JP2019209987A - ロック機構を有する包装用箱 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓋を容易に開封することが出来て、開封されたことが明確に分かる様な包装用箱の提供。【解決手段】本発明の包装用箱(100、101、102)は、4つの側壁(11、12、13、14)と、各側壁の一端に設けられて蓋を構成する蓋片(21、22、23、24)を備え、一つの蓋片(23)の側壁(13)とは反対側の端部に頭部(23A)が設けられ、頭部(23A)は、蓋片(23)とは連続しない側壁(11)と側壁(11)の蓋片(21)との境界部に形成されたスリット(15)に進入可能に形成され、スリット(15)の下方に側壁(11)の長手方向に延在する破断可能な線分(16A)と、破断可能な線分(16A)に連続して、当該線分が形成されている側壁の長手方向に直交する方向に延在している破断可能部分(17、18、19)が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、各種製品を包装するための箱(例えばカートン)に関し、特に、一度開封したならば再封鎖が出来なくなる箱に関する。
流通過程や販売時において製品に対する不正な行為(いわゆる「いたずら」)を防止するために、製品包装用の箱を開封すると、開封前の状態に戻すことが出来ない構造の包装用箱(例えばカートン)が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
その様な包装用箱(例えば、特許文献1)では、図16で示す様に、先ず、図16の展開図を組み立てた包装用箱において、開放片49の破断可能線46(2箇所)を切り離し、折り曲げ可能線51から下方に折り曲げ、頭部34を引き上げることにより、蓋31を開放(開封)することが出来る。開放片49における2箇所の破断可能線46を切り離して下方に折り曲げているため、開封後に再封鎖することが出来ない。
しかし、破断可能線46、46とスリット41で囲まれた領域を折り曲げ可能線51から上方に折り曲げてしまうと、必ずしも開封されたことが明確とならない、という問題を有している。
その他の従来技術としては、例えば、前壁面の上端部近傍に切取り線で包囲された切取範囲を形成し、切取り線を破断して切取範囲を折り曲げて、前壁面から離隔した状態にしなければ開封することが出来ないパッケージも提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この従来技術(特許文献2)においても、開封後、切取範囲を前壁面と面一に接続する様に折り曲げると、開封されたことが必ずしも明確にならないという問題を有している。
実用新案登録第3142471号公報 実用新案登録第3199942号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、蓋を容易に開封することが出来て、しかも、一度でも開封したならば開封されたことが明確に分かる様な包装用箱の提供を目的としている。
本発明の包装用箱(100、101、102:例えば、カートン)は、4つの側壁(11、12、13、14)と、各側壁(11、12、13、14)の一端に設けられて蓋を構成する蓋片(21、22、23、24)を備え、
1つの蓋片(23)の側壁(13)とは反対側の端部に頭部(23A)が設けられ、当該頭部(23A)は、前記蓋片(23)とは連続していない側壁(11)とその側壁(11)の蓋片(21)との境界部に形成されたスリット(15)に進入可能に形成され、
前記スリット(15)の下方に側壁(11)の長手方向に延在する破断可能な線分(16A)と、当該破断可能な線分(16A)に連続して、当該線分が形成されている側壁の長手方向に直交する方向に延在している破断可能部分(17、18、19)が設けられていることを特徴としている。
本発明において、前記破断可能部分(17、18)は、破断可能部分(17、18)が形成されている側壁(11)の長手方向に直交する方向の全域に形成されているのが好ましい。
その場合、前記破断可能部分(17)の前記直交する方向の両端部(17A、17B)は、切断可能に構成されているのが好ましい。
或いは、前記破断可能部分(18)の前記直交する方向の両端部(18A、18B)の一端(18A:破断を開始する側)は切断可能に構成されているが、他端(18B:破断を開始する側の反対側)は隣接する側壁に接続されている(接続箇所:接続線:つなぎ)のが好ましい。
