JP2019217048A - 生体用材料 - Google Patents

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大祐 伊藤
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充代 中井
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Abstract

【課題】生理的環境下で無機元素の溶出性が低く、安全性に優れ、成形し易い生体用材料を提供する。【解決手段】式(1)の化合物、若しくはその硬化物又は半硬化物を含む生体用材料。R1、R2は硬化性官能基、D1、D2は単結合又は連結基、Lは式(I)及び(II)を含む2価の基、Ar1〜Ar3は芳香環からなる基、XはCO、S、SO2、YはS、SO2、O、CO、COO、CONHを示す。n≧0整数。【選択図】なし

Description

本発明は、生体適合性に優れた生体用材料に関する。
生体用材料とは、補綴目的で生体中に埋め込む等の方法で人体に適用される材料である。生体用材料には、主に、滅菌処理を施すことが可能であること、耐久性に優れること、毒性を呈しないことが求められ、Na、K、F、Cl等の無機元素の溶出性が低いことが求められる。例えば、フッ素の過剰摂取は斑状歯を引き起こす恐れがあり、ナトリウムの過剰摂取は高血圧を引き起こす恐れがあり、カリウムの過剰摂取は筋収縮の調節困難により四肢のしびれや、重篤な場合は心停止を引き起こす恐れがあるからである。
外科、整形外科、歯科の医療分野においては、疾病、事故、手術等によって生じた骨の欠損部及び空隙に対して、これを補綴するために人工骨やデンタルインプラントなどの生体用材料が用いられている。
人工骨やデンタルインプラントの原料として、特許文献1にはリン酸カルシウム系の多孔質セラミックを使用することが記載されている。しかし、前記原料は生体内の厳しい環境下における酸化や加水分解による劣化や、繰り返し応力が付与されることによる破損、摩耗が生じ易いことが問題であった。
また、優れた耐熱性、耐疲労性、耐摩耗性、寸法安定性、耐薬品性を有するPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を原料として使用することも知られている。しかし、前記原料は溶融温度が300℃を超えるため加工処理を施すことも困難であった(例えば、特許文献2)。
特開2003−88578号公報 特公昭60−32642号公報
従って、本発明の目的は、生理的環境下における無機元素溶出性が低く、安全性に優れ、成形が容易である生体用材料を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記式(1)で表される化合物、又はその硬化物(若しくは半硬化物)は安全性及び安定性に優れ、前記化合物の溶剤溶解物又は加熱溶融物を公知慣用の成形処理に付すことにより所望の形状に成形することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2019217048
[式中、R1、R2は、同一又は異なって、硬化性官能基を示し、D1、D2は、同一又は異なって、単結合又は連結基を示す。Lは、下記式(I)で表される構造と下記式(II)で表される構造とを含む繰り返し単位を有する2価の基を示す。
Figure 2019217048
(式中、Ar1〜Ar3は、同一又は異なって、芳香環の構造式から2個の水素原子を除いた基、又は2個以上の芳香環が単結合若しくは連結基を介して結合した構造式から2個の水素原子を除いた基を示す。Xは−CO−、−S−、又は−SO2−を示し、Yは、同一又は異なって、−S−、−SO2−、−O−、−CO−、−COO−、又は−CONH−を示す。nは0以上の整数を示す)]
で表される化合物、若しくは前記化合物の硬化物、又は前記化合物の半硬化物を含む生体用材料を提供する。
本発明は、また、式(1)中のR1、R2が、同一又は異なって、環状イミド構造を有する硬化性官能基である前記生体用材料を提供する。
本発明は、また、式(1)中のR1、R2が、同一又は異なって、下記式(r-1)〜(r-6)で表される基から選択される基である前記生体用材料を提供する。
Figure 2019217048
(式中の窒素原子から伸びる結合手は、D1又はD2と結合する)
本発明は、また、式(1)中のD1、D2が、同一又は異なって、下記式(d-1)〜(d-4)
Figure 2019217048
で表される構造を含む基から選択される基である前記生体用材料を提供する。
本発明は、また、式(I)、及び式(II)中のAr1〜Ar3が、同一又は異なって、炭素数6〜14の芳香環の構造式から2個の水素原子を除いた基、又は炭素数6〜14の芳香環の2個以上が、単結合、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、又は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基の水素原子の1個以上がハロゲン原子で置換された基を介して結合した構造式から2個の水素原子を除いた基である前記生体用材料を提供する。
本発明は、また、式(I)で表される構造が、ベンゾフェノン由来の構造である前記生体用材料を提供する。
本発明は、また、式(1)で表される化合物全量における、ベンゾフェノン由来の構造単位の占める割合が5重量%以上である前記生体用材料を提供する。
本発明は、また、式(II)で表される構造が、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、及びビスフェノールAから選択される少なくとも1種の化合物由来の構造である前記生体用材料を提供する。
本発明は、また、式(1)で表される化合物全量における、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、及びビスフェノールA由来の構造単位の占める割合が5重量%以上である前記生体用材料を提供する。
本発明は、また、人工骨、人工関節、ボーンスクリュー、人工歯根、人工弁、人工腱、骨セメント、又はこれらの原料である前記生体用材料を提供する。
本発明の生体用材料は低温で溶融することができ、溶剤溶解性にも優れる。そのため、再沈殿操作等により精製処理を施すことが可能であり、製造工程で使用される無機元素の混入を低く低減することができる。そのため、生理的環境下において無機元素溶出性が極めて低く、安定性に優れる。また、生体内の厳しい環境下においても酸化や加水分解されることがなく、その上、強靱性を有するため、繰り返し応力が付与されても、破損や摩耗が生じることがない。すなわち、生理的環境下において防食性に優れる。
また、本発明の生体用材料は安全性に優れ、発がん性や抗原性を有さず、代謝異常を引き起こすこともない。
更に、本発明の生体用材料を構成する式(1)で表される化合物は溶融温度が低く、良好な溶剤溶解性を有する。従って、式(1)で表される化合物の溶剤溶解物や溶融物を押出成形、射出成形、圧縮成形、キャスティング成形、紡糸等の慣用の成形法に付すことにより、所望の形状に成形することができる。
更にまた、式(1)で表される化合物の硬化物は超耐熱性を有するため、これを含む本発明の生体用材料には、酸化エチレンガス滅菌法や低温ガスプラズマ滅菌法はもちろん、高圧蒸気滅菌法や乾熱滅菌法による滅菌処理法も適用することができる。
また、本発明の生体材料は絶縁性をも備える。
以上より、本発明の生体用材料は生体内において、一時的に使用する目的に好適に使用できるだけでなく、半永久的に使用することを目的に、例えば、人工骨、人工関節、ボーンスクリュー、人工歯根、人工弁、人工腱、及び骨セメント等の生体耐久性材料や、前記生体耐久性材料の原料として好適に使用することができる。
調製例で得られたジアミン(1)の1H−NMRスペクトル(DMSO−d6)を示す図である。 調製例で得られたジアミン(1)のFTIRスペクトルを示す図である。 調製例で得られたジアミン(2)の1H−NMRスペクトル(DMSO−d6)を示す図である。 調製例で得られたジアミン(2)のFTIRスペクトルを示す図である。 調製例で得られた硬化性化合物Aの1H−NMRスペクトル(CDCl3)を示す図である。 調製例で得られた硬化性化合物Bの1H−NMRスペクトル(CDCl3)を示す図である。 調製例で得られた硬化性化合物Cの1H−NMRスペクトル(CDCl3)を示す図である。 調製例で得られた硬化性化合物CのFTIRスペクトルを示す図である。 調製例で得られた硬化性化合物Dの1H−NMRスペクトル(CDCl3)を示す図である。 調製例で得られた硬化性化合物DのFTIRスペクトルを示す図である。 調製例で得られた硬化性化合物C及びDのDSC測定結果を示す図である。 調製例で得られた硬化性化合物C及びDの硬化物のDSC測定結果を示す図である。 調製例で得られた硬化性化合物C及びDの硬化物の熱重量減少分析結果を示す図である。
