上記自転車用制御装置では、変速比を変更する変速要求の内容に関わらず所定の制御を実行している。このため、変速比の変更内容に応じて変速機を制御することができる自転車用制御装置が望まれている。
本発明の目的は、変速比を変更する変速要求の内容に応じて変速機を制御できる自転車用制御装置および自転車用制御システムを提供することである。
本開示に従う自転車用制御装置は、自転車の変速比を段階的に変更可能な変速機と、前記自転車の推進をアシストするモータとを、前記変速比を変更する変速要求に応じて制御する制御部を含み、前記制御部は、前記変速要求を受けて、前記自転車のクランクが、上死点または下死点と対応する回転角度よりも前記自転車を推進するために前記クランクを回転させる第1の方向における上流側の第1の角度になると、前記モータの出力を制限するとともに前記変速機に動作を開始させ、前記変速要求に応じて複数の段階にわたって前記変速比を前記変速機に変更させる場合は、前記変速要求に応じて1段階のみ前記変速比を前記変速機に変更させる場合よりも、前記第1の角度を前記第1の方向の上流側に変更する。
上記自転車用制御装置に従えば、変速比を変更する変速要求の内容に応じて変速機を制御することができる。複数の段階にわたって変速比を変更する場合でも、クランクに入力されるトルクができるだけ小さくなる領域で変速を行うことができる。
前記第1側面に従う第2側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速要求に応じて複数の段階にわたって前記変速比を前記変速機に変更させる場合、前記変速比の変更に関する情報に応じて前記第1の角度を設定する。
前記第2側面に従う第3側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記自転車の変速比が前記変速要求に対応する要求変速比になるまでに必要な第2の時間に応じて、前記第1の角度を設定する。
前記第3側面に従う第4側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記第2の時間が長くなるほど前記第1の角度を前記第1の方向の上流側に設定する。
前記第3または第4側面に従う第5側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記クランクの回転角度が前記第1の角度に達してから、または、前記モータの出力の制限を開始してから、前記第2の時間が経過すると、前記モータの出力の制限を終了する。
前記第1から第4側面のいずれか1つに従う第6側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記モータの出力の制限を終了する前記クランクの回転角度の範囲を設定し、前記クランクの回転角度が前記範囲に達すると、前記モータの出力の制限を終了する。
前記第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速要求に応じて1段階のみ前記変速比を前記変速機に変更させる場合、予め記憶される第1の角度の初期値を前記第1の角度として設定する。
前記第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面の自転車用制御装置において、前記制御部はライダーが操作可能な操作部からの出力信号を前記変速要求として受け取る。
本開示に従う自転車用制御システムは、前記第1から第8側面のいずれか1つに従う自転車用制御装置と、前記変速機と、前記モータとを含む。
(自転車用制御装置等の例)
第A1側面に従う自転車用制御装置は、自転車の変速比を段階的に変更可能な変速機と、前記自転車の推進をアシストするモータとを、前記変速比を変更する変速要求に応じて制御する制御部を含み、前記制御部は、前記変速要求に応じて複数の段階にわたって前記変速比を変更する場合、第1の変速および第2の変速の一方を選択的に実行し、前記第1の変速では、前記モータの出力を制限し、前記変速要求に対応する変速比になるまで前記変速機を動作させ、前記第2の変速では、前記モータの出力を制限し、前記変速要求に対応する変速比までの中間の変速比になるまで前記変速機を動作させ、前記モータの出力の制限を一旦緩和した後、再び前記モータの出力を制限して前記変速機を動作させる。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、変速比を変更する変速要求の内容に応じて変速機を制御することができる。第1の変速を実行する場合、および、第2の変速を実行する場合のいずれにおいても制御部がモータの出力を制限するので、変速性能を向上させることができる。
第A1側面に従う第A2側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速要求を受けて、前記自転車のクランクの回転角度が第1の角度になると、前記モータの出力を制限するとともに前記変速機の動作を開始させる。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、変速機の動作を開始するのに適したクランクの回転角度で変速機の動作を開始することができる。
第A2側面に従う第A3側面の自転車用制御装置において、前記第1の角度は、前記クランクの一方のクランクアームが上死点および下死点のうちの一方と対応する第1の回転角度から、前記第1の回転角度よりも前記自転車を推進するために前記クランクを回転させる第1の方向における上流側に45度までの範囲に含まれる。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、変速機の動作を開始するのに最も適した回転角度の範囲において変速機の動作を開始することができる。
第A1から第A3側面のいずれか1つに従う第4側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記第2の変速では、前記モータの出力の制限を一旦緩和した後、前記自転車のクランクの回転角度が第2の角度になると、前記モータの出力を制限するとともに前記変速機の動作を開始させる。
上記自転車用制御装置に従えば、第2の変速では、モータの出力の制限を緩和してから第2の角度になるまでの変速機の動作に適しない期間は、モータの出力の低下を抑制でき、変速機の動作を開始するのに適したクランクの回転角度で変速機の動作を再開することができる。
第A3側面に従う第A5側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記第2の変速では、前記モータの出力の制限を一旦緩和した後、前記自転車のクランクの回転角度が第2の角度になると、前記モータの出力を制限するとともに前記変速機の動作を開始させる、前記第2の角度は、前記クランクの一方のクランクアームが、上死点および下死点のうちの他方と対応する第2の回転角度から、前記第2の回転角度よりも第1の方向における上流側に45度までの範囲に含まれる。
上記自転車用制御装置に従えば、第2の変速では、モータの出力の制限を緩和してから第2の角度になるまでの変速機の動作に適しない期間は、モータの出力の低下を抑制でき、変速機の動作を開始するのに最も適したクランクの回転角度で変速機の動作を開始することができる。
第A2または第A3側面に従う第A6側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記第2の変速では、前記モータの出力の制限を一旦緩和した後、前記自転車のクランクの回転角度が第2の角度になると、前記モータの出力を制限するとともに前記変速機の動作を開始させ、前記第2の角度は、前記第1の角度に等しい。
上記自転車用制御装置に従えば、第1の角度と第2の角度を等しくすることによって、最初にモータの出力を制限して、変速機の動作を開始させたときのクランクの位置から、クランクが180°および/または360°回転すると、再びモータの出力が制限されて、変速機の動作を再開させることができる。
