JP2019215955A - 照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】グレアの発生を抑制しつつ、配光形状を改善することができる照明装置を提供すること。【解決手段】照明装置1は、光出射面45及び被支持面41bを備えるLEDモジュール4と、半径R1の入射円形開口31、半径R2の出射円形開口32、及びリフレクタ3と、を有し、リフレクタ3の反射側面は、円C1によって規定され且つ光出射面45から光出射方向に延在する円弧AB、及び円C1が略内接する円C2によって規定される円弧BCを連結させて得られる曲線を、光軸ayに対して回動させた面であり、円C1の中心o1は、光出射面45よりも被支持面41b側にあり、光出射面45の一方の端部45aからの出射光と、他方の端部45bから延在する反射側面との接点Tから光軸ayに下した垂線の足fまでの距離r、垂線の足fから光出射面45までの距離d、及び半径R1が、d/(R1+r)≧0.6を満たす。【選択図】図4
Description
本発明は、LED(Light Emitting Diode)の発光素子からなる発光モジュールを光源として備える照明装置に関する。
従来、LED等の発光素子を備えた点光源タイプ又は面光源タイプのLEDモジュールが、照明装置に広く用いられている。点光源タイプ又は面光源タイプのLEDモジュールは、全体的に光軸から広がる方向に光を出射し、一般的に広範囲を照射する。このため、LEDモジュールを用いた照明装置には、照射範囲を狭めて集光するためのリフレクタが取り付けられ、例えば天井に設置されるダウンライト等の照明装置に利用されている。
LEDモジュールは、省電力、小型、及び長寿命等の面で優れた光源であり、特に近年では、技術開発の進展に伴って出力可能な発光強度が向上し、より明るさを必要とする環境においても使用できるようになってきている。その反面、発光強度が高いLEDモジュールをダウンライトの光源として使用すると、LEDが発する光がリフレクタで反射されることなく人の視界に直接入射する場合には、不快なまぶしさ、すなわちグレアが生じることがある。特に、LEDモジュールの光軸から離れた方向にまで直接光が出射される場合には、人の視界に対して浅い仰角で直接光が入射することになるため、よりグレアが生じやすい条件となる。
上記のようなグレアへの対策として、例えば、特許文献1のLED照明装置が提案されている。特許文献1のLED照明装置は、リフレクタの形状が、外側に凸である従来のお椀型形状とは異なり、内側に凸である双曲線型に形成されている。そして、特許文献1のLED照明装置は、当該双曲線型のリフレクタを採用することにより、従来のお椀型形状のリフレクタと比較して、グレアの発生を抑制しつつ、スムーズな配光を実現しようとするものである。
しかしながら、上記の特許文献1に開示された双曲線型のリフレクタにおいて、1/2ビーム角が最適となる条件は、光源が理想的な点光源の場合である。本発明者らの検討に拠れば、当該双曲線型のリフレクタは、光源の発光面の面積が大きくなるほど光軸に出射光が集まって配光形状が悪化し、照射面に対して明暗ムラを生じさせてしまう問題が生じる。すなわち、グレアの発生を抑制するために直接光の出射角度を双曲線型のリフレクタで制限すると、とりわけ光源が面光源である場合には、配光形状が理想的な形状から乖離してしまう虞が生じる。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、LEDが面光源であっても、グレアの発生を抑制しつつ、配光形状を改善することができる照明装置を提供することにある。
本発明の第1の態様は、光出射面及び前記光出射面とは反対側に位置する被支持面を備える半導体発光装置と、前記半導体発光装置からの光が入射する半径R1の入射円形開口、前記半導体発光装置から入射した光を出射し且つ前記半径R1より大なる半径R2の開口を有する出射円形開口、及び前記入射円形開口から前記出射円形開口に向って光を導光する反射側面を含む反射部と、を有し、前記反射部の反射側面は、第1の円によって規定され且つ前記半導体発光装置の光出射面から光出射方向に延在する第1の円弧、及び前記第1の円が略内接する第2の円によって規定される第2の円弧を連結させて得られる曲線を、前記半導体発光装置の光軸に対して回動させて得られる面であり、前記第1の円の中心は、前記光出射面よりも前記被支持面側に偏移した位置にあり、前記光出射面の一方の端部から出射される光と、前記光出射面の一方の端部に対向する他方の端部から光出射方向に延在する第1の円弧に連結された第2の円弧との接点を接点Tとした場合、接点Tから前記半導体発光装置の光軸に垂直に下した垂線の足までの距離r、前記垂線の足から前記光出射面までの距離d、及び前記半径R1が、d/(R1+r)≧0.6を満たす照明装置である。
