JP2019217467A - ホウ素含有水の処理方法 - Google Patents

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【課題】固液分離性の高い沈殿物が得られるホウ素含有水の処理方法を提供する。【解決手段】ホウ素含有水に3価のセリウム塩を添加した後、過酸化水素水を添加して3価のセリウムイオンを酸化することで、ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンとともに3価のセリウムイオンを存在させる。ホウ素含有水のpHを調整することで、共沈反応によりホウ素を沈殿させる。過酸化水素水の添加量が、セリウムに対する過酸化水素の添加モル比が0.6以上となる量である。【選択図】なし

Description

本発明は、ホウ素含有水の処理方法に関する。さらに詳しくは、共沈法によってホウ素含有水からホウ素を除去する方法に関する。
ホウ素を含有する水(以下、「ホウ素含有水」という。)は、自然界において地下水、海水などとして存在している。また、ホウ素はホウ素化合物を原材料として使用する工業、例えば、ガラス工業をはじめ、医薬、化粧品原料、石鹸工業、電気めっき工業などで生じる廃水、発電所から生じる廃水、ゴミ焼却場で生じる洗煙廃水などの廃水に含まれている。
ホウ素は、動植物にとって必須の微量栄養素であるが、その反面、農業用水中に数mg/L以上の濃度で含まれている場合、植物の成長を阻害することが知られている。また、ホウ素を人体に継続的に摂取したとき、健康障害が生じるおそれがあることから、ホウ素の人体摂取量が法令で規制されている。例えば、水道水の水質基準では水道水に含まれるホウ素濃度が1.0mg/L以下に規制されている。また、海域へのホウ素の排水基準ではホウ素濃度が230mg/L以下、海域外への排水基準ではホウ素濃度が10mg/L以下に規制されている。そこで、ホウ素を含有する廃水は、ホウ素を除去する処理を行った後に、放流される。
ホウ素含有水からホウ素を除去する方法として、ジルコニウム、マグネシウムなどの水酸化物にホウ素を吸着させる吸着法、ホウ素含有水を蒸発濃縮してホウ酸を晶析する蒸発濃縮法、アルコール基を有する溶媒によりホウ素を抽出分離する溶媒抽出法、逆浸透膜を用いてホウ素を分離除去する逆浸透膜法などの種々の方法が知られている。
しかしながら、吸着法は、ジルコニウム、マグネシウムなどの水酸化物へのホウ素の吸着容量が低いため、多量の吸着剤の添加が不可欠であり、効率性と経済性において実用的でない。蒸発濃縮法は、ホウ素含有水を濃縮しホウ酸を晶析させるために熱源が必要であり、特にホウ素濃度が低い廃水を対象とする場合には、莫大なエネルギーを必要とするので経済的でない。しかも、晶析後のホウ素含有水の中和処理が必要となる。溶媒抽出法は、有機溶媒からホウ素を逆抽出して得られるホウ素含有液の処理のほかに、有機溶媒が微量溶解している処理後の廃水の処理が不可欠である。活性炭などにより有機溶媒を回収除去するなどの処理が必要であり経済的でない。逆浸透膜法は、この方法のみで低濃度になるまでホウ素を除去することが困難であるので、他の方法との併用が必要である。また、膜の閉塞による効率悪化の問題がある。
特許文献1には、溶存ホウ素を含有する被処理水中に、希土類元素イオンと多価陰イオン性物質とを存在させ、溶存ホウ素を難溶性物質として沈殿分離することが開示されている。また、特許文献2には、無機性陰イオンを含有する被処理水に、希土類元素の塩溶液と水酸化マグネシウムとを存在させ、無機性陰イオンを難溶性物質として沈殿分離することが開示されている。しかし、希土類元素としてセリウムを選択した場合、沈殿物はセリウムの水酸化物であり、ゲル状またはゼリー状となって固液分離が困難であることが知られている。
特開2004−000963号公報 特開2006−341139号公報
本発明は上記事情に鑑み、固液分離性の高い沈殿物が得られるホウ素含有水の処理方法を提供することを目的とする。
第1発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素含有水に3価のセリウム塩を添加した後、過酸化水素水を添加して3価のセリウムイオンを酸化することで、前記ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンとともに3価のセリウムイオンを存在させ、前記ホウ素含有水のpHを調整することで、共沈反応によりホウ素を沈殿させ、前記過酸化水素水の添加量が、セリウムに対する過酸化水素の添加モル比が0.6以上となる量であることを特徴とする。
