<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態におけるパルス信号出力回路の構成を示した構成図である。パルス信号出力回路10は、スイッチ部11と、一次側コンデンサ12と、切り替えタイミング制御部13と、パルストランス14と、整流部15と、二次側コンデンサ16と、二次側抵抗17と、FET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)18とを備えている。なお、図1には、パルス信号出力回路10に接続される直流電源PSと受信計器REとも併せて示している。
直流電源PSは、パルス信号出力回路10がパルス信号を生成するための電流を供給する電源である。以下の説明においては、直流電源PSが供給する電流に応じた電圧を電圧Vsとする。そして、以下の説明においては、説明を容易にするため、直流電源PSが電圧Vsを出力するものとして説明する。
受信計器REは、パルス信号出力回路10が生成して出力したパルス信号を受信し、受信したパルス信号に基づいた処理を行う。なお、図1では、受信計器REが、パルス信号出力回路10が出力したパルス信号を、伝送路TLを介して受信する構成を示している。
パルス信号出力回路10は、接続されている直流電源PSから供給された電流を流す方向をスイッチ部11によって切り替えることによってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。パルス信号出力回路10は、例えば、プロセス現場に設置され、設置された位置において測定した流量などのプロセス量をパルス信号によって伝送するフィールド機器に用いられる。なお、パルス信号出力回路10がフィールド機器に用いられている場合、直流電源PSは、フィールド機器が測定したプロセス値を伝送するために用いられる、例えば、4mA〜20mAの範囲の直流アナログ信号から生成した電流を供給する電源であってもよい。また、パルス信号出力回路10がフィールド機器に用いられている場合、受信計器REは、例えば、受信したパルス信号の数を計数(カウント)するパルスカウンタなどを備え、計数したパルス信号の数(カウント値)に基づいた情報を、測定したプロセス量の情報として出力してもよい。
パルストランス14は、1次側と2次側とのそれぞれに1つずつのコイルを備えている。パルストランス14は、一次側のコイル(以下、「一次側コイル」という)に流れた電流によって励磁され、一次側コイルの両方の端子間の電圧に応じた電圧を、二次側のコイル(以下、「二次側コイル」という)の両方の端子間に発生させる。
なお、図1においてパルストランス14に備えたそれぞれのコイルに示した黒丸は、それぞれのコイルを形成するために巻く巻線の巻き初めの位置を示している。ここで、図1では、パルストランス14に備えたそれぞれのコイルにおける巻線の巻き初めの位置(黒丸の位置)が同じ方向の位置である。従って、パルストランス14では、それぞれのコイルの巻線が同じ方向に巻かれている。以下の説明においては、パルストランス14の一次側コイルにおける巻線の巻き初めを第1の端子A1とし、巻線の巻き終わりを第2の端子B1とする。また、パルストランス14の二次側コイルにおける巻線の巻き初めを第1の端子A2とし、巻線の巻き終わりを第2の端子B2とする。
パルス信号出力回路10は、パルストランス14によって、一次側の回路と二次側の回路とを直流的に絶縁している。パルス信号出力回路10では、一次側の回路において、接続されている直流電源PSから供給された電流をパルストランス14の一次側コイルに流す。これにより、パルス信号出力回路10では、パルストランス14が、二次側コイルの第1の端子A2と第2の端子B2との間に、一次側コイルの第1の端子A1と第2の端子B1との間の電圧に応じた電圧を発生させる。そして、パルス信号出力回路10では、二次側の回路において、パルストランス14の二次側コイルに発生した電流を整流し、整流した電流に応じた電圧に基づいてパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。
図1には、一次側の回路においてパルストランス14の一次側コイルに流す電流を一次側電流i1として示し、パルストランス14の一次側コイルの第1の端子A1と第2の端子B1との間の電圧を一次側電圧V1として示している。また、図1には、パルストランス14の二次側コイルの第1の端子A2と第2の端子B2との間の電圧を二次側電圧V2として示し、二次側電圧V2に応じて流れる電流を二次側電流i2として示している。また、図1には、パルストランス14の二次側コイルによって流れる二次側電流i2を整流して二次側の回路に流れる電流を整流電流i3として示し、整流電流i3に応じた電圧を整流電圧V3として示している。
パルス信号出力回路10では、スイッチ部11と、一次側コンデンサ12と、切り替えタイミング制御部13と、パルストランス14の一次側コイルとによって一次側の回路を構成している。パルス信号出力回路10の一次側の回路において、パルストランス14の一次側コイルの第1の端子A1は、スイッチ部11の第1の出力端子に接続されている。また、パルストランス14の一次側コイルの第2の端子B1は、一次側コンデンサ12の第1の端子に接続されている。そして、一次側コンデンサ12の第2の端子は、スイッチ部11の第2の出力端子に接続されている。
一次側コンデンサ12は、パルス信号出力回路10の一次側の回路に一次側電流i1が流れる時間を短時間にさせる。なお、パルス信号出力回路10がフィールド機器に用いられている場合であって、フィールド機器が防爆規格を満たす場合には、一次側コンデンサ12は、防爆回路としての役割を担う。
スイッチ部11は、入力端子に接続されている直流電源PSから供給された電流を流す方向を切り替え、流す方向を切り替えた一次側電流i1を第1の出力端子と第2の出力端子との間に出力する。スイッチ部11は、スイッチS1、スイッチS2、スイッチS3、およびスイッチS4を備えている。スイッチ部11は、切り替えタイミング制御部13から出力された制御信号に応じて、スイッチS1、スイッチS2、スイッチS3、およびスイッチS4のそれぞれの第1の端子と第2の端子とのオン(短絡)とオフ(開放)とを切り替えることにより、第1の出力端子と第2の出力端子との間に出力する一次側電流i1が流れる方向を切り替える。なお、以下の説明においてスイッチ部11に備えたスイッチS1、スイッチS2、スイッチS3、およびスイッチS4を区別せずに表す場合には、「スイッチS」という。
スイッチ部11では、スイッチS1の第1の端子とスイッチS3の第1の端子とが接続されてスイッチ部11の入力端子となり、直流電源PSの+端子(直流電圧の出力端子)に接続されている。また、スイッチ部11では、スイッチS1の第2の端子とスイッチS2の第1の端子とが接続されてスイッチ部11の第1の出力端子となり、パルストランス14の一次側コイルの第1の端子A1に接続されている。また、スイッチ部11では、スイッチS3の第2の端子とスイッチS4の第1の端子とが接続されてスイッチ部11の第2の出力端子となり、一次側コンデンサ12の第2の端子に接続されている。また、スイッチ部11では、スイッチS2の第2の端子とスイッチS4の第2の端子とは、一次側回路の基準電圧と接続されている。直流電源PSの−端子も一次側回路の基準電圧と接続されている。また、スイッチ部11では、スイッチS1、スイッチS2、スイッチS3、およびスイッチS4のそれぞれの制御端子に、切り替えタイミング制御部13の対応する制御信号が接続されている。より具体的には、スイッチ部11では、スイッチS1とスイッチS4とのそれぞれの制御端子に、切り替えタイミング制御部13から出力された制御信号CPが接続され、スイッチS2とスイッチS3とのそれぞれの制御端子に、切り替えタイミング制御部13から出力された制御信号CNが接続されている。なお、以下の説明においては、切り替えタイミング制御部13から出力され、対応するスイッチSの制御端子に入力される制御信号CPと制御信号CNとを区別せずに表す場合には、「制御信号C」という。
切り替えタイミング制御部13は、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSを制御する。切り替えタイミング制御部13には、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSを切り替えるタイミングを表す時間が、予め設定されている。切り替えタイミング制御部13は、例えば、タイマー回路や、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置に備えたタイマー機能などを利用した計時回路を備え、計時した時間が予め設定されている時間となったタイミングで、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるための制御信号Cを、スイッチ部11に備えた対応するスイッチSに出力する。より具体的には、切り替えタイミング制御部13は、スイッチS1およびスイッチS4のオンまたはオフを同時に切り替えるための制御信号CPと、スイッチS2およびスイッチS3のオンまたはオフを同時に切り替えるための制御信号CNとを、対応するスイッチSの制御端子に出力する。切り替えタイミング制御部13は、スイッチS1およびスイッチS4のオンまたはオフと、スイッチS2およびスイッチS3のオンまたはオフとの切り替えを排他的(相補的)に制御する。つまり、切り替えタイミング制御部13は、スイッチS1およびスイッチS4をオンにするときにスイッチS2およびスイッチS3をオフにし、スイッチS2およびスイッチS3をオンにするときにスイッチS1およびスイッチS4をオフにする。これにより、パルス信号出力回路10の一次側の回路では、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフの切り替えによって、スイッチ部11に接続された直流電源PSから供給された電流を一次側電流i1としてパルストランス14の一次側コイルに流す際の方向が切り替えられ、一次側電流i1の方向が反転される。なお、切り替えタイミング制御部13がスイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングに関しては、後述するパルス信号出力回路10の動作と共に説明する。
また、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の二次側コイルと、整流部15と、二次側コンデンサ16と、二次側抵抗17と、FET18とによって二次側の回路を構成している。パルス信号出力回路10の二次側の回路において、パルストランス14の二次側コイルの第1の端子A2は、整流部15の第1の入力端子に接続されている。また、パルストランス14の二次側コイルの第2の端子B2は、整流部15の第2の入力端子に接続されている。また、パルス信号出力回路10の二次側の回路において、整流部15の第1の出力端子は、二次側コンデンサ16の第1の端子、二次側抵抗17の第1の端子、およびFET18のゲート端子に接続されている。また、パルス信号出力回路10の二次側の回路において、FET18のドレイン端子は、パルス信号出力回路10の第1の出力端子O1となっている。また、パルス信号出力回路10の二次側の回路において、整流部15の第2の出力端子は、二次側コンデンサ16の第2の端子、二次側抵抗17の第2の端子、およびFET18のソース端子(およびバックゲート端子)に接続されて、パルス信号出力回路10の第2の出力端子O2となっている。なお、図1では、パルス信号出力回路10の第1の出力端子O1と第2の出力端子O2とのそれぞれが、対応する伝送路TLに接続され、それぞれの伝送路TLを介して受信計器REに接続されている。
整流部15は、第1の入力端子と第2の入力端子との間に供給された電圧を整流し、整流した電圧を第1の出力端子と第2の出力端子との間に供給する。つまり、整流部15は、整流した電圧を、FET18のゲート−ソース間、二次側コンデンサ16および二次側抵抗17のそれぞれの端子間に供給する。整流部15は、ダイオードD1、ダイオードD2、ダイオードD3、およびダイオードD4を備えている。整流部15は、ダイオードD2、ダイオードD3、およびダイオードD4によってブリッジ回路が構成されたブリッジ整流回路であり、このブリッジ回路によって第1の入力端子と第2の入力端子との間に供給された電圧を全波整流して第1の出力端子と第2の出力端子との間に供給する。なお、以下の説明において整流部15に備えたダイオードD1、ダイオードD2、ダイオードD3、およびダイオードD4を区別せずに表す場合には、「ダイオードD」という。
整流部15では、ダイオードD1のアノード端子とダイオードD3のカソード端子とが接続されて整流部15の第1の入力端子となり、パルストランス14の二次側コイルの第1の端子A2に接続されている。また、整流部15では、ダイオードD2のアノード端子とダイオードD4のカソード端子とが接続されて整流部15の第2の入力端子となり、パルストランス14の二次側コイルの第2の端子B2に接続されている。また、整流部15では、ダイオードD1のカソード端子とダイオードD2のカソード端子とが接続されて整流部15の第1の出力端子となり、二次側コンデンサ16の第1の端子、二次側抵抗17の第1の端子、およびFET18のゲート端子に接続されている。また、整流部15では、ダイオードD3のアノード端子とダイオードD4のアノード端子とが接続されて整流部15の第2の出力端子となり、二次側コンデンサ16の第2の端子、二次側抵抗17の第2の端子、およびFET18のソース端子に接続されて、パルス信号出力回路10の第2の出力端子O2となっている。
二次側コンデンサ16は、第1の端子と第2の端子との間に供給された整流電圧V3を充電し、この整流電圧V3に応じた電荷を蓄積する。つまり、二次側コンデンサ16は、第1の端子と第2の端子との間に流れた整流電流i3によって充電される。
二次側抵抗17は、二次側コンデンサ16に蓄積した電荷を放電する役割を担う。
パルス信号出力回路10では、二次側コンデンサ16と二次側抵抗17との構成によって、FET18のゲート−ソース間に電圧を与える。つまり、パルス信号出力回路10では、整流部15から全波整流した電圧の供給が停止した場合でも、二次側コンデンサ16の容量値と二次側抵抗17の抵抗値とによって定められる時間だけ、FET18のゲート−ソース間の電位を維持させる。
FET18は、ゲート端子とソース端子との間に印加された整流電圧V3に応じた、ドレイン端子とソース端子との間のオンまたはオフの状態によってパルス信号を生成する。FET18が生成したパルス信号は、伝送路TLを介して受信計器REに伝送される。受信計器REは、パルス信号として、FET18がオンの状態にときは“Low”レベルを、FET18がオフの状態にときは“High”レベルを認識する。より具体的には、FET18は、ゲート端子に印加された整流電圧V3に応じて、受信計器REからの電流をソース端子とドレイン端子との間に流すことにより、伝送路TL中の不図示の抵抗に電圧を発生させてパルス信号として受信計器REに伝送する。例えば、FET18がオンの状態(以下、「オン状態」という)のときには抵抗が発生する電圧が高くなり、FET18がオフの状態(以下、「オフ状態」という)のときには抵抗が発生する電圧が低くなる信号を、パルス信号として受信計器REに伝送する。しかし、以下の説明においては、説明を容易にするため、FET18がパルス信号を生成して受信計器REに伝送するものとして説明する。
このような構成によってパルス信号出力回路10は、接続されている直流電源PSから供給された電流を一次側電流i1として流す方向をスイッチ部11で切り替えることによってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。
なお、以下の説明においては、パルストランス14の一次側コイルにおいて、一次側電流i1を第1の端子A1から第2の端子B1の方向に流す方向を正方向とし、一次側電流i1を第2の端子B1から第1の端子A1の方向に流す方向を負方向とする。図1において一次側電流i1および二次側電流i2のそれぞれが表している方向は、正方向である。
次に、パルス信号出力回路10における動作について説明する。まず、パルス信号出力回路10がパルス信号を生成して出力する全体の動作について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態のパルス信号出力回路10における全体の動作の一例を説明する波形図である。図2に示したパルス信号出力回路10における全体の動作の一例は、パルス信号出力回路10が1周期分のパルス信号を生成する場合の一例である。図2には、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフの状態と、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1と、パルストランス14の二次側コイルに発生した二次側電圧V2に応じて流れる二次側電流i2と、整流部15が全波整流した整流電流i3と、整流電流i3に応じた整流電圧V3と、FET18のオンまたはオフの状態とのそれぞれの波形(信号)およびレベルを模式的に示している。