また本発明において、前記破断可能部分(19)は、破断可能部分が形成されている側壁(11)の長手方向に直交する方向の全域には形成されておらず、両端部(19A、19B)の一端(19A:破断を開始する側)から他端(19B)に向かう一部のみが切断可能である(隣接する側壁12との境界側の領域は切断可能ではない)のが好ましい。
上述の構成を具備する本発明によれば、蓋片(23)の頭部(23A)が、「破断可能部分17、18、19近傍のスリット15」に引っ掛かるため、そのままでは開封する(蓋を開く)ことが出来ない。
蓋(23)を開くためには、「破断可能部分17、18、19」を破断して、残存した部分(16:破断可能な線分16Aに挟まれた領域、開放片)を上方に折り曲げて引き千切り、頭部(23A)が「破断可能部分17、18、19近傍のスリット15」に引っ掛かっている状態を解除しなければならない。
破断可能な線分16Aの長さは特に限定されないが、開けやすさの観点からは、頭部23Aの線分16A方向の長さと同程度の長さであることが好ましい。また、破断可能部分17の線分16A方向の長さについても、特に限定されないが、開けやすさの観点からは、側壁11の長手方向の長さの半分よりも短いことが好ましく、1cm〜3cm程度であることがより好ましい。
蓋(23)を開くためには、「破断可能部分17、18、19」を破断しなければならない本発明によれば、蓋(23)が開かれたことが明示されることになる。一方、「破断可能部分17、18、19」を破断されていなければ、蓋は開かれていないことが分かり、流通過程や販売時において製品に対する不正な行為(いわゆる「いたずら」)がされていないことが明らかになる。
ここで、「破断可能部分17、18、19」を破断することは、何等習熟を必要としないので、本発明によれば、蓋(23)を開く(開封)することを、極めて容易に行うことが出来る。
そして、「破断可能部分17、18、19」を破断した後に破断前の状態に修復することは不可能であるため、本発明によれば、「破断可能部分17、18、19」を破断してしまうと、再び封鎖することが出来ず、破断前の状態に戻すことが不可能である。
そのため本発明によれば、流通過程や販売時において製品に対する不正な行為(いわゆる「いたずら」)を防止することが出来る。
本発明の第1実施形態を示す展開図である。 第1実施形態で蓋片の頭部が挿入されるスリットの構成を示す説明図である。 図2(B)で示すスリットに蓋片の頭部を挿入したときの説明図である。 図3の矢視A説明図である。 第1実施形態の包装用箱を組み立てた状態を示す斜視図である。 組み立てられた第1実施形態の包装用箱を開封する手順を示す説明図である。 図6に続く手順を示す説明図である。 図7に続く手順を示す説明図である。 図8に続く手順を示す説明図である。 本発明の第2実施形態を示す展開図である。 本発明の第3実施形態を示す展開図である。 図示の実施形態に係る包装用箱を構成する積層紙材を製造する工程を示す工程図である。 図12に続く工程であって、図示の実施形態に係る包装用箱を構成するのに好適な第1の積層紙材を製造する工程を示す工程図である。 図示の実施形態に係る包装用箱を構成するのに好適な第2の積層紙材を製造する工程を示す工程図である。 図14に続く工程を示す工程図である。 従来技術に係る包装用箱の展開図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に図1〜図9を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1における符号100は、図示の実施形態に係る包装用箱100(本明細書では、単に「箱」と表記する場合がある)を示している。ここで、図1の展開図で示された状態の包装用箱(箱)と、図5で示す組み立てられた包装用箱(箱)の双方に対して、符号100で表示する。
図1の包装用箱100は、4つの側壁11、12、13、14を有し、各側壁11、12、13、14の一端(図1では上方)には、それぞれ、蓋を構成する蓋片21、22、23、24が設けられている。
