センサーからのセンサー信号に基づいて、飲料供給装置1を制御する。制御部70は、これを機能的に捉えた場合、切替手段71と、制御手段72と、記憶手段73と、更新手段74とを有している。
切替手段71は、回転ダイヤル31aによって機能が選択された場合に、現在選択されている機能から、回転ダイヤル31aによって選択された機能へと切り替えを行う。また、切替手段71は、回転ダイヤル31aが操作される以外にも、予め設定されたデフォルト条件を具備した場合に、現在選択されている機能から、デフォルト設定に関連付けられた機能へと切り替えを行う。また、切替手段71は、機能の切り替えに伴い、切り替え後の機能に対応する表示部32a〜32gの光源を点灯させ、切り替え前の機能に対応する表示部32a〜32gの光源を消灯させる。
ここで、デフォルト条件は、現在選択されている機能からデフォルト設定に関連付けられた機能へと自動的に切り替えるための条件であり、例えば、操作部31に対する最終操作の後、一定時間が経過したことを用いることができる。ただし、デフォルト条件は一例であり、これに限定されるものではない。また、デフォルト設定は、初期的には(工場出荷時には)、設計者によって選択される特定の機能(例えば冷水機能)が関連付けられている。そして、デフォルト設定に関連付けられる機能は、後述する更新手段74によって更新される。
制御手段72は、切替手段71によって切り替えられた機能に従って飲料供給装置1の制御を行う。すなわち、制御手段72は、表示部32、電磁弁50、冷却手段及び昇温手段等を制御する。
記憶手段73は、冷水機能、温水機能及び常温水機能を含む3つの給水機能毎の給水回数を示す履歴情報を格納している。例えば、履歴情報は給水毎に更新され、当該履歴情報には、最大で500回分の給水に関するデータが記述される。また、記憶手段73は、周期的に検出された装置周囲の温度を示す環境情報を格納している。例えば、環境情報は1分間隔で更新され、当該環境情報には、最大で1日分の温度に関するデータが記述される。
更新手段74は、飲料供給装置1が備える機能の中からデフォルト設定に関連付けられる機能を更新する更新処理を行う。なお、飲料供給装置1が備える機能は、冷水機能、温水機能、常温水機能、省エネ機能、クリーニング機能、加熱機能及び警報機能を含む7つの機能であるが、冷水機能、温水機能及び常温水機能を含む3つの給水機能が飲料供給装置1としての本質であることから、本実施形態では、これらの3つの給水機能の中で更新処理を行うこととする。
更新手段74は、切替可能な2つの動作モードとして、学習モードと、環境モードとを有している。
学習モードは、ユーザーが過去に選択した機能を学習し、ユーザーの仕様頻度が高い機能をデフォルト設定に関連付けるモードである。この学習モードにおいて、更新手段74は、記憶手段73の履歴情報を統計的に処理し、この処理結果に基づいて3つの給水機能の中で更新処理を行う。
この学習モードを行うため、更新手段74は、給水が行われる度に、該当する給水機能の給水回数を1だけインクリメントし、これにより、履歴情報を更新する。
一方、環境モードは、装置周囲の温度に応じて定まる機能をデフォルト設定に関連付けるモードである。この環境モードにおいて、更新手段74は、記憶手段73の環境情報を統計的に処理し、この処理結果に基づいて3つの給水機能の中で更新処理を行う。
この環境モードを行うために、更新手段74は、1分毎に装置周囲の温度を検出し、この温度を環境情報に追加する。
また、更新手段74は、設定解除ボタン31dの操作に応じて、更新処理を有効又は無効にしたり、更新処理における動作モードを切り替えたりする。更新手段74は、更新処理を有効又は無効にした場合には、スピーカー60を制御して、「更新処理を有効にします」又は「更新処理を無効にします」といった音声出力を行う。同様に、動作モードを切り替えた場合、更新手段74は、スピーカー60を制御して、「学習モードを有効にします」又は「環境モードを有効にします」といった音声出力を行う。
なお、設定解除ボタン31dによる切り替えの報知は、音声出力に因るものに限らず、操作パネル30への表示を通じて行ってもよい。また、音声出力と表示との双方を行うものであってもよい。
次に、本実施形態に係る飲料供給装置1の制御方法を説明する。図4は、本実施形態に係る飲料供給装置1の制御方法を示すフローチャートであり、デフォルト設定の更新に関する更新処理の内容を示している。このフローチャートに示す処理は、飲料供給装置1への電源投入をトリガーとして実行される。また、図5は、給水頻度に応じた更新処理の概念を示す説明図である。
