JP2019210432A - 印刷インキ用バインダ、印刷インキ及び印刷物 - Google Patents

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Satoru Amo
天羽  悟
佐々木 洋
Hiroshi Sasaki
佐々木  洋
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Kenichi Sone
賢一 曽根
菅野秀治
Hideji Sugano
秀治 菅野
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義知 中崎
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Abstract

【課題】ポリウレタン樹脂の化学構造を変更することなく、難密着性基材に対して優れた密着性を有する印刷インキ用バインダ、印刷インキ及び当該印刷インキを用いた印刷物を提供する。【解決手段】本発明に係る印刷インキ用バインダは、ポリウレタン樹脂と、フェノール骨格1つに対して平均炭素数が10以上19以下であるテルペン鎖を有するテルペンフェノール樹脂と、を含有する。また、本発明に係る印刷インキは、前記印刷インキ用バインダを含んでいる。そして、本発明に係る印刷物1は、基材2上に、前記印刷インキ用バインダを含む前記印刷インキが塗装されてなる印刷インキ層3が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、印刷インキ用バインダ、印刷インキ及び印刷物に関する。
近年、包装材料にはその用途によってポリエステル、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など種々のプラスチックフィルムが用いられている。中でも食品包装には耐湿性、化学的安定性に優れるポリエチレン、ポリプロピレンのフィルムが好ましく用いられている。
PE、PPのような難密着性基材に対するインキ(塗料も含む)の高密着化技術として、例えば、特許文献1に記載の発明が提案されている。この特許文献1には、塩素化ポリプロピレン樹脂とテルペンフェノール共重合体とからなるポリプロピレン樹脂用塗料組成物が提案されている。しかし、塩素化ポリプロピレン樹脂を用いる手法では、包装材料のリサイクルや焼却過程の加熱によって塩化水素や塩素ガスが発生するため、適切な処理が必要であった。また、非塩素系の高密着化技術として、従来、ロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂などの粘着付与剤を添加する手法が知られているが、その効果は十分なものではなかった。
これに対して、例えば、特許文献2に、(1)テルペンフェノール系樹脂、(2)高分子ポリオール及び(3)ジイソシアネート化合物を主成分として反応させて得られるポリウレタン樹脂を用いた印刷インキ用バインダが提案されている。つまり、この特許文献2で提案されている発明では、ベース樹脂であるポリウレタン樹脂の構造中に、共重合によってテルペンフェノール骨格を導入している。特許文献2で提案されている発明では、このようにすることでPEやPPのような難密着性基材に対する密着性を改善できる旨記載されている。
特開昭58−136627号公報 特許第4134401号公報
しかしながら、特許文献2で提案されている発明は、ベース樹脂の構造中に、共重合によってテルペンフェノール骨格を導入しているため、印刷インキ用バインダを構成するポリウレタン樹脂の化学構造が複雑であり、製造も困難であった。そのため、特許文献2で提案されている発明には、要求特性が異なる各種性能の印刷インキの開発に時間がかかるという問題があった。印刷インキの開発スピードを向上させたり、開発コストを抑えたりする観点からは、印刷用インキのバインダとして広く用いられているポリウレタン樹脂の化学構造は変更しないことが望ましい。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、ポリウレタン樹脂の化学構造を変更することなく、難密着性基材に対して優れた密着性を有する印刷インキ用バインダ、印刷インキ及び当該印刷インキを用いた印刷物を提供することを課題とする。
本発明者らは、一般的に用いられているポリウレタン樹脂の化学構造を変更することなく、添加剤による密着改善効果について検討した。その結果、特定のテルペンフェノール樹脂を添加剤とした場合に、当該添加剤を含有する印刷インキ用バインダや印刷インキと、PEやPPなどの難密着性基材と、の密着性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る印刷インキ用バインダは、ポリウレタン樹脂と、フェノール骨格1つに対して平均炭素数が10以上19以下であるテルペン鎖を有するテルペンフェノール樹脂と、を含有する。
また、本発明に係る印刷インキは、ポリウレタン樹脂と、フェノール骨格1つに対して平均炭素数が10以上19以下であるテルペン鎖を有するテルペンフェノール樹脂と、を含有する印刷インキ用バインダを含んでいる。
本発明に係る印刷物は、基材上に、ポリウレタン樹脂と、フェノール骨格1つに対して平均炭素数が10以上19以下であるテルペン鎖を有するテルペンフェノール樹脂と、を含有する印刷インキ用バインダを含む印刷インキが塗装されてなる印刷インキ層が設けられている。
本発明によれば、ポリウレタン樹脂の化学構造を変更することなく、難密着性基材に対して優れた密着性を有する印刷インキ用バインダ、印刷インキ及び当該印刷インキを用いた印刷物を提供することができる。
一実施形態に係る印刷物の断面図である。 他の実施形態に係る印刷物の断面図である。 密着力評価に関する評価例を示す図である。
以下、適宜図面を参照して本発明に係る印刷インキ用バインダ、印刷インキ及び印刷物の一実施形態について詳細に説明する。ただし、参照する各図は、図示の都合上、適宜拡大又は縮小することがあり、各部材の相対的な大きさは実際のものとは異なることがある。
