(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る現金処理装置及び現金処理システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態は、例えば現金集中センターにおける現金処理装置及び現金処理システムに、本発明を利用する場合を例示する。
特に、この実施形態は、現金処理装置が分割入金処理を行なう場合を例示する。
例えば1伝票に係る現金量が膨大である等の理由から、1伝票の現金を複数のオペレータOPに分配する。各オペレータOPは、1伝票の現金の一部を現金処理装置1に投入し、現金処理装置1が現金計数する。このような入金処理を分割入金処理と呼ぶ。これにより、現金計数作業に係る時間を短縮できる。
分割入金処理では、各現金処理装置1で計数した計数結果を含む取引情報(以下「分割入金データ」とも呼ぶ)が作成される。複数の現金処理装置1で得られた複数の分割入金データを関連付け、各分割入金データの入金額を合算する。
そして、合算額が1伝票の伝票金額と一致するかを確認し、一致する場合に、これら分割入金データを統合して得た1つの取引データをサーバ2に送信する。これにより、1伝票の入金取引が完了する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態に係る現金処理システムの全体構成を示す全体構成図である。
図2において、第1の実施形態に係る現金処理システム9は、複数の現金処理装置1(1−1〜1−N;Nは正の整数)、サーバ2、取引データベース3、顧客マスタデータベース4を有する。
この実施形態の例では、複数の現金処理装置1−1〜1−Nは、現金集中センタに配置されているものとする。運用拠点には、処理ボリュームに合わせて複数の現金処理装置1が配置される。
各現金処理装置1−1〜1−Nは、現金の入金処理、出金処理及び計数処理等の種々の現金取引処理を行なう装置である。各現金処理装置1は、入金処理の際、オペレータOPにより入力された伝票S毎の顧客識別情報(例えば、店番、科目、口座番号等の一部又は全部)の入力を受け付け、サーバ2に送信して顧客マスター照会を行なう。これにより、顧客情報の正当性を確認することができる。
また、各現金処理装置1−1〜1−Nは、入金処理の際、オペレータOPにより現金が投入されると、金種枚数を計数して計数結果を表示する。各現金処理装置1−1〜1−Nは、オペレータOPによる取引内容が確認されると入金取引を完了し、計数結果を印刷したレシート(明細書)を出力する。
なお、各現金処理装置1−1〜1−Nは、入金処理として、通常の入金処理と分割入金処理とを行なうことができる。いずれの入金処理を行なうかについては、オペレータOPにより選択可能である。
サーバ2は、取引データベース3及び顧客マスタデータベース4と接続可能であり、各現金処理装置1から取引データを取得し、その取引データを取引データベース3に登録するものである。また、入金処理の際、サーバ2は、各現金処理装置1から顧客識別情報(例えば、店番、科目、口座番号等の一部又は全部)を取得すると、顧客マスタデータベース4から顧客識別情報に対応する顧客情報を検索し、その顧客情報を、要求してきた現金処理装置1に送信する。
取引データベース3は、取引データを記憶するものである。
顧客マスタデータベース4は、顧客情報を記憶するものである。顧客マスタデータベース4に記憶されるデータ構造は、特に限定されるものではないが、顧客識別情報と、顧客情報(例えば、口座番号に対する口座名、口座番号における店舗名等)とが対応付けられている。
[現金処理装置1の内部構成]
図3は、第1の実施形態に係る現金処理装置1の内部構成を示す内部構成図である。
図3において、第1の実施形態に係る現金処理装置1は、大別して、制御手段としての主制御部10、記憶部11、表示部12、カードリーダ13、入力部14、印刷部15、通信部16、紙幣部17、硬貨部18を有する。
主制御部10は、記憶部11に格納された制御プログラムに基づいて、現金処理装置1全体の処理を制御するものである。主制御部10は、入金処理や出金処理を行う機能や、計数取引を行う機能等に対応している。
主制御部10は、主として、分割入金処理部10a、取引実行部10b、分割入金照会部10c、顧客識別情報呼出部10dを有する。
分割入金処理部10aは、後述する分割入金処理を行なうものである。分割入金処理部10aは、1伝票の取引に係る現金のうち、分割(分配)された現金(一部現金)が投入され、その一部現金を計数し、当該一部現金の入金処理を行なう。
取引実行部10bは、後述する分割入金呼出処理、分割入金呼出選択処理を行なうものである。取引実行部10bは、自装置1の分割入金処理部10a、及び、通信部16を介して、他の現金処理装置1から分割入金データを取得し、複数の分割入金データの中から、選択された複数の分割入金情報を統合して、対応する取引内容に係る入金取引を完了する。
分割入金照会部10cは、分割入金データの確認のために、自装置1の分割入金処理部10a、及び、通信部16を介して、他の現金処理装置1から分割入金データを取得し、指定された分割入金データの詳細情報を照会するものである。
顧客識別情報呼出部10dは、予め設定された顧客識別情報から、指定された顧客識別情報を、顧客識別情報入力欄に貼り付けるものである。
記憶部11は、主制御部10の処理で利用される種々のデータを記憶する記憶手段である。記憶部11は、種々の情報を記憶する。記憶部11は、例えば、分割入金データや、入金取引の履歴や、出金取引の履歴や、紙幣部17及び硬貨部18に収納されている各金種の現金の数(有高)や、計数取引の履歴等を記憶する。さらに、記憶部11は、主制御部10が実行する制御プログラムや処理結果や、各種パラメータ等も記憶する。
紙幣部17は、紙幣を金種別に収納・管理するものである。
紙幣部17は、入金処理時に投入される複数の紙幣を一括して受け入れると共に出金処理時に釣銭としての紙幣を排出する紙幣入出金口173と、この紙幣入出金口173に受け入れた紙幣を1枚ずつ分離して、紙幣の金種等を鑑別すると共に鑑別した紙幣を金種毎に計数する紙幣認識部174と、この紙幣認識部174で鑑別計数された紙幣を集積して一時保留する紙幣一時保留部175と、入金紙幣を金種別に収納する紙幣回収庫171と、紙幣リジェクト172と、制御プログラムに基づいて紙幣部17全体の動作制御を行う制御部170を有する。
紙幣入出金口173には、内部に残っている紙幣(投入された紙幣又は排出した紙幣)の有無を判定する紙幣センサー173aが配置されている。現金処理装置1では、計数取引において、紙幣センサー173aにより、紙幣入出金口173から排出された紙幣(計数後に排出された紙幣)がオペレータにより取り出されたか否かを認識することができる。紙幣センサー173aに適用する検知方式については限定されないものであるが、例えば、光学的なセンサー(例えば、検査光が紙幣により遮られるか否かにより検知するセンサー)や機械的なセンサー(例えば、紙幣によりレバーが押し下げられるか否かにより検知するセンサー)を適用することができる。