第A2、第A3、または、第A6側面に従う第A7側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記クランクの回転角度が前記第1の角度になるまでに受け取った前記変速要求に応じて、前記第1の変速および前記第2の変速の一方を選択的に実行する。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、第1の変速および第2の変速のうち、適切な一方を実行することができる。
第A2、第A3、第A6、または、第A7側面に従う第A8側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記クランクの回転角度が前記第1の角度になったときから第1の時間が経過するまで、前記モータの出力を制限する。
上記自転車用制御装置に従えば、モータの出力の制限を時間で管理することによって、制御部の制御が複雑化することを抑制することができ、変速時に長期間にわたってアシスト力が低くなってしまうことを抑制することができる。
第A2、第A3、第A6、または、第A7側面に従う第A9側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記クランクの回転角度が前記第1の角度になったときから前記クランクの回転角度が第3の角度になるまで、前記モータの出力を制限する。
上記自転車用制御装置に従えば、モータの出力の制限をクランクの回転角度で管理することによって、クランクの回転角度に応じて正確にモータの出力を制限することができ、変速時に長期間にわたってアシスト力が低くなってしまうことを抑制することができる。
第A1から第A9側面のいずれか1つに従う第A10側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速要求に対応する変速比までの変速比の段階の数と、前記変速要求に対応する変速比まで前記変速機を動かすために必要な第2の時間との少なくとも一方に応じて、前記第1の変速および前記第2の変速の一方を実行する。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、第1の変速または第2の変速のいずれを実行するかを適切に選択することができる。
第A8側面に従う第A11側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速要求に対応する変速比まで前記変速機を動かすために必要な第2の時間に応じて、前記第1の変速および前記第2の変速の一方を実行し、前記第1の時間が前記第2の時間以上の場合、前記第1の変速を実行し、前記第1の時間が前記第2の時間未満の場合、前記第2の変速を実行する。
上記自転車用制御装置に従えば、第1の時間内に変速要求に対応する変速比まで変速機を動かすことができる場合は第1の変速が実行され、第1の時間内に変速要求に対応する変速比まで変速機を動かすことができない場合は第2の変速が実行される。
第A9側面に従う第A12側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速要求に対応する変速比まで変速機を動かすために必要な第2の時間に応じて、前記第1の変速および前記第2の変速の一方を実行し、前記クランクの回転角度が前記第1の角度になったときから前記第3の角度になるまでの予測時間が、前記第2の時間以上の場合、前記第2の変速を実行し、前記予測時間が前記第2の時間未満の場合、前記第1の変速を実行する。
上記自転車用制御装置に従えば、クランクの回転角度が第1の角度から第3の角度になるまでに変速要求に対応する変速比まで変速機を動かすことができる場合は第1の変速が実行され、クランクの回転角度が第1の角度から第3の角度になるまでに変速要求に対応する変速比まで変速機を動かすことができない場合は第2の変速が実行される。
第A13側面に従う自転車用制御装置は、自転車の変速比を段階的に変更可能な変速機を、前記変速比を変更する変速要求に応じて動作させる制御部を含み、前記制御部は、前記変速要求に応じて複数の段階にわたって前記変速比を変更する場合、第1の変速および第2の変速の一方を選択的に実行し、前記第1の変速では、前記自転車のクランクの回転角度が第1の角度になると前記変速機の動作を開始させ、前記変速要求に対応する変速比になるまで前記変速機を動作させ、前記第2の変速では、前記自転車のクランクの回転角度が前記第1の角度になると前記変速機の動作を開始させ、前記変速要求に対応する変速比までの中間の変速比になるまで前記変速機を動作させ、前記クランクの回転角度が第2の角度になると前記中間の変速比から前記変速要求に対応する変速比に変更するように前記変速機の動作を再開させる。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、変速比を変更する変速要求の内容に応じて変速機を制御することができる。第1の変速を実行する場合、および第2の変速を実行する場合のいずれにおいても制御部がモータの出力を制限するので、変速性能を向上させることができる。また制御部は、変速機の動作を開始するのに適したクランクの回転角度で変速機の動作を開始することができる。
第A13側面に従う第A14側面の自転車用制御装置において、前記第1の角度は、前記クランクの一方のクランクアームが上死点および下死点のうちの一方と対応する第1の回転角度から、前記第1の回転角度よりも前記自転車を推進するために前記クランクを回転させる第1の方向における上流側に45度までの範囲に含まれる。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、変速機の動作を開始するのに最も適した回転角度の範囲において変速機の動作を開始することができる。
第A14側面に従う第A15側面の自転車用制御装置において、前記第2の角度は、前記クランクアームが、前記上死点および前記下死点のうちの他方と対応する第2の回転角度から、前記第2の回転角度よりも第1の方向における上流側に45度までの範囲に含まれる、または、前記第1の角度に等しい。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、変速機の動作を開始するのに最も適した回転角度の範囲において変速機の動作を再開することができる。
第A14または第A15側面に従う第A16側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速要求に対応する変速比までの変速比の段階の数と、前記変速要求に対応する変速比まで前記変速機を動かすために必要な第2の時間の少なくとも一方とに応じて、前記第1の変速および前記第2の変速の一方を実行する。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、第1の変速または第2の変速のいずれを実行するかを適切に選択することができる。
第A16側面に従う第A17側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、予め定める第1の時間が前記第2の時間以上の場合、前記第1の変速を実行し、前記第1の時間が前記第2の時間未満の場合、前記第2の変速を実行する。
上記自転車用制御装置に従えば、第1の時間内に変速要求に対応する変速比まで変速機を動かすことができる場合は第1の変速が実行され、第1の時間内に変速要求に対応する変速比まで変速機を動かすことができない場合は第2の変速が実行される。
第A1から第A17側面のいずれか1つに従う第A18側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、ライダーが操作可能な操作部からの出力信号を前記変速要求として受け取る。
上記自転車用制御装置に従えば、制御部は、マニュアル変速の要求に応じて変速機を制御することができる。
第A18側面に従う第A19側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記操作部が第1の所定時間以上連続して操作されるか、または、前記操作部が第2の所定時間内に複数回操作されると、前記第1の変速および前記第2の変速の一方を選択的に実行する。
