JP2019206696A - 防曇層形成用組成物、積層体、及び積層体の製造方法 - Google Patents

防曇層形成用組成物、積層体、及び積層体の製造方法 Download PDF

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Hiroyuki Yonezawa
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Abstract

【課題】経時安定性に優れ且つ水垂れ性に優れた防曇層を形成しうる防曇層形成用組成物と、上記防曇層形成用組成物を用いて形成された防曇層を有する、優れた防曇性と水垂れ性とを有する積層体を提供する。【解決手段】親水性共重合体と、硬化触媒としての熱酸発生剤と、を含有する防曇層形成用組成物、この防曇層形成用組成物を用いた積層体の製造方法、及び積層体。【選択図】なし

Description

本開示は、防曇層形成用組成物、積層体、及び積層体の製造方法に関する。
屋内外に設置されて長期間にわたって使用される装置及び建材等は、様々な環境に曝されやすく、例えば、寒暖の影響で水滴が付いたり、風雨時の雨水に濡れたりする等が原因で所期の機能及び性能が維持できないことがある。
このため、装置、建材等の表面を種々の保護手段で保護し、装置等の耐久性をより向上させる対応がなされている。保護手段としては、例えば、カバーなどの保護部材又は保護シートを装置等の表面に配置すること、装置等の表面を保護膜で被覆することなどが挙げられる。
監視カメラの保護カバー、ヘッドライトの保護カバー、反射ミラー、交通標識等の表面を保護する保護部材などの保護手段は、保護対象の部材又は装置が一旦設置されると、長期間に亘り使用されることが通例である。よって、保護手段は、光透過性を維持しつつ、長期間にわたって必要な部材、装置等に対する保護性能が要求される。また、保護手段カバーに水滴が付着すると表面に曇りが生じ、光透過性が低下するため、特に監視カメラの保護カバー、ヘッドライトの保護カバー、反射ミラー、交通標識等の表面を保護する保護手段では、防曇性の維持が重要である。
通常は、保護手段の表面を親水性とすることで、表面の曇りによる光透過性の低下を抑え、かつ、水性の汚れを付着し難くしている。
表面性状を親水的にする技術として、保護対象面に親水性層を付与する方法が知られている。対象面に付与される親水性層としては、具体的には、表面を親水化する材料(以下、親水型の材料ともいう)を用いた親水性層と、表面に吸水性を与える材料(以下、吸水型の材料ともいう)を用いた親水性層と、が広く検討されている。
このうち、親水型の材料を用いた親水性層は、材料がもつ超親水性を生かし、例えば、保護対象面に水滴ではなく水膜を形成させて、水膜の透過像がぼやけない性質を用いて防曇性を発現させている。
また、吸水型の材料を用いた親水性層は、材料がもつ吸収性から親水性層の内部に水を蓄えることができ、これにより防曇性を発現させている。
上記のうち、親水型の材料を用いた親水性層の場合、付着された水の量が多くなり過ぎて一定量を超えると、水膜の厚みが大きくなって滴が垂れる課題がある。また、表面に形成された厚みのある水膜が影響して、例えば、透明基材を透かして見える透過像に揺らぎが生じ、透過像がぼやけるだけでなく、透明性が損なわれる課題もある。そのため、親水型の材料を用いた親水性層は、用途が限られてきた。
また、吸水型の材料を用いた親水性層の場合、好適に用いられる吸水により膨潤する材料は架橋度を高めることができないため、親水性層自体の機械的強度に劣ることから、物理的な接触が多い用途には適用できない課題がある。また、吸水型の材料を用いた親水性層は、吸水性の材料に由来する低分子成分が水に溶出して、乾燥後の表面に視認可能な垂れ跡(以下、水垂れの痕跡ともいう)となって残存しやすい課題がある。
部材の表面に親水性層を形成する手段として、例えば、水溶性基と架橋性基を有する共重合体を含有する防曇剤組成物及びそれを用いた防曇層が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、部材の表面に親水性層を形成する手段として、アクリルアミド系親水基を有する共重合体と、ブロックイソシアネート硬化剤を含有する防曇剤組成物及びそれを用いた防曇層が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−54348号公報 特開2017−165886号公報
特許文献1に記載の防曇剤組成物を用いて形成された吸水型の防曇層では、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸を添加して膜の架橋度を向上させているが、実使用での耐久性は不十分であり、吸水により防曇層自体が膨潤して溶解が生じるため、溶解した箇所に水垂れの痕跡が残り、防曇層の均一性、外観等が悪化することがあり、防曇層の耐久性、及び防曇機能の持続性に問題があった。
特許文献2に記載の防曇剤組成物を用いて形成された吸水型の防曇層では、硬化剤として多官能ブロックイソシアネートを使用しているが、実使用での耐久性は不十分であり、吸水により防曇層自体が膨潤して溶解が生じるため、溶解した箇所に水垂れの痕跡が残り、防曇層の均一性、外観等が悪化することがあり、防曇層の耐久性、及び防曇機能の持続性に問題があった。
本発明の一実施形態の課題は、経時安定性に優れ且つ水垂れ性に優れた防曇層を形成しうる防曇層形成用組成物、及び、この防曇層形成用組成物を用いて形成された防曇層を有し、優れた防曇性と水垂れ性とを有する積層体を提供することである。
本発明の他の一実施形態の課題は、優れた防曇性と水垂れ性とを有する積層体が製造される製造方法を提供することである。
ここで、本開示において、「水垂れ性」は、防曇層の表面での水垂れの痕跡の生じにくさを示している。そのため、水垂れ性に優れるとは、防曇層の表面での水垂れの痕跡が生じにくいことを意味する。
課題を解決するための具体的手段は、以下の態様を含む。
<1> 親水性共重合体と、
熱酸発生剤と、
を含有する防曇層形成用組成物。
<2> 上記親水性共重合体は、下記に示す、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)から得られる共重合体である<1>に記載の防曇層形成用組成物。
単量体(A):非架橋性の水溶性ビニル系単量体
単量体(B):非架橋性の非水溶性ビニル系単量体
単量体(C):縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系単量体
<3> 上記単量体(A)が(メタ)アクリルアミド系単量体である、<2>に記載の防曇層形成用組成物。
<4> 上記単量体(C)が、上記架橋性官能基として、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される少なくとも1つを有する単量体である、<2>又は<3>に記載の防曇層形成用組成物。
<5> 上記単量体(C)が、上記架橋性官能基として、N−メチロール基及びN−アルコキシメチロール基からなる群より選択される少なくとも1つを有する単量体である、<4>に記載の防曇層形成用組成物。
<6> 上記親水性共重合体の質量に対する、上記単量体(A)に由来する構成単位及び上記単量体(C)に由来する構成単位の合計質量の比率が、85質量%〜98質量%である、<2>〜<5>のいずれか1つに記載の防曇層形成用組成物。
<7> 上記単量体(C)に由来する構成単位の質量に対する、上記単量体(A)に由来する構成単位の質量の比率が、10質量%〜200質量%である、<6>に記載の防曇層形成用組成物。
<8> 更に、架橋剤としてブロックイソシアネート系架橋剤を含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の防曇層形成用組成物。
<9> 更に、架橋剤として金属キレート系架橋剤を含む、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の防曇層形成用組成物。
<10> 更に、界面活性剤を含む、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の防曇層形成用組成物。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載の防曇層形成用組成物を、基材上に塗布した後、熱処理により乾燥硬化させる、積層体の製造方法。
<12> 基材と、基材上に設けられた、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の防曇層形成用組成物の硬化物である防曇層と、を有する積層体。
<13> 防曇層の厚みが1μm〜10μmである、<12>に記載の積層体。
<14> 上記基材が、ポリカーボネート基材又はポリメチルメタクリレート基材である、<12>又は<13>に記載の積層体。
本発明の一実施形態によれば、経時安定性に優れ且つ水垂れ性に優れた防曇層を形成しうる防曇層形成用組成物、及び、この防曇層形成用組成物を用いて形成される防曇層を有する、優れた防曇性と水垂れ性とを有する積層体が提供される。
本発明の他の一実施形態によれば、優れた防曇性と水垂れ性を有する積層体が製造される積層体の製造方法が提供される。