[生体用材料]
本発明の生体用材料は、後述の式(1)で表される化合物(以後、「化合物(1)」と称する場合がある)、若しくは前記化合物の硬化物、又は前記化合物の半硬化物を少なくとも含有する。
本発明の生体用材料は補綴目的で生体中に埋め込む等の方法で人体に適用される材料であって、安全性、安定性、強靱性、耐熱性、難燃性、及び絶縁性が求められる材料に好適に使用することができる。
本発明の生体用材料には、成形処理に付される前の、原料(若しくは、形成材料)としての生体用材料と、成形処理に付された後の、所望の形状を備えた生体用材料が含まれる。
生体用材料は、化合物(1)、その硬化物、その半硬化物以外にも他の成分を含有していても良く、例えば、前記以外の他の樹脂成分や添加剤(例えば、溶剤、安定剤「酸化防止剤等」、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤、滑剤、抗菌剤、防カビ剤、つや消し剤、蛍光増白剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、発泡剤、界面活性剤等)を含有することができる。生体用材料に含まれる不揮発分全量における化合物(1)、化合物(1)の硬化物、及び化合物(1)の半硬化物以外の成分の占める割合は、例えば80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下、とりわけ好ましくは5重量%以下である。すなわち、本発明の生体用材料の不揮発分は、実質的に、化合物(1)、その硬化物、又はその半硬化物のみからなっていても良い。
本発明の生体用材料(好ましくは、化合物(1)を含む生体用材料)は、溶剤に溶解された溶剤溶解物であってもよく、前記溶剤としては、後述の化合物(1)が良好な溶解性を示す溶剤(例えば、エーテル、ケトン、アミド、ハロゲン化炭化水素、及びスルホキシドから選択される少なくとも1種の溶剤、とりわけ、エーテル、アミド、ハロゲン化炭化水素、及びスルホキシドから選択される少なくとも1種の溶剤)が好ましい。
そして、化合物(1)の溶剤溶解物や、化合物(1)の溶融物を押出成形、射出成形、圧縮成形、キャスティング成形、紡糸等の周知慣用の成形法に付すことにより、所望の形状を有する生体用材料が得られる。
また、本発明の生体用材料は、化合物(1)、その硬化物、又はその半硬化物が繊維と複合材を形成したものであってもよい。複合材の形状としては、繊維状やシート状など特に制限がない。
前記繊維としては、例えば、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記繊維は、糸状であっても、又シート状に加工されたもの(織布又は不織布)であってもよい。
複合材は、例えば、化合物(1)の溶剤溶解物や、化合物(1)の溶融物を繊維に含浸させ、加熱処理を施して、含浸させた化合物(1)を硬化若しくは半硬化させることにより製造できる。含浸させた化合物(1)を半硬化させて得られる複合材は、プリプレグ等の中間加工品として使用できる。
このようにして得られる複合材は、繊維の空隙に化合物(1)が入り込んで硬化若しくは半硬化した構成を有する。そのため、軽量で高強度であり、更に耐熱性、難燃性、及び絶縁性に優れる。
また、本発明の生体用材料が化合物(1)又はその半硬化物を含む場合、当該生体用材料を基板上に配置して加熱処理を施すことにより一時的に流動性を発現させ、その後、室温まで冷却することにより、基板と強固に接着固定することができる。前記基板との引張りせん断力(JIS K6850(1999)準拠)は、例えば1MPa以上、好ましくは5MPa以上、特に好ましくは10MPa以上である。尚、引張りせん断力は、引張リ試験機(オリエンテック社製、テンシロンUCT−5T)を使用して、引張り速度300mm/分、剥離角度180°で測定できる。
尚、前記基板の素材としては、例えば、セラミック、ガラス、紙、塗工紙、プラスチックフィルム、木材、布、不織布、金属(例えば、ステンレス鋼、チタン合金、コバルト合金)等が挙げられる。
更に、本発明の生体用材料が化合物(1)の半硬化物を含む場合、当該生体用材料を加熱して一時的に流動性を発現させることにより、段差に追従させることができる。
本発明の生体用材料が化合物(1)の硬化物を含む場合、当該生体用材料は耐熱性に優れ、その昇温速度10℃/分(窒素中)で測定される5%重量減少温度(Td5)は、例えば300℃以上、好ましくは400℃以上、特に好ましくは450℃以上、最も好ましくは500℃以上である。5%重量減少温度(Td5)の上限は、例えば600℃、好ましくは550℃、特に好ましくは530℃である。尚、5%重量減少温度は、例えば、TG/DTA(示差熱・熱重量同時測定)により測定できる。
本発明の生体用材料が化合物(1)の硬化物を含む場合、当該生体用材料は耐熱性に優れ、その昇温速度10℃/分(窒素中)で測定される10%重量減少温度(Td10)は、例えば300℃以上、より好ましくは400℃以上、特に好ましくは480℃以上、最も好ましくは500℃以上である。10%重量減少温度(Td10)の上限は、例えば600℃、好ましくは550℃である。尚、10%重量減少温度は、例えば、TG/DTA(示差熱・熱重量同時測定)により測定できる。
更にまた、本発明の生体用材料が化合物(1)の硬化物を含む場合、当該生体用材料は難燃性に優れ、厚み0.15mmの硬化物の、UL94Vに準拠した方法による燃えにくさは、V−1グレード、すなわち、下記1〜5の条件を具備する。
(1)燃焼持続時間は30秒以下
(2)5個の試料の燃焼持続時間の合計が250秒以下
(3)2回目の接炎後の赤熱持続時間が60秒以下
(4)固定用クランプ部まで燃えない
(5)燃焼する粒子を落下させて、下に敷いた綿を燃やすことがない
また、本発明の生体用材料が化合物(1)の硬化物を含む場合、当該生体用材料は絶縁性に優れ、その比誘電率は、例えば6以下(例えば1〜6)、好ましくは5以下(例えば1〜5)、特に好ましくは4以下(例えば1〜4)である。また、その誘電正接は例えば0.05以下(例えば0.0001〜0.05)、好ましくは0.0001〜0.03、特に好ましくは0.0001〜0.015である。
尚、前記「比誘電率」及び「誘電正接」は、JIS−C2138に準拠して測定周波数1MHz、測定温度23℃で測定される値、または、ASTM D2520に準拠して周波数1GHz、23℃で測定される値である。
また、本発明の生体用材料(若しくは、化合物(1)、その硬化物、及びその半硬化物)は、無機元素含有量が低く、Na、K、F、Cl元素の合計含有量は、例えば2000mg/kg以下、好ましくは1500mg/kg以下、特に好ましくは1000mg/kg以下である。Na元素の合計含有量は、例えば50mg/kg以下、好ましくは10mg/kg以下、特に好ましくは5mg/kg以下である。K元素の合計含有量は、例えば100mg/kg以下である。F元素の合計含有量は、例えば2000mg/kg以下、好ましくは1500mg/kg以下、特に好ましくは1000mg/kg以下、最も好ましくは500mg/kg以下である。Cl元素の合計含有量は、例えば1000mg/kg以下である。そのため、生理的環境下において前記無機元素の溶出性が極めて低く、前記無機元素が溶出することにより引き起こされる中毒を防止することができ安定性に優れる。
本発明の生体用材料は上記特性を兼ね備えるため、特に、人工骨、人工関節、ボーンスクリュー、人工歯根、人工弁、人工腱、及び骨セメント等の生体耐久性材料、及び前記生体耐久性材料の原料として好適に使用することができる。
(化合物(1)、その硬化物、及び半硬化物)
本発明における化合物(1)は、下記式(1)で表される。
Figure 2019217048
式中、R1、R2は、同一又は異なって、硬化性官能基を示し、D1、D2は、同一又は異なって、単結合又は連結基を示す。Lは、下記式(I)で表される構造と下記式(II)で表される構造とを含む繰り返し単位を有する2価の基を示す。
Figure 2019217048
