JP2019216679A - ポリフェノール含有抽出物、ポリフェノール含有組成物、及び、食品組成物、並びにそれらの製造方法、安定性改善方法、及び、水溶性改善方法。 - Google Patents

ポリフェノール含有抽出物、ポリフェノール含有組成物、及び、食品組成物、並びにそれらの製造方法、安定性改善方法、及び、水溶性改善方法。 Download PDF

Info

Publication number
JP2019216679A
JP2019216679A JP2018118544A JP2018118544A JP2019216679A JP 2019216679 A JP2019216679 A JP 2019216679A JP 2018118544 A JP2018118544 A JP 2018118544A JP 2018118544 A JP2018118544 A JP 2018118544A JP 2019216679 A JP2019216679 A JP 2019216679A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyphenol
extract
composition
polysaccharide
containing extract
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018118544A
Other languages
English (en)
Inventor
宜仁 木村
Yoshihito Kimura
宜仁 木村
金緯 楊
Kini Yo
金緯 楊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokiwa Phytochemical Co Ltd
Original Assignee
Tokiwa Phytochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokiwa Phytochemical Co Ltd filed Critical Tokiwa Phytochemical Co Ltd
Priority to JP2018118544A priority Critical patent/JP2019216679A/ja
Publication of JP2019216679A publication Critical patent/JP2019216679A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)

Abstract

【課題】ポリフェノール含有抽出物を含有する食品組成物の各剤形に含まれている、安定性及び水溶性の悪いポリフェノール類について、安定性及び水溶性を向上させ、保存または加工によるポリフェノール類の流失を抑制することができ、且つきれいな水溶液を製作することができるポリフェノール含有抽出物を含有する食品組成物を提供する。【解決手段】本発明の一観点に係るポリフェノール含有抽出物含有食品組成物は、水溶性食物繊維類などの多糖類を含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリフェノール含有抽出物、ポリフェノール含有組成物、及び、食品組成物、並びにそれらの製造方法、安定性改善方法、及び、水溶性改善方法に関する。
ポリフェノールは、分子内に複数のフェノール性芳香環構造を持つ化合物の総称であり、ほとんどの植物に含有され、多種多様な生物活性を示している。代表的なポリフェノールは、ベリーに含まれるアントシアニン、茶由来カテキンなどのフラボノイド類、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などのフェノール酸類、またはウコン由来クルクミンやシナモンに含まれるクマリンなどが知られている。
ポリフェノール含有植物は、例えば、ラフマが中華人民共和国(中国)の国家薬典委員会発表の「中華人民共和国薬典」において心臓病、腎炎、高血圧、不眠症、神経衰弱などの効果があると報告されており、また日本においても、ラフマ熱水抽出物としての茶飲料が販売され、その高血圧改善効果が報告されている(例えば下記非特許文献1参照)。さらに近年では、動物実験においてラフマ抽出物のリラックス効果について、ラフマ葉の含水アルコール抽出物投与は抗うつ作用を示す可能性があるという報告(例えば下記非特許文献2参照)や、ヒト臨床試験で睡眠品質改善の可能性があるという報告がある(例えば下記非特許文献3参照)。
ラフマには、多種類のポリフェノールの一種であるフラボノイド類化合物が含まれていると報告され(例えば下記非特許文献4参照)、ラフマの様々な機能性はフラボノイド類化合物に由来していると考えられている(例えば下記非特許文献5参照)。
また、ポリフェノール含有植物は、例えば、ビルベリーが北欧を中心に自生する野生種のブルーベリーであり、その果実は古くからジュースやジャムとして利用されてきた。ビルベリーはポリフェノール類化合物の一種であるアントシアニン類化合物が豊富に含まれ、それにより抗酸化活性などの機能性を示している。さらに近年では、ヒト臨床試験で目の疲労改善、ピント調節機能改善の可能性があるという報告がある(例えば下記非特許文献6参照)。