まず、ステップS1において、更新手段74は、動作モードが、学習モードであるか否かを判断する。動作モードが学習モードである場合には、ステップS1において肯定判定され、ステップS2以降の処理に進み、給水頻度に応じた更新処理を行う。一方、動作モードが環境モードである場合には、ステップS1において否定判定され、ステップS7以降の処理に進み、装置周囲の温度に応じた更新処理を行う。
ステップS2において、更新手段74は、給水が行われたか否かを判断する。温水、冷水及び常温水のいずれかの給水が行われた場合には、ステップS2において肯定判定され、ステップS3に進む。一方、給水が行われない場合には、ステップS2において否定判定され、本ルーチンを終了する(RETURN)。
ステップS3において、更新手段74は、履歴情報を更新する。具体的には、更新手段74は、該当する給水機能の給水回数、及び総給水回数をそれぞれ1だけインクリメントする。
ステップS4において、更新手段74は、総給水回数が規定回数、例えば500回に到達したか否かを判断する。総給水回数が500回に到達した場合には、ステップS4において肯定判定され、ステップS5に進む。一方、総給水回数が500回に到達していない場合には、ステップS4において否定判定され、本ルーチンを終了する(RETURN)。
ステップS5において、更新手段74は、更新処理を行う。具体的には、更新手段74は、1回から499回までの給水回数を給水機能毎にカウントした履歴情報に基づいて、3つの給水機能の中で給水回数が最も多い給水機能をデフォルト設定に関連付ける。図5に示す例では、温水機能の給水回数が最多となるので、デフォルト設定に関連付けられる機能が、従前に選択されていた常温水給水機能から、温水機能へと更新される。
ステップS6において、更新手段74は、総給水回数及び給水機能毎の給水回数を含む履歴情報をリセットする。
ステップS7において、更新手段74は、タイマー(図示せず)のタイマー値を参照し、規定周期、例えば1分に到達したか否かを判断する。タイマーのタイマー値が1分に到達した場合には、ステップS7において肯定判定され、ステップS8に進む。一方、タイマーのタイマー値が1分に到達していない場合には、ステップS7において否定判定され、本ルーチンを終了する(RETURN)。
ステップS8において、更新手段74は、温湿度センサー40により、装置周囲の温度を検出する。
ステップS9において、更新手段74は、検出された温度を環境情報に追加する。
ステップS10において、更新手段74は、タイマーをリセットした上で、当該タイマーのカウントアップを開始させる。
ステップS11において、更新手段74は、環境情報に所定期間、例えば1日分の温度について取得が完了したか否かを判断する。1日分の温度について取得が完了した場合には、ステップS11において肯定判定され、ステップS12に進む。一方、1日分の温度について取得が完了していない場合には、ステップS11において否定判定され、本ルーチンを終了する(RETURN)。
ステップS12において、更新手段74は、環境情報に記述された1日分の温度、すなわち、1440個分の温度に基づいて、1日の平均温度を算出する。
ステップS13において、更新手段74は、1日の平均温度が第1判定温度、例えば20℃以上であるか否かを判断する。1日の平均温度が20℃未満である場合には、ステップS13において否定判定され、ステップS14に進む。一方、1日の平均温度が20℃以上である場合には、ステップS13において肯定判定され、ステップS15に進む。
ステップS14において、更新手段74は、1日の平均温度が第2判定温度(<第1判定温度)、例えば15℃未満であるか否かを判断する。1日の平均温度が15℃未満である場合には、ステップS14において肯定判定され、ステップS16に進む。一方、1日の平均温度が15℃以上である場合には、ステップS14において否定判定され、ステップS17に進む。
ステップS15において、更新手段74は、更新処理を行う。具体的には、更新手段74は、デフォルト設定に関連付ける機能を、3つの給水機能の中で最も低い温度で給水を行う冷水機能へと更新する。
ステップS16において、更新手段74は、更新処理を行う。具体的には、更新手段74は、デフォルト設定に関連付ける機能を、3つの給水機能の中で最も高い温度で給水を行う温水機能へと更新する。
ステップS17において、更新手段74は、更新処理を行う。具体的には、更新手段74は、デフォルト設定に関連付ける機能を、3つの給水機能の中で中間の温度で給水を行う常温水機能へと更新する。