硬貨部18は、硬貨を金種別に収納・管理するものである。
硬貨部18は、投入される硬貨を一括して受け入れる硬貨入金口184と、この硬貨入金口184に受け入れた硬貨を1枚ずつ分離して、硬貨の金種等を鑑別すると共に鑑別した硬貨を金種毎に計数する硬貨認識部186と、この硬貨認識部186で鑑別計数された硬貨を一時保留する硬貨一時保留部187と、入金硬貨を金種別に収納する硬貨回収庫181と、硬貨を出金するための硬貨出金口185と、硬貨リジェクト182と、制御プログラムに基づいて硬貨部18全体の動作制御を行う制御部180と、硬貨入金口184に入金された硬貨をオペレータに返却するための硬貨返却口199を有する。
例えば、硬貨一時保留部187、硬貨回収庫181、硬貨出金口185、及び硬貨返却口189は、金種毎に分けて硬貨を集積、収納できるように内部が区切られている。
硬貨返却口189は、硬貨入金口184に投入されたが、例えば、硬貨回収庫181に収納されなかった硬貨(例えば、計数後の硬貨)を返却する機能を担っている。硬貨返却口189には、内部に残っている硬貨(排出された硬貨)の有無を判定する硬貨センサー189aが配置されている。現金処理装置1では、計数取引において、硬貨センサー189aにより、硬貨返却口189に排出された硬貨(計数後の硬貨)がオペレータにより取り出されたか否かを認識することができる。硬貨センサー189aに適用する検知方式については限定されないものであるが、例えば、光学的なセンサー(例えば、検査光が硬貨により遮られるか否かにより検知するセンサー)や機械的なセンサー(例えば、硬貨によりレバーが押し下げられるか否かにより検知するセンサー)を適用することができる。
なお、紙幣部17の制御部170及び硬貨部18の制御部180は、主制御部10の指示に従って紙幣部17及び硬貨部18を制御する。
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等により、現金処理装置1の各種処理操作の案内、入力画面、入力情報、金種別の入金金額又は出金金額等を表示する表示手段である。
カードリーダ13は、オペレータが使用するIDカードに記録(例えば、ICチップ、磁気ストライプ等に記録)されている情報を読み取り、主制御部10に読み取り情報を与えるものである。これにより、IDカードに格納されている担当者識別情報が読み取られ、入金データ及び出金データを担当者識別情報に対応付けて管理することができる。なお、担当者識別情報については、カードリーダ13による読み取りではなく、後述する入力部14を介して担当者識別情報の入力を受付けるようにしてもよい。
入力部14は、オペレータが操作するものであり、例えば、キーボードやテンキーなどの物理的な入力手段や、表示部12上に配置されたタッチパネル等の入力手段を適用することができる。
印刷部15は、紙幣部17や硬貨部18で行われた入金処理又は出金処理の金額、金種別枚数等を用紙に印刷(印字)し、レシート(伝票)を出力する。より具体的には、印刷部15は、分割入金の際に計数結果(例えば入金額)や、現金処理装置1の装置識別情報である号機や、分割入金取引に係る通番などを用紙に印刷したレシートを出力する。
通信部16は、接続回線を通じて、サーバ2や他の現金処理装置1との間で、情報の授受を行なうものである。
(A−2)第1の実施形態の動作
以下では、第1の実施形態に係る現金処理システム9における分割入金処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[実施例1]
図1は、第1の実施形態に係る現金処理システム9における分割入金処理の動作例(実施例1)を示すシーケンス図である。
ここでは、1伝票の現金量が膨大であり、複数のオペレータOPに現金を分配し、複数の現金処理装置1−1〜1−3が連携して現金計数及び分割入金処理を並行して行なう場合の一例を挙げる。
現金処理装置1−1〜1−3のうち、現金処理装置1−1は、自装置1−1で得た分割入金データを格納すると共に、他の現金処理装置1−2及び1−3で得た各分割入金データを格納する装置として機能する。つまり、現金処理装置1−1は、全ての分割入金データを格納する。
各分割入金データを格納する現金処理装置1−1は、現金処理装置1−2及び1−3に対する「親機」とみることができ、現金処理装置1−2及び1−3は、現金処理装置1−1に対する「子機」とみることができる。
そこで、以下では、説明便宜上、現金処理装置1−1を「親機A」と呼び、現金処理装置1−2及び1−3を「子機B」及び「子機C」と呼んで分割入金処理を説明する。
なお、親機と子機を区別して説明するが、複数の現金処理装置1−1〜1−Nのそれぞれは同等の構成を備えている。親機又は子機の違いに拘わらず、各現金処理装置1は同等の処理機能を行なうことができる。
従って、親機であっても、分割入金処理を行なうことができる。逆に、子機であっても、1伝票の取引に関連する複数の分割入金データを呼び出ししたり、これら複数の分割入金データを関連付けた取引データをサーバ2に送信することができる。
親機として機能する現金処理装置1は、複数の現金処理装置1のうち任意の1台を予め設定する。図1の例では、1伝票の膨大な現金量を、親機A、子機B、子機Cを担当する各オペレータに分配する。各オペレータは、担当する親機A、子機B及び子機Cに現金を投入して計数し、分割入金処理を行ない、分割入金データを作成する。
[ステップS101、S111]
図4は、第1の実施形態に係る現金処理装置1の表示部12に表示されるメインメニュー画面の一例である。図5は、親機Aの表示部12に表示される分割処理の画面例であり、図6は、子機Bの表示部12に表示される分割処理の画面例であり、図7は、子機Cの表示部12に表示される分割処理の画面例である。
まず、親機Aを担当するオペレータと、子機B及びCを担当するオペレータは、それぞれ、所定の操作を行ない、分割入金処理を選択して開始する(ステップS101、ステップS111)。
例えば、図4のメインメニュー画面50には、分割入金処理を開始する「分割入金」ボタン51、分割入金データを格納している親機Aから分割入金データを呼び出す「分割入金呼出」ボタン52、親機Aから分割入金データを照会する「分割入金照会」ボタン53、「分割入金口座呼出」ボタン54、分割入金処理を終了する「終了」ボタン55を有する。
各オペレータOPは、分割入金処理を開始するため、図4に例示するメインメニュー画面50における「分割入金」ボタン51を選択する。そうすると、親機A、子機B及び子機Cでは、入金のために現金の投入が可能となると共に、図5、図6及び図7の分割入金処理に係る画面(以下、「分割入金画面」と呼ぶ。)60が表示部12に表示される。
図5〜図7の分割入金画面60は、顧客識別情報入力欄61、伝票金額入力欄62、計数結果63、「完了」ボタン64を有する。