以下、本開示の防曇層形成用組成物、積層体、及びその製造方法について詳細に説明する。
本開示において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本開示において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示における「固形分」の語は、溶剤を除く成分を意味し、溶剤以外の低分子量成分などの液状の成分も本開示における「固形分」に含まれる。
<防曇層形成用組成物>
本開示の防曇層形成用組成物は、親水性共重合体と、硬化触媒としての熱酸発生剤と、を含有する。
以下、本開示の防曇層形成用組成物に含まれる各成分について説明する。
[親水性共重合体]
本開示における親水性共重合体とは、25℃で水100質量部に対して5質量部以上(即ち、5g/100mL以上)の溶解度を有する共重合体のことを意味する。
ここで、本開示における親水性共重合体の水への溶解度(親水性共重合体の親水性度ともいう)は、後述の実施例に記載の方法にて測定することができる。
本開示における親水性共重合体の親水性度は、5g/100mL以上であり、防曇性に優れた防曇層を得る観点からは、8g/100mL以上が好ましく、10g/100mL以上がより好ましい。また、親水性共重合体の親水性度の上限は、水垂れ性に優れた防曇層を得る観点からは、20g/100mL以下が好ましく、18g/100mL以下がより好ましい。
親水性共重合体の構造には特に制限は無く、ビニル系共重合体、(メタ)アクリル系共重合体、ウレタン系共重合体、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、及びポリビニルアセトアミド系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、共重合成分の選択肢が広く、材料設計が行いやすいという観点から、ビニル系共重合体及び(メタ)アクリル系共重合体が好ましい。
本開示における親水性共重合体は、下記に示す、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)から得られる共重合体であることが好ましい。即ち、本開示における親水性共重合体は、下記に示す、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)から形成されることが好ましい。
単量体(A):非架橋性の水溶性ビニル系単量体
単量体(B):非架橋性の非水溶性ビニル系単量体
単量体(C):縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系
単量体
−単量体(A):非架橋性の水溶性ビニル系単量体−
まず、親水性共重合体を得るために用いられる単量体(A)、即ち非架橋性の水溶性ビニル系単量体(以下、水溶性ビニル系単量体(A)ともいう)について説明する。
水溶性ビニル系単量体(A)は、親水性共重合体に吸水性を付与し、防曇層の防曇性を高める機能を発揮させる単量体である。ここで、水溶性ビニル系単量体(A)とは、25℃で水100質量部に対して10質量部以上の溶解度を有するビニル系単量体のことを意味する。水溶性ビニル系単量体(A)の溶解度は、25℃で水100質量部に対して10質量部以上であれば特に上限はない。また、非架橋性とは、縮合反応又は付加反応に基づく架橋反応が起らないことを意味する。つまり、水溶性ビニル系単量体(A)は、縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有しない。
水溶性ビニル系単量体(A)としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、(メタ)アクロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有ビニル系単量体、及びこれらのアンモニウム塩、有機アミン塩、アルカリ金属塩;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有ビニル系単量体、及びこれらのアンモニウム塩、有機アミン塩、アルカリ金属塩等が挙げられる。
これら水溶性ビニル系単量体(A)の中では、防曇塗布膜の基材に対する密着性を高めることができるという観点から、(メタ)アクリルアミド系単量体が好ましい。更に、防曇塗布膜の耐熱性を高めることができるという観点から、水溶性ビニル系単量体(A)としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド系単量体が特に好ましい。
これらの水溶性ビニル系単量体(A)は1種又は2種以上が適宜選択して使用される。
水溶性ビニル系単量体(A)に由来する構成単位の含有量は、水溶性ビニル系単量体(A)に由来する構成単位と後述する非水溶性ビニル系単量体(B)に由来する構成単位との合計を100質量部としたとき、50質量部〜98質量部であることが好ましく、65質量部〜98質量部であることがより好ましく、85質量部〜96質量部であることが更に好ましく、90質量部〜96質量部であることが特に好ましい。
水溶性ビニル系単量体(A)に由来する構成単位の含有量が50質量部以上であると、上記した水への溶解度が得られやすくなり(つまり、親水性共重合体が得られやすくなり)、満足な吸水量が得られる防曇層を形成しやすい。水溶性ビニル系単量体(A)に由来する構成単位の含有量が95質量部以下であると、親水性(又は水溶性)が高すぎることで生じる防曇層の水等への溶解が抑制され、使用時の防曇層の残存率低下が抑制されやすくなる。
また、水溶性ビニル系単量体(A)に由来する構成単位の含有比率は、優れた防曇性及び水垂れ性を得る観点から、親水性共重合体の質量に対して、80質量%〜98質量%であることが好ましく、85質量%〜95質量%であることがより好ましい。
−単量体(B):非架橋性の非水溶性ビニル系単量体−
続いて、単量体(B)、即ち非架橋性の非水溶性ビニル系単量体(以下、非水溶性ビニル系単量体(B)ともいう)について説明する。
非水溶性ビニル系単量体(B)は、親水性共重合体の強度及び硬度を高めると共に、防曇層の基材に対する密着性を高める機能を発揮する単量体である。ここで、非水溶性ビニル系単量体(B)とは、25℃で水100質量部に対して10質量部未満の溶解度を有するビニル系単量体のことを意味する。また、非架橋性とは、縮合反応又は付加反応に基づく架橋反応が起らないことを意味する。つまり、非水溶性ビニル系単量体(B)は、縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有しない。
非水溶性ビニル系単量体(B)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体等が挙げられる。これら非水溶性ビニル系単量体(B)の中では、防曇層の硬度を高めると共に、基材に対して優れた密着性が得られるという観点から、(メタ)アクリレート系単量体が好ましい。
これらの非水溶性ビニル系単量体(B)は1種又は2種以上が適宜選択して使用される。
非水溶性ビニル系単量体(B)の含有量は、水溶性ビニル系単量体(A)に由来する構成単位と非水溶性ビニル系単量体(B)に由来する構成単位との合計を100質量部としたとき、2質量部〜50質量部であることが好ましく、2質量部〜35質量部であることがより好ましく、4質量部〜15質量部であることが更に好ましく、4質量部〜10質量部であることが特に好ましい。
水溶性ビニル系単量体(B)に由来する構成単位の含有量が5質量部以上であると、親水性(又は水溶性)が高すぎることで生じる防曇層の水等への溶解が抑制され、使用時の防曇層の残存率低下が抑制されやすくなる。水溶性ビニル系単量体(B)に由来する構成単位の含有量が95質量部以下であると、上記した水への溶解度が得られやすくなり(つまり、親水性共重合体が得られやすくなり)、満足な吸水量が得られる防曇層を形成しやすい。
また、水溶性ビニル系単量体(B)に由来する構成単位の含有比率は、防曇層の基材に対する密着性を高める観点から、親水性共重合体の質量に対して、1.5質量%〜15.0質量%であることが好ましく、3.5質量%〜12.0質量%であることがより好ましい。
−単量体(C):縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系単量体−
次いで、単量体(C)、即ち縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系単量体(以下、架橋性ビニル系単量体(C)ともいう)について説明する。
架橋性ビニル系単量体(C)は、脱水縮合反応、脱アルコール縮合反応等の縮合反応又は付加反応により架橋させて共重合体の分子内に三次元架橋構造を形成するための架橋性官能基を有する単量体である。架橋性ビニル系単量体(C)がこのような架橋性官能基を有することにより、親水性共重合体の製造後に加熱等の手段によって親水性共重合体に架橋構造を形成することができる。
縮合反応により架橋可能な架橋性官能基としては、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、アルコキシシリル基等が挙げられる。また、付加反応により架橋可能な架橋性官能基としては、エポキシ基等が挙げられる。
