JP2019211798A - 投影光学系、露光装置及び物品の製造方法 - Google Patents
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Description
条件1は、本発明者が設計的に見出した条件であり、光学系の全長に対する瞳面の突出量を規定するものである。光学系が無収差になる最も基本的な条件の1つは、ミラーやレンズなどのパワーを有する光学素子が同心状に配置され、その球心に物体面が位置する状態である。3つのミラーの5回反射系は、2つのミラーの5回反射系に比べて、設計の自由度は増加するが、ミラー間の同心性からは乖離する傾向がある。条件1は、この背反する条件を両立し、瞳面に位置する光学素子(第2凹面ミラーM3やレンズL2)が最も有効に収差を補正する領域を意味している。また、光学系の全長の小型化にも寄与する。
条件2は、第1凸面ミラーM2(曲率半径R2)と物像面との同心性を規定するものである。上述したように、物像面がミラーの球心に近づくほど、光学系の全系の同心性は高まり、球面収差や軸外像高のハロなどの収差が改善する。また、実配置上は、物体面と第1凸面ミラーM2との間の距離W1を確保することで、折り曲げミラーを配置可能とし、露光装置内でマスクと基板とを平行に配置して同期走査する構成とすることができる。
条件3は、第1凹面ミラーM1と第1凸面ミラーM2との同心性を規定するものである。
条件4は、第1凹面ミラーMと第2凹面ミラーM3との同心性を規定するものである。
条件5は、第2凹面ミラーM3と物像面との同心性を規定するものである。
条件3、条件4及び条件5は、上述したように、球面収差などの収差の改善に寄与する。
条件6は、必要な作動距離(距離W1及びW2)に対して、光学系の全長(距離Lt1及びLt2)を制限するものである。露光装置では、露光すべき画面サイズが指定されると、それに基づいて、露光幅や円弧像高が決定される。露光光の全てを反射させる折り曲げミラーを光路中に配置するためには、所定の作動距離が必要となる。条件6によれば、作動距離が大きくなる場合でも、光学系の全長を制限することができる。
また、本実施形態における光学系は、物体面及び像面の近傍(物体面及び前記像面と第1凸面ミラーM2との間)に、非球面形状を有するレンズを有する。本実施形態における光学系は、第2凹面ミラーM3の近傍(第1凸面ミラーM2と第2凹面ミラーM3との間)に、第1面と第2面とが同じ方向に湾曲したメニスカスレンズを有する。本実施形態における光学系において、第1凹面ミラーM1、第1凸面ミラーM2、第2凹面ミラーM3及び第3凹面ミラーM5のうちの少なくとも1つのミラーは、非球面形状を有する。本実施形態における光学系において、第1凸面ミラーM2と第2凹面ミラーM3との間に、開口を可変とする絞りを有する。本実施形態における光学系は、物体面側及び像面側にテレセントリックである。
図1(a)は、実施例1における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、正のパワーを有する第1凹面ミラーM1と、負のパワーを有する第1凸面ミラーM2と、正のパワーを有する第2凹面ミラーM3と、正のパワーを有する第3凹面ミラーM5とを含む。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.11
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.80
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=0.97
条件4として、同心性(R3/R1)=0.91
条件5として、同心性(R3/Lt1)=0.98
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.56
図14を参照して、条件1における瞳突出量が、設計上、収差と光学系の大きさに与える影響を説明する。図14において、瞳突出量Ptを大きくしようとすると、例えば、第2凹面ミラーM3をM3’で示す位置に移動させると、主光線Rp及び周辺光線Rmのそれぞれの光軸に対する傾き角を弱める必要がある。そこで、第1凸面ミラーM2の曲率を弱めると、図14にHで示すように、周辺光線Rmが第1凹面ミラーM1の有効径と干渉してしまう。これを回避するためには、物体高Yを上げなければならないため、第1凹面ミラーM1の有効径が大きくなってしまう。このように、瞳突出量Ptが大きくなると、光学系は、高さと奥行きの両方向に大型化してしまう。また、収差自体も干渉を避けながら高い物体高で追い込むため、悪化する傾向にある。
図2(a)は、実施例2における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例2では、等倍系である。実施例2における投影光学系10の光学素子の配置や結像関係は、実施例1と同じである。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.20
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.90
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=0.99
条件4として、同心性(R3/R1)=1.13
条件5として、同心性(R3/Lt1)=0.99
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.55
図2(b)は、実施例2における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。図2(c)は、実施例2における投影光学系10の横収差を示す図である。図2(b)及び図2(c)を参照するに、縦収差及び横収差がよく補正されていることがわかる。ディストーションは、軸外の使用像高の範囲において縦軸と平行になっているが、これは、露光スリット内で一定倍率が発生していることを示している。実施例2における投影光学系10は、対称配置の等倍系であるため、ディストーションは、ゼロであるべきである。但し、厳密には、テレセントリックが0.001rad程度のオーダーで発生し、収差が最小になる最適像面位置が光軸方向に微少量だけ移動した場合、両者の積だけ結像点のずれが発生し、倍率変化が生じる。その結果、ディストーションは、縦軸からシフトすることになる。この現象は、最適化を行えば容易に解消できるため、倍率の僅かなずれは問題ではない。露光スリット内で倍率が一定である点が重要であり、これにより、マスクと基板とを走査する際に、マスクのパターンを露光スリット内で多重露光しても、基板への転写像のずれが発生せず、コントラストの高い像を形成することができる。
図3(a)は、実施例3における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例3では、等倍系である。実施例3における投影光学系10の光学素子の配置や結像関係は、実施例1と同じである。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.05
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.90
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=0.98
条件4として、同心性(R3/R1)=0.93
条件5として、同心性(R3/Lt1)=0.97