一つの蓋片23において、図1における上方(底部蓋片27の反対側)の端部には、頭部23Aが設けられている。頭部23Aは、折れ線23Bにより、蓋片23に対して組み立て方向(図1の紙面に垂直な方向:組み立て時に蓋片23が側壁13に対して折れ曲がる方向)に折り曲げ自在である。また頭部23Aの付け根にはスリット23Cが形成される。図1に示すとおりスリット23CはL字型に形成され、蓋片23の内側(頭部23Aの縁部から離隔した側:図1における左右方向の内側)にも形成される。この形状により、蓋をした際、スリット15よりも内側に蓋片23が位置しやすくなり、図2〜図4を参照して後述する蓋片21との干渉が起こりやすくなる。
側壁11、12、13、14の蓋片23とは反対側(図1の下方)における各々の端部には、従来公知の形状の底部蓋片25、26、27、28を備えており、側壁11は従来公知の形状の糊付け片29を備えている。また、図1において、点線は包装用箱100を組み立てる際に折り曲げるべき箇所を示す折り曲げ線、ハッチングを付して示す箇所(26、28、29)は接着剤を添加して貼り合わせる箇所を示している。
蓋片23と連続しておらず、側壁13とも連続していない側壁11と、側壁11の蓋片21との境界部には、スリット15が形成されている。包装用箱100を組み立てる際には、蓋片23の頭部23Aはスリット15に挿入される(スリット15内に進入する)。スリット15については、図2〜図4を参照して後述する。なお、スリット15は、図1のように展開図の状態で切り取られた形状でも良いし、スリット15を取り囲む辺のうち蓋片21と側壁11の境界線以外に切れ込み線を入れ、蓋片21を側壁11との境界線で折り曲げた際にスリット15が形成される形状でも良い。
側壁11において、スリット15の両端部近傍から側壁11の長手方向(図1では下方)に破断可能な線分16Aが延在している。そして、破断可能な線分16Aに連続して、破断可能部分17が設けられており、破断可能部分17は、側壁11の長手方向に直交する方向(図1では左右方向)に延在している。そして破断可能部分17の長手方向両端(図1では破断可能部分17の上端及び下端)には、切断可能な破断線17Cが形成されている。
ここで、左右の破断可能な線分16A、蓋片21側の破断可能線17C(図1では上方の破断線17C)、スリット15の側壁11側縁部で囲まれた領域部分を、「開放片16」と記載する。
第1実施形態では、図1で示す様に、破断可能部分17は側壁11の左右方向(側壁11の長手方向に直交する方向)全域に亘って延在している。
破断可能部分17において、左右方向の一端(例えば、図1では左側端部)には側壁11から切断可能な開け口17A(切断線)が形成されており、開け口17Aと反対側の端部(隣接する側壁12側の端部:図1では右側端部)には切断端部17B(切断線)が形成されている。すなわち、破断可能部分17の両端部17A、17Bは、切断線として切断された状態で構成されている。
詳細は後述するが、包装用箱100を開封(破断、開放)するに際しては、破断可能部分17の開け口17Aを把持して切断端部17B側(図1では右方向)に引っ張ることにより、破断可能部分17を側壁11から切り離す。そして、スリット15に挿入された蓋片23の頭部23Aと共に、開放片16を上方に引き上げて、開放片16を側壁11から切り離すことにより、包装用箱100は開放される。
図2〜図4を参照して、第1実施形態におけるスリット15(スリット15A、15Bを総称)を説明する。理解を容易にするため、図2(A)、(B)においては、スリット15を側壁11、蓋片21に対して大きく表示している。換言すれば、説明の便宜上、図2ではスリット15と側壁11、蓋片21の大きさの比率が、図1とは異なっており、図2ではスリット15を大きく表示している。
図2において、側壁11と蓋片21との境界部における蓋片21側には、スリット15A(図2(A)参照)、スリット15B(図2(B)参照)が設けられている。図2(A)、図2(B)は、蓋片23の頭部23Aをスリット15に挿入しない状態である。図2(A)、(B)において、スリット15A、15Bの下縁に、側壁11が延在している。
図2(A)に示すスリット15Aは、挿入される蓋片23の頭部23Aの厚さ寸法が小さい(箱100を構成する素材の厚さが薄い)場合に適用されるスリットである。一方、図2(B)に示すスリット15Bは、挿入される蓋片23の頭部23Aの厚さ寸法が大きい(箱100を構成する素材の厚さが厚い)、例えば段ボールの様な厚い素材を用いる場合に適用可能である。