(印刷物1)
参照する図面において、図1は、一実施形態に係る印刷物1の断面図である。
図1に示すように、印刷物1は、所定の形状の基材2と、この基材2の表面に形成された印刷インキ層3と、を有している。本実施形態においては、この印刷インキ層3に、後述する本実施形態に係る印刷インキ用バインダを含む印刷インキが用いられている。これにより、印刷物1の基材2上に形成されている印刷インキ層3は、ポリウレタン樹脂の化学構造を変更することなく、PEやPPなどの難密着性基材に対して優れた密着性を有するという効果が得られる。印刷物1としては、例えば、プラスチックフィルムなどの包装材料、特に好適には食品包装用であるものが挙げられる。
(基材2)
前記した基材2は印刷物1の本体であり、使用目的に応じた種々の形状をとり得る。
前記した基材2としては、例えば、添加剤が含まれていてもよいポリエステル、ポリアミド系樹脂、PE、PPなどを用いたフィルム(例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、略称OPPを含む)や成型体などが挙げられる。本実施形態においては、特に、PEやPPなどの難密着性基材を用いたフィルムや成型体などが好適に挙げられる。このようにすると、これらの難密着性基材に強固に密着した印刷インキ層3を有する印刷物1を得ることができる。なお、基材2の表面は、印刷インキとの密着性を向上する表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、例えば、UVオゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理などが挙げられる。
(印刷インキ層3)
印刷インキ層3は、基材2の表面に形成されて、印刷物1に模様や文字などを表したり、基材2の保護を行ったりする役割を果たす。
印刷インキ層3は、ポリウレタン樹脂と、特定構造のテルペンフェノール樹脂と、を含有する、本実施形態に係る印刷インキ用バインダを含む印刷インキが塗装されて形成されている。
印刷インキ用バインダ、印刷インキ、ポリウレタン樹脂及び特定構造のテルペンフェノール樹脂について以下に詳述する。
(印刷インキ用バインダ及び印刷インキ)
本実施形態に係る印刷インキ用バインダ及び印刷インキは、前記したように、印刷インキ層3を形成するために用いられる。
前記したように、本実施形態に係る印刷インキ用バインダは、ポリウレタン樹脂と、特定構造のテルペンフェノール樹脂と、を含有している。そして、本実施形態に係る印刷インキは、前記した印刷インキ用バインダを含んでいる。
本実施形態に係る印刷インキ用バインダ及び印刷インキは、特定構造のテルペンフェノール樹脂を含んでいることにより、ポリウレタン樹脂の化学構造を変更することなく、PEやPPなどの難密着性基材に対して優れた密着性を有するという効果が得られる。
本実施形態に係る印刷インキは、前記した印刷インキ用バインダのほかに、例えば、着色剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調節剤、貯蔵安定剤、抗菌剤、分散剤、界面活性剤、塗膜ひび割れ防止剤、乾燥凝縮低減剤、凝集剤などを本発明の効果を阻害しない範囲(含有量)でそれぞれ任意に含ませることができる。
印刷インキ層3は、前記した印刷インキ用バインダを含む印刷インキを基材2上に塗布、浸漬、噴霧などの任意の方法で接触させた後、乾燥等させて硬化することで形成することができる。
(ポリウレタン樹脂)
前記したように、印刷インキ用バインダはポリウレタン樹脂を含有している。
当該ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合(−NH・CO・O−)を有する重合体であればどのようなものでもよい。具体的には、ポリウレタン樹脂は、イソシアネート基を有する化合物と、水酸基を有する化合物とが重合したものであれば好適に用いることができる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、テトライソシアネート化合物などのポリイソシアネート成分(ポリイソシアネート化合物)を挙げることができる。イソシアネート基を有する化合物は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族であるものを好適に用いることができる。
水酸基を有する化合物としては、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物、テトラオール化合物などのポリオール成分(ポリオール化合物)を挙げることができる。水酸基を有する化合物は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族であるものを好適に用いることができる。
なお、イソシアネート基を有する化合物及び水酸基を有する化合物はいずれも、ポリウレタン樹脂を製造するために用いられている一般的な化合物であればどのようなものも用いることができる。
本実施形態に係る印刷インキ用バインダは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との比率が[NOC]/[OH]で1.2以上2.4以下であるポリウレタン樹脂を好適に用いることができる。このようにすると、難密着性基材に対する優れた密着性をより確実に得ることができる。このようなポリウレタン樹脂を有機溶媒に溶解した印刷インキ用バインダの例としては、日立化成(株)製TA24−530E、TA24−538D、TA24−549Hなどが挙げられる。なお、これらのバインダの固形分濃度は30質量%であり、有機溶媒は酢酸エチルとイソプロパノールの混合溶媒である。
(テルペンフェノール樹脂)
また、前記したように、印刷インキ用バインダは特定構造のテルペンフェノール樹脂を含有している。
当該特定構造のテルペンフェノール樹脂とは、フェノール骨格1つに対して平均炭素数が10以上19以下であるテルペン鎖を有するものであり、その代表構造を(式1)に示す。
