JP2019207935A - 電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回路基板のがたつきを抑制しつつ、かしめ強度も向上させることができる電子装置を提供する。【解決手段】電子装置は、回路基板3の挿通孔5に挿通されるボス15が設けられた筐体2を備える。ボス15は、柱状をなす柱状部16と、その先端側に挿通孔5よりも大きい外形となるように熱かしめされた熱かしめ部17とを有する。ボス15の柱状部16には、当該柱状部16の軸方向に対する法線方向へ突起するリブ20が、挿通孔5の内周面と当接するように設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、電子部品が実装された回路基板を備える電子装置に関する。
従来より、例えば車両に搭載される電子装置にあっては、複数の筐体部材を組み合わせてなる筐体の内部空間に回路基板を収容したものが供されている。この種の電子装置では、回路基板の取付け構造として、筐体部材に形成したボスを、回路基板の取付け用の孔に挿通して、そのボスの先端部を熱かしめすることが考えられる。
特開2012−212702号公報
上記した熱かしめにより、回路基板における板厚方向(ボスの挿通方向)へのがたつきは抑制される。しかしながら、ボスを挿通するための回路基板の孔と当該ボスのクリアランスが必要であることから、回路基板の平面方向のがたつきの発生は避けられない。このため、電子装置に外部から振動や衝撃が作用した際に、回路基板上の電子部品の損傷を助長する虞があり、又、ボスにせん断力が加わる等して損傷する虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路基板のがたつきを抑制しつつ、かしめ強度も向上させることができる電子装置を提供することにある。
請求項1記載の発明によれば、熱かしめ部(17)により柱状部(16)の軸方向への回路基板(3)のがたつきを抑制しつつ、リブ(20,23,30,40,50)により回路基板の平面方向のがたつきを抑制することができる。また、これによれば、ボスを挿通するためのクリアランスが存する従来構成のものに比して、柱状部におけるリブを含めた外周長さと、柱状部の軸方向に垂直な断面積と、を夫々増大させることができ、せん断強度と引張強度とを同時に高めることができる。これにより、外部からの振動や衝撃によるボス(15)の損傷や回路基板上の電子部品(3b)の損傷を抑制することができる。
第1実施形態における電子装置の全体を示す分解斜視図 (a)〜(d)は、回路基板の取付部近傍を拡大した斜視図により、回路基板の組付け工程を示す図 (a)〜(c)と(d)は、回路基板の組付け前と組付け後のボスを、挿通孔と共に示す図 (a)は、図2(d)のIV-IV線に沿う断面図、(b)は、リブが無いとした場合における説明図 第2実施形態のボスにおける複数のリブ各々の方向ベクトルを示す平面図 第3実施形態における複数のボスとリブの位置関係を示す断面図 第4実施形態における複数のボスとリブの位置関係を示す断面図 (a)〜(c)と(d)は、第5実施形態のボスについて、回路基板の組付け前の状態と組付け後の状態を挿通孔と共に示す図
以下、本発明を具体化した複数の実施形態について、図面に基づき説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付す等して説明を省略する。
<第1実施形態>
第1実施形態について図1〜図4を参照しながら説明する。図1に示す電子装置1は、例えば車両に搭載される電子制御装置である。電子装置1において外郭をなす筐体2は、全体として薄型の矩形箱状をなしており、その内部に回路基板3を収容している。
回路基板3は、電気絶縁材料からなる基材に図示しない配線が形成された矩形板状のプリント基板の上に、図1に示すコネクタ3aの他、制御IC、スイッチング素子、抵抗素子、コンデンサ等の電子部品3bが実装されており、前記配線と電子部品3bとで回路が形成されている。また、回路基板3の4隅部には、当該基板3の板厚方向に貫通する挿通孔5が夫々設けられている。挿通孔5は、円形に形成された取付け用の孔であり、図1では4つの挿通孔5のうち3つを図示している。