本発明の第1の態様においては、半導体発光装置が発する光のうち、反射部で反射することなく出射円形開口から出射される直接光の角度が、d/(R1+r)≧0.6を満たす角度に制限される。そのため、人の視界に対して浅い仰角で直接光が入射することによるグレアの発生を抑制することができる。その上で、本発明に係る反射部の反射側面は、断面形状が第1の円弧及び第2の円弧からなるため、第2の円弧からなる反射側面の曲率によって照明領域の配光形状の概形を形成しつつ、第1の円弧からなる反射側面の曲率によって光軸周辺の光の集中を緩和することができる。それによって、本発明の第1の態様に係る照明装置は、半導体発光装置が面光源であっても、グレアの発生を抑制しつつ、配光形状を改善することができる。
本発明の第2の態様は、上記した第1の態様において、前記第1の円弧は、前記第1の円の前記入射円形開口における接線と前記半導体発光装置の前記光出射面とがなす角度が80度以上である照明装置である。
本発明の第2の態様においては、半導体発光装置が発する光が第1の円弧において反射されるとき、その反射光の方向が、光軸に沿った方向に導光されないため、出射円形開口から出射される照明光が光軸の近傍に集中する虞を低減することができる。
本発明の第3の態様は、上記した第1又は2の態様において、前記第1の円弧と前記第2の円弧との連結点において、前記第1の円の接線と前記第2の円の接線とは、5度以下の角度で交差する照明装置である。
本発明の第3の態様においては、第1の円弧と第2の円弧とが滑らかに連結するため、反射部で反射される光が当該連結点の近傍で反射光に対してムラを発生させる虞を低減することができる。
本発明の第4の態様は、上記した第1乃至3のいずれかの態様において、前記第2の円弧は、前記第1の円弧の2倍以上10倍以下の長さである照明装置である。
本発明の第4の態様においては、第2の円弧が第1の円弧の2倍以上の長さであることによって、照明装置1の照射面に対して光軸の周辺に暗所(ダークスポット)が形成されないようにすることができる。また、第2の円弧が第1の円弧の10倍以下の長さであることによって、照明装置1の照射面に対して光軸の周辺に明所(ライトスポット)が形成されないようにすることができる。
本発明の第5の態様は、上記した第1乃至4のいずれかの態様において、前記距離dは、前記出射円形開口の端点から前記光軸に垂直に下した垂線の足と前記光出射面との距離Lの半分以上である照明装置である。
本発明の第5の態様においては、半導体発光装置が発する光を反射部のより広い面で反射することができるため、配光形状をより広げることができる。
本発明の第6の態様は、上記した第1乃至5のいずれかの態様において、前記反射部の反射側面は、前記第2の円に略内接する第3の円によって規定される第3の円弧を前記第2の円弧に更に連結させて得られる曲線を、前記光軸に対して回動させて得られる面である照明装置である。
本発明の第6の態様においては、反射部の反射側面が第3の円弧により出射円形開口の半径R2を設定することができるため、第1の円弧及び第2の円弧の形状を変更することなく照明装置のサイズを調整することができる。
本発明の第7の態様は、上記した第1乃至6のいずれかの態様において、前記半導体発光装置は、LEDを含むチップオンボードタイプである照明装置である。
本発明の第7の態様においては、半導体発光装置の上にレンズ等の部材を別途配置する必要が無く、表面実装型の照明装置に比して発光効率の低下を抑制することができる。
本発明に係る照明装置によれば、LEDが面光源であっても、グレアの発生を抑制しつつ、配光分布を改善することができる照明装置を提供することができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、本発明の実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも本発明による照明装置を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、本発明の実施の形態で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