前記(式1)中、m及びnはそれぞれ1以上の整数を表す。なお、mは1であるのが好ましい。nは、後記するように好ましくはテルペンフェノール樹脂のスチレン換算数平均分子量が600以上800以下であり、スチレン換算重量平均分子量が800以上1100以下であることから、これを勘案して2〜3であるのが好ましい。
本発明の効果が得られる理由は定かではないが、以下のようなものであると考えている。すなわち、テルペンフェノール樹脂のフェノール骨格(特に例えば水酸基)がポリウレタン樹脂と相互に引き付け合い、テルペン鎖(特に例えばメチル基)が、基材2と相互に引き付け合うと考えられる。そのため、前記した特定構造のテルペンフェノール樹脂を含むことで、PPやPEなどの難密着性基材とポリウレタン樹脂との接着性が向上し、難密着性基材とポリウレタン樹脂を含む印刷インキ層3との密着性を優れたものにできると考えられる。
なお、テルペンフェノール樹脂におけるテルペン鎖中の炭素数は、理論的及び理想的にはmが1であるときの10が好ましい。しかし、テルペンフェノール樹脂はモノマーを重合させたポリマーであるので、原料にmが2以上のモノマーが含まれている場合がある。その場合は、mが2以上のモノマーの含有比率によってテルペン鎖中の平均炭素数が10を超えることになる。つまり、プロトンNMR(核磁気共鳴)などで測定した場合、テルペンフェノール樹脂におけるフェノール骨格1つに対する平均炭素数が11以上になることが多い。本実施形態においては、前記した平均炭素数は少ないほど好ましいので、テルペンフェノール樹脂におけるテルペン鎖中の炭素数が10である化合物を単離するなどして用いるのが好ましい。つまり、本実施形態においては、mが1の化合物と2以上の化合物とが含まれ得るので、これらの含有割合を調整して、可能であれば前記した平均炭素数が10以上19以下になるようにする。なお、前記した平均炭素数は11以上、12以上又は13以上とすることができる。また、前記した平均炭素数は19未満、18以下又は17以下とすることができる。
本実施形態において製造の容易性や難密着性基材に対する密着性などを考慮すると、好ましいテルペン鎖中の平均炭素数は11以上13以下である。この範囲のテルペンフェノール樹脂を添加すると、テルペンフェノール樹脂の添加量が少ない場合において、顕著な密着改善効果を得ることができる。フェノール骨格とテルペン鎖中の炭素数は、前記同様プロトンNMRにより求めることができる。例えば、(式1)においてmが1である場合は、フェノール骨格由来のプロトン数は3であり、テルペン鎖由来のプロトン数は15である。そのときのテルペン鎖の炭素数は10である。具体的には、プロトンNMRで観測される6.3〜7.5ppmに観測されるフェノール骨格のプロトン由来のスペクトルの積分値を3として、0.7から5.0ppmに観測されるテルペン鎖由来のプロトンのスペクトルの積分値を15で除し、この除した値に10を掛け算することによって、フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の炭素数を求めることができる。テルペンフェノール樹脂のテルペン鎖の平均炭素数が10の倍数にならないのは、前記したようにテルペンフェノール樹脂が分子量の異なる複数の化合物の混合物であるためである。
また、本実施形態において好ましいテルペンフェノール樹脂の分子量は、前記したように、スチレン換算数平均分子量が600以上800以下であり、スチレン換算重量平均分子量が800以上1100以下である。このようにすると、難密着性基材に対する優れた密着性をより確実に得ることができる。
本実施形態で述べる分子量は、例えば、以下の条件でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を観測して求めることができる。GPCを行うにあたり、分析カラムは、例えば、(株)日立ハイテクサイエンス製ゲルパックGL−R420とGL−R430とGL−R440とを連結して用いることが好ましい。また、GPCによる検出には同社の示差屈折(RI)検出器L−3300を用いることができる。検出の条件としては、例えば、溶離液であるテトラヒドロフラン2mLにテルペンフェノール樹脂を20mg溶解し、カラムへの注入量を50μLとし、溶離液流量を1.75mL/分とし、カラム温度を25℃とする。本観測により、特に好ましいテルペンフェノール樹脂は、前述の条件で観測したGPCの複数のピークのうち、最大ピーク(ピークトップ)が例えば27.8分から30分の間にあるテルペンフェノール樹脂である。なお、標準ポリスチレンの分子量を測定して得られた較正曲線(検量線)を参照すると、最大ピークの溶出時間がこの範囲にあるテルペンフェノール樹脂は前記したように低分子量体であることがわかっている。本実施形態では、このような低分子量体を多く含むテルペンフェノール樹脂を採用することにより、PEやPPのような難密着性基材に対する密着性改善効果を特に高くすることができる。
そして、本実施形態においては、前述の分子量範囲であって、かつフェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が11以上13以下であるテルペンフェノール樹脂が、いっそう高い密着改善効果を有することから好ましい。
また、一般的に印刷インキは塗布後に60℃から100℃で乾燥することから、印刷物1のブロッキングを抑制するためにテルペンフェノール樹脂の軟化点は100℃よりも高いことが好ましい。