図2(A)のスリット15Aは、高さ寸法H、幅寸法Bの矩形断面であり、高さ寸法Hは、スリット15Aに挿入される蓋片23の頭部23Aの厚さ寸法より大きく設定され、幅寸法Bは頭部23Aの幅寸法より小さく設定される。
スリット15Aに挿入される蓋片23の頭部23Aの厚さ寸法が小さい場合は、頭部23Aを簡単に折り曲げることが出来るので、頭部23Aは容易に変形可能であり、頭部23Aを撓ませることでスリット15Aに挿入させることが出来る。頭部23Aをスリット15Aに挿入した後に頭部23Aは撓んだ状態から復帰するので、頭部23Aをスリット15Aから引き出そうとしても頭部23Aの左右方向両端部がスリット15Aを形成した蓋片21の内壁に干渉し、スリット15Aから引き出すことが出来ない。
しかし、スリット15Aに挿入される蓋片23の頭部23Aの厚さ寸法が大きい場合は、頭部23Aは簡単に折り曲げることが出来ないので、頭部23Aの左右方向両端部がスリット15Aに干渉し、頭部23Aをスリット15Aに進入させる(スリット15Aに挿入させる)ことは出来ない。
これに対して、図2(B)に示すスリット15Bは、図2における左右方向の両端に、開口高さの小さい段差部15BAを有している。図2(B)において、スリット15B全体の高さ寸法がH1、段差部15BAの高さ寸法がH2であり、全体高さ寸法H1は、スリット15Bに挿入される蓋片23の頭部23Aの厚さ寸法より大きく設定され、段差部15BAの高さ寸法H2は、蓋片23の頭部23Aの厚さ寸法より小さく設定される。
スリット15Bにおいて、段差部15BAを除く幅寸法Bは、蓋片23の頭部23Aの幅寸法より小さく設定され、段差部15BAを含んだ全体の幅寸法B1は、蓋片23の頭部23Aの幅寸法と概略等しく設定されている。
図2(B)のスリット15Bに、厚さ寸法が大きい蓋片23の頭部23A(頭部23Aを簡単に折り曲げることが出来ない程度に厚い)を挿入する場合、段差部15BAがあるため、スリット15Bが全体の幅寸法B1(蓋片23の頭部23Aの幅寸法に概略等しい)に亘って変形して、頭部23A進入のための隙間を形成することが出来る。そのため、頭部23Aをスリット15Bに挿入することが出来る。
頭部23A挿入後にスリット15Bから引き出そうとしても、頭部23Aの左右方向両端部はスリット15Bの段差部15BAにおける蓋片21の素材と干渉するので、頭部23Aをスリット15Bから引き出すことは出来ない。
図3、図4に、スリット15Bに蓋片23の頭部23Aを挿入した状態を示す。
図3において、スリット15Bに挿入された蓋片23の頭部23A(破線で示す)の左右方向両端部は、段差部15BAにおける蓋片21の素材(ハッチング箇所R1)の下に位置している。そのため、頭部23Aを引き出そうとしても、当該左右方向両端部がハッチング箇所R1に干渉してしまう。
スリット15Bに挿入された蓋片23の頭部23Aの左右方向両端部は、蓋片21の内壁に干渉して引き出すことが出来ない旨は、図4においても図示されている。図4において、頭部23Aが蓋片21の内壁に干渉する部分は、ハッチング箇所R2として示されている。
なお、図2(B)に示すスリット15B(段差部を有するスリット15B)は、挿入される蓋片23の頭部23Aの厚さ寸法が大きい場合に適用可能である。
第1実施形態に係る包装用箱100の組み立てる手順について説明する。
図1において、展開した状態の紙材(例えば、図12〜図15を参照して後述する積層紙材)を、図1の点線箇所で折り曲げ、図1のハッチング箇所に接着剤を添加して貼り合わせ、図5で示す様な包装用箱100を組み立てる。
組み立てに際しては、蓋片23の頭部23A(図1参照)を、側壁11と蓋片21の境界部に形成されたスリット15(図1参照)に挿入する。この状態で蓋片23の頭部23Aは、開放片16の内方に位置する。図5で示す様に、開放片16の下方に破断可能部分17が形成される。
図5で示す様な組み立てられた包装用箱100において、単に蓋片23を矢印B方向に引っ張って開封しようとしても、図3、図4を参照して上述した通り、頭部23Aがスリット15において干渉する(引っ掛かる)ため、そのままでは開封することが出来ない。
第1実施形態において、組み立てた包装用箱100を開封する(蓋を開く)手順について、図6〜図9を参照して説明する。