このように本実施形態において、切り替え可能な複数の機能を備える飲料供給装置1は、装置の制御を行う制御部70と、ユーザーが複数の機能の中から機能を選択する操作部31と、を有している。この場合、制御部70は、切替手段71と、制御手段72と、更新手段74とを主体に構成されている。切替手段71は、操作部31によって機能が選択された場合に、当該選択された機能に切り替える。また、切替手段71は、予め設定されたデフォルト条件を具備した場合に、デフォルト設定に関連付けられた機能に切り替える。制御手段72は、切替手段71によって切り替えられた機能に基づいて制御を行う。更新手段74は、複数の機能の中からデフォルト設定に関連付けられる機能を更新する更新処理を行う。
この構成によれば、デフォルト設定に関連付ける機能が更新されることで、デフォルト設定が一つに固定されず、動的に切り替わることとなる。これにより、デフォルト設定の機能と、ユーザーが利用したい機能とが一致する状況が起こりやすくなる。このため、機能を切り替えるための操作頻度が低減するので、飲料供給装置1の操作を容易なものにするとともに、給水を行うまでの時間の短縮を図ることができる。その結果、ユーザーにとって利便性の高い飲料供給装置1を提供することができる。
また、本実施形態において、飲料供給装置1は、切替手段71によって切り替えられた機能について表示する表示部32をさらに有している。
この構成によれば、現在選択されている機能を可視的に把握することができる。これにより、デフォルト条件に従って機能が切り替えられた場合であっても、切り替え後の機能を適切に把握することができる。
また、本実施形態において、複数の機能は、それぞれが異なる給水温度で給水を行う3つの給水機能を含んでいる。この場合、制御部70は、給水機能毎の給水回数を示す履歴情報を格納する記憶手段73をさらに有している。そして、更新手段74は、履歴情報に基づいて、3つの給水機能の中で更新処理を行う。
この構成によれば、ユーザーによる給水機能の利用傾向を考慮して更新処理を行うことができる。これにより、デフォルト設定の機能と、ユーザーが利用したい機能とが一致し易い傾向となる。したがって、機能を切り替えるための操作頻度が低減するので、飲料供給装置1の操作を容易なものにするとともに、給水を行うまでの時間の短縮を図ることができる。その結果、ユーザーにとって利便性の高い飲料供給装置1を提供することができる。
なお、本実施形態では、冷水機能、温水機能及び常温水機能を含む3つの給水機能の中で、デフォルト設定に関連付ける機能を更新している。しかしながら、飲料供給装置1が備える全ての機能、本実施形態では、冷水機能、温水機能、常温水機能、省エネ機能、クリーニング機能、加熱機能及び警告機能を含む7つの機能の中で更新処理を行ってもよい。また、3つの給水機能に比べ、省エネ機能、クリーニング機能、加熱機能及び警告機能はその使用頻度が低いところ、履歴情報においてこれらの機能の使用回数をカウントする場合に、重み係数を付与した値でカウントアップを行ってもよい。
また、本実施形態では、制御部70が更新処理を行うために履歴情報を保有している。このため、履歴情報を活用することで、ユーザーに対する利便性の向上を図ることができる。具体的には、制御部70は、履歴情報の給水回数から、水の使用量を算出することができる。この水の使用量は、飲料ボトル5の提供会社において利用することができる。これにより、飲料ボトル5の提供会社は、水の使用量に基づいて、お得な料金プランを紹介することができる。また、飲料ボトル5の提供会社は、水の使用状況に応じた飲料ボトル5の宅配が可能となる。このため、定期的な配達が不要となり、配達効率の向上を図ることができる。さらに、制御部70は、温水機能又は冷水機能の給水回数が少ない場合には、温水又は冷水をあまり利用していないと判断することができる。この場合、制御部70は、冷水タンク内の冷水温度を上げたり、温水タンク内の温水温度を下げたりすることができる。この温度変更により、電力消費の抑制を図ることができる。また、上述のように、全ての機能について履歴情報を保有しているような場合には、制御部70は、加熱機能の利用頻度に応じて、温水タンク内の温水温度を上げてもよい。
本実施形態では、履歴情報を統計的に処理する方法として、総給水回数が規定回数に到達したことを条件に、給水回数が最も多い給水機能をデフォルト設定に関連付けている。しかしながら、履歴情報を統計的に処理する方法は、これに限定されない。例えば、以下に示すような第2の手法又は第3の手法であってもよい。
図6(a)を参照し、履歴情報を統計的に処理する第2の手法について説明する。第2の手法では、履歴情報が1日毎に更新され、各給水機能毎に、その給水回数が1日分の給水回数に応じてインクリメントされる。そして、更新手段74は、日数が規定日数、例えば30日目を終了したことを条件に更新処理を行う。この場合、更新手段74は、1日目から30日目までの給水について記述した履歴情報に基づいて、3つの給水機能の中で最も給水回数が多い給水機能をデフォルト設定に関連付ける、といった如くである。