上記自転車用制御装置に従えば、ライダーは、操作部を第1の所定時間以上連続して操作するか、または、操作部を第2の所定時間内に複数回操作することによって複数の段階にわたる変速比の変更を要求することができる。
第A20側面に従う自転車用制御システムは、第A18または第A19側面に記載の自転車用制御装置と、前記変速機と、前記モータと、前記操作部とを含む。
上記自転車用制御システムに従えば、自転車用制御システムは、変速比を変更する変速要求の内容に応じて変速機を制御することができる。
本開示の自転車用制御装置およびこれを含む自転車用制御システムは、変速比を変更する変速要求の内容に応じて変速機を制御することができる。
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態の自転車用制御装置および自転車用制御システムを搭載する自転車について説明する。
自転車10は、駆動機構12および自転車用制御システム20を備える。
駆動機構12は、クランク12Aおよびペダル12Dを含む。クランク12Aは、クランク軸12Bおよびクランクアーム12Cを含む。駆動機構12は、ペダル12Dに加えられた人力駆動力を後輪(図示略)に伝達する。駆動機構12は、例えば、チェーン、ベルト、またはシャフト(いずれも図示略)を介して、クランク12Aの回転を後輪に伝達するように構成される。駆動機構12は、クランク軸12Bにワンウェイクラッチ(図示略)を介して結合されるフロント回転体12Eを含む。ワンウェイクラッチは、クランク12Aが前転した場合に、フロント回転体12Eを前転させ、クランク12Aが後転した場合に、フロント回転体12Eを後転させないように構成される。フロント回転体12Eは、スプロケット、プーリーまたはベベルギア(いずれも図示略)を含む。フロント回転体12Eは、クランク軸12Bにワンウェイクラッチを介さずに結合してもよい。
自転車用制御システム20は、自転車用制御装置40と、変速機22と、モータ24と、操作部26とを含む。一例では、自転車用制御システム20は、変速機22のアクチュエータ28、モータ24の駆動回路30、バッテリ32、トルクセンサ34、および、回転角度センサ36、および、変速状態検出装置38をさらに含む。
変速機22およびアクチュエータ28は、変速装置Sを構成する。変速機22は、自転車10の変速比rを段階的に変更可能である。一例では、変速機22は、クランク軸12Bに入力された回転を変速して後輪に伝達する。この場合、変速機22は、内装変速機を含む。内装変速機は、クランク軸12Bまわり、または、後輪の車軸のハブに設けられる。内装変速機は、クランク12Aとフロント回転体12Eとの間の動力伝達経路に設けられてもよい。別の例では、変速機22は、複数のフロントスプロケットまたは複数のリアスプロケットの間でチェーンを掛け替えることによって、クランク軸12Bに入力された回転を変速させて後輪に伝達させる。この場合、変速機22は、外装変速機(ディレイラ)を含む。外装変速機は、複数のフロントスプロケット(図示略)間でチェーンを掛け替えるフロント外装変速機、および、複数のリアスプロケット(図示略)間でチェーンを掛け替えるリア外装変速機の少なくとも一方を含む。アクチュエータ28は、電動モータを含む。変速機22は、アクチュエータ28が駆動されることにより、変速動作を行って自転車10の変速比rを段階的に変更する。変速機22が内装変速機である場合、変速動作は変速機22の内部の遊星歯車機構を構成する歯車の連結状態を変更する動作を含む。変速機22が外装変速機である場合、変速動作はスプロケット間におけるチェーンの掛け替えの動作を含む。内装変速機は、CVT(Continuously Variable Transmission)機構を含んでいてもよい。一例では、CVT機構は、入力体、出力体、および、伝達体を含む遊星機構によって構成され、伝達体が回転させられることによって変速比rが連続的に変更される。変速装置Sは、変速機22およびアクチュエータ28以外の構成を含んでいてもよい。
モータ24および駆動回路30は、アシスト装置Aを構成する。駆動回路30は、バッテリ32からモータ24に供給される電力を制御する。モータ24は、自転車10の推進をアシストする。モータ24は、電気モータを含む。モータ24は、ペダル12Dから後輪までの人力駆動力の伝達経路、または、前輪(図示略)に回転を伝達するように設けられる。モータ24は、自転車10のフレーム(図示略)、後輪、または前輪に設けられる。一例では、モータ24は、クランク軸12Bからフロント回転体12Eまでの動力伝達経路に結合される。モータ24とクランク軸12Bとの間の動力伝達経路には、クランク軸12Bを自転車10が前進する方向に回転させた場合にクランクの回転力によってモータ24が回転しないようにワンウェイクラッチ(図示略)が設けられるのが好ましい。アシスト装置Aは、モータ24および駆動回路30以外の構成を含んでいてもよく、例えばモータ24の回転を減速して出力する減速機を含んでいてもよい。
操作部26は、ライダーが操作可能である。操作部26は、自転車10のハンドルバー(図示略)に取り付けられる。操作部26は、自転車用制御装置40の制御部42と通信可能である。操作部26は、制御部42と有線または無線によって通信可能に接続されている。操作部26は、例えばPCL(Power Line Communication)によって制御部42と通信可能である。ライダーによって操作部26が操作されることによって、操作部26は、制御部42に出力信号を送信する。出力信号は、自転車10の変速比rを大きくするシフトアップ信号、または、自転車10の変速比rを小さくするシフトダウン信号を含む。操作部26は、たとえば操作部材と、操作部材の動きを検出するセンサと、センサの出力信号に応じて、制御部42と通信を行う電気回路とを含む。
操作部26は、複数の段階にわたる変速と対応する出力信号を出力するように構成されてもよい。一例では、操作部26に変速比rを大きくするための操作が第1の所定時間TX1以上連続して行われた場合、操作部26は、シフトアップ信号を含む出力信号を複数回にわたり制御部42に送信する。出力信号の送信回数は、操作部26に入力される変速比rを大きくするための操作時間が長くなるにつれて多くしてもよい。また、操作部26に変速比rを小さくするための操作が第1の所定時間TX1以上連続して行われた場合、操作部26は、シフトダウン信号を含む出力信号を複数回にわたり制御部42に送信する。出力信号の送信回数は、操作部26に入力される変速比rを小さくするための操作時間が長くなるにつれて多くしてもよい。操作部26は、第1の所定時間TX1内において操作部26が操作された時間に応じた出力信号を制御部42に送信することもできる。この場合、制御部42は、操作部26が操作された時間に応じた出力信号に対応する変更すべき変速比rの段階の数に応じて要求変速を更新する。
別の例では、操作部26に変速比rを大きくするための操作が第2の所定時間TX2内に複数回にわたって行われた場合、操作部26は、シフトアップ信号を含む出力信号を操作が行われるごとに制御部42に送信する。また、操作部26に変速比rを小さくするための操作が第2の所定時間TX2内に複数回にわたって行われた場合、操作部26は、シフトダウン信号を含む出力信号を操作が行われるごとに制御部42に送信する。制御部42は、出力信号を受信するごとに要求変速比rAを変更する第1の制御を実行する。操作部26は、第2の所定時間TX2内において操作部26が操作された回数に応じた出力信号を制御部42に送信することもできる。この場合、制御部42は、操作部26が操作された回数に応じた出力信号に対応する変更すべき変速比rの段階の数に応じて要求変速比rAを更新する。
操作部26の出力信号に複数の段階にわたって変速比rを変更する要求が含まれていてもよい。例えば、操作部26に複数の段階にわたって変速比rを変更するためのスイッチが設けられる。制御部42は、操作部26の出力信号を受信した場合に、その信号の内容または自転車10の制御状態等に応じて複数の段階にわたって変速比rを変更する変速要求を設定してもよい。
バッテリ32は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ32は、自転車10に搭載され、バッテリ32と有線で電気的に接続されている他の電気部品(例えば、モータ24、アクチュエータ28、および、自転車用制御装置40)に電力を供給する。