(式中、Ar1〜Ar3は、同一又は異なって、芳香環の構造式から2個の水素原子を除いた基、又は2個以上の芳香環が単結合若しくは連結基を介して結合した構造式から2個の水素原子を除いた基を示す。Xは−CO−、−S−、又は−SO2−を示し、Yは、同一又は異なって、−S−、−SO2−、−O−、−CO−、−COO−、又は−CONH−を示す。nは0以上の整数を示す)
式中、R1、R2は硬化性官能基を示す。R1、R2は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。R1、R2における硬化性官能基としては、例えば、下記式(r)で表される基等の、環状イミド構造を有する硬化性官能基が好ましい。
Figure 2019217048
(式中の窒素原子から伸びる結合手は、D1又はD2と結合する)
上記式(r)中、QはC又はCHを示す。式中の2個のQは単結合又は二重結合を介して結合する。n’は0以上の整数(例えば0〜3の整数、好ましくは0又は1)である。R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基)、芳香族炭化水素基(好ましくは、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基)、又は前記飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基から選択される2個以上の基が結合した基を示す。R3〜R6から選択される2つの基は、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
3〜R6から選択される2つの基が互いに結合して、隣接する炭素原子と共に形成していてもよい環としては、例えば、炭素数3〜20の脂環、及び炭素数6〜14の芳香環を挙げることができる。前記炭素数3〜20の脂環には、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の3〜20員(好ましくは3〜15員、特に好ましくは5〜8員)程度のシクロアルカン環;シクロペンテン環、シクロへキセン環等の3〜20員(好ましくは3〜15員、特に好ましくは5〜8員)程度のシクロアルケン環;パーヒドロナフタレン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、アダマンタン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環等の橋かけ環式炭化水素基等が含まれる。前記炭素数6〜14の芳香環には、ベンゼン環、ナフタレン環等が含まれる。
前記環状イミド構造を有する硬化性官能基としては、なかでも、環状不飽和イミド構造を有する硬化性官能基、又はアリールエチニル基を備えた環状イミド構造を有する硬化性官能基が好ましく、特に好ましくは下記式(r-1)〜(r-6)で表される基から選択される基であり、とりわけ好ましくは下記式(r-1)又は(r-5)で表される基である。
Figure 2019217048
(式中の窒素原子から伸びる結合手は、式(1)中のD1又はD2と結合する)
前記式(r-1)〜(r-6)で表される基には1種又は2種以上の置換基が結合していてもよい。前記置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
前記炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。
前記炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、t−ブチルオキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基を挙げることができる。
式(1)中、D1、D2は、同一又は異なって、単結合又は連結基を示す。前記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、2価の複素環式基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、アミド結合、イミド結合、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
前記2価の炭化水素基には、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、及び2価の芳香族炭化水素基が含まれる。
前記2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、及び炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。炭素数2〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−メチルビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基等が挙げられる。
前記2価の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基等が挙げられ、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
前記2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜14のアリーレン基等が挙げられ、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、1,8−ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基等が挙げられる。
前記2価の複素環式基を構成する複素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、環を構成する原子に炭素原子と少なくとも1種のヘテロ原子(例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等)を有する3〜10員環(好ましくは4〜6員環)、及びこれらの縮合環を挙げることができる。具体的には、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキシラン環等の3員環;オキセタン環等の4員環;フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の橋かけ環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環;ベンゾチオフェン環等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環等の5員環;イソシアヌル環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の6員環;インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環等の縮合環等)等が挙げられる。2価の複素環式基は上記複素環の構造式から2個の水素原子を除いた基である。
前記D1、D2としては、なかでも、特に優れた耐熱性を有する硬化物が得られる点で、2価の芳香族炭化水素基を含むことが好ましい。前記2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基が好ましく、より好ましくは下記式(d-1)〜(d-4)で表される基から選択される基であり、とりわけ好ましくは下記式(d-1)で表される基(1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基)である。
Figure 2019217048
また、前記D1、D2は、前記2価の芳香族炭化水素基と共に、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、アミド結合、及びイミド結合からなる群より選択される少なくとも1つの基が連結した基が好ましく、とりわけ前記2価の芳香族炭化水素基にエーテル結合が連結した基が好ましい。
従って、式(1)中のR1−D1−基、及びR2−D2−基としては、同一又は異なって、下記式(rd-1)又は(rd-2)で表される基を含む基が好ましく、特に、下記式(rd-1-1)又は(rd-2-1)で表される基が好ましい。
Figure 2019217048
(式中のフェニレン基又は酸素原子から伸びる結合手は、式(1)中のLと結合する)