架橋性ビニル系単量体(C)としては、加熱硬化又は常温硬化という簡便な方法によって架橋させることができる観点から、架橋性官能基として、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される少なくとも1つを有する単量体であることが好ましく、N−メチロール基及びN−アルコキシメチロール基からなる群より選択される少なくとも1つを有する単量体であることがより好ましい。
縮合反応により架橋可能な架橋性官能基を有する架橋性ビニル系単量体(C)としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミド等の、N−メチロール基又はN−アルコキシメチロール基を有するビニル系単量体;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有する架橋性ビニル系ビニル系単量体(C)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
これらの架橋性ビニル系ビニル系単量体(C)は、1種又は2種以上が選択して使用される。
これらの単量体の中で、防曇層の耐水性を高め、加熱硬化又は常温硬化という簡便な方法によって架橋させることができる観点から、N−メチロール基又はN−アルコキシメチロール基を有するビニル系単量体、及び、アルコキシシリル基を有するビニル系単量体であることが好ましい。
N−メチロール基又はN−アルコキシメチロール基を有するビニル系単量体は硬化によってエーテル結合を生成し、アルコキシシリル基を有するビニル系単量体は硬化によってシロキサン結合を生成する。更に、防曇層形成用組成物の保存安定性に優れるうえ、短時間で加熱硬化できるという観点から、N−メチロール基又はN−アルコキシメチロール基を有するビニル系単量体であることがより好ましく、特に、N−メチロール基を有するビニル系単量体とN−アルコキシメチロール基を有するビニル系単量体とを併用することが好ましい。
また、N−メチロール基又はN−アルコキシメチロール基を有するビニル系単量体と共に、これらと加熱縮合反応が可能なヒドロキシ基を有するビニル系単量体を併用してもよい。
そのようなヒドロキシ基を有するビニル系単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのε−カプロラクトン付加物等が挙げられる。
なお、ヒドロキシ基を有するビニル系単量体は、架橋性ビニル系単量体(C)の一部として用いられる。そのため、架橋性ビニル系単量体(C)として、N−メチロール基又はN−アルコキシメチロール基を有するビニル系単量体と、ヒドロキシ基を有するビニル系単量体と、を併用する場合、これらのビニル系単量体に由来する構成単位の総量が、後述する範囲を満たすことが好ましい。
これらの中でも、架橋性ビニル系単量体(C)としての、N−メチロール(メタ)アクリルアミドと、N−アルコキシメチロール(メタ)アクリルアミドと、必要に応じて、ヒドロキシ基を有するビニル系単量体と、を併用することが、硬化性に優れる点で特に好ましい。
上記のように併用することで得られた親水性共重合体の硬化反応(好ましくは加熱硬化反応)は、以下の4つが挙げられる。
即ち、硬化反応(好ましくは加熱硬化反応)の第1は、N−メチロール基同士の脱水縮合反応に基づく架橋反応によるもの、第2は、N−メチロール基とN−アルコキシメチロール基とによる脱アルコール縮合反応に基づく架橋反応によるもの、第3は、N−メチロール基とヒドロキシ基による脱水縮合反応に基づく架橋反応によるもの、第4は、N−アルコキシメチロール基とヒドロキシ基による脱アルコール縮合反応に基づく架橋反応によるものである。反応性に優れ、水垂れ性に優れた防曇層を形成しうるという観点からは、上記の第1と第2との硬化反応を利用することが好ましく、上記の第1と第3との硬化反応を利用することが好ましく、上記の第1、第2、及び第3の硬化反応を利用することがより好ましい。
架橋性ビニル系単量体(C)に由来する構成単位の含有量は、水溶性ビニル系単量体(A)に由来する構成単位と非水溶性ビニル系単量体(B)に由来する構成単位との合計を100質量部としたとき、0.2質量部〜5.0質量部であることが好ましく、0.5質量部〜3.0質量部であることがより好ましい。
架橋性ビニル系単量体(C)に由来する構成単位の含有量が0.2質量部以上であると、防曇層中の親水性共重合体の架橋密度が高まり、防曇層の水等への溶解が抑制され、使用時の防曇層の残存率低下が抑制されやすくなる。架橋性ビニル系単量体(C)に由来する構成単位の含有量が5質量部以下であると、防曇層中の親水性共重合体の架橋密度が高くなりすぎず、防曇層の防曇性の低下が抑制されやすい。
また、架橋性ビニル系単量体(C)に由来する構成単位の含有比率は、優れた防曇性及び水垂れ性を得る観点から、親水性共重合体の質量に対して、0.5質量%〜5.0質量%であることが好ましく、1.5質量%〜3.0質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜2.5質量%であることが更に好ましい。
本開示における親水性共重合体は、親水性共重合体の質量に対する、優れた防曇性及び水垂れ性を得る観点から、水溶性ビニル系単量体(A)に由来する構成単位及び架橋性ビニル系単量体(C)に由来する構成単位の合計質量の比率が、85質量%〜98質量%であることが好ましい。
また、上記の範囲において、架橋性ビニル系単量体(C)に由来する構成単位の質量に対する水溶性ビニル系単量体(A)に由来する構成単位の質量の比率(即ち、水溶性ビニル系単量体(A)/架橋性ビニル系単量体(C))が、10質量%〜200質量%であることが好ましく、20質量%〜160質量%であることがより好ましく、30質量%〜80質量%が更に好ましい。
−その他の単量体−
本開示における親水性共重合体には、質量平均分子量を高める目的で、上記単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)以外に、その他の単量体として、多官能ビニル系単量体を共重合することができる。
なお、多官能ビニル系単量体は架橋性官能基を有しているが、縮合反応又は付加反応による架橋性官能基ではない。多官能ビニル系単量体としては、N,N’−メチレンビス〔(メタ)アクリルアミド〕、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が用いられる。
多官能ビニル系単量体の共重合量(即ち、架橋性ビニル系単量体(C)に由来する構成単位の含有量)は、水溶性ビニル系単量体(A)及び非水溶性ビニル系単量体(B)の合計100質量部に対して1質量部以下であることが好ましい。
本開示における親水性共重合体としては、第4級アンモニウム塩を含む(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリル酸エステル、及びメトキシシラン又はエトキシシランを有するビニルエステルから得られる共重合体を用いてもよい。
上記の第4級アンモニウム塩を含む(メタ)アクリレートエステルは吸水性を高める成分であり、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル塩が好ましい。共重合体における第4級アンモニウム塩を含む(メタ)アクリレートエステルに由来する構成単位の含有比率は、共重合体の質量に対して、50質量%〜70質量%であることが好ましい。第4級アンモニウム塩を含む(メタ)アクリレートエステルの含有比率が50質量%以上であると、上記した水への溶解度が得られやすくなり(つまり、親水性共重合体が得られやすくなり)、満足な吸水量が得られる防曇層を形成しやすい。第4級アンモニウム塩を含む(メタ)アクリレートエステルの含有比率が70質量%以下であると、共重合体の耐水性の低下を抑制し易い。
(メタ)アクリル酸エステルは、防曇層の耐水性と強度とを高めるための成分である。共重合体における(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有比率は、30質量%〜50質量%であることが好ましい。
メトキシシラン又はエトキシシランを有するビニルエステルは常温硬化によって三次元架橋を形成するための成分であり、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。共重合体におけるメトキシシラン又はエトキシシランを有するビニルエステルに由来する構成単位の含有比率は、第4級アンモニウム塩を含む(メタ)アクリレートエステルに由来する構成単位とメトキシシラン又はエトキシシランを有するビニルエステルに由来する構成単位の合計100質量部に対して0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。
本開示における共重合体(親水性共重合体を含む)の質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算で示される質量(重量)基準の平均分子量である。
測定条件は以下の通りである。