ところで、現状、ポリフェノール類化合物を含有する組成物は、水溶液の形態で提供されるものが多い。しかしながらポリフェノール含有抽出物を含有する食品組成物は、水溶性が悪く、水溶液形態で提供される液剤において、沈殿や濁りが見られる。また、ポリフェノール含有抽出物を含有する食品組成物、水溶液形態で提供される液剤において、ポリフェノール類化合物の熱に対する安定性は悪い。
一方、ポリフェノール類化合物の安定性を向上させる技術として、例えば下記特許文献1には、−SH基を有することで安定化されたアントシアニン組成物が開示されている。また、ポリフェノール類化合物の水溶性を向上させる技術として、例えば下記特許文献2には、特定構造を持つポリフェノール類化合物を混合することで水溶性を向上させた水溶性向上剤が開示されている。
特表2010−521449号公報 特許第6062666号公報
燕龍茶フラボノイド含有飲料の正常高値血圧者および軽症高血圧者に対する降圧効果、日本健康科学学会誌21(1)pp.115−128、2005 アレルギーとフラボノイド、日本補完代替医療学会誌3(1)pp.1−8、2006 The Improvement of sleep by oral intake of GABA and Apocynum venetum leaf extract, J Nutr Sci Vitaminol. 61.182−187、2015. Constituents from leaves of Apocynum venetum L. J Nat Med. 62.160−163、2008. Nitric oxide formation and corresponding relaxation of porcine coronary arteries induced by plant phenols essential structural features, J Cardiovasc Pharmacol. 40.701−713、2002. The improvement effect of bilberry extract (BILBERON(登録商標))−containing diet on eye fatigue and eye dryness−A randomized, double−blind, placebo−controlled parallel−group comparison study−,薬理と治療、44.1773−1783、2016.
しかしながら、上記特許文献1は、化合物に対して人工的に官能基を導入する技術であって、製造に多大な手間すなわちコストがかかる。また、加工後の化合物に対する安全性についても改めて確認が必要であるなどの課題もある。また、上記特許文献2は、高純度のポリフェノール類化合物を配合する技術であって、化合物自体が高価すなわちコストがかかる。
そこで、本発明は上記課題に鑑み、安定性、及び、水溶性の高いポリフェノール含有抽出物及びポリフェノール含有組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために研究を進めた結果、多糖類をポリフェノール含有抽出物に加えることでポリフェノール類化合物の安定性及び水溶性が向上していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一観点に係るポリフェノール含有抽出物の安定性改善方法は、ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加するものである。なおこの観点において、ポリフェノール含有抽出物は、植物由来のものであることは好ましい一例である。
また、本発明の他の一観点に係るポリフェノール含有抽出物の水溶性改善方法は、ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加するものである。尚の観点において、ポリフェノール含有抽出物は、植物由来のものであることは好ましい一例である。
また、本発明の他の一観点に係るポリフェノール含有組成物は、ポリフェノール含有抽出物及び多糖類を含むものである。
また、本発明の他の一観点に係るポリフェノール含有組成物の製造方法は、ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加するものである。なおこの観点において、ポリフェノール含有抽出物は、植物由来のものであることは好ましい一例である。
また、本発明の他の一観点に係る食品組成物の製造方法は、ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加して粉末とし、その液剤の安定性及び水溶性を向上させたものであることを特徴とする。なおこの観点において、ポリフェノール含有抽出物は、植物由来のものであることは好ましい一例である。
