JP2019209452A - 締め付け工具 - Google Patents
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従来、この種の管継手の一例として、接続管に内嵌される円筒状の案内部を有する継手本体と、継手本体の案内部に接続管が挿入される間隙を有して同心状に外嵌されており、案内部に対向する部分が縮径可能である締付けリングと、締付けリングの縮径可能な部分を縮径させるべく締付けリングに外嵌されており、締付けリングに内嵌された接統管を変形させる袋ナットと、を具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1において継手本体は、中央部に外面六角形状のナット部を有している。締付けリングは、継手本体のナット部に外嵌された内周面が六角形状の鍔部と、継手本体の案内部とは所定の間隙を有して外嵌されるように鍔部の一端面に設けられた円筒状の縮径部と、を有している。鍔部は、継手本体のナット部に密着する内周面を有し、その外周面は、スパナ等の締め付け工具が係止し得るように六角形状になっている。袋ナットは、スパナ等の締め付け工具が係止し得るように角筒状に形成されている。
そして、締付けリングの縮径部と継手本体の案内部の間隙内に接続管が挿入された状態で、締付けリングの鍔部と袋ナットにそれぞれスパナ等の締め付け工具を係合させ、逆向きに回転操作して締め付ける。これにより、袋ナットの内周面中央部のテーパー面が縮径部の先端に当接して縮径部の先端部が縮径される。その結果、接続管の端部は、継手本体の案内部および締付けリングの縮径部に嵌合された状態で抜け止めされる。
ところで、給湯管や給水管等の管材(接続管)は、用途に応じて径サイズや耐圧性能の異なるものが多種類あり、これに伴って管継手もサイズなどの異なるものが多種類用意されている。比較的に小型の管継手の場合には、締付けリングの鍔部や袋ナットに形成される工具係合部も狭くなる。
このような多種類の管継手を逆向きに回転操作するには、締め付け工具として調節可能なモンキーレンチやモーターレンチを用いることが一般的である。
しかし乍ら、モンキーレンチやモーターレンチは、比較的に大型で重いため、作業者の負担が大きいだけでなく、小型の管継手の狭い工具係合部を回転操作する時には、モンキーレンチやモーターレンチ同士が接触し邪魔になって、締め付け作業が行い難いという問題があった。
また管継手において少なくとも締付けリングの鍔部や袋ナットが樹脂製である場合には、鍔部や袋ナットの工具係合部が締め付け工具の材質よりも軟質となるため、締め付け工具による回転操作で樹脂製の工具係合部に応力が集中すると、樹脂製の工具係合部が変形してしまう。これにより、変形した工具係合部が締め付け工具が外れ易くなって、締め付けを確実に行えないという問題があった。
本発明の実施形態に係る締め付け工具Aは、図1〜図4に示すように、締結装置Bが有する回転自在な断面正多角形の工具係合部B1を人為的に回転操作するために用いられるレンチやスパナである。
締結装置Bとは、回転自在に設けられた工具係合部B1の回転操作で、機械部品(図示しない)に被締結体Cを着脱自在に締結して接続する連結具や、複数の被締結体C同士を着脱自在に接続する連結具である。
締結装置Bには、被締結体Cとして可能性に優れ変形可能なホースやチューブ又は変形し難いパイプなどからなる管体C1を締結することで、着脱可能に接続する管継手Ba,Bbや、管継手Ba,Bbと類似した構造の締結具などが含まれる。
一般的に管継手Ba,Bbは、図1〜図3に示されるように、二つの工具係合部B1が設けられ、二つの工具係合部B1を逆向きに回転操作することで、管体C1が締め付けられる抜け止め構造に構成されている。
工具係合部B1は、複数(断面形状に応じた数)の工具係合面B2が周方向へ形成され、複数の工具係合面B2において略平行に配置される一対の第一工具係合面B3と、一対の第一工具係合面B3の間に配置される第二工具係合面B4と、を有する。複数の工具係合面B2のすべてか又は一部、少なくとも第二工具係合面B4には凹部B5が形成される。
締結装置Bの他の例として図3(a)(b)では、異なる断面正多角形に形成された二つの工具係合部B1を、後述する締め付け工具Aによってそれぞれ相対的に逆方向へ回転操作する異形タイプの管継手Bbの場合を示している。図示例では、一方の工具係合部B1の外形状が断面略四角形の四角ナットに形成され、他方の工具係合部B1の外形状が断面正六角形の六角ナットに形成され、これらを異なる外形サイズに設定している。