先ず、本発明の実施形態に係る照明装置1の構成を図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る照明装置1の全体構成の概略を示す斜視図である。図2は、図1中のII−II線に沿う照明装置1の断面図である。
照明装置1は、筐体2、「反射部」としてのリフレクタ3、「半導体発光装置」としてのLEDモジュール4、固定部材5を備える。照明装置1は、例えば、天井面に設けられた凹部に筐体2を嵌入するように設置され、鉛直下向きのリフレクタ3側から擬似的な白色光を放射するダウンライト型のLED照明である。
筐体2は、リフレクタ3及びLEDモジュール4等を内側に収容する基体2a、及び基体2aの外側に設けられる放熱部2bから構成される。基体2aは、光を放射するための開口部が形成されると共に、内部に収容するリフレクタ3及びLEDモジュール4等の収容部品を保護する。また、放熱部2bは、基体2aを介して当該収容部品から伝わる熱を筐体2の外部へ放出する。
リフレクタ3は、基体2aの内部に配置され、図2に示すように、LEDモジュール4からの光が入射する半径R1の入射円形開口31が形成されている。また、リフレクタ3は、半径R1より大なる半径R2の開口を有する出射円形開口32が基体2aの開口部に重なるように配置され、入射円形開口31から出射円形開口32に向かってLEDモジュール4からの光を導光する反射側面3aを含む。リフレクタ3の当該反射側面3aの形状に関しては、詳細を後述する。
LEDモジュール4は、本実施形態では円盤状に形成され、基体2aの内底面中央部において発光面がリフレクタ3の入射円形開口31の位置に合わせて配置されている。LEDモジュール4の構造についても、詳細を後述する。
固定部材5は、基体2aの内底面中央部において、LEDモジュール4を囲むように配置され、筐体2、リフレクタ3、及びLEDモジュール4を一体に支持する。
次に、LEDモジュール4の詳細構造を図3を参照しつつ説明する。図3は、本発明に係る照明装置1が備えるLEDモジュール4の断面図である。LEDモジュール4は、配線基板41、複数のLEDチップ42、バンク43、蛍光体44を含む封止材料46から構成されている。
配線基板41は、例えば熱伝導率の高いアルミ基板である。また配線基板41は、一方の面が実装面41aとして複数のLEDチップ42及びその動作を制御するための電子回路が実装され、他方の面が被支持面41bとして固定部材5によって基体2aの内底面側に支持される。そして、配線基板41は、実装された電子回路を介してLEDチップ42へ電力を供給することにより、LEDチップ42の点灯動作を制御する。
LEDチップ42は、配線基板41から電力が供給されることにより光を発する半導体発光素子である。また、バンク43は、硬化された高粘度の樹脂からなり、配線基板41上において複数のLEDチップ42を囲む土手として形成される。そして、バンク43に蛍光体44を含む封止材料46を満たすことにより、複数のLEDチップ42が封止される。すなわち、LEDモジュール4は、いわゆるチップオンボードタイプの発光モジュールであり、表面実装型の発光モジュールに比して高効率で、より照明に適した光源である。そのため、LEDチップ42の上にレンズ等の部材を別途配置する必要が無く、発光効率の低下を抑制することができる。
本実施形態において、LEDチップ42には、450nmのピーク波長を有した青色光を発するLEDチップを用いる。具体的には、このようなLEDチップとして、例えばInGaN半導体が発光層に用いられるGaN系LEDチップがある。なお、LEDチップ42の種類や発光波長特性はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨から逸脱しない限りにおいて、様々なLEDチップなどの半導体発光素子を用いることができる。本実施形態においてLEDチップ42が発する光のピーク波長は、360nm〜480nmの波長範囲内にあることが好ましく、440nm〜470nmの波長範囲内にあることがより好ましい。
バンク43によって囲まれた領域に満たされた蛍光体44を含む封止材料46は、LEDチップ42から出射した青色光の波長を変換する。本実施形態に係るLEDモジュール4においては、LEDチップ42から放射された青色光と、当該青色光が蛍光体44を含む封止材料46によって波長変換されて出射される光とを合成し、当該合成光を光出射面45から出射している。ここで、蛍光体44は、LEDチップ42から入射する青色光の少なくとも一部を吸収し、当該青色光の一部を黄色光に波長変換して白色光を合成可能である。従って、本実施形態における蛍光体44は、青色光を吸収して励起し、基底状態に戻る際に青色光とは異なる波長の光を発する黄色蛍光体が用いられる。