また、本発明の他の一観点に係る食品組成物は、ポリフェノール含有抽出物及び多糖類を含むものである。なおこの観点において、ポリフェノール含有抽出物は、植物由来のものであることは好ましい一例である。
以上本発明によって、安定性及び水溶性の高いポリフェノール抽出物含有組成物及びこれを含む食品組成物、並びに、その製造方法及び安定性及び水溶性改善方法を提供することができる。
そして上記効果により、例えばポリフェノール含有抽出物含有組成物を各剤形にした場合、特に、応用場面の多い液剤にする場合であっても、安定性及び水溶性が向上したポリフェノール類化合物を安定して提供することが可能となる。そしてこの結果、ポリフェノール類化合物による多種多様の生理活性をより効率的に発揮することができるようになる。すなわち、ポリフェノール類化合物を各剤形で安定して提供することが可能となる。
ラフマ抽出物水溶液に含まれるポリフェノール類化合物の残存率を示すグラフを示す。 ビルベリー抽出物水溶液に含まれるポリフェノール類化合物の残存率を示すグラフを示す。 ラフマ抽出物水溶液の写真を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例において記載された例示にのみ限定されるわけではない。
本実施形態に係るポリフェノール含有組成物(以下「本組成物」という。)は、ポリフェノール含有抽出物と、多糖類と、を含む。
本組成物において、ポリフェノールとは、分子内においてフェノール性ヒドロキシ基を複数有する化合物をいい、一般に抗酸化活性などの機能性を備える。ポリフェノールの例としては、限定されるわけではないが、フラボノイド、アントシアニン、フェノール酸、クルクミン、リグナン、及びエラグ酸等を例示することができるがこれに限定されない。
また、本組成物は、原料から抽出され、ポリフェノールを含有するものである。この原料としては、限定されるわけではないが、植物や海藻等から抽出することができ、特に限定されるわけではないが、植物であることがより効率的なポリフェノール類抽出の観点から好ましい。
また本組成物に含まれるポリフェノール含有抽出物において、原料が植物である場合のポリフェノール含有抽出物(「ポリフェノール含有植物抽出物」ともいう。)は、その葉、果実、根、種子、花、樹皮等そのもの、及び、葉、果実、根、種子、花、樹皮等を乾燥、粉砕等の加工を行った加工物の少なくともいずれを含む植物原料から溶媒抽出等によって得られた抽出物だけでなく、この抽出物を濃縮して溶媒を除去した濃縮物、更には、濃縮物に樹脂精製などの加工を施して得られた精製物などが含まれる。
ここで原料となる植物は、抽出物を取得し、当該抽出物において所定の機能性を備えるポリフェノールを含有するものである限りにおいて限定されるわけではないが、例えばキョウチクトウ科、ツツジ科、スグリ科、ヤシ科、ショウガ科、イチョウ科、及びツバキ科の少なくともいずれかの科を例示することができる。
また、植物がキョウチクトウ科である場合、ラフマ、キョウチクトウ、ニチニチソウ、プルメリア、テイカカズラ等を例示することが可能である。また、ツツジ科の場合は、スノキ属のビルベリー、ブルーベリー、コケモモ、クランベリー、シャシャンボ等を例示することができる。また、植物がスグリ科である場合、カシス等を例示することができる。また、植物がヤシ科である場合、アサイー等を例示することができる。また、植物がショウガ科である場合、ウコン属のウコン、バンウコン属の黒ショウガ(Kaempferia parviflora)等を例示することができる。また植物がイチョウ科である場合、イチョウ属イチョウであることができる。また植物がツバキ科の場合ツバキ属のチャノキ等を例示することができる。しかしながら、上記の通り、ポリフェノールを抽出することができる限りにおいてこれらに限定されるわけではない。
また、上記において抽出物を得る際の溶媒抽出に用いられる溶媒としては、ポリフェノール含有原料内に存在するポリフェノール類化合物を効率的に抽出できる限りにおいて限定されるわけではないが、水、アルコール、及び極性溶媒の少なくともいずれかを含むものを挙げることができる。
また上記において、アルコールは、限定されるわけではないが取り扱いの観点から低級アルコールあることが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールの少なくともいずれかを含むものであることが好ましく、より好ましくは水及びアルコールを含む含水アルコールであり、食品組成物としての観点からエタノールを含む含水エタノールであることが好ましい。
また上記において、極性溶媒としても限定されるわけではないが、例えばグリセリン及びアセトンの少なくともいずれかを含むものであることが好ましい。
また本組成物において「多糖類」とは、グリコシド結合によって単糖分子が二分子以上重合した物質の総称である。本実施形態において多糖類は、ポリフェノール含有抽出物に含まれているポリフェノール類化合物の安定性を向上させるポリフェノール含有抽出物を含有する食品組成物の有効成分となっている。