式(1)中のLは、上記式(I)で表される構造と上記式(II)で表される構造とを含む繰り返し単位を有する2価の基を示す。式(I)、及び式(II)中のAr1〜Ar3は、同一又は異なって、芳香環の構造式から2個の水素原子を除いた基、又は2個以上の芳香環が単結合若しくは連結基を介して結合した構造式から2個の水素原子を除いた基を示す。Xは−CO−、−S−、又は−SO2−を示し、Yは、同一又は異なって、−S−、−SO2−、−O−、−CO−、−COO−、又は−CONH−を示す。nは0以上の整数を示し、例えば0〜5の整数、好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは1〜3の整数である。
前記芳香環(=芳香族炭化水素環)としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の炭素数6〜14の芳香環が挙げられる。本発明においては、なかでも、ベンゼン、ナフタレン等の炭素数6〜10の芳香環が好ましい。
前記連結基としては、例えば、炭素数1〜5の2価の炭化水素基や、炭素数1〜5の2価の炭化水素基の水素原子の1個以上がハロゲン原子で置換された基等が挙げられる。
前記炭素数1〜5の2価の炭化水素基には、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基;ビニレン基、1−メチルビニレン基、プロペニレン基等の炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルケニレン基;エチニレン基、プロピニレン基、1−メチルプロピニレン等の炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルキニレン基等が含まれる。本発明においては、なかでも、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が好ましく、特に炭素数1〜5の分岐鎖状アルキレン基が好ましい。
従って、前記Ar1〜Ar3としては、同一又は異なって、炭素数6〜14の芳香環の構造式から2個の水素原子を除いた基、又は炭素数6〜14の芳香環の2個以上が、単結合、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、又は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基の水素原子の1個以上がハロゲン原子で置換された基を介して結合した構造式から2個の水素原子を除いた基であることが好ましく、特に、炭素数6〜14の芳香環の構造式から2個の水素原子を除いた基、又は炭素数6〜14の芳香環の2個以上が、単結合、炭素数1〜5の分岐鎖状アルキレン基、又は炭素数1〜5の分岐鎖状アルキレン基の水素原子の1個以上がハロゲン原子で置換された基を介して結合した構造式から2個の水素原子を除いた基であることが好ましい。
前記Ar1〜Ar3としては、とりわけ、同一又は異なって、下記式(a-1)〜(a-5)で表される基から選択される基が好ましい。尚、下記式中の結合手の付き位置は、特に制限されない。
Figure 2019217048
式(I)中のAr1、Ar2としては、なかでも、炭素数6〜14の芳香環の構造式から2個の水素原子を除いた基が好ましく、特に、上記式(a-1)又は(a-2)で表される基が好ましい。また、Xとしては、なかでも、−CO−又は−SO2−が好ましい。式(I)で表される構造としては、とりわけ、ベンゾフェノン由来の構造を含むことが好ましい。
化合物(1)全量における、芳香環由来の構造の割合は、例えば50重量%以上、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは60〜90重量%、特に好ましくは65〜80重量%である。
化合物(1)全量における、ベンゾフェノン由来の構造単位の占める割合は、例えば5重量%以上、好ましくは10〜62重量%、特に好ましくは15〜60重量%である。
式(II)中のAr3としては、なかでも、上記式(a-1)、(a-4)、及び(a-5)で表される基から選択される基が好ましい。また、Yとしては、なかでも、−S−、−O−、又は−SO2−が好ましい。式(II)で表される構造としては、特に、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、及びビスフェノールAから選択される少なくとも1種の化合物由来の構造を含むことが好ましく、とりわけ、ハイドロキノン、レゾルシノール、及びビスフェノールAから選択される少なくとも1種の化合物由来の構造を含むことが好ましい。
化合物(1)全量における、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、及びビスフェノールA由来の構造単位の占める割合は、例えば5重量%以上、好ましくは10〜55重量%、特に好ましくは15〜53重量%である。
また、化合物(1)全量における、ハイドロキノン、レゾルシノール、及びビスフェノールA由来の構造単位の占める割合は、例えば5重量%以上、好ましくは10〜55重量%、特に好ましくは15〜53重量%である。
式(1)中のLとしては、なかでも、耐熱性に特に優れた硬化物が得られる点で、下記式(L-1)で表される2価の基が好ましい。
Figure 2019217048
上記式(L-1)中のmは、分子鎖(=上記式(L-1)で表される2価の基)中に含まれる丸括弧内に示される繰り返し単位の数、すなわち、平均重合度であり、例えば2〜50、好ましくは3〜40、より好ましくは4〜30、特に好ましくは5〜20、最も好ましくは5〜10である。mが2未満である場合は、得られる硬化物の強度が不十分となる傾向がある。一方、mが50超である場合は、溶融温度が高くなる傾向がある。また、溶剤溶解性が低下する傾向もある。尚、mの値は、GPC測定やNMRのスペクトル解析により求めることができる。また、上記式(L-1)中のn”は0以上の整数を示し、Ar1〜Ar3は上記に同じ。尚、上記式(L-1)中の複数のAr1は同じ基を示す。Ar2、Ar3についても同様である。
式(1)中のLとしては、とりわけ、下記式(L-1-1)又は(L-1-2)で表される2価の基が好ましい。
Figure 2019217048
上記式中のm1、m2は、分子鎖(=上記式(L-1-1)又は(L-1-2)で表される2価の基)中に含まれる丸括弧内に示される繰り返し単位の数、すなわち、平均重合度であり、例えば2〜50、好ましくは3〜40、より好ましくは4〜30、特に好ましくは5〜20、最も好ましくは5〜10である。尚、m1、m2の値は、GPC測定やNMRのスペクトル解析により求めることができる。
また、化合物(1)のうち、式(1)中のLが上記式(L-1-1)又は(L-1-2)で表される2価の基であり、式中のm1、m2が5〜10である化合物は、300℃以下(250℃程度)で溶融するため、PEEK等に比べて低温で溶融成形することができ、加工性に特に優れる。
一方、分子鎖の平均重合度が上記範囲を下回ると、得られる硬化物がもろくなり、機械特性が低下する傾向がある。また、分子鎖の平均重合度が上記範囲を上回ると、溶剤への溶解性が低下したり、溶融粘度が高くなる等により、加工性が低下する傾向がある。
化合物(1)は、例えば、Polymer 1989 p978 に記載されている合成法を利用して製造することができる。下記に、化合物(1)の製造方法の一例を示すが、本発明はこの製造方法によって製造されるもの限定されない。
下記式(1a)で表される化合物は、例えば下記工程[1]〜[3]を経て製造することができる。下記式中、Ar1〜Ar3、X、Y、n、R3〜R6、Q、n’は上記に同じ。Dは連結基を示し、Zはハロゲン原子を示す。mは繰り返し単位の平均重合度であり、例えば3〜50、好ましくは4〜30、特に好ましくは5〜20である。化合物(1)のうち、下記式(1a)で表される化合物以外の化合物も、下記方法に準じて製造することができる。
工程[1]:反応基質である下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物とを、塩基の存在下で反応させることにより、下記式(4)で表される化合物を得る
工程[2]:下記式(4)で表される化合物に、アミノアルコール(下記式(5)で表される化合物)を反応させることにより、下記式(6)で表されるジアミンを得る。
工程[3]:下記式(6)で表されるジアミンに環状酸無水物(下記式(7)で表される化合物)を反応させることにより下記式(1a)で表される化合物を得る。