なお、パルス信号出力回路10に備えたパルストランス14は、一次側コイルに流れた一次側電流i1によって励磁され、一次側コイルの第1の端子A1と第2の端子B1との間に印加された一次側電圧V1に応じた二次側電圧V2を、二次側コイルの第1の端子A2と第2の端子B2との間に発生させる。このため、図2に示した一次側コイルの一次側電圧V1の波形は、電圧値が異なるが、パルストランス14の二次側コイルが発生した二次側電圧V2の波形であるともいえる。従って、以下の説明においては、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1の波形と二次側コイルの二次側電圧V2の波形とを、適宜言い換えて説明する。
タイミングt0〜t1において、パルス信号出力回路10が“Low”レベルのパルス信号を出力するとき、切り替えタイミング制御部13は、制御信号Cによって、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフが交互に切り替わるように制御する。図2には、パルス信号の1周期の始まりのタイミングt0から、切り替えタイミング制御部13が制御信号CPおよび制御信号CNを交互に切り替えることによって、それぞれのスイッチSのオンまたはオフが切り替わっている様子を示している。以下において、1周期分のパルス信号を発生させる動作を、切り替えタイミング制御部13の制御信号Cの動作も交えて説明する。
タイミングt0において、切り替えタイミング制御部13は、制御信号CPによってスイッチS1およびスイッチS4をオフからオンに切り替え、制御信号CNによってスイッチS2およびスイッチS3をオンからオフに切り替える。これにより、パルス信号出力回路10の一次側の回路には、直流電源PSが出力する電圧Vsが印加され、正方向の一次側電流i1が流れる。つまり、パルス信号出力回路10の一次側の回路において、スイッチ部11内のスイッチS1、パルストランス14の一次側コイル(第1の端子A1から第2の端子B1の方向)、一次側コンデンサ12、およびスイッチ部11内のスイッチS4の経路で一次側電流i1が流れる。これにより、パルストランス14の一次側コイルには、電圧値=+2Vsの一次側電圧V1が印加される。その後、切り替えタイミング制御部13は、制御信号CPによってスイッチS1およびスイッチS4をオンからオフに切り替え、制御信号CNによってスイッチS2およびスイッチS3をオフからオンに切り替える。これにより、パルス信号出力回路10の一次側の回路には、直流電源PSが出力する電圧Vsが印加され、負方向の一次側電流i1が流れる。つまり、パルス信号出力回路10の一次側の回路において、スイッチ部11内のスイッチS3、一次側コンデンサ12、パルストランス14の一次側コイル(第2の端子B1から第1の端子A1の方向)、およびスイッチ部11内のスイッチS2の経路で一次側電流i1が流れる。これにより、パルストランス14の一次側コイルには、電圧値=−2Vsの一次側電圧V1が印加される。
これにより、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の二次側コイルに、一次側電圧V1に応じた二次側電圧V2が発生し、二次側電圧V2に応じた二次側電流i2が流れる。そして、パルス信号出力回路10では、整流部15が、パルストランス14の二次側コイルに発生した二次側電圧V2に応じた二次側電流i2を全波整流する。これにより、パルス信号出力回路10では、図2に示したように、整流部15が全波整流した一方向の整流電流i3が流れ、整流電流i3に応じた整流電圧V3が一方向の電圧となる。パルス信号出力回路10では、整流部15が全波整流した整流電流i3に応じた整流電圧V3が、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間、およびFETのゲート−ソース間に印加される。これにより、パルス信号出力回路10では、二次側コンデンサ16が、整流電流i3によって充電される。また、パルス信号出力回路10では、FET18が、ゲート−ソース間に印加された整流電圧V3によってオン状態となり、出力するパルス信号が“Low”レベルになる。
なお、パルス信号出力回路10では、図2に示したように、一次側電圧V1が、スイッチSの切り替えに応じて電圧値が電圧値=+2Vsから電圧値=−2Vsまでの間で変動している。このため、パルス信号出力回路10では、一次側電圧V1に応じてパルストランス14の二次側コイルに発生する二次側電圧V2も、一次側電圧V1と同様に変動する。そして、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の二次側コイルに流れる二次側電流i2が、二次側電圧V2の電圧値が正の電圧値から負の電圧値に変わったタイミングで一時的に大きな電流となる。図2からわかるように、パルス信号出力回路10において二次側電流i2が一時的に大きな電流となるタイミングは、それぞれのスイッチSのオンまたはオフが切り替わったタイミングである。しかし、二次側電流i2は、二次側電圧V2の電圧値が安定すると低下して、やがて消滅する。図2には、このような二次側電流i2の変化の様子を示している。
パルス信号出力回路10では、図2に示したように、二次側電流i2が消滅したことによって、整流部15が全波整流した整流電流i3も電流値が電流値=0Aとなる。これに伴って、パルス信号出力回路10では、整流電流i3に応じた整流電圧V3も低下する。しかし、パルス信号出力回路10では、二次側コンデンサ16が、整流電流i3によって充電されている。このため、パルス信号出力回路10では、整流部15が全波整流した整流電流i3が消滅すると(電流値=0A)、二次側コンデンサ16と二次側抵抗17との構成によって二次側コンデンサ16が蓄積している電荷を放電する。従って、パルス信号出力回路10では、整流部15が全波整流した整流電流i3が消滅しても、図2に示したように、FET18のゲート−ソース間の整流電圧V3がオン状態を維持することができる電圧値に維持され、出力するパルス信号も“Low”レベルに維持される。
一方、パルス信号出力回路10が“High”レベルのパルス信号を出力するとき、切り替えタイミング制御部13は、タイミングt1〜t2の間において、制御信号Cによって、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSがオンまたはオフのいずれか一方に状態を維持するように制御する。図2には、パルス信号の1周期内のタイミングt1から、切り替えタイミング制御部13が制御信号CPおよび制御信号CNを制御することによって、それぞれのスイッチSのオンまたはオフの状態が維持される様子を示している。
より具体的には、タイミングt1において、切り替えタイミング制御部13は、制御信号CPによってスイッチS1およびスイッチS4をオフに切り替え、制御信号CNによってスイッチS2およびスイッチS3をオンに切り替える。これにより、パルス信号出力回路10の一次側の回路には、直流電源PSが出力する電圧Vsが印加され、負方向の一次側電流i1が流れている状態が維持される。つまり、パルス信号出力回路10の一次側の回路において、スイッチ部11内のスイッチS3、一次側コンデンサ12、パルストランス14の一次側コイル(第2の端子B1から第1の端子A1の方向)、およびスイッチ部11内のスイッチS2の経路で一次側電流i1が流れている状態が維持される。これにより、パルストランス14の一次側コイルには、電圧値=−2Vsの一次側電圧V1が印加されている状態が維持される。つまり、パルストランス14の一次側コイルに印加される一次側電圧V1の電圧値が電圧値=−2Vsに固定され変化しなくなる状態が維持される。
これにより、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の二次側コイルに、一次側電圧V1に応じた二次側電圧V2が発生する。このとき、図2に示したように、一次側電圧V1は、電圧値=−2Vsで一定の電圧値である。このため、パルス信号出力回路10では、一次側電圧V1に応じてパルストランス14の二次側コイルに発生する二次側電圧V2も、一次側電圧V1と同様に一定の電圧値となる。パルス信号出力回路10では、タイミングt1において二次側電圧V2の電圧値が正の電圧値から負の電圧値に変わったタイミングで、パルストランス14の二次側コイルに流れる二次側電流i2が一時的に大きな電流となるが、その後、二次側電圧V2の電圧値が安定すると低下してやがて消滅する。
また、パルス信号出力回路10では、二次側電流i2を整流部15が全波整流した整流電流i3、および整流電流i3に応じた整流電圧V3は、二次側コンデンサ16が、パルス信号出力回路10がタイミングt0〜t1において“Low”レベルのパルス信号を出力するときに整流電流i3によって蓄積した電荷を全て放電すると、電流値=0Aおよび電圧値=0Vで一定の状態になる。これにより、パルス信号出力回路10では、FET18のゲート−ソース間に印加された電圧値=0Vの整流電圧V3によってオフ状態となり、出力するパルス信号が“High”レベルになる。
このようにしてパルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が、直流電源PSが接続されたスイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを制御する(切り替える)ことによって、FET18をオン状態またはオフ状態にさせて、パルス信号を生成して出力させる。図2には、タイミングt2において、パルス信号出力回路10が、再び“Low”レベルのパルス信号の出力を開始する様子を示している。
なお、パルス信号出力回路10では、一次側の回路に一次側コンデンサ12を備えている。このため、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13がスイッチ部11内のそれぞれのスイッチSを制御して流した一次側電流i1によってパルストランス14の一次側コイルに印加される一次側電圧V1が、パルストランス14の一次側コイルと一次側コンデンサ12との直列共振によって振動(いわゆる、リンギング)する。このため、パルス信号出力回路10においてスイッチ部11内のスイッチSを切り替える、つまり、パルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を反転させるタイミングを考慮しないと、パルストランス14の一次側コイルと一次側コンデンサ12との直列共振によって振動した分だけ一次側電圧V1の電圧値が下がってしまうことがある(図12に示した従来のパルス信号出力回路における一次側電圧の波形を参照)。このため、切り替えタイミング制御部13は、パルストランス14の一次側コイルと一次側コンデンサ12との直列共振によって振動する一次側電圧V1の周波数を考慮して、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを制御する。
一方、本発明は、図12に示す従来のスイッチのオンまたはオフを切り替えるタイミングとは異なるタイミングで制御するため、そのタイミングについて説明する。切り替えタイミング制御部13は、振動している一次側電圧V1の状態に基づいてスイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。より具体的には、切り替えタイミング制御部13は、振動している一次側電圧V1の波形が、最初にパルストランス14の一次側コイルに印加された電圧値(タイミングt0のときの電圧値)とは逆の値の電圧値になっている、つまり、逆の極性(以下、「逆極性」という)の電圧値になっているタイミングのときに、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。この切り替えは、例えば、切り替えタイミング制御部13が予め設定されている時間となったタイミングのときに切り換えることで実現できる。
図3は、本発明の第1の実施形態のパルス信号出力回路10においてスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例を説明する波形図である。図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例は、パルス信号出力回路10が“Low”レベルのパルス信号を出力するときに切り替えタイミング制御部13がオンまたはオフを切り替えるスイッチSの1周期分の一例である。つまり、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例は、図2に示したパルス信号出力回路10における全体の動作の一例において、切り替えタイミング制御部13がタイミングt0〜t1において制御信号Cを交互に切り替えている期間内の1周期分の一例である。なお、図3には、パルス信号出力回路10の二次側の回路の動作の一部も合わせて示している。図3には、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフの状態と、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1と、パルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1と、パルストランス14が二次側コイルに発生した二次側電圧V2に応じて流れる二次側電流i2を整流部15が全波整流した整流電流i3と、整流電流i3に応じた整流電圧V3と、FET18のオンまたはオフの状態とのそれぞれの波形(信号)およびレベルを模式的に示している。
なお、図3に示した一次側コイルの一次側電圧V1の波形も、図2に示したパルス信号出力回路10における全体の動作の一例と同様に、パルストランス14の二次側コイルが発生した二次側電圧V2の波形であるともいえる。従って、以下の説明においても、図2に示したパルス信号出力回路10における全体の動作の一例の説明と同様に、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1の波形と二次側コイルの二次側電圧V2の波形とを、適宜言い換えて説明する。
パルス信号出力回路10が“Low”レベルのパルス信号を出力するときに、タイミングt10において、切り替えタイミング制御部13が、制御信号CPによってスイッチS1およびスイッチS4をオフからオンに切り替え、制御信号CNによってスイッチS2およびスイッチS3をオンからオフに切り替える。すると、パルス信号出力回路10の一次側の回路には、上述したように、直流電源PSが出力する電圧Vsが印加され、スイッチ部11内のスイッチS1、パルストランス14の一次側コイル(第1の端子A1から第2の端子B1の方向)、一次側コンデンサ12、およびスイッチ部11内のスイッチS4の経路で正方向の一次側電流i1が流れる。これにより、パルストランス14の一次側コイルには、電圧値=+2Vsの一次側電圧V1が印加されるが、この一次側電圧V1の波形は、パルストランス14の一次側コイルのインダクタンス成分と一次側コンデンサ12によって構成される直列共振回路によって振動波形となる。
このとき、パルストランス14の二次側コイルは、上述したように、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1に応じた二次側電圧V2を発生させる。ここで、パルストランス14の二次側コイルが発生する二次側電圧V2の波形も、振動波形である。そして、上述したように、パルス信号出力回路10の二次側の回路では、パルストランス14の二次側コイルに発生した二次側電圧V2に応じて流れる二次側電流i2を整流部15が全波整流した整流電流i3が流れ、整流電流i3に応じた整流電圧V3が、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間、およびFETのゲート−ソース間に印加される。これにより、パルス信号出力回路10では、二次側コンデンサ16が整流電流i3によって充電されるとともに、FET18がゲート−ソース間に印加された整流電圧V3によってオン状態となって、受信計器REに“Low”レベルのパルス信号が伝送される。
その後、パルス信号出力回路10では、一次側電圧V1が直列共振の振動によって電圧値が下降し、タイミングt11において、二次側電圧V2が整流部15に備えたダイオードD(より具体的には、ダイオードD1またはダイオードD4)の順方向電圧以下になると、それぞれのダイオードDはオフの状態となる。これにより、パルス信号出力回路10では、整流部15が全波整流した整流電流i3の電流値が電流値=0Aとなって、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間に整流電流i3が流れなくなる。このため、パルス信号出力回路10では、整流電流i3に応じた整流電圧V3、つまり、FET18のゲート−ソース間の電圧の上昇も止まる。パルス信号出力回路10では、整流部15が全波整流した整流電流i3が流れなくなると、二次側コンデンサ16と二次側抵抗17との構成によって二次側コンデンサ16が蓄積している電荷を放電し、FET18はオン状態を維持する。これにより、パルス信号出力回路10では、出力するパルス信号の“Low”レベルが維持される。