本組成物における多糖類は、限定されるわけではないが、水溶性食物繊維類であることが好ましい。水溶性食物繊維類の例としては、限定されるわけではないが、例えばデキストリン、ペクチン及びアラビアガムの少なくともいずれかを含むものが好ましく、より高い効果を得る観点からはペクチン及びアラビアガムであることがより好ましい。またこの水溶性食物繊維類の供給原料としては、りんご、柑橘類等の果物、ジャガイモ、サツマイモ等の芋類、キャベツ等の野菜類、昆布、ワカメなどの海藻類、大豆等の豆類、又は、マメ科アカシア属アラビアゴムノキ (Acacia senegal)を例示することができる。もちろん、これらの少なくとも二種以上を混合させてもよい。
また本組成物において、含まれる多糖類の量としては、限定されるわけではないが、ポリフェノールの重量を1とした場合、多糖類の量が0.01以上50以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1以上20以下であり、更に好ましくは0.25以上3.5以下である。なおこのポリフェノール類化合物の安定性を向上させる原理としては、推定の部分もあるが、ポリフェノール類化合物が多糖類分子に含まれるヒドロキシ基の水素結合により、多糖類分子の立体構造に入り、保護されていることであると考えられる。
上記の記載からも明らかなように、本組成物は、食品組成物、医薬品組成物、化粧品組成物としての形態をとりうる。
また本組成物の形態は、いずれの場合であっても、固体状のものであっても、液体状のものであっても、これらが混合してなる流動性のある状態であってもよい。具体的には、液状、シロップ状、錠状、ハードカプセル状、顆粒状、細粒状、ソフトカプセル状、又はシロップ状を例示することができる。
また、本組成物が食品組成物である場合は、例えばドリンク、キャンデー、ゼリーなどのデザート類とする形態を挙げることができ、特に食品組成物が健康食品または機能性表示食品であるときの形態は、例えば錠剤、カプセルなどの形態を挙げることができる。
また本組成物が医薬品組成物である場合は、例えば錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤、乳剤の形態を挙げることができる。投与方法は特に限定されるものではないが、経口投与可能な形態であることが望ましい。また製剤的に許容できる範囲で様々の担体を加えることができ、例えば賦形剤、着色剤、甘味剤、懸濁化剤等を加えることが好ましい。
また、本組成物は、製造することができる限りにおいて限定されるわけではないが、ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加することにより製造可能である。添加する方法としては、限定されるわけではないが、液状の抽出物に液状の多糖類を混合することが好ましいがこれに限定されない。
以上、本組成物は、安定性の高いポリフェノール含有抽出物含有組成物となる。本組成物は、上記の通り、ポリフェノール含有抽出物に含まれるポリフェノール類化合物を摂取することのできる食品、健康食品である機能性表示食品又は医薬品としての形態をとりうるものであり、その配合成分の一つとして、多糖類を含む。この多糖類を含有していることでポリフェノール類化合物の安定性を大きく向上させ、この結果ポリフェノール類化合物の生理活性をより効率的に発揮することができるようになる。すなわち、ポリフェノール類化合物がそれらの製品における存続時間が延長され、安定して提供することが可能となる。
また、本組成物は、水溶性に対しても大きな向上を図ることができる。すなわち、本組成物は保存安定性及び水溶性を向上させることができ、より有用なものとなる。
ここで実際に、上記実施形態に係るポリフェノール含有抽出物含有食品組成物を製造し、その効果を確認した。以下具体的に説明する。
「ラフマ(学名:Apocynum venetum L.)」とは、キョウチクトウ科の多年草の一種であり、主な産地は中国北部や西部であり、古くから当地の人に茶葉として利用されている。ラフマは多種類のポリフェノール類化合物が含まれ、それにより血圧降下などの機能性を示している。
(1)ラフマ抽出物の作製
まず、ラフマ(Apocynum venetum L.)の乾燥葉を粉砕し、その粉砕物に含水エタノールを加え、抽出を行った後、ろ過し抽出液を得た。ろ過液を濃縮した後、クエン酸を用いてpH3に調製した。そして、沈殿をろ過した後、樹脂精製を行って得られた精製液を濃縮し、濃縮液としてのラフマ抽出物を得た。
(2)組成物の調製
多糖類として、水溶性食物繊維であるペクチンとアラビカガムの2:23の比率の混合物(横浜油脂工業株式会社製)を用いた。ラフマ抽出物に含まれるポリフェノール化合物であるヒペロシドとイソクエルシトリンの合計重量を1とした場合に、上記多糖類液剤の固形分の重量が1.4となるよう添加し、十分に攪拌した。得られた溶液をスプレー乾燥して、ラフマ抽出物含有組成物を調製した。また、多糖類を入れていないラフマ抽出物の濃縮液をそのまま乾燥し、対照区として調製した。
(3)加速試験によるポリフェノール類化合物の安定性の確認