Figure 2019217048
(工程[1])
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−ナフチルフェニルケトン、及びビス(2−ナフチル)ケトン等のハロゲン化物、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
上記式(3)で表される化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、2,5−ジヒドロキシビフェニル、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
上記誘導体としては、例えば、上記式(2)で表される化合物や式(3)で表される化合物の芳香族炭化水素基に置換基が結合した化合物などが挙げられる。前記置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物の使用量としては、通常、式(3)で表される化合物1モルに対して、式(2)で表される化合物を1モル以上であり、所望の化合物(1)における分子鎖の平均重合度に応じて、式(2)で表される化合物の使用量を調整することが望ましい。例えば、平均重合度5の場合、式(3)で表される化合物1モルに対して、式(2)で表される化合物を1.2モル程度(例えば1.18〜1.22モル)、平均重合度10の場合は、式(2)で表される化合物を1.1モル程度(例えば1.08〜1.12モル)、平均重合度20の場合は、式(2)で表される化合物を1.05モル程度(例えば1.04〜1.06モル)使用することが好ましい。
式(2)で表される化合物としては、少なくともベンゾフェノンのハロゲン化物を使用することが好ましく、式(2)で表される化合物の総使用量(100モル%)におけるベンゾフェノンのハロゲン化物の使用量は、例えば10モル%以上、好ましくは30モル%以上、特に好ましくは50モル%以上、最も好ましくは80モル%以上である。尚、上限は100モル%である。
式(3)で表される化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、及びビスフェノールAから選択される少なくとも1種(とりわけ、ハイドロキノン、レゾルシノール、及びビスフェノールAから選択される少なくとも1種)の化合物を使用することが好ましく、前記化合物の使用量の合計は、式(3)で表される化合物の総使用量(100モル%)の、例えば10モル%以上、好ましくは30モル%以上、特に好ましくは50モル%以上、最も好ましくは80モル%以上である。尚、上限は100モル%である。
前記式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物の反応は、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基;ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基から選択される少なくとも1種)の存在下で行われる。塩基の使用量は塩基の種類によって適宜調整することができる。例えば、水酸化カルシウム等の二酸塩基の使用量は、式(3)で表される化合物1モルに対して1.0〜2.0モル程度である。
また、この反応は溶剤の存在下で行うことができる。前記溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン等の有機溶剤、或いはこれらの2種以上の混合溶剤を用いることができる。
前記溶剤の使用量としては、反応基質の合計(重量)に対して、例えば5〜20重量倍程度である。溶剤の使用量が上記範囲を上回ると反応基質の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
反応雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。
反応温度は、例えば100〜200℃程度である。反応時間は、例えば5〜24時間程度である。また、この反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
この反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
(工程[2])
上記式(5)で表される化合物としては、例えば、4−アミノフェノール、2−アミノ−6−ヒドロキシナフタレン、及びこれらの位置異性体や誘導体等が挙げられる。
上記式(5)で表される化合物の使用量は、所望の化合物(1)における分子鎖の平均重合度に応じて適宜調整することができる。例えば、平均重合度5の場合、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.4〜0.6モル程度となる量、平均重合度10の場合、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.2〜0.4モル程度となる量、平均重合度20の場合、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.1〜0.15モル程度となる量である。
この反応は、進行に伴いハロゲン化水素が生成するため、生成したハロゲン化水素をトラップする塩基の存在下で反応を行うことが、反応の進行を促進する効果が得られる点で好ましい。前記塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基;ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記塩基の使用量は塩基の種類によって適宜調整することができる。例えば、水酸化ナトリウム等の一酸塩基の使用量は、上記式(5)で表される化合物1モルに対して1.0〜3.0モル程度である。
また、この反応は溶剤の存在下で行うことができる。溶剤としては、工程[1]において使用されるものと同様のものを使用することができる。
反応温度は、例えば100〜200℃程度である。反応時間は、例えば1〜15時間程度である。また、この反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
この反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
(工程[3])
前記環状酸無水物(上記式(7)で表される化合物)としては、例えば、無水マレイン酸、2−フェニル無水マレイン酸、4−フェニルエチニル−無水フタル酸、4−(1−ナフチルエチニル)−無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
前記環状酸無水物の使用量は、所望の化合物(1)における分子鎖の平均重合度に応じて適宜調整することができる。例えば、平均重合度5の場合、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.4〜0.8モル程度となる量、平均重合度10の場合、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.2〜0.4モル程度となる量、平均重合度20の場合、式(3)で表される化合物1モルに対して、0.1〜0.15モル程度となる量である。
この反応は溶剤の存在下で行うことができる。溶剤としては、工程[1]において使用されるものと同様のものを使用することができる。
この反応は、室温(1〜30℃)で行うことが好ましい。反応時間は、例えば1〜30時間程度である。また、この反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
また、この反応は、水と共沸する溶剤(例えば、トルエン等)を用いた共沸や、脱水剤(例えば、無水酢酸等)の使用により、副生する生成水を除去することが、反応の進行を促進する点で好ましい。また、脱水剤による生成水の除去は、塩基性触媒(例えば、トリエチルアミン等)の存在下で行うことが好ましい。
この反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