トルクセンサ34は、人力駆動力Tに応じた信号を出力する。トルクセンサ34は、クランク軸12Bに与えられる人力駆動力Tを検出する。トルクセンサ34は、クランク軸12Bからフロント回転体12Eまでの間に設けられてもよく、クランク軸12Bまたはフロント回転体12Eに設けられてもよく、クランクアーム12Cまたはペダル12Dに設けられてもよい。トルクセンサ34は、例えば、歪センサ、磁歪センサ、光学センサ、および、圧力センサなどを用いて実現することができ、クランクアーム12Cまたはペダル12Dに加えられる人力駆動力Tに応じた信号を出力するセンサであれば、いずれのセンサを採用することもできる。
回転角度センサ36は、クランクの回転角度CAを検出する。回転角度センサ36は、自転車10のフレーム(図示略)またはアシスト装置Aのハウジング(図示略)に取り付けられる。回転角度センサ36は、第1の磁石M1の磁界を検出する第1の素子36Aと、第2の磁石M2との位置関係に応じた信号を出力する第2の素子36Bとを含む。第1の磁石M1は、クランク軸12Bまたはクランクアーム12Cに設けられ、クランク軸12Bに同軸に配置される。第1の磁石M1は、環状の磁石であって、周方向に複数の磁極が交互に並んで配置されている。第1の素子36Aは、フレームに対するクランク12Aの回転角度を検出する。第1の素子36Aは、クランク12Aが1回転するとき、360度を同極の磁極の数で割った角度を1周期とした信号を出力する。回転角度センサ36が検出可能なクランク12Aの回転角度の最小値は、180度以下であり、好ましくは15度であり、さらに好ましくは、6度である。第2の磁石M2は、クランク軸12Bまたはクランクアーム12Cに設けられる。第2の素子36Bは、フレームに対するクランク12Aの基準角度(例えば、クランク12Aの上死点または下死点)を検出する。第2の素子36Bは、クランク軸12Bの1回転を1周期とした信号を出力する。
回転角度センサ36は、第1の素子36Aおよび第2の素子36Bに代えて、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成されてもよい。この場合、第1の磁石M1および第2の磁石M2に代えて、その周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石を、クランク軸12Bと同軸にクランク軸12Bに設ける。磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを用いることによって、1つのセンサで、クランクの回転速度Nおよびクランク12Aの回転角度を検出することができ、構成および組立を簡略化することができる。回転角度センサ36は、クランクの回転角度CAに加えて、クランクの回転速度Nを検出することもできる。クランクの回転速度Nは、第1の素子36Aの出力、第2の素子36Bの出力、および、磁気センサの出力のいずれを用いて検出してもよい。
変速状態検出装置38は、変速機22の動作状態を検出する。一例では、変速状態検出装置38は、変速比rの変更にともなって移動する変速機22の移動部(図示略)の位置を検出する。別の例では、変速状態検出装置38は、クランクの回転速度Nに対する後輪の回転速度に応じて変速比rを検出する。
自転車用制御装置40は、制御部42を含む。一例では、自転車用制御装置40は、記憶部44をさらに含むことが好ましい。
制御部42は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部42は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。記憶部44には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部44は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。制御部42は、さらにタイマを含む。
制御部42は、操作部26からの出力信号を変速要求として受け取る。制御部42は、変速機22とモータ24とを、変速比rを変更する変速要求に応じて制御する。具体的には、制御部42は、シフトアップ信号を含む出力信号を変速要求として受信した場合、記憶部44に記憶される変速要求に対応する変速比r(以下、「要求変速比rA」)を小さくする第1の制御を実行する。制御部42は、シフトダウン信号を含む出力信号を変速要求として受信した場合、記憶部44に記憶される要求変速比rAを大きくする第1の制御を実行する。
図2を参照して、第1の制御について説明する。制御部42は、自転車用制御装置40の電源がオンになっている間、所定周期ごとに第1の制御を実行する。
制御部42は、ステップS11において、変速要求を受け取った否かを判定する。制御部42は、変速要求を受け取った場合、ステップS12において記憶部44に記憶されている要求変速比rAを更新し、所定周期後に再びステップS11の処理を実行する。制御部42は、ステップS11において変速要求を受け取っていない場合、所定周期後に再びステップS11の処理を実行する。
制御部42は、第1の制御によって更新される要求変速比rAに応じて、変速機22およびモータ24を制御する第2の制御を実行する。
制御部42は、変速要求に応じて複数の段階にわたって変速比rを変更する場合、第1の変速および第2の変速の一方を選択的に実行する。制御部42は、操作部26が第1の所定時間TX1以上連続して操作されるか、または、操作部26が第2の所定時間TX2内に複数回操作されると、第1の変速および第2の変速の一方を選択的に実行する。制御部42は、クランクの回転角度CAが第1の角度CA1になるまでに受け取った変速要求に応じて、第1の変速および第2の変速の一方を選択的に実行する。
具体的には、制御部42は、変速要求によって更新された要求変速比rAと変速状態検出装置38によって検出された変速比rとの比較の結果に応じて、第1の変速および第2の変速の一方を実行する、または、いずれも実行しない。制御部42は、変速要求によって更新された要求変速比rAと変速比rとが一致する場合、第1の変速および第2の変速のいずれも実行しない。制御部42は、変速要求によって更新された要求変速比rAと変速比rとが1段階だけ異なる場合、第1の変速を実行する。制御部42は、変速要求によって更新された要求変速比rAと変速比rとが2段階以上異なる場合、要求変速比rA、および、要求変速比rAと変速比rとの差に応じて、第1の変速および第2の変速の少なくとも一方を実行する。また、要求変速比rAが変速機22によって実現可能な変速比rの上限を上回る場合、制御部42は、変速比rの上限を超える変速を行わない。また、要求変速比rAが変速機22によって実現可能な変速比rの下限を下回る場合、制御部42は、変速比rの下限を超える変速を行わない。制御部42が複数の変速機22を制御可能な場合、変速比rの上限および下限は、各変速機22によって実現可能な自転車10の変速比の上限および下限を示す。また、図2に示す第1の制御において、制御部42は、ステップS12において要求変速比rAを上限および下限の変速比rを超えないように設定することもできる。
制御部42は、要求変速比rAまで変速機22を動かすために必要な第2の時間T2に応じて、第1の変速および第2の変速の一方を実行する。制御部42は、第1の時間T1が第2の時間T2以上の場合、第1の変速を実行し、第1の時間T1が第2の時間T2未満の場合、第2の変速を実行する。第2の時間T2は、要求変速比rAと変速比rとの差に応じて異なる。一例では、変速比rごとに1段階大きくするために必要な変速時間、および、変速比rごとに1段階小さくするために必要な変速時間が記憶部44に記憶されている。制御部42は、現在の変速比rと要求変速比rAとに応じて、記憶部44に記憶されている変速時間を加算していくことによって第2の時間T2を演算する。なお、第1の時間T1は、1段階の変速であれば、いずれの変速比rでも変速可能な時間が設定されている。変速時間は、各変速比rにおいて同じ時間であってもよく、異なる時間であってもよい。変速時間は、変速機22の特徴および性能に応じて、制御部42において設定することができるようにしていてもよい。たとえばパーソナルコンピュータなどの外部装置に制御部42を無線または有線によって接続して、変速時間が設定されてもよい。