また、それ以外の例として図示しないが、二つの工具係合部B1のいずれか一方を、後述する締め付け工具Aに代えてモンキーレンチやモーターレンチ又はその他の構造のレンチ若しくはスパナで回転操作するなどの変更も可能である。
なお、同形タイプの管継手Baにおいて二つの工具係合部B1の外形状を四角ナットや断面八角形の八角ナットなどに代えることや、異形タイプの管継手Bbにおいて一方の工具係合部B1や他方の工具係合部B1の外形状を図示例以外の四角ナットや六角ナットや八角ナットなどに代えることや、外形サイズの設定を図示例以外に変更するなどが可能である。
継手本体10側の外周面と締め付け部材20の外周面には、工具係合部B1がそれぞれ形成され、これら二つの工具係合部B1が有する複数の工具係合面B2のすべてに凹部B5が形成されている。
さらに図示例のように、管体C1の挿入空間Sと締め付け部材20の間にスリーブ30を備え、締め付け部材20の回転操作により、スリーブ30が縮径変形して管体C1を挟持することが好ましい。
図示例では、スリーブ30が軸方向へ筒状部31と縮径部32に分割されて軸方向へ一体的に配置している。
筒状部31は、ニップル11の突出部12に対して周方向へ回転不能に嵌合する鍔部31aを有し、鍔部31aの外形状が断面正多角形(断面正六角形)に形成されて工具係合部B1となっている。筒状部31の外周面には、締め付け部材20が軸方向へ回転移動可能に螺合する螺子31bが形成されている。
縮径部32は、軟質合成樹脂などの弾性変形可能な材料で形成され、締め付け部材20に締め付けによる軸方向への回転移動に伴って径方向へ縮径変形するように構成されている。
管継手Baにおいて継手本体10,締め付け部材20,スリーブ30の筒状部31は、硬質合成樹脂や金属などの剛性材料で形成されている。特に継手本体10や締め付け部材20などを合成樹脂で成形することに伴って工具係合部B1が合成樹脂製となる場合には、成形時に樹脂の収縮による「ヒケ」の発生を防ぐため、「肉抜き(肉盗み)」として凹部B5を利用することが可能になる。
係合口1は、後述する工具本体2の端部に設けられ、工具係合部B1と着脱自在に嵌め合う凹状に形成している。
係合口1は、工具係合部B1に形成される複数の工具係合面B2のうち一部と対向して形成される摺接部1aと、複数の工具係合面B2のうち他部と対向して形成される当接部1bと、複数の工具係合面B2のうち他部に向け突出して形成される突起1cと、を有している。
当接部1bは、一対の第一工具係合面B3の間に配置される第二工具係合面B4と対向するように形成されている。当接部1bには、第二工具係合面B4に形成した凹部B5に向けて突出するように突起1cが形成されている。
突起1cは、工具係合部B1に対して係合口1が嵌合した状態で、第二工具係合面B4の凹部B5に対して入るように設定される。突起1cと凹部B5の形状とサイズは、突起1cが凹部B5に入り込んだ状態で、軸方向と周方向へ位置ズレ不能に嵌合するように設定することが好ましい。
このため、六つの工具係合面B2のうち四面と嵌合するように、係合口1を四辺が連続した凹状に形成している。四辺のうち開放側の二辺が摺接部1aとなり、奥側の二辺が当接部1bとなって二つの突起1cを形成している。摺接部1aの沿った二辺のみ幅広部1dを折り曲げ形成している。
これに伴い工具係合部B1の外形状が六角ナットであって、複数の工具係合面B2のうち一部のみに凹部B5を形成する場合には、少なくとも二つの凹部B5が周方向へ連続して隣り合うように形成することが好ましい。
また、係合口1の他の例として図3(a)(b)に示される場合には、継手本体10側の外周面に形成した工具係合部B1が断面略四角形の四角ナットである。このため、四つの工具係合面B2のうち三面と嵌合するように、係合口1を三辺が連続したコの字形の凹状に形成している。三辺のうち開放側の二辺が摺接部1aとなり、奥側の一辺が当接部1bとなって一つの突起1cを形成している。摺接部1aの沿った二辺のみ幅広部1dを折り曲げ形成している。
なお、それ以外の変形例として図示しないが、工具係合部B1が断面八角形の八角ナットである場合には、八つの工具係合面B2のうち五面と嵌合するように、係合口1を五辺が連続した凹状に形成するなどの変更が可能である。この場合には、五辺のうち開放側の二辺が摺接部1aとなり、奥側の三辺が当接部1bとなって三つの突起1cを形成することになる。
これに伴い工具係合部B1の外形状が八角ナットであって、複数の工具係合面B2のうち一部のみに凹部B5を形成する場合には、少なくとも三つの凹部B5が周方向へ連続して隣り合うように形成することが好ましい。