上記調製した組成物および対照区において、上記ラフマ抽出物が0.1重量%になるように蒸留水で溶解し、ふた付きのガラス瓶に分注した後、アルミ袋に入れて、加速条件(40℃、湿度75%RH)で保存した。組成物水溶液の分注後、加速条件で保存2週間後、保存4週間後、保存6週間後、保存8週間後、保存12週間後、保存14週間後、保存16週間後、保存18週間後、保存20週間後、保存24週間後までの組成物水溶液を、対照区水溶液の分注後、加速条件で保存2週間後、保存4週間後、保存6週間後、保存8週間後、保存12週間後までの対照区水溶液を、下記HPLC条件によるHPLC分析によりラフマ抽出物に含まれるポリフェノール類であるヒペロシドとイソクエルシトリンの含量を測定した。
(HPLC条件)
システム:Ailliance(Waters)
カラム:SHISEIDO CAPCELL−PAK C18 UG120 4.6mm I.D.x250mm
カラム温度:30℃
検出波長:330nm
注入量:10μL
流速:1.0mL/min
分析時間:60min
移動相:(A)水/トリフルオロ酢酸(99.9/0.1)
(B)アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(99.9/0.1)
グラジエント(B):0−40min,15%; 40−50min,80%; 50−60min,15%
なおここでポリフェノール類含量は、ラフマ抽出物に含まれるポリフェノール類であるヒペロシドとイソクエルシトリン計2種類の成分を上記条件で一斉分析し、その合計として算出した。
さらに、分注後の含量値を100%とし、加速条件で保存後の含量値を分注後の含量値を割って、残存率として算出した。
上記の結果を図1に示す。本図で示す結果によると、多糖類を加えたラフマ抽出物を含有するラフマ抽出物含有組成物において、ポリフェノール類であるヒペロシドとイソクエルシトリンの安定性が向上していることを確認した。
また、下記表1は、ラフマ抽出物含有組成物においては加速条件で保存後24週目まで、対照区においては12週目までのポリフェノール類化合物残存率を示す表である。
本表及び図で示す結果によると、ラフマ抽出物含有組成物において、加速条件で保存後2週目から8週目まで、ラフマ抽出物に含まれるポリフェノール類化合物であるヒペロシドとイソクエルシトリン含量は分注後よりもむしろ高い結果を示している。この原因としては、不明なところもあるが、ラフマにはマロニル体のヒペロシドとイソクエルシトリンが含まれているため、それらの化合物が加速条件によって、単体のヒペロシドとイソクエルシトリンに分解され、余分のヒペロシドとイソクエルシトリンになったと推測される。この結果から、ラフマ抽出物に多糖類を加えたことにより、ラフマ抽出物単独の場合に比べ十分安定性が高いことが推測されることを確認した。
以上、本実施例によって、多糖類がラフマ抽出物に含まれているポリフェノール類化合物の安定性を向上させる有効成分として機能していることを確認し、ラフマ抽出物の製造工程に配合されることでラフマ抽出物に含まれているポリフェノール類化合物の安定性を大幅に向上させることができる。
「ビルベリー(学名:Vaccinium myrtillus L.)」とは、ツツジ科スノキ属の小果樹で、北欧を中心に自生する野生種のブルーベリーである。ビルベリーの果実は古くからジュースやジャムとして利用されてきた。ビルベリーはポリフェノール類化合物の一種であるアントシアニン類化合物が豊富に含まれ、それにより抗酸化活性などの機能性を示している。
(1)ビルベリー抽出物の作製
まず、ビルベリー(Vaccinium myrtillus L.)の冷凍果実を粉砕し、その粉砕物に含水エタノールを加え、抽出を行った後、ろ過し出液を得た。ろ過液を濃縮した後、樹脂精製を行って得られた精製液を濃縮し、濃縮液としてのビルベリー果実抽出物を得た。
(2)組成物の調製
多糖類として、水溶性食物繊維であるペクチンとアラビカガムの2:23の比率の混合物(横浜油脂工業株式会社製)を用いた。ビルベリー果実抽出物に含まれるポリフェノール類化合物のアントシアニン合計重量が1とした場合に、試験区1は上記多糖類液剤の固形分の重量が0.28に、試験区2は上記多糖類液剤の固形分の重量が0.63に、試験区3は上記多糖類液剤の固形分の重量が1.07に、試験区4は上記多糖類液剤の固形分の重量が1.67となるように添加し、十分に攪拌した。得られた溶液を凍結乾燥して、ビルベリー果実抽出物含有組成物を調製した。また、多糖類を入れていないビルベリー果実抽出物の濃縮液をそのまま凍結乾燥し、対照区として調製した。
(3)安定性試験によるポリフェノール類化合物の熱安定性の確認
上記調製した組成物および対照区において、上記ビルベリー果実抽出物含有組成物が0.1重量%になるように蒸留水で溶解し、ふた付きのガラス瓶に分注した後、アルミ袋に入れて、室温および冷蔵条件で保存した。組成物および対照区水溶液の分注後、室温および冷蔵条件で保存4週間後、下記HPLC条件によるHPLC分析によりビルベリー果実抽出物に含まれるポリフェノール類の含量を測定した。
(HPLC条件)
システム:Ailliance(Waters)
カラム:YMC−Pack Pro C18 RS 4.6mm I.D.x250mm