コネクタ3aは、筐体2の開口部2aから外部に露出するようになっており、図示しない外部装置からのケーブルが接続されて、当該外部装置と回路基板3上の回路とを電気的に中継する。以下では、図1の回路基板3においてコネクタ3a開口側を上方とし、その反対側を下方とする。また、図1において上下方向となる回路基板3の板厚方向をZ方向とする。更に、回路基板3の平面方向において、当該基板3周辺部のうちの一辺部に沿う方向をX方向、X方向と直交する方向をY方向とする。
筐体2は、これを構成する本体ケース10とカバー11とをZ方向に組み合わせてなる2分割型のものであり、回路基板3とコネクタ3aの基端側とを収容する内部空間を有する。
このうち、カバー11は、回路基板3を上面側から覆う筐体部材であり、例えば金属材料としてのアルミ材から形成されている。カバー11は、上壁部11aと周壁部11bとを一体に有し、下方が開放された矩形箱状をなす。カバー11の上壁部11aには、回路基板3におけるX方向の一端側に配されたコネクタ3aに合わせて、その一端側でコネクタ3aを露出させる前記開口部2aが形成されている。また、上壁部11aには、開口部2aからX方向の他端側へ離間した位置に、同X方向に延びY方向へ並ぶ複数の放熱フィン12が配設されている。
本体ケース10は、回路基板3が取付けられる筐体部材であり、例えば熱可塑性樹脂としてのPBT、あるいはPPSから形成されている。本体ケース10は、図1に示すように底の浅い箱状をなしており、底壁部10aとその周縁の枠部10bとを一体に有する。本体ケース10は、その枠部10bとカバー11の周壁部11bとが合わさることで、カバー11の開放面を閉塞する。
図1に示すように、本体ケース10の4隅部には、回路基板3が取付けられる取付部13(同図では4つの取付部13のうち3つを図示)が夫々設けられている。これら取付部13は、何れも回路基板3を支持する支持面部14と、その支持面部14に立設されたボス15とを有する。支持面部14及びボス15と本体ケース10とは、モールド成形により同じ熱可塑性樹脂で一体に形成されている。詳しくは後述するように、ボス15は、回路基板3の挿通孔5に挿通された後に熱かしめされ(図2参照)、支持面部14は、回路基板3を下面3d側から支持するようになっている(図4(a)参照)。
なお、図示は省略するが、本体ケース10には例えば、Y方向の一端側と他側とに夫々外側へ張出す一対の固定部が設けられており、電子装置1は、車両に対し当該固定部で各々ねじ止めされて、底壁部10aが略水平となる向きで搭載される(底壁部10aが略鉛直となる向きでもよい)。
続いて、上記した取付部13に係る構成ついて、図2〜図4も参照しながら詳述する。ここで、図2(a)〜(d)は、本体ケース10の隅部分(取付部13部分の1つ)を拡大した斜視図で、回路基板3の組付けに係る工程を示している。図3(a)(b)並びに(c)は、回路基板3の組付け前の状態における挿通孔5とボス15の平面図、並びにボス15の軸方向に沿う断面図を示している。また、図3(d)は、回路基板3の組付け後の状態におけるボス15を、挿通孔5部分における断面図で示している。更に、図4(a)は、図2(d)のIV-IV線に沿う断面図を示している。
図1、図2(a)等に示すように、取付部13の支持面部14は、本体ケース10における枠部10bのコーナー部分の内側に位置し、且つ枠部10bよりもZ方向の厚みを持たせた矩形ブロック状をなす。支持面部14の上面は、回路基板3における挿通孔5の周縁部を、当該基板3の下面3d側から支持する平坦面とされている(図4(a)参照)。
ボス15は、図1に示すように支持面部14上において内寄り(本体ケース10の中心寄り)の位置にあり、回路基板3の挿通孔5に対応するように配置された柱状のボスである。また、図4(a)に示すように、ボス15は、熱かしめが行われることにより、その柱状部16の先端側に設けられた熱かしめ部17と、柱状部16の径方向外側へ突起するリブ20と、を一体に有する。