カラム:連結3本カラム(第1カラム:Shodex KD−802.5、第2カラム:Shodex KD−803、第3カラム:Shodex KD−80M、いずれも昭和電工(株)製)、カラム温度:55℃、展開溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド、流速:1.0ml/min
本開示における親水性共重合体のGPCで測定される質量平均分子量は、好ましくは100,000〜1,000,000であり、より好ましくは150,000〜700,000である。
親水性共重合体の質量平均分子量が100,000以上であると、得られる防曇層の内部に吸収することができる水分の量が多くなり、防曇層に生じる曇り及び水垂れ跡が抑制され、使用時の防曇層の残存率低下が抑制されやすくなる。親水性共重合体の質量平均分子量が1,000,000以下であると、防曇層形成用組成物の粘度が高くなることが抑えられ、塗布液として取り扱いが容易になる傾向にある。その結果、防曇層形成用組成物の塗布が容易になり、塗布不良による防曇層の外観が悪化する等の問題を抑制することができる。
本開示における親水性共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれの構造であってもよいが、防曇性をはじめ防曇層形成用組成物の硬化物である防曇層の効果を向上させることができ、防曇層形成用組成物を容易に調製することができるという観点から、ランダム共重合体が好ましい。
親水性共重合体を得るための重合方法は、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法等の公知の各種重合方法が採用されるが、特に工業的な生産性の容易さ、多岐にわたる性能面より、ラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法としては、通常の塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法等が採用されるが、重合後にそのまま防曇層形成用組成物を調製し、これを塗布液として使用することができる点で溶液重合法が好ましい。
[親水性共重合体の製造方法]
次に、本開示における親水性共重合体の製造方法の好ましい一例について説明する。以下に示す親水性共重合体の製造方法の好ましい一例は、親水性共重合体を溶液重合法にて製造する方法である。
まず、撹拌装置、温度計、窒素導入管、及び還流管を備えた反応容器に、重合溶媒としての有機溶媒、水溶性ビニル系単量体(A)、総量の70質量%以下の非水溶性ビニル系単量体(B)、及び架橋性ビニル系単量体(C)を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら所定の温度に加熱する。
次いで、反応容器に、非水溶性ビニル系単量体(B)の残部及びラジカル重合開始剤をそれぞれ30分から10時間をかけて滴下し、更に30分から10時間の重合反応を行うことによって共重合体溶液(即ち、親水性共重合体を含む溶液)を得ることができる。
水溶性ビニル系単量体(A)及び架橋性ビニル系単量体(C)は、上記のように、有機溶媒と共に最初に全部を反応容器に仕込むことによって、得られる親水性共重合体の質量平均分子量を高くすることができる。
但し、水溶性ビニル系単量体(A)及び架橋性ビニル系単量体(C)は、それぞれ、必ずしも最初に全部を反応容器に仕込む必要はない。例えば、質量平均分子量、重合による発熱等を調節したい場合には、水溶性ビニル系単量体(A)及び架橋性ビニル系単量体(C)は、それぞれ、重合溶媒(即ち、有機溶媒)と共に、その総量の30質量%以上を最初に反応容器に仕込むこともでき、残部を滴下して重合を行うこともできる。最初に仕込む量が総量の30質量%以上であると、得られる親水性共重合体の質量平均分子量が低くなりすぎず、好ましい。
非水溶性ビニル系単量体(B)は、上記のように、その総量の70質量%以下を、水溶性ビニル系単量体(A)、非水溶性ビニル系単量体(C)、及び有機溶媒と共に最初に反応容器に仕込み、残部は滴下して重合を行うことが好ましい。このように非水溶性ビニル系単量体(B)の一部を反応容器中に滴下して重合を行う方法を用いることで、重合反応による発熱を小さくすることができるため、工業的に製造するうえで好ましい。具体的には、最初に仕込む量を総量の70質量%以下とし、残部を滴下して重合することで、重合による発熱が小さくなり、工業的に製造する上で重合反応の制御が容易になる傾向にある。
また、ほとんどの場合には、水溶性ビニル系単量体(A)と非水溶性ビニル系単量体(B)との重合反応速度は異なっているため、非水溶性ビニル系単量体(B)を滴下しながら重合することによって、水溶性ビニル系単量体(A)と非水溶性ビニル系単量体(B)の重合反応速度の差を埋め合わせし、親水性共重合体の組成の偏りを抑制する効果もある。また、非水溶性ビニル系単量体(B)を最初に仕込む量は、総量の10〜50質量%であることが重合による発熱を一層制御しやすくなる点で好ましい。
−重合溶媒(有機溶媒)−
重合溶媒として用いる有機溶媒としては、防曇層形成時の塗布膜の乾燥時、加熱硬化時等における溶媒の残留を抑制し、防曇層の被塗装物(例えば、後述する基材)への密着性を高める観点から、180℃未満の沸点を有する有機溶媒が好ましい。
180℃未満の沸点を有する有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のアルコールエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤等が使用される。
これらの有機溶媒は1種又は2種以上が組み合わせて使用される。
水溶性ビニル系単量体(A)及び非水溶性ビニル系単量体(B)の合計量と重合反応に使用する有機溶媒との比率は、質量基準で、水溶性ビニル系単量体(A)及び非水溶性ビニル系単量体(B)の合計量/有機溶媒=20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜70/30であることがより好ましい。
有機溶媒の割合が80質量%以下であると、得られる親水性共重合体の分子量が小さくなりすぎず、20質量%以上であると、重合による発熱を小さくしやすくなる。
−ラジカル重合開始剤−
ラジカル重合開始剤としては、一般的に使用される有機過酸化物、アゾ化合物等を使用することができる。
有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート等が挙げられ、アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の含有量は、水溶性ビニル系単量体(A)及び非水溶性ビニル系単量体(B)の合計100質量部に対して、0.01質量部〜3質量部であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤は、反応容器中に滴下する方法を用いることが、重合による発熱を制御しやすくなる点で好ましい。
重合反応を行う温度は使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜変更されるが、工業的に製造を行う上で好ましい重合温度は、30℃〜150℃であり、より好ましい重合温度は40℃〜100℃である。
以上の親水性共重合体の製造方法により得られた共重合体溶液は、後述する、熱酸発生剤、架橋剤等が添加されて、本開示における防曇層形成用組成物としてもよい。
そのため、共重合体溶液中の親水性共重合体の含有量(即ち、固形分)は、好ましくは3質量%〜70質量%、より好ましくは20質量%〜50質量%である。
親水性共重合体の含有量が3質量%以上であると、防曇層形成用組成物としたときの親水性共重合体の量が十分であり、生産性を低下させずに目的とする厚みの防曇層を形成しやすい。親水性共重合体の含有量が70質量%以下であると、共重合体溶液の粘度が高くなりすぎず、取扱いが容易になる傾向にある。
なお、上記の親水性共重合体の製造方法により得られた共重合体溶液には、本開示における防曇層形成用組成物とする際、塗布に適した粘度調整を目的として、更に、溶剤が添加されてもよい。
溶剤としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のアルコールエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤;n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は1種又は2種以上が組み合わせて使用される。
なお、上記の溶剤は、例えば、溶液重合法以外の方法で得られた親水性共重合体の、溶解、分散、又は希釈に使用することもできる。
[熱酸発生剤]
本開示の防曇層形成用組成物は、硬化触媒として熱酸発生剤を含有する。
熱酸発生剤は、熱という外部刺激が与えられたときに活性を示す潜在型の硬化触媒である。そのため、通常は系中に混合が難しい強酸でも防曇層形成用組成物に導入することができるので、防曇層の架橋度を向上させやすい。また、外部刺激が与えられない状態では活性を示さないため、防曇層形成用組成物の経時安定性を向上させることができる。
本開示における「熱酸発生剤」は加熱することにより酸を発生する材料であり、熱酸発生剤から発生した酸が、親水性共重合体の架橋を開始又は促進させる機能を有している。