また、パルス信号出力回路10において一次側電圧V1は、タイミングt11以降も引き続き電圧値が下降する。なお、パルス信号出力回路10において切り替えタイミング制御部13は、タイミングt10から、予め設定されている時間になった否かを判断するための時間の計時を開始している。そして、切り替えタイミング制御部13は、計時している時間が予め設定されている時間となったタイミングt12のときに、制御信号CPによってスイッチS1およびスイッチS4をオンからオフに切り替え、制御信号CNによってスイッチS2およびスイッチS3をオフからオンに切り替える。このタイミングt12のときの一次側電圧V1は、図3に示したように、負方向に電圧値=Vaだけ高い電圧となっている。このため、一次側電圧V1は、切り替えタイミング制御部13がそれぞれのスイッチSを切り替えることによって、負方向に電圧値=V+Vaとなり、電圧値=Vaの分だけ負方向に高くなる。なお、図3では、一次側電圧V1の振動波形が最初の逆極性のピークとなるタイミングを、タイミングt12としている。
このように、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13がタイミングt12のときにそれぞれのスイッチSを切り替えることによって、スイッチSを切り替えたことによる一次側電圧V1の電圧値が逆極性ではない、例えば、一次側電圧V1の極性が正方向であるとき(図12で示した従来の場合)や、電圧値=0VであるときにそれぞれのスイッチSを切り替える場合よりも高くすることができる。これにより、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の一次側コイルや一次側コンデンサ12に流れる一次側電流i1がより大きくなり、パルストランス14の二次側コイルが発生する二次側電圧V2もより高くなる。従って、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができる。このため、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の二次側コイルが発生した二次側電圧V2に応じて流れる二次側電流i2や、整流部15が全波整流した整流電流i3も大きくなり、整流電流i3に応じて二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間、およびFETのゲート−ソース間に印加される整流電圧V3も高くなる。これにより、パルス信号出力回路10では、二次側コンデンサ16がより大きな整流電流i3によって充電されるとともに、FET18のゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。
その後、パルス信号出力回路10では、一次側電圧V1が直列共振の振動によって電圧値が上昇し、タイミングt13において、二次側電圧V2が整流部15に備えたダイオードD(より具体的には、ダイオードD2またはダイオードD3)の順方向電圧以下になると、それぞれのダイオードDはオフの状態となる。これにより、パルス信号出力回路10では、タイミングt11のときと同様に、整流部15が全波整流した整流電流i3の電流値が電流値=0Aとなって、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間に整流電流i3が流れなくなる。このため、パルス信号出力回路10では、タイミングt11のときと同様に、整流電流i3に応じた整流電圧V3(FET18のゲート−ソース間の電圧)の上昇も止まる。しかし、パルス信号出力回路10では、タイミングt13において整流部15が全波整流した整流電流i3が流れなくなっても、タイミングt11のときと同様に、二次側コンデンサ16と二次側抵抗17との構成によって二次側コンデンサ16が蓄積している電荷を放電し、FET18のオン状態が維持される。これにより、パルス信号出力回路10では、タイミングt11のときと同様に、出力するパルス信号の“Low”レベルが維持される。
このようにしてパルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっているときに、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。なお、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングは、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっているタイミングであれば、いずれのタイミングでもよい。すなわち、逆極性であればピーク以外でもよく、また一次側電圧V1の振動が2周期目以降のときのタイミングであってもよい。しかし、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くする、つまり、パルストランス14の二次側コイルが発生する二次側電圧V2の電圧値をより高くするために、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっているピークのタイミングにする。さらには、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを、一次側電圧V1の振動波形が最初に逆極性になったピークのタイミングにする。これは、一次側電圧V1の振動波形における最初の逆極性のピークのタイミングは、一次側電圧V1の電圧値が逆極性で最も高くなっているからである。
パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えた後、次にそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える予め設定されている時間のタイミングとなるまでの時間を計時する。そして、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例では、一次側電圧V1の振動波形が最初に逆極性になり、さらにピークとなるタイミング(タイミングt12のタイミング)を、次にそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える時間として設定している。このため、切り替えタイミング制御部13は、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えたタイミングt10から、予め設定されている、一次側電圧V1の振動波形が最初の逆極性のピークとなるタイミング(タイミングt12のタイミング)までの時間を計時する。この切り替えタイミング制御部13が計時するために予め設定する時間(ここでは、一次側電圧V1の振動波形の最初の逆極性においてピークとなるまでの時間)は、一次側電圧V1が振動する条件に基づいて、予め求めて設定しておくことができる。
より具体的には、パルス信号出力回路10において一次側電圧V1が振動する周波数(振動周波数)は、パルストランス14の一次側コイルのインダクタンス値と一次側コンデンサ12の容量値とによって決まり、一次側電圧V1の振動が減衰する度合いは、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオン抵抗値および一次側コイルの抵抗値によって決まる。このため、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の一次側コイルのインダクタンス値と一次側コンデンサ12の容量値とに基づいて、一次側電圧V1の振動波形において最初の逆極性のピークとなるまでの時間(タイミングt12において最初の逆極性のピークとなるまでの時間)を予め算出しておくことによって、算出した時間を、切り替えタイミング制御部13がスイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングとして予め設定しておくことができる。
さらに具体的には、一次側電圧V1の振動周波数f0は、下式(1)によって求めることができる。そして、一次側電圧V1の振動波形が最初に逆極性となり、さらにピークとなるまでの時間(タイミングt10からt12までの時間)は、一次側電圧V1の振動周波数f0から求められる一次側電圧V1の振動の周期における1/4の時間である。このため、パルス信号出力回路10では、下式(2)によって、一次側電圧V1の振動波形が最初に逆極性となり、さらにピークとなるまでの時間を、切り替えタイミング制御部13がそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える時間(切り替え時間)Tとして求める。
上式(1)および上式(2)において、Lはパルストランス14の一次側コイルのインダクタンス値、Cは一次側コンデンサ12の容量値である。なお、切り替え時間Tは、1/4の時間の場合について求めたが、それ以外でも一次側電圧V1が逆極性になっている状態(例えば、ピーク以外や一次側電圧V1の振動が2周期目以降)において求めてもよい。
パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えた後(例えばタイミングt10のとき)、上式(2)によって求めた切り替え時間Tとなるまでの時間を計時する。そして、切り替えタイミング制御部13は、計時している時間が切り替え時間Tの時間となったとき(例えばタイミングt12のとき)に、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。これにより、パルス信号出力回路10では、上述したように、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができる。このことにより、パルス信号出力回路10では、パルス信号を生成するFET18のゲート端子に対する駆動電圧を高くすることができる。
なお、図2では、パルス信号出力回路10がパルス信号を出力する際に、切り替えタイミング制御部13が、パルス信号の1周期の始まりのタイミング(タイミングt0およびタイミングt2)において、スイッチS1およびスイッチS4をオフからオンに切り替え、スイッチS2およびスイッチS3をオンからオフに切り替えた。これにより、パルス信号出力回路10では、パルス信号出力回路10の一次側の回路に正方向→負方向の順番に一次側電流i1を流すことによって、“Low”レベルのパルス信号を出力した。しかし、パルス信号出力回路10がパルス信号を出力する際に、切り替えタイミング制御部13が、それぞれのスイッチSを制御する(切り替える)順番、つまり、パルス信号出力回路10の一次側の回路に正方向および負方向の一次側電流i1を流す順番は、図2に示した順番に限定されるものではない。すなわち、パルス信号出力回路10では、パルス信号の1周期の始まりのタイミングで切り替えタイミング制御部13が、スイッチS2およびスイッチS3をオフからオンに切り替え、スイッチS1およびスイッチS4をオンからオフに切り替えてもよい。これにより、パルス信号出力回路10では、パルス信号出力回路10の一次側の回路に負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す。この場合でもパルス信号出力回路10は、“Low”レベルのパルス信号を出力することができる。
ここで、パルス信号出力回路10の一次側の回路に負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合の動作について説明する。パルス信号出力回路10の一次側の回路に負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合も、切り替えタイミング制御部13は、振動している一次側電圧V1の状態に基づいて、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっている予め設定された時間となったタイミングのときに、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。なお、この場合のパルス信号出力回路10における全体の動作は、図2に示したパルス信号出力回路10の全体の動作において、それぞれのスイッチSのオンまたはオフの状態、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1(パルストランス14の二次側コイルの二次側電圧V2)、およびパルストランス14の二次側コイルに発生する二次側電流i2のそれぞれの波形の極性を逆にすることによって容易に考えることができる。従って、パルス信号出力回路10の一次側の回路に負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合におけるパルス信号出力回路10の全体の動作に関する詳細な説明は省略し、この場合に切り替えタイミング制御部13がスイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミング(スイッチの1周期におけるタイミング)についてのみを図4を用いて説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態のパルス信号出力回路10においてスイッチ部11内のスイッチSを切り替える別のタイミングの一例を説明する波形図である。図4に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例は、パルス信号出力回路10が“Low”レベルのパルス信号を出力するときに切り替えタイミング制御部13が、パルス信号出力回路10の一次側の回路に負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流すようにスイッチSのオンまたはオフを切り替える場合の一例である。図4に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例も、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例と同様に、パルス信号出力回路10が“Low”レベルのパルス信号を出力するときに切り替えタイミング制御部13がオンまたはオフを切り替えるスイッチSの1周期分の一例である。なお、図4にも、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例と同様に、パルス信号出力回路10の二次側の回路の動作の一部も合わせて示している。図4にも、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフの状態と、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1と、パルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1と、パルストランス14が二次側コイルに発生した二次側電圧V2に応じて流れる二次側電流i2を整流部15が全波整流した整流電流i3と、整流電流i3に応じた整流電圧V3と、FET18のオンまたはオフの状態とのそれぞれの波形(信号)およびレベルを模式的に示している。
なお、図4に示した一次側コイルの一次側電圧V1の波形も、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例と同様に、パルストランス14の二次側コイルが発生した二次側電圧V2の波形であるともいえる。従って、以下の説明においても、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例と同様に、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1の波形と二次側コイルの二次側電圧V2の波形とを、適宜言い換えて説明する。
パルス信号出力回路10が“Low”レベルのパルス信号を出力するときに、タイミングt10において、切り替えタイミング制御部13が、制御信号CPによってスイッチS1およびスイッチS4をオンからオフに切り替え、制御信号CNによってスイッチS2およびスイッチS3をオフからオンに切り替える。すると、パルス信号出力回路10の一次側の回路には、上述したように、直流電源PSが出力する電圧Vsが印加され、スイッチ部11内のスイッチS3、一次側コンデンサ12、パルストランス14の一次側コイル(第2の端子B1から第1の端子A1の方向)、およびスイッチ部11内のスイッチS2の経路で負方向の一次側電流i1が流れる。これにより、パルストランス14の一次側コイルには、電圧値=−2Vsの一次側電圧V1が印加される。この一次側電圧V1の波形も、パルストランス14の一次側コイルのインダクタンス成分と一次側コンデンサ12によって構成される直列共振回路によって振動波形となる。なお、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1に応じてパルストランス14の二次側コイルに発生する二次側電圧V2の波形も、振動波形である。