ボス15の柱状部16は、挿通孔5に挿通可能な小円柱状をなしており、図3(a)(b)に示すように、挿通孔5の内径D0よりも小さい外径D1を有する(D0>D1)。柱状部16は、その中心軸線Oの方向(軸方向)がZ方向を指向するように支持面部14上面から延伸している(図3(c)参照)。柱状部16は、図2(a)〜(c)に示す熱かしめ前の状態で、熱かしめを行うのに必要な、回路基板3の板厚t0よりも大きい軸方向の寸法を有する。
熱かしめ部17は、図2(c)(d)に示すように、上記の柱状部16が回路基板3の挿通孔5に挿通された状態で、その柱状部16先端側の熱かしめにより形成される。即ち、熱かしめ部17は、柱状部16の先端側の熱かしめによる加熱に伴い溶融して円盤状に変形した部分であり、挿通孔5の内径D0よりも大きい外形を有する。これにより、ボス15は、熱かしめ部17にて挿通孔5を塞ぎ、回路基板3をZ方向へ移動させないように保持する。
そして、リブ20は、1つのボス15に対して複数(例えば4つ)設けられている。本実施形態では、4つのリブ20各々を区別するために符号「201」「202」「203」「204」で表すものとする。また、本実施形態のリブ201〜204は、回路基板3の組付け時に挿通孔5で一部が押し潰されるクラッシュリブであることから、組付け前のものに符合「p」を付したリブ「201p〜204p」として表し、組付け後のリブ「201〜204」と区別する。
即ち、図2(a)、図3(b)(c)に示すように、リブ201p〜204pは、柱状部16の基端側から先端側まで延在する帯状のリブである。リブ201p〜204pは、柱状部16の周方向におけるリブ間距離で等間隔となるよう、柱状部16の周りに90度間隔で形成されている。また、リブ201p〜204pは、柱状部16の軸方向に対する法線方向へ各々突起する。
詳細には図3(b)に示すように、ボス15を中心軸線Oの方向から見て、その軸線OをZ軸とし、当該軸線Oの位置を原点として前記平面方向におけるX軸(同図(b)で左右方向)及びY軸(同図(b)で上下方向)を規定する座標系を定義する。このとき、リブ204pと202pは、柱状部16表面においてX方向一方側と他方側(同図(b)で左側と右側)へ突起する。このリブ204p,202p各々の突起する方向は、柱状部16表面が中心軸線Oを中心とした円形をなすため、当該表面の法線方向を指向し且つ中心軸線Oの法線方向を指向する。また、リブ204pの柱状部16表面からの突起長L4pと、リブ202pの柱状部16表面からの突起長L2pは同じ寸法に設定されている(L4p=L2p)。それ故、リブ204pと202pは、中心軸線Oを対称軸として互いに対称的に突起する。
リブ201pと203pは、柱状部16の軸方向に対して法線方向となるY方向一方側と他方側(同図(b)で上側と下側)へ突起する。このリブ201pの柱状部16表面からの突起長L1pと、リブ203pの柱状部16表面からの突起長L3pは同じ寸法に設定されている(L1p=L3p)。それ故、リブ201pと203pも、中心軸線Oを対称軸として互いに対称的に突起する。
また、上記した4つのリブ201p〜204p相互間においても、中心軸線Oに対する対称性を有し、又、各々の突起長L1p〜L4pは、何れも同じ寸法に設定されている(L1p=L2p=L3p=L4p)。
従って、当該ボス15において、リブ201p〜204p各々の法線方向へ突起する方向ベクトルの総和が0となる。また、本体ケース10における、当該ボス15以外の3つのボス15も、同じリブ構造を有するため(図1参照)、それら4つのボス15における全てのリブ201p〜204pは、当該全てのリブ201p〜204p各々の法線方向へ突起する方向ベクトルの総和が0となる。係る方向ベクトルについて詳しくは後述する。