本開示における熱酸発生剤は、130℃で20分間加熱した時の分解率が10%以上であるものが好ましい。また、熱酸発生剤の分解によって発生する酸は、酸乖離定数pKaが0以下であることが好ましい。
熱酸発生剤として、具体的には、従来より知られている熱酸発生剤が挙げられ、例えば、ベンジルp−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナ−ト、シンナミルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、ベンズヒドリルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートの他、市販品である、King Industries社から販売されているK−PURE TAGシリーズ、K−PURE CXCシリーズが挙げられる。
その他、熱酸発生剤としては、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が知られている。オニウム塩である熱酸発生剤としては、例えば、特開2003−277353号公報、特開平2−1470号公報、特開平2−255646号公報、特開平3−11044号公報、特開2003−183313号公報、特開2003−277352号公報に記載の化合物を用いることができる。
熱酸発生剤は、1種又は2種以上が組み合わせて使用される。
熱酸発生剤の含有量は、防曇層形成用組成物の固形分に対して、0.05質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、1質量%〜4質量%が更に好ましい。
熱酸発生剤の含有量が0.05質量%以上であると、十分な硬化促進効果が得られやすく、防曇層の水垂れ性及び耐久性が高まる。熱酸発生剤の含有量が5質量%以下であると、熱酸発生剤の残存成分による着色、及び熱酸発生剤の残存成分による防曇層形成用組成物の劣化が抑制されやすい。
[ブロックイソシアネート系架橋剤]
本開示の防曇層形成用組成物は、架橋剤として、ブロックイソシアネート系架橋剤を含有することが好ましい。
ブロックイソシアネート系架橋剤を含有することで、低温焼成でも防曇層の架橋を促進させることができる。
ブロックイソシアネート系架橋剤としては、ブロックイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限はないが、硬化性の観点から、1分子中に2個以上のブロックイソシアネート基を有する化合物であることが好ましい。ブロックイソシアネート基の数の上限は特に定めるものではないが、6個以下が好ましい。
ブロックイソシアネート系架橋剤としては、その骨格は特に限定されるものではなく、1分子中にイソシアネート基を2個有するものが好ましく、脂肪族、脂環族、又は芳香族のポリイソシアネートであってよい。
ポリイソシアネートとして具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化1,3−キシリレンジイソシアネート、水素化1,4−キシリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、及びこれらの化合物から派生するプレポリマー型の骨格の化合物を好適に用いることができる。
これらの中でも、トリレンジイソシアネート(TDIともいう)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDIともいう)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIともいう)、及びイソホロンジイソシアネート(IPDIともいう)が特に好ましい。
ブロックイソシアネート系架橋剤において、ブロック構造を形成するブロック剤としては、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール系化合物、イミド系化合物等を挙げることができる。
これらの中でも、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、及びピラゾール化合物から選ばれるブロック剤が特に好ましい。
ブロックイソシアネート系架橋剤は、市販品として入手可能であり、例えば、コロネートAPステーブルM、コロネート2503、2515、2507、2513、2555、ミリオネートMS−50(以上、日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートB−830、B−815N、B−820NSU、B−842N、B−846N、B−870N、B−874N、B−882N(以上、三井化学(株)製)、デュラネート17B−60P、17B−60PX、17B−60P、TPA−B80X、TPA−B80E、MF−B60X、MF−B60B、MF−K60X、MF−K60B、E402−B80B、SBN−70D、SBB−70P、K6000(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)、デスモジュールBL1100、BL1265 MPA/X、BL3575/1、BL3272MPA、BL3370MPA、BL3475BA/SN、BL5375MPA、VPLS2078/2、BL4265SN、PL340、PL350、スミジュールBL3175(以上、住化バイエルウレタン(株)製)等を好ましく使用することができる。
ブロックイソシアネート系架橋剤は、1種又は2種以上が組み合わせて使用される。
本開示の防曇層形成用組成物がブロックイソシアネート系架橋剤を含む場合、ブロックイソシアネート系架橋剤の含有量は、防曇層形成用組成物の全固形分に対し0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜5質量%であることが更に好ましい。
[金属キレート系架橋剤]
本開示の防曇層形成用組成物は、架橋剤として、金属キレート系架橋剤を含有することが好ましい。金属キレート系架橋剤を含有することで、低温焼成でも防曇層の架橋を促進させることができる。
金属キレート系架橋剤の具体例としては、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタンアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート等の金属キレート化合物が挙げられる。
金属キレート系架橋剤は、1種又は2種以上が組み合わせて使用される。
本開示の防曇層形成用組成物が金属キレート系架橋剤を含む場合、金属キレート系架橋剤の含有量は、防曇層形成用組成物の全固形分に対し0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜5質量%であることが更に好ましい。
[界面活性剤]
本開示の防曇層形成用組成物は、更に、界面活性剤を含有することができる。
防曇層が界面活性剤を含有することにより、防曇層を、例えば、塗布により形成する場合の塗布性を高めることができ、塗布に用いる塗布液の表面張力も低下して塗布膜の均一性がより高められる。
界面活性剤としては、例えば、ノニオン性の界面活性剤などが挙げられる。
ノニオン性の界面活性剤としては、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエステル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエステル・モノアルキルエーテルなどが挙げられる。ノニオン性の界面活性剤の具体的な例としては、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエステル、ポリエチレングリコールモノステアリルエステルなどが挙げられる。
界面活性剤を防曇層形成用組成物に含有する場合の含有量は、防曇層形成用組成物の全固形分に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。界面活性剤の含有量の上限としては、例えば、防曇層形成用組成物の全固形分に対して、3.0質量%以下である。
[その他の成分]
本開示の防曇層形成用組成物には、必要により、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロックイソシアネート系架橋剤及び金属キレート系架橋剤以外の架橋剤等の慣用の各種添加剤を配合することができる。
本開示の防曇層形成用組成物の製造方法は、後述する本開示の積層体の製造方法の欄にて説明する。
<積層体及びその製造方法>
本開示の積層体は、基材と、基材上に設けられた防曇層とを有する積層体である。そして、防曇層は、本開示の防曇層形成用組成物の硬化物である。
本開示の積層体の製造方法は、本開示の防曇層形成用組成物を、基材上に塗布した後、熱処理により加熱乾燥させる方法である。本開示の積層体の製造方法により、基材上に防曇層が形成され、本開示の積層体が製造される。
以下、本開示の積層体を構成する基材及び防曇層について説明する。
[基材]
本開示の積層体に用いられる基材としては、特に制限はない。後述の積層体の製造方法では、基材は被塗装物となる。