そして、上述したように、パルス信号出力回路10の二次側の回路では、パルストランス14の二次側コイルに発生した二次側電圧V2に応じて流れる二次側電流i2を整流部15が全波整流した整流電流i3が流れる。この整流電流i3は、整流部15によって全波整流されていることにより、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例と同様の方向に流れる電流である。つまり、パルス信号出力回路10の二次側の回路において整流電流i3は、正方向→負方向の順番に一次側電流i1を流す場合と同じ方向に流れる。従って、パルス信号出力回路10の二次側の回路では、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間、およびFETのゲート−ソース間に、正方向→負方向の順番に一次側電流i1を流す場合と同じ方向に整流電圧V3が印加される。これにより、パルス信号出力回路10では、正方向→負方向の順番に一次側電流i1を流す場合と同様に、二次側コンデンサ16が整流電流i3によって充電されるとともに、FET18がゲート−ソース間に印加された整流電圧V3によってオン状態となって、受信計器REに“Low”レベルのパルス信号が伝送される。
その後、パルス信号出力回路10では、一次側電圧V1が直列共振の振動によって電圧値が上昇し、タイミングt11において、二次側電圧V2が整流部15に備えたダイオードD(より具体的には、ダイオードD2またはダイオードD3)の順方向電圧以下になると、それぞれのダイオードDはオフの状態となる。これにより、パルス信号出力回路10では、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例と同様に、整流部15が全波整流した整流電流i3の電流値が電流値=0Aとなって、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間に整流電流i3が流れなくなる。このため、パルス信号出力回路10では、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例と同様に、整流電流i3に応じた整流電圧V3(FET18のゲート−ソース間の電圧)の上昇も止まる。パルス信号出力回路10では、整流部15が全波整流した整流電流i3が流れなくなると、正方向→負方向の順番に一次側電流i1を流す場合と同様に、二次側コンデンサ16と二次側抵抗17との構成によって二次側コンデンサ16が蓄積している電荷を放電し、FET18はオン状態を維持して、出力するパルス信号の“Low”レベルが維持される。
なお、パルス信号出力回路10において切り替えタイミング制御部13は、タイミングt10から、予め設定されている時間、つまり、切り替え時間Tになった否かを判断するための時間の計時を開始している。ここで、切り替え時間Tは、上式(2)によって求めた時間である。そして、切り替えタイミング制御部13は、計時している時間が切り替え時間Tの時間となったタイミングt12のときに、制御信号CPによってスイッチS1およびスイッチS4をオフからオンに切り替え、制御信号CNによってスイッチS2およびスイッチS3をオンからオフに切り替える。このタイミングt12のときの一次側電圧V1は、図4に示したように、タイミングt11以降も引き続き電圧値が上昇し、正方向に電圧値=Vaだけ高い電圧となっている。このため、一次側電圧V1は、切り替えタイミング制御部13がそれぞれのスイッチSを切り替えることによって、正方向に電圧値=V+Vaとなり、電圧値=Vaの分だけ正方向に高くなる。なお、図4でも、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例と同様に、一次側電圧V1の振動波形が最初の逆極性のピークとなるタイミングを、タイミングt12としている。
その後、パルス信号出力回路10では、一次側電圧V1が直列共振の振動によって電圧値が下降し、タイミングt13において、二次側電圧V2が整流部15に備えたダイオードD(より具体的には、ダイオードD1またはダイオードD4)の順方向電圧以下になると、それぞれのダイオードDはオフの状態となる。これにより、パルス信号出力回路10では、タイミングt11のときと同様に、整流部15が全波整流した整流電流i3の電流値が電流値=0Aとなって、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間に整流電流i3が流れなくなり、整流電流i3に応じた整流電圧V3(FET18のゲート−ソース間の電圧)の上昇も止まる。しかし、パルス信号出力回路10では、タイミングt13において整流部15が全波整流した整流電流i3が流れなくなっても、タイミングt11のときと同様に、二次側コンデンサ16と二次側抵抗17との構成によって二次側コンデンサ16が蓄積している電荷を放電し、FET18のオン状態が維持される。これにより、パルス信号出力回路10では、タイミングt11のときと同様に、出力するパルス信号の“Low”レベルが維持される。
このように、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合でも、タイミングt12のときにそれぞれのスイッチSを切り替えることによって、図3に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例と同様に動作する。このため、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合でも、スイッチSを切り替えたことによる一次側電圧V1の電圧値は、一次側電圧V1の極性が負方向であるときや、電圧値=0VであるときにそれぞれのスイッチSを切り替える場合よりも高くすることができる。これにより、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合でも、パルストランス14の一次側コイルや一次側コンデンサ12に流れる一次側電流i1がより大きくなり、パルストランス14の二次側コイルが発生する二次側電圧V2もより高くなる。従って、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合でも、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができる。このため、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合でも、パルストランス14の二次側コイルが発生した二次側電圧V2に応じて流れる二次側電流i2や、整流部15が全波整流した整流電流i3も大きくなり、整流電流i3に応じて二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間、およびFETのゲート−ソース間に印加される整流電圧V3も高くなる。これにより、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合でも、二次側コンデンサ16がより大きな整流電流i3によって充電されるとともに、FET18のゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。
このように、パルス信号出力回路10では、一次側電流i1を流し始める方向(流す方向の順番)にかかわらず、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっているときに、切り替えタイミング制御部13がスイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。これにより、パルス信号出力回路10では、一次側電流i1を流し始める方向にかかわらず、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができ、FET18のゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。
さらに、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを、一次側電圧V1の振動波形が逆極性のピークとなるタイミングにすることによって、スイッチSのオンまたはオフを切り替える前の逆極性の電圧値=Vaの分だけ、スイッチSのオンまたはオフを切り替えた後の一次側電圧V1を高い電圧にすることができる。しかも、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13が、パルストランス14の一次側コイルのインダクタンス値と一次側コンデンサ12の容量値とに基づいて算出しておいた切り替え時間Tをタイマー回路やCPUなどの簡易な計時回路で計時することによって、一次側電圧V1の振動波形において最初の逆極性のピークとなるタイミングで、スイッチSのオンまたはオフを切り替えることができる。これにより、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率をより高くすることができ、FET18のゲート端子の駆動電圧をより高くすることができる。このことにより、パルス信号出力回路10では、直流電源PSが出力する電圧Vsを下げるなどによってパルス信号出力回路10の省電力化を実現することができる。また、パルス信号出力回路10では、例えば、スレッショルド電圧が低いFETの使用や、順方向電圧が低いダイオードを使用して整流部を構成することができるなど、パルス信号出力回路10を構成する部品に対する制約を緩和して、部品の選定を容易にすることができる。
なお、パルス信号出力回路10では、切り替えタイミング制御部13がそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを表す時間(切り替え時間T)を、パルストランス14の一次側コイルのインダクタンス値と一次側コンデンサ12の容量値とに基づいて予め求めて設定しておいた。つまり、パルス信号出力回路10では、パルス信号出力回路10の一次側の回路における一次側電圧V1の振動波形が、最初に逆極性になり、さらにピークとなるまでの時間を予め算出しておいた。そして、パルス信号出力回路10は、切り替えタイミング制御部13が、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えたタイミング(タイミングt10)から時間を計時し、計時している時間が切り替え時間Tの時間となったタイミング(タイミングt12)のときを、次にそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングとする構成である場合について説明した。しかし、本発明のパルス信号出力回路は、次にそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを予め設定されている時間を計時することによって定める構成に限定されるものではなく、本発明のパルス信号出力回路が、次にそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出する構成にしてもよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態におけるパルス信号出力回路の構成を示した構成図である。パルス信号出力回路20は、スイッチ部11と、一次側コンデンサ12と、切り替えタイミング制御部23と、パルストランス14と、整流部15と、二次側コンデンサ16と、二次側抵抗17と、FET18とを備えている。また、切り替えタイミング制御部23は、タイミング検出回路231を備えている。なお、図5には、パルス信号出力回路20に接続される直流電源PSと受信計器REとも併せて示している。
パルス信号出力回路20は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10に備えた切り替えタイミング制御部13が、切り替えタイミング制御部23に代わった構成である。その他のパルス信号出力回路20の構成要素は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素である。従って、以下の説明においては、パルス信号出力回路20の構成要素において、第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、その構成要素に関する詳細な説明は省略する。
パルス信号出力回路20も、パルス信号出力回路10と同様に、接続されている直流電源PSから供給された電流を一次側電流i1として流す方向をスイッチ部11によって切り替えることによってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。パルス信号出力回路20も、パルス信号出力回路10と同様に、例えば、フィールド機器に用いられる。
パルス信号出力回路20も、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14によって、一次側の回路と二次側の回路とを直流的に絶縁している。パルス信号出力回路20も、パルス信号出力回路10と同様に、一次側の回路において、接続されている直流電源PSから供給された電流を一次側電流i1としてパルストランス14の一次側コイルに流す。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14が、二次側コイルの第1の端子A2と第2の端子B2との間に、一次側コイルの第1の端子A1と第2の端子B1との間の一次側電圧V1に応じた二次側電圧V2を発生させる。そして、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、二次側の回路において、パルストランス14の二次側コイルに発生した二次側電流i2を整流し、整流した整流電流i3に応じた整流電圧V3に基づいてパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。
パルス信号出力回路20では、スイッチ部11と、一次側コンデンサ12と、切り替えタイミング制御部23と、パルストランス14の一次側コイルとによって一次側の回路を構成している。パルス信号出力回路20の一次側の回路では、パルストランス14の一次側コイルの第1の端子A1(スイッチ部11の第1の出力端子)が、切り替えタイミング制御部23に備えたタイミング検出回路231に接続されている。なお、タイミング検出回路231には、パルストランス14の一次側コイルの第1の端子A1(スイッチ部11の第1の出力端子)の代わりに、パルストランス14の一次側コイルの第2の端子B1(一次側コンデンサ12の第1の端子)、または一次側コンデンサ12の第2の端子(スイッチ部11の第2の出力端子)が接続されてもよい。パルス信号出力回路20の一次側の回路におけるその他の接続、つまり、パルス信号出力回路20の一次側の回路を構成するそれぞれの構成要素の接続は、パルス信号出力回路10の一次側の回路におけるそれぞれの構成要素の接続と同一である。
切り替えタイミング制御部23は、パルス信号出力回路10に備えた切り替えタイミング制御部13と同様に、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSを制御する。ただし、切り替えタイミング制御部23では、タイミング検出回路231が、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出する。
タイミング検出回路231は、接続されているパルストランス14の一次側コイルの第1の端子A1(スイッチ部11の第1の出力端子)から、パルストランス14の一次側コイルに印加された一次側電圧V1の電圧値を取得して観測(モニター)する。タイミング検出回路231は、取得して観測した一次側電圧V1の電圧値に基づいて、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出する。
タイミング検出回路231の構成、つまり、タイミング検出回路231がそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出する方法としては、様々な構成(方法)が考えられる。例えば、タイミング検出回路231は、積分回路で構成されてもよい。積分回路は、抵抗とコンデンサとを用いて実現することができる。この場合、タイミング検出回路231は、取得した一次側電圧V1の電圧値を積分(積算)し、その積分値に基づいて、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出する。より具体的には、タイミング検出回路231は、一次側電圧V1の両方の極性、つまり、正方向および負方向を含めて、取得した一次側電圧V1の電圧値を積分(積算)する。そして、タイミング検出回路231は、一次側電圧V1の電圧値を積分した積分値(積算値)が“0”(例えば、積分回路の出力電圧=0V)になったタイミングを検出する。この一次側電圧V1の電圧値の積分値が“0”になるタイミングは、パルストランスの一次側のインダクタンス成分と一次側コンデンサとの直列共振によって振動している一次側電圧V1の振動波形が、逆極性のピークとなるタイミングに非常に近いタイミングであると考えられる。そして、タイミング検出回路231は、積分値が“0”になるタイミングを検出することによって、例えば、一次側電圧V1の振動波形が変動した場合でも、逆極性のピークとなるタイミングに非常に近いタイミングを、スイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングとして検出することができると考えられる。