図5〜図7の分割入金画面60の計数結果63は、例えば、現金処理装置1の現金収納部(金庫)に収納された合計金額である「収納計」、紙幣認識部174及び硬貨認識部186が計数した合計金額である「現金計」、紙幣認識部174による計数結果である「紙幣」、硬貨認識部186による計数結果である「硬貨」、伝票金額入力欄62に入力された伝票金額と収納計との差額である「差額」が含まれる。
なお、現金処理装置1は現金収納に加えて小切手などの有価証券も収納することができるようにしてもよい。現金処理装置1が小切手を収納する場合、「収納計」には、「現金計」の金額に小切手の金額も加算した合計金額を表示することができるが、この実施形態では、説明を容易にするために、現金の計数のみを例示する。
図5〜図7の分割入金画面60には、顧客識別情報として、「店番」、「科目」、「口座」の顧客識別情報入力欄61と、伝票金額を入力する伝票金額入力欄62とがある。顧客識別情報入力欄61及び伝票金額入力欄62については、オペレータOPが、伝票Sに記載されている「店番」、「科目」、「口座」、「伝票金額」を入力する。
ここで、顧客識別情報入力欄61及び伝票金額入力欄62は、計数処理の際、任意の入力項目である。
これは、伝票Sは1枚しか発行されないので、伝票Sは複数のオペレータOPの間で手渡しで回覧される。したがって、親機A、子機B及びCで計数処理を並列して行なう場合、少なくとも計数処理の際に、伝票Sを見ることができないオペレータOPもいるので、オペレータOPが入力できないこともある。
そこで、顧客識別情報及び伝票金額の入力は、最終的に入力することができればよく任意の入力項目としている。換言すると、顧客識別情報及び伝票金額の入力は、サーバ2に対して取引結果通知を送信するまでに入力されていればよく、少なくとも計数処理の際の必須入力項目としていない。
以下では、計数処理を行なう際に、親機Aを担当するオペレータOPの手元に伝票Sがある状態(逆をいえば、子機B及びCを担当するオペレータOPの手元には伝票Sがない状態)で、親機A、子機B及びCで計数処理を並列に行なう場合を例示する。
[ステップS102〜S105]
まず、親機Aにおける処理を説明する。親機Aでは、オペレータOPにより現金が投入されて計数処理が行なわれる(ステップS102)。
より具体的には、紙幣部17の紙幣入出金口173に投入された紙幣は、1枚ずつ繰り出されて、紙幣認識部174に搬送される。紙幣認識部174は、通過する紙幣を計数すると共に紙幣の状態を識別して金種枚数を計数する。また、硬貨部18の硬貨入金口184に投入された硬貨は、硬貨認識部186により金種枚数が計数される。紙幣認識部174及び硬貨認識部186の計数結果は主制御部10に通知される。
現金計数が終了すると、図5の分割入金画面において、計数結果63が表示される(ステップS103)。
主制御部10は、紙幣認識部174の計数結果(図5の例の場合、「A,000,000円」)と、硬貨認識部186の計数結果(図5の例の場合、「CCC円」)を足し合わせた合計金額を「現金計」に表示する(図5の例の場合、「A,000,CCC円」)。なお、この実施形態では、現金額のみとしているので、収納計には「A,000,CCC円」が表示される。
次に、顧客識別情報としての「店番」、「科目」及び「口座」と、伝票Sに記載の「伝票金額」とが、オペレータOPにより入力される(ステップS104)。
上述したように、顧客識別情報及び伝票金額は、任意の入力項目であるが、親機AのオペレータOPの手元には伝票Sがあるため、ここでは、顧客識別情報及び伝票金額が入力される場合を例示する。
分割入金画面60の伝票金額入力欄62に、伝票金額が入力されると、主制御部10は、伝票金額と収納計との差額を計算し、その結果を「差額」の欄に表示する。例えば、図5の例の場合、伝票金額入力欄62には「X,000,CCC円」が入力されているので、「差額」の欄には、「−D,000,000円」が表示される。
なお、顧客識別情報及び伝票金額の入力タイミングは、特に限定されるものではなく、例えば、分割入金画面60が表示されてから、現金計数開始前、現金計数中、現金計数後、計数結果が表示されたときのいずれのタイミングでも入力可能である。
親機Aに現金を投入して、表示部12に表示された計数結果を確認したオペレータOPは、分割入金画面60の「完了」ボタン64を押下する(ステップS105)。これにより、親機Aで完了させた分割入金データは通番が付されて、親機Aに格納される。
親機Aにおいて、分割入金処理が完了すると、印刷部15により分割入金データを記載したレシート(明細書)が印刷されて出力されるようにしてもよい。例えば、レシートには、少なくとも、号機、通番、入金額が印刷される。また、顧客識別番号、伝票番号が入力された場合、顧客識別番号、伝票番号もレシートに印刷される。
[ステップS112〜ステップS115]
子機B及びCにおける処理を説明する。子機B及びCでは、オペレータOPにより現金が投入されて計数処理が行なわれる(ステップS112)。現金計数が終了すると、図6の分割入金画面60において、計数結果63が表示される(ステップS113)。
子機B及びCのオペレータOPの手元には伝票Sがない状態であるため、この時点で、当該オペレータOPは、顧客識別情報としての「店番」、「科目」及び「口座」と、伝票Sの「伝票金額」を入力していない。従って、図6、図7の分割入金画面60のように、顧客識別情報入力欄61及び伝票金額入力欄62には入力がない。
主制御部10は、紙幣認識部174の計数結果(図6の例の場合、「B,000,000円」、図7の例の場合、「C,000,000円」)と、硬貨認識部186の計数結果(図6の例の場合、「0円」、図7の例の場合、「0円」)を足し合わせた合計金額を「現金計」に表示する(図6の例の場合、「B,000,000円」、図7の例の場合、「C,000,000円」)。更に、「伝票金額」が入力されていないので、主制御部10は、「差額」については表示しない。
子機B及びCに現金を投入して計数結果を確認したオペレータOPは、分割入金画面60の「完了」ボタン64を押下する(ステップS115)。これにより、子機B及びCで獲得された、伝票Sに係る現金の一部である分割入金データが親機Aに通知され、親機Aでは、子機Bにおける分割入金データを格納する。
子機B及びCにおいて、分割入金処理が完了すると、印刷部15により分割入金データを記載したレシート(明細書)が印刷されて出力されるようにしてもよい。例えば、レシートには、少なくとも、号機、通番、入金額が印刷される。また、顧客識別番号、伝票番号が入力された場合、顧客識別番号、伝票番号もレシートに印刷される。
なお、子機B及びCにおける計数処理の際(すなわち、分割入金の完了押下前)に、伝票Sが当該オペレータOPに回覧されてきたときには、分割入金画面60において、顧客識別情報及び伝票金額の入力が可能である。この場合、既に説明した親機Aにおける処理と同様に、オペレータOPの操作により、分割入金画面60において、顧客識別情報及び伝票金額が入力され、分割入金データを獲得するようにしてもよい。