こうして、ボス15は、リブ201p〜204pの法線方向への突起により、XY方向の外形が挿通孔5の内径D0よりも大きくなるように形成されている。ここで、ボス15の外形を囲う図3(b)の円102は、リブ201p〜204p各々の先端(突起端縁)と接し、且つリブ201p〜204p全部を柱状部16とともに内部に包含する仮想外接円102である。
仮想外接円102の直径D2は、挿通孔5の内径D0よりも大きいが(D2>D0)、リブ201p〜204pには、挿通孔5へ挿通し易くするためのテーパ面21pが各々形成されている。各テーパ面21pは、図3(c)に示すように、リブ201p〜204pの上端側に位置し、柱状部16の上端周縁101に向かって窄むように同じ傾斜角度で傾斜している。
つまり、リブ201p〜204pは各々のテーパ面21pも含め、中心軸線Oを対称軸として対称形状をなす。このため、回路基板3の挿通孔5をボス15に合わせて配置しようとするときに(図2(b)参照)、挿通孔5の周縁100と各テーパ面21pとが当接することで(図3(a)(b)参照)、柱状部16に対して挿通孔5が同心円状をなすように位置合わせを行うことができる。
こうして、回路基板3の組付け工程では、回路基板3の挿通孔5が柱状部16に対して同心円状をなす図3(b)の位置決め状態で、Z方向から支持面部14に向かって回路基板3を押し込むだけで、簡単に圧入することができる(図2(c)参照)。この圧入の際、挿通孔5にボス15が挿通されることに伴い、リブ201p〜204pにおいて、各々の突起端側が挿通孔5の周縁100で押し潰されることにより、挿通孔5の内周面に対して当接面22で当接するリブ201〜204となる(図3(d)参照)。これにより、ボス15は、リブ201〜204の当接面22(当接部)にて、挿通孔5内周面との間のクリアランスcを無くし(図4(a)(b)参照)、回路基板3をXY方向へ移動させないように嵌合保持する。この場合、図3(d)に示すリブ201の柱状部16表面から当接面22までの突起長L1は、挿通孔5の内径をD0、柱状部16の外径をD1としたとき次式(1)で与えられ、他のリブ202〜204の突起長L2〜L4も、L1と同じ寸法となる(L1=L2=L3=L4)。
L1=(D0−D1)/2 …(1)
この後、挿通孔5に挿通されたボス15における柱状部16の先端側を熱かしめして、熱かしめ部17を形成することにより、本体ケース10に回路基板3を取付け固定する(図2(d)参照)。
続いて、上記構成の作用について、図4(a)と(b)を対比しながら説明する。説明の便宜上、図4(b)は、本実施形態と異なりリブ201〜204が無いとした場合における説明図として用いるものとし、柱状部16を挿通するために必要な挿通孔5内周面と当該柱状部16のクリアランスcを表すものとする。
例えば車両の走行時の振動等、外部から作用する振動や衝撃により、回路基板3の取付部13部分には、せん断力や曲げモーメントといった振動ストレスが加わる。特に、リブ201〜204が無い図4(b)の構成では、クリアランスcに起因する回路基板3のXY方向へのがたつきにより、電子部品3bの損傷を助長する虞があり、係る振動や衝撃如何によっては、柱状部16のせん断破壊が生じうる。
これに対し、図4(a)の構成では、リブ201〜204が柱状部16の基端側から熱かしめ部17にわたって延在し、挿通孔5の内周面と当接することで、回路基板3のXY方向へのがたつきを抑制する。また、ボス15における、せん断強度は柱状部16の外周長さに比例し、引張強度は柱状部16の軸方向に垂直な断面積に比例するため、リブ201〜204を設けることで、かしめ強度が向上する。つまり、図4(a)の柱状部16におけるリブ201〜204を含めた外周長さ(図3(d)のハッチング部分の周りの長さ)は、リブ201〜204が無い図4(b)の柱状部16の外周長さよりも大きくなる。同様に、柱状部16におけるリブ201〜204を含めた断面積(同ハッチング部分の面積)は、図4(b)の柱状部16における断面積よりもリブ201〜204の分、広くなる。それ故、ボス15において、上記したリブ201〜204を備えた構成とすることにより、せん断強度と引張強度を同時に高めることができる。