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.62
図3(b)は、実施例3における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。図3(c)は、実施例3における投影光学系10の横収差を示す図である。
図4(a)は、実施例4における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例4では、等倍系である。実施例4における投影光学系10の光学素子の配置や結像関係は、実施例1と同じである。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.14
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.84
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=0.87
条件4として、同心性(R3/R1)=0.80
条件5として、同心性(R3/Lt1)=0.89
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.57
図4(b)は、実施例4における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。図4(c)は、実施例4における投影光学系10の横収差を示す図である。
図5(a)は、実施例5における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例5では、等倍系である。実施例5における投影光学系10の光学素子の配置や結像関係は、実施例1と同じである。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.07
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.76
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=0.96
条件4として、同心性(R3/R1)=0.86
条件5として、同心性(R3/Lt1)=0.98
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.56
図5(b)は、実施例5における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。図5(c)は、実施例5における投影光学系10の横収差を示す図である。
図6(a)は、実施例6における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例6では、等倍系である。実施例6における投影光学系10の光学素子の配置や結像関係は、実施例1と同じである。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.07
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.89
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=0.93
条件4として、同心性(R3/R1)=0.83
条件5として、同心性(R3/Lt1)=0.90
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.66
図6(b)は、実施例6における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。図6(c)は、実施例6における投影光学系10の横収差を示す図である。
図7(a)は、実施例7における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例7では、等倍系である。実施例7における投影光学系10の光学素子の配置や結像関係は、実施例1と同じである。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.06
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.76
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=0.96
条件4として、同心性(R3/R1)=0.84
条件5として、同心性(R3/Lt1)=0.98
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.57
図7(b)は、実施例7における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。図7(c)は、実施例7における投影光学系10の横収差を示す図である。
図8(a)は、実施例8における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例8では、倍率1.25倍の拡大系である。投影光学系10は、正のパワーを有する第1凹面ミラーM1と、負のパワーを有する第1凸面ミラーM2と、正のパワーを有する第2凹面ミラーM3と、正のパワーを有する第3凹面ミラーM5とを含む。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.03
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.85
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=0.91
条件4として、同心性(R3/R1)=0.72
条件5として、同心性(R3/Lt1)=0.90
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.59
条件7として、比率((R5/R1)/B)=1.00
図8(b)は、実施例8における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。
図9(a)は、実施例9における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例9では、倍率1.38倍の拡大系である。実施例9における投影光学系10の光学素子の配置や結像関係は、実施例8と同じである。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.12、瞳突出量(Pt/Lt2)=0.09
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.67、作動距離(W2/R2)=0.79
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=1.02、同心性((R2+D)/R5)=0.87
条件4として、同心性(R3/R1)=0.90、同心性(R3/R5)=0.65
条件5として、同心性(R3/Lt1)=1.02、同心性(R3/Lt2)=0.93
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.55、作動距離(W1/Lt2)=0.59
条件7として、比率((R5/R1)/B)=1.00
図9(b)は、実施例9における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。