また、例えば、タイミング検出回路231は、微分回路で構成されてもよい。微分回路は、コンデンサと抵抗とを用いて実現することができる。この場合、タイミング検出回路231は、取得して観測した一次側電圧V1の電圧値を微分することによって、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出する。より具体的には、タイミング検出回路231は、一次側電圧V1の両方の極性を含めて取得した一次側電圧V1の電圧値を微分することによって一次側電圧V1の振動波形の傾きを求める。そして、タイミング検出回路231は、一次側電圧V1の電圧値を微分して求めた一次側電圧V1の振動波形の傾きが“0”(例えば、微分回路の出力電圧=0V)になったタイミングを検出する。この一次側電圧V1の振動波形の傾きが“0”になるタイミングは、振動している一次側電圧V1の振動波形が、逆極性のピークとなるタイミングに非常に近いタイミングであると考えられる。そして、タイミング検出回路231は、傾きが“0”になるタイミングを検出することによって、例えば、一次側電圧V1の振動波形が変動した場合でも、逆極性のピークとなるタイミングに非常に近いタイミングを、スイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングとして検出することができると考えられる。
このような構成(方法)によって、タイミング検出回路231は、振動している一次側電圧V1の振動波形における逆極性のピークに相当するタイミングを、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングとして検出する。そして、タイミング検出回路231は、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出したときに、このことを通知する。
切り替えタイミング制御部23は、タイミング検出回路231からスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出したことが通知されたとき(例えば、タイミング検出回路231が積分回路で構成されている場合、一次側電圧V1の電圧値の積分値が“0”になったとき)に、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるための制御信号Cを、スイッチ部11に備えた対応するスイッチSに出力する。なお、切り替えタイミング制御部23がそれぞれのスイッチSに出力する制御信号Cは、パルス信号出力回路10に備えた切り替えタイミング制御部13と同様である。これにより、パルス信号出力回路20の一次側の回路では、タイミング検出回路231が取得して観測した一次側電圧V1の電圧値に基づいて検出したタイミングのときに、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフが切り替えられて、スイッチ部11に接続された直流電源PSから供給された電流を一次側電流i1としてパルストランス14の一次側コイルに流す際の方向が切り替えられる(反転される)。なお、切り替えタイミング制御部23がスイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングに関しては、後述する。
また、パルス信号出力回路20では、パルストランス14の二次側コイルと、整流部15と、二次側コンデンサ16と、二次側抵抗17と、FET18とによって二次側の回路を構成している。パルス信号出力回路20の二次側の回路の構成は、パルス信号出力回路10二次側の回路の構成と同様である。従って、パルス信号出力回路20の二次側の回路の構成および動作に関する詳細な説明は省略する。
このような構成によってパルス信号出力回路20は、接続されている直流電源PSから供給された電流を一次側電流i1として流す方向を切り替えるタイミングを検出する。そして、パルス信号出力回路20は、検出したタイミングのときに、パルス信号出力回路10と同様に、直流電源PSから供給された電流を一次側電流i1として流す方向をスイッチ部11で切り替えることによってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。
次に、パルス信号出力回路20における動作について説明する。なお、パルス信号出力回路20における全体の動作は、パルス信号出力回路10と同様である。つまり、パルス信号出力回路20における全体の動作は、パルス信号出力回路20が一次側の回路に流す一次側電流i1の方向に応じて、図2に示したパルス信号出力回路10の全体の動作におけるそれぞれのスイッチSのオンまたはオフの状態や、一次側電圧V1(二次側電圧V2)、二次側電流i2のそれぞれの波形の極性を合わせることによって容易に考えることができる。従って、パルス信号出力回路20の全体の動作に関する詳細な説明は省略し、パルス信号出力回路20に備えた切り替えタイミング制御部23やタイミング検出回路231の動作に着目して、切り替えタイミング制御部23がスイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミング(スイッチの1周期におけるタイミング)についてのみを図6を用いて説明する。なお、図5に示したパルス信号出力回路20において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向は、図1に示したパルス信号出力回路10において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向と同様に、正方向である。
図6は、本発明の第2の実施形態のパルス信号出力回路20においてスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例を説明する波形図である。図6に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例は、切り替えタイミング制御部23に備えたタイミング検出回路231が積分回路で構成されている場合において、パルス信号出力回路20が“Low”レベルのパルス信号を出力するときに切り替えタイミング制御部23がオンまたはオフを切り替えるスイッチSの1周期分の一例である。つまり、図6に示したスイッチ部11内のスイッチSを切り替えるタイミングの一例は、切り替えタイミング制御部23に備えたタイミング検出回路231が、取得した一次側電圧V1の電圧値を積分して、積分値が“0”になったタイミングを、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングとして検出する場合の一例である。図6には、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフの状態と、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1と、タイミング検出回路231が一次側電圧V1の電圧値を積分した積分値の変移の状態とのそれぞれの波形(信号)およびレベルを模式的に示している。
なお、パルス信号出力回路20においても、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14が、一次側電圧V1に応じた二次側電圧V2を二次側コイルに発生させる。このため、図6に示した一次側コイルの一次側電圧V1の波形は、電圧値が異なるが、パルストランス14の二次側コイルが発生した二次側電圧V2の波形であるともいえる。従って、以下の説明においても、パルス信号出力回路10におけるそれぞれの動作の一例の説明と同様に、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1の波形と二次側コイルの二次側電圧V2の波形とを、適宜言い換えて説明する。
パルス信号出力回路20が“Low”レベルのパルス信号を出力するときに、タイミングt20において、切り替えタイミング制御部23が、制御信号CPによってスイッチS1およびスイッチS4をオフからオンに切り替え、制御信号CNによってスイッチS2およびスイッチS3をオンからオフに切り替える。すると、パルス信号出力回路20の一次側の回路にも、直流電源PSが出力する電圧Vsが印加され、スイッチ部11内のスイッチS1、パルストランス14の一次側コイル(第1の端子A1から第2の端子B1の方向)、一次側コンデンサ12、およびスイッチ部11内のスイッチS4の経路で正方向の一次側電流i1が流れる。これにより、パルストランス14の一次側コイルには、パルス信号出力回路10と同様に、電圧値=+2Vsの一次側電圧V1が印加される。パルス信号出力回路20においても、パルス信号出力回路10と同様に、一次側電圧V1の波形は、パルストランス14の一次側コイルのインダクタンス成分と一次側コンデンサ12によって構成される直列共振回路によって振動波形となる。
このとき、パルス信号出力回路20の二次側の回路も、パルス信号出力回路10の二次側の回路と同様に動作する。つまり、パルストランス14の二次側コイルが、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1に応じた二次側電圧V2を発生させる。なお、パルス信号出力回路20においても、パルストランス14の二次側コイルが発生する二次側電圧V2の波形は、パルス信号出力回路10と同様に、振動波形である。そして、パルス信号出力回路20の二次側の回路でも、パルス信号出力回路10の二次側の回路と同様に、パルストランス14の二次側コイルに発生した二次側電圧V2に応じて流れる二次側電流i2を整流部15が全波整流した整流電流i3が流れ、整流電流i3に応じた整流電圧V3が、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間、およびFETのゲート−ソース間に印加される。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、二次側コンデンサ16が整流電流i3によって充電されるとともに、FET18がゲート−ソース間に印加された整流電圧V3によってオン状態となって、受信計器REに“Low”レベルのパルス信号が伝送される。
その後、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、一次側電圧V1が直列共振の振動によって電圧値が下降する。このときのパルス信号出力回路20の二次側の回路も、パルス信号出力回路10の二次側の回路と同様に動作する。つまり、パルス信号出力回路20の一次側の回路において一次側電圧V1の電圧値が下降したことにより、パルス信号出力回路20の二次側の回路において、二次側電圧V2が整流部15に備えたダイオードD(より具体的には、ダイオードD1またはダイオードD4)の順方向電圧以下になると、それぞれのダイオードDはオフの状態となる。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、整流部15が全波整流した整流電流i3の電流値が電流値=0Aとなって、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間に整流電流i3が流れなくなる。このため、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、整流電流i3に応じた整流電圧V3、つまり、FET18のゲート−ソース間の電圧の上昇も止まる。パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、整流部15が全波整流した整流電流i3が流れなくなると、二次側コンデンサ16と二次側抵抗17との構成によって二次側コンデンサ16が蓄積している電荷を放電し、FET18はオン状態を維持する。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、出力するパルス信号の“Low”レベルが維持される。
また、パルス信号出力回路20では、パルス信号出力回路20に備えたタイミング検出回路231が、タイミングt20から、一次側電圧V1の電圧値の積分(積算)を開始している。これにより、タイミング検出回路231が積分した一次側電圧V1の電圧値の積分値は、電圧値=+2Vsの一次側電圧V1によって増加し、その後、一次側電圧V1の電圧値が下降したことにより、電圧値=−2Vsの一次側電圧V1によって減少していく。そして、タイミング検出回路231は、一次側電圧V1の電圧値の積分値が“0”となったタイミングt21のときに、それぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出したときに、このことを通知する。これにより、切り替えタイミング制御部23は、制御信号CPによってスイッチS1およびスイッチS4とのそれぞれのスイッチSをオンからオフに切り替え、制御信号CNによってスイッチS2およびスイッチS3とのそれぞれのスイッチSをオフからオンに切り替える。このタイミングt21のときの一次側電圧V1は、図6に示したように、負方向に電圧値=Vaだけ高い電圧となっている。このため、一次側電圧V1は、切り替えタイミング制御部23がそれぞれのスイッチSを切り替えることによって、負方向に電圧値=V+Vaとなり、電圧値=Vaの分だけ負方向に高くなる。
その後、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、一次側電圧V1が直列共振の振動によって電圧値が上昇する。このときのパルス信号出力回路20の二次側の回路も、パルス信号出力回路10の二次側の回路と同様に動作する。つまり、パルス信号出力回路20の一次側の回路において一次側電圧V1の電圧値が下降したことにより、パルス信号出力回路20の二次側の回路において、二次側電圧V2が整流部15に備えたダイオードD(より具体的には、ダイオードD2またはダイオードD3)の順方向電圧以下になると、それぞれのダイオードDはオフの状態となる。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、整流部15が全波整流した整流電流i3の電流値が電流値=0Aとなって、二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間に整流電流i3が流れなくなり、整流電流i3に応じた整流電圧V3(FET18のゲート−ソース間の電圧)の上昇も止まる。しかし、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、整流部15が全波整流した整流電流i3が流れなくなっても、二次側コンデンサ16と二次側抵抗17との構成によって二次側コンデンサ16が蓄積している電荷を放電し、FET18のオン状態が維持される。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、出力するパルス信号の“Low”レベルが維持される。
このように、パルス信号出力回路20では、切り替えタイミング制御部23が、タイミングt20においてそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えた後、タイミング検出回路231が検出したスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングであるタイミングt21のときに、それぞれのスイッチSを切り替える。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、スイッチSを切り替えたことによる一次側電圧V1の電圧値は、一次側電圧V1の極性が正方向であるときや、電圧値=0VであるときにそれぞれのスイッチSを切り替える場合よりも高くすることができる。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14の一次側コイルや一次側コンデンサ12に流れる一次側電流i1がより大きくなり、パルストランス14の二次側コイルが発生する二次側電圧V2もより高くなる。言い換えれば、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができる。このため、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14の二次側コイルが発生した二次側電圧V2に応じて流れる二次側電流i2や、整流部15が全波整流した整流電流i3も大きくなり、整流電流i3に応じて二次側コンデンサ16のそれぞれの端子間、二次側抵抗17のそれぞれの端子間、およびFETのゲート−ソース間に印加される整流電圧V3も高くなる。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、二次側コンデンサ16がより大きな整流電流i3によって充電されるとともに、FET18のゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。