制御部42は、第1の変速では、モータ24の出力を制限し、要求変速比rAになるまで変速機22を動作させる。
制御部42は、変速要求を受けて、自転車10のクランクの回転角度CAが第1の角度CA1になると、モータ24の出力を制限するとともに変速機22の動作を開始させる。制御部42は、クランクの回転角度CAが第1の角度CA1になったときから第1の時間T1が経過するまで、モータ24の出力を制限する。制御部42は、第1の時間T1が経過すると、モータ24の出力の制限を緩和する。好ましくは、制御部42は、第1の時間T1が経過したとき、モータ24の出力の制限を終了し、モータ24の出力の制限を開始する直前のアシスト比でモータ24を制御する。
第1の角度CA1は、クランク12Aの一方のクランクアーム12Cが上死点および下死点のうちの一方と対応する第1の回転角度CX1から、第1の回転角度CX1よりも自転車10を推進するためにクランク12Aを回転させる第1の方向における上流側に45度までの範囲に含まれる。第1の方向は、自転車10が前進する場合のクランク12Aの回転方向である。クランク12Aの一方のクランクアーム12Cが上死点のときのクランクの回転角度CAを0度とし、クランク12Aの一方のクランクアーム12Cが下死点のクランクの回転角度CAを180度とした場合、第1の回転角度CX1は0度および180度の一方である。この場合、第1の角度CA1は、−45度(215度)から0度までの範囲、および、135度から180度までの範囲の一方に含まれる。第1の回転角度CX1を0度とした場合、第1の角度CA1は、−45度(215度)から0度までの範囲に含まれる。第1の回転角度CX1を180度とした場合、第1の角度CA1は、135度から180度までの範囲に含まれる。制御部42は、第1の回転角度CX1を0度および180度のうちのいずれにするかを選択することもできる。例えば、制御部42は、変速要求を受け取ったときのクランクの回転角度CAが135度から215度までの範囲のとき、第1の回転角度CX1を360(0)度とする。この場合、第1の角度CA1は、次の回転周期の215度から360(0)度までの範囲に含まれる。制御部42は、変速要求を受け取ったときのクランクの回転角度CAが215度から次の回転周期の135度までの範囲のとき、第1の回転角度CX1を180度とする。この場合、第1の角度CA1は、次の回転周期の135度から180度までの範囲に含まれる。
制御部42は、第2の変速では、モータ24の出力を制限し、要求変速比rAまでの中間の変速比rになるまで変速機22を動作させ、モータ24の出力の制限を一旦緩和した後、再びモータ24の出力を制限して変速機22を動作させる。制御部42は、第2の変速では、モータ24の出力の制限を一旦緩和した後、自転車10のクランクの回転角度CAが第2の角度CA2になると、モータ24の出力を制限するとともに変速機22の動作を開始させる。制御部42は、クランクの回転角度CAが第2の角度CA2になったときから第1の時間T1が経過するまで、モータ24の出力を制限する。制御部42は、第1の時間T1が経過すると、モータ24の出力の制限を緩和する。好ましくは、制御部42は、第1の時間T1が経過したとき、モータ24の出力の制限を終了し、モータ24の出力の制限を開始する直前のアシスト比でモータ24を制御する。
一例では、第2の角度CA2は、第1の角度CA1に等しい。第2の角度CA2は、クランク12Aの一方のクランクアーム12Cが、上死点および下死点のうちの一方と対応する第2の回転角度CX2から、第2の回転角度CX2よりも第1の方向における上流側に45度までの範囲に含まれる。この場合、第1の回転角度CX1が0度であれば、第2の回転角度CX2は0度であり、第2の角度CA2は、−45度(215度)から0度までの範囲に含まれる。第1の回転角度CX1が180度である場合、第2の回転角度CX2は、180度であり、第2の角度CA2は、135度から180度までの範囲に含まれる。
別の例では、第2の角度CA2は、第1の角度CA1と異なる。第2の角度CA2は、第1の角度CA1よりも第1の方向において上流側または下流側である。一例では、第2の角度CA2は、第1の角度CA1よりも180度下流側である。第2の角度CA2は、クランク12Aの一方のクランクアーム12Cが、上死点および下死点のうちの他方と対応する第2の回転角度CX2から、第2の回転角度CX2よりも第1の方向における上流側に45度までの範囲に含まれる。この場合、第1の回転角度CX1が0度であれば、第2の回転角度CX2は180度であり、第2の角度CA2は、135度から180度までの範囲に含まれる。第1の回転角度CX1が180度である場合、第2の回転角度CX2は0度であり、第2の角度CA2は、−45度(215度)から0度までの範囲に含まれる。
図3を参照して、第2の制御について説明する。制御部42は、自転車用制御装置40の電源がオンになっている間、所定周期ごとに第2の制御を実行する。ここでは、第1の角度CA1が、第2の角度CA2と等しい場合について説明する。一例では、第1の回転角度CX1は0度および180度の一方と対応し、第2の回転角度CX2は0度および180度の一方と対応する。この場合、クランク12Aが一回転する間において、第2の制御は1度だけ実行される。
制御部42は、ステップS21において変速比rを検出し、ステップS22に移行する。制御部42は、ステップS22において、要求変速比rAと変速比rとが一致しているか否かを判定する。具体的には、制御部42は、図2に示す第1の制御において更新された要求変速比rAと、変速状態検出装置38とによって検出された変速比rとを比較する。制御部42は、要求変速比rAと変速比rとが一致している場合、処理を終了する。制御部42は、要求変速比rAと変速比rとが異なっている場合、ステップS23に移行する。
制御部42は、ステップS23において、第2の時間T2を演算し、第2の時間T2が第1の時間T1未満の場合、要求変速比rAを目標変速比rXとして設定する。制御部42は、第2の時間T2が第1の時間T1以上の場合、第1の時間T1内で変速機22が変速することができる現在の変速比rと要求変速比rAとの間の変速比rを、目標変速比rXとして設定する。第2の時間T2が第1の時間T1以上の場合に設定される目標変速比rXは、中間の変速比rに対応する。
制御部42は、ステップS24において、第1の角度CA1に達したか否かを判定する。制御部42は、第1の角度CA1に達していないと判定した場合、処理を終了し、所定周期後に再びステップS21からの処理を実行する。次の第2の制御の処制御周期のステップS22までに、第1の制御において要求変速比rAが変更された場合、制御部42は、変更された要求変速比rAを用いてステップS22の判定を行う。このため、制御部42は、クランクの回転角度CAが第1の角度CA1になるまでに受け取った変速要求に応じて、ステップS22以降の処理を実行する。制御部42は、ステップS24において第1の角度CA1に達したと判定した場合、ステップS25においてモータ24の出力の制限を開始し、ステップS26に移行する。制御部42は、ステップS26においてステップS23において設定した目標変速比rXまで変速比rが変更されるように変速機22の変速動作を実行する。現在の変速比rと目標変速比rXとに2段階以上の差がある場合、制御部42は、変速機22を連続して動作させる。
次に、制御部42は、ステップS27において第1の時間T1が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部42は、第1の角度CA1に達してからの時間が第1の時間T1以上になったか否かを判定する。別の例では、制御部42は、ステップS27においてモータ24の出力の制限を開始してからの時間が第1の時間T1以上になったか否かを判定する。制御部は、第1の時間T1が経過するまでステップS27の判定を繰り返す。制御部42は、第1の時間T1が経過したと判定した場合、ステップS28においてモータ24の出力の制限を緩和し、処理を終了する。一例では、制御部42は、ステップS25においてモータ24の出力を制限する前と同一の条件を用いてモータ24の出力を制御し、モータ24の出力の制限を終了する。