第2発明のホウ素含有水の処理方法は、第1発明において、前記過酸化水素水の添加量が、セリウムに対する過酸化水素の添加モル比が1以下となる量であることを特徴とする。
本発明によれば、ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンを存在させることで、3価のセリウムイオンのみを存在させた場合に比べて、固液分離性の高い沈殿物が得られる。
つぎに、本発明の実施形態を説明する。
本願発明者らは、ホウ素含有水にセリウムイオンを存在させ、共沈反応によりホウ素を沈殿させる場合において、セリウムイオンの価数に着目して研究したところ、ホウ素含有水に4価のセリウムイオンを存在させれば、得られる沈殿物の固液分離性が高くなるとの知見を得た。
すなわち、本発明の一実施形態に係るホウ素含有水の処理方法は、ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンを存在させ、ホウ素含有水のpHを調整することで、共沈反応によりホウ素を沈殿させることを特徴とする。
より詳細には、まず、ホウ素含有水に4価のセリウム塩を添加する(セリウム添加工程)。これにより、ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンを存在させる。4価のセリウム塩としては硫酸セリウム(IV)、酸化セリウム(IV)などが挙げられる。
つぎに、ホウ素含有水にpH調整剤を添加して、ホウ素含有水のpHを7〜9に調整する(共沈工程)。これにより、共沈反応が生じ、ホウ素の沈殿物が得られる。pH調整剤としてはアンモニア水、水酸化ナトリウムなどが用いられる。
最後に、共沈工程で得られたスラリーを固液分離して、沈殿物を除去した処理液を得る(固液分離工程)。ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンを存在させることで、3価のセリウムイオンのみを存在させた場合に比べて、固液分離性の高い沈殿物が得られる。そのため、固液分離にかかる時間を短縮でき、効率よくホウ素を除去できる。
ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンとともに3価のセリウムイオンを存在させてもよい。ホウ素含有水に4価のセリウム塩と3価のセリウム塩とを添加することで、ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンとともに3価のセリウムイオンを存在させることができる。あるいは、つぎの手順を採用してもよい。
すなわち、まず、ホウ素含有水に3価のセリウム塩を添加する(セリウム添加工程)。これにより、ホウ素含有水中に3価のセリウムイオンを存在させる。3価のセリウム塩としては硝酸セリウム(III)、塩化セリウム(III)、リン酸セリウム(III)、炭酸セリウム(III)などが挙げられる。
つぎに、ホウ素含有水に酸化剤を添加して3価のセリウムイオンの一部を酸化して4価のセリウムイオンにする(酸化工程)。これにより、ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンとともに3価のセリウムイオンを存在させる。
酸化剤としては過酸化水素水、過マンガン酸カリウム、オゾンガスなどが用いられる。特に過酸化水素水は液体であって、濃度調整可能であるので取り扱いが容易である。酸化剤の添加量は3価のセリウムイオンの所定割合を4価のセリウムイオンに酸化できる量に設定される。また、過酸化水素水の添加量は、セリウムに対する過酸化水素の添加モル比(以下、「H22/Ce」と称する。)が1以下となる量とすることが好ましい。そうすれば、ホウ素を十分に除去できる。また、過酸化水素水の添加量をH22/Ceが0.6以上となる量とすることが好ましい。そうすれば、共沈工程で生じた沈殿物からホウ素が再溶出する量を低減できる。
ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンとともに3価のセリウムイオンを存在させれば、固液分離性の高い沈殿物が得られるとともに、ホウ素の除去効率を高めることができる。なお、4価のセリウムイオンと3価のセリウムイオンとの割合は、固液分離性と除去効率とを考慮して設定すればよい。
(固液分離性試験)