[ステップS121〜S123、S131]
子機Bでは、1つの伝票Sの取引について、親機A、子機B及びCで分割入金により得られた複数の分割入金データを関連付けて、サーバ2に取引データを送信(取引結果通知)して登録する。
なお、この例では、子機Bが各分割入金データの呼び出し及び取引結果通知を行う場合を例示するが、この主体は限定されるものではなく、親機Aであってもよいし、他の子機が行なうようにしてもよい。
子機Bを担当するオペレータOPの手元には伝票Sが回覧されている。また、親機A、子機Cで出力されたレシートも、子機BのオペレータOPの手元に回される。従って、オペレータOPは、必要に応じて顧客マスター照会を行ない、伝票S(及び、レシート)に記載されている情報と、子機Bの表示部120に表示される画面とを照合しながら、サーバ2に取引通知結果を送信する。
まず、オペレータOPの操作により、子機Bの表示部12に表示されたメインメニュー画面50において、「分割入金呼出」が押下され(ステップS121)、図8に例示する分割入金呼出画面70が表示部12に表示される。
そして、表示部12に表示される分割入金呼出画面70において、オペレータOPの操作により、1伝票に係る取引に関する複数の分割入金データが選択される(ステップS122)。この選択は、オペレータOPから手渡されたレシートに記載されている「号機」及び「通番」に基づいて行われる。
そうすると、主制御部10は、選択された複数の分割入金データを関連付けて、複数の分割入金処理で入金された入金額を合算する。そして、複数の分割入金データの関連付けを確認させるために、顧客識別情報や、分割入金処理に関する詳細情報(例えば、現金処理装置1の装置識別情報や、合算金額及び現金(紙幣、硬貨)の金額などを含む情報)を表示すると共に、伝票金額と合算金額との差額を含む分割入金呼出選択画面80(図9参照)を表示部12に表示する。なお、後述するように、図9に例示する分割入金呼出選択画面80では、顧客識別情報や、伝票金額などを入力できるようにしてもよい。
分割入金呼出選択画面80を確認したオペレータOPが、1伝票Sの取引について、複数の分割入金データの関連付けが正当であると判断すると、当該分割入金呼出選択画面80において、「完了」ボタンを押下する。これにより、主制御部10は、選択された複数の分割入金データを1つにまとめ、これを1つの取引データとして、サーバ2に取引結果通知の送信をする(ステップS123)。
取引データを受信したサーバ2は、子機Bから受信した取引データを、当該伝票Sに係る入金取引データとして登録する(ステップS131)。
以下、図面を参照して動作を説明する。図8は、第1の実施形態に係る分割入金呼出画面70の一例である。図9は、第1の実施形態に係る分割入金呼出選択画面80の一例である。
図8に例示する分割入金呼出画面70は、複数の現金処理装置1における分割入金処理により得られた分割入金データを表示して、1又は複数の分割入金データを呼び出す画面である。分割入金呼出画面70は、関連付ける複数の分割入金データを選択するための画面である。
図9に例示する分割入金呼出選択画面80は、複数の分割入金データで入金した入金額を合算した結果を含む画面である。分割入金呼出選択画面80は、選択した複数の分割入金データの関連付けが正当であるか否かを確認させるための画面である。
図8に例示するように、分割入金呼出画面70は、操作ガイダンス表示部71と、各現金処理装置1で分割入金処理により得られた分割入金データの一覧を示す分割入金データ一覧表示部72、分割入金データ一覧表示部72から対象とするデータを指定する指定部(例えば、チェックボタン)73、分割入金データ一覧表示部72から対象とするデータを選択する選択部74、「実行」ボタン75、「完了」ボタン76を有する。
分割入金データ一覧表示部72は、分割処理を行なった現金処理装置1の識別するために現金処理装置1の装置識別情報として「号機」と、入金取引を識別する通し番号を示す「通番」、顧客識別情報としての「店番−科目−口座(番号)」、分割入金処理に係る入金金額を示す「入金金額」を項目とする。
ここで、「通番」に表示される通し番号は、伝票Sに記載されている伝票番号や、各オペレータOPが伝票番号に加えて付した枝番(伝票番号+枝番)ではなく、分割入金処理で得られた分割入金データに付与される通し番号である。すなわち、通し番号は、分割入金取引を識別するための識別番号(通し番号)である。あるいは、分割入金データ個有に付与する番号に限定せず、各現金処理機1で管理する通し番号としてもよい。
また、上述したように、親機Aでは、顧客識別情報としての「店番−科目−口座(番号)」が入力されたが、子機B及びCでは、伝票Sが回覧されていないので、顧客識別情報が入力されていない。そのため、図8の分割入金データ一覧表示部72において、子機Bの分割入金データには、顧客識別情報としての「店番−科目−口座(番号)」が入力されていない。
例えば、親機Aの分割入金データと、子機B及びCの分割入金データとを関連付けるため、オペレータOPの操作により、「通番;0001」、「通番;0002」、「通番;0003」が選択される。この実施形態では、各分割入金データにチェックボックスが対応付けられており、チェックボックスにフラグを立てて、分割入金データを選択する場合を例示するが、選択方法はこれに限定されない。
複数の分割入金データが選択されると、図9に例示する分割入金呼出選択画面80が表示部12に表示される。
図9に例示する分割入金呼出選択画面80は、顧客識別情報入力欄81、伝票金額入力欄82、計数結果83、「完了」ボタン84、各分割入金データの呼出情報表示欄85を有する。
顧客識別情報入力欄81には、例えば「店番」、「科目」、「口座」などの顧客識別情報を入力することができる。伝票金額入力欄82には、伝票Sに記載されている伝票金額を入力することができる。選択した複数の分割入金データのうち、いずれかの分割入金データに顧客識別情報、伝票金額が含まれている場合には、その分割入金データに含まれている顧客識別情報、伝票金額が表示される。
なお、各現金処理装置1での計数処理の際に、顧客識別情報、伝票金額の入力は任意であるため、全ての分割入金データに顧客識別情報、伝票金額が含まれていないこともある。その場合には、分割入金呼出選択画面80における顧客識別情報入力欄81、伝票金額入力欄82は空白となって表示されるが、親機において分割入力データの関連付けの際(すなわち、分割入金呼出の際)に、オペレータOPの操作により、例えば「店番」、「科目」、「口座」などの顧客識別情報、伝票金額が入力されるようにしてもよい。これにより、計数処理を迅速に行なう必要がある場合には、計数処理を優先するために、各現金処理装置1での顧客識別情報、伝票金額の入力を省略して、計数処理を先行して行ない、その後の分割入金呼出の際に、分割入金データの関連付けると共に顧客識別情報、伝票金額の入力を行なうことができる。