以上説明したように、本実施形態の電子装置1において、ボス15は柱状部16とその先端側に回路基板3の挿通孔5よりも大きい外形となるように熱かしめされた熱かしめ部17とを有し、ボス15の柱状部16には、当該柱状部16の軸方向に対する法線方向へ突起するリブ201〜204が、挿通孔5の内周面と当接するように設けられている。
これによれば、熱かしめ部17により柱状部16の軸方向への回路基板3のがたつきを抑制しつつ、リブ201〜204により回路基板3の平面方向のがたつきを抑制することができる。また、これによれば、ボスを挿通するためのクリアランスcが存する従来構成(図4(b)の構成)のものに比して、柱状部16におけるリブ201〜204を含めた外周長さと、その軸方向に垂直な断面積と、を夫々増大させることができ、せん断強度と引張強度とを同時に高めることができる。これにより、外部からの振動や衝撃によるボス15の損傷や回路基板3上の電子部品3bの損傷を抑制することができる。
リブ201〜204は、1つのボス15に対して複数設けられており、当該ボス15の柱状部16の周方向におけるリブ間距離で等間隔となるように形成されている。これによれば、個々の挿通孔5にて、回路基板3をより安定して保持することができる。
リブ201〜204は、ボス15の柱状部16表面からの突起長L1〜L4がリブ相互間で同等である。これによれば、例えば上記のようにリブ201〜204を等間隔としたとき、当該複数のリブ201〜204と挿通孔5内周面との当接により、挿通孔5が柱状部16と同心状になる挿通状態を得ることができるとともに、熱かしめ部17による軸方向の固定と相俟って、回路基板3を全方向にがたつきなく固定することが可能となる。
また、リブ201〜204は、1つのボス15において柱状部16の基端側から熱かしめ部17側にわたって延在する4条のリブであるため、回路基板3をより安定して保持することができる。
更に、熱かしめにより回路基板3を取付け固定するため、固定用のねじ等が不要となることは勿論、筐体2の本体ケース10がボス15を含め熱可塑性樹脂により一体成形されているため、製造コストを低減することが可能となり、本体ケース10を金属材料で形成した場合に比して軽量化も図りうる。
上記した電子装置1において、リブ201p〜204pは、その先端と接し且つそのリブ201p〜204pを柱状部16とともに内部に包含する仮想外接円102の直径D2が、挿通孔5の内径D0よりも大きいクラッシュリブ201p〜204pとして形成される。これにより、回路基板3の組付けに際して、挿通孔5にボス15を柱状部16の軸方向へ挿通することに伴い、クラッシュリブ201p〜204pにおいて、その先端側が挿通孔5の周縁100で押し潰されることにより、形成された当接面22で挿通孔5の内周面と当接する。
これによれば、柱状部16と挿通孔5内周面との間のクリアランスcを、リブ201〜204にて無くすことができ、回路基板3の平面方向のがたつきを確実に防止することができる。
<その他の実施形態>
図5〜図8は、本発明の第2〜第5実施形態を示している。以下では、既述した実施形態と実質的に異なる点について述べることとする。
図5に示す第2実施形態のリブ23pは、第1実施形態のリブ20pと次の点で相違する。即ち、リブ23pは、1つのボス15に対して例えば3つ設けられたリブ231p,232p,233pを総称するものである。これらのリブ231p〜233pは、柱状部16の周りに120度間隔で形成されている。当該ボス15においては、第1実施形態と同様、リブ231p〜233p各々の法線方向へ突起する方向ベクトルの総和が0となるように形成されている。
ここで、「方向ベクトル」とは、リブの突起する法線方向と突起長を示す前記座標系上のベクトルであり、柱状部16表面を基点とする当該表面の法線ベクトルに相応する。具体的には、図5において、リブ231pの突起する方向に合わせたベクトルをa、リブ232pの突起する方向に合わせたベクトルをb、リブ233pの突起する方向に合わせたベクトルをcとし、同図ではベクトルa〜cに矢印を付けて表記する。