カラム温度:30℃
検出波長:535nm
注入量:10μL
流速:1.0mL/min
分析時間:60 min
移動相:(A)水/ギ酸(90/10)
(B)アセトニトリル/メタノール/水/ギ酸(22.5/22.5/40/10)
グラジエント(B):0−35min,12−25%; 35−45min,25−65%; 45−55min,65−100%; 55−60min, 100%
なおここでポリフェノール類含量は、ビルベリー果実抽出物に含まれるポリフェノール類であるアントシアニン計15種類の成分を上記条件で一斉分析し、その合計として算出した。
さらに、分注後の含量値を100%とし、室温と冷蔵保存後の含量値を分注後の含量値を割って、残存率として算出した。
上記の結果を図2に示す。本図で示す結果によると、室温条件では、試験区1および試験区2の多糖類を加えたビルベリー果実抽出物を含有するビルベリー果実含有組成物において、ポリフェノール類の安定性が向上していることを確認した。冷蔵条件では、すべての試験区において、ポリフェノール類の安定性が向上していることを確認した。
また、下記表2は、対照区及び試験区においては室温および冷蔵条件で4週目までのポリフェノール類化合物残存率を示す表である。
本表及び図で示す結果によると、ビルベリー果実抽出物含有組成物において、室温条件で保存4週後、ビルベリー果実抽出物に含まれるポリフェノール類化合物であるアントシアニンは、ビルベリー果実抽出物に含まれるポリフェノール類化合物重量が1とした場合多糖類液剤の固形分の重量が0.28以上0.63以下の範囲では、ポリフェノール類化合物残存率は対照区に比べ13.3から25.3%増加しており、また冷蔵条件で保存4週後、ビルベリー果実抽出物に含まれるポリフェノール類化合物重量が1とした場合に多糖類液剤の固形分の重量が0.28以上1.67以下の範囲では、ポリフェノール類化合物残存率は対照区に比べ約31%増加しており、この結果からビルベリー果実抽出物に含まれるポリフェノール類化合物重量が1とした場合多糖類液剤の固形分の重量が0.28以上1.67以下の範囲であれば、冷蔵保存条件ではこの効果を十分に達成することが予測でき、ポリフェノール類化合物のアントシアニン合計重量が1とした場合に0.28以上0.63以下の範囲であれば単独の場合に比べ十分安定性が向上していることが推測されることを確認した。
以上、実施例1および2によって、多糖類がポリフェノール含有抽出物に含まれているポリフェノール類化合物の安定性を向上させる有効成分として機能していることを確認し、ポリフェノール含有抽出物含有組成物の製造工程に配合されることでポリフェノール含有抽出物に含まれているポリフェノール類化合物の安定性を大幅に向上させることができる。
(1)組成物の調製
実施例1で調製したラフマ抽出物含有組成物において、ラフマ抽出物が0.05、0.1、0.3、0.5重量%になるように蒸留水で溶解し、ふた付きのガラス瓶に分注した。
(2)ポリフェノール類化合物の水溶性の確認
上記の結果について、0.1%水溶液を図3に示す。本図で示す結果によると、対照区に沈殿が見られた一方、組成物ではきれいな水溶液を確認した。
また、下記表3は、対照区及び組成物においては0.05、0.1、0.3、0.5重量%の水溶液における水溶性を示す表である。
以上、実施例3によって、ポリフェノール含有抽出物の水溶性が、少なくとも10倍以上に向上していることを確認した。
本発明は、ポリフェノール含有抽出物含有食品組成物として産業上の利用可能性がある。

Claims (11)

  1. ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加するポリフェノール含有抽出物の安定性改善方法。
  2. 前記多糖類は水溶性食物繊維類を含む請求項1記載のポリフェノール含有抽出物の安定性改善方法。
  3. ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加するポリフェノール含有抽出物の水溶性改善方法。
  4. 前記多糖類は水溶性食物繊維類を含む請求項3記載のポリフェノール含有抽出物の水溶性改善方法。
  5. ポリフェノール含有抽出物及び多糖類を含むポリフェノール含有組成物。
  6. 前記多糖類は水溶性食物繊維類を含む請求項5記載のポリフェノール含有組成物。
  7. ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加するポリフェノール含有組成物の製造方法。
  8. ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加して粉末とし、その液剤の安定性を向上させことを特徴とする食品組成物の製造方法。
  9. ポリフェノール含有抽出物に多糖類を添加して粉末とし、その粉末の水溶性を向上させことを特徴とする食品組成物の製造方法。
  10. ポリフェノール含有抽出物及び多糖類を含む食品組成物。
  11. 液状、シロップ状、錠状、ハードカプセル状、顆粒状、細粒状、ソフトカプセル状、又はシロップ状である、請求項10に記載の食品組成物。