具体的な黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上で、通常は620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、黄色蛍光体として例えば、Y3Al5O12:Ce[YAG蛍光体]、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ca,Sr)Si2N2O2:Eu、α−サイアロン、La3Si6N11:Ce(但し、その一部がCaやOで置換されていてもよい)が好ましい。
LEDモジュール4は、上記のような構成により、蛍光体44を含む封止材料46の表面である光出射面45から光を出射する。ここで、光出射面45は、本実施形態では平面視で円形であり、その半径が上記の入射円形開口31と同じく半径R1に設定されている。すなわち、LEDモジュール4は、光出射面45の一方の端部45aから、光軸を中心として一方の端部45aに対向する他方の端部45bまでの幅を直径とする円を発光面とする面発光タイプの光源である。なお、本実施形態においては、光源の発光面径が後述する半径R2の1/40以上である場合に面発光タイプの光源であるとする。
続いて、リフレクタ3の反射側面の形状を図4を参照しつつ詳細に説明する。図4は、本発明に係るリフレクタ3の断面形状を示す概略図である。より詳しくは、図4は、蛍光体44を含む封止材料46と、光出射面45の一方の端部45aに対向する他方の端部45bから光出射方向に延在するリフレクタ3の反射側面3aの断面を模式的に示す。ここで、光出射面45の一方の端部45a及び他方の端部45bを通る軸を水平軸axとし、光出射面45の中心を通り水平軸axに垂直な軸を光軸ayとする。すなわち、照明装置1を天井面に設置してダウンライトとして使用する場合、水平軸axが天井面に対して平行になるように配置され、光軸ayが照明装置1の直下の向きとなる。
リフレクタ3の反射側面は、本実施形態では、「第1の円弧」としての円弧AB、「第2の円弧」としての円弧BC、及び「第3の円弧」としての円弧CDを連結した曲線を光軸ayに対して回動させて得られる面からなる。このとき、点Aの回動による軌跡が、半径R1の入射円形開口31の位置に重なる。また、点Dの回動による軌跡が、半径R2の出射円形開口32の位置に重なる。ここで、反射側面の円弧CDからなる部分は、必要に応じて点Cに連結される。そのため、リフレクタ3の反射側面3aが円弧CDを含まない場合には、点Cの回動による軌跡が、半径R2の出射円形開口32の位置となる。以下、リフレクタ3の反射側面3aが円弧CDを含む場合について説明を続ける。ここで、円弧ABは第1の円C1によって規定され、円弧BCは第2の円C2によって規定され、円弧CDは第3の円C3によって規定される。
第1の円C1は、光出射面45の他方の端部45bを通り、中心o1が光出射面45よりも被支持面41b側、すなわち、図4において水平軸axよりも上方に位置する。また、第1の円C1は、光出射面45よりも光出射方向側、すなわち、図4において水平軸axよりも下方において第2の円C2に略内接する。そして、第1の円C1が端部45bと重なる位置を点A、第1の円C1が第2の円C2に略内接する位置を点Bとして、円弧ABが規定される。
ここで、第1の円C1の中心o1が光出射面45よりも被支持面41b側に偏移した位置にあることによって、光出射面45から出射し円弧ABによって規定される反射側面3aで反射した光は、出射円形開口32の方向へ導光される。そのため、円弧ABによって規定される反射側面3aで反射した光が光出射面45の方向へ戻ることはなく、照明装置1の発光効率の低下を抑制することができる。
図5は、図4中の点A付近を拡大した概略図である。図5において、第1の円C1の点Aにおける接線TLと光出射面45とがなす角度θ1が80度以上であることが好ましい。それによって、リフレクタ3は、LEDモジュール4に近い円弧ABによって規定される反射側面3aで反射する光を、光軸ayの近傍方向に沿って導光しないため、光軸ayの近傍に反射光が集中する虞を低減することができる。換言すると、照明装置1の照射面に対して光軸ayの周辺に明所(ライトスポット)が形成されないようにすることができる。その結果、照明装置1の照射面の配向分布を算出した場合の配向形状は、中心部分が広く、均一に高照度である範囲が分布している形状となり、配向形状を広げることができる。