ベクトルa,b,cの大きさは、リブ231p,232p,233pの突起長L1p,L2p,L3pに対応しており、柱状部16表面の基点から終点に向かう各々の線分の長さ(図5の太線矢印各々の線分長)を同じくする。また、XY平面においてベクトルaとbのなす角、ベクトルbとcのなす角、ベクトルcとaのなす角は、何れも120度である。従って、リブ231p〜233p各々に対応するベクトルa〜cの総和は、次式(2)で与えられる。係るベクトルa〜cは、何れも柱状部16の軸方向に対して法線方向を指向する「方向ベクトルa〜c」として把握される。
a+b+c=0 …(2)
また、上記したリブ231p〜233pはクラッシュリブとして、回路基板3の組付けの際、挿通孔5にボス15を柱状部16の軸方向へ挿通することに伴い、当該リブ231p〜233p先端側が挿通孔5の周縁100で押し潰されることにより、形成された当接面24(図5の二点鎖線参照)で挿通孔5の内周面と当接するリブ231〜233となる。この場合も、リブ231〜233相互間で、柱状部16表面から当接面24までの突起長L1〜L3を同じくし、従って、リブ231〜233の方向ベクトル(a〜cに対応する図示しない方向ベクトル)についても、その総和が0となる(2)式の関係が維持される。
以上説明したように、本第2実施形態のリブ231〜233も、1つのボス15に対して複数設けられており、当該ボス15の柱状部16において当該複数のリブ231〜233各々の法線方向へ突起する方向ベクトルの総和が0となる。従って、これらリブ231〜233と挿通孔5内周面との当接により個々の挿通孔5において安定した挿通状態を得ることができるとともに、熱かしめ部17による軸方向の固定と相俟って、回路基板3を、個々のボス15で全方向にがたつきなく固定することが可能となる。
また、クラッシュリブ231p〜233pとすることで、回路基板3の平面方向のがたつきを確実に防止することができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
図6は、第3実施形態における回路基板3の組付け後のボス15について、当該基板3の4隅部における挿通孔5部分の断面図で示している。同図に示すように、本第3実施形態のリブ30は、4つのボス15に対して1つずつ設けられており、これらのリブ30各々を区別するために、符合「305,306,307,308」で表すものとする。これらのリブ305〜308はクラッシュリブではなく、図6のリブ形状は、回路基板3の組付け前と後で変わらない。
具体的には、リブ305〜308は、二等辺三角形の断面形状を有し、その底辺を柱状部16表面側として、頂点31を挿通孔5の内周面に向けて前記法線方向へ突起する。リブ305〜308は各々、柱状部16の周方向において頂点31が本体ケース10(あるいは回路基板3)における4隅を向く位置に形成され、柱状部16の基端側から熱かしめ部17側にわたって延在する。
ここで、図6において矢印を付けて表記する、リブ305の方向ベクトルをe、リブ306の方向ベクトルをf、リブ307の方向ベクトルをg、リブ308の方向ベクトルをhとする。
方向ベクトルe,f,g、hの大きさは、リブ305,306,307,308の突起長L5,L6,L7,L8に対応しており、柱状部16表面の基点から終点に向かう各々の線分の長さ(図6の太線矢印各々の線分長)を同じくする。また、XY平面において、方向ベクトルeとfのなす角、方向ベクトルfとgのなす角、方向ベクトルgとhのなす角、方向ベクトルhとeのなす角は、何れも90度である。それ故、方向ベクトルeとgが相互に180度反対方向を向き、方向ベクトルfとhも180度反対方向を向いて、方向ベクトルe,f,g、hの総和が0となる(e+f+g+h=0)。