組み立てられた包装用箱100を開封するためには、先ず図6に示す様に、破断可能部分17の開け口17Aを把持して破断方向(矢印C方向:隣接する側壁12側:図6で右方向)に引っ張る。破断可能部分17を矢印C方向に引っ張ると、破断可能部分17は破断線17Cに沿って、側壁11から破断して離隔される(引き千切られる)。ハッチング箇所R3は、破断可能部分17の一部が除去されて、包装用箱100の開口部となっている状態を示している。
破断可能部分17をさらに(矢印C方向へ:隣接する側壁12側へ)引っ張ると、破断可能部分17の破断が進行する。そして、隣接する側壁12との境界の切断端部17Bにおいて、破断可能部分17は側壁11から切り離された状態になる。図7は、破断可能部分17が側壁11から完全に切り離された状態を示しており、図7には破断可能部分17は示されていない。ただし、図7の状態では、開放片16は破断せず、側壁11と接続されている。
次に、図8で示す様に、開放片16を把持して(開放片16の下端をめくり上げる様に)上方(矢印D方向:図8では上方向)に引っ張る。開放片16を引っ張ると、左右の破断可能な線分16A(図7参照)が破断し(引き千切られ)、開放片16は側壁11から切り離される。そして、開放片16を図8における上方へ、さらに引き上げることが出来る。
ここで、開放片16を把持する際に、スリット15(図1参照)に挿入された蓋片23の頭部23A(開放片16の内方に位置している)も開放片16と共に把持される。そのため、頭部23Aも開放片16と共に、上方に引き上げられる。その結果、図8の手順を終了した段階では、既に除去された破断可能部分17に加えて開放片16が除去されるので、包装用箱100の開口部であるハッチング箇所R3が拡大している。
開放片16を側壁11から切り離し、蓋片23の頭部23Aをさらに上方に引き上げて、包装用箱100を開封(開放)した状態が、図9で示されている。図9において、蓋片23のみならず、蓋片21、蓋片22、蓋片24が開放され、包装用箱100が開封(開放)されている。なお、図9ではスリット15の図示は省略している。
図示の第1実施形態によれば、一度組み立てた包装用箱100は、蓋片23の頭部23Aが、スリット15において、蓋片21の内壁側と干渉する(引っ掛かる)ため、蓋片23を図5の矢印B側に引っ張るのみでは、開封する(蓋を開く)ことが出来ない。
蓋23を開き、包装用箱100を開封するためには、破断可能部分17を破断して(図7)、開放片16を上方に折り曲げて(図8)引き千切り(図9)、蓋片23の頭部23Aがスリット15に引っ掛かっている状態を解除する必要がある。そのため、包装用箱100を開封する(蓋23を開く)と、図9で示す様に、包装用箱100の開口部であるハッチング箇所R3が形成されて、包装用箱100が開封された(蓋23が開かれた)ことが明確になる。
一方、破断可能部分17が破断されておらず、ハッチング箇所R3(図9)が形成されていなければ、包装用箱100が開封されていない(蓋23が開かれていない)ことが分かり、流通過程や販売時において製品に対する不正な行為(いわゆる「いたずら」)がされていないことが明らかになる。
ここで、破断可能部分17を破断することは何等習熟を必要としないので、第1実施形態によれば、包装用箱100を開封する(蓋23を開く)ことを、極めて容易に行うことが出来る。そして、破断可能部分17を破断した後に破断前の状態に修復すること(ハッチング箇所R3(図9)を元通りに復旧すること)は不可能であるため、包装用箱100を開封して(蓋23を開いて)破断可能部分17を破断してしまうと、開封前の状態に戻すことが不可能である。
そのため、流通過程や販売時において製品に対する不正な行為(いわゆる「いたずら」)を防止することが出来る。
また、第1実施形態において、段差部15BAを有するスリット15Bを形成すれば、厚さ寸法が大きい蓋片23の頭部23A(頭部23Aを簡単に折り曲げることが出来ない程度に厚い)を挿入する場合であっても、頭部23Aを挿入するための隙間を確保することが出来る。
次に、図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態と第1実施形態とは、破断可能部分の側壁12側端部における接続箇所の構成が異なる。