前記化合物(1)の数平均分子量(Mn)は、例えば1000〜15000、好ましくは1000〜14000、特に好ましくは1100〜12000、最も好ましくは1200〜10000である。そのため、溶剤への溶解性は高く、溶融粘度は低く、成形加工が容易であるとともに、硬化後の成形体が高い靱性を発現する。数平均分子量が上記範囲を下回ると、硬化後の成形体の靱性が低下する傾向がある。一方、数平均分子量が上記範囲を上回ると、溶剤溶解性が低下したり、溶融粘度が高くなりすぎて、成形加工が困難になる傾向がある。尚、Mnはゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定(溶剤:クロロホルム、標準ポリスチレン換算)に付して求められる。
前記化合物(1)全量に占める芳香環由来の構造の割合は、例えば50重量%以上(例えば、50〜90重量%)、好ましくは60〜90重量%、特に好ましくは65〜80重量%である。そのため、前記化合物(1)は高い溶剤溶解性と低い溶融粘度を有し、その硬化物は高い熱安定性を有する。芳香環由来の構造の割合が上記範囲を下回ると、硬化後の成形体の熱安定性が低下する傾向がある。一方、芳香環由来の構造の割合が上記範囲を上回ると、溶剤溶解性が低下したり、溶融粘度が高くなる傾向がある。
前記化合物(1)のガラス転移温度(Tg)は、例えば280℃以下(例えば、80〜280℃)、好ましくは80〜250℃、特に好ましくは100〜200℃である。そのため溶融成形性に優れる。Tgが上記範囲を上回ると、溶融成形する際に高温で加熱することが必要となり、例えば、溶融状態の化合物(1)を成形する場合に、化合物(1)の硬化反応が進行して所望の形状を付与することが困難となる恐れがある。尚、TgはDSC法で測定することができる。
化合物(1)は良好な溶剤溶解性を有する。前記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;ホルムアミド、アセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゾトリフルオライド、ヘキサフルオロ−2−プロパノール等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド、ベンジルフェニルスルホキシド等のスルホキシド;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;酢酸エチル等のエステル;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びこれらの2種以上の混合液等が挙げられる。本発明における式(1)で表される化合物(とりわけ式(1)で表される化合物であって、式中のLが、式(1-2)又は(1-3)で表される2価の基である化合物)は、なかでも、エーテル、ケトン、アミド、ハロゲン化炭化水素、及びスルホキシドから選択される少なくとも1種の溶剤(とりわけ、エーテル、アミド、ハロゲン化炭化水素、及びスルホキシドから選択される少なくとも1種の溶剤)に対して優れた溶解性を示す。
化合物(1)の溶剤に対する溶解度は、25℃において溶剤100gに対して、例えば1g以上、好ましくは5g以上、特に好ましくは10g以上である。
化合物(1)の発熱ピーク温度は、硬化性官能基の種類に依存するが、例えば170〜450℃、好ましくは200〜430℃、特に好ましくは220〜420℃である。発熱ピーク温度は、DSC測定により求められる。
化合物(1)の発熱ピーク温度は、硬化性官能基の種類によって決まるため、採用する成形法によって硬化性官能基を選択することが好ましい。例えば、化合物(1)の溶剤溶解物をキャスト法によりフィルム状に成形し、それを硬化させる場合、化合物(1)の硬化性官能基としては、上記式(r-5)で表される基を選択することが好ましく、この場合、250℃程度の温度で加熱することで硬化物を形成することができる。一方、硬化性官能基として上記式(r-1)で表される基を有する化合物(1)は、300℃以下の温度で溶融させて成形することができ、380℃程度の温度で加熱することで硬化物を形成することができる。
尚、加熱は、温度を一定に保持した状態で行ってもよく、段階的に変更して行ってもよい。加熱温度は、加熱時間に応じて、上記範囲の中で適宜調整することが好ましく、例えば、加熱時間の短縮を所望する場合は加熱温度を高めに設定することが好ましい。化合物(1)は芳香環由来の構造の割合が高いため、高温で加熱しても分解することなく硬化物(詳細には、超耐熱性を有する硬化物)を形成することができ、高温で短時間加熱することにより優れた作業性で効率よく硬化物を形成することができる。尚、加熱手段は特に制限されることがなく、公知乃至慣用の手段を利用することができる。
また、化合物(1)は架橋剤や硬化促進剤を含有せずとも(例えば、架橋剤及び硬化促進剤の合計含有量が、化合物(1)100重量部に対して3重量部以下、好ましくは1重量部未満であっても)速やかに硬化物を形成することができる。そのため、得られる硬化物は超耐熱性を有する。また、硬化物中において、未反応の硬化促進剤や、硬化促進剤の分解物の含有量を極めて低く抑制することができるため、これらに由来するアウトガスの発生を抑制することができる。
化合物(1)の硬化は、常圧下で行うこともできるし、減圧下又は加圧下で行うこともできる。
化合物(1)の半硬化物(Bステージ)は、加熱温度及び加熱時間を調整して硬化反応を完了させず途中で停止させることにより得られる。前記半硬化物の硬化度は、例えば85%以下(例えば10〜85%、特に好ましくは15〜75%、更に好ましくは20〜70%)である。
尚、半硬化物の硬化度は、化合物(1)の発熱量、及びその半硬化物の発熱量をDSCにより測定し、以下の式から算出できる。
硬化度(%)=[1−(半硬化物の発熱量/化合物(1)の発熱量)]×100
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
尚、測定は下記条件で行った。
<NMR測定>
測定装置:BRUKER 400MHz/54mm又はBRUKER AVANCE600MHz
測定溶剤:重DMSO、重クロロホルム、又は重クロロホルム/ペンタフルオロフェノール(PFP)=2/1(wt/wt)の混合液
化学シフト:TMSを規準とした
<GPC測定>
装置:ポンプ「LC−20AD」((株)島津製作所製)
検出器:RID−10A((株)島津製作所製)又はTDA−301およびUV2501(Viscotek製)
溶剤:THF又はクロロホルム
カラム:shodex GPC K-806L×1本+shodex GPC K-803×1本+shodex GPC K-801×2本
流速:1.0mL/min
温度:40℃
試料濃度:0.1%(wt/vol)
標準ポリスチレン換算
<DSC測定>
装置:TA Q20
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素雰囲気
<TG/DTA測定>
装置:NETZSCH TG209F3
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素雰囲気
<IR測定>
装置:Perkin Elmer Spectrum RX1(ATR法)
比較例にはPEEK(市販PEEKパウダー、ポリエーテルエーテルケトン、VICTREX151G、融点343℃、Tg147℃)を使用した。
調製例1(ジアミン(1)の製造)
撹拌装置、窒素導入管、およびディーンスターク装置を備えた500mL(三ツ口)フラスコに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを27.50g、レゾルシノールを11.56g、無水炭酸カリウムを21.77g、N−メチル−2−ピロリドンを154mL、およびトルエン77mLを入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら加熱し、130〜140℃で4時間トルエンを還流させた。その後、さらに加熱して170〜180℃でトルエンを留去した。さらに、170〜180℃で10時間撹拌を継続した後、室温に戻した。
得られた生成物が入ったフラスコに、4−アミノフェノールを5.04g、無水炭酸カリウムを6.39g、N−メチル−2−ピロリドンを20mL、トルエンを100mL添加した。再び、窒素雰囲気下で撹拌しながら加熱し、130〜140℃で3時間トルエンを還流させた。その後、加熱して170〜180℃でトルエンを留去し、さらに170〜180℃を保持しつつ4時間撹拌を継続した。その後、室温まで冷却し、反応液を3000mLのメタノールに添加、ろ過することで粉末状固体を得た。この粉末状固体をメタノールおよび水で繰返し洗浄した後、100℃で8時間減圧乾燥して、粉末状固体を得た(ジアミン(1)、下記式で表される化合物、収率:95%)。得られた粉末状固体をGPC測定(溶剤THF、標準ポリスチレン換算)に付して求めた数平均分子量は2070、重量平均分子量は3500、及び平均重合度(m−1)は5.8であった。