なお、図6では、パルス信号出力回路20がパルス信号を出力する際に、切り替えタイミング制御部23が、パルス信号出力回路20の一次側の回路に正方向→負方向の順番に一次側電流i1を流すことによって、“Low”レベルのパルス信号を出力した。しかし、パルス信号出力回路20においても、パルス信号出力回路10と同様に、パルス信号出力回路20の一次側の回路に負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合でも、“Low”レベルのパルス信号を出力することができる。この場合の切り替えタイミング制御部23およびタイミング検出回路231の動作は、図6に示したパルス信号出力回路20の動作において、それぞれのスイッチSのオンまたはオフの状態、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1、およびタイミング検出回路231が一次側電圧V1の電圧値を積分した積分値の変移の状態のそれぞれの波形の極性を逆にすることによって容易に考えることができる。従って、パルス信号出力回路20の一次側の回路に負方向→正方向の順番に一次側電流i1を流す場合におけるパルス信号出力回路20の動作に関する詳細な説明は省略する。
このように、パルス信号出力回路20では、切り替えタイミング制御部23に備えたタイミング検出回路231が、パルストランス14の一次側コイルに印加された一次側電圧V1の電圧値を取得し、取得した一次側電圧V1の電圧値に基づいて、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングを検出する。このとき、タイミング検出回路231は、一次側電流i1を流し始める方向(流す方向の順番)にかかわらず、一次側電圧V1の振動波形が逆極性のピークとなるタイミングに非常に近いタイミングを検出する。そして、パルス信号出力回路20では、切り替えタイミング制御部23が、タイミング検出回路231が検出したスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングのときに、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。これにより、パルス信号出力回路20でも、パルス信号出力回路10と同様に、一次側電流i1を流し始める方向にかかわらず、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができ、FET18のゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。
しかも、パルス信号出力回路20では、切り替えタイミング制御部23に備えたタイミング検出回路231が、取得して観測した一次側電圧V1の電圧値に基づいて、一次側電圧V1の振動波形において最初の逆極性のピークとなるタイミングを、スイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングとしてより確実に検出することができる。これにより、パルス信号出力回路20では、パルス信号出力回路10と同様の効果に加えて、パルス信号出力回路20を構成するそれぞれの部品の温度上昇による部品の定数の変化に対する耐性の向上や、部品の定数のばらつきによる影響に対する耐性の向上などを実現することができる。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、パルス信号出力回路に切り替えタイミング制御部を備える。そして、本発明を実施するための形態では、切り替えタイミング制御部が、一次側の回路の電圧の振動波形が逆極性になっているときに、スイッチ部に備えたそれぞれのスイッチのオンまたはオフを切り替える。これにより、本発明を実施するための形態では、パルス信号出力回路に備えたパルストランスの一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができ、二次側の回路に備えられ、ゲート端子に印加された電圧に応じたオンまたはオフの状態によってパルス信号を生成して出力するFETのゲート端子に対する駆動電圧を高くすることができる。
また、本発明を実施するための形態では、切り替えタイミング制御部が、一次側の回路の電圧の振動波形が逆極性のピークとなるタイミングで、スイッチ部に備えたそれぞれのスイッチのオンまたはオフを切り替える。これにより、本発明を実施するための形態では、スイッチのオンまたはオフを切り替えた後の一次側の回路の電圧を、スイッチのオンまたはオフを切り替える前の逆極性のピークの電圧値の分だけ高い電圧にすることができる。これにより、本発明を実施するための形態では、パルス信号出力回路に備えたパルストランスの一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率をより高くすることができ、パルス信号を生成して出力するFETのゲート端子に対する駆動電圧をより高くすることができる。
なお、本発明を実施するための形態における構成を適用することができるパルス信号出力回路の基本的な構成、つまり、切り替えタイミング制御部以外の構成は、本発明を実施するための形態に示した構成に限定されるものではない。すなわち、切り替えタイミング制御部を備えることによって、パルストランスの一次側コイルに印加された電圧の振動波形が逆極性になっているときにスイッチのオンまたはオフを切り替えてパルス信号を出力する構成とすることができるパルス信号出力回路の基本的な構成は、本発明を実施するための形態に示した構成と異なる構成であってもよい。
<第1の変形例>
ここで、切り替えタイミング制御部を備えた他の構成のパルス信号出力回路について説明する。図7は、本発明の第1の変形例におけるパルス信号出力回路の構成を示した構成図である。パルス信号出力回路30は、スイッチ部11と、一次側抵抗31と、一次側コンデンサ12と、切り替えタイミング制御部13と、パルストランス14と、整流部15と、二次側コンデンサ16と、二次側抵抗17と、FET18とを備えている。なお、図7には、パルス信号出力回路30に接続される直流電源PSと受信計器REとも併せて示している。また、図7に示したパルス信号出力回路30において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向は、図1に示したパルス信号出力回路10において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向と同様に、正方向である。
パルス信号出力回路30は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10に、一次側抵抗31が追加された構成である。その他のパルス信号出力回路30の構成要素は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素である。従って、以下の説明においては、パルス信号出力回路30の構成要素において、第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、その構成要素に関する詳細な説明は省略する。
パルス信号出力回路30も、パルス信号出力回路10やパルス信号出力回路20と同様に、接続されている直流電源PSから供給された一次側電流i1を流す方向をスイッチ部11によって切り替えることによってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。パルス信号出力回路30も、パルス信号出力回路10やパルス信号出力回路20と同様に、例えば、フィールド機器に用いられる。
パルス信号出力回路30では、パルス信号出力回路10の一次側の回路に対して、スイッチ部11とパルストランス14の一次側コイルとの間に一次側抵抗31を追加して、一次側の回路を構成している。より具体的には、パルス信号出力回路30の一次側の回路では、一次側抵抗31の第1の端子がスイッチ部11の第1の出力端子に接続され、一次側抵抗31の第2の端子がパルストランス14の一次側コイルの第1の端子A1に接続されている。なお、一次側抵抗31は、1つの抵抗による構成に限定されるものではなく、複数の抵抗によって構成してもよい。また、パルス信号出力回路30の一次側の回路において一次側抵抗31を配置する位置は、スイッチ部11がパルストランス14に一次側電流i1を流す経路内であれば、いずれの位置であってもよい。パルス信号出力回路30の一次側の回路におけるその他の接続、つまり、パルス信号出力回路30の一次側の回路を構成するそれぞれの構成要素の接続は、パルス信号出力回路10の一次側の回路におけるそれぞれの構成要素の接続と同一である。
パルス信号出力回路30では、一次側抵抗31によって、パルストランス14の一次側コイルと一次側コンデンサ12との直列共振によるパルストランス14の一次側コイルに印加された一次側電圧V1および一次側電流i1の振動を、パルス信号出力回路10やパルス信号出力回路20よりも抑えることができる。つまり、パルス信号出力回路30では、一次側抵抗31によって一次側電圧V1および一次側電流i1の振動を早く収束させることができる。より具体的には、パルス信号出力回路10やパルス信号出力回路20では、一次側電圧V1の振動が減衰する度合いが、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオン抵抗値によって決まる。パルス信号出力回路30では、それぞれのスイッチSのオン抵抗値と一次側抵抗31の抵抗値とよって、一次側電圧V1の振動が減衰する度合いが決まる。このため、パルス信号出力回路30において、一次側の回路における余分な消費電流を削減するために一次側電圧V1の振動を早く収束させようとする場合には、一次側抵抗31の抵抗値を決めることによって、容易に一次側電圧V1の振動を早く収束させることができる。
なお、パルス信号出力回路30でも、パルス信号出力回路10と同様に、切り替えタイミング制御部13が、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっているときにスイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。これにより、パルス信号出力回路30でも、パルス信号出力回路10と同様に、スイッチSのオンまたはオフを切り替える前の逆極性の一次側電圧V1の電圧値=Vaの分だけ、スイッチSのオンまたはオフを切り替えた後の一次側電圧V1を高い電圧にする。しかし、パルス信号出力回路30でも、パルス信号出力回路10と同様に、スイッチSのオンまたはオフを切り替えた後の一次側電圧V1も、パルストランス14の一次側コイルと一次側コンデンサ12との直列共振によって振動する(図3および図4に示したパルス信号出力回路10における一次側電圧V1(二次側電圧V2)の波形を参照)。このため、パルス信号出力回路30では、一次側抵抗31を追加したことによって、特に、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えた後の一次側電圧V1の振動をより早く収束させ、一次側の回路における余分な消費電流の削減に寄与する。
なお、パルス信号出力回路30の二次側の回路の構成は、パルス信号出力回路10の二次側の回路の構成と同様である。従って、パルス信号出力回路30の二次側の回路の構成および動作に関する詳細な説明は省略する。また、パルス信号出力回路30における全体の動作や、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングは、一次側電圧V1の振動波形が早く収束すること以外は、パルス信号出力回路10と同様である。従って、パルス信号出力回路30における全体の動作や、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングに関する詳細な説明は省略する。
このように、パルス信号出力回路30でも、パルス信号出力回路10と同様に、切り替えタイミング制御部13が、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっているときに、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。これにより、パルス信号出力回路30でも、パルス信号出力回路10と同様の効果を得ることができる。つまり、パルス信号出力回路30でも、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができ、FET18のゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。さらに、パルス信号出力回路30では、一次側の回路に一次側抵抗31を追加することによって一次側電圧V1および一次側電流i1の振動(特に、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えた後の一次側電圧V1の振動)を早く収束させ、一次側電圧V1の振動による一次側の回路における余分な消費電流を削減することができる。
<第2の変形例>
次に、切り替えタイミング制御部を備えた別の他の構成のパルス信号出力回路について説明する。図8は、本発明の第2の変形例におけるパルス信号出力回路の構成を示した構成図である。パルス信号出力回路40は、スイッチ部11と、一次側コンデンサ12と、切り替えタイミング制御部13と、パルストランス14と、整流部45と、二次側コンデンサ16と、二次側抵抗17と、FET18とを備えている。なお、図8には、パルス信号出力回路40に接続される直流電源PSと受信計器REとも併せて示している。また、図8に示したパルス信号出力回路40において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向は、図1に示したパルス信号出力回路10において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向と同様に、正方向である。
パルス信号出力回路40は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10に備えた整流部15が整流部45に代わった構成である。その他のパルス信号出力回路40の構成要素は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素である。従って、以下の説明においては、パルス信号出力回路40の構成要素において、第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、その構成要素に関する詳細な説明は省略する。
パルス信号出力回路40も、パルス信号出力回路10〜パルス信号出力回路30と同様に、接続されている直流電源PSから供給された一次側電流i1を流す方向をスイッチ部11によって切り替えることによってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。パルス信号出力回路40も、パルス信号出力回路10〜パルス信号出力回路30と同様に、例えば、フィールド機器に用いられる。
なお、パルス信号出力回路40の一次側の回路の構成は、パルス信号出力回路10の一次側の回路の構成と同様である。従って、パルス信号出力回路40の一次側の回路の構成および動作に関する詳細な説明は省略する。
パルス信号出力回路40では、パルス信号出力回路10の二次側の回路において、整流部15を整流部45に代えて、二次側の回路を構成している。より具体的には、パルス信号出力回路40の二次側の回路において、パルストランス14の二次側コイルの第1の端子A2は、整流部45の第1の入力端子に接続され、パルストランス14の二次側コイルの第2の端子B2は、整流部45の第2の入力端子に接続されている。また、パルス信号出力回路40の二次側の回路において、整流部45の第1の出力端子は、二次側コンデンサ16の第1の端子、二次側抵抗17の第1の端子、およびFET18のゲート端子に接続されている。また、パルス信号出力回路40の二次側の回路において、整流部45の第2の出力端子は、二次側コンデンサ16の第2の端子、二次側抵抗17の第2の端子、およびFET18のソース端子(およびバックゲート端子)に接続されて、パルス信号出力回路40の第2の出力端子O2となっている。パルス信号出力回路40の二次側の回路におけるその他の接続、つまり、パルス信号出力回路40の二次側の回路を構成するそれぞれの構成要素の接続は、パルス信号出力回路10の二次側の回路におけるそれぞれの構成要素の接続と同一である。
整流部45は、第1の入力端子と第2の入力端子との間に供給された電圧を整流し、整流した電圧を第1の出力端子と第2の出力端子との間に供給する。つまり、整流部45も、整流部15と同様に、整流した電圧を、FET18のゲート−ソース間、二次側コンデンサ16および二次側抵抗17のそれぞれの端子間に供給する。整流部45は、コンデンサC1、ダイオードD5、およびダイオードD6を備えている。整流部15は、コンデンサC1、ダイオードD5、およびダイオードD6によって構成される倍電圧整流回路であり、第1の入力端子と第2の入力端子との間に供給された電圧を整流し、整流した電圧を2倍にして第1の出力端子と第2の出力端子との間に供給する。なお、以下の説明において整流部45に備えたダイオードD5およびダイオードD6を区別せずに表す場合にも、「ダイオードD」という。
