JP2019213387A - 分散型電源ユニット、その制御方法及び異常判定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この発明の第1の局面に係る分散型電源ユニットは、系統に接続された線路に接続される分散型電源ユニットであって、線路に電力を供給する電源ユニットと、線路を流れる電流を検出するセンサと、センサが検出した電流に基づいて電源ユニットを制御する制御部とを含み、制御部は、センサが検出した電流の電流実効値及び電流周波数の少なくとも一方に基づいてセンサの動作が正常か異常かを判定する第1の判定部と、第1の判定部がセンサの動作の異常を検出したことに応答して、電源ユニットの動作を停止するよう電源ユニットを制御する電源ユニット制御部とを含む。
<構成>
以下に説明する実施形態は、単相三線式の分散型電源システムを例としたものである。またこの例では、センサの1例としてCTセンサを用いる。
Fを系統電圧周波数(Hz)、Cを分散型電源ユニットの系統側コンデンサ容量(F)、Vを系統電圧実効値(V)とすると、CTセンサが測定する無効電流(A)は以下の式により算出される。
単相三線式系統AC200V・50Hzの場合であって系統側コンデンサ容量=6.6μFであれば、無効電流=0.42Aである。しきい値としてはこの無効電流の値の75%のマージンをとった0.105Aとする。
この実施形態では、系統の電圧周波数の±5%(両端を含まない)を正常な範囲とし、それ以外の範囲を異常とする。すなわち、
系統電圧が50Hzの場合、CTセンサ電流周波数が47.5Hz以下又は52.5Hz以上で範囲外とする。
検出時限は、系統電圧周期よりも長い時間である必要がある。この実施の形態では1例として5秒を検出時限とする。
上記した分散型電源システム50の分散型電源ユニット68において、制御部80は以下のように動作する。
通常の場合には、図4を参照して、電流実効値のチェック処理では、ステップ180でCTセンサ70の電流実効値がしきい値未満か否かを判定する。CTセンサ70に異常が発生していなければ電流実効値はしきい値以上であり、制御はステップ182に進む。ステップ182で第1フラグがリセットされ第1のタイマがリセットされてこの処理は終了する。同様に、図5を参照して、電流周波数のチェック処理では、ステップ220でCTセンサの電流周波数が所定の範囲外か否かを判定する。通常の場合には電流周波数は所定の範囲内に収まっており、ステップ220の判定は否定となる。その結果、ステップ222で第2フラグがリセットされ第2のタイマがリセットされてこの処理は終了する。
何らかの原因で一時的(検出時限より短い時間)にCTセンサ70の電流実効値がしきい値未満となることがあり得る。その場合の制御部80の動作は以下のとおりである。
この場合、制御部80の処理は前述した一時的にそうした状態が生じた場合と同様である。ただし、図4に示すステップ180(YES)→ステップ184(YES)→ステップ190の経路の繰返しにおいて、検出時限以上、電流実効値がしきい値未満となった状態が続くと、ステップ190の判定が肯定となり、ステップ192で第1フラグがセットされる。ただし、第2フラグがセットされない限り、図3のステップ150の判定が否定となるので制御はステップ144に戻り、制御部80は異常を検知せず、表面上は通常と同様の動作を行う。
この場合も、制御部80の処理は、前述したとおり、一時的にこの状態が生じた場合と同様である。ただし、図5に示すステップ220(YES)→ステップ224(YES)→ステップ230の経路の繰返しにおいて、検出時限以上、電流周波数が所定の範囲外となるとステップ230の判定が肯定となり、ステップ232で第2フラグがセットされる。ただしこの場合も、第1フラグがセットされない限り、第3のステップ148の判定が否定となるので制御はステップ144に戻り、制御部80は異常を検知せず、表面上は通常と同様の動作を行う。
以上の説明から明らかなように、この場合には第1フラグ及び第2フラグがともにオンとなった時間が検出時限以上継続する。図3を参照して、ステップ148及びステップ150の判定がいずれも肯定となる。この結果、ステップ152で図2に示す7セグメント表示器116によりCTセンサ70の異常を示すコードを表示し、ステップ154で分散型電源ユニット68内の分散電源の出力を停止する。この結果、例えばCTセンサ70が線路から脱落したり、計測線の断線により正常な測定ができなくなったりしたときには分散型電源ユニット68が保護停止される。