このように、本第3実施形態において、4つのボス15における全てのリブ305〜308は、当該全てのリブ305〜308各々の法線方向へ突起する方向ベクトルの総和が0となるように形成されている。従って、これらリブ305〜308と挿通孔5内周面との当接により安定した挿通状態を得ることができるとともに、回路基板3を、全方向に対してがたつきなく固定することが可能となる。
また、これによれば、リブ305〜308をボス15毎に1つずつ設けただけでも、係る安定した挿通状態を確保することができる。更には、リブ305〜308は、その頂点31側のみで挿通孔5の内周面と当接するため、リブをボス毎に複数設け、あるいは当接部を挿通孔内周面に面接触させる構成に比して、回路基板3の組付け時における挿通孔5へのボス15の圧入を容易にすることができる。
図7に示す第4実施形態のリブ40は、第3実施形態のリブ30と次の点で相違する。即ち、リブ40は、1つのボス15に対して例えば2つ設けられたリブ405,406を総称するものである。これらのリブ405,406は、4つのボス15の夫々に形成されていて、夫々の柱状部16における周方向の位置を同じくしている。
具体的には図7中、左上隅のボス15において、その柱状部16の軸線Oを原点とする前記座標系で、一方のリブ405は、Y方向一方側(同図で上側)の位置に配置され、同Y方向一方側(軸線Oの法線方向)へ突起する。他方のリブ406は、同柱状部16におけるX方向一方側(同図で左側)の位置に配置され、同X方向一方側(軸線Oの法線方向)へ突起する。このボス15において、リブ405,406の頂点41,41及び柱状部16の外周面と各々接し且つそのリブ405,406を柱状部16とともに内部に包含する仮想外接円104の直径D4が、挿通孔5の内径D0と一致するように構成されている(D4=D0)。このため、挿通孔5の内周面に対して、リブ405,406の頂点41,41が当接するとともに、柱状部16の周方向において両リブ405,406からXY方向の他方側へ最も離間した位置が当接部42として当接する。
同様に、他の3つのボス15においても、一方のリブ405と他方のリブ406は、同図7の柱状部16における上側と左側の位置にて、各々法線方向へ突起するように配置されている。また、他の3つのボス15においても、夫々の仮想外接円104の直径D4が挿通孔5の内径D0と一致し、挿通孔5の内周面に対して、リブ405,406の頂点41,41と柱状部16外周面の当接部42とが当接する。
このように、リブ405,406は、4つのボス15相互間で、柱状部16の周方向において同じ位置となるように夫々のボス15に形成されているため、回路基板3を、全方向に対してがたつきなく固定することが可能となる等、上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図8に示す第5実施形態のリブ50pは、図3に示す第1実施形態のリブ201p〜204pと以下の点で相違する。
即ち、図8(b)(c)に示すリブ50pは、4つのボス15に対して、夫々の柱状部16における周方向の位置を同じくするように1つずつ設けられている。また、リブ50pはクラッシュリブであり、当該リブ50pの先端及び柱状部16外周面と各々接し且つ当該リブ50pを柱状部16とともに内部に包含する仮想外接円105の直径D5が、挿通孔5の内径D0よりも大きくなるように形成されている(D5>D0)。
このため、回路基板3の組付け工程では、回路基板3の挿通孔5が柱状部16外周面の当接部51と当接する図8(b)の位置決め状態で、Z方向から支持面部14に向かって回路基板3を押し込むようにして圧入する。この挿通孔5へのボス15の挿通に伴い、リブ50pにおいて、その突起端側が挿通孔5の周縁100で押し潰されることにより、形成された当接面52で挿通孔5の内周面と当接するリブ50となる(図8(d)参照)。
このように本第5実施形態においても、挿通孔5内周面に対し、リブ50の当接面52(当接部)及び柱状部16の当接部51が各々当接する挿通状態を得ることが可能となる。これにより、リブ50の当接面52及び柱状部16の当接部51にて、挿通孔5内周面との間のクリアランスcを無くし、回路基板3の平面方向のがたつきを確実に防止することができる等、上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態に限定されるものではなく、上記した各実施形態あるいは変形例を組み合わせる等、適宜変更して実施し得るものである。