なお、ライトスポットが形成される場合には、高照度である範囲が中心部に集中し、配向形状が狭くなる。
なお、ライトスポットが形成される場合には、高照度である範囲が中心部に集中し、配向形状が狭くなる。
第2の円C2は、点Bから第1の円C1の中心o1を通る半直線上に中心o2を有し、点Bにおいて円弧ABと連結される円弧BCを規定する。また、第3の円C3は、点Cにおいて第2の円C2に略内接し、円弧CDを規定する。第3の円C3の中心を中心o3とする。
ここで、上記の略内接とは、2つの円の接線が例えば互いに5度以下の角度で交差することを意味し、好ましくは、各接線が共通することにより当該2つの円が内接し、2つの円弧が滑らかに連結される。これにより、リフレクタ3の反射側面3aは、2つの円弧の連結点において、反射光に対するムラの発生を抑制することができる。
また、円弧BCは、円弧ABの2倍以上10倍以下の長さであることが好ましい。それによって、当該比率を2倍以上とすることで、LEDモジュール4に近い円弧ABによって規定される反射側面3aで反射する光をビーム角の範囲に均一に分散して導光することができ、光軸ayの近傍にも適度な反射光を導くことができる。換言すると、照明装置1の照射面に対して光軸ayの周辺に暗所(ダークスポット)が形成されないようにすることができる。一方で、当該比率を10倍以下とすることで、LEDモジュール4に近い円弧ABによって規定される反射側面3aで十分な光を反射することができ、光軸ayに沿った方向に偏って導光しないため、光軸ayの近傍に反射光が集中する虞を低減することができる。換言すると、照明装置1の照射面に対して光軸ayの周辺に明所(ライトスポット)が形成されないようにすることができる。
なお、ダークスポットが形成される場合には、高照度である範囲が中心付近に広く存在しているが中心部で照度が低くなるため、配向形状は広いが、中央に深い凹部が存在する形状となる。
なお、ダークスポットが形成される場合には、高照度である範囲が中心付近に広く存在しているが中心部で照度が低くなるため、配向形状は広いが、中央に深い凹部が存在する形状となる。
ここで、図4に示す通り、光出射面45の一方の端部45aから角度θ2で発せられる光が、対向する他方の端部45bから光出射方向に延在するリフレクタ3の反射側面3aに接するときの接点を接点Tとする。このとき、LEDモジュール4が発する光のうち、リフレクタ3で反射することなく出射円形開口32から照明装置1の外部へ出射される直接光の出射角度は、光出射面45を基準として角度θ2以上に制限されることになる。
さらに、接点Tから光軸ayに垂直に下した垂線の足fまでの距離をrとし、当該垂線の足fから光出射面45までの距離をdとした場合、tanθは、d/(R1+r)なる式(1)で表される。ここで例えば、式(1)のd/(R1+r)の値が0.6である場合には、θが約30°となる。つまり、d/(R1+r)≧0.6を満たすことにより、照明装置1は、直接光の俯角が約30°以上に制限されることになり、光軸ayから離れた位置にいる人の視界に浅い角度で直接光を出射しないため、グレアを抑制することができる。
一方、図4に示す通り、出射円形開口32の端点、すなわち、点Dから光軸ayに垂直に下した垂線の足Fまでの距離は、出射円形開口32の半径R2である。そして、光出射面45から上記の垂線の足fまでの距離dは、光出射面45から垂線の足Fまでの距離Lの半分以上となるように、リフレクタ3の形状を設定することが好ましい。それにより、円弧BC上の接点Tの位置が点C側に近づくことになり、LEDモジュール4が発する光をリフレクタ3のより広い面で反射することができ、配光形状をより広げることができる。
また、リフレクタ3の反射側面3aが円弧CDを有することにより、出射円形開口32の半径R2を調整することができる。それによって、照明装置1は、例えば、上記の円弧AB及び円弧BCの形状がLEDモジュール4の特性に対して最適に設計された後であっても、その形状を変更することなく出射円形開口32の大きさだけを変更して、照明装置1を設置する天井の凹部サイズ等の制約を満たすことが可能になる。