図10(a)は、実施例10における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例10では、倍率0.75倍の縮小系である。実施例10における投影光学系10の光学素子の配置や結像関係は、実施例9と同じである。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.02、瞳突出量(Pt/Lt2)=0.11
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.84、作動距離(W2/R2)=0.67
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=0.88、同心性((R2+D)/R5)=1.01
条件4として、同心性(R3/R1)=0.69、同心性(R3/R5)=0.89
条件5として、同心性(R3/Lt1)=0.90、同心性(R3/Lt2)=1.02
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.61、作動距離(W1/Lt2)=0.55
条件7として、比率((R5/R1)/B)=1.03
図10(b)は、実施例10における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。
図11(a)は、実施例11における投影光学系10の構成を示す断面図である。投影光学系10は、実施例11では、倍率1.25倍の拡大系である。実施例11における投影光学系10の光学素子の配置や結像関係は、実施例8と同じである。
条件1として、瞳突出量(Pt/Lt1)=0.16、瞳突出量(Pt/Lt2)=0.11
条件2として、作動距離(W1/R2)=0.41、作動距離(W2/R2)=1.30
条件3として、同心性((R2+D)/R1)=1.06、同心性((R2+D)/R5)=0.92
条件4として、同心性(R3/R1)=1.01、同心性(R3/R5)=0.71
条件5として、同心性(R3/Lt1)=1.35、同心性(R3/Lt2)=0.73
条件6として、作動距離(W1/Lt1)=0.39、作動距離(W1/Lt2)=0.67
条件7として、比率((R5/R1)/B)=1.15
図11(b)は、実施例11における投影光学系10の縦収差及びディストーションを示す図である。
Claims (17)
- 第1凹反射面と、第1凸反射面と、第2凹反射面と、第3凹反射面とを有する投影光学系であって、
物体面からの光が、前記第1凹反射面、前記第1凸反射面、前記第2凹反射面、前記第1凸反射面、前記第3凹反射面の順に反射して像面に結像するように、前記第1凹反射面、前記第1凸反射面、前記第2凹反射面及び前記第3凹反射面が配置され、
前記第1凹反射面と前記第3凹反射面は1つの凹面ミラーにより構成されており、前記第2凹反射面は、前記凹面ミラーの中央に設けられた開口を通過した光を反射することを特徴とする投影光学系。 - 前記第1凸反射面の曲率半径をR2、前記第1凸反射面と前記反射面がない状態における物体面との間の距離をW1、前記第1凸反射面と前記反射面がない状態における像面との間の距離をW2としたとき、
0.70≦W1/R2≦1.0 又は 0.70≦W2/R2≦1.0
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の投影光学系。 - 前記第1凹反射面の曲率半径をR1、前記第1凸反射面の曲率半径をR2、前記第3凹反射面の曲率半径をR5、前記第1凹反射面と前記第1凸反射面との間の距離をD1、前記第1凸反射面と前記第3凹反射面との間の距離をD2としたとき、
0.87≦(R2+D1)/R1≦1.15 又は 0.87≦(R2+D2)/R5≦1.15
を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の投影光学系。 - 前記第1凹反射面の曲率半径をR1、前記第2凹反射面の曲率半径をR3、前記第3凹反射面の曲率半径をR5としたとき、
0.8≦R3/R1≦1.25 又は 0.8≦R3/R5≦1.25
を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の投影光学系。 - 物体面と前記第1凹反射面との間、及び、前記第3凹反射面と像面との間に反射面がない状態において、前記物体面と前記第2凹反射面との間の距離をLt1、前記第2凹反射面と前記像面との間の距離をLt2、前記第2凹反射面の曲率半径をR3としたとき、
0.9≦R3/Lt1≦1.1 又は 0.9≦R3/Lt2≦1.1
を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の投影光学系。 - 物体面と前記第1凹反射面との間、及び、前記第3凹反射面と像面との間に反射面がない状態において、前記物体面と前記第2凹反射面との間の距離をLt1、前記第2凹反射面と前記像面との間の距離をLt2、前記第1凸反射面と前記反射面がない状態における物体面との間の距離をW1、前記第1凸反射面と前記反射面がない状態における像面との間の距離をW2としたとき、
0.5≦W1/Lt1≦0.7 又は 0.5≦W2/Lt2≦0.7
を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の投影光学系。 - 前記物体面及び前記像面と前記第1凸反射面との間に、非球面形状を有するレンズを有することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の投影光学系。
- 前記第1凸反射面と前記第2凹反射面との間に、第1面と第2面とが同じ方向に湾曲したメニスカスレンズを有することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の投影光学系。
- 前記第1凹反射面、前記第1凸反射面、前記第2凹反射面及び前記第3凹反射面のうちの少なくとも1つの反射面は、非球面形状を有することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の投影光学系。
- 前記第1凸反射面と前記第2凹反射面との間に、開口絞りを有することを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の投影光学系。
- 前記開口絞りは、開口形状が可変であることを特徴とする請求項10に記載の投影光学系。
- 前記投影光学系は、拡大系であることを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載の投影光学系。
- 前記投影光学系は、縮小系であることを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載の投影光学系。
- 前記第1凹反射面の曲率半径をR1、前記第3凹反射面の曲率半径をR5、前記投影光学系の結像倍率をBとしたとき、
B×0.87≦(R5/R1)≦B×1.15
を満たすことを特徴とする請求項12又は13に記載の投影光学系。 - 前記物体面側及び前記像面側にテレセントリックであることを特徴とする請求項1乃至14のうちいずれか1項に記載の投影光学系。
- 光源からの光でマスクを照明する照明光学系と、
前記マスクのパターンの像を基板に投影する請求項1乃至15のうちいずれか1項に記載の投影光学系と、
を有することを特徴とする露光装置。 - 請求項16に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
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