図10において、破断可能部分18は側壁11の左右方向全域に亘って延在している。破断可能部分18において、左右方向の一端(図10で左側端部)には側壁11から切断可能な開け口18A(切断線)が形成されており、開け口18Aと反対側の端部(側壁12側端部:図10で右側端部)には接続端部18Bが形成されている。そして、破断可能部分18の接続端部18B(接続線:つなぎ)(図10では太い破線で示す)は側壁12と側壁11との境界部に接続されている。開け口18Aとは異なり、接続端部18Bは切断線として構成されてはいない。そのため、破断可能部分18が破断線18Cにより側壁11から剥がされても、接続端部18Bは側壁12と接続されており、破断可能部分18は側壁12から分離しない。
第2実施形態の破断可能部分18には接続端部18Bが形成されており、包装用箱101を開封しても、破断可能部分18は側壁12から(包装用箱101から)分離せず、破断可能部分18が単片として落下してしまうことはない。そのため、包装用箱101を開封する際に、破断可能部分18単片が排出物(ゴミ)となることが防止できる。
図10の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図9の第1実施形態と同様である。
次に、図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態、第2実施形態の破断可能部分の開け口と反対側の端部の構成が異なっている。
図11において、破断可能部分19は、側壁11の左右方向全域に亘って延在してはおらず、側壁11における側壁12側(図11で右側)端部近傍の領域には破断可能部分19が形成されていない。すなわち、破断可能部分19の開け口19Aの反対側の端部19Bは側壁11における側壁12側端部から離隔した箇所に位置している。
開け口19Aの反対側の端部19B(破断可能部分19と破断可能部分19ではない領域との境界)は、単なる折線(接続線)で構成されており、側壁11に接続されている。そのため、破断可能部分19が破断線19Cにより側壁11から剥がされても、接続端部19Bは側壁11と接続されており、破断可能部分19は側壁11から分離しない。図11において、端部19Bの折れ線は、太い破線で示されている。ただし、端部19Bを破断線で構成して、破断可能部分19が側壁11から(包装用箱102から)分離可能に構成することも可能である。
図11において、破断可能部分19は、開放片16を上方に折り曲げることが容易にできる程度まで、開け口19Aから反対側(側壁12側)に延在すれば足りる。そして、側壁11における側壁12との境界近傍の領域には破断可能部分19は形成されておらず、その分だけ、第1実施形態及び第2実施形態における破断可能部分17、18と比較して、第3実施形態における破断可能部分19は小さく形成されている。
そのため、包装用箱102を開封する際に破断される部分が小さく、破断に伴い形成される開口部も小さくなり、異物が侵入する危険性を減少させることが出来る。
図11における第3実施形態のその他の構成及び作用効果は、図1〜図10の実施形態と同様である。
ここで、図示の実施形態(第1〜第3実施形態)の包装用箱100、101、102を構成するのに好適な素材について説明する。
包装用箱100、101、102を構成する素材としては、不織布1(例えば、100%パルプ)、原紙2、板紙3(枚葉)の順に積層された素材であって、3層の紙により構成された第1の積層紙材40が好適である。第1の積層紙材40で包装用箱100、101、102を構成する際は、不織布1を包装用箱の最内方に位置させ、板紙3を最外方に位置させる。
また、包装用箱100、101、102を構成する素材として、不織布1、原紙2、波状の中しん4、板紙3(枚葉)の順に積層された素材であって、4層の紙による第2の積層紙材60も好適である。第2の積層紙材60で包装用箱100、101、102を構成する際も、不織布1を最内方に位置させ、板紙3を最外方に位置させる。
ここで「不織布1」は、セルロースを主成分としており、板紙3(枚葉、型紙)と同一素材であり、リサイクル時には「紙」に分類される素材を意味している。
包装用箱100、101、102を構成するのに好適な第1及び第2の積層紙材40、60について、その製造過程(第1及び第2の積層紙材40、60を使用した包装用箱の製造も含む)も含めて説明する。最初に図12、図13を参照して第1の積層紙材40について説明する。
図12において、不織布用ロール5から引き出された状態の不織布1(例えば、100%パルプ)と、原紙用ロール6から引き出された状態の原紙2とを貼着し、積層して、不織布・原紙の積層紙材30を製造する。