JP2018118544A 2018-06-22 2018-06-22 ポリフェノール含有抽出物、ポリフェノール含有組成物、及び、食品組成物、並びにそれらの製造方法、安定性改善方法、及び、水溶性改善方法。 Pending JP2019216679A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018118544A JP2019216679A (ja) 2018-06-22 2018-06-22 ポリフェノール含有抽出物、ポリフェノール含有組成物、及び、食品組成物、並びにそれらの製造方法、安定性改善方法、及び、水溶性改善方法。

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018118544A JP2019216679A (ja) 2018-06-22 2018-06-22 ポリフェノール含有抽出物、ポリフェノール含有組成物、及び、食品組成物、並びにそれらの製造方法、安定性改善方法、及び、水溶性改善方法。

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019216679A true JP2019216679A (ja) 2019-12-26

Family

ID=69094518

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018118544A Pending JP2019216679A (ja) 2018-06-22 2018-06-22 ポリフェノール含有抽出物、ポリフェノール含有組成物、及び、食品組成物、並びにそれらの製造方法、安定性改善方法、及び、水溶性改善方法。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019216679A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113318051A (zh) * 2021-06-23 2021-08-31 上海林清轩生物科技有限公司 一种含厚朴提取物的舒缓保湿提取液及其制备方法
CN113907228A (zh) * 2021-11-08 2022-01-11 浙江大学中原研究院 一种酚类稳态化果汁及其制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009263638A (ja) * 2008-03-31 2009-11-12 Sanei Gen Ffi Inc ウコン色素組成物及びその調製方法
JP2010222293A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 Fujifilm Corp 分散組成物及び分散組成物の製造方法
JP2015519312A (ja) * 2012-04-19 2015-07-09 パーデュー・リサーチ・ファウンデーションPurdue Research Foundation 高度分岐α−D−グルカン
WO2016182023A1 (ja) * 2015-05-12 2016-11-17 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 アントシアニン色素製剤
WO2018056444A1 (ja) * 2016-09-26 2018-03-29 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 クルクミン組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009263638A (ja) * 2008-03-31 2009-11-12 Sanei Gen Ffi Inc ウコン色素組成物及びその調製方法
JP2010222293A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 Fujifilm Corp 分散組成物及び分散組成物の製造方法
JP2015519312A (ja) * 2012-04-19 2015-07-09 パーデュー・リサーチ・ファウンデーションPurdue Research Foundation 高度分岐α−D−グルカン
WO2016182023A1 (ja) * 2015-05-12 2016-11-17 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 アントシアニン色素製剤
WO2018056444A1 (ja) * 2016-09-26 2018-03-29 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 クルクミン組成物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113318051A (zh) * 2021-06-23 2021-08-31 上海林清轩生物科技有限公司 一种含厚朴提取物的舒缓保湿提取液及其制备方法