そのようなテルペンフェノール樹脂として、具体的には、ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターK125(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数11.2、スチレン換算数平均分子量695、スチレン換算重量平均分子量932、GPCのピークトップ29.7分、軟化温度約125℃)、同社製YSポリスターN125(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数12.4、スチレン換算数平均分子量646、スチレン換算重量平均分子量840、GPCのピークトップ29.7分、軟化温度約125℃)、同社製YSポリスターS145(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数18.9、スチレン換算数平均分子量781、スチレン換算重量平均分子量1086、GPCのピークトップ27.8分、軟化温度約145℃)などを用いることができる。分子量がやや大きな例としては、ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターG125(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数17.1、スチレン換算数平均分子量812、スチレン換算重量平均分子量1184、GPCのピークトップ27.9分、軟化温度約125℃)があり、これを用いることもできる。
印刷インキ用バインダ及び印刷インキ中のポリウレタン樹脂とテルペンフェノール樹脂の配合比率は、目的とする密着力、印刷条件に応じて任意に設定することができる。例えば、ポリウレタン樹脂1質量部に対して、テルペンフェノール樹脂を0.1質量部以上4.5質量部以下の範囲で添加することが好ましい。ポリウレタン樹脂1質量部に対するテルペンフェノール樹脂の配合比率がこの範囲にあると、難密着性基材に対する密着改善効果が十分に得られる。また、このようにすると、形成した印刷インキ層3のクラック発生防止を図ることができる。
(印刷インキ用バインダの他の利用態様)
以上に説明した本実施形態に係る印刷インキ用バインダは、印刷インキの母剤として用いることができるほか、クリア塗料や密着層として用いることができる。
(印刷物の他の実施形態)
図2は、他の実施形態に係る印刷物10の断面図である。
図2に示すように、他の実施形態に係る印刷物10として、基材2上に印刷された印刷インキ層3の上にさらに保護層4を形成したものを挙げることができる。保護層4は、印刷インキ層3や基材2を傷や種々の薬品から保護する。また、保護層4は、食品包装分野においては印刷インキ層3と食品の接触を防止する。さらに、加飾性及び安全、衛生の観点からも保護層4を形成することが好ましい。保護層4は、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、無延伸ポリプロピレン、アルミ蒸着ポリプロピレン、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート、ウレタン系クリア塗料、アクリレート系クリア塗料などを用いて形成することができる。保護層4の形成方法は任意に選択することができる。保護層4の形成方法としては、例えば、フィルムの場合は接着剤を用いたラミネート加工を、成型体の場合はクリア塗料の塗装を用いることができる。
(まとめ)
以上に説明したように、本実施形態に係る印刷インキ用バインダは、特定構造のテルペンフェノール樹脂を用いている。これにより、本実施形態に係る印刷インキ用バインダは、印刷用インキのバインダとして広く用いられているポリウレタン樹脂の化学構造を変更しなくても、印刷インキ用バインダと、PEやPPなどの難密着性材料である基材2と、の密着性を優れたものとできる。そのため、本実施形態に係る印刷インキ用バインダは、要求特性が異なる各種性能の印刷インキの開発を容易に行うことができるようになり、かつその開発スピードを向上できる。そのため、本実施形態に係る印刷インキ用バインダは、要求特性が異なる各種性能の印刷インキの開発コストを抑えることができる。また、前記したように、本実施形態に係る印刷インキ用バインダは、食品包装をはじめとする難密着性基材への印刷、塗装分野に好適に用いることができる。これらの効果は、本実施形態に係る印刷インキ用バインダを含む印刷インキも同様に得ることができる。また、本実施形態に係る印刷物1は、前記した印刷インキ用バインダを用いて印刷インキ層3を形成しているので、印刷インキ層3と、PEやPPなどの難密着性材料である基材2との密着性が優れている。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
以下に説明する実施例1〜26及び比較例1〜8に係る印刷物は以下の(1)〜(5)に挙げた材料を用いて製造した。
<材料>
(1)テルペンフェノール樹脂
・ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターK125(以下、単に「K125」と表記する場合がある)(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数11.2、スチレン換算数平均分子量695、スチレン換算重量平均分子量932、GPCのピークトップ29.7分、軟化温度約125℃)
・ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターN125(以下、単に「N125」と表記する場合がある)(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数12.4、スチレン換算数平均分子量646、スチレン換算重量平均分子量840、GPCのピークトップ29.7分、軟化温度約125℃)
・ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターS145(以下、単に「S145」と表記する場合がある)(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数18.9、スチレン換算数平均分子量781、スチレン換算重量平均分子量1086、GPCのピークトップ27.8分、軟化温度約145℃)
・ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターG125(以下、単に「G125」と表記する場合がある)(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数17.1、スチレン換算数平均分子量812、スチレン換算重量平均分子量1184、GPCのピークトップ27.9分、軟化温度約125℃)
・ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターU130(以下、単に「U130」と表記する場合がある)(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数42.1、スチレン換算数平均分子量794、スチレン換算重量平均分子量1245、GPCのピークトップ27.2分、軟化温度約125℃)
・ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターT130(以下、単に「T130」と表記する場合がある)(フェノール骨格1つに対するテルペン鎖中の平均炭素数30.2、スチレン換算数平均分子量、スチレン換算重量平均分子量は未評価、軟化温度約130℃)
(2)ポリウレタン樹脂を30質量%含有する印刷インキ用バインダ溶液(なお、いずれも[NOC]/[OH]は1.2以上2.4以下である)
・日立化成(株)製TA24−538D
・日立化成(株)製TA24−530E
・日立化成(株)製TA24−549H
(3)白色顔料を含有する白インキ(ポリウレタン樹脂を1.00質量部、白色顔料を3.48質量部、溶媒を8.52質量部含有する。)
・日立化成(株)製TA24−538D(白インキ)
・日立化成(株)製TA24−530E(白インキ)
・日立化成(株)製TA24−549H(白インキ)
(4)白色顔料
・酸化チタン
(5)溶媒
・溶媒:酢酸エチルを主成分とする溶媒
・追加溶媒:酢酸エチル
(6)二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)
・東レ(株)製トレファン(商標)タイプ2578、厚さ30μm、コロナ処理有り(以下、「コロナ処理品」と表記することがある)
・東レ(株)製トレファン(商標)タイプ2500H、厚さ30μm、コロナ処理無し(以下、「未処理品」と表記することがある)
そして、製造した実施例1〜26及び比較例1〜8に係る印刷物について次のような密着力評価を行った。
<密着力評価>
OPPフィルム上にバーコーター(No.7)を用いて所定の印刷インキ用バインダ溶液(表1参照)又は印刷インキ(白インキ、表2〜9参照)を塗布し、後述の条件で乾燥した。乾燥後の印刷インク層の厚さは3〜6μmであった。
印刷面に剥離試験用テープ(ニチバン(株)製セロテープ(登録商標)タイプCT405AP)を指先で強く押し付けて貼り、略180°方向にテープを剥離して密着力を評価した。
密着力の評価指標は、剥離が生じない場合を5点、点状の剥離のみがあるものを4点、評価面の剥離面積が1%以上10%未満であるものを3点、剥離面積が10%以上50%未満である場合を2点、剥離面積が50%以上であるものを1点とした。評価例を図3に示す。
(実施例1)
実施例1に係る印刷物は、印刷インキ用バインダ溶液TA24−530E((2)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が11.2個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターK125((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.11質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
この実施例では、OPPフィルムに本バインダ溶液を塗布し、室温で24時間乾燥した後、密着力評価を実施した。その結果を後記の表1に示す。
実施例1に係る印刷物は、OPPフィルムの表面処理の有無に係らず、密着力は5点を示した。この結果から明らかなように、適切なテルペンフェノール樹脂を添加したことによって印刷インキ用バインダの密着力は飛躍的に向上した。本印刷インキ用バインダはOPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
(実施例2)
実施例2に係る印刷物は、印刷インキ用バインダ溶液TA24−530E((2)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が18.9個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターS145((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.11質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
実施例1と同様にして密着力評価を実施した。その結果を後記の表1に示す。
実施例2に係る印刷物は、OPPフィルムの表面処理の有無に係らず、密着力は5点を示した。この結果から明らかなように、適切なテルペンフェノール樹脂を添加したことによって印刷インキ用バインダの密着力は飛躍的に向上した。本印刷インキ用バインダはOPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
(比較例1)
比較例1に係る印刷物は、印刷インキ用バインダ溶液TA24−530E((2)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が42.1個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターU130((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.11質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
実施例1と同様にして密着力評価を実施した。その結果を後記の表1に示す。