基材としては、例えば、ガラス、樹脂材料(プラスチックス材料)、金属、セラミックス等の各種材料から選ばれる1種以上を含む基材より、積層体の使用目的等に応じて、適宜選択して用いることができる。
基材として、ガラスは広く用いられており、本開示の積層体を構成する基材として好適である。
また、基材として、樹脂材料も好適であり、例えば、監視カメラの保護カバー、ヘッドライトの保護カバーなどの基材には樹脂材料が用いられることが多い。樹脂材料の中では、光、熱に対する耐久性に優れる観点で、ポリカーボネート及びポリメチルメタクリレートが好ましい。
基材は、複合材料であってもよい。複合材料である基材としては、例えば、ガラス及び樹脂材料を含み、ガラスと樹脂材料とが混在して複合化した複合材、又は複数種の樹脂材料が混練又は貼合された樹脂複合材等のいずれでもよい。
基材の厚み、形状、サイズについては、特に制限はなく、積層体の用途、使用目的等に合わせて適宜選択すればよい。
基材の厚みとしては、例えば、0.05mm〜10mmとすることができる。
なお、防曇層は、基材上に設けられれば、特に制限はない。基材が板状などで、2つの面を有する場合は、2つの面の少なくとも一方に設けられればよい。例えば、既述の監視カメラの保護カバーでは、少なくとも外側、即ち、外気に接する側の面に設けることができる。また、ヘッドライトのカバーの場合は、少なくとも内側、即ち、光源を有する側の面に設けることができる。
[防曇層]
本開示の製造体において、防曇層は、本開示の防曇層形成用組成物の硬化物である。
本開示の防曇層形成用組成物から硬化物を得る方法については、後述する本開示の積層体の製造方法の項にて説明する。
続いて、本開示の積層体の製造方法について説明する。
[防曇層形成用組成物の調製方法]
本開示の積層体の製造方法では、まず、本開示の防曇層形成用組成物を準備する。
以下、本開示の防曇層形成用組成物の調製方法について、説明する。
本開示の防曇層形成用組成物は、親水性共重合体と、熱酸発生剤と、必要に応じて、架橋剤、界面活性剤、溶剤等の既述の任意成分と、を混合することにより調製される。
防曇層形成用組成物の粘度は、防曇層形成用組成物の基材への付与方法に応じて(好ましくは、防曇層形成用組成物の塗布方式に応じて)適宜選択できる。
例えば、防曇層形成用組成物の塗布方式がスプレー塗布の場合、防曇層形成用組成物の粘度は、5cP(5mPa・s)〜200cP(200mPa・s)が好ましく、10cP(10mPa・s)〜100cP(100mPa・s)がより好ましい。
[防曇層の形成方法]
本開示の積層体の製造方法では、調製された本開示の防曇層形成用組成物を基材上に塗布した後、熱処理により乾燥硬化させることで、防曇層を形成する。
防曇層形成用組成物を基材上に付与する方法には特に制限はなく、塗布法、転写法、浸漬法などのいずれであってもよい。
形成される防曇層形成用組成物による膜の均一性と生産性とが良好であるという観点から、防曇層形成用組成物を基材上に付与する方法としては、基材上に塗布する方法が好ましい。
防曇層形成用組成物を基材上に塗布する塗布法には特に制限はなく、例えば、スプレー塗布、刷毛塗布、ローラー塗布、バー塗布、ディップ塗布(浸漬塗布ともいう)等の公知の方法を適用することができる。
中でも、スプレー塗布が好ましい。本開示の積層体が適用される分野における立体構造体、例えば、曲面、凹凸面等のさまざまな面状を有する立体構造体へ塗布する場合には、スプレー塗布が好適であり、生産性高く積層体を製造することができる。
本開示の防曇層形成用組成物は、液だれし難いため、スプレー塗布方法に好適に適用することができる。
本開示の防曇層形成用組成物をスプレー塗布により基材上に塗布する場合、基材のセット方法は、特に限定されない。基材の形状(具体的には面状)に応じて、基材の向きを、塗布方向に対して、水平方向、垂直方向等、適宜変更しながら塗布することができる。
塗布膜厚をより均一にするためには、スプレーノズルと基材との距離が等間隔となる位置にスプレーノズルを配置して基材上に本開示の防曇層形成用組成物を塗布することが好ましく、スプレーノズルと基材との距離を10mm〜1000mmとすることが好ましい。
本開示の防曇層形成用組成物のスプレー塗布装置への供給方式は、圧送型、吸上型、及び重力型のいずれの方式を用いることもできる。
スプレーノズルのノズル口径は、0.1mmφ〜1.8mmφであることが好ましく、エア圧は、0.02MPa〜0.60MPaであることが好ましい。
このような条件で塗布することで、塗布膜厚をより均一にすることができる。なお、スプレー塗布によって、更に好適な塗布膜を形成するためには、エア量、塗料噴出量、パターン開き等の調整が必要である。
本開示の防曇層形成用組成物をスプレー塗布により基材に塗布する場合、空気使用量エア量は5L/分〜600L/分であることが好ましく、塗料噴出量は5L/分〜600L/分であることが好ましく、パターン開きは40mm〜450mmであることが好ましい。
スプレー塗布においては、塗布時の環境も塗布膜の形成に影響する。
温度条件としては15℃〜35℃であることが好ましく、湿度条件としては80%RH以下であることが好ましい。
清浄度は、特に限定されないが、例えば、塗布環境中の微粒子(即ち、パーティクル)による面状故障を抑制する観点から、クラス10,000以上の清浄度が好ましく、クラス1,000以上の清浄度であることがより好ましい。
本開示の防曇層形成用組成物の塗布量は、特に限定されるものではなく、防曇層形成用組成物の固形分の濃度、所望の膜厚等に応じて、操作性等を考慮し、適宜設定することができる。
本開示の防曇層形成用組成物の塗布量は、0.1mL/m〜1000mL/mであることが好ましく、0.5mL/m〜500mL/mであることがより好ましく、1mL/m〜200mL/mであることが更に好ましい。
本開示の防曇層形成用組成物の塗布量が、上記の範囲内であると、塗布精度が良好となりやすい。
本開示の積層体の製造方法では、塗布等により基材上に付与された本開示の防曇層形成用組成物の塗布膜を加熱乾燥する。
上記の加熱乾燥により、基材上に、本開示の防曇層形成用組成物の硬化物である防曇層が形成される。
加熱乾燥の温度としては、熱酸発生剤の種類に応じて適宜設定されればよく、例えば、20℃〜150℃が挙げられ、40℃〜150℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。
本開示の防曇層形成用組成物の塗布膜を加熱乾燥は、加熱装置を用いて行なってもよい。
加熱装置としては、目的の温度に加熱することができれば、特に限定されることなく、公知の加熱装置をいずれも用いることができる。加熱装置としては、例えば、オーブン、電気炉等の他、製造ラインに合わせて独自に作製した加熱装置を用いることができる。
本開示の防曇層形成用組成物の塗布膜を加熱乾燥は、例えば、上記の加熱装置を用いて、塗布膜の表面温度が40℃〜150℃の温度となる条件で行うことができる。乾燥時間は、例えば、加熱時間を1分間〜120分間程度とすることができる。
加熱乾燥条件としては、塗布膜を、表面温度40℃〜150℃にして1分間〜120分間加熱する条件が好ましく、表面温度60℃〜150℃にして1分間〜90分間加熱する条件がより好ましく、表面温度80℃〜150℃にして1分間〜60分間加熱する条件がとくに更に好ましい。
塗布膜の乾燥は、塗布膜の表面形状を維持する観点から、高温短時間で行われることが好ましい。
なお、膜の表面温度は赤外線温度計等の測定手段により測定することができる。
加熱乾燥後の塗布膜、即ち、形成された防曇層の厚みは、積層体の用途、使用目的等に合わせて適宜設定されればよいが、例えば、1μm〜10μmが好ましく、1.5μm〜9μmがより好ましく、2μm〜8μmが更に好ましい。
防曇層の厚みが1μm以上であると、防曇層は耐久性により優れる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
〔合成例1:共重合体溶液1の調製〕
温度計、撹拌装置、窒素導入管、及び冷却管を備えた反応容器に、有機溶媒としてのイソプロパノール50gと、水溶性ビニル系単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド80gと、非水溶性ビニル系単量体(B)としてのメチルメタクリレート5gと、架橋性ビニル系単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド1.5gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤として3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドの炭化水素希釈品〔日油(株)製の商品名:パーロイル355(S)〕0.27gをイソプロパノール30gに溶解させたものを1時間かけて滴下した。同時に、メチルメタクリレート15gをイソプロパノール150gに溶解させたものを3時間かけて滴下した。更に6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行って共重合体溶液1を得た。
共重合体溶液1に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ258,000であった。更に、この共重合体溶液1の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例2:共重合体溶液2の調製〕