制御部42は、ステップS23において設定された目標変速比rXが要求変速比rAではない場合、かつ、次の第2の制御の制御周期のステップS22までの期間において要求変速比rAが更新されないか、現在の変速比rと要求変速比rAとの差が大きくなった場合、次の第2の制御の制御周期で、要求変速比rAに近づくように第2の制御が実行される。このため、直前の第2の制御の制御周期のステップS28において緩和されたモータ24の出力の制限が、再び第1の角度CA1になったときに、モータ24の出力の制限が再開される。
図4を参照して、第1の角度CA1と第2の角度CA2とが異なる場合の第2の制御について説明する。制御部42は、図3に示す第1の角度CA1が、第2の角度CA2と等しい場合の第2の制御と同様の手順でステップS21からS28までの処理を実行する。
制御部42は、ステップS28においてモータ24の出力を緩和した後、ステップS62に移行し、ステップS62においてステップS22と同様の処理によって要求変速比rAと変速比rとが一致しているか否かを判定する。制御部42は、要求変速比rAと変速比rとが異なっている場合、ステップS63に移行する。
制御部42は、ステップS63において、要求変速比rAまで変速機22を動かすために必要な第4の時間T4を演算し、第4の時間T4が予め記憶部44に記憶される第3の時間T3未満の場合、要求変速比rAを目標変速比rXとして設定する。一例では、第3の時間T3は、第1の時間T1と等しい。制御部42は、第4の時間T4が第3の時間T3以上の場合、第3の時間T3内で変速機22が変速することができる現在の変速比rと要求変速比rAとの間の変速比rを、目標変速比rXとして設定する。第4の時間T4が第3の時間T3以上の場合に設定される目標変速比rXは、中間の変速比rに対応する。
制御部42は、ステップS64において、第2の角度CA2に達したか否かを判定する。制御部42は、第2の角度CA2に達していないと判定した場合、処理を終了し、所定周期後に再び図3のステップS21からの処理を実行する。制御部42は、ステップS64において第2の角度CA2に達したと判定した場合、ステップS65においてモータ24の出力の制限を開始し、ステップS66に移行する。ステップS28からステップS66までの期間において、モータ24の出力の制限は緩和されているため、ステップS65においてモータ24の出力の制限は再開される。制御部42は、ステップS66においてステップS63において設定した目標変速比rXまで変速比rが変更されるように変速機22の変速動作を実行する。現在の変速比rと目標変速比rXとに2段階以上の差がある場合、制御部42は、変速機22を連続して動作させる。
次に、制御部42は、ステップS67において第3の時間T3が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部42は、第2の角度CA2に達してからの時間が第3の時間T3以上になったか否かを判定する。別の例では、制御部42は、ステップS67においてモータ24の出力の制限を開始してからの時間が第3の時間T3以上になったか否かを判定する。制御部は、第3の時間T3が経過するまでステップS67の判定を繰り返す。制御部42は、第3の時間T3が経過したと判定した場合、ステップS68においてモータ24の出力の制限を緩和し、処理を終了する。一例では、制御部42は、ステップS65においてモータ24の出力を制限する前と同一の条件を用いてモータ24の出力を制御し、モータ24の出力の制限を終了する。
図5を参照して、第1の制御および第2の制御によって第1の変速が実行される場合の実行態様について説明する。図5(b)の二点鎖線は、要求変速比rAを示し、実線は変速比rを示す。
時刻t11は、操作部26が操作されてシフトアップ信号を含む出力信号が制御部42に送信された時刻を示す。制御部42は、第1の制御によって要求変速比rAを1段階大きくする。
時刻t12は、操作部26が操作されてシフトアップ信号を含む出力信号が制御部42に送信された時刻を示す。制御部42は、第1の制御によって時刻t11において変更された要求変速比rAをさらに1段階大きくする。
時刻t13は、クランクの回転角度CAが第1の角度CA1になった時刻を示す。制御部42は、変速比rと要求変速比rAとを比較する。制御部42は、2段階大きい変速比rにするのに必要な第2の時間T2が、第1の時間T1以下であるので、現在よりも2段階大きい変速比rを目標変速比rXとして設定し、時刻t13でモータ24の出力の制限を開始する。制御部42は、モータ24の出力の制限を開始するとともに、変速機22を制御して2段階にわたる変速比rの変更を開始する。モータ24の出力の制限を開始した後に、変速機22を動作させるのが好ましいが、モータ24の出力の制限と変速機22の動作を同時に開始してもよく、モータ24の出力の制限を開始する直前に、変速機22の動作を開始してもよい。
時刻t14は、時刻t13から第1の時間T1が経過した時刻を示す。制御部42は、モータ24の出力の制限を終了する。
図6を参照して、第1の制御および第2の制御によって第2の変速が実行される場合の実行態様について説明する。図6(b)の二点鎖線は、要求変速比rAを示し、実線は変速比rを示す。図6(b)の一点鎖線は、時刻t25において変速機22の動作を中断せずに変速比rが要求変速比rAになるまで変速機22の動作を継続したときの変速比rの変化を示す。
時刻t21は、操作部26が操作されてシフトアップ信号を含む出力信号が制御部42に送信された時刻を示す。制御部42は、第1の制御によって要求変速比rAを1段階大きくする。
時刻t22は、操作部26が操作されてシフトアップ信号を含む出力信号が制御部42に送信された時刻を示す。制御部42は、第1の制御によって時刻t21において変更された要求変速比rAをさらに1段階大きくする。
時刻t23は、操作部26が操作されてシフトアップ信号を含む出力信号が制御部42に送信された時刻を示す。制御部42は、第1の制御によって時刻t22において変更された要求変速比rAをさらに1段階大きくする。
時刻t24は、クランクの回転角度CAが第1の角度CA1になった時刻を示す。制御部42は、変速比rと要求変速比rAとを比較する。制御部42は、現在よりも3段階大きい変速比rにするのに必要な第2の時間T2が第1の時間T1以上であるが、現在よりも2段階大きい変速比rにするのに必要な第2の時間T2が第1の時間T1以下である場合に、現在よりも2段階大きい変速比rを目標変速比rXとして設定し、時刻t24でモータ24の出力の制限を開始する。制御部は、モータ24の出力の制限を開始するとともに、変速機22を制御して2段階にわたる変速比rの変更を開始する。モータ24の出力の制限を開始した後に、変速機22を動作させるのが好ましいが、モータ24の出力の制限と変速機22の動作を同時に開始してもよく、モータ24の出力の制限を開始する直前に、変速機22の動作を開始してもよい。この場合の現在よりも2段階大きい変速比rは、中間の変速比rに相当する。
時刻t25は、時刻t24から第1の時間T1が経過した時刻を示す。制御部42は、モータ24の出力の制限を緩和する。
時刻t26は、クランクの回転角度CAが第2の角度CA2になった時刻を示す。制御部42は、現在の変速比rと要求変速比rAとを比較し、現在よりも1段階大きい変速比rを目標変速比rXとして演算し、モータ24の出力の制限を開始する。また、制御部42は、変速機22を制御して1段階にわたり変速比rを変更する。
時刻t27は、時刻t26から第1の時間T1が経過した時刻を示す。制御部42は、モータ24の出力の制限を終了する。第1の角度CA1と第2の角度CA2とが異なる場合、時刻t27は、時刻t26から第3の時間T3が経過した時刻を示す。
(第2の実施形態)