実際に、単相三線式系統AC200V・50Hzに対し、上記しきい値と検出時限とを用いて上記実施の形態に係る制御部80を実現した。この制御部80を含む分散型電源ユニット68について、系統側のコンデンサ容量は6.6μF、最小充放電電力は50W、20kHz周期でCTセンサ電流をサンプリングし、系統電圧周期ごとにCTセンサ電流の実効値を計算した。CTセンサ電流を正常に測定できる状態でかつ無負荷の場合には、図6に示すグラフ250のようなCTセンサ電流が得られた。図6から分かるようにこのグラフ250はきれいなサインカーブを描く。この場合、無効電流の実効値は0.58Aであり、CTセンサ電流の周波数は50.01Hzであった。したがってCTセンサの異常は検出されなかった。
<概略>
上記第1の実施形態では、CTセンサ電流の実効値がしきい値未満であってかつCTセンサ電流の周波数が所定の範囲外、という条件が検出時限以上継続したときにCTセンサの動作が異常と判定する。このように2つの条件を組合わせることにより、個々の条件だけ使用する場合と比較して判定の精度が上がり、異常判定の誤検出の可能性は低くなる。とはいうものの、CTセンサに流れる有効電流又は無効電流を打消すような負荷又は発電装置が系統に接続され、たまたま上記した異常判定の条件に合致した場合に、誤って異常が発生したと判定される危険性も考えられる。そのような誤判定があると、分散型電源ユニットを保護停止する必要がないにもかかわらず保護停止を行ってしまう場合が考えられる。
この実施形態で使用するハードウェア構成は第1の実施形態のものと同様である。異なるのは異常検出のためのプログラムである。そのプログラムの制御構造を図9にフローチャート形式で示す。図9のフローチャートを説明する前に、図10を参照して、この実施の形態におけるセンサの動作の異常検出の原理について説明する。蓄電池への強制充電の開始時の負荷への交流のピーク電力がP01であったものとする。このピーク電力は、図1に示すCTセンサ70及びCTセンサ72の検出電流と系統60の電圧とに基づいて算出できる。蓄電池への強制充電を開始するとグラフ330で示されるようにピーク電力は上昇し、所定時間の経過後に充電電力+負荷電力のピーク電力の値がP02となる。この強制充電は短時間(例えば1秒以下)であるので、蓄電池が満充電であっても可能である。仮にこの強制充電が1kWであれば、ピーク電力P01からピーク電力P02への変化量は1kW±0.3kW程度となる。仮に充電開始後のピーク電力P02がこの範囲内にない場合には異常発生と判定して分散型電源システムを保護停止する。ピーク電力P02がこの範囲にあれば正常であると判定し、分散型電源システムの出力を再開し、通常状態に戻す。
この第2の実施形態に係る分散型電源ユニットの制御部80(図1参照)は以下のように動作する。図9を参照して、ステップ140〜ステップ150までの制御部80の動作は第1の実施の形態と同様である。ステップ150の判定がYESとなったときには、ステップ300で第3フラグがリセットされ、ステップ302で分散電源ユニットの出力が一旦停止される。ステップ304で強制充電によるCTセンサの動作のチェックが行われる。
<構成>
上記第1及び第2の実施形態では、CTセンサの異常検出処理を常時行っている。こうした処理によりCTセンサの異常検出をリアルタイムに行えるという利点がある。しかし、例えば太陽光発電装置がシステムに組込まれているような場合には、太陽光発電が行われていないとき(夜間)に実行されることが好ましい。第2の実施形態では、太陽光発電が行われていると、強制充電時の電力測定結果に太陽光発電の発電電力の影響が及び、CTセンサの異常検出の信頼性が低くなる可能性がある。その結果、本来は必要でないにもかかわらず分散型電源ユニットを保護停止してしまう可能性がある。
この第3の実施形態では、ステップ380及びステップ382の処理により、第3の継続時間のカウントダウンが開始される。この第3の継続時間が満了するまでの間に、ステップ144〜ステップ150の繰返し処理を実行している間、ステップ148の判定がNO及びステップ150の判定がNOという条件の一方が成立していれば、ステップ384の第3の継続時間の満了後にステップ384の判定がYESとなってCTセンサの異常判定処理は終了する。この場合、CTセンサの動作には異常は検出されない。ステップ300〜ステップ308及びステップ152及びステップ154の処理が実行されることもない。
60 系統
62、64、66 負荷
68 分散型電源ユニット
70、72 CTセンサ
80 制御部
100、108、114 入出力I/F
102 バス
104 CPU
106 RОM
110 タイマ
112 RAM
116 7セグメント表示器
140、142、144、146、148、150、152、154、180、182、184、186、188、190、192、220、222、224、226、228、230、232、300、302、304、306、308、350、352、354、356、358、360、362、364、366、380、382、384 ステップ