整流部45では、コンデンサC1の第1の端子が整流部45の第1の入力端子となり、パルストランス14の二次側コイルの第1の端子A2に接続されている。また、整流部45では、コンデンサC1の第2の端子が、ダイオードD5のアノード端子およびダイオードD6のカソード端子に接続されている。また、整流部45では、ダイオードD5のカソード端子が整流部45の第1の出力端子となり、二次側コンデンサ16の第1の端子、二次側抵抗17の第1の端子、およびFET18のゲート端子に接続されている。また、整流部45では、ダイオードD6のアノード端子が、整流部45の第2の入力端子となってパルストランス14の二次側コイルの第2の端子B2に接続されるとともに、整流部45の第2の出力端子となって二次側コンデンサ16の第2の端子、二次側抵抗17の第2の端子、およびFET18のソース端子に接続され、パルス信号出力回路40の第2の出力端子O2となっている。
整流部45は、第1の出力端子と第2の出力端子との間に負方向の電圧が供給されたときに、供給された電圧に応じた電荷をコンデンサC1に充電し、正方向の電圧が供給されたときにコンデンサC1に蓄積した電荷を放電することによって、供給された正方向の電圧にコンデンサC1に充電した電圧を合わせた電圧、つまり、正方向に2倍にした電圧を出力する。パルス信号出力回路40の二次側の回路では、パルストランス14が負方向の二次側電圧V2を発生させたときに、整流部45に備えたコンデンサC1に二次側電圧V2に応じた電荷を充電する。また、パルス信号出力回路40の二次側の回路では、パルストランス14が正方向の二次側電圧V2を発生させたときに、正方向の二次側電圧V2とコンデンサC1が放電した二次側電圧V2とを合わせて2倍にした二次側電圧V2を、FET18のゲート−ソース間、二次側コンデンサ16および二次側抵抗17のそれぞれの端子間に供給する。これにより、パルス信号出力回路40では、FET18のゲート−ソース間に、パルス信号出力回路10の2倍の整流電圧V3が印加される。
パルス信号出力回路40では、パルス信号出力回路10に備えた整流部15を整流部45に代えることによって、コンデンサC1が増加するが、ダイオードDを2つ削減している。つまり、パルス信号出力回路40では、二次側の回路から、ダイオードDが1つ分の部品点数を削減している。しかも、一般的に、ダイオードよりもコンデンサの方が、部品の実装面積が小さい。このため、パルス信号出力回路40では、パルス信号出力回路10に備えた整流部15の整流部45への変更が、パルス信号出力回路40の小型化や、低コスト化に寄与する。
なお、パルス信号出力回路40における全体の動作や、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングは、整流部45が整流電圧V3を出力すること以外は、パルス信号出力回路10と同様である。従って、パルス信号出力回路40における全体の動作や、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングに関する詳細な説明は省略する。
このように、パルス信号出力回路40でも、パルス信号出力回路10と同様に、切り替えタイミング制御部13が、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっているときに、スイッチ部11に備えたそれぞれのスイッチSのオンまたはオフを切り替える。これにより、パルス信号出力回路40でも、パルス信号出力回路10と同様の効果を得ることができる。つまり、パルス信号出力回路40でも、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができ、FET18のゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。さらに、パルス信号出力回路40では、パルス信号出力回路10の二次側の回路に備えた整流部15を整流部45に代えることによって、二次側の回路を構成する部品の数や実装面積を削減し、パルス信号出力回路40の小型化、低コスト化を実現することができる。
<第3の変形例>
次に、切り替えタイミング制御部を備えたさらに別の他の構成のパルス信号出力回路について説明する。図9は、本発明の第3の変形例におけるパルス信号出力回路の構成を示した構成図である。パルス信号出力回路50は、バッファ51(出力電圧選択回路)と、一次側コンデンサ12と、切り替えタイミング制御部13と、パルストランス14と、整流部15と、二次側コンデンサ16と、二次側抵抗17と、FET18とを備えている。なお、図9には、パルス信号出力回路50に接続される直流電源PSと受信計器REとも併せて示している。また、図9に示したパルス信号出力回路50において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向は、図1に示したパルス信号出力回路10において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向と同様に、正方向である。
パルス信号出力回路50は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10に備えたスイッチ部11がバッファ51に代わった構成である。その他のパルス信号出力回路50の構成要素は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素である。従って、以下の説明においては、パルス信号出力回路50の構成要素において、第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、その構成要素に関する詳細な説明は省略する。
パルス信号出力回路50も、パルス信号出力回路10〜パルス信号出力回路40と同様に、パルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替えることによってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。ただし、パルス信号出力回路10では、パルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向の切り替えをスイッチ部11が行っていたのに対して、パルス信号出力回路50では、バッファ51が行う。パルス信号出力回路50も、パルス信号出力回路10〜パルス信号出力回路40と同様に、例えば、フィールド機器に用いられる。
パルス信号出力回路50では、パルス信号出力回路10の一次側の回路において、スイッチ部11をバッファ51に代えて、一次側の回路を構成している。より具体的には、パルス信号出力回路50の一次側の回路では、バッファ51の電源端子に、直流電源PSの+端子が接続されている。また、パルス信号出力回路50の一次側の回路では、バッファ51の入力端子に、切り替えタイミング制御部13の対応する制御信号CSが接続されている。また、パルス信号出力回路50の一次側の回路では、バッファ51の出力端子に、パルストランス14の一次側コイルの第1の端子A1に接続されている。また、パルス信号出力回路50の一次側の回路では、バッファ51の基準端子が基準電圧に接続され、一次側コンデンサ12の第2の端子に接続されている。パルス信号出力回路50の一次側の回路におけるその他の接続、つまり、パルス信号出力回路50の一次側の回路を構成するそれぞれの構成要素の接続は、パルス信号出力回路10の一次側の回路におけるそれぞれの構成要素の接続と同一である。
バッファ51は、切り替えタイミング制御部13から出力された制御信号CSに応じて、電源端子に接続されている直流電源PSから供給された電圧Vs、または基準電圧のいずれか一方の電圧を出力端子に出力することで出力電圧を選択する。なお、バッファ51の等価回路は、図9において破線で囲んだ領域に示したように、切り替えタイミング制御部13から出力された制御信号CSに応じて出力端子の接続先を、電源端子または基準端子のいずれか一方の端子に切り替えるスイッチである。従って、バッファ51も、スイッチ部であるともいえる。
パルス信号出力回路50の一次側の回路では、バッファ51の出力端子の接続先を、電源端子または基準端子に切り替えることによって、パルス信号出力回路10に備えたスイッチ部11と同様に、パルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替える。このため、パルス信号出力回路50の一次側の回路では、一次側コンデンサ12が、バッファ51から出力された電圧Vsに応じた電荷を蓄積する役割も担う。つまり、一次側コンデンサ12は、電圧Vsを充電する。なお、パルス信号出力回路50の一次側の回路においてパルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替える動作に関しては、後述する。
切り替えタイミング制御部13は、バッファ51の出力端子の接続先の切り替えを制御する。なお、図9に示したように、パルス信号出力回路50では、切り替えタイミング制御部13から出力された1つの制御信号CSがバッファ51の入力端子に接続されている。この制御信号CSは、パルス信号出力回路10に備えた切り替えタイミング制御部13が出力する制御信号CPに相当する制御信号である。
なお、パルス信号出力回路50の二次側の回路の構成は、パルス信号出力回路10の二次側の回路の構成と同様である。従って、パルス信号出力回路50の二次側の回路の構成および動作に関する詳細な説明は省略する。
次に、パルス信号出力回路50における動作について説明する。なお、パルス信号出力回路50における全体の動作や、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングは、パルス信号出力回路10と同様である。従って、パルス信号出力回路50における全体の動作や、切り替えタイミング制御部13がスイッチSのオンまたはオフを切り替えるタイミングに関する詳細な説明は省略する。ただし、パルス信号出力回路50では、バッファ51が切り替えタイミング制御部13から出力された制御信号CSに応じて出力端子の接続先を電源端子または基準端子のいずれか一方の端子に切り替えることによって、パルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替える。従って、ここでは、パルス信号出力回路50においてパルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替える動作に着目して、パルス信号出力回路50の一次側の回路の動作について説明する。
図10は、本発明の第3の変形例のパルス信号出力回路50において一次側の回路に流す一次側電流i1の方向を切り替えるタイミングの一例を説明する波形図である。図10に示した一次側の回路に流す一次側電流i1の方向を切り替えるタイミングの一例は、パルス信号出力回路50が“Low”レベルのパルス信号を出力するときに切り替えタイミング制御部13がバッファ51の出力端子の接続先を切り替える1周期分の一例である。つまり、図10に示した一次側の回路に流す一次側電流i1の方向を切り替えるタイミングの一例は、図2に示したパルス信号出力回路10における全体の動作の一例と同様のパルス信号出力回路50の動作において、切り替えタイミング制御部13が制御信号CSを交互に切り替えている期間内の1周期分の一例である。図10には、バッファ51の出力(バッファ出力)と、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1と、パルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1とのそれぞれの波形(信号)およびレベルを模式的に示している。
なお、パルス信号出力回路50においても、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14が、一次側電圧V1に応じた二次側電圧V2を二次側コイルに発生させる。このため、図10に示した一次側コイルの一次側電圧V1の波形は、電圧値が異なるが、パルストランス14の二次側コイルが発生した二次側電圧V2の波形であるともいえる。従って、以下の説明においては、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1の波形と二次側コイルの二次側電圧V2の波形とを、適宜言い換えて説明する。
パルス信号出力回路50が“Low”レベルのパルス信号を出力するときに、タイミングt50において、切り替えタイミング制御部13が、制御信号CSによってバッファ51の出力端子の接続先を電源端子に切り替える。これにより、バッファ51は、電源端子に接続された直流電源PSが出力する電圧Vs(=+Vs)を出力端子に出力する。すると、パルス信号出力回路50の一次側の回路には、パルストランス14の一次側コイル(第1の端子A1から第2の端子B1の方向)、および一次側コンデンサ12の経路で正方向の一次側電流i1が流れる。これにより、一次側コンデンサ12は、一次側電流i1によって充電され、バッファ51から出力された電圧Vsに応じた電荷を蓄積する。また、パルストランス14の一次側コイルでも、パルス信号出力回路10と同様に、バッファ51から出力された電圧Vsに応じた電圧値=+Vsの一次側電圧V1が印加される。パルス信号出力回路50においても、パルス信号出力回路10と同様に、一次側電圧V1の波形は、パルストランス14の一次側コイルのインダクタンス成分と一次側コンデンサ12によって構成される直列共振回路によって振動波形となる。
このとき、パルス信号出力回路50の二次側の回路では、パルストランス14の二次側コイルが、パルストランス14の一次側コイルの一次側電圧V1に応じた二次側電圧V2を発生させる。なお、パルス信号出力回路50においても、パルストランス14の二次側コイルが発生する二次側電圧V2の波形は、パルス信号出力回路10と同様に、振動波形である。そして、パルス信号出力回路50の二次側の回路も、パルス信号出力回路10の二次側の回路と同様に動作する。これにより、パルス信号出力回路50でも、パルス信号出力回路10と同様に、二次側コンデンサ16が整流電流i3によって充電されるとともに、FET18がゲート−ソース間に印加された整流電圧V3によってオン状態となって、受信計器REに“Low”レベルのパルス信号が伝送される。
その後、パルス信号出力回路50でも、パルス信号出力回路10と同様に、一次側電圧V1が直列共振の振動によって電圧値が下降する。なお、パルス信号出力回路50においても、パルス信号出力回路10と同様に、切り替えタイミング制御部13は、タイミングt50から、予め設定されている時間(切り替え時間T)の計時を開始している。そして、切り替えタイミング制御部13は、計時している時間が予め設定されている時間(切り替え時間T)となったタイミングt51のときに、制御信号CSによってバッファ51の出力端子の接続先を基準端子に切り替える。言い換えれば、パルス信号出力回路50では、切り替えタイミング制御部13が計時している時間が予め設定されている時間(切り替え時間T)となったタイミングt51のときに、直流電源PSをバッファ51から切り離す。すると、パルス信号出力回路50では、一次側コンデンサ12が、蓄積している電圧Vsの電位に応じた電荷を放電する。これにより、パルストランス14の一次側コイルには、第2の端子B1から第1の端子A1の方向に一次側電流i1が流れる。つまり、パルス信号出力回路50の一次側の回路に負方向の一次側電流i1が流れる。すると、パルストランス14の一次側コイルには、電圧値=−Vsの一次側電圧V1が印加される。
ここで、タイミングt51のときの一次側電圧V1は、図10に示したように、負方向に電圧値=Vaだけ高い電圧となっている。このため、パルス信号出力回路50において一次側電圧V1は、一次側コンデンサ12が蓄積している電圧Vsに応じた電荷を放電することによりパルストランス14の一次側コイルに印加される電圧値=−Vsに負方向の電圧値=Vaが合わさることによって、負方向に電圧値=V+Vaとなり、パルス信号出力回路10と同様に、電圧値=Vaの分だけ負方向に高くなる。なお、このときパルス信号出力回路50の一次側の回路に流れる負方向の一次側電流i1は、切り替えタイミング制御部13がバッファ51の出力端子の接続先を基準端子に切り替える前にパルス信号出力回路50の一次側の回路に流れていた正方向の一次側電流i1よりも大きい電流である。
その後、パルス信号出力回路50でも、パルス信号出力回路10と同様に、一次側電圧V1が直列共振の振動によって電圧値が上昇する。このときのパルス信号出力回路50の二次側の回路も、パルス信号出力回路10の二次側の回路と同様に動作する。これにより、パルス信号出力回路50でも、パルス信号出力回路10と同様に、二次側コンデンサ16と二次側抵抗17との構成によって二次側コンデンサ16が蓄積している電荷を放電してFET18のオン状態が維持され、出力するパルス信号の“Low”レベルが維持される。