比較例1に係る印刷物は、OPPフィルムの表面処理の有無に係らず、密着力は1点を示した。この結果から明らかなように、テルペン鎖中の平均炭素数が多いテルペンフェノール樹脂では、印刷インキ用バインダとOPPフィルムとの密着改善効果が低いことが判明した。
(比較例2)
比較例2に係る印刷物は、印刷インキ用バインダ溶液TA24−530E((2)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が30.2個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターT130((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.11質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
実施例1と同様にして密着力評価を実施した。その結果を後記の表1に示す。
比較例2に係る印刷物は、OPPフィルムの表面処理の有無に係らず、密着力は1点を示した。この結果から明らかなように、テルペン鎖中の平均炭素数が多いテルペンフェノール樹脂では、印刷インキ用バインダとOPPフィルムとの密着改善効果が低いことが判明した。
(比較例3、4)
比較例3、4に係る印刷物は、比較例1、2に係る印刷物のテルペンフェノール樹脂の添加量を0.44質量部に増量した例である。
実施例1と同様にして密着力評価を実施した。その結果を後記の表1に示す。
比較例3、4に係る印刷物は、OPPフィルムの表面処理の有無に係らず、密着力は1点であった。比較例3、4に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を増量したにもかかわらず、密着力は改善されなかった。この結果から、テルペン鎖中の平均炭素数が多いテルペンフェノール樹脂では、印刷インキ用バインダとOPPフィルムとの密着改善効果が低いことが改めて確認された。
(比較例5)
比較例5に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を添加しない場合の例である。
実施例1と同様にして密着力評価を実施した。その結果を後記の表1に示す。
比較例5に係る印刷物の密着力はOPPフィルムの表面処理の有無に係らず1点であった。このことから、ポリウレタン樹脂をバインダとする印刷インキ用バインダをOPPフィルムのような炭化水素系の基材に密着させるためには、本発明の特定構造のテルペンフェノール樹脂の添加が有効であることが確認された。
(実施例3〜5、比較例6)
実施例3〜5に係る印刷物は、白色顔料((4)参照)を含むTA24−538D(白インキ)((3)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が11.2個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターK125((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.39〜4.48質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
これに対して、比較例6に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を添加しない場合の例である。
なお、以下の表2から表9に、比較例6、7、8が複数回掲載されているが、インキ組成が同じ比較例を同じ番号で表している。また、白色顔料を含むTA24−538D(白インキ(印刷インキ))は、ポリウレタン樹脂と白色顔料である酸化チタンとを合計で34.5質量%含んでいる。これは、後記する表3〜9に示す実施例6〜26、比較例7、8における白インキ(印刷インキ)についても同様である。
コロナ処理を施したOPPフィルムと未処理のOPPフィルムに、実施例3〜5、比較例6に係る白インキをそれぞれ塗布し、80℃で10秒乾燥して密着力評価用の試料とした。
インキ組成と密着力評価の結果を後記の表2に示す。なお、密着力は、乾燥直後(表中「10s後」を付記)と24時間後(表中「24h後」を付記)に観測した。
表2に示すように、テルペンフェノール樹脂を0.39質量部以上添加した実施例3〜5に係る印刷物は、OPPフィルムの種類によらず、テルペンフェノール樹脂を添加しなかった比較例6に係る印刷物と比べて、いずれの場合も高い密着力を示した。本実施例の印刷インキ用バインダは、OPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
(実施例6〜8、比較例7)
実施例6〜8に係る印刷物は、白色顔料((4)参照)を含むTA24−530E(白インキ)((3)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が11.2個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターK125((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.26〜4.48質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
これに対して、比較例7に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を添加しない場合の例である。
コロナ処理を施したOPPフィルムと未処理のOPPフィルムに、実施例6〜8、比較例7に係る白インキをそれぞれ塗布し、80℃で10秒乾燥して密着力評価用の試料とした。
インキ組成と密着力評価の結果を後記の表3に示す。なお、密着力は、乾燥直後(表中「10s後」を付記)と24時間後(表中「24h後」を付記)に観測した。