ボス15及び挿通孔5は、上記したように4つずつ設ける構成に限るものではなく、夫々少なくとも1つ以上設ける構成であればよい。例えば、ボス15及び挿通孔5を1つずつ設けた場合でも、上記したリブ20,23,40,50の何れかを当該1つのボス15に形成することにより、そのリブと挿通孔5の内周面とが当接することで、回路基板3の平面方向のがたつきを防止することができる。
ボス15の柱状部16は、小円柱状のものに限らず、Z方向に直交する断面が多角形の多角柱状とする等、柱状のものであればよい。
リブ20,23,30,40,50の個数や形状は適宜変更してもよい。例えば図6のリブ30を、1つのボス15に対して、その柱状部16の周方向におけるリブ間距離で等間隔となる120度間隔で形成した、3条のリブにしてもよい。
また、リブ20,23,50は、クラッシュリブ20p,23p,50pから形成することなく、当初からリブ20,23,50の形態をなすように形成してもよい。
本開示は、実施例(実施形態)に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図面中、1…電子装置、2…筐体、3…回路基板、3b…電子部品、5…挿通孔、15…ボス、16…柱状部、17…熱かしめ部、20,23,30,40,50…リブ、20p,23p,50p…クラッシュリブ、22,24,52…当接部、100…挿通孔の周縁、102,105…仮想外接円。

Claims (8)

  1. 電子部品(3b)が実装され、少なくとも1つ以上の取付け用の挿通孔(5)が設けられた回路基板(3)と、
    前記挿通孔に対応する少なくとも1つ以上のボス(15)であって当該挿通孔に挿通される柱状のボスが設けられた筐体(2)と、を備え、
    前記ボスは、前記柱状をなす柱状部(16)と、その先端側に前記挿通孔よりも大きい外形となるように熱かしめされた熱かしめ部(17)とを有し、
    前記ボスの柱状部には、当該柱状部の軸方向に対する法線方向へ突起するリブ(20,23,30,40,50)が、前記挿通孔の内周面と当接するように設けられている電子装置(1)。
  2. 前記リブは、1つの前記ボスに対して複数設けられており、当該ボスの柱状部の周方向におけるリブ間距離で等間隔となるように形成されている請求項1記載の電子装置。
  3. 前記リブは、1つの前記ボスに対して複数設けられており、当該複数のリブ相互間で当該ボスの柱状部表面からの突起長が同等である請求項1記載の電子装置。
  4. 前記リブは、1つの前記ボスに対して複数設けられており、当該ボスの柱状部において当該複数のリブ各々の前記法線方向へ突起する方向ベクトルの総和が0となるように形成されている請求項1記載の電子装置。
  5. 前記筐体には、複数の前記挿通孔に対応する複数の前記ボスが設けられており、
    当該複数のボスにおける全てのリブは、当該全てのリブ各々の前記法線方向へ突起する方向ベクトルの総和が0となるように形成されている請求項1記載の電子装置。
  6. 前記筐体には、複数の前記挿通孔に対応する複数の前記ボスが設けられており、
    前記リブは、当該複数のボス相互間で、前記柱状部の周方向において同じ位置となるように夫々のボスに形成されている請求項1記載の電子装置。
  7. 前記リブは、前記ボスの柱状部の基端側から前記熱かしめ部側にわたって延在する1条または複数条のリブである請求項1から6の何れか一項記載の電子装置。
  8. 前記筐体として、前記ボスを含め熱可塑性樹脂により一体成形された筐体部材を用いた請求項1から7の何れか一項記載の電子装置。
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