計数結果83には、選択された複数の分割入金データに含まれている、収納計、現金計(紙幣(金額)、硬貨(金額))を合算した金額が表示される。伝票金額入力欄82に、対象とする伝票Sの伝票金額が入力されているときには、主制御部10は、伝票金額と合算額との差額を算出し、その差額も表示する。
この例の場合、親機Aの分割入金データの現金計「A,000,CCC円」、子機Bの分割入金データの現金計「B,000,000円」、子機Cの分割入金データの現金計「C,000,CCC円」であり、これらの合算額が「X,000,CCC円」とすると、伝票金額と合算額とが一致し、違算がないと判断できる。
呼出情報表示欄85には、選択された各分割入金データの詳細情報が表示される。図9の例では、分割入金処理を行なった現金処理装置1の装置識別情報と、入金金額(現金計)とが表示される場合を例示しているが、詳細情報はこれに限定されるものではない。
上述したように、従来は、複数の現金処理装置1を用いて現金を計数する際に、各オペレータが回金表を手書きすることが必要である。しかし、この実施形態では、各オペレータにより手書きされる回金表を作成する必要がない。各オペレータは分配された現金を現金処理装置1で計数だけとなる。そのため、回金表の誤記などを防ぐことができ、オペレータの手作業を無くし、取引の違算も回避できる。
また、従来は、最終的に、オペレータが、伝票と、各現金処理装置で計数した結果とを突合して、取引通知結果を手入力している。しかし、この実施形態では、複数の子機が並列で計数した計数結果を選択して、複数の分割入金データを関連付けるだけであり、従来のような手入力が不要である。そのため、手入力の誤りを防ぐことができ、取引の違算も回避できる。
[実施例2]
図10は、第1の実施形態に係る現金処理システム9における分割入金処理の動作例(実施例2)を示すシーケンス図である。
実施例2は、基本的には、図1の実施例と同様である。実施例2は、親機Aにおいて、分割入金呼出画面で、1伝票の取引に関連する1又は複数の分割入金データを選択した状態で、親機Aで分割入金処理をして、複数の分割入金データを合算して取引結果通知をサーバ2に送信する一例である。
実施例1では、伝票Sが親機AのオペレータOPから子機BのオペレータOPに回覧され、子機Bが分割入金データの呼び出し及び取引結果通知をサーバ2に送信する例である。
これに対して、実施例2は、オペレータOPの間で伝票Sの回覧がなされず、親機AのオペレータOPの手元に伝票Sがある状態で、親機Aが分割入金データの呼び出し及び取引結果通知をサーバ2に送信する。
[ステップS111〜S115]
ステップS111〜S115は、実施例1の図1のステップS111〜S115の処理と同様である。子機B及びCでは、伝票Sが回覧されないので、分割入金画面60において、顧客識別情報の入力は行なわれない。
[ステップS201〜S207、S131]
親機Aを担当するオペレータOPの手元には伝票Sがある。まず、オペレータOPの操作により、親機Aの表示部12に表示されたメインメニュー画面50において、「分割入金呼出」が押下され(ステップS201)、図11に例示する分割入金呼出画面70が表示部12に表示される。この時点で、子機Bの分割入金データは「通番;0001」、子機Cの分割入金データは「通番;0002」として親機Aに格納されているものとする。
そして、表示部12に表示される分割入金呼出画面70において、オペレータOPの操作により、1伝票に係る取引に関する複数の分割入金データ(すなわち、「通番;0001」、「通番;0002」の分割入金データ)が選択される(ステップS202)。
そうすると、主制御部10は、選択された複数の分割入金データを関連付けて、複数の分割入金処理で入金された入金額を合算して、図12に例示する分割入金呼出選択画面80を表示部12に表示する。また、親機AのオペレータOPの手元には伝票Sがあるので、図12の分割入金呼出選択画面80において、オペレータOPにより顧客識別情報及び伝票金額が入力される(ステップS203)。
図12の分割入金呼出選択画面80では、子機Bの分割入金額「B,000,000円」と子機Cの分割入金額「C,000,000円」との合算額「M,000,000円」が現金計に表示される。また、伝票金額「X,000,CCC円」が入力されるので、伝票金額「X,000,CCC円」と現金計「M,000,000円」との差額「−A,000,000円」が表示される。これにより、親機AのオペレータOPは、当該伝票Sの取引に関する子機B及びCの分割入金データの内容を確認することができる。
続いて、親機AのオペレータOPは、分配された現金を親機Aで計数するため、図12の分割入金呼出選択画面80にある「入金開始」ボタン86を押下し(ステップS204)、現金を親機Aに投入して、親機Aが現金を計数する(ステップS205)。
すなわち、実施例2では、分割入金呼出選択画面80(図12参照)が分割入金処理を行なう「入金開始」ボタン86を有しており、取引に関連する分割入金データの確認を行なうと共に、「入金開始」ボタン86が押下されることにより、当該現金処理装置1において分割入金を行なうことができる。
そして、親機Aにおいて現金の計数処理が終了すると、図13に示すように、分割入金呼出選択画面80には、親機Aにおける計数結果が表示される(ステップS206)。具体的には、分割入金呼出選択画面80に、親機Aにおける計数結果として「Aより、A,000,CCC円入金」などの計数結果が表示されると共に、それまでの合算額である現金計「M,000,000円」に、更に親機Aの分割入金額「A,000,CCC円」が加算された金額「X,000,CCC円」が現金計に表示される。また、差額「0円」も更新される。
なお、図13の分割入金呼出選択画面80において、今回の親機Aで行なわれた分割入金処理による計数結果や更新した金額については、オペレータOPに注意を意識させるために、赤字表示、太字表示などの強調表示するようにしてもよい。
オペレータOPによる取引に関連する分割入金データが確認され、オペレータOPにより「完了」ボタン84が押下されると(ステップS207)、当該親機Aの分割入金データが通番が付与されて親機Aに格納されると共に、親機A、子機B及びCの分割入金データが合算されたものが、取引データとしてサーバ2に送信されて登録される(ステップS131)。