まず、ホウ素含有水へのセリウム塩の添加と、沈殿物の固液分離性との関係について試験を行った。
・試料1
ホウ素濃度が1,000mg/Lのホウ素含有水を容量500ccのビーカーに300cc入れた。ホウ素含有水の初期pHは3であった。ホウ素含有水に純度98%の硫酸セリウム(IV)・四水和物試薬を45g添加して試料1を得た。試料1を撹拌しつつ、濃度15mol/Lのアンモニア水を30cc添加してpH調整を行った。共沈反応が生じ、沈殿物を含むスラリーが得られた。1時間撹拌した後の液相のpHは9であった。
得られたスラリーをビーカー内で静置した。すると、沈殿物が沈降しはじめ上澄み液と沈殿物との界面が現れた。この界面が1cm低下するのにかかる時間を沈降速度と定義し、これを測定した。その結果、沈降速度は80分/cmであった。
前記と同様の手順で新たに試料1を生成し、試料1から沈殿物を含むスラリーを得た。得られたスラリーを孔径0.45μmのメンブレンフィルター(ADVANTEC社製、型番A045A090C、以下同じ。)に通過させ固液分離した。固液分離に要した時間(濾過時間)は45分であった。
得られた濾液をICP分析(ICP分析装置としてセイコーインスツルメンツ社製、型番SPS−7800を用いた。以下同じ。)して、残存ホウ素濃度を測定した。その結果、残存ホウ素濃度は10.1mg/Lであった。また、ホウ素含有水の体積当りの沈殿物の乾燥重量は98.5g/Lであり、ホウ素の除去効率は10.0mg/gであった。ここで、除去効率とは除去されたホウ素の重量[mg]を沈殿物の乾燥重量[g]で除算した値である。
・試料2
ホウ素濃度が1,000mg/Lのホウ素含有水を容量500ccのビーカーに300cc入れた。ホウ素含有水の初期pHは3であった。ホウ素含有水に純度98%の硝酸セリウム(III)・六水和物試薬を45g添加した。つぎに、ホウ素含有水に濃度10mol/Lの過酸化水素水を10cc添加した。1時間撹拌して試料2を得た。試料2のpHは1であった。試料2を撹拌しつつ、濃度15mol/Lのアンモニア水を30cc添加してpH調整を行った。共沈反応が生じ、沈殿物を含むスラリーが得られた。1時間撹拌した後の液相のpHは9であった。
得られたスラリーをビーカー内で静置し、沈降速度を測定した。その結果、沈降速度は60分/cmであった。
前記と同様の手順で新たに試料2を生成し、試料2から沈殿物を含むスラリーを得た。得られたスラリーを孔径0.45μmのメンブレンフィルターに通過させ固液分離した。濾過時間は40分であった。
得られた濾液をICP分析して残存ホウ素濃度を測定した。その結果、残存ホウ素濃度は9.2mg/Lであった。また、ホウ素含有水の体積当りの沈殿物の乾燥重量は93.2g/Lであり、ホウ素の除去効率は10.6mg/gであった。
・試料3
ホウ素濃度が1,000mg/Lのホウ素含有水を容量500ccのビーカーに300cc入れた。ホウ素含有水の初期pHは3であった。ホウ素含有水に純度98%の硝酸セリウム(III)・六水和物試薬を45g添加して試料3を得た。試料3を撹拌しつつ、濃度15mol/Lのアンモニア水を20cc添加してpH調整を行った。共沈反応が生じ、沈殿物を含むスラリーが得られた。1時間撹拌した後の液相のpHは9であった。
得られたスラリーをビーカー内で静置し、沈降速度を測定しようとしたが、界面が現れず測定不能であった。
前記と同様の手順で新たに試料3を生成し、試料3から沈殿物を含むスラリーを得た。得られたスラリーを孔径0.45μmのメンブレンフィルターに通過させ固液分離した。濾過時間は640分であった。
得られた濾液をICP分析して残存ホウ素濃度を測定した。その結果、残存ホウ素濃度は1.06mg/Lであった。また、ホウ素含有水の体積当りの沈殿物の乾燥重量は81.0g/Lであり、ホウ素の除去効率は12.3mg/gであった。
試料1〜3について表1にまとめる。
Figure 2019217467
表1より、試料1、2は試料3に比べて濾過時間が10分の1以下となっていることが分かる。これより、ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンを存在させれば、固液分離性の高い沈殿物が得られることが確認された。