水溶性ビニル系単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミドの仕込み量を120gとした以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液2を得た。
共重合体溶液2に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ280,000であった。更に、この共重合体溶液2の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例3:共重合体溶液3の調製〕
水溶性ビニル系単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミドの仕込み量を150gとした以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液3を得た。
共重合体溶液3に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ288,000であった。更に、この共重合体溶液3の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例4:共重合体溶液4の調製〕
水溶性ビニル系単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミドの仕込み量を45gとした以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液4を得た。
共重合体溶液4に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ260,000であった。更に、この共重合体溶液4の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例5:共重合体溶液5の調製〕
水溶性ビニル系単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミドの仕込み量を30gとした以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液5を得た。
共重合体溶液5に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ265,000であった。更に、この共重合体溶液5の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例6:共重合体溶液6の調製〕
架橋性ビニル系単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミドの仕込み量を2gとした以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液6を得た。
共重合体溶液6に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ262,000であった。更に、この共重合体溶液6の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例7:共重合体溶液7の調製〕
架橋性ビニル系単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミドの仕込み量を2.5gとした以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液7を得た。
共重合体溶液7に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ269,000であった。更に、この共重合体溶液7の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例8:共重合体溶液8の調製〕
架橋性ビニル系単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミドの仕込み量を1gとした以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液8を得た。
共重合体溶液8に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ275,000であった。更に、この共重合体溶液8の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例9:共重合体溶液9の調製〕
架橋性ビニル系単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミドの仕込み量を0.5gとした以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液9を得た。
共重合体溶液9に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ280,000であった。更に、この共重合体溶液9の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例10:共重合体溶液10の調製〕
架橋性ビニル系単量体(C)を、N−メチロールアクリルアミド(仕込み量1.5g)から、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(仕込み量1.5g)に変えた以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液10を得た。
共重合体溶液10に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ225,000であった。更に、この共重合体溶液10の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例11:共重合体溶液11の調製〕
架橋性ビニル系単量体(C)を、N−メチロールアクリルアミド(仕込み量1.5g)から、N−メチロールアクリルアミド(仕込み量1.0g)及びN−メトキシメチロールアクリルアミド(仕込み量0.5g)に変えた以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液11を得た。
共重合体溶液11に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ259,000であった。更に、この共重合体溶液11の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例12:共重合体溶液12の調製〕
架橋性ビニル系単量体(C)を、N−メチロールアクリルアミド(仕込み量1.5g)から、N−メチロールアクリルアミド(仕込み量1.0g)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(仕込み量0.5g)に変えた以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液12を得た。
共重合体溶液12に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ260,000であった。更に、この共重合体溶液12の固形分は31.0質量%であった。
〔合成例13:共重合体溶液13の調製〕
水溶性ビニル系単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミドの仕込み量を15gとし、更に、架橋性ビニル系単量体(C)を、N−メチロールアクリルアミド(仕込み量1.5g)から、1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−4−ペンテン−2−オール(仕込み量10g)に変えた以外は、合成例1と同じ操作を行い、共重合体溶液13を得た。
共重合体溶液13に対して、GC(ガスクロマトグラフ)にて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)にて質量平均分子量を測定したところ235,000であった。更に、この共重合体溶液13の固形分は31.0質量%であった。
<親水性度の測定>
上記共重合体溶液1〜13中の共重合体の親水性度について、以下の方法で測定した。
即ち、25℃の水100mL(100g)に対し、合成した共重合体を1gずつ添加していき、溶解可能な最大量を、親水性度[g/100mL]とした。
親水性度が5g/100mL以上である共重合体は、本開示における親水性共重合体であるといえる。
測定結果を表1に示す。
以下、表1に、各合成例で得られた共重合体溶液1〜13中の共重合体についてまとめた。
〔実施例1〕