このように、パルス信号出力回路50では、バッファ51が、切り替えタイミング制御部13から出力された制御信号CSに応じて、入力端子に接続されている直流電源PSから供給された電圧Vs、または基準電圧のいずれか一方を出力端子に出力する。これにより、パルス信号出力回路50でも、パルス信号出力回路10に備えたスイッチ部11と同様に、パルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替える。そして、パルス信号出力回路50でも、パルス信号出力回路10と同様に、バッファ51の出力端子の接続先を基準端子に切り替え後の一次側電圧V1は、バッファ51の出力端子の接続先を基準端子に切り替える前の逆極性の電圧値=Vaの分だけ高い電圧である。これにより、パルス信号出力回路50でも、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14の二次側コイルが発生する二次側電圧V2もより高くなる。従って、パルス信号出力回路50でも、パルス信号出力回路10と同様に、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができ、FET18のゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。これにより、パルス信号出力回路50でも、パルス信号出力回路10と同様の効果を得ることができる。
しかも、パルス信号出力回路50では、切り替えタイミング制御部13が計時している時間が予め設定されている時間(切り替え時間T)となったタイミングt51のときに、制御信号CSによってバッファ51の出力端子の接続先を基準端子に切り替えると、直流電源PSがバッファ51から切り離される。このため、パルス信号出力回路50では、バッファ51の出力端子の接続先が基準端子となっている期間は、直流電源PSを介さずに負方向の一次側電流i1が一次側の回路に流れる。これにより、パルス信号出力回路50では、負方向の一次側電流i1が一次側の回路に流れている期間の直流電源PSにおける消費電流を削減することができる。言い換えれば、パルス信号出力回路50では、バッファ51の出力端子の接続先が接地端子となって負方向の一次側電流i1が一次側の回路に流れている期間における直流電源PSの負荷を軽減することができる。このことにより、パルス信号出力回路50では、流すことができる電流が少ない、つまり、供給することができる電力が少ない直流電源PSが接続されている場合でも、直流電源PSからの電源の供給が遮断される(いわゆる、電源が落ちるまたは低下させる)ことがなくパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに伝送することができる。
また、パルス信号出力回路50では、パルス信号出力回路10の一次側の回路に備えたスイッチ部11をバッファ51に代えることによって、一次側の回路を構成する部品の数や実装面積を削減し、パルス信号出力回路40の小型化、低コスト化を実現することができる。
なお、上述したそれぞれの変形例では、図1に示したパルス信号出力回路10に対して、一次側抵抗31に追加(第1の変形例)、整流部15の整流部45への変更(第2の変形例)、またはスイッチ部11のバッファ51への変更(第3の変形例)を適用場合の一例について説明した。しかし、パルス信号出力回路10に対する上述したそれぞれの変形例の変更の適用は、それぞれの変形例における変更が排他的に適用されるものではない。つまり、パルス信号出力回路10には、上述したそれぞれの変形例の変更を同時に複数適用することができる。これにより、上述したそれぞれの変形例の変更を同時に複数適用したパルス信号出力回路10では、パルス信号出力回路10において得られる効果に加えて、適用したそれぞれの変形例の変更に対応するそれぞれの効果を得ることができる。
<第4の変形例>
ここで、パルス信号出力回路10に対して上述したそれぞれの変形例の変更を同時に複数適用したパルス信号出力回路の一例について説明する。図11は、本発明の第4の変形例におけるパルス信号出力回路の構成を示した構成図である。パルス信号出力回路60は、バッファ51と、一次側抵抗31と、一次側コンデンサ12と、切り替えタイミング制御部13と、パルストランス14と、整流部45と、二次側コンデンサ16と、二次側抵抗17と、FET18とを備えている。なお、図11には、パルス信号出力回路60に接続される直流電源PSと受信計器REとも併せて示している。また、図11に示したパルス信号出力回路60において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向は、図1に示したパルス信号出力回路10において一次側電流i1、二次側電流i2、および整流電流i3のそれぞれが表している方向と同様に、正方向である。
パルス信号出力回路60は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10に対して、スイッチ部11をバッファ51に変更し、一次側抵抗31を追加し、整流部15を整流部45に変更した構成である。つまり、パルス信号出力回路60は、第1の変形例における一次側抵抗31の追加と、第2の変形例における整流部15の整流部45への変更と、第3の変形例におけるスイッチ部11のバッファ51への変更とのそれぞれの変更を同時に適用した構成である。その他のパルス信号出力回路60の構成要素は、図1に示した第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素である。従って、以下の説明においては、パルス信号出力回路60の構成要素において、第1の実施形態のパルス信号出力回路10の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、その構成要素に関する詳細な説明は省略する。
パルス信号出力回路60も、パルス信号出力回路10〜パルス信号出力回路50と同様に、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっているときにパルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替えることによってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を受信計器REに出力する。パルス信号出力回路60も、パルス信号出力回路10〜パルス信号出力回路50と同様に、例えば、フィールド機器に用いられる。
パルス信号出力回路60では、一次側の回路において、バッファ51の電源端子に、直流電源PSの+端子が接続されている。また、パルス信号出力回路60の一次側の回路では、バッファ51の入力端子に、切り替えタイミング制御部13の対応する制御信号CSが接続されている。また、パルス信号出力回路60の一次側の回路では、バッファ51の出力端子に一次側抵抗31の第1の端子が接続され、一次側抵抗31の第2の端子がパルストランス14の一次側コイルの第1の端子A1に接続されている。また、パルス信号出力回路60の一次側の回路では、バッファ51の基準端子が基準電圧に接続され、一次側コンデンサ12の第2の端子に接続されている。パルス信号出力回路60の一次側の回路におけるその他の接続、つまり、パルス信号出力回路60の一次側の回路を構成するそれぞれの構成要素の接続は、パルス信号出力回路10の一次側の回路におけるそれぞれの構成要素の接続と同一である。
また、パルス信号出力回路60では、二次側の回路において、パルストランス14の二次側コイルの第1の端子A2に整流部45の第1の入力端子に接続され、パルストランス14の二次側コイルの第2の端子B2に整流部45の第2の入力端子に接続されている。また、パルス信号出力回路60の二次側の回路において、整流部45の第1の出力端子は、二次側コンデンサ16の第1の端子、二次側抵抗17の第1の端子、およびFET18のゲート端子に接続されている。また、パルス信号出力回路60の二次側の回路において、整流部45の第2の出力端子は、二次側コンデンサ16の第2の端子、二次側抵抗17の第2の端子、およびFET18のソース端子(およびバックゲート端子)に接続されて、パルス信号出力回路60の第2の出力端子O2となっている。パルス信号出力回路60の二次側の回路におけるその他の接続、つまり、パルス信号出力回路60の二次側の回路を構成するそれぞれの構成要素の接続は、パルス信号出力回路10の二次側の回路におけるそれぞれの構成要素の接続と同一である。
なお、パルス信号出力回路60における全体の動作や、一次側の回路においてパルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替える動作は、第1の実施形態のパルス信号出力回路10、第1〜第3の変形例のパルス信号出力回路30〜パルス信号出力回路50におけるそれぞれの動作から容易に考えることができる。従って、パルス信号出力回路60における全体の動作や、一次側の回路においてパルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替える動作に関する詳細な説明は省略する。
パルス信号出力回路60では、第1の実施形態のパルス信号出力回路10において得られる効果に加えて、適用したそれぞれの変形例の変更に対応するそれぞれの効果を得ることができる。より具体的には、パルス信号出力回路60では、第1の変形例に対応する一次側抵抗31の追加に伴って、パルストランス14の一次側コイルと一次側コンデンサ12との直列共振によるパルストランス14の一次側コイルに印加された一次側電圧V1および一次側電流i1の振動を容易に早く収束させ、一次側の回路における余分な消費電流を削減することができる。また、パルス信号出力回路60では、第2の変形例に対応する整流部15の整流部45への変更に伴って、二次側の回路からダイオードDが1つ分の部品点数を削減することができる。また、パルス信号出力回路60では、第3の変形例に対応するスイッチ部11のバッファ51への変更に伴って、負方向の一次側電流i1が一次側の回路に流れている期間の直流電源PSにおける消費電流を削減することができる。
これにより、パルス信号出力回路60では、パルス信号出力回路10と同様に、一次側電圧V1の振動波形が逆極性になっているときにパルストランス14の一次側コイルに流す一次側電流i1の方向を切り替えることによって、パルストランス14の一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができ、FET18のゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。さらに、パルス信号出力回路60では、第1〜第3の変形例のパルス信号出力回路30〜パルス信号出力回路50に対応する変更によって、パルス信号出力回路60の低消費電力化、小型化、低コスト化を実現することができる。
なお、上述した第1〜第4の変形例では、図1に示したパルス信号出力回路10に対して、一次側の回路や二次側の回路を構成する構成要素を変更した場合の一例について説明した。しかし、上述したそれぞれの変形例で示したような構成要素の変更は、切り替えタイミング制御部13を備えた構成のパルス信号出力回路10への適用に限定されるもではない。つまり、上述したそれぞれの変形例で示したような構成要素の変更は、切り替えタイミング制御部13の代わりに切り替えタイミング制御部23を備えたパルス信号出力回路20に対しても適用することができる。これにより、上述したそれぞれの変形例で示したような構成要素の変更を適用したパルス信号出力回路20では、パルス信号出力回路20において得られる効果に加えて、適用したそれぞれの変形例の変更に対応するそれぞれの効果を得ることができる。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態およびその変形例によれば、パルス信号出力回路に切り替えタイミング制御部を備える。そして、本発明を実施するための形態およびその変形例では、切り替えタイミング制御部が、一次側の回路の電圧の振動波形が逆極性になっているときに、パルス信号出力回路に備えたパルストランスの一次側コイルに流す電流の方向を切り替える。これにより、本発明を実施するための形態およびその変形例では、パルス信号出力回路に備えたパルストランスの一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率を高くすることができ、二次側の回路に備えられ、ゲート端子に印加された電圧に応じたオンまたはオフの状態によってパルス信号を生成して出力するFETのゲート端子に対する駆動電圧を高くすることができる。
また、本発明を実施するための形態およびその変形例では、切り替えタイミング制御部が、一次側の回路の電圧の振動波形が逆極性のピークとなるタイミングで、パルス信号出力回路に備えたパルストランスの一次側コイルに流す電流の方向を切り替える。これにより、本発明を実施するための形態およびその変形例では、パルストランスの一次側コイルに流す電流の方向を切り替えた後の一次側の回路の電圧を、パルストランスの一次側コイルに流す電流の方向を切り替える前の逆極性の電圧値の分だけ高い電圧にすることができる。これにより、本発明を実施するための形態およびその変形例では、パルス信号出力回路に備えたパルストランスの一次側コイルから二次側コイルに伝送する電力の伝送効率をより高くすることができ、パルス信号を生成して出力するFETのゲート端子に対する駆動電圧をより高くすることができる。
なお、パルス信号出力回路では、パルストランスの二次側への電力の伝送効率が、パルス信号出力回路においてパルス信号を生成するFETのゲート端子の駆動電圧などに影響するため、パルストランスの二次側の回路を構成する部品の選定に関わってくる。本発明を実施するための形態およびその変形例のパルス信号出力回路では、上述したように、パルストランスの一次側から二次側への電力の伝送効率が高くすることができ、パルストランスの二次側の回路で使用することができるエネルギーが増加し、FETのゲート端子の駆動電圧を高くすることができる。このため、本発明を実施するための形態およびその変形例パルス信号出力回路では、例えば、FETのゲート端子におけるスレッショルド電圧や、ダイオードの順方向電圧などに対する制約を緩和することができ、パルストランスの二次側の回路を構成する部品の選定を容易にすることができる。また、本発明を実施するための形態およびその変形例のパルス信号出力回路では、上述したように、パルストランスの一次側コイルに流す電流の方向を切り替えた後の一次側の回路の電圧を、パルストランスの一次側コイルに流す電流の方向を切り替える前の逆極性の電圧値の分だけ高い電圧にすることができる。つまり、本発明を実施するための形態およびその変形例のパルス信号出力回路では、切り替えタイミング制御部が、パルス信号出力回路に備えたパルストランスの一次側コイルに流す電流の方向を切り替えるタイミングを制御することによって、パルストランスの一次側のインダクタンス成分と一次側コンデンサとの直列共振による振動(いわゆる、リンギング)で電圧値が下がってしまうことがない。このため、本発明を実施するための形態およびその変形例パルス信号出力回路では、例えば、ゲート端子におけるスレッショルド電圧が低いFETや、順方向電圧が低いダイオードで整流部を構成するなど、部品の選定に多くの制約が発生することなく、パルストランスの二次側の回路を構成するために必要な部品の選定を容易にすることができる。
なお、本発明を実施するための形態およびその変形例では、パルス信号出力回路が実際に用いられる機器の一例としてフィールド機器を挙げたが、パルス信号出力回路が実際に用いられる機器は、フィールド機器に限定されるものではない。つまり、本発明を実施するための形態およびその変形例のパルス信号出力回路は、パルス信号出力回路が出力したパルス信号を用いて処理を行う機器であれば、いかなる機器であっても用いることができる。
また、本発明を実施するための形態およびその変形例では、FET18がパルス信号を生成する構成を示したが、パルス信号を生成する構成はFET18に限定されるもではなく、例えば、バイポーラトランジスタがパルス信号を生成する構成であってもよい。この場合、本発明を実施するための形態およびその変形例のパルス信号出力回路において、FET18のそれぞれの端子を、バイポーラトランジスタの対応する端子に置き換えて接続することによって、容易にFET18をバイポーラトランジスタに変更することができる。より具体的には、本発明を実施するための形態およびその変形例のパルス信号出力回路において、FET18のゲート端子をバイポーラトランジスタのベース端子に、FET18のソース端子をバイポーラトランジスタのエミッタ端子に、FET18のドレイン端子をバイポーラトランジスタのコレクタ端子にそれぞれ置き換えて接続することによって、容易にFET18をバイポーラトランジスタに変更することができる。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。