上述したように、実施例2によれば、実施例1と同様の効果を奏する。さらに、実施例2によれば、1伝票の取引に関連する1又は複数の分割入金データを選択した状態で、当該現金処理装置1において分割入金処理を連続的に行なうことができる。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、従来のように、手書きによる回金表の作成が不要となるので、取引の違算を回避できる。また、第1の実施形態によれば、回金表に基づく取引情報の手入力が不要となるので、取引の違算を回避できる。その結果、違算発生頻度は大幅に減らすことができ、入金作業の厳正化が図ることが可能になる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る現金処理装置及び現金処理システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の現金処理システム9及び各現金処理装置1の内部構成は、第1の実施形態の図2及び図3と同様であるため、第2の実施形態でも図2及び図3を用いて説明する。
また、現金処理装置1の表示部12に表示されるメインメニュー画面も、第1の実施形態の図4と同様であるので、第2の実施形態でも図4を用いて説明する。
第1の実施形態で説明したように、各現金処理装置1で分割入金した分割入金データは、親機に格納される。1伝票についての分割入金データだけでなく、複数の伝票のそれぞれについての分割入金データも格納されることがある。
従って、親機に格納されている分割入金データを呼び出して、1伝票の取引に関連する複数の分割入金データを選択するオペレータOPは、伝票Sに記載の伝票金額や、分割入金をした各現金処理装置1で出力したレシートに記載の号機番号や通番などを参照して、分割入金データを選択することになる。
そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態の現金処理装置1の構成及び処理に加えて、「分割入金照会」機能を追加した。分割入金照会は、分割入金された取引を表示するが、その後分割入金呼出しされ、取引が完了されたら表示対象から外される。分割入金で処理され、まだ取引が完結していない取引を照会する機能である。分割入金照会は、指定した分割入金データの詳細情報を照会する機能である。分割入金照会は、親機、子機のいずれの現金処理装置1も有する機能である。照会する詳細情報は、例えば、号機、通番、オペレータ名、分割入金した入金額(現金計)、顧客識別情報、伝票金額、差額、分割入金した時刻情報などの一部又は全部とすることができる。なお、詳細情報は、これに限定されるものではない。
(B−2)第2の実施形態の動作
第2の実施形態に係る分割入金照会処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態で説明した分割入金処理及び分割入金呼出処理を適用することができる。
親機Aに格納されている分割入金データの詳細情報を閲覧希望するオペレータOPは、現金処理装置1の表示部12に表示されているメインメニュー画面50(図4参照)において、「分割入金照会」ボタン53を選択する。
そうすると、図14に例示する分割入金照会画面90が表示部12に表示される。
図14は、第2の実施形態に係る分割入金照会画面の一例を示す画面図である。
図14の分割入金照会画面90には、操作ガイダンス表示部91と、親機Aに格納される取引が完了途中の入金状態の分割入金データの一覧を示す分割入金データ一覧表示部92、分割入金データ一覧表示部92から対象とするデータを選択する選択部94、選択を実行する「実行」ボタン95、メインメニュー画面に戻る「終了」ボタン96を有する。
図14の分割入金照会画面90には、親機Aに格納されている全ての分割入金データが一覧表示される。分割入金データの照会を希望するオペレータOPは、この一覧表示の中から、照会対象とするデータを選択する。選択方法は、特に限定されるものではない。
親機Aから指定された分割入金データが当該現金処理装置1に送信されて、当該現金処理装置1の表示部12に、図15に例示する分割入金データの詳細情報が表示される。
図15は、第2の実施形態に係る分割入金照会画面の一例を示す画面図である。
図15に例示するように、分割入金データの詳細情報は、例えば「号機」、オペレータ名を示す「オペレータ」、「通番」、「取引時刻」などを含む情報97と、「店番」、「科目」、「口座」の顧客識別情報や「伝票金額」、「収納計」、「現金計」、「紙幣」、「硬貨」、「差額」の入金情報などを含む詳細情報98、メインメニュー画面に戻る「終了」ボタン96、1つ前の画面に戻る「戻る」ボタン99などを有する。
図15の分割入金データの詳細情報を見たオペレータOPは、当該分割入金の取引額、号機番号、オペレータ名、通番、取引時刻等を確認(閲覧)することができる。
そのため、オペレータOPは、伝票Sに記載されている伝票金額や、各現金処理装置1で分割入金した後のレシートに記載された号機や通番などを参照して、当該伝票Sの取引に関連する分割入金は、どの現金処理装置で誰が行なったかを確認できる。また、当該伝票Sの取引に関連する分割入金が何回行なわれ、それぞれの取引額(入金額)はいくらであるかを確認することができる。
また、各現金処理装置1で分割入金処理が行なわれ、取引が完了途中である入金状態の分割入金データが存在していることを、オペレータOPに知らせるため、アラーム(例えば、警報鳴動、警告表示等)報知するようにしてもよい。このようにアラーム報知することにより、分割入金データが保留していることをオペレータOPに意識させることができる。
より具体的には、分割入金データの取引時刻又は親機Aに格納されてから、所定時間経過したときに、表示部12の画面上に警告表示するようにしてもよい。このとき、親機Aの表示部12だけでなく、全ての現金処理装置1の表示部12に警告表示するようにしてもよい。また全ての現金処理装置1ではなく、分割入金処理を行なった現金処理装置1(すなわち、分割入金データの「号機」に対応する装置)の表示部12に警告表示するようにしてもよい。
また、所定時間経過後の警告表示することに限定されず、分割入金データが作成されたときに警告表示するようにしてもよい。
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、親機に格納されている取引が完了途中の入金状態の分割入金データを照会する分割入金照会を備えることにより、指定した分割入金データの詳細な情報を確認することができる。
(C)第3の実施形態
次に、本発明に係る現金処理装置及び現金処理システムの第3の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態の現金処理システム9及び各現金処理装置1の内部構成は、第1の実施形態の図2及び図3と同様であるため、第3の実施形態でも図2及び図3を用いて説明する。
また、現金処理装置1の表示部12に表示されるメインメニュー画面も、第1の実施形態の図4と同様であるので、第3の実施形態でも図4を用いて説明する。
第3の実施形態は、顧客識別情報を迅速かつ正確に入力できるようにするため、第1又は第2の実施形態で説明した構成に加えて、事前に複数の顧客識別情報を登録しておき、登録した複数の顧客識別情報の中から、所望の顧客識別情報を選択できるようにする。
第3の実施形態に係る現金処理装置1において、記憶部11には、予め複数の顧客識別情報(以下では、「登録顧客識別情報」とも呼ぶ。)が記憶されている。