図1および図7を参照して、第2の実施形態の自転車用制御装置40について説明する。第1の実施形態と共通する部分については、第1の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。第2の実施形態では、第1の実施形態の第1の制御および第2の制御に代えて、第3の制御が実行される。
制御部42は、操作部26からの出力信号を変速要求として受け取る。制御部42は、変速機22とモータ24とを変速比rを変更する変速要求に応じて制御する。具体的には、制御部42は、シフトアップ信号を含む出力信号を変速要求として受信した場合、変速比rを大きくする要求変速比rAの第3の制御を実行する。制御部42は、シフトダウン信号を含む出力信号を変速要求として受信した場合、変速比rを大きくする要求変速比rAの第3の制御を実行する。
図7を参照して、第3の制御について説明する。制御部42は、自転車用制御装置40の電源がオンになっている間、所定周期ごとに第3の制御を実行する。
制御部42は、ステップS31において変速要求があるか否かを判定する。変速要求がない場合には、処理を終了し、所定周期ごとに再びステップS31の判定処理を実行する。制御部42は、変速要求がある場合には、ステップS32に移行する。
制御部42は、ステップS32において変速比rを検出し、ステップS33に移行する。制御部42は、ステップS33において要求変速比rAと変速比rとが一致しているか否かを判定する。具体的には、制御部42は、操作部26からの出力信号に含まれる要求変速比rAと、変速状態検出装置38とによって検出された変速比rとを比較する。制御部42は、要求変速比rAと変速比rとが一致している場合、処理を終了する。制御部42は、要求変速比rAと変速比rとが異なっている場合、ステップS34に移行する。
制御部42は、ステップS34において、要求変速比rAまで変速機22を動かすために必要な第2の時間T2を演算し、ステップS35に移行する。
制御部42は、ステップS35において、第1の角度CA1に達したか否かを判定する。制御部42は、第1の角度CA1に達していないと判定した場合、第1の角度CA1に達するまでステップS35の処理を繰り返す。制御部42は、第1の角度CA1に達したと判定した場合、ステップS36においてモータ24の出力の制限を開始し、ステップS37に移行する。制御部42は、ステップS37において要求変速比rAまで変速機22の変速動作を実行する。現在の変速比rと要求変速比rAとに2段階以上の差がある場合、制御部42は、変速機22を連続して動作させる。
次に、制御部42は、ステップS38において第2の時間T2が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部42は、第1の角度CA1に達してからの時間が第2の時間T2以上になったか否かを判定する。別の例では、制御部42は、モータ24の出力の制限を開始してからの時間が第2の時間T2以上になったか否かを判定する。制御部は、第2の時間T2が経過するまでステップS38の判定を繰り返す。制御部42は、第2の時間T2が経過したと判定した場合、ステップS39においてモータ24の出力の制限を終了し、処理を終了する。一例では、制御部42は、ステップS36においてモータ24の出力を制限する前と同一の条件を用いてモータ24の出力を制御し、モータ24の出力の制限を終了する。
(第3の実施形態)
図1および図8を参照して、第3の実施形態の自転車用制御装置40について説明する。第2の実施形態と共通する部分については、第2の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。第3の実施形態では、第2の実施形態の第3の制御において、変速要求に応じて第1の角度CA1が変更される第4の制御が実行される。
制御部42は、第1の角度CA1になると、モータ24の出力を制限するとともに変速機22に動作を開始させる。制御部42は、変速要求に応じて複数の段階にわたって変速比rを変速機22に変更させる場合は、変速要求に応じて1段階のみ変速比rを変速機22に変更させる場合よりも、第1の角度CA1を第1の方向の上流側に変更する。
図8を参照して、第4の制御について説明する。制御部42は、自転車用制御装置40の電源がオンになっている間、所定周期ごとに第4の制御を実行する。
制御部42は、ステップS31において変速要求があるか否かを判定する。変速要求がない場合には、処理を終了し、所定周期ごとに再びステップS31の判定処理を実行する。制御部42は、変速要求がある場合には、ステップS32に移行する。
制御部42は、ステップS32において変速比rを検出し、ステップS33に移行する。制御部42は、ステップS33において要求変速比rAと変速比rとが一致しているか否かを判定する。具体的には、制御部42は、操作部26からの出力信号に含まれる要求変速比rAと、変速状態検出装置38とによって検出された変速比rとを比較する。制御部42は、要求変速比rAと変速比rとが一致している場合、処理を終了する。制御部42は、要求変速比rAと変速比rとが異なっている場合、ステップS41に移行する。
制御部42は、ステップS41において、要求変速比rAまで変速機22を動かすために必要な第2の時間T2を演算し、第2の時間T2に応じた第1の角度CA1を設定して、ステップS35に進む。制御部42は、変速要求に応じて1段階のみ変速比rを変速機22に変更させる場合は、予め記憶部44に記憶される第1の角度CA1の初期値を第1の角度CA1として設定する。制御部42は、変速要求に応じて複数の段階にわたって変速比rを変速機22に変更させる場合は、第2の時間T2が長いほど、第1の角度CA1を第1の角度CA1を第1の方向の上流側に変更する。記憶部44に、第2の時間T2と、第1の角度CA1の対応テーブル、または、第1の角度CA1と第2の時間T2との関数が記憶されていてもよい。制御部42は、記憶部44に記憶されている対応テーブルまたは関数を用いて、第2の時間T2から第1の角度CA1を演算によって求めてもよい。
制御部42は、ステップS35において、ステップS41において設定された第1の角度CA1に達したか否かを判定する。制御部42は、第1の角度CA1に達していないと判定した場合、第1の角度CA1に達するまでステップS35の処理を繰り返す。制御部42は、第1の角度CA1に達したと判定した場合、ステップS36においてモータ24の出力の制限を開始し、ステップS37に移行する。制御部42は、ステップS37において要求変速比rAまで変速機22の変速動作を実行する。現在の変速比rと要求変速比rAとに2段階以上の差がある場合、制御部42は、変速機22を連続して動作させる。
次に、制御部42は、ステップS38において第2の時間T2が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部42は、第1の角度CA1に達してからの時間が第2の時間T2以上になった否かを判定する。別の例では、制御部42は、モータ24の出力の制限を開始してからの時間が第2の時間T2以上になったか否かを判定する。制御部は、第2の時間T2が経過するまでステップS38の判定を繰り返す。制御部42は、第2の時間T2が経過したと判定した場合、ステップS39においてモータ24の出力の制限を終了し、処理を終了する。一例では、制御部42は、ステップS39においてモータ24の出力を制限する前と同一の条件を用いてモータ24の出力を制御し、モータ24の出力の制限を終了する。
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う自転車用制御装置および自転車用制御システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自転車用制御装置および自転車用制御システムは、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
・第1の実施形態の図3に示す第2の制御を、図9に示す第5の制御に変更することもできる。この変形例では、変速機22の制御のみ実行し、モータ24の制御は実行しない。図9に示す第5の制御では、図3に示す第2の制御からステップS25およびステップS28の各処理が省略された処理を実行する。第1の角度CA1と第2の角度CA2とが異なる場合、図4のステップS65およびステップS68の各処理もステップS25およびステップS28の各処理と同様に省略される。この変形例では、モータ24を含まない自転車用制御システム20において、図9の第5の制御を実行することができる。