Figure 2019217048
調製例2(ジアミン(2)の製造)
撹拌装置、窒素導入管、およびディーンスターク装置を備えた500mL(三ツ口)フラスコに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン27.50g、ビスフェノールA23.98g、無水炭酸カリウム(K2CO3)21.77g、N−メチル−2−ピロリドン220mL、およびトルエン110mLを入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら加熱し、130〜140℃で4時間トルエンを還流させた。その後、さらに加熱して170〜180℃でトルエンを留去した。さらに、170〜180℃で10時間撹拌を継続した後、室温に戻した。
得られた生成物が入ったフラスコに、4−アミノフェノール5.04g、無水炭酸カリウム6.39g、N−メチル−2−ピロリドン30mL、及びトルエン150mLを添加し、再び窒素雰囲気下で撹拌しながら加熱し、130〜140℃で3時間トルエンを還流させた。その後、加熱して170〜180℃でトルエンを留去し、さらに170〜180℃を保持しつつ4時間撹拌を継続した。その後、室温まで冷却し、反応液を3000mLのメタノールに添加、ろ過することで粉末状固体を得た。この粉末状固体をメタノールおよび水で繰返し洗浄した後、100℃で8時間減圧乾燥して、粉末状固体を得た(ジアミン(2)、下記式で表される化合物、収率:95%)。得られた粉末状固体をGPC測定(溶剤THF、標準ポリスチレン換算)に付して求めた数平均分子量は2920、重量平均分子量は5100、及び平均重合度(m−2)は6.2であった。
Figure 2019217048
調製例3(硬化性化合物Aの製造)
撹拌装置、窒素導入管および乾燥管を備えた1000mL(三ツ口)フラスコに、無水マレイン酸を5.88g、N−メチル−2−ピロリドンを50mL、トルエンを200mL入れ、窒素置換した。そこへ、調製例1で得られたジアミン(1)26.76gをNMP250mLに溶解させた溶液を添加し、窒素雰囲気下、室温で24時間撹拌した。その後、パラトルエンスルホン酸一水和物0.761gを添加し、140℃に加熱して、8時間攪拌を継続し、トルエンを還流して水分を除去した。反応液を室温に戻した後、反応液を3000mLのメタノールに添加、ろ過することで粉末状固体を得た。この粉末状固体をメタノールおよび水で繰返し洗浄した後、100℃で8時間減圧乾燥して、粉末状固体(硬化性化合物A、下記式(A)で表される化合物、芳香環由来の構造の割合:72重量%、収率:90%)を得た。硬化性化合物Aの1H−NMRスペクトルを図5に示す。尚、芳香環由来の構造の割合は1H−NMRによって求めた。
1H-NMR(CDCl3)δ:6.88(m), 7.08(d,J=8.0Hz), 7.17(d,J=8.0Hz), 7.39(m), 7.81(d,J=8.0Hz)
Figure 2019217048
また、硬化性化合物Aの200℃における粘度をレオメーターにより測定したところ、7Pa・sであった。
調製例4(硬化性化合物Bの製造)
ジアミン(1)に代えて、調製例2で得られたジアミン(2)を使用し、前記ジアミン(2)48.57gを330mLのNMPに溶解した溶液を使用した以外は調製例3と同様にして、粉末状固体(硬化性化合物B、下記式(B)で表される化合物、芳香環由来の構造の割合:71重量%、収率:90%)を得た。硬化性化合物Bの1H−NMRスペクトルを図6に示す。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.71(s), 6.87(s), 7.02(m), 7.09(m), 7.17(d,J=8.8Hz),7.26(m), 7.37(d,J=8.8Hz), 7.80(m)
Figure 2019217048
また、硬化性化合物Bの200℃における粘度をレオメーターにより測定したところ、14Pa・sであった。
調製例5(硬化性化合物Cの合成)
撹拌装置、窒素導入管および乾燥管を備えた50mL(三ツ口)フラスコに、調製例1で得られたジアミン(1)を4.571g、4−フェニルエチニル−無水フタル酸を1.852g、N−メチル−2−ピロリドンを33mL入れ、窒素雰囲気下、室温で24時間撹拌した。その後、無水酢酸4.215g、トリエチルアミン1.405gを添加し、60℃で6時間撹拌した。反応液を室温に戻した後、反応液を1500mLのエタノールに添加、ろ過することで粉末状固体を得た。この粉末状固体をエタノールおよび水で繰返し洗浄した後、100℃で8時間減圧乾燥して、粉末状固体(硬化性化合物C、下記式(C)で表される化合物、芳香環由来の構造の割合:76重量%、収率:90%)を得た。硬化性化合物Cの1H−NMRスペクトルを図7に、FTIRスペクトルを図8に示す。
Figure 2019217048
1H-NMR(CDCl3)δ:6.83(m), 6.90(m), 7.09(m), 7.21(d,J=8.8Hz),7.39(m), 7.48(d,J=8.8Hz), 7.58(m), 7.81(m), 7.92(m), 8.08(s)
調製例6(硬化性化合物Dの合成)
ジアミン(1)に代えて、調製例2で得られたジアミン(2)を使用し、前記ジアミン(2)を4.550g使用し、4−フェニルエチニル−無水フタル酸を1.395g使用した以外は調製例5と同様にして、粉末状固体(硬化性化合物D、下記式(D)で表される化合物、芳香環由来の構造の割合:74重量%、収率:90%)を得た。硬化性化合物Dの1H−NMRスペクトルを図9に、FTIRスペクトルを図10に示す。
Figure 2019217048
1H-NMR(CDCl3)δ:1.71(s), 7.02(m), 7.11(d,J=8.8Hz), 7.21(d,J=8.8Hz),7.27(m), 7.41(m), 7.48(d,J=8.8Hz), 7.58(m), 7.81(m), 7.93(m), 8.08(s)
[数平均分子量、重量平均分子量]
硬化性化合物A、B、C、及びDの数平均分子量及び重量平均分子量を、GPC測定(溶剤THF、標準ポリスチレン換算)によって求めた。
[Tg]
硬化性化合物A、B、C、及びDのTgをDSC測定により求めた。
硬化性化合物C及びDのDSC測定結果を図11に示す。硬化性化合物DはTgが140℃程度、硬化性化合物CはTgが120℃程度であり、硬化性化合物C、Dは、いずれも400℃付近に硬化反応による発熱ピークが観測された。
[硬化物の熱重量減少分析]
硬化性化合物A、B、C、D、又はPEEKをガラス板上に厚さ0.5mm程度で均一になるように乗せ、マッフル炉で加熱(25℃から371℃まで10℃/minで昇温し、その後、371℃で2時間保持)して硬化させ、硬化物を得た。
硬化性化合物Cの硬化物、及び硬化性化合物Dの硬化物のDSC結果を図12に示す。DSCチャートに発熱ピークが見られないことから、得られた硬化物は高い硬化度を有すること(若しくは、硬化性化合物A、B、C、又はDは硬化性に優れ、加熱処理を施すことにより全ての硬化性官能基が失われたこと)が分かる。
また、TG/DTAを使用して、得られた硬化物の熱重量減少分析を行い、5%重量減少温度(Td5)及び10%重量減少温度(Td10)を求めた。硬化性化合物Cの硬化物、及び硬化性化合物Dの硬化物の熱重量減少分析結果を図13に示す。
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2019217048
[溶剤溶解性評価]
硬化性化合物A、B、C、D、又はPEEK(1g)を、下記表に示す溶剤(100g)と混合し、25℃で24時間撹拌し、溶剤への溶解性を下記基準で評価した。
評価基準
○(良好):完全に溶解した
×(不良):少なくとも一部が溶解せずに残存した
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2019217048
溶剤 NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMSO:ジメチルスルホキシド
THF:テトラヒドロフラン
[硬化性化合物の加工性、得られた硬化物の耐熱性、絶縁性、及び難燃性評価]