不織布1と原紙2をそれぞれロールから引き出された状態にして貼り合わせることにより、不織布1と他の紙材(すなわち、原紙2)を貼り合わせることが出来る。そのため、原紙2はロールによる処理が可能な程度に薄く構成されている。ここで明確には図示されていないが、不織布1と原紙2を貼着し、積層する際に、貼り合わせ用ロール7の近傍において、不織布1と原紙2の間に接着剤を付加して不織布1と原紙2を接着する機構(図示せず)が設けられている。
そして図13で示す様に、図12の工程で製造した不織布・原紙の積層紙材30と板紙3とを貼り合わせて積層して、第1の積層紙材40を製造する。
図13(A)では、図12の工程で製造した積層紙材30を、裁断装置8によって規格寸法に裁断する。この規格寸法は、板紙3(枚葉)の規格寸法と同一であり、最終製品である包装用箱100、101、102に対応している。そして、板紙3(枚葉)を予め前記規格寸法に裁断し、さらに、板紙3(枚葉)の必要な面に製品名、マーク等の印刷を行っている。
そして図13(B)で示す様に、予め規格寸法に裁断され且つ(製品マークP等が)印刷された板紙3と、図13(A)で板紙3と同一の規格寸法に裁断された積層紙材30とを貼着して、第1の積層紙材40を製造する。その際、不織布・原紙の積層紙材30における原紙2側を板紙3側に対向させて、両者を貼着させる。そして、図13(C)で示す第1の積層紙材40を製造する。
図13で積層紙材30(不織布1と原紙2を貼着して積層した紙材)と板紙3とを積層して第1の積層紙材40を製造した後、第1の積層紙材40を、包装用箱100、101、102の展開図に対応した形状に切断する。ここで、包装用箱100、101、102の展開図については、例えば、図1、図10、図11で示されている。図1、図10、図11の展開図においては、折り曲げるべき部分が点線で表示され、接着剤を添加して貼り合わせる部分がハッチングで示されている。
第1の積層紙材40を包装用箱100、101、102の展開図に対応した形状に切断したならば、第1の積層紙材40を所定箇所(図1、図10、図11の点線箇所)で折り曲げ、所定箇所(図1、図10、図11のハッチング箇所)に接着剤を添加して貼り合わせて、包装用箱100、101、102を組み立てる(製造する)。
ここで、包装用箱100、101、102を製造する際は、第1の積層紙材40を構成する不織布1が包装用箱100、101、102の内周面に位置し、板紙3(枚葉)が包装用箱100、101、102の最外方に位置する様に行う。
組み立てられた包装用箱100、101、102を構成する第1の積層紙材40は、包装用箱の内方から不織布1(100%パルプ)、原紙2、板紙3(枚葉)の順に積層されている。
第1の積層紙材40には、収容される商品の表面が傷つくことを防止する緩衝材として、(例えば100%パルプの)不織布1が配置されている。
そして第1の積層紙材40は全て紙で構成されているため、リサイクルの際に、相互に引き剥がす必要はなく、不織布1を貼着した状態で板紙3(枚葉、型紙)を処理することが出来る。換言すれば、不織布1は板紙3(枚葉、型紙)と同一素材であるため、リサイクルの際に、板紙3(枚葉、型紙)から不織布1を剥がす必要が無く、リサイクルの労力が大幅に低減される。
不織布と原紙は、ロールで巻かれたもの同士で貼着しなければ、積層することは出来ない。板紙は枚葉(規格寸法で切り揃えられた用紙:ロールの状態になっていない)なので、不織布と積層することは出来ない。そのため従来技術において、板紙で収容容器である箱体を作り、その内側に薄紙である不織布を積層することは困難であった。
第1の積層紙40で用いられる不織布1は100%パルプであるが、図12の工程においてロール状の原紙2と貼り合わせているため、不織布1と原紙2を積層することが出来る。その結果、緩衝材である不織布1を箱100、101、102の内側に貼着して、内容物である製品の表面の損傷を防止することが出来る。
次に、(包装用箱100、101、102を構成するのに好適な)第2の積層紙材60について、第1の積層紙材40とは異なる点を中心に、図14、図15を参照して説明する。
第2の積層紙材60の製造に際しては、先ず、図12で示すのと同じ要領で、原紙2を片段ボールの内紙(ライナ)として波状の中しん4に貼り合わせて第1の積層紙材31を製造する。そして図14に示す様に、図12に示す工程と同様の工程で不織布と積層紙材31を貼り合わせて、片面段ボール50(不織布1、原紙2、波状の中しん4の積層紙材、図15参照)を製造する。