また、4価のセリウム塩を添加した試料1に比べて、3価のセリウム塩を添加した後に酸化剤を添加した試料2の方が、濾過時間が短いことが分かる。発明者らはこの現象について、3価のセリウムイオンが全て酸化されるわけではなく、わずかに残留するためであると考えている。3価のセリウムイオンにより得られる沈殿物は非常に微細な粒子である。この微粒子が4価のセリウムイオンにより得られる沈殿物が生じる核として働いていると考えられる。ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンとともに3価のセリウムイオンが存在した方が、より固液分離性の高い沈殿物が得られると考えられる。
(残存ホウ素濃度試験)
つぎに、ホウ素含有水に3価のセリウム塩を添加した後に酸化剤を添加する場合において、過酸化水素水の添加量と残存ホウ素濃度との関係を試験した。
・試料4
ホウ素濃度が1,000mg/Lのホウ素含有水を容量500ccのビーカーに300cc入れた。ホウ素含有水の初期pHは2であった。ホウ素含有水に純度98%の硝酸セリウム(III)・六水和物試薬を45g添加した。つぎに、ホウ素含有水に濃度10mol/Lの過酸化水素水を2.5cc添加した。H22/Ce=0.25である。1時間撹拌して試料4を得た。試料4のpHは1であった。試料4を撹拌しつつ、濃度15mol/Lのアンモニア水を30cc添加してpH調整を行った。共沈反応が生じ、沈殿物を含むスラリーが得られた。1時間撹拌した後の液相のpHは9であった。
得られたスラリーを孔径0.45μmのメンブレンフィルターに通過させ固液分離した。得られた濾液をICP分析して残存ホウ素濃度を測定した。その結果、残存ホウ素濃度は2.4mg/Lであった。
・試料5
ホウ素濃度が1,000mg/Lのホウ素含有水を容量500ccのビーカーに300cc入れた。ホウ素含有水の初期pHは2であった。ホウ素含有水に純度98%の硝酸セリウム(III)・六水和物試薬を45g添加した。つぎに、ホウ素含有水に濃度10mol/Lの過酸化水素水を5cc添加した。H22/Ce=0.5である。1時間撹拌して試料5を得た。試料5のpHは1であった。試料5を撹拌しつつ、濃度15mol/Lのアンモニア水を30cc添加してpH調整を行った。共沈反応が生じ、沈殿物を含むスラリーが得られた。1時間撹拌した後の液相のpHは9であった。
得られたスラリーを孔径0.45μmのメンブレンフィルターに通過させ固液分離した。得られた濾液をICP分析して、残存ホウ素濃度を測定した。その結果、残存ホウ素濃度は8.5mg/Lであった。
・試料6
ホウ素濃度が1,000mg/Lのホウ素含有水を容量500ccのビーカーに300cc入れた。ホウ素含有水の初期pHは2であった。ホウ素含有水に純度98%の硝酸セリウム(III)・六水和物試薬を45g添加した。つぎに、ホウ素含有水に濃度10mol/Lの過酸化水素水を10cc添加した。H22/Ce=1である。1時間撹拌して試料6を得た。試料6のpHは1であった。試料6を撹拌しつつ、濃度15mol/Lのアンモニア水を30cc添加してpH調整を行った。共沈反応が生じ、沈殿物を含むスラリーが得られた。1時間撹拌した後の液相のpHは9であった。
得られたスラリーを孔径0.45μmのメンブレンフィルターに通過させ固液分離した。得られた濾液をICP分析して、残存ホウ素濃度を測定した。その結果、残存ホウ素濃度は13.5mg/Lであった。
・試料7
ホウ素濃度が1,000mg/Lのホウ素含有水を容量500ccのビーカーに300cc入れた。ホウ素含有水の初期pHは2であった。ホウ素含有水に純度98%の硝酸セリウム(III)・六水和物試薬を45g添加した。つぎに、ホウ素含有水に濃度10mol/Lの過酸化水素水を20cc添加した。H22/Ce=2である。1時間撹拌して試料7を得た。試料7のpHは1であった。試料7を撹拌しつつ、濃度15mol/Lのアンモニア水を30cc添加してpH調整を行った。共沈反応が生じ、沈殿物を含むスラリーが得られた。1時間撹拌した後の液相のpHは9であった。
得られたスラリーを孔径0.45μmのメンブレンフィルターに通過させ固液分離した。得られた濾液をICP分析して、残存ホウ素濃度を測定した。その結果、残存ホウ素濃度は76.3mg/Lであった。
試料4〜7について表2にまとめる。
Figure 2019217467
表2より、試料7(H22/Ce=2)は試料4〜6(H22/Ce=0.25、0.5、1)に比べて残存ホウ素濃度が著しく高いことが分かる。沈殿物の様子も試料7と試料4〜6とでは異なり、試料7ではセリウムの水酸化物とは別のものが生成されたと考えられる。したがって、過酸化水素水の添加量はH22/Ceが1以下となる量とすることが好ましいことが確認された。