表3に示すように、テルペンフェノール樹脂を0.26質量部以上添加した実施例6〜8に係る印刷物は、OPPフィルムの種類によらず、テルペンフェノール樹脂を添加しなかった比較例7に係る印刷物と比べて、いずれの場合も高い密着力を示した。本実施例の印刷インキ用バインダは、OPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
(実施例9〜11、比較例8)
実施例9〜11に係る印刷物は、白色顔料((4)参照)を含むTA24−549H(白インキ)((3)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が11.2個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターK125((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.52〜4.48質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
これに対して、比較例8に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を添加しない場合の例である。
コロナ処理を施したOPPフィルムと未処理のOPPフィルムに実施例9〜11、比較例8に係る白インキをそれぞれ塗布し、80℃で10秒乾燥して密着力評価用の試料とした。
インキ組成と密着力評価の結果を後記の表4に示す。なお、密着力は、乾燥直後(表中「10s後」を付記)と24時間後(表中「24h後」を付記)に観測した。
表4に示すように、テルペンフェノール樹脂を0.52質量部以上添加した実施例9〜11に係る印刷物は、OPPフィルムの種類によらず、テルペンフェノール樹脂を添加しなかった比較例8に係る印刷物と比べて、いずれの場合も高い密着力を示した。本実施例の印刷インキ用バインダは、OPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
(実施例12〜14、比較例6)
実施例12〜14に係る印刷物は、白色顔料((4)参照)を含むTA24−538D(白インキ)((3)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が12.4個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターN125((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.39〜4.48質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
これに対して、比較例6に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を添加しない場合の例である。
コロナ処理を施したOPPフィルムと未処理のOPPフィルムに実施例12〜14、比較例6に係る白インキをそれぞれ塗布し、80℃で10秒乾燥して密着力評価用の試料とした。
インキ組成と密着力評価の結果を後記の表5に示す。なお、密着力は、乾燥直後(表中「10s後」を付記)と24時間後(表中「24h後」を付記)に観測した。
表5に示すように、テルペンフェノール樹脂を0.39質量部以上添加した実施例12〜14に係る印刷物は、OPPフィルムの種類によらず、テルペンフェノール樹脂を添加しなかった比較例6に係る印刷物と比べて、いずれの場合も高い密着力を示した。本実施例の印刷インキ用バインダは、OPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
(実施例15〜17、比較例7)
実施例15〜17に係る印刷物は、白色顔料((4)参照)を含むTA24−530E(白インキ)((3)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が12.4個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターN125((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.26〜4.48質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
これに対して、比較例7に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を添加しない場合の例である。
コロナ処理を施したOPPフィルムと未処理のOPPフィルムに実施例15〜17、比較例7に係る白インキをそれぞれ塗布し、80℃で10秒乾燥して密着力評価用の試料とした。
インキ組成と密着力評価の結果を後記の表6に示す。なお、密着力は、乾燥直後(表中「10s後」を付記)と24時間後(表中「24h後」を付記)に観測した。
表6に示すように、テルペンフェノール樹脂を0.26質量部以上添加した実施例15〜17に係る印刷物は、OPPフィルムの種類によらず、テルペンフェノール樹脂を添加しなかった比較例7に係る印刷物と比べて、いずれの場合も高い密着力を示した。本実施例の印刷インキ用バインダは、OPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
(実施例18〜20、比較例8)
実施例18〜20に係る印刷物は、白色顔料((4)参照)を含むTA24−549H(白インキ)((3)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が12.4個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターN125((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.52〜4.48質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
これに対して、比較例8に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を添加しない場合の例である。