・第1の実施形態の図3に示す第2の制御を、図10に示す第6の制御に変更することもできる。この変形例では、制御部42は、クランクの回転角度CAが第1の角度CA1になったときからクランクの回転角度CAが第3の角度CA3になるまで、モータ24の出力を制限する。具体的には、図1のステップS27に代えて図10のステップS51が実行される。制御部42は、ステップS25においてモータ24の出力の制限を開始し、ステップS26において変速機の変速動作を開始した後、ステップS51においてクランクの回転角度CAが第3の角度CA3になったか否かを判定する。一例では、第3の角度CA3は、クランク12Aの一方のクランクアーム12Cが上死点および下死点のうちの一方と対応する第1の回転角度CX1から、第1の回転角度CX1よりも自転車10を推進するためにクランク12Aを回転させる第1の方向における下流側に45度までの範囲に含まれる。
・図10に示す変形例をさらに以下のように変更することもできる。この変形例では、制御部42は、クランクの回転角度CAが第1の角度CA1になったときから第3の角度CA3になるまでの予測時間TAが、第2の時間T2以上の場合、第1の変速を実行する。制御部42は、予測時間TAが第2の時間T2未満の場合、第2の変速を実行する。具体的には、図10のステップS23において、制御部42は、予測時間TAが、第2の時間T2以上の場合、要求変速比rAを目標変速比rXとして設定する。これによってステップS24以降の処理によって、制御部42は第1の変速を実行する。ステップS23において、制御部42は、予測時間TAが第2の時間T2未満の場合、予測時間TA内で変速機22が変速することができる現在の変速比rと要求変速比rAとの間の変速比rを目標変速比rXとして設定する。これによってステップS24以降および次回以降の第6の制御の処理によって、制御部42は第2の変速を実行する。制御部42は、回転角度センサ36によって取得可能なクランクの回転速度Nを用いて、予測時間TAを演算する。
・第1の実施形態を以下のように変更することもできる。この変形例では、制御部42は、要求変速比rAまでの変速比rの段階の数に応じて、第1の変速および第2の変速の一方を実行する。具体的には、図3のステップS23において、制御部42は、要求変速比rAまでの変速比rの段数が所定の段数以下の場合、要求変速比rAを目標変速比rXとして設定する。これによってステップS24以降の処理によって、制御部42は第1の変速を実行する。ステップS23において、制御部42は、要求変速比rAまでの変速比rの段数が所定の段数より大きい場合、現在の変速比rよりも所定の段数だけ大きいまたは小さい変速比rを目標変速比rXとして設定する。これによってステップS24以降および次回以降の第2の制御の処理によって、制御部42は第2の変速を実行する。この場合、現在の変速比rよりも所定の段数だけ大きいまたは小さい変速比rが中間の変速比rに相当する。
・第2の実施形態の図7に示す第3の制御において変速機22の制御のみ実行し、モータ24の制御を省略することもできる。この変形例では、第3の制御からステップS36およびステップS39の各処理が省略された処理を実行する。この変形例では、モータ24を含まない自転車用制御システム20において、第3の制御を実行することができる。
・第3の実施形態の図8に示す第4の制御において、変速機22の制御のみ実行し、モータ24の制御を省略することもできる。この変形例では、第4の制御からステップS36およびステップS39の各処理が省略された処理を実行する。モータ24を含まない自転車用制御システム20において、第4の制御を実行することができる。
・第2の実施形態の第3の制御および第3の実施形態の第4の制御において、第2の時間T2に代えてモータ24の制限を終了するクランクの回転角度CAを設定することができる。具体的には、制御部42は、第2の実施形態の図7のステップS34、または、第3の実施形態のステップS41において、モータ24の出力の制限を実行するクランクの回転角度CAの範囲を設定する。制御部42は、第2の時間T2に応じて、モータ24の出力の制限を終了するクランクの回転角度CAを演算する。第2の時間T2が長いほど、モータ24の出力の制限を実行するクランクの回転角度CAの範囲は大きくなる。このため、第2の時間T2が長いほど、モータ24の出力の制限を終了するクランクの回転角度CAは、第1の方向の下流側に変更される。制御部42は、ステップS38において、モータ24の出力の制限を終了するクランクの回転角度CAに達するまでステップS38の処理を繰り返す。
・第1および第2の実施形態において、操作部26の出力信号に複数の段階にわたって変速比rを変更する要求が含まれていてもよい。この場合、例えば、操作部26に複数の段階にわたって変速比rを変更するためのスイッチが設けられる。また、制御部42が、操作部26の出力信号を受信した場合に、その信号の内容または自転車10の制御状態等に応じて複数の段階にわたって変速比rを変更する変速要求を設定してもよい。
・第2および第3の実施形態の第3の制御または第4の制御のステップS35において、制御部42は、第1の角度CA1に達していないと判定した場合、処理を終了し、所定周期後に再びステップS31の判定を行うようにしてもよい。
・第1および第2の実施形態において、第1の角度CA1に達しなくともモータ24の出力の制限および変速動作の少なくとも一方を開始することもできる。具体的には、第1の実施形態のステップS24、または、第2の実施形態のステップS35の処理を省略してもよい。この場合、例えばステップS23が終了後、すぐにステップS25に移動してもよく、トルクセンサ34によって検出されるトルクが所定値以下になったときに、ステップS25に移動してもよい。また、第1の実施形態の図4の第2の制御において、ステップS24の処理と同様にステップS64の処理を省略してもよい。
・自転車10に搭載される1または複数のセンサに応じて、制御部42が自動で変速機22を制御して変速を実行するオート変速における第2の制御、第3の制御、または、第4の制御において、上記の各実施形態の制御が実行されてもよい。自転車10に搭載される1または複数のセンサは、トルクセンサ、車速センサ、ケイデンスセンサ、の少なくとも1つを含む。制御部42は、自転車10に搭載される1または複数のセンサからの信号と、記憶部44に記憶されるオート変速用の制御プログラムに応じて、変速要求があるか否かを判断する。
(付記1)
自転車の変速比を段階的に変更可能な変速機と、前記自転車の推進をアシストするモータとを、前記変速比を変更する変速要求に応じて制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記変速要求に応じて複数の段階にわたって前記変速比を変更する場合、前記モータの出力を制限し、前記変速要求に対応する変速比になるまで前記変速機を動作させ、前記変速要求に対応する変速比までの変速比まで前記変速機を動かすために必要な第2の時間が経過したとき、前記モータの出力の制限を終了する、自転車用制御装置。
(付記2)
自転車の変速比を段階的に変更可能な変速機と、前記自転車の推進をアシストするモータと、前記変速比を変更する変速要求に応じて制御する制御部を含み、
前記制御部は、
前記変速要求を受けて、前記自転車のクランクが、上死点または下死点と対応する回転角度よりも前記自転車を推進するために前記クランクを回転させる第1の方向における上流側の第1の角度になると、前記モータの出力を制限するとともに前記変速機に動作を開始させ、
前記変速要求に応じて複数の段階にわたって前記変速比を前記変速機に変更させる場合、前記変速要求に応じて1段階のみ前記変速比を前記変速機に変更させる場合よりも、前記モータの出力を制限する時間を長くする、または、前記モータの出力の制限を実行する前記クランクの回転角度の範囲を大きくする、自転車用制御装置。