(ホウ素再溶出量試験)
つぎに、ホウ素含有水に3価のセリウム塩を添加した後に酸化剤を添加する場合において、過酸化水素水の添加量と沈殿物のホウ素再溶出量との関係を試験した。
・試料8
ホウ素濃度が1,000mg/Lのホウ素含有水を容量500ccのビーカーに300cc入れた。ホウ素含有水の初期pHは2であった。ホウ素含有水に純度98%の硝酸セリウム(III)・六水和物試薬を30g添加した。つぎに、ホウ素含有水に濃度10mol/Lの過酸化水素水をH22/Ce=0.2となる量添加した。1時間撹拌して試料8を得た。試料8を撹拌しつつ、濃度8mol/Lの水酸化ナトリウムを添加してpH調整を行った。共沈反応が生じ、沈殿物を含むスラリーが得られた。1時間撹拌した後の液相のpHは9であった。
得られたスラリーを孔径0.45μmのメンブレンフィルターに通過させ固液分離した。得られた固形分を乾燥させた後に、ホウ素の溶出試験に供した。溶出試験はつぎの手順で行った。固形分10gに対して溶出用の溶液を100mL添加し、24時間(1,440分)撹拌した。溶出用の溶液はホウ素濃度が25mg/L、ケイ素濃度が60mg/Lである。また、撹拌の間、液温を65℃に調整した。撹拌終了後の溶液をICP分析してホウ素濃度を測定した。撹拌終了後の溶液のホウ素濃度から初期ホウ素濃度(25mg/L)を減算して、固形分からのホウ素の再溶出量を求めたところ、726mg/Lであった。
・試料9
試料8と同様の手順で試料9を生成した。ただし、過酸化水素水の添加量をH22/Ce=0.4となる量とした。試料8と同様の手順で共沈反応を生じさせスラリーを得た。スラリーを固液分離して固形分を得た。固形分を乾燥させた後、ホウ素の溶出試験に供した。その結果、ホウ素再溶出量は655mg/Lであった。
・試料10
試料8と同様の手順で試料10を生成した。ただし、過酸化水素水の添加量をH22/Ce=0.5となる量とした。試料8と同様の手順で共沈反応を生じさせスラリーを得た。スラリーを固液分離して固形分を得た。固形分を乾燥させた後、ホウ素の溶出試験に供した。その結果、ホウ素再溶出量は415mg/Lであった。
・試料11
試料8と同様の手順で試料11を生成した。ただし、過酸化水素水の添加量をH22/Ce=0.6となる量とした。試料8と同様の手順で共沈反応を生じさせスラリーを得た。スラリーを固液分離して固形分を得た。固形分を乾燥させた後、ホウ素の溶出試験に供した。その結果、ホウ素再溶出量は42mg/Lであった。
・試料12
試料8と同様の手順で試料12を生成した。ただし、過酸化水素水の添加量をH22/Ce=0.8となる量とした。試料8と同様の手順で共沈反応を生じさせスラリーを得た。スラリーを固液分離して固形分を得た。固形分を乾燥させた後、ホウ素の溶出試験に供した。その結果、ホウ素再溶出量は0.18mg/Lであった。
・試料13
試料8と同様の手順で試料13を生成した。ただし、過酸化水素水の添加量をH22/Ce=1.0となる量とした。試料8と同様の手順で共沈反応を生じさせスラリーを得た。スラリーを固液分離して固形分を得た。固形分を乾燥させた後、ホウ素の溶出試験に供した。その結果、ホウ素再溶出量は10mg/Lであった。
試料8〜13について表3にまとめる。
Figure 2019217467
表3より、H22/Ceが0.6以上の場合(試料11〜13)は、0.6未満の場合(試料8〜10)よりも、ホウ素再溶出量が少ないことがわかる。これより、過酸化水素水の添加量をH22/Ceが0.6以上となる量とすれば、共沈工程で生じた沈殿物からホウ素が再溶出する量を低減できることが確認できた。

Claims (2)

  1. ホウ素含有水に3価のセリウム塩を添加した後、過酸化水素水を添加して3価のセリウムイオンを酸化することで、前記ホウ素含有水中に4価のセリウムイオンとともに3価のセリウムイオンを存在させ、
    前記ホウ素含有水のpHを調整することで、共沈反応によりホウ素を沈殿させ、
    前記過酸化水素水の添加量が、セリウムに対する過酸化水素の添加モル比が0.6以上となる量である
    ことを特徴とするホウ素含有水の処理方法。
  2. 前記過酸化水素水の添加量が、セリウムに対する過酸化水素の添加モル比が1以下となる量である
    ことを特徴とする請求項1記載のホウ素含有水の処理方法。
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