以上のように、本発明に係るリフレクタ3は、LEDモジュール4から出射する直接光の俯角を抑制することにより、グレアの発生を抑制することができる。また、リフレクタ3は、入射円形開口31から出射円形開口32までの断面形状が内側に凸である円弧からなるため、照明範囲に対してLEDモジュール4が発する光を分散し、1/2ビーム角を広げることができる。その上で、リフレクタ3は、より光出射面45に近い円弧ABの曲率を円弧BCの曲率に対して小さくすることができ、光軸ay周辺に対するリフレクタ3による反射光の集中を緩和することができる。これにより、本発明に係るリフレクタ3は、LEDが面光源であっても、グレアの発生を抑制しつつ、配光形状を改善することができる。
次に、リフレクタ形状、式(1)で表されるリフレクタの傾斜、及び上記のθ1のバリエーションに対し、それぞれの特性をシミュレーションにより評価した結果を比較することで、本発明の効果について説明する。
<実施例1>
実施例1のリフレクタ形状は、上記説明した本発明に係る照明装置1と同様に、断面形状が円弧ABと円弧BCとを連結することによって規定される反射側面3aからなる。そして、実施例1のリフレクタ形状は、上記の式(1)、すなわちd/(R1+r)の値が1.0であり、入射円形開口31と光出射面45とがなす角度、すなわち上記のθ1の値が87度であることを条件として設定されている。
実施例1のリフレクタ形状は、上記説明した本発明に係る照明装置1と同様に、断面形状が円弧ABと円弧BCとを連結することによって規定される反射側面3aからなる。そして、実施例1のリフレクタ形状は、上記の式(1)、すなわちd/(R1+r)の値が1.0であり、入射円形開口31と光出射面45とがなす角度、すなわち上記のθ1の値が87度であることを条件として設定されている。
<実施例2>
実施例2のリフレクタ形状は、上記の実施例1のリフレクタ形状と同様に、断面形状が円弧ABと円弧BCとを連結することによって規定される反射側面3aからなる。そして、実施例2のリフレクタ形状は、式(1)の値が実施例1と同様に1.0であり、θ1の値が80度であることを条件として設定されている。
実施例2のリフレクタ形状は、上記の実施例1のリフレクタ形状と同様に、断面形状が円弧ABと円弧BCとを連結することによって規定される反射側面3aからなる。そして、実施例2のリフレクタ形状は、式(1)の値が実施例1と同様に1.0であり、θ1の値が80度であることを条件として設定されている。
<実施例3>
実施例3のリフレクタ形状は、上記の実施例1及び2のリフレクタ形状と同様に、断面形状が円弧ABと円弧BCとを連結することによって規定される反射側面3aからなる。そして、実施例3のリフレクタ形状は、式(1)の値が実施例1及び2と同様に1.0であり、θ1の値が55度であることを条件として設定されている。
実施例3のリフレクタ形状は、上記の実施例1及び2のリフレクタ形状と同様に、断面形状が円弧ABと円弧BCとを連結することによって規定される反射側面3aからなる。そして、実施例3のリフレクタ形状は、式(1)の値が実施例1及び2と同様に1.0であり、θ1の値が55度であることを条件として設定されている。
<比較例1>
比較例1のリフレクタは、上記説明した本発明に係る照明装置1とは異なり、断面形状が外側に凸である従来のお椀型形状であり、その断面の曲率が放物線によって規定されている。そして、比較例1のリフレクタ形状は、直接光の限界角度である式(1)に相当する値が0.9であり、θ1の値が20度であることを条件として設定されている。
比較例1のリフレクタは、上記説明した本発明に係る照明装置1とは異なり、断面形状が外側に凸である従来のお椀型形状であり、その断面の曲率が放物線によって規定されている。そして、比較例1のリフレクタ形状は、直接光の限界角度である式(1)に相当する値が0.9であり、θ1の値が20度であることを条件として設定されている。
<比較例2>
比較例2のリフレクタは、上記説明した本発明に係る照明装置1とは異なり、断面形状が内側に凸である双曲線形状によって規定されている。そして、比較例2のリフレクタ形状は、式(1)の値が0.9であり、θ1の値が90度であることを条件として設定されている。
比較例2のリフレクタは、上記説明した本発明に係る照明装置1とは異なり、断面形状が内側に凸である双曲線形状によって規定されている。そして、比較例2のリフレクタ形状は、式(1)の値が0.9であり、θ1の値が90度であることを条件として設定されている。
<比較例3>
比較例3のリフレクタは、上記説明した本発明に係る照明装置1における円弧BCのみを回動して得られる反射側面からなる。そして、比較例3のリフレクタ形状は、式(1)の値が0.47であり、θ1の値が25度であることを条件として設定されている。