コロナ処理を施したOPPフィルムと未処理のOPPフィルムに実施例18〜20、比較例8に係る白インキをそれぞれ塗布し、80℃で10秒乾燥して密着力評価用の試料とした。
インキ組成と密着力評価の結果を後記の表7に示す。なお、密着力は、乾燥直後(表中「10s後」を付記)と24時間後(表中「24h後」を付記)に観測した。
表7に示すように、テルペンフェノール樹脂を0.52質量部以上添加した実施例18〜20に係る印刷物は、OPPフィルムの種類によらず、テルペンフェノール樹脂を添加しなかった比較例8に係る印刷物と比べて、いずれの場合も高い密着力を示した。本実施例の印刷インキ用バインダは、OPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
(実施例21〜23、比較例6)
実施例21〜23に係る印刷物は、白色顔料((4)参照)を含むTA24−538D(白インキ)((3)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が18.9個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターS145((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.78〜4.48質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
これに対して、比較例6に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を添加しない場合の例である。
コロナ処理を施したOPPフィルムと未処理のOPPフィルムに実施例21〜23、比較例6に係る白インキをそれぞれ塗布し、80℃で10秒乾燥して密着力評価用の試料とした。
インキ組成と密着力評価の結果を後記の表8に示す。なお、密着力は、乾燥直後(表中「10s後」を付記)と24時間後(表中「24h後」を付記)に観測した。
表8に示すように、テルペンフェノール樹脂を0.78質量部以上添加した実施例21〜23に係る印刷物は、OPPフィルムの種類によらず、テルペンフェノール樹脂を添加しなかった比較例6に係る印刷物と比べて、いずれの場合も高い密着力を示した。本実施例の印刷インキ用バインダは、OPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
(実施例24〜26、比較例6)
実施例24〜26に係る印刷物は、白色顔料((4)参照)を含むTA24−538D(白インキ)((3)参照)に、フェノール骨格1つに対してテルペン鎖中の平均炭素数が17.1個であるテルペンフェノール樹脂YSポリスターG125((1)参照)を、ポリウレタン樹脂1質量部に対して0.78〜4.48質量部添加した印刷インキ用バインダを用いた例である。
これに対して、比較例6に係る印刷物は、テルペンフェノール樹脂を添加しない場合の例である。
コロナ処理を施したOPPフィルムと未処理のOPPフィルムに実施例24〜26、比較例6に係る白インキをそれぞれ塗布し、80℃で10秒乾燥して密着力評価用の試料とした。
インキ組成と密着力評価の結果を後記の表9に示す。なお、密着力は、乾燥直後(表中「10s後」を付記)と24時間後(表中「24h後」を付記)に観測した。
表9に示すように、テルペンフェノール樹脂を0.78質量部以上添加した実施例24〜26に係る印刷物は、OPPフィルムの種類によらず、テルペンフェノール樹脂を添加しなかった比較例6に係る印刷物と比べて、いずれの場合も高い密着力を示した。本実施例の印刷インキ用バインダは、OPPフィルムの印刷インキ用バインダとして好ましいと思われる結果を得た。
以上、本発明に係る印刷インキ用バインダ、印刷インキ及び当該印刷インキを用いた印刷物について、実施形態及び実施例によって詳細に説明したが本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1、10 印刷物
2 基材
3 印刷インキ層
4 保護層

Claims (8)

  1. ポリウレタン樹脂と、フェノール骨格1つに対して平均炭素数が10以上19以下であるテルペン鎖を有するテルペンフェノール樹脂と、を含有することを特徴とする印刷インキ用バインダ。
  2. 請求項1において、
    前記テルペンフェノール樹脂のスチレン換算数平均分子量が600以上800以下であり、スチレン換算重量平均分子量が800以上1100以下であることを特徴とする印刷インキ用バインダ。
  3. 請求項1において、
    前記ポリウレタン樹脂におけるポリオール成分と有機ジイソシアネートの比率が、[NOC]/[OH]で1.2以上2.4以下であることを特徴とする印刷インキ用バインダ。
  4. 請求項1において、
    前記ポリウレタン樹脂1質量部に対して前記テルペンフェノール樹脂を0.1質量部以上4.5質量部以下の範囲で含有していることを特徴とする印刷インキ用バインダ。
  5. ポリウレタン樹脂と、フェノール骨格1つに対して平均炭素数が10以上19以下であるテルペン鎖を有するテルペンフェノール樹脂と、を含有する印刷インキ用バインダを含むことを特徴とする印刷インキ。
  6. 基材上に、ポリウレタン樹脂と、フェノール骨格1つに対して平均炭素数が10以上19以下であるテルペン鎖を有するテルペンフェノール樹脂と、を含有する印刷インキ用バインダを含む印刷インキが塗装されてなる印刷インキ層が設けられていることを特徴とする印刷物。
  7. 請求項6において、
    前記基材が、ポリプロピレン成型体または二軸延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする印刷物。
  8. 請求項6において、
    前記印刷インキ層上に保護層を有することを特徴とする印刷物。
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