なお、第3の実施形態では、登録顧客識別情報が、現金処理装置1の記憶部11に登録(記憶)する場合を例示する。しかし、各現金処理装置1が顧客識別情報を呼出可能であれば、記憶部11以外の記憶領域に、登録顧客識別情報を登録するようにしてもよい。より具体的には、例えば、登録顧客識別情報は、現金処理装置1に搭載されている他の外部記憶部(図示しない)に記憶するようにしてもよいし、拠点内で分散配置されたデータベースに記憶するようにしてもよい。また例えば、拠点外の分散配置されたデータベースに記憶するようにしてもよい。
図16は、第3の実施形態に係る現金処理装置1に登録される顧客識別情報の構成を説明する説明図である。
図16に示すように、第3の実施形態に係る登録顧客識別情報は、店番、科目、口座番号の項目を有する。
登録顧客識別情報は、例えば、事前に契約を締結している顧客や、大口取引のある顧客などの顧客識別情報とすることができる。登録顧客識別情報は、例えば、店番、科目、口座番号等のいずれかの組み合わせ又は全部とすることができる。なお、登録顧客識別情報は、これらに限定されるものではなく、顧客名、住所、電話番号等を含むようにしてもよい。
登録顧客識別情報の登録方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を広く適用することができる。例えば、登録画面において、手入力で顧客識別情報を入力するようにしてもよいし、事前に入力済みである複数の顧客識別情報を記憶部11に転送(例えばインポート)するようにしてもよい。
(C−2)第3の実施形態の動作
以下、第3の実施形態に係る顧客識別情報の選択処理の動作を、図面を参照する。
なお、第3の実施形態においても、第1の実施形態で説明した分割入金処理及び分割入金呼出処理、及び又は、第2の実施形態で説明した分割入金照会処理を適用することができる。
例えば、登録顧客識別情報から所望の顧客識別情報の呼び出しを希望するオペレータOPは、現金処理装置1の表示部12に表示されているメインメニュー画面50(図4参照)において、「分割入金口座呼出」ボタン54を選択する。
なお、「分割入金口座呼出」ボタン54は、図4のメインメニュー画面50に表示される形態に限定されない。例えば、図17に例示するように分割入金画面60に「分割入金口座呼出」ボタン54が表示されるようにしてもよい。また図示しないが、図12に例示した分割入金呼出選択画面80に「分割入金口座呼出」ボタン54が表示されるようにしてもよい。これにより、分割処理等のように、顧客識別情報を入力するオペレータOPの操作性を良好にすることができる。つまり、顧客識別情報の入力を行なうオペレータOPが操作する画面に「分割入金口座呼出」ボタン54を表示することにより、より容易に顧客識別情報を選択することができる。
「分割入金口座呼出」ボタン54が押下されると、図18に例示する分割入金口座呼出画面100が表示部12に表示される。
図18は、第3の実施形態に係る分割入金口座呼出画面100の一例を示す画面図である。
図18に示すように、分割入金口座呼出画面100の顧客識別情報一覧表示部102に、事前に登録されている顧客識別情報が一覧表示される。オペレータOPは、選択部104を操作して、各顧客識別情報に対応して設けられている指定部(例えばチェックボックス、ラジオボタン、コンテキストメニューボタン等)103で指定する。
例えば、分割入金口座呼出画面100は、分割入金画面や分割入金呼出選択画面等とは別のウィンドウで起動するようにしてもよい。これにより、分割入金処理において、顧客識別情報の選択を容易にすることができる。
また、選択が完了すると、オペレータOPの操作により「完了」ボタン105が押下されると、選択された顧客識別情報が各画面(分割入金画面60や分割入金呼出選択画面80等)の顧客識別情報入力欄61に貼り付くことになる。
(C−3)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態の効果に加えて、伝票毎に都度入力しなくても顧客識別情報を選択式に呼び出すことができる。これにより、オペレータOPの入力の手間を省く事ができる。また、手入力による誤入力も防ぐことができる。
(D)第4の実施形態
次に、本発明に係る現金処理装置及び現金処理システムの第4の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(D−1)第4の実施形態の構成
第4の実施形態の現金処理システム9及び各現金処理装置1の内部構成は、第1の実施形態の図2及び図3と同様であるため、第4の実施形態でも図2及び図3を用いて説明する。
上述した第1〜第3の各実施形態では、複数の現金処理装置1のうち、複数の分割入金データを格納する親機と、格納しない子機として、分割入金処理を行なう場合を例示した。
これに対して、第4の実施形態では、親機と子機とを区別しないで、分割入金処理を行なった各現金処理装置1が、自装置で獲得した分割入金データを格納しておく。そして、分割入金呼出処理を行なう現金処理装置1が、他の各現金処理装置1において格納されている分割入金データを照会し、複数の分割入金データを合算して、取引結果通知をサーバ2に送信する。
(D−2)第4の実施形態の動作
図19は、第4の実施形態に係る現金処理システム9における分割入金処理の動作例を示すシーケンス図である。
なお、図19において、第1の実施形態の図1に示す処理と対応するものには同じ番号を付している。また、以下では、既に説明した処理の詳細な説明を省略し、第4の実施形態の特徴的な処理を中心に詳細に説明する。
[ステップS101〜S105、S111〜S115]
各現金処理装置1−1〜1−3は、第1〜第3の実施形態と同様に、各オペレータOPの操作により、メインメニュー画面50上の「分割入金」ボタン51が選択され(ステップS101、S111)、投入された現金を計数する(ステップS102、S112)。
各現金処理装置1−1〜1−3は、表示部12に分割入金画面60を表示し(ステップS103、S113)、計数結果を確認したオペレータOPの操作により、「完了」ボタン64が押下される(ステップS105、S115)。
なお、各現金処理装置1−1〜1−3のオペレータOPの手元に伝票Sがある場合には、必要に応じて、オペレータOPにより顧客識別情報が入力される(ステップS104、S114)。
[ステップS301]
分割入金画面60において「完了」ボタン64が押下されると、各現金処理装置1−1〜1−3は、自装置1の記憶部11に、各分割入金データを格納する(ステップS301)。このとき、分割入金データに付与する通番は、各現金処理装置1において分割入金処理に係る通し番号とする。あるいは、分割入金データ個有に付与する番号に限定せず、各現金処理機1で管理する通し番号としてもよい。