CN113318051B (zh) * 2021-06-23 2023-04-07 上海林清轩生物科技有限公司 一种含厚朴提取物的舒缓保湿提取液及其制备方法
CN113907228A (zh) * 2021-11-08 2022-01-11 浙江大学中原研究院 一种酚类稳态化果汁及其制备方法
CN113907228B (zh) * 2021-11-08 2023-12-01 浙江大学中原研究院 一种酚类稳态化果汁及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7051784B2 (ja) シャルドネブドウ種子抽出物
WO2015046486A1 (ja) 肥満抑制組成物
Thiagarajah et al. Plants infused water as preferred healthy drinks
JP2006016390A (ja) プロアントシアニジン含有組成物
JP2019216679A (ja) ポリフェノール含有抽出物、ポリフェノール含有組成物、及び、食品組成物、並びにそれらの製造方法、安定性改善方法、及び、水溶性改善方法。
Suna et al. Trends and possibilities of the usage of medicinal herbal extracts in beverage production
KR102371417B1 (ko) 인삼 꽃대 추출물을 포함하는 항염증용 조성물
KR101831981B1 (ko) 상동나무 추출물 또는 이의 분획물을 유효성분으로 함유하는 암의 예방, 개선 또는 치료용 조성물
KR101416191B1 (ko) 제주 재래 감귤인 팔삭, 당유자 또는 이예감 추출물을 유효성분으로 함유하는 암 예방 또는 치료용 약학조성물
US20050202105A1 (en) Water soluble compositions derived from plant material and preparation thereof
Mandal et al. Syzygium cumini (L.) Skeels.
KR20150088223A (ko) 해당화 추출물을 유효성분으로 포함하는 알코올성 간질환 예방 또는 치료용, 또는 숙취해소용 조성물
EP2089505A1 (en) Reduced-hangover alcoholic beverage
CN108497246A (zh) 一种植物减肥功能饮料及其制备方法
US10709751B2 (en) Chardonnay grape seed extract
KR101636608B1 (ko) 산수유 추출물을 포함하는 항산화용 조성물
JP2009242273A (ja) 血清ldlコレステロール値の低下作用を有する経口組成物。
Ngoc Water-Based Extraction of Bioactive Principles from Hawthorn, Blackcurrant Leaves and Chrysanthellum Americanum: from Experimental Laboratory Research to Homemade Preparations
US20060280820A1 (en) Use of an extract of Aloysia/Verbena/Lippia triphylla/citriodora for the treatment of chronic and/or inflammatory diseases
RU2174550C1 (ru) Композиция ингредиентов для бальзама
Asgary et al. Pomegranate bioactive compounds and health.
WO2006001112A1 (ja) 育毛剤
US20220160810A1 (en) Methods for continuous extraction and purification of a unique flavan-3-ol extract from immature whole grape clusters and compositions thereof
WO2017114992A1 (es) Método para la obtención de extractos que comprenden compuestos hidroxicinámicos a partir de residuos vegetales
JP6782956B2 (ja) 吸収促進剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211215

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220214

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220607