幅広部1dは、図1,図3及び図4に示されるように、係合口1の構成材料である板材を略直角に折り曲げることで一体形成することが好ましい。
幅広部1dの一例として図1(a)(b)及び図3(a)(b)に示される例では、係合口1において摺接部1aとなる開放側の二辺をそれぞれ全体的に逆方向へ折り曲げている。
また幅広部1dのその他の例として図4(a)〜(c)に示される例では、係合口1において摺接部1aとなる開放側の二辺を複数(図示例では二つ)に分割してそれぞれ逆向きに折り曲げている。
なお、それ以外の幅広部1dの変形例として図示しないが、折り曲げ形成に代えて別部材を固着して幅広部1dとすることや、当接部1bにおいて突起1cが無い部位に幅広部1dを形成するなどの変更が可能である。
工具本体2は、金属や硬質合成樹脂などの剛性材料で板状に形成することが好ましい。
工具本体2の具体例として図1(a)(b),図3(a)(b)及び図4(a)〜(c)では、係合口1を含めて工具本体2の全体が肉厚が薄い帯板状に形成され、工具本体2の一端のみに係合口1を一体形成した片口スパナである場合を示している。
また、その他の例として図示しないが、工具本体2の両端に係合口1を有する両口スパナや、工具本体2が分岐されて三つ以上の係合口1を有する十字レンチ(クロスレンチ)や、複数の係合口1がそれぞれ異なる開放幅(開口幅)を有するなど、種々の変更が可能である。
これに加えて、係合口1が摺接部1a,当接部1b及び突起1cを有していれば、モンキーレンチやモーターレンチ又はその他の構造のレンチ若しくはスパナであってもよい。
これにより、係合口1の当接部1bが第二工具係合面B4と接近して当接する。これに伴って当接部1bの突起1cが第二工具係合面B4の凹部B5に入り込む。
この嵌合状態では、突起1c及び凹部B5の位置決めによって、工具係合部B1に対し、係合口1が周方向へ位置ズレしなくなる。
。
したがって、締結装置Bの工具係合部B1に対して係合口1が滑らずトルクを確実にかけることができる。
その結果、締結装置Bが二本の締め付け工具Aで逆向きに回転操作して被締結体Cとなる管体C1を締め付ける管継手Ba,Bbであっても、管継手Ba,Bbのサイズと関係なく二本の締め付け工具A同士が接触せず確実に締め付け作業を行うことができる。このため作業性に優れる。
また断面正多角形の工具係合部B1(工具係合面B2)に凹部B5を形成すれば、締め付け工具Aが使用可能となり、係合口1が滑らずトルクを確実にかけることができる。
この場合には、工具本体2の肉厚を薄く形成可能にするとともに、締結装置Bの工具係合部B1に対して力が伝わる摺接部1aなどは、幅広部1dによって補強される。
その結果、モンキーレンチやモーターレンチに比べ、締め付け工具Aの軽量化と小型化が図れるため、現場作業者の負担を軽減できるとともに、締結装置Bが二本の締め付け工具Aで逆向きに回転操作して被締結体Cとなる管体C1を締め付ける管継手Ba,Bbであっても、スムーズに締め付け作業が行えて、作業性に優れる。
この場合においても、前述した同形タイプの管継手Baや異形タイプの管継手Bbと同様な作用や利点が得られる。
また、二つの工具係合部B1を二本の締め付け工具Aで逆向きに回転操作する場合について説明したが、これに限定されず、二つの工具係合部B1のうちいずれか一方を、締め付け工具Aに代えてモンキーレンチやモーターレンチ又はその他の構造のレンチ若しくはスパナで回転操作してもよい。
1a 摺接部 1b 当接部
1c 突起 1d 幅広部
2 工具本体 B 締結装置
B1 工具係合部 B3 第一工具係合面
B4 第二工具係合面 B5 凹部
Claims (2)
- 締結装置が有する回転自在な断面正多角形の工具係合部を回転操作するための締め付け工具であって、
前記工具係合部と着脱自在に嵌め合う先端が開放した形状の係合口を備え、
前記係合口は、前記工具係合部の第一工具係合面と摺動可能に接触する摺接部と、前記工具係合部の第二工具係合面と対向する当接部と、前記第二工具係合面に形成された凹部に向けて突出する突起と、を有し、
前記工具係合部に対して前記係合口が嵌合した状態で、前記突起が前記凹部に入ることを特徴とする締め付け工具。 - 前記係合口を有する工具本体が板状に形成され、少なくとも前記摺接部に沿って幅広部を形成したことを特徴とする請求項1記載の締め付け工具。
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