図6(b)を参照し、履歴情報を統計的に処理する第3の手法について説明する。第3の手法では、履歴情報が給水毎に更新され、該当する給水機能の給水回数が1だけインクリメントされる。そして、更新手段74は、いずれかの給水機能に関する給水回数が規定回数、例えば50回に到達したことを条件に更新処理を行う。この場合、更新手段74は、履歴情報に基づいて、3つの給水機能の中で、給水回数が50回に到達した給水機能をデフォルト設定に関連付ける、といった如くである。
本実施形態において、複数の機能は、それぞれが異なる給水温度で給水を行う3つの給水機能を含んでいる。この場合、制御部70は、1分毎に検出した装置周囲の温度を示す環境情報を格納する記憶手段73をさらに有している。そして、更新手段74は、1日における装置周囲の平均温度に基づいて、3つの給水機能の中で更新処理を行っている。
ユーザーが利用する水の温度(給水温度)と、平均気温(装置周囲の平均温度)とには相関があると考えられる。例えば、平均気温が高い夏場であれば、冷水を利用する機会が多くなり、平均気温が低い冬場であれば、温水を利用する機会が多くなるといった如くである。この点、本実施形態の構成によれば、装置周囲の平均温度を考慮して更新処理を行うことができる。これにより、デフォルト設定の機能と、ユーザーが利用したい機能とが一致し易い傾向となる。したがって、機能を切り替えるための操作頻度が低減するので、飲料供給装置1の操作を容易なものにするとともに、給水を行うまでの時間の短縮を図ることができる。その結果、ユーザーにとって利便性の高い飲料供給装置1を提供することができる。
なお、本実施形態では、所定の周期で検出した装置周囲の温度を、環境情報として記憶手段73に格納している。しかしながら、装置周囲の温度を検出するタイミングは、周期的なものに限らず、任意のタイミングで行ってもよい。例えば、給水毎に、装置周囲の温度を検出し、環境情報として記憶手段73に格納するものであってもよい。また、本実施形態では、環境情報から装置周囲の平均温度を求めて、更新処理を行っている。しかしながら、記憶手段73に格納される装置周囲の温度に基づいて更新処理を行うのであれば、平均温度を利用する以外の方法を広く利用することができる。例えば、環境情報として格納される一日分の装置周囲の温度を参照し、しきい値温度を超えた回数に応じて、更新処理を行うといった如くである。また、温度に代えて湿度を、或いは、温度とともに湿度を用いて更新処理を行ってもよい。
もっとも、ユーザーが好みとする給水温度には、当然ながら個人差がある。そこで、制御部70は、環境モードにおける更新処理を、以下に示す態様で行ってもよい。具体的には、記憶手段73に、給水機能と、給水時の装置周囲の温度との対応を給水毎に記述した給水温度情報を格納しておく。更新手段74は、給水温度情報を統計的に処理した処理結果に基づいて、3つの給水機能の中で更新処理を行う。
この場合、更新手段74は、給水温度情報を参照し、所定回数分(例えば100回分)のデータを抽出し、給水機能毎に、装置周囲の平均温度を算出する。例えば、冷水機能の場合には装置周囲の平均温度が25℃、温水機能の場合には装置周囲の平均温度が16℃、常温水機能の場合には装置周囲の平均温度が22℃となるといった如くである。このようなデータを前提に、更新手段74は、現在の装置周囲の温度に最も近い温度となる給水機能をデフォルト設定に関連付ける、といった如くである。
また、本実施形態において、更新手段74は、操作部31の操作により、更新処理について有効又は無効が切り替え可能とされる。
この構成によれば、更新処理の可否をユーザーによって決定することができる。これにより、ユーザーが最も使いやすい態様で飲料供給装置1を利用することができる。その結果、ユーザーにとって利便性の高い飲料供給装置1を提供することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
例えば、本実施形態に係る飲料供給装置は、飲料ボトルからの水を供給するウォーターサーバーである。しかしながら、本発明は、ウォーターサーバーに限らず、水以外の清涼飲料水、コーヒー、お茶等の他の種類の飲料を供給するものであってもよいし、複数種の飲料を供給するものであってもよい。
また、本実施形態に係る飲料供給装置は、筐体の上部に飲料ボトルが載置されるものであるが、これに限らず、筐体の内部の下部等に飲料ボトルを収容するタイプのものであってもよい。
また、本実施形態では、更新処理の動作モードを切り替え可能な構成としているが、飲料供給装置は、いずれか一方の動作モードのみで動作する構成であってもよい。