上記共重合体溶液1の32.3gにイソプロパノール27.7g、メチルエチルケトン30g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノ−ル〔クラレ(株)製の商品名:ソルフィット〕10gを加えて固形分を10質量%に調整し、硬化触媒として熱酸発生剤であるシンナミルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート0.2g、界面活性剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン〔ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名:BYK302〕0.1gを混合し、防曇層形成用組成物A1を得た。
次に、得られた防曇層形成用組成物A1を、アネスト岩田社製、エアースプレーガンW−101−101Gを用いて、透明アクリル基材上にスプレー塗布にて塗装した。塗布量は60mL/mであった。
防曇層形成用組成物A1をスプレー塗布した後、塗布膜の膜面温度を80℃とし40分間乾燥硬化を行った。その後、25℃の条件で1日間放置し、透明アクリル基材上に防曇層を有する実施例1の積層体を得た。
形成された防曇層の厚みは、6.0μmであった。
用いた透明アクリル基材は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)基材であって、厚さ:5mm、基材単独でのヘイズは0.4%であった。
〔実施例2〕
実施例1で作製した防曇層形成用組成物A1の100gに、ブロックイソシアネート架橋剤としてMF−K60B〔旭化成ケミカルズ(株)製の商品〕を5g混合し、防曇層形成用組成物A2を得た。これを実施例1と同様に、透明アクリル基材上に塗布乾燥し、実施例2の積層体を得た。
〔実施例3〕
実施例1で作製した防曇層形成用組成物A1の100gに、金属キレート架橋剤としてアルミキレートD〔川研ファインケミカル(株)製の商品〕を5g混合し、防曇層形成用組成物A3を得た。これを実施例1と同様に、透明アクリル基材上に塗布乾燥し、実施例3の積層体を得た。
〔実施例4〜14〕
実施例3の防曇層形成用組成物A3に用いた共重合体溶液1を、共重合体溶液2〜12のそれぞれに変えた以外は実施例3と同様にして、防曇層形成用組成物A4〜A14を得た。これを実施例1と同様に、透明アクリル基材上に塗布乾燥し、実施例4〜14の積層体を得た。
〔実施例15〜18〕
防曇層形成用組成物A3の塗布量を変え、防曇層の厚みを表2に記載のように変えた以外は実施例3と同様にして、実施例15〜18の積層体を得た。
〔実施例19〕
透明アクリル基材をポリカーボネート(PC)基材(厚さ:5mm、基材単独でのヘイズは0.4%)へと代え、また、乾燥硬化温度を120℃に変えた以外は実施例3と同様にして、実施例19の積層体を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、シンナミルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートをp−トルエンスルホン酸に変更したこと以外は同様の作業を行い、防曇層形成用組成物B1を得た。これを実施例1と同様に塗布乾燥し、比較例1の積層体を得た。
〔比較例2〕
実施例1において、シンナミルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートを添加しなかったこと以外は同様の作業を行い、防曇層形成用組成物B2を得た。これを実施例1と同様に塗布乾燥し、比較例2の積層体を得た。
〔比較例3〕
実施例3の防曇層形成用組成物A3に用いた共重合体溶液1を、共重合体溶液13に変えた以外は実施例3と同様にして、防曇層形成用組成物B3を得た。これを実施例1と同様に、透明アクリル基材上に塗布乾燥し、比較例3の積層体を得た。
<防曇性の評価>
温度20℃、湿度50%の実験室内で、各積層体の防曇性を有する面の反対側に氷水を接触させ、防曇性を有する面の状態(具体的には、曇り及び透過像のゆらぎ)を10分間観察した。以下の評価基準にて3〜5を合格とした。
−評価基準−
5・・・5分間以上、曇りが無く、且つ、透過像にゆらぎがない
4・・・3分間以上5分未満にて曇りが無く、且つ、透過像にゆらぎがない
3・・・1分間以上3分未満にて曇りが無く、且つ、透過像にゆらぎがない
2・・・1分未満で曇り又は透過像のゆらぎが発生する
1・・・観察直後に曇り(透過像が見えない)が発生する
<水膜形成・乾燥後のタレ跡の評価>
10cm四方の大きさのサンプルを用意し、防曇性を有する側の表面に霧吹きで10mLの水をかけて強制的に水膜を形成し、その後垂直に立て懸けた状態で静置乾燥させた。この操作を10回繰り返した後、20回繰り返した後、30回繰り返した後、40回繰り返した後、及び、50回繰り返した後について、それぞれ垂れ跡(即ち、水垂れの痕跡)の有無を観察した。
なお、10回繰り返した後に以下の評価基準にて3であれば合格であり、20回以上繰り返した後の結果は参考値である。
−評価基準−
3・・・垂れ跡がない
2・・・垂れ跡が僅かに見える
1・・・垂れ跡がはっきりと見える
<防曇層形成用組成物の経時安定性の評価>
防曇層形成用組成物について、調合完了してから10分後の粘度と、35℃の環境下で1日後の粘度と、を測定し、その粘度上昇率を求め、防曇層形成用組成物の経時安定性を判定した。以下の評価基準にて3を合格とした
3・・・粘度上昇率が10%未満である
2・・・粘度上昇率が10%以上50%未満である
1・・・粘度上昇率が50%以上である
表2に示すように、実施例では、良好な防曇性能を保持することができ、水垂れ性、及び、防曇層形成用組成物の経時安定性も優れたものであった。
これに対して、非潜在型の酸硬化触媒を用いた比較例1では、水垂れ性が不十分であり、防曇層形成用組成物の経時安定性も不十分であった。硬化触媒を用いない比較例2は、防曇層形成用組成物の経時安定性は良好であるものの、水垂れ性が非常に悪かった。また親水性度が低い共重合体を用いた比較例3は、防曇性が発現しなかった。
上記のことから、本開示の発明によれば、経時安定性に優れた防曇層形成用組成物を得ることができ、当該防曇層形成用組成物を用いて防曇層を形成することで、優れた防曇性と水垂れ性とを有する防曇性積層体が提供されることが分かる。

Claims (14)

  1. 親水性共重合体と、
    熱酸発生剤と、
    を含有する防曇層形成用組成物。
  2. 前記親水性共重合体は、下記に示す、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)から得られる共重合体である請求項1に記載の防曇層形成用組成物。
    単量体(A):非架橋性の水溶性ビニル系単量体
    単量体(B):非架橋性の非水溶性ビニル系単量体
    単量体(C):縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系単量体
  3. 前記単量体(A)が(メタ)アクリルアミド系単量体である、請求項2に記載の防曇層形成用組成物。
  4. 前記単量体(C)が、前記架橋性官能基として、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される少なくとも1つを有する単量体である、請求項2又は請求項3に記載の防曇層形成用組成物。
  5. 前記単量体(C)が、前記架橋性官能基として、N−メチロール基及びN−アルコキシメチロール基からなる群より選択される少なくとも1つを有する単量体である、請求項4に記載の防曇層形成用組成物。
  6. 前記親水性共重合体の質量に対する、前記単量体(A)に由来する構成単位及び前記単量体(C)に由来する構成単位の合計質量の比率が、85質量%〜98質量%である、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の防曇層形成用組成物。
  7. 前記単量体(C)に由来する構成単位の質量に対する、前記単量体(A)に由来する構成単位の質量の比率が、10質量%〜200質量%である、請求項6に記載の防曇層形成用組成物。
  8. 更に、架橋剤としてブロックイソシアネート系架橋剤を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の防曇層形成用組成物。
  9. 更に、架橋剤として金属キレート系架橋剤を含む、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の防曇層形成用組成物。
  10. 更に、界面活性剤を含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の防曇層形成用組成物。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の防曇層形成用組成物を、基材上に塗布した後、熱処理により乾燥硬化させる、積層体の製造方法。
  12. 基材と、基材上に設けられた、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の防曇層形成用組成物の硬化物である防曇層と、を有する積層体。
  13. 防曇層の厚みが1μm〜10μmである、請求項12に記載の積層体。
  14. 前記基材が、ポリカーボネート基材又はポリメチルメタクリレート基材である、請求項12又は請求項13に記載の積層体。
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