比較例3のリフレクタは、上記説明した本発明に係る照明装置1における円弧BCのみを回動して得られる反射側面からなる。そして、比較例3のリフレクタ形状は、式(1)の値が0.47であり、θ1の値が25度であることを条件として設定されている。
<比較例4>
比較例4のリフレクタは、上記の比較例3のリフレクタ形状と同様に円弧BCのみを回動して得られる反射側面からなる。そして、比較例4のリフレクタ形状は、式(1)の値が1.0であり、θ1の値が75度であることを条件として設定されている。
比較例4のリフレクタは、上記の比較例3のリフレクタ形状と同様に円弧BCのみを回動して得られる反射側面からなる。そして、比較例4のリフレクタ形状は、式(1)の値が1.0であり、θ1の値が75度であることを条件として設定されている。
実施例1乃至3及び比較例1乃至4の各条件に対する評価特性を表1に示す。ここでは、評価特性として、1/2ビーム角、UGR、及び後述する光軸集光指標を算出している。ここで、UGRとは、照明器具のグレアを評価する指標であり、数値が低い方がグレアが発生しにくいことを意味する。尚、当該シミュレーションにおいては、光源の光束を3000lmとしてUGRを算出している。
図6は、実施例及び比較例の照射面に対する配光形状を示すグラフである。より詳しくは、図6(a)〜図6(f)は、上記の実施例1〜3、並びに比較例1〜2及び4の照明装置が、ダウンライトとして所定の高さから照射面を照射するときの、照射範囲に対する照度をシミュレーションによって求めた配光形状をそれぞれ示す。図6において、横軸は、照射面における照明装置直下(平面中心点)からの距離を表し、縦軸は、それぞれの距離における出射光の照度である。また、当該グラフは、あくまでも配光形状を示すものであるため、縦軸については任意単位としている。
ここで、光軸ayの近傍に対する出射光の集中度合を評価するための指標として、光軸集光指標を定義する。すなわち、光軸集光指標とは、照射面に対する配光形状における照度の最大値を1としたときに、照度が0.9以上となる照射面の幅を意味し、図6(a)〜図6(f)のそれぞれにおいて矢印で示される幅に相当する。つまり、光軸集光指標の値が大きい程、出射光が光軸ayの近傍に集中することなく、照射面に対して明暗ムラを生じさせないことになる。
表1の結果から、実施例1に係るリフレクタでは、1/2ビーム角が70度以上であり、UGRも低く、光軸集光指標の値が相対的に高いことがわかる。すなわち、実施例1に係るリフレクタは、配光形状が極めて良好である。
また、実施例2に係るリフレクタについても、実施例1と同様に、1/2ビーム角が70度以上であり、光軸集光指標の値が相対的に高いことから、配光形状が極めて良好である。
実施例3に係るリフレクタについては、θ1の値が小さい分、1/2ビーム角が実施例1及び2ほどではないものの、光軸集光指標の値が実施例1及び2と同等であり、配光形状が比較的良好である。
一方、比較例1に係るリフレクタでは、1/2ビーム角が極めて狭く、光軸集光指標の値も極めて低いことから、光軸周辺に明所(ライトスポット)を形成していることが窺える。また、比較例2に係るリフレクタについても、1/2ビーム角が実施例1及び2に比して低く、光軸集光指標の値も相対的に低いことから、光軸周辺に集光されやすい傾向が見られる。
また、比較例3に係るリフレクタでは、リフレクタの傾斜角を水平に近づけているため、1/2ビーム角が広い反面、UGRの数値が高まり、グレアを発生させやすい特性であることが確認できる。さらに、比較例4に係るリフレクタでは、実施例1及び2のように光軸周辺への集光を抑制するための円弧ABからなる反射側面を有しないため、1/2ビーム角が比較例2と同程度となっている。
次に、出射角に対する配光形状についての本発明の効果について図7及び図8を参照しながら説明する。図7は、従来技術の照明装置による出射角に対する配光形状を示すグラフであり、より詳しくは、図7は、上記の比較例2、すなわち、双曲線型のリフレクタを有する照明装置が照明範囲を照射するときの、出射角に対する照度をシミュレーションによって求めた配光形状のグラフである。図8は、本発明に係る照明装置1による出射角に対する配光形状を示すグラフであり、より詳しくは、図8は、上記の実施例1、すなわち、上記のリフレクタ3を有する照明装置1が照明範囲を照射するときの、出射角に対する照度をシミュレーションによって求めた配光形状のグラフである。ここで、従来技術の照明装置のリフレクタと本発明に係る照明装置1のリフレクタ3との形状は、上記のd/(R1+r)の値が互いに等しくなるように設定されている。