硬化性化合物Aを投入した成形用金型をプレス機(30トン手動油圧真空可熱プレス IMC−46E2−3型、(株)井元製作所製)にセットして50℃に調整し、真空に引きながら、20℃/minで280℃まで昇温して1時間保持した後、さらに20℃/minで320℃まで昇温して30分保持した。その後、プレス機を空冷及び水冷し100℃以下になったところで金型を取り出して、平面状の硬化物(A)(厚み:0.2cm)を得た。得られた硬化物(A)の物性は以下の通りであった。
・密度(JIS K7112A 23℃):1.29g/cm3
・ガラス転移温度(DSCにより測定):154℃
・熱膨張係数(JIS K7197に準拠)(Tg以下):50.8ppm/℃
・熱膨張係数(JIS K7197に準拠)(Tg以上):263ppm/℃
・比誘電率(ASTM D2520に準拠、23℃)(10GHz):2.94
・誘電正接(ASTM D2520に準拠、23℃)(10GHz):0.0056
・難燃性(UL94Vに準拠、厚み0.15mm):V−1グレード
硬化性化合物Aに代えて硬化性化合物Bを使用した以外は上記と同様にして、平面状の硬化物(B)(厚み:0.2cm)を得た。得られた硬化物(B)の物性は以下の通りであった。
・密度(JIS K7112A 23℃):1.19g/cm3
・ガラス転移温度(DSCにより測定):176℃
・熱膨張係数(JIS K7197に準拠)(Tg以下):73ppm/℃
・熱膨張係数(JIS K7197に準拠)(Tg以上):234ppm/℃
・比誘電率(JIS−C2138に準拠、23℃)(1MHz):2.69
・誘電正接(JIS−C2138に準拠、23℃)(1MHz):0.0050
PEEKは320℃で60分加熱しても溶融せず、真空圧縮成形法により成形することはできなかった。
実施例1
調製例で得られた硬化性化合物Aを生体用材料(1)とした。
比較例1
PEEKを生体用材料(2)とした。
実施例及び比較例で得られた生体用材料(1)、(2)について、以下の方法で評価した。
(基板密着性評価)
生体用材料(1)をNMP中で撹拌し、25℃において超音波を5分間あてて完全に生体用材料(1)を溶解させて溶剤溶解物(1)(生体用材料(1)濃度:10重量%)を得た。
基板としてのステンレス鋼(SUS430)上に、溶剤溶解物(1)をシリンジでキャストし、アプリケーターで均一に広げ、これを一次乾燥(120℃の乾燥機中で1時間乾燥)、続いて二次乾燥(150℃の乾燥機中、真空で1時間乾燥)に付して塗膜を得た。得られた塗膜を熱硬化(220℃の乾燥機中、真空で1時間)させて、生体用材料(硬化性化合物Aの硬化物を含む)/基板積層体を得た。
得られた積層体における生体用材料(硬化性化合物Aの硬化物を含む)の基板への密着性を、碁盤目テープ試験(JIS K5400−8.5準拠)で評価したところ、剥がれがなく、密着性に優れていることが確認できた。
また、ステンレス鋼に代えてセラミックを使用した場合にも、同様に密着性に優れた積層体が得られた。
生体用材料(2)は140℃で5分加熱撹拌してもNMPに溶けなかった。そのため、ステンレス鋼(SUS430)やセラミックと接着させることができず、積層体は形成できなかった。
(複合材形性能評価)
生体用材料(1)をシクロヘキサノン中で撹拌し、25℃において超音波を5分間あてて生体用材料(1)を完全に溶解させて溶剤溶解物(2)(生体用材料(1)濃度:10重量%)を得た。
溶剤溶解物(2)5.0gにカーボン糸1.186gを浸漬し、そのまま25℃で8時間静置した。その後、カーボン糸を引き揚げ、130℃のホットステージ上で1時間加熱することでシクロヘキサノンを揮発させて、硬化性化合物Aとカーボン糸との複合材を得た。
硬化性化合物Aとカーボン糸との複合材をアルミ箔で挟み、これをプレス機に設置し、250℃で3分間加熱した後、0.1MPaで加圧した。250℃で8分間保持し、その後320℃まで12分かけて昇温し、320℃で20分間保持して硬化性化合物Aを硬化させて、硬化性化合物Aの硬化物とカーボン糸との複合材を得た。得られた複合材の断面を観察したところ、カーボン糸の1μm以下の空隙に硬化性化合物Aが入り込んで硬化していることが確認できた。
生体用材料(2)は140℃で5分間加熱撹拌してもシクロヘキサノンに溶けず、そのため、生体用材料(2)をカーボン糸に含浸させることはできなかった。
(無機元素溶出性評価)
生体用材料(1)又は(2)の、Na、K、F、及びCl含有量を下記測定機器を使用して測定し、無機元素含有量を評価した。尚、無機元素含有量が少ない方が、生体内で使用した際の無機元素溶出性が低く、安全性に優れる。
測定機器:偏光ゼーマン原子吸光光度計、商品名「HITACHI Z-2310」、(株)日立製作所製
燃焼部:イオンクロマトグラフ用前処理装置、商品名「AQF-100」、(株)三菱ケミカルアナリテック製
検出部:イオンクロマトグラフ、商品名「ICS-200」、サーモフィッシャー・サイエンティフィック製
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2019217048

Claims (10)

  1. 下記式(1)
    Figure 2019217048
    [式中、R1、R2は、同一又は異なって、硬化性官能基を示し、D1、D2は、同一又は異なって、単結合又は連結基を示す。Lは、下記式(I)で表される構造と下記式(II)で表される構造とを含む繰り返し単位を有する2価の基を示す。
    Figure 2019217048
    (式中、Ar1〜Ar3は、同一又は異なって、芳香環の構造式から2個の水素原子を除いた基、又は2個以上の芳香環が単結合若しくは連結基を介して結合した構造式から2個の水素原子を除いた基を示す。Xは−CO−、−S−、又は−SO2−を示し、Yは、同一又は異なって、−S−、−SO2−、−O−、−CO−、−COO−、又は−CONH−を示す。nは0以上の整数を示す)]
    で表される化合物、若しくは前記化合物の硬化物、又は前記化合物の半硬化物を含む生体用材料。
  2. 式(1)中のR1、R2が、同一又は異なって、環状イミド構造を有する硬化性官能基である、請求項1に記載の生体用材料。
  3. 式(1)中のR1、R2が、同一又は異なって、下記式(r-1)〜(r-6)で表される基から選択される基である、請求項1に記載の生体用材料。
    Figure 2019217048
    (式中の窒素原子から伸びる結合手は、D1又はD2と結合する)
  4. 式(1)中のD1、D2が、同一又は異なって、下記式(d-1)〜(d-4)
    Figure 2019217048
    で表される構造を含む基から選択される基である、請求項1〜3の何れか1項に記載の生体用材料。
  5. 式(I)、及び式(II)中のAr1〜Ar3が、同一又は異なって、炭素数6〜14の芳香環の構造式から2個の水素原子を除いた基、又は炭素数6〜14の芳香環の2個以上が、単結合、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、又は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基の水素原子の1個以上がハロゲン原子で置換された基を介して結合した構造式から2個の水素原子を除いた基である、請求項1〜4の何れか1項に記載の生体用材料。
  6. 式(I)で表される構造が、ベンゾフェノン由来の構造である、請求項1〜5の何れか1項に記載の生体用材料。
  7. 式(1)で表される化合物全量における、ベンゾフェノン由来の構造単位の占める割合が5重量%以上である、請求項6に記載の生体用材料。
  8. 式(II)で表される構造が、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、及びビスフェノールAから選択される少なくとも1種の化合物由来の構造である、請求項1〜7の何れか1項に記載の生体用材料。
  9. 式(1)で表される化合物全量における、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、及びビスフェノールA由来の構造単位の占める割合が5重量%以上である、請求項8に記載の生体用材料。
  10. 人工骨、人工関節、ボーンスクリュー、人工歯根、人工弁、人工腱、骨セメント、又はこれらの原料である、請求項1〜9の何れか1項に記載の生体用材料。
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