その際に、積層紙材31における原紙2側を不織布1側に対向させて、貼着させる。図14における貼着に際しては、接着剤を使用した従来公知の方法を採用することが出来る。
図15(A)の工程では、図14の工程で製造した片面段ボール50(不織布1、原紙2、波状の中しん4の積層紙材)を、裁断装置8を使用して、板紙3に対応した規格寸法に裁断する。
図15(B)の工程では、規格寸法に裁断され且つ(製品マーク等が)印刷された板紙3(枚葉)と、図15(A)の工程で規格寸法に裁断された片面段ボール50とを貼着して、第2の積層紙材60を製造する。図15(B)の貼着に際しては、片面段ボール50における波状の中しん4側を板紙3(枚葉、型紙)側に対向させて、貼着する。
そして図15(C)で示す様に、不織布1(100%パルプ)、原紙2、波状の中しん4、板紙3(枚葉)の順に積層されて、4層の紙材が積層した材料である第2の積層紙材60を製造する。
そして、第1の積層紙材40の場合と同様に、第2の積層紙材60を包装用箱100、101、102の展開図に対応した形状に切断し、所定箇所(図1、図10、図11の点線箇所)を折り曲げ、所定箇所(図1、図10、図11でハッチングを付して示す箇所)に接着剤を添加して貼り合わせて、包装用箱100、101、102を組み立てる。
第2の積層紙材60を折り曲げ、貼り合わせて包装用箱100、101、102を製造する際においても、第2の積層紙材60を構成する不織布1が包装用箱100、101、102の内周面に位置し、板紙3(枚葉)が包装用箱100、101、102の最外方に位置する様に行う。
包装用箱100、101、102を構成する第2の積層紙材60(不織布1、原紙2、波状の中しん4、板紙3を積層した紙材)を用いて包装用箱100、101、102を製造すれば、第1の積層紙材40を用いて製造した場合と同様に、材料同士を剥離する必要が無く、一括して廃棄処分することが出来る。そして、リサイクルのための労力(特に「ゴミ出し」の際の労力)が大幅に低減する。
それに加えて、第2の積層紙材60は片面段ボール50を包含しているため、図示の実施形態に係る包装用箱をリサイクルする際には、通常の紙のリサイクルシステムに比較して遥かに整備されている段ボールのリサイクルシステムに組み込むことが出来る。
また、包装用箱100、101、102を構成する第2の積層紙材60は、原紙2と板紙3の間に波状の中しん4が介在するので、第1の積層紙材40に比較し強度及び耐衝撃性が向上する。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
11、12、13、14・・・側壁
15・・・スリット
16・・・開放片
16A・・・破断可能な線分
17、18、19・・・破断可能部分
17A、17B、18A、18B、19A、19B・・・破断可能部分の両端部
21、22、23、24・・・蓋片
23A・・・蓋片の頭部
100、101、102・・・包装用箱

Claims (5)

  1. 4つの側壁と、各側壁の一端に設けられて蓋を構成する蓋片を備え、
    1つの蓋片の側壁とは反対側の端部に頭部が設けられ、当該頭部は、前記蓋片とは連続していない側壁とその側壁の蓋片との境界部に形成されたスリットに進入可能に形成され、
    前記スリットの下方に側壁の長手方向に延在する破断可能な線分と、当該破断可能な線分に連続して、当該線分が形成されている側壁の長手方向に直交する方向に延在している破断可能部分が設けられていることを特徴とする包装用箱。
  2. 前記破断可能部分は、破断可能部分が形成されている側壁の長手方向に直交する方向の全域に形成されている請求項1の包装用箱。
  3. 前記破断可能部分の前記直交する方向の両端部は、切断可能に構成されている請求項2の包装用箱。
  4. 前記破断可能部分の前記直交する方向の両端部の一端は切断可能に構成されているが、他端は隣接する側壁に接続されている請求項2の包装用箱。
  5. 前記破断可能部分は、破断可能部分が形成されている側壁の長手方向に直交する方向の全域には形成されておらず、両端部の一端から他端に向かう一部のみが切断可能である請求項1の包装用箱。
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