図7及び図8は、照明装置を中心とした半径1mの球面を検出面とした場合の照度の分布であり、横軸は、光軸方向を0°とする光の出射角度であり、縦軸は、それぞれの出射角度に対する照度である。また、当該グラフは、あくまでも配光形状を示すものであるため、縦軸については任意単位としている。
図7に見られるように、従来技術の照明装置は、反射光を含む照明光の出射角度が約50°以下に抑えられている。しかしながら、双曲線型のリフレクタによる配光形状は、0°近傍が尖った形状であり、光軸周辺に出射光が集まっているため、照射面に対して明暗ムラを生じさせることを示している。
これに対し、本発明に係る照明装置1による配光形状を示す図8では、反射光を含む照明光の出射角度が同じく約50°以下に抑えられており、その上で、0°近傍のグラフ形状に尖りが見られない。すなわち、本発明に係る照明装置1によれば、光の照射領域に対して出射光を分散させるため光軸周辺に出射光が集中せず、照射面に対して明暗ムラを生じさせる虞を低減させている。つまり、本発明に係る照明装置1は、グレアの発生を抑制しつつ、配光形状を改善することができる。
1 照明装置
2 筐体
2a 基体
2b 放熱部
3 リフレクタ
3a 反射側面
4 LEDモジュール
5 固定部材
31 入射円形開口
32 出射円形開口
41 配線基板
41a 実装面
41b 被支持面
42 LEDチップ
43 バンク
44 蛍光体
45 光出射面
45a、45b 端部
46 封止材料
2 筐体
2a 基体
2b 放熱部
3 リフレクタ
3a 反射側面
4 LEDモジュール
5 固定部材
31 入射円形開口
32 出射円形開口
41 配線基板
41a 実装面
41b 被支持面
42 LEDチップ
43 バンク
44 蛍光体
45 光出射面
45a、45b 端部
46 封止材料
Claims (7)
- 光出射面及び前記光出射面とは反対側に位置する被支持面を備える半導体発光装置と、
前記半導体発光装置からの光が入射する半径R1の入射円形開口、前記半導体発光装置から入射した光を出射し且つ前記半径R1より大なる半径R2の開口を有する出射円形開口、及び前記入射円形開口から前記出射円形開口に向って光を導光する反射側面を含む反射部と、を有し、
前記反射部の反射側面は、第1の円によって規定され且つ前記半導体発光装置の光出射面から光出射方向に延在する第1の円弧、及び前記第1の円が略内接する第2の円によって規定される第2の円弧を連結させて得られる曲線を、前記半導体発光装置の光軸に対して回動させて得られる面であり、
前記第1の円の中心は、前記光出射面よりも前記被支持面側に偏移した位置にあり、
前記光出射面の一方の端部から出射される光と、前記光出射面の一方の端部に対向する他方の端部から光出射方向に延在する第1の円弧に連結された第2の円弧との接点を接点Tとした場合、接点Tから前記半導体発光装置の光軸に垂直に下した垂線の足までの距離r、前記垂線の足から前記光出射面までの距離d、及び前記半径R1が、d/(R1+r)≧0.6を満たす照明装置。 - 前記第1の円弧は、前記第1の円の前記入射円形開口における接線と前記半導体発光装置の前記光出射面とがなす角度が80度以上である請求項1に記載の照明装置。
- 前記第1の円弧と前記第2の円弧との連結点において、前記第1の円の接線と前記第2の円の接線とは、5度以下の角度で交差する請求項1又は2に記載の照明装置。
- 前記第2の円弧は、前記第1の円弧の2倍以上10倍以下の長さである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明装置。
- 前記距離dは、前記出射円形開口の端点から前記光軸に垂直に下した垂線の足と前記光出射面との距離Lの半分以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の照明装置。
- 前記反射部の反射側面は、前記第2の円に略内接する第3の円によって規定される第3の円弧を前記第2の円弧に更に連結させて得られる曲線を、前記光軸に対して回動させて得られる面である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の照明装置。
- 前記半導体発光装置は、LEDを含むチップオンボードタイプである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の照明装置。
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