250、252、254、330 グラフ
Claims (10)
- 系統に接続された線路に接続される分散型電源ユニットであって、
前記線路に電力を供給する電源ユニットと、
前記線路を流れる電流を検出するセンサと、
前記センサが検出した電流に基づいて前記電源ユニットを制御する制御部とを含み、
前記制御部は、
前記センサが検出した電流の電流実効値及び電流周波数の少なくとも一方に基づいて前記センサの動作が正常か異常かを判定する第1の判定部と、
前記第1の判定部が前記センサの動作の異常を検出したことに応答して、前記電源ユニットの動作を停止するよう前記電源ユニットを制御する電源ユニット制御部とを含む、分散型電源ユニット。 - 前記第1の判定部は、前記電流実効値及び前記電流周波数の双方に基づいて前記センサの動作が正常か異常かを判定する第2の判定部を含む、請求項1に記載の分散型電源ユニット。
- 前記第2の判定部は、
前記電流実効値が第1のしきい値未満か否かを判定する第3の判定部と、
前記電流周波数が第1の範囲外か否かを判定する第4の判定部と、
前記第3の判定部による判定が肯定であってかつ前記第4の判定部の判定が肯定である期間が所定の検出時限以上継続したことに応答して、前記センサの動作が異常であると判定する第5の判定部とを含む、請求項2に記載の分散型電源ユニット。 - 前記第1のしきい値及び前記第1の範囲の少なくとも一方は、前記電源ユニットの仕様に応じて決定される、請求項3に記載の分散型電源ユニット。
- 前記電源ユニットは、蓄電池、太陽光発電装置及び風力発電装置の少なくとも1つを含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の分散型電源ユニット。
- 前記電源ユニットは、前記線路から供給される電力により充電可能な蓄電池を含み、
前記制御部はさらに、前記第1の判定部が前記センサの動作の異常を検出したことに応答して、前記蓄電池への充電電力を強制的に変化させ、当該変化に伴う前記センサの出力に基づく検出電力の変化に基いて、前記センサの動作が正常か否かを判定する充電による異常判定部を含み、
前記電源ユニット制御部は、前記第1の判定部及び前記異常判定部の双方が前記センサの動作の異常を検出したことに応答して、前記電源ユニットの動作を停止するよう前記電源ユニットを制御する停止制御部を含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の分散型電源ユニット。 - 前記第1の判定部は、前記センサの出力を常時監視し、前記センサが検出した電流の電流実効値及び電流周波数の少なくとも一方に基づいて前記センサの動作が正常か異常かをリアルタイムで判定するリアルタイム判定部を含む、請求項1に記載の分散型電源ユニット。
- 前記第1の判定部は、前記センサの出力を、指定された所定時間だけ随時監視し、当該所定時間内において前記センサが検出した電流の電流実効値及び電流周波数の少なくとも一方に基づいて前記センサの動作が正常か異常かを判定する随時判定部を含む、請求項1に記載の分散型電源ユニット。
- 系統に接続された線路に接続される分散型電源ユニットの制御方法であって、当該分散型電源ユニットは、前記線路に電力を供給する電源ユニットと、前記線路を流れる電流を検出するセンサとを含み、
前記方法は、
前記センサが検出した電流の電流実効値及び電流周波数の少なくとも一方に基づいて前記センサの動作が正常か異常かを判定する第1の判定ステップと、
前記第1の判定ステップにおいて前記センサの動作の異常が検出されたことに応答して、前記電源ユニットの動作を停止するよう前記電源ユニットを制御する制御ステップとを含む、分散型電源ユニットの制御方法。 - 系統に接続された線路に接続される分散型電源ユニットにおける異常判定方法であって、当該分散型電源ユニットは、前記線路に電力を供給する電源ユニットと、前記線路を流れる電流を検出するセンサとを含み、
前記方法は、
前記センサが検出した電流の電流実効値が第1のしきい値未満か否かを判定する第1の判定ステップと、
前記センサが検出した電流の電流周波数が第1の範囲外か否かを判定する第2の判定ステップと、
前記第1の判定ステップにおける判定が肯定であってかつ前記第2の判定ステップにおける判定が肯定である期間が所定の検出時限以上継続したことに応答して、前記センサの動作が異常であると判定する第3の判定ステップとを含む、分散型電源ユニットの異常判定方法。
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