第1〜3の実施形態では、各分割入金データが親機に送信され、親機が全ての分割入金データを格納している。これに対して、第4の実施形態では、各現金処理装置1において作成した各分割入金データは、自装置1で格納される。つまり、各現金処理装置1が分割入金データを管理する。これにより、1台の親機に分割入金データを集約させるのではなく、分割入金データを分散させることができる。
[ステップS302〜S304、S131]
その後、複数の現金処理装置1−1〜1−3のうち、いずれかの現金処理装置1(図19では現金処理装置1−1)で、オペレータOPにより分割入金呼出処理が行なわれる(ステップS302)。
このとき、メインメニュー画面50上で「分割入金呼出」ボタン52が押下された現金処理装置1−1は、他の現金処理装置1で格納されている分割入金データを取得するために、他の現金処理装置1に対して分割入金データの取得要求を送信する。
上記取得要求を受信した他の現金処理装置1は、自装置1で格納している分割入金データを、要求元の現金処理装置1−1に送信する。これにより、分割入金呼出処理を行なう現金処理装置1−1は、他の現金処理装置1から分割入金データを取得できる。つまり、現金処理装置1−1が、全ての現金処理装置1の分割入金データを見に行くことができる。
なお、分割入金呼出処理を行なう現金処理装置1は、任意とすることができる。これにより、運用信頼性が向上すると共に、伝票に係る取引を迅速に対応することができる。
分割入金呼出処理を行なう現金処理装置1−1は、取得した分割入金データを含む分割入金呼出画面を、表示部12に表示する。
図20は、第4の実施形態に係る分割入金呼出画面の一例を示す画面図である。
図20の分割入金呼出画面110には、分割入金呼出処理を行なう現金処理装置1−1で生成した分割入金データ、さらに他の現金処理装置1から取得した分割入金データが一覧表示される。
分割入金データ一覧表示は、「号機」、各号機の分割入金処理で付与された「通番」、顧客識別情報としての「店番−科目−口座番号」、「入金金額」を項目とする。各現金処理装置1で分割入金処理された全ての分割入金データが一覧表示される。
分割入金呼出処理を行なう現金処理装置1−1のオペレータOPは、伝票Sや、他の現金処理装置1のオペレータOPから手渡されたレシートに記載されている「号機」及び「通番」に基づいて、当該伝票の取引に関連する分割入金データを選択する(ステップS303)。
このとき、顧客識別情報の入力は任意であるが、いずれかの現金処理装置1(図19の例では、現金処理装置1−1)で顧客識別情報が入力されている場合には、オペレータOPは、伝票に記載の顧客識別情報と分割入金呼出画面110に表示される顧客識別情報とを照らしながら、関連する分割入金データを選択する。
現金処理装置1−1において、伝票の取引に関連する複数の分割入金データの選択が完了すると(ステップS304)、複数の分割入金データを合算した取引データがサーバ2に送信される。これを受けて、サーバ2は、取引データを登録する(ステップS131)。
なお、現金処理装置1−1において、伝票の取引に関連する分割入金データの選択が完了した後、まだ分割入金していない現金がオペレータOPの手元にある場合、第1の実施形態の図10〜図13の処理に従って、その残りの現金の計数処理を継続して行なうようにしてもよい。つまり、現金処理装置1−1で上記残りの現金を計数し、その計数結果と、既に選択した分割入金データの入金金額とを合算するようにしてもよい。これにより、上記残りの現金の額も含めた合計額の取引データをサーバ2に送信することができる。
[現金処理装置1の障害発生時の処理]
第4の実施形態では、各現金処理装置1−1〜1−3が、分割入金データを管理することができるので、分割入金処理後、いずれかの現金処理装置1において障害が発生した場合にも対応できる。以下では、障害発生時の処理を説明する。
図21は、第4の実施形態において、いずれかの現金処理装置1において障害が発生したときの分割入金処理の動作を示すシーケンス図である。
図21では、現金処理装置1−3が分割入金データを自装置に格納した後に障害が発生したものとする。分割入金呼出処理を行なう現金処理装置1−1が、他の現金処理装置1−2、1−3から分割入金データを取得しようとしても、現金処理装置1−3において障害が発生したため、現金処理装置1−3から分割入金データを取得できないケースである。
この場合、分割入金呼出処理を行なう現金処理装置1−1のオペレータOPは、伝票Sと、他の現金処理装置1のオペレータOPからレシートが手渡されている。レシートには、少なくとも、現金処理装置1−3の「号機」、「通番」、「入金金額」が記載されている。この場合の「入金金額」には、後述の現金処理機1−1での入力を補助できるよう、金種ごとの取引枚数情報も有することとする。従って、現金処理装置1−1で分割入金呼出処理の際に、レシートに記載に基づいて、オペレータOPにより、現金処理装置1−3の「号機」、「通番」、「入金金額」が入力され、伝票Sの伝票金額と入金額とを一致させて、取引を完了させる。ここで入力項目は、操作性向上のため、「入金金額」に限定してもよい。
なお、上述したケースは、分割入金処理後に、障害が発生したケースであるが、分割入金処理前に、障害が発したケースの場合、障害発生した現金処理装置1以外の装置で、分割入金処理を行なうことで対応できる。
(D−3)第4の実施形態の効果
以上のように、第4の実施形態によれば、第1〜第3の実施形態の効果に加えて、各現金処理装置が分割入金データを格納(管理)することにより、各分割入金データを分散させることができる。その結果、分割入金処理の運用信頼性を向上させることができると共に、迅速な対応が可能となる。さらに、障害が発生した場合でも、最小限の手入力で入金処理を行なうことができるので、違算を防ぐことができる。
(E)他の実施形態
上述した第1〜第4の実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本開示は、以下の変形実施形態にも適用できる。
(E−1)上述した第1〜第4の実施形態では、現金処理装置としての入金処理機と上位サーバとの間で行なう入金取引を前提に述べたが、入金機、出納機などの現金処理装置を、複数台を並列に配置し運用する場合においても、適用可能である。
(E−2)上述した第1の実施形態では、分割入金データを格納する親機が、分割入金処理及び分割入金呼出処理を行なう場合を例示した。しかし、親機では、分割入金処理及び分割入金呼出処理を行なわず、親機以外の複数の子機が分割入金処理及び分割入金呼出処理を行なうようにしてもよい。この場合、各子機では、他の子機(現金処理装置)で実施されている分割入金処理の状況を把握・監視しながら、取引結果通知を行なうことができる。
(E−3)上述した第1〜第4の実施形態では、分割入金処理を行なう現金処理装置1が3台である場合を例示したが、装置台数は限定されるものではなく、2台又は4台以上の現金処理装置で行なうことができる。従って、運用拠点に配置されている装置台数や、取引額の違いなどに